【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る急発進回避装
置の要旨は、踏力が印加されるアクセルペダルと、走行のための動力を発生する駆動部と、前記アクセルペダルに印加された踏力に応じて前記駆動部の動力を制御する制御部とを具備する自動車が急発進することを回避する急発進回避装置において、基板の一面に、予め定められた移動領域内を進退可能に移動する第1移動体が配設してあり、前記基板の他面に、前記移動領域に応じた移動領域内を進退可能に移動する第2移動体が配設してあり、前記第1移動体は、前記アクセルペダルから与えられた踏力によって前進し、前記踏力が除去されると後退するようになしてあり、前記第2移動体は、第1移動体と係合した状態で対応する前記移動領域の所定位置まで前進して、前記踏力を前記制御部へ伝え、該所定位置を超えると、第1移動体と第2移動体との係合が解除されるようになしてあることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る急発進回避装置にあっては、踏力が印加されるアクセルペダルと、走行のための動力を発生する駆動部と、前記アクセルペダルに印加された踏力に応じて前記駆動部の動力を制御する制御部とを具備する自動車が急発進することを次のような構成で回避する。
【0010】
すなわち、基板の一面に、予め定められた移動領域内を進退可能に移動する第1移動体が配設してあり、この基板の他面に、前記移動領域と同じ領域又は前記基板を挟んで前記移動領域と表裏をなす領域等、前記移動領域に応じた移動領域内を進退可能に移動する第2移動体が配設してある。前述した第1移動体は、自動車のアクセルペダルから与えられた踏力によって前進し、前記踏力が除去されると後退するようになしてある。
【0011】
一方、前述した第2移動体は、第1移動体と係合した状態で対応する前記移動領域の所定位置まで前進して、前記踏力を前記制御部へ伝える一方、その所定位置を超えると、第1移動体と第2移動体との係合が解除される。
【0012】
一般的に、運転者の足によって自動車のアクセルペダルが最大限に至るまで踏み込まれ、運転者が踏み込んだ足をアクセルペダルから離すことができないときに自動車の急発進が生じる。このような踏力がアクセルペダルに印加されると、第1移動体が前記移動領域の所定位置を超えて更に前進するが、そのとき、前述したように第1移動体と第2移動体との係合が解除されるため、第1移動体から第2移動体へ踏力が伝えられず、制御部への踏力の伝達が遮断される。これによって、アクセルペダルの操作を変更することなく、自動車の急発進を回避することができる。
【0013】
また、本発明に係る急発進回避装置は、前記第1移動体及び第2移動体は、前記基板に揺動可能に設けてあることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る急発進回避装置にあっては、前述した第1移動体及び第2移動体は、基板に揺動可能に設けてあり、第1移動体及び第2移動体の揺動領域内で両者が係合し、また当該係合の解除が実施される。第1移動体及び第2移動体の揺動は、基板の両面に立設した軸に第1移動体及び第2移動体をそれぞれ、対応する軸回りに回動可能に取り付ければよい。これによって、第1移動体及び第2移動体の係合及び係合解除を比較的簡単な構成で実施することができる。
【0015】
更に、本発明に係る急発進回避装置は、前記第1移動体及び第2移動体は前記基板に、当該基板上を直線状に進退可能に設けてあることを特徴とする。
【0016】
本発明に係る急発進回避装置にあっては、前述した第1移動体及び第2移動体は基板に、当該基板上を直線状に進退可能に設けてあり、第1移動体及び第2移動体の進退領域内で両者が係合し、また当該係合の解除が実施される。これによって、急発進回避装置を可及的にコンパクトに構成することができ、狭い空間にも急発進回避装置を配設することができる。
【0017】
すなわち、(1)本発明に係る急発進回避装置は、踏力が印加されるアクセルペダルと、走行のための動力を発生する駆動部と、前記アクセルペダルに印加された踏力に応じて前記駆動部の動力を制御する制御部とを具備する自動車が急発進することを回避する急発進回避装置において、
前記自動車の適宜位置に固定される基板の一面に、前記アクセルペダルに印加された踏力がその一端側に伝えられる第1アームの他端が、また、前記基板の他面に、その一端側と前記制御部とが接続される第2アームの他端が、それぞれ前記基板の両側縁間で揺動可能に取り付けてあり、前記第1アームの一端側は前記基板の縁から突出させてあり、この突出部分には、前記基板の他面側へ突出する爪部が第1アームの長手方向へ進退可能に取り付けてあり、印加された踏力によって、第1アームが基板の一側縁側から他側縁側へ揺動する場合、前記爪部が第2アームの一端部に係合して、当該第2アームを基板の一側縁側から他側縁側へ揺動させ、更に、第1アームが基板の所定位置より他側縁側へ揺動する場合、前記爪部が
基板の爪部に対向する縁部に倣って揺動しつつ第1アームの長手方向へ後退し
て、当該爪部と第2アームの一端部との係合が解除されるように構成してあることを特徴とする。
【0018】
本発明の急発進回避装置にあっては、
自動車の適宜位置に固定され、両側縁を有する適宜形状の基板を具備し、この基板の一面に、自動車のアクセルペダルに印加された踏力がその一端側に伝えられる第1アームの他端が、基板の両側縁間で揺動可能に取り付けてある。また、基板の他面に、第2アームの他端が前記基板の両側縁間で揺動可能に取り付けてあり、第2アームの一端側は例えばワイヤによって自動車の制御部と接続されるようになっている。
【0019】
第1アームの一端側は基板の縁から突出させてあり、この突出部分には、基板の他面側、即ち第2アーム側へ突出する爪部が、第1アームの長手方向へ進退可能に取り付けてある。そして、自動車のアクセルペダルに印加された踏力によって、第1アームが基板の一側縁側から他側縁側へ揺動する場合、第1アームに取り付けられた爪部が第2アームの一端部に係合して、当該第2アームを基板の一側縁側から他側縁側へ揺動させる。これによって、第1アームに伝えられた踏力が第2アームに伝えられる。前述したように第2アームの一端側は例えばワイヤによって自動車の制御部と接続されるようになっており、第2アームに伝えられた踏力は自動車の制御部に伝えられ、当該制御部によって踏力に応じて駆動部の動力が制御される。
【0020】
一方、第1アームが基板の所定位置より更に他側縁側へ揺動する場合、爪部が
基板の爪部に対向する縁部に倣って揺動しつつ第1アームの長手方向へ後退し
て、当該爪部と第2アームの一端部との係合が解除されるように構成してある。
【0021】
前述したように、自動車の急発進が生じるときには、運転者の足によって自動車のアクセルペダルが最大限に至るまで踏み込まれている。このような踏力がアクセルペダルに印加されると、第1アームが基板の所定位置を超えて更に基板の他側縁近傍まで揺動するが、そのとき、前述したように爪部と第2アームの一端部との係合が解除されるため、第1アームから第2アームに踏力が伝えられない。これによって、アクセルペダルの操作を変更することなく、自動車の急発進を回避することができる。
【0022】
(
2)本発明に係る急発進回避装置は、前記基板の爪部に対向する縁部は、当該爪部を案内するガイド部になしてあり、該ガイド部は、前記基板の一側縁側に、所定曲率の円弧になした第1領域と、前記基板の他側縁側に第1領域に続けて、前記曲率より緩い曲率の円弧になした第2領域とを具備しており、前記爪部には、前記ガイド部に当接して当該ガイド部上を案内される被案内部と、前記第2アームの一端部に係合する第1係合部が設けてあり、前記第2アームの一端部には前記第1係合部と係合する第2係合部が設けてあり、前記第1アームには爪部を基板のガイド部へ付勢する第1付勢部材が配設してあることを特徴とする。
【0023】
本発明の急発進回避装置にあっては、基板の爪部に対向する縁部は、爪部を案内するガイド部になしてある。このガイド部は、基板の一側縁側に、所定曲率の円弧になした第1領域と、基板の他側縁側に第1領域に続けて、第1領域の曲率より緩い曲率の円弧になした第2領域とを具備している。また、爪部には、ガイド部に当接してガイド部上を案内される被案内部と、第2アームの一端部に係合する第1係合部が設けてある。また、第2アームの一端部には前記第1係合部と係合する第2係合部が設けてある。一方、第1アームには爪部を基板のガイド部へ付勢する第1付勢部材が配設してある。
【0024】
前述したように自動車のアクセルペダルに印加された踏力によって、第1アームが基板の一側縁側から他側縁側へ揺動するが、爪部は被案内部によって基板のガイド部上を第1領域から第2領域へ案内されて行く。このとき、ガイド部の第2領域の曲率は第2領域の曲率より緩くしてあるため、爪部は第1アームの長手方向へ前記第1付勢部材による付勢に抗して漸次後退して行く。一方、自動車のアクセルペダルに印加される踏力が弱くなると、それに応じて第1アームが基板の一側縁側へ揺動し、爪部は被案内部によって基板のガイド部上を第2領域から第1領域へ案内されて行き、前述した如く後退した爪部は第1付勢部材による付勢によって復帰する。このようにして、第1アームが基板の所定位置を超えるまでは、爪部が第1アームの長手方向へ進退して爪部の第1係合部と第2アームの第2係合部との係合が維持され、第1アームに印加される踏力が第2アームに伝えられる。
【0025】
一方、第1アームが基板の所定位置を超えると、爪部の第1係合部が第2アームの第2係合部から離隔する位置まで爪部が後退し、爪部と第2アームの一端部との係合が解除される。
【0026】
このように、アクセルペダルに過大な踏力が印加された場合、当該踏力が制御部に伝えられることを機械的に遮断することができ、従って自動車の急発進を確実に回避することができる。一方、本発明に係る急発進回避装置は比較的簡単な構造であるため、製造コストを抑制することができ、また、故障が発生し難く、メンテナンスも容易である。
【0027】
(
3)本発明に係る急発進回避装置は、前記被案内部は、前記ガイド部上を摺動する摺動部、又はガイド部に転接する転接部で構成されていることを特徴とする。
【0028】
本発明の急発進回避装置にあっては、爪部に設けられた被案内部は、基板のガイド部上を摺動する摺動部、又はガイド部に転接する転接部で構成されている。前者の場合は製造コストを可及的に廉価にすることができ、一方、後者の場合は被案内部の摩耗を防止することができる。
【0029】
(
4)本発明に係る急発進回避装置は、前記第1係合部は、基板の一側縁側に位置させた斜辺が円弧状の略帆先形になしてあり、また前記第2係合部は第1係合部と面対称の形状になしてあり、前記基板には第1アームを基板の一側縁側へ付勢する第2付勢部材が取り付けてあり、前記第2アームには当該第2アームを基板の一側縁側へ引く引力が与えられるようになっていることを特徴とする。
【0030】
本発明の急発進回避装置にあっては、爪部に設けられた第1係合部は、基板の一側縁側に位置させた斜辺が円弧状の略帆先形に成形してあり、また第2アームに設けられた第2係合部は第1係合部と面対称の形状に成形してある。つまり、第1係合部の略帆先形を構成する鉛直部分と、第2係合部の略帆先形を構成する鉛直部分とが対向するようになっている。第1アームが基板の一側縁から他側縁へ揺動する場合、第1係合部の前記鉛直部分が第2係合部の前記鉛直部分に当接し、これによって第1係合部が第2係合部に係合する。一方、前述したように爪部が後退する際は、第1係合部の前記鉛直部分が第2係合部の前記鉛直部分上を摺動して、第1係合部と第2係合部との係合が漸次解除されていくが、第1係合部と第2係合部とは両鉛直部分を構成する面で係合しているため、第1係合部が第2係合部から離隔するまで、十分に係合している。
【0031】
自動車の制御部にはねじりコイルバネ等が配設してあり、制御部と第2アームとを接続させた場合、第2アームには当該第2アームを基板の一側縁側へ引く引力が与えられるようになっている。従って、前述したようにして第1係合部と第2係合部との係合が解除された場合、前記引力によって第2アームは基板の一側縁側へ引かれ、制御部は踏力が与えられない状態、すなわち駆動部を駆動させない状態になされる。このように、自動車の急発進を回避すべく、第1係合部と第2係合部との係合が解除された場合、制御部は駆動部を駆動させない状態になされるため、自動車の急発進が確実に回避される。
【0032】
一方、基板には第1アームを基板の一側縁側へ付勢する第2付勢部材が取り付けてある。自動車の急発進が回避され、運転者が踏み込んだ足をアクセルペダルから離すことができると、第2付勢部材からの付勢によって、第1アームが基板の一側縁側へ揺動して第1係合部の一端面と第2係合部の一端面とが当接するが、前述したように第1係合部の端面及び第2係合部の端面は円弧状になしてあるため、爪部がガイド部から離隔する方向へ後退しつつ、第1係合部は第2係合部の端面上を摺動して、第1係合部が第2係合部を越えて基板の一端縁側へ揺動する。これによって、第1アーム及び第2アームは元の状態に復帰し、第1係合部と第2係合部とが互いに係合し得るようになり、アクセルペダルに印加される踏力が第1アーム及びこれに係合した第2アームを介して制御部へ伝えられ得るようになる。
【0033】
(
5)本発明に係る急発進回避装置は、前記爪部は前記第1アームに摺接する基体を具備しており、当該基体の第1アームに対向する面の両縁にはそれぞれ第1アームを挟持する壁部が立設してあり、また基体には第1アームの長手方向へ長い長孔が開設してあり、当該基体は前記長孔を挿通させた留め具によって第1アームに、当該第1アームの長手方向へ進退自在に取り付けられていることを特徴とする。
【0034】
本発明の急発進回避装置にあっては、爪部は前述した第1アームに摺接する基体を具備しており、この基体の第1アームに対向する面の両縁にはそれぞれ第1アームを挟持する壁部が立設してある。これによって、前述した如く爪部が進退する際、基体は第1アームによって案内されるため、ガタを生じることなく安定して進退動作を行うことができる。また、基体には第1アームの長手方向へ長い長孔が開設してあり、基体は長孔を挿通させた留め具によって第1アームに、当該第1アームの長手方向へ進退自在に取り付けられている。このように、基体は第1アームに簡単な構造で進退自在に取り付けられており、製造コストを抑制し、また、故障が発生し難く、メンテナンスも容易である。
【0035】
(
6)本発明に係る急発進回避装置は、踏力が印加されるアクセルペダルと、走行のための動力を発生する駆動部と、前記アクセルペダルに印加された踏力に応じて前記駆動部の動力を制御する制御部とを具備する自動車が急発進することを回避する急発進回避装置において、基板の適宜位置に当該基板の一側側から他側側へ帯状の窓部が開設してあり、基板の一面に、前記アクセルペダルから与えられた踏力によって、前記窓部の一端側から他端側へ前進する第1スライダが配設してあり、基板の他面に、前記制御部と接続され、前記窓部の一端側から他端側へ前進する第2スライダが配設してあり、前記第2スライダには、前記窓部から基板の一面側へ突出可能な爪部が前記基板に交わる方向へ揺動可能に設けてあり、前記第1スライダには、前記爪部と係合する係合用凹部が設けてあり、印加された踏力によって、第1スライダが前記窓部の一端側から他端側へ前進する場合、前記爪部が前記係合用凹部に係合して、第2スライダを窓部の一端側から他端側へ前進させ、更に、第1スライダが前進して、前記基板の窓部の他端に臨む部分が爪部に当接し、前記爪部が後退して当該爪部と前記係合用凹部との係合が解除されるように構成してあることを特徴とする。
【0036】
本発明の急発進回避装置にあっては、基板の適宜位置に当該基板の一側側から他側側へ帯状の窓部が開設してある。かかる基板の一面に、アクセルペダルから与えられた踏力によって、前記窓部の一端側から他端側へ前進する第1スライダが配設してあり、また、前記基板の他面に、制御部と接続され、前記窓部の一端側から他端側へ前進する第2スライダが配設してある。
【0037】
この第2スライダには、基板に開設された窓部から基板の一面側へ突出可能な爪部が、基板に交わる方向へ揺動可能に設けてある。一方、第1スライダには、前記爪部と係合する係合用凹部が設けてあり、アクセルペダルに印加された踏力によって、第1スライダが前記窓部の一端側から他端側へ前進する場合、前記爪部が前記係合用凹部に係合して、第2スライダを窓部の一端側から他端側へ前進させる。このようにして、アクセルペダルに印加された踏力が第1スライダ及びこれに係合した第2スライダを介して自動車の制御部に与えられ、当該制御部によって踏力に応じて駆動部の動力が制御される。
【0038】
一方、更に第1スライダが前進した場合、基板の窓部の他端に臨む部分が窓部から突出した第2スライダの爪部に当接し、当該爪部が後退して爪部と第1スライダの係合用凹部との係合が解除される。
【0039】
前述したように、自動車の急発進が生じるときには、運転者の足によって自動車のアクセルペダルが最大限に至るまで踏み込まれている。このような踏力がアクセルペダルに印加されると、第1スライダが基板に開設した窓部の所定位置を超えて更に窓部の他端まで前進するが、そのとき、前述したように第2スライダの爪部と第1スライダの係合用凹部との係合が解除されるため、第1スライダから第2スライダへ踏力が伝えられず、制御部への踏力の伝達が遮断される。これによって、アクセルペダルの操作を変更することなく、自動車の急発進を回避することができる。
【0040】
(
7)本発明に係る急発進回避装置は、前記基板の一面には、前記第1スライダを案内する一対の第1ガイド部が前記窓部の両側縁部に対向配置してあり、前記基板の他面には、前記第2スライダを案内する一対の第2ガイド部が前記窓部の両側縁部に対向配置してあり、前記第1ガイド部及び第2ガイド部の一端には第1スライダ及び第2スライダが当接するストッパが設けてあり、当該ストッパと第1スライダとの間には当該第1スライダをストッパへ付勢する第1弾性部材が介装してあり、前記第2スライダには当該第2スライダを前記窓部の一端側へ引く引力が与えられるようになっていることを特徴とする。
【0041】
本発明の急発進回避装置にあっては、前述した基板の一面には、第1スライダを案内する一対の第1ガイド部が前記窓部の両側縁部に対向配置してあり、第1スライダは第1ガイド部に挟持されて窓部を臨む状態で進退する。また、基板の他面には、第2スライダを案内する一対の第2ガイド部が前記窓部の両側縁部に対向配置してあり、前同様、第2スライダは第2ガイド部に挟持されて窓部を臨む状態で進退する。前述したように、第2スライダに設けられた爪部が窓部から基板の一面側へ突出しており、第1スライダに設けられた係合用凹部に係合している。
【0042】
ここで、第1ガイド部及び第2ガイド部の一端には第1スライダ及び第2スライダが当接するストッパが設けてあり、このストッパと第1スライダとの間には第1スライダをストッパへ付勢する第1弾性部材が介装してある。従って、第1スライダに踏力が与えられていない場合、第1スライダは第1弾性部材によって、第1ガイド部の一端、即ち窓部の一端側に位置するようになっている。なお、第2スライダには前同様、自動車の制御部側へ向かう引力が与えられるようになっており、第1スライダに踏力が与えられていない場合、第2スライダは第2ガイド部の一端、即ち窓部の一端側に位置するようになっている。
【0043】
そして、印加された踏力が第1スライダに与えられると、第1スライダ及びこれに係合した第2スライダが共に窓部の他端側へ前進し、第1スライダに与えられる踏力が減少すると、前記第1弾性部材及び前記引力によって、第1スライダ及び第2スライダは窓部の一端側へ後退する。このように第1スライダ及び第2スライダは第1スライダに与えられる踏力の大きさに応じて進退し、これが第2スライダを介して制御部に与えられるため、自動車の速度を加減制御することができる。
【0044】
一方、前述したように第2スライダには自動車の制御部側へ向かう引力が与えられるようになっているため、第1スライダと第2スライダとの係合が解除された場合、第2スライダは窓部の一端側へ後退し、制御部に与えられる踏力は漸次零まで減少して行く。これによって、自動車に急ブレーキが作用せず、従って後続車による追突事故を防止することができる。
【0045】
(
8)本発明に係る急発進回避装置は、爪部の前記係合用凹部に対向する部分であって、前記窓部の一端に対応する位置には、係合用凹部に係合する係合部が設けてあり、前記係合用凹部の前記窓部の一端の端部は、前記係合部が当接する当接部になしてあることを特徴とする。
【0046】
本発明の急発進回避装置にあっては、第2スライダに具備された爪部の前記係合用凹部に対向する部分であって、前記窓部の一端に対応する位置には、係合用凹部に係合する係合部が設けてある。また、第1スライダに設けた係合用凹部の前記窓部の一端の端部は、前記係合部が当接する当接部になしてあり、係合用凹部の当接部に爪部に設けられた係合部が当接することによって、第2スライダの爪部と第1スライダの係合用凹部とが相互に係合する。
【0047】
このとき、当接部が、第1スライダに具備された係合用凹部の前記窓部の一端の端部に設けてあり、これに対応して係合部が、第2スライダに具備された爪部の前記係合用凹部に対向する部分であって、前記窓部の一端に対応する位置に設けてあるため、与えられた踏力によって第1スライダが窓部の他端側へ移動する際には、当接部に係合部が当接した状態が維持されて、第2スライドを確実に窓部の他端側へ移動させることができる。一方、当接部とこれに当接した係合部との位置から窓部の他端までの距離を可及的に長くすることができ、これによって、窓部の一端から他端までの長さ寸法を可及的に短くすることができるため、基板をコンパクトにすることができ、従って急発進回避装置の外寸が小さい。
【0048】
(
9)本発明に係る急発進回避装置は、前記爪部の前記係合用凹部に対向する部分とは反対側の部分には、当該部分とは所定の距離を隔てて天井部が取り付けてあり、当該天井部と爪部との間には、爪部を第1スライダ側へ付勢する第2弾性部材が介装してあることを特徴とする。
【0049】
本発明の急発進回避装置にあっては、前述した爪部の係合用凹部に対向する部分とは反対側の部分には、当該部分とは所定の距離を隔てて天井部が取り付けてあり、この天井部と爪部との間には、爪部を第1スライダ側へ付勢する第2弾性部材が介装してある。この第2弾性部材によって第2スライダの爪部が窓部から基板の一面側へ突出するように付勢される。
【0050】
前述したように、運転者の足によって自動車のアクセルペダルが最大限に至るまで踏み込まれると、第1スライダが基板に開設した窓部の所定位置を超えて更に窓部の他端まで前進し、基板の窓部に他端に臨む部分が第2スライダの爪部と第1スライダの係合用凹部との間に進入して行く。このとき、第2弾性部材が収縮して爪部が後退し、爪部と第1スライダの係合用凹部との係合が解除されて、第2スライダが後退するため、第2弾性部材の付勢によって爪部が突出する。一方、アクセルペダルに印加された踏力が除去されると、第1スライダが後退するため、第1スライダが第2スライダと対向する位置に達すると、第1スライダに当接した爪部が退入し、第1スライダの係合用凹部が爪部の位置に達すると、第2弾性部材の付勢によって爪部が突出して、爪部と係合用凹部が再び係合する。
【0051】
(
10)本発明に係る急発進回避装置は、前記爪部の前記係合用凹部に対向する部分は湾曲させて、前記基板の窓部の他端に臨む部分及び第1スライダを摺接させる摺接部になしてあることを特徴とする。
【0052】
本発明の急発進回避装置にあっては、第2スライダの爪部の第1スライダの係合用凹部に対向する部分は湾曲させて、基板の窓部の他端に臨む部分及び第1スライダを摺接させる摺接部になしてある。基板の窓部の他端に臨む部分が爪部に当接して爪部が退入する場合は、第2スライダの爪部と第1スライダの係合用凹部との係合が解除され、第1スライダが爪部に当接して爪部が退入する場合は、第2スライダの爪部と第1スライダの係合用凹部とが再び係合するが、このような爪部の基板の前記部分及び第1スライダが当接される部分が湾曲させて、それらを摺接させる摺接部になしてあるため、爪部を徐々に揺動させることができ、第2スライダの爪部と第1スライダの係合用凹部との係合を徐々に解除することができ、また、第2スライダの爪部と第1スライダの係合用凹部との再係合を円滑に実施することができる。
【0053】
(
11)本発明に係る急発進回避装置は、前記爪部の適宜位置には、当該爪部が前記窓部から適宜寸法だけ突出したときに、爪部の揺動を停止させる第2ストッパが設けてあることを特徴とする。
【0054】
本発明の急発進回避装置にあっては、前述した爪部の適宜位置には、当該爪部が前記窓部から適宜寸法だけ突出したときに、爪部の揺動を停止させる第2ストッパが設けてあり、これによって、爪部と係合用凹部との係合及び係合の解除が確実に行われる。