(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の第一実施形態について、
図1から
図8を参照して説明する。本実施形態の医療機器導入装置は、腹壁、胸壁等の体壁に挿入される外套管部と、外套管部に挿入される内針部とを備えている。
【0013】
図1は、医療機器導入装置1の外套管部10を示す図である。外套管部10は、体外に留置されるベース部20と、ベース部20に接続された管路部30と、管路部30の先端部に接続されたアンカー部40とを備えている。
【0014】
図2は、外套管部10が伸びた状態を示す断面図である。ベース部20は、筒状の基体21を有している。基体21の先端側には、管路部30の基端部が、例えば接着等により気密を保つように接続されている。基体21の基端側開口は、ゴム等で形成された弁部材22により気密に閉塞されている。弁部材22は、スリット22aを有している。後述する内針部をスリット22aに通すことにより、気密状態を保持しつつ内針部を外套管部10に挿入することができる。
【0015】
管路部30は、例えばゴム等の弾性変形可能な可撓性の材料で伸縮可能な管状に形成されている。管路部30は、外力が作用しない自然状態において、
図1に示すように、蛇腹状に折り畳まれて軸線方向の寸法が短くなっている。自然状態にある管路部30の先端部に対して、管路部30の先端部が基端部から離間する方向へ力を加えると、蛇腹状の折り畳み形状が
図2に示すように伸びる。その結果、管路部30の軸線方向の寸法が増大するとともに、管路部30の径方向の寸法が減少する。
【0016】
管路部30について、自然状態における軸線方向の寸法L1(
図1参照)、および蛇腹状に折り畳まれた部位がすべて延びた状態における軸線方向の寸法L2(
図2参照)は適宜設定できる。例えば、寸法L1を100ミリメートル(mm)以下、寸法L2を150mm以上500mm以下としてもよい。寸法L2を大きく設定するほど、適用可能な対象病変が多くなる点で好ましい。寸法L2が増大し、寸法L1が小さくなるほど、自然状態における管路部30の径方向の寸法が増大する傾向が強くなる。自然状態における管路部30の径方向の寸法が増大すると、医療機器導入装置1の使用時に必要な体壁の切開量が大きくなるため、これら二つの寸法のバランスを考慮して寸法L1およびL2を設定するのが好ましい。
【0017】
図3は、管路部30の構造を模式的に示す図である。管路部30において、ベース部20と接続される基端部31が最も厚い。管路部30は、基端部31から、アンカー部40が取り付けられる先端部32に向かうにつれて、徐々に薄くなる。管路部30のうち、先端部32が最も薄い。このような構造により、管路部30における蛇腹状の折り畳み形状を伸ばすために必要な力量は、先端部32において最も小さく、基端部31において最も大きい。したがって、管路部30が自然状態から伸びる際は先端部32から延び始め、自然状態の形状に戻る際は基端部32から戻り始める。
【0018】
なお、折り畳み形状を伸ばすために必要な力量は、管路部30における基端側から先端側に向かって連続的に小さくなっていてもよいし、管路部30における基端側から先端側に向かって階段状に不連続的に小さくなっていてもよい。
したがって、管路部30の厚さの変化の態様は、
図3に示すように連続的に徐々に薄くなる態様には限られず、管路部30の厚さが段階的に薄くなっていてもよい。この場合、厚さの異なる管状の部材を、気密を保つように軸線方向に並べて接続して管路部を構成してもよい。
【0019】
図1及び
図2に示すように、アンカー部40は、管路部30と接続される環状の先端部材41と、先端部材41の外周面上に取り付けられたバルーン42とを備えている。
先端部材41は、金属や樹脂等で形成されている。先端部材41の外径は、管路部30が寸法L2まで延びた状態における管路部30の内径と略同一である。
【0020】
バルーン42は、内部に流体を供給することにより膨張可能であればよい。バルーン42は、伸縮性に富む材料、伸縮性に乏しい材料のいずれで形成されてもよい。バルーン42は、流体供給のためのチューブ43に接続されている。チューブ43は、先端部材41の壁面を貫通するように先端部材41に取り付けられている。チューブ43は、管路部30内を通ってベース部20の内部まで延びている。チューブ43は、さらにベース部20の基体21を貫通して外套管部10の外部に延びており、図示しない流体供給源と接続可能である。チューブ43は基体21に対して固定されていないため、管路部30の長さに合わせて外套管部10の外部にチューブ43を引き出すことにより、管路部30の内部に位置するチューブ43の長さを調節することができる。バルーン42は、チューブに設けられたバルブ44(
図1参照)を閉じることにより、膨張状態を保持することができる。
【0021】
図4は、医療機器導入装置1の内針部50を示す図である。内針部50は、長尺かつ硬質の本体51と、本体51の先端に設けられた焼灼部52と、本体51の基端部に設けられた操作部60とを備えている。
本体51は、金属等で略円筒状に形成されている。本体51の先端側は、テーパ状に縮径されている。本体51には、円盤状のフランジ53が設けられている。フランジ53の径方向の寸法は、ベース部20の穴および管路部30の内径より小さく、かつ先端部材41の内径より大きい値に設定されている。したがって、内針部50は、フランジ53が先端部材41の基端に突き当たるまで外套管部10に挿入可能である。フランジ53が先端部材41の基端に突き当たる状態において、内針部50のうち本体51のテーパ状の部分が、外套管部10から突出する。
【0022】
焼灼部52は、本体51の先端から突出している。焼灼部52は、導体で形成されている。焼灼部52に通電することにより、焼灼部52を用いて組織を焼灼切開することができる。焼灼部52について、焼灼切開するための具体的機構には特に制限はなく、高周波ナイフやヒートプローブ等の公知の各種機構を適宜選択して用いることができる。焼灼部52は、通電のための図示しない配線に接続されている。配線は、本体51内を通り、操作部60まで延びている。
【0023】
操作部60は、使用者が把持するグリップ61と、グリップ61に設けられたスイッチ62およびプラグ63を備えている。プラグ63は、焼灼部52と接続された不図示の配線に接続されている。プラグ63に電源を接続することで、配線を介して焼灼部52に通電することができる。スイッチ62を操作することで、焼灼部62への通電のオンオフを切り替えることができる。
【0024】
上記のように構成された外套管部10および内針部50を備えた、本実施形態の医療機器導入装置1の使用時の動作について、処置を行う対象部位が大腸(管腔臓器)に位置する場合を例にとり説明する。
【0025】
まず使用者は、対象部位の位置を考慮して、腹壁において医療機器導入装置1の外套管部10を留置する位置を決定する。次に、使用者は、留置位置における腹壁の一部に小切開を形成し、腹腔内に通じる切れ目を留置位置に形成する。小切開の量は、自然状態にある管路部30が切れ目内に無理なく進入できる程度に設定される。
【0026】
次に、使用者は、外套管部10をアンカー部40側から腹壁の切れ目に挿入する。
このとき、外套管部10の挿入量は、少なくともベース部20が体外に位置するように設定される。使用者は、並行して腹腔鏡等の観察手段挿入用のトロッカを腹壁の他の位置に留置し、トロッカに観察手段を挿入して、医療機器導入装置1を体腔内で観察可能な環境を確立する。
【0027】
使用者は、肛門等の自然開口から挿入した軟性内視鏡で大腸の内側から対象部位を捉え、体腔内であって大腸の外側から確認できる態様で対象部位にアクセスするための開口形成位置を示す。開口形成位置の位置を示すための具体的方法には特に制限はなく、公知の方法を適宜選択して用いることができる。例えば、内視鏡または内視鏡に挿入した処置具等で開口形成位置を押して突出させる、開口形成位置に点墨を行う、開口形成位置を管腔臓器の外側から視認可能に照明するなどが挙げられる。開口形成位置を示す動作は、使用者とは異なる者が行ってもよい。
【0028】
使用者は、観察手段で、外套管部10および開口形成位置の位置を確認しつつ、内針部50の先端を弁部材22のスリット22aから外套管部10内に挿入する。内針部50のフランジ53が先端部材41の基端側に接触した後、さらに内針部50を挿入すると、アンカー部40がベース部20から遠ざかるように移動し、管路部30の蛇腹状の折り畳み形状が先端側から徐々に伸ばされていく。使用者は、内針部50により管路部30の軸線方向の寸法を増加させつつ、アンカー部40から突出した内針部50の先端部を開口形成位置の付近まで移動させる。
【0029】
図5に示すように、内針部50の先端部が開口形成位置の付近まで到達したら、使用者は、通電した焼灼部52を大腸Clの開口形成位置Pに接触させ、大腸Cl内に連通する開口を開口形成位置Pに形成する。開口を形成したら、使用者は焼灼部52の通電をオフにし、医療機器導入装置1の先端部を開口から大腸Cl内に挿入する。
焼灼部52により開口がうまく形成できない場合は、内針部50の先端を大腸壁に刺入して貫通させることにより開口を形成してもよい。この際、大腸内に挿入した内視鏡や内視鏡から突出させた処置具等で刺入部位を支持したり、消化管内への送気を強めて開口形成位置にテンションを掛けたりして、刺入がしやすくなるようアシストしてもよい。このようなアシスト動作は、焼灼部52を用いた開口形成時に行われてもよい。
【0030】
アンカー部40が大腸内に移動したら、使用者は、バルブ44を開き、チューブ43を通じてバルーン42内に流体を導入する。
図6に示すように、バルーン42内に導入された流体によりバルーン42が膨張する。バルーン42が膨張することによって、アンカー部40の径方向寸法が管路部よりも大きくなるように、アンカー部40が変形する。その結果、アンカー部40が大腸壁の開口から抜けなくなるように、大腸Clの壁にアンカー部40が係止される。こうして、医療機器導入装置1は、大腸Clから外れないように留置される。医療機器導入装置1が大腸C1に留置された状態において、外套管部10により、腹壁外から大腸C1内まで直接アクセスできるルートが確立される。
【0031】
医療機器導入装置1を大腸Clに留置した後は、内針部50を外套管部10から抜去し、
図7に示すように、対象部位Tの処置に用いる医療機器をベース部20(
図2参照)から外套管部10に挿入して大腸Cl内に導入する。
図7には、医療機器の一例として、把持鉗子105を示している。
【0032】
その後、使用者は、軟性内視鏡100と医療機器導入装置1を用いて導入した医療機器とを用いて、対象部位Tに所望の処置を行う。例えば、
図8に示すように、外套管部10から導入した把持鉗子105で対象部位Tを牽引してテンションを掛けることで術場を形成しつつ、軟性内視鏡100のチャンネルから突出した高周波ナイフ106等の処置具で対象部位Tの切開等の処置を行う。この例とは逆に、軟性内視鏡100から突出した把持鉗子で術場を形成しつつ、外套管部10から導入した高周波ナイフ等で対象部位の切開等を行ってもよい。処置において組織の一部を切除等した場合は、医療機器等で把持して外套管部10から体外に引き出すと、腹腔内の他の臓器に触れることなく組織を回収することができる。なお、一般的なESDの手順と同様に、切除した組織を軟性内視鏡100を用いて回収してもよい。
【0033】
医療機器導入装置1を用いて導入した医療機器は、軟性内視鏡100のチャンネル経由で導入した処置具等とは異なる方向から対象部位Tに接近することができるため、大腸のような内腔の狭い管腔臓器であっても、医療機器を組み合わせて処置を行うことによりESD等の処置の難度を著しく低下させることができる。
【0034】
医療機器導入装置1から導入する医療機器については、外套管部10に挿通できる寸法であれば、特に制限はない。したがって、医療機器導入装置1から導入する医療機器は、可撓性を有する軟性の処置具であっても、可撓性を有さない硬性の処置具であってもよい。また、特開2008−132352号公報に記載のような、観察機構と複数のアームとを備えた医療機器を、本実施形態の医療機器導入装置1を用いて体内に導入することもできる。医療機器導入装置1から導入する医療機器が観察機構を備えている場合、対象部位Tを複数のアングルから観察することができ、より好適に処置を行うことができる。
【0035】
対象部位に対する処置が終わったら、使用者は、バルーン42から流体を抜いて収縮させ、外套管部10を大腸から抜去する。さらに外套管部10を後退させ、腹壁から外套管部10を抜去する。外套管部10の抜去は、挿通した医療機器を抜去したあとに行ってもよいし、医療機器を挿通したまま行ってもよい。
使用者等は、大腸に形成された開口を、公知の縫合装置等を用いて縫合する。縫合は、腹腔側から行われてもよいし、
図9に示すように大腸Cl内から行われてもよい。縫合態様にも特に制限はなく、縫合糸101を用いるもの、縫合糸にアンカーがついた縫合ユニットを用いるもの、クリップやステイプル等により縫合するもの等、いずれも適用可能である。
【0036】
以上説明したように、本実施形態の医療機器導入装置1によれば、外套管部10において、管路部30の軸線方向の寸法を変更できるように構成されているため、留置位置と開口形成位置との距離に合わせて外套管部10の長さを変更でき、様々なパターンに対応することができる。その結果、腹壁から好適に管腔臓器内に医療機器を導入することができる。
【0037】
また、管路部30が蛇腹状に折り畳まれて形成されているため、軸線方向の寸法が最も短い初期状態と、軸線方向の寸法が最も長い最長状態との寸法差を大きく設定することができる。その結果、外套管部10が好適に対応可能な留置位置と開口形成位置との距離範囲を大きく確保することができる。さらに、最長状態を長く設定できるため、留置位置と開口形成位置とが大きく離れた場合でも、伸ばされた管路部30が復元しようとすることによる強いテンションが生じにくく、留置された管腔臓器に与える負担を小さく抑えることができる。
【0038】
さらに、管路部30は、基端側よりも先端側が伸びやすく、かつ縮みやすい構造であるため、管路部30を伸ばした際に、先端側に蛇腹の折り畳み形状が残存しにくい。したがって、開口形成位置に開口を形成する際に内針部50の先端が折り畳み形状の背後に隠れて視認しにくくなることが抑制される。その結果、焼灼部52等の内針部50の先端部を腹腔鏡等で好適に観察しながら確実に開口を形成することができる。
【0039】
加えて、アンカー部40がバルーン42を備えているため、処置中はバルーン42により好適に医療機器導入装置1を管腔臓器に係止した状態を保持しつつ、体内への挿入時や抜去時においては、バルーン42を収縮させて抵抗を小さくすることができる。
【0040】
また、内針部50は、先端に焼灼部52を備えているため、管腔臓器に開口を形成する際に大きな力を必要としない。したがって、壁が薄い管腔臓器を対象とした場合でも、開口形成時に過度に切開する等の事態を好適に抑制することができる。
ただし、本発明の医療機器導入装置において、焼灼部は好適な構成ではあるが必須ではない。したがって、内針部の先端部が組織を切開可能な刃等を備えた構成であっても、腹壁から好適に管腔臓器内に医療機器を導入することができる。
【0041】
次に、本発明の第二実施形態について、
図10から
図12を参照して説明する。本実施形態の医療機器導入装置と、第一実施形態の医療機器導入装置1との異なるところは、外套管部と内針部との係合構造である。なお、以降の説明において、既に説明したものと共通する構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0042】
本実施形態の医療機器導入装置70は、第一実施形態に開示された外套管部10および内針部50に代えて、外套管部71および内針部80を備えている。
図10は、内針部80の先端部を一部破断して示す図である。内針部80は、
図4に示すフランジ53に代えて、
図10に示すように、フランジ81を備えている。フランジ81は、柔軟な材質で円盤状に形成されている。フランジ81の外径は先端部材41(
図11参照)の内径よりも大きいが、変形して先端部材41内に進入可能である。内針部80においてフランジ81よりも基端側の外周面には、係合突起82が設けられている。係合突起82は、バネ83により外周面上に突出するように付勢されているが、突出部分に力を加えることにより、バネ83を圧縮して本体51内に移動させることができる。
【0043】
図11は、外套管部71のアンカー部40Aを示す断面図である。先端部材41の内面には、上述した係合突起82の先端部が進入可能な係合溝72が形成されている。係合溝72は、先端部材41の周方向に平行な第一領域72aと、第一領域72aの一端と連通する第二領域72bとを有する。第二領域72bは、先端部材41の軸線と平行に先端部材41の基端側まで延びる。係合溝72の深さは、第一領域72aにおいて一定であり、第二領域72bにおいては、第一領域72aから離れるに従い徐々に浅くなっている。また、第二領域72bの幅は、第一領域72aから離れるに従い徐々に広くなっている。
【0044】
図12は、外套管部71のベース部20Aを示す断面図である。基体21には、バルーン42(
図11参照)に流体を供給するチューブ43とは別に、第二チューブ73が取り付けられている。第二チューブ73は、基体21の内部空間に開口しており、管路部30内に流体を供給したり、管路部30内の流体を吸引したりすることができる。
【0045】
上記のように構成された外套管部71および内針部80を備えた、本実施形態の医療機器導入装置70の使用時の動作について説明する。
内針部80を外套管部71に挿入すると、係合突起82は、基体21の内面に押されて本体51内に収容される。フランジ81は、先端部材41の基端面に接触した後、周縁がベース部20A側を向くように変形して先端部材41内に進入する。内針部80がさらに外套管部71に対して前進すると、係合突起82は、内針部80の外周面上に突出し、第二領域72bから係合溝72内に進入する。係合突起82が第一領域72a内に進入すると、外套管部71と内針部80とが係合する。先端部材41の基端において第二領域72bは幅広になっているため、外套管部71と内針部80とを容易に係合させることができる。
【0046】
外套管部71と内針部80とが係合した状態において、アンカー部40Aは内針部80の進退動作に追従し、一体となって動く。すなわち、第一実施形態同様、内針部80を前進させてアンカー部40Aをベース部20Aから遠ざけることができる。さらに、内針部80を後退させて、アンカー部40Aをベース部20Aに近づけることも容易に行える。
すなわち、医療機器導入装置70においては、外套管部71と係合した内針部80を外套管部71に対して進退させることにより、管路部30を容易に伸縮させることができる。
【0047】
フランジ81が先端部材41内で変形することにより、内針部80と先端部材41との間の隙間が塞がれる。その結果、外套管部71の内部は、弁部材22およびフランジ81により、気密状態が保持された空間になる。この状態で第二チューブ73から吸引を行うと、管路部30内の気体が除去される。その結果、管路部30は、内針部80に密着するように変形し、内針部80から離間するようなたるみのない状態となる。
【0048】
内針部80と外套管部71との係合を解除するには、内針部80を軸線まわりに回転させる。この操作により、係合突起82が係合溝72内を移動して第一領域71aと第二領域72b内との接続部位に移動する。その後、内針部80を後退させると、係合突起82は第二領域72b内を移動するにつれて徐々に本体51内に押し込まれて、係合突起82が係合溝72から外れる。
【0049】
本実施形態の医療機器導入装置70においても、第一実施形態と同様に、留置位置と開口形成位置との距離に合わせて外套管部71の長さを変更でき、腹壁から好適に管腔臓器内に医療機器を導入することができる。
【0050】
また、外套管部71と内針部80とが係合可能に構成されているため、管路部30の長さ調節を簡便に行うことができる。
さらに、第二チューブ73を備えているため、管路部30を内針部80に密着するように変形させることができる。その結果、管路部が完全に伸びていない状態においても、管路部のたるみを軽減して、内針部の先端を確実に観察可能な状態を確保することができる。
【0051】
本実施形態においては、係合突起82と係合溝72との係合を好適に行うために、係合溝72が形成された位相に対応する指標(マーキング)等をベース部20Aの基端面等に設けてもよい。この際、係合溝72の第二領域の基端の位置がわかるように指標等を形成すれば、より好適に係合操作を行うことができる。
また、外套管部と内針部との係合機構と、第二チューブとは、それぞれ異なる作用効果を奏するため、一方のみを備えた構成としてもよい。
【0052】
以上、本発明の各実施形態について説明したが、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において構成要素の組み合わせを変えたり、各構成要素に種々の変更を加えたり、削除したりすることが可能である。
【0053】
まず本発明の医療機器導入装置における管路部について、蛇腹状の折り畳みの態様には特に制限はない。例えば、環状の折り畳み線が管路部の軸線方向に複数並ぶようなアコーディオン状であってもよいし、螺旋状の折り畳み線により蛇腹状に折り畳まれてもよい。
折り畳み線を螺旋状にすると、アンカー部のバルーンに流体を供給するチューブを折り畳み線と一致又は平行となるように螺旋状に配置することで、チューブが管路部の伸縮を妨げにくくなり、チューブの長さ調節が不要になるという利点がある。
【0054】
また、アンカー部のバルーンは必須ではない。例えば、バルーンに代えて弾性変形可能なフランジ等を設けて管腔臓器の壁に係止可能な構成としてもよい。
さらに、内針部で管路部を伸ばせるようにする構成も、上述したフランジの突き当てや、突起と溝との係合に代えて、圧入による摩擦係合やキーとキー溝との係合などが用いられてもよい。
【0055】
加えて、本発明の医療機器導入装置の対象となる管腔臓器は、上述した大腸には限定されない。例えば、食道や十二指腸等に対象部位が存在する場合でも好適に適用可能である。