(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6205539
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】オリーブオイル飲料用組成物、飲料用及び製造方法
(51)【国際特許分類】
A23L 2/00 20060101AFI20170914BHJP
A23D 9/00 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
A23L2/00 B
A23D9/00 514
【請求項の数】6
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2016-187551(P2016-187551)
(22)【出願日】2016年9月7日
【審査請求日】2016年9月7日
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、権利譲渡・実施許諾の用意がある。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516287737
【氏名又は名称】梶浦 恭弘
(72)【発明者】
【氏名】梶浦 恭弘
(72)【発明者】
【氏名】岡村 優子
【審査官】
福澤 洋光
(56)【参考文献】
【文献】
特開2015−077125(JP,A)
【文献】
特表2009−509537(JP,A)
【文献】
特開2001−069917(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2015/0086695(US,A1)
【文献】
オリーブオイルを飲む,オリーブオイルで健康生活,2009年,URL,http://olivekenko.com/category4/entry8.html
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 2/00−2/40
A23D 9/00−9/06
CA/MEDLINE/BIOSIS/WPIDS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オリーブオイル1質量部に対して0.5質量部の飲料と、ネイティヴ型ジェランガム、キサンタンガム、イオタカラギナン、及びグァーガムからなる群から選択される少なくとも一種以上の多糖類を、総量で0.001〜0.05質量部含有し、オリーブオイルが安定に分散していて飲み易くスムーズに摂取出来ることを特徴とする飲料用のオリーブオイル組成物。
【請求項2】
請求項1のオリーブオイル組成物中のオリーブオイル1質量部に対して0.5〜150質量部の飲料を混合した事を特徴とするオリーブオイル飲料。
【請求項3】
食品を添加したことを特徴とする請求項2記載のオリーブオイル飲料。
【請求項4】
オリーブの果実から絞られたオリーブオイルの健康成分をそのまま飲める事を特徴とする、請求項2又は3記載のオリーブオイル飲料。
【請求項5】
希釈又はストレートで飲むことができる事を特徴とする請求項2〜4のいずれか1つに記載のオリーブオイル飲料。
【請求項6】
発酵セルロース複合体、並びにネイティヴ型ジェランガム、キサンタンガム、イオタカラギナン、及びグァーガムからなる群から選択される少なくとも一種以上の多糖類を含有する水相と、オリーブオイルとを混合、及び撹拌する工程を含む、請求項2〜5のいずれか1つに記載のオリーブオイル飲料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オリーブオイルの独特の苦渋味及び飲みづらさを抑制したオリーブオイル飲料に関する。
【背景技術】
【0002】
オリーブの果実から得られるオリーブオイルは様々な有効成分を含有する植物油であって、健康状態の改善効果について最近注目されており、動脈硬化、胃潰瘍及び便秘の軽減、骨の強化、老化の防止、美肌作用等、様々な優れた効果があることが知られている。
一方、オリーブオイルは苦渋味が強く、日常的な飲用には不向きであるという問題がある。
そのため、主に化粧品や外用剤の分野で利用されているのが実態である。
従来、オリーブ葉については、独特の臭いや苦味を抑える方法が試みられている。緑茶やハーブをブレンドすることで飲みやすくしたオリーブ茶として提供するものである(特許文献2)。しかしながら、オリーブ葉の抽出物を飲用するオリーブ茶と、オリーブオイルとでは、含まれる成分構成や含量が異なり、味の傾向が大きく異なる。
今までに、オリーブオイルの独特の苦渋味や喉の違和感を抑え、飲みやすさの点で満足できるオリーブオイル飲料は報告されていない。
【0003】
FDA(米食品医薬品局)は、2004年11月18日、オリーブオイルを含んだ食品には、「冠状動脈系の心臓病になるリスクを減らす」との趣旨のラベルを貼ってもいい、と発表した。
FDAは、毎日少しずつでも、飽和脂肪を不飽和脂肪に切り替えるよう食事に気をつけるだけで、冠状動脈系の心臓病の予防になる。例えば、毎日、大さじ2杯のオリーブオイル(23g)をバターの代わりに使うだけでいい、と説明している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−77125号公報
【特許文献2】特開2001−69917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、オリーブオイルの独特の苦渋味や飲みづらさを
抑制し、健康増進に役立ち、日常的に飲用可能な今までにないオリーブオイル含有飲料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、オリーブオイルについて、日常的な飲用に適したオリーブオイル飲料を開発すべく鋭意検討を行った。その結果、オリーブオイルに対して特定量の飲料、多糖類を配合すると、オリーブオイルの独特の苦渋味と飲みづらさを抑制できることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、
(1)オリーブオイル1質量部に対して0.5質量部の飲料、0.001〜0.05質量部、ネイティヴ型ジェランガム、キサンタンガム、イオタカラギナン、及びグァーガムからなる群から選択される少なくとも一種類以上の多糖類を含有し、かつ安定に分散している、オリーブオイル飲料。
(2)1のオリーブオイル組成物1質量部に対して0.5〜150質量部の飲料を添加する工程を含む1記載のオリーブオイル飲料。
(3)食品を添加する工程を含む1〜2記載のオリーブオイル飲料。
(4)オリーブオイル、多糖類を調整する事により希釈又はストレートで飲む事ができる1〜3記載のオリーブオイル飲料。
(5)オリーブの果実から絞られたオリーブオイルの健康成分をそのまま飲める事を特徴とする、1〜4記載のオリーブオイル飲料。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、オリーブオイル特有の苦渋味と飲みづらさを抑制したオリーブオイル飲料を提供することが可能となった。又、オリーブオイルの健康成分を手軽に取り入れる事が可能となった。
【0009】
本発明の「飲料」としては、好ましくは水、ジュース類、乳飲料などが挙げられるが、発明の効果の点から果汁、ジュース類が好ましい。又、多糖類としては、キサンタンガム、イオタカラギナン、グァーガムなどが挙げられるが本発明の効果の点からキサンタンガムが好ましい。又、食品としては、甘味料が好ましく、本発明の効果の点から、はちみつやメープルシロップなどの天然甘味料が飲みやすく好ましい。
本発明において、飲料、多糖類の配合量は、オリーブオイル1質量部に対して飲料0.5〜150質量部、多糖類0.001〜0.05質量部であることが好ましい。
【0010】
以下オリーブオイルを常用することの主な効果を記述する。
【0011】
オリーブオイルに多く含まれるオレイン酸は、いわゆる悪玉コレステロール値を下げ、善玉コレステロール値。上げて動脈硬化。予防する。またオリーブオイル中のビタミンE、ポリフェノールなどの抗酸化物質も動脈硬化を予防する。したがってオリーブオイルの常食により狭心症、心筋慢性梗塞、脳梗塞などを防ぐそとが可能になる。
【0012】
オリーブオイルは胃に最も負担をかけない油脂であることが、他の食用油と比較研究によって明らかにされている。また、胃炎及び胃・十二指腸潰瘍の改善に効果を発揮するという研究成果も報告されている。朝の空腹時に少量のオリーブオイルを摂取すれば慢性便秘の解消に役立つ。
【0013】
オレイン酸は子供の骨格の発育及び骨のミネラル化(骨組織へのカルシウムの沈着)を促進する。また、乳児の栄養においてリノール酸とリノレン酸のバランスが崩れると脳組織の発達などに悪影響があるが、オリーブオイル中の両脂肪酸の構成比は乳児の理想的な栄養食物である母乳に似通っているため、離乳食に安心して使用できる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明のオリーブオイルの含有量は、オリーブオイル1質量部に対して飲料が1〜150質量部である。より好ましくは、10〜50質量部である。多糖類の添加量は、オリーブオイル1質量部に対して0.001〜0.05質量部が好ましく、飲料は50〜90質量部が好ましい。
【0015】
本発明のオリーブオイル飲料の製造方法は特に限定されないが、例えば以下の方法が挙げられる。
飲料の製造方法としては、オリーブオイルと多糖類、飲料を混合し、必要に応じ汎用される公知の食品を混合すればよい。
本発明のオリーブオイル飲料を製造する際は、単に混合するだけでも良いが、比較的穏やかな力学的条件で混合(手による振とう、機械撹拌)することで調整できる。
オリーブオイル飲料の製造方法は、常法に従い、オリーブオイル、多糖類、飲料を混合し、必要であればpHを調整し、更に精製水を加えて容量調整し、適宜濾過、滅菌処理を施し、ペットボトルや金属缶、紙容器、瓶などの通常飲料として使用出来る容器に封入すればよい。
【実施例】
【0016】
以下に、実施例を挙げ、本発明を更に詳細に説明する。
【0017】
実施例1
エクストラバージンオリーブオイル 16g
キサンタンガム 0.5g
水 481.5g
はちみつ 2g
上記成分を秤量、混合してオリーブオイル飲料を調整した所すっきりとし、飲みやすくなった。
【0018】
実施例2
エクストラバージンオリーブオイル 16g
キサンタンガム 0.3g
果汁100%オレンジジュース 483.7g
上記成分を秤量、混合してオリーブオイル飲料を調整した所甘みや酸味が効いて飲みやすくなった。
【0019】
実施例3
エクストラバージンオリーブオイル 16g
キサンタンガム 0.5g
水 483.5g
上記成分を秤量、混合してオリーブオイル飲料を調整した所オリーブオイルの香りを楽しむ事が出来た。
【0020】
実施例4
エクストラバージンオリーブオイル 16g
キサンタンガム 0.3g
緑茶 483.7g
上記成分を秤量、混合してオリーブオイル飲料を調整した所オリーブオイルの苦渋味が緩和され飲みやすくなった。
【0021】
以上実施例1〜4を10人の成人男女に飲んでもらった所、飲みやすいと答えた。さらに、9人が実施例2を特に飲みやすいと答えた。
【0022】
又、オリーブオイルが1質量部に対して飲料が150質量部以上では、オリーブオイルが感じにくく、飲料1質量部以下では飲みづらく、多糖類が0.001質量部以下ではオリーブオイルが安定して分散せず、0.05質量部以上では粘りすぎて飲料には不向きである。オリーブオイル組成物としては、オリーブオイル1質量部に対し0.5質量部の飲料と0.001〜0.05質量部の多糖類を分散させる事ができる。
【0023】
本発明のオリーブオイル飲料は、オリーブオイルを主体とし、健康増進に役立ち、飲みやすさに優れる。
【0024】
以上、本発明に関する好ましい実施例を挙げたが、本発明は前記実施形態に限定されず、本発明の属する技術範囲を逸脱しない範囲での全ての変更が含まれる。
【産業上の利用可能性】
本発明は、極めて優れた健康成分を含有したオリーブオイルを原材料に用いた事で単なる嗜好品にとどまらず、成人の健康促進飲料となるものであり、機能性、味覚的にも満足のいくものになっており、新たな飲料及び健康市場が期待される。
【要約】
【課題】オリーブオイルの、独特の苦渋味や飲みづらさがなく、スムーズに日常の生活に取り入れる事が可能で、従来にない新しいオリーブオイル飲料の提供及び製法。
【解決手段】オリーブオイルに対して特定量の飲料、多糖類を配合する事により、オリーブ独特の苦渋味と飲みづらさを抑制できることを見出した
すなわち、本発明は、オリーブオイル1質量部に対して、0.5〜150質量部の飲料、0.001〜0.05質量部の多糖類を含有し、食品を添加でき、希釈又はストレートでそのまま飲めるオリーブオイル飲料である。
【選択図】なし