(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
内部に充填された液体の減少につれて縮小変形可能な第一容器から、該液体を前記第一容器の下方に設置された第二容器と、この第二容器のさらに下方に設置された第三容器とに順に供給するように構成された液体供給装置であって、
前記第二容器内の頂部付近と前記第三容器内とをストレートに連通するとともに、該第三容器内での開放端において空気又は液体の逆流時に供給時よりもライン抵抗を大きくするボルテックスダイオードを設けた連通管と、
先端付近に形成した開口と該開口に連通する通路とを有する棒状部材を前記第一容器に相対移動させて挿入することにより、該棒状部材を介して前記液体を第二容器に供給したときに、前記連通管のボルテックスダイオードを介して前記第二容器から前記第三容器内に排出された空気又は液体を該第三容器の頂部付近から排出する排出管と、
前記第二容器内の液体を該第二容器の底部付近から先下がりで排出する排液管と
を備えたことを特徴とする液体供給装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記特許文献4では、冷水タンク5a内の液位が低いときには、排出管51aの主管部51c内を飲料水Wが移動しにくくなり、その主管部51c内の飲料水Wの流れによって、冷水タンク5aの上部に介在する空気Aが、誘導管部53aを通じて主管部51c側へ引かれる現象が起きにくくなる。その結果、冷水タンク5a内に溜まった空気Aが外部に排気されにくくなる。
【0012】
これでは、ウォーターサーバーの使用開始時などの最も空気を排出する必要がある場合(初期空気の排出時)に対応しておらず、冷水タンク5a内がエアレス状態となるまで長時間かかってしまうという不具合がある。また、図示はしていないが、冷水タンク5aのさらに下方に設置された温水タンクについても、上記とまったく同様の不具合がある。
【0013】
さらに、特許文献3,4において、容器のエアレス構造を採用した場合には、ウォーターボトルや冷水タンクから空気を抜くために該ウォーターボトルや冷水タンクは若干減圧されるので、これに連通する温水タンクも若干減圧されることとなる。この減圧下にある温水タンク内では、80〜90℃程度に温められた温水が沸騰し、この沸騰した温水が給水パイプを逆流してウォーターボトルや冷水タンクに入り込むおそれがあった。これにより、特に冷水タンクでの冷却効率が低下し、この場合も省エネルギーの要請に反するものとなるといった不具合があった。
【0014】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、容器内がエアレス状態となるまでの時間を大幅に短縮できる液体供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、内部に充填された液体の減少につれて縮小変形可能な第一容器から、該液体を前記第一容器の下方に設置された第二容器と、この第二容器のさらに下方に設置された第三容器とに順に供給するように構成された液体供給装置であって、前記第二容器内の頂部付近と前記第三容器内とをストレートに連通するとともに、該第三容器内での開放端において空気又は液体の逆流時に供給時よりもライン抵抗を大きくする流体素子を設けた連通管と、前記第一容器にニードルを相対移動させて突き刺すことにより、該ニードルを介して前記液体を第二容器に供給したときに、前記連通管の流体素子を介して前記第二容器から前記第三容器内に排出された空気又は液体を該第三容器の頂部付近から排出する排出管とを備えたことを特徴とするものである。
【0016】
本発明によれば、前記第二容器内の頂部付近と前記第三容器内とをストレートに連通するとともに、該第三容器内での開放端において空気又は液体の逆流時に供給時よりもライン抵抗を大きくする流体素子を設けた連通管と、前記第一容器にニードルを相対移動させて突き刺すことにより、該ニードルを介して前記液体を第二容器に供給したときに、前記連通管の流体素子を介して前記第二容器から前記第三容器内に排出された空気又は液体を該第三容器の頂部付近から排出する排出管とを備えたので、第一容器から第二容器内に液体が供給されると、第二容器内の空気が圧縮され、この圧縮された空気が前記連通管の流体素子を介して第三容器内に空気が排出され、この第三容器内に排出された空気が排出管を介して第三容器から外部に排出されることにより前記第二容器内に液体が満たされ、この第二容器内に満たされた液体が前記連通管の流体素子を介して前記第三容器内に排出されることにより前記第三容器に液体が満たされる。その結果、特に初期空気の排出時における、第二容器及び第三容器内がエアレス状態となるまでの時間を大幅に短縮することができる。
【0017】
また、前記第三容器内での開放端に、空気又は液体の逆流時に供給時よりもライン抵抗を大きくする流体素子を設けたので、第一容器又は第二容器からの空気又は液体が第三容器に供給されやすくなるとともに、逆流しにくくなるから、上記特許文献3,4のように、第二容器での加熱効率や冷却効率が低下することがなくなり、省エネルギーの要請に応えるものとなる。ここで、第三容器内での開放端に流体素子を設けたのは、その設置スペース確保のためである。
【0018】
また、供給ライン中に逆流防止弁を設けた場合のように、該逆流防止弁が抵抗となって液体の流下を阻害することがなくなり、そのメンテナンスも不要となる。また、供給ライン中にコイル部分やUシール部分などを設けた場合のように、該コイル部分やUシール部分などが抵抗となって液体の流下を阻害することがなくなり、そこに空気が滞留することがなくなる。したがって、エアレス構造を採用した場合にも、第三容器から第一容器又は第二容器への液体の逆流を抑えて、常に安定した給液を行うことができるようになる。
【0019】
また、前記流体素子は、円筒形の本体と、該本体の周面において接線方向に接続された第一ノズルと、前記本体の一端面において中心軸方向に接続された第二ノズルとを備えたボルテックスダイオードであることが好ましい。
【0020】
この場合、前記流体素子は、円筒形の本体と、該本体の周面において接線方向に接続された第一ノズルと、前記本体の一端面において中心軸方向に接続された第二ノズルとを備えたボルテックスダイオードであるので、液体の逆流時に供給時よりもライン抵抗を大きくする。これにより、エアレス構造を採用した場合にも、第三容器から第一容器又は第二容器への液体の逆流を確実に抑えて、より安定した給液を行うことができる。
【0021】
ここで、ボルテックスダイオードの配置姿勢によっては、先に通過した空気の一部が本体内に残留することにより、その後に液体が第二ノズルから流入して本体内を通過するのを阻害して、ボルテックスダイオードでの液体の流れが不安定となる現象を発生することがある。そこで、前記ボルテックスダイオードの本体の少なくとも一端面と第一ノズルとが横向きで、かつ、第二ノズルが上向きとなるように配置することが好ましい。
【0022】
この場合、前記ボルテックスダイオードの本体の少なくとも一端面と第一ノズルとが横向きで、かつ、第二ノズルが上向きとなるように配置したので、先に通過した空気の一部が本体内に残留しにくくなり、その後に液体が第二ノズルから流入して本体内を通過するのを阻害することがなくなる。これにより、ボルテックスダイオードでの液体の流れを不安定なものとする現象の発生を確実に防止することができる。
【0023】
また、前記ボルテックスダイオードは、前記供給時には液体を第一ノズル側に案内する一方で、前記逆流時には液体を第二ノズル側に案内しないように構成した案内フィンを備えることが好ましい。
【0024】
この場合、前記ボルテックスダイオードは、前記供給時には液体を第一ノズル側に案内する一方で、前記逆流時には液体を第二ノズル側に案内しないように構成した案内フィンを備えたので、第三容器からの第一容器又は第二容器への液体の逆流をより確実に抑えて、さらに安定した給液を行うことができる。
【0025】
また、前記案内フィンは、前記供給時に想定される液体の流れ方向に沿ってカーブしていることが好ましい。
【0026】
この場合、前記案内フィンは、前記供給時に想定される液体の流れ方向に沿うようにカーブしているので、第三容器からの第一容器又は第二容器への液体の逆流をより確実に抑えて、さらに安定した給液を行うことができる。
【0027】
また、前記第一ノズルは、前記第二ノズルを中心にして点対称となるように複数個配置することが好ましい。
【0028】
この場合、前記第一ノズルは、前記第二ノズルを中心にして点対称となるように複数個配置したので、第三タンク内での空気又は液体の流れが偏りにくくなる。
【0029】
(第一発明の形態1,2)
第一の発明の形態1は、内部に充填された液体の減少につれて縮小変形可能な第一容器から、該液体を前記第一容器の下方に設置された第二容器と、この第二容器のさらに下方に設置された第三容器とに順に供給するように構成された容器のエア抜き構造であって、前記第二容器内の頂部付近と前記第三容器内とを先下がりで連通する連通管と、前記第一容器を所定位置にセットした状態で、該第一容器にニードルを突き刺すことにより、該ニードルを介して前記液体を第二容器に供給したときに、前記連通管を介して前記第二容器から前記第三容器内に排出された空気又は液体を該第三容器の頂部付近から排出する排出管とを備え、前記第一容器から前記第二容器内に液体が供給されると、前記第二容器内の空気が圧縮され、この圧縮された空気が前記連通管を介して前記第三容器内に排出され、この第三容器内に排出された空気が前記排出管を介して前記第三容器から外部に排出されることにより前記第二容器内に液体が満たされ、この第二容器内に満たされた液体が前記連通管を介して前記第三容器内に排出されることにより前記第三容器に液体が満たされるように構成したことを特徴とするものである。
【0030】
この場合、前記第二容器内の頂部付近と前記第三容器内とを先下がりで連通する連通管と、前記第一容器を所定位置にセットした状態で、該第一容器にニードルを突き刺すことにより、該ニードルを介して前記液体を供給したときに、前記連通管を介して前記第二容器から前記第三容器内に排出された空気又は液体を該第三容器の頂部付近から排出する排出管とを備えたので、第一容器から第二容器内に液体が供給されると、第二容器内の空気が圧縮され、この圧縮された空気が前記連通管を介して第三容器内に空気が排出され、この第三容器内に排出された空気が排出管を介して第三容器から外部に排出されることにより前記第二容器内に液体が満たされ、この第二容器内に満たされた液体が前記連通管を介して前記第三容器内に排出されることにより前記第三容器に液体が満たされる。その結果、特に初期空気の排出時における、第二容器及び第三容器内がエアレス状態となるまでの時間を大幅に短縮することができる。
【0031】
また、前記第一容器の底面付近において該底面と平行、或いは、先下がりとなる向きに前記ニードルを突き刺すように構成することが好ましい。
【0032】
この場合、前記第一容器の底面付近において該底面と平行、或いは、先下がりとなる向きに前記ニードルを突き刺すように構成したので、
図8Bの実線で示すように、液体の入った容器4bの底面41bと平行、或いは、先下がりとなる向きに孔42bを開けると同時に、容器4bを縮小させる向きに働く張力と、液体にかかる重力とがあいまって作用することにより、その内部の液体がニードル8bを介して外部に取り出される。
【0033】
そして、容器4b内の液体が減少してくると、該容器4bが縮小変形してくるが、このときには、
図8Bの二点鎖線で示すように、ニードル8bの先端が邪魔にならなくなり、容器4b’内の液体のほとんどを取り出すことができるようになる。また、容器4b’に入った液体を使い切ったときには、同
図8Bの二点鎖線で示すように、ニードル8bまわりに容器4b’が張り付いたようになり、該使い切った容器4b’からニードル8bが取り外す際にも、容器4b’に開いている孔42bから残液40b’が漏れにくくなる。
【0034】
また、前記ニードルは、尖塔状の先端部を有するニードル本体と、前記ニードル本体を案内する案内部を有するニードルガイドとを備え、前記ニードル本体の先端部を前記ニードルガイドの案内部に沿って、手動操作で或いは自動的に出没させるように構成することが好ましい。
【0035】
この場合、前記ニードルは、尖塔状の先端部を有するニードル本体と、前記ニードル本体を案内する案内部を有するニードルガイドとを備え、前記ニードル本体の先端部を前記ニードルガイドの案内部に沿って、手動操作で或いは自動的に出没させるように構成したので、液体が充填された容器4bの底面と平行或いは先下がりの向きにニードルを容易に突き刺すことができるとともに、液体を使い切った容器から該ニードルを容易に引き抜くことができる。
【0036】
また、前記ニードルガイドの案内部はストレート状であることが好ましい。
【0037】
この場合、前記ニードルガイドの案内部はストレート状であるので、ニードル本体の先端部を容器に押し込むことにより該容器に確実に突き刺すことができる。
【0038】
或いは、前記ニードルガイドの案内部は螺旋状であることが好ましい。
【0039】
この場合、前記ニードルガイドの案内部は螺旋状であるので、ニードル本体の先端部を容器にねじ込むことにより該容器により確実に突き刺すことができる。
【0040】
また、前記ニードル本体の先端部に、軸直角方向で非対称となるような段部を設けることが好ましい。
【0041】
この場合、前記ニードル本体の先端部に、軸直角方向で非対称となるような段部を設けたので、ニードル本体の先端部を容器にさらに確実に突き刺すことができる。
【0042】
また、前記ニードル本体の少なくとも先端部に、螺旋状のリブを付設することが好ましい。
【0043】
この場合、前記ニードル本体の少なくとも先端部に、螺旋状のリブを付設したので、ニードル本体の先端部を容器にさらに確実に突き刺すことができる。
【0044】
また、前記ニードル本体の先端部を前記ニードルガイドの案内部に沿って、手動操作で或いは自動的に出没させることを阻止する阻止機構を備え、前記手動操作で或いは自動的に出没させるときには、前記阻止機構が手動操作で解除されたことを条件とすることが好ましい。
【0045】
この場合、前記ニードル本体の先端部を前記ニードルガイドの案内部に沿って、手動操作で或いは自動的に出没させることを阻止する阻止機構を備え、前記手動操作で或いは自動的に出没させるときには、前記阻止機構が手動操作で解除されたことを条件としたので、前記ニードル本体の先端部が勝手に出没するおそれがなくなる。
【0046】
また、前記第一容器を支持する支持部を備え、前期支持部は、前記支持された第一容器の前記ニードルを突き刺す部位を拘束可能となるように、該部位に対向する側を突出させて形成することが好ましい。
【0047】
この場合、前記第一容器を支持する支持部を備え、前期支持部は、前記支持された第一容器の前記ニードルを突き刺す部位を拘束可能となるように、該部位に対向する側を突出させて形成したので、飲料水が充填された第一容器を、支持部で略立ち姿勢にて支持すると、自重で変形して、少なくともこの突出した部分に密着した状態が得られるようになる。このようにして支持部で支持された第一容器にニードルを突き刺すことにより、その部位に孔を確実に開けることができるようになる。
【0048】
また、前記第二容器内の頂部付近に凸部を形成するとともに、該凸部内に連通管の上端を開放するように構成することが好ましい。
【0049】
この場合、前記第二容器内の頂部付近に凸部を形成するとともに、該凸部内に連通管の上端を開放するように構成したので、第二容器内の空気が凸部内に集められて連通管から排出されやすくなる。
【0050】
また、前記凸部内に前記第一容器からの液体を供給するように構成することが好ましい。
【0051】
この場合、前記凸部内に前記第一容器からの液体を供給するように構成したので、第二容器の頂部付近のノズル配置が容易となる。
【0052】
また、前記連通管の上端の前記液体の供給側を外した部位に切り欠き部を設けることが好ましい。
【0053】
この場合、前記連通管の上端の前記液体の供給側を外した部位に切り欠き部を設けたので、第一容器から凸部への液体の供給を妨げることがなくなり、連通管を介して第二容器から第三容器内に空気をより排出しやすくなる。
【0054】
ところで、上記初期空気の排出後であっても、何らかの原因で容器内に空気が入り込むことが考えられる。この点、前記特許文献4では、
図28において、冷水タンク5a内の液位がある程度高くなると、排出管51aの主管部51c内を飲料水Wが移動し、その主管部51c内の飲料水Wの流れによって、冷水タンク5aの上部に介在する空気Aが、誘導管部53aを通じて主管部51c側へ引かれる現象が起きるものの、やがて誘導管部53aから飲料水Wが主管部51c側へ引かれる現象も起きることとなる。すると、冷水タンク5aの底部付近にある比較的冷たい飲料水Wを、その上方の比較的温かい空気Aや飲料水Wが該冷水タンク5a内の誘導管部53aで吸引される間に温めることとなり、冷却効率が低下して、省エネルギーの要請に反するものとなる。
【0055】
そこで、前記第二容器内の液体を該第二容器の底部付近から排出する排液管を先下がりに設けることが好ましい。
【0056】
この場合、前記第二容器内の液体を該第二容器の底部付近から排出する排液管を先下がりに設けたので、特に第二容器が冷水タンクの場合には、底部付近にある比較的冷たい飲料水を、頂部付近の比較的温かい飲料水と混合させることなく冷水タンク外に排出できるので、冷却効率の向上を図ることができる。
【0057】
或いは、前記第二容器内の液体を該第二容器の底部付近から排出する排液管と、前記第二容器内の空気を前記第二容器の頂部付近から絞り部を介して排出する排気管とを備えるとともに、前記排液管に前記排気管を接続する接続部を設けることが好ましい。
【0058】
この場合、前記第二容器内の液体を該第二容器の底部付近から排出する排液管と、前記第二容器内の空気を前記第二容器の頂部付近から絞り部を介して排出する排気管とを備えるとともに、前記排液管に前記排気管を接続する接続部を設けたので、排気管から第二容器の頂部付近の液体を吸引しにくくなる。したがって、特に第二容器が冷水タンクの場合には、底部付近にある比較的冷たい飲料水を、頂部付近の比較的温かい飲料水と混合させることなく冷水タンク外に排出できるので、冷却効率の向上を図ることができる。
【0059】
また、前記絞り部はオリフィスであることが好ましい。
【0060】
この場合、前記絞り部はオリフィスであるので、簡単な構成となり、コスト面でも有利となる。
【0061】
ここで、オリフィスをその孔の軸心が横向きとなる姿勢で設けたのでは、先に通過した空気の一部がオリフィスの孔の周囲に滞留することにより、その後に液体がオリフィスの孔を通過するのを阻害して、オリフィスの抵抗損失を不安定なものとする現象を生じることがある。そこで、前記オリフィスはその孔の軸心が縦向きとなる姿勢で設けることが好ましい。
【0062】
この場合、前記オリフィスはその孔の軸心が縦向きとなる姿勢で設けたので、先に通過した空気の一部がオリフィスの孔の周囲に滞留することがなくなり、その後に液体がオリフィスの孔を通過するのを阻害することがなくなる。よって、オリフィスの抵抗損失を不安定なものとする現象の発生を確実に防止することができる。
【0063】
また、前記接続部は、前記第二容器の底部よりも低い位置にあることが好ましい。
【0064】
この場合、前記接続部は、前記第二容器の底部よりも低い位置にあるので、第二容器内の液位が低いときであっても、その液面から前記接続部までの間で、ある程度のヘッド差がとれるようになる。
【0065】
したがって、排液管内を液体が移動し、その排液管内の液体の流れによって、第二容器の上部に介在する空気が、排気管を通じて排液管の接続部へ引かれる現象が起きやすくなる結果、第二容器内に溜まった空気が外部に排気されやすくなる。これにより、例えばウォーターサーバーの使用時に、第二容器内が再びエアレス状態となるまでの時間を大幅に短縮することができる。
【0066】
また、第二容器内の液位がある程度高くなると、排液管内を液体が移動し、その排液管内の液体の流れによって、第二容器の上部に介在する空気が、排気管を通じて排液管の接続部側へ引かれる現象が起きるものの、やがて排気管から液体も排液管の接続部側へ引かれる現象が起きることとなる。
【0067】
この場合でも、排気管は第二容器内を通っていないため、特に第二容器が冷水タンクの場合には、冷水タンクの底部付近にある比較的冷たい飲料水を、その上方の比較的温かい空気や飲料水が排気管で吸引される間に温めることはない。これにより、冷却効率を低下させることがなくなり、省エネルギーの要請に沿うものとなる。
【0068】
また、前記接続部はベンチュリー管で構成されていることが好ましい。
【0069】
この場合、前記接続部はベンチュリー管で構成されているので、液体が排出される際に、空気がより多く吸引されて第二容器内をより速やかにエアレス状態とすることができる。
【0070】
第一発明の形態2は、上記のいずれかに記載の容器のエア抜き構造を備え、前記第一容器が伸縮性の袋体、前記第二容器が液体としての飲料水を冷却する冷水タンク、第三容器が液体としての飲料水を暖める温水タンクであることを特徴とするウォーターサーバーに係るものである。
【0071】
この場合、上記のいずれかに記載の容器のエア抜き構造を備え、前記第一容器が伸縮性の袋体、前記第二容器が液体としての飲料水を冷却する冷水タンク、第三容器が液体としての飲料水を暖める温水タンクであるので、上記におけるごとき作用効果を奏するものとなる。
【0072】
(第二発明の形態1,2)
ところで、ウォーターボトル内の飲料水を使い切って、別のウォーターボトルに交換するときに、引き続き使用できるように冷水タンク内は満水状態としておきたいのであるが、特許文献3,4のように、導水管を常時開放していたので、その導水管の先端の開口から冷水タンク内に空気が流入してくることとなり、エアレス構造のウォーターサーバーとしては不具合がある。そこで、第二発明の形態1は、液体の入った第一容器から、該液体を、先端付近に形成した開口と該開口に連通する通路とを有する棒状部材を含む連通路を介して前記第一容器の下方に設置された第二容器に送り出すように構成された容器の液体送出機構であって、前記第一容器を所定位置にセットした状態で、該第一容器に前記棒状部材の少なくとも前記先端付近を挿入することにより、前記連通路を介して前記液体を第二容器に供給可能とする一方、前記連通路を閉止させた状態で、前記第一容器から前記棒状部材の少なくとも前記先端付近を引き抜き可能とするように構成したことを特徴とするものである。
【0073】
この場合、前記第一容器を所定位置にセットした状態で、該第一容器に前記棒状部材の少なくとも前記先端付近を挿入することにより、前記連通路を介して前記液体を第二容器に供給可能とする一方、前記連通路を閉止させた状態で、前記第一容器から前記棒状部材の少なくとも前記先端付近を引き抜き可能とするように構成したので、第一容器内の液体を使い切って、別の第一容器に交換するときに、連通路を閉じれば、第二容器内に空気が流入することがない。したがって、第一容器の交換時に第二容器内を満液状態としておき、その第一容器の交換後、エア抜き作業等の時間をかけることなく、そのまますぐに使用することができて便利である。
【0074】
また、前記第一容器に前記棒状部材の少なくとも前記先端付近を挿入する操作と前記第一容器から前記棒状部材の少なくとも前記先端付近を引き抜く操作とを行うための操作手段と、前記連通路を開閉させる開閉手段とを備えることが好ましい。
【0075】
この場合、前記第一容器に前記棒状部材の少なくとも前記先端付近を挿入する操作と前記第一容器から前記棒状部材の少なくとも前記先端付近を引き抜く操作とを行うための操作手段と、前記連通路を開閉させる開閉手段とを備えたので、前記操作手段により、前記第一容器に前記棒状部材の少なくとも前記先端付近を挿入する操作が行われたときに、前記開閉手段により、前記通路を開放可能とする一方、前記開閉手段により、前記通路を閉止した状態で、前記操作手段により、前記第一容器から前記棒状部材の少なくとも前記先端付近を引き抜く操作をすることで、エアレス状態が維持できなくなる事態を確実に防止できる。
【0076】
また、前記操作手段により、前記第一容器に前記棒状部材の少なくとも前記先端付近を挿入する操作が行われたときに、前記開閉手段により、前記連通路を開放可能とする一方、前記開閉手段により、前記連通路を閉止した状態でのみ、前記操作手段により、前記第一容器から前記棒状部材の少なくとも前記先端付近を引き抜く操作を可能とするように構成することが好ましい。
【0077】
この場合、前記操作手段により、前記第一容器に前記棒状部材の少なくとも前記先端付近を挿入する操作が行われたときに、前記開閉手段により、前記連通路を開放可能とする一方、前記開閉手段により、前記連通路を閉止した状態でのみ、前記操作手段により、前記第一容器から前記棒状部材の少なくとも前記先端付近を引き抜く操作を可能とするように構成成したので、誤操作によりエアレス状態が維持できなくなる事態を確実に防止できる。
【0078】
また、前記操作手段による、前記第一容器に前記棒状部材の少なくとも前記先端付近を挿入する操作に連動させて、前記開閉手段により、前記連通路を開放可能とする一方、前記操作手段による、前記第一容器から前記棒状部材の少なくとも前記先端付近を引き抜く操作に連動させて、前記開閉手段により、前記連通路を閉止させるように構成することが好ましい。
【0079】
この場合、前記操作手段による、前記第一容器に前記棒状部材の少なくとも前記先端付近を挿入する操作に連動させて、前記開閉手段により、前記連通路を開放可能とする一方、前記操作手段による、前記第一容器から前記棒状部材の少なくとも前記先端付近を引き抜く操作に連動させて、前記開閉手段により、前記連通路を閉止させるように構成したので、操作が比較的簡単になり、かつ誤操作によりエアレス状態が維持できなくなる事態を確実に防止できる。
【0080】
また、前記操作手段による操作と、前記開閉手段による前記連通路の開閉動作とをリンク機構を用いて連動させるように構成することが好ましい。
【0081】
この場合、前記操作手段による操作と、前記開閉手段による前記連通路の開閉動作とをリンク機構を用いて連動させるように構成したので、複雑な電気的要素を全く必要とせず、今般の省エネルギーの要請に沿ったものとなる。
【0082】
また、前記操作手段は、前記棒状部材の基端側に設けられた操作レバーであり、前記開閉手段は、前記連通路内に設けられたコック又はバルブであることが好ましい。
【0083】
この場合、前記操作手段は、前記棒状部材の基端側に設けられた操作レバーであり、前記開閉手段は、前記連通路内に設けられたコック又はバルブであるので、比較的簡単な構成となり、これにより低コスト化などを実現することができる。
【0084】
また、前記第一容器の底面付近において該底面と平行あるいは先下がりとなる向きに前記棒状部材の少なくとも先端付近を挿入するように構成することが好ましい。
【0085】
この場合、前記第一容器の底面付近において該底面と平行あるいは先下がりとなる向きに前記棒状部材の少なくとも先端付近を挿入するように構成したので、従来の縦刺しニードル等に比べて、第一容器内の残液が少なくなる等のメリットがある。
【0086】
ところで、なんらかの原因で、第二容器内に空気が入っていることがあり、この空気を第二容器外に排出する必要がある。この点、前記特許文献3では、冷水タンクの上部に、排気手段として手動操作される排気弁を設けて、その排気弁から空気が冷水タンク外に排出されると、その排出後の空気を満たすように、飲料用液体が冷水タンクに流下するような構成としているが、排気弁を手動操作するのは面倒であるし、その操作を忘れてしまうことがある。また、冷水タンクの排気弁が故障等により機能しなくなった際に、その排気弁から飲料用液体が漏れ続けるおそれがある。さらに、排気弁は可動部を有しているため、その可動部が確実に機能するように、定期的なメンテナンスが必要であるといった問題もある。
【0087】
また、特許文献4では、冷水タンク5a内の液位が低いときには、排出管51aの主管部51c内を飲料水Wが移動しにくくなり、その主管部51c内の飲料水Wの流れによって、冷水タンク5aの上部に介在する空気Aが、誘導管部53aを通じて主管部51c側へ引かれる現象が起きにくくなる。その結果、冷水タンク5a内に溜まった空気Aが外部に排気されにくくなる。これでは、ウォーターサーバー1の使用開始時などの最も空気を排出する必要がある場合に対応しておらず、冷水タンク5a内がエアレス状態となるまで長時間かかってしまうという不具合がある。
【0088】
また、冷水タンク5a内の液位がある程度高くなると、排出管51aの主管部51c内を飲料水Wが移動し、その主管部51c内の飲料水Wの流れによって、冷水タンク5aの上部に介在する空気Aが、誘導管部53aを通じて主管部51c側へ引かれる現象が起きるものの、やがて誘導管部53aから飲料水Wが主管部51c側へ引かれる現象も起きることとなる。すると、冷水タンク5aの底部付近にある比較的冷たい飲料水Wを、その上方の比較的温かい空気Aや飲料水Wが該冷水タンク5a内の誘導管部53aで吸引される間に温めることとなり、冷却効率が低下して、省エネルギーの要請に反するものとなる。
【0089】
そこで、前記第二容器内の液体を該第二容器の底部付近から排出する排液管と、前記第二容器内の空気を該第二容器の頂部付近から絞り手段を介して排出する排気管とを備えるとともに、前記排液管に前記排気管を接続する接続部を設けることが好ましい。
【0090】
この場合、前記第二容器内の液体を該第二容器の底部付近から排出する排液管と、前記第二容器内の空気を該第二容器の頂部付近から絞り手段を介して排出する排気管とを備えるとともに、前記排液管に前記排気管を接続する接続部を設けたので、排気管から第二容器の頂部付近の液体を吸引しにくくなる。したがって、特に第二容器が冷水タンクの場合には、底部付近にある比較的冷たい飲料水を、頂部付近の比較的温かい飲料水と混合させることなく冷水タンク外に排出できるので、冷却効率のさらなる向上を図ることができる。
【0091】
また、前記絞り手段はオリフィス又はバルブであることが好ましい。
【0092】
この場合、前記絞り手段はオリフィス又はバルブであるので、簡単な構成となり、コスト面でも有利となる。
【0093】
また、前記接続部は、前記第二容器の底部よりも低い位置にあることが好ましい。
【0094】
この場合、前記接続部は、前記第二容器の底部よりも低い位置にあるので、第二容器内の液位が低いときであっても、その液面から前記接続部までの間で、ある程度のヘッド差がとれるようになる。
【0095】
したがって、排液管内を液体が移動し、その排液管内の液体の流れによって、第二容器の上部に介在する空気が、排気管を通じて排液管の接続部へ引かれる現象が起きやすくなる結果、第二容器内に溜まった空気が外部に排気されやすくなる。これにより、ウォーターサーバーの使用開始時などの最も空気を排出する必要がある場合に、第二容器内がエアレス状態となるまでの時間を大幅に短縮することができる。
【0096】
また、第二容器内の液位がある程度高くなると、排液管内を液体が移動し、その排液管内の液体の流れによって、第二容器の上部に介在する空気が、排気管を通じて排液管の接続部側へ引かれる現象が起きるものの、やがて排気管から液体も排液管の接続部側へ引かれる現象が起きることとなる。
【0097】
この場合でも、排気管は第二容器内を通っていないため、特に第二容器が冷水タンクの場合には、冷水タンクの底部付近にある比較的冷たい飲料水を、その上方の比較的温かい空気や飲料水が排気管で吸引される間に温めることはない。これにより、冷却効率を低下させることがなくなり、省エネルギーの要請に沿うものとなる。
【0098】
また、管路抵抗の大きさや配置上の制約などによっては、前記第二容器内の液面がいつまでも上昇することなく、その液面から前記接続部までの間のヘッド差がほとんどとれないことがある。そこで、前記第二容器の底部付近における液体の排出部と前記接続部との間において前記排液管を一旦立ち上げてから下げることにより、該排液管に液体の一時的な溜まり部を形成することが好ましい。
【0099】
この場合、前記第二容器の底部付近における液体の排出部と前記接続部との間において前記排液管を一旦立ち上げてから下げることにより、該排液管に液体の一時的な溜まり部を形成したので、前記第二容器の底部付近における液体の排出部と前記接続部との間において前記排液管を一旦立ち上げてから下げることにより、該排液管に液体の一時的な溜まり部を形成したので、第二容器内の液位を確保して、その液面から前記接続部までの間で、ある程度のヘッド差がとれるようになる。
【0100】
また、前記接続部はベンチュリー管で構成されていることが好ましい。
【0101】
この場合、前記接続部はベンチュリー管で構成されているので、液体が排出される際に、空気がより多く吸引されて第二容器内をより速やかにエアレス状態とすることができる。
【0102】
第二発明の形態2は、上記のいずれかに記載の容器の液体送出機構を備え、前記第一容器が伸縮性の袋体であるとともに、前記第二容器が液体としての飲料水を冷却する冷水タンクと該飲料水を加熱する温水タンクとの少なくとも一方であることを特徴とするウォーターサーバーに係るものである。
【0103】
この場合、上記のいずれかに記載の容器の液体送出機構を備え、前記第一容器が伸縮性の袋体であるとともに、前記第二容器が液体としての飲料水を冷却する冷水タンクと該飲料水を加熱する温水タンクとの少なくとも一方であるので、上記のごとき作用効果を奏するものとなる。
【0104】
(第三発明の形態1,2)
また、ウォーターボトルには、飲料水を充填するための注ぎ口をキャップで封止したものが市販されており、かかるキャップ付きのウォーターボトルを使用したいとの要請がある。そこで、第三発明の形態1は、キャップ付きの第一容器に入った液体を、先端付近に形成した開口と該開口に連通する通路とを有する棒状部材を含む連通路を介して前記第一容器の下方に設置された第二容器に送り出すように構成された容器の液体送出機構であって、前記第一容器を所定位置にセットした状態で、前記キャップに前記棒状部材の少なくとも前記先端付近を挿入したときに、前記連通路を開放させることにより、前記連通路を介して前記液体を前記第二容器に供給可能とする一方、前記連通路を閉止させたときに、前記キャップから前記棒状部材の少なくとも前記先端付近を引き抜き可能とするように構成したことを特徴とするものである。
【0105】
この場合、前記第一容器を所定位置にセットした状態で、前記キャップに前記棒状部材の少なくとも前記先端付近を挿入したときに、前記連通路を開放させることにより、前記連通路を介して前記液体を前記第二容器に供給可能とする一方、前記連通路を閉止させたときに、前記キャップから前記棒状部材の少なくとも前記先端付近を引き抜き可能とするように構成したので、容器内の液体を使い切って、別の第一容器に交換するときには、必ず連通路が閉止されており、該第二容器内に空気が流入することがない。したがって、キャップ付きの第一容器の交換時に第二容器内を満液状態としておき、その第一容器の交換後、エア抜き作業等の時間をかけることなく、そのまますぐに使用することができて便利である。また、誤操作によりエアレス状態が維持できなくなる事態を確実に防止できる。この場合、複雑な電気的要素を全く必要とせず、今般の省エネルギーの要請に沿ったものとなり、かつ、低コスト化などを実現することができる。
【0106】
また、前記棒状部材を収納するドーム状の収納部と、該収納部を前記棒状部材ごと前記キャップに着脱自在に取り付ける取付手段とを備えることが好ましい。
【0107】
この場合、前記棒状部材を収納するドーム状の収納部と、該収納部を前記棒状部材ごと前記キャップに着脱自在に取り付ける取付手段とを備えたので、棒状部材がキャップにひとりでに挿脱される事態を確実に防止することができる。
【0108】
また、前記取付手段は、前記収納部からフックを伸長させて前記キャップの周辺に引っ掛けた状態で、該フックを縮小させるようにして、前記収納部を前記キャップの周辺に嵌め込むことにより、前記棒状部材の少なくとも前記先端付近を前記キャップに挿入可能とすることが好ましい。
【0109】
この場合、前記取付手段は、前記収納部からフックを伸長させて前記キャップの周辺に引っ掛けた状態で、該フックを縮小させるようにして、前記収納部を前記キャップの周辺に嵌め込むことにより、前記棒状部材の少なくとも前記先端付近を前記キャップに挿入可能としたので、棒状部材をキャップにより確実に挿入することができる。
【0110】
また、前記フックの伸縮を規制するフック規制部を備えることが好ましい。
【0111】
この場合、前記フックの伸縮を規制するフック規制部を備えたので、棒状部材がキャップにひとりでに挿脱される事態をより確実に防止することができる。
【0112】
また、前記収納部内の前記棒状部材の基部付近において、前記連通路を開閉する開閉手段を備えることが好ましい。
【0113】
この場合、前記収納部内の前記棒状部材の基部付近において、前記連通路を開閉する開閉手段を備えたので、コンパクトな構成となる。
【0114】
また、前記開閉手段は、前記連通路に設けられたバルブと、前記収納部を前記キャップの周辺に嵌め込むことにより、前記棒状部材の少なくとも前記先端付近を前記キャップに挿入した状態でのみ、前記バルブを開放するように操作可能な操作レバーとを備えることが好ましい。
【0115】
この場合、前記開閉手段は、前記連通路に設けられたバルブと、前記収納部を前記キャップの周辺に嵌め込むことにより、前記棒状部材の少なくとも前記先端付近を前記キャップに挿入した状態でのみ、前記バルブを開放するように操作可能な操作レバーとを備えたので、バルブがひとりでに開閉される事態を確実に防止することができる。
【0116】
また、前記操作レバーの操作を規制するレバー規制部を備えることが好ましい。
【0117】
この場合、前記操作レバーの操作を規制するレバー規制部を備えたので、バルブがひとりでに開閉される事態をより確実に防止することができる。
【0118】
また、前記キャップは、前記棒状部材の少なくとも前記先端付近を挿入する部位を略中心として放射状をなすように薄肉部を形成したものであることが好ましい。
【0119】
この場合、前記キャップは、前記棒状部材の少なくとも前記先端付近を挿入する部位を略中心として放射状をなすように薄肉部を形成したものであるので、棒状部材を容易かつ確実にキャップに挿入することができる。
【0120】
また、前記棒状部材は、尖塔状の先端を有するニードルであることが好ましい。
【0121】
この場合、前記棒状部材は、尖塔状の先端を有するニードルであるので、棒状部材をさらに容易かつ確実にキャップに挿入することができる。
【0122】
第三発明の形態2は上記のいずれかに記載の容器の液体送出機構を備え、前記第一容器が伸縮性の袋体であるとともに、前記第二容器が、前記液体としての飲料水を冷却する冷水タンクと、前記液体としての飲料水を温める温水タンクとの少なくとも一方であることを特徴とするウォーターサーバーに係るものである。
【0123】
この場合、上記のいずれかに記載の容器の液体送出機構を備え、前記第一容器が伸縮性の袋体であるとともに、前記第二容器が、前記液体としての飲料水を冷却する冷水タンクと、前記液体としての飲料水を温める温水タンクとの少なくとも一方であるので、上記のごとき作用効果を奏するウォーターサーバーを得ることができる。
【0124】
(第四発明の形態1,2)
従来のウォーターサーバーに使用される容器は、強度に優れたポリカーボネート樹脂を素材とすることが多かったが、この樹脂は変形性に乏しく、空容器を保管する際に大きなスペースが必要になる。さらに容器に充填された液体をウォーターサーバーに供給する際は、容器内部に空気を送り込む必要があるが、この空気に混じって雑菌が入り込んで不衛生となるおそれがあった。
【0125】
かかる衛生面を考慮して、液体と空気とが触れにくいようにした、いわゆるエアレス構造のウォーターサーバーが種々開発されている。そのウォーターサーバーでは、容器から冷水タンク内に飲料水を送り出す際、その内部の飲料水の減少とともに縮小変形可能な柔軟な合成樹脂製の袋が用いられることがある(例えば特許文献5参照)。この袋は柔軟性に優れているが、袋の材質によっては、独特の臭いが内部の液体に移るおそれがある。また、袋の取り扱い方によっては、液漏れや破裂などが懸念される。
【0126】
そこで、例えば特許文献6では、
図62(a)〜(c)に示すように、底部81と、該底部81の周縁から連続する胴部82と、該胴部82の上端縁から中央部に向かって上向きに傾斜する肩部83と、前記中央部に配設する筒状の首部84とからなり、全体がPET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂によって形成されており、前記胴部に、上下方向に伸縮自在な蛇腹部を有するウォーターサーバー用ボトル8が開示されている。このボトル8では、
図62(a)に示すように、液体Wを充填する際に、ある程度の空気Aを残留させておく。そして、
図62(b)に示すように、液体Wが徐々に消費されていくときに、その消費分に対して、外部から空気が入り込むことはないから、ボトル8は大気圧によって押し潰されていく。このときには、ボトル8の胴部82の蛇腹部が縮むとともに、その胴部82内に底部81が陥没するようになっている。
【0127】
ところで、蛇腹というものは、通常、伸びた状態では凹凸高さ(伸縮方向と直角方向の高さをいう。以下、同じ。)が低くなるが、縮んだ状態では凹凸高さが高くなる。したがって、上記特許文献6では、
図62(c)に示すように、胴部82と底部81の折れ込みとの間に大きな隙間が残り、この隙間に空気Aが溜まったままとなるから、とてもエアレス構造であるとはいいがたい。また、上記特許文献5では、初期空気Aを殺菌しておくとあるが、ウォーターサーバーの使用時には、ボトル8内に充填している液体Wを取り出すために首部84に、それまで外気に晒されていた図示しないパイプを挿入するから、そのパイプに付着した細菌がそのボトル8内の空気A中で繁殖しやすいものと推察される。また、上記特許文献2では、大量の初期空気Aを入れておくから、ボトル8の容積に対する液体Wの充填量が少なくなり、それだけボトル8の運搬コストの増大を招くおそれがあった。
【0128】
第四発明の形態1は、ウォーターサーバーの本体上に設置され、該本体内のタンクに液体を供給するためのPET樹脂製の容器であって、前記設置状態での容器本体の上側部分の折り曲げを許容するように蛇腹を設けるとともに、その下側部分の折り曲げを規制しておき、容器本体内部に充填した液体の減少に伴い、前記上側部分の蛇腹が順次折れ曲がりながら前記下側部分の内側に沿って陥没していくように構成したことを特徴とするものである。なお、PET樹脂にはその相当品を含むものとする。
【0129】
この場合、前記設置状態での容器本体の上側部分の折り曲げを許容するように蛇腹を設けるとともに、その下側部分の折り曲げを規制しておき、容器本体内部に充填した液体の減少に伴い、前記上側部分の蛇腹が順次折れ曲がりながら前記下側部分の内側に沿って陥没していくように構成したので、容器内の液量が減少するにつれて、蛇腹が伸びた状態となり、その蛇腹の高さが低くなる。したがって、上記特許文献6とはまったく逆に、液体を使いきったときの前記下側部分と前記上側部分との間にほとんど隙間が残らなくなり、エアレス構造を実現できるから衛生的なものとなる。また、上記特許文献6のように、初期空気を入れておく必要もないことから、容器の容積に対する液体の充填量が大きくなり、容器の運搬コストの低減をも図ることができる。
【0130】
また、前記設置状態での容器本体は、球状をなしていることが好ましい。
【0131】
この場合、前記設置状態での容器本体は、球状をなしているから、容器本体内部に充填した液体の減少に伴い、容器本体の上側部分の蛇腹が順次折れ曲がりながら容器本体の下側部分の内側に沿って陥没しやすくなる。また、容器の容積に対する液体の充填量が大きくなり、容器の運搬コストの低減を図ることができる。
【0132】
また、前記設置状態での容器本体は、多角形状の縦断面を有するものであることが好ましい。この容器本体の形状には、例えば截頭多面錐体や、截頭円錐体を上下逆向きにして合体させたものである。
【0133】
この場合、前記設置状態での容器本体は、多角形状の縦断面を有するものであるので、容器本体内部に充填した液体の減少に伴い、容器本体の上側部分の蛇腹が順次折れ曲がりながら容器本体の下側部分の内側に沿って陥没しやすくなる。また、容器の容積に対する液体の充填量がさらに大きくなり、容器の運搬コストのさらなる低減を図ることができる。
【0134】
また、前記設置状態での容器本体の上側部分の頂点付近の傾斜角度を、その直下での傾斜角度よりも緩和することが好ましい。
【0135】
この場合は、前記設置状態での容器本体の上側部分の頂点付近の傾斜角度を、その直下での傾斜角度よりも緩和したので、初期の折れ曲がりが容易になる。
【0136】
また、前記設置状態での容器本体の上側部分を加圧する手段を設けることが好ましい。
【0137】
この場合、前記設置状態での容器本体の上側部分を加圧する手段を設けたので、容器本体内の圧力を上げることにより、残液が少なくなっても該容器本体から取り出される液量の確保ができるようになる。また、液体の外部出口を自由な位置に設置することができるようになり、例えば蛇口を従来よりも取り扱いやすい高い位置に設置することができる。さらに、容器本体をセットしたウォーターサーバーのタンク内の初期空気を速やかに排出して、エアレスを促進することができる。
【0138】
また、前記前記設置状態での容器本体の下側部分に液体取り出し用キャップを設けることが好ましい。
【0139】
この場合、前記前記設置状態での容器本体の下側部分に液体取り出し用キャップを設けたので、運搬中などに取出口から液体が漏れるおそれが少なくなる。
【0140】
また、第四発明の形態2は、上記のいずれかに記載の容器を支持する支持部を備えたことを特徴とするウォーターサーバーである。
【0141】
この場合、上記のいずれかに記載の容器の本体容器を支持する支持部を備えたので、容器本体を本体上に設置して、該本体内のタンクに液体をエアレスで供給することができるウォーターサーバーを得ることができる。
【0142】
(第五発明)
通常、ウォーターサーバーは飲料水容器に充填された飲料水を冷水または温水として提供するものであるが、例えば薬を飲むときに、常温水を使用したいことがある。
【0143】
そこで、例えば特許文献7では、カートリッジ式の貯水タンクを下部空間に収納可能なサーバー本体と、貯水タンク内に挿入可能な吸水パイプと、吸水パイプを吸入口に接続した給水ポンプと、給水ポンプの吐出口に切替え弁を介して夫々接続された開閉手段付きの冷水流出管、温水流出管及び常温水流出管と、各開閉手段の操作に基づいて切替え弁を切替え、且つ給水ポンプを作動させる給水制御手段と、給水ポンプから冷水流出管に送られる水を冷却する冷却手段と、給水ポンプから温水流出管に送られる水を加熱する加温手段とを具備したウォーターサーバーが開示されている。
【0144】
また、特許文献8では、飲料水容器に充填された飲料水を冷水または温水として提供する飲料水ディスペンサに併設され、飲料用の粉末原料と前記飲料水ディスペンサから提供される飲料水とをカップに吐出して飲料を供給する飲料供給装置であって、前記飲料水ディスペンサから提供される飲料水を冷水または温水の何れかに選択するために操作される飲料水選択手段と、・・・前記飲料選択手段が操作されたときに、当該操作によって選択された粉末原料を前記粉末原料供給装置から前記カップセット部にセットされたカップに吐出して供給し、前記カップに供給された粉末原料を当該カップ内で溶かすように前記飲料水吐出ノズルから吐出させる飲料水を前記飲料水ディスペンサから提供させる制御手段と、を備えた飲料供給装置が開示されている。前記飲料供給装置には、前記飲料水容器に充填されている飲料水を提供するための常温水選択手段をさらに備え、前記制御手段は、当該常温水選択手段が押圧されている間、前記飲料水ディスペンサに設けている常温水弁を開放して前記飲料水吐出ノズルから吐出させることも開示されている。
【0145】
ところで、ウォーターサーバーの電源を投入していない状態では、飲料水容器、冷水タンク、温水タンクのいずれもが常温となっているが、いずれのメーカーも、かかる常温でのウォーターサーバーの使用を推奨していない。その理由は、冷水機能は制菌作用、熱水は殺菌作用があり、冷水・温水機能が働いていることで飲料水の衛生状態を保つことができるが、この冷水・温水機能を切ると、給水口から雑菌が入り込む危険性があるためである。上記特許文献7,8では、いずれも飲料水容器からの常温の飲料水が直接供給されることを前提としており、飲料水容器から冷水タンクと温水タンクとに供給された飲料水については、かかる衛生面での問題を解決できていないものと推察される。
【0146】
第五発明は、飲料水容器からサーバー本体内の少なくとも冷水タンクに空気の混入を禁止した状態で飲料水を供給するウォーターサーバーであって、前記冷却タンクを冷却する冷却モードと、前記冷却タンクを非冷却とする非冷却モードとを有するとともに、前記冷却モードと前記非冷却モードとのいずれか一方を選択するための第1の選択スイッチを備えたことを特徴とするものである。
【0147】
この場合、飲料水容器からサーバー本体内の少なくとも冷水タンクに空気の混入を禁止した状態で飲料水を供給することを条件として、前記冷却タンクを冷却する冷却モードと、前記冷却タンクを非冷却とする非冷却モードとを有するとともに、前記冷却モードと前記非冷却モードとのいずれか一方を選択するための第1の選択スイッチを備えたので、そのエアレス構造によって細菌の繁殖を抑制することができる。したがって、たとえ飲料水容器から冷水タンクに供給された飲料水を常温使用しても衛生面での心配がなくなる。
【0148】
ところで、温水タンクは加熱するので、個別に殺菌できるが、常温のままでの使用はやはり衛生面での問題がある。そこで、さらに前記サーバー本体内に温水タンクを備えたときには、前記温水タンクを加熱する加熱モードと、前記温水タンクを非加熱とする非加熱モードとを有するとともに、前記加熱モードと前記非加熱モードとのいずれか一方を選択するための第2の選択スイッチを備えることが好ましい。
【0149】
この場合、さらに前記サーバー本体内に温水タンクを備えたときには、前記温水タンクを加熱する加熱モードと、前記温水タンクを非加熱とする非加熱モードとを有するとともに、前記加熱モードと前記非加熱モードとのいずれか一方を選択するための第2の選択スイッチを備えたので、ここでも、そのエアレス構造によって細菌の繁殖を抑制することができる。したがって、たとえ飲料水容器から温水タンクに供給された飲料水を常温使用しても衛生面での心配がなくなる。
【0150】
また、各選択スイッチを別個に備えることが好ましい。
【0151】
この場合、各選択スイッチを別個に備えたので、使用者の好みに応じて冷水タンクと温水タンクとのいずれでも常温使用できるようになる。
【0152】
また、各選択スイッチで選択されたモードを示す表示ランプを、該各選択スイッチ付近にそれぞれ設けることが好ましい。
【0153】
この場合、各選択スイッチで選択されたモードを示す表示ランプを、該各選択スイッチ付近にそれぞれ設けたので、使用者はいずれのタンクが常温使用可能であるかを認識できるようになり便利である。
【0154】
(第六発明)
飲料水の入ったウォーターボトルから、該飲料水を前記ウォーターボトルの下方に設置された冷水タンクと、この冷水タンクのさらに下方に設置された温水タンクとに送るときに、これらのウォーターボトルや冷水タンクや温水タンク内において、特に衛生面を考慮して、飲料水と空気とが触れにくいようにした、エアレス構造のウォーターサーバーが種々開発されている。
【0155】
例えば特許文献9のウォーターサーバーでは、飲料水の入った袋体から、該飲料水を袋体の下方に設置された冷水タンクと、この冷水タンクのさらに下方に設置された温水タンクとに順に供給するように構成されたエア抜き構造を備えており、このエア抜き構造は、冷水タンク内の頂部付近と温水タンク内とを連通する連通管と、袋体から冷水タンクに飲料水を供給したときに、連通管を介して冷水タンクから温水タンク内に排出された空気又は飲料水を温水タンクの頂部付近から排出する排出管とを備えている。これにより、タンク内がエアレス状態となるまでに時間を大幅に短縮できる。
【0156】
上記特許文献9では、ウォーターボトルや冷水タンクや温水タンク内において飲料水と空気とが触れにくいことから、衛生面での考慮がなされているものの、ウォーターボトルの取替えなどで冷水タンク内に若干の空気が混入することがある。その場合でも、温水タンク内の飲料水は加熱されて殺菌されるので特に問題とはならないが、冷水タンク内の飲料水は冷却されて細菌の増殖が抑制されるだけであるので、この冷水タンク内の飲料水についてもなんらかの方法で殺菌されることが好ましい。そこで、第六発明は、飲料水を含む液体を充填可能な第一容器と、前記第一容器の下方に設置されかつ冷却手段を備えた第二容器と、この第二容器のさらに下方に設置されかつ加熱手段を備えた第三容器とを有し、前記第一の容器内の液体を前記第二容器と前記第三容器との順に供給して、前記第二容器内に供給された液体を前記冷却手段で冷却するとともに、前記第三容器内に供給された液体を前記加熱手段で加熱するように構成したウォーターサーバーであって、前記第二容器内で冷却した液体を外部に提供可能な第一モードと、前記第三容器内で加熱された液体を外部に提供可能な第二モードと、前記第三容器内で加熱された液体を自然対流で前記第二容器内に流入させることにより、該第二容器内を殺菌可能な第三モードとを有するとともに、前記第一モードと前記第二モードと前記第三モードとのいずれかを択一的に選択可能なモード選択スイッチを備えたことを特徴とするものである。
【0157】
この場合、前記第二容器内で冷却した液体を外部に提供可能な第一モードと、前記第三容器内で加熱された液体を外部に提供可能な第二モードと、前記第三容器内で加熱された液体を自然対流で前記第二容器内に流入させることにより、該第二容器内を殺菌可能な第三モードとを有するとともに、前記第一モードと前記第二モードと前記第三モードとのいずれかを択一的に選択可能なモード選択スイッチを備えたので、ワンタッチで各モードを実行することができる。このうちの第一モードと第二モードとでは、エアレス構造により、各容器内において液体と空気とが触れにくくして、衛生面での考慮がなされる一方、第三モードでは、第一容器の取替えなどで第二容器内に若干の空気が混入した場合であっても、第三容器内で加熱された液体で第二容器内の溶液を殺菌することができる。このようにして、エアレス構造のウォーターサーバーに好適な殺菌方法を得ることができた。
【0158】
また、前記第二容器内の頂部付近と前記第三容器内とを連通する連通管と、前記第二容器の底部付近に接続されかつ第一弁が介装された第一管路と、前記第三容器の頂部付近に接続されかつ第二弁が介装された第二管路と、前記第一管路と前記第二管路とが合流されかつ第三弁を介して外部に開放された第三管路とを備え、前記モード選択スイッチで第三モードが選択されたときには、前記第三弁が閉じられたことを条件として、前記第一弁と前記第二弁とが開かれるように構成することが好ましい。
【0159】
この場合、前記第二容器内の頂部付近と前記第三容器内とを連通する連通管と、前記第二容器の底部付近に接続されかつ第一弁が介装された第一管路と、前記第三容器の頂部付近に接続されかつ第二弁が介装された第二管路と、前記第一管路と前記第二管路とが合流されかつ第三弁を介して外部に開放された第三管路とを備え、前記モード選択スイッチで第三モードが選択されたときには、前記第三弁が閉じられたことを条件として、前記第一弁と前記第二弁とが開かれるように構成したので、各モードを確実に実行することができる。また、最終的に外部に開放されているのは第三弁だけであるので、第三モードで管路系統のほとんどすべてを殺菌できるようになる。
【0160】
また、少なくとも前記第一弁と前記第二弁とを、前記モード選択スイッチでの選択モードに応じて開閉される自動弁で構成することが好ましい。
【0161】
この場合、少なくとも前記第一弁と前記第二弁とを、前記モード選択スイッチでの選択モードに応じて開閉される自動弁で構成したので、各モードをより確実に実行することができる。
【0162】
あるいは、前記第二容器内の頂部付近と前記第三容器内とを連通する連通管と、前記第二容器の底部付近に接続されかつ第四弁を介して外部に開放された第四管路と、前記第三容器の頂部付近に接続されかつ第五弁を介して外部に開放された第五管路と、前記第四管路の上流側と前記第五管路の第五弁の上流側とが第六弁を介して合流された第六管路とを備え、前記モード選択スイッチで第三モードが選択されたときには、前記第四弁と第五弁とが閉じられたことを条件として、前記第六弁が開かれるように構成することが好ましい。
【0163】
この場合、前記第二容器内の頂部付近と前記第三容器内とを連通する連通管と、前記第二容器の底部付近に接続されかつ第四弁を介して外部に開放された第四管路と、前記第三容器の頂部付近に接続されかつ第五弁を介して外部に開放された第五管路と、前記第四管路の上流側と前記第五管路の第五弁の上流側とが第六弁を介して合流された第六管路とを備え、前記モード選択スイッチで第三モードが選択されたときには、前記第四弁と第五弁とが閉じられたことを条件として、前記第六弁が開かれるように構成したので、各モードを確実に実行することができる。
【0164】
また、少なくとも前記第六弁を、前記モード選択スイッチでの選択モードに応じて開閉される自動弁で構成することが好ましい。
【0165】
この場合、少なくとも前記第六弁を、前記モード選択スイッチでの選択モードに応じて開閉される自動弁で構成したので、各モードをより確実に実行することができる。
【0166】
また、前記モード選択スイッチで選択されたモードを示す表示ランプを、前記モード選択スイッチの近傍に備えることが好ましい。
【0167】
この場合、前記モード選択スイッチで選択されたモードを示す表示ランプを、前記モード選択スイッチの近傍に備えたので、どのモードを実行するのかを視認できて便利である。
【0168】
(第七発明)
ところで、
図8Bのように、固定した容器に対してニードル8bを移動させて刺したのでは、そのニードル8bの容器4b’への刺しミスを生じてそこから漏れるおそれがあった。そこで、第七発明は、装置本体の上部に載置され、内部に充填された液体の減少につれて縮小変形可能な第一容器から、該装置本体の下部に設置された第二容器に所定の液体を供給するように構成された容器の液体供給装置であって、前記装置本体の上部の奥側から手前側に向けて設置され、先端付近に形成した開口と該開口に連通する通路とを有する棒状部材に、前記第一容器を押し込むことにより、該棒状部材を介して前記第二容器に前記所定の液体を供給可能となしたことを特徴とするものである。
【0169】
この場合、前記装置本体の上部の奥側から手前側に向けて設置され、先端付近に形成した開口と該開口に連通する通路とを有する棒状部材に、前記第一容器を押し込むことにより、該棒状部材を介して前記第二容器に前記所定の液体を供給可能となしたので、上記
図8Bの場合におけるようなニードル8bの容器4b’への刺しミスが少なくなる。これにより、さらに漏れにくくすることができる。
【0170】
また、前記第一容器を、該第一容器よりも変形しにくい保護容器に収納することが好ましい。
【0171】
この場合、前記第一容器を、該第一容器よりも変形しにくい保護容器に収納したので、上記
図8Bの場合におけるようなニードル8bの容器4b’への刺しミスが少なくなる。
【0172】
また、前記保護容器は、前記棒状部材に該保護容器を介して前記第一容器を押し込むためのキャップを備えたものであることが好ましい。
【0173】
この場合、前記保護容器は、前記棒状部材に該保護容器を介して前記第一容器を押し込むためのキャップを備えたものであるので、上記
図8Bの場合におけるようなニードル8bの容器4b’への刺しミスが少なくなる。
【0174】
また、前記棒状部材を、前記装置本体の上部に形成された凹部に内設するとともに、該凹部に前記保護容器のキャップを嵌め込み可能となすことが好ましい。
【0175】
この場合、前記棒状部材を、前記装置本体の上部に形成された凹部に内設するとともに、該凹部に前記保護容器のキャップを嵌め込み可能となしたので、上記
図8Bの場合におけるようなニードル8bの容器4b’への刺しミスが少なくなる。また、棒状部材としてニードル8bを使用した場合には、そのニードル8bによりユーザが受傷するおそれがなくなり安全である。
【0176】
また、前記装置本体の上部と、該装置本体の下部に設置された第二容器の天板とを一体的に脱着可能となすことが好ましい。
【0177】
この場合、前記装置本体の上部と、該装置本体の下部に設置された第二容器の天板とを一体的に脱着可能となしたので、第二容器の内部のメンテナンスが容易となる。
【0178】
(第八発明)
従来、例えば液体・粉体・粒体・気体等の流動体が封入された容器に孔を開けて、該流動体を前記容器から取り出すためのニードルの構造が種々開発されている。
【0179】
例えば特許文献10では、飲料用液体の入ったビニール袋に孔を開けて、該飲料用液体を該ビニール袋の下方に設置された貯留タンクに送るニードルを備えたウォーターサーバーが開示されている。このニードルは、先端が尖った先細り形状で、先端部分の側面に開口を有し、底面は開放されて、内部には前記開口から底面へと通じる通路を有し、さらに、側面から水平方向に延びる鍔部が形成され、スプリングによって前記ニードルの鍔部に下方へと力が加えられる構成となっている。
【0180】
これにより、ビニール袋がニードルの上方にある時には、その重量により、ニードルが自動的に上方に突出してその先端が前記ビニール袋に孔を開けるようになっている。
【0181】
そして、飲料用液体の入ったビニール袋に孔を開ける部位が該ビニール袋の底部である場合には、孔の開いたビニール袋がニードルに密着して飲料用液体が漏れることがなくなると記載されている。
【0182】
しかしながら、上記特許文献10のニードル構造は、飲料用液体の入ったビニール袋に孔を開ける部位が該ビニール袋の底部以外の例えば側面等である場合には使用することが困難である。
【0183】
そこで、第八発明は、流動体が封入された容器に孔を開けて、該流動体を前記容器から取り出すためのニードルの構造であって、ニードルを容器に挿入したときに、該ニードルが容器から抜け出すことを阻止する抜け止め機構を設けたことを特徴とするものである。
【0184】
この場合、ニードルを容器に挿入したときに、該ニードルが容器から抜け出すことを阻止する抜け止め機構を設けたので、流動体が封入された容器の例えば側壁に孔を開ける場合であっても、この孔を開けた容器とニードルとが密着して、そこから流動体が外部に漏れるおそれがなくなる。この場合、容器に孔を開ける部位のいかんにかかわらず、使用できて便利である。
【0185】
ところで、容器としてのビニール袋にニードルを挿入するためのシール部を設けることも考えられるが、ビニール袋が高価なものとなる。そこで、抜け止め機構は、容器に外部から接するフランジ部と、ニードルが容器を貫通したときに該容器の内部で拡開する拡開部とを備え、該拡開部とフランジ部との間に容器の孔の周辺部分を挟みこむように構成することが好ましい。
【0186】
これによれば、抜け止め機構は、容器に外部から接するフランジ部と、ニードルが容器を貫通したときに該容器の内部で拡開する拡開部とを備え、該拡開部とフランジ部との間に容器の孔の周辺部分を挟みこむように構成したので、容器にニードルを挿入するためのシール部等を設ける必要がなくなり、該容器が安価なもので済む。
【0187】
また、ニードルは繰り返し使用するものであるから、容器から容易に取り外せるようにする必要がある。そこで、ニードルの先端部とフランジ部との間に拡開部が設けられており、先端部にフランジ部を接近させることにより、該拡開部の略中央部分が径方向に突出するとともに、先端部からフランジ部を遠ざけることにより、該拡開部の略中央部分が径方向に引っ込むように構成することが好ましい。
【0188】
これによれば、ニードルの先端部とフランジ部との間に拡開部が設けられており、先端部にフランジ部を接近させることにより、該拡開部の略中央部分が径方向に突出するので、この突出した拡開部が邪魔をして、ニードルは容器から容易に抜けなくなる。また、先端部からフランジ部を遠ざけることにより、該拡開部の略中央部分が径方向に引っ込むので、ニードルは容器から容易に取り外すことができる。これにより、ニードルを繰り返し使用することができる。
【0189】
また、拡開部は、可撓性材料で形成されていることが好ましい。
【0190】
これによれば、拡開部は、可撓性材料で形成されているので、繰り返し使用にもよく耐えるものとなる。
【0191】
また、拡開部は、伸縮性材料で被覆されていることが好ましい。
【0192】
これによれば、拡開部は、伸縮性材料で被覆されているので、シール性を大幅に向上させることができるようになる。
【発明の効果】
【0193】
本発明によれば、前記第二容器内の頂部付近と前記第三容器内とをストレートに連通するとともに、該第三容器内での開放端において空気又は液体の逆流時に供給時よりもライン抵抗を大きくする流体素子を設けた連通管と、前記第一容器にニードルを相対移動させて突き刺すことにより、該ニードルを介して前記液体を第二容器に供給したときに、前記連通管の流体素子を介して前記第二容器から前記第三容器内に排出された空気又は液体を該第三容器の頂部付近から排出する排出管とを備えたので、第一容器から第二容器内に液体が供給されると、第二容器内の空気が圧縮され、この圧縮された空気が前記連通管の流体素子を介して第三容器内に空気が排出され、この第三容器内に排出された空気が排出管を介して第三容器から外部に排出されることにより前記第二容器内に液体が満たされ、この第二容器内に満たされた液体が前記連通管の流体素子を介して前記第三容器内に排出されることにより前記第三容器に液体が満たされる。その結果、特に初期空気の排出時における、第二容器及び第三容器内がエアレス状態となるまでの時間を大幅に短縮することができる。
【0194】
また、前記第三容器内での開放端に、空気又は液体の逆流時に供給時よりもライン抵抗を大きくする流体素子を設けたので、第一容器又は第二容器からの空気又は液体が第三容器に供給されやすくなるとともに、逆流しにくくなるから、上記特許文献3,4のように、第二容器での加熱効率や冷却効率が低下することがなくなり、省エネルギーの要請に応えるものとなる。ここで、第三容器内での開放端に流体素子を設けたのは、その設置スペース確保のためである。
【0195】
また、供給ライン中に逆流防止弁を設けた場合のように、該逆流防止弁が抵抗となって液体の流下を阻害することがなくなり、そのメンテナンスも不要となる。また、供給ライン中にコイル部分やUシール部分などを設けた場合のように、該コイル部分やUシール部分などが抵抗となって液体の流下を阻害することがなくなり、そこに空気が滞留することがなくなる。したがって、エアレス構造を採用した場合にも、第三容器から第一容器又は第二容器への液体の逆流を抑えて、常に安定した給液を行うことができるようになる。
【発明を実施するための形態】
【0197】
(本発明を含む第一発明(以下、第一発明という。)の実施形態1)
図1Aは本発明を含む第一発明の実施形態1〜3に係るウォーターサーバー1の全体構成を模式的に示す側断面図、
図1Bはそのボトルホルダ2の横断面図、
図1Cは温水タンク6の横断面図である。なお、同
図1A中の左側が正面、右側が背面をそれぞれ示しており、
図1B中の下側が正面、上側が背面をそれぞれ示している。また、ウォーターサーバー1の材料としては、主に合成樹脂、ゴム、金属などが適所に使用されている。
【0198】
図1Aに示すように、このウォーターサーバー1は、ボトルホルダ2と本体3とからなっている。ボトルホルダ2は、液体としての飲料水の入った袋体(第一容器に相当する。)4を内部にセットし、或いは、このセットした袋体4を外部に取り出すために、本体3上で開閉自在に取り付けられている(
図1A中の符号2は閉状態、符号2’は開状態をそれぞれ示している)。また、本体3の内部には、飲料水を冷却する冷水タンク5(第二容器に相当する。)と、飲料水を温める温水タンク(第三容器に相当する。)6とが上下に配置されている。
【0199】
袋体4は、例えば多層構造のナイロンフィルムなどの伸縮性に富む材料からなり、その内部に充填された飲料水の減少につれて縮小変形可能なものである。そして、飲料水が充填された初期状態では、全体として丸みを帯び、かつ、やや扁平な六面体状をなしている。ここでは、この袋体4を、支持部7で略立ち姿勢にて支持するようになっている。袋体4の初期状態における形状としては、例えば正方形や円筒形状など他の形状であってもよい。
【0200】
支持部7は、袋体4の縮小変形をできるだけ邪魔しないように、背面から正面寄りにかけて比較的大きなアールを設けるとともに、正面で比較的小さなアールを設けている。そして、両アール間で、袋体4の内部に充填された飲料水の取り出し時に、その袋体4が無理なねじれを生じることなく縮小変形するようにセットできるようになっている。なお、図示はしていないが、支持部7の左右両側にも適当なアールを設けて、同様の作用効果を奏するようになっている。また、
図1Bに示すように、支持部7の左右方向の中央付近が、適当なアールでもって背面側に突出することにより膨出部71が形成されている。これにより、飲料水が充填された袋体4を支持部7で略立ち姿勢にて支持すると、該袋体4が自重で変形して、その正面の底面41付近において支持部7の膨出部71に密着した状態が得られるようになっている。
【0201】
このようにして支持部7で支持された袋体4は、その正面側の底面41付近において、ニードル8を該底面41と略平行に突き刺すことにより、その部位に孔42を確実に開けることができる。ニードル8は、正面側の支持部7に取り付けられたニードルガイド82と、ニードルガイド82に案内されて前記袋体4に突き刺すニードル本体81とからなっている。なお、ニードル8は袋体4の底面41にできるだけ近い部位に突き刺すことが好ましいが、袋体4の形状等によっては、ニードル8を袋体4の底面41から離れた部位に突き刺すことがある。その場合には、ニードル8を先下がり或いは先上がりとなる向きに突き刺すようにすればよい。さらに、極端な場合には、ニードル8を袋体4の上部から下向きに突き刺すようにしてもよい。
【0202】
そして、ニードル8のニードル本体81に接続された例えばシリコンゴム製の可撓性ホース9と、このホース9にさらに接続されたライン10とを介して、袋体4から取り出された飲料水が冷水タンク5と温水タンク6とにそれぞれ供給されるようになっている。
【0203】
冷水タンク5には、飲料水を冷却するための冷凍機等の冷却手段50が備わっており、袋体4から供給された飲料水は、この冷却手段50で冷却されることにより、冷水タンク5内で4〜10℃程度の温度に維持されるようになっている。また、冷水タンク5内は後述する連通管102等によりエアレス状態とされるようになっている。
【0204】
温水タンク6には、飲料水を加熱するためのバンドヒータやシーズヒータ等の加熱手段60が備わっており、袋体4から供給された飲料水は、この加熱手段60で加熱されることにより、温水タンク6内で80〜90℃程度の温度に維持されるようになっている。また、温水タンク6内も後述する排出管63等によりエアレス状態とされるようになっている。
【0205】
また、冷水タンク5で冷された飲料水と、温水タンク6で温められた飲料水とは、それぞれの給水口(給水栓)11,12を開閉することにより、図示しないコップ等に所定量だけ注がれるようになっている。
【0206】
図2Aは本実施形態1に係るニードル8の本体部分拡大図(側面図)、
図2Bはその正面図をそれぞれ示している。また、
図3Aは本実施形態1に係るニードル8のガイド部分拡大図(平面図)、
図3BはそのA−A矢視断面図をそれぞれ示している。
【0207】
図2A,
図2Bに示すように、ニードル8のニードル本体81は、尖塔状の先端部811と、先端部811に固定された略円柱状の中間部812と、中間部812にさらに固定された基部813とからなっている。ニードル本体81の先端部811における、少なくとも袋体4と接触する部位の材料としては、袋体4との密着性のよい合成樹脂製のものを使用することにより、袋体4に開けた孔42からの飲料水の漏れをできるだけ少なくすることができる。その結果、袋体4の孔42周囲にリングやフランジなどの余分な取り付け手段を設ける必要がなくなる。
【0208】
先端部811の側面の手前側と奥側には、略台形状の開口814,814がそれぞれ形成されている。開口814,814は先端部811の軸まわりに形成された通路815でもって、中間部812の軸まわりに形成された通路816と連通している。
【0209】
中間部812は、前記通路816を軸方向の中央付近において下側に屈曲するように形成しており、この屈曲した通路816の下端に前記ホース9の接続部817を備えている。また、中間部812の上側には、その移動範囲を規制するストッパ818が突出している。なお、中間部812の左右両側面には、その移動中に回転動作を生じないような振れ止めを設けることとしてもよい。
【0210】
基部813は、拡径されてドアのノブ状をなしており、ニードル8を突き刺すときに、その押し込み操作が容易となるようにしている。また、ニードル8を元の状態に引き戻すときには、前記ストッパ818の上部を引っ張ることにより、その引き戻し操作を行うようになっている。なお、ストッパ818の上部に図示しないレバーを設けて、基部813とストッパ818の機能を兼ねることとしてもよい。また、基部813又は上記レバーの近くに図示しないボタンを設けて、基部813又は上記レバーを操作するときにこのボタンを押すことで、ニードル本体81が勝手に移動しないようにしてもよい(阻止機構に相当する)。ここで、本実施形態1のように、ニードル本体81の移動を手動操作で行う場合には、当該ニードル本体81が勝手に移動することが本来考えられないのであるが、かかるボタンの押圧操作をさらに加えることで、万一の場合においての安全確保を意図したものである。そのような阻止機構の具体的構成を実施形態3にて後述する。
【0211】
図3A,
図3Bに示すように、ニードル8のニードルガイド82は、前記支持部7上の前方に突出するように取り付けられる円筒部(ストレート状の案内部に相当する。)821と、この円筒部821のさらに上側にあって、それと平行に前方に伸びる平坦部822とが一体的に形成されている。
【0212】
円筒部821は、その下部において、前記ホース接続部817との干渉防止のために形成された貫通溝823と、その上部において、前記ストッパ818との干渉防止のために形成された貫通溝824とを備えている。平坦部822は、前記貫通溝824の真上にあって、ストッパ818の移動範囲を規制するための貫通溝825を備えている。したがって、貫通溝825の先端は、他の貫通溝823,8234の各先端よりも、支持部7に近づくように切り込まれている。
【0213】
そして、後述する
図4Aに示すように、ニードル本体81の先端部811をニードルガイド82の円筒部821に若干挿入した状態としておく。このとき、ホース接続部817は円筒部821の手前にあるが、ストッパ818は円筒部821の貫通溝824と、平坦部822の貫通溝825にそれぞれ進退自在にはめ込まれている。
【0214】
また、この状態で、ニードル本体81の基部813を押圧操作することにより、ホース接続部817は円筒部821の貫通溝823に入り込むとともに、ストッパ818は円筒部821の貫通溝824と、平坦部822の貫通溝825との内部でそれぞれ袋体4に向かって進んでいき、貫通溝825と干渉することでその進行がストップするようになっている。
【0215】
これにより、ニードル8を袋体4に突き刺すときに、その押し込み操作を確実に行うことができる。なお、ニードル8を元の状態に引き戻すときには、ストッパ818の上部を引っ張ることにより、その引き戻し操作をするようになっている。
【0216】
図4A〜
図4Cは本実施形態1に係るニードル8の使用例を示す説明図(ステップS1〜S3)をそれぞれ示すものである。なお、ステップS1に入る前に、ウォーターサーバー1のボトルホルダ2を開いて、ボトルホルダ2’のようにした状態で、支持部7上に袋体4を略立ち姿勢で支持することにより、その袋体4を所定位置にセットしているものとする。
【0217】
ステップS1では、
図4Aに示すように、ニードル8のニードル本体81を、支持部7に取り付けられたニードルガイド82にセットする。このとき、ニードル本体81の先端部811をニードルガイド82の円筒部821に若干挿入した状態としておくことにより、ホース接続部817は円筒部821の手前にあるが、ストッパ818は円筒部821の貫通溝824と、平坦部822の貫通溝825にそれぞれスライド自在にはめ込まれている。そして、ニードル本体81の先端部811と支持部7で支持された状態の袋体4とは、まったく接触していない。
【0218】
ステップS2では、
図4Bに示すように、ユーザはニードル本体81の基部813を同
図4B中のX方向に押し込むように手動操作する。すると、ニードル本体81の中間部812と先端部811とは一体となって、ニードルガイド82の円筒部821内をスライドしていき、その先端部811と、支持部7で支持された状態の袋体4とが当接する。このとき、ホース接続部817は円筒部821の貫通溝823内にあって、ストッパ818は円筒部821の貫通溝824と平坦部822の貫通溝825内にある。
【0219】
ステップS3では、
図4Cに示すように、ニードル本体81の先端部811が、袋体4の正面下方を突き破って、その内部にまで到達し、ニードル本体81のストッパ818が平坦部822の貫通溝825と干渉したときに、ニードル本体81は、それ以上進まなくなる。すると、袋体4が縮小する向きに働く張力と、該袋体4内に充填された飲料水自身の重力とが同時に作用することによって、袋体4内の飲料水が、ニードル本体81の先端部811の開口814,814から流出する。この流出した飲料用液体は、先端部811の通路815、中間部812の通路816、ホース接続部817を順に通って、ホース9内へと排出される。しかる後に、ウォーターサーバー1のボトルホルダ2’を閉めて、ボトルホルダ2のようにした状態とする。
【0220】
ホース9に排出された飲料水は、さらにライン10を通って、冷水タンク5と温水タンク6にそれぞれ供給される。冷水タンク5で冷された飲料水と、温水タンク6で温められた飲料水とは、それぞれの給水口11,12を開閉することにより、図示しないコップ等に所定量だけ注がれる。
【0221】
袋体4内の飲料水を使いきってしまうと、それを飲料水が充填された別の袋体4と交換する必要があるが、このときには、ウォーターサーバー1のボトルホルダ2を再び開いて、ボトルホルダ2’のようにした状態で、ニードル8を元の状態に引き戻す。すなわち、ストッパ818の上部を引っ張って、
図4CのY方向への引き戻し操作をする。これにより、各ステップS1〜S3におけるのと逆手順で、ニードル8を袋体4から引きぬくことになる。そして、別の袋体4を所定位置にセットした後、再度前記各ステップS1〜S3を順に繰り返すことにより、給水を行うことができるようになる。
【0222】
以上説明したように、本実施形態1のニードル8を用いたウォーターサーバー1によれば、前記袋体4に向かうように形成した案内部としての円筒部821を有するニードルガイド82と、尖塔状の先端部811を有し、かつ前記ニードルガイド82の円筒部821に沿って前記先端部811を該ニードルガイド82から突出させることにより、該先端部811で前記袋体4の底面41付近において、該底面41と平行或いは先下がりとなる向きに孔42を開けるように構成したので、飲料水が充填された袋体4の底面41付近に孔42を容易に開けることができる(
図8Bの実線部分を参照)。
【0223】
これにより、袋体4内の飲料水が減少してきたとしても、ニードル8の先端が邪魔にならず、袋体4内の飲料水のほとんどを取り出すことができるようになる。また、使い切った袋体4を新たなものと交換するために、該使い切った袋体4からニードル8を取り外す際にも、袋体4に開いている孔42から残液40b’が漏れにくくなる(
図8B)の二点鎖線部分を参照)。
【0224】
また、前記袋体4にニードル8で孔42を開けることにより、該ニードル8を介して前記袋体4に入った飲料水を、該袋体4内に冷水タンク5と温水タンク6とに確実に送ることができる。
【0225】
これにより、袋体4内に入った飲料水のみならず、それが送られた冷水タンク5と温水タンク6との内部に貯留された飲料水についても、その混入空気に含まれている可能性がある雑菌の繁殖を極力抑えることができる。
【0226】
(第一発明の実施形態2)
ところで、上記実施形態1では、ニードル8を袋体4に手動操作でストレートに突き刺しているが、このニードルを袋体4に自動的かつ螺旋状にねじ込むこととしてもよい。そのような構成を実施形態2として以下に詳述するが、ウォーターサーバー1自体の基本的な構造自体は、
図1A,
図1Bで示した上記実施形態1のそれと略同様であるので、以下では主にニードル8’の構造について詳述し、その他の実施形態1と共通する要素の説明は割愛する。
【0227】
図5Aは本実施形態2に係るニードル8’の本体部分拡大図(側面図)、
図5Bはその平面図をそれぞれ示している。また、
図6Aは本実施形態2に係るニードルのガイド部分拡大図(360°の螺旋溝を有するもの)、
図6Bはその180°の螺旋溝を有するもの、
図6Cはその一部に螺旋溝を有するものをそれぞれ示している。
【0228】
図5A,
図5Bに示すように、ニードル8’のニードル本体83は、先細り形状の先端部831と、先端部831に接続された略円柱状の中間部832と、中間部832より拡径されて接続された基部833とからなっている。ニードル本体83の先端部831と中間部832の材料としては、袋体4との密着性のよい合成樹脂製のものを使用することにより、袋体4に開けた孔42からの飲料水の漏れをできるだけ少なくすることが期待される。
【0229】
先端部831の側面の手前側と奥側には、略台形状の開口834,834がそれぞれ形成されている。開口834,834は、先端部831と中間部832と基部833とのそれぞれに形成された通路835と連通している。
【0230】
先端部831は、その最先端部分に軸直角方向に非対称となる段部835aが形成されており、これにより袋体4に孔42を開け易くしている。ここには、半回転程度の螺旋状のリブ836が形成されているが、これにより袋体4に孔42をより開け易くしている。中間部832には、上記実施形態1とは異なり、ストレート状の通路835が形成されているだけである。
【0231】
基部833には、軸直角方向のピン孔837が形成されており、後述する
図7Aに示すように、ピン孔837にピン87を挿通させている。このピン87を、円盤状のスペーサー88を介してバネ89の一端側に当接させるとともに、バネ89の他端を支持部7の適宜位置にネジって固定しておくことにより、予め弾性付勢しておくようになっている。なお、基部833の最後部には、ホース9を接続するためのホース接続部837aが形成されている。
【0232】
そして、この基部833を図示しない係止部材に係止して、ニードル本体83が勝手に移動しないようにしておいてから、基部833の前記係止部材への係止状態を、例えばボトルホルダ2外のボタン操作等で解除することにより、バネ89の復帰力でもって、ニードル本体83がニードルガイド84に案内されて袋体4に向かって自動的に移動するようになっている(阻止機構に相当する)。
【0233】
これにより、ニードル8’を袋体4に突き刺すときに、その押し込み操作をワンタッチで行うことができる。なお、ニードル8’を元の状態に引き戻すときには、図示しないハンドルなどを設けて、その引き戻し操作をするようになっている。
【0234】
ここで、
図6Aに示すように、ニードル8’のニードルガイド84は、前記支持部7上の前方に突出するように取り付けられる円筒部841と、この円筒部841の周面842を360°回転するように形成された螺旋溝(螺旋状の案内部に相当する。)843とからなっている。この場合には、ニードル本体83の基部833から突出させたピン87がニードルガイド84の螺旋溝843で案内されるときに、先端部831が360°だけ回転しながら袋体4にねじ込まれることとなる。
【0235】
或いは、
図6Bに示すように、ニードル8’のニードルガイド85は、前記支持部7上の前方に突出するように取り付けられる円筒部851と、この円筒部851の周面852を180°回転するように形成された螺旋溝(螺旋状の案内部に相当する。)853とからなっている。この場合には、ニードル本体83の基部833から突出させたピン87がニードルガイド85の螺旋溝853で案内されるときに、先端部831が180°だけ回転しながら袋体4にねじ込まれることとなる。
【0236】
或いは、
図6Cに示すように、ニードル8’のニードルガイド86は、前記支持部7上の前方に突出するように取り付けられる円筒部861と、この円筒部861の周面862の一部だけ螺旋状で残部がストレート状に切られた螺旋溝(螺旋状の案内部に相当する。)863とからなっている。この場合には、ニードル本体83の基部833から突出させたピン87がニードルガイド86の螺旋溝863で案内されるときに、先端部831が最初だけ回転して袋体4にねじ込まれ、その後はストレートに移動するようになる。
【0237】
本実験結果によれば、前記
図6A,
図6B,
図6Cのいずれの場合であっても、ニードル本体83の先端部831を袋体4に突き刺す際に必要とされる、いわゆるねじり作用が得られることがわかった。したがって、ここでは、ニードル8’は、ニードル本体83と、ニードルガイド84との組み合わせたものを使用することとしているが、その他の組み合わせであってもよい。
【0238】
図7A〜
図7Cは本実施形態2に係るニードル8’の使用例を示す説明図(ステップS11〜S13)をそれぞれ示すものである。ここでも、ステップS11に入る前に、ウォーターサーバー1のボトルホルダ2を開いて、ボトルホルダ2’のようにした状態で、支持部7上に袋体4を略立ち姿勢で支持することにより、その袋体4を所定位置にセットしているものとする。
【0239】
まずステップS11では、
図7Aに示すように、ニードル8’のニードル本体83を、ニードルガイド84にセットしているものとする。このとき、ニードル本体83の基部833のピン孔837,837に挿通されたピン87を、スペーサー88を介してバネ89の一端側に当接させるとともに、バネ89の他端を支持部7の適宜位置にネジって固定しておくことにより、弾性付勢しておくが、これらのセット作業は、ウォーターサーバー1のメーカー側で予め行っている。このときには、基部833を図示しない係止部材に係止しているので、ニードル本体83は、ニードルガイド84の手前側にあって、その先端部831と袋体4とはまったく接触していない。
【0240】
ステップS12では、ウォーターサーバー1のボトルホルダ2’を閉めて、ボトルホルダ2のようにした状態とする。しかる後に、
図7Bに示すように、前記係止状態を例えばボタン操作等で解除することにより、ニードル本体83がバネ89の弾性付勢力でもってX方向に自動的に進む。すると、ニードル本体83の基部833と中間部832と先端部831とは一体となって、ニードルガイド84の円筒部841の螺旋溝843に案内されて、それをR方向に回転しながらスライドしていき、その先端部831がやがて袋体4と当接する。
【0241】
ステップS13では、
図7Cに示すように、ニードル本体83が、R方向に回転しながらスライドしていき、袋体4の正面下方を突き破って、その内部にまで到達する。すると、袋体4内の飲料水が、該袋体4を縮小させるように働く張力と、飲料水にかかる重力との同時作用により、ニードル本体83の先端部831の開口834,834から流出する。この流出した飲料水は、先端部831と中間部832と基部833の通路835とホース接続部837aとを順に通り、ホース9へ排出される。
【0242】
ホース9に排出された飲料水は、さらにライン10を通って、冷水タンク5と温水タンク6にそれぞれ供給される。冷水タンク5で冷された飲料水と、温水タンク6で温められた飲料水とは、それぞれの給水口11,12を開閉することにより、図示しないコップ等に所定量だけ注がれる。
【0243】
袋体4内の飲料水を使いきってしまうと、それを飲料水が充填された別の袋体4と交換する必要があるが、このときには、ウォーターサーバー1のボトルホルダ2を再び開いて、ボトルホルダ2’のようにした状態で、図示しないハンドルなどを操作して、ニードル8’のニードル本体83を袋体4から引きぬくことになる。そして、別の袋体4を所定位置にセットした後、再度前記各ステップS11〜S13を繰り返すことにより、給水を行うことができるようになる。
【0244】
以上説明したように、本実施形態2のウォーターサーバー1によれば、ニードル8’におけるニードル本体83の先端部831をニードルガイド84からねじりながら突出させることにより、該先端部831で袋体4に孔を開けて、該袋体4に入った飲料水を前記袋体4の下部に設置された冷水タンク5と温水タンク6とに送るようにしたので、上記実施形態1における作用効果に加えて、飲料水が充填された袋体4に孔42をさらに容易に開けることができる。
【0245】
(第一発明の実施形態3)
また、上記実施形態1,2では、ニードル8を袋体4に手動操作で或いは自動的に出没させるが、これを阻止する阻止機構を備え、前記手動操作で或いは自動的に出没させるときには、前記阻止機構が手動操作で解除されたことを条件とするのが好ましい。そのような構成を実施形態3として以下詳述する。ここでは、実施形態1のニードル8の基部813とストッパ818とを兼用するレバー818aを設けて、このレバー818aを手動操作することでニードル8”を出没させる場合を例にとって説明する。ただし、実施形態1のニードル8の基部813を手動操作する場合や、実施形態2のニードル8’を自動的に出没させる場合にも同様に適用できることはもちろんである。また、ウォーターサーバー1自体の基本的な構造自体は、
図1で示した上記実施形態1のそれと略同様であるので、以下では主にニードル8”の構造のうちの前記阻止機構について詳述し、その他の実施形態1と共通する要素の説明は割愛する。
【0246】
すなわち、後述する
図9A〜
図9Cに示すように、ニードル8”は、ニードル本体81aと、ニードルガイド82aとからなっており、ニードル本体81aは、さらに左右に延びる振れ止め819a,819bを備えている(振れ止め819aの長さは、振れ止め819bのそれよりも長く設定されている)。そして、この振れ止め819aの先端が、ボタン826の押圧力又は圧縮バネ826aによる復帰力により、昇降動作する規制板827の段落ち部827a,827bに係脱自在となることで前記阻止機構を具現化している。
【0247】
図9A〜
図9Cの上段は本実施形態3に係るニードル8”の使用例を示す説明図(ステップS21〜S23)であって、上段は平面図、下段はそのP−P断面図である。なお、ここでも、ステップS21に入る前に、ユーザがウォーターサーバー1のボトルホルダ2を開いて、ボトルホルダ2’のようにした状態で、支持部7上に袋体4を略立ち姿勢で支持することにより、その袋体4を所定位置にセットしているものとする。
【0248】
まずステップS21では、
図9Aに示すように、ユーザが、ニードル8”のニードル本体81aを、ニードルガイド82aにセットしているものとする。このとき、ニードル本体81aの振れ止め819aは、規制板827の段落ち部827aに係止されており、このニードル本体81aは、ニードルガイド82aの手前側にあって、その先端部と袋体4とはまったく接触していない。
【0249】
ステップS22では、ユーザがウォーターサーバー1のボトルホルダ2’を閉めて、ボトルホルダ2のようにした状態とする。しかる後に、
図9Bに示すように、そのユーザがボタン826を押圧操作して、圧縮バネ826aの付勢力に抗して規制板827を押し下げると、ニードル本体81aの振れ止め819aは、規制板827の段落ち部827aから外れる。これにより、ユーザはレバー818aを持って、ニードル本体81aを前方に進めることができるようになる。すると、ニードル本体81aは、ニードルガイド82aに案内されて、スライドしていき、その先端部がやがて袋体4と当接する。
【0250】
ステップS23では、
図9Cに示すように、ニードル本体81aが、さらに前方へとスライドしていく。そして、ストロークの先端までスライドすると、圧縮バネ826aが伸びて、その圧縮バネ826aの付勢力で規制板827を押し上げるので、ニードル本体81aの振れ止め819aは、規制板827の段落ち部827bに係止される。このとき、ニードル本体81aは、袋体4の正面下方を突き破って、その内部にまで到達する。すると、袋体4内の飲料水が、該袋体4を縮小させるように働く張力と、飲料水にかかる重力との同時作用により、ニードル本体81aを介して、ホース9へ排出される。
【0251】
ホース9に排出された飲料水は、さらにライン10を通って、冷水タンク5と温水タンク6にそれぞれ供給される。冷水タンク5で冷された飲料水と、温水タンク6で温められた飲料水とは、それぞれの給水口11,12を開閉することにより、図示しないコップ等に所定量だけ注がれる。
【0252】
袋体4内の飲料水を使いきってしまうと、それを飲料水が充填された別の袋体4と交換する必要があるが、このときには、ウォーターサーバー1のボトルホルダ2を再び開いて、ボトルホルダ2’のようにした状態で、ボタン826を押圧操作しながら、レバー818aを引き戻し操作して、ニードル8”のニードル本体81aを袋体4から引きぬくことになる。そして、別の袋体4を所定位置にセットした後、再度前記各ステップS21〜S23を繰り返すことにより、給水を行うことができるようになる。
【0253】
以上説明したように、本実施形態3のニードル8”を用いたウォーターサーバー1によれば、ニードル本体81aの先端部をニードルガイド82aの案内部に沿って、手動操作で出没させることを阻止する阻止機構を備え、前記手動操作で出没させるときには、前記阻止機構が手動操作で解除されたことを条件とするので、前記ニードル本体81aの先端部が勝手に出没するおそれがなくなる。
【0254】
なお、上記実施形態1〜3では、袋体4から給水される冷水タンク5と温水タンク6との両方を備えたウォーターサーバー1について説明しているが、そのうちの一方のタンクだけを備えたウォーターサーバーについても同様に適用できる。
【0255】
また、上記実施形態1,3では、手動操作でニードル8を袋体4にストレートに押し込んでおり、上記実施形態2では、自動的にニードル8’を袋体4にねじり込んでいるが、上記実施形態1,3について、自動的にニードル8を袋体4にストレートに押し込んでもよいし、上記実施形態2について、手動操作でニードル8’を袋体4にねじり込んでもよい。
【0256】
また、上記実施形態1,3では、ユーザがニードル本体81の基部813を押圧操作しているが、リンク機構等を介して手動操作を行うようにしてもよい。この場合は、成人男性に比べて体力がない子供やお年寄りや女性であっても、当該操作を容易に行うことができる。ただし、低コストなどの観点から、できるだけ簡単な構成とするのが好ましい。
【0257】
また、上記実施形態2では、バネ89の弾性付勢力を利用してニードル本体83を自動的に押圧動作させているが、電動モータ等で当該押圧動作を行うようにしてもよい。この場合は、低コストに加えて省エネルギーなどの観点からも、できるだけ簡単で信頼性のある構成とするのが好ましい。
【0258】
また、上記実施形態2では、ニードル8’のニードル本体83の先端部831に段部835aと螺旋状のリブ836との両方を設けて袋体4にできるだけねじ込み易くしているが、そのねじ込みに対する袋体4からの抵抗が少ない場合には、それらの一方を設けることとしてもよいし、場合によっては、上記実施形態1と同様に、それらのいずれをも設けないこととしてもよい。
【0259】
(第一発明の実施形態4)
図1Aは本発明の実施形態1〜3に係るウォーターサーバー1の全体構成を模式的に示す側断面図、
図1Bはそのボトルホルダ2の横断面図でもある。なお、同
図1A中の左側が正面、右側が背面をそれぞれ示しており、
図1B中の下側が正面、上側が背面をそれぞれ示している。また、ウォーターサーバー1の材料としては、主に合成樹脂、ゴム、金属などが適所に使用されている。
【0260】
図1Aに示すように、このウォーターサーバー1は、ボトルホルダ2と本体3とからなっている。ボトルホルダ2は、液体としての飲料水の入った袋体(第一容器に相当する。)4を内部にセットし、或いは、このセットした袋体4を外部に取り出すために、本体3上で開閉自在に取り付けられている(
図1A中の符号2は閉状態、符号2’は開状態をそれぞれ示している)。また、本体3の内部には、飲料水を冷却する冷水タンク(第二容器に相当する。)5と、飲料水を温める温水タンク(第三容器に相当する。)6とが上下に配置されている。
【0261】
袋体4は、例えば多層構造のナイロンフィルムなどの伸縮性に富む材料からなり、その内部に充填された飲料水の減少につれて縮小変形可能なものである。そして、飲料水が充填された初期状態では、全体として丸みを帯び、かつ、やや扁平な六面体状をなしている。ここでは、この袋体4を、支持部7で略立ち姿勢にて支持するようになっている。袋体4の初期状態における形状としては、例えば正方形や円筒形状など他の形状であってもよい。
【0262】
支持部7は、袋体4の縮小変形をできるだけ邪魔しないように、背面から正面寄りにかけて比較的大きなアールを設けるとともに、正面で比較的小さなアールを設けている。そして、両アール間で、袋体4の内部に充填された飲料水の取り出し時に、その袋体4が無理なねじれを生じることなく縮小変形するようにセットできるようになっている。なお、図示はしていないが、支持部7の左右両側にも適当なアールを設けて、同様の作用効果を奏するようになっている。また、
図1Bに示すように、支持部7の左右方向の中心付近が、適当なアールでもって背面側に突出することにより膨出部71が形成されている。これにより、飲料水が充填された袋体4を支持部7で略立ち姿勢にて支持すると、該袋体4が自重で変形して、その正面の底面41付近において支持部7の膨出部71に密着した状態が得られるようになっている。
【0263】
このようにして支持部7で支持された袋体4は、その正面側の底面41付近において、ニードル8を該底面41と略平行に突き刺すことにより、その部位に孔42を確実に開けることができる。ニードル8は、正面側の支持部7に取り付けられている。なお、ニードル8は袋体4の底面41にできるだけ近い部位に突き刺すことが好ましいが、袋体4の形状等によっては、ニードル8を袋体4の底面41から離れた部位に突き刺すことがある。その場合には、ニードル8を先下がり或いは先上りとなる向きに突き刺すようにすればよい。さらに、極端な場合には、ニードル8を袋体4の上部から下向きに突き刺すようにしてもよい。
【0264】
そして、ニードル8の基部に接続された例えばシリコンゴム製の可撓性ホース9と、このホース9にさらに接続されたライン10とを介して、袋体4から取り出された飲料水が冷水タンク5に供給されるようになっている。また、冷水タンク5に供給された飲料水の一部が連通管102を介して、温水タンク6にも供給されるようになっている。
【0265】
冷水タンク5には、飲料水を冷却するための冷凍機等の冷却手段50が備わっており、袋体4から供給された飲料水は、この冷却手段50で冷却されることにより、冷水タンク5内で4〜10℃程度の温度に維持されるようになっている。
【0266】
温水タンク6には、飲料水を加熱するためのバンドヒータやシーズヒータ等の加熱手段60が備わっており、袋体4から供給された飲料水は、この加熱手段60で加熱されることにより、温水タンク6内で80〜90℃程度の温度に維持されるようになっている。
【0267】
また、冷水タンク5で冷された飲料水と、温水タンク6で温められた飲料水とは、それぞれの給水口11,12を開閉することにより、図示しないコップ等に所定量だけ注がれるようになっている。
【0268】
図10は本実施形態4に係る冷水タンク5及び温水タンク6のエア抜き構造の概念図、
図11はその凸部101まわりの斜視図である。
図10に示すように、冷水タンク5の頂部付近に凸部101を設けるとともに、この凸部101内と温水タンク6内とを先下がりで連通する連通管102を備えている。具体的には、
図11に示すように、略円筒状の凸部101を冷水タンク5の頂部から若干突出させるとともに、連通管102の上端を凸部101内に挿入して開口させることにより、いわゆる二重管状構造としている。そして、ライン10を、この凸部101から離間した部位に接続することで、ライン10から供給される飲料水Wが、連通管102から直接流出しないようになっており、これにより、冷水タンク5内の空気Aを温水タンク6内に流出しやすいようにもなっている。なお、連通管102は、その配置によっては、若干曲げることも許容されるが、その場合でも、できるだけエア溜まりを生じないように、たとえば先下がりとなっていることはいうまでもない。
【0269】
また、冷水タンク5内の飲料水Wを該冷水タンク5の底部付近から先下がりで排出する排液管51を設けるとともに、温水タンク6内の飲料水Wを該温水タンクの頂部付近から排出する排出管63を設けている。
【0270】
以下、本実施形態4に係る冷水タンク5及び温水タンク6のエア抜き構造の動作手順(ステップS31〜S33)を説明する。なお、ステップS31に入る前に、ウォーターサーバー1のボトルホルダ2を開いて、ボトルホルダ2’のようにした状態で、支持部7上に袋体4を略立ち姿勢で支持することにより、その袋体4を所定位置にセットしているものとする。
【0271】
ステップS31では、袋体4から冷水タンク5内への飲料水Wの供給を開始する。まず、ニードル8を支持部7にセットする。ユーザはニードル8を袋体4に押し込むように手動操作する。すると、ニードル8の先端部が、袋体4の正面下方を突き破って、その内部にまで到達する。
【0272】
すると、袋体4が縮小する向きに働く張力と、該袋体4内に充填された飲料水W自身の重量とが同時に作用することによって、袋体4内の飲料水Wが、ニードル8からホース9内へと排出される。ホース9に排出された飲料水Wは、さらにライン10を通って、冷水タンク5に供給される。しかる後に、ウォーターサーバー1のボトルホルダ2’を閉めて、ボトルホルダ2のようにした状態とする。ただし、ボトルホルダ2は必ずしも開閉可能とする必要はなく、例えば本体3上に載置しただけでもよい。
【0273】
ところで、初期状態においては、冷水タンク5の給水口11と、温水タンク6の給水口12がともに閉じられている。そうすると、袋体4から冷水タンク5及び温水タンク6内に飲料水Wを供給しようとしても、冷水タンク5内と温水タンク6内とにそれぞれ大量の空気Aが入っているために、両タンク5,6内に飲料水Wが供給されにくい。そこで、ステップS32では、温水タンク6の給水口12だけを開くと、冷水タンク5内の空気Aが凸部101に集められ、そこから連通管102を通って、温水タンク6内へと流出される。温水タンク6内に流出した空気Aは排出管63を介して給水口12から外部に排出される。このため、ライン10から冷水タンク5内に飲料水Wが供給されるようになる。
【0274】
そして、冷水タンク5内が飲料水Wで満たされると、今度は連通管102から温水タンク6へ飲料水Wが流出する。温水タンク6がこの飲料水Wで満たされるまで、給水口12から空気Aが出てくるので、それまでは、給水口12は開いたままとする。温水タンク6が飲料水Wで満たされた後のそれぞれのタンク5,6からの使用分は、各タンク5,6に個別に供給されるようになる。
【0275】
このようにして、冷水タンク5内に飲料水Wが供給される際に、この供給される飲料水Wで冷水タンク5内の初期空気が連通管102を通じて温水タンク6に排出されることにより、冷水タンク5内を速やかにエアレス状態とすることができる。しかる後に、給水口12を閉じる。
【0276】
その後、ステップS33では、冷水タンク5で冷された飲料水Wと、温水タンク6で温められた飲料水Wとは、それぞれの給水口11,12を開閉することにより、図示しないコップ等に所定量だけ注がれる。
【0277】
袋体4内の飲料水Wを使いきってしまうと、それを飲料水Wが充填された別の袋体4と交換する必要があるが、このときには、ウォーターサーバー1のボトルホルダ2を再び開いて、ボトルホルダ2’のようにした状態で、ニードル8を袋体4から引きぬくことになる。そして、別の袋体4を所定位置にセットした後、再度前記各ステップS1〜S3を順に繰り返すことにより、給水を行うことができるようになる。
【0278】
以上説明したように、本実施形態4によれば、冷水タンク5内の頂部付近と温水タンク6内とを先下がりで連通する連通管102と、袋体4から冷水タンク5に飲料水Wを供給したときに、連通管102を介して冷水タンク5から温水タンク6内に排出された空気A又は飲料水Wを該温水タンク6の頂部付近から排出する排出管63とを備えたので、袋体4から冷水タンク5内に飲料水Wが供給されると、冷水タンク5内の空気Aが圧縮され、この圧縮された空気Aが前記連通管102を介して温水タンク6内に排出され、この温水タンク6内に排出された空気Aが排出管63を介して温水タンク6から外部に排出される。その結果、特に初期状態時において、冷水タンク5及び温水タンク6内がエアレス状態となるまでの時間を大幅に短縮することができる。
【0279】
また、本実施形態4によれば、冷水タンク5内の飲料水Wを該冷水タンク5の底部付近から排出する排液管51を先下がりに設けたので、冷水タンク5の底部付近にある比較的冷たい飲料水Wを、頂部付近の比較的温かい飲料水Wと混合させることなく冷水タンク5外に排出できるので、冷却効率の向上を図ることができる。
(第一発明の実施形態5)
【0280】
図12は本実施形態5に係る冷水タンク5及び温水タンク6のエア抜き構造の概念図、
図13はその凸部101まわりの斜視図である。
【0281】
本実施形態5では、
図12に示すように、冷水タンク5の頂部付近に前記袋体4から飲料水Wが供給される凸部101を設けるとともに、この凸部101内と温水タンク6内とを先下がりで連通する連通管102を備えている。具体的には、
図13に示すように、略円筒状の凸部101を冷水タンク5の頂部から若干突出させるとともに、連通管102の上端を凸部101内に挿入して開口させることにより、いわゆる二重管状構造としている。そして、ライン10を、この凸部101の側壁の適宜部位に接続することで、ライン10から供給される飲料水Wが、連通管102から直接流出しないようになっている。また、凸部101におけるライン10が接続された部位とは異なる部位(例えば
図13中の手前側)で、連通管102に上端の一部をU字状に切り欠くことにより、切り欠き部103を形成しており、冷水タンク5内の空気Aを温水タンク6内に流出しやすいようにもなっている。
【0282】
また、冷水タンク5内の飲料水Wを該冷水タンク5の底部付近から先下がりで排出する排液管51を設けるとともに、温水タンク6内の飲料水Wを該温水タンクの頂部付近から排出する排出管63を設けている。
【0283】
以下、本実施形態5に係る冷水タンク5及び温水タンク6のエア抜き構造の動作手順(ステップS41〜S43)を説明する。なお、ステップS41に入る前に、ウォーターサーバー1のボトルホルダ2を開いて、ボトルホルダ2’のようにした状態で、支持部7上に袋体4を略立ち姿勢で支持することにより、その袋体4を所定位置にセットしているものとする。
【0284】
ステップS41では、袋体4から冷水タンク5内への飲料水Wの供給を開始する。まず、ニードル8を支持部7にセットする。ユーザはニードル8を袋体4に押し込むように手動操作する。すると、ニードル8の先端部が、袋体4の正面下方を突き破って、その内部にまで到達する。
【0285】
すると、袋体4が縮小する向きに働く張力と、該袋体4内に充填された飲料水W自身の重量とが同時に作用することによって、袋体4内の飲料水Wが、ニードル8からホース9内へと排出される。ホース9に排出された飲料水Wは、さらにライン10を通って、冷水タンク5の凸部101に供給される。しかる後に、ウォーターサーバー1のボトルホルダ2’を閉めて、ボトルホルダ2のようにした状態とする。ただし、ボトルホルダ2は必ずしも開閉可能とする必要はなく、例えば本体3上に載置しただけでもよい。
【0286】
ところで、初期状態においては、冷水タンク5の給水口11と、温水タンク6の給水口12がともに閉じられている。そうすると、袋体4から冷水タンク5及び温水タンク6内に飲料水Wを供給しようとしても、冷水タンク5内と温水タンク6内とにそれぞれ大量の空気Aが入っているために、両タンク5,6内に飲料水Wが供給されにくい。そこで、ステップS42では、温水タンク6の給水口12だけを開くと、冷水タンク5内の空気Aが凸部101に集められ、そこから連通管102を通って、温水タンク6内へと流出される。温水タンク6内に流出した空気Aは排出管63を介して給水口12から外部に排出される。このため、凸部101と連通管102との隙間から冷水タンク5内に飲料水Wが供給されるようになる。
【0287】
そして、冷水タンク5内が飲料水Wで満たされると、今度は連通管102から温水タンク6へ飲料水Wが流出する。温水タンク6がこの飲料水Wで満たされるまで、給水口12から空気Aが出てくるので、それまでは、給水口12は開いたままとする。温水タンク6が飲料水Wで満たされた後のそれぞれのタンク5,6からの使用分は、各タンク5,6に個別に供給されるようになる。
【0288】
このようにして、冷水タンク5内に飲料水Wが供給される際に、この供給される飲料水Wで冷水タンク5内の初期空気が連通管102を通じて温水タンク6に排出されることにより、冷水タンク5内を速やかにエアレス状態とすることができる。しかる後に、給水口12を閉じる。
【0289】
その後、ステップS43では、冷水タンク5で冷された飲料水Wと、温水タンク6で温められた飲料水Wとは、それぞれの給水口11,12を開閉することにより、図示しないコップ等に所定量だけ注がれる。
【0290】
袋体4内の飲料水Wを使いきってしまうと、それを飲料水Wが充填された別の袋体4と交換する必要があるが、このときには、ウォーターサーバー1のボトルホルダ2を再び開いて、ボトルホルダ2’のようにした状態で、ニードル8を袋体4から引きぬくことになる。そして、別の袋体4を所定位置にセットした後、再度前記各ステップS41〜S43を順に繰り返すことにより、給水を行うことができるようになる。
【0291】
以上説明したように、本実施形態5によれば、凸部101内に袋体4からの飲料水Wを供給するように構成したので、上記実施形態4の作用効果に加え、さらに冷水タンク5の頂部付近のノズル配置が容易となるといったメリットがある。
【0292】
(第一発明の実施形態6)
図14は本発明の実施形態6,7に係るウォーターサーバー1の全体構成を模式的に示す側断面図である。なお、同図中の左側が正面、右側が背面をそれぞれ示している。また、ウォーターサーバー1の材料としては、主に合成樹脂、ゴム、金属などが適所に使用されている。
【0293】
図14に示すように、このウォーターサーバー1は、ボトルホルダ2と本体3とからなっている。ボトルホルダ2は、液体としての飲料水の入った袋体(第一容器に相当する。)4を内部にセットし、或いは、このセットした袋体4を外部に取り出すために、本体3上で開閉自在に取り付けられている(
図14中の符号2は閉状態、符号2’は開状態をそれぞれ示している)。また、本体3の内部には、飲料水を冷却する冷水タンク(第二容器に相当する。)5と、飲料水を温める温水タンク(第三容器に相当する。)6とが上下に配置されている。
【0294】
袋体4は、例えば多層構造のナイロンフィルムなどの伸縮性に富む材料からなり、その内部に充填された飲料水の減少につれて縮小変形可能なものである。そして、飲料水が充填された初期状態では、全体として丸みを帯び、かつ、やや扁平な六面体状をなしている。ここでは、この袋体4を、支持部7で略立ち姿勢にて支持するようになっている。袋体4の初期状態における形状としては、例えば正方形や円筒形状など他の形状であってもよい。
【0295】
支持部7は、袋体4の縮小変形をできるだけ邪魔しないように、背面から正面寄りにかけて比較的大きなアールを設けるとともに、正面で比較的小さなアールを設けている。そして、両アール間で、袋体4の内部に充填された飲料水の取り出し時に、その袋体4が無理なねじれを生じることなく縮小変形するようにセットできるようになっている。なお、図示はしていないが、支持部7の左右両側にも適当なアールを設けて、同様の作用効果を奏するようになっている。
【0296】
支持部7で支持された袋体4は、その正面側の底面付近において、ニードル8を水平或いは若干先下がりとなるような向きに突き刺すことにより、その部位に孔を開けることができる。ニードル8は、正面側の支持部7に取り付けられて前記袋体4に突き刺すようになっている。
【0297】
そして、ニードル8の基部に接続された例えばシリコンゴム製の可撓性ホース9と、このホース9にさらに接続されたライン10とを介して、袋体4から取り出された飲料水が冷水タンク5の凸部101に供給されるようになっている。また、冷水タンク5の凸部101に供給された飲料水の一部が連通管102を介して、温水タンク6にも供給されるようになっている。
【0298】
冷水タンク5には、飲料水を冷却するための冷凍機等の冷却手段50が備わっており、袋体4から供給された飲料水は、この冷却手段50で冷却されることにより、冷水タンク5内で4〜10℃程度の温度に維持されるようになっている。
【0299】
温水タンク6には、飲料水を加熱するためのバンドヒータやシーズヒータ等の加熱手段60が備わっており、袋体4から供給された飲料水は、この加熱手段60で加熱されることにより、温水タンク6内で80〜90℃程度の温度に維持されるようになっている。
【0300】
また、冷水タンク5で冷された飲料水と、温水タンク6で温められた飲料水とは、それぞれの給水口11,12を開閉することにより、図示しないコップ等に所定量だけ注がれるようになっている。
【0301】
図15は本実施形態6に係る冷水タンク5及び温水タンク6のエア抜き構造の概念図、
図16は凸部101の斜視図、
図17はベンチュリー管52の斜視図、
図18はオリフィス54の斜視図である。
【0302】
図15に示すように、冷水タンク5の頂部付近に前記袋体4から飲料水Wが供給される凸部101を設けるとともに、この凸部101内と温水タンク6内とを先下がりで連通する連通管102を備えている。具体的には、
図16に示すように、略円筒状の凸部101を冷水タンク5の頂部から若干突出させるとともに、連通管102の上端を凸部101内に挿入して開口させることにより、いわゆる二重管状構造としている。そして、ライン10と後述する排気管53とを、この凸部101の平面視で正反対の部位にそれぞれ接続することで、ライン10から供給される飲料水Wが、排気管53から直接流出しないようになっている。また、凸部101におけるライン10と排気管53との中間の部位(例えば
図16中の手前側)で、連通管102に上端の一部をU字状に切り欠くことにより、切り欠き部103を形成しており、冷水タンク5内の空気Aを温水タンク6内に流出しやすいようにもなっている。ただし、凸部101を設けていない場合には、ライン10と排気管53とを冷水タンク5の頂部付近に配置することが好ましい。
【0303】
また、冷水タンク5内の飲料水Wを該冷水タンク5の底部付近から先下がりで排出する排液管51と、前記冷水タンク5内の空気Aを凸部101から絞り部を介して排出する排気管53とを備えるとともに、前記排液管51に前記排気管53を該冷水タンク5の底部よりも低い部位で接続する接続部を設けている。
【0304】
このとき、流体におけるエネルギー保存則である「ベルヌイの定理」より、冷水タンク5内に比べて、排液管51の接続部における静圧は、その排液管51内での飲料水Wの流れによる動圧だけ低くなる。そして、冷水タンク5内の液面と排液管51の接続部とのヘッド差が大きくなるほど、排液管51内での流れは速くなることから、それに応じて排気管53からの空気Aを吸引しやすくなる。なお、実際には排液管51の出口端までがヘッド差となるが、ここでは余裕をみて接続部までをヘッド差としている。また、管路抵抗は無視できるものとしている。
【0305】
前記接続部は、ベンチュリー管52で構成されている。すなわち、
図17に示すように、ベンチュリー管52は、第一大径部521と、縮径部522と、小径部523と、拡径部524と、第二大径管525と、吸引管526と、合流部527とからなっている。第一大径部521は冷水タンク5側の排液管51に接続され、第二大径部525は給水口11側の排液管51に接続される。また、吸引管526は小径部523の合流部527にて直角に接続され、その先端が排気管53に接続される。
【0306】
このベンチュリー管52では、冷水タンク5側の排液管51から第一大径部521内に速度v1で流入した飲料水Wが、縮径部522で流速を上げながら小径部523に導かれ、そこで速度v2とされる。すると、小径部523内での動圧は、前述の排液管51における動圧よりも高くなるので、それに応じて吸引管526からの空気Aをさらに吸引しやすくなる。ここでは、空気Aは速度v3で吸引されるものとしている。小径部523を通過した飲料水Wは、今度は拡径部524でその流速を下げながら、第二大径部525から給水口11側の排液管51に導かれる。
【0307】
前記排気管53の中間部に、絞り部としてのオリフィス54を設けている。すなわち、
図18に示すように、オリフィス54は、本体541と、本体541を貫通する孔542とからなっているが、その孔径は空気Aの通過量に応じて設定される。また、このオリフィス54は、貫通孔542の軸心が縦向きとなる姿勢で設けている。その理由は、オリフィス54の貫通孔542を、空気Aが通過した後に、飲料水Wが通過することとなるが、オリフィス54の貫通孔542の軸心が横向きとなる姿勢としたのでは、先に通過した空気Aの一部が貫通孔542の周囲に滞留することにより、その後の飲料水Wの通過を阻害することとなり、オリフィス54の抵抗損失を不安定なものとする現象を生じるおそれがあるからである。また、残留した空気Aによる雑菌の繁殖を防ぐためでもある。
【0308】
オリフィス54は、排気管53に接続される本体541の貫通孔542内に速度v4で流入した空気Aや飲料水Wやその混合体が貫通孔542内を通過する際に、夫々の比重量の大きさに比例した管路抵抗を与えるものである。例えば飲料水Wが貫通孔542を通過する際の管路抵抗は、空気Aが貫通孔542を通過する際の管路抵抗の略1000倍となる。飲料水Wと空気Aとの混合体の場合は、それらの比率により中間の管路抵抗が与えられる。これにより、空気Aや混合体は貫通孔542を通過しやすいが、飲料水Wは貫通孔542を通過しにくくなる。
【0309】
以下、本実施形態6に係る冷水タンク5及び温水タンク6のエア抜き構造の動作手順(ステップS51〜S54)を説明する。なお、ステップS51に入る前に、ウォーターサーバー1のボトルホルダ2を開いて、ボトルホルダ2’のようにした状態で、支持部7上に袋体4を略立ち姿勢で支持することにより、その袋体4を所定位置にセットしているものとする。
【0310】
ステップS51では、袋体4から冷水タンク5内への飲料水Wの供給を開始する。まず、ニードル8を支持部7にセットする。ユーザはニードル8を袋体4に押し込むように手動操作する。すると、ニードル8の先端部が、袋体4の正面下方を突き破って、その内部にまで到達する。
【0311】
すると、袋体4が縮小する向きに働く張力と、該袋体4内に充填された飲料水W自身の重量とが同時に作用することによって、袋体4内の飲料水Wが、ニードル8からホース9内へと排出される。ホース9に排出された飲料水Wは、さらにライン10を通って、冷水タンク5の凸部101に供給される。しかる後に、ウォーターサーバー1のボトルホルダ2’を閉めて、ボトルホルダ2のようにした状態とする。ただし、ボトルホルダ2は必ずしも開閉可能とする必要はなく、例えば本体3上に載置しただけでもよい。
【0312】
ところで、初期状態においては、冷水タンク5の給水口11と、温水タンク6の給水口12がともに閉じられている。そうすると、凸部101から冷水タンク5及び温水タンク6内に飲料水Wを供給しようとしても、冷水タンク5内と温水タンク6内とにそれぞれ大量の空気Aが入っているために、両タンク5,6内に飲料水Wが供給されにくい。そこで、ステップS52では、温水タンク6の給水口12だけを開くと、冷水タンク5内の空気Aが凸部101から連通管102を通って、温水タンク6内へと流出される。温水タンク6内に流出した空気Aは排出管63を介して給水口12から外部に排出される。このため、凸部101と連通管102との隙間から冷水タンク5内に飲料水Wが供給されるようになる。
【0313】
そして、冷水タンク5内が飲料水Wで満たされると、今度は連通管102から温水タンク6へ飲料水Wが流出する。温水タンク6がこの飲料水Wで満たされるまで、給水口12から空気Aが出てくるので、それまでは、給水口12は開いたままとする。温水タンク6が飲料水Wで満たされた後のそれぞれのタンク5,6からの使用分は、各タンク5,6に個別に供給されるようになる。
【0314】
このようにして、冷水タンク5内に飲料水Wが供給される際に、この供給される飲料水Wで冷水タンク5内の初期空気が連通管102を通じて温水タンク6に排出されることにより、冷水タンク5内を速やかにエアレス状態とすることができる。しかる後に、給水口12を閉じる。
【0315】
ところで、なんらかの原因で冷水タンク5内に空気Aが若干混入したとする。このときには、冷水タンク5内の液位は、依然として高い状態となっているはずである。そこで、ステップS53では、冷水タンク5内の液位が高い状態での飲料水の取り出しを行う。このときには、給水口11を開ける。すると、排液管51内を飲料水Wが移動し、その排液管51内の飲料水Wの流れによって、冷水タンク5の上部に介在する空気Aが、排気管53とオリフィス54とを通じてベンチュリー管52へ引かれる現象が起きる。
【0316】
やがて冷水タンク5内の空気Aが少なくなると、今度は排気管53から空気Aに混じって少量の飲料水Wがベンチュリー管52へ引かれる現象が起きることとなる。このときには、オリフィス54内には空気Aと飲料水Wとの混合体が通過するが、その比重量は空気Aのそれに近いものとなるから、オリフィス54の抵抗損失は空気Aに対するものとほぼ同じと考えてよい。したがって、冷水タンク5の上部に介在する空気Aと飲料水Wとの混合体が、排気管53とオリフィス54とを通じて排液管51の接続部にあるベンチュリー管52で引かれる現象が起きやすくなっている。その結果、冷水タンク5内に溜まった空気Aが飲料水Wとともに、外部に速やかに排気される。
【0317】
ステップS54では、冷水タンク5内がほぼ満杯状態での飲料水Wの取り出しを行う。すなわち、冷水タンク5内の液位がさらに高くなって上部付近にまで上がってきたものとする。すると、排液管51内を飲料水Wが移動し、その排液管51内の飲料水Wの流れによって、冷水タンク5の上部に介在する空気Aがほとんどなくなり、その代わりに飲料水Wが排気管53とオリフィス54とを通じてベンチュリー管52へ引かれる現象が起きることとなる。
【0318】
このときには、オリフィス54内には飲料水Wだけが通過するが、その比重量は空気の比重量の1000倍にもなるから、オリフィス54の抵抗損失も空気Aの抵抗損失の1000倍にもなることが容易に理解できる。したがって、冷水タンク5の上部に介在する飲料水Wが、排気管53とオリフィス54とを通じてベンチュリー管52で引かれる現象が起きにくくなる。その結果、冷水タンク5内の上部付近からの飲料水Wは、外部に排水されにくくなる。
【0319】
そして、再びエアレス状態となった時点で、給水口11を閉じる。その後、冷水タンク5で冷された飲料水Wと、温水タンク6で温められた飲料水Wとは、それぞれの給水口11,12を開閉することにより、図示しないコップ等に所定量だけ注がれる。
【0320】
袋体4内の飲料水Wを使いきってしまうと、それを飲料水Wが充填された別の袋体4と交換する必要があるが、このときには、ウォーターサーバー1のボトルホルダ2を再び開いて、ボトルホルダ2’のようにした状態で、ニードル8を袋体4から引きぬくことになる。そして、別の袋体4を所定位置にセットした後、再度前記各ステップS1〜S4を順に繰り返すことにより、給水を行うことができるようになる。
【0321】
以上説明したように、本実施形態6によれば、袋体4から冷水タンク5に飲料水Wを供給する凸部101を該冷水タンク5内の頂部付近に設けるとともに、前記凸部101と温水タンク6内とを先下がりで連通する連通管102と、前記連通管102を介して前記冷水タンク5から前記温水タンク6内に排出された空気A又は飲料水Wを該温水タンク6の頂部付近から排出する排出管63とを備えたので、袋体4から冷水タンク5内に飲料水Wが供給されると、冷水タンク5内の空気Aが圧縮され、この圧縮された空気Aが前記連通管102を介して温水タンク6内に排出され、この温水タンク6内に排出された空気Aが排出管63を介して温水タンク6から外部に排出される。その結果、特に初期状態時において、冷水タンク5及び温水タンク6内がエアレス状態となるまでの時間を大幅に短縮することができる。
【0322】
また、本実施形態6によれば、冷水タンク5内の飲料水Wを該冷水タンク5の底部付近から排出する排液管51と、前記冷水タンク5内の空気Aを前記凸部101から絞り部を介して排出する排気管53とを備えるとともに、前記排液管51に前記排気管53を接続する接続部を設けたので、使用時において、排気管53から冷水タンク5の頂部付近の飲料水Wを吸引しにくくなる。したがって、冷水タンク5の底部付近にある比較的冷たい飲料水Wを、頂部付近の比較的温かい飲料水Wと混合させることなく冷水タンク5外に排出できるので、冷却効率の向上を図ることができる。
【0323】
ところで、管路抵抗の大きさや配置上の制約などによっては、冷水タンク5内の液面がいつまでも上昇することなく、その液面からベンチュリー管52までの間のヘッド差がほとんどとれないことがある。そこで、
図19に示す変形例1のように、排液管51には、冷水タンク5の底部付近における飲料水Wの排出部56とベンチュリー管52との間において排液管51を一旦立ち上げてから下げる。これにより、排液管51に飲料水の一時的な溜まり部55を例えば逆U字状に形成する。符号H1は溜まり部55の高さであるが、その頂部を冷水タンク5の天井より下方でかつ底部より上方に設定するとともに、ベンチュリー管52をタンク底部から若干でも下方に設定するのが好ましい。
【0324】
この変形例1によれば、飲料水Wは、袋体4からニードル8等を介して、冷水タンク5に給水される。冷水タンク5に入った飲料水Wは、該タンク5の底部付近にある排液管51の排出部56から排出される。この排出部56から排出された飲料水Wは、溜まり部55を通過した上で、排液管51からベンチュリー管52を介して排出される。
【0325】
したがって、溜まり部55の高さH1を冷水タンク5内の天井より下方でかつ底部より上方に設定しておけば、給水口11を開放したとしても、冷水タンク5内の液位が上昇してH≒H1となるまで、飲料水Wは排出されない。このときでも、袋体4からニードル8等を介して給水されているので、冷水タンク5内の空気Aは圧縮される。したがって、排気管53を通じて空気Aだけが排出されることになる。
【0326】
やがて、冷水タンク5内の液位が上昇して前記ヘッド差H≒H1となると、冷水タンク5に入った飲料水Wは、排液管51からベンチュリー管52を介して排出される。このとき、冷水タンク5内の空気Aは、排気管53からオリフィス54を介してベンチュリー管52に吸引されることで排出される。
【0327】
そして、溜まり部55を超えるまで飲料水Wが冷水タンク5に溜まることとなるが、その溜まった飲料水Wを同タンク5から抜き取る場合には、溜まり部55はサイフォンとして働くので、同タンク5内の残液が非常に少なくなる。
【0328】
このように、変形例1では、冷水タンク5の底部付近における飲料水Wの排出部56とベンチュリー管52との間において排液管51を一旦立ち上げてから下げることにより、該排液管51に飲料水の一時的な溜まり部55を形成したので、冷水タンク5内の液位を確保して、その液面からベンチュリー管52までの間で、ある程度のヘッド差Hがとれるようになる。
【0329】
(第一発明の実施形態7)
ところで、袋体4や冷水タンク5から空気Aを抜くために該袋体4や冷水タンク5は若干減圧されるので、これに連通する温水タンク6も若干減圧されることとなる。この減圧下にある温水タンク6内では、80〜90℃程度に温められた温水が沸騰し、この沸騰した温水が連通管102を逆流して袋体4や冷水タンク5に入り込むおそれがあった。これにより、特に冷水タンク5での冷却効率が低下し、この場合も省エネルギーの要請に反するものとなるといった不具合があった。
【0330】
図20は、本実施形態7に係る冷水タンク5及び温水タンク6のエア抜き構造の概念図、
図21はボルテックスダイオード62の斜視図である。本実施形態7では、上記不具合を解消するために、
図20に示すように、前記連通管102に、飲料水Wの逆流時に供給時よりもライン抵抗を大きくする流体素子としてのボルテックスダイオード62を設けている。なお、上記実施形態1〜6と共通する要素は、その詳細説明を省略する。
【0331】
ボルテックスダイオード62は、
図21に示すように、円筒形の本体621と、該本体621の周面において接線方向に接続された第一ノズル623と、前記本体の上端面(一端面に相当する。)において中心軸方向に接続された第二ノズル622とを備えている。
【0332】
このボルテックスダイオード62では、円筒形の本体621の周面における接線方向に接続された第一ノズル623から飲料水が流入すると、渦が形成され、それによる遠心力が作用して、中心の圧力が低下するので、大きな抵抗を生じる。その逆に、本体621の一端面の中心軸方向に接続された第二ノズル622から飲料水が流入すると、渦は形成されずに、小さな形状抵抗が生じるだけである。このように、ボルテックスダイオード62は、その一方から流体が流入すると抵抗が大きくなり、他方から流体が流入すると抵抗が極めて小さくなるので、いわば電気系におけるダイオードに類似した機能を果たすものである。
【0333】
そして、このボルテックスダイオード62は、本体621の上下両端面と第一ノズル623とが横向きとなり、かつ第二ノズル622が上向きとなるように配置している。かかる配置としたのは、先に通過した空気の一部が本体621内に残留しなくなり、その後に飲料水が第二ノズルから流入して本体621内を通過するのを阻害しなくなる結果、ボルテックスダイオード62内での飲料水の流れを不安定なものとする現象の発生を確実に防止するためである。
【0334】
図22A,
図23Aはボルテックスダイオード62の動作手順(ステップS61〜S64)を示す説明図(側面図)、
図22B,
図23Bはボルテックスダイオード62の動作手順(ステップS61〜S64)を示す説明図(平面図)である。以下、説明する。なお、ステップS61に入る前に、ウォーターサーバー1のボトルホルダ2を開いて、ボトルホルダ2’のようにした状態で、支持部7上に袋体4を略立ち姿勢で支持することにより、その袋体4を所定位置にセットしているものとする。
【0335】
ステップS61では、袋体4から冷水タンク5内への飲料水の供給を開始する。まず、ニードル8を支持部7にセットする。ユーザはニードル8を袋体4に押し込むように手動操作する。すると、ニードル8の先端部が、袋体4の正面下方を突き破って、その内部にまで到達する。
【0336】
すると、袋体4が縮小する向きに働く張力と、該袋体4内に充填された飲料水自身の重量とが同時に作用することによって、袋体4内の飲料水が、ニードル8からホース9内へと排出される。ホース9に排出された飲料水は、さらにライン10を通って、凸部101に供給される。
【0337】
凸部101に供給された飲料水は、冷水タンク5にそのまま供給されて、該冷水タンク5内に貯留される。この貯留された飲料水は、前記冷却手段50で冷却されることにより、冷水タンク5内で4〜10℃程度の温度に維持される。また、冷水タンク5内に溜まった空気が連通管102を介して温水タンク6内に排出されることで、該冷水タンク5内はエアレス状態となる。この際に冷水タンク5内は若干減圧された状態となることがある。
【0338】
ここで、連通管102の途中にボルテックスダイオード62が介装されて接続されているので、冷水タンク5からの空気は、このボルテックスダイオード62を経由して温水タンク6内に排出される。また、袋体4又は冷水タンク5から供給される飲料水も、このボルテックスダイオード62を経由して温水タンク6内に供給される。
【0339】
このときには、
図22A,
図22Bに示すように、飲料水は、前記連通管102に接続された第二ノズル622から本体621の軸回りに流入する(
図22A,
図22B中のA1)。すると、飲料水は、本体621内で半径方向の外側に向かって流れていき(
図22A,
図22B中のB1)、第一ノズル623から接線方向に流出する(
図22A,
図22B中のC1)。そして、第一ノズル623から再び連通管102を通って、温水タンク6に流れ込みはじめる。しかる後に、ウォーターサーバー1のボトルホルダ2’を閉めて、ボトルホルダ2のようにした状態とする。ただし、ボトルホルダ2は必ずしも開閉可能とする必要はなく、例えば本体3上に載置しただけでもよい。
【0340】
ステップS62では、温水タンク6内の液位が低い状態での飲料水の供給を行う。すなわち、最初は温水タンク6内には飲料水は入っていないが、上記のように袋体4又は冷水タンク5から連通管102を経由して温水タンク6内に飲料水が入ってくると、その液位が徐々に高くなる。このとき、温水タンク6は排出管63を通じて給水口12に接続されているから、温水タンク6内に溜まった空気は、給水口12を開けることで外部に排出される。このようにして、温水タンク6内もエアレス状態とされるが、その後に給水口12を閉めると若干減圧された状態となることがある。
【0341】
ステップS63では、温水タンク6内の液位が高い状態での飲料水の供給を行う。すなわち、温水タンク6内に供給された飲料水は温水タンク6内に貯留され、ここで前記加熱手段60で、80〜90℃程度まで加熱されたものとする。そして、この加熱された飲料水が、若干減圧状態となった温水タンク6内で沸騰して、連通管102内を飲料水が逆向きに移動し、ボルテックスダイオード62内にて逆流しようとする現象が起きたものとする。
【0342】
このときには、
図23A,
図23Bに示すように、温水タンク6で沸騰した飲料水が、連通管102に接続された第一ノズル623から本体621の外周より接線方向に流入する(
図23A,
図23B中のA2)。すると、飲料水は、本体621内で渦を発生するから、半径方向の内側に向かって流れにくくなり(
図23A,
図23B中のB2)、さらに第二ノズル622から軸回りに流出しにくくなる(
図23A,
図23B中のC2)。したがって、本体621内で形成される渦により、抵抗がきわめて大きくなり、飲料水が逆流しにくくなる。
【0343】
ステップS64では、冷水タンク5で冷された飲料水と、温水タンク6で温められた飲料水とは、それぞれの給水口11,12を開閉することにより、図示しないコップ等に所定量だけ注がれる。
【0344】
袋体4内の飲料水を使いきってしまうと、それを飲料水が充填された別の袋体4と交換する必要があるが、このときには、ウォーターサーバー1のボトルホルダ2を再び開いて、ボトルホルダ2’のようにした状態で、ニードル8を袋体4から引きぬくことになる。そして、別の袋体4を所定位置にセットした後、再度前記各ステップS61〜S64を順に繰り返すことにより、給水を行うことができるようになる。
【0345】
以上説明したように、本実施形態7によれば、連通管102に、飲料水Wの逆流時に供給時よりもライン抵抗を大きくする流体素子としてのボルテックスダイオード62を設けたので、袋体4や冷水タンク5からの飲料水Wが温水タンク6に直接供給され、逆流しにくくなるから、上記特許文献3,4のように、冷水タンク5での加熱効率や冷却効率が低下することがなくなり、省エネルギーの要請に応えるものとなる。
【0346】
また、逆流防止弁を設けた場合のように、該逆流防止弁が抵抗となって飲料水Wの流下を阻害することがなくなり、そのメンテナンスも不要となる。また、コイル部分やUシール部分などを設けた場合のように、該コイル部分やUシール部分などが抵抗となって飲料水Wの流下を阻害することがなくなり、そこに空気Aが滞留することがなくなる。したがって、エアレス構造を採用した場合にも、温水タンク6から袋体4や冷水タンク5への飲料水Wの逆流を抑えて、常に安定した給液を行うことができるようになる。
【0347】
ところで、上記実施形態7では、流体素子として、ボルテックスダイオード62を使用しているが、このボルテックスダイオード62をさらに改良したのが、変形例2のボルテックスダイオード62’である。以下の説明では、
図20において、ボルテックスダイオード62をボルテックスダイオード62’と読み替える。ただし、上記実施形態7と共通する要素については、上述した通りであるので、その詳細説明は省略する。
【0348】
この変形例2に係るウォーターサーバー1では、
図20に示すように、温水タンク6への飲料水は、その途中で流体素子としての改良型のボルテックスダイオード62’を介して供給されるようになっている。
【0349】
図24は変形例2に係るボルテックスダイオード62’の斜視図である。
【0350】
ボルテックスダイオード62’は、
図24に示すように、円筒形の本体621と、該本体621の周面において接線方向に接続された第一ノズル623と、前記本体の上端面において中心軸方向に接続された第二ノズル622と、本体621内に適所に配置された少なくとも1枚の案内フィン624とを備えている。
【0351】
ボルテックスダイオード62’でも、その本体621の上下両端面と第一ノズル623とが横向きとなるように、かつ、第二ノズル622が上向きとなるように配置している。かかる配置としたのは、上記理由に加えて、このボルテックスダイオード62’の場合には、さらも案内フィン624のまわりに空気が残留しないようにするためである。
【0352】
このボルテックスダイオード62’では、第二ノズル622から供給された飲料水が、本体621に流入し、本体621内の案内フィン624で案内されて、その後第一ノズル623から流出する。その際には、本体621内で渦がさらに形成されにくくなるため、抵抗はさらに小さくなる。これに対して、第一ノズル623から前記と逆向きに本体621に流入した飲料水が、本体621内の案内フィン624での案内方向に逆らって、第二ノズル622から流出しようとする。その際には、渦がさらに形成されやすくなるため、抵抗がさらに大きくなる。
【0353】
図25A,
図26Aはボルテックスダイオード62’の動作手順(ステップS71〜S74)を示す説明図(側面図)、
図25B,
図26Bはボルテックスダイオード62’の動作手順(ステップS71〜S74)を示す説明図(平面図)である。以下、説明する。なお、ステップS71に入る前に、ウォーターサーバー1のボトルホルダ2を開いて、ボトルホルダ2’のようにした状態で、支持部7上に袋体4を略立ち姿勢で支持することにより、その袋体4を所定位置にセットしているものとする。
【0354】
ステップS71では、袋体4から冷水タンク5及び温水タンク6内への飲料水の供給を開始する。まず、ニードル8を支持部7にセットする。ユーザはニードル8を袋体4に押し込むように手動操作する。すると、ニードル8の先端部が、袋体4の正面下方を突き破って、その内部にまで到達する。
【0355】
すると、袋体4が縮小する向きに働く張力と、該袋体4内に充填された飲料水自身の重量とが同時に作用することによって、袋体4内の飲料水が、ニードル8からホース9内へと排出される。ホース9に排出された飲料水は、さらにライン10を通って、凸部101に供給される。
【0356】
凸部101に供給された飲料水は、冷水タンク5にそのまま供給されて、該冷水タンク5内に貯留される。この貯留された飲料水は、前記冷却手段50で冷却されることにより、冷水タンク5内で4〜10℃程度の温度に維持される。また、冷水タンク5内に溜まった空気Aが連通管102を介して温水タンク6内に排出されることで、該冷水タンク5内はエアレス状態となる。この際に冷水タンク5内は若干減圧された状態となることがある。
【0357】
ここで、連通管102の途中にボルテックスダイオード62’が介装されて接続されているので、冷水タンク5からの空気は、このボルテックスダイオード62’を経由して温水タンク6内に排出される。また、袋体4又は冷水タンク5から供給される飲料水も、このボルテックスダイオード62’を経由して温水タンク6内に供給される。
【0358】
このときには、
図25A,
図25Bに示すように、飲料水は、前記連通管102に接続された第二ノズル622から本体621の軸回りに流入する(
図25A,
図25B中のA1)。すると、飲料水は、本体621内で案内フィン624に案内されて半径方向の外側に向かって流れていき(
図25A,
図25B中のB1)、第一ノズル623から接線方向に流出する(
図25A,
図25B中のC1)。そして、第一ノズル623から再び連通管102を通って、温水タンク6に流れ込みはじめる。しかる後に、ウォーターサーバー1のボトルホルダ2’を閉めて、ボトルホルダ2のようにした状態とする。ただし、ボトルホルダ2は必ずしも開閉可能とする必要はなく、例えば本体3上に載置しただけでもよい。
【0359】
ステップS72では、温水タンク6内の液位が低い状態での飲料水の供給を行う。すなわち、最初は温水タンク6内には飲料水が入っていないが、上記のように袋体4又は冷水タンク5から温水タンク6内に飲料水が入ってくると、その液位が徐々に高くなる。このとき、温水タンク6は排出管63を通じて給水口12に接続されているから、温水タンク6内に溜まった空気Aは、この給水口12を開けることで外部に排出されることにより、温水タンク6内もエアレス状態とされる。その際に若干減圧された状態となることがある。
【0360】
ステップS73では、温水タンク6内の液位が高い状態での飲料水の供給を行う。すなわち、温水タンク6内の液位がある程度高くなってきており、温水タンク6内に供給された飲料水が前記加熱手段60で、80〜90℃程度まで加熱されたものとする。この加熱された飲料水は、若干減圧状態となった温水タンク内で沸騰して、前記連通管102内を飲料水が逆向きに移動し、ボルテックスダイオード62’内にて逆流しようとする現象が起きるものとする。
【0361】
このときには、
図26A,
図26Bに示すように、温水タンク6で沸騰した飲料水は、連通管102に接続された第一ノズル623から本体621の外周より接線方向に流入する(
図25A,
図25B中のA2)。すると、飲料水は、本体621内で案内フィン624の案内方向に逆らって流れるが、この際に渦を発生するから、半径方向の内側に向かっていっそう流れにくくなり(
図25A,
図25B中のB2)、さらに第二ノズル622から軸回りにいっそう流出しにくくなる(
図25A,
図25B中のC2)。したがって、本体621内では渦の発生により抵抗がさらに大きくなり、飲料水がさらに逆流しにくくなる。
【0362】
ステップS74では、冷水タンク5で冷された飲料水と、温水タンク6で温められた飲料水とは、それぞれの給水口11,12を開閉することにより、図示しないコップ等に所定量だけ注がれる。
【0363】
袋体4内の飲料水を使いきってしまうと、それを飲料水が充填された別の袋体4と交換する必要があるが、このときには、ウォーターサーバー1のボトルホルダ2を再び開いて、ボトルホルダ2’のようにした状態で、ニードル8を袋体4から引きぬくことになる。そして、別の袋体4を所定位置にセットした後、再度前記各ステップS71〜S74を順に繰り返すことにより、給水を行うことができるようになる。
【0364】
この変形例2によれば、温水タンク6から袋体4への飲料水の逆流をさらに抑えて、さらに安定した給水を行うことができるようになる。
【0365】
なお、上記実施形態6では、排液管51と排気管53との接続部にベンチュリー管52を設けているが、ヘッド差Hが大きくとれる場合などにあっては、このベンチュリー管52を省略することもできる。これにより、構造が比較的簡単なものとなり、さらなる低コスト化を図ることができる。
【0366】
また、上記実施形態6では、絞り部としてオリフィス54を例示しているが、ミニチュア弁等その他の絞り部であってもよい。ただし、ミニチュア弁では、誤って操作しないように固定等しておくことが好ましい。
【0367】
また、上記実施形態7では、流体素子としてのボルテックスダイオード62(62’)を冷水タンク5と温水タンク6との間にある連通管102に設けているが、両タンク5,6内のいずれかに設けてもよい。その場合はタンクと一体化することとしてもよい。例えば、
図1A,
図1Cでは、温水タンク6内における連通管102の下端(開放端)にボルテックスダイオード62”を設けている。この場合は、ボルテックスダイオード62”の設置スペースを確保しやすいといったメリットがある。また、ボルテックスダイオード62”では、その第一ノズル623は第二ノズル622を中心にして点対称となるように複数個(図では4個としているが、これに限定されない。)だけ配置したので、温水タンク6内での空気A又は飲料水Wの流れが偏りにくくなり、これにより温水タンク6内での自然対流を妨げるおそれがなくなるから、熱効率を向上させるなどのメリットもある。
【0368】
また、上記実施形態1〜7では、凸部101を冷水タンク5の頂部から突出させているが、冷水タンク5の頂部付近をそのまま凸部101としてもよい。また、ライン10が離間している場合は、連通管102の上端の切り欠き部103を省略してもよい。
【0369】
また、
図27に示す変形例3のように、温水タンク6の代わりに設けられたラインヒーター6’であってもよい。このラインヒーター6’では、その内部の電気加熱部60’で連通管102から給水された飲料水を直接加熱して温水とした上で排出管63から排出するようになっている。そして、連通管102の途中に上記と同様のボルテックスオード62(62’)を組み込むことにより、この連通管102からの給液が逆流するおそれをなくすことができる。なお、ラインヒーター6’は
図27のように筐体を縦向きにしたものであってもよいが、その筐体を横向きにしたものであってもよい。さらに、第二容器は、蒸気等電気以外の加熱源をも使用できる熱交換器であってもよく、その場合も上記と同様に本発明を適用できる。
【0370】
なお、上記実施形態1〜7では、液体として飲料水Wを例示しているが、その他の液体として、ジュース、酒類等のあらゆる液体であってもよい(飲料用液体に限定されない)。また、エア抜き時などに、そのエアの局所的な滞留を防ぐために、各タンクや各ライン中に適当な傾斜やアールをつけてもよい。また、上記実施形態1〜7を適宜組み合わせてもよいことはいうまでもない。その場合には、必要に応じて、袋体4、冷水タンク5、温水タンク6、さらには、ニードル8、連通管102などのいずれかを省略することとしてもよいのはもちろんである。
【0371】
(第二発明の実施形態1)
以下、第二発明の実施形態における
図1〜
図13は、上記図面の簡単な説明における
図29〜
図41と読み替える。
図1は第二発明の実施形態1に係るウォーターサーバー1の全体構成を模式的に示す側面図である。なお、同図中の左側が正面、右側が背面をそれぞれ示している。また、ウォーターサーバー1の材料としては、主に合成樹脂、ゴム、金属などが適所に使用されている。
【0372】
図1に示すように、このウォーターサーバー1は、ボトルホルダ2と本体3とからなっている。ボトルホルダ2は、液体としての飲料水の入った袋体(第一容器に相当する。)4を内部にセットし、或いは、このセットした袋体4を外部に取り出すために、本体3上で開閉自在に取り付けられている(
図1中の符号2は閉状態、符号2’は開状態をそれぞれ示している。)また、本体3の内部には、飲料水を冷却する冷水タンク(第二容器に相当する。)5と、飲料水を温める温水タンク(第二容器に相当する。)6とが上下に配置されている。本体3の高さ制限がある場合などには、冷水タンク5と温水タンク6とを並列配置してもよい。
【0373】
袋体4は、例えば多層構造のナイロンフィルムなどの伸縮性に富む材料からなり、その内部に充填された飲料水の減少につれて縮小変形可能なものである。そして、飲料水が充填された初期状態では、全体として丸みを帯び、かつ、やや扁平な六面体状をなしている。ここでは、この袋体4を、支持部7で略立ち姿勢にて支持するようになっている。袋体4の初期状態における形状としては、例えば正方形や円筒形状など他の形状であってもよい。
【0374】
支持部7は、袋体4の縮小変形をできるだけ邪魔しないように、背面から正面寄りにかけて比較的大きなアールを設けるとともに、正面で比較的小さなアールを設けている。そして、両アール間で、袋体4の内部に充填された飲料水の取り出し時に、その袋体4が無理なねじれを生じることなく縮小変形するようにセットできるようになっている。なお、図示はしていないが、支持部7の左右両側にも適当なアールを設けて、同様の作用効果を奏するようになっている。
【0375】
支持部7で支持された袋体4は、その正面側の底面付近において、棒状部材としてのニードル8を水平或いは若干先下がりとなるような向きに突き刺すことにより、その部位に孔を開けることができる。ニードル8は、正面側の支持部7に取り付けられて前記袋体4に突き刺すようになっている。
【0376】
そして、ニードル8の基部に接続された例えばシリコンゴム製の可撓性ホース9と、このホース9にさらに接続されたライン10とを介して、袋体4から取り出された飲料水が冷水タンク5と温水タンク6とにそれぞれ供給されるようになっている。
【0377】
冷水タンク5には、飲料水を冷却するための冷凍機等の冷却手段50が備わっており、袋体4から供給された飲料水は、この冷却手段50で冷却されることにより、冷水タンク5内で4〜10℃程度の温度に維持されるようになっている。
【0378】
温水タンク6には、飲料水を加熱するためのバンドヒータやシーズヒータ等の加熱手段60が備わっており、袋体4から供給された飲料水は、この加熱手段60で加熱されることにより、温水タンク6内で80〜90℃程度の温度に維持されるようになっている。
【0379】
また、冷水タンク5で冷された飲料水と、温水タンク6で温められた飲料水とは、それぞれの給水口11,12を開閉することにより、図示しないコップ等に所定量だけ注がれるようになっている。
【0380】
図2〜
図4は本実施形態1係るニードルの構成及びその動作1〜3を示す説明図であって、(a)は平面図、(b)は(a)中のA−A断面図、(c)は(a)中のB−B断面図、(d)は(b)中のC矢視図である。
【0381】
図2,
図3の(a)〜(d)に示すように、ニードル8のニードル本体81は、尖塔状の先端部811と、先端部811に固定された略円柱状の中間部812と、中間部812にさらに固定された基部813とからなっている。ニードル本体81の先端部811における、少なくとも袋体4と接触する部位の材料としては、袋体4との密着性のよい合成樹脂製のものを使用することにより、袋体4に開けた孔からの飲料水の漏れをできるだけ少なくすることができる。その結果、袋体4の孔の周囲にリングやフランジなどの余分な取り付け手段を設ける必要がなくなる。
【0382】
先端部811の側面には開口814が形成されている。この開口814の具体的な形状と位置と個数とは任意であるが、できるだけ先端に略三角形状或いは略台形状のものを複数個設けるのが好ましい。そして、この開口814は先端部811の軸(横軸)まわりに形成された通路815でもって、基部813内に形成された開閉手段としてのコック816と連通し、ホース9やライン10などとともに連通路を構成している。
【0383】
コック816は前記横軸と直交する縦軸まわりに回転させることにより、その流路を閉じるか、或いは開放して下側に屈曲するように形成しており、この屈曲した流路の下端に前記ホース9の接続部817を備えている。また、コック816を回転させるために、そのコック816の上部に操作手段としての操作レバー818を取り付けるが、この操作レバー818は後述するニードルガイド82との係合によりニードル本体81の移動範囲を規制するストッパとしての機能を果たすものでもある。なお、中間部812の左右両側面には、その移動中に回転動作を生じないような振れ止めを設けることとしてもよい。
【0384】
操作レバー818は、基部813の縦軸に対して所定方向に延長され、かつ断面凸状をなしており、ニードル8を突き刺すときに、その押し込み操作と時計まわりの回転操作とを行い、ニードル8を元の状態に引き戻すときには、前記操作レバー818の反時計まわりの回転操作と引き戻し操作とを行うようになっている。なお、操作レバー818の近くにボタン826を設けて、操作レバー818を操作するときにこのボタン826を押すことで、ニードル本体81が勝手に移動しないようにしてもよい。ここで、本実施形態1のように、ニードル本体81の移動を手動操作で行う場合には、当該ニードル本体81が勝手に移動することが本来考えられないのであるが、かかるボタン826の押圧操作をさらに加えることで、万一の場合においての安全確保を意図したものである。
【0385】
図2,
図3の(a)〜(d)に示すように、ニードル8のニードルガイド82は、前記支持部7上の前方において、平面視でその中央部分が突出するように取り付けられる異形の筺体823と、筐体823を前後方向に貫通する貫通孔821と、筐体823の上面に凹設された浅溝822とを備えている。なお、かかる筐体823の前記突出形状は、支持部7に立ち姿勢で支持される袋体4が密着しやすくなり、これにより、ニードル8を突き刺しやすくなることを意図したものである。
【0386】
貫通孔821は、
図4(a)(b)に示すように、ニードル本体81を前後方向にスライド自在に挿入するために形成され、浅溝822は、その上部において、前記操作レバー818の移動範囲を規制するために形成されたものである。このため、浅溝822は、筐体823の上面の中央付近から右側に向けて偏向配置された長四角形状となっており、その中央付近に貫通孔821と連通する貫通溝822aが形成されている。貫通溝822aは、その前端側が前記縦軸819の回転を許容するように該縦軸819の最大軸径よりも若干大きい円形状となっている一方、その中間から後端側にかけては前記縦軸819の回転を禁止するように該縦軸819の最大軸径より狭幅の長尺形状となっている。
【0387】
そして、ニードル本体81を、前記貫通孔821に挿通させた状態としておく。このとき、ホース接続部817は貫通孔821に進退自在にはめ込まれており、操作レバー818の下部は浅溝822内にあって、その縦軸819が貫通溝822aに挿通された状態となっている。
【0388】
以下、動作を説明する。いま、ウォーターサーバー1のボトルホルダ2を開いて、ボトルホルダ2’のようにした状態で、支持部7上に袋体4を略立ち姿勢で支持することにより、その袋体4を所定位置にセットしているものとする。
【0389】
ついで、ニードル8のニードル本体81を、支持部7に取り付けられたニードルガイド82にセットする。このとき、ニードル本体81の先端部811と支持部7で支持された状態の袋体4とは、まったく接触していない。このとき、操作レバー818は、
図2(a)中の手前にあって、その先端が右側に横倒しされた状態にあるから、ニードル本体81のコック816は通路815を遮断している。
【0390】
ついで、ユーザは操作レバー818を、その先端が右側に横倒しされた状態のまま同図中のX方向に押し込むように手動操作する。すると、ニードル本体81は、ニードルガイド82の貫通孔821内をスライドして、
図2(a)中の奥側に移動し、その先端部811と袋体4とが当接する。
【0391】
ついで、ニードル本体81の先端部811が、袋体4の正面下方を突き破って、その内部にまで到達し、ニードル本体81の操作レバー818の縦軸819が貫通溝822aと干渉したときに、ニードル本体81は、それ以上進まなくなる。すると、袋体4が縮小する向きに働く張力と、該袋体4内に充填された飲料水自身の重力とが同時に作用することによって、袋体4内の飲料水が、ニードル本体81の先端部811の開口814から流出する。この流出した飲料水は、通路815がコック816で遮断されていることにより、ホース接続部817に流出しない。
【0392】
そこで、ユーザは操作レバー818を、
図3(a)中のR方向に回転させて、その先端が後方に向くように手動操作する。このときには、操作レバー818の縦軸819は貫通溝822aの前端側にあるから、前記縦軸819の回転が許容される。すると、ニードル本体81の先端部811の開口814から流出した飲料水は、通路815がコック816で遮断されることなく、ホース接続部817に流出する。そして、ホース9内へと排出される。しかる後に、ウォーターサーバー1のボトルホルダ2’を閉めて、ボトルホルダ2のようにした状態とする。
【0393】
ホース9に排出された飲料水は、さらにライン10を通って、冷水タンク5と温水タンク6にそれぞれ供給される。冷水タンク5で冷された飲料水と、温水タンク6で温められた飲料水とは、それぞれの給水口11,12を開閉することにより、図示しないコップ等に所定量だけ注がれる。
【0394】
袋体4内の飲料水を使いきってしまうと、それを飲料水が充填された別の袋体4と交換する必要があるが、このときには、ウォーターサーバー1のボトルホルダ2を再び開いて、ボトルホルダ2’のようにした状態で、ニードル8を元の状態に引き戻す。すなわち、ユーザは操作レバー818を、
図3(a)中のR方向と逆向きに回転させて、その先端が手前側に向くように手動操作する。このときも、操作レバー818の縦軸819は貫通溝822aの前端側にあるから、前記縦軸819の回転が許容される。すると、ニードル本体81の通路815がコック816で再び遮断される。
【0395】
ついで、ニードル8を袋体4から引きぬく。すなわち、ユーザは操作レバー818を、その先端が右側に横倒しされた状態のまま
図2(a)中のX方向と逆向きに引っ張るように手動操作する。すると、ニードル本体81は、ニードルガイド82の貫通孔821内をスライドしていき、その先端部811と袋体4とが離間する。そして、別の袋体4を所定位置にセットした後、再度、前記動作を順に繰り返すことにより、給水を行うことができるようになる。
【0396】
以上説明したように、本実施形態1のウォーターサーバー1によれば、袋体4を所定位置にセットした状態で、該袋体4にニードル8を突き刺すことにより、そのニードル本体81の先端部811の開口814に連通する通路815を介して飲料水Wを冷水タンク5に供給可能とする一方、通路815を閉止させたときに、袋体4からニードル8を引き抜き可能とするように構成したので、袋体4内の飲料水Wを使い切って、別の袋体4に交換するときに、前記通路815を閉じて、袋体4内に空気Aが流入することがない。したがって、袋体4の交換時に冷水タンク5内を満水状態としておき、その袋体4の交換後、エア抜き作業等の時間をかけることなく、そのまますぐに使用することができて便利である。
【0397】
また、袋体4にニードル8を突き刺す操作と、袋体4からニードル8を引き抜く操作とを行うための操作手段としての操作レバー818と、前記通路815を開閉させる開閉手段としてのコック816とを備え、この操作レバー818により、袋体4にニードル8を突き刺す操作が行われたときに、コック816により、前記通路815を開放可能とする一方、コック816により、前記通路815を閉止した状態でのみ、操作レバー818により、袋体4からニードル8を引き抜く操作を可能とするように構成したので、誤操作によりエアレス状態が維持できなくなる事態を確実に防止できる。この場合、複雑な電気的要素を全く必要とせず、今般の省エネルギーの要請に沿ったものとなり、かつ、低コスト化などを実現することができる。
【0398】
また、袋体4の底面付近において該底面と平行あるいは先下がりとなる向きにニードル8を突き刺すように構成したので、従来の縦刺しニードル等に比べて、袋体4内の残液が少なくなる等のメリットがある。
【0399】
また、ニードル8を手動操作で或いは自動的に出没させることを阻止する阻止機構を備え、前記手動操作で或いは自動的に出没させるときには、前記阻止機構が手動操作で解除されたことを条件としたので、ニードル8が勝手に出没するおそれがなくなる。
【0400】
また、前記袋体4にニードル8で孔を開けることにより、該ニードル8を介して前記袋体4に入った飲料水を、該袋体4内に冷水タンク5と温水タンク6とに確実に送ることができる。
【0401】
これにより、袋体4内に入った飲料水Wのみならず、それが送られた冷水タンク5と温水タンク6との内部に貯留された飲料水Wについても、その混入空気に含まれている可能性がある雑菌の繁殖を極力抑えることができる。
【0402】
(第二発明の実施形態2)
図1は第二発明の実施形態2に係るウォーターサーバー1の全体構成を模式的に示す側面図でもある。したがって、本実施形態2では、実施形態1と共通する要素には同一番号を付してその詳細説明を省略する。
【0403】
図5〜
図7は本実施形態2係るニードルの構成及びその動作1〜3を示す説明図であって、(a)は平面図、(b)は(a)中のD−D断面図である。
【0404】
図5〜
図7の(a)(b)に示すように、棒状部材としてのニードル8のニードル本体81は、尖塔状の先端部811と、先端部811に固定された略円柱状の中間部812と、中間部812にさらに固定された基部813とからなっている。ニードル本体81の先端部811における、少なくとも袋体4と接触する部位の材料としては、袋体4との密着性のよい合成樹脂製のものを使用することにより、袋体4に開けた孔からの飲料水の漏れをできるだけ少なくすることができる。その結果、袋体4の孔の周囲にリングやフランジなどの余分な取り付け手段を設ける必要がなくなる。
【0405】
先端部811の側面には開口814が形成されている。この開口814の具体的な形状と位置と個数とは任意であるが、できるだけ先端に略三角形状或いは略台形状のものを複数個設けるのが好ましい。そして、この開口814は先端部811の軸(横軸)まわりに形成された通路815でもって、基部813内に形成された開閉手段としてのコック816と連通し、ホース9やライン10などとともに連通路を構成している。
【0406】
コック816は前記横軸と直交する縦軸まわりに回転させることにより、その流路を閉じるか、或いは開放して下側に屈曲するように形成しており、この屈曲した流路の下端に前記ホース9の接続部817を備えている。また、コック816を回転させるために、そのコック816の下部にリンク機構824,825と操作手段としての操作レバー(図示せず。)818を取り付けるが、このリンク機構824,825は後述するニードルガイド82との係合によりニードル本体81の移動範囲を規制するストッパとしての機能を果たすものでもある。なお、中間部812の左右両側面には、その移動中に回転動作を生じないような振れ止めを設けることとしてもよい。
【0407】
操作レバー818は、上記実施形態1とは異なり、基部813の縦軸に対して左右対称形となっており、ニードル8を突き刺すときに、その押し込み操作だけを行い、ニードル8を元の状態に引き戻すときには、前記操作レバー818の引き戻し操作だけを行うようになっている。なお、操作レバー818の近くにボタン826を設けて、操作レバー818を操作するときにこのボタン826を押すことで、ニードル本体81が勝手に移動しないようにしてもよい。ここで、本実施形態2のように、ニードル本体81の移動を手動操作で行う場合には、当該ニードル本体81が勝手に移動することが本来考えられないのであるが、かかるボタン826の押圧操作をさらに加えることで、万一の場合においての安全確保を意図したものである。
【0408】
図5〜
図7の(a)(b)に示すように、ニードル8のニードルガイド82は、前記支持部7上の前方に突出するように取り付けられる異形の筺体823と、筐体823を前後方向に貫通する貫通孔821と、この貫通孔821と連通する貫通溝822aと、リンク機構824,825とを備えている。
【0409】
貫通孔821は、ニードル本体81を前後方向にスライド自在に挿入するために形成され、貫通溝822aは、その上部において、前記操作レバー818の移動範囲を規制するために形成されたものである。このため、貫通溝822aは、その前端側から後端側にかけて前記縦軸819を挿通させるように該縦軸819の最大軸径より若干幅広の長尺形状となっている。
【0410】
リンク機構は、筐体823の所定位置に植設されてピン824と、一端側にピン824をスライド自在に挿通させるとともに、他端側に前記基部813に内蔵されたコック816に係合して該コック816を縦軸まわりに回転させるリンクレバー825とからなっている。
【0411】
そして、ニードル本体81を、前記貫通孔821に挿通させた状態としておく。このとき、ホース接続部817は貫通孔821に進退自在にはめ込まれており、操作レバー818の下部は浅溝822内にあって、その縦軸819が貫通溝822aに挿通された状態となっている。
【0412】
以下、動作を説明する。いま、ウォーターサーバー1のボトルホルダ2を開いて、ボトルホルダ2’のようにした状態で、支持部7上に袋体4を略立ち姿勢で支持することにより、その袋体4を所定位置にセットしているものとする。
【0413】
ついで、ニードル8のニードル本体81を、支持部7に取り付けられたニードルガイド82にセットする。このとき、ニードル本体81の先端部811と支持部7で支持された状態の袋体4とは、まったく接触していない。このとき、操作レバー818は、
図5(a)中の手前にあり、この状態では、ニードル本体81のコック816は通路815を遮断している。
【0414】
ついで、ユーザは操作レバー818を、
図5(a)中のX方向に押し込むように手動操作する。すると、ニードル本体81は、ニードルガイド82の貫通孔821内をスライドしていき、その先端部811と袋体4とが当接する。このとき、リンク機構824,825の働きでもって、ニードル本体81のコック816を縦軸を中心として時計方向に90度だけ回転させることにより前記通路815を開放する。
【0415】
ついで、ニードル本体81の先端部811が、袋体4の正面下方を突き破って、その内部にまで到達し、ニードル本体81の操作レバー818の縦軸が貫通溝822aと干渉したときに、ニードル本体81は、
図6(a)に示すように、それ以上進まなくなる。すると、袋体4が縮小する向きに働く張力と、該袋体4内に充填された飲料水自身の重力とが同時に作用することによって、袋体4内の飲料水が、ニードル本体81の先端部811の開口814から流出する。この流出した飲料水Wは、通路815が開放されていることにより、ホース接続部817に流出する。そして、ホース9内へと排出される。しかる後に、ウォーターサーバー1のボトルホルダ2’を閉めて、ボトルホルダ2のようにした状態とする。
【0416】
ホース9に排出された飲料水は、さらにライン10を通って、冷水タンク5と温水タンク6にそれぞれ供給される。冷水タンク5で冷された飲料水と、温水タンク6で温められた飲料水とは、それぞれの給水口11,12を開閉することにより、図示しないコップ等に所定量だけ注がれる。
【0417】
袋体4内の飲料水を使いきってしまうと、それを飲料水が充填された別の袋体4と交換する必要があるが、このときには、ウォーターサーバー1のボトルホルダ2を再び開いて、ボトルホルダ2’のようにした状態で、ニードル8を元の状態に引き戻す。すなわち、ユーザは操作レバー818を、
図6(a)中のY方向に引っ張るように手動操作する。すると、ニードル本体81は、ニードルガイド82の貫通孔821内をスライドしていき、その先端部811と袋体4とが離間する。このとき、リンク機構824,825の働きでもって、ニードル本体81のコック816を、
図7(a)に示すように、その縦軸を中心として反時計方向に90度だけ回転させることにより通路815を遮断する。このとき、通路815内の飲料水Wが閉じ込められたままとなる。別の袋体4を所定位置にセットした後、再度、前記動作を順に繰り返すことにより、給水を行うことができるようになる。
【0418】
以上説明したように、本実施形態2のウォーターサーバー1によれば、上記実施形態1と同様に、袋体4を所定位置にセットした状態で、該袋体4にニードル8を突き刺すことにより、そのニードル本体81の先端部811の開口814に連通する通路815を介して飲料水Wを冷水タンク5に供給可能とする一方、通路815を閉止させたときに、袋体4からニードル8を引き抜き可能とするように構成したので、袋体4内の飲料水Wを使い切って、別の袋体4に交換するときに、前記通路815を閉じて、袋体4内に空気Aが流入することがない。したがって、袋体4の交換時に冷水タンク5内を満水状態としておき、その袋体4の交換後、エア抜き作業等の時間をかけることなく、そのまますぐに使用することができて便利である。
【0419】
また、袋体4にニードル8を突き刺す操作と、袋体4からニードル8を引き抜く操作とを行うための操作手段としての操作レバー818と、前記通路815を開閉させる開閉手段としてのコック816と、リンク機構824,825とを備え、このリンク機構824,825の働きでもって、操作レバー818による、袋体4にニードル8を突き刺す操作に連動させて、コック816により、前記通路815を開放可能とする一方、操作レバー818による、袋体4からニードル8を引き抜く操作に連動させて、コック816により、前記通路815を閉止させるように構成したので、操作が比較的簡単になり、かつ誤操作によりエアレス状態が維持できなくなる事態を確実に防止できる。この場合も、複雑な電気的要素を全く必要とせず、今般の省エネルギーの要請に沿ったものとなり、かつ、低コスト化などを実現することができる。
【0420】
なお、上記実施形態1では、操作レバー818の操作と、コック816の開閉動作とを、直結しており、上記実施形態2では、操作レバー818の操作と、コック816の開閉動作とを、リンク機構824,825を用いて連動させているが、このリンク機構824,825に代えて、或いは、このリンク機構824,825に加えて、ラックアンドピニオン機構を用いることしてもよい。その場合は、コック816の開閉動作時間をも制御できて便利である。また、コック816に代えて、ボール弁、ミニチュア弁などのバルブ、電磁弁等、異なる構造の開閉手段であってもよい。
【0421】
このうち、電磁弁を用いた場合は、省エネルギーの要請に反するとともに、電気回路が必要となりコストアップとなる。また、電磁弁を用いた場合は、構成が大型化するので、配置スペースやメンテナンスの問題などもある。しかしながら、電磁弁は、必ずしもニードル8に組み込むことなく、例えばホース9やライン10などの任意位置に配置できて便利である。その場合、ニードル8の本体81の進退動作をマイクロスイッチなどで検出して、その信号で電磁弁をオンオフ動作させればよい。電磁弁は無信号で閉状態とすることがフェイルセーフの観点から好ましい。
【0422】
また、コックはもちろんのこと、ボール弁やミニチュア弁などのバルブについても、必ずしもニードル8に組み込むことなく、例えばホース9やライン10などの任意位置に配置できる。その場合は、手動操作が直接できなくても、例えば延長棒を備えれば遠隔操作が可能となるので、省エネルギーの要請に応えるとともに、電気回路が不要となって、コストアップを抑えることができる。
【0423】
また、上記実施形態1,2では、いずれも操作レバー818によるニードル8の手動操作を例示しているが、バネ、モータその他のアクチュエータ等で自動的にニードル8を進退させるようにしてもよい。ただし、モータ等を用いた場合は省エネルギーの要請に反するとともに、電気回路が必要となりコストアップとなる。また、モータ等を用いた場合は、構成が大型化するので配置スペースやメンテナンスの問題もある。
【0424】
また、上記実施形態1,2では、袋体4の底面付近において、該底面と平行、或いは、先下がりとなる向きにニードル8を突き刺す、いわゆる横刺しとしているが、いわゆる縦刺しとしてもよいし、先上がり、或いは、下刺しとしてもよい。また、ニードル8の進退動作はストレート状であってもよいし、螺旋状であってもよい。その螺旋状の進退動作はニードル本体81又はニードルガイド82の少なくとも一方に螺旋溝を設けておくことで実現できる。さらに、袋体4にニードル8をより確実に突き刺すことができるように、ニードル8の先端に部分的な螺旋構造や段違い構造を採用してもよい。
【0425】
(第二発明の実施形態3)
ところで、袋体4の交換時でなくても、なんらかの原因で、冷水タンク5内に空気が入っていることがあり、この空気を冷水タンク5外に排出する必要がある。本発明者は、かかる場合に対応するべく、実施形態3を発明した。
図8は本実施形態3に係る冷水タンク5のエア抜き構造の概念図、
図9はベンチュリー管52の斜視図、
図10はオリフィス54の斜視図である。
【0426】
図8に示すように、この冷水タンク5内の飲料水Wを該冷水タンク5の底部付近から先下がりで排出する排液管51と、前記冷水タンク5内の空気Aを該冷水タンク5の頂部付近から排出する排気管53とを備えるとともに、前記排液管51に前記排気管53を該冷水タンク5の底部よりも低い部位で接続する接続部を設けている。
【0427】
このとき、流体におけるエネルギー保存則である「ベルヌイの定理」より、冷水タンク5内に比べて、排液管51の接続部における静圧は、その排液管51内での飲料水Wの流れによる動圧だけ低くなる。そして、冷水タンク5内の液面と排液管51の接続部とのヘッド差Hが大きくなるほど、排液管51内での流れは速くなることから、それに応じて排気管53からの空気Aを吸引しやすくなる。なお、実際には排液管51の出口端までがヘッド差となるが、ここでは余裕をみて接続部までをヘッド差としている。また、管路抵抗は無視できるものとしている。
【0428】
前記接続部は、ベンチュリー管52で構成されている。すなわち、
図3に示すように、ベンチュリー管52は、第一大径部521と、縮径部522と、小径部523と、拡径部524と、第二大径部525と、吸引管526と、合流部527とからなっている。第一大径部521は冷水タンク5側の排液管51に接続され、第二大径部525は給水口11側の排液管51に接続される。また、吸引管526は小径部523の合流部527にて直角に接続され、その先端が排気管53に接続される。
【0429】
このベンチュリー管52では、冷水タンク5側の排液管51から第一大径部521内に速度v1で流入した飲料水Wが、縮径部522で流速を上げながら小径部523に導かれ、そこで速度v2とされる。すると、小径部523内での動圧は、前述の排液管51における動圧よりも高くなるので、それに応じて吸引管526からの空気Aをさらに吸引しやすくなる。ここでは、空気Aは速度v3で吸引されるものとしている。小径部523を通過した飲料水Wは、今度は拡径部524でその流速を下げながら、第二大径部525から給水口11側の排液管51に導かれる。
【0430】
前記排気管53の中間部に、絞り手段としてのオリフィス54を設けている。すなわち、
図10に示すように、オリフィス54は、本体541と、本体541を貫通する孔542とからなっているが、その孔径は空気Aの通過量に応じて設定される。また、このオリフィス54は貫通孔542の軸心が縦向きとなる姿勢で設けている。オリフィス54の貫通孔542を、空気Aが通過した後に、飲料水Wが通過することとなるが、オリフィス54の貫通孔542が横向きとしたのでは、先に通過した空気Aの一部が貫通孔542の周囲に滞留することにより、その後の飲料水Wの通過を阻害する。その結果、オリフィス54の抵抗損失を不安定なものとする現象を生じるおそれがあるからである。また、残留した空気Aによる雑菌の繁殖を防ぐためでもある。
【0431】
オリフィス54は、排気管53に接続される本体541の貫通孔542内に速度v4で流入した空気Aや飲料水Wやその混合体が貫通孔542内を通過する際に、夫々の比重量の大きさに比例した管路抵抗を与えるものである。例えば飲料水Wが貫通孔542を通過する際の管路抵抗は、空気Aが貫通孔542を通過する際の管路抵抗の略1000倍となる。飲料水Wと空気Aとの混合体の場合は、それらの比率により中間の管路抵抗が与えられる。これにより、空気Aや混合体は貫通孔542を通過しやすいが、飲料水Wは貫通孔542を通過しにくくなる。
【0432】
図11は本実施形態3に係る冷水タンク5のエア抜き構造の動作手順を示す説明図である。以下、説明する。なお、ステップS1に入る前に、ウォーターサーバー1のボトルホルダ2を開いて、ボトルホルダ2’のようにした状態で、支持部7上に袋体4を略立ち姿勢で支持することにより、その袋体4を所定位置にセットしているものとする。
【0433】
図11において、ステップS1では、袋体4から冷水タンク5内への飲料水Wの供給を開始する。まず、棒状部材としてのニードル8を支持部7にセットする。ユーザはニードル8を袋体4に押し込むように手動操作する。すると、ニードル8の先端部が、袋体4の正面下方を突き破って、その内部にまで到達する。
【0434】
すると、袋体4が縮小する向きに働く張力と、該袋体4内に充填された飲料水W自身の重量とが同時に作用することによって、袋体4内の飲料水Wが、ニードル8からホース9内へと排出される。ホース9に排出された飲料水Wは、さらにライン10を通って、冷水タンク5に供給される。しかる後に、ウォーターサーバー1のボトルホルダ2’を閉めて、ボトルホルダ2のようにした状態とする。ただし、ボトルホルダ2は必ずしも開閉可能とする必要はなく、例えば本体3上に載置しただけでもよい。
【0435】
ステップS2では、冷水タンク5内の液位が低い状態での飲料水Wの取り出しを行う。すなわち、最初は冷水タンク5内には飲料水Wが入っていないが、上記のように袋体4から冷水タンク5内に飲料水Wが入ってくると、その液位が徐々に高くなる。このとき、従来例と異なり、たとえ低い液位であっても、ある程度のヘッド差Hがとれているので、排液管51内を飲料水Wが移動しやすくなっており、その排液管51内の飲料水Wの流れによって、冷水タンク5の上部に介在する空気Aが、排気管53とオリフィス54とを通じて排液管51の接続部にあるベンチュリー管52で引かれる現象が起きやすくなっている。その結果、冷水タンク5内に溜まった空気Aが外部に速やかに排気される。
【0436】
ステップS3では、冷水タンク5内の液位が高い状態での飲料水の取り出しを行う。すなわち、冷水タンク5内の液位がある程度高くなってきたものとする。すると、排液管51内を飲料水Wが移動し、その排液管51内の飲料水Wの流れによって、冷水タンク5の上部に介在する空気Aが、排気管53とオリフィス54とを通じてベンチュリー管52へ引かれる現象が起きる。
【0437】
やがて冷水タンク5内の空気Aが少なくなると、今度は排気管53から空気Aに混じって少量の飲料水Wがベンチュリー管52へ引かれる現象が起きることとなる。このときには、オリフィス54内には空気Aと飲料水Wとの混合体が通過するが、その比重量は空気Aのそれに近いものとなるから、オリフィス54の抵抗損失は空気Aに対するものとほぼ同じと考えてよい。したがって、冷水タンク5の上部に介在する空気Aと飲料水Wとの混合体が、排気管53とオリフィス54とを通じて排液管51の接続部にあるベンチュリー管52で引かれる現象が起きやすくなっている。その結果、冷水タンク5内に溜まった空気Aが飲料水Wとともに、外部に速やかに排気される。
【0438】
ステップS4では、冷水タンク5内がほぼ満杯状態での飲料水Wの取り出しを行う。すなわち、冷水タンク5内の液位がさらに高くなって上部付近にまで上がってきたものとする。すると、排液管51内を飲料水Wが移動し、その排液管51内の飲料水Wの流れによって、冷水タンク5の上部に介在する空気Aがほとんどなくなり、その代わりに飲料水Wが排気管53とオリフィス54とを通じてベンチュリー管52へ引かれる現象が起きることとなる。
【0439】
このときには、オリフィス54内には飲料水Wだけが通過するが、その比重量は空気の比重量の1000倍にもなるから、オリフィス54の抵抗損失も空気Aの抵抗損失の1000倍にもなることが容易に理解できる。したがって、冷水タンク5の上部に介在する飲料水Wが、排気管53とオリフィス54とを通じてベンチュリー管52で引かれる現象が起きにくくなる。その結果、冷水タンク5内の上部付近からの飲料水Wは、外部に排水されにくくなる。
【0440】
そして、この冷水タンク5で冷された飲料水Wと、温水タンク6で温められた飲料水Wとは、それぞれの給水口11,12を開閉することにより、図示しないコップ等に所定量だけ注がれる。
【0441】
袋体4内の飲料水Wを使いきってしまうと、それを飲料水Wが充填された別の袋体4と交換する必要があるが、このときには、ウォーターサーバー1のボトルホルダ2を再び開いて、ボトルホルダ2’のようにした状態で、ニードル8を袋体4から引きぬくことになる。そして、別の袋体4を所定位置にセットした後、再度前記各ステップS1〜S4を順に繰り返すことにより、給水を行うことができるようになる。
【0442】
以上説明したように、本実施形態3によれば、冷水タンク5内の飲料水Wを該冷水タンク5の底部付近から先下がりで排出する排液管51と、前記冷水タンク5内の空気Aを該冷水タンク5の頂部付近から排出する排気管53とを備えるとともに、前記排液管51に前記排気管53を前記冷水タンク5の底部よりも低い位置で接続する接続部を設けたので、冷水タンク5内の液位が低いときであっても、ある程度のヘッド差Hがとれるようになる。
【0443】
したがって、排液管51内を飲料水Wが移動し、その排液管51内の飲料水Wの流れによって、冷水タンク5の上部に介在する空気Aが、排気管53とオリフィス54とを通じて排液管51の接続部にあるベンチュリー管52へ引かれる現象が起きやすくなる結果、冷水タンク5内に溜まった空気Aが外部に排気されやすくなる。これにより、ウォーターサーバー1の使用開始時などの最も空気を排出する必要がある場合に、冷水タンク5内がエアレス状態となるまでの時間を大幅に短縮することができる。
【0444】
また、冷水タンク5内の液位がある程度高くなると、排液管51内を飲料水Wが移動し、その排液管51内の飲料水Wの流れによって、冷水タンク5の上部に介在する空気Aが、排気管53とオリフィス54とを通じてベンチュリー管52へ引かれる現象が起きるものの、やがて排気管53とオリフィス54とを通じて飲料水Wもベンチュリー管52へ引かれる現象が起きることとなる。この場合でも、従来例とは異なり、排気管53は冷水タンク5内を通っていないため、冷水タンク5の底部付近にある比較的冷たい飲料水Wを、その上方の比較的温かい空気Aや飲料水Wが排気管53で吸引される間に温められることはない。
【0445】
そして、冷水タンク5内の液位がさらに高くなって上部付近にまで上がってくると、排液管51内を飲料水Wが移動し、その排液管51内の飲料水Wの流れによって、冷水タンク5の上部に介在する空気Aがなくなり、その代わりに飲料水Wが排気管53とオリフィス54とを通じてベンチュリー管52へ引かれる現象が起きることとなる。
【0446】
このときには、排気管53内には飲料水Wだけが通過しようとするのであるが、オリフィス54の存在により、冷水タンク5の上部に介在する飲料水Wが、排気管53とオリフィス54とを通じてベンチュリー管52で引かれる現象が起きにくくなる。その結果、冷水タンク5内の上部付近からの飲料水Wは、外部に排水されにくくなる。
【0447】
これらにより、冷水タンク5における冷却効率を低下させることがほとんどなくなり、省エネルギーの要請に沿うものとなる。
【0448】
なお、上記実施形態3では、管路抵抗の大きさや配置上の制約などによっては、冷水タンク5内の液面がいつまでも上昇することなく、その液面からベンチュリー管52までの間のヘッド差Hがほとんどとれないことがある。そこで、
図12に示す変形例のように、排液管51には、冷水タンク5の底部付近における飲料水Wの排出部56とベンチュリー管52との間において排液管51を一旦立ち上げてから下げる。これにより、排液管51に飲料用液体の一時的な溜まり部55を例えば逆U字状に形成する。符号H1は溜まり部55の高さであるが、その頂部を冷水タンク5の天井より下方でかつ底部より上方に設定するとともに、ベンチュリー管52をタンク底部から若干でも下方に設定するのが好ましい。
【0449】
この変形例によれば、飲料水Wは、袋体4からニードル8等を介して、冷水タンク5に給水される。冷水タンク5に入った飲料水Wは、該タンク5の底部付近にある排液管51の排出部56から排出される。この排出部56から排出された飲料水Wは、溜まり部55を通過した上で、排液管51からベンチュリー管52を介して排出される。
【0450】
したがって、溜まり部55の高さH1を冷水タンク5内の天井より下方でかつ底部より上方に設定しておけば、給水口11を開放したとしても、冷水タンク5内の液位が上昇してH≒H1となるまで、飲料水Wは排出されない。このときでも、袋体4からニードル8等を介して給水されているので、冷水タンク5内の空気Aは圧縮される。したがって、排気管53を通じて空気Aだけが排出されることになる。
【0451】
やがて、冷水タンク5内の液位が上昇してH≒H1となると、冷水タンク5に入った飲料水Wは、排液管51からベンチュリー管52を介して排出される。このとき、冷水タンク5内の空気Aは、排気管53からオリフィス54を介してベンチュリー管52に吸引されることで排出される。
【0452】
そして、溜まり部55を超えるまで飲料水Wが冷水タンク5に溜まることとなるが、その溜まった飲料水Wを同タンク5から抜き取る場合でも、溜まり部55はサイフォンとして働くので、同タンク5内の残液が非常に少なくなり、場合によってはドレン弁を別途設ける必要がなくなる。
【0453】
このように、変形例では、冷水タンク5の底部付近における飲料水Wの排出部56とベンチュリー管52との間において排液管51を一旦立ち上げてから下げることにより、該排液管51に飲料用液体の一時的な溜まり部55を形成したので、冷水タンク5内の液位を確保して、その液面からベンチュリー管52までの間で、ある程度のヘッド差Hがとれるようになる。
【0454】
また、上記実施形態3では、袋体4から給水される冷水タンク5と温水タンク6との両方を備えたウォーターサーバー1について説明しているが、そのうちの冷水タンク5又は温水タンク6だけを備えたウォーターサーバーについても同様に適用できる。ただし、冷却効率と省エネルギーへの要請に応える点で、冷水タンク5を備えたウォーターサーバーへの適用が好ましいといえる。
【0455】
また、上記実施形態3では、排液管51と排気管53との接続部にベンチュリー管52を設けているが、ヘッド差Hが大きくとれる場合などにあっては、このベンチュリー管52を省略することもできる。これにより、構造が比較的簡単なものとなり、さらなる低コスト化を図ることができる。
【0456】
また、上記実施形態3では、絞り手段としてオリフィス54を例示しているが、ミニチュア弁等その他の絞り機能を備えたバルブであってもよい。その場合は、前記接続部を給水口11の下流側に設けてもよい。
【0457】
また、上記実施形態1〜3では、袋体4から冷水タンク5と温水タンク6とに別個に給水をしているが、冷水タンク5と温水タンク6との間に連通管を設けて、袋体4から冷水タンク5に給水し、冷水タンク5から連通管を通じて温水タンク6に給水し、温水タンク6から空気を抜くような構成としてもよい。その場合、冷水タンク5の頂板に設けた凸部に連通管の上端を入れておくとともに、その凸部に排気管53を接続することが好ましい。
【0458】
また、上記実施形態1〜3では、ニードル8を袋体4に突き刺しているが、先端付近に形成した開口と該開口に連通する通路とを有する棒状部材の少なくとも先端付近を、リングやキャップなどを介して第一容器に挿入するようにしてもよい。その場合、棒状部材の第一容器に対する挿入位置や角度は、ニードル8のそれらと同様とすることが好ましい。
【0459】
また、上記実施形態1〜3では、液体として飲料水Wを例示しているが、その他の液体として、ジュース、酒類等のあらゆる液体であってもよい。
【0460】
(第三発明の実施形態)
以下、第三発明の実施形態における
図1〜
図8は、上記図面の簡単な説明における
図42〜
図49と読み替える。
図1は第三発明の一実施形態に係るウォーターサーバー1の全体構成を模式的に示す側面図である。なお、同図中の左側が正面、右側が背面をそれぞれ示している。また、ウォーターサーバー1の材料としては、主に合成樹脂、ゴム、金属などが適所に使用されている。
【0461】
図1に示すように、このウォーターサーバー1は、ボトルホルダ2と本体3とからなっている。ボトルホルダ2は、飲料用液体としての飲料水Wの入った袋体(第一容器に相当する。)4を内部にセットし、或いは、このセットした袋体4を外部に取り出すために、本体3上で開閉自在に取り付けられている(
図1中の符号2は閉状態、符号2’は開状態をそれぞれ示している。)また、本体3の内部には、飲料水Wを冷却する冷水タンク(第二容器に相当する。)5と、飲料水Wを温める温水タンク(第二容器に相当する。)6と、が上下に配置されている。
【0462】
袋体4は、例えば多層構造のナイロンフィルムなどの伸縮性に富む材料からなり、その内部に充填された飲料水Wの減少につれて縮小変形可能なものである。そして、飲料水Wが充填された初期状態では、全体として丸みを帯び、かつ、やや扁平な六面体状をなしている。ここでは、この袋体4を、支持部7で略立ち姿勢にて支持するようになっている。袋体4の初期状態における形状としては、例えば正方形や円筒形状など他の形状であってもよい。
【0463】
この袋体4の正面側における底面付近の略中央には小孔を開けてそこに飲料水Wの注ぎ口でもある合成樹脂製の取出口41が形成されており、該取出口41は同じく合成樹脂製のキャップ42で封止されている。
図5は袋体4の取出口41にキャップ42を取り付けた状態を示す説明図であって、(a)は正面図、(b)は(a)中のB−B断面図である。
【0464】
図5(a)(b)に示すように、取出口41は円筒状の本体411の外壁において、その軸方向の所定間隔でもって第一突起412、第二突起413、第三突起414、第四突起415がそれぞれ円環状に形成されている。第一突起412は本体411を袋体4に溶着するための溶着用フランジであり、第四突起415は本体411にキャップ42を取り付けるための取付用フランジである。第二突起413と第三突起414とは本来は補強用フランジであるが、ここでは、この第二突起413と第三突起414とを利用してニードル8を取り付けるものとする。
【0465】
キャップ42は円盤状の本体421の正面側において、その径方向の所定間隔でもって第一凹部422、第二凹部423がそれぞれ同心円状に形成されている。第一凹部422はニードル8を突き刺す部位にあって、この第一凹部422の内側425には中心から周囲三方向に向けてそれぞれ放射状に延びる薄肉部424を備えている。また、第二凹部423には第一凹部422の補強リブ426と、前記取出口41の第四突起415に対応するように外周壁を折り返した係合部427とを備えている。
【0466】
支持部7は、袋体4の縮小変形をできるだけ邪魔しないように、背面から正面寄りにかけて比較的大きなアールを設けるとともに、正面で比較的小さなアールを設けている。そして、両アール間で、袋体4の内部に充填された飲料水Wの取り出し時に、その袋体4が無理なねじれを生じることなく縮小変形するようにセットできるようになっている。なお、図示はしていないが、支持部7の左右両側にも適当なアールを設けて、同様の作用効果を奏するようになっている。また、この支持部7の背面上方には、袋体4の上部付近を脱着自在に吊り下げ可能なクリップ71が設けられている。さらに、支持部7の底面には漏れ水の有無を検出するセンサ72が備えられている。そして、漏れ水を検出したときには、このセンサ72からの信号により警報ランプを点滅させるなどして、ユーザの注意喚起をするようになっている。
【0467】
支持部7で支持された袋体4は、そのキャップ42において、ニードル8を横向きに突き刺すことにより、その部位に孔を開けることができる。ニードル8は、正面側の支持部7に取り付けられて前記袋体4のキャップ42に突き刺すようになっている。
【0468】
そして、ニードル8の基部に接続された例えばシリコンゴム製の可撓性ホース9と、このホース9にさらに接続されたライン10とを介して、袋体4から取り出された飲料水が冷水タンク5に供給されるようになっている。また、冷水タンク5に供給された飲料水の一部が連通管102を介して、温水タンク6にも供給されるようになっている。
【0469】
すなわち、
図1に示すように、冷水タンク5の頂部中央付近に凸部101を設けるとともに、この凸部101内と温水タンク6内の底部付近とを略直線的に連通する連通管102を備えている。具体的には、略円筒状の凸部101を冷水タンク5の頂部から若干突出させるとともに、連通管102の上端を凸部101内に挿入して開口させることにより、いわゆる二重管状構造としている。そして、給水ライン10を、この凸部101から離間した部位に接続することで、給水ライン10から供給される飲料水Wが、連通管102から直接流出しないようになっており、これにより、冷水タンク5内の空気Aを温水タンク6内に流出しやすいようにもなっている。
【0470】
冷水タンク5には、飲料水Wを冷却するための冷凍機等の冷却手段50が備わっており、袋体4から供給された飲料水Wは、この冷却手段50で冷却されることにより、冷水タンク5内で4〜10℃程度の温度に維持されるようになっている。
【0471】
温水タンク6には、飲料水Wを加熱するためのバンドヒータやシーズヒータ等の加熱手段60が備わっており、袋体4から供給された飲料水Wは、この加熱手段60で加熱されることにより、温水タンク6内で80〜90℃程度の温度に維持されるようになっている。
【0472】
また、冷水タンク5で冷された飲料水Wと、温水タンク6で温められた飲料水Wとは、それぞれの給水口11,12を開閉することにより、図示しないコップ等に所定量だけ注がれるようになっている。
【0473】
図2〜
図4は本実施形態1係るニードル8の構成及びその動作1〜3を示す説明図であって、それぞれ(a)は平面図、(b)は(a)中のA−A断面図である。なお、各図中の左側が前方、右側が後方をそれぞれ示している。
図2〜
図4の(a)(b)に示すように、ニードル8は、ニードル本体(棒状部材に相当する。)81と、ニードルガイド82と、ニードルカバー(収納部に相当する。)83とを備えている。
【0474】
ニードル本体81は、尖塔状の先端部811と、先端部811に固定された略円柱状の中間部812と、中間部812にさらに固定された基部813とからなっている。ニードル本体81の材料としては、袋体4の取出口41やキャップ42と密着性のよい合成樹脂製のものを使用することにより、袋体4のキャップ42に開けた孔からの飲料水Wの漏れをできるだけ少なくすることができる。なお、耐久性の点から、ステンレス鋼製のものを使用することとしてもよい。
【0475】
先端部811の側面には開口814が形成されている。この開口814の具体的な形状と位置と個数とは任意であるが、できるだけ先端に略三角形状或いは略台形状のものを複数個設けるのが好ましい。そして、この開口814は先端部811と中間部812との軸(横軸)まわりに形成された通路815でもって、基部813内に形成された開閉手段としてのバルブ816と連通している。
【0476】
バルブ816は、例えばシリコンパッキン製であって、前記横軸方向に往復移動させることにより、その流路を閉じるか、或いは開放して下側に屈曲するように形成しており、この屈曲した流路の下端に前記ホース9の接続部817を備えている。また、バルブ816を往復移動させるために、そのバルブ816の後方に移動軸818とスプリング819とを介して後述する第二レバー834を取り付けるようになっている。
【0477】
ニードルガイド82は、前記支持部7上の前方において、平面視でその中央部分が突出するように取り付けられる異形の筺体821と、筐体821の左右方向における中央付近を前後方向に走るように設けられた幅広の切欠部822とを備えている。なお、かかる筐体821の前記突出形状は、支持部7に立ち姿勢で支持される袋体4が密着しやすくなり、これにより、ニードル8をキャップ42に突き刺しやすくなることを意図したものである。
【0478】
切欠部822は、ニードルカバー83をニードル本体81ごと前後方向にスライド自在に挿入するために形成され、筐体821は前側の縮径部824と拡径部823とでつながっている。この拡径部823で袋体4の取出口41の下半分を嵌めこむとともに、縮径部824で取出口41の第二突起413と第三突起414との間に係合することにより、キャップ42の位置決めが可能となっている。また、切欠部822の左右の中間から後端にかけて、ニードルカバー83を前後方向にスライドさせるための案内部825を備えており、この案内部825の前半分には、後述するニードルカバー83の前方への移動は規制しないが、後方への移動を規制する、いわゆるラチェット刃826が形成されている。
【0479】
ニードルカバー83は、ニードルガイド82の案内部825に沿って前後方向にスライド可能なドーム状の本体831と、本体831の左右両側に配備されて前後方向に伸縮自在なフック(取付手段に相当する。)832と、フック832の伸縮動作を規制する第一レバー(フック規制部に相当する。)833と、本体831の後端に配備されて、ニードル本体81のバルブ816を開閉動作させる第二レバー(操作レバーに相当する。)834と、第二レバー834の左右に突出された補助部材835とを備えている。
【0480】
そして、ユーザが第一レバー833を補助部材835側に押圧することにより、第一レバー833の先端が、前記ラチェット刃826から外れて、本体831の左右両側からフック832をそれぞれ伸長させることができるようになっている。また、前記伸長させたフック832を袋体4のキャップ42の周辺にある取出口41の第二突起413と第三突起414との間に引っ掛けた状態で、補助部材835を前方に押圧することにより、フック832を縮小させて、前記本体831を袋体4の取出口41の周辺に嵌め込むことにより、ニードル本体81の少なくとも先端部811付近をキャップ42に挿入できるようになっている。
【0481】
第二レバー834を直立させたときには、ニードル本体81のバルブ816がスプリング819で付勢されて前側にあり、その通路815が閉じるようになっている。また、この第二レバー834を後方に傾倒させたときには、ニードル本体81のバルブ816は移動軸818で引っ張られて、その通路815が開くようになっている。この傾倒させた第二レバー834の先端をニードルガイド82の筐体821の後端にある本体3の浅溝827に係合することにより、第二レバー834の操作を規制するレバー規制部としての機能を果たすようになっている。
【0482】
以下、動作を説明する。いま、ウォーターサーバー1のボトルホルダ2を開いて、ボトルホルダ2’のようにした状態で、支持部7上にクリップ71を用いて袋体4を略立ち姿勢で支持することにより、その袋体4を所定位置にセットしているものとし、漏れ水の有無はセンサ72で検出できるようになっているものとする。
【0483】
ついで、ニードル8のニードルカバー83をニードル本体81とともに、支持部7に取り付けられたニードルガイド82にセットする。このとき、
図2(a)(b)に示すように、袋体4の取出口41における第二突起413の下部と第三突起414の下部との間にニードルガイド82の縮径部824の上部が嵌り込んでおり、キャップ42の下部が拡径部823の上部に嵌り込んでいる。また、ニードルカバー83のフック832が、第二突起413の左右側部と第三突起414の左右側部との間に嵌り込んでいる。そして、ニードル本体81の先端部811と、支持部7で支持された状態の袋体4のキャップ42とは、まったく接触していない。このとき、第二レバー834は直立した状態にあるから、ニードル本体81のバルブ816は通路815を遮断している。
【0484】
ついで、ユーザは補助部材835を前方に押圧して、ニードルカバー83を前方に押し込むように手動操作する。このとき、取出口41にニードルカバー83がしっかりと嵌っていないと、ニードルカバー83が取出口41に当接してニードルカバー83が前進できない。ここでは、取出口41にニードルカバー83がしっかりと嵌っているものとすると、ニードルカバー83は、ニードル本体81とともに、ニードルガイド82の案内部825上でスライドして、前方に移動し、ニードル本体81の先端部811と袋体4のキャップ42とが当接するようになる。
【0485】
ついで、
図3(a)(b)に示すように、ニードル本体81の先端部811が、袋体4のキャップ42をその薄肉部424に沿って突き破って、その内部にまで到達したときに、ニードル本体81は、ホース接続部817の前上方にある突起が、ニードルガイド82の拡径部823の後端に当接して、それ以上進まなくなる。すると、袋体4が縮小する向きに働く張力と、該袋体4内に充填された飲料水W自身の重力とが同時に作用することによって、袋体4内の飲料水Wが、ニードル本体81の先端部811の開口814から流出する。この流出した飲料水Wは、通路815がバルブ816で遮断されていることにより、ホース接続部817に流出しない。
【0486】
そこで、
図4(a)(b)に示すように、ユーザは第二レバー834を、後方に傾倒させて、その先端をニードルガイド82の後端にある本体3の浅溝827に係合させる。このときには、バルブ816は、移動軸818で引っ張られて開く。すると、ニードル本体81の先端部811の開口814から流出した飲料水Wは、通路815がバルブ816で遮断されることなく、ホース接続部817に流出する。そして、ホース9内へと排出される。しかる後に、ウォーターサーバー1のボトルホルダ2’を閉めて、ボトルホルダ2のようにした状態とする。
【0487】
ホース9に排出された飲料水Wは、さらにライン10を通って、冷水タンク5に供給される。最初は冷水タンク5と温水タンク6内には空気Aが入っているので、両タンク5,6からの空気Aを抜くこととする。
【0488】
図6は本実施形態に係る冷水タンク5と温水タンク6とのエア抜き構造を示す説明図である。具体的には、
図6に示すように、給水口11は閉じて、給水口12を開ける。それだけで、袋体4からの飲料水Wが冷水タンク5に供給されると、温水タンク6内の空気Aが圧縮され、この圧縮された空気Aが連通管102を介して温水タンク6内に排出され、この温水タンク6内に排出された空気Aが排出管63と給水口12を介して、温水タンク6から外部に排出される。これにより、冷水タンク5内に飲料水Wが満たされ、この冷水タンク5内に満たされた飲料水Wが連通管102を介して温水タンク6内に排出されることにより、温水タンク6内に飲料水Wが満たされるようになり、いわゆるエアレス状態となる。しかる後に給水口12を閉じる。
【0489】
そして、冷水タンク5で冷された飲料水Wと、温水タンク6で温められた飲料水Wとは、それぞれの給水口11,12を開閉することにより、図示しないコップ等に所定量だけ注がれる。
【0490】
袋体4内の飲料水Wを使いきってしまうと、それを飲料水Wが充填された別の袋体4と交換する必要があるが、このときには、ウォーターサーバー1のボトルホルダ2を再び開いて、ボトルホルダ2’のようにした状態で、ニードル8を元の状態に引き戻す。すなわち、ユーザは第二レバー834を、上記と逆手順で直立させる。すると、ニードル本体81の通路815がバルブ816で再び遮断される。
【0491】
ついで、ニードルカバー83をニードル本体81とともに、袋体4のキャップ42から引きぬく。すなわち、ユーザは第二レバー834を直立させた状態のまま、第一レバー833を補助部材835側に押圧することにより、第一レバー833の先端が、前記ラチェット刃826から外れて、本体831の左右両側からフック832をそれぞれ伸長させる。そして、第一レバー833を補助部材835側に押圧したまま後方に引っ張ると、ニードルカバー83がニードル本体81とともに後方に移動するので、ニードル本体81の先端部811が袋体4のキャップ42から引きぬかれる。支持部7の上方においてクリップ71を外して、袋体4を上方に引き上げると、前記伸長させたフック832が袋体4の取出口41における第二突起413の左右側部と第三突起414の左右側部との間から外れ、第二突起413の下部と第三突起414の下部との間がニードルガイド82の縮径部824の上部から外れ、キャップ42の下部が拡径部823の上部から外れるので、袋体4を容易に取り除くことができる。そして、クリップ71を操作して袋体4を取り除いて、そこに別の袋体4を所定位置にセットした後、再度、前記動作を順に繰り返すことにより、エアレス状態が維持されたまま給水を行うことができる。このとき、漏れ水があれば、センサ72が検出し、このセンサ72からの信号により警報ランプを点滅させるので、ユーザは直ちに漏れ水があったことを知り、早急に対応することができる。
【0492】
以上説明したように、本実施形態1のウォーターサーバー1によれば、キャップ42付きの袋体4を所定位置にセットした状態で、キャップ42にニードル本体81の少なくとも先端部811付近を挿入したときに、通路815を開放させることにより、通路815を介して飲料水Wを冷水タンク5に供給可能とする一方、通路815を閉止させたときに、キャップ42からニードル本体81の少なくとも先端部811付近を引き抜き可能とするように構成したので、袋体4内の飲料水Wを使い切って、別の袋体4に交換するときには、必ず通路815が閉止されており、冷水タンク5内に空気Aが流入することがない。したがって、キャップ42付きの袋体4の交換時に冷水タンク5内を満水状態としておき、その袋体4の交換後、エア抜き作業等の時間をかけることなく、そのまますぐに使用することができて便利である。また、誤操作によりエアレス状態が維持できなくなる事態を確実に防止できる。この場合、複雑な電気的要素を全く必要とせず、今般の省エネルギーの要請に沿ったものとなり、かつ、低コスト化などを実現することができる。
【0493】
なお、上記実施形態では、ニードルガイド82で案内されるニードルカバー83に、ニードル本体81を収納しているが、ニードル本体81を直接ニードルガイド82で案内することとしてもよい。その場合、より簡単な構成となる。また、ニードルカバー83のフック832の移動規制を解除するために、第一レバー833を補助部材835に押圧することとしているが、これに代えて押しボタンを押圧するなどとしてもよい。
【0494】
また、上記実施形態では、キャップ42の薄肉部424を中心から周囲三方向に向けてそれぞれ放射状に延びるものとしているが、1又は複数方向であればよい。ただし、複数方向の場合、ニードル本体81を薄肉部424に突き刺すときに、該ニードル本体81に過度のねじれモーメントが作用しないように等角度とすることが好ましい。
【0495】
また、上記実施形態では、ニードル本体81の基部813に組み込んだバルブ816の開閉により、通路815を開放又は遮断しているが、ホース9の接続部817以降の連通路のいずれかの部位に、コック、バルブなどを設けることとしてもよい。
【0496】
また、上記実施形態では、いずれもニードル8の手動操作を例示しているが、バネ、モータその他のアクチュエータ等で自動的にニードル8を進退させるようにしてもよい。ただし、モータ等を用いた場合は省エネルギーの要請に反するとともに、電気回路が必要となりコストアップとなる。また、モータ等を用いた場合は、構成が大型化するので配置スペースやメンテナンスの問題もある。
【0497】
また、上記実施形態では、袋体4の底面付近において、横向きにニードル8を突き刺す、いわゆる横刺しとしているが、いわゆる縦刺しとしてもよいし、先上がり、或いは、袋体4の上部付近から下刺しすることとしてもよい。また、ニードル8に代えて、尖塔部を持たない棒状部材であってもよい。さらに、ニードル8の進退動作はストレート状であってもよいし、螺旋状であってもよい。その螺旋状の進退動作はニードル本体81又はニードルガイド82の少なくとも一方に螺旋溝を設けておくことで実現できる。さらに、袋体4にニードル8をより確実に突き刺すことができるように、ニードル8の先端に部分的な螺旋構造や段違い構造を採用してもよい。
【0498】
また、上記実施形態では、冷水タンク5と温水タンク6との間に連通管102を設けて、袋体4から冷水タンク5に給水し、冷水タンク5から連通管102を通じて温水タンク6に給水し、温水タンク6から空気Aを抜くような構成としているが、例えば
図7に示す変形例のように、袋体4から冷水タンク5と温水タンク6とに別個に給水をしてもよい。その場合、冷水タンク5の上部からオリフィス54とベンチュリー管52とを介して排液ライン51に空気Aを抜くように構成してもよい。いずれの場合も、冷水タンク等のエアレス機構を構成することができる。
【0499】
また、上記実施形態では、液体として飲料水Wを例示しているが、その他の液体として、ジュース、酒類等のあらゆる液体であってもよい。
【0500】
(第四発明の実施形態1)
以下、第四発明の実施形態における
図1〜
図13は、上記図面の簡単な説明における
図50〜
図62と読み替える。
図1は第四発明の実施形態1に係る球状容器4Aを装着可能なウォーターサーバー1の全体構成を模式的に示す側断面図、
図2は球状容器4Aの正面図(ウォーターサーバーに装着したときの向きとしている)、
図3(a)(b)は球状容器4Aに充填された飲料水Wのエアレス供給を示す原理図、
図4は本発明の実施形態1に係る球状容器4Aを装着可能なウォーターサーバー1のエアレス構造を示す原理図である。なお、同
図1中の左側が正面、右側が背面をそれぞれ示している。また、ウォーターサーバー1の材料としては、主に合成樹脂、ゴム、金属などが適所に使用されている。
【0501】
図1に示すように、このウォーターサーバー1は、ボトルホルダ2と本体3とからなっている。ボトルホルダ2は、液体としての飲料水Wの入った球状容器(容器に相当する。)4Aを内部にセットし、或いは、このセットした球状容器4Aを外部に取り出すために、本体3上で開閉自在に取り付けられている(
図1中の符号2は閉状態、符号2’は開状態をそれぞれ示している)。また、本体3の内部には、飲料水Wを冷却する冷水タンク5と、飲料水Wを温める温水タンク6とが上下に配置されている。
【0502】
球状容器4Aは、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂製などの所定強度を有するとともに可撓性に富む比較的薄い材料からなり、その内部に充填された飲料水Wの減少につれて縮小変形可能なものである。そして、飲料水Wが充填された初期状態ではほぼ球状をなしている。球状容器4Aを支持部7で支持するために、この支持部7には球状容器4Aの本体下部42の曲面に対応するように上部が拡開された貫通孔71が形成されている。
【0503】
球状容器4Aは、例えば
図2に示すように、ウォーターサーバー1のボトルホルダ2内に装着した状態で、上側半分となる本体上部(上側部分に相当する。)41と、下側半分となる本体下部(下側部分に相当する。)42と、キャップ43とを備えている。
【0504】
本体上部41は、頂部411がフラットになっており、飲料水Wを入れての搬送中では上下逆向きとなっているから、この頂部411でもって自立できるようになっている。また、本体上部41の側面には上下方向に伸縮自在な蛇腹412が形成されている。この蛇腹412は、
図3(a)に示すように、その中心線413は平行ではなく、本体上部41の径方向に等角度の間隔でもって伸びるようになっているので、
図3(b)に示すように、飲料水Wの減少に伴う水圧(負圧)Pを受けることにより、矢印Rの向きにきわめて折れ曲がりやすくなっている。そして、本体上部41を折り返していくと、その蛇腹412が伸びていくことになり、それだけ蛇腹412の高さ(伸縮方向と直角方向の寸法をいう。以下、同じ。)が低くなっていくことになる。このようにして、折り返し形状が本体下部42の内側に密着しながら、収縮していくので、球状容器4Aに充填された飲料水Wについて、従来のような初期空気Aをまったく必要としない、いわゆるエアレス供給が可能となるわけである。これについて、発明者は実験により確認した。
【0505】
本体下部42の側面421の底部には飲料水Wの取出口422が形成されており、この取出口422は横向きのリブ423で補強されている。ただし、取出口422の強度によっては、リブ423は省略可能である。
【0506】
キャップ43は、取出口422の先端に取り付けられており、飲料水Wを入れての搬送中は閉止されている。これにより、取出口422から飲料水Wが漏れるおそれが少なくなる。このキャップ43は、ウォーターサーバー1の本体3に設置されているコネクタ9と前記貫通孔71内で係脱させると、自動的に開閉されるものが好ましい。
【0507】
冷水タンク5には、飲料水Wを冷却するための冷凍機等の冷却手段50が備わっており、球状容器4Aから供給された飲料水Wは、この冷却手段50で冷却されることにより、冷水タンク5内で4〜10℃程度の温度に維持されるようになっている。
【0508】
温水タンク6には、飲料水Wを加熱するためのバンドヒータやシーズヒータ等の加熱手段60が備わっており、球状容器4Aから供給された飲料水Wは、この加熱手段60で加熱されることにより、温水タンク6内で80〜90℃程度の温度に維持されるようになっている。
【0509】
支持部7で支持された球状容器4Aは、取出口422のキャップ43をコネクタ9に係合させ、このコネクタ9にさらに接続された給水ライン10を介して、球状容器4Aから取り出された飲料水Wが冷水タンク5に供給されるようになっている。また、冷水タンク5に供給された飲料水Wの一部が連通管102を介して、温水タンク6にも供給され、これらにおいてエアレス構造となっている。
【0510】
すなわち、
図4に示すように、冷水タンク5の頂部付近に凸部101を設けるとともに、この凸部101内と温水タンク6内とを先下がりで連通する連通管102を備えている。具体的には、略円筒状の凸部101を冷水タンク5の頂部から若干突出させるとともに、連通管102の上端を凸部101内に挿入して開口させることにより、いわゆる二重管状構造としている。そして、給水ライン10を、この凸部101から離間した部位に接続することで、給水ライン10から供給される飲料水Wが、連通管102から直接流出しないようになっており、これにより、冷水タンク5内の空気Aを温水タンク6内に流出しやすいようにもなっている。
【0511】
また、冷水タンク5内の飲料水を該冷水タンク5の底部付近から先下がりで排出する排液管51を設けるとともに、温水タンク6内の飲料水Wを該温水タンクの頂部付近から排出する排出管63を設けている。
【0512】
また、冷水タンク5で冷された飲料水Wと、温水タンク6で温められた飲料水Wとは、それぞれの給水口11,12を開閉することにより、図示しないコップ等に所定量だけ注がれるようになっている。
【0513】
図5は本実施形態1に係る球状容器4Aの使用状態を示す説明図、
図6はその斜視図である。以下、本実施形態1に係る球状容器4Aからの給水される冷水タンク5及び温水タンク6のエア抜き構造の動作手順(ステップS1〜S3)を説明する。
【0514】
ステップS1に入る前に、ウォーターサーバー1のボトルホルダ2を開いて、ボトルホルダ2’のようにした状態で、支持部7上に球状容器4Aを、その搬送中とは上下逆向きにして支持することにより、その球状容器4Aを支持部7にセットしているものとする。このときの球状容器4Aは、
図5(a),
図6(a)に示すように、ほぼ球状となっており、本体上部41の蛇腹412は充填された飲料水Wの水圧を受けて伸びきった状態となっている。
【0515】
ステップS1では、球状容器4Aから冷水タンク5内への飲料水Wの供給を開始する。まず、支持部7で支持された球状容器4Aは、その本体下部42の取出口422のキャップ43を支持部7の貫通孔71内でコネクタ9に係合させる。
【0516】
すると、球状容器4Aの本体上部41の蛇腹412が縮小する向きに働く張力と、該球状容器4A内に充填された飲料水W自身の重量とが同時に作用することによって、球状容器4A内の飲料水Wが、キャップ43、コネクタ9及び給水ライン10を通って、冷水タンク5に供給される。しかる後に、ウォーターサーバー1のボトルホルダ2’を閉めて、ボトルホルダ2のようにした状態とする。ただし、ボトルホルダ2は必ずしも開閉可能とする必要はなく、例えば本体3上に載置しただけでもよい。
【0517】
ところで、初期状態においては、冷水タンク5の給水口11と、温水タンク6の給水口12がともに閉じられている。そうすると、球状容器4Aから冷水タンク5及び温水タンク6内に飲料水Wを供給しようとしても、冷水タンク5内と温水タンク6内とにそれぞれ大量の空気Aが入っているために、両タンク5,6内に飲料水Wが供給されにくい。そこで、ステップS2では、温水タンク6の給水口12だけを開くと、冷水タンク5内の空気Aが凸部101に集められ、そこから連通管102を通って、温水タンク6内へと流出される。温水タンク6内に流出した空気Aは排出管63を介して給水口12から外部に排出される。このため、給水ライン10から冷水タンク5内に飲料水Wが供給されるようになる。
【0518】
すると、球状容器4Aは縮小変形を開始するわけであるが、ここでは、
図5(b),
図6(b)に示すように、本体上部41の蛇腹412が内側に折り畳まれていき、まるで頂部411が陥没していくようになる。
【0519】
そして、冷水タンク5内が飲料水Wで満たされると、今度は連通管102から温水タンク6へ飲料水Wが流出する。温水タンク6がこの飲料水Wで満たされるまで、給水口12から空気Aが出てくるので、それまでは、給水口12は開いたままとする。温水タンク6が飲料水Wで満たされた後のそれぞれのタンク5,6からの使用分は、各タンク5,6に個別に供給されるようになる。
【0520】
このようにして、冷水タンク5内に飲料水Wが供給される際に、この供給される飲料水Wで冷水タンク5内の初期空気Aが連通管102を通じて温水タンク6に排出されることにより、冷水タンク5内を速やかにエアレス状態とすることができる。しかる後に、給水口12を閉じる。
【0521】
その後、ステップS3では、冷水タンク5で冷された飲料水Wと、温水タンク6で温められた飲料水Wとは、それぞれの給水口11,12を開閉することにより、図示しないコップ等に所定量だけ注がれる。
【0522】
球状容器4A内の飲料水Wを使いきってしまうと、
図5(c),
図6(c)に示すように、球状容器4Aの本体上部41の蛇腹412が再び伸びきった状態となって、本体下部42の内側に密着してしまうから、このときの残液はほとんどなくなる。それを飲料水Wが充填された別の球状容器4Aと交換する必要があるが、このときには、ウォーターサーバー1のボトルホルダ2を再び開いて、ボトルホルダ2’のようにした状態で、球状容器4Aの取出口422のキャップ43とコネクタ9との係合を解除する。そして、別の球状容器4Aを所定位置にセットした後、再度前記各ステップS1〜S3を順に繰り返すことにより、給水を行うことができるようになる。
【0523】
以上説明したように、本実施形態1によれば、ウォーターサーバー1のボトルホルダ2内に装着した状態での球状容器4Aの本体上部41の折り曲げを許容するように蛇腹412を設けるとともに、その本体下部42の折り曲げを規制しておき、球状容器4A内部に充填した飲料水Wの減少に伴い、前記本体上部41の蛇腹412が順次折れ曲がりながら前記本体下部42の内側に沿って陥没していくように構成したので、球状容器4A内の飲料水Wの量が減少するにつれて、蛇腹412が伸びた状態となり、その高さが低くなる。したがって、上記特許文献6とはまったく逆に、球状容器4Aの本体下部42と本体上部41の蛇腹412の折れ込みとの間にほとんど隙間が残らなくなり、真のエアレス構造を実現できるから衛生的なものとなる。また、上記特許文献6のように、初期空気Aを入れておく必要もなく、残液も少ないことから、球状容器4Aの容積に対する飲料水Wの充填量が大きくなり、球状容器4Aの運搬コストの低減を図ることができる。
【0524】
(第四発明の実施形態2)
図7は第四発明の実施形態2に係る異形容器4Bを装着可能なウォーターサーバー1の全体構成を模式的に示す側断面図、
図8は異形容器4Bの正面図(ウォーターサーバーに装着されたときの向きとしている)、
図9(a)(b)は異形容器4Bに充填された飲料水Wのエアレス供給を示す原理図である。前記
図4は本発明の実施形態2に係る異形容器4Bを装着可能なウォーターサーバー1のエアレス構造を示す原理図でもある。なお、同
図7中の左側が正面、右側が背面をそれぞれ示している。また、ウォーターサーバー1の材料としては、主に合成樹脂、ゴム、金属などが適所に使用されている。ここでは、説明の便宜上、実施形態1と共通又は対応する要素に同一符号を付している。
【0525】
図7に示すように、このウォーターサーバー1は、ボトルホルダ2と本体3とからなっている。ボトルホルダ2は、液体としての飲料水Wの入った異形容器(容器に相当する。)4Bを内部にセットし、或いは、このセットした異形容器4Bを外部に取り出すために、本体3上で開閉自在に取り付けられている(
図7中の符号2は閉状態、符号2’は開状態をそれぞれ示している)。また、本体3の内部には、飲料水Wを冷却する冷水タンク5と、飲料水Wを温める温水タンク6とが上下に配置されている。
【0526】
異形容器4Bは、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂製などの可撓性に富む比較的薄い材料からなり、その内部に充填された飲料水Wの減少につれて縮小変形可能なものである。そして、飲料水Wが充填された初期状態では断面六角形状をなしている。異形容器4Bを支持部7で支持するために、この支持部7にも上部が拡開された貫通孔71が形成されている。球状容器4Aを支持する場合との共通化を図ったものである。
【0527】
この異形容器4Bも、例えば
図8に示すように、ウォーターサーバー1のボトルホルダ2内に装着した状態で、上側半分となる本体上部(上側部分に相当する。)41と、下側半分となる本体下部(下側部分に相当する。)42と、キャップ43とを備えている。
【0528】
本体上部41は、頂部411がフラットになっており、飲料水Wを入れての搬送中では上下逆向きとなっているから、この頂部411でもって自立できるようになっている。また、本体上部41の側面には上下方向に伸縮自在な蛇腹412が形成されている。ここで、本発明者での実験によると、異形容器4Bの場合は、前述した球状容器4Aの場合に比べて、蛇腹412の初期の折れ込みがしにくくなることがわかった。
【0529】
そこで、
図9(a)に示すように、蛇腹412の中心線416の傾斜角度を中心線415の傾斜角度よりも緩くした。これにより、
図9(b)に示すように、飲料水Wの減少に伴う水圧(負圧)Pを受けることにより、矢印Rの向きにきわめて折れ曲がりやすくなった。そして、折り返していくと、蛇腹412が伸びていくことになり、それだけ蛇腹412の高さが低くなっていくことになる。このようにして、折り返し形状が本体下部42の内側に密着しながら、収縮していくので、異形容器4Bに充填された飲料水Wについても、従来のような初期空気Aをまったく必要としない、いわゆるエアレス供給が可能となるわけである。
【0530】
本体下部42の側面421は略縦向きのリブ425で補強されている。また、その底部424には飲料水Wの取出口422が形成されており、取出口422は横向きのリブ423で補強されている。ただし、側面421や取出口422の強度によっては、リブ425,423は省略可能である。
【0531】
キャップ43は、取出口422の先端に取り付けられており、飲料水Wを入れての搬送中は閉止されている。これにより、取出口422から飲料水Wが漏れるおそれが少なくなる。このキャップ43は、ウォーターサーバー1の本体3に設置されているコネクタ9と前記貫通孔71内で係脱させると、自動的に開閉されるものが好ましい。
【0532】
冷水タンク5には、飲料水Wを冷却するための冷凍機等の冷却手段50が備わっており、異形容器4Bから供給された飲料水Wは、この冷却手段50で冷却されることにより、冷水タンク5内で4〜10℃程度の温度に維持されるようになっている。
【0533】
温水タンク6には、飲料水Wを加熱するためのバンドヒータやシーズヒータ等の加熱手段60が備わっており、異形容器4Bから供給された飲料水Wは、この加熱手段60で加熱されることにより、温水タンク6内で80〜90℃程度の温度に維持されるようになっている。
【0534】
支持部7で支持された異形容器4Bは、その底部424の取出口422のキャップ43を貫通孔71内でコネクタ9に係合させ、このコネクタ9にさらに接続された給水ライン10を介して、異形容器4Bから取り出された飲料水Wが冷水タンク5に供給されるようになっている。また、冷水タンク5に供給された飲料水Wの一部が連通管102を介して、温水タンク6にも供給されるようになっている。
【0535】
すなわち、前記
図4に示すように、冷水タンク5の頂部付近に凸部101を設けるとともに、この凸部101内と温水タンク6内とを先下がりで連通する連通管102を備えている。具体的には、略円筒状の凸部101を冷水タンク5の頂部から若干突出させるとともに、連通管102の上端を凸部101内に挿入して開口させることにより、いわゆる二重管状構造としている。そして、給水ライン10を、この凸部101から離間した部位に接続することで、給水ライン10から供給される飲料水Wが、連通管102から直接流出しないようになっており、これにより、冷水タンク5内の空気を温水タンク6内に流出しやすいようにもなっている。
【0536】
また、冷水タンク5内の飲料水Wを該冷水タンク5の底部付近から先下がりで排出する排液管51を設けるとともに、温水タンク6内の飲料水Wを該温水タンクの頂部付近から排出する排出管63を設けている。
【0537】
また、冷水タンク5で冷された飲料水Wと、温水タンク6で温められた飲料水Wとは、それぞれの給水口11,12を開閉することにより、図示しないコップ等に所定量だけ注がれるようになっている。
【0538】
図10は本実施形態1に係る異形容器4Bの使用状態を示す説明図、
図11はその斜視図である。以下、本実施形態2に係る異形容器4Bからの給水される冷水タンク5及び温水タンク6のエア抜き構造の動作手順(ステップS11〜S13)を説明する。なお、ステップS11に入る前に、ウォーターサーバー1のボトルホルダ2を開いて、ボトルホルダ2’のようにした状態で、支持部7上に異形容器4Bを、その搬送中とは上下逆向きにして支持することにより、その異形容器4Bを所定位置にセットしているものとする。このときの異形容器4Bは、
図10(a),
図11(a)に示すように、ほぼ断面六角形状となっており、本体上部41の蛇腹412は充填された飲料水Wの水圧(負圧)Pを受けて伸びきった状態となっている。
【0539】
ステップS11では、異形容器4Bから冷水タンク5内への飲料水Wの供給を開始する。まず、支持部7で支持された球状容器4Aは、その正面側の底面の取出口422のキャップ43をコネクタ9に係合させる。
【0540】
すると、異形容器4Bの本体上部41の蛇腹412が縮小する向きに働く張力と、該異形容器4B内に充填された飲料水W自身の重量とが同時に作用することによって、異形容器4B内の飲料水Wが、キャップ43、コネクタ9及び給水ライン10を通って、冷水タンク5に供給される。しかる後に、ウォーターサーバー1のボトルホルダ2’を閉めて、ボトルホルダ2のようにした状態とする。ただし、ボトルホルダ2は必ずしも開閉可能とする必要はなく、例えば本体3上に載置しただけでもよい。
【0541】
ところで、初期状態においては、冷水タンク5の給水口11と、温水タンク6の給水口12がともに閉じられている。そうすると、異形容器4Bから冷水タンク5及び温水タンク6内に飲料水Wを供給しようとしても、冷水タンク5内と温水タンク6内とにそれぞれ大量の空気Aが入っているために、両タンク5,6内に飲料水が供給されにくい。
【0542】
そこで、ステップS12では、温水タンク6の給水口12だけを開くと、冷水タンク5内の空気Aが凸部101に集められ、そこから連通管102を通って、温水タンク6内へと流出される。温水タンク6内に流出した空気Aは排出管63を介して給水口12から外部に排出される。このため、給水ライン10から冷水タンク5内に飲料水Wが供給されるようになる。
【0543】
すると、異形容器4Bは縮小変形を開始するわけであるが、ここでは、
図10(b)に示すように、本体上部41の蛇腹412が内側に折り畳まれていき、まるで頂部411が陥没していくようになる。
【0544】
そして、冷水タンク5内が飲料水Wで満たされると、今度は連通管102から温水タンク6へ飲料水Wが流出する。温水タンク6がこの飲料水Wで満たされるまで、給水口12から空気Aが出てくるので、それまでは、給水口12は開いたままとする。温水タンク6が飲料水Wで満たされた後のそれぞれのタンク5,6からの使用分は、各タンク5,6に個別に供給されるようになる。
【0545】
このようにして、冷水タンク5内に飲料水Wが供給される際に、この供給される飲料水Wで冷水タンク5内の初期空気Aが連通管102を通じて温水タンク6に排出されることにより、冷水タンク5内を速やかにエアレス状態とすることができる。しかる後に、給水口12を閉じる。
【0546】
その後、ステップS13では、冷水タンク5で冷された飲料水Wと、温水タンク6で温められた飲料水Wとは、それぞれの給水口11,12を開閉することにより、図示しないコップ等に所定量だけ注がれる。
【0547】
異形容器4B内の飲料水Wを使いきってしまうと、
図10(c),
図11(b)に示すように、異形容器4Bの本体上部41の蛇腹412が再び伸びきった状態となって、本体下部42の内側に密着してしまうから、このときの残液はほとんどなくなる。それを飲料水Wが充填された別の球状容器4Aと交換する必要があるが、このときには、ウォーターサーバー1のボトルホルダ2を再び開いて、ボトルホルダ2’のようにした状態で、異形容器4Bの取出口422のキャップ43とコネクタ9との係合を解除する。そして、別の異形容器4Bを所定位置にセットした後、再度前記各ステップS11〜S13を順に繰り返すことにより、給水を行うことができるようになる。
【0548】
以上説明したように、本実施形態2によれば、ウォーターサーバー1のボトルホルダ2内に装着した状態での異形容器4Bの本体上部41の折り曲げを許容するように蛇腹412を設けるとともに、その本体下部42の折り曲げを規制しておき、異形容器4B内部に充填した飲料水Wの減少に伴い、前記本体上部41の蛇腹412が順次折れ曲がりながら前記本体下部42の内側に沿って陥没していくように構成したので、異形容器4B内の飲料水Wの量が減少するにつれて、蛇腹412が伸びた状態となり、その蛇腹高さが低くなる。
【0549】
したがって、上記特許文献6とはまったく逆に、異形容器4Bの本体下部42と本体上部41の蛇腹412の折れ込みとの間にほとんど隙間が残らなくなり、真のエアレス構造を実現できるから衛生的なものとなる。また、上記特許文献6のように、初期空気Aを入れておく必要もなく、残液も少ないことから、異形容器4Bの容積に対する飲料水の充填量が大きくなり、ウォーターサーバー1の小型化を図り、異形容器4Bの運搬コストの低減をも図ることができる。
【0550】
なお、上記実施形態1,2では、液体として飲料水Wを例示しているが、その他の液体として、ジュース、酒類等のあらゆる液体であってもよい。
【0551】
また、上記実施形態2では、異形容器4Bを断面六角形状(截頭四面錐体を上下逆向きにして合体したような形状)であるとしたが、その他の截頭多面面錐体や截頭円錐体を上下逆向きにして合体したような形状であってもよい。また、蛇腹412の傾斜角度を変化させる代わりに、或いは、それに加えて、頂部411を加圧する手段として、錘、バネ等を設けることとしてもよい。
【0552】
例えば
図12に示すように、異形容器4Bの頂部411上に置かれた錘44で力Fを加えて、その異形容器4B内の圧力を上げることにより、残液が少なくなっても該異形容器4Bから取り出される飲料水Wの量の確保ができるようになる。また、飲料水Wの外部出口を自由な位置に設置することができるようになり、例えば給水口11(12)を従来よりも取り扱いやすい高い位置に設置することができる。さらに、異形容器4Bをセットしたウォーターサーバー1の冷水タンク5内と温水タンク6内との初期空気Aを速やかに排出して、エアレスを促進することができる。かかる加圧手段は、上記実施形態1の球状容器4Aについても同様に適用可能である。
【0553】
また、上記実施形態2では、異形容器4Bの本体下部42の底部424に取出口422を設けているが、この取出口422は、本体下部42の側面421の任意の位置に設けることもできる。かかる取出口422の位置の任意性は上記実施形態1の球状容器4Aについても同様である。
【0554】
また、上記実施形態1,2では、ウォーターサーバー1の本体3内には、冷水タンク5と温水タンク6の両方を備えており、それらを連通管102で連通させて、エアレス構造としているが、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではなく、その他のエアレス構造のウォーターサーバー1に適用することもできるのはもちろんである。
【0555】
(第五発明の実施形態)
以下、第五発明の実施形態における
図1〜
図5は、上記図面の簡単な説明における
図63〜
図67と読み替える。
図1は第五発明の一実施形態に係るウォーターサーバー1の全体構成を模式的に示す側断面図、
図2は本ウォーターサーバー1のサーバー本体3の上部付近を示す正面図である。なお、同
図1中の左側が正面、右側が背面をそれぞれ示している。また、ウォーターサーバー1の材料としては、主に合成樹脂、ゴム、金属などが適所に使用されている。
【0556】
図1に示すように、このウォーターサーバー1は、ボトルホルダ2とサーバー本体3とからなっている。ボトルホルダ2は、飲料水Wの入った異形容器(飲料水容器に相当する。)4を内部にセットし、或いは、このセットした異形容器4を外部に取り出すために、サーバー本体3上で開閉自在に取り付けられている(
図1中の符号2は閉状態、符号2’は開状態をそれぞれ示している)。また、サーバー本体3の内部には、飲料水Wを冷却する冷水タンク5と、飲料水Wを温める温水タンク6とが上下に配置されている。
【0557】
異形容器4は、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂製などの可撓性に富む比較的薄い材料からなり、その内部に充填された飲料水Wの減少につれて縮小変形可能なものである。そして、飲料水Wが充填された初期状態では断面六角形状をなしている。異形容器4を支持部7で支持するために、この支持部7には貫通孔71が形成されている。
【0558】
この異形容器4は、ウォーターサーバー1のボトルホルダ2内に装着した状態で、上側半分となる本体上部41と、下側半分となる本体下部42とを備えている。本体上部41は、頂部がフラットになっており、飲料水Wを入れての搬送中では上下逆向きとなっているから、この頂部でもって自立できるようになっている。また、本体上部41の側面には上下方向に伸縮自在な蛇腹が形成されている。本体下部42の底部には飲料水Wの取出口43が形成されている。
【0559】
冷水タンク5には、飲料水Wを冷却するための冷凍機等の冷却手段50が備わっており、異形容器4から供給された飲料水Wは、この冷却手段50で冷却されることにより、冷水タンク5内で4〜10℃程度の温度に維持されるようになっている。
【0560】
温水タンク6には、飲料水Wを加熱するためのバンドヒータやシーズヒータ等の加熱手段60が備わっており、異形容器4から供給された飲料水Wは、この加熱手段60で加熱されることにより、温水タンク6内で80〜90℃程度の温度に維持されるようになっている。
【0561】
支持部7で支持された異形容器4は、その底部の取出口43を貫通孔71内でコネクタ9に係合させ、このコネクタ9にさらに接続された給水ライン10を介して、異形容器4から取り出された飲料水Wが冷水タンク5に供給されるようになっている。また、冷水タンク5に供給された飲料水Wの一部が連通管102を介して、温水タンク6にも供給されるようになっている。
【0562】
すなわち、
図1に示すように、冷水タンク5の頂部付近に凸部101を設けるとともに、この凸部101内と温水タンク6内とを先下がりで連通する連通管102を備えている。具体的には、略円筒状の凸部101を冷水タンク5の頂部から若干突出させるとともに、連通管102の上端を凸部101内に挿入して開口させることにより、いわゆる二重管状構造としている。そして、給水ライン10を、この凸部101から離間した部位に接続することで、給水ライン10から供給される飲料水Wが、連通管102から直接流出しないようになっており、これにより、冷水タンク5内の空気Aを温水タンク6内に流出しやすいようにもなっている。
【0563】
また、冷水タンク5内の飲料水Wを該冷水タンク5の底部付近から先下がりで排出する排液管51を設けるとともに、温水タンク6内の飲料水Wを該温水タンク6の頂部付近から排出する排出管63を設けている。
【0564】
また、冷水タンク5で冷された飲料水Wと、温水タンク6で温められた飲料水Wとは、それぞれの給水口11,12を開閉することにより、図示しないコップ等に所定量だけ注がれるようになっている。
【0565】
図3は本ウォーターサーバー1の制御系を示すブロック図である。
【0566】
本ウォーターサーバーの制御系は、
図3に示すように、冷水ランプ(第1の選択スイッチに対応する表示ランプに相当する。)201と、冷水スイッチ(第1の選択スイッチに相当する。)202と、温水ランプ(第2の選択スイッチに対応する表示ランプに相当する。)203と、温水スイッチ(第2の選択スイッチに相当する。)204と、冷水調節器205と、温水調節器206と、冷却手段50の駆動回路207と、冷水センサ208と、加熱手段60の通電回路209と、温水センサ210とを備えている。
【0567】
ここで、冷水スイッチ202は、冷水タンクを冷却する冷却モードと、冷水タンク5を非冷却とする非冷却モードとのいずれか一方を選択するものであり、冷水ランプ201はその選択されたモードを表示するものである。また、温水スイッチ204は、温水タンク6を加熱する加熱モードと、温水タンク6を非加熱とする非加熱モードとのいずれか一方を選択するものであり、温水ランプ203はその選択されたモードを表示するものである。
【0568】
そして、ウォーターサーバー1のサーバー本体3正面上部には、操作盤200が配置されており、使用者は、この操作盤200に配置された冷水スイッチ202と温水スイッチ204とを操作する際に、これらのスイッチ近くに配置された冷水ランプ201と温水ランプ203とを視認できるようになっている。
【0569】
図4は本ウォーターサーバー1の動作例を示すフローチャート、
図5は本ウォーターサーバーのエア抜き構造を示す説明図である。まず、
図1において、ウォーターサーバー1のボトルホルダ2を開いて、ボトルホルダ2’のようにした状態で、支持部7上に異形容器4を、その搬送中とは上下逆向きにして支持することにより、その異形容器4を所定位置にセットする。このときの異形容器4は、ほぼ断面六角形状となっており、その本体上部41の蛇腹は充填された飲料水Wの水圧(負圧)を受けて伸びきった状態となっている。
【0570】
ついで、異形容器4から冷水タンク5内へ飲料水Wを供給するために、支持部7で支持された異形容器4の底面の取出口43をコネクタ9に係合させる。
【0571】
すると、異形容器4の本体上部41の蛇腹が縮小する向きに働く張力と、該異形容器4内に充填された飲料水W自身の重量とが同時に作用することによって、異形容器4内の飲料水Wが、コネクタ9及び給水ライン10を通って、冷水タンク5に供給される。しかる後に、ウォーターサーバー1のボトルホルダ2’を閉めて、ボトルホルダ2のようにした状態とする。ただし、ボトルホルダ2は必ずしも開閉可能とする必要はなく、例えばサーバー本体3上に載置しただけでもよい。
【0572】
ところで、初期状態においては、冷水タンク5の給水口11と、温水タンク6の給水口12がともに閉じられている。そうすると、異形容器4から冷水タンク5及び温水タンク6内に飲料水Wを供給しようとしても、冷水タンク5内と温水タンク6内とにそれぞれ大量の空気Aが入っているために、両タンク5,6内に飲料水が供給されにくい。
【0573】
そこで、
図5において、温水タンク6の給水口12だけを開くと、冷水タンク5内の空気Aが凸部101に集められ、そこから連通管102を通って、温水タンク6内へと流出される。温水タンク6内に流出した空気Aは排出管63を介して給水口12から外部に排出される。このため、給水ライン10から冷水タンク5内に飲料水Wが供給されるようになる。
【0574】
すると、異形容器4は縮小変形を開始するわけであるが、ここでは、本体上部41の蛇腹が内側に折り畳まれていき、まるで頂部が陥没していくようになる。
【0575】
そして、冷水タンク5内が飲料水Wで満たされると、今度は連通管102から温水タンク6へ飲料水Wが流出する。温水タンク6がこの飲料水Wで満たされるまで、給水口12から空気Aが出てくるので、それまでは、給水口12は開いたままとする。温水タンク6が飲料水Wで満たされた後のそれぞれのタンク5,6からの使用分は、各タンク5,6に個別に供給されるようになる。
【0576】
このようにして、冷水タンク5内に飲料水Wが供給される際に、この供給される飲料水Wで冷水タンク5内の初期空気Aが連通管102を通じて温水タンク6に排出されることにより、冷水タンク5内と温水タンク6内とを速やかにエアレス状態とすることができる。しかる後に、給水口12を閉じる。
【0577】
ついで、
図4のステップS1に入る。電源を投入すると、冷水スイッチ202、温水スイッチ204等はいずれもデフォルト値にセットされ、冷水スイッチ202はそのデフォルト値であるonとなっているから、そのままステップS2に進む。ここでは、冷水センサ208がhigh(10℃よりも高い温度)となっているから、駆動回路207を介して冷却手段50の冷凍機をonとするとともに(ステップS3)、冷水ランプ201をonとする(ステップS4)。
【0578】
ついで、ステップS5に入る。ここでも、最初は、温水スイッチ204がデフォルト値であるonとなっているから、そのままステップS7に進む。ここでは、温水センサ210がlow(80℃よりも低い温度)となっているから、通電回路209を介して加熱手段60のヒータをonとするとともに(ステップS7)、温水ランプ203をonとする(ステップS8)。
【0579】
そして、ステップS1に戻り、上記ステップS1〜S8を繰り返すうちに、冷水タンク5で飲料水Wが冷やされていくと、やがて冷水センサ208がlow(4℃よりも低い温度)となるから、駆動回路207を介して冷却手段50の冷凍機をoffとするとともに(ステップS9)、冷水ランプ201をoffとする(ステップS10)。このようにして、冷水タンク5内を4〜10℃程度の温度に維持することができる。
【0580】
また、温水タンク6で飲料水Wが温められていくと、やがて温水センサ210がhigh(90℃よりも高い温度)となってくるから、通電回路209を介して加熱手段60のヒータをoffとするとともに(ステップS11)、温水ランプ203をoffとする(ステップS12)。このようにして、温水タンク6内を80〜90℃程度の温度に維持することができる。
【0581】
こうして冷水タンク5で冷された飲料水Wと、温水タンク6で温められた飲料水Wとは、それぞれの給水口11,12を開閉することにより、図示しないコップ等に所定量だけ注がれる。
【0582】
いま、上記ステップS1で使用者が冷水スイッチ202をoffとしたとする。すると、この場合も駆動回路207を介して冷却手段50の冷凍機をoffとするとともに(ステップS9)、冷水ランプ201をoffとする(ステップS10)。しばらくすると、冷水タンク5内を常温に戻すことができる。
【0583】
また、上記ステップS5で使用者が温水スイッチ204をoffとしたとする。すると、この場合も通電回路209を介して加熱手段60のヒータをoffとするとともに(ステップS11)、温水ランプ203をoffとする(ステップS12)。しばらくすると、温水タンク6内を常温に戻すことができる。
【0584】
こうして冷水タンク5で常温に戻された飲料水W、又は、温水タンク6で常温に戻された飲料水Wは、それぞれの給水口11,12を開閉することにより、図示しないコップ等に所定量だけ注がれる。
【0585】
異形容器4内の飲料水Wを使いきってしまうと、異形容器4の本体上部41の蛇腹が再び伸びきった状態となって、本体下部42の内側に密着してしまうから、このときの残液はほとんどなくなる。それを飲料水Wが充填された別の異形容器4と交換する必要があるが、このときには、ウォーターサーバー1のボトルホルダ2を再び開いて、ボトルホルダ2’のようにした状態で、異形容器4の取出口43とコネクタ9との係合を解除する。そして、別の異形容器4を所定位置にセットした後、再度前記ステップS1〜S12を繰り返すことにより、給水を行うことができるようになる。電源をカットすると、すべての動作は終了する。
【0586】
以上説明したように、本実施形態によれば、ウォーターサーバー1によれば、異形容器4からサーバー本体3内の冷水タンク5と温水タンク6とに空気Aの混入を禁止した状態で飲料水Wを供給することを条件として、冷却タンク5を冷却する冷却モードと、冷却タンク5を非冷却とする非冷却モードとを有するとともに、前記冷却モードと前記非冷却モードとのいずれか一方を選択するための冷水スイッチ202を備え、かつ、温水タンク6を加熱する加熱モードと、温水タンク6を非加熱とする非加熱モードとを有するとともに、前記加熱モードと前記非加熱モードとのいずれか一方を選択するための温水スイッチ204を備えたので、そのエアレス構造によって細菌の繁殖を抑制することができる。したがって、たとえ異形容器4から冷水タンク5と温水タンク6とに供給された飲料水Wをそれぞれ常温使用しても衛生面での心配がなくなる。いずれのタンクを常温使用するかは、使用者の好みなどによる。
【0587】
なお、上記実施形態では、飲料水Wを使用しているが、これに代えて、ジュース、酒類等のあらゆる液体を使用することができる。
【0588】
また、上記実施形態では、異形容器4を断面六角形状(截頭四面錐体を上下逆向きにして合体したような形状)であるとしたが、その他の截頭多面面錐体や截頭円錐体を上下逆向きにして合体したような形状であってもよい。また、PET製の異形容器4に代えて、PET製の球形容器を使用してもよいし、さらには、ビニール袋を使用して、それにニードルを横刺しすることにより、飲料水Wを取り出すようにしてもよい。
【0589】
また、上記実施形態では、ウォーターサーバー1のサーバー本体3内には、冷水タンク5と温水タンク6との両方を備えており、それらを連通管102で連通させて、エアレス構造としているが、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではなく、その他のエアレス構造のウォーターサーバー1に適用することもできるのはもちろんである。
【0590】
また、上記実施形態では、操作盤200に冷水スイッチ202の真上に冷水ランプ201を配置するとともに、温水スイッチ204の真上に温水ランプ203を配置したが、それらの配置等は任意であって、例えば冷水スイッチ202と冷水ランプ201とを一体とするとともに、温水スイッチ204と温水ランプ203とを一体にしてもよい。さらには、冷水スイッチ202と温水スイッチ204とを1個の切替スイッチにまとめるとともに、冷水ランプ201と温水ランプ203とをその周辺に配置してもよいし、常温スイッチや常温ランプを設けることとしてもよい。
【0591】
また、上記実施形態では、飲料水容器としての異形容器4から冷水タンク5と温水タンク6とに給水してそれが完了してから電源を投入しているが、この間数分程度かかることになる。そこで、最初から電源を投入しておき、タイマーでこの数分程度遅れてからステップS1に自動的に入るようにしてもよい。
【0592】
また、上記実施形態では、給水口12を最初は全開しておき、冷水タンク5と温水タンク6とから空気Aが完全に抜けてから、その給水口12を閉めているが、これに代えて、例えば給水口12の手前に例えばフロート弁等のエア抜き手段を設けて自動的にエア抜きを行うようにしておくとさらに便利となる。
【0593】
また、上記実施形態では、電源投入によりセットされるデフォルト値として、冷水スイッチ202と温水スイッチ204とのいずれもがonとなっているので、冷水タンク5と温水タンク6とはそれぞれの設定温度になるように温度調整されてしまう。しかし、一旦温度調整されてから、冷水スイッチ202と温水スイッチ204のいずれかをoffとしたのでは、なかなか常温に戻らない。タンク周囲に保冷材や保温材が使用されている場合はなおさらである。そこで、常温使用がある程度見込まれる場合は、電源投入によりセットされるデフォルト値を上記とは逆にして、冷水スイッチ202と温水スイッチ204との少なくともいずれもかがoffとされることもある。
【0594】
また、上記実施形態では、冷却手段50の冷凍機と加熱手段60のヒータとの制御方法として、冷水調節器205と温水調節器206とを用いた簡単なon/off制御を採用しているが、コンピュータ搭載により複雑な制御を行うようにしてもよい。
【0595】
(第六発明の実施形態1)
以下、第六発明の実施形態における
図1〜
図16は、上記図面の簡単な説明における
図68〜
図83と読み替える。
図1は第六発明の実施形態1に係るウォーターサーバー1の全体構成を模式的に示す側断面図、
図2は本実施形態1に係るウォーターサーバー1のサーバー本体3の上部付近を示す正面図である。なお、同
図1中の左側が正面、右側が背面をそれぞれ示している。また、ウォーターサーバー1の材料としては、主に合成樹脂、ゴム、金属などが適所に使用されている。
【0596】
図1に示すように、このウォーターサーバー1は、ボトルホルダ2とサーバー本体3とからなっている。ボトルホルダ2は、飲料水Wの入った袋体(第一容器に相当する。)4を内部にセットし、或いは、このセットした袋体4を外部に取り出すために、サーバー本体3上で開閉自在に取り付けられている(
図1中の符号2は閉状態、符号2’は開状態をそれぞれ示している)。また、サーバー本体3の内部には、飲料水Wを冷却する冷水タンク5と、飲料水Wを温める温水タンク6とが上下に配置されている。
【0597】
袋体4は、例えば多層構造のナイロンフィルムなどの伸縮性に富む材料からなり、その内部に充填された飲料水の減少につれて縮小変形可能なものである。そして、飲料水が充填された初期状態では、全体として丸みを帯び、かつ、やや扁平な六面体状をなしている。ここでは、この袋体4を、支持部7で略立ち姿勢にて支持するようになっている。袋体4の初期状態における形状としては、例えば正方形や円筒形状など他の形状であってもよい。
【0598】
支持部7は、袋体4の縮小変形をできるだけ邪魔しないように、背面から正面寄りにかけて比較的大きなアールを設けるとともに、正面で比較的小さなアールを設けている。そして、両アール間で、袋体4の内部に充填された飲料水の取り出し時に、その袋体4が無理なねじれを生じることなく縮小変形するようにセットできるようになっている。なお、図示はしていないが、支持部7の左右両側にも適当なアールを設けて、同様の作用効果を奏するようになっている。
【0599】
支持部7で支持された袋体4は、その正面側の底面付近において、ニードル8を水平或いは若干先下がりとなるような向きに突き刺すことにより、その部位に孔を開けることができる。ニードル8は、正面側の支持部7に取り付けられて前記袋体4に突き刺すようになっている。なお、ニードル8を袋体4に突き刺す向きはこれに限定されず、上向きや下向きやそれらの中間の向きなどのいずれであってもよい。
【0600】
そして、ニードル8の基部に接続された例えばシリコンゴム製の可撓性ホース9と、このホース9にさらに接続されたライン10とを介して、袋体4から取り出された飲料水が冷水タンク(第二容器に相当する。)5に供給されるようになっている。また、冷水タンク5に供給された飲料水の一部が連通管102を介して、温水タンク(第三容器に相当する。)6にも供給されるようになっている。
【0601】
すなわち、
図1に示すように、冷水タンク5の頂部中央付近に凸部101を設けるとともに、この凸部101内と温水タンク6内の底部付近とを略直線的に連通する連通管102を備えている。具体的には、略円筒状の凸部101を冷水タンク5の頂部から若干突出させるとともに、連通管102の上端を凸部101内に挿入して開口させることにより、いわゆる二重管状構造としている。そして、給水ライン10を、この凸部101から離間した部位に接続することで、給水ライン10から供給される飲料水Wが、連通管102から直接流出しないようになっており、これにより、冷水タンク5内の空気Aを温水タンク6内に流出しやすいようにもなっている。
【0602】
また、冷水タンク5内の飲料水Wを該冷水タンク5の底部付近から先下がりで排出する排液管(第一管路に相当する。)51を設けるとともに、温水タンク6内の飲料水Wを該温水タンク6の頂部付近から排出する排出管(第二管路に相当する。)63を設けている。排液管51には電磁弁等の自動弁(第一弁に相当する。)11が介装され、排出管63には同じく自動弁(第二弁に相当する。)12が介装されている。そして、これらの自動弁12,13の各下流側は合流管52となり、手動弁(第三弁に相当する。)13を介して外部に開放されている。
【0603】
冷水タンク5には、飲料水を冷却するための冷凍機等の冷却手段50が備わっており、袋体4から供給された飲料水は、この冷却手段50で冷却されることにより、冷水タンク5内で4〜10℃程度の温度に維持されるようになっている。ここで、冷却手段50は冷水タンク5の周辺に配置されている。このため、冷水タンク5内の飲料水を冷やす冷水モードでは、この冷却手段50で冷却されることにより、冷却タンク5内の飲料水は、タンク周壁にそって下向きに流れ、タンク中央に配置された連通管の外壁にそって上向きに流れるような自然対流を発生する。この自然対流により、冷却タンク5内の飲料水が攪拌されてほぼ均一に冷却されるようになっている。ただし、後述する殺菌モードでは、この冷却手段50で冷却されないことから、むしろタンク壁を通して外部熱を吸収することにより、前記と逆向きの自然対流が発生するものと考えられる。
【0604】
温水タンク6には、飲料水を加熱するためのバンドヒータやシーズヒータ等の加熱手段60が備わっており、袋体4から供給された飲料水は、この加熱手段60で加熱されることにより、温水タンク6内で80〜90℃程度の温度に維持されるようになっている。ここで、加熱手段60は温水タンク5の周辺に配置されている。このため、後述する温水モードでは、この加熱手段60で加熱されることにより、温水タンク6内の飲料水は、タンク周壁にそって上向きに流れ、タンク中央に配置された連通管の外壁にそって下向きに流れるような自然対流を発生する。この自然対流により、温水タンク5内の飲料水が攪拌されてほぼ均一に温められるようになっている。また、後述する殺菌モードでも、この加熱手段60で加熱されることから、前記と同じ向きの自然対流が発生するものと考えられる。
【0605】
また、冷水タンク5で冷された飲料水Wと、温水タンク6で温められた飲料水Wとは、それぞれの自動弁11,12と手動弁13とを適宜タイミングで開閉することにより、図示しないコップ等に所定量だけ注がれるようになっている。
【0606】
図3は本実施形態1に係るウォーターサーバー1の主に弁類の制御系を示すブロック図である。
【0607】
本実施形態1に係るウォーターサーバー1の主に弁類の制御系は、
図3に示すように、冷水ランプ201と、冷水スイッチ202と、温水ランプ203と、温水スイッチ204と、殺菌ランプ205と、殺菌スイッチ206と、自動弁(V1)11と、自動弁(V2)12と、手動弁(V3)13とを備えている。
【0608】
ここで、冷水スイッチ202は、冷水タンク5内の飲料水を冷やす冷水モード(第一モードに相当する。)を選択するためのモード選択スイッチであり、冷水ランプ201はその冷水スイッチ202で冷水モードが選択されたことを表示するものである。また、温水スイッチ204は、温水タンク6内の飲料水を温める温水モード(第二モードに相当する。)を選択するためのモード選択スイッチであり、温水ランプ203は温水スイッチ204で温水モードが選択されたことを表示するものである。また、殺菌スイッチ206は、温水タンク6内で温められた飲料水(温水)で冷水タンク内の飲料水を殺菌する殺菌モード(第三モードに相当する。)を選択するためのモード選択スイッチであり、殺菌ランプ205は殺菌スイッチ206で殺菌モードが選択されたことを表示するものである。
【0609】
そして、ウォーターサーバー1のサーバー本体3正面上部には、操作盤200が配置されており、使用者は、この操作盤200に配置された冷水スイッチ202と温水スイッチ204と殺菌スイッチ206とを操作する際に、これらのスイッチ近くに配置された冷水ランプ201と温水ランプ203と殺菌ランプ205とを視認できるようになっている。また、ウォーターサーバー1のサーバー本体3の内部には、この操作盤200と、自動弁11,12の通電回路211,212と、手動弁13のリミットスイッチ(LS)213とにそれぞれ電気的に接続された制御装置210が配置されている。そして、この制御装置210の制御下で本ウォーターサーバー1が動作するようになっている。
【0610】
図4は本ウォーターサーバー1の主に弁類の動作例を示すフローチャート、
図5〜
図8は本ウォーターサーバー1の動作例を示す説明図である。なお、
図5〜
図8中の弁において黒塗りのものは閉、白抜きのものは開である。ここで、ステップS1に入る前に、ウォーターサーバー1のボトルホルダ2を開いて、ボトルホルダ2’のようにした状態で、支持部7上に袋体4を略立ち姿勢で支持することにより、その袋体4を所定位置にセットしているものとする。
【0611】
そして、袋体4から冷水タンク5内への飲料水Wの供給を開始する。まず、ニードル8を支持部7にセットする。ユーザはニードル8を袋体4に押し込むように手動操作する。すると、ニードル8の先端部が、袋体4の正面下方を突き破って、その内部にまで到達する。
【0612】
すると、袋体4が縮小する向きに働く張力と、該袋体4内に充填された飲料水W自身の重量とが同時に作用することによって、袋体4内の飲料水Wが、ニードル8からホース9内へと排出される。ホース9に排出された飲料水Wは、さらにライン10を通って、冷水タンク5に供給される。しかる後に、ウォーターサーバー1のボトルホルダ2’を閉めて、ボトルホルダ2のようにした状態とする。ただし、ボトルホルダ2は必ずしも開閉可能とする必要はなく、例えばサーバー本体3上に載置しただけでもよい。
【0613】
ところで、電源を投入すると、初期モードとして、自動弁(V1)11が閉じられ、自動弁(V2)12が開かれる(ステップS1)。手動弁(V3)13は閉じられているものとする。そうすると、袋体4から冷水タンク5及び温水タンク6内に飲料水Wを供給しようとしても、冷水タンク5内と温水タンク6内とにそれぞれ大量の空気Aが入っているために、両タンク5,6内に飲料水Wが供給されにくい。そこで、温水タンク6の手動弁13を開くと、
図5に示すように、冷水タンク5内の空気Aが凸部101に集められ、そこから連通管102を通って、温水タンク6内へと流出される。温水タンク6内に流出した空気Aは排出管63を介して手動弁13から外部に排出される。このため、ライン10から冷水タンク5内に飲料水Wが供給されるようになる。
【0614】
そして、冷水タンク5内が飲料水Wで満たされると、今度は連通管102から温水タンク6へ飲料水Wが流出する。温水タンク6がこの飲料水Wで満たされるまで、手動弁13から空気Aが出てくるので、それまでは、手動弁13は開いたままとする。温水タンク6が飲料水Wで満たされた後のそれぞれのタンク5,6からの使用分は、各タンク5,6に個別に供給されるようになる。
【0615】
このようにして、冷水タンク5内に飲料水Wが供給される際に、この供給される飲料水Wで冷水タンク5内の初期空気Aが連通管102を通じて温水タンク6に排出されることにより、冷水タンク5内と温水タンク6内とを速やかにエアレス状態とすることができる。しかる後に、手動弁13を閉じると、所定シーケンスにしたがって、冷水タンク5内の飲料水Wは冷却手段50で冷やされ、温水タンク6内の飲料水Wは加熱手段60で温められる。
【0616】
ついで、冷水スイッチ202がonかoffかが判断される(ステップS2)。いま、冷水スイッチ202がonとなったとする。このとき、自動弁11を開とし、自動弁12を閉としてから(ステップS3)、冷水ランプ201がonとなる(ステップS4)。すると、
図6に示すように、冷水タンク5内で冷やされた飲料水(冷水)を供給可能となる。そして、手動弁13を適宜開閉して、図示しない紙コップなどに給水してから、ステップS2に戻るが、今度は、冷水スイッチ202がoffとなったとすると、冷水ランプ201がoffとなる(ステップS5)。
【0617】
ついで、温水スイッチ204がonかoffかが判断される(ステップS6)。いま、温水スイッチ204がonとなったとする。このとき、自動弁11を閉とし、自動弁12を開としてから(ステップS7)、温水ランプ203がonとなる(ステップS8)。すると、
図7に示すように、温水タンク6内で温められた飲料水(温水)を供給可能となる。そして、手動弁13を適宜開閉して、図示しない紙コップなどに給水してから、ステップS2に戻るが、今度は、温水スイッチ204がoffとなったとすると、温水ランプ203がoffとなる(ステップS9)。
【0618】
ついで、殺菌スイッチ206がonかoffかが判断される(ステップS10)。いま、殺菌スイッチ206がonとなったとする。このとき、手動弁13が閉であるか否かが判断される(ステップS11)。いま、手動弁13が閉となったと判断されたとすると、自動弁11を開とし、自動弁12を開としてから(ステップS12)、殺菌ランプ205がonとなる(ステップS13)。すると、冷水タンク5の冷却手段50はoffとされ、これにより冷水タンク5内の飲料水Wは冷却されなくなる。一方、温水タンク6の加熱手段60はonとされ、これにより温水タンク6内の飲料水Wは加熱されて温水となる。そして、
図8に示すように、温水タンク6内の温水が、冷水タンク5内に自然対流だけで流入し、その流入した温水の量に応じて冷水タンク5内の冷水が温水タンク6内に流入する。これにより、両タンク内での飲料水が循環され、冷水タンク5内の水温が55℃程度まで上昇して殺菌されることになる。しかる後に、ステップS2に戻るが、今度は、殺菌スイッチ206がoffとなったか、あるいはonであるが、手動弁13が開であるとすると、殺菌ランプ205がoffとなる(ステップS14)。
【0619】
袋体4内の飲料水Wを使いきってしまうと、それを飲料水Wが充填された別の袋体4と交換する必要があるが、このときには、ウォーターサーバー1のボトルホルダ2を再び開いて、ボトルホルダ2’のようにした状態で、別の袋体4を所定位置にセットした後、再度前記ステップS1〜S14を繰り返すことにより、給水を行うことができるようになる。電源をカットすると、すべての動作は終了する。
【0620】
以上説明したように、本実施形態1によれば、冷水タンク5内の飲料水Wを冷やす冷水モードと、温水タンク6内の飲料水Wを温める温水モードと、温水タンク6内で温められた飲料水Wで冷水タンク5内を殺菌する殺菌モードとを有するとともに、前記冷水モードと、前記温水モードと、前記殺菌モードとのいずれかを択一的に選択可能なモード選択スイッチ(冷水スイッチ202、温水スイッチ204、殺菌スイッチ206)を備えたので、ワンタッチで各モードを実行することができる。このうちの冷水モードと温水モードとでは、エアレス構造により、各タンク内において飲料水Wと空気Aとが触れにくくして、衛生面での考慮がなされる一方、第三モードでは、袋体4の取替えなどで冷水タンク5内に若干の空気Aが混入した場合であっても、温水タンク6内で加熱された飲料水Wで冷水タンク5内の飲料水Wを殺菌することができる。このようにして、エアレス構造のウォーターサーバー1に好適な殺菌方法を得ることができた。また、本実施形態1によれば、最終的に外部に開放されているのは手動弁13だけであるので、前記殺菌モードで管路系統のほとんどすべてを殺菌できるようになる。
【0621】
(第六発明の実施形態2)
図9は第六発明の実施形態2に係るウォーターサーバー1aの全体構成を模式的に示す側断面図、
図10は本実施形態2に係るウォーターサーバー1aのサーバー本体3の上部付近を示す正面図である。なお、同
図1a中の左側が正面、右側が背面をそれぞれ示している。また、ウォーターサーバー1aの材料としては、主に合成樹脂、ゴム、金属などが適所に使用されている。ただし、以下では、上記実施形態1に係るウォーターサーバー1と共通する要素には、同番号をつけることで、その詳細説明を省略することがある。
【0622】
図9に示すように、このウォーターサーバー1aは、ボトルホルダ2とサーバー本体3とからなっている。ボトルホルダ2は、飲料水Wの入った袋体(第一容器に相当する。)4を内部にセットし、或いは、このセットした袋体4を外部に取り出すために、サーバー本体3上で開閉自在に取り付けられている(
図9中の符号2は閉状態、符号2’は開状態をそれぞれ示している)。また、サーバー本体3の内部には、飲料水Wを冷却する冷水タンク5と、飲料水Wを温める温水タンク6とが上下に配置されている。袋体4、支持部7及びニードル8は上述したとおりである。
【0623】
そして、ニードル8の基部に接続された例えばシリコンゴム製の可撓性ホース9と、このホース9にさらに接続されたライン10とを介して、袋体4から取り出された飲料水Wが冷水タンク(第二容器に相当する。)5に供給されるようになっている。また、冷水タンク5に供給された飲料水Wの一部が連通管102を介して、温水タンク(第三容器に相当する。)6にも供給されるようになっている。
【0624】
すなわち、
図9に示すように、冷水タンク5の頂部中央付近に凸部101を設けるとともに、この凸部101内と温水タンク6内とを略直線的に連通する連通管102を備えている。具体的には、略円筒状の凸部101を冷水タンク5の頂部から若干突出させるとともに、連通管102の上端を凸部101内に挿入して開口させることにより、いわゆる二重管状構造としている。そして、給水ライン10を、この凸部101から離間した部位に接続することで、給水ライン10から供給される飲料水Wが、連通管102から直接流出しないようになっており、これにより、冷水タンク5内の空気Aを温水タンク6内に流出しやすいようにもなっている。
【0625】
また、冷水タンク5内の飲料水Wを該冷水タンク5の底部付近から先下がりで排出する排液管(第四管路に相当する。)51を設けるとともに、温水タンク6内の飲料水Wを該温水タンク6の頂部付近から排出する排出管(第五管路に相当する。)63を設けている。排液管51には手動弁(第四弁に相当する。)11aが介装され、排出管63には手動弁(第五弁に相当する。)12aが介装されている。そして、手動弁11a,12aの各上流側は合流されて合流管52aとなり、自動弁(第六弁に相当する。)13aを介して外部に開放されている。
【0626】
冷水タンク5には、飲料水を冷却するための冷凍機等の冷却手段50が備わっており、袋体4から供給された飲料水は、この冷却手段50で冷却されることにより、冷水タンク5内で4〜10℃程度の温度に維持されるようになっている。ここで、冷却手段50の配置と、それによる自然対流の向きなどは上述したとおりである。
【0627】
温水タンク6には、飲料水を加熱するためのバンドヒータやシーズヒータ等の加熱手段60が備わっており、袋体4から供給された飲料水は、この加熱手段60で加熱されることにより、温水タンク6内で80〜90℃程度の温度に維持されるようになっている。ここで、加熱手段60の配置と、それによる自然対流の向きなどは上述したとおりである。
【0628】
また、冷水タンク5で冷された飲料水Wと、温水タンク6で温められた飲料水Wとは、手動弁11a,12aをそれぞれ開閉することにより、図示しないコップ等に所定量だけ注がれるようになっている。
【0629】
図11は本実施形態2に係るウォーターサーバー1aの主に弁類の制御系を示すブロック図である。本実施形態2に係るウォーターサーバー1aの主に弁類の制御系は、
図11に示すように、冷水ランプ201と、冷水スイッチ202と、温水ランプ203と、温水スイッチ204と、殺菌ランプ205と、殺菌スイッチ206と、手動弁(V1a)11aと、手動弁(V2a)12aと、自動弁(V3a)13aとを備えている。
【0630】
ここで、冷水スイッチ202は、冷水タンク5内の飲料水Wを冷やす冷水モード(第一モードに相当する。)を選択するためのモード選択スイッチであり、冷水ランプ201はその冷水スイッチ202で冷水タンクが選択されたことを表示するものである。また、温水スイッチ204は、温水タンク6内の飲料水Wを温める温水モード(第二モードに相当する。)を選択するためのモード選択スイッチであり、温水ランプ203は温水スイッチ204で温水モードが選択されたことを表示するものである。また、殺菌スイッチ206は、温水タンク6内で温められた飲料水(温水)Wで冷水タンク5内の飲料水を殺菌する殺菌モード(第三モードに相当する。)を選択するためのモード選択スイッチであり、殺菌ランプ205は殺菌スイッチ206で殺菌モードが選択されたことを表示するものである。
【0631】
そして、ウォーターサーバー1aのサーバー本体3正面上部には、操作盤200が配置されており、使用者は、この操作盤200に配置された冷水スイッチ202と温水スイッチ204と殺菌スイッチ206とを操作する際に、これらのスイッチ近くに配置された冷水ランプ201と温水ランプ203と殺菌ランプ205とを視認できるようになっている。また、ウォーターサーバー1aのサーバー本体3の内部には、この操作盤200と、手動弁11a,12aのリミットスイッチ(LS)211a,212aと、自動弁13aの通電回路213aとにそれぞれ電気的に接続された制御装置210aが配置されている。そして、この制御装置210aの制御下で本ウォーターサーバー1aが動作するようになっている。
【0632】
図12は本実施形態2に係るウォーターサーバー1aの主に弁類の動作例を示すフローチャート、
図13〜
図16は本ウォーターサーバー1aの動作例を示す説明図である。なお、
図13〜
図16中の弁において黒塗りのものは閉、白抜きのものは開である。ここで、ステップS1aに入る前に、ウォーターサーバー1aのボトルホルダ2を開いて、ボトルホルダ2’のようにした状態で、支持部7上に袋体4を略立ち姿勢で支持することにより、その袋体4を所定位置にセットしているものとする。
【0633】
そして、袋体4から冷水タンク5内への飲料水Wの供給を開始する。まず、ニードル8を支持部7にセットする。ユーザはニードル8を袋体4に押し込むように手動操作する。すると、ニードル8の先端部が、袋体4の正面下方を突き破って、その内部にまで到達する。
【0634】
すると、袋体4が縮小する向きに働く張力と、該袋体4内に充填された飲料水W自身の重量とが同時に作用することによって、袋体4内の飲料水Wが、ニードル8からホース9内へと排出される。ホース9に排出された飲料水Wは、さらにライン10を通って、冷水タンク5に供給される。しかる後に、ウォーターサーバー1aのボトルホルダ2’を閉めて、ボトルホルダ2のようにした状態とする。ただし、ボトルホルダ2は必ずしも開閉可能とする必要はなく、例えばサーバー本体3上に載置しただけでもよい。
【0635】
ところで、電源を投入すると、初期モードとして、手動弁11aが開かれ、手動弁12aと自動弁13aとが閉じられる(ステップS1a)。そうすると、袋体4から冷水タンク5及び温水タンク6内に飲料水Wを供給しようとしても、冷水タンク5内と温水タンク6内とにそれぞれ大量の空気Aが入っているために、両タンク5,6内に飲料水Wが供給されにくい。そこで、ステップS1aでは、手動弁11aと自動弁13aとが閉じられたことを条件として、温水タンク6の手動弁12aを開くと、
図13に示すように、冷水タンク5内の空気Aが凸部101に集められ、そこから連通管102を通って、温水タンク6内へと流出される。温水タンク6内に流出した空気Aは排出管63を介して手動弁12aから外部に排出される。このため、ライン10から冷水タンク5内に飲料水Wが供給されるようになる。
【0636】
そして、冷水タンク5内が飲料水Wで満たされると、今度は連通管102から温水タンク6へ飲料水Wが流出する。温水タンク6がこの飲料水Wで満たされるまで、手動弁12aから空気Aが出てくるので、それまでは、手動弁12aは開いたままとする。温水タンク6が飲料水Wで満たされた後のそれぞれのタンク5,6からの使用分は、各タンク5,6に個別に供給されるようになる。
【0637】
このようにして、冷水タンク5内に飲料水Wが供給される際に、この供給される飲料水Wで冷水タンク5内の初期空気Aが連通管102を通じて温水タンク6に排出されることにより、冷水タンク5内と温水タンク6内とを速やかにエアレス状態とすることができる。しかる後に、手動弁12aを閉じると、所定シーケンスにしたがって、冷水タンク5は冷やされ、温水タンク6は温められる。
【0638】
ついで、冷水スイッチ202がonかoffかが判断される(ステップS2)。いま、冷水スイッチ202がonとなったとする。このとき、手動弁12aと自動弁13aとを閉としてから(ステップS3a)、冷水ランプ201がonとなる(ステップS4)。すると、
図14に示すように、冷水タンク5内で冷やされた飲料水(冷水)が供給可能となる。そして、手動弁11aを適宜開閉して、図示しない紙コップなどに給水してから、ステップS2に戻るが、今度は、冷水スイッチ202がoffとなったとすると、冷水ランプ201がoffとなる(ステップS5)。
【0639】
ついで、温水スイッチ204がonかoffかが判断される(ステップS6)。いま、温水スイッチ204がonとなったとする。このとき、手動弁11aと自動弁13aとを閉としてから(ステップS7a)、温水ランプ203がonとなる(ステップS8)。すると、
図15に示すように、温水タンク6内で温められた飲料水(温水)が供給可能となる。そして、手動弁12aを適宜開閉して、図示しない紙コップなどに給水してから、ステップS2に戻るが、今度は、温水スイッチ204がoffとなったとすると、温水ランプ203がoffとなる(ステップS9)。
【0640】
ついで、殺菌スイッチ206がonかoffかが判断される(ステップS10)。いま、殺菌スイッチ206がonとなったとする。このとき、手動弁11a,12aのいずれもが閉であるか否かが判断される(ステップS11a)。いま、手動弁11a,12aのいずれもが閉となったとすると、自動弁13aを開としてから(ステップS12a)、殺菌ランプ205がonとなる(ステップS13)。すると、冷却手段50はoffとされ、これにより冷水タンク5内の飲料水Wは冷却されなくなる。一方、加熱手段60はonとされ、これにより温水タンク6内の飲料水Wは加熱されて温水となる。そして、
図16に示すように、温水タンク6内の温水が、冷水タンク5内に自然対流だけで流入し、その流入した温水の量に応じて冷水タンク5内の冷水が温水タンク6内に流入する。これにより、両タンク内での飲用水が循環され、冷水タンク5内の水温が55℃程度まで上昇して殺菌されることになる。しかる後に、ステップS2に戻るが、今度は、殺菌スイッチ206がoffとなったか、あるいはonであるが、手動弁11a,12aのいずれかが開であるとすると、殺菌ランプ205がoffとなる(ステップS14)。
【0641】
袋体4内の飲料水Wを使いきってしまうと、それを飲料水Wが充填された別の袋体4と交換する必要があるが、このときには、ウォーターサーバー1aのボトルホルダ2を再び開いて、ボトルホルダ2’のようにした状態で、別の袋体4を所定位置にセットした後、再度前記ステップS1a〜S14を繰り返すことにより、給水を行うことができるようになる。電源をカットすると、すべての動作は終了する。
【0642】
以上説明したように、本実施形態2によっても、上記実施形態1と同様に、ワンタッチで各モードを実行することができる。このうちの冷水モードと温水モードとでは、エアレス構造により、各タンク内において飲料水と空気とが触れにくくして、衛生面での考慮がなされる一方、殺菌モードでは、袋体4の取替えなどで冷水タンク5内に若干の空気が混入した場合であっても、温水タンク6内で加熱された飲料水で冷水タンク5内の飲料水を殺菌することができる。このようにして、エアレス構造のウォーターサーバー1aに好適な殺菌方法を得ることができた。ただし、本実施形態2によれば、上記実施形態1よりも自動弁が少なくて済むので、その配置や製造コストにおいて有利となる。
【0643】
なお、上記実施形態1,2では、飲料水Wを使用しているが、これに代えて、ジュース、酒類等のあらゆる液体を使用することができる。
【0644】
また、上記実施形態1,2では、袋体4を使用して、それにニードルを突き刺すことにより、飲料水Wを取り出すが、これに代えて、PET製の容器とその接続用具とを使用してもよい。
【0645】
また、上記実施形態1,2では、ウォーターサーバー1,1aのサーバー本体3内には、冷水タンク5と温水タンク6との両方を備えており、それらを連通管102で連通させて、エアレス構造としているが、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではなく、その他のエアレス構造のウォーターサーバーに適用することもできるのはもちろんである。
【0646】
また、上記実施形態1,2では、操作盤200に冷水スイッチ202の真上に冷水ランプ201を配置するとともに、温水スイッチ204の真上に温水ランプ203を配置し、殺菌スイッチ206の真上に殺菌ランプ205を配置したが、それらの配置等は任意であって、例えば冷水スイッチ202と冷水ランプ201とを一体とし、温水スイッチ204と温水ランプ203とを一体とし、殺菌スイッチ206を殺菌ランプ205と一体にしてもよい。さらには、冷水スイッチ202と温水スイッチ204と殺菌スイッチ206とを1個の切替スイッチにまとめるとともに、冷水ランプ201と温水ランプ203と殺菌ランプ205とをその周辺に配置してもよい。
【0647】
また、上記実施形態1,2では、袋体4から冷水タンク5と温水タンク6とに給水してそれが完了してから電源を投入しているが、この間数分程度かかることになる。そこで、最初から電源を投入しておき、タイマーでこの数分程度遅れてからステップS1(S1a)に自動的に入るようにしてもよい。
【0648】
また、上記実施形態1では、弁11,12を自動弁とし、弁13を手動弁としており、上記実施形態2では、弁11a,12aを手動弁とし、弁13aを自動弁としているが、全ての弁を自動弁として、自動的にエア抜きなどを行うようにしておくとさらに便利となる。
【0649】
(第七発明の実施形態)
以下、第七発明の実施形態における
図1〜
図6は、上記図面の簡単な説明における
図84〜
図89と読み替える。
図1は第七発明の一実施形態に係る液体供給装置の一種であるウォーターサーバー1の全体構成を模式的に示す側面図、
図2はインナーボックス2内に袋体4を入れた状態を示す斜視図、
図5は冷水タンク5のメンテナンス時の様子を示す説明図である。なお、
図1中では左側が正面、右側が背面をそれぞれ示しているのに対して、
図2中では左側が背面、右側が背面をそれぞれ示している。また、ウォーターサーバー1の材料としては、主に合成樹脂、ゴム、金属などが適所に使用されている。
【0650】
図1に示すように、このウォーターサーバー1は、インナーボックス(第一容器の保護容器に相当する。)2を支持するサーバー上部(支持部に相当する。)7と本体3とからなっている。インナーボックス2は、液体としての飲料水Wの入った袋体4を収納し、或いは、この収納した袋体4を外部に取り出すために、サーバー上部7にセットする前に開閉可能となっている。また、本体3の内部には、飲料水Wを冷却する冷水タンク(第二容器に相当する。)5と、飲料水Wを温める温水タンク6と、が上下に配置されている。
【0651】
袋体4は、例えば多層構造のナイロンフィルムなどの伸縮性に富む材料からなり、その内部に充填された飲料水Wの減少につれて縮小変形可能なものである。そして、飲料水Wが充填された初期状態では、全体として丸みを帯び、かつ、やや扁平な六面体状をなしている。この袋体4の初期状態における形状としては、例えば正方形や円筒形状など他の形状であってもよい。
図1からは明らかではないが、この袋体4の背面側におけるなるべく底面付近の略中央には小孔を開けてそこに飲料水Wの注ぎ口でもある合成樹脂製の取出口が突出しており、該取出口は同じく合成樹脂製のキャップ24で封止されている。
【0652】
インナーボックス2は、
図2に示すように、上部が開放されるとともに、背面のみが前記キャップ24を突出させるように略V字状に大きく切り欠かかれた箱状のボックス本体21と、このボックス本体21の上に取り外し自在に嵌め込まれたボックスカバー22と、ボックス本体21の左右に形成された突起部23,23とを備えている。
図2は、袋体4をインナーボックス2内に収納した状態を示す説明図である。
【0653】
サーバー上部7は、上部と正面とが開放された箱状であり、その左右側面にインナーボックス2の突起部23,23を案内する案内溝75,75と、背面に固定されたニードル8を埋没する凹部76とを備えている。そして、サーバー上部7の案内溝75,75に、インナーボックス2の突起部23,23を嵌め込んで、そのインナーボックス2を凹部76内のニードル8に向けて押し込むことにより、インナーボックス2に収納された袋体4を、そのキャップ24を凹部76に嵌め込んで、ニードル8に突き刺した状態となし、これにより、その部位に孔を開けることができるようになっている。
【0654】
このサーバー上部7は、通常メンテナンスが必要とされる冷水タンク5のタンクカバー55とともに、本体3に一体的に着脱自在となっている。具体的には、サーバー上部7底面にタンクカバー55を接続しており、サーバー上部7を本体3から取り外すと冷水タンク5のタンクカバー55が同時に外れ、サーバー上部7を本体3に取り付けると冷水タンク5のタンクカバー55が復旧するようになっている。
【0655】
ニードル8の材料としては、袋体4のキャップ24と密着性のよい合成樹脂製のものを使用することにより、そのキャップ24に開けた孔からの飲料水Wの漏れをできるだけ少なくすることができる。なお、耐久性の点から、ステンレス鋼製のものを使用することとしてもよい。
【0656】
そして、ニードル8の基部に接続されたライン10を介して、袋体4から取り出された飲料水が冷水タンク5に供給されるようになっている。また、冷水タンク5に供給された飲料水の一部が連通管102を介して、温水タンク6にも供給されるようになっている。
【0657】
すなわち、
図1に示すように、冷水タンク5の頂部付近と温水タンク6内の底部付近とを略直線的に連通する連通管102を備えている。具体的には、冷水タンク5のタンクカバー55をいわゆる鏡板状に形成するとともに、連通管102の上端をタンクカバー55の比較的高い位置にある中央付近に挿入しておき、給水ライン10を、このタンクカバー55の比較的低い位置にある周辺部位から挿入して接続することで、給水ライン10から供給される飲料水Wが、連通管102から直接流出しないようになっており、これにより、冷水タンク5内の空気Aを温水タンク6内に流出しやすいようにもなっている。
【0658】
冷水タンク5には、図示しないセパレータが必要に応じて内設されるとともに、飲料水Wを冷却するための冷凍機等の冷却手段50が備わっており、袋体4から供給された飲料水Wは、この冷却手段50で冷却されることにより、冷水タンク5内で4〜10℃程度の温度に維持されるようになっている。
【0659】
温水タンク6には、飲料水Wを加熱するためのバンドヒータやシーズヒータ等の加熱手段60が備わっており、袋体4から供給された飲料水Wは、この加熱手段60で加熱されることにより、温水タンク6内で80〜90℃程度の温度に維持されるようになっている。
【0660】
また、冷水タンク5で冷された飲料水Wと、温水タンク6で温められた飲料水Wとは、それぞれの給水口11,12を開閉することにより、図示しないコップ等に所定量だけ注がれるようになっている。
【0661】
図3はインナーボックス2をサーバー上部7へセットする時の様子を示す説明図、
図4はインナーボックス2をサーバー上部7へセットし終えた時の様子を示す説明図である。なお、説明の便宜上、
図3〜
図5においては、凹部76を省略している。以下、動作を説明する。いま、インナーボックス2のボックスカバー22を開けて、ボックス本体21内に袋体4を横向きに収納する。そして、袋体4のキャップ24をボックス本体21の背面から突出させた状態で、ボックスカバー22を閉じる。すると、
図2に示したような状態となる。
【0662】
次いで、
図3に示すように、サーバー上部7の案内溝75,75に、インナーボックス2の突起部23,23をそれぞれ嵌め込んで、インナーボックス2をニードル8に向けて押し込む。すると、
図4に示すように、インナーボックス2に収納された袋体4は、そのキャップ24おいて、ニードル8に突き刺さる。このようにして、その部位に孔を開けると、袋体4が縮小する向きに働く張力と、該袋体4内に充填された飲料水W自身の重力とが同時に作用することによって、袋体4内の飲料水Wが、ニードル8から流出する。
【0663】
この流出した飲料水Wは、ライン10を通って冷水タンク5に供給される。最初は冷水タンク5と温水タンク6内には空気Aが入っているので、両タンク5,6からの空気Aを抜くこととする。
【0664】
図6は本実施形態に係る冷水タンク5と温水タンク6とのエア抜き構造を示す説明図である。具体的には、
図6に示すように、給水口11は閉じて、給水口12を開ける。それだけで、袋体4からの飲料水Wが冷水タンク5に供給されると、温水タンク6内の空気Aが圧縮され、この圧縮された空気Aが連通管102を介して温水タンク6内に排出され、この温水タンク6内に排出された空気Aが排出管63と給水口12を介して、温水タンク6から外部に排出される。これにより、冷水タンク5内に飲料水Wが満たされ、この冷水タンク5内に満たされた飲料水Wが連通管102を介して温水タンク6内に排出されることにより、温水タンク6内に飲料水Wが満たされるようになり、いわゆるエアレス状態となる。しかる後に給水口12を閉じる。
【0665】
そして、冷水タンク5で冷された飲料水Wと、温水タンク6で温められた飲料水Wとは、それぞれの給水口11,12を開閉することにより、図示しないコップ等に所定量だけ注がれる。
【0666】
袋体4内の飲料水Wを使いきってしまうと、それを飲料水Wが充填された別の袋体4と交換する必要があるが、このときには、ウォーターサーバー1のサーバー上部7からインナーボックス2を引き出すようにして、インナーボックス2をサーバー上部7から取り外す。
【0667】
このとき、インナーボックス2に収納された袋体4のキャップ24がニードル8から引き抜かれる。次いで、インナーボックス2のボックスカバー22を開くと、ボックス本体21内の袋体4を容易に取り除くことができる。そして、ボックス本体21内から袋体4を取り除いて、そこに別の袋体4をセットした後、再度、前記動作を順に繰り返す。
【0668】
ここで、冷水タンク5のメンテナンスを行うときには、冷水タンク5内の冷水を使い切るか、あるいは、その冷水を抜いてしまってから、
図5に示すように、サーバー上部7を本体3から取り外す。次いで、冷水タンク5内のセパレータを取り外して、清掃し、タンクカバー55やタンクパッキンを清掃し、冷水タンク5内を清掃する。次いで、冷水タンク5内にセパレータを取り付け、冷水タンク5内に熱湯を入れて、5〜10分程度放置する。冷水タンク5を殺菌するためである。そして、冷水タンク5内を空にしてから、サーバー上部7を本体に取り付けることで、元の状態に復旧する。
【0669】
以上説明したように、本実施形態のウォーターサーバー1によれば、サーバー上部7の奥側から手前側に向けて設置され、先端付近に形成した開口と該開口に連通する通路とを有するニードル8に、インナーボックス2に収納された袋体4のキャップ24を押し込むことにより、このニードル8を介して冷水タンク5に飲料水Wを供給可能となしたので、上記
図6Bの場合におけるようなニードル8bの容器4b’への刺しミスが少なくなる。これにより、さらに漏れにくくすることができる。
【0670】
なお、上記実施形態では、液体供給装置として、液体としての飲料水Wを、インナーボックス2に収納された袋体4から冷水タンク5に供給し、この冷水タンク5から温水タンク6にさらに供給するように、両タンク5,6を上下配置したウォーターサーバー1を例示しているが、両タンク5,6を並列配置したものであってもよい。また、冷水タンク5と温水タンク6とのいずれかを省略したものであってもよい。
【0671】
また、上記実施形態では、インナーボックス2内に収納した袋体4のキャップ24を、サーバー上部7に固定したニードル8に押し付けることにより、該キャップ24に小孔を開けているが、インナーボックス2を省略して袋体4をニードル8に直接押し付けることにより、該袋体4に小孔を開けるようにしてもよい。また、キャップ24のある場合は、ニードル8に代えて、尖塔部を持たない棒状部材であってもよい。
【0672】
また、上記実施形態では、インナーボックス2のボックス本体21にボックスカバー22を嵌め込んでいるが、ヒンジで開閉自在としてもよい。ボックスカバー22は、必ずしも透明である必要はないが、透明とすると袋体4内部の飲料水Wの残量がわかり便利である。
【0673】
また、上記実施形態では、サーバー上部7の底面に冷水タンク5のタンクカバー55を接続して一体化しているが、両者を別体としてもよい。例えば、サーバー上部7を本体3から取り外すと、冷水タンク5のタンクカバー55がヒンジで後方に向かって自動あるいは手動で起き上がるようにすることとしてもよい。
【0674】
また、上記実施形態では、液体として飲料水Wを例示しているが、その他の液体として、ジュース、酒類等のあらゆる液体であってもよい。
【0675】
(第八発明の実施形態)
以下、第八発明の実施形態における
図1〜
図6は、上記図面の簡単な説明における
図90〜
図95と読み替える。
図1は第八発明の一実施形態に係るニードル1の全体構造を示す模式図、
図2は本ニードル1の部分拡大図である。なお、
図2中のニードル1の軸心(以下、C軸という。)よりも上段は、本ニードル1の先端部11からフランジ部51を最も遠ざけた状態を示すものであり、またC軸よりも下段は、本ニードル1の先端部11にフランジ部51を最も接近させた状態を示すものである。
【0676】
図1,
図2に示すように、本実施形態に係るニードル1は、例えば液体・粉体・粒体・気体等の流動体2(
図3等参照。)が封入された容器3に孔4を開けて、その流動体2を容器3から取り出すためのものであって、合成樹脂又はステンレス鋼製の先端部11と中間部12と基部13とが一体形成されている。ただし、各部11〜13の一部または全部を別体で造った上で、それらを適宜組み立てたものであってもよい。
【0677】
先端部11は、円錐等の先細り形状となっており、その周面に複数の開口14を配置している。各開口14は、断面中央に形成された通路15にそれぞれ連通しており、この通路15は、さらに中間部12と基部13とを連通してなっている。
【0678】
中間部12は、先端部11の最大径よりも若干縮径した円筒形状となっており、その外周には雄ネジ16が形成され、雄ネジ16には大径のハンドル17が螺合されている。このハンドル17の外周には、人間が操作しやすいように適宜浅溝やローレット加工等が施されている。また、雄ネジ16のさらに外周には、先端部11を容器3に挿入したときに、この先端部11が容器3から抜け出すことを阻止する抜け止め機構5を設けている。
【0679】
この抜け止め機構5は、例えば
図2に示すように、容器3に外部から接するフランジ部51と、ニードル1の先端部11が容器3の例えば側壁を貫通したときに容器3の内部で拡開する拡開部52とを備えている。拡開部52は、可撓性材料の一例であるウレタンゴム製であって、ニードル1の容器3への挿脱動作を阻害しないように、外力を加えない自然状態では、その外径がニードル1の先端部11の最大径を超えない円筒形状をなしている。そして、その長手方向の両端の支持点(支持部)p1,p2で、先端部11とフランジ部51とにそれぞれ回転可能に支持されるとともに、略中央に形成された溝部54の壁面が互いに離れるように折れ点(折れ部)p3を中心として折り曲げ自在となっている。この拡開部52を、その周方向に等分しておいてもよい。
【0680】
すなわち、この拡開部52は、
図2の上段に示すように、折り曲げていない状態では溝部54の壁面が互いに接することで円筒形状をなしており、
図2の下段に示すように、折り曲げた状態では溝部54の壁面が互いに離れて径方向に突出するようになっている。この拡開部52をC軸に平行な方向から見た形状は、その周方向に例えば4等分、6等分などしているときには、略十字形、雪の結晶に近い形状等となる。
【0681】
そして、ニードル1の先端部11に対してハンドル17を時計回りに回転操作することで、フランジ部51を
図2中の矢印Bの向きに進めて先端部11に接近させると、拡開部52は、前述の折り曲げた状態となる。これにより、拡開部52とフランジ部51との間に容器3の孔4の周辺部分を挟みこむようになっている。このとき、拡開部52の外周全体を伸縮性材料の一例であるシリコンゴムチューブ53で覆っているとすれば、拡開部52が略十字形となるときのわずかな隙間をこのシリコンゴムチューブ53で埋めるようになるので、シール性をさらに向上させることができる。このシリコンゴムチューブ53についても、外力を加えない自然状態では、その外径がニードル1の先端部11の最大径を超えないものとする。
【0682】
一方、ニードル1の先端部11に対してハンドル17を反時計回りに回転操作することで、フランジ部51を
図2中の矢印Aの向きに後退させて先端部11から遠ざけると、拡開部52が前述の折り曲げていない状態となる。これにより、拡開部52とフランジ部51との間に容器3の孔4の周辺部分の挟みこみを終了して、ニードル1を容器3から容易に取り外せるようになっている。
【0683】
基部13は、「L」の字状または「く」の字状に近い形状となっており、その中間にコック6を設けている。このコック6の上部レバーを回転操作することにより、前記通路15を開閉できるようになっている。また、基部13下方の開放端には、例えば可撓性のホース7が図示しない接続金具等で接続されている。
【0684】
図3〜
図6は、本ニードルの使用方法のステップ1〜4を示す説明図である。以下、
図3〜
図6を参照して、本ニードル1の使用方法の各ステップを概略説明する。なお、最初は、ニードル1のハンドル17は基部13寄りの位置にあって、フランジ部51は先端部11から遠ざかっているので、拡開部52は前述の折り曲げていない状態となっているものとする。また、
図3〜
図6ではニードル1のコック6の記載を省略しており、また基部13の形状等も
図1のそれとは若干異なるものの、それらの使用方法は同様である。
【0685】
まずステップ1では、
図3中の矢印のように、ハンドル17を移動させて、ニードル1の先端部11を容器3の側壁に押し付けることで、その先端部11で容器3の壁面に孔4を開けて挿入する。そして、ステップ2では、
図4に示すように、フランジ部51を容器3の側壁に当接させる(
図2の上段参照)。
【0686】
これとほぼ同時に、
図5中の矢印で示すように、ハンドル17を時計回りに回転させる。すると、ハンドル17が中間部12の雄ネジ16で案内されてフランジ部51を前進させる結果、先端部11とフランジ部51とが接近し、その間にある拡開部52が自動的に開く。すなわち、この拡開部52が支持点p1,p2回りに互いに外向きに回転するとともに、その略中央に形成された溝部54の壁面が互いに離れるように折れ点p3を中心として折り曲げられる。そして、
図6に示すように、この折り曲げられた拡開部52とフランジ部51との間に容器3の孔4の周辺部分を挟みこむ。このとき、拡開部52の外周をシリコンゴムチューブ53で覆っているとすれば、拡開部52の隙間をシリコンゴムチューブ53で埋めるようになるので、シール性は確保される(
図2の下段参照)。
【0687】
次いで、コック6の上部レバーを回転操作することにより通路15を開くことで、容器3内の流動体2が重力でホース7内に流れ出す。
【0688】
そして、容器3内の流動体2がなくなるとその交換をすることとなるが、このときには、ハンドル17を反時計回りに回転させる。すると、ハンドル17が中間部12の雄ネジ16で案内されてフランジ部51を後退させる結果、先端部11とフランジ部51とが遠ざかり、その間にある拡開部52が自動的に初期状態に戻る。すなわち、拡開部52が支持点p1,p2回りに互いに内向きに回転するとともに、その略中央に形成された溝部54の壁面が互いに接近するように折れ点p3を中心として前記と逆回転することで、拡開部52は、もとの折れ曲がっていない円筒形状に戻る。そして、拡開部52とフランジ部51との間に容器3の孔4の周辺部分を挟みこまないようになる。このようにして、上記とほぼ逆の手順でニードル1を容器3から容易に取り外すことができる。
【0689】
以上説明したように、本実施形態によれば、ニードル1を、流動体2が封入された容器3に挿入したときに、ニードル1の先端部11が容器3から抜け出さないようにする抜け止め機構5を設けたので、流動体2が封入された容器3の孔4を開ける部位のいかんにかかわらず、この孔4を開けた容器3とニードル1とが密着して、そこから流動体2が外部に漏れるおそれがなくなる。
【0690】
なお、上記実施形態では、ニードル1を容器3の側壁から挿入しているが、これは容器3としてのビニール袋を受台に載せて、その側面からニードルを挿入する場合を想定したからである。この代わりに、容器3としてのビニール袋をぶら下げて、その側面からニードルを挿入する場合であってもよい。すなわち、本ニードル1では、容器3の底部その他の部位に挿入することもできる。容器3としては、ビニール袋に限らず、例えばペットボトル等、本ニードル1が挿入できる材質のものであればなんでもよい。
【0691】
また、上記実施形態では、ハンドル17を操作して、ニードル1を容器3に押し込むのとほぼ同時に中間部12に形成した雄ネジ16でもって、フランジ部51を先端部11に接近させることにより、拡開部52を拡開しているが、このネジ機構に代えて、例えばリンク機構やギヤ機構等他の種類の機構を用いてもよい。また、バネやモータ等を用いて自動的に行うようにしてもよい。これにより、たとえ力の弱い女性やお年寄り等であっても、本ニードル1の一連の動作を迅速かつ確実に行うことができるようになる。
【0692】
また、上記実施形態では、拡開部52をウレタンゴム製としており、これにより、拡開部52を繰り返し使用に耐えるものとしているが、流動体2の種類によっては、このウレタンゴムに代えて、シリコンゴム等他の種類の可撓性材料を使用してもよい。また、拡開部52の形状や動作についても、上記実施形態とまったく同じものとする必要性は必ずしもなく、ほぼ同様の機能を発揮できるものであればなんでもよい。
【0693】
また、上記実施形態では、拡開部52の外周全体をシリコンゴムチューブ53で覆っているとすれば、拡開部52の隙間をシリコンゴムチューブ53で埋めるようになるので、シール性を確保できるとしているが、拡開部52の両端の支持点(支持部)p1,p2の外周にのみゴムリングをはめ込んでおくこととしてもよい。このゴムリングについても、その外径はニードル1の先端部11の最大径を超えないものとする。また、フランジ部51自体をゴム製とした場合や、流動体2の漏れが無視できる場合には、このシリコンゴムチューブ53を省略してもよい。また、流動体2の種類によっては、このシリコンゴムチューブ53に代えて、他の種類の伸縮性材料を使用してもよい。
【0694】
また、上記実施形態では、基部13にコック6を設けて、通路15の開閉を行っているが、流動体2の種類等によっては、このコック6を省略してもよい。また、基部13のコック6に代えて弁等を設けてもよいのはもちろんである。
【0695】
また、上記各発明を適宜組み合わせて適用することとしてもよいのは、もちろんである。