特許第6205547号(P6205547)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6205547-草コモ緑化シート、及び施工方法 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6205547
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】草コモ緑化シート、及び施工方法
(51)【国際特許分類】
   A01G 1/00 20060101AFI20170925BHJP
   A01G 13/00 20060101ALI20170925BHJP
   A01M 21/00 20060101ALI20170925BHJP
   E02D 17/20 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
   A01G1/00 301C
   A01G13/00 302Z
   A01M21/00 A
   E02D17/20 102B
【請求項の数】3
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-129928(P2015-129928)
(22)【出願日】2015年6月29日
(65)【公開番号】特開2017-12034(P2017-12034A)
(43)【公開日】2017年1月19日
【審査請求日】2017年3月29日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】391002199
【氏名又は名称】株式会社丹勝
(72)【発明者】
【氏名】丹野 勝治
【審査官】 竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−16977(JP,A)
【文献】 特開2002−180740(JP,A)
【文献】 特開2005−180037(JP,A)
【文献】 特開平11−315542(JP,A)
【文献】 実開平3−102804(JP,U)
【文献】 実開昭61−102804(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 1/00
A01G 13/00
A01M 21/00
E02D 17/00 − 17/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下から種子シート、ポリエステル製短繊維不織布、雑草茎葉、格子状ラッセルネットを順に重ね、雑草茎葉の表面移動を抑えるとともに、構造体を堅持するように縦横所定間隔で一枚のシートに縫製した雑草を用いたことを特徴とする草コモ緑化シート。
【請求項2】
緑化施工範囲の表面に請求項1の草コモ緑化シートを敷設して緑化を図る施工方法。
【請求項3】
防草緑化の施工面に長繊維不織布、雑木チップ材、良質土の順で下地層を形成し、この上に請求項1の草コモ緑化シートを敷設して雑草防除と所望植物による緑化を図る施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路の法面や分離帯等の緑化施工面において飛来種子や埋土種子等による雑草の繁茂を防止し、導入種子による緑化を可能とする緑化シート、及び防草緑化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
道路の法面、分離帯、公園等の緑地帯では埋土種子や飛来種子等の侵入により、雑草の繁茂が見受けられ、周囲の景観を損ねている。特に道路沿や中央分離帯では、草丈の高い雑草により運転者の視界を妨げる等交通の安全に支障をきたすため、毎年膨大な経費を掛けて除草作業が行われてきた。
【0003】
また、道路新設や拡幅工事に伴う盛土面の緑化方法として稲ワラに種子シートを附帯させたワラ芝を使用した緑化が一般的に用いられている。しかし、ワラ芝に用いる国内産の稲ワラは、脱穀と同時に茎葉を切り刻んで土壌改良や堆肥として使用され、稲ワラとして出荷される量が少ないためほとんどを国外から輸入された稲ワラを使用してワラ芝を製作しているが近年輸出国内での稲ワラの需要が高まり不足気味といった状態になっている。
【0004】
そこで近年は、雑草防除と景観緑化を兼ね備えた当発明者が開発した特許文献1の種子付防草シートによる緑化工法やワラ芝のワラに変えて植生用ネットや生分解性のシートを用いた芝シートが用いられている。
【0005】
特許文献1の種子付防草シートを用いた防草緑化工法は、敷設面からの雑草生育を防止するため、黒色不織布の表面をアスファルト乳剤でコーティングし、その上に数ミリの厚さで良質土を散布し、高分子樹脂にて接着した下地防草シートを敷設する第一工程と、上から不織布・ポリシート・不織布の順に重ね一枚のシートに形成したうえで、直径数ミリから数十ミリの貫通孔を一定間隔で多数形成し、この下面となる不織布に種子シートを付着させて第二工程の種子付防草シートとし、当該種子付防草シートの種子面を下にして第一工程の下地防草シート面に重ね、一体化させ固定する手順の構成で施工する防草と緑化を兼ね備えた防草緑化工法である。
【0006】
しかし、特許文献1の発明において、雑草を防除し所望植物を生育させる機能として、下から不織布、アスファルト乳剤、良質土、種子シート、不織布、ポリシート、不織布の順序で各シートを重ね合わせ防草と緑化を図っているが、時期によってシート内の温度が高温になり所望植物の生育不良や枯死してしまう可能性の問題点と3層の防草シートにラッセルネットと種子シートを重ね一体化された種子付防草シートは、傾斜面や凹凸面に対しても敷設が容易であるが、複数重ねたシートは地表の凹凸面との密着性が低く、シートと敷設面との間に空隙が生じ導入種子の発芽や生育に阻害を及ぼす可能性があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2015−136360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者は、上記問題を解決すべく道路中央分離帯や公園等で刈取られた雑草の処分経費の削減と所望植物による地域景観及び交通視界の改善を図るとともに所望植物の生育不良等が起こることのない緑化シートを用いた防草緑化工法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、これらの課題を解決すべく努力を重ねた結果、除草作業にて刈取られた雑草茎葉を用いても従来の稲ワラと同等の効果が得られることを見出し、本発明に到達したものである。即ち本発明は、下から順に所望植物の種子と化成肥料を混合した水溶性種子シート、雨水や植芽を通すが上に載置される雑草茎葉や雑草種子を保持するための短繊維不織布、乾燥雑草茎葉及び数センチの長さにカットした雑草茎葉、格子状ラッセルネットの順に重ね雑草茎葉の表面移動を抑え構造体を堅持するように縦横所定間隔で縫製して一枚のシートに形成して雑草茎葉を用いた草コモ緑化シートとする。
【0010】
上記草コモ緑化シートを緑化したい盛土面等に法肩部分を10センチ程度巻き込んで敷設し、2列目以降は5センチ程度重ね合せるようにして止ピンで押さえるのが望ましい。このようにして草コモ緑化シートを施工すれば稲ワラ芝と同等の効果があり、敷設後緑化されるまでの侵食防止効果が発揮されます。
【0011】
また、道路中央分離帯や公園等の防草緑化には、敷設面からの雑草生育を防止するため予め除草後に植根は通すが植芽は通さない腐食しにくい長繊維不織布を敷設し、その上に数センチの厚さで街路樹の剪定枝条や造成工事に伴って伐採された雑木をチップ化したチップ材を敷き均して防草層を形成し、この上に数センチの厚さで植生基盤土層となる良質土を敷き均して下地層を形成する。次に前記下地層の上に草コモ緑化シートを下地層の植生基盤土層に敷設固定する手順で施工する防草と緑化を兼ね備えた防草緑化工法。
【発明の効果】
【0012】
種子シートの上面を雑草茎葉で覆う草コモ緑化シートは、従来の稲ワラ芝と同じく緑化シート自体に被覆材としてのマルチ機能が生まれ断熱効果が大きく、種子にダメージを与える高温・低温から種子を保護し土壌水分を安定させ種子の発芽を促進し、抵抗力のない幼植物を乾燥から守ると共に土壌浸食防止に効果的となる草コモ緑化シートです。
【0013】
草コモ緑化シート内に構成された不織布は、雑草茎葉及び数センチの長さにカットした雑草茎葉を載置保持するためのポリエステル製短繊維不織布で破損や腐食がしにくく植芽を通すが雑草等の種子は通さず短繊維不織布上に保持するので雑草種子や飛来種子等による雑草の生育を阻害し、導入植物による緑化が図られる草コモ緑化シートです。
【0014】
防草緑化において、長繊維不織布、チップ材、良質土の三層を形成した下地層により、太陽光が遮断されて埋土種子の発芽生育が抑えられ、万一埋土種子が発芽したとしても、その芽が下地層を突き抜けることが困難であり地下からの雑草の生育が抑制される。また、数センチ厚の良質土を構成したことにより下地層の不織布と接地面とに空隙が生じたとしても、導入種子は発根伸長が阻害されることなく、良質土を通して設置面土壌に生育することが可能となった。
【0015】
さらに、下地層の防草層を構成する雑木チップは、降雨水の浸透性が高いのでヌカルミを作らず、またクッション性が非常に高く足元の衝撃を和らげる効果があり、これを利用した舗装面の緑化にも最適な防草緑化工法でもある。また、毎年行なわれてきた除草経費の削減と産業廃棄物として処理されていた雑草や剪定枝条等の有効活用ができる防草緑化工法でもある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】雑草を用いた草コモ緑化シートを示す説明図である。
図2】草コモ緑化シートを用いた防草緑化工法の手順を説明断面図である。
図3】草コモ緑化シートを用いた防草緑化工法による緑化を示す説明断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の具体的な実施形態を詳述する。
【実施例】
【0018】
図1は、草コモ緑化シートを示すものである。この草コモ緑化シートは雑草茎葉層を入れて4層から構成されており、下層から順に化成肥料混合の水溶性種子シート2、透水性に優れ植芽を通すが雑草種子は通さず、上に載置する雑草茎葉を保持する軽量で破損や腐食がしにくいポリエステル製短繊維不織布3、乾燥雑草茎葉及び数センチの長さにカットした雑草茎葉を数ミリの厚さで敷均らした雑草茎葉4、雑草の茎葉を押さえ保護する格子状のラッセルネット5から構成される4層からなる各シート類を一体化し、雑草茎葉の表面移動を抑え、構造体を堅持するように縫製糸6で縦横所定間隔で縫製した雑草を用いた草コモ緑化シート1である。
【0019】
種子シートの上に雑草の茎葉を直接配置せず、雑草茎葉と種子シートの間に透水性に優れ植芽を通すが雑草種子は通さず上に載置する雑草茎葉を保持する軽量で破損や腐食がしにくいポリエステル製短繊維不織布を形成したことにより、雑草茎葉に混じって雑草種子が混入しても不織布で保持され、土壌との接触を断ち切られることから雑草種子の発芽を防除する緑化シートでもある。
【0020】
図2は、防草緑化工法を示すものである。初めに施工面の除草を行い、その上に透水性と保水性を有し、植根は通すが植芽は通さない腐食しにくいポリエステル製長繊維不織布7を敷設し、その上に剪定枝条や伐採木等の雑木をチップ化したチップ材8を数センチの厚さで敷き均して防草層を形成し、この上に種子の発芽生育に適した良質土9を数センチの厚さで敷き均して植生基盤土層とし、前記防草層と合わせて下地層を形成する。この下地層の植生基盤土層の上に図1で形成した草コモ緑化シート1の種子面部が下になるように敷設固定する手順で積層し、一定間隔を置いてアンカーピン10等にて固定する防草と緑化を兼ね備えた草コモ緑化シートを用いた防草緑化工法である。
【0021】
図3は、図2の手順で施工される防草緑化工法による雑草防除と所望植物の生育状態を示したものである。緑化地面に敷設された長繊維不織布7が地中の埋土種子や既存雑草根から生育してくる雑草11の芽を抑制し、万一長繊維不織布7を突き抜けても積層しているチップ8層が雑草11の生育を抑制する二重構造の雑草防除層が形成され、地中からの雑草生育を防除し、風に乗って飛来する飛来種子12は、草コモ緑化シートを形成しているシート類の内、腐食しにくく透水性に優れ植芽を通すが種子、茎葉は通さず保持する短繊維不織布3により保持され、土壌との接触を断ち切られることから発芽が阻害され生育を防除する。
【0022】
草コモ緑化シート内に附帯している所望植物種子シートは、チップ層の上に保肥力・保水力が高く発根と生育に良好な良質土を積層した上に密着するように敷設され、所望植物の苗芽は短繊維不織布、雑草茎葉層を突き抜け格子状ネットの上に伸長し、植根は発根後良質土層内で幼苗時期を過ごし、やがてチップ層、長繊維不織布、地中にと植根を伸長生育する草コモ緑化シートを用いた防草緑化工法。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明の草コモ緑化シートは、雑草茎葉の被覆により土壌の侵食防止効果が高く、盛土面の緑化資材として最適である。また、草コモ緑化シートを用いた防草緑化工法は、雑草の生育を抑制し、導入植物を繁茂させる防草と緑化を兼ね備えたものであり、除草管理が必要な道路や法面等の防草緑化として、また景観形成等における自然環境の復元緑化として、これから大いに利用される可能性の高い草コモ緑化シートと防草緑化工法である。
【符号の説明】
【0024】
1 草コモ緑化シート
2 種子シート
3 短繊維不織布
4 雑草茎葉
5 ラッセルネット
6 縫製糸
7 長繊維不織布
8 チップ材
9 良質土
10 アンカーピン
11 雑草
12 飛来種子
図1
図2
図3