(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
エレメント列の両端部から滑動して、該エレメント列をそれぞれ閉止可能な2つのスライダーを備えて成る両開きのスライドファスナーに用いられる開放防止部材であって、
前記2つのスライダーそれぞれにおけるスライダー本体と引き手との少なくとも一方に形成されている孔部を挿通する結束バンドと、
2つの前記結束バンドにそれぞれ取付けられ、互いに係合/離脱可能な一対の係合部材とを含み、
前記結束バンドは、片側にラック状の歯が形成された帯状体と、該帯状体の一端部に設けられ、該帯状体が挿通する溝を有するとともに、その溝の内側の片面には、前記歯に噛合う逆止爪を有する頭部とを備えて構成されることを特徴とする両開きスライドファスナーの開放防止部材。
エレメント列の両端部から滑動して、該エレメント列をそれぞれ閉止可能な2つのスライダーを備えて成る両開きのスライドファスナーに用いられる開放防止部材であって、
前記2つのスライダーそれぞれにおけるスライダー本体と引き手との少なくとも一方に形成されている孔部を挿通する紐体と、
2つの前記紐体にそれぞれ取付けられ、互いに係合/離脱可能な一対の係合部材とを含み、
前記係合部材は、前記紐体に取付けられる板状の基材と、前記基材に取付けられる面ファスナー、ホックまたは磁石とを備え、前記面ファスナー、ホックまたは磁石が互いに吸着することで、一対の前記基材が貼合わせられるものであり、
前記一対の基材は、花弁の模様に形成され、前記面ファスナー、ホックまたは磁石の吸着で積層された状態で、表側となる基材が相対的に小さく、裏側となる基材が相対的に大きくなるように形成されることを特徴とする両開きスライドファスナーの開放防止部材。
エレメント列の両端部から滑動して、該エレメント列をそれぞれ閉止可能な2つのスライダーを備えて成る両開きのスライドファスナーに用いられる開放防止部材であって、
前記2つのスライダーそれぞれにおけるスライダー本体と引き手との少なくとも一方に形成されている孔部を挿通する紐体と、
2つの前記紐体にそれぞれ取付けられ、互いに係合/離脱可能な一対の係合部材とを含み、
前記一対の係合部材の内の一方は、前記紐体に連結される基材と、可撓性の材料によって、略U字状またはΩ字状に形成され、その遊端部が互いに絡み付く足部となる係合片とを備えて構成され、
前記一対の係合部材の内の他方は、前記紐体に取付けられた環状部材から成り、
前記一方の係合部材の足部が、前記環状部材から成る前記他方の係合部材に係合し、前記足部が互いに絡み付くことで、前記一対の係合部材が互いに係合することを特徴とする両開きスライドファスナーの開放防止部材。
前記係合部材には、前記スライダー側の孔部へ向けて前記帯状体が往復で挿通する2つの挿通孔を有し、該2つの挿通孔において、前記スライダーとは反対側の出口間には、前記頭部を収容する凹所が連通して形成されていることを特徴とする請求項1記載の両開きスライドファスナーの開放防止部材。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、エレメント列の両端部から滑動して、該エレメント列をそれぞれ閉止可能な2つのスライダーを備えて成る両開きのスライドファスナーの場合、2つのスライダーを突き合わせることでエレメント列(開口部)を閉止することができ、スライダーの停止位置は、任意である。そのため、バッグなどで荷物の出入れがし易い。しかしながら、スライダーがエレメント列の端部にある場合よりも途中箇所にある場合は、荷物の該スライダーへの接触や、該スライダーの壁面などの外部への接触が起こり易く、また、バッグ等の生地(ファスナーテープ)のストレス(テンション)も加わり易く、格段に、該スライダーが、自然に(不所望に)、ずれ易い(ファスナー(エレメント列)が開き易い)のに対して、前記特許文献1や特許文献2による開放防止の対策は採用することができない。
【0007】
本発明の目的は、両開きのスライドファスナーにおいて、不所望なファスナーの開放を防止することができる両開きスライドファスナーの開放防止部材およびそれを備えるバッグを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の両開きスライドファスナーの開放防止部材は、エレメント列の両端部から滑動して、該エレメント列をそれぞれ閉止可能な2つのスライダーを備えて成る両開きのスライドファスナーに用いられ、前記2つのスライダーの不所望な離間によるファスナー(前記エレメント列)の開放を防止する開放防止部材であって、前記2つのスライダーそれぞれにおけるスライダー本体と引き手との少なくとも一方に形成されている孔部を挿通する紐体と、2つの前記紐体にそれぞれ取付けられ、互いに係合/離脱可能な一対の係合部材とを含むことを特徴とする。
【0009】
上記の構成によれば、エレメント列の両端部から滑動して、該エレメント列をそれぞれ閉止可能な2つのスライダーを備えて成る両開きのスライドファスナーにおいて、この両開きのスライドファスナーは、2つのスライダーを突き合わせるように前記エレメント列の任意の箇所までスライダーを移動させることでファスナー(前記エレメント列)を閉じることができるものの、スライダーが前記エレメント列の端部にある場合よりも途中箇所にある場合は、内部の荷物や壁面などの外部への接触が起こり易く、またバッグ等の生地(ファスナーテープ)のストレス(テンション)などによって、該2つのスライダーが不所望に離間し、ファスナー(前記エレメント列)が開き易い。
【0010】
そこで、そのような不所望なファスナー(前記エレメント列)の開放を防止する部材を設けるにあたって、その部材を、前記2つのスライダーそれぞれにおけるスライダー本体と引き手との少なくとも一方に形成されている孔部を挿通する紐体と、前記2つの紐体にそれぞれ取付けられ、互いに係合/離脱可能な一対の係合部材とによって構成する。すなわち、スライダーは、一般に、前記エレメント列を開閉するスライダー本体と、前記スライダー本体に連結され、使用者が把持して(摘まんで)前記スライダー本体を移動させる引き手とを備えて構成される。そして、たとえばスライダー本体には、環状に形成される引き手の一端部が遊挿して前記連結を実現する孔が形成されており、この孔や、前記引き手の環状の一端部が形成する孔、或いは引き手の他端部において、紐などを通すために予め形成される孔などの何れかの孔部に、紐体を挿通し、その紐体で、前記一対の係合部材をぶら下げる。
【0011】
したがって、両開きのスライドファスナーにおいて、不所望なファスナー(前記エレメント列)の開放を防止することができ、開いたファスナーの口から荷物が落ちたりすることを防止したり、ファスナーを開け難くし、スリなどに対して防犯効果を得たりすることができる。
【0012】
そして、そのような開放防止部材を設けるにあたって、スーツケースの両開きスライドファスナーのファスナー本体のように、所謂南京錠のU字の掛金が通る孔を設けておくような、予めそのような開放防止部材のための細工を施していない両開きのスライドファスナーにおいても、ファスナー本体か引き手に形成されている孔に紐を通して、一対の係合部材をぶら下げるだけで、開放を防止することができる。
【0013】
また、本発明の両開きスライドファスナーの開放防止部材では、前記紐体は、結束バンドから成ることを特徴とする。
【0014】
上記の構成によれば、たとえば互いに重ね合せることで前記係合/離脱可能な係合部材を、紐によってスライダーのスライダー本体や引き手に取付けるにあたって、その紐に結束バンドを用いる。
【0015】
したがって、係合部材を極めて容易に取付けることができるとともに、外れ難く、また強度も高く、高い信頼性で、ファスナー(エレメント列)の不所望な開放を防止することができる。
【0016】
さらにまた、本発明の両開きスライドファスナーの開放防止部材では、前記係合部材は、前記紐体に取付けられる板状の基材と、前記基材に取付けられる面ファスナー、ホックまたは磁石とを備え、前記面ファスナー、ホックまたは磁石が互いに吸着することで、一対の前記基材が貼合わせられることを特徴とする。
【0017】
上記の構成によれば、両開きのスライドファスナーの不所望な開放防止を、面ファスナー、ホックまたは磁石の吸着で、容易に実現することができる。
【0018】
また、本発明の両開きスライドファスナーの開放防止部材では、前記一対の基材は、花弁の模様に形成され、前記面ファスナー、ホックまたは磁石の吸着で積層された状態で、表側となる基材が相対的に小さく、裏側となる基材が相対的に大きくなるように形成されることを特徴とする。
【0019】
上記の構成によれば、スライドファスナーのスライダーに取付けられて不所望な開放を防止する開放防止部材において、その開放防止のために、面ファスナー、ホックまたは磁石の吸着によって互いに貼合わせられることになる基材に、意匠性を持たせることができる。これによって、既存のスライドファスナーに開放防止部材を後付けしても、違和感(不自然さ)が抑えられ、取付けを促進することができる。
【0020】
さらにまた、本発明の両開きスライドファスナーの開放防止部材では、前記一対の係合部材の内の一方は、前記紐体に連結される基材と、可撓性の材料によって、略U字状またはΩ字状に形成され、その遊端部が互いに絡み付く足部となる係合片とを備えて構成され、前記一対の係合部材の内の他方は、前記紐体に取付けられ、色および形状の少なくとも一方で意匠が凝らされた環状部材から成り、前記一方の係合部材の足部が、前記環状部材から成る前記他方の係合部材に係合し、前記足部が互いに絡み付くことで、前記一対の係合部材が互いに係合することを特徴とする。
【0021】
上記の構成によれば、両開きのスライドファスナーの不所望な開放防止を、一方のスライダーに取付けられた係合片の足部が、他方のスライダーに取付けられた環状部材を内側に取込み、該足部同士で互いに絡み付くことで、実現することができる。
【0022】
また、本発明の両開きスライドファスナーの開放防止部材では、前記基材は、蛍光体から成り、或いは蛍光材料を含有して成ることを特徴とする。
【0023】
上記の構成によれば、基材が夜間に光って、交通安全にも寄与することができる。
【0024】
さらにまた、本発明の両開きスライドファスナーの開放防止部材では、前記結束バンドは、片側にラック状の歯が形成された帯状体と、該帯状体の一端部に設けられ、該帯状体が挿通する溝を有するとともに、その溝の内側の片面には、前記歯に噛合う逆止爪を有する頭部とを備えて構成され、前記係合部材には、前記スライダー側の孔部へ向けて前記帯状体が往復で挿通する2つの挿通孔を有し、該2つの挿通孔において、前記スライダーとは反対側の出口間には、前記頭部を収容する凹所が連通して形成されていることを特徴とする。
【0025】
上記の構成によれば、係合部材をスライダー本体および/または引き手にぶら下げる紐体を結束バンドで構成する場合、係合部材は、その結束バンドの環に、前記スライダー本体および/または引き手の孔部と共に通されればよい。しかしながら、係合部材に、前記孔部へ向かう結束バンドの帯状体の部分が往復で挿通する2つの挿通孔を形成しておくことで、該係合部材と結束バンドは一体化する。そして、2つの挿通孔において、スライダーとは反対側の出口間を連通するように凹所を形成しておくことで、結束バンドの頭部を収容することができる。
【0026】
したがって、係合部材のスライダー本体および/または引き手への取付けに、極めて手軽で、汎用品である結束バンドを用いても、その場合に意匠的に最も問題となる頭部を、係合部材内に埋め込んで、目立たなくすることができる。
【0027】
また、本発明の両開きスライドファスナーの開放防止部材では、エレメント列の両端部から滑動して、該エレメント列をそれぞれ閉止可能な2つのスライダーを備えて成る両開きのスライドファスナーに用いられ、前記2つのスライダーの不所望な離間によるファスナー(前記エレメント列)の開放を防止する開放防止部材であって、前記2つのスライダーの引き手にそれぞれ取付けられ、互いに係合/離脱可能な係合部材を含むことを特徴とする。
【0028】
上記の構成によれば、2つのスライダーを備えて成る両開きのスライドファスナーにおいて、その2つのスライダーの引き手に、磁石や面ファスナーなどから成り、互いに係合/離脱可能な係合部材を設ける。
【0029】
したがって、両開きのスライドファスナーにおいて、不所望なファスナー(前記エレメント列)の開放を防止することができる。そして、そのような開放防止部材を設けるにあたって、予めそのような開放防止部材のための細工を施していない両開きのスライドファスナーにおいても、引き手に係合部材を設ける(たとえば貼付ける)だけで、開放を防止することができる。
【0030】
さらにまた、本発明のバッグは、前記の開放防止部材を、前記両開きスライドファスナーのスライダーに備えることを特徴とする。
【0031】
上記の構成によれば、両開きスライドファスナーが不所望に開いてしまうことを予防できるバッグを実現することができる。バッグとしては、バックパック(リュックサック)は、目の届かない背後に背負われるので、ファスナー(エレメント列)が開いていても分からず、開かないようにする本発明の開放防止部材は、特に有効である。
【発明の効果】
【0032】
本発明の両開きスライドファスナーの開放防止部材およびそれを備えるバッグは、以上のように、スライダー本体と引き手との少なくとも一方に紐体を通して、互いに係合/離脱可能な一対の係合部材をぶら下げたり、前記係合部材を引き手に直接貼付けたりするので、既存の両開きスライドファスナーに、後付けで、2つのスライダーが不所望に離間してファスナー(エレメント列)が開いてしまうことを防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の第1の形態に係る開放防止部材1の斜視図であり、
図2はその分解斜視図であり、
図3は取付け途中を示す斜視図である。この開放防止部材1は、バッグなどに設けられる両開きのスライドファスナー2に取付けて使用される。両開きのスライドファスナー2は、エレメント列20の図示しない両端部から滑動して、該エレメント列20をそれぞれ閉止可能な2つのスライダー21,22を備えて構成される。スライダー21,22は、一般に、エレメント列20を開閉するスライダー本体211,221と、スライダー本体211,221に連結され、使用者が把持して(摘まんで)、スライダー本体211,221を移動させる引き手212,222とを備えて構成される。
【0035】
この両開きのスライドファスナー2は、
図1で示すように、2つのスライダー21,22を突き合わせるように、エレメント列20の任意の箇所まで該スライダー21,22を移動させることで、ファスナー2(エレメント列20)を閉じることができ、荷物の出入れなどが容易になる。しかしながら、この両開きのスライドファスナー2では、スライダー21,22が、エレメント列20の何れかの端部にある場合に比べて、途中箇所にある場合は、バッグの内部の荷物や、壁面などの外部への接触が起こり易い。また、最も頻度の高いのは、途中箇所にある場合、前記荷物の嵩(バッグの膨らみ)や重さによるバッグの生地(ファスナーテープ23,24)のストレス(テンション)が加わることである。これらの理由によって、該2つのスライダー21,22は、ファスナー2(エレメント列20)の途中箇所にある場合、不所望に(自然に)、互いに離間し易く、つまりファスナー2(エレメント列20)が開き易い。
【0036】
そこで、このような不所望なファスナー2(エレメント列20)の開放を防止するために、本実施形態の開放防止部材1が設けられる。この開放防止部材1は、バッグなどの販売当初から設けられていてもよいが、本実施形態の開放防止部材1は、使用者が、前記バッグなどの購入後、必要に応じて、後付けすることが可能であり、バッグなどの販売店だけでなく、バラエティーショップなどでも取扱うことができる。
【0037】
注目すべきは、この開放防止部材1は、2つのスライダー21,22それぞれにおけるスライダー本体211,221と引き手212,222との少なくとも一方に形成されている孔部213,214:223,224を挿通する紐体11,12と、2つの紐体11,12にそれぞれ取付けられ、互いに係合/離脱可能な一対の係合部材13,14とを備えて構成されることである。本実施形態では、紐体11,12は、スライダー本体211,221に係合する引き手212,222における環状の一端部215,225が形成する孔部213,223と、引き手212,222の他端部216,226において、紐などを通すために予め形成される孔部214,224との両方に通されているが、何れか片方でもよく、或いは、スライダー本体211,221において、前記引き手212,222の環状の一端部215,225を通すために形成される孔部217,227に通されてもよい。
【0038】
図3で示すように、係合部材13,14は、紐体11,12に取付けられる板状の基材131,141と、基材131,141の対向面に取付けられる磁石132,142とを備えて構成される。磁石132,142が互いに吸着することで、係合部材13,14も互いに吸着し、離反し難くなる。磁石132,142は、本実施形態では円盤状であるが、大きさや形状は、所望する吸着力に応じて、適宜定められればよい。また、基材131,141の一方に磁石を、他方にそれが吸着する鉄板などを設けるようにしてもよい。
【0039】
紐体11,12は、前記引き手212,222の孔部213,214:223,224を挿通された後、
図3で示すように、係合部材13,14に形成された通し孔133,134;143,144をさらに挿通されて、
図2で示すように、両端部が結ばれ、
図2において破線15,16で示す部分から先の余剰となった端部111,121が切断される。
【0040】
本実施形態では、基材131,141は樹脂成型品から成り、そのため該基材131,141が2枚の板であると、埋め込んだ磁石132,142が吸着すると、該基材131,141が密着し、を引き剥がし難くなる。そのため、小さい方の基材14には、外周縁から内側に入り込んで、段差145を形成するように、隆起部146が形成されており、前記通し孔143,144は、この隆起部146に設けられる。使用者は、段差部145に爪先を差込むことで、2枚の基材131,141を容易に引き剥がすことができる。また、この隆起部146(段差部145)を設けることで、紐体12の結び目が該基材141によって隠れるので、意匠的にも好ましい。基材131,141が、フェルトや不織布などの繊維から成る場合は、可撓性があり、該基材131,141を、その縁から捲って引き剥がし易く、紐体12を通すことができる厚みがあれば、隆起部146は、特に設けられなくてもよい。
【0041】
以上のように、両開きのスライドファスナー2において、本実施形態の開放防止部材1を設けることで、不所望なファスナー2(エレメント列20)の開放を防止することができ、開いたファスナー2の口から荷物が落ちたりすることを防止したり、ファスナーを開け難くし、スリなどに対して防犯効果を得たりすることができる。
【0042】
そして、そのような開放防止部材1を設けるにあたって、スーツケースの両開きスライドファスナーのファスナー本体のように、所謂南京錠のU字の掛金が通る孔を設けておくような、予めそのような開放防止部材のための細工を施していない両開きのスライドファスナー1においても、本実施形態の開放防止部材1では、ファスナー本体211,221か引き手212,222に形成されている孔213,214;223,224に紐11,12を通して、一対の係合部材13,14をぶら下げるだけで、開放を防止することができる。
【0043】
また、本実施形態の開放防止部材1では、係合部材13,14の吸着に、磁石132,142を用いることで、係合/離脱操作および両開きのスライドファスナー1の不所望な開放防止を、前記南京錠などに比べて容易に実現することができる。
【0044】
さらにまた、本実施形態の開放防止部材1では、一対の係合部材13,14の基材131,141は、花弁の模様に形成され、磁石132,142の吸着で互いに積層された状態では、
図1で示すように、表側となる基材141が相対的に小さく、裏側となる基材131が相対的に大きくなるように形成されるので、ファスナー2(エレメント列20)の開放を防止するために互いに貼合わせられることになる基材131,141に、意匠性を持たせることができる。これによって、既存のスライドファスナー2に開放防止部材1を後付けしても、違和感(不自然さ)が抑えられ、取付けを促進することができる。
【0045】
好ましくは、前記基材131,141は、蛍光体から成り、或いは蛍光材料を含有して成る。これによって、基材131,141が夜間に光って、交通安全にも寄与することができる。
(実施の形態2)
図4は本発明の実施の第2の形態に係る開放防止部材3の取付け前の斜視図であり、
図5はその開放防止部材3の斜視図である。本実施形態において、バッグなどに設けられる両開きのスライドファスナー2の構成は、前述の
図1〜
図3と同様であり、対応する部分には同一の参照符号を付して、その説明を省略する。
【0046】
この開放防止部材3で注目すべきは、係合部材33,34の基材331,341にフェルトまたは不織布が用いられ、それらの吸着のために、前記磁石132,142に代えて、面ファスナー332,342が用いられることである。面ファスナー332,342は、基材331,341に縫い付けられ、或いは接着固定される。基材331,341において、互いに積層した状態で外側となる面、すなわち面ファスナー332,342が取付けられる面とは反対側の面には、蛍光体シート334,344が貼付けられている。また、この開放防止部材3で注目すべきは、紐体11,12として、結束バンド31,32が用いられることである。
【0047】
図4および
図5の例では、係合部材33,34をスライダー21,22に連結するための結束バンド31,32に加えて、予め基材331,341および蛍光体シート334,344に穿設した孔335,345に挿通させて係合リングを形成しておく、もう1本の結束バンド333,343が用いられている。ここで、
図4は取付け前であるが、
図5の取付け後においても、分かり易くするために、結束バンド31,32において、連結に寄与しない不要な部分も、カットせずに、そのままの状態で示している。つまり、
図5を参照して、結束バンド31,32は、片側にラック状の歯311,321が形成された帯状体312,322と、その帯状体312,322の一端部に設けられ、帯状体312,322が挿通する溝を有するとともに、その溝の内側の片面には、前記歯311,321に噛合う逆止爪を有する頭部313,323とを備えて構成される。結束バンド333,343についても、同様である。
【0048】
したがって、
図4で示すように、帯状体312,322を、結束バンド333,343の係合リングに通し、さらにスライダー本体211,221の孔部217,227に通した後、頭部313,323に通し、締め上げることで、
図5で示すように、結束バンド333,343から係合部材33,34をスライダー21,22にぶら下げることができる。これによって、開放防止部材3は、前述の開放防止部材1と同様に、ファスナー2(エレメント列20)の不所望な開放を防止することができる。
【0049】
しかも、広く市販されていて安価な結束バンド31,32;333,343を用いて、係合部材33,34をスライダー21,22に極めて容易に取付けることができるとともに、外れ難く、また強度も高く、高い信頼性で、ファスナー2(エレメント列20)の不所望な開放を防止することができる。本実施形態では、面ファスナー332と342とが雌雄の関係であるだけで、係合部材33,34は相互に等しく構成される。
【0050】
ここで、作業はし難くなるが、係合部材33,34をスライダー21,22に取付けるための結束バンド31,32を、直接、孔335,345に挿通させることが可能であれば、結束バンド333,343の係合リングは、省略されてもよい。その例を
図6で示す。
図6において、
図5に対応する部分には、同一の参照符号を付して示す。
【0051】
図6の例ではまた、結束バンド31,32は、前述の紐体11,12と、同様の通し方をしている。つまり、引き手212,222に形成されている2つの孔213,214;223,224に、結束バンド31,32を通している。結束バンド31,32の帯状体312,322は、扁平のため、厚み方向に曲がり易く、幅方向に曲がり難い。したがって、紐体11,12に、結束バンド31,32を用いることに合せて、該結束バンド31,32を引き手212,222の2つの孔213,214;223,224を通した先に基材331,341を連結することで、基材331,341が結束バンド31,32、したがって引き手212,222の幅方向にふらつかなくなる。これによって、互いに係合された基材331,341から引き手212,222の部分が一体化し、ファスナー2(エレメント列20)が、より開き難くなる。
(実施の形態3)
図7は、本発明の実施の第3の形態に係る開放防止部材4の取付け前の斜視図である。本実施形態では、前述の結束バンド31,32を使用して係合部材43,44を引き手212,222に取付けるが、結束バンド31,32は省略している。本実施形態の係合部材43,44も、面ファスナー432と442とが雌雄の関係であるだけで、係合部材43,44は相互に等しく構成される。
【0052】
係合部材43,44は、花弁の形状で相互に等しい表裏の基材431,441;433,443と、前記面ファスナー432,442と、吊り紐434,444と、リング435,445とを備えて構成される。吊り紐434,444は、帯状体が2つ折りされたものであり、その折返された両端部が、相互に積層される表裏の基材431,441;433,443間に挟み込まれ、縫い目436,446が縫い付けられることで、それらに一体化されている。吊り紐434,444の折返される中央位置には、リング435,445が予め嵌め込まれている。このリング435,445に結束バンド31,32が通され、引き手212,222に取付けられる。面ファスナー432,442は、裏側の基材433,443の裏面に、縫い付けや接着などで固定される。
【0053】
このように構成することで、開放防止部材1における紐体11,12の端部111,121のように、花弁の基材431,441;433,443の外周部から、紐体11,12や結束バンド31,32が突出することはなく、意匠的に好ましい。
(実施の形態4)
図8は、本発明の実施の第4の形態に係る開放防止部材5の取付け前の斜視図である。上述の開放防止部材3,4では、結束バンド31,32;333,343に、電線などを束ねるために使用される市販品を使用している。これに対して、本実施形態の開放防止部材5では、専用の結束バンドを採用し、結束バンド51,52の部分と、係合部材53,54の部分とが一体に成型されている。そのため、結束バンド51,52を締結する頭部が、そのまま平盤状に形成されて係合部材53,54となっている。結束バンド51,52は、円盤状の係合部材53,54の一方の側面から差込まれ、他方の側面から突出し、こうして形成されたループが、前記引き手212,222の孔213,214;223,224などに通される。係合部材53,54内には、結束バンド51,52を締結する図示しない逆止爪が設けられている。そして、係合部材53,54の相互に対向する面には、雌雄一対の面ファスナー532,542が設けられている。
【0054】
このように大きな頭部を有する結束バンドを作成し、その頭部に面ファスナー532,542を取付けることで、取付けを簡略化でき、また意匠性も向上することができる。
(実施の形態5)
図9は本発明の実施の第5の形態に係る開放防止部材6の斜視図であり、
図10は2つの係合部材63,64を互いに離脱させた状態の斜視図である。本実施形態において、バッグなどに設けられる両開きのスライドファスナー2の構成は、前述の
図1〜
図3等と同様であり、対応する部分には同一の参照符号を付して、その説明を省略する。
【0055】
本実施形態では、一方の係合部材63は、基材631と、係合片632とを備えて構成され、他方の係合部材64は、結束バンド32に取付けられる環状部材から成る。そして、係合片632は、樹脂などの可撓性の材料によって、略U字またはΩ字(本実施形態ではΩ字)の紐状に形成され、その遊端部が、互いに絡み付く足部6321,6322となっている。前記足部6321,6322の先端には、使用者が、その足部6321,6322の開放操作、すなわち係合部材63,64の係合/離脱操作を行い易いように、玉状の操作部6323,6324がそれぞれ形成されている。
【0056】
本実施形態では、
図10で示すように、結束バンド31には、リング633を介して係合片632が連結され、この係合片632が基材631に接着固定されることで、基材631が結束バンド31に連結されているが、基材631が、リング633を介して、直接、結束バンド31に連結されてもよい。本実施形態の係合片632は、足部6321,6322の開放操作の際に操作が必要で、閉止操作は該足部6321,6322の復元力で自然に行われる。この足部6321,6322では、開放時に、多少、捻る操作も必要になるので、足部としては、女性の髪を束ねる所謂バナナクリップや、洗濯鋏のように、1つの軸に枢支され、開閉動作を行う一対の部材であってもよい。
【0057】
本実施形態では、
図9で示すように、基材631は、花弁6311の部分に、副花冠6312を備えた凝った意匠となっている。また、係合部材64も、色および形状の少なくとも一方で意匠が凝らされた環状部材から成り、本実施形態では、ハート形で、内部に色付きの小さな玉やモールなどから成る飾り641を有し、その飾り641を前記ハート形の透明な封止樹脂642で封止して形成される。
【0058】
この開放防止部材6で注目すべきは、一方の係合部材63の足部6321,6322を開けた状態で、環状部材から成る他方の係合部材64を係合させ(内側に取込み)、その後、
図9で示すように、足部6321,6322を互いに閉じる(絡み付かせる)ことで、一対の係合部材63,64が互いに係合することである。このように構成してもまた、不所望なファスナー2(エレメント列20)の開放防止を実現することができる。また、係合部材63,64の意匠性を向上することができるとともに、他方の係合部材64は、格別、係合の構造を備えない環状部材とすることができ、意匠の自由度も向上することができる(デザインし易くなる)。
(実施の形態6)
図11は、本発明の実施の第6の形態に係る開放防止部材7において、2つの係合部材73,74を互いに離脱させた状態の斜視図である。本実施形態においても、バッグなどに設けられる両開きのスライドファスナー2の構成は、前述の
図1〜
図3等と同様であり、
図11では省略している。
【0059】
本実施形態では、一対の係合部材73,74は、相似形であり、1本の結束バンド31,32によって、引き手212,222の孔部214,224などに取付けられる。係合部材73,74の対向面には、面ファスナー75,76がそれぞれ貼付けられている。注目すべきは、同じ1本の結束バンド31,32を使用する
図6の係合部材33,34は、該結束バンド31,32の環に1回通されるだけであるのに対して、本実施形態の係合部材73,74では、該結束バンド31,32の帯状体312,322が、往復で通されることである。そのため、係合部材73,74には、2つの挿通孔731,732,741,742がそれぞれ形成されている。これによって、係合部材73,74と結束バンド31,32とは、一体化する。
【0060】
そしてまた注目すべきは、その2つの挿通孔731,732,741,742において、スライダー21,22とは反対側の出口間に、結束バンド31,32の頭部313,323を収容する凹所733,743が連通して形成されていることである。したがって、係合部材73,74の引き手212,222などへの取付けに、極めて手軽で、汎用品である結束バンド31,32を用いても、その場合に意匠的に最も問題となる頭部313,323を、係合部材73,74内に埋め込んで、目立たなくすることができる。さらにまた、結束バンド自体に飾りの付いた物を使用するとデザインをさらに拡げることができる。
【0061】
このような係合部材73,74は、たとえば樹脂の粘土などから作成することができる。その樹脂の粘土に、2つの挿通孔731,732,741,742および凹所733,743を形成し、乾燥させて固めることで、係合部材73,74とすることができる。磁石を用いる場合には、磁石を粘土に埋め込んでおけばよい。その埋込み深さで、吸着の強度を調整することができる。他にも、係合部材73,74としては、結束バンド31,32を通すことができる厚みがあり、2つの貫通する孔が開いているビーズなどを用いることができる。また、そのようなプラスチックの板やゴムの板などを用いることもでき、これらのプラスチックやゴムの場合には、磁石や面ファスナーの接着性を上げることができる。
【0062】
ここで、一対の係合部材が、
図6の係合部材33,34のように、板状で、相互に等しい形状の場合、比較的剥がし難い(離脱させ難い)。
図6の場合、係合部材33,34は、基材331,341や蛍光体シート334,344が、柔軟性のあるフェルトまたは不織布から成り、さらに面ファスナー332,342が基材331,341の全周に貼付けられているわけではないので、基材331,341間に、指先や爪を差込んで比較的簡単に引き剥がすことができる。しかしながら、基材が剛性の材料から成る場合、引き剥がし難く、その場合は、2枚の係合部材が、完全に合致するのではなく、一部が外周から突出したり、相互に等しい形状なら、中心がオフセットして重ねられるようにすることが好ましい。
また、本実施形態の係合部材73,74のように、外周縁部が、曲面(ラウンド)形状であると、その曲面の間から指先や爪を差込んで引き剥がし易い。面ファスナー75,76を用いる場合、係合部材73,74としては、曲面から球体であっても、ファスナー2(エレメント列20)の開放を防止することができる。
(実施の形態7)
図12は、本発明の実施の第7の形態に係る開放防止部材8において、2つの係合部材83,84を互いに離脱させた状態の斜視図である。この開放防止部材8は、前述の開放防止部材4に類似している。係合部材83,84は、任意の形状で相互に等しい表裏の基材831,841;833,843と、ホック(スナップボタン)832,842と、吊り紐834,844と、リング835,845とを備えて構成される。本実施形態では、裏側の基材833,843に、糸837,847によってホック832,842が縫い付けられた後、表裏の基材831,841;833,843が重ね合わされ、一端にリング435,445が挟み込まれた吊り紐434,444が差込まれた状態で、縫い目836,846が縫い付けられることで、それらが一体化されている。
【0063】
ホック832,842は、所望とする係合力を有する大きのものであれば、1つであってもよい。2つ設けられる場合、
図12のように、係合部材83,84の一方のみ(
図12では係合部材83)が雄、他方のみ(
図12では係合部材84)が雌に統一されず、双方が雌雄を備えていてもよい。
【0064】
このように構成してもまた、ファスナー2(エレメント列20)の開放を防止することができるとともに、基材831,841;833,843の外周部から、紐体11,12や結束バンド31,32が突出することはなく、意匠的に好ましい。
(実施の形態8)
図13は、本発明の実施の第8の形態に係る開放防止部材9の取付け前の斜視図である。この開放防止部材9で注目すべきは、係合部材93,94には、旅行鞄などで広く用いられているバックルが用いられることである。本実施形態では、係合部材93,94はプラスチック製で、一方の係合部材93が他方の係合部材94に嵌り込むことで相互に嵌着する。
図13は、係合部材93の左右の操作部931,932を押し込むことで解除操作を行うことができるサイドリリースタイプであるが、中央の釦を厚み方向に押し込むプッシュ釦タイプのバックルであってもよい。係合部材93,94は、ベルト95,96に連結されており、そのベルト95,96の端部に縫い付けで形成された環状部951,961に、前記結束バンド31,32が挿通される。
【0065】
このように構成することで、磁石132,142や面ファスナー332,342は、衝撃等で不所望に連結が外れてしまう可能性があるが、プラスチックバックルから成る係合部材93,94には、そのような可能性は殆ど無く、連結(ファスナー2(エレメント列20)の開放防止)の信頼性を向上することができる。
【0066】
なお、本実施形態では、プラスチックバックルから成り、剛性で、一定の長さを有する係合部材93,94を用いるので、ベルト95,96としては、結束バンド31,32と合せて、該係合部材93,94の長さ分を折返す長さとすることで、使用者がスライダー21,22を突き合わせて締めた状態を保持することができる。そのため、一方の係合部材93には、アジャスター部933が設けられており、ベルト95の長さ調整が可能となっている。
(実施の形態9)
本発明の実施の第9の形態に係る開放防止部材では、上述のように2つのスライダー21,22を備えて成る両開きのスライドファスナー2において、その2つのスライダー21,22の引き手212,222に、直接、接着などで磁石や面ファスナーなどから成る係合部材を設ける。
【0067】
このように構成してもまた、不所望なファスナー2(エレメント列20)の開放を防止することができる。そして、そのような開放防止部材を設けるにあたって、予めそのような開放防止部材のための細工を施していない両開きのスライドファスナー2においても、引き手212,222に係合部材を設ける(たとえば貼付ける)だけで、開放を防止することができる。
【0068】
以上のような開放防止部材1,3,4,5,6,7を、両開きスライドファスナー2のスライダー21,22に備えることで、ファスナー2(エレメント列20)が不所望に開いてしまうことを予防できるバッグを実現することができる。バッグとしては、バックパック(リュックサック)は、目の届かない背後に背負われるので、ファスナー2(エレメント列20)が開いていても分からず、開かないようにする本実施形態の開放防止部材1,3,4,5,6,7は、特に有効である。
【解決手段】両開きのスライドファスナー2は、2つのスライダー21,22を突き合わせるようにエレメント列20の任意の箇所まで移動させることでファスナー2(エレメント列20)を閉じることができるものの、スライダー21,22がエレメント列20の端部にある場合よりも荷物や外部への接触などによって不所望に開き易い。そこで、引き手212,222の孔部213,214:223,224に紐体11,12を挿通し、その紐体11,12に取付けた一対の係合部材13,14を互いに係合或いは離脱させることによってスライダー21,22を一体化或いは分離する。したがって、不所望なファスナー2の開放を防止でき、開いた口からの荷物の脱落を防止したり、ファスナーを開け難くし、スリなどに対して防犯効果を得たりすることができる。