(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
現在使用されている防舷材には、ゴム系防舷材とポリエチレン
系樹脂防舷材がある
。ポリエチレン
系樹脂防舷材は
、弾力が小さく、外部から加わった衝撃はそのまま船体に伝わり、船側外板に傷がつくのは防げるが、その衝撃で船内の各部分にダメージを残す場合がある。
【0013】
現在の防舷材は
、ボルト、タッピングによる取り付けを主眼としているため、弾力の小さな材質となるのは当然である
。小型船の防舷材には業務艇ではゴム系防舷材を使用しているものもあるが、ゴム系防舷材でもかなりの硬度があり、多少の衝撃緩和ができるが、取り付けにはポリエチレン
系樹脂防舷材より重く、手間がかかるので、多くの小型船はポリエチレン
系樹脂防舷材が使われている。
【0014】
また、ゴム系防舷材は接舷時、相手船の船側外板に黒い汚れをつけてしまい、船体が汚く見える原因となり、一度ついた汚れは洗っても取り除くことは難しい。
【0015】
小型船舶は主として軽金属製かFRP製であり、その船体に防舷材を取り付ける場合は、すべてボルトやタッピングを用いている。
ボルトやタッピングで取り付けることはすなわち、船体側面に取り付け用穴をあけることとなり、船体内部側からの取り付け作業と防水工事が必要となり、また内部に取り付ける構造部材とボルト穴の位置が干渉する場合が多くあり、ボルト穴を無視して部材の取り付けを行えば、防舷材の取り換え工事ができなくなる
。そうした関連の調整が工程の流れにも大きく影響する。
【0016】
ボルトやタッピングによる取り付けの場合、接岸時などで防舷材に異常に大きな衝撃が加わり、防舷材が破損したときには、取り付けてある、ボルト、タッピングも共に船体より外れて、船体側面に破孔が生じ、衝撃の度合いによっては、ボルトが船体から外れるとき、ボルトの影響によりその部分の船体に亀裂が生じることも多い。
【0017】
さらに、衝撃の方向によっては防舷材が破損しない場合もある
。この時、取り付けてあるボルトが一時的に船内側に移動し、ボルトの防水材料が船側外板から剥離したり、防舷材で隠れている部分での船体の損傷が派生していても防舷材がもとの位置に戻っていれば損傷に気づかない。
【0018】
上記のような場合、外部から確認できないため、長時間の航海で水が徐々に溜まり、漏水に気づいた時点では内装や、内部の積荷に大きなダメージを受けていることもある。
【0019】
このように損傷を受けた状態で破孔を放置して、航海を行えば船体内部に浸水し重大な結果を招くことがある
。そうした理由からその場での点検が必要となり、損傷が確認されれば復旧工事を行わなくてはならず、急いでいる時には大きな損失となり、その工事費用も内部の内張りを取り外すため、損傷の程度にかかわらず大きなものとなる。
【0020】
前記のような問題を解決するためには、防舷材の船体への取り付けに際しては、船体側にボルト用の開口工事を行わないのが最良である。
【0021】
従来の防舷材の材質はそのほとんどがゴム系かポリエチレン系樹脂のものであり、取り付けには必ずボルト又はタッピングが必要であり、防舷材にも船体にも取り付けの為の穴加工が必要である。
【0022】
本来、船体には不必要な開口はできるだけ避けるのが理想であるが、防舷材の取り付けの為にはどうしてもボルト用の開口が必要であり、その数は1mあたり約5〜6個となり、またボルト穴は一線上に開口されミシン目のような状態となるため、ダメージを受けた場合には被害が大きくなる。
【0023】
また
、防舷材を取り付けるための、船体に開けるボルト用穴は、防舷材の穴と同一の場所でなければならず、位置合わせには多くの手間が必要となり、曲面で穴の間隔にずれが生じる場合があるので、曲面付近は予め穴をあけることができないため現場合わせとなり手間がかかる。
【0024】
さらに、現在のポリエチレン系樹脂防舷材は、弾力性が小さく曲面での取り付けには特に多くの労力と経験が必要であり、工事方法を間違えればポリエチレ系樹脂防舷材が折損することも多くあり、また冬季における船体の曲り部分に防舷材を取り付けるには、防舷材の曲げ部分を内部加工し、さらにその部分を温水に浸すか、バーナーで加熱をして温めてから船体曲部に取り付けていた。
【0025】
また、ゴム系防舷材の場合についても船体曲面部への取り付けには、多くの工程が必要となっていた
。すなわち
、ゴム防舷材を曲面部に取り付ける場合は、曲面部にあったゴム防舷材を製作しなければ
ならないので
、防舷材の製作型を船体部の曲面に合わせ製作し、製作した型を防舷材の製作メーカーに提供して、一品単位で特別に製作している
。このため、取り付けまでに非常に長い時間と費用が必要であった。
【0026】
これらの防舷材は、船体が直接岸壁や他船に接触することを防止するための目的であり、ゴム系防舷材及びポリエチレン
系樹脂防舷材は、取り付け方法がボルトであることを主として考慮されている
。そうした条件で製作された防舷材は船体への衝撃を緩和することはなく、衝撃はそのまま船体に伝わり乗組員に不安を与える
。現在はそうした衝撃緩和のために、船体付きの防舷材の他に、弾力性のある移動式の防舷材を、船体と岸壁などの間にいれる必要があった。
【0027】
また、船舶同士が接舷する場合、接舷時の衝撃から船体への損傷を避けるため、前記のように乗組員が弾力性のある移動式の防舷材を持って他船との間に差し込む必要があり、その行為は波のある洋上では非常に危険な作業となり、波による衝撃は接舷が終了するまで続く。
【0028】
また
、現在多く使われている防舷材で、ゴム系防舷材は比重1以上であり、ポリエチレン系
樹脂防舷材の比重は0.6以上で、少しでも軽く建造したい小型船にとって難しい選択をしていた。
【0029】
すなわち、船体の保護を主眼にすれば大きなサイズの防舷材がよく、また速力の観点から軽量化を考慮すれば小さいものが望ましい。
【0030】
そういった問題を少しでもなくすことを目的に当防舷材を考案した
。従来の防舷材に関する発明も多く提案されているが、多くは防舷材そのものに関するものであり、船舶の工事施工者側、船舶運航者側に立って考案されたものはなかった。
【0031】
また
、従来の防舷材では取り付け方法がボルトであるため、防舷材の表面には断続的に開口があり、装飾品を取り付けることは出来ず、最も目立つ位置に取り付けられながら船舶の外観に寄与することはなかった。
【0032】
本発明の防舷材は、取り付け方法が接着である為、表面には装飾品などを取り付けるための溝を連続的に設けることができ、可塑性カラーモール、可塑性チューブライトなどの装飾品を取り付けることができ、船舶のデザインにも寄与できる。
【0033】
本発明は、造船所の工事短縮、損傷時の船体への影響の軽減、衝撃の緩和、船体の軽量化、防舷材に対する損傷時のダメージ軽減、補修工事の簡易さ、雨水による船体の汚れ防止、船体の外観デザイン向上などの目的を達成するために考案した
。
【0034】
防舷材の軽量化と弾力性を保ち、かつ船体に接着が可能な防舷材とし、またその断面形状の特異さから、デッキから流れ落ちる雨水や洗浄水が船側外板面に伝わらないことで、船体の水垢による汚れを防止ができるものである。
【0035】
解決しようとする問題点は、防舷材の構成をポリエチレン系独立発泡体を芯材とし、ポリウレタン系樹脂で外周をカバーし外皮としたことで同サイズの防舷材に比べ軽量となり、また芯材の弾性により、衝撃や圧縮荷重を受けても、衝撃が直接船体に及ぶことを防止し、外圧がなくなれば元の形状に復帰できるものである。
【0036】
また、本発明の防舷材は、外皮がポリウレタン系樹脂で構成されているので、ウレタン系接着剤又はエポキシ系接着剤により船体に強固に接着でき、船体には取り付けボルト用の開口を設ける必要はない。
接着により船体に取り付けることは、船体内部の作業が不要となり、建造時のみならず、修復時にも多くの工程が省けることとなる。
【0037】
従来の防舷材は、ゴム系防舷材の場合、接舷時に相手船舶の外板に汚れを付けることが多く、ポリエチレン系樹脂防舷材の場合は弾力性がなく衝撃によるダメージを両船が受けることもあった。
【0038】
(1)に記載の発明は、断面形状において、中央芯材部に弾力性のあるポリエチレン
系の独立発泡体を持ち、芯材の周囲を一定の厚さを持つポリウレタン系樹脂で覆い、一面を接着容易な面とし、他のいずれかの有効な面に自然落下する水滴の落下誘導を可能とする水滴落下誘導部を設けることにより、船側外板に流れ伝わる雨水や洗浄水を、船側外板に達する前に水面に落下させることができる
。なお、水滴とは雨水に限定されることなく、波の飛沫、デッキの清掃時に流される水など防舷材を伝わり流下するすべての水を含むものである。
【0039】
船側外板に流れ落ちる雨水はデッキ上の汚れも含んでおり、また上部構造物の清掃により雨天以外にも船側外板に流れ落ちる水で船側外板が汚れることは多いし、またその汚れは時間が経過すればするほど落としにくくなる。
【0040】
通常、船側外板の汚れを清掃するには、小船に乗り移り船側外板を洗剤で磨くか又は船体を陸上にあげ船側外板の清掃を行っていた
。通常船舶の上架は1年に一度行うものが主である
。船舶の上部構造物は常に清掃が可能であるが、船側外板は上部構造物のように簡単に清掃はできないため、船体の汚れはよく目立つようになる。
【0041】
そうした船側外板の水垢によるよごれを、防舷材に設けた水滴落下誘導部を設けることにより画期的に改善することを目的とした。
【0042】
多くの船舶は、土足でデッキの上を歩く、土足での汚れがデッキの上に残り、雨天の時に雨水とともに汚れが流れ出す、流れ出した雨水は防舷材を伝わり、舷側に達して海に流れ落ちる。
【0043】
年間を通じて流れた雨水の後は船体側面に残り黒く汚れる、船主や乗組員はその汚れを落とすことに多くの時間や労力を費やす。
【0044】
本発明の防舷材はそうした雨水や洗浄水の流れ伝わる経路を、防舷材に設けられた水滴落下誘導部で船側外板に達する前に遮断できるので、船体の汚れも残りにくい。
【0045】
すなわち、防舷材の取り付け面を除く一面に、一部を突出または雨水の伝わる状態を途切れさせる形状とし、雨水が船側に至る前に水面に落下させるもので、従来の防舷材では硬度が高く、水圧などで折れるため、材質的な問題からできなかったものである。
【0046】
(2)に記載の発明は防舷材の接着面に関するもので、接着面に溝を設けることにより、接着剤の塗りむらによる接着剤の大きなはみだしを吸収するとともに、曲面に接着した時に見られる外縁部と接着面の距離の差により発生する歪を吸収できる
。また、船側外板と防舷材の材質の違いにより起きる膨張、収縮率の差による歪を吸収できるものである。
【0047】
防舷材の接着面に設けられた溝は、防舷材の取り付け面に塗布した接着剤が、圧着時に防舷材と船側外板の間からはみ出すことを防止するとともに、塗布むら、特に多く塗られた接着剤の吸収を行うことができ、また防舷材の接着面積を大きくすることができる。
【0048】
また
、前記の溝は、防舷材を船側外板の曲り部に取り付ける場合、取り付け面と外縁との距離の差により、接着部に表れる皺を吸収し、スムーズな表面が確保できるか又は皺を極力小さくすることができる。
【0049】
(3)に記載の発明は接着面に所定の間隔で設けた、溝に関するもので、その断面形状が、半円、半楕円、三角形を含む多角形のいずれかの形状をしており、また、複数の形状の混在や組み合わせでよく、余剰の接着剤の吸収、接着面積が増加すること、及び膨張収縮などの形状変形に対応するものである。
【0050】
(4)に記載の発明は、本発明の防舷材が従来のボルトによる取り付けではない為、防舷材の接着面以外の面に、装飾品となるカラーモール、チューブライトなどを取り付ける溝を連続して設けることができ、従来から防舷のみの目的で取り付けられていた防舷材を装飾の一部として取り付けることができるものである。
【0051】
本発明の防舷材は船体に取り付けるとき接着剤を使用することで、穴あけ加工や内部からの防水加工を行わなくてよいため、防舷材の取り付け工事は単独の工程となり、現在多くの工程に影響していた手順が省けることになる
。防舷材の取り付け工程が単独になることは、建造所側にとっては取り付けの時期がいつでもよいこととなるので他の工程を阻害することはない。
【0052】
本発明の防舷材は、その弾力性から防舷材に埋め込んだ可塑性のカラーモール、可塑性のチューブライトなどが欠損することを防ぐことができる。
【0053】
船舶の運航時において防舷材にダメージを受けた場合でも、船内側の工事がないため、内張りの撤去、復旧工事がなく外部からの防舷材単独の復旧工事ができ、損傷の程度によっては従来のように造船所に上架しなくても工事が可能で、従来の工事に比べ補修費用が大幅に少なくできる。
【0054】
(1)芯材が発泡合成樹脂、外皮がポリウレタン系樹脂で構成される複層構造の防舷材であって、前記外皮の外形の一部に船体周縁部と対向する船体周縁対向平面と、外皮に付着して該外皮表面を伝わって自然落下する水滴の落下経路を誘導する水滴落下誘導部と、が設けられることを特徴とする防舷材。
【0055】
(2)前記防舷材の船体周縁対向平面が前記船体周縁部に接着され、前記船体周縁対向平面の幅方向に所定断面形状の溝が、所定間隔で設けられることを特徴とする(1)に記載の防舷材。
【0056】
(3)前記所定断面形状が円、楕円、多角形、三角形のいずれか、又はこれらの組み合わせであって、前記所定間隔が10mm〜100mmであることを特徴とする(1)又は(2)の何れか1項に記載の防舷材。
【0057】
(4)前記防舷材の接着面を除く一部の面に、装飾品を取り付ける溝を断面形状において、一列又は複数列に連続して設け、可塑性のカラーモール、可塑性のチューブライトなどをはめ込むだけで取り付けることができることを特徴とする(1)又は、(2)、又は(3)の何れか1項に記載の防舷材。
【実施例】
【0058】
実施例を図面により説明する
。
図1は従来のポリエチレン系樹脂防舷材1で、代表的な形状のもの2種類を示す
。このほかの形状のものでも雨水や洗浄水の落下の対策を考慮したものはない。
【0059】
図2は従来のゴム系防舷材21で、代表的な形状のもの2種類を示す
。このほかの形状のものでも雨水や洗浄水の落下の対策を考慮したものはない。
【0060】
図3は従来のポリエチレン系樹脂防舷材1の取り付け工程を示す。
図中(A)は従来のポリエチレン系樹脂防舷材1に取り付け穴加工を行った状態を示し、取り付けボルト用穴2、ボックススパナ用穴3、すなわち締め付けナットにあったボックススパナが入る径の穴開け加工を行った状態で、ポリエチレン系樹脂防舷材1には2種類のサイズの穴あけ加工が必要である。
図中(B)は従来のポリエチレン系樹脂防舷材1を取り付けるための部品を取り付け順序で表記したもので、取り付けボルト4、取り付けボルト用ワッシャ5、ナット用ワッシャ6、ナット7、外観保持のためのキャップ8、内部防水加工材9を示す。
図中(C)は従来のポリエチレン系樹脂防舷材1を船側外板10に取り付けた状態を示す
。この後船体内部の防水工事で、内部防水加工材9を取り付けボルト4の上から船体10に取り付け、外部にはボックススパナ用穴3に外観を維持するためにキャップ8を埋め込む。
図中(D)は従来のポリエチレン
系樹脂防舷材1の取り付け工事が完了した状態を示す
。この状態で上から雨水が、下から海水が、船側外板10と従来のポリエチレン系樹脂防舷材1の間に入るのを防止するため、隙間に防水の為のシリコン材11を注入し、従来のポリエチレン
系樹脂防舷材1の取り付け工事は完了する
。この後船内内張り51の取り付け工事を行う。
【0061】
図4は従来のゴム系防舷材21の取り付け工程をしめす。
図中(G)はゴム系防舷材21に取り付け穴加工を行った状態を示し、取り付けボルト穴22、プラグレンチ用穴23、すなわちナットにあったプラグレンチが入る径の穴開け加工を行った状態で、ゴム系防舷材21には2種類のサイズの穴開け加工が必要である。
図中(H)はゴム系防舷材21を取り付けるための部品を取り付け順序で表記したもので、取り付けボルト24、取り付けボルト用ワッシャ25、防舷材たれ止めの為の鋼製フラットバー26、ナット27、ゴム系防舷材の穴あけ加工23で切り取った23の切り抜き片28、内部防水加工材9を示す。
図中(I)は従来のゴム系防舷材21を船側外板10に取り付けた状態を示す
。鋼製フラットバー26は、ゴム系防舷材21のたれ止めの為に必要であり、ゴム系防舷材21と同じ長さのもので、予めゴム系防舷材21と同じ位置にフラットバーボルト穴30をあけておき、ゴム系防舷材の中空部29より差し込み、ゴム系防舷材21と同時に取り付けボルト24で締め付け固定する、この後船体内部の防水工事で、内部防水加工材9を取り付けボルト24の上から船側外板10に取り付け、外部のプラグレンチ用穴23には、23の切り抜き片28を埋め込む。
図中(J)は従来のゴム系防舷材21の取り付け工事が完了した状態を示す
。この状態で、上からは雨水が、下から海水が、船側外板10とゴム系防舷材21との間に入らないよう、隙間に防水の為のシリコン材11を注入しゴム系防舷材21の取り付け工事は完了する
。この後船内内張り51の取り付け工事を行う。
【0062】
図5は、本発明の防舷材41の断面で、芯材42、外皮43より構成されている。芯材42はポリエチレン系樹脂の独立発泡体で、弾力があり、外圧が取り除かれれば元の形状に復帰する。外皮43はポリウレタン
系樹脂で成形され弾力性があり、あらゆる方向の外力に対して、防舷材全体の弾力で対応でき、さらに従来の防舷材と同様の目的にあった働きが可能である。また防舷材の破損に至るような大きな外力が加わった場合は本発明の防舷材41が船体より剥離し、その被害が船体に及ぶことを防止できる。
図5ではそれぞれ形状の違った本発明の防舷材を示し、水滴落下誘導部44の形状には、
図Iに示すように接着面以外の一面に突起部を設ける方法や、下面を傾斜させて突起部で流下する水滴を確実に落下させる形状、また
図Jに示す二重突起や、
図Kに示すように形状の一部を変形させることで目的が達成できる。また図示しない3以上の複数突起を設け、流下する水滴が多量になっても船側外板への流下を確実に遮断できる構造など、様々な変形がある。
【0063】
本発明の防舷材41は内部に独立発泡体の芯材42を含むため、全体的には従来のポリエチレン
系樹脂防舷材やゴム系防舷材に比べ体積比で軽くなっている。
【0064】
本発明の防舷材41の外皮はポリウレタン
系樹脂で成形されているので、ウレタン系接着剤又はエポキシ系接着剤を使用すれば船側外板に対して強固に接着ができる。
【0065】
本発明の防舷材41は防舷材接着面45を除いた一部の面に水滴落下誘導部44を設け、上甲板からの水の流れ伝いを途切れさせ、船側外板に至る前に水面に落とすことで、船側外板の汚れを少なくすることができる。
【0066】
図6は本発明の防舷材41の接着面45以外の一部に、装飾品を取り付けるためのモール取り付け溝47を設けたものを示し、可塑性のカラーモール48や可塑性のチューブライト49をモール取り付け溝47に挿入することで簡単に装飾ができる
。図中矢印はカラーモール48やチューブライト49の取り付け方向を示す
。またモール取り付け溝47は断面形状において複数でも設けられる。
【0067】
図7は本発明の防舷材41に設けられたカラーモール取り付け溝47に、可塑性のカラーモール48や可塑性のチューブライト49を取り付けた状態を表すもので、(L)はカラーモール48を取り付けた状態を、(M)はチューブライト49を取り付けた状態を表す
。モール取り付け溝47の断面は円形に限ることはない。
【0068】
図8は本発明の防舷材41を長さ方向の縦断面図で表している
。防舷材接着面45に設けられた溝46が所定の間隔で設けられている
。溝46の断面は半円形状、半楕円形状、三角形状、多角形状でも可能である
。また防舷材の外観図では溝46の配列を表す
。溝46は防舷材のサイズに合わせて間隔を決定できる。
【0069】
図9は本発明の防舷材41で接着面の拡大図で、接着時の圧力により余剰の接着剤54は溝46に入り込み船側外板10と本発明の防舷材41の接着面積を増加させることができる。
【0070】
図10は本発明の防舷材41を船体の曲面部に取り付けた状態を示す
。本発明の防舷材41の防舷材接着面45に設けられた溝46が曲面で変形し、外縁部と接着面の歪を吸収できる。
【0071】
図11は本発明の防舷材41の取り付け状態を表し、デッキ12から本発明の防舷材41に沿って流れ落ちる雨水又は洗浄水が水滴落下誘導部44により船側外板10に至る前に水面64に落下する様子を示す
。図中の矢印は雨水又は洗浄水の流下する経路を示す
。本発明の防舷材41は装飾品取り付けのモール取り付け溝47を設けないものを示す。
【0072】
図12は本発明の防舷材41を船側外板10に接着する直前の状態を示し、船側外板10及び本発明の防舷材41に接着剤54を塗布した状態を示す
。本発明の防舷材41の取り付けには穴あけ加工は必要とせず、船内内張り51の取り付け工事が完了していても防舷材の取り付け工事には差し支えない
。また取り付けに際しての手順を
図3と比べれば、取り付けに関する工程が短縮されている
。本発明の防舷材41は装飾品取り付けのモール取り付け溝47を設けないものを示す。
【0073】
図13は、本発明の防舷材41が船側外板10に取り付けられた状態を示す
。本発明の防舷材41は装飾品取り付けのモール取り付け溝47を設けないものを示す。
【0074】
図14は従来のポリエチレン
系樹脂防舷材1が想定外の外圧を側面から受けた時を示し、従来のポリエチレン
系樹脂防舷材1には弾力性がないため外力は直接船側外板10やデッキ12に伝わり、船側外板10、デッキ12が変形する状態を示す
。この状態で外圧が取り除かれたときFRP船体の場合、船側外板10、デッキ12は元の状態に復帰するが、内部防水加工材9の剥離、白化した船側外板64は残りその損傷は外部より確認できない
。白化した部分は強度が著しく低下するので放置すれば危険である
。矢印は外圧の方向を示す。
【0075】
上記のような場合、徐々に浸水があり内部防水加工材9の損傷に気づくまでに相当の時間がかかる
。そして内部の被害は大きくなっている
。またこのようなダメージの修復を行う場合、船内内張り51にダメージが及んでいなくても船内内張り51を取り外し、船側外板10の修理を行い、建造時と同じ工程で従来のポリエチレン
系樹脂防舷材1を取り付けて内部防水加工材9を取り付け、そののち船内内張り51を復旧する。
【0076】
また、従来のポリエチレン
系樹脂防舷材1の交換に際しては、ダメージ部のみの交換は行われず、前後数メートル、または従来のポリエチレン
系樹脂防舷材1の1本分の交換が必要であり、その長さにあった船内内張り51の撤去が行われている。
【0077】
このような工事は、従来のポリエチレン
系樹脂防舷材1ではどうしても必要な工事であった。
【0078】
図15はポリエチレン
系樹脂防舷材1が下方からの想定外の外圧を受けた時の状態を示し、従来のポリエチレン
系樹脂防舷材1の取り付けボルト4が船側外板10を破断し脱落している状態を示す
。この時内部防水加工材9も破断することが多い
。また取り付けボルト4が外れる時には船側外板10の取り付けボルト用穴2も大きく破断し、さらに多くの場合船側外板10に亀裂が生じる
。このような場合も修復は前記と同様の工程で行う
。矢印は外圧の方向を示す。
【0079】
図16は本発明の防舷材41が側面から外圧を受けた状態を示すもので、本発明の防舷材41に弾力があり外圧を吸収し船側外板10、上甲板12に外圧が及ぶことを吸収、又は軽減することができる
。矢印は外圧の方向を示す
。本発明の防舷材41は装飾品取り付けのモール取り付け溝47を設けないものを示す。
【0080】
図17は本発明の防舷材41が下方から外圧を受けた時の状態を示し、本発明の防舷材41が上方に変形している
。この場合も本発明の防舷材41は外力を変形により直接船側外板10に伝えることはなく、船側外板10,上甲板12を保護できる
。本発明の防舷材41は装飾品取り付けのモール取り付け溝47を設けないものを示す。
【0081】
図18は本発明の防舷材41が下方から想定外の大きな外力を受けたときの状態で、本発明の防舷材41が船体より剥離した状態を示す
。船側外板10には接着剤の残り又は防舷材の断片55が残る
。このような剥離の場合は、防舷材につられて船側外板10が破損する前に防舷材の接着面又は防舷材が破断するのが理想である
。本発明の防舷材41は装飾品取り付けのモール取り付け溝47を設けないものを示す。
【0082】
本発明の防舷材41はボルトを使用せず船体に固着しているので、剥離をしたときにも船体内部には影響は及ぼさないし、工事は本発明の防舷材41を準備できれば船内の工事を行うことなく速やかに復旧することができる
。矢印は外力の方向を示す
。またカラーモール47やチューブライト49はモール取り付け溝に打ち込みで取り付けてあるので、脱落の場合は再度打ち込めば簡単に復旧できる。