【実施例】
【0041】
以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明する。
【0042】
実施例1
[前駆体及び金属酸化物の製造]
(装置)
図1に示した装置1を用いて、金属酸化物の前駆体からなる粒子の製造を行った。装置1において、原料容器50に入れられたアンモニア水は、ポンプ30によって流路F1に導入され、電気炉10内で加熱され流路F2に導入される。一方、原料容器60に入れられた金属塩溶液は、ポンプ40によって流路F3に導入される。そして、流路F3を流れる金属塩溶液と流路F2を流れる加熱されたアンモニア水は、合流部70で合流し流路F4に導入される。流路F4に導入された混合液は、電気炉10内で加熱されて流路F5に導入される。流路F5に導入された混合液は、15℃に調節された水槽20で冷却された後、流路F6に導入され排出口Outから排出され回収容器90で回収される。
【0043】
流路は内径が1mmのSUSチューブである。排出口Outには背圧弁80が設けてあり、流路内の圧力を調節できるようになっている。また、アンモニア水が流路F1に導入されて排出口Outから排出されるまでの時間は3分である。
【0044】
装置1には、
図1のT1及びT2で示した箇所に温度計が設置されている。T1の箇所では、金属塩溶液と混合される直前のアンモニア水の温度が測定できるようになっている。また、T2の箇所では、アンモニア水と金属塩溶液とを合流部70で合流させた直後の混合液の温度が測定できるようになっている。
【0045】
次に、装置1を用いた、前駆体及び金属酸化物の製造工程について説明する。
【0046】
(原料の準備)
(1)三塩化インジウム四水和物と四塩化スズ五水和物とを1Lの蒸留水に溶解させてインジウム塩とスズ塩とを含む金属塩溶液を調製した。当該金属塩溶液中のインジウム塩の濃度は9mmol/Lであり、スズ塩の濃度は1mmol/Lである。
(2)濃度が28重量%のアンモニア水を蒸留水で希釈して、濃度が0.5重量%のアンモニア水を1L調製した。
【0047】
(混合・反応工程)
(1)アンモニア水1Lを原料容器50に入れ、金属塩溶液1Lを原料容器60に入れた。
(2)背圧弁80を操作して、流路内の圧力が0.3MPaになるように調節した。
(3)プランジャーポンプ30を起動させ、原料容器50内のアンモニア水を流路F1に流速5mL/minで導入した。そして、電気炉10を起動させ炉内の温度を300℃に設定し、炉内の流路を流れるアンモニア水を加熱した。
(4)プランジャーポンプ40を起動させ、原料容器60内の金属塩溶液を流路F3に流速5mL/minで導入し、当該金属塩溶液と加熱されたアンモニア水とを合流部70で合流させた。混合する直前のアンモニア水の温度T1は296.8℃であり、金属塩溶液の温度は室温であり、合流部で合流させた直後の混合液の温度T2は165.9℃であった。電気炉の設定温度Ts、温度T1及び温度T2を表1にまとめて示す。
(3)背圧弁80を通り排出口Outから排出された反応液を回収容器90で回収した。
【0048】
(分離工程)
得られた反応液を限外ろ過膜でろ過をし、アンモニア水や未反応のインジウム塩及びスズ塩を除去した。そして、ろ過膜上の粒子を蒸留水で5回洗浄した後、粒子を採取した。得られた粒子を蒸留水に分散させて前駆体からなる粒子を含む分散液を得た。得られた分散液を凍結乾燥し前駆体からなる粒子を得た。金属塩の仕込み量から算出した粒子の収率は57.5%であった。
【0049】
(焼成工程)
得られた前駆体からなる粒子を300℃で30分間熱処理を行い、金属酸化物の粒子を得た。
【0050】
[TEM観察]
透過型電子顕微鏡装置(TEM)を用いて、前駆体の電子顕微鏡写真(TEM画像)の撮影を行った。
図2は前駆体のTEM画像である。得られたTEM画像から、前駆体の平均粒径(一次粒径)を求めたところ、平均粒径は6.79nmであった。平均粒径は得られたTEM画像において、明暗が明瞭で粒子の輪郭を判別できる粒子を100個選択し、粒子の長軸径を画像解析ソフトウエアを用いて計測し平均することによって求めた。
図3に、画像解析によって計算された粒径分布を示す。透過型電子顕微鏡装置は、日本電子株式会社製の「JEM−2100」を用いた。
【0051】
金属酸化物についても透過型電子顕微鏡装置(TEM)を用いて、TEM画像の撮影を行った。
図4は金属酸化物の電子顕微鏡写真(TEM画像)である。同様に、得られたTEM画像から金属酸化物の平均粒径を求めたところ、平均粒径は6.90nmであり、標準偏差は1.43nmであった。
【0052】
[X線回折法による分析]
X線回折装置(XRD)を用いて、前駆体及び金属酸化物それぞれについて、XRDパターンを測定した。
図5に前駆体のXRDパターンを示し、
図6に金属酸化物のXRDパターンをそれぞれ示す。X線回折装置は、株式会社リガク社製の「RINT−2500」を用いた。
【0053】
図5に示すように、前駆体はインジウムのオキシ水酸化物(InOOH)とインジウムスズの酸化物(In
2SnO
5)に帰属される回折ピークが観測された。また、
図6に示すように、金属酸化物はインジウムスズの酸化物(In
2SnO
5)に帰属される回折ピークが観測された。
【0054】
実施例2
電気炉10の設定温度Tsを200℃に変更した以外は実施例1と同様にして前駆体を製造した。電気炉の設定温度Ts、温度T1、温度T2及び収率を表1にまとめて示す。また、実施例1と同様にして、得られた前駆体についてTEM観察を行った。
図7に電子顕微鏡写真(TEM画像)を示し、表1に平均粒径を示す。
【0055】
実施例3
電気炉10の設定温度Tsを250℃に変更した以外は実施例1と同様にして前駆体を製造した。電気炉10の設定温度Ts、温度T1、温度T2及び収率を表1にまとめて示す。また、実施例1と同様にして、得られた前駆体についてTEM画像の撮影を行い、平均粒径を求めた。
図8にTEM画像を示し、表1に平均粒径を示す。
【0056】
実施例4
電気炉10の設定温度Tsを350℃に変更した以外は実施例1と同様にして前駆体を製造した。電気炉10の設定温度Ts、温度T1、温度T2及び収率を表1にまとめて示す。また、実施例1と同様にして、得られた前駆体についてTEM画像の撮影を行い、平均粒径を求めた。
図9にTEM画像を示し、表1に平均粒径を示す。
【0057】
実施例5
電気炉10の設定温度Tsを400℃に変更した以外は実施例1と同様にして前駆体を製造した。電気炉10の設定温度Ts、温度T1、温度T2及び収率を表1にまとめて示す。また、実施例1と同様にして、得られた前駆体についてTEM画像の撮影を行い、平均粒径を求めた。
図10にTEM画像を示し、表1に平均粒径を示す。
【0058】
実施例6
電気炉10の設定温度Tsを450℃に変更した以外は実施例1と同様にして前駆体を製造した。電気炉10の設定温度Ts、温度T1、温度T2及び収率を表1にまとめて示す。また、実施例1と同様にして、得られた前駆体についてTEM画像の撮影を行い、平均粒径を求めた。
図11にTEM画像を示し、表1に平均粒径を示す。
【0059】
実施例7
インジウム塩及びスズ塩を含む金属塩溶液の代わりに、四塩化スズ五水和物を1Lの水に溶解させたスズ塩を含む金属塩溶液を原料容器50に入れた。当該金属塩溶液中のスズ塩の濃度は5mmol/Lである。そして、実施例1と同様の混合・反応工程を行って酸化スズを得た。電気炉10の設定温度Ts、温度T1及び温度T2を表1にまとめて示す。また、実施例1と同様にして、得られた酸化スズについてTEM観察の撮影を行った。
図12にTEM画像を示し、表1に平均粒径を示す。
【0060】
比較例1
電気炉10の設定温度Tsを150℃に変更した以外は実施例1と同様にして前駆体を製造した。電気炉10の設定温度Ts、温度T1、温度T2及び収率を表1にまとめて示す。また、実施例1と同様にして、得られた前駆体についてTEM観察の撮影を行った。
図13にTEM画像を示す。得られたTEM画像において、粒子同士が重なりあって粒子の輪郭を判別することができず、個々が独立した粒子を選別することができなかったため、平均粒径を求めることができなかった。
【0061】
【表1】
【0062】
実施例8
実施例1で得られた前駆体を水に分散させた分散液を調製した。この分散液をガラス基板表面にスピンコートによって塗布した後に、500℃で90分間焼成して、基板表面に薄膜を形成した。
【0063】
X線回折装置(XRD)を用いて、薄膜のXRDパターンを測定した。
図14に薄膜のXRDパターンを示す。
図14に示すように、全ての回折ピークはインジウムスズの酸化物(In
2SnO
5)に帰属され、基板表面にITO薄膜が形成されていることが確認された。また、得られた薄膜の表面抵抗率を4探針法によって測定したところ、表面抵抗率は10
4Ω/□桁であり、基板表面に導電性薄膜が形成されたことが確認された。