特許第6205595号(P6205595)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6205595
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】車両用表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/01 20060101AFI20170925BHJP
   B60K 35/00 20060101ALI20170925BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
   G02B27/01
   B60K35/00 A
   B60R11/02 C
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-90048(P2013-90048)
(22)【出願日】2013年4月23日
(65)【公開番号】特開2014-215329(P2014-215329A)
(43)【公開日】2014年11月17日
【審査請求日】2015年9月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004765
【氏名又は名称】カルソニックカンセイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119644
【弁理士】
【氏名又は名称】綾田 正道
(72)【発明者】
【氏名】三浦 弘雅
【審査官】 山本 貴一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−058688(JP,A)
【文献】 特開2014−115417(JP,A)
【文献】 米国特許第07570430(US,B1)
【文献】 特開2009−292223(JP,A)
【文献】 特開2014−211542(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01
B60K 35/00
B60R 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示情報を投影可能な表示器と、
該表示器で投影された表示情報を拡大反射して車両前方側に結像させてこの結像による虚像と透かして見える車両前方の景色とを同時に見せるコンバイナと、
を備えた車両用表示装置において、
前記コンバイナの左右端部の厚みを、該コンバイナの左右の縁に近づくにつれて薄くなるようにした、
ことを特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用表示装置において、
前記コンバイナの左右端部の車両前方側面および車室側面の少なくとも一方が、テーパ面または曲面を有している、
ことを特徴とする車両用表示装置。
【請求項3】
請求項1に記載の車両用表示装置において、
前記コンバイナの左右端部の車両前方側面および車室側面の一方が、階段状面を有している、
ことを特徴とする車両用表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバイナを用いて情報の表示像をユーザーに見せる車両用表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車両用表示装置としては、特許文献1に記載のものが知られている。
この従来の車両用表示装置では、ウインドシールドの車室側面に貼り付けられたコンバイナが、ウインドシールドの下部に設置された表示装置から出射された表示光を受けて運転者側に反射させ、その反射により拡大して得られた虚像をウインドシールド前方の景色に重ねて運転者が見ることができるようにされている。
【0003】
このコンバイナは、この表面が運転者に対しウインドシールドの外方に1倍を超える設定倍率の、表示光の第1の虚像を看取可能にする円弧状の第1の光学面が形成される。また、背面が表示装置から出射された表示光を受けて運転者側に反射させ、運転者に対しウインドシールドの外方に第1の虚像とサイズおよび位置が一致する第2の虚像を看取可能にする円弧状の第2の光学面を形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−58688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の車両用表示装置には以下に説明するような問題がある。
すなわち、コンバイナは、この前方の景色に、表示する虚像を重ねて見るようにするため、透明な材料から形成されて略四角形に形成されている。この四角形の外周縁部となる側部は表面および背面に対して直角をなし、ある程度の厚みを有している。
この場合、コンバイナの外周縁部で屈折方向が急激に変化するため、運転者がコンバイナを通して見た車両前方の景色とコンバイナを通さずに見た車両前方の景色とが、コンバイナの外周縁部で断絶した状態でずれてしまい、運転者にとって非常に見づらくなる。
【0006】
図8(分かりやすくするため模式的に描いてある)および図9に示すように、運転者がウインドシールド101の車室内側面に図示しない支持手段で支持したコンバイナ100を介してその前方の景色を見ると、コンバイナ100の外周縁部の側部100aで屈折による前方の景色のずれ量が急激に変わるため、たとえば、道路105に引かれた停止線L1は、この停止線L1のうちコンバイナ100を通して見える部分がより下方の位置の停止線L2として運転者の目Eに見えることになる。この結果、本来まっすぐな停止線が、断絶的なずれΔLを生じた二つの停止線L1、L2に分離されて見えてしまう。
同様に、車両前方のボンネット103の先端部も、コンバイナ100の外周縁部で断絶的にずれてしまう。なお、図8中にはインストルメントパネル104が、また図9中にはステアリングホイール106の一部がそれぞれ見える。また、コンバイナ100により見える情報の表示像はその図示を省略してある。
【0007】
コンバイナの外周縁部での車両前方の景色のずれは、避けるが難しい。この場合、ずれが断絶的になっていることが、運転者に前方景色を見づらく、したがって認識しづらくなっている。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、その目的とするところは、コンバイナを用いる場合に、コンバイナの外周縁部でのずれの断絶を減少させて、車両前方景色がより見やすく、かつ、より認識し易くなるようにした車両用表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的のため本発明による車両用表示装置は、
表示情報を投影可能な表示器と、
表示器で投影された表示情報を拡大反射して車両前方側に結像させてこの結像による虚像と透かして見える車両前方の景色とを同時に見せるコンバイナと、
を備えた車両用表示装置において、
コンバイナの左右端部の厚みを、コンバイナの左右の縁に近づくにつれて薄くなるようにした、
ことを特徴とする。
【0009】
また、好ましくは、コンバイナの左右端部の車両前方側面および車室側面の少なくとも一方が、テーパ面または曲面を有している、
ことを特徴とする。
【0010】
また、好ましくは、コンバイナの左右端部の車両前方側面および車室側面の一方が、階段状面を有している、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の車両用表示装置にあっては、コンバイナの左右端部の厚みを、コンバイナの左右の縁に近づくにつれて薄くなるようにしたので、コンバイナを通して見える車両前方の景色と、コンバイナを通さないで見える車両前方の景色と、のコンバイナの左右外周縁部におけるずれの断絶を小さくあるいは無くすようにすることができる。したがって、車両前方の景色が見やすくなり、かつ認識も容易になる。

【0012】
また、コンバイナの車両前方側面および車室側面の少なくとも一方を、テーパ面、曲面、階段状面のいずれかで形成したので、容易かつ安価に、上記ずれの断絶を改善することができる。
【0013】
また、コンバイナの車両前方側面および車室側面の一方を、階段状面で形成したので、容易かつ安価に、上記ずれの断絶を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施例1に係る車両用表示装置の斜視図である。
図2】実施例1の車両用表示装置を利用してドライバが見た場合の車両前方の景色を示す図である。
図3】実施例1の車両用表示装置で用いられ、テーパ面を有する3種類のコンバイナをそれぞれ示す平面図である。
図4】本発明の実施例2に係る車両用表示装置で用いるコンバイナの端部をそれぞれ示す図である。
図5】本発明の実施例3に係る車両用表示装置で用いるコンバイナの端部をそれぞれ示す図である。
図6】本発明の実施例4に係る車両用表示装置で用いるコンバイナの端部をそれぞれ示す図である。
図7図6のコンバイナを有する実施例4の車両用表示装置を利用してドライバが見た場合の車両前方の景色を示す図である。
図8】従来の車両用表示装置の斜視図である。
図9図8の車両用表示装置を利用してドライバが見た場合の車両前方の景色を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を、図面に示す実施例に基づき詳細に説明する。
【実施例1】
【0016】
まず、実施例1の車両用表示装置の全体構成を、図1図2に基づいて説明する。
同図に示すように、実施例1の車両用表示装置では、透明な材料で形成されたコンバイナ1が、車両前方のウインドシールド2の車室内側で、運転者の前方に図示しない支持部材で支持されている。
一方、ウインドシールド2の下方のインストルメントパネル3の内部には、運転者への車両情報などの情報を表示可能な表示器4が配置される。表示器4の表示面は、コンバイナ1に向けられて、その表示映像をインストルメントパネル3の開口3aを通ってコンバイナ1に出可能とされている。
【0017】
ここで、コンバイナ1は、透明な略直方体をしており、その大部分を占める中有部分はほぼフラットもしくは円弧状で車両のフロント側ウインドシールド2の車室側面に沿った形状とされるが、その外周縁部の側壁1aは厚さが縁に近づくにしたがって徐々に薄くなるように形成されている。
すなわち、外周縁部の側壁1aは、両端側とも、図3(a)に示すように車室側の面がテーパ面1bにされるか、図3(b)に示すように車両前方側の面がテーパ面1cにされるか、あるいは図3(c)に示すように車室側の面がテーパ面1cに、かつ車両前方側の面がテーパ面1dに形成されて、屈折による前方の景色のずれ量が徐々に変化するようにしてある。
【0018】
図2は、図3(a)に示す形状をしたコンバイナ1を用いた場合の、運転者から見た車両前方の景色である。
なお、図2で示すように、運転者はステアリングホイール5やボンネット7等が見える他、下記のように像や車両外側の景色を見ることができる。
また、図2では、コンバイナ1による表示像は図示を省略しているが、表示時には、コンバイナ1より車両前方の位置に表示器4の表示映像の像が結像される結果、運転者はコンバイナ1の車両前方側に表示像を見ることができる。
また、コンバイナ1は、透明であるから運転者は、上記表示像と同時に車両前方の景色を、コンバイナ1を通して見ることができ、さらにコンバイナ1の外側にコンバイナ1を通さずにウインドシールド2を通して車両前方の景色を見ることができる。
【0019】
この場合、たとえば道路13の停止線L1が見えるとすると、コンバイナ1を通さない領域では、ウインドシールド2を通して停止線L1が直に見えるが、コンバイナ1を通して停止線L1が見える領域では、停止線が屈折されて見える結果、位置がずれ、コンバイナ1の外側に見えている停止線L1より上下方向に(図2中、下側)にΔMだけずれた停止線L2となって見える。
なお、コンバイナ1の両端縁部側では、テーパ面1aにより、この面では、縁に近づくにしたがって、コンバイナ1のフラットな面を通して見える停止線L2の左右端が、コンバイナ1を通さずに見える停止線L1のコンバイナ1の左右両端の外側部分に向かって、上下方向のずれが次第に小さくなるように連続して変化する停止線L3となって見える。
【0020】
すなわち、コンバイナ1を通して停止線L1が見える領域では、コンバイナ1の中央部分では停止線L2でとなって見えるとともに、この両端側では、それぞれ停止線L3となって、上下方向にずれて見えている停止線L2をコンバイナ両端縁部の外側に直接見える停止線L1に連続して接続した状態で見えるようになる。この場合、ずれはコンバイナ1の縁に行くにしたがって上下方向のずれが小さくなって停止線L1と一致するようになる。
【0021】
したがって、運転者は、停止線L1がコンバイナ1でずれて見えても、停止線は断絶することなく連続して変化するので、見やすく、かつ誤りなく早期に認識することができるようになる。
ここでは、停止線について説明した、同様なことは、車両前方の景色全般について言えることは言うまでもない。
また、図3(b)、図3(c)に示した形状のコンバイナ1を用いても、上記同様の効果を得ることができる。
【0022】
以上説明したように、実施例1の車両用装置は、以下の効果を有する。
すなわち、実施例1の車両用装置にあっては、コンバイナ1の両端部の厚みを、コンバイナ1の縁に近づくにつれて徐々に薄くなるようにしたので、車両前方の景色はコンバイナ1を通して見える景色と、コンバイナ1を通さないで見える車両前方の景色とが、両者間でずれて、また前者が拡大されて見えてもコンバイナ1の両端縁部では連続あるいは連続に近い状態で接続されることで車外の水平方向成分のずれが断絶することはなく、かつ大きさも徐々に変化して行くいずれの側でも一致するようになる。
したがって、運転者は、コンバイナ1で車両前方の景色にずれや大きさの変化が生じても、見やすく、かつ連続により同じものであると早期かつ確実に車両前方の景色を認識することができる。
【0023】
また、厚さを徐々に変化させる部分がコンバイナ1の両端縁部に設けたので、表示器4の表示映像を反射させて虚像を生じさせるコンバイナ1の反射面を大きくとることが可能となる。
また、テーパ面1c、1dをコンバイナ1の両面に設けると、接続がスムーズになってずれによる違和感がさらに減少する。
【0024】
また、コンバイナ1の左右端部の車両前方側面および車室側面の少なくとも一方を、テーパ面1a〜1dで形成したので、上記効果を得るのに、製作容易かつ安価な構成とすることができる。
【0025】
次に、他の実施例について説明する。この他の実施例の説明にあたっては、前記実施例1と同様の構成部分については図示を省略し、もしくは同一の符号を付けてその説明を省略し、相違点についてのみ説明する。
【実施例2】
【0026】
実施例2の車両用表示装置にあっては、実施例1の車両用表示装置で用いたコンバイナ1の両端縁部の形状を変形させた点だけが実施例1のものとは異なる。
すなわち、コンバイナ1の一面側だけに設けたテーパ面(図3(a)、(b)のもの)の縁部分を、図4(a)に示すように、さらに傾斜を大きくして短い第2のテーパ面1eをテーパ面1aあるいはテーパ面1bに連続させるようにしたものである。
あるいは、コンバイナ1の両面側に設けたテーパ面(図3(c)のもの)の縁部分を、図4(b)に示すように、短い平面1fで接続したものである。
なお、図4では、一方の端部側しか描いていない。
上記のようにしても、テーパ面1eおよび平面1fは非常に短いので、ずれの断絶を非常に小さくすることができる。
したがって、この場合にも、実施例1と同様の効果を得ることができる。
また、コンバイナ1の縁が厚さゼロとならないので、先端が鋭利になってしまうことで折れやすくなったりすることを避けることができる。
【実施例3】
【0027】
実施例3の車両用表示装置にあっては、実施例1の車両用表示装置で用いたコンバイナ1の両端縁部の形状を変形させた点だけが実施例1および実施例2のものとは異なる。
すなわち、実施例1でコンバイナ1の一面側だけに設けたテーパ面(図3(a)、(b)のもの)の代わりに、図5(a)〜(d)に示すように、それぞれ凸凹方向が異なる波状の曲面部分のいずれかで連続接続させるようにしたものである。
なお、図5では、一方の端部側しか描いていない。
このようにしても、実施例1と同様の効果を得ることができる。
【実施例4】
【0028】
実施例4の車両用表示装置にあっては、実施例1の車両用表示装置で用いたコンバイナ1の両端縁部の形状を変形させた点だけが実施例1〜実施例3のものとは異なる。
すなわち、実施例1でコンバイナ1の一面側だけに設けたテーパ面(図3(a)、(b)のもの)の代わり、図6(a)に示すような均一の階段状部分、あるいは図6(b)に示すような不均一な階段状部分を用いる。
なお、図6では、一方の端部側しか描いていない。
【0029】
図7は、図6(a)の均一階段形状を用いた場合における、運転者から見た車両前方の景色である。なお、図7では、コンバイナ1による表示像は図示を省略しているが、表示時には、コンバイナ1より車両前方の位置に表示器4の表示映像の像が結像される結果、運転者はコンバイナ1の車両前方側に表示像を見ることができる。さらに、運転者が、上記表示像と同時に車両前方の景色を、コンバイナ1を通して見ることができ、さらにコンバイナ1の外側にコンバイナ1を通さずにウインドシールド2を通して車両前方の景色を見ることができる点は、実施例1と同じである。
【0030】
この場合、たとえば道路13の停止線L1が見えるとすると、コンバイナ1を通さない領域では、ウインドシールド2を通して停止線L1が直に見えるが、コンバイナ1を通して停止線L1が見える領域では、停止線が屈折されて見える結果、かつコンバイナ1の外側に見えている停止線L1より上下方向にずれた停止線L2となって見える。
ただし、コンバイナ1の両端縁部側では、階段状部分の効果により、停止線L2からコンバイナ1の両側縁に近づくにしたがって停止線L4の上下方向のずれが次第に小さくなって行き、縁では停止線L1とつながって見える。
したがって、この場合にも、実施例1と同様の効果を得ることができる。
また、コンバイナ1の両端縁部が階段状であるので、直線で厚さを薄くするときにプリズム効果で像が左右にずれるのをなくすことが可能となる。
【0031】
以上、本発明を上記実施例に基づき説明してきたが、本発明は上記実施例に限られず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で設計変更等があった場合でも、本発明に含まれる。
【0032】
たとえば、コンバイナ1の全体形状は、実施例1のように略四角形に限られず、他の形状にしてもよい。
【符号の説明】
【0033】
E 運転者の目
L1、L2、L3、L4 停止線
1,100 コンバイナ
1a、1b、1C、1d、1e テーパ面
1fテーパ面
2、101 ウインドシールド
3、104 インストルメントパネル
4 表示器
5、106 ステアリングホイール
6、105 道路
7、103 ボンネット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9