(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6205596
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】ソフトスタート回路及び電源装置
(51)【国際特許分類】
H02M 3/155 20060101AFI20170925BHJP
G05F 1/56 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
H02M3/155 B
G05F1/56 310J
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-135439(P2013-135439)
(22)【出願日】2013年6月27日
(65)【公開番号】特開2015-12668(P2015-12668A)
(43)【公開日】2015年1月19日
【審査請求日】2015年12月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】391016358
【氏名又は名称】東芝情報システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074147
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 崇
(72)【発明者】
【氏名】津田 和則
【審査官】
東 昌秋
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−159288(JP,A)
【文献】
特開2000−56843(JP,A)
【文献】
特開2012−10163(JP,A)
【文献】
特開2012−242944(JP,A)
【文献】
特開2012−59050(JP,A)
【文献】
特開2005−168169(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/00− 3/44
G05F 1/56
H03K 17/00−17/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定電圧値を有する電圧を出力する所定電圧出力部と、
時間の経過に伴って電圧値を徐々に高くして出力する漸次高圧出力部と、
前記所定電圧出力部の出力電圧を基準電圧側端子へ取込み、この取り込んだ電圧よりも所定のオフセット電圧だけ低い電圧を基準電圧として、この基準電圧と前記漸次高圧出力部の出力電圧との比較を行い、前記漸次高圧出力部の出力電圧が前記基準電圧以上となると出力信号を反転するオフセットコンパレータであるコンパレータと、
前記コンパレータからの前記出力信号によりオンオフされる第1のスイッチ及び第2のスイッチにより構成され、前記コンパレータからの前記出力信号が反転されるまでは前記漸次高圧出力部に設けられる前記第1のスイッチをオンとすることにより前記漸次高圧出力部の出力電圧を外部出力端子からの外部出力電圧として出力し、前記コンパレータからの前記出力信号が反転されると前記第1のスイッチをオフとすることにより前記漸次高圧出力部の出力電圧を前記外部出力端子へ到る経路から切り離すと共に前記所定電圧出力部と前記外部出力端子へ到る経路との間の前記第2のスイッチをオンすることにより前記所定電圧出力部の出力電圧を外部出力電圧として出力とする切り換えを行う電圧切換部と
を具備し、
前記オフセットコンパレータは、差動増幅回路を含み、
前記差動増幅回路の2入力端子にそれぞれ接続されているペアのトランジスタと、前記差動増幅回路内において前記ペアのトランジスタにそれぞれ接続されている第2のペアのトランジスタとの少なくとも一方のペアにおいて各トランジスタの素子サイズが異なることを特徴とするソフトスタート回路。
【請求項2】
前記漸次高圧出力部は、定電流源と、この定電流源に直列接続されるコンデンサとを有し、
前記コンデンサと前記定電流源との間には、前記コンパレータからの前記出力信号によりオンオフされる前記第1のスイッチが接続され、前記コンデンサの電位を出力とすることを特徴とする請求項1に記載のソフトスタート回路。
【請求項3】
出力電圧と基準電圧との比較を行い、比較結果に基づいて出力電圧を制御する電源回路において、
前記比較を行うコンパレータへ基準電圧を与える回路として、請求項1または2に記載のソフトスタート回路を用いたことを特徴とする電源回路。
【請求項4】
電源回路は、同期整流型降圧DCDCコンバータ、非同期整流型降圧DCDCコンバータ、シリーズレギュレータ、同期整流型昇圧DCDCコンバータ、非同期整流型昇圧DCDCコンバータのいずれかであることを特徴とする請求項3に記載の電源回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、突入電流の阻止などを目的として用いられるソフトスタート回路及びこのソフトスタート回路を用いて構成した電源装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
同期整流型降圧スイッチングレギュレータは、一般的に
図1の概念図に示すように構成される。このスイッチングレギュレータは抵抗R1と抵抗R2によって分圧された電圧レベルと内部参照電圧VREFが一致するよう制御される。そのため、出力コンデンサCoutが放電した状態において、この電源装置を始動させると、出力電圧VOUTは急峻に立ち上がることになる。このとき、出力コンデンサCoutへの電荷流入は時間的に高い密度となり、内部回路やインダクタの破壊或いは劣化につながることがある。そのため、始動時における突入電流のピーク値を小さく抑えたいという要望がある。
【0003】
そこで、一般的に電源回路には出力電圧を緩やかに立ち上げるソフトスタート機能が実装されている場合が多い。
図2に、始動時からの時間経過と電流値の変化を示す波形図を示した。
図2において、実線で示したソフトスタート機能がない場合には、始動時において出力コンデンサCoutへ急速に電荷が与えられることになるため、出力電流IOUTのピーク値が大きくなる。一方、ソフトスタート機能を利用し緩やかに出力電圧VOUTを立ち上げた(
図2において破線で示した)場合には、出力電流IOUTのピーク値は小さくなる。
【0004】
このソフトスタート機能の実装方法として、参照電圧VREFを緩やかに立ち上げる手法がある。ソフトスタート機能は、例えば
図3に示すような簡単な回路にて実現が可能である。
図3において、スイッチSW2をON、スイッチSW1をOFFとし、定電流源(I1)とコンデンサ(C1)などで構成される時定数を持たせたランプ回路の出力を参照電圧VREFとし、緩やかに参照電圧VREFを立ち上げる。これによって、電源回路の出力電圧VOUTを参照電圧VREFに追従させ、ソフトスタート機能を実現する。
【0005】
ただし、これだけでは参照電圧VREFが目標電圧を越えてしまうため、コンパレータCMP1と、目標電圧となるBand Gap Reference(BGR)などで生成された基準電圧VBGRと比較を行う。ランプ出力電圧がBGR出力などの基準電圧VBGRに到達したことを検出すると、スイッチSW2は開放となり、スイッチSW1が短絡される。これにより、ランプ回路の充電は停止し、参照電圧VREFにはBGR出力などの基準電圧VBGRが目標電圧として出力されるようになる。
【0006】
ところが、この
図3に示したソフトスタート回路の構成には課題がある。即ち、コンパレータCMP1には遅延時間が存在するため、目標電圧であるBGR出力で検出を行わせようとしても、それより少し高い電圧でスイッチSW1とスイッチSW2の切り換えが行われてしまうのである。この結果、
図4(a)に示すように、参照電圧VREFがオーバーシュートを起こしてしまう。この参照電圧VREFにより出力電圧を制御しているため、出力電圧VOUTにも同様にオーバーシュートが起こる(
図4(b))。オーバーシュート電圧は、そのレベルにより素子の破壊や収束の不安定さを招くためにしばしば倦厭される。
【0007】
この問題に対処するための手法として、
図5に示すような回路構成を採用することができる。これは特許文献1において紹介されている手法であり、参照電圧より少し低い参照電圧をもう一つ生成し、それをソフトスタート完了目標に設定するというものである。この手法によれば、遅延時間を考慮し目標よりやや低い電圧でコンパレータCMP1に判定を行わせることが可能となり、オーバーシュートの発生がなくなる。即ち、この機能を実装した場合には、コンパレータCMP1による判定動作が
図6に示されるVREF2により行われ、判定後は本来の目標電圧であるVREF1に切換えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−159288号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、この特許文献1に示された手法には大きな問題がある。それは基準電圧の系統が増加してしまうことである。電源回路などの基準となるBGRなどは雑音に弱いことが多い。そのため、
図5に示したような構成では、雑音の影響を考慮しバッファの後段で抵抗分圧し、VREF2を生成することが好ましい。ただし、この場合常時電流を流す必要があるため、消費電力を抑えるための高抵抗が必要となり大きな面積が必要となる。回路的な工夫により、BGRの電圧生成過程でやや低い電圧VREF2を生成することも可能である。この場合は電流や面積の増加は発生しないが、多くの基準電圧配線を引き回すことによって雑音性能が劣化してしまう。これに対してはVREF2にもBufferを挿入することにより回避可能であるが、やはり面積や消費電流の増加につながってしまうという問題があった。
【0010】
本発明は上記のような従来のソフトスタート回路が有する問題点を解決せんとしてなされたもので、その目的は、構成の追加や大型化を行うことなく、オーバーシュートを起こすことなく、緩やかに電圧を上昇させ適切に所要の電圧へ到達する外部出力電圧を出力することが可能なソフトスタート回路を提供することである。また、このソフトスタート回路を用いた電源回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るソフトスタート回路は、所定電圧値を有する電圧を出力する所定電圧出力部と、時間の経過に伴って電圧値を徐々に高くして出力する漸次高圧出力部と、前記所定電圧出力部の出力電圧を基準電圧側端子へ取込み、この取り込んだ電圧よりも所定のオフセット電圧だけ低い電圧を基準電圧として、この基準電圧と前記漸次高圧出力部の出力電圧との比較を行い、前記漸次高圧出力部の出力電圧が前記基準電圧以上となると出力信号を反転するオフセットコンパレータであるコンパレータと、
前記コンパレータからの前記出力信号によりオンオフされる第1のスイッチ及び第2のスイッチにより構成され、前記コンパレータからの前記出力信号が反転されるまでは
前記漸次高圧出力部に設けられる前記第1のスイッチをオンとすることにより前記漸次高圧出力部の出力電圧を
外部出力端子からの外部出力電圧として出力し、前記コンパレータからの前記出力信号が反転されると
前記第1のスイッチをオフとすることにより前記漸次高圧出力部の出力電圧を前記
外部出力端子へ到る経路から切り離すと共に
前記所定電圧出力部と前記外部出力端子へ到る経路との間の前記第2のスイッチをオンすることにより前記所定電圧出力部の出力電圧を外部出力電圧として出力とする切り換えを行う電圧切換部とを具備し、前記オフセットコンパレータは、差動増幅回路を含み、前記差動増幅回路の2入力端子にそれぞれ接続されているペアのトランジスタと、前記差動増幅回路内において前記ペアのトランジスタにそれぞれ接続されている第2のペアのトランジスタとの少なくとも一方のペアにおいて各トランジスタの素子サイズが異なることを特徴とする。
【0012】
本願発明に係るソフトスタート回路では、前記漸次高圧出力部は、定電流源と、この定電流源に直列接続されるコンデンサと
を有し、前記コンデンサと前記定電流源との間には、前記コンパレータからの前記出力信号によりオンオフされる
前記第1のスイッチが接続され、前記コンデンサの電位を出力とすることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る電源回路は、出力電圧と基準電圧との比較を行い、比較結果に基づいて出力電圧を制御する電源回路において、前記比較を行うコンパレータへ基準電圧を与える回路として、請求項1または2に記載のソフトスタート回路を用いたことを特徴とする。
【0014】
本発明に係る電源回路では、電源回路が、同期整流型降圧DCDCコンバータ、非同期整流型降圧DCDCコンバータ、シリーズレギュレータ、同期整流型昇圧DCDCコンバータ、非同期整流型昇圧DCDCコンバータのいずれかであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、コンパレータが、所定電圧出力部の出力電圧を基準電圧側端子へ取込み、この取り込んだ電圧よりも所定のオフセット電圧だけ低い電圧を基準電圧として比較を行うので、コンパレータの動作遅延があっても、所定電圧出力部の出力電圧である基準電圧を超えた電圧値が出力されるオーバーシュートが生じることがない。即ち、本発明は、構成の追加や大型化を行うことなく、オーバーシュートを起こすことなく、緩やかに電圧を上昇させ適切に所要の電圧へ到達する外部出力電圧を出力することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】ソフトスタート回路を用いない、従来の同期整流型降圧スイッチングレギュレータの構成を示す回路ブロック図。
【
図2】ソフトスタート機能有り無しの2通りについて、始動時からの時間経過と電流値の変化を示す波形図。
【
図3】従来のソフトスタート回路の構成を示す回路ブロック図。
【
図4】従来のソフトスタート回路によるオーバーシュートを示す波形図。
【
図5】オーバーシュートを考慮した、従来のソフトスタート回路の構成を示す回路ブロック図。
【
図6】
図5のソフトスタート回路による動作を示す波形図。
【
図7】本発明に係るソフトスタート回路の実施形態の回路ブロック図。
【
図8】本発明に係るソフトスタート回路による動作を示す波形図。
【
図9】本発明に係るソフトスタート回路に用いるオフセットコンパレータの具体的な実施形態の構成図。
【
図10】本発明に係るソフトスタート回路を用いて構成した同期整流型降圧DCDCコンバータの回路ブロック図。
【
図11】本発明に係るソフトスタート回路を用いて構成した非同期整流型降圧DCDCコンバータの回路ブロック図。
【
図12】本発明に係るソフトスタート回路を用いて構成したシリーズレギュレータの回路ブロック図。
【
図13】本発明に係るソフトスタート回路を用いて構成した同期整流型昇圧DCDCコンバータの回路ブロック図。
【
図14】本発明に係るソフトスタート回路を用いて構成した非同期整流型昇圧DCDCコンバータの回路ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下添付図面を参照して、本発明に係るソフトスタート回路及びこれを用いた電源回路の実施形態を説明する。各図において同一の構成要素には同一の符号を付して重複する説明を省略する。
図7に、本発明に係るソフトスタート回路の実施形態の回路ブロック図を示す。このソフトスタート回路は、所定電圧出力部10、漸次高圧出力部20、オフセットコンパレータ30、電圧切換部であるスイッチSW1、SW2を主な構成要素としている。
【0018】
所定電圧出力部10は、所定電圧値を有する電圧VBGRを出力するものであり、Band Gap Reference(BGR)とバッファBufferとにより構成される。漸次高圧出力部20は、時間の経過に伴って電圧値を徐々に高くして出力するものである。漸次高圧出力部20は、定電流源I1とコンデンサC1との直列接続された回路が電圧源とグランドとの間に接続されたクランプ回路により構成することができる。このクランプ回路は定電流源I1とコンデンサC1などで構成される時定数を有し、電圧値を徐々に高くして出力するものである。
【0019】
オフセットコンパレータ30は、所定電圧出力部10の出力電圧と上記漸次高圧出力部20の出力電圧を比較するものであり、上記所定電圧出力部10の出力電圧を基準電圧側端子へ取込み、この取り込んだ電圧よりも所定のオフセット電圧だけ低い電圧を基準電圧として比較を行うものである。
【0020】
電圧切換部であるスイッチSW1、SW2は、オフセットコンパレータ30の比較結果に基づき漸次高圧出力部20の出力電圧から所定電圧出力部10の出力電圧へ切り換えを行って外部出力電圧を得るものである。つまり、スイッチSW1、SW2は、オフセットコンパレータ30の出力に基づきON、OFFされる。
【0021】
上記のソフトスタート回路は、スイッチSW1、SW2が共にOFFの状態から起動によりスイッチSW2がONとされる(
図8の時刻T1)。このとき所定電圧出力部10の出力電圧VBGRに比べて漸次高圧出力部20の出力電圧VREFが小さな値となっている。これ以降は、コンデンサC1に電荷が蓄積され、漸次高圧出力部20の出力電圧VREFが
図8に示すように徐々に電圧値が上昇する。
【0022】
出力電圧VREFがオフセットコンパレータ30の判定オフセット値となると(
図8の時刻T2)、オフセットコンパレータ30の出力が反転し、
スイッチSW2がOFFとされると共に
スイッチSW1がONの状態とされる。これにより、外部出力端子40には、所定電圧出力部10の出力電圧VBGRが出力されるようになる(
図8)。これによって、外部出力端子40から出力される外部出力電圧はオーバーシュートすることなく、所定電圧へ移行する。
【0023】
上記オフセットコンパレータの具体的な実施形態の構成図を、
図9に示す。このオフセットコンパレータは、(PMOS)トランジスタPM1、PM2及び(NMOS)トランジスタNM3、NM4、NM2により構成される差動増幅回路と、この差動増幅回路の出力信号を受けるバッファ回路であるトランジスタPM3と、このバッファ回路の出力信号を増幅するトランジスタPM4、NM6により構成される一段目のインバータ回路と、この一段目のインバータ回路の出力信号を更に増幅するトランジスタPM5、NM7により構成される二段目のインバータ回路とを有する。
【0024】
このオフセットコンパレータには、バイアス制御手段として、定電流源IS1と、この定電流源IS1とグランドの間に接続されたトランジスタNM1を備えている。また、オフセットコンパレータは、バイアス制御手段に設けられているトランジスタNM1のカレントミラーであるトランジスタNM2、NM5が設けられている。トランジスタNM2がPM1、PM2、NM3、NM4による差動増幅回路の駆動電流を決定し、トランジスタNM5がトランジスタPM3によるバッファ回路の駆動電流を決定する。
【0025】
このオフセットコンパレータにおいて、上記差動増幅回路の2入力端子INP、INMにそれぞれ接続されているペアのトランジスタNM3、NM4と、上記差動増幅回路内において上記ペアのトランジスタNM3、NM4にそれぞれ接続されている第2のペアのトランジスタPM1、PM2との少なくとも一方のペアにおいてトランジスタの素子サイズが異なっている。
【0026】
通常のコンパレータにおいては、トランジスタPM1、PM2、NM3、NM4によって構成される差動増幅回路におけるトランジスタの素子サイズは、[PM1=PM2]、[NM3=NM4]とするのが一般的である。即ち、この部分のつり合いをとることによって、コンパレータの出力が、入力端子の信号がINP=INMのときに反転するように、コンパレータの閾値を設定する。
【0027】
一方、本発明のオフセットコンパレータにおける回路構成は、
図9に示すように、一般的なコンパレータと同様である。ただし、前述の通り、トランジスタPM1、PM2、NM3、NM4によって構成される差動増幅回路におけるトランジスタの素子サイズは、[PM1≠PM2]または[NM3≠NM4]もしくはその両方とする。これによって、コンパレータの閾値を、入力端子の信号がINP≠INMのときに反転するように設定し、目標電圧よりやや低い電圧で出力OUTPが遷移するように構成する。このように意図的に閾値にオフセットを与えたコンパレータを、本ソフトスタート回路に適用することにより、回路規模の増大、システム変更、更に雑音耐性の劣化などを発生させることなく、簡潔にソフトスタート機能の実現とオーバーシュート発生の回避を行うものである。
【0028】
本発明に係るソフトスタート回路は、各種の電源回路に適用することが可能である。即ち、出力電圧と基準電圧との比較を行い、比較結果に基づいて出力電圧を制御する電源回路に適用することができる。
【0029】
まず、第1には、
図10に示す如くの同期整流型降圧DCDCコンバータに適用可能である。このコンバータは、誤差増幅器Error AMPの出力と内部発振器OSCの出力信号とをコンパレータCompにおいて比較する。この比較結果を用いて制御回路(Control Logic)は固定のON時間に対応する時間信号を作成するパルス幅変調を行う。制御回路(Control Logic)の出力信号をバッファBufferで増幅してハイサイドスイッチS1とローサイドスイッチS2をON/OFFする。このON/OFF時間を出力電圧VOUTと内部基準電圧VREFとの差電圧に応じて制御することで、目標となる電圧を得るものである。内部基準電圧VREFを生成する回路として本発明に係るソフトスタート回路100を用いることができる。
【0030】
第2には、
図11に示す非同期整流型降圧DCDCコンバータに適用可能である。この構成の非同期整流型降圧DCDCコンバータは、
図10に示した同期整流型降圧DCDCコンバータと同様の機能を実現するが、ローサイドスイッチS2の代わりにダイオードを利用することで、その制御を容易にする構成を採用したものである。
【0031】
上記
図10に示す如くの同期整流型降圧DCDCコンバータと
図11に示す非同期整流型降圧DCDCコンバータは、帰還信号にリップルを与えることによって誤差増幅回路や発振器を用いないリップル制御コンバータとして構成することも可能である。
【0032】
第3には、
図12に示すシリーズレギュレータに適用可能である。このシリーズレギュレータは、出力電圧VOUTを抵抗R1、R2により分割した電圧と基準電圧VREFとを誤差増幅器AMPにより比較し、誤差に応じた電圧をトランジスタPM1のゲートに与えることによって目標の電圧を出力するものである。内部基準電圧VREFを生成する回路として本発明に係るソフトスタート回路100を用いることができる。
【0033】
第4には、
図13に示す同期整流型昇圧DCDCコンバータに適用可能である。このコンバータは、電源電圧についてコイルLを介して出力端子へ導く経路にスイッチSW1を設け、また、上記コイルLとスイッチSW1とのラインにスイッチSW2の一端を接続し、このスイッチSW2の他端を接地させたものである。上記スイッチSW1、SW2をバッファBufferの出力によりON/OFFする。他の構成は、
図10に示したコンバータと同一である。このような構成を有する本コンバータでは、帰還電圧に応じてスイッチSW1、SW2のON/OFF比を生成しており、この比に基づきスイッチSW1とスイッチSW2を交互にON/OFFして電源電圧より高い所望の電圧出力を得る回路である。内部基準電圧VREFを生成する回路として本発明に係るソフトスタート回路100を用いることができる。
【0034】
第5には、
図14に示す非同期整流型昇圧DCDCコンバータに適用可能である。このコンバータは、
図13のコンバータにおけるスイッチSW1に代えてダイオードDを設けたもので、
図13に示した同期整流型昇圧DCDCコンバータと同様の機能を実現するが、その制御を容易にする構成を採用したものである。
【0035】
以上説明した電源回路は、本発明に係るソフトスタート回路100によって内部基準電圧VREFを生成し、この内部基準電圧VREFと帰還電圧とを比較して内部基準電圧VREFの緩やかな立ち上りに応じた始動時の出力特性を有する。従って、本発明に係るソフトスタート回路を備える電源回路においては、その具体的な内部構成や制御方式については特に限定されるものではなく、様々なもの用いることができる。
【0036】
このように様々な電源回路に本発明に係るソフトスタート回路が搭載されているが、基準電圧を緩やかに立ち上げるソフトスタートを実現する場合、本発明に係るソフトスタート回路による効果を得ることができる。即ち、回路規模の増大、システム変更、更に雑音耐性の劣化などを発生させることなく、簡潔にソフトスタート機能の実現とオーバーシュート発生の回避を行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0037】
10 所定電圧出力部
20 漸次高圧出力部
30 オフセットコンパレータ
40 外部出力端子
100 ソフトスタート回路