(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
表示装置において、それぞれが複数種の識別図柄を含む複数の識別図柄群が変動表示された上で、各識別図柄群から選択されて停止した識別図柄の組み合わせにより当否判定結果を報知する遊技機であって、
前記表示装置に表示される前記識別図柄を用いて演出を実行することが可能な演出実行手段を備え、
前記演出実行手段は、前記複数の識別図柄群の一つである第一識別図柄群に含まれる複数種の識別図柄のいずれかである第一対象識別図柄を前記表示装置に表示した上で、当該第一対象識別図柄を構成する一部分を模した第一演出図柄を前記表示装置に表示し、かつ、前記複数の識別図柄群の一つであって前記第一識別図柄群とは異なる第二識別図柄群に含まれる複数種の識別図柄のいずれかである第二対象識別図柄を前記表示装置に表示した上で、当該第二対象識別図柄を構成する一部分を模した第二演出図柄を前記表示装置に表示して、当該第一演出図柄および当該第二演出図柄を利用した特定演出が実行可能であり、
前記第一演出図柄が表示されたタイミングにおいて前記第一対象識別図柄は少なくとも当該第一対象識別図柄を構成する一部の要素が当該第一演出図柄と別々に前記表示装置に表示され、かつ、前記第二演出図柄が表示されたタイミングにおいて前記第二対象識別図柄は少なくとも当該第二対象識別図柄を構成する一部の要素が当該第二演出図柄と別々に前記表示装置に表示され、
前記第一演出図柄と前記第二演出図柄の組み合わせにより、前記当否判定結果が当たりとなる蓋然性が示唆されることを特徴とする遊技機。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態にかかる遊技機1について図面を参照して詳細に説明する。まず、
図1を参照して遊技機1の全体構成について簡単に説明する。遊技機1は遊技盤90を備える。遊技盤90は、ほぼ正方形の合板により成形されており、発射装置の操作によって発射された遊技球を遊技領域902に案内する金属製の薄板からなる帯状のガイドレール903が略円弧形状となるように設けられている。
【0010】
遊技領域902には、第一始動入賞口904、第二始動入賞口905、大入賞口906、アウト口907などが設けられている。遊技盤90に形成された開口901を通じて表示画面が視認可能である表示装置10は、例えば液晶表示装置が用いられる。本実施形態では、表示装置10を用いて当否判定結果の報知や、種々の演出が実行される。当該演出の一つとして、詳細を後述する「図柄移動演出」(本発明における特定演出に相当する)が実行される。
【0011】
また、遊技領域902には、流下する遊技球が衝突することにより遊技球の流下態様に変化を与える障害物としての遊技釘が複数設けられている。遊技領域902を流下する遊技球は、遊技釘に衝突したときの条件に応じて様々な態様に変化する。
【0012】
このような遊技機1では、図示されない発射装置を操作することにより遊技領域902に向けて遊技球を発射する。遊技領域902を流下する遊技球が、始動入賞口904、905や大入賞口906等の入賞口に入賞すると、所定の数の賞球が払出装置により払い出される。遊技球が始動入賞口904、905に入賞したことを契機として、大当たりとなるか否かの抽選がなされる(当該抽選を行う手段が本発明における当否判定手段に相当する)。大当たりとなると、上記大入賞口906が頻繁に開放し、遊技者は多くの遊技球を獲得することができる。その他、以下で説明する「図柄移動演出」以外の構成は、どのようなものであってもよい(公知の遊技機と同様のものが適用できる)ため、説明は省略する。なお、本実施形態にかかる遊技機1は、いわゆるぱちんこ遊技機であるが、表示装置を備えたスロットマシン等の他の種類の遊技機に以下で説明する具体的な構成を適用することも可能である。
【0013】
以下、表示装置10を用いて実行される図柄移動演出について説明する。なお、以下で説明する図柄移動演出を実行することが可能なものであれば、その演出を制御するものの構造(演出(表示装置10)を制御する基板の構造や種類等)や、演出の決定(抽選)方法等はどのようなものであってもよいため、かかる点についての説明は省略する。
【0014】
当否判定手段による当否判定結果(遊技者に有利な遊技を実行するか否か)は、識別図柄20の組み合わせによって報知される(当否判定結果に合わせて識別図柄20の組み合わせを決定し、表示装置10に表示する手段が本発明における報知手段に相当する)。
図2に示すように、本実施形態における識別図柄20は、主図柄部21と、それに付随して変動する補助図柄部22を含む。本実施形態における主図柄部21は、「1」〜「5」の数字を表した部分である(装飾の態様等はどのようなものであってもよい)。
【0015】
一方、補助図柄部22は、主図柄部21に付随する部分である。ここで、「付随」とは、通常状態(特殊な演出が実行されない状態)において主図柄部21とともに変動する、という意味である。本実施形態では、各識別図柄20に対応するキャラクタ図柄が付随図柄として設定されている。具体的には、「1」の識別図柄20に対してキャラクタ図柄Aが、「2」の識別図柄20に対してキャラクタ図柄Bが、「3」の識別図柄20に対してキャラクタ図柄Cが、「4」の識別図柄20に対してキャラクタ図柄Dが、「5」の識別図柄20に対してキャラクタ図柄Eが対応づけられている。
【0016】
本実施形態では、このような複数種の識別図柄20を含む識別図柄群20uは三つ設定されており、当否判定結果が報知される際に変動(スクロール)表示される(いわゆる「3リール」の遊技機である)。以下、表示装置10の表示領域における左側で変動する識別図柄群20uを左識別図柄群、中央で変動する識別図柄群20uを中識別図柄群、右側で変動する識別図柄群20uを右識別図柄群とする。なお、一つの識別図柄群20uが含む識別図柄20の種類の数は適宜変更可能である。最終的に停止した識別図柄20組(各識別図柄群20uから一つずつ選択されて停止した三つの識別図柄20)が所定の組み合わせとなったとき(例えば同じ識別図柄20の三つ揃い)には大当たりとなり、それ以外の場合にははずれとなる。遊技者は、基本的には主図柄部21(本実施形態では数字の図柄)の組み合わせにより、当否判定結果を判断することとなる。
【0017】
このような識別図柄20を用いた図柄移動演出の具体例について説明する。図柄移動演出は、複数(本実施形態では三つ)の識別図柄群20uのうちの少なくとも一つの識別図柄群20uから選択された少なくとも一つの識別図柄20(以下、当該選択された識別図柄20を選択図柄20sと称することもある)に関連付けた演出である。なお、選択図柄20sとなる識別図柄20の選択態様(手法)はどのようなものであってもよい。図柄移動演出を実行することが決定される度に、複数の識別図柄20のうちから抽選により決定される態様としてもよいし、遊技者が好きな図柄(補助図柄部22のキャラクタ)を特定の図柄として選択することが可能な構成とした上で、図柄移動演出を実行することが決定された際には、当該特定の図柄となった識別図柄20が、選択図柄20sとして必ず選ばれるような態様としてもよい。つまり、内部的な抽選によって決まる態様であってもよいし、遊技者の選択等によって決まる態様であってもよい。
【0018】
ある当否判定結果を報知するに際し、図柄移動演出を実行することが決定されたとする。本実施形態にかかる遊技機1は、現在報知されている当否判定結果を除き、最大四つの当否判定結果を保留しておくこと(以下、当該保留された当否判定結果を単に保留30と称することもある)ができるものである。当該保留30(保留30の数)は、表示装置10に表示される。かかる表示態様はどのようなものであってもよい。
【0019】
例えば、
図3(a)に示すように、現在報知されている当否判定結果より三つ後の保留30(先読み対象保留30a)に対応する当否判定結果が、その前の一または複数の保留30を利用したいわゆる先読み演出の一つとしての図柄移動演出を経て報知されることが決定されたとする。その場合、変動する識別図柄群20uのうちの少なくとも一つから、図柄移動演出に利用される選択図柄20sが選択される。
図3(b)に示すように、例えば、右識別図柄群に含まれる主図柄部21「5」の識別図柄20が選択図柄20sとして選択されたとする。
【0020】
各識別図柄群20uが変動している際、選択図柄20sとして選択された主図柄部21「5」の識別図柄20を構成する補助図柄部22のキャラクタ「E」が、当該識別図柄20から抜け出て移動するような表示がなされる(当該抜け出た図柄を演出図柄22pと称することもある)(
図3(c)参照)。当該演出図柄22pの態様は、抜け出る前の補助図柄部22の態様(キャラクタの態様)を模したものであればよい。ここでいう「模した」とは、遊技者から見て、補助図柄部22を構成するキャラクタ等が抜け出したのであるということを認識できる程度に類似したもののことをいう。当該演出図柄22pは、表示装置10の表示領域における中央に近い位置に表示される。つまり、演出図柄22pの基となった識別図柄20が含まれる識別図柄群20uが変動する位置(本例では表示装置10の表示領域における右側)とは異なる位置に表示される。このような異なる位置に表示することによって、上記「抜け出た」印象をさらに高めることができる。なお、演出図柄22pは最も前に表示される。つまり、演出図柄22pに対し、変動または停止(仮停止)する各識別図柄20が重なる場合には、演出図柄22pの後方に当該識別図柄20が位置するように見える表示態様とする。
【0021】
ここで、演出図柄22pの基となった識別図柄20、すなわち選択図柄20sは、代替図柄20aに変化する。当該代替図柄20aへの変化は、演出図柄22pがある識別図柄20から抜け出たものであるという印象を高めるために実行されるものである。本実施形態では、識別図柄20の一部である補助図柄部22が抜け出て演出図柄22pとなる、という態様を構築するものであるため、選択図柄20sにおける補助図柄部22の態様が変化したものが代替図柄20aとなる。つまり、選択図柄20sにおける主図柄部21の態様は変化せず、補助図柄部22が変化したものを代替図柄20aとする。このようにすることで、選択図柄20sのうちの補助図柄部22を構成するキャラクタが抜け出たのであるという印象を高めることが可能である。ただし、主図柄部21を含む選択図柄20sの全体が代替図柄20aに変化するという構成にしてもよい。識別図柄20(選択図柄20s)の一部が「抜け出た」という印象を高めたいのであれば、本例のように演出図柄22pとなった部分に相当する部分のみ、代替図柄20aとして設定するとよい。
【0022】
代替図柄20aは、演出図柄22pが抜け出て移動する前の識別図柄20(選択図柄20s)と異なる態様のものであればどのようなものであってもよいが、代替図柄20aを識別図柄20の一つとしても機能させるため、例えば次のような態様にするとよい。本実施形態における代替図柄20aは、演出図柄22pにおける代替図柄20aに相当する部分、すなわち補助図柄部22の色調を変化させたものである。具体的には、補助図柄部22の全体の色調を他の識別図柄20に比して暗いものとする(黒みがかった色彩とする)ことにより、演出図柄22pが抜け出て移動したのであるという印象を高める。色調の変化だけでなく、別の態様の変化を加えてもよい。例えば、変動中は、他の識別図柄20の補助図柄部22(キャラクタ)は動いているが、代替図柄20aの補助図柄部22(キャラクタ)は停止した状態にある、というように設定してもよい。つまり、本実施形態における代替図柄20aは、変化前の識別図柄20(選択図柄20s)から少なくとも色調を変化させたものであるということができる。代替図柄20aの態様によって、大当たりとなる蓋然性(いわゆる大当たり期待度)が変化する構成としてもよい。この場合、代替図柄20aの態様は、演出を通じて変化することがある(いわゆるステップアップ等が発生することがある)構成としてもよい。
【0023】
演出図柄22pは、そのまま表示され続け、当該演出図柄22pを利用した図柄移動演出が実行される。代替図柄20aは、選択図柄20sが含まれていた識別図柄群20uの一部として変動する。つまり、本例では、右識別図柄群を構成する一部の図柄として変動表示される(
図3(d)(e)等参照)。演出図柄22pが表示されてから、二つの保留30に対応する当否判定結果が報知されている際も、演出図柄22pは表示され続けるし、代替図柄20aも所定の識別図柄群20uの一部として表示され続ける。つまり、変動する識別図柄群20uが所定の識別図柄20の組み合わせで停止し、その後再び変動を開始するときにも、演出図柄22pは表示され続けるし、代替図柄20aも所定の識別図柄群20uの一部として表示され続ける(
図3(d)(e)、
図4(a)〜(d)参照)。これを見た遊技者は、ある当否判定結果を報知するに際し、それよりも前の当否判定結果を利用して大当たりとなる期待を高める、いわゆる先読み演出が実行されているということを理解することが可能となる。
【0024】
なお、本例は、当該先読み演出に適用したものであるが、いわゆる擬似連続演出にも適用することができる。擬似連続演出は、一の当否判定結果を報知するに際し、変動する識別図柄群20uが所定の識別図柄20の組み合わせで擬似停止(以下、仮停止ということもある)し、再び変動することを一または複数回繰り返すことによって大当たりとなる可能性を示唆する演出である。つまり、演出図柄22pが表示された後、変動する識別図柄群20uが所定の識別図柄20の組み合わせで仮停止し、その後再び変動を開始するときにも、演出図柄22pは表示され続けるし、代替図柄20aも所定の識別図柄群20uの一部として表示され続ける。これを見た遊技者は、いわゆる擬似連続演出が実行されているということを理解することが可能となる。
【0025】
なお、上記先読み演出や擬似連続演出の上述した点以外の具体的な構成は、どのようなものであってもよいため説明を省略する。例えば、演出が継続していることを示す識別図柄20の組み合わせの停止形、仮停止形を設定する場合には、当該停止形、仮停止形はどのようなものであってもよい。また、上記先読み演出や擬似連続演出以外の演出であって、識別図柄20が一または複数回停止または仮停止するような演出(例えば、識別図柄20がはずれを示す組み合わせで停止したようにみせかけて、再変動し、大当たりの組み合わせに変化する演出)にも適用することができる。
【0026】
図柄移動演出は、演出図柄22pを利用した演出を含む。当該演出は、演出図柄22pを利用したものであればその具体的な態様はどのようなものであってもよい。本例では、演出図柄22pであるキャラクタが大当たりとなる可能性を示唆する文字演出を実行する。例えば、演出図柄22pであるキャラクタが「チャンス」「激熱」といった言葉を発したような映像を表示する。つまり、演出図柄22pが、識別図柄20とは異なる他の図柄40(本例では「チャンス」「激熱」といった文字およびその周囲に表示される装飾)と関連付けられた演出が実行される(
図4(e)参照)。「チャンス」「激熱」といった言葉(文字)のうち、どの言葉が表示されるかは、当否判定結果に基づく内部的な抽選によって決定される。つまり、予め設定された複数の示唆要素のうちから、実際の当否判定結果に基づき抽選によって決定されるため、当該示唆要素によって遊技者は当否判定結果が大当たりとなる蓋然性がどの程度あるのかを感じることが可能である。
【0027】
なお、演出図柄22pを利用した演出(本例でいう文字演出)は、演出図柄22pが表示されたときに必ず発生するように設定されていてもよいし、発生することもあれば、発生しないこともあるように(発生させるか否かを抽選によって決定する構成)としてもよい。
【0028】
本例では、演出図柄22pを利用した文字演出が実行された後、演出図柄22pが代替図柄20aと置き換わったような表示がなされる。つまり、抜け出た演出図柄22pが元の位置に戻ることによって、代替図柄20aが元の識別図柄20(選択図柄20s)に戻ったかのような表示がなされる(
図5(a)参照)。
【0029】
このような演出が実行された後、識別図柄20が三つ揃いになるかもしれないという状態(いわゆるリーチ状態)を経て(
図5(b)参照)、当否判定結果が報知される(
図5(c)参照)。
【0030】
図柄移動演出においては、演出図柄22pが表示された後、当該演出図柄22pが所定のパターンで動作するようにするとよい。本例では、補助図柄部22であるキャラクタが演出図柄22pとなった後、上記文字演出が実行されている期間やその他の期間を除き、左右に揺動するように動作し続ける(
図3(d)(e)、
図4(a)〜(d)参照)。このような構成とすることにより、演出の趣向性を高めることが可能である。また、演出図柄22pの動作によって当該演出図柄22pの表示が強調されるため、遊技者は演出図柄22pが表示され続けていることを容易に把握することが可能である。換言すれば、遊技者は、図柄移動演出が継続しているのか、終了したのかを容易に把握することが可能である。
【0031】
本例にかかる演出は
図6に示すようなフロー(図柄移動演出処理)に基づき制御される(かかる処理を実行する手段(基板)はどのようなものであってもよい)。まず、始動入賞口904、905に遊技球が入賞したことを契機として取得された乱数が図柄移動演出を実行すべき乱数(移動演出乱数)であるかどうかが判断される(S1)。移動演出乱数でない場合(S1「No」)には、本処理を終了する。移動演出乱数である場合(S1「Yes」)には、所定のタイミングに到達したかどうかが判断される(S2)。所定のタイミングに到達したと判断されたとき(S2「Yes」)には、選択図柄20s(ある識別図柄20)の一部である補助図柄部22を演出図柄22pとして表示させるとともに、選択図柄20sを代替図柄20aに変化させる(S3)。つまり、S2は、選択図柄20sを演出図柄22pに変化させるべきタイミングに到達したかどうかを判断するステップであり、当該タイミングは適宜設定することが可能である。演出開始(先読み演出開始)から所定時間経過した時点、といったように、所定のタイミングが予め設定された構成としてもよいし、所定のタイミングを抽選により決定してもよい。抽選により行う場合には、当否判定結果に基づき当該抽選が実行されるようにするとよい。これにより、演出図柄22pが表示されるタイミングによって大当たりとなる期待度を示唆することができ、演出の趣向性を高めることが可能となる。
【0032】
その後、演出図柄22pを利用した演出(文字演出)を実行するタイミングに到達したかどうかが判断される(S4)。当該タイミングに到達しない限り(S4「No」)、演出図柄22pおよび代替図柄20aは表示され続ける(S5)。当該タイミングに到達したと判断されたとき(S4「Yes」)には、上述したような演出図柄22pを利用した文字演出が実行される(S6)。なお、文字演出を実行するタイミングは適宜設定することが可能である。先読み演出の最後の保留30(先読み演出を経て当否判定結果が報知される保留30a)に対応する識別図柄20が変動開始してから所定時間経過した時点、といったように、所定のタイミングが予め設定された構成としてもよいし、所定のタイミングを抽選により決定してもよい。抽選により行う場合には、当否判定結果に基づき当該抽選が実行されるようにするとよい。これにより、文字演出が実行されるタイミングによって大当たりとなる期待度を示唆することができ、演出の趣向性を高めることが可能となる。
【0033】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0034】
上記図柄移動演出の具体例では、一の識別図柄群20u(右識別図柄群)に含まれる複数の識別図柄20うちの一つが選択図柄20sとして選択され、当該選択図柄20sの少なくとも一部が抜け出て移動するような表示がなされ、当該部分が演出図柄22pとなることを説明したが、ある識別図柄群20uに含まれる複数の識別図柄20のうちの一つが選択図柄20sとして選択されるだけでなく、それとは別の識別図柄群20uに含まれる識別図柄20のうちの一つが選択図柄20sとして選択され、二以上の演出図柄22pが表示されことがあってもよい。例えば、左識別図柄群、中識別図柄群、右識別図柄群のそれぞれから選択図柄20sが選択され、三つの演出図柄22pが表示されることがあってもよい。また、一の識別図柄群20uに含まれる複数の識別図柄20のうちの二以上の識別図柄20が選択図柄20sとして選択され、二以上の演出図柄22pが表示されることがあってもよい。つまり、一または複数の識別図柄群20uを構成する識別図柄20(全ての識別図柄20)から、二以上の識別図柄20が選択図柄20sとして選択された上で、二以上の演出図柄22pが表示されることがあってもよい。この場合、演出図柄22pの数によって、大当たりとなる蓋然性(いわゆる大当たり信頼度)が変化するようにするとよい。また、二以上の演出図柄22pが表示される場合には、その演出図柄22pの組み合わせによって大当たりとなる蓋然性(いわゆる大当たり信頼度)が変化するようにしてもよい。
【0035】
また、上記図柄移動演出の具体例では、識別図柄20(選択図柄20s)の一部である補助図柄部22が抜け出て移動し、当該補助図柄部22を模した演出図柄22pが表示されることを説明したが、識別図柄20の少なくとも一部であれば、演出図柄22pに変化するように表示される部分はどの部分であってもよい。例えば、識別図柄20の全体であってもよいし、識別図柄20のうちの主図柄部21を構成する部分であってもよい。上記具体例に即して言えば、主図柄部21である数字の部分が抜け出して移動し、演出図柄22pとなるような態様としてもよい。また、複数の識別図柄20のうち、ある識別図柄20は主図柄部21が演出図柄22pに変化するように表示され、それとは別の識別図柄20は補助図柄部22が演出図柄22pに変化するように表示される構成であってもよい。また、主図柄部21の一部が演出図柄22pに変化するように表示される構成であってもよいし、補助図柄部22の一部が演出図柄22pに変化するように表示される構成であってもよい。
【0036】
代替図柄20aは、演出図柄22pに変化するように抜け出た部分に応じて設定される。例えば、識別図柄20における主図柄部21の全体が演出図柄22pに変化するような構成とするのであれば、主図柄部21が抜け出て演出図柄22pとなった後、当該主図柄部21の全体を少なくとも含む部分が代替図柄20aに置き換えられる。
【0037】
ただし、上記図柄移動演出の具体例のように、識別図柄20(選択図柄20s)の一部である補助図柄部22が抜け出て移動し、当該補助図柄部22を模した演出図柄22pが表示される態様とすれば、識別図柄20のうち、遊技者が当否判定結果を判別可能とする部分である主図柄部21がそのまま残る(演出図柄22pが表示される前後において主図柄部21の態様は変化しない)ため、図柄移動演出が実行されることによって当否判定結果が分かりにくくなるのを抑制することが可能である。
【0038】
また、上記具体例では、識別図柄20が主図柄部21と補助図柄部22を含むものであることを説明したが、識別図柄20が主図柄部21のみを含むものであってもよい。この場合、その識別図柄20(主図柄部21)の態様はどのようなものであってもよい(キャラクタを表した図柄を主図柄部21としてもよいし、数字を表した図柄を主図柄部21としてもよい)。
【0039】
上記実施形態では、それぞれが複数種の識別図柄20を含む三つの識別図柄群20uが設定されていることを説明したが、それぞれの識別図柄群20uが含む識別図柄20の種類の数は適宜変更可能である。また、各識別図柄群20uの具体的な構成が異なっていてもよい。
【0040】
さらに、設定される識別図柄群20uの数は、三つに限られない(いわゆる「3リール」に限られない)。例えば、一の識別図柄群20uのみが設定された遊技機(いわゆる「1リール」の遊技機)においても、同様の技術思想が適用可能である。具体的には、一の識別図柄群20uが複数種の識別図柄20を含み、各識別図柄20の主図柄部21が当たりを示す「当」またははずれを示す「外」を表示するものとする(
図7参照)。当否判定結果が大当たりの場合には「当」の主図柄部21を有する識別図柄20が停止し、はずれの場合には「外」の主図柄部21を有する識別図柄20が停止する(
図8(f)参照)。
【0041】
図柄移動演出が実行される際には、一の識別図柄群20uに含まれる少なくともいずれかの識別図柄20の少なくとも一部(
図8に示した構成では補助図柄部22)が演出図柄22pとして表示され(
図8(a)〜(d)参照)、当該演出図柄22pを用いた演出(上述した文字演出等)が実行される(
図8(e)参照)。
【0042】
上記実施形態から得られる具体的手段(遊技機)を以下に列挙する。
手段1の発明にかかる遊技機は、所定条件の成立を契機として当否判定を実行する当否判定手段と、表示装置にそれぞれが複数種の識別図柄を含む複数の識別図柄群を変動させた後、いずれかの識別図柄で停止させて複数の識別図柄から構成される識別図柄の組み合わせを表示することで前記当否判定手段による当否判定結果を報知する報知手段と、を備え、前記複数種の識別図柄のうちの少なくとも一つの識別図柄を選択し、当該選択した識別図柄を構成する少なくとも一部分を模した演出図柄を、前記表示装置における当該選択した識別図柄が含まれる識別図柄群が変動する位置とは異なる位置に表示し、当該演出図柄を利用した特定演出が実行可能であることを特徴とする。
手段2の発明にかかる遊技機は、所定条件の成立を契機として当否判定を実行する当否判定手段と、表示装置に複数種の識別図柄を含む一の識別図柄群を変動させた後、いずれかの識別図柄で停止させて一の識別図柄を表示することで前記当否判定手段による当否判定結果を報知する報知手段と、を備え、前記複数種の識別図柄のうちの少なくとも一つの識別図柄を選択し、当該選択した識別図柄を構成する少なくとも一部分を模した演出図柄を、前記表示装置における当該選択した識別図柄が含まれる識別図柄群が変動する位置とは異なる位置に表示し、当該演出図柄を利用した特定演出が実行可能であることを特徴とする。
手段3にかかる遊技機は、手段1の遊技機において、前記演出図柄が表示された後、当該演出図柄が模した対象となった前記識別図柄を、それとは異なる態様である代替図柄に変化させることを特徴とする。
手段4にかかる遊技機は、手段3の遊技機において、前記代替図柄は、変化前の前記識別図柄から少なくとも色調を変化させたものであることを特徴とする。
手段5にかかる遊技機は、手段3または手段4の遊技機において、前記特定演出が開始されてから終了するまでに前記一の識別図柄または前記識別図柄の組み合わせが一または複数回停止または仮停止する場合であっても、前記代替図柄が維持され、当該代替図柄が他の種類の識別図柄とともに変動することを特徴とする。
手段6にかかる遊技機は、手段1から手段5のいずれかの遊技機において、前記識別図柄は、前記当否判定結果を判別可能とする主図柄部とそれに付随する補助図柄部を含み、前記特定演出において表示される前記演出図柄は、前記主図柄部および/または前記補助図柄部の少なくとも一部を模したものであることを特徴とする。
手段7にかかる遊技機は、手段6の遊技機において、前記特定演出において表示される前記演出図柄は、前記補助図柄部を模したものであることを特徴とする。
手段8にかかる遊技機は、手段1から手段7のいずれかの遊技機において、前記特定演出は、前記演出図柄が前記表示装置に表示される前記識別図柄とは異なる他の図柄と関連付けられた演出を含むことを特徴とする。
手段9にかかる遊技機は、手段1から手段8のいずれかの遊技機において、前記演出図柄は所定のパターンで動作するものであることを特徴とする。
手段1および手段2にかかる遊技機は、識別図柄を構成する少なくとも一部分を模した演出図柄を利用した特定演出が実行可能である。つまり、当否判定結果を報知するための識別図柄を生かして、遊技の趣向性を高めることが可能である。
手段3の遊技機のように、演出図柄が表示された後、当該演出図柄が模した対象となった識別図柄を、それとは異なる態様である代替図柄に変化させるようにすれば、演出図柄が識別図柄から抜け出たものであるという印象が高まる。つまり、特定演出の趣向性を高めることが可能である。
手段4の遊技機のように、変化前の識別図柄から少なくとも色調を変化させたものを代替図柄とすれば、演出図柄が識別図柄から抜け出たものであるという印象をさらに高めることが可能である。
手段5の遊技機のように、特定演出が開始されてから終了するまでに一の識別図柄または識別図柄の組み合わせが一または複数回停止または仮停止する場合であっても、代替図柄が維持され、当該代替図柄が他の種類の識別図柄とともに変動するようにすれば、識別図柄の組み合わせが停止または仮停止した後も特定演出が続いていることを分かりやすくすることが可能である。
手段6の遊技機のように、演出図柄を、主図柄部および/または補助図柄部の少なくとも一部を模したものとすることが可能である。
手段7の遊技機のように、演出図柄を、補助図柄部を模したものとすれば、特定演出が開始された場合であっても、主図柄部はそのまま識別図柄に残るため、特定演出が開始されたことによって当否判定結果が分かりにくくなるのを抑制することが可能である。
手段8の遊技機のように、特定演出が、演出図柄が他の図柄と関連付けられた演出を含むものとすれば、演出の趣向性をさらに高めることが可能である。
手段9の遊技機のように、演出図柄が所定のパターンで動作するものとすれば、演出の趣向性をさらに高めることが可能である。