特許第6205618号(P6205618)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6205618
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】放射線検出器および放射線検出方法
(51)【国際特許分類】
   G01T 1/24 20060101AFI20170925BHJP
【FI】
   G01T1/24
【請求項の数】12
【外国語出願】
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-129772(P2013-129772)
(22)【出願日】2013年6月20日
(65)【公開番号】特開2014-2155(P2014-2155A)
(43)【公開日】2014年1月9日
【審査請求日】2016年3月18日
(31)【優先権主張番号】13/527,970
(32)【優先日】2012年6月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517283422
【氏名又は名称】オックスフォード インストゥルメンツ テクノロジーズ オサケ ユキチュア
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】特許業務法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コスタモ パシ
【審査官】 藤本 加代子
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2010/0314706(US,A1)
【文献】 米国特許第06455858(US,B1)
【文献】 米国特許第07238949(US,B1)
【文献】 特開昭59−087869(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01T 1/00−1/16
G01T 1/167−7/12
H01L 29/06
H01L 31/00−31/02
H01L 31/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体部材と、
前記半導体部材の表面上に、順次増加する絶対値を有する電位を呈するように構成される多数の連続した電極ストリップと、
隣り合う電極ストリップ対のあいだの分離をフィールドプレートと、
前記フィールドプレートによって覆われている前記分離と隣り合っていない前記連続した電極ストリップの1つに、前記フィールドプレートを電気的に接続するホップオーバー接続と、
ギャップ部分以外の前記フィールドプレートと前記半導体部材の前記表面との間に配置されて、前記分離から前記フィールドプレートを絶縁している電気絶縁層
とを備える放射線検出器であって、前記フィールドプレートの前記ギャップ部分が前記分離と隣り合っていない前記電極ストリップの1つと前記ホップオーバー接続とのあいだの電気的接続を可能にするように構成され、前記フィールドプレートが、前記隣り合う電極ストリップ対のいずれの電位よりも絶対値で小さいバイアス電位を呈するように構成される放射線検出器。
【請求項2】
多数の連続したフィールドプレートであって、それぞれが、隣り合う電極ストリップの多数の連続的な対の1つの間の分離を覆うフィールドプレートと、
前記多数の連続したフィールドプレートのそれぞれへのホップオーバー接続であって、それぞれのホップオーバー接続が、それぞれのフィールドプレートを、分離を画定するそれらの電極ストリップのいずれよりもそれぞれの分離からさらに離間している前記連続した電極ストリップのそれぞれに接続するホップオーバー接続
とを備える放射線検出器であって、前記ホップオーバー接続のそれぞれが、前記電極ストリップの配列順に関して同じ方向である請求項記載の放射線検出器。
【請求項3】
前記ホップオーバー接続のそれぞれが、同じ数の、前記電極ストリップの配列順の中の中間の電極を越えて延びている請求項記載の放射線検出器。
【請求項4】
前記分離が少なくとも2つの分離分岐に分岐し、それらの間に前記電極ストリップのさらなる1つが位置しており、
前記フィールドプレートが分岐している分離に基づいて分岐し、これにより前記フィールドプレートの分岐がそれぞれの分離分岐を覆っている
請求項1記載の放射線検出器。
【請求項5】
前記電極ストリップが三日月形の形状であり、そして前記電極ストリップの前記さらなる1つが、前記隣り合う電極ストリップ対よりも短く、したがって、前記分離が、前記電極ストリップの前記さらなる1つの各端部で2つの分離分岐に分岐する請求項記載の放射線検出器。
【請求項6】
前記分離の少なくとも一点が局所的にドーピングされた領域を備え、そして
電気的な接続が、前記ドーピングされた領域と前記フィールドプレートとの間に存在する
請求項1記載の放射線検出器。
【請求項7】
前記フィールドプレートが、フィールドプレートの長手方向でギャップにより互いから分離されている2つのセクションを備え、
前記フィールドプレートが、2つのバイアス電位接続分岐を備え、各分岐が、共通のポイントから、前記ギャップに最も近接する前記フィールドプレートの対応するセクションの端部へと延びる
請求項1記載の放射線検出器。
【請求項8】
前記2つの分岐のあいだに残されている空間において、追加の、2つに分岐した、バイアス電位接続が存在し、入れ子状のVの配列を形成している
請求項記載の放射線検出器。
【請求項9】
放射線検出器が液滴の形状であるドリフト検出器であり、
前記電極ストリップの少なくともいくつかが、液滴の形状であるドリフト検出器のアノード領域を部分的に囲む三日月形の形状であるフィールド電極である
請求項1記載の放射線検出器。
【請求項10】
放射線検出器が円形のドリフト検出器であり、
前記電極ストリップの少なくともいくつかが、円形のドリフト検出器のアノード領域を囲む環状のフィールド電極である
請求項1記載の放射線検出器。
【請求項11】
電磁放射線を検出するための方法であって、
多数の連続的な電極ストリップ中の順次増加する絶対値を有する電位によって半導体部材内に誘起される電場を用いて、前記半導体部材内の検出ポイントに向かって、放射線誘起された電荷キャリアを誘導する工程、および
ィールドプレートの電位を用いて、前記電極ストリップのうちの隣接し合うストリップ対の間の分離中の、表面で形成される電荷キャリアを収集する工程であって、前記フィールドプレートは、前記分離を覆い、かつ、前記フィールドプレートのギャップ部分を除いて前記フィールドプレートと前記半導体部材の表面との間に配置されている電気絶縁層によって前記分離から絶縁されている工程
を含み、前記フィールドプレートの電位が、前記電極ストリップのうちの隣接し合う前記ストリップ対のいずれの電位よりも絶対値で小さく、かつ、前記フィールドプレートの電位は、前記分離と隣り合っていない前記連続的な電極ストリップの1つに、前記フィールドプレートを電気的に接続することによって得られ、前記接続が前記ギャップ部分により可能とされている方法。
【請求項12】
前記電極ストリップのうちの隣接し合うストリップの前記ストリップ対のいずれよりもフィールドプレートによって覆われている分離からさらに離間している、前記連続的な電極ストリップの1つから、それぞれのフィールドプレートへの電位を得る工程
を含む請求項11記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して、半導体装置の分野に関する。特には、本発明は、種々の電位である多数の電極を有する半導体放射線検出器において表面で形成される漏れ電流の生成および収集に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、電磁放射線、特にはX線を検出するために使用される半導体放射線検出器の例である、簡略化された、部分的に切り取られたシリコンドリフト検出器(SDD)を概略的に図示している。半導体部材であるバルク層101は放射線を受容および吸収し、それによって自由な電荷キャリアが発生する。バルク層101の一表面には、同心円状のP型埋め込みリングの配列が設けられており、そのうちのリング102が例として示されている。同心円状リングは、漸進的に増加する絶対値をもつ電位を有するように配列されており、そのため、SDDの中心における電位がゼロに近い場合、最外側のリングは例えば−150Vの電位を有し得る。リングの数は、図1においては非常に簡略化されており、実際の検出器では何十ものリングが存在し得る。
【0003】
バルク層の反対側の表面上のカソード層103とともに、同心円状リングは、放射線により誘起された電子をSDDの信号電荷の最小の位置エネルギーが配置される部分に導く、内部電場をバルク層内に形成する。中心または中心近傍に、放射線により誘起された電子を収集するためにアノードが位置している。図1のSDDは、一体化された電界効果トランジスタ(FET)を備え、その電極が埋め込み104、105および106として示されている。最内側の埋め込みリング、すなわち、FETに最も近接しているリングはアノードであり、そこからFETのゲートへの接続107が形成されている。アノードがSDDのまさに中心にあり、そして、外部FETが例えばSDDチップの適切な部分に別個のFETチップを結合させることによってアノードに連結されている代替の構造が公知である。
【0004】
SDDチップの中心または中心近傍にアノードおよびFETを有する円形のSDDは、計測される放射線の一部がFETに達し、これによりその動作が阻害され、そして、FETを形成している結晶性材料に放射線損傷を引き起こすかもしれないという固有の欠点をもつ。図1の構造と類似の構造において、FETはまた、多少の活性表面領域を保有しているであろう。別の手段として、SD3またはSDDD(シリコンドリフト検出器ドロップレット(Silicon Drift Detector Droplet))としても知られている、いわゆる液滴の形状である(droplet-formed)検出器も提案されてきた。図2は液滴の形状である検出器の表面を概略的に示しているが、ここでも構造要素の数および相対的な大きさは、図形的な明確性に有利なように意図的に変形されている。その段階的に増加する電位が電場を作り出す埋め込みリングは、非対称であり、したがって、それらのアーチ形の形状は一側において(図2における左側)相対的に幅広であり、もう一方の側(図2における右側)においては狭まり尖っている。この目的のために使用される最外側の埋め込みリングが201として示されている。
【0005】
アノード領域は通常202で示され、そして、それに外部のFETを結合するための(図2に示されているような)導電性パッチ、および/または、一体化された例えばFETなどの検出および増幅要素を少なくとも部分的に構成する埋め込みを備え得る。埋め込みリングの非対称な形状は、アノード領域202を検出器の活性領域の外側に移動させており、そのため図1の構造においてよりもはるかに放射線に暴露されにくくなり、そして、検出におけるいかなる不感帯をももたらさない。
【0006】
ドリフト検出器において起こりうる問題は、表面で形成される電荷キャリアとシグナル電荷との混同である。先行技術である、W.Chenらによる刊行物“Large Area Cylindrical Silicon Drift Detector”, IEEE Transactions on Nuclear Science, Vol. 39, no. 4, 1992 はこの問題について議論している。Chenは、検出チップの表面上の酸化物層における固定された正電荷の存在が、電極リング中の放射状に配向されるギャップである「リバー(river)」とともに表面で形成される電子を表面近傍に保持し、そして、それら電子を電子が専用の電極を通じて収集される検出器の中心に向かって導くかもしれないことを提案している。Chenによる解決法の欠点は、それが電極リング中のギャップの慎重な制御を必要とすることである。これはまた、いわゆる「酸化物電荷(oxide charge)」の量および寄与が、検出器をデザインする際の他の観点からは理想的ではないかもしれない特異的な方法で選択されなければならないことを意味している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明のある局面によれば、表面で形成される電荷キャリアが効率的に収集され得る半導体放射線検出器が提供される。本発明の別の局面によれば、表面で形成される電荷キャリアの収集は、製造および使用における信頼性という観点から頑強である単純な構造によって達成され得る。本発明のさらに別の局面によれば、表面で形成される電荷キャリアを収集するため、様々な形状の半導体放射線検出器に容易に適応され得る構造的な解決法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の有利な効果は、フィールドプレートがドリフト電極の間の分離の上方に使用される構造であって、フィールドプレートが、表面で形成される電荷キャリアを引き付けるためにその周辺から十分に異なる電位でバイアスされている構造によって実現される。例として、フィールドプレートは、フィールドプレートによって覆われている分離を画定する電極からははるかに離れている電極からのホップオーバー(hop-over)接続を介して電位を得てもよい。
【0009】
本発明の半導体装置は、半導体装置に関連する独立クレームにおいて列挙される特性によって特徴付けられる。
【0010】
本明細書中に提示される本発明の例示的な実施態様は、添付のクレームの適用性に限定をもたらすためのものと理解されるべきではない。動詞「備える(to comprise)」は、本明細書中で、列挙されていない特性の存在をもまた排除しない開放形式の限定として使用されている。従属クレームに列挙されている特性は、特に他に断りがない限り、相互に自由に組み合わせ可能である。
【0011】
本発明に特徴的であると考えられる新規の特性は、特には添付のクレームに示される。しかしながら、発明自体は、その構成およびその操作方法の両方に関して、それらの追加の目的および有利点とともに、以下の具体的な実施態様の記載から、添付の図面と関連付けて読まれる場合に最もよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】シリコンドリフト検出器を示す図である。
図2】液滴の形状であるシリコンドリフト検出器を示す図である。
図3】表面電流およびフィールドプレートの概念を示す図である。
図4】フィールドプレートをバイアスする可能性を示す図である。
図5】フィールドプレートへのホップオーバー接続を示す図である。
図6】方法を示す図である。
図7】ホップオーバー接続を有するフィールドプレートを示す図である。
図8】液滴の形状であるドリフト検出器中のホップオーバー接続を示す図である。
図9図8の構造の詳細を示す図である。
図10図9の構造の詳細を示す図である。
図11図9の構造の別の詳細を示す図である。
図12】液滴の形状であるドリフト検出器中の他の種類のホップオーバー接続を示す図である。
図13】ブリッジ接続上へ延伸しているフィールドプレートを示す図である。
図14】円形のドリフト検出器中のリバー構造の使用を示す図である。
図15】リバー構造を整列させる代わりの方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図3は、半導体放射線検出器、特にはドリフト検出器の一部分の概略的な横断面図である。半導体部材301は、n型アノード302ならびに多数の連続したp型ドリフト電極303、304、305、306および307を備える。連続的したドリフト電極の間のそれぞれの分離内の、半導体部材の表面上および/またはその表面近傍は、いわゆる表面電流、表面に関連した漏れ電流または表面で形成される電荷キャリアが生成される領域である。領域308が例として示されている。表面で形成される電荷キャリアの生成は、物理的に不可避な事実であり、避けることはできない;半導体放射線検出器のデザインを、表面で形成される電荷キャリアが放射線によって誘起される電荷キャリア(すなわち、いわゆるシグナル電荷)の生成および測定を可能な限り妨げないようなものにするのみである。
【0014】
いわゆるフィールドプレート309は、連続的なドリフト電極の間の分離と隣り合って配置され、そして、それらから電気絶縁層310によって電気的に絶縁される。それぞれのフィールドプレートに対する接続が存在しており、それを通じてそれぞれのフィールドプレートがバイアス電位を呈するように構成される。ドリフト電極の電位は異なっているので、フィールドプレートのバイアス電位BIAS 1、BIAS 2…も互いに相違するはずである。フィールドプレートの電位はまた、表面で形成される電荷キャリアを引き付けるという目的がそれぞれの分離内で効果的に達成されるよう、その周辺から十分に相違していなければならない。ドリフト検出器の基本的な作動原理がドリフト電極の電位をシグナル電荷と同じ符号(そして、結果的に表面で形成される電荷キャリアと同じ符号)であることを必要とするため、フィールドプレートの電位は特には、隣り合う電極ストリップのものに比べて絶対値で小さくなければならない。
【0015】
図4はフィールドプレートをバイアスする1つの可能な選択肢を図示している。図4の配置において、フィールドプレートを構成している導電性材料は、フィールドプレートと分離の内側上のドリフト電極との間の電気的接続を形成するために一方向に延びている。前記接続は、電気絶縁層310中に開口を配置することによって最も容易に達成される。例として、図4は、それを通じて、フィールドプレート309を形成するメタライゼーションがドリフト電極303と接する開口401を示している。導電性接続により、フィールドプレートは分離の内側上のドリフト電極と同じ電位を呈し、これは、表面で形成される電荷キャリアがシグナル電荷と混ざり合わないようにそれらを保持するために十分であるはずである。A.Bischoffらによる先行技術文献A“Breakdown protection and long-term stabilization for Si-detectors”, Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A326 (1993), pp. 27-37 は、いわゆる重複ゲート(overlapping gate)構造を提案しており、そのいくつかの特徴は、図4に図示されている構造に概略では類似している。
【0016】
フィールドプレート309によって覆われている分離の一面側を画定している内側のドリフト電極303と直接的なガルバニ接続にあるため、フィールドプレート309の電位は−10Vである。一般的に、ドリフト電極の電位の絶対は図4において4Vの間隔で増加すると考えられるので、フィールドプレートの電位は、分離を画定している隣り合うドリフト電極の電位よりも0から4Vより正である。電位における比較的小さな差異は、表面で形成される全ての電荷キャリア(ここでは、電子)をフィールドプレートの方向に引き付けるのには十分ではないかもしれず、したがって、そのうちのいくらかは下向きのルートを通じて漏れ出るかもしれず、そして、図4に図示される漏れ電流に寄与しているかもしれない。本発明の実施態様によれば、フィールドプレートは分離全体の上に顕著な大きさの電位のベースを提供するはずである。
【0017】
図5はいわゆるホップオーバー接続の動作原理を図示している。放射線検出器は、一般的に301で示されるような半導体部材を備える。アノード302が、図3および4と同様の様式で図5にも示されている。半導体部材の表面(ここでは、上面)上に、多数の連続した電極ストリップ303、304、305、306および307が存在する。それらは、一般的に電極ストリップの長手方向に直角に交わる方向(ここでは、左から右、または、右から左)に進み、順々に、1つがいくつかの電極ストリップと交差するという意味において連続的である。ドリフト検出器に関連する多くの適用において、電極ストリップは環状または弧を描く形状であり、したがって外側の電極ストリップは少なくとも部分的に、全ての内側の電極ストリップおよびアノード領域を囲む。このような場合、電極ストリップは内側から外側のものへと連続的である(逆の場合も同様である)。電極ストリップ303、304、305、306および307は、半導体部材301の適切にドーピングされた、ストリップの形状の領域として形成されてもよく、および/または、半導体部材301の表面上の金属性のまたはそうでなければ導電性のコーティングを備えていてもよい。
【0018】
電極ストリップ303、304、305、306および307は、順次増加していく絶対値を有する電位を呈するように構成される。多数の連続した電極ストリップにそのような電位を呈させるための実際的な方法は、以下により詳細に記述される。信号電荷が電子であるドリフト検出器において、電極ストリップは、内側から外側の電極ストリップへと向かう方向で増加する負の電位を呈するように構成される。簡略化された例である図5において、電極303、304、305、306および307の電位はそれぞれ、−10V、−14V、−18V、−22Vおよび−26Vである。
【0019】
隣り合う電極ストリップの対はそれらの間の分離を画定する。隣り合う電極ストリップ305および306の対の間の分離をここで具体的に考慮することができ、その表面領域が501として図示されている。フィールドプレート502は前記分離の大部分を覆い、そして、絶縁層によってその大部分から分離されており、ここで、その絶縁層は半導体部材301の表面上の本質的に連続的な電気絶縁層310の一部である。記述子「大部分(the most of)」を使うことによる例外は、以下により詳細に述べられるであろう。
【0020】
ホップオーバー接続503は、分離を画定している隣り合う電極ストリップ305および306のいずれの対よりも前記分離からはるかに離間している連続的な電極ストリップの1つに、フィールドプレート502を電気的に接続する。図5の例において、ホップオーバー接続503は、フィールドプレート502を左端の電極ストリップ303に電気的に接続する。電気的接続は、504として示される位置上の電気絶縁層310中の開口部を貫通しており、このためガルバニ接続がフィールドプレート502と電極ストリップ303との間に存在する。したがって、フィールドプレート502の電位は、ホップオーバー接続を介して接続されている電極ストリップのものと同じであり、ここでは、−10Vである。
【0021】
呼称「ホップオーバー接続」は、本明細書において、フィールドプレート502の電位が、隣り合う電極ストリップであってそれらの間がフィールドプレート502が覆っている分離である隣り合う電極ストリップのどちらにも由来しないという事実を強調するために使用される名称である。電位ははるかに離間した電極ストリップから「飛び越えて(hips over)」来る。ホップオーバー接続が、2つの電極ストリップ上にあり、そして電極ストリップ間の電位が絶対値で4Vづつ規則的に増加すると仮定すると、フィールドプレート502と隣り合う電極ストリップ305および306との間の電位差は、8から12Vのあいだである。これは、図4の構造におけるものより、はるかに大きな電位差であり、そして、その結果、領域501内での表面で形成される電荷キャリアの収集は、はるかにより効率的である。
【0022】
図5において、ホップオーバー接続503と電気絶縁層310との間に象徴的に図示されている空隙は、実際に必要なわけではない。それはここでは、ホップオーバー接続503が電極リング303と304との、または、304と305との間の分離を覆うであろう任意のフィールドプレートを構成しておらず、また、それらに接続されてもいないという事実を強調するためだけに示されている。
【0023】
したがって、図3に示されているようなフィールドプレートのバイアスは多くの方法で達成され得る。例えば、検出器の端部に沿って、または、検出機能を妨げないような他の部分に、バイアスコンタクトのチェーンを作製し、そして、それぞれのフィールドプレートと対応するバイアスコンタクトとの間の接続を引き出してもよい。しかしながら、おそらくどのみち電極ストリップには一連の適切は電位が存在するのであろうから、適切に選択された電極ストリップへの(ホップオーバー)接続を使用することは、簡略化および構造安定性などといった有利点を含む。
【0024】
図6は、本発明の実施態様による電磁放射線を検出するための方法を概略的に図示している。半導体部材を備えた検出器が、検出および測定される放射線に暴露される。放射線誘起された電荷を収集するための図示された工程は、多数の連続的な電極ストリップ中の順次増加する絶対値を有する電位によって半導体部材内に誘起される電場を用いて、半導体部材内の検出ポイントに向かって、放射線誘起された電荷キャリアを誘導する工程を含む。表面で形成される電荷を収集する工程は、前記電極ストリップの隣接し合うストリップ対の間の分離中の、表面で形成される電荷キャリアを収集することを含む。前記収集は、前記分離の少なくとも大部分を覆い、かつ、前記分離の少なくとも大部分から電気的に絶縁されているフィールドプレートの電位によって達成される。前記フィールドプレートの電位は、前記電極ストリップの隣り合う任意の前記対の電位に比べ絶対値においてより小さい。
【0025】
電場を設定するための準備工程は、例えば、所望の電位に第一および最後の電極ストリップを接続する工程、および、それらのあいだの電気的接続を介して中間の電極ストリップが電位を呈することを可能にする工程を含む。バイアス電位を設定するための図示されている準備工程は、例えば、それぞれのフィールドプレートへの電位を、隣り合う電極ストリップの前記対のいずれよりもフィールドプレートによって覆われている分離からさらに離間している、前記連続的な電極ストリップの1つから得ることを含む。
【0026】
図7は、その中の少なくともいくつかの電極ストリップが円形のドリフト検出器の中心にあるアノード領域701を囲んでいる環状のフィールド電極である、円形のドリフト検出器を概略的に図示している。全ての電極ストリップがドリフト電極である必要はないが、中心近傍には、1つまたはそれ以上の、アノード領域と関連付けられている電極ストリップが存在し、そして、縁部近傍には、半導体部材の縁部に向かって電位の絶対値を制御可能に低下させるガードリングとして作用する1つまたはそれ以上の電極ストリップが存在し得る。4つのフィールドプレート702、703、704および705が概略的に示されており、それぞれが隣り合う電極ストリップの対の間の分離の大部分を覆っている。フィールドプレートをその対応する分離から絶縁している電気絶縁層は、図7においては透明に提示されており、このため、電極ストリップが見えている。電極ストリップは、図7において、それらの横断線方向において誇張して狭く図示されているが、これは、そうでなければ隣り合う電極ストリップの間の分離を把握することが困難であろうためである。
【0027】
ホップオーバー接続は4つのフィールドプレート702、703、704および705のそれぞれに対し存在する。ホップオーバー接続は、対応するフィールドプレートを、分離を画定しているどの電極ストリップよりもさらに、その対応する分離から離間している連続的な電極ストリップの対応する1つと接続する。ホップオーバー接続のそれぞれは、電極ストリップの配列順に関して同じ方向(ここでは、内側に向いて)である。
【0028】
図7は、特に全てのフィールドプレートおよびそれらのホップオーバー接続が構造の単層中に組み込まれている場合に、フィールドプレートが分離の「大部分」のみを覆うと記載され得る理由の1つを示している。1つまたは複数の外側のフィールドプレートのホップオーバー接続(または複数のホップオーバー接続)は、内側のフィールドプレートによって覆われている分離を乗り越える必要があるかもしれない。例えば706の位置において、フィールドプレート703中のギャップは、フィールドプレート704へのホップオーバー接続を通過させる。図7の例示的な実施態様において、それぞれのホップオーバー接続は、同じ数の(ここでは、1)、順次並んでいる電極ストリップ中の中間にある電極を越えて延びる。幾何学的理由により、これは、最外側のフィールドプレート以外のそれぞれに残されているギャップを通過しなければならないホップオーバー接続の最大の数でもある。
【0029】
許容されたレベルの層構造の複雑さが許すならば、ホップオーバー接続を、中間のフィールドプレートをもまた、それらの中のギャップを必要とせずに「乗り越える(hop over)」ように作製することも可能である。ホップオーバー接続を組み入れるために、ワイヤボンディングまたはその他の、半導体部材の表面上での積層の使用と完全に結びついているわけではない技術を使用することもまた可能である。しかしながら、多くの場合、単純に層を使用し、そして、異なる層の必要数をできるだけ少なく維持し、それによって、例えば全てのフィールドプレートおよびホップオーバー接続が同じ平面層内に作製されることがより有益である。
【0030】
図8は半導体装置が液滴の形状であるドリフト検出器である本発明の実施態様を図示している。それは、幅広の端部801および尖状の端部802を備えており、このため、活性領域803は、幅広の端部内に(またはその近傍に)位置しており、そして、アノード領域804は尖状の端部内(またはその近傍に)、前記活性領域の外側に位置している。半導体部材の縁部が805として図示されている。
【0031】
図8中の部分拡大図は、電極ストリップがそれぞれ異なる電位を呈するためにどのように構成されるのかという例を示している。連続的なドリフト電極の各対が、ある一定の長さの幅の狭い導電性ブリッジによって互いに連結されており、そのうちのブリッジ806が例として示されている。それぞれのブリッジの具体的な導電性および物理的な寸法は、ブリッジが所望の抵抗を有するように選択され、それによって、ドリフト電極が効率よくレジスタ結合チェーンを構成できる。電位は、チェーンにおける初めと最後の電極に本質的には接続されていればよく、その後、それらのあいだのレジスタ結合が、それぞれの中間のドリフト電極の電位を適切な値に設定する。電極ストリップの限界端部とほぼ同じ曲率半径を有する導電性ブリッジの弧を互いに連結させることにより、導電性ブリッジを極めて幅の狭いものにすることなく、また、導電性ブリッジの長さにしたがってドーピング濃度の変化を生じさせる必要なく、所望の抵抗が達成されるように、導電性ブリッジを十分に長くすることが可能となる。
【0032】
一部の最内部の電極ストリップを除いた全ての電極ストリップは、図8の液滴の形状であるドリフト検出器において、環状の代わりに三日月形の形状である。三日月形の形状である電極ストリップは液滴の形状であるドリフト検出器のアノード領域を部分的に囲んでいると言えるかもしれない。曲率中心は、三日月形の形状である電極ストリップの全ての限界端部に対して同じではなく、それぞれの外側の端部および外側の電極ストリップにおいて、幅広の端部および尖状の端部を互いに連結する対称軸上の幅広の端部に向かって少しずつ異なっている。このため、全ての三日月形の形状である電極ストリップが同一の仮想的な線807の上または近傍にその端部を位置させている場合、三日月形の形状である電極ストリップの最終端部は非常に狭い幅となり得るであろう。このため、三日月形の形状である電極ストリップは1つおきに、別の仮想的な線808の上または近傍にその端部が位置する、より短い種類のものとなる。電極ストリップ809はより短い種類の電極ストリップの例である。
【0033】
したがって、図8に示されている配置において、それらの端部において隣り合っている2つの電極ストリップ(例えば電極ストリップ810および811を参照のこと)によって画定される分離もまた、2つの分離分岐812および813に分岐し、それらの間にさらなる(より短い)電極ストリップ809が位置している。図形的明確性の理由により、いくつかの三日月形の形状である電極ストリップおよびホップオーバー接続を有するただ1つのフィールドプレートのみが示されている図9は、その右上部において、どのようにフィールドプレート901が分岐している分離902に基づいて分岐しているのかも図示している。結果として、フィールドプレートの分岐はそれぞれの分離分岐を覆っている。
【0034】
図8および9に詳細が図示されている、電極−ストリップ−および−フィールドプレート構造は、液滴の形状であるドリフト検出器の尖状の端部を幅広の端部に接続する仮想的な線に対して対称である。したがって、分岐の間にある真ん中の電極ストリップは、実際のところ「隣り合う(adjacent)」(見積もりで、なぜならばそれらは実際はそれらの端部近傍でのみ隣り合っているので)電極ストリップの任意の対と比較して短い。それらのあいだの分離は、真ん中の電極ストリップのそれぞれの端部で2つの分離分岐に分岐し、そして、2つをあわせて前記分離分岐は、電極ストリップの間のブリッジが分離分岐を一時的に遮断するポイントを残して真ん中の電極ストリップをとり囲む。
【0035】
図10は、本発明の実施態様による、全ての放射線検出器において使用され得る有利な詳細を図示している。図9に関連して、図10は、両方向矢印A−Aに沿った部分的な断面図であるが、類似の構造的な詳細は任意のフィールドプレートの無作為な位置において見出され得るであろう。図10はまた、なぜ、フィールドプレートが電気絶縁層によって分離の「大部分(the most)」から絶縁されていると上記で説明されたのかを説明する。すなわち、分離および対応するフィールドプレートの長さの間の少なくとも一点において、フィールドプレートの電位によって引き付けられている表面で形成される電荷が、半導体部材から引き出される、いわゆる収集ポイントを有することが有利である。図10に図示されている収集ポイント構造は、局所的にドーピングされた領域1001を備え、これは例えば、電極ストリップがp型ドーピングされている場合、n型ドーピングされた小さなスポットであり得る。電気的な接続が、ドーピングされた領域1001とフィールドプレート901との間に存在する。ここで、電気的接続は電気絶縁層310中に開口を配置することにより作製され、このため、フィールドプレート901を形成するメタライゼーションは開口を通じて局所的にドーピングされた領域1001と接するように延びるであろう。
【0036】
図9に戻って参照して、この実施態様においては、フィールドプレートは、フィールドプレート(および、そうでなければフィールドプレートによって覆われている分離)の長手方向でギャップにより互いから分離されている2つのセクション903および904を備える。これに対応して、ホップオーバー接続は2つの分岐905および906を備え、それぞれの分岐は共通のポイント907からフィールドプレートの対応するセクションの端部(これは特には、前記ギャップに最も近接している端部を意味している)へと延びる。図9における両方向矢印B−Bに沿った部分横断面図である図11により詳細に図示されているように、共通のポイント907は上側に位置しており、そして、電極ストリップ810への電気的接続1101を備える。上記で使用されている用語的に、電極ストリップ810は、前記分離を画定する隣り合う電極ストリップの対のいずれよりも分離902からさらに離間している連続的な電極ストリップの1つである。電極ストリップ構造およびフィールドプレート構造が検出器の中心線に対して対称である場合、そしてそれゆえ、フィールドプレートのもう一つの端部が同様の構造を備えている場合、フィールドプレートはそのもう一つの端部に、セクション904の鏡像である追加の、第3のセクションを備える。
【0037】
図8および図9の比較は、ホップオーバー接続が、2つに分岐した、V形の形状をしている特別の意味を明らかにする。図9にのみ示されている、ホップオーバー接続の2つの分岐905および906のあいだに残されている空間において、追加の、2つに分岐した、外側のフィールドプレートへのホップオーバー接続が存在し、入れ子状のVの配列を形成している。ホップオーバー接続を作製するための別の方法が図12に示される。図8および9に示されている種類のV型のホップオーバー接続が、フィールドプレートが三日月の形状の電極ストリップの間の分離の最終の端部にまでも延びることを可能にするという利点があることが容易に見て取れる。
【0038】
図13は、2つの連続的な電極ストリップの間の抵抗性の接続として使用される導電性ブリッジをフィールドプレートがどのように越えるのかという1つの例を図示している。図13は、導電性ブリッジ806の外形およびそれがつなぐ2つの電極ストリップの最も近接した縁部を示す。斜線の領域は、前記2つの電極ストリップの間の分離を覆っているフィールドプレートを示している。図面に示されているように、フィールドプレートは、単に導電性ブリッジ806のちょうど上に延びていてもよく、または、その少なくとも一部分状に延びていてもよい。
【0039】
図14は、本発明の実施態様が、ドリフト検出器においていわゆるリバー構造の使用と組み合わせられ得ることを示している。「リバー(river)」は、放射線状に配向された、連続的なドリフト電極中の不連続点の配置である。これは表面で形成される電荷キャリアが、電極ストリップの間の外側の分離から、いわゆる吸い込み点であるアノードが半導体部材からそれらを引き出すために使用され得る、ドリフト検出器の内側領域へと流れることを可能にする。
【0040】
図14に示される実施態様において、電極ストリップ、分離およびフィールドプレートの構造は、他に断りがない限り、図7に関連して上記で記載された原則にしたがうが、少なくとも複数の電極ストリップが不連続点を備える。特には、図示されている実施態様は、中心に位置するアノード領域のまわりに60度の間隔で規則的に配向される6つの不連続点をそれぞれの電極ストリップ中に備え、このため6つの放射線状に配向された「リバー」が形成される。1つのリバーであって、そのうちの一部が不連続点1401、1402および1403であるリバーが部分拡大図中に示されている。吸い込み点であるアノード1404は、相対的に小さな、ドット形状のn型導電性埋込材として概略的に図示されている。それぞれの吸い込み点であるアノードは、信号電荷が吸い込み点であるアノードに失われないようにするため、バイアスされたp型導電性の埋込材(ここでは、最内側の電極リングのセクター)によって囲まれている。フィールドプレート材料のスタブ1405は、表面の漏れ電流が次に内側のフィールドプレートの下にあるリバー中を流れるように誘導するという目的で、リバーの上の基本的な環状の形状であるフィールドプレートから内側へと延びている。スタブ1405なしでは、表面漏れ電流がリバーから漏れ出て、そして信号電流と混ざってしまうという高いリスクがあるであろう。
【0041】
図15は不連続点を配向する別の方法を図示している。それらは、放射線状の方向の、まっすぐな、遮るもののない直線状の経路を形成する必要はなく、例えばそれぞれの不連続点が対応するホップオーバー接続と整列されるなど、種々の電極ストリップ中に種々の角位置で存在していてもよい。リバー構造の使用は、本発明の実施態様にしたがって、ドリフト検出器の形状(例えば、円形、液滴の形状など)に関わらず、フィールドプレートおよびホップオーバー接続の使用と組み合わせられ得る。
【0042】
本発明の実施態様にしたがって、リバー構造の使用をフィールドプレートおよびホップオーバー接続と組み合わせることは、顕著な効果をもたらす。リバー構造がフィールドプレートなしに使用される場合、また、図4に図示されるような種類のより単純なフィールドプレートとともに使用される場合、表面で形成される電荷キャリアの収集効率は不満足なものにとどまるであろう。さらにそれは、表面で形成される電荷キャリアがリバー中の表面近傍にとどまることを確実にするために、製造のあいだに、電気絶縁層に比較的高い正の電荷(いわゆる酸化物電荷、絶縁層は一般的に酸化物層である)を帯びさせることを必要とし得る。所望の密度の正の酸化物電荷を制御可能に生成させることは困難であり、そして、その他の考慮すべき事項は電気絶縁層に高い正の電荷を帯びさせることと相反する。
【0043】
フィールドプレートおよびホップオーバー接続は、表面で形成される電荷キャリア収集の効率が酸化物電荷の密度に依存しないことを確実にする。したがって、表面で形成される電荷キャリア収集の効率はまた、製造のあいだの工程パラメータの変化に依存せず、そして、酸化物電荷の最適化はその他の有用な観点にしたがうようになされ得る。
【0044】
上記で説明された例示的な実施態様は添付のクレームの適用性を制限するものであると解釈されるべきではない。クレームによって定義される保護の範囲から逸脱することなく、図示された形状および構造の変形および改変が可能である。例えば、ホップオーバー接続がその上を越える中間の電極ストリップの数は一定である必要はなく、同一の放射線検出器中でさえも種々のホップオーバー接続が種々の数の中間の電極ストリップ上を越えていてもよい。電極ストリップはまた、電極ストリップ同士を繋げる導電性ブリッジ以外のその他の手段(例えば、それぞれの電極ストリップへの専用の電圧接続が使用され得る)を介して、適切な電位を呈するように構成され得る。
【符号の説明】
【0045】
301 半導体部材
302、1404 アノード
303、304、305、306、307、809、810、811 電極
309、502、702、703、704、705、901 フィールドプレート
310 電気絶縁層
401、504 開口
503 ホップオーバー接続
701、804 アノード領域
801 ドリフト検出器の幅広の端部
802 ドリフト検出器の尖状の端部
805 半導体部材の縁部
806 導電性ブリッジ
809 電極ストリップ
812、813 分離分岐
902 分離
1001 ドーピングされた領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15