【実施例】
【0020】
本発明の半導体基板の再生方法は、次の工程を経て実施される。
1).使用済みの半導体基板の基盤上構造層(プリント配線、電極、絶縁層など)表面に対して、ウエット・エッチングを実行することにより、基盤上構造層の一部または全部を除去する工程;
2).前記ウエット・エッチング処理加工された半導体基板の表面に対して、コロイダル砥粒、塩基性化合物および純水を含むpH9.0以上の研磨剤スラリー組成物を用い、研磨パフを半導体基板表面に摺擦する化学機械研磨加工による基板表面の第1のCMP研磨加工処理を実行する工程、
3).前記CMP研磨加工処理された半導体基板の表面に対して、カセイカリ(KOH)および水素ガスを純水に溶解させたpH12.0以上のアルカリ水素水を用い、研磨パフを半導体基板表面に摺擦する第2の仕上げCMP研磨加工処理を実行する工程。
【0021】
被加工材の半導体基板としては、シリコン基盤、サファイア基盤、SiC基盤、ガラス基盤等の基盤上に設けられた構造層(プリント配線、銅メッキ層、電極、絶縁層など)を有する使用済みの半導体基板が挙げられる。
【0022】
ウエット・エッチング剤としては、特許文献1、特許文献2、特許文献5などに記載のエッチング剤の他に、現在市場で利用されているオゾン水等のウエット・エッチング剤を利用することができる。ウエット・エッチング処理後、半導体基板のエッチング処理面は純水により洗浄され、スピン乾燥されたのち、次のCMP処理工程へと搬送される。
【0023】
上記ウエット・エッチング処理は、半導体基板の基盤上構造層面の一部(厚み2〜5μ
m)を除去する方法としては好ましいが、半導体基板の基盤上構造層全部を除去する場合
は、エッチング処理時間が長く要することとなるので、上記1)工程のウエット・エッチング処理工程を、次の研削加工処理工程1)に変更するのが好ましい。
【0024】
1).使用済みの半導体基板の基盤上構造層表面に対して、カップホイール型研削砥石をインフィード送りするとともに、研削加工中に研削に供されていない前記カップホイール型研削砥石の刃先に向けて洗浄液噴射装置のノズルより圧力3〜15Mpaの高圧洗浄液を噴射角度5〜18度で扇形状に噴射する砥石洗浄を行う前記基盤上構造層の全層を除去して基盤面を露呈させる研削加工処理工程。
【0025】
具体的には、
図1に示す研削装置1を用い、半導体基板wの表面をカップホイール型研削砥石3により表面平坦化加工を行う。
【0026】
前記研削装置1は、基板チャック2aを回転軸2bに軸承させた基板吸着チャック機構2、砥石軸3bに軸承された高い砥番のカップホイール型研削砥石3aを備える砥石ヘッド3、該研削砥石の砥石刃先3a
gを高圧ジェット洗浄するノズル4aを備える洗浄液噴射装置4および半導体基板の基盤上構造体層表面に研削液を供給する研削液供給ノズル5を備える。図中、6は脱気管、7は給水管、および、8は流体室である。
【0027】
前記カップホイール型研削砥石3は、砥粒素材として砥番#300〜#1,200のダイヤモンド、cBN、SiCの砥粒を用いたビトリアイドボンド砥石、メタルボンド砥石、レジンボンド砥石などが利用できる。なかでも、ダイヤモンドビトリファイドボンドカップホイール型研削砥石が面平坦度仕上げおよび研削速度の面で優れる。
【0028】
研削液供給ノズル5より供給される研削液としては、純水が一般であるが、セラミックおよび電極素材の金属によっては、純水以外のエタノールアミン水溶液、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液、苛性カリ水溶液、酢酸、塩酸等の導電性水溶液、セリア水分散液、コロイダルシリカ水分散液、アルミナ水分散液なども利用してもよい。
【0029】
洗浄液噴射装置4のノズル4aより供給される洗浄液としては、上述の研削液を用いてもよいが、排水処理の面から純水が一般的である。洗浄水の砥石刃3a
gへの噴射角度は5〜18度の扇形状である。
【0030】
洗浄液噴射装置4としては、旭サナック株式会社の精密高圧ジェット水洗浄機械“HPMJ AFS5400S”(商品名)が利用できる。
【0031】
上記研削装置1のカップホイール型研削砥石3gを用いて半導体基板wの表面平坦化加工を行う構造層全層除去加工作業は、回転軸2bを100〜150min
−1回転させることにより半導体基板wを回転させ、高粒度カップホイール型研削砥石3aの砥石軸3bを1,200〜2,000min
−1回転させながら30μm/分の下降速度で下降(インフィード)させて、そのカップホイール型研削砥石の砥石刃先3a
gを前記半導体基板表面上で摺擦させて厚みを所望量(2〜50μm)減少させる研削加工をするとともに、この研削加工中に前記カップホイール型研削砥石の半導体基板の表面研削加工に供されていないポーラスセラミックテーブル2a外領域部分に存在する砥石刃先3a
gにこの砥石刃までの距離5〜20mm位置にあるノズル噴出口4aより圧力3〜20MPa、好ましくは、10〜12MPaの洗浄水を噴射させて砥石刃に付着した銅電極研削屑、絶縁層研削屑、樹脂研削屑等を洗い流す砥石刃洗浄工程(加圧水ドレッシング)を行う。上記研削加工中、半導体基板の表面には研削液供給ノズル5より研削液が10〜20リットル/分の割合で供給される。
【0032】
半導体基板の露呈された基盤上に付着する目に見えないイオンレベルの金属汚染(例えば、Cu Smearing)は、1x10
10atoms/cm
2〜8x10
10atoms/cm
2の範囲に縮減される。研削加工中に前記カップホイール型研削砥石の半導体基板の表面研削加工に供されていないポーラスセラミックテーブル2a外領域部分に存在する砥石刃先3a
gを砥石ドレッサーで成形する従来の研削方法では、半導体基板の露呈された基盤上に付着する目に見えないイオンレベルの金属汚染(例えば、Cu Smearing)は、2x10
12atoms/cm
2〜6x10
13atoms/cm
2のレベルであるので、前記3)工程の仕上げCMP処理時間
を短い時間で終わらせることができると推量される。
【0033】
次いで、前述の2).前記ウエット・エッチング処理加工された半導体基板の表面に対して、コロイダル砥粒、塩基性化合物および純水を含むpH9.0以上の研磨剤スラリー組成物を用い、研磨パフを半導体基板表面に摺擦する化学機械研磨加工による基板表面の第1のCMP研磨加工処理を実行する工程が、岡本工作機械製作所の研磨装置“PNX332B”(商品名)を使用して行われる。
【0034】
使用される研磨剤スラリー組成物のコロイダル砥粒としては、コロイダルシリカ、コロイダルセリアの砥粒が研磨剤スラリー組成物中の2.0〜6.5重量%(固形分量)の割合で使用される。この含有率は高いほどCMP加工処理された半導体基板の表面粗さRaを小さくする。前記2.0〜6.5重量%の含有率の研磨剤組成物スラリーの使用では、0.6〜1.0ナノメートル(nm)のRAの半導体基板表面平坦度が得られる。
【0035】
研磨剤スラリー組成物のpHを9以上とするために使用される塩基性化合物としては、水酸化カリウム(カセイカリ)、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、1,2,4−トリアゾール、テトラメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド(TEAH)、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド(TPAH)、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシド(コリン)、メチルトリ(ヒドロキシエチル)アンモニウムヒドロキシド、テトラ(ヒドロキシエチル)アンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド(BTMAH)、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、第3ブチルジエタノールアミン、イソプロパノールアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等の塩基性化合物の1種単独又は2種以上の混合物を利用できる。
塩基性化合物の含有量は、0.1〜5質量%であることが好ましい。後記する実施例では、研磨剤スラリー組成物として、6.4重量%(固形分)のコロイダルシリカ砥粒、カセイカリ(KOH)、水素水、純水を含有するpH12.6の研磨剤水分散液(スラリー)を用いた。
【0036】
300mm径の半導体基板wの回転速度は、100rpm、研磨パフ(研磨パッド)の回転速度は、120rpmで行った。
【0037】
前述の2)の第1のCMP研磨加工処理を実行した後に、CMP研磨加工処理された半導体基板を研磨装置の第2の仕上げCMP研磨加工処理ステージへと移送する。そこで、前記CMP研磨加工処理された半導体基板の表面に対して、カセイカリ(KOH)および水素ガスを純水に溶解させたpH12.0以上のアルカリ水素水を用い、研磨パフを半導体基板表面に摺擦する第2の仕上げCMP研磨加工処理の前述の3)工程を実行する。
【0038】
異物除去洗浄剤の酸化還元電位は、水素水(pH7)が−320mV、純水(pH7)が−320mV、pH9のアルカリ水素水が―500mV、実施例で用いたpH12.8のアルカリ水素水は―760mVであるので、本発明では、これまで文献で発表(pH10以下)されていないpH12.8のアルカリ水素水を調製し、実施例で用いた。
【0039】
300mm径の半導体基板wの回転速度は、80rpm、研磨パフ(研磨パッド)の回転速度は、100rpmで行った。
【0040】
実施例1
使用済みの300mm径の半導体基板の基盤上構造層(プリント配線、電極、絶縁層など)表面に対して、特許文献2記載のウエット・エッチング剤(フッ化水素、過硫酸アンモニウム、純水を含有)を用い、基盤上構造層の一部の2μmを除去する1)工程を実施した。
【0041】
前記ウエット・エッチング処理加工された半導体基板の表面に対して、コロイダルシリカ6.4重量%、カセイカリ、水素ガスを含有するpH10のアルカリ水素水(研磨剤スラリー組成物)を用い、研磨パフを半導体基板表面に摺擦する化学機械研磨加工による基板表面の第1のCMP研磨加工処理工程を実施した。
【0042】
前記CMP研磨加工処理された半導体基板の表面に対して、カセイカリ(KOH)および水素ガスを純水に溶解させたpH12.8のアルカリ水素水を用い、研磨パフを半導体基板表面に摺擦する第2の仕上げCMP研磨加工処理を実施した。
【0043】
前記第2の仕上げCMP研磨加工処理を実施して得られた半導体基板の構造層の表面粗さRaは、0.55〜0.6nm、表面付着異物粒子の数は0個/w、半導体基板の構造層のイオンレベルの金属汚染は、8x10
10atoms/cm
2〜5x10
11atoms/cm
2であった。
【0044】
実施例2
使用済みの300mm径の半導体基板の基盤上構造層(プリント配線、電極、絶縁層など)表面に対して、研削装置1のカップホイール型研削砥石3gを用いて、シリコン基盤上の構造層全層(厚み4μm)除去加工作業を行った。回転軸2bを100〜150min
−1回転させることにより半導体基板wを回転させ、高粒度カップホイール型研削砥石3aの砥石軸3bを1,800min
−1回転させながら30μm/分の下降速度で下降(インフィード)させて、そのカップホイール型研削砥石の砥石刃先3a
gを前記半導体基板の構造層表面上で摺擦させて厚みを所望量(5μm)減少させる研削加工を開始すると
ともに、この研削加工中に前記カップホイール型研削砥石の半導体基板の表面研削加工に供されていないポーラスセラミックテーブル2a外領域部分に存在する砥石刃先3a
gにこの砥石刃までの距離15mm位置にあるノズル噴出口4aより圧力10MPaの洗浄水を噴射させて砥石刃に付着した銅電極研削屑、絶縁層研削屑、樹脂研削屑等を洗い流す砥石刃洗浄工程(加圧水ドレッシング)を行った。上記研削加工中、半導体基板の表面には研削液供給ノズル5より研削液が16リットル/分の割合で供給された。
【0045】
前記研削加工処理された半導体基板のシリコン基盤表面に対して、コロイダルシリカ6.4重量%、カセイカリ、水素ガスを含有するpH10のアルカリ水素水(研磨剤スラリー組成物)を用い、研磨パフを半導体基板表面に摺擦する化学機械研磨加工による基板表面の第1のCMP研磨加工処理工程を実施した。
【0046】
前記CMP研磨加工処理された半導体基板のシリコン基盤表面に対して、カセイカリ(KOH)および水素ガスを純水に溶解させたpH12.8のアルカリ水素水を用い、研磨パフを半導体基板のシリコン基盤表面に摺擦する第2の仕上げCMP研磨加工処理を実施した。
【0047】
前記第2の仕上げCMP研磨加工処理を実施して得られた半導体基板のシリコン基盤の表面粗さRaは、0.57〜0.62nm、表面付着異物粒子の数は0個/w、半導体基板のシリコン基盤表面のイオンレベルの金属汚染は、6x10
10atoms/cm
2〜8x10
10atoms/cm
2であった。