【文献】
Clin. Devel. Immun.,2011年,2011,1-11
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
i)ヒトプロテインキナーゼA(PKA)RI、RIβ、RIIまたはRIIβからの二量体化およびドッキングドメイン(DDD)部分に結合したインターフェロンλを含む第一の融合蛋白質と;
ii)AKAP蛋白質からのアンカードメイン(AD)に結合した抗体または抗原結合抗体フラグメントを含む第二の融合蛋白質と;
を含むインターフェロン−抗体複合体であって、
前記DDD部分の2コピーが、前記AD部分に結合する二量体を形成して、前記複合体を形成しており、
前記AD部分が、前記抗体または抗原結合抗体フラグメントのC末端に結合しており、前記DDD部分が、前記インターフェロンλのC末端又はN末端に結合している複合体を含み、
前記抗体またはその抗体フラグメントが、TROP−2、CEACAM5、CEACAM6、HLA−DR、CD19、CD20、CD22、CD52、CD74、EGFR、ムチン、αフェト蛋白質、CEA、CSAp、TNFおよびMIFからなる群より選択される抗原に結合する、
癌、ウイルス感染、喘息または多発性硬化症の治療剤。
前記治療薬が、二次抗体、二次抗体フラグメント、二次インターフェロン、薬物、毒素、酵素、ホルモン、免疫調整物質、サイトカイン、ケモカイン、アンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA、RNAi、放射性核種、ホウ素化合物、光活性剤、抗血管新生薬およびアポトーシス促進剤からなる群より選択される、請求項4に記載の治療剤。
前記薬物が、5−フルオロウラシル、アプリジン、アザリビン、アナストロゾール、アントラサイクリン、ベンダムスチン、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ブルトン型キナーゼ阻害剤、ブリオスタチン−1、ブスルファン、カリケアマイシン、カンプトテシン、カルボプラチン、10−ヒドロキシカンプトテシン、カルムスチン、セレコキシブ、クロラムブシル、シスプラチン(CDDP)、Cox−2阻害剤、イリノテカン(CPT−11)、SN−38、カルボプラチン、クラドリビン、カンプトテカン、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ドセタキセル、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、2−ピロリノドキソルビシン(2P−DOX)、シアノモルホリノドキソルビシン、ドキソルビシングルクロニド、エピルビシングルクロニド、エストラムスチン、エピポドフィロトキシン、エストロゲン受容体結合剤、エトポシド(VP16)、エトポシドグルクロニド、リン酸エトポシド、フロクスウリジン(FUdR)、3’,5’−O−ジオレオイルFudR、フルダラビン、フルタミド、ファルネシル−蛋白質トランスフェラーゼ阻害剤、ゲムシタビン、ヒドロキシ尿素、イダルビシン、イフォスファミド、L−アスパラギナーゼ、レノリダミド、ロイコボリン、ロムスチン、メクロレタミン、メルファラン、メルカプトプリン、6−メルカプトプリン、メトトレキサート、ミトキサントロン、ミスラマイシン、マイトマイシン、ミトタン、ナベルビン、ニトロソ尿素、プリカマイシン、プロカルバジン、パクリタキセル、ペントスタチン、PSI−341、ラロキシフェン、セムスチン、ストレプトゾシン、タモキシフェン、パクリタキセル、テマゾロミド、トランス白金、サリドマイド、チオグアニン、チオテパ、テニポシド、トポテカン、チロシンキナーゼ阻害剤、ウラシルマスタード、ビノレルビン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンカアルカロイド、LFM−A13、ダサチニブ、イマチニブおよびニロチニブからなる群より選択される、請求項5に記載の治療剤。
前記毒素が、リシン、アブリン、α毒素、サポリン、リボヌクレアーゼ(RNase)、オンコナーゼ、DNaseI、ブドウ球菌腸毒素A、ポークウィード抗ウイルス蛋白質、ゲロニン、ジフテリア毒素、緑膿菌外毒素、および緑膿菌内毒素からなる群より選択される、請求項5に記載の治療剤。
前記抗血管新生薬が、アンギオスタチン、バキュロスタチン、カンスタチン、マスピン、抗VEGF抗体、抗PIGF抗体、ラミニン、フィブロネクチン、プラスミノーゲン活性化因子阻害剤、組織メタロプロテイナーゼ阻害剤、インターフェロン、インターロイキン12、IP−10、Gro−β、トロンボスポンジン、2−メトキシエストラジオール、プロリフェリン関連蛋白質、カルボキサミドトリアゾール、CM101、マリマスタット、多硫酸ペントサン、アンギオポエチン2、インターフェロンα、ハービマイシンA、PNU145156E、16Kプロラクチンフラグメント、リノミド(ロキニメックス)、サリドマイド、ペントキシフィリン、ゲニステイン、TNP−470、エンドスタチン、バクリタキセル、アクチン(accutin)、アンギオスタチン、シドフォビル、ビンクリスチン、ブレオマイシン、AGM−1470、血小板因子4およびミノサイクリンからなる群より選択される、請求項5に記載の治療剤。
前記AD部分のアミノ酸配列が、配列番号:3、配列番号:4、配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9、配列番号:10、配列番号:32、配列番号:33、配列番号:34、配列番号:35、配列番号:36、配列番号:37、配列番号:38、配列番号:39、配列番号:40、配列番号:41、配列番号:42、配列番号:43、配列番号:44、配列番号:45、配列番号:46、配列番号:47、配列番号:48、配列番号:49、配列番号:50、配列番号:51、配列番号:52、配列番号:53、配列番号:54、配列番号:55、配列番号:56、配列番号:57、配列番号:58、配列番号:59、配列番号:60、配列番号:61、配列番号:62、配列番号:63、配列番号:64、配列番号:65、配列番号:66、配列番号:67、配列番号:68、配列番号:69、配列番号:70、配列番号:71、配列番号:72、配列番号:73、配列番号:74、配列番号:75、配列番号:76、配列番号:77、配列番号:78、配列番号:79、配列番号:80、配列番号:81、配列番号:82、配列番号:83および配列番号:84からなる群より選択される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の治療剤。
前記DDD部分のアミノ酸配列が、配列番号:1、配列番号:2、配列番号:5、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:9、配列番号:10、配列番号:11、配列番号:12、配列番号:13、配列番号:14、配列番号:15、配列番号:16、配列番号:17、配列番号:18、配列番号:19、配列番号:20、配列番号:21、配列番号:22、配列番号:23、配列番号:24、配列番号:25、配列番号:26、配列番号:27、配列番号:28、配列番号:29、配列番号:30および配列番号:31からなる群より選択される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の治療剤。
前記インターフェロン−抗体複合体が、前記インターフェロン単独、前記抗体単独、またはコンジュゲートされていないインターフェロンと抗体との組み合わせよりも効果的である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の治療剤。
前記癌が、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、胆道癌、乳癌、子宮頸癌、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、大腸癌、子宮内膜癌、食道癌、胃癌、頭頸部癌、ホジキンリンパ腫、肺癌、甲状腺髄様癌、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、腎臓癌、卵巣癌、膵臓癌、神経膠腫、黒色腫、肝臓癌、前立腺癌、および膀胱癌からなる群より選択される、請求項1に記載の治療剤。
前記ウイルス感染が、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ヘルペスウイルス、単純ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス、サイトメガロウイルス、狂犬病ウイルス、インフルエンザウイルス、ライノウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、センダイウイルス、ネコ白血病ウイルス、レオウイルス、ポリオウイルス、ヒト血清パルボ様ウイルス、サルウイルス40、呼吸器合胞体ウイルス、マウス哺乳動物腫瘍ウイルス、バリセラ・ゾスターウイルス、デングウイルス、ルベラウイルス、麻疹ウイルス、アデノウイルス、ヒトT細胞白血病ウイルス、エプスタイン・バーウイルス、ネズミ白血病ウイルス、ムンプスウイルス、水疱性口炎ウイルス、シンドビスウイルス、リンパ性脈絡髄膜炎ウイルス、イボウイルス、およびブルータングウイルスからなる群より選択される、請求項1に記載の治療剤。
【発明を実施するための形態】
【0031】
詳細な記載
定義
他に断りがなければ「a」または「an」は、「1以上」を意味する。
【0032】
本明細書で用いられる用語「および」および「または」は、分離または結合のいずれかを意味する。即ち、両用語は、他に断りがなければ、「および/または」と等しいと理解されなければならない。
【0033】
「治療薬」は、疾患の処置において有用な原子、分子、または化合物である。治療薬の例としては、抗体、抗体フラグメント、ペプチド、薬物、毒素、酵素、ヌクレアーゼ、ホルモン、免疫調整物質、アンチセンスオリゴヌクレオチド、低分子干渉RNA(siRNA)、キレート化剤、ホウ素化合物、光活性剤、染料、および放射性同位体が挙げられる。
【0034】
「診断薬」は、疾患を診断する上で有用な原子、分子、または化合物である。有用な診断薬としては、非限定的に、放射性同位体、染料(ビオチン−ストレプトアビジン複合体など)、造影剤、蛍光化合物または分子、および磁気共鳴画像(MRI)用の増強剤(例えば、常磁性イオン)が挙げられる。
【0035】
本明細書で用いられる「抗体」は、完全長の(即ち、天然由来の、または正常な免疫グロブリン遺伝子フラグメント組換え工程により形成される)免疫グロブリン分子(例えば、IgG抗体)、または抗体フラグメントのような、免疫グロブリン分子の免疫学的に活性の(即ち、特異的に結合する)部分を指す。「抗体」は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、二重特異性抗体、多重特異性抗体、ネズミ抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体およびヒト抗体が挙げられる。
【0036】
「裸の抗体」は、治療薬または診断薬に結合されていない抗体またはその抗原結合フラグメントである。インタクトの裸の抗体のFc部分は、補体固定およびADCCなど、エフェクター機能を提供することができる(例えば、Markrides,Pharmacol Rev 50:59−87,1998参照)。裸の抗体が細胞死を誘導する他のメカニズムとしては、アポトーシスを挙げることができる。(Vaswani and Hamilton,Ann Allergy Asthma Immunol 81:105−119,1998.)
【0037】
「抗体フラグメント」は、F(ab’)
2、F(ab)
2、Fab’、Fab、Fv、sFv、scFv、dAbなどのインタクト抗体の一部である。構造に関係なく抗体フラグメントは、完全長抗体により認識される同じ抗原と結合する。例えば抗体フラグメントとしては、可変領域からなる単離されたフラグメント、例えば重鎖および軽鎖の可変領域からなる「Fv」フラグメント、または軽鎖および重鎖可変領域がペプチドリンカーにより連結された組換え一本鎖ポリペプチド分子(「scFv蛋白質」)が挙げられる。「scFv」と略されることの多い「一本鎖抗体」は、抗原結合部位を形成するために相互作用するV
HドメインとV
Lドメインの両方を含むポリペプチド鎖からなる。V
HおよびV
Lドメインは、通常、1〜25のアミノ酸残基のペプチドにより連結される。抗体フラグメントは、ジアボディー、トリアボディーおよび単一ドメイン抗体(dAb)も包含する。
【0038】
本明細書に記載された抗体または免疫コンジュゲートの調製物または組成物は、投与される量が生理学的に有意である場合「治療有効量」で投与されると言われる。薬剤の存在が、レシピエント対象の生理学的状態に検出可能な変動をもたらす場合、その薬剤は、生理学的に有意である。特定の実施形態において、抗体調製物の存在が、抗腫瘍反応を惹起するか、または疾患状態の兆候および症状を軽減する場合、その抗体調製物は、生理学的に有意である。生理学的に有意な作用は、レシピエント対象において体液性および/または細胞性免疫反応の誘起にもなり得、標的細胞の増殖阻害または死滅をもたらし得る。
【0039】
DOCK−AND−LOCK(商標)(DNL(商標))
好ましい実施形態において、インターフェロン−抗体複合体は、DOCK−AND−LOCK(商標)(DNL(商標))複合体として形成される(例えば、米国特許第7,521,056号;同第7,527,787号;同第7,534,866号;7,550,143号、および同第7,666,400号参照。それらそれぞれの実施例の節は、参照により本明細書に組み入れられる)。一般にその技術は、cAMP依存性プロテインキナーゼ(PKA)の調節(R)サブユニットの二量体化およびドッキングドメイン(DDD)配列と、種々のAKAP蛋白質のいずれかから得られたアンカードメイン(AD)配列と、の間に生じる特異的で高親和力の結合相互作用の利益を受けている(Baillie et al,FEBS Letters.2005;579:3264. Wong and Scott,Nat.Rev.Mol.Cell Biol.2004;5:959)。DDDおよびADペプチドは、任意の蛋白質、ペプチドまたは他の分子に結合されていてもよい。DDD配列は自発的に二量体化してAD配列に結合するため、その技術は、DDDまたはAD配列に結合され得る任意の選択された分子の間に複合体を形成させる。
【0040】
標準のDNL(商標)複合体は、1つのAD結合分子に結合された2つのDDD結合分子を有するトリマーを含むが、複合体構造の変動性により、二量体、三量体、四量体、五量体、六量体、および他の多量体が形成される。幾つかの実施形態において、DNL(商標)複合体は、同じ抗原決定因子または2つ以上の異なる抗原に結合する2つ以上の抗体、抗体フラグメント、または融合蛋白質を含み得る。DNL(商標)複合体は、1つ以上の他のエフェクター、例えば蛋白質、ペプチド、免疫調整物質、サイトカイン、インターロイキン、インターフェロン、結合蛋白質、ペプチドリガンド、キャリア蛋白質、毒素、オンコナーゼなどのリボヌクレアーゼ、siRNAなどの阻害性オリゴヌクレオチド、抗原または異種抗原、PEGなどのポリマー、酵素、治療薬、ホルモン、細胞毒性剤、抗血管形成薬、アポトーシス促進剤、または任意の他の分子もしくは凝集体も含み得る。
【0041】
セカンドメッセンジャーcAMPのRサブユニットへの結合により惹起される最もよく研究されたシグナル伝達経路の1つにおいて中心的役割を担うPKAは、最初、1968年にウサギ骨格筋から単離された(Walsh et al,J.Biol.Chem.1968;243:3763)。ホロ酵素の構造は、Rサブユニットにより不活性形態で保持された2つの触媒サブユニットからなる(Taylor,J.Biol.Chem.1989;264:8443)。PKAのアイソザイムは、Rサブユニットの2つのタイプ(RIおよびRII)と共に見出され、各タイプは、αおよびβアイソフォームを有する(Scott,Pharmacol.Ther.1991;50:123)。つまりPKA調節サブユニットの4つのアイソフォームが、RIα、RIβ、RIIαおよびRIIβである。Rサブユニットは、安定した二量体のみが単離され、二量体ドメインは、RIIαの最初の44のアミノ酸末端残基からなることが示されている(Newlon et al,Nat.Struct.Biol.1999;6:222)。以下に議論される通り、他の調節サブユニットのアミノ酸配列の同様の部分が、二量体化およびドッキングに関与し、そのそれぞれは調節サブユニットのN末端付近に位置する。cAMPのRサブユニットへの結合により、使用範囲の広いセリン/トレオニンキナーゼ活性のための活性触媒サブユニットが放出され、それらのサブユニットはAKAPとのドッキングを介したPKAのコンパートメント化により、選択された基質に向かって配置される(Scott et al,J.Biol.Chem.1990;265;21561)。
【0042】
最初のAKAPである微小管結合蛋白質−2が、1984年に特徴づけられて以来(Lohmann et al,Proc.Natl.Acad.Sci USA.1984;81:6723)、原形質膜、アクチン細胞骨格、核内ミトコンドリア、および小胞体をはじめとする様々な細胞小器官の部位に局在化する50種を超えるAKAPが、酵母からヒトまでの種で多様な構造によって同定された(Wong and Scott, Nat. Rev. MoL Cell Biol. 2004;5:959)。PKAのためのAKAPのADは、14〜18の残基からなる両親媒性ヘリックスである(Carr et al,J.Biol.Chem.1991;266:14188)。ADのアミノ酸配列は、個々のAKAPのうちでも極めて多様であり、RII二量体について報告された結合親和力は、2〜90nMの範囲内である(Alto et al,Proc.Natl.Acad.Sci.USA.2003;100:4445)。AKAPは、二量体Rサブユニットに結合するに過ぎない。ヒトRIIαの場合、ADは、23のアミノ末端残基により形成された疎水性表面に結合する(Colledge and Scott,Trends Cell Biol.1999;6:216)。つまりヒトRIIαの二量体化ドメインおよびAKAP結合ドメインは、両者とも同じN末端の、本明細書ではDDDと称される44のアミノ酸配列内に位置する(Newlon et al,Nat.Struct.Biol.1999;6:222;Newlon et al,EMBO J.2001;20:1651)。
【0043】
本発明者らは、以後AおよびBと称される任意の2つの物体を非共有結合性の複合体内にドッキングするための優れたリンカーモジュール対として、ヒトPKA調節サブユニットのDDDとAKAPのADを利用し、戦略的位置にあるDDDおよびADの両方にシステイン残基を導入することによりDNL(商標)複合体に更にロックしてジスルフィド結合の形成を促進する、プラットフォームテクノロジーを開発した。そのアプローチの一般的方法論は、以下の通りである。物体Aは、DDD配列をAの前駆体に結合させることにより構築され、以後aと称される第一の成分が得られる。DDD配列は、二量体の自発的な形成を実行するため、つまりAは、a
2で構成される。物体Bは、AD配列をBの前駆体に結合させることにより構築され、以後bと称される第二の成分が得られる。a
2に含まれるDDDの二量体モチーフは、bに含まれるAD配列に結合するためのドッキング部位を生成し、こうしてa
2とbとの急速な会合が促進されて、a
2bで構成された二成分トリマー複合体を形成させる。この結合事象は、ジスルフィド架橋を介して2つの物体を共有結合により固定する次なる反応で不可逆性になるが、それは最初の結合相互作用がDDDおよびADの両方に配置された反応性チオール基を接近させて(Chmura et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA.2001;98:8480)、部位特異的にライゲートするはずであるため、効果的局所濃度の原理の基づいて非常に効率的に起こる。リンカー、アダプターモジュールおよび前駆体の様々な組み合わせを利用すれば、異なる反応速度の非常に広範囲のDNL(商標)構築物を製造および使用することができる(例えば、米国特許第7,550,143号;同第7,521,056号;同第7,534,866号;同第7,527,787号および同第7,666,400号参照)。
【0044】
DDDとADを2つの前駆体の官能基から離して結合させることにより、そのような部位特異性ライゲーションは、2つの前駆体の本来の活性を維持することも予測される。このアプローチは、本質的にモジュラーであり、広範囲の活性を有するペプチド、蛋白質、抗体、抗体フラグメント、および他のエフェクター部分をはじめとする広範囲の物質を、部位特異的および共有結合的に結合させるために適用され得る。以下の実施例に記載されるADおよびDDDコンジュゲートエフェクターを構築する融合蛋白質法を利用すれば、事実上任意の蛋白質またはペプチドを、DNL(商標)構築物に組み込むことができる。しかしその技術は限定的ではなく、他のコンジュゲーション方法を用いてもよい。
【0045】
該当する融合蛋白質をコードする合成二本鎖核酸を生成するための核酸合成、ハイブリダイゼーションおよび/または増幅をはじめとし、融合蛋白質を生成するための種々の方法が公知である。そのような二本鎖核酸は、標準の分子生物学的技術により、融合蛋白質生成用の発現ベクターに挿入することができる(例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning,A laboratory manual, 2
ndEd,1989参照)。そのような好ましい実施形態において、ADおよび/またはDDD部分は、エフェクター蛋白質またはペプチドのN末端またはC末端のいずれかに結合し得る。しかし当業者は、ADまたはDDD部分のエフェクター部分への結合部位が生理学的活性に関与するエフェクター部分およびエフェクター部分の一部(複数可)の化学的性質に応じて変動し得ることを、認識するであろう。種々のエフェクター部分の部位特異的結合は、当該技術分野で公知の技術、例えば二価架橋試薬の使用および/または他の化学的コンジュゲーション技術を利用して実施され得る。
【0046】
AD部分およびDDD部分における構造−機能関連性
異なるタイプのDNL(商標)構築物の場合、異なるADまたはDDD配列が用いられ得る。例示的DDDおよびAD配列を、以下に示す。
【化1】
【0047】
当業者は、DDD1およびDDD2が、プロテインキナーゼAのヒトRIIαアイソフォームのDDD配列に基づいていることを、認識するであろう。しかし代替実施形態において、DDDおよびAD部分は、以下のDDD3、DDD3CおよびAD3に例示される通り、プロテインキナーゼAのヒトRIα形態のDDD配列、および対応するAKAP配列に基づくことができる。
【化2】
【0048】
他の代替実施形態において、ADおよび/またはDDD部分の他の配列変異体を、DNL(商標)複合体の構築に用いてもよい。例えばPKA RIα、RIIα、RIβおよびRIIβのDDD部分に対応するヒトPKA DDD配列には4つの変異体しか存在しない。RIIα DDD配列が、先に開示されたDDD1およびDDD2の基礎である。4種のヒトPKA DDD配列を、以下に示す。DDD配列は、RIIαの残基1〜44、RIαの残基12〜61、およびRIβの残基13〜66を表す。(DDD1の配列がヒトPKA RIIα DDD部分からわずかの修飾されていることに留意されたい。)
【化3】
【0049】
ADドメインとDDDドメインとの構造−機能的関連性は、研究の対象であった。(例えば、それぞれの全体的本文が参照により本明細書に組み入れられる、Burns−Hanuro et al,2005,Protein Sci 14:2982−92;Carr et al.,2001,J Biol Chem 276:17332−38;Alto et al.,2003,Proc Natl Acad Sci USA 100:4445−50;Hundsrucker et al.,2006,Biochem J 396:297−306; Stokka et al.,2006,Biochem J 400:493−99;Gold et al.,2006,Mol Cell 24:383−95;Kinderman et al.,2006,Mol Cell 24:397−408を参照されたい。)
【0050】
例えば、Kindermanら(2006,Mol Cell 24:397−408)は、AD−DDD結合相互作用の結晶構造を検査して、ヒトDDD配列が、以下の配列番号:1に下線が引かれた、二量体形成またはAKAP結合のいずれかにおいて重要となる複数の保存されたアミノ酸残基を含むと結論づけた。(参照により本明細書に組み入れられる、Kindermanら、2006の
図1を参照されたい。)当業者は、DDD配列の配列変異体を設計する上で、所望なら、保存的アミノ酸置換を二量体化およびAKAP結合にとってあまり重大でない残基について実施しながら、下線が引かれた残基のいずれかの変動を回避することを、認識するであろう。
【化4】
【0051】
以下により詳細に議論される通り、保存的アミノ酸置換が、20種の共通するL−アミノ酸のそれぞれについて特徴づけられた。つまりKinderman(2006)のデータおよび保存的アミノ酸置換に基づいて、配列番号:1に基づく潜在的な代替DDD配列を、表1に示す。表1を案出するにあたり、高度に保存的なアミノ酸置換のみを考慮した。例えば帯電された残基は、 同じ電荷の残基のみで置換され、小さな側鎖を有する残基は、類似サイズの残基で置換され、ヒドロキシル側鎖は、他のヒドロキシルのみで置換されるなどである。アミノ酸の二次構造に対するプロリンの特有の影響により、他の残基がプロリンを置換することはなかった。わずかな数のそのような潜在的な代替DDD部分配列を、以下の配列番号:12〜配列番号:31に示す。当業者は、DDD部分の部類のほとんど非制限的数の代替種が、標準的技術、例えば商業的なペプチド合成装置の使用により、または周知の部位特異的突然変異誘発技術により構築され得ることを、認識するであろう。AD部分結合に対するアミノ酸置換の影響は、例えばAltoら(2003,Proc Natl Acad Sci USA 100:4445−50)に開示される通り、標準の結合アッセイにより即座に決定され得る。
【表1】
【0052】
Altoら(2003,Proc Natl Acad Sci USA 100:4445−50)は、様々なAKAP蛋白質のAD配列の生物情報分析を実施して、DDDへの結合定数を0.4nMとしてAKAP−IS(配列番号:3)と呼ばれるRII選択的AD配列を設計した。AKAP−IS配列は、PKAに結合したAKAPのペプチドアンタゴニストとして設計された。置換によりDDDへの結合を減少させる傾向があったAKAP−IS配列内の残基を、以下の配列番号:3において下線を引いている。当業者は、AD配列の配列変異体を設計する上で、所望なら保存的アミノ酸置換をDDD結合にとってあまり重大でない残基について実施しながら、下線が引かれた残基のいずれかの変動が回避されることを、認識するであろう。表2は、先の表1におけるDDD1(配列番号:1)について示されたものと類似のAKAP−IS(配列番号:3)の配列における潜在的な保存的アミノ酸置換を示す。
【0053】
限られた数のそのような潜在的な代替AD部分配列を、以下の配列番号:32〜49に示す。同じく、可能なAD部分配列の部類の非常に多数の種が、Altoら(2003)のデータに基づいて当業者により生成、試験および使用することができる。実際の結合実験に基づき、Alto(2003)の
図2が、DDD部分への結合活性を保持しながら、実施され得る多数の潜在的アミノ酸置換を示すことに留意されたい。
【化5】
【表2】
【0054】
Goldら(2006, Mol Cell 24:383−95)は、クリスタログラフィーおよびペプチドスクリーニングを利用してSuperAKAP−IS配列(配列番号:50)を開発し、RIアイソフォームと比較してPKAのRIIアイソフォームに対して5桁高い選択性を示した。下線の引かれた残基は、RIIαのDDD部分への結合を増大させたアミノ酸置換の位置を、AKAP−IS配列に相対的に示している。この配列において、N末端Q残基は、残基番号4として番号付けされ、C末端A残基は、残基番号20である。RIIαへの親和力に影響を及ぼすように置換が施され得る残基は、残基8、11、15、16、18、19および20であった(Gold et al.,2006)。特定の代替実施形態において、SuperAKAP−IS配列が、AKAP−IS AD部分に置換されて、DNL(商標)構築物を調製し得ることが、企図される。AKAP−IS AD配列に置換され得る他の代替配列を、配列番号:51〜53に示す。AKAP−IS配列に関する置換に、下線が引かれている。配列番号:4に示されたAD2配列と同様に、AD部分が、追加のN末端残基システインおよびグリシン、ならびにC末端残基グリシンおよびシステインを含み得ることが、予期される。
【化6】
【0055】
Goldらの
図2には、以下に示す種々のAKAP蛋白質からの付加DDD結合配列が開示される。
【化7】
【0056】
Stokkaら(2006,Biochem J 400:493−99)も、配列番号:64〜66に示される、PKAへのAKAP結合のペプチド拮抗物質を開発した。そのペプチドアンタゴニストは、Ht31(配列番号:64)、RIAD(配列番号:65)およびPV−38(配列番号:66)と称される。Ht−31ペプチドは、PKAのRIIアイソフォームに対してより大きな親和力を示したが、RIADおよびPV−38は、RIに対してより高い親和力を示した。
【化8】
【0057】
Hundsruckerら(2006,Biochem J 396:297−306)は尚も、PKAのRII形態のDDDに対して0.4nMという低い結合定数を有する、PKAへのAKAP結合についての他のペプチド拮抗物質を開発した。様々なAKAPアンタゴニストペプチドの配列は、Hundsruckerらの表1に示されており、それを以下の表3に再現する。AKAP ISは、合成RIIサブユニット結合ペプチドを表す。他のペプチドは全て、示されたAKAPのRII結合ドメインから得られる。
【表3】
【0058】
異なるAKAP蛋白質のADドメインの間で高度に保存された残基を、AKAP IS配列(配列番号:3)を参照しながら下線により以下に示す。残基は、Altoら(2003)による観察と同様であり、C末端アラニン残基が付加されている(参照により本明細書に組み入れられる、Hundsruckerら(2006)の
図4参照)。RII DDD配列に対して特に高い親和力を有するペプチドアンタゴニストの配列は、AKAP−IS、AKAP7δ−wt−pep、AKAP7δ−L304T−pepおよびAKAP7δ−L308D−pepのものであった。
【化9】
【0059】
Carrら(2001,J Biol Chem 276:17332−38)は、ヒト蛋白質と非ヒト蛋白質との、異なるAKAP結合DDD配列の配列相同性の度合いを検査し、異なるDDD部分のうちで最も高度に保存されていると思われるDDD配列中の残基を同定した。これらを、配列番号:1のヒトPKA RIIa DDD配列を参照しながら以下に下線を引いて示す。特に保存された残基を、更に斜体により示す。その残基は、AKAP蛋白質への結合にとって重要であることがKindermanら(2006)により示唆されたものと重複しているが、同一ではない。DDDの配列変異体を設計する上で、最も保存された残基(斜体)の変動を回避することが最も好ましく、保存された残基(下線)の変動を回避することも好ましいが、保存的アミノ酸置換を下線のものまたは斜体のもののいずれでもない残基について考慮され得ることを、当業者は認識するであろう。
【化10】
【0060】
Carrら(2001)のデータに基づく、DDD1(配列番号:1)についての保存的アミノ酸置換の改変された組み合わせを、表4に示す。この置換配列の組み合わせを減少させても、65,000を超える可能な代替DDD部分配列が存在し、それは過度の実験を行わずとも当業者により製造、試験および使用され得る。当業者は、表1および表2について先に開示されたそのような代替DDDアミノ酸配列を即座に誘導することができる。
【表4】
【0061】
当業者は、DDDまたはADアミノ酸配列におけるこれらおよび他のアミノ酸置換を用いて、当該分野において標準の技術とわずかな日常的実験法を利用してADまたはDDD部分の部類の代替種を製造し得ることを、認識するであろう。
【0062】
インターフェロンおよび他の免疫調整物質
特定の好ましい実施形態において、エフェクター部分は、免疫調整物質である。免疫調整物質は、存在すると、身体の免疫系を変化、抑制または刺激する物質である。使用される免疫調整物質としては、サイトカイン、幹細胞増殖因子、リンフォトキシン、造血因子、コロニー刺激因子(CSF)、インターフェロン(IFN)、エリスロポエチン、トロンボポエチンおよびそれらの組み合わせを挙げることができる。特に有用なものは、腫瘍壊死因子(TNF)などのリンフォトキシン、インターロイキン(IL)などの造血因子、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)または顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)などのコロニー刺激因子、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγまたはインターフェロンλなどのインターフェロン、および「S1因子」と称されるものなどの幹細胞増殖因子を挙げることができる。
【0063】
より好ましい実施形態において、エフェクター部分は、サイトカイン、例えばリンフォカイン、モノカイン、増殖因子および伝統的ポリペプチドホルモンである。ヒト成長ホルモン、N−メチオニルヒト成長ホルモンおよびウシ成長ホルモンなどの成長ホルモン;甲状腺ホルモン;チロキシン;インスリン;プロインスリン;リラキシン;プロリラキシン;糖蛋白質ホルモン、例えば卵胞刺激ホルモン(FSH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、および黄体形成ホルモン(LH);胎盤成長ホルモン(PlGH)、肝細胞増殖因子;プロスタグランジン、繊維芽細胞増殖因子;プロラクチン;胎盤ラクトーゲン、OB蛋白質;腫瘍壊死因子αおよびβ;ミューラー管抑制物質;マウスゴナドトロピン関連ペプチド;インヒビン;アクチビン;血管内皮成長因子;インテグリン;トロンボポエチン(TPO);神経成長因子、例えばNGF−β;血小板由来成長因子;トランスフォーミング増殖因子(TGF)、例えばTGF−αおよびTGF−β;インスリン様成長因子IおよびII;エリスロポエチン(EPO);骨誘導性因子;インターフェロン、例えばインターフェロンα、β、γおよびλ;コロニー刺激因子(CSF)、例えばマクロファージ−CSF(M−CSF);インターロイキン(IL)、例えばIL−1、IL−lα、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12、IL−13、IL−14、IL−15、IL−16、IL−17、IL−18、IL−21、IL−25、LIF、Kit−リガンドまたはFLT−3、アンギオスタチン、トロンボスポンジン、エンドスタチン、腫瘍壊死因子(TNF、例えばTNF−α)およびLTである。特に好ましい実施形態において、サイトカインは、IFN−α2bである。
【0064】
蛋白質またはペプチドの免疫調整物質、例えばサイトカインのアミノ酸配列は、当該技術分野で周知であり、任意のそのような公知の配列は、本発明の実践において用いられ得る。当業者は、サイトカイン配列に関する数多くの公的情報源を知っている。例えばNCBIデータベースは、多数のサイトカインおよび免疫調整物質、例えばエリスロポエチン(GenBank NM 000799)、IL−1β(GenPept AAH08678)、GM−CSF(GenPept AAA52578)、TNF−α(GenPept CAA26669)、インターフェロンα (GenPept AAA52716.1)、インターフェロンα2b(GenPept AAP20099.1)、インターフェロンλ(GenPept 30G6_B;3HHC_A;3HHC_B;3HHC_C;3HHC_D;EAW56870.1;EAW56869.1;AAI40873.1)と、事実上任意の先に列挙されたペプチドまたは蛋白質免疫調整物質の蛋白質およびコード化核酸配列の両方を含む。該当する本質的に任意の蛋白質またはペプチドエフェクター部分にとって適切なアミノ酸および/または核酸配列を同定することは、当業者にとって日常的なことである。サイトカインの商業的供給元も利用可能であり、例えば完全長ヒトIFN−α2b cDNAクローン(Invitrogen Ultimate ORFヒトクローン cat# HORF01 Clone ID IOH35221)などを使用してもよい。
【0065】
抗体
特定の実施形態において、抗体またはその抗原結合フラグメントは、サイトカインの標的送達のための抗体または抗体フラグメントのインターフェロンまたは他のサイトカインへの結合などにより、DNL(商標)構築物に組み込まれ得る。任意の公知抗体またはその抗原結合フラグメントが、DNL(商標)構築物に組み込まれ得る。好ましい実施形態において、該複合体は、癌治療に使用され、該抗体は、腫瘍関連抗原(TAA)と結合する。非限定的に炭酸脱水酵素IX、CCCL19、CCCL21、CSAp、CD1、CD1a、CD2、CD3、CD4、CD5、CD8、CD11A、CD14、CD15、CD16、CD18、CD19、IGF−1R、CD20、CD21、CD22、CD23、CD25、CD29、CD30、CD32b、CD33、CD37、CD38、CD40、CD40L、CD45、CD46、CD52、CD54、CD55、CD59、CD64、CD66a−e、CD67、CD70、CD74、CD79a、CD80、CD83、CD95、CD126、CD133、CD138、CD147、CD154、AFP、PSMA、CEACAM5、CEACAM−6、B7、フィブロネクチンのED−B、H因子、FHL−1、Flt−3、葉酸受容体、gp41、gp120、GROB、HMGB−1、低酸素誘導因子(HIF)、HM1.24、インスリン様成長因子−1(ILGF−1)、IFN−γ、IFN−α、IFN−β、IL−2、IL−4R、IL−6R、IL−13R、IL−15R、IL−17R、IL−18R、IL−6、IL−8、IL−12、IL−15、IL−17、IL−18、IL−25、IP−10、MAGE、mCRP、MCP−1、MIP−1A、MIP−1B、MIF、MUC1、MUC2、MUC3、MUC4、MUC5ac、PAM4抗原、NCA−95、NCA−90、Ia、HM1.24、EGP−1、EGP−2、HLA−DR、テネイシン、Le(y)、RANTES、T101、TAC、Tn抗原、トムソン−フリーデンライヒ抗原、腫瘍壊死抗原、TNF−α、TRAIL受容体(R1およびR2)、VEGFR、EGFR、P1GF、補体因子C3、C3a、C3b、C5a、C5および癌遺伝子産物をはじめとする、種々の腫瘍関連抗原が、当該技術分野において公知である。他のタイプの標的抗原が、異なる疾患状態の抗体を基にした治療に用いられ、任意のそのような代替抗原を標的とする抗体を組み込んだDNL(商標)構築物が、使用され得る。
【0066】
DNL(商標)構築物において用いられ得る例示的抗癌性抗体としては、非限定的に、hRl(抗IGF−1R、2009年1月20日出願の米国特許仮出願第61/145,896号)、hPAM4 (抗MUCl、米国特許第7,282,567号)、hA20(抗CD20、米国特許第7,251,164号)、hA19(抗CD19、米国特許第7,109,304号)、hIMMU−31(抗AFP、米国特許第7,300,655号)、hLLI(抗CD74、米国特許第7,312,318号)、hLL2(抗CD22、米国特許第7,074,403号)、hMu−9(抗CSAp、米国特許第7,387,773号)、hL243(抗HLA−DR、米国特許第7,612,180号)、hMN−14(抗CEACAM5、米国特許第6,676,924号)、hMN−15(抗CEACAM6、米国特許出願第10/672,278号)、hRS7(抗EGP−1、米国特許第7,238,785号)およびhMN−3(抗CEA、米国特許第7,541,440号)が挙げられ、それらの各引用特許または出願の実施例の節は、参照により本明細書に組み入れられる。当業者は、この列挙が非限定的であり、任意の他の公知抗TAA抗体がDNL(商標)構築物に組み込まれ得ることを、認識するであろう。
【0067】
抗原結合抗体フラグメント、例えばF(ab’)
2、F(ab)
2、Fab’、Fab、Fv、scFvなどは、当該技術分野で周知であり、任意のそのような公知フラグメントが用いられ得る。本明細書で用いられる抗原結合抗体フラグメントは、インタクトまたは親抗体により認識される同じ抗原と結合する抗体の任意フラグメントを指す。事実上任意の該当する抗体またはフラグメントのADおよび/またはDDDコンジュゲートを調製する技術は、公知である(例えば、米国特許第7,527,787号)。
【0068】
使用され得て、治療薬にコンジュゲートされていない抗体またはそのフラグメントは、「裸の」抗体またはそのフラグメントと呼ばれる。代替実施形態において、抗体またはフラグメントは、1種以上の治療薬および/または診断薬にコンジュゲートされていてもよい。非常に様々なそのような治療および診断薬が、以下により詳細に議論される通り、当該技術分野で公知であり、任意のそのような公知治療または診断薬が、用いられ得る。
【0069】
事実上任意の標的抗原に対するモノクローナル抗体を調製する技術が、当該技術分野で周知である。例えば、Kohler and Milstein,Nature 256: 495(1975)、およびColigan et al.(eds.),CURRENT PROTOCOLS IN IMMUNOLOGY,VOL.1,p2.5.1−2.6.7(John Wiley & Sons 1991)を参照されたい。簡潔に述べると、マウスに抗原を含む組成物を注射し、脾臓を摘出してBリンパ球を得て、Bリンパ球を骨髄腫細胞と融合してハイブリドーマを生成し、ハイブリドーマをクローニングして、抗原に対する抗体を産生する陽性クローンを選別し、抗原に対する抗体を産生するクローンを培養して、ハイブリドーマ培養物から抗体を単離することにより、モノクローナル抗体を得ることができる。
【0070】
MAbは、種々の確立された技術によりハイブリドーマ培養物から単離および精製することができる。そのような単離技術としては、プロテインA−セファロースを用いるアフィニティークロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、およびイオン交換クロマトグラフィーが挙げられる。例えばColiganのp2.7.1−2.7.12およびp2.9.1−2.9.3を参照されたい。同じく、METHODS IN MOLECULAR BIOLOGY,VOL.10,p79−104(The Humana Press,Inc.1992)のBaines et al,”Purification of Immunoglobulin G(IgG),”を参照されたい。
【0071】
免疫原に対する抗体の初回産生の後、抗体を配列決定し、次に組換え技術により調製することができる。ネズミ抗体および抗体フラグメントのヒト化およびキメラ化は、当業者に周知である。ヒト化抗体、キメラ抗体、またはヒト抗体から得られる抗体成分の使用により、ネズミ定常領域の免疫原性に関連する潜在的問題を未然に防ぐ。
【0072】
キメラ抗体
キメラ抗体は、ヒト抗体の可変領域が、例えばマウス抗体の相補性決定領域(CDR)を含むマウス抗体の、可変領域によって置き換えられた組換え蛋白質である。キメラ抗体は、対象に投与されると、免疫原性の低下および安定性の上昇を示す。ネズミ免疫グロブリン可変ドメインをクローニングするための一般的な技術は、例えば、Orlandi et al.,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 6:3833(1989)に開示されている。キメラ抗体を構築するための技術は、当業者に周知である。例として、Leung et al.,Hybridoma 13:469(1994)では、抗CD22モノクローナル抗体であるネズミLL2のV
KおよびV
HドメインをコードするDNA配列を、それぞれのヒトκおよびIgG
1定常領域ドメインと組み合わせることによりLL2キメラを生成した。
【0073】
ヒト化抗体
ヒト化MAbを生成する技術は、当該技術分野で周知である(例えば、Jones et al.,Nature 321:522(1986)、Riechmann et al.,Nature 332:323(1988)、Verhoeyen et al.,Science 239:1534(1988)、Carter et al.,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 89:4285(1992)、Sandhu,Crit.Rev.Biotech.12:437(1992)、およびSinger et al.,J.Immun.150:2844(1993)参照)。キメラまたはネズミモノクローナル抗体は、マウス免疫グロブリンの重および軽鎖可変ドメイン由来のマウスCDRを、ヒト抗体の対応する可変ドメインに転移することにより、ヒト化され得る。キメラモノクローナル抗体におけるマウスフレームワーク領域(FR)も、ヒトFR配列と置き換えられる。マウスCDRをヒトFRに単に転移すると、多くの場合、抗体親和力の低下または喪失も起こるため、ネズミ抗体の本来の親和力を回復するためには、更なる改変が必要とされる。このことは、FR領域における1個以上のヒト残基を、それらのネズミ対応部分と置き換えて、エピトープに対する良好な結合親和力を有する抗体を得ることにより達成され得る。例えば、Tempest et al.,Biotechnology 9:266(1991)およびVerhoeyen et al.,Science 239:1534(1988)を参照されたい。一般にネズミ対応物とは異なっていて、1つ以上のCDRアミノ酸残基に接近して配置されるか、またはそれに接触している、それらのヒトFRアミノ酸残基が、置換の候補物質となろう。
【0074】
ヒト抗体
コンビナトリアルアプローチ、またはヒト免疫グロブリン遺伝子座で形質転換されたトランスジェニック動物のいずれかを用いる完全ヒト抗体を生成する方法は、当該技術分野で公知である(例えば、Mancini et al.,2004、New Microbiol.27:315−28;Conrad and Scheller,2005,Comb.Chem.High Throughput Screen.8:117−26;Brekke and Loset,2003,Curr.Opin.Phamacol.3:544−50)。完全ヒト抗体は、遺伝子または染色体トランスフェクション法およびファージディスプレイ技術によっても構築することができ、それらは全てが当該技術分野で公知である。例えば、McCafferty et al., Nature 348:552−553(1990)を参照されたい。そのような完全ヒト抗体は、キメラまたはヒト化抗体よりも更に少ない副作用を示すこと、およびインビボにおいて実質的に内因性ヒト抗体として機能することが予測される。特定の実施形態において、請求された方法および手順は、そのような技術により生成されたヒト抗体を利用し得る。
【0075】
1つの代替例において、ファージディスプレイ技術を用いて、ヒト抗体(例えば、Dantas−Barbosa et al.,2005,Genet.Mol.Res.4:126−40)を生成することができる。ヒト抗体は、正常なヒト、または癌などの特定の病的状況を示すヒトから生成され得る(Dantas−Barbosa et al.,2005)。罹患した個体からヒト抗体を構築する利点は、循環する抗体レパートリーが疾患関連抗原への抗体に偏り得ることである。
【0076】
この方法論の1つの非限定的な例において、Dantas−Barbosaら(2005)は、骨肉腫患者由来のヒトFab抗体フラグメントのファージディスプレイライブラリを構築した。概して、全RNAが、循環血リンパ球から得られた(同上)。組換えFabが、μ、γおよびκ鎖抗体レパートリーからクローニングされ、ファージディスプレイライブラリ内に挿入された(同上)。RNAは、cDNAに変換され、重および軽鎖免疫グロブリン配列に対して特異的なプライマーを用いて、Fab cDNAライブラリを作製するのに用いられた(Marks et al.,1991.J.Mol.Biol.222:581−97)。ライブラリ構築は、Andris−Widhopfら(2000、Phage Display Laboratory Manual,Barbas et al.(eds),1
stedition,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY p9.1−9.22)に従い実施された。最終的なFabフラグメントを制限エンドヌクレアーゼによって消化し、バクテリオファージゲノム内に挿入して、ファージディスプレイライブラリを作製した。そのようなライブラリは、当該技術分野で公知の標準的なファージディスプレイ方法によってスクリーニングされ得る(例えば、Pasqualini and Ruoslahti,1996,Nature 380:364−366;Pasqualini,1999,The Quart.J.Nucl.Med.43:159−162参照)。
【0077】
ファージディスプレイは、種々の形式で実施することができ、レビューについては、例えばJohnson and Chiswell、Current Opinion in Structural Biology 3:5564−571(1993)を参照されたい。ヒト抗体は、インビトロ活性化B細胞により生成することもできる。全体として参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第5,567,610号および同第5,229,275号を参照されたい。当業者は、これらの技術が例示的なものであり、ヒト抗体または抗体フラグメントを作製およびスクリーニングするための任意の公知の方法が利用され得ることを、認識するであろう。
【0078】
別の代替例において、遺伝子操作されてヒト抗体を生成したトランスジェニック動物を用いて、標準的な免疫化プロトコルを用いて本質的に任意の免疫原性標的に対する抗体を生成することができる。トランスジェニックマウスからヒト抗体を得る方法は、Green et al.,Nature Genet.7:13(1994)、Lonberg et al.,Nature 368:856(1994)、およびTaylor et al.,Int.Immun.6:579(1994)により開示されている。そのような系の非限定的な例は、Abgenix(カリフォルニア州フリーモント所在)のXenoMouse(登録商標)である(例えば、Green et al.,1999,J.Immunol.Methods 231:11−23)。XenoMouse(登録商標)および類似の動物において、マウス抗体遺伝子は、不活性されて機能的なヒト抗体遺伝子によって置き換えらたが、マウス免疫系の残りの部分はインタクトのままである。
【0079】
XenoMouse(登録商標)は、可変領域配列の大部分を含むヒトIgHおよびIgκ遺伝子座の一部をアクセサリー遺伝子および調節配列と共に含有する、生殖系列構成のYAC(酵母人工染色体)によって形質転換された。ヒト可変領域レパートリーが用いられて、抗体産生B細胞を生成してもよく、該細胞は公知の技術によってハイブリドーマに処理されてよい。標的抗原で免疫化されたXenoMouseは、通常の免疫応答によりヒト抗体を産生し、この抗体は、先で議論された標準的な技術によって採取および/または産生されてよい。種々の系統のXenoMouse(登録商標)が利用可能であり、それらのそれぞれが、異なるクラスの抗体を産生することが可能である。トランスジェニックにより産生されたヒト抗体は、通常のヒト抗体の薬物動態特性を保持しながら、治療的能力を有することが示されている(Green et al.,1999)。当業者は、請求された組成物および方法が、XenoMouse(登録商標)系の使用に限定されるものではなく、ヒト抗体を産生するよう遺伝子操作された任意のトランスジェニック動物を利用してヒト抗体を産生し得ることを、認識するであろう。
【0080】
抗体フラグメント
特異的なエピトープを認識する抗体フラグメントは、公知の技術により生成され得る。抗体フラグメントは、抗体、例えばF(ab’)
2、Fab’、F(ab)
2、Fab、Fv、sFvなどの抗原結合部分である。F(ab’)
2フラグメントは、抗体分子のペプシン消化によって産生され得、Fab’フラグメントは、F(ab’)
2フラグメントのジスルフィド架橋を減少させることによって生成され得る。あるいはFab’発現ライブラリが構築されて(Huse et al.,1989,Science,246:1274−1281)、所望の特異性を有するモノクローナルFab’フラグメントの迅速かつ容易な同定を可能にすることができる。F(ab)
2フラグメントは、抗体のパパイン消化により生成され得、Fabフラグメントは、ジスルフィドの還元により得られる。
【0081】
一本鎖Fv分子(scFv)は、VLドメインおよびVHドメインを含む。該VLドメインとVHドメインとが会合して、標的結合部位を形成する。これら2つのドメインは、ペプチドリンカー(L)により更に共有結合で連結される。scFv分子を作製し適切なペプチドリンカーを設計する方法は、米国特許第4,704,692号、米国特許第4,946,778号、R.Raag and M.Whitlow,”Single Chain Fvs.”FASEB Vol 9:73−80(1995)、およびR.E. Bird and B.W.Walker,”Single Chain Antibody Variable Regions,”TIBTECH,Vol 9:132−137(1991)に記載される。
【0082】
単一ドメイン抗体(DAB)の作製技術も、例えば、参照により本明細書に組み入れられる、Cossinsら(2006,Prot Express Purif 51:253−259)により開示される通り、当該技術分野で公知である。
【0083】
抗体フラグメントは、完全長抗体の蛋白質分解性の加水分解、またはフラグメントをコードするDNAのE.コリもしくは別の宿主における発現により、調製され得る。抗体フラグメントは、従来の方法により完全長抗体のペプシンまたはパパイン消化により得ることができる。これらの方法は、例えば、Goldenbergによる米国特許第4,036,945号および同第4,331,647号、ならびにこれらに包含される参考資料に記載される。同じくNisonoff et al.,Arch Biochem.Biophys.89:230(1960);Porter,Biochem.J.73:119(1959),Edelman et al.,METHODS IN ENZYMOLOGY VOL.1,p422(Academic Press 1967)およびColiganのp2.8.1−2.8.10および2.10.−2.10.4を参照されたい。
【0084】
公知の抗体
使用される抗体は、非常に様々な公知供給元から商業的に得ることができる。例えば種々の抗体分泌ハイブリドーマ株が、American Type Culture Collection(ATCC、バージニア州マナサス所在)から入手可能である。非限定的に腫瘍関連抗原をはじめとする様々な疾患標的に対する多数の抗体が、ATCCに寄託されており、そして/または可変領域配列を公開しており、請求された方法および組成物における使用に利用可能である。例えば、米国特許第7,312,318号;同第7,282,567号;同第7,151,164号;同第7,074,403号;同第7,060,802号;同第7,056,509号;同第7,049,060号;同第7,045,132号;同第7,041,803号;同第7,041,802号;同第7,041,293号;同第7,038,018号;同第7,037,498号;同第7,012,133号;同第7,001,598号;同第6,998,468号;同第6,994,976号;同第6,994,852号;同第6,989,241号;同第6,974,863号;同第6,965,018号;同第6,964,854号;同第6,962,981号;同第6,962,813号;同第6,956,107号;同第6,951,924号;同第6,949,244号;同第6,946,129号;同第6,943,020号;同第6,939,547号;同第6,921,645号;同第6,921,645号;同第6,921,533号;同第6,919,433号;同第6,919,078号;同第6,916,475号;同第6,905,681号;同第6,899,879号;同第6,893,625号;同第6,887,468号;同第6,887,466号;同第6,884,594号;同第6,881,405号;同第6,878,812号;同第6,875,580号;同第6,872,568号;同第6,867,006号;同第6,864,062号;同第6,861,511号;同第6,861,227号;同第6,861,226号;同第6,838,282号;同第6,835,549号;同第6,835,370号;同第6,824,780号;同第6,824,778号;同第6,812,206号;同第6,793,924号;同第6,783,758号;同第6,770,450号;同第6,767,711号;同第6,764,688号;同第6,764,681号;同第6,764,679号;同第6,743,898号;同第6,733,981号;同第6,730,307号;同第6,720,155号;同第6,716,966号;同第6,709,653号;同第6,693,176号;同第6,692,908号;同第6,689,607号;同第6,689,362号;同第6,689,355号;同第6,682,737号;同第6,682,736号;同第6,682,734号;同第6,673,344号;同第6,653,104号;同第6,652,852号;同第6,635,482号;同第6,630,144号;同第6,610,833号;同第6,610,294号;同第6,605,441号;同第6,605,279号;同第6,596,852号;同第6,592,868号;同第6,576,745号;同第6,572,856号;同第6,566,076号;同第6,562,618号;同第6,545,130号;同第6,544,749号;同第6,534,058号;同第6,528,625号;同第6,528,269号;同第6,521,227号;同第6,518,404号;同第6,511,665号;同第6,491,915号;同第6,488,930号;同第6,482,598号;同第6,482,408号;同第6,479,247号;同第6,468,531号;同第6,468,529号;同第6,465,173号;同第6,461,823号;同第6,458,356号;同第6,455,044号;同第6,455,040号;同第6,451,310号;同第6,444,206号;同第6,441,143号;同第6,432,404号;同第6,432,402号;同第6,419,928号;同第6,413,726号、同第6,406,694号;同第6,403,770号;同第6,403,091号;同第6,395,276号;同第6,395,274号;同第6,387,350号;同第6,383,759号;同第6,383,484号;同第6,376,654号;同第6,372,215号;同第6,359,126号;同第6,355,481号;同第6,355,444号;同第6,355,245号;同第6,355,244号;同第6,346,246号;同第6,344,198号;同第6,340,571号;同第6,340,459号;同第6,331,175号;同第6,306,393号;同第6,254,868号;同第6,187,287号;同第6,183,744号;同第6,129,914号;同第6,120,767号;同第6,096,289号;同第6,077,499号;同第5,922,302号;同第5,874,540号;同第5,814,440号;同第5,798,229号;同第5,789,554号;同第5,776,456号;同第5,736,119号;同第5,716,595号;同第5,677,136号;同第5,587,459号;同第5,443,953号;同第5,525,338号を参照されたい。これらは例示に過ぎず、広範の他の抗体およびこれらのハイブリドーマが当該分野において公知である。当業者は、ほとんどの任意の疾患関連抗原に対する抗体配列または抗体分泌ハイブリドーマが、該当する選択された疾患関連標的への抗体に関するATCC、NCBIおよび/またはUSPTOデータベースの簡単検索によって入手し得ることを認識するであろう。クローニングされた抗体の抗原結合ドメインは、当該分野で周知の標準的な技術を用いて増幅、切除され、発現ベクター内にライゲートされ、適合した宿主細胞内にトランスフェクトされ、蛋白質産生に用いられ得る。
【0085】
請求された方法および組成物の範囲内の癌の治療に使用され得る特定の抗体としては、 LL1(抗CD74)、エプラツズマブ(LL2)、RFB4(抗CD22)、RS7(抗上皮糖蛋白質−1(EGP−1)または抗TROP−2)、PAM4およびKC4(両者とも抗ムチン)、MN−14(抗癌胎児性抗原(CEACAM5。CD66eとしても公知)、Mu−9(抗結腸特異性抗原−p)、Immu−31(抗αフェト蛋白質)、抗TAG−72(例えば、CC49)、抗Tn、J591またはHuJ591(抗PSMA(前立腺特異性膜抗原))、AB−PGl−XGl−026(抗PSMA二量体)、D2/B(抗PSMA)、G250(抗炭酸脱水酵素IX)、hL243(抗HLA−DR)、アレムツズマブ(抗CD52)、ベバシツズマブ(抗VEGF)、セツキシマブ(抗EGFR)、ゲムツズマブ(抗CD33)、イブリツモマブチウキセタン(抗CD20);パニツムマブ(抗EGFR);リツキシマブ(抗CD20);トシツモマブ(抗CD20);GA101(抗CD20);ベルツズマブ(抗CD20)、ならびにトラスツズマブ(抗ErbB2)が挙げられる。そのような抗体は、当該分野において公知である(例えば、米国特許第5,686,072号;同第5,874,540号;同第6,107,090号;同第6,183,744号;同第6,306,393号;同第6,653,104号;同第6,730.300号;同第6,899,864号;同第6,926,893号;同第6,962,702号;同第7,074,403号;同第7,230,084号;同第7,238,785号;同第7,238,786号;同第7,256,004号;同第7,282,567号;同第7,300,655号;同第7,312,318号;同第7,585,491号;同第7,612,180号;同第7,642,239号および米国特許出願公開第20040202666号(現在は放棄されている);同第20050271671号;および同第20060193865号であり、それらの実施例の節は参照により本明細書に組み入れられる)。使用される具体的な公知抗体としては、hPAM4(米国特許第7,282,567号)、hA20(米国特許第7,251,164号)、hA19(米国特許第7,109,304号)、hIMMU31(米国特許第7,300,655号)、hLL1(米国特許第7,312,318号)、hLL2(米国特許第7,074,403号)、hMu−9(米国特許第7,387,773号)、hL243(米国特許第7,612,180号)、hMN−14(米国特許第6,676,924号)、hMN−15(米国特許第7,541,440号)、hR1(米国特許出願第12/772,645号)、hRS7(米国特許第7,238,785号)、hMN−3(米国特許第7,541,440号)、AB−PG1−XG1−026(米国特許出願第11/983,372号、ATCC PTA−4405およびPTA−4406として寄託)およびD2/B(WO2009/130575号)が挙げられ、引用された各特許または出願の本文は、図および実施例の節に関する参照により本明細書に組み入れられる。
【0086】
抗TNF−α抗体は、当該技術分野で公知であり、喘息などの免疫疾患を処置するのに用いられ得る。TNF−αに対する公知抗体としては、ヒト抗体CDP571(Ofei et al,2011,Diabetes 45:881−85);ネズミ抗体MTNFAI、M2TNFAI、M3TNFAI、M3TNFABI、M302BおよびM303(Thermo Scientific、イリノイ州ロックフォード所在);インフリキシマブ(Centocor、ペンシルバニア州マルバーン所在);セルトリズマブペゴール(UCB、ベルギー、ブリュッセル所在); およびアダリムマブ(Abbott、イリノイ州アボットパーク所在)が挙げられる。これらおよび多くの他の公知抗TNF−α抗体が、請求された方法および組成物において用いられ得る。使用される他の抗体としては、非限定的に抗B細胞抗体、例えばベルツズマブ、エプラツズマブ、ミラツズマブまたはhL243;トシリズマブ(抗IL−6受容体);バシリキシマブ(抗CD25);ダクリズマブ(抗CD25);エファリズマブ(抗CDlla);ムロモナブ−CD3(抗CD3受容体);抗CD40L(UCB、ベルギー、ブリュッセル所在);ナタリズマブ(抗α4−インテグリン)およびオマリズマブ(抗IgE)が挙げられる。
【0087】
マクロファージ遊走阻害因子(MIF)は、自然および適応免疫ならびにアポトーシスの重要な調節物質である。CD74が、MIFの内因性受容体であることが、報告された(Leng et al.,2003,J Exp Med 197:1467−76)。MIFを介した細胞内経路での拮抗性抗CD74抗体の治療作用は、膀胱、前立腺、乳房、肺、結腸および慢性リンパ性白血病などの癌(例えば、Meyer−Siegler et al.,2004,BMC Cancer 12:34;Shachar & Haran,2011,Leuk Lymphoma 52:1446−54);腎臓同種移植片拒絶などの腎臓疾患(Lan,2008,Nephron Exp Nephrol.109:e79−83);および数多くの炎症性疾患(Meyer−Siegler et al.,2009,Mediators Inflamm epub March 22,2009; Takahashi et al.,2009,Respir Res 10:33)などの広範囲の疾患状態の処置に使用されてもよく;ミラツズマブ(hLLl)は、MIFを介した疾患の処置に治療使用される例示的抗CD74抗体である。
【0088】
本発明の医薬組成物は、アルツハイマー病などの神経変性疾患を有する対象を処置するのに用いられ得る。バピネオズマブは、アルツハイマー病の治療に向けた臨床試験の最中である。アルツハイマー病の治療に提案された他の抗体としては、Alz 50(Ksiezak−Reding et al.,1987,J Biol Chem 263:7943−47)、ガンテネルマブ、およびソラネズマブが挙げられる。抗TNF−α抗体であるインフリキシマブは、アミロイド斑を減少させて認知を改善することが報告された。アルツハイマー病患者の脳の神経原線維タングルにおけるCD74の発現(Bryan et al.,Mol Neurodegeneration 2008;3:13)から、CD74が、抗CD74拮抗性ペプチドまたは抗体を介してこの疾患を処置するための別のターゲットであり、単独で、または本明細書に記載されたDNL構築物を介して用いられる。
【0089】
用いられ得る他の抗体としては、感染性疾患病原体、例えばバクテリア、ウイルス、マイコプラズマ、または他の病原に対する抗体が挙げられる。そのような感性性病原体に対する多くの抗体は、当該技術分野で公知であり、任意のそのような公知抗体は、請求された方法および組成物中で用いることができる。例えばヒト免疫不全ウイルスI(HIV−1)のgp120糖蛋白質抗原に対する抗体は、公知であり、そのような抗体の特定のものは、ヒトにおいて免疫防御的役割を有し得る。例えば、Rossi et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA.86:8055−8058,1990を参照されたい。公知の抗HIV抗体としては、Johanssonら(AIDS.2006 Oct 3;20(15):1911−5)により記載された抗エンベロープ抗体、およびPolymun(オーストリア、ビエナ所在)により記載および販売され、米国特許第5,831,034号、同第5,911,989号、Vcelar et al.,AIDS 2007;21(16):2161−2170およびJoos et al.,Antimicrob.Agents Chemother.2006;50(5):1773−9(全てが参照により本明細書に組み入れられる)にも記載された抗HIV抗体が挙げられる。
【0090】
マラリア原虫に対する抗体は、スポロゾイト、メロゾイト、シゾントおよびガメトサイト期を対象とし得る。モノクローナル抗体が、スポロゾイトに対して生成され(サーカムスポロゾイト抗原)、インビトロで、そしてげっ歯類において、スポロゾイトを中和することが示された(N.Yoshida et al.,Science 207:71−73,1980)。複数のグループが、トキソプラズモーシスに関与するプロトゾアン寄生虫であるT.ゴンジイへの抗体を開発した(Kasper et al.,J.Immunol.129:1694−1699,1982;同上,30:2407−2412,1983)。抗体が、シストソミュラ表面抗原に対して開発され、インビボまたはインビトロでシストソミュラに作用することが見いだされた(Simpson et al.,Parasitology,83:163−177,1981;Smith et al.,Parasitology,84:83−91,1982:Gryzch et al.,J.Immunol.,129:2739−2743,1982;Zodda et al.,J.Immunol.129:2326−2328,1982;Dissous et al.,J.Immunol.,129:2232−2234,1982)。
【0091】
トリパノソーマ・クルージは、シャーガス病の原因病原体であり、吸血昆虫により伝搬される。インビトロでその寄生虫の1つの形態から別の形態(エピマスチゴート期からトリポマスチゴート期)への分化を特異的に阻害し、細胞表面糖蛋白質と反応する抗体が生成されたが、この抗原は該寄生虫の哺乳動物(血流)形態が存在しない(Sher et al.,Nature,300:639−640,1982)。
【0092】
抗真菌抗体、例えば抗スクレロチニア抗体(米国特許第7,910,702号);抗グルクロノキシロマンナン抗体(Zhong and Priofski,1998,Clin Diag Lab Immunol 5:58−64);抗カンジダ抗体(Matthews and Burnie,2001,2:472−76);および抗グリコスフィンゴリピッド抗体(Toledo et al.,2010,BMC Microbiol 10:47)が、当該技術分野で公知である。
【0093】
適切な抗体が、ヒトにおける感染の大部分を担う微生物(バクテリア、ウイルス、原生動物、真菌、他の寄生虫)のほとんどに対して開発され、多くはこれまでにインビトロ診断の目的で用いられてきた。従来の方法により生成され得るこれらの抗体、およびより新しい抗体が、本発明の使用に適する。
【0094】
抗体のアロタイプ
治療抗体の免疫原性は、インヒュージョンリアクションのリスク増大および治療的応答の持続期間短縮に関連する (Baert et al., 2003, N Engl J Med 348:602−08)。治療抗体が宿主における免疫反応を誘導する度合いは、一部として抗体のアロタイプにより決定され得る(Stickler et al.,2011,Genes and Immunity 12:213−21)。抗体のアロタイプは、抗体の定常領域配列における特異的位置のアミノ酸配列変異に関係する。重鎖γ型定常領域を含むIgG抗体のアロタイプは、Gmアロタイプと称される(1976,J Immunol 117:1056−59)。
【0095】
一般的なIgG1ヒト抗体の場合、最も多くを占めるアロタイプは、G1m1である(Stickler et al., 201 1 , Genes and Immunity 12:213−21)。しかし、G1m3アロタイプも、コーカサス人種において頻繁に生じる(同上)。G1m1抗体が非G1m1(nG1m1)レシピエント、例えばG1m3患者に投与されると免疫反応を誘導する傾向があるアロタイプ配列を含むことが、報告された(同上)。非G1m1アロタイプ抗体は、G1m1患者に投与されると免疫原性にはならない(同上)。
【0096】
ヒトG1m1アロタイプは、重鎖IgG1のCH3配列内のカバット位置356にアミノ酸であるアスパラギン酸を、そしてカバット位置358にロイシンを含む。nG1m1アロタイプは、カバット位置の356にアミノ酸であるグルタミン酸を、そしてカバット位置の358にメチオニンを含む。G1m1およびnG1m1のアロタイプは両者とも、カバット位置357にグルタミン酸残基を含み、それらのアロタイプは、時としてDELおよびEEMアロタイプと呼ばれる。G1m1およびnG1m1アロタイプ抗体の重鎖定常領域配列の非限定的例を、例示的抗体リツキシマブ(配列番号:85)およびベルツズマブ(配列番号:86)において示す。
リツキシマブ重鎖可変領域配列(配列番号:85)
【化11】
【0097】
JefferisおよびLefranc(2009,mAbs 1:1−7)は、IgGアロタイプの配列変異特性および免疫原性への影響をレビューした。彼らは、G1m17アロタイプのカバット位置214のリジン残基に比較して、G1m3アロタイプがカバット位置214のアルギニン残基により特徴づけられることを報告した。nG1m1,2アロタイプは、カバット位置356のグルタミン酸、カバット位置358のメチオニン、およびカバット位置431のアラニンにより特徴づけられた。G1m1,2アロタイプは、カバット位置356のアスパラギン酸、カバット位置358のロイシン、およびカバット位置431のグリシンにより特徴づけられた。JefferisおよびLefranc(2009)は、重鎖定常領域の配列変異に加えて、カバット位置153のバリンおよびカバット位置191のロイシンにより特徴づけられるKm1アロタイプ、カバット位置153のアラニンおよびカバット位置191のロイシンにより特徴づけられるKm1,2アロタイプ、ならびにカバット位置153のアラニンおよびカバット位置191のバリンにより特徴づけられるKm3アロタイプを含む、κ軽鎖定常領域内のアロタイプ変異体を報告した。
【0098】
治療抗体に関連して、ベルツズマブおよびリツキシマブは、それぞれ非常に多様な血液悪性腫瘍の治療のために使用されるCD20に対するヒト化抗体およびキメラIgG1抗体である。表5で、リツキシマブ対ベルツズマブのアロタイプ配列を比較している。表5に示す通り、リツキシマブ(G1m17,1)は、DELアロタイプIgG1であり、ベルツズマブ内のアルギニンに対してリツキシマブ内ではリジンの、カバット位置214(重鎖CH1)の付加配列変異を有する。ベルツズマブがリツキシマブよりも対象における免疫原性が低いことが報告され(例えば、Morchhauser et al.,2009,J Clin Oncol 27:3346−53;Goldenberg et al,2009,Blood 113:1062−70; Robak & Robak,2011,BioDrugs 25:13−25参照)、その作用はヒト化抗体とキメラ抗体の間の差異に起因した。しかしEEMアロタイプとDELアロタイプの間のアロタイプにおける差異も、ベルツズマブのより低い免疫原性の原因をなす可能性がある。
【表5】
【0099】
nG1m1ジェノタイプそれぞれにおける治療抗体の免疫原性を低減するためには、カバット位置214のアルギニンにより特徴づけられるG1m3アロタイプ、ならびにカバット位置356のグルタミン酸、カバット位置358のメチオニンおよびカバット位置431のアラニンにより特徴づけられるnG1m1,2ヌルアロタイプ(null−allotype)に対応する抗体のアロタイプを選択することが望ましい。意外にも、長期間にわたるG1m3抗体の反復皮下投与が、有意な免疫反応をもたらさないことが、見出された。代替実施形態において、G1m3アロタイプと共通するヒトIgG4重鎖が、カバット位置214にアルギニン、カバット位置356にグルタミン酸、カバット位置359にメチオニンおよびカバット位置431にアラニンを有する。免疫原性が、それらの位置の残基に少なくとも一部関係すると思われるため、治療抗体のためのヒトIgG4重鎖定常領域配列の使用も、好ましい実施形態である。G1m3 IgG1抗体とIgG4抗体との組み合わせも、治療的投与に使用され得る。
【0100】
アミノ酸置換
特定の実施形態において、開示された方法および組成物は、1つ以上の置換されたアミノ酸残基を有する蛋白質またはペプチドの製造および使用を包含し得る。非限定的例において、DNL(商標)構築物の作製に用いられるDDDおよび/またはAD配列は、例えばDDD−AD結合親和力を増大させるように、更に最適化されてもよい。
【0101】
一般に、アミノ酸置換が通常、あるアミノ酸を、特性が比較的類似した別のアミノ酸と置き換えること(すなわち、保存的アミノ酸置換)を包含することを、当業者は認識するであろう。様々なアミノ酸の特性、ならびにアミノ酸置換の蛋白質の構造および機能に及ぼす影響は、当該技術分野における広範な研究および知識の主題であった。
【0102】
例えば、アミノ酸のハイドロパシー指標が考慮され得る(Kyte and Doolittle,1982,J.Mol.Biol.,157:105−132)。アミノ酸の相対的ハイドロパシー特性が、得られた蛋白質の二次構造に寄与し、それにより蛋白質と他の分子との相互作用が決定される。各アミノ酸には、その疎水性および電荷特性に基づきハイドロパシー指標が割り当てられ(Kyte & Doolittle,1982)、これらは:イソロイシン(+4.5);バリン(+4.2);ロイシン(+3.8);フェニルアラニン(+2.8);システイン/シスチン(+2.5);メチオニン(+1.9);アラニン(+1.8);グリシン(−0.4);トレオニン(−0.7);セリン(−0.8);トリプトファン(−0.9);チロシン(−1.3);プロリン(−1.6);ヒスチジン(−3.2);グルタミン酸(−3.5);グルタミン(−3.5);アスパラギン酸(−3.5);アスパラギン(−3.5);リジン(−3.9);およびアルギニン(−4.5)、である。保存的置換を生成する場合、ハイドロパシー指標が±2以内のアミノ酸の使用が好ましく、±1以内のアミノ酸の使用がより好ましく、±0.5以内のアミノ酸の使用が更により好ましい。
【0103】
アミノ酸置換は、アミノ酸残基の親水性も考慮され得る(例えば、米国特許第4,554,101号)。アルギニン(+3.0);リジン(+3.0);アスパラギン酸(+3.0);グルタミン酸(+3.0);セリン(+0.3);アスパラギン(+0.2);グルタミン(+0.2);グリシン (0);トレオニン(−0.4);プロリン(−0.5 ±1);アラニン(−0.5);ヒスチジン(−0.5);システイン(−1.0);メチオニン(−1.3);バリン(−1.5);ロイシン(−1.8);イソロイシン(−1.8);チロシン(−2.3);フェニルアラニン(−2.5);トリプトファン(−3.4)のように、アミノ酸残基に親水性値が割り当てられた。アミノ酸と親水性が類似した他のアミノ酸との置換が、好ましい。
【0104】
その他の考慮事項としては、アミノ酸側鎖のサイズが挙げられる。例えば、グリシンまたはセリンのような小型の側鎖を有するアミノ酸を、大型の側鎖を有するアミノ酸、例えばトリプトファンまたはチロシンと置換するのは、一般に好ましくなかろう。蛋白質の二次構造に及ぼす様々なアミノ酸残基の影響も、考慮事項である。実証研究により、蛋白質ドメインがα−へリックス、β−シートまたはリバースターン二次構造を採用する傾向に及ぼす異なるアミノ酸の影響が決定されており、当該技術分野で公知である(例えば、Chou & Fasman、1974,Biochemistry,13:222−245;1978,Ann.Rev.Biochem.,47:251−276;1979,Biophys.J.,26:367−384参照)。
【0105】
そのような考慮事項および広範な実証研究に基づいて、保存的アミノ酸置換表が作成されており、当該分野で公知である。例えば、アルギニンとリジン;グルタミン酸とアスパラギン酸;セリンとトレオニン;グルタミンとアスパラギン;およびバリン、ロイシンとイソロイシン。あるいは、Ala(A)leu、ile、val;Arg(R)gln、asn、lys;Asn(N)his、asp、lys、arg、gln;Asp(D)asn、glu;Cys(C)ala、ser;Gln(Q)glu、asn;Glu(E)gln、asp;Gly(G)ala;His(H)asn、gln、lys、arg;He(I)val、met、ala、phe、leu;Leu(L)val、met、ala、phe、ile;Lys(K)gln、asn、arg;Met(M)phe、ile、leu;Phe(F)leu、val、ile、ala、tyr;Pro(P)ala;Ser(S)、thr;Thr(T)ser;Trp(W)phe、tyr;Tyr(Y)trp、phe、thr、ser;Val(V)ile、leu、met、phe、ala。
【0106】
アミノ酸置換に関するその他の考慮事項としては、残基が蛋白質の内側にあるか否か、あるいは溶媒に暴露されているか否かがある。内側の残基に関しては、保存的置換として、AspとAsn;SerとThr;SerとAla;ThrとAla;AlaとGly;HeとVal;ValとLeu;LeuとIle;LeuとMet;PheとTyr;TyrとTrpが挙げられる(例えば、rockefeller.eduのウェブサイトPROWL参照)。溶媒に暴露されている側鎖に関しては、保存的置換として、 AspとAsn;AspとGlu;GluとGln;GluとAla;GlyとAsn;AlaとPro;AlaとGly;AlaとSer;AlaとLys;SerとThr;LysとArg;ValとLeu;LeuとIle;HeとVal;PheとTyrが挙げられる(同上)。アミノ酸置換の選択を支援するように、PAM250スコアリングマトリックス、Dayhoffマトリックス、Granthamマトリックス、McLachlanマトリックス、Doolittleマトリックス、Henikoffマトリックス、Miyataマトリックス、Fitchマトリックス、Jonesマトリックス、Raoマトリックス、LevinマトリックスおよびRislerマトリックスなどな様々なマトリックスが作成された(同上)。
【0107】
アミノ酸置換を決定する上で、正に帯電した残基(例えば、His、Arg、Lys)と負に帯電した残基(例えば、Asp、Glu)の間のイオン結合(塩橋)、または隣接するシステイン残基間のジスルフィド結合の形成など、分子間または分子内結合の存在も考慮され得る。
【0108】
コードされた蛋白質配列において任意のアミノ酸を他の任意のアミノ酸と置換する方法は周知で、当業者にとっては日常的実験方法であり、例えば部位特異的突然変異誘発技術によるか、またはアミノ酸置換をコードするオリゴヌクレオチドを合成および組織化して、発現ベクター構築物内にスプライスすることによる。
【0109】
アプタマー
特定の実施形態において、使用される標的部分は、アプタマーであってもよい。アプタマーの結合特性を構築および決定する方法は、当該技術分野で周知である。例えば、そのような技術は、米国特許第5,582,981号、同第5,595,877号および同第5,637,459号に記載され、それぞれの実施例の節は、参照により本明細書に組み入れられる。該当する特定の標的に結合するアプタマーの調製およびスクリーニングの方法は、周知であり、例えば米国特許第5,475,096号および米国特許第5,270,163号であり、それぞれの実施例の節は、参照により本明細書に組み入れられる。
【0110】
アプタマーは、合成、組換え、および精製方法をはじめとする任意の公知方法により調製され得、単独で、または同一の標的に対して特異的な他のリガンドと組み合わせて使用され得る。一般に、最低約3つのヌクレオチド、好ましくは少なくとも5つのヌクレオチドが、特異的結合を実行するのに必要となる。10塩基よりも短い配列のアプタマーも実行可能であるが、10、20、30、または40のヌクレオチドのアプタマーが好ましくなり得る。
【0111】
アプタマーを、単離、配列決定、および/もしくは増幅するか、または従来のDNAもしくはRNA分子として合成し得る。あるいは該当するアプタマーは、修飾されたオリゴマーを含有し得る。通常、アプタマー中に存在する任意のヒドロキシル基が、ホスホン酸基、リン酸基により置換されても、標準の保護基により保護されても、もしくは他のヌクレオチドに追加の結合を調製するために活性化されてもよく、または固体支持体にコンジュゲートされてもよい。1つ以上のホスホジエステル結合は、P(O)S、P(O)NR2、P(O)R、P(O)OR’、CO、またはCNR2により置換されるP(O)O(ここでRは、Hまたはアルキル(1〜20C)であり、R’は、アルキル(1〜20C)である)など、代替的な結合基により置き替えられてもよく、加えてこの基は、OまたはSを介して隣接するヌクレオチドに結合されてもよい。オリゴマー内の全ての結合が同一である必要はない。
【0112】
AffibodyおよびFynomer
特定の代替的実施形態で、抗体の代わりにAffibodyを使用してもよい。Affibodyは、Affibody AB(スウェーデン、ソルナ所在)から市販される。Affibodyは、抗体模倣体として機能し、標的分子との結合に使用される小蛋白質である。Affibodyは、α−ヘリックス蛋白質スカフォールド上でのコンビナトリアルエンジニアリングにより開発された (Nord et al.,1995,Protein Eng 8:601−8;Nord et al.,1997,Nat Biotechnol 15:772−77)。Affibodyの設計は、プロテインAのIgG結合ドメインを含む3ヘリックスバンドル構造に基づく (Nord et al.,1995;1997)。広範囲の結合親和力を有するAffibodyが、バクテリア蛋白質のFc結合活性に関与する13のアミノ酸の無作為化により製造され得る (Nord et al.,1995; 1997)。無作為化の後、PCR増幅されたライブラリーが、突然変異蛋白質のファージディスプレイによるスクリーニングのために、ファージミドベクターにクローニングされた。ファージディスプレイライブラリーは、標的抗原に対する1種以上のAffibodyを同定するために、ファージディスプレイスクリーニング技術を用いて、任意の公知抗原に対してスクリーニングされ得る(例えば、Pasqualini and Ruoslahti,1996,Nature 380:364−366;Pasqualini,1999,Quart.J Nucl.Med.43:159−162)。
【0113】
HER2/neuに特異的な
177Lu標識Affibodyが、インビボでHER2発現キセノグラフトを標的化することが実証された(Tolmachev et al.,2007,Cancer Res 67:2773−82)。低分子量放射性標識化合物の蓄積による腎毒性が、初期に問題となったが、アルブミンへの可逆的結合が、腎蓄積を減少させるため、標識Affibodyを用いた放射性核種ベースの治療が可能になった(同上)。
【0114】
インビボ腫瘍画像のために実行可能性放射性標識Affibodyを使用することの実行可能性が、近年になり実証された(Tolmachev et al.,2007,Cancer Res 67:2773−82)。マレイミド由来NOTAを、抗HER2Affibodyにコンジュゲートして、
111Inで放射性標識した(同上)。HER2発現DU−145キセノグラフを含むマウスに投与し、次にγカメラで造影することにより、キセノグラフトの視覚化が可能になった(同上)。
【0115】
Fynomerも、抗体に対する同様の親和力および特異性で標的抗原に結合することができる。Fynomerは、結合分子の組織化のためのスカフォールドとしてのヒトFyn SH3ドメインに基づく。Fyn SH3ドメインは、高い収率でバクテリア内で産生され得る、全てがヒトの、63アミノ酸蛋白質である。Fynomerは、共に結合して、2種以上の異なる抗原標的への親和力を有する多重特異性結合蛋白質を生成し得る。Fynomerは、COVAGEN AG(スイス、チューリッヒ所在)から市販される。
【0116】
当業者は、AffibodyまたはFynomerが、請求された方法および組成物の実践において標的分子として用いられ得ることを認識するであろう。
【0117】
二重特異性および多重特異性抗体
二重特異性抗体は、複数の生物医学的適用例において有用である。例えば腫瘍細胞表面抗原およびT細胞表面受容体に対する結合部位を有する二重特異性抗体は、T細胞による特異性腫瘍細胞の溶解を誘導し得る。神経膠腫およびT細胞上のCD3エピトープを認識する二重特異性抗体を用いて、ヒト患者における脳腫瘍の処置に成功した(Nitta et al.Lancet.1990;355:368−371)。特定の実施形態において、本明細書に開示された治療薬コンジュゲーションのための技術および組成物を、標的部分としての二重特異性または多重特異性抗体と共に用いてもよい。
【0118】
二重特異性抗体を製造する数多くの方法が公知であり、例えば米国特許第7,405,320号に開示され、その実施例の節は、参照により本明細書に組み入れられる。二重特異性抗体は、異なる抗原部位を認識するモノクロナル抗体をそれぞれ産生する2つの異なるハイブリドーマの融合を含む、クアドローマ法により製造することができる(Milstein and Cuello,Nature,1983;305:537−540)。
【0119】
二重特異性抗体を製造する別の方法では、ヘテロ二官能性架橋剤を用いて、2つの異なるモノクローン抗体を化学的につなぐ(Staerz,et al.Nature,1985;314:628−631;Perez,et al.Nature,1985;316:354−356)。二重特異性抗体は、二つの親モノクローナル抗体のそれぞれを、各半分子に縮小し、その後、それらを混合し再酸化してハイブリッド構造を得ることによっても製造することができる(Staerz and Bevan.Proc Natl Acad Sci U S A.1986;83:1453−1457)。別の代替法は、2つまたは3つの別個に精製されたFab’フラグメントを適切なリンカーを用いて、化学的に架橋することを含む。(例えば、欧州特許出願0453082号参照)。
【0120】
他の方法は、各親ハイブリドーマにレトロウイルス由来シャトルベクターを介して別の選択マーカーを遺伝子導入し、続いて融合するか(DeMonte et al.Proc Natl Acad Sci U S A.1990,87:2941−2945)、または別の抗体の重および軽鎖遺伝子を含む発現プラスミドを用いて、ハイブリドーマ細胞株をトランスフェクトすること、によりハイブリッドハイブリドーマ産生の効率を改善することを含む。
【0121】
同族のV
HおよびV
Lドメインは、適切な組成および長さのペプチドリンカー(通常12を超えるアミノ酸残基からなる)により結合し、結合活性を有する一本鎖Fv(scFv)を形成させることができる。scFvの製造法は、米国特許第4,946,778号および米国特許第5,132,405号に開示され、それらの実施例の節は参照により本明細書に組み入れられる。該ペプチドリンカーのアミノ酸残基を12未満に縮小させると、同一鎖上のV
HおよびV
Lドメインの対合が阻止され、V
HおよびV
Lドメインと他の鎖上の相補的ドメインとの対合が促されて、機能的な多量体が形成される。3〜12のアミノ酸残基のリンカーで結合したV
HおよびV
Lドメインのポリペプチド鎖は、主として二量体(ダイアボディーと称される)を形成する。0〜2のアミノ酸残基のリンカーでは、三量体(トリアボディーと称される)および四量体(テトラボディーと称される)に傾くが、オリゴマー化の厳密な様式は、リンカーの長さに加えて、Vドメイン(V
H−リンカー−V
LまたはV
L−リンカー−V
H)の組成および方向に依存すると思われる。
【0122】
多重特異性または二重特異性抗体を生成するためのこれらの技術は、低い収率、精製の必要性、低い安定性または大きな労作が必要な技術であることに関連する様々な難題を呈する。より近年になり、「ドック・アンド・ロック(DNL)」として公知の技術を利用して、事実上任意の所望の抗体、抗体フラグメントおよび他のエフェクター分子の組み合わせを生成した(例えば、米国特許第7,550,143号;同第7,521,056号;同第7,534,866号;同第7,527,787号および米国特許出願第11/925,408号参照。これらの各実施例の節は参照により本明細書に組み入れられる)。この技術は、たがいに結合して二量体、三量体、四量体、五量体および六量体の範囲内で複合体構造を組織化することができる、アンカードメイン(AD)、ならびに二量体化およびドッキングドメイン(DDD)と呼ばれる相補的蛋白質結合ドメインを利用する。これらは安定した複合体を高収率で形成させ、大規模な精製を必要としない。DNL技術は、単一特異性、二重特異性、または多重特異性抗体の組織化を可能にする。二重特異性または多重特異性抗体を作製するための当該技術分野で公知の技術のいずれも、本発明で請求された方法の実践に用いることができる。
【0123】
プレターゲッティング
二重特異性または多重特異性抗体は、プレターゲッティング技術において用いられ得る。プレターゲッティングは元々、骨髄などの正常組織への不適切な毒性に寄与する、直接標的抗体の緩やか血中クリアランスを解決するために開発された多段階の工程である。プレターゲッティングにより、放射性核種または他の治療薬は、血液から数分以内に排出される小さな送達分子(標的化可能な構築物)に結合する。標的化可能な構築物および標的抗原の結合部位を有するプレターゲッティング二重特異性または多重特異性抗体が、最初に投与され、遊離抗体を循環から排出させ、その後、標的化可能な構築物が投与される。
【0124】
プレターゲッティング法は、例えばGoodwinらの米国特許第4,863,713号;Goodwin et al.,J.Nucl.Med.29:226,1988;Hnatowich et al.,J.Nucl.Med.28:1294,1987;Oehr et al.,J.Nucl.Med.29:728,1988;Klibanov et al.,J.Nucl.Med.,29:1951,1988;Sinitsyn et al.,J.Nucl.Med.,30:66,1989;Kalofonos et al.,J.Nucl.Med.31:1791,1990;Schechter et al.,Int.J.Cancer,48:167,1991;Paganelli et al.,Cancer Res.,51:5960,1991;Paganelli et al.,Nucl.Med.Commun.12:211,1991;米国特許第5,256,395号;Stickney et al.,Cancer Res.51:6650,1991;Yuan et al.,Cancer Res.51:3119,1991;米国特許第6,077,499号;同第7,011,812号;同第7,300,644号;同第7,074,405号;同第6,962,702号;同第7,387,772号;同第7,052,872号;同第7,138,103号;同第6,090,381号;同第6,472,511号および同第6,962,702号に開示され、これらはそれぞれ参照により本明細書に組み入れられる。
【0125】
対象における疾患または障害を処置または診断するプレターゲッティング法は、(1)二重特異性抗体または抗体フラグメントを対象に投与すること;(2)場合によりクリアランス組成物を対象に投与し、該組成物により抗体を循環から排出させること;および(3)インターフェロンλなどの1種以上のキレート化または化学結合された治療または診断薬を含有する標的化可能な構築物を対象に投与すること、により提供される。
【0126】
標的化可能な構築物
特定の実施形態において、プレターゲッティングにおいて使用される1種以上の治療または診断薬で標識された標識化可能な構築物ペプチドを選択して、標的化可能な構築物ペプチドの1つ以上の結合部位および疾患または状態に関連する標的抗原の1種以上の結合部位を有する二重特異性抗体に結合させることができる。二重特異性抗体は、抗体が最初に対象に投与され得るプレターゲッティング技術において用いることができる。二重特異性抗体が標的抗原に結合して、非結合抗体が循環から排出されるのに十分な時間が与えられ得る。その後、標的化可能な構築物、例えば標識ペプチドが対象に投与され、二重特異性抗体と結合されて、罹患した細胞または組織に局在化され得る。
【0127】
そのような標的化可能な構築物は、多様な構造であることができ、高親和力で標的化可能な構築物と結合する抗体またはフラグメントの利用可能性に関してだけでなく、プレターゲッティング法および二重特異性抗体(bsAb)または多重特異性抗体内で用いられる場合、迅速なインビボクリアランスに関しても選択される。強力な免疫応答を惹起するには疎水性薬剤が最良であるが、迅速なインビボクリアランスのためには親水性剤が好ましい。つまり疎水性の特性と親水性の特性とに平衡が確立される。これは、多くの有機部分の生来の疎水性を相殺するために親水性キレート化剤を用いることにより、部分的に成し遂げられ得る。同じく、逆の溶液特性を有する標的化可能な構築物のサブユニット、例えば一部が疎水性であり一部が親水性であるアミノ酸を含有するペプチドが選択され得る。
【0128】
わずか2個のアミノ酸残基、好ましくは2〜10個の残基を有するペプチドが用いられてよく、キレート化剤などの他の部分にカップリングされていてもよい。リンカーは、好ましくは50,000ダルトン未満、有利には約20,000ダルトン未満、10,000ダルトン未満、または5,000ダルトン未満の分子量を有する低分子量コンジュゲートでなければならない。より通常には標的化可能な構築物ペプチドは、ペプチドDOTA−Phe−Lys(HSG)−Tyr−Lys(HSG)−NH
2(配列番号98)など、4つ以上の残基を有し、ここでDOTAは、1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン1,4,7,10−四酢酸であり、HSGは、ヒスタミンスクシニルグリシン基である。あるいはDOTAは、NOTA(1,4,7−トリアザ−シクロノナン−1,4,7−三酢酸)、TETA(p−ブロモアセトアミド−ベンジル−テトラエチルアミン四酢酸)、NETA([2−(4,7−ビスカルボキシメチル[1,4,7]トリアザシクロノナン−1−イル−エチル]−2−カルボニルメチル−アミノ]酢酸)または他の公知のキレート化部分で置き換えられていてよい。キレート化部分を用いて、例えば治療および/または診断用放射性核種、常磁性イオンまたは造影剤に結合させてもよい。
【0129】
標的化可能な構築物は、インビボでのペプチドの安定性を上昇させるために、非天然アミノ酸、例えばD−アミノ酸を骨格構造に含んでいてもよい。代替実施形態において、非天然アミノ酸またはペプトイドから構築されるような他の骨格構造が、用いられてよい。
【0130】
標的化可能な構築物として用いられるペプチドは、簡便には固相支持体ならびに反復直交脱保護およびカップリングの標準的技術を用いて、自動ペプチド合成装置で合成される。後にキレート化部分または他の物質のコンジュゲーションに用いられるペプチド内遊離アミノ基は、有利にはBoc基などの標準的保護基で遮断される一方で、N−末端残基は、血清安定性を上昇させるためにアセチル化され得る。そのような保護基は、当業者に周知である。Greene and Wuts Protective Groups in Organic Synthesis,1999(John Wiley and Sons,N.Y.)を参照されたい。ペプチドが、後の使用のために二重特異性抗体系内で調製される際、有利にはインビボでのカルボキシペプチダーゼ活性を阻害するために、C−末端アミドを生成する樹脂から切断される。ペプチド合成の例示的方法は、以下の実施例に開示される。
【0131】
二重特異性抗体とのプレターゲッティングが利用される場合、抗体は、標的組織によって産生される抗体、またはこれに関連する抗原のための第1の結合部位と、標的化可能な構築物におけるハプテンのための第2の結合部位と、を含有する。例示的なハプテンとしては、非限定的にHSGおよびIn−DTPAが挙げられる。HSGハプテンに対する抗体は、公知であり(例えば、679抗体)、適切な二重特異性抗体に容易に組み込まれ得る(例えば、実施例の節に関して参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第6,962,702号;同第7,138,103号および同第7,300,644号参照)。しかし、これらに結合する他のハプテンおよび抗体は、当該技術分野において公知であり、In−DTPAおよび734抗体などが用いられてよい(例えば、実施例の節が参照により本明細書に組み入れられる米国特許第7,534,431号)。
【0132】
治療薬
様々な実施形態において、治療薬、例えば細胞毒性薬、抗血管新生薬、アポトーシス促進剤、抗生物質、ホルモン、ホルモンアンタゴニスト、ケモカイン、薬物、プロドラッグ、毒素、酵素、または他の物質を、本明細書に記載されたインターフェロン−抗体DNL(商標)構築物に付加治療薬として用いられ得る。使用される薬物は、抗有糸分裂剤、抗キナーゼ剤、アルキル化剤、代謝拮抗剤、抗生物質、アルカロイド、抗血管新生薬、アポトーシス促進剤、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される医薬特性を有し得る。
【0133】
使用される例示的薬物としては、5−フルオロウラシル、アプリジン、アザリビン、アナストロゾール、アントラサイクリン、ベンダムスチン、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ブリオスタチン−1、ブスルファン、カリケアマイシン、カンプトテシン、カルボプラチン、10−ヒドロキシカンプトテシン、カルムスチン、セレブレックス、クロラムブシル、シスプラチン(CDDP)、Cox−2阻害剤、イリノテカン(CPT−11)、SN−38、カルボプラチン、クラドリビン、クロファラビン、シトシンアラビノシド、カンプトテカン、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ドセタキセル、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、2−ピロリノドキソルビシン(2P−DOX)、シアノモルホリノドキソルビシン、ドキソルビシングルクロニド、エピルビシングルクロニド、エストラムスチン、エピポドフィロトキシン、エストロゲン受容体結合剤、エトポシド(VP16)、エトポシドグルクロニド、リン酸エトポシド、フロクスウリジン(FUdR)、3’,5’−O−ジオレオイルFudR(FUdR−dO)、フルダラビン、フルタミド、ファルネシル−蛋白質トランスフェラーゼ阻害剤、チロシンキナーゼおよびブルトン型キナーゼ阻害剤、ゲムシタビン、ヒドロキシ尿素、イダルビシン、イフォスファミド、L−アスパラギナーゼ、レノリダミド、ロイコボリン、ロムスチン、メクロレタミン、メルファラン、メルカプトプリン、6−メルカプトプリン、メトトレキサート、ミトキサントロン、ミスラマイシン、マイトマイシン、ミトタン、ナベルビン、ニトロソ尿素、プリカマイシン、プロカルバジン、パクリタキセル、ペントスタチン、PSI−341、ラロキシフェン、セムスチン、ストレプトゾシン、タモキシフェン、タキソール、テマゾロミド(DTICの水性形態)、トランス白金、サリドマイド、チオグアニン、チオテパ、テニポシド、トポテカン、ウラシルマスタード、ビノレルビン、ビンブラスチン、ビンクリスチンおよびビンカアルカロイドを挙げることができる。
【0134】
使用されるチロシンキナーゼ阻害剤としては、LFM−A13、ダサチニブ、イマチニブ、またはニロチニブを挙げることができる。
【0135】
使用される毒素としては、リシン、アブリン、α毒素、サポリン、リボヌクレアーゼ(RNase)、例えばオンコナーゼ、DNaseI、ブドウ球菌腸毒素A、ポークウィード抗ウイルス蛋白質、ゲロニン、ジフテリア毒素、緑膿菌外毒素、および緑膿菌内毒素を挙げることができる。
【0136】
使用されるケモカインとしては、RANTES、MDAF、MIP1−α、MIP1−βおよびIP−10を挙げることができる。
【0137】
特定の実施形態において、抗血管新生薬、例えばアンギオスタチン、バキュロスタチン、カンスタチン、マスピン、抗VEGF抗体、抗PIGFペプチドおよび抗体、抗血管増殖因子抗体、抗Flk−1抗体、抗Flt−1抗体およびペプチド、抗Kras抗体、抗cMET抗体、抗MIF(マクロファージ遊走阻害因子)抗体、ラミニンペプチド、フィブロネクチンペプチド、プラスミノーゲン活性化因子阻害剤、組織メタロプロテイナーゼ阻害剤、インターフェロン、インターロイキン12、IP−10、Gro−β、トロンボスポンジン、2−メトキシエストラジオール、プロリフェリン関連蛋白質、カルボキサミドトリアゾール、CM101、マリマスタット、多硫酸ペントサン、アンギオポエチン2、インターフェロンα、ハービマイシンA、PNU145156E、16Kプロラクチンフラグメント、リノミド(ロキニメックス)、サリドマイド、ペントキシフィリン、ゲニステイン、TNP−470、エンドスタチン、バクリタキセル、アクチン(accutin)、アンギオスタチン、シドフォビル、ビンクリスチン、ブレオマイシン、AGM−1470、血小板因子4、またはミノサイクリンが、用いられ得る。
【0138】
他の有用な治療薬は、好ましくはbcl−2またはp53などの癌遺伝子および癌遺伝子産物を対象とするオリゴヌクレオチド、特にアンチセンスオリゴヌクレオチドを含んでいてもよい。治療用オリゴヌクレオチドの好ましい形態は、siRNAである。
【0139】
診断薬
診断薬は、好ましくは放射性核種、放射線造影剤、常磁性イオン、金属、蛍光標識、化学発光標識、超音波造影剤、および光活性剤からなる群より選択される。そのような診断薬は周知であり、任意のそのような公知診断薬を使用することができる。診断薬の非限定的な例としては、
110In、
111In、
177Lu、
18F、
19F、
52Fe、
62Cu、
64Cu、
67Cu、
67Ga、
68Ga、
86Y、
90Y、
89Zr、
94mTc、
94Tc、
99mTc、
120I、
123I、
124I、
125I、
131I、
154−158Gd、
32P、
11C、
13N、
15O、
186Re、
188Re、
51Mn、
52mMn、
55Co、
72As、
75Br、
76Br、
82mRb、
83Sr、または他のガンマ−、ベータ−、またはポジトロン−放射体などの放射性核種を挙げることができる。使用される常磁性イオンとしては、クロム(III)、マンガン(II)、鉄(III)、鉄(II)、コバルト(II)、ニッケル(II)、銅(II)、ネオジム(III)、サマリウム(III)、イッテルビウム(III)、ガドリニウム(III)、バナジウム(II)、テルビウム(III)、ジスプロシウム(III)、ホルミウム(III)、またはエルビウム(III)を挙げることができる。金属造影剤としては、ランタン(III)、金(III)、鉛(II)、またはビスマス(III)を挙げることができる。超音波造影剤は、ガス封入リポソームなどのリポソームを含んでいてもよい。放射線不透過性診断薬は、化合物、バリウム化合物、ガリウム化合物、およびタリウム化合物から選択されてもよい。非限定的にフルオレセインイソチオシアナート、ローダミン、フィコエリテリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、o−フタアルデヒドおよびフルオレサミンをはじめとする非常に様々な蛍光標識が、公知である。使用される化学発光標識としては、ルミノール、イソルミノール、芳香族アクリジニウムエステル、イミダゾール、アクリジニウム塩、またはシュウ酸エステルを挙げることができる。
【0140】
コンジュゲーション技術
特定の実施形態において、DNL(商標)構築物は、1つ以上の治療薬または診断薬にコンジュゲートされていてもよい。例えば、
131Iを蛋白質またはペプチドのチロシンに組み込むか、または薬物をリジン残基のεアミノ基に結合することができる。治療薬および診断薬を、例えば還元型SH基に結合させることもできる。治療薬または診断薬と蛋白質またはペプチドとの共有結合または非共有結合性コンジュゲートを生成するための多数の方法が、当該技術分野で公知であり、任意のそのような公知方法を使用することができる。
【0141】
治療薬または診断薬は、ヘテロ二官能性架橋剤、例えばN−スクシニル3−(2−ピリジルジチオ)プロピオナート(SPDP)を使用して結合させることができる。Yu et al.,Int.J.Cancer 56:244(1994)。そのようなコンジュゲーションの一般的技術は、当該技術分野で周知である。例えば、Wong,CHEMISTRY OF PROTEIN CONJUGATION AND CROSS−LINKING(CRC Press 1991);MONOCLONAL ANTIBODIES:PRINCIPLES AND APPLICATIONS,Birch et al.(eds.),p187−230(Wiley−Liss,Inc.1995)内のUpeslacis et al.,“Modification of Antibodies by Chemical Methods,”;MONOCLONAL ANTIBODIES:PRODUCTION,ENGINEERING AND CLINICAL APPLICATION,Ritter et al.(eds.),p60−84(Cambridge University Press 1995)内のPrice,“Production and Characterization of Synthetic Peptide−Derived Antibodies,”を参照されたい。
【0142】
幾つかの実施形態において、キレート化剤を、蛋白質またはペプチドに結合させ、放射性核種などの治療薬または診断薬をキレート化することができる。例示的なキレート化剤としては、非限定的に、DTPA(Mx−DTPAなど)、DOTA、TETA、NETA、またはNOTAが挙げられる。金属または他のリガンドを蛋白質またはペプチドに結合させるためのキレート化剤のコンジュゲーションおよび使用の方法は、当該技術分野で周知である(例えば、実施例の節が全体として参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,563,433号参照)。特定の有用な金属キレート化剤の組み合わせとしては、放射性イメージングでは、
125I、
131I、
123I、
124I、
62Cu、
64Cu、
18F、
111In、
67Ga、
68Ga、
99mTc、
94mTc、
11C、
13N、
15O、または
76Brなどの60〜4,000keVの一般的エネルギー範囲内の診断用同位体と共に使用される2−ベンジル−DTPAならびにそのモノメチルおよびシクロヘキシル類似体が挙げられる。同じキレート化剤が、マンガン、鉄、およびガドリニウムなどの非放射性金属と錯化させると、MRIに有用となる。NOTA、DOTA、およびTETAなどの大環状キレート化剤は、それぞれ、種々の金属および放射性金属と共に、最も特にはガリウム、イットリウム、および銅の放射性核種と共に使用される。そのような金属−キレート化剤錯体は、環サイズを該当する金属に合わせることにより非常に安定化され得る。RAIT用の
223Raなどの核種に安定して結合することについて該当する大環状ポリエーテルなどの他の環型キレート化剤が、包含される。
【0143】
より近年になり、例えばF−18をアルミニウムなどの金属または他の原子と反応させることによる、PET走査技術に使用される
18Fの標識方法が開示された。
18F−Alコンジュゲートは、抗体に直接結合されるか、またはプレターゲッティング法で標的化可能な構築物を標識するために使用されるDOTA、NOTA、またはNETA等のキレート基と錯化させてもよい。そのようなF−18標識技術は、米国特許第7,563,433号に開示される。
【0144】
処置の方法
様々な実施形態は、治療有効量のインターフェロン−抗体DNL(商標)構築物を対象に投与することを含む、ヒト、家畜また愛玩動物、例えばイヌまたはネコをはじめとする哺乳動物などの対象における癌を処置する方法に関する。インターフェロン−抗体DNL(商標)構築物の投与は、標的細胞の表面で抗原と結合または反応する治療有効量の抗体を同時にまたは順次投与することにより、補足することができる。好ましい付加MAbは、CD4、CD5、CD8、CD14、CD15、CD16、CD19、IGF−1R、CD20、CD21、CD22、CD23、CD25、CD30、CD32b、CD33、CD37、CD38、CD40、CD40L、CD45、CD46、CD52、CD54、CD70、CD74、CD79a、CD80、CD95、CD126、CD133、CD138、CD154、CEACAM5、CEACAM6、B7、AFP、PSMA、EGP−1、EGP−2、炭酸脱水酵素IX、PAM4抗原、MUC1、MUC2、MUC3、MUC4、MUC5ac、Ia、MIF、HM1.24、HLA−DR、テネイシン、Flt−3、VEGFR、PlGF、ILGF、IL−6、IL−25、テネイシン、TRAIL−R1、TRAIL−R2、補体因子C5、癌遺伝子産物、またはそれらの組み合わせと反応するMAbからなる群より選択される少なくとも1つのヒト化MAb、キメラMAb、またはヒトMAbを含む。
【0145】
インターフェロン−抗体DNL(商標)構築物治療は、少なくとも1つの治療薬の同時投与または順次投与のいずれかで更に補足することができる。例えば、「CVB」(1.5g/m
2のシクロホスファミド、200〜400mg/m
2のエトポシド、および150〜200mg/m
2のカルマスティン)は、非ホジキンリンパ腫を治療するために使用されるレジメンである。Patti et al.,Eur.J.Haematol.51:18(1993)。他の適切な多剤併用化学療法のレジメンは、当業者に周知である。例えば、CANCER MEDICINE,VOLUME 2、3rd Edition Holland et al.(eds.),p2028−2068(Lea & Febiger 1993)内のFreedman et al.“Non−Hodgkin’s Lymphomas,”を参照されたい。例示として、中悪性度の非ホジキンリンパ腫(NHL)を治療するための第一世代化学療法レジメンとしては、C−MOPP(シクロホスファミド、ビンクリスチン、プロカルバジン、およびプレドニゾン)およびCHOP(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、およびプレドニゾン)が挙げられる。有用な第二世代の化学療法レジメンは、m−BACOD(メトトレキサート、ブレオマイシン、ドキソルビシン、シクロホスファミド、ビンクリスチン、デキサメタゾン、およびロイコボリン)であり、適切な第三世代レジメンは、MACOP−B(メトトレキサート、ドキソルビシン、シクロホスファミド、ビンクリスチン、プレドニゾン、ブレオマイシン、およびロイコボリン)である。追加的な有用薬物としては、フェニルブチラート、ベンダムスチン、およびブリオスタチン1が挙げられる。
【0146】
インターフェロン−抗体DNL(商標)構築物は、薬学的に有用な組成物を調製するための公知方法により配合させることができ、それによりインターフェロン−抗体DNL(商標)構築物は、薬学的に適切な賦形剤との混合物と混和される。滅菌リン酸緩衝生理食塩水が、薬学的に適切な賦形剤の一例である。他の適切な賦形剤が、当業者に周知である。例えば、Ansel et al.,PHARMACEUTICAL DOSAGE FORMS AND DRUG DELIVERY SYSTEMS,5th Edition(Lea & Febiger 1990)、およびGennaro(ed.),REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES,18th Edition(Mack Publishing Company 1990)、ならびにそれらの改訂版を参照されたい。
【0147】
インターフェロン−抗体DNL(商標)構築物は、例えばボーラス注入または持続注入による静脈内投与用に配合させることができる。好ましくは、インターフェロン−抗体DNL(商標)構築物は、約4時間未満の期間、より好ましくは約3時間未満の期間にわたり注入される。例えば、最初の25〜50mgを、30分以内に、好ましくは15分以内でさえ注入することができ、残りを次の2〜3時間にわたり注入することができる。注射用配合剤は、単位投与剤形で、例えばアンプルまたは複数回投与容器で、防腐剤を添加して提供することができる。組成物は、懸濁剤、溶液、または油性もしくは水性媒体中のエマルジョンなどの形態をとることができ、懸濁剤、安定化剤、および/または分散剤などの配合剤を含有することができる。あるいは有効成分は、使用前に適切なベヒクル、例えば滅菌パイロジェンフリー水で構成するための粉末形態であってもよい。
【0148】
追加的な薬学的方法を利用して、インターフェロン−抗体DNL(商標)構築物の作用持続時間を制御することができる。制御放出性調製物は、インターフェロン−抗体DNL(商標)構築物を複合体化または吸着するポリマーの使用により調製することができる。例えば生体適合性ポリマーとしては、ポリ(エチレン−co−酢酸ビニル)のマトリックス、ならびにステアリン酸二量体およびセバシン酸のポリ酸無水物コポリマーのマトリックスが挙げられる。Sherwood et al.,Bio/Technology 10:1446(1992)。そのようなマトリックスからの放出速度は、DNL(商標)構築物の分子量、マトリックス内のDNL(商標)構築物の量、および分散粒子のサイズに依存する。Saltzman et al.,Biophys.J.55:163(1989);Sherwood et al.,上記。他の固形投与剤形は、Ansel et al.,PHARMACEUTICAL DOSAGE FORMS AND DRUG DELIVERY SYSTEMS,5th Edition(Lea & Febiger 1990)、およびGennaro(ed.),REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES,18th Edition(Mack Publishing Company 1990)、ならびにその改訂版に記載される。
【0149】
インターフェロン−抗体DNL(商標)構築物は、哺乳動物に皮下投与してもよく、または他の非経口経路でさえも投与することができる。好ましくは、該構築物は、約4時間未満の期間、より好ましくは約3時間未満の期間にわたり注入される。
【0150】
より一般的には、ヒトに投与されるインターフェロン−抗体DNL(商標)構築物の投薬量は、患者の年齢、体重、身長、性別、一般的健康状態および過去の病歴に応じて変動する。非限定的例において、投薬量は、10μg、20μg、50μg、75μg、100μg、150μg、200μg、250μg、300μg、400μg、 500μg、750μg、1mg、1.5mg、2mg、2.5mg、5mg、10mg、20mg、50mg、75mgまたは100mgであってもよい。当業者は、毒性の兆候が観察されれば投薬量を減少させるか、または処置を中止してもよいことを、認識するであろう。投薬は、必要に応じて、例えば週2回で4〜10週間、週1回で4〜10週間、週1回で8週間、または週1回で4週間、反復されてもよい。それは、より少ない回数で、例えば1週間おきに数ヶ月間、または月1回もしくは3ヶ月間隔で数ヶ月間、必要に応じて持続療法において与えられてもよい。あるいはインターフェロン−抗体DNL(商標)構築物は、2または3週間に1回の投薬を、合計で少なくとも3回反復して投与されてもよい。あるいは該構築物は、週2回で4〜6週間投与されてもよい。投薬計画は、場合により他の間隔で反復することができ、投薬量は、用量および計画を適切に調整しながら、様々な非経口経路で与えられてもよい。
【0151】
好ましい実施形態において、インターフェロン−抗体DNL(商標)構築物は、癌の治療に使用される。癌の例としては、非限定的に、癌腫、リンパ腫、膠芽腫、黒色腫、肉腫ならびに白血病、骨髄腫またはリンパ性腫瘍が挙げられる。そのような癌のより特定の例が以下に記載され:扁平上皮癌(例えば、上皮扁平上皮癌)、ユーイング肉腫、ウィルムス腫瘍、星状細胞腫、肺癌(小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌および肺扁平上皮癌腫を含む)、腹膜癌、肝細胞癌、胃腸癌を含む胃癌、膵臓癌、多形膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、ヘパトーマ、肝細胞癌腫、神経内分泌腫瘍、甲状腺髄様癌、分化甲状腺癌腫、乳癌、卵巣癌、結腸癌、直腸癌、子宮内膜癌または子宮癌、唾液腺癌腫、腎臓癌、前立腺癌、外陰癌、肛門癌腫、陰茎癌および頭頸部癌が挙げられる。用語「癌」は、原発性の悪性細胞または腫瘍(例えば、元の悪性腫瘍部位または腫瘍部位以外の対象の身体部位に細胞が遊走していないもの)および続発性の悪性腫瘍細胞または腫瘍(例えば、転移、つまり悪性腫瘍細胞または腫瘍細胞が元の腫瘍部位と異なる第二の部位へ遊走することから生じるもの)を包含する。
【0152】
癌または悪性腫瘍の他の例としては、非限定的に、小児急性リンパ芽球性白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、副腎皮質癌腫、成人(原発性)肝細胞癌、成人(原発性)肝臓癌、成人急性リンパ性白血病、成人急性骨髄性白血病、成人ホジキンリンパ腫、成人リンパ性白血病、成人非ホジキンリンパ腫、成人原発性肝臓癌、成人軟部組織肉腫、AIDS関連リンパ腫、AIDS関連悪性腫瘍、肛門癌、星状細胞腫、胆管癌、膀胱癌、骨癌、脳幹神経膠腫、脳腫瘍、乳癌、腎盂・尿管癌、中枢神経系(原発性)リンパ腫、中枢神経系リンパ腫、小脳星状細胞腫、大脳星状細胞腫、子宮頸癌、小児(原発性)肝細胞癌、小児(原発性)肝臓癌、小児急性リンパ芽球性白血病、小児急性骨髄性白血病、小児脳幹神経膠腫、小児小脳星状細胞腫、小児大脳星状細胞腫、小児頭蓋外胚細胞腫瘍、小児ホジキン病、小児ホジキンリンパ腫、小児視床下部および視覚路神経膠腫、小児リンパ芽球性白血病、小児髄芽腫、小児非ホジキンリンパ腫、小児松果体およびテント上原始神経外胚葉性腫瘍、小児原発性肝臓癌、小児横紋筋肉腫、小児軟部組織肉腫、小児視覚路および視床下部神経膠腫、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、結腸癌、皮膚T細胞リンパ腫、内分泌膵島細胞癌腫、子宮内膜癌、上衣腫、上皮癌、食道癌、ユーイング肉腫および関連腫瘍、膵外分泌癌、頭蓋外胚細胞腫瘍、性腺外生殖細胞腫瘍、肝外胆管癌、眼癌、女性乳癌、ゴーシェ病、胆嚢癌、胃癌、胃腸カルチノイド腫瘍、胃腸腫瘍、生殖細胞腫瘍、妊娠性絨毛性腫瘍、ヘアリー細胞白血病、頭頸部癌、肝細胞癌、ホジキンリンパ腫、高ガンマグロブリン血症、下咽頭癌、腸癌、眼内黒色腫、膵島細胞癌腫、島細胞膵臓癌、カポジ肉腫、腎臓癌、喉頭癌、口唇・口腔癌、肝臓癌、肺癌、リンパ球増殖性疾患、マクログロブリン血症、男性乳癌、悪性中皮腫、悪性胸腺腫、髄芽腫、黒色腫、中皮腫、転移性潜在性原発性扁平上皮頸癌、転移性原発性扁平上皮頸癌、転移性扁平上皮頸癌、多発性骨髄腫、多発性骨髄腫/形質細胞新生物、骨髄異形成症候群、骨髄性白血病、骨髄球性白血病、骨髄増殖性疾患、鼻腔・副鼻腔癌、上咽頭癌、神経細胞芽腫、非ホジキンリンパ腫、非黒色腫皮膚癌、非小細胞肺癌、潜在性原発性転移性扁平上皮頸癌、中咽頭癌、骨肉腫/悪性線維性肉腫、骨肉腫/悪性線維性組織球腫、骨肉腫/骨悪性線維性組織球腫、卵巣上皮癌、卵巣生殖細胞腫瘍、卵巣低悪性度潜在性腫瘍、膵臓癌、異常蛋白血症、真性赤血球増加症、副甲状腺癌、陰茎癌、褐色細胞腫、下垂体腫瘍、原発性中枢神経系リンパ腫、原発性肝臓癌、前立腺癌、直腸癌、腎臓細胞癌、腎盂・尿管癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、唾液腺癌、サルコイドーシス肉腫、セザリー症候群、皮膚癌、小細胞肺癌、小腸癌、軟部組織肉腫、扁平上皮頸癌、胃癌、テント上原始性神経外胚葉性および松果体腫瘍、T細胞リンパ腫、精巣癌、胸腺腫、甲状腺癌、腎盂・尿管移行細胞癌、移行性腎盂・尿管癌、絨毛性腫瘍、尿管・腎盂細胞癌、尿道癌、子宮癌、子宮肉腫、膣癌、視覚路および視床下部神経膠腫、外陰癌、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、ウィルムス腫瘍および先に列挙された臓器系に存在する新生物以外の任意の他の高増殖性疾患が挙げられる。
【0153】
本明細書において記載および請求された方法および組成物は、非限定的に上記の障害を含む悪性または前悪性状態を処置するため、および新生物性または悪性状態への進行を阻止するために使用され得る。そのような使用は、上記の腫瘍または癌への進行が公知である、または疑われる状態、特に、過形成、化生または最も特別には異形成からなる非新生物性の細胞増殖が起こった状態では必要とされる(そのような異常な増殖状態のレビューについて、Robbins and Angell、Basic Pathology,2d Ed.,W.B.Saunders Co.,Philadelphia、p68−79(1976)参照)。
【0154】
異形成は、癌の前兆である場合が多く、主として上皮に見出される。異形成は、非腫瘍性細胞増殖の最も無秩序な形態であり、個々の細胞の均一性および細胞の構造的配向の喪失を伴う。異形成は、慢性的な刺激または炎症が存在する部位に特徴的に生じる。処置され得る異形成障害としては、非限定的に、無汗性外胚様異形成、前後異形成、窒息性胸郭異形成、心房指異形成、気管支肺異形成、大脳異形成、子宮頸部異形成、軟骨外胚葉異形成、鎖骨頭蓋異形成、先天性外胚葉異形成、頭蓋骨幹異形成、頭蓋手根足根骨異形成、頭蓋骨幹端異形成、象牙質異形成、骨幹異形成、外胚葉異形成、エナメル質異形成、脳眼異形成、骨端半肢異形成、多発性骨端異形成、点状骨端異形成、上皮異形成、顔面指趾生殖器異形成、家族性線維性顎異形成、家族性白色襞性異形成、線維筋性異形成、骨線維性異形成、開花性骨性異形成、遺伝性腎網膜異形成、発汗性外胚葉異形成、発汗減少症性外胚葉異形成、リンパ球減少性胸腺異形成、乳腺異形成、下顎顔面異形成、骨幹端異形成、モンディーニ異形成、単骨性線維性骨異形成、粘膜上皮異形成、多発性骨端異形成、眼耳脊椎異形成、眼歯指異形成、眼脊椎異形成、歯牙異形成、眼下顎異形成(opthalmomandibulomelic dysplasia)、根尖端セメント質異形成、多骨性線維性骨異形成、偽軟骨発育不全脊椎骨端異形成、網膜異形成、眼中隔異形成、脊椎骨端異形成および心室橈骨異形成が挙げられる。
【0155】
処置され得る追加的な新生物発生前障害としては、非限定的に、良性の異常増殖性障害(例えば、良性腫瘍、線維嚢胞性状態、組織肥大、腸ポリープまたは腸腺腫および食道異形成)、白板症、角化症、ボーエン病、農夫皮膚、日光口唇炎および日光角化症が挙げられる。
【0156】
好ましい実施形態において、本発明の方法は、癌、特に先に列挙された癌の増殖、進行および/または転移を阻害するために使用される。
【0157】
追加的な高増殖性疾患、障害および/または状態としては、非限定的に、白血病(急性白血病(例えば、急性リンパ性白血病、急性骨髄球性白血病(骨髄芽球性、前骨髄球性、骨髄単球性、単球性および赤血白血病を含む))および慢性白血病(例えば、慢性骨髄球性(顆粒球性)白血病および慢性リンパ性白血病))、真性赤血球増加症、リンパ腫(例えば、ホジキン病および非ホジキン病)、多発性骨髄腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、重鎖病、ならびに非限定的に線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌腫、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平上皮癌腫、基底細胞癌腫、腺癌腫、汗腺癌腫、脂腺癌腫、乳頭癌腫、乳頭腺癌、嚢胞腺癌腫、髄様癌腫、気管支原性癌腫、腎臓細胞癌腫、ヘパトーマ、胆管癌腫、絨毛癌腫、精上皮腫、胚性癌腫、ウィルムス癌腫、子宮頸癌、精巣腫瘍、肺癌腫、小細胞肺癌腫、膀胱癌腫、上皮癌腫、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫、乏突起神経膠腫、髄膜腫、黒色腫、神経細胞芽腫および網膜芽細胞腫などの肉腫および癌腫をはじめとする固形腫瘍など、悪性腫瘍および関連の障害の進行および/または転移が挙げられる。
【0158】
更に別の実施形態において、ペグ化DNL(商標)複合体が、病原性生物体、例えばバクテリア、ウイルスまたは真菌に感染された対象を処置するのに有用となり得る。処置され得る例示的真菌としては、ミクロスポルム、トリコフィトン、エピデルモフィトン、スポロトリックス・シェンキイ、クリプトコッカス・ネオフォルマンス、コクシジオイデス・イミチス、ヒストプラスマ・カプスラツム、ブラストマイセス・デルマチチディスまたはカンジダ・アルビカンスが挙げられる。例示的ウイルスとしては、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ヘルペスウイルス、サイトメガロウイルス、狂犬病ウイルス、インフルエンザウイルス、ヒト乳頭腫ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、センダイウイルス、ネコ白血病ウイルス、レオウイルス、ポリオウイルス、ヒト血清パルボ様ウイルス、サルウイルス40、呼吸器合胞体ウイルス、マウス哺乳動物腫瘍ウイルス、バリセラ・ゾスターウイルス、デングウイルス、ルベラウイルス、麻疹ウイルス、アデノウイルス、ヒトT細胞白血病ウイルス、エプスタイン・バーウイルス、ネズミ白血病ウイルス、ムンプスウイルス、水疱性口炎ウイルス、シンドビスウイルス、リンパ性脈絡髄膜炎ウイルス、またはブルータングウイルスが挙げられる。例示的バクテリアとしては、バチルス・アントラシス、ストレプトコッカス・アガラクチエ、レジオネラ・ニューモフィラ、ストレプトコッカス・ピオゲネス、エシェリヒア・コリ、ナイセリア・ゴノルヘア、ナイセリア・メニンギチディス、ニューモコッカス菌種、ヘモフィルス・インフルエンザB、トレポネマ・パリヅム、ライム病スピロヘータ、シュードモナス・エルギノサ、マイコバクテリウム・レプラ、ブルセラ・アボルツス、マイコバクテリウム・ツベルクローシスまたはマイコプラズマが挙げられる。
【0159】
キット
様々な実施形態が、患者における患部組織の治療または診断に適した成分を含むキットに関し得る。例示的なキットは、本明細書に記載された少なくとも1つまたは複数のインターフェロン−抗体構築物を含み得る。投与のための成分を含有する組成物が、経口送達など、消化管を介した送達のために配合されていない場合、他の何らかの経路を通してキット成分を送達することが可能なデバイスが含まれ得る。非経口送達などの適用のためのデバイスのタイプの1つは、組成物を対象の身体に注入するために使用される注射器である。吸入用デバイスも、使用され得る。特定の実施形態において、治療薬を、滅菌された液剤または凍結乾燥調製物を含むプレフィルドシリンジまたは自己注射ペンの形態で提供し得る。
【0160】
キット成分が、一緒に、または2つ以上の容器に分けて収容されていてもよい。幾つかの実施形態において、容器は、再構成に適した組成物の、滅菌された凍結乾燥配合剤を含むバイアルであってもよい。キットは、再構成および/または他の試薬の希釈に適した1つ以上の緩衝剤も含有し得る。使用され得るその他の容器として、非限定的にパウチ、トレイ、箱、チューブなどが挙げられる。キット成分を、容器内に収容して滅菌状態を維持してもよい。含まれ得る他の成分は、キットを使用する者のための使用説明書である。
【0161】
実施例
以下の実施例は、本発明の請求を限定するのでなく、例示するために示されている。
【0162】
実施例1.C
H3−AD2−IgG発現ベクター
pdHL2哺乳動物発現ベクターが、組換えIgGの発現に用いられてきた(Qu et al.,Methods,2005,36:84−95)。任意のIgG−pdHL2ベクターのC
H3−AD2−IgG−pdHL2ベクターへの変換を促進するために、プラスミドシャトルベクターを作製した。Fc(C
H2およびC
H3ドメイン)の遺伝子を、鋳型としてのpdHL2ベクターおよび以下のオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、PCRにより増幅した:
【化12】
【0163】
アンプリマーを、pGemT PCRクローニングベクター(Promega)中でクローニングした。Fc挿入フラグメントを、XbaIおよびBamHIでpGemTから切り出し、XbaIおよびBamHIによるh679−Fab−AD2−pdHL2の消化により調製したAD2−pdHL2ベクター(Rossi et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,2006,103:6841−6)とライゲートして、シャトルベクターFc−AD2−pdHL2を作製した。IgG−pdHL2発現ベクターをC
H3−AD2−IgG−pdHL2発現ベクターに変換するために、861bpのBsrGI/NdeI制限酵素断片を前者から切り出し、Fc−AD2−pdHL2ベクターから切り出した952bpの BsrGI/NdeI制限酵素断片と置き換えた。以下は、組換えヒト化IgG−AD2モジュール作製のために生成および使用されたC
H3−AD2−IgG−pdHL2発現ベクターの一部の列挙である:
【化13】
【0164】
実施例2.C
H3−AD2−IgGの産生
トランスフェクションおよび安定したCH3−AD2−IgG分泌細胞株の選択
全ての細胞株をハイブリドーマSFM(Invitrogen、カリフォルニア州カールスバッド所在)中で増殖させた。C
H3−AD2−IgG−pdHL2ベクター(30μg)をSalI制限エンドヌクレアーゼでの消化により直線化し、エレクトロポレーション(450ボルト、25μF)によりSp2/0−Ag14(2.8×10
6細胞)内にトランスフェクトした。pdHL2ベクターは、クローン選択およびメソトレキサート(MTX)による遺伝子増幅を可能にする、ジヒドロ葉酸還元酵素の遺伝子を含む。
【0165】
トランスフェクションの後、細胞を96ウェルプレートに播種し、0.2μMのMTXを含む培地中でトランスジェニッククローンを選択した。特異的抗イディオタイプMAbでコートした96ウェルマイクロタイタープレートを用いたサンドイッチELISA法により、クローンをC
H3−AD2−IgG産生能についてスクリーニングした。推定クローンからの条件培地をマイクロプレートウェルに移し、融合蛋白質の検出を、西洋ワサビペルオキシダーゼコンジュゲートヤギ抗ヒトIgG F(ab’)
2(Jackson Immuno Research Laboratories、ペンシルバニア州ウェストグローブ所在)を用いて成し遂げた。最も高いシグナルを発するウェルを増殖させて、最終的に産生に用いた。
【0166】
CH3−AD2−IgGモジュールの産生および精製
融合蛋白質製造のために、ローラーボトル培養物を2×10
5細胞/mlで播種し、細胞生存率が25%を下回るまで(約10日)、ローラーボトルインキュベーター中で5%CO
2の下、37℃でインキュベートした。培養ブロスを遠心分離により透明化して濾過し、限外濾過により50倍にまで濃縮した。C
H3−AD2−IgGモジュール精製のために、濃縮した上清液をプロテインA(MAB Select)アフィニティーカラムにロードした。カラムをPBSでベースラインまで洗浄し、融合蛋白質をpH2.5の0.1Mグリシンで溶出した。
【0167】
実施例3.複数の抗体からのAD−およびDDD−結合FabおよびIgG融合蛋白質の生成
先の実施例において記載された技術を利用して、表6に示されたIgGおよびFab融合蛋白質を構築して、DNL構築物に組み込んだ。親抗体およびDNL構築物の抗原結合特性を保持した融合蛋白質が、組み込まれた抗体または抗体フラグメントの抗原結合活性を示した。
【表6】
【0168】
実施例4.インターフェロン(IFN)−α2bに基づくDDDモジュール生成
哺乳動物細胞内で発現するIFN−α2b−DDD2−pdHL2の構築
IFN−α2bのcDNA配列をPCRにより増幅して、以下の特色を含む配列を得た:XbaIおよびBamHIが制限部位であり、シグナルペプチドがIFN−α2b由来であり、6Hisがヘキサヒスチジンタグ:XbaI−シグナルペプチド−IFNα2b−6His−BamHI(6Hisは配列番号:92で開示される)である。得られた分泌蛋白質は、そのC末端で、以下の配列のポリペプチドに融合したIFN−α2bで構成されていた。
【化14】
【0169】
鋳型としての完全長ヒトIFNα2bのcDNAクローン(Invitrogen、 Ultimate ORF ヒトクローン、カタログ番号HORF01クローンID IOH35221)およびプライマーとしての以下のオリゴヌクレオチドを用いて、PCR増幅を成し遂げた。
【化15】
【0170】
PCRアンプリマーをpGemTベクター内にクローニングした。DDD2−pdHL2哺乳動物発現ベクターを、IFN−α2bとのライゲーション用に以下の通り調製した。C
H1−DDD2−Fab−hMN−14−pdHL2(Rossi et al.,Proc Natl Acad Sci USA 2006,103:6841−6)ベクターを、DDD2コード配列を残しFab遺伝子配列を全て除去するXbaIおよびBamHIで消化した。IFN−α2bアンプリマーを、XbaIおよびBamHIでpGemTから切り出し、DDD2−pdHL2ベクター内にライゲートして、発現ベクターIFN−α2b−DDD2−pdHL2を生成した。
【0171】
哺乳動物細胞によるIFN−α2b−DDD2発現
IFN−α2b−DDD2−pdHL2をSalIで消化して直線化し、エレクトロポレーションによりSp/ESF骨髄腫細胞内へ安定にトランスフェクトした(実施例の節が参照により本明細書に組み入れられる米国特許出願第11/877,728号参照)。2つのクローンが、ELISA法により検出可能なレベルのIFN−α2bを有することが見出された。2つのクローンのうち95と称する一方のクローンが、実質的に産生能を低下させることなく、無血清培地での増殖に適応した。次いで5週間にわたり、MTX濃度を0.1から0.8μMに増加させて、このクローンを増幅した。この段階で、クローンを限界希釈によりサブクローニングし、最も産生能の高いサブクローン(95−5)を拡大させた。振盪フラスコ中で発育させた95−5の産生能は、市販のrIFN−α2b(Chemicon、IF007、ロット番号06008039084)を標準として用いると2.5mg/Lであると推定された。
【0172】
ローラーボトル中で増殖したバッチ培養物からのIFN−α2b−DDD2の精製
クローン95−5を、0.8μMのMTXを含有する無血清ハイブリドーマSFM全20Lを含む34個のローラーボトルに拡大し、最終培養まで培養した。培養ブロスを処理して、IFN−α2b−DDD2を、固定化金属アフィニティークロマトグラフィー(IMAC)により以下の通り精製した。上清液を遠心分離により透明化し、0.2μMで濾過し、1×結合緩衝液(10mMイミダゾール、0.5M NaCl、50mM NaH
2PO
4、pH 7.5)中へ透析濾過して、310mLに濃縮し、最終濃度0.1%になるまでTween20を添加し、30mL Ni−NTAカラムにロードした。試料ロードの後、カラムを、1×結合緩衝液中の0.02%Tween20 500mL、その後、30mMイミダゾール、0.02%Tween20、0.5M NaCl、50mM NaH
2PO
4、pH 7.5の溶液290mLで洗浄した。生成物を、250mMイミダゾール、0.02%Tween20、150mM NaCl、50mM NaH
2PO
4、pH7.5 110mLで溶出した。約6mgのIFNα2b−DDD2を精製した。
【0173】
E.コリにおけるIFN−α2b−DDD2の産生
IFN−α2b−DDD2は、E.コリにおいても、微生物発酵により、可溶性蛋白質として発現された。コード配列を、IFN−α2b−DDD2−pdHL2 DNAを鋳型として用いたPCRにより増幅した。アンプリマーを、Nde IおよびXhoI制限部位を用いて、pET26b E.コリ発現ベクター内にクローニングした。100μMのIPTGを含むLB振盪フラスコでの18℃で12時間の誘導により、蛋白質をBL21pLysS宿主細胞において細胞内発現させた。可溶性IFN−α2b−DDD2を、上記IMACにより細胞溶解物から精製した。
【0174】
実施例5.C
H3−AD2−IgGと結合した4つのIFN−α2b−DDD2部分を含むDNLコンジュゲートの生成
C
H3−AD2−IgGに結合した4つのIFN−α2b−DDD2部分を含むDNL複合体(
図1)を、以下の通り作製した。簡潔に述べると、選別したC
H3−AD2−IgGを約2モル当量のIFN−α2b−DDD2と混和し、この混合物に1mM EDTAおよび2mM 還元型グルタチオン(GSH)を添加した後、穏やかな条件下、室温で一場還元した。酸化型グルタチオンを2mMになるまで添加し、この混合物を更に12〜24時間、室温で保持した。DNLコンジュゲートをプロテインAアフィニティーカラムで精製した。それぞれC
H3−AD2−IgG−hA20(CD20に対する特異性を有する)、C
H3−AD2−IgG−hLL2(CD22に対する特異性を有する)、C
H3−AD2−IgG−hR1(IGF−1Rに対する特異性を有する)およびC
H3−AD2−IgG−hL243(HLA−DRに対する特異性を有する)にアンカーリングされた、4コピーのIFN−α2bを含む、20−2b、22−2b、hR1−2bおよび243−2bと称されるそのような4つのDNLコンジュゲートを調製した。哺乳動物(m)またはE.コリ(e)産生IFN−α2b−DDD2から生成された20−2bのSE−HPLC分析では、それぞれが1つのIgGおよび4つのIFN−α2bグループからなる共有結合性複合体と一致した保持時間を有する主要ピークを示した(図示しない)。同様のSE−HPLCプロファイルが、他の3つのIFN−IgGコンジュゲートに関して観察された。
【0175】
実施例6.IFN−IgGコンジュゲートのインビトロ活性
20−2bのインビトロでのIFNα生物学的活性を、細胞ベースのレポーター、ウイルス防御およびリンパ腫増殖のアッセイを用いて、市販のペグ化IFNα2剤であるPEGASYS(登録商標)およびPEG−Intron(登録商標)の生物学的活性と比較した。インターフェロン刺激応答要素に融合されたレポーター遺伝子を含有するトランスジェニックヒト前単球細胞株を用いる細胞ベースのキットを使用して、比活性を測定した(
図2A〜2D)。20−2bの比活性(5300IU/pmol)は、PEGASYS(170IU/pmol)およびPEG−Intron(3400IU/pmol)の両方よりも高かった(
図2A)。20−2bと同様に作製された734−2b、1R−2bおよび更に5つのMAb−IFNα構築物(データは示さない)は、それぞれ同様の比活性(4000〜8000IU/pmol)を示しており、そのような構造物を生成するためのDNL法に一貫性があることが実証された(
図2A)。4つのIFNα2bグループを有することが、MAb−IFNαの効能増強に寄与した。IFNα当量に正規化すると、比活性/IFNαは、PEGASYSよりも約10倍高く、PEG−INTRONよりも約2倍だけ低かった。
【0176】
インビトロでのウイルス防御アッセイにおけるMAb−IFNα、PEGASYSおよびPEG−Intronの比較により、MAb−IFNαがIFNα2b抗ウイルス活性を保有し、比活性がPEG−Intronと同等でPEGASYSよりも10倍高いことが実証された(
図2B)。
【0177】
IFNα2bは、一部の腫瘍株に対して直接的な抗増殖性または細胞毒性作用を有し得る。20−2bの活性を、IFNαに対して高感受性であるバーキットリンパ腫細胞株(Daudi)を用いたインビトロ増殖アッセイで測定した(
図2C)。各IFNα2剤は、インビトロにおいて高い能力(EC
50=4〜10pM)で効率的にDaudiを阻害した(>90%)。しかし、20−2b(EC
50=O.25pM)は、非標的化MAb−IFNα構築物よりも約30倍強力であった。20−2bの親抗CD20MAbは、Daudiをはじめとする多くのリンパ腫細胞株に対して、かなりより高濃度で(EC
50>10nM)インビトロでの抗増殖性活性を有する(Rossi et al.,2008,Cancer Res 68:8384−92)。20−2bのインビトロ活性を、IFNαおよび抗CD20の両方に対してより低感受性を有するマントル細胞リンパ腫株であるJeko−1も用いて評価した(
図2D)。Jeko−1は、親抗CD20MAbに対してわずかに感受性があり、EC
50がほぼ1nMで最大阻害率(I
max)が10%である。734−2bで示される通り、Jeko−1(I
max=43%;EC
50=23pM)は、Daudi(I
max=90%;EC
50=7.5pM)よりもIFNα2bに対する応答が小さい。734−2bに比較して20−2bは、Jeko−1をより高い程度(I
max=65%)で阻害し、二相性の用量反応曲線を示した(
図2D)。10pM未満において、IFNα2b活性に起因する低濃度の応答が観察され、734−2bと同様にI
max=43%でプラトーに達する。高濃度の応答は、100pMを超えると明白になり、I
maxは65%に達した。20−2bの低濃度のIFNα2bの応答(EC
50=O.97pM)は、734−2bよりも25倍強力であり、Daudiでの結果と同様であった。
【0178】
20−2bの効力増大が、CD20およびIFNαシグナル伝達の相加/相乗作用によるものかを解明するために、親抗CD20抗体と734−2bとの組み合わせ(ベルツズマブ+734−2b)をアッセイした。v−mab+734−2bの用量反応曲線は、1nMを超える部分を除けば734−2b単独と大きく類似しており、1nMを超える部分では、前者では増加したが、後者では増加しなかった。これらの結果は、MAb標的化が20−2bの低いEC
50を担うが、そのより大きいI
maxが見かけ上、IFNα2bおよびCD−20シグナル伝達の相加活性によることを示している。CD20シグナル伝達の作用は、20−2bに対する高濃度の応答(EC
50=0.85nM)においてのみ明らかであり、これはv−mabに対する応答(EC
50=1.5nM)に匹敵する。v−mab+734−2bに関しては、2つの応答が重複するため、二相性の用量反応曲線が明白ではなかった。しかし、1nMを超える濃度では相加作用が明らかであった。20−2bのI
max(65%)は、IFNα2b の反応(I
max=43%)とベルツズマブ(I
max=10%)の応答を加えたものよりも大きいため、IFNα2bとv−mabの作用間の相乗性の可能性が示唆される。
【0179】
ADCC活性
IFNαは、NK細胞およびマクロファージを活性化することにより、抗CD20免疫療法の基本的な作用機序(MOA)であるADCC活性を増強し得る。本発明者らは、末梢血単核細胞(PBMC)をエフェクター細胞として使用して、2つのNHL細胞株で20−2bとv−mabとでADCCを比較した。複数のドナー由来のPBMCを用いた反復アッセイにより、DaudiおよびRaji細胞の両方について示すように、20−2bの方が、v−mabに比較してADCCをより増強することが実証された(
図4A)。この作用は、抗CD22MAbであるエピラツズマブを含み、ADCCをわずかに示す、MAb−IFNαである22−2bでも示された(Carnahan et al.,2007,Mol.Immunol.,44:1331−41)。
【0180】
CDC活性
CDCは、I型抗CD20MAb(v−mabおよびリツキシマブを含む)の重要なMOAであると考えられている。しかし、トシツモマブに代表されるII型MAbには、この機能が欠如している(Cardarelli et al.,2002,Cancer Immunol Immunother 51:15−24)にもかかわらず、抗リンパ腫活性を有する。v−mabとは異なり20−2bは、インビトロでのCDC活性を示さない(
図4B)。これらの結果は、補体結合がおそらく立体的干渉により見かけ上、阻害されている、C
H3−AD2−IgG−v−mabモジュールに基づく他のDNL構造物の結果(Rossi et al.,2008,Cancer Res 68:8384−92)と一致する。
【0181】
実施例7.20−2bの薬物動態(PK)解析
雄Swiss−Websterマウスにおける20−2bの薬物動態(PK)特性を評価し、PEGASYS、PEG−INTRONおよびα2b−413(DNLにより作製されたペグ化IFN、米国特許出願第11/925,408参照)のものと比較した。様々な時間における血清試料中のIFN−α濃度を、製造業者による使用説明書に従ってELISA法により決定した。簡潔に述べると、血清試料を、キットに備付けのヒトIFN−α標準に従って適切に希釈した。マイクロタイタープレートウェルに結合した抗体は、インターフェロンを捕捉する。その後、二次抗体を用いて、結合したインターフェロンを明らかにし、テトラメチルベンジジン(TMB)を添加後、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)とコンジュゲートした抗二次抗体により定量した。プレートを450nmで読み取った。
図3は、PK解析の結果を表し、20−2bは他の薬剤と比較して、消失が有意に緩やかで、血中保持時間が有意に長いことを示した。210pmolの注射用量において、時間単位で算出される薬物動態的な血清中半減期は、8.0時間(20−2b)、5.7時間(α2b−413)、4.7時間(PEGASYS)および2.6時間(PEG−INTRON)であった。消失速度(1/h)は、0.087(20−2b)、0.121(α2b−413)、0.149(PEGASYS)および0.265(PEG−INTRON)であった。算出されたMRT
0.08→∞(時間)は、22.2(20−2b)、12.5(α2b−413)、10.7(PEGASYS)および6.0(PEG−INTRON)であった。薬物動態パラメーターは、個々の抗体またはサイトカインよりも複合体の性質により決定されるため、サイトカイン−DNL複合体のPK特性は、他のサイトカイン部分および抗体部分に一般化可能であり、先に議論された特定の20−2b構築物に限定されないことが予測される。
【0182】
実施例8.20−2bのインビボ活性
血清安定性
20−2bは、37℃ではヒト血清中(≧10日)または全血中(≧6日)で安定であった(図示しない)。20−2b複合体の濃度を、二重特異性ELISAアッセイを用いて決定した。アッセイ時間では、全血または血清中における血中20−2bレベルの検出可能な変化は、本質的に存在しかった。
【0183】
ヒト全血由来のリンパ腫細胞に対する20−2bのエクスビボ有効性
本発明者らは、20−2b、v−mab、734−2bまたはv−mab+734−2bが、エクスビボ設定で全血からリンパ腫または正常なB細胞を排除する能力を比較した(
図5)。裸の抗CD20MAbの治療有効性は、3つの作用機序(MOA)、すなわちシグナル伝達誘導性アポトーシスもしくは増殖停止、ADCCおよびCDCを介して実現されると考えられている(Glennie et al.,2007、Mol Immunol.,44:3823−37)。このアッセイにおいて、v−mabは、3つのMOA全てを利用し得るのに対し、インビトロの知見では、20−2bは、シグナル伝達およびADCCの増強において潜在的に有利となり得るが、CDCは増強されない。この短期モデルにおいて、20−2bおよび734−2bのIFNα2b群は、腫瘍細胞に直接作用し、v−mabのADCC活性を増強して、おそらく若干の免疫刺激作用を有し得る。しかし、インビボで生じ得る自然および適応免疫系の、IFNαを介した活性化の全領域は、この2日間のエクスビボアッセイでは実現されない。
【0184】
0.01nMでは、20−2b(60.5%)が、v−mab(22.8%)、734−2b(38.6%)またはv−mab+734−2b(41.7%)よりも有意にDaudi細胞を枯渇させた(
図5)。0.1nMでは、20−2bおよびv−mab+734−2bが同程度(88.9%)にDaudi細胞を枯渇させ、これは、v−mab(82.4%)または734−2b(40.7%)よりも多かった(
図5)。1nMでは、734−2b(55.7%)以外では、各薬剤が95%を超えてDaudiを枯渇させた(
図5)。示された差異はそれぞれ、統計的に有意であった(p<0.01)。
【0185】
Ramosは、IFNα2bおよびv−mabの両方に対してDaudiよりも低感受性である。734−2bの作用は中等度に過ぎず、各濃度でのRamos枯渇は20%未満であった(
図5)。0.01および0.1nMの両方で、20−2bの方が、v−mab+734−2bよりもRamosを枯渇させ、そしてv−mab+734−2bは、v−mabよりも多くの細胞を除去した(
図5)。1nMでは、734−2bを除く全ての処置により、同様のRamos枯渇(75%)が得られた(
図5)。示された差異はそれぞれ、統計学的に有意であった(p<0.02)。
【0186】
734−2bで実証された通り、このアッセイでは、IFNα2b単独では正常なB細胞を枯渇させない。これらの低濃度では、20−2b、v−mabおよびv−mab+734−2bはそれぞれ、同様の用量反応的なB細胞枯渇を示し、これはDaudiまたはRamosの枯渇よりも著しく低い。いずれの処置でもT細胞の有意な枯渇は得られなかった(データは示さない)。
【0187】
SCIDマウスにおける20−2bのインビボ有効性
マウスモデルの限界は、ネズミ細胞がヒトIFNα2bに対して非常に低感受性であるということである。ヒトにおいて実現され得る20−2bの全般的な治療利益として、自然および適応免疫の両方の増強を挙げることができる。これらの限界を考慮して、本発明者らは、SCIDマウスにおける播種性のバーキットリンパ腫モデルに対する、20−2bの抗リンパ腫性インビボ有効性を試験した。初めに本発明者らは、高感受性の初期Daudiモデルを試験した(
図6A)。接種の1日後に、各群に1低用量の20−2b、v−mabまたは734−2bを投与した。v−mab(ベルツブマブ)または734−2bの1単一用量0.7pmol(170ng)では、生理食塩水と比較した場合の生存率において、v−mabに関しては有意な改善が得られた(P<0.0001)が、無関係な対照MAb−IFNαである734−2bでは得られなかった(
図6A)。この改善はわずかであり、生存期間中央値(MST)は生理食塩水での27日からv−mabでの34日に増加した。しかし、20−2bの単一用量0.7pmol(170ng)では、MSTにおいて、生理食塩水およびv−mab群の両方を100日よりも多く上回る改善が得られた(p<O.0001)(
図6A)。19週間後にこの実験を終了し、その時点で、0.7pmolの20−2b処置群中の長期生存例7匹を剖検したところ、疾患の目に見える証拠は見出されなかった(治癒した)(
図6A)。注目すべきことに、最低用量0.07pmol(17ng)の20−2bでさえも、MSTが2倍を超えて増加させた(
図6A)。
【0188】
次に発明者らは、マウスにおいて処置前に実質的により多くの腫瘍量を発現させる、より困難な進行Daudiモデルにおいて、20−2bの有効性を評価した(
図6B)。腫瘍接種の7日後、各群に単一低用量(0.7、7.0または70pmol)の20−2b、v−mab、734−2bまたはPEGASYSを投与した。生理食塩水対照マウスのMSTは、21日であった(
図6B)。それぞれ(組換えIFNαと比較して)PKを増強するが、腫瘍を標的化しない最高用量(70pmol)のPEGASYSまたは734−2bでは、MSTが倍加した(42日;p<O.0001)(
図6B)。100倍低い用量(0.7pmol)での20−2b処置では、最高用量(70pmol)のPEGASYSまたは734−2bと同様の結果(38.5日)が得られた(
図6B)。10倍低い用量(7pmol)の20−2b処置では、70pmolのPEGASYSまたは734−2b処置よりも、有意な生存率改善(80.5日、20%LTS)が得られた(p<O.0012)(
図6B)。試験した最高用量(70pmol)では、20−2bにより105日を超えてMSTが改善され、LTSは100%であった(
図6B)。本発明者らはこれまでに、v−mabが比較的低用量(3.5pmol)でDaudi担持マウスの生存率を増加させ得ると共に、より高用量でLTSが得られることを、早期腫瘍モデルを用いて実証した。しかし、今回の進行腫瘍モデルでは、単一用量70pmolのv−mabの生存率に対する効果は、有意ではあるがほんのわずかであった(MST=24日、p=0.0001)(
図6B)。
【0189】
次いで本発明者らは、IFNαによる直接的阻害に対してDaudiよりも低感受性であり、v−mabによる免疫療法に対して低応答性である、より困難なモデルにおいて20−2bをアッセイした。Rajiは、IFNα2bの直接作用に対してDaudiに比較して約1000倍低感受性である。しかしRajiは、Daudiと同様のCD20抗原密度を有し(Stein et al.,2006,Blood,108:2736−44)、Daudiにはかなり劣るものの、v−mabに対して応答性がある(Goldenberg et al.,2009、Blood、113;1062−70)。腫瘍接種5日後に治療を開始する進行Rajiモデルにおいて、20−2bの有効性を試験した(
図7A)。各群に、2週間にわたり計6回(各250pmol)注射を施した。734−2bでは、生理食塩水よりも生存率が改善されず(MST=16日)、RajiのIFNαに対する非感受性と一致した(
図7A)。v−mabでは、生理食塩水よりも生存率が有意に改善された(MST=26日、p<O.0001)(
図7A)。20−2bは、他の全ての処置を上回っていた(MST=33日、p<PO.0001)(
図7A)。
【0190】
最後に本発明者らは、IFNαの直接作用に対して低感受性で、CD20抗原密度がDaudiまたはRajiに比較して約25倍低いヒトリンパ腫であり、抗CD20免疫療法に対して耐性であると考えられている(Stein et al.,2006)NAMALWAを用いて、20−2bの有効性を調べた(
図7B)。各群に、計6用量(各250pmol)の20−2bまたは734−2bを投与した。別の1群に、計7用量(各3.5nmol)のv−mabを投与した。生理食塩水で処置した群のMSTは17日であった(
図7B)。734−2bによる処置では、有意ではあるが、非常にわずかな生存率の改善が見られた(MST=20日、p=0.0012)(
図7B)。20−2b(MST=34日)は、734−2B(P=0.0004)および14倍高い用量で投与したv−mab(MST=24日、P=0.0026)を上回っていた(
図7B)。
【0191】
結論
結果は、抗CD20MAbを用いたIFNαの標的化により、単独の薬剤または薬剤の組み合わせよりも、免疫サイトカインがより強力で効果的になることを明白に実証している。腫瘍に対するMAbによるIFNα標的化は、単一薬剤の投与計画の頻度を減らし、IFN療法に付随する副作用を低減または除去し、非常に増大した有効性をもたらし得る。更に標的化IFNαは、腫瘍に対する急性免疫応答を誘導し、おそらくは自然および適応免疫の多面的な刺激を介して免疫記憶を誘発することができる(Belardelli et al.,2002、Cytokine Growth Factor Rev.,12:119−34)。別のグループは、化学的コンジュゲーションにより作製されるMAb−IFNαを産生し、そのような構築物の潜在的な臨床利益を明らかにした(Pelham et al.,1983、Cancer Immunol Immunother.,15:210−16;Ozzello et al.,1998、Breast Cancer Res.Treat.,48:135−47)。ネズミIFNαおよび抗HER2/neuMAbを含む組換えMAb−IFNαは、免疫適格性マウスにおいて、トランスジェニック(HER2/neu)ネズミB細胞リンパ腫の強力な阻害を示し、免疫記憶による防御的な適応免疫応答の誘導も可能であった(Huang et al.,2007,J.Immunol.,179:6881−88)。
【0192】
本発明者らは、20−2bによる治療が、NK、T4、T8および樹状細胞をはじめとする複数の免疫細胞の局在的動員および活性化を刺激して、細胞毒性およびADCCの増強をもたらし、腫瘍に関する免疫記憶を潜在的に誘導し得ると予測する。しかし、ネズミ細胞は、ヒト細胞よりもヒトIFNα2bに対して極めて低感受性(約4log)である(Krameret al.,1983,J.Interferon Res.,3:425−35;Weck et al.,1981、J.Gen.Virol.,57:233−37)。それゆえ、上記マウスモデルのインビボ試験における20−2bの抗リンパ腫活性は、マウス免疫応答のIFNα2b活性化に起因し得たとしても極わずかである。むしろ殺傷は、主としてリンパ腫細胞に対するIFNα2bの直接作用によるものである。
【0193】
本発明者らは、20−2bが、抗CD20免疫療法の最も重要なMOAであり得るADCCを増強することを示した。しかし、ヒトIFNα2bは、マウス宿主の免疫エフェクター細胞の非常に弱い刺激物質であるため、IFNαに増強されたADCCは、おそらくヒトおけるほどは認められないであろう。これらの制限に関わらず、インビボでの結果により、20−2bが、非常に効果的な抗リンパ腫薬剤となる可能性があり、IFNα感受性のDaudiモデルにおいて、v−mabまたは非標的化MAb−IFNαの100倍を超える効力を示すことが実証された。IFNαの直接作用に対して比較的非感受性であるリンパ腫モデル(Raji/NAMALWA)または抗CD20免疫療法に対して耐性であるリンパ腫モデル(NAMALWA)に対してさえも、20−2bは、v−mabまたは非標的化MAb−IFNαよりも優れた有効性を示した。
【0194】
IFNα2bをv−mabに融合することで、循環時間が延長されて腫瘍標的化が可能となることにより、そのインビボでの効力が増大する。Daudiモデルにおいて、Pkの治療意義が実証され、ここでは、PEGASYS(登録商標)を緩やかに排出する方が、より高い比活性を有するPEG−Intronの急速な排出するよりも優れていた(データは示さない)。20−2bは、PEGASYSまたは734−2bよりもかなり強力であり、抗CD20MAbを介したリンパ腫標的化が、20−2bの優れた効力および有効性にとって重要であることが示唆される。驚くべきことに、標的化の影響は、インビトロアッセイにおいてさえも明らかであった。シグナル伝達を介したリンパ腫阻害のみが可能なインビトロ増殖実験において、20−2bは、単独またはv−mabと組み合わせた場合の非標的化MAb−IFNαに比較して25倍低い濃度で活性を示した。エクスビボ設定においては、3つの抗CD20 MOA全ての関与が可能である。20−2bは、CDC活性が無くても、血液由来リンパ腫の枯渇において、単独のIFNαまたはv−mabならびにその組み合わせよりも効果的であり、標的化の重要性が実証される。MAb、エフェクターおよび標的細胞は全て、実験を通して制限されていたため、インビボ/エクスビボ試験におけるMAb標的化の影響は、幾分か意外である。本発明者らは、20−2bが、インビボでのヒト患者において実質的により大きな影響を有すると予測される。
【0195】
20−2bのIFNα2bおよびv−mab成分は、見かけ上は相加的または相乗的に作用して20−2bの効力増強に寄与している可能性がある。インビトロ増殖アッセイでは、少なくとも1つの相加効果が示唆され、これはv−mabおよび734−2bの組み合わせが、どちらの薬剤単独よりも優れているというエクスビボ実験の結果により裏付けられた。この効果は、20−2bの一部としてのv−mabのADCC活性増加を介して、または734−2bと組み合わされた場合に、実現され得るが、ADCCはインビトロ増殖アッセイにおいては機能せず、更なるメカニズムの存在が示唆される。v−mab結合CD20により伝達されるシグナルが、IFNαシグナルを増強することで、効力増大が生じる可能性がある。あるいは、徐々に内部移行するMAbであるv−mabの結合が、I型IFN受容体の内部移行/ダウンレギュレーションを妨げることで、より持続的かつ効果的なIFNα誘導性シグナルが生じる可能性がある。
【0196】
実施例9.(Fab)
2−インターフェロンλ1のDNL構築物は標的化細胞において強力な生物活性を示す
要約および緒言
インターフェロンλ1(IFN−λ)は、III型インターフェロンであり、近年になり抗ウイルスおよび抗腫瘍活性ならびに免疫系調節に関する治療可能性を有するクラスIIIサイトカインファミリーの1種として記載された。IFN−λは、IFN−αおよびIFN−βの両方を含むI型IFNと同様に、JAK1およびTYK2キナーゼの活性化、STAT蛋白質のリン酸化、およびIFN刺激遺伝子因子3の転写複合体の活性化を含むJAK/STAT経路を介してシグナル伝達を惹起する(Witte et al.,2010,Cytokine Growth Factor Rev 21:237−51;Zhou et al.,2007,J Virol 81:7749−58)。
【0197】
III型IFNとI型IFNとの主要な差異は、それぞれの受容体複合体の分布である。IFN−α/βは、2種の広範囲に発現されるI型インターフェロン受容体を介してシグナル伝達し、IFN−α/β療法に関連する全身毒性を少なくとも部分的に担う(Pestka,2007,J Biol Chem 282:20047−51)。これに対してIFN−λは、IFN−λ受容体1(IFN−λR1)およびIL−10受容体2(IL−10R2)を含むヘテロ二量体受容体複合体を介してシグナル伝達する。IL−10R2は、造血細胞および非造血細胞の間で遍在的に発現されるが、IFN−λR1は、高度に限定された発現パターンであり、上皮細胞、メラニン形成細胞および血液細胞内では最高レベルで、一次中枢神経系細胞内では最低レベルである(Wolk et al.,2005,Genes Immun 6:8−18)。血中免疫細胞は、IFN−λR1を発現するが、それらの細胞は、IFN−λの作用を阻害するIFN−λR1の短いスプライスバリアントの分泌によりIFN−λへの応答の障害を示す(Witte et al.,2009,Genes Immun 10:702−14)。神経細胞および免疫細胞の応答性が低いことも、I型IFNと比較したIFN−λの毒性低下に寄与している(Witte et al.,2009,Genes Immun 10:702−14)。
【0198】
IFN−λは、IL−10に関係するサイトカインと類似の構造特性を示しながら、I型IFNと同様の抗ウイルスおよび抗増殖活性を呈する(Witte et al,2010,Cytokine Growth Factor Rev 21:237−51; Ank et al.,2006,J Virol 80:4501−9;Robek et al.,2005,J Virol 79:3851−54)。例えば複数の試験で、IFN−λ1およびIFN−λ2が、DNAウイルス、例えばB型肝炎ウイルス(Robek et al.,2005,J Virol 79:3851−54;Doyle et al,2006,Hepatology 44:896−906)および単純ヘルペスウイルス2型(Ank et al.,2006,J Virol 80:4501−9); プラスセンス一本鎖RNAウイルス、例えば脳心筋炎ウイルス(EMCV)(Sheppard et al.,2003,Nat Immunol 4:63−68)およびC型肝炎ウイルス(HCV)(Robek et al.,2005,J Virol 79:3851−54;Doyle et al,2006,Hepatology 44:896−906);マイナスセンス一本鎖RNAウイルス、例えば水疱性口炎ウイルス(Kotenko et al.,2003,Nat Immunol 6:69−77;Pagliaccetti et al.,2008,J Biol Chem 283:30079−89)およびインフルエンザA型ウイルス(Jewell et al,2010,J Virol 84:11515−22)ならびに二本鎖RNAウイルス、例えばロタウイルス (Pott et al.,201 1,PNAS USA 108:7944−49)をはじめとする様々なウイルスのウイルス複製または細胞変性作用を低減し得ることが実証された。IFN−λ3は、HCV感染における重要なサイトカインとして遺伝子試験より同定され(Ge et al.,2009,Nature 461:399−401)、EMCVに対して最も強力な活性を有する(Dellgren et al.,2009,Genes Immun 10:125−31)。
【0199】
IFN−λの抗増殖活性は、神経内分泌癌BON1(Zitzmann et al.,2006,BBRC 344:1334−41)、膠芽腫LN319(Meager et al.,2005,Cytokine 31:109−18)、不死化ケラチノサイトHaCaT(Maher et al.,2008,Cancer Biol Ther 7:1109−15)、黒色腫F01(Guenterberg et al.,2010,Mol Cancer Ther 9:510−20)、および食道癌TE−11(Li et al.,2010,Eur J Cancer 46:180−90)をはじめとする複数のヒト癌細胞株においても確立されている。動物モデルにおいて、IFN−λは、自然および適応免疫応答の両方を通して腫瘍のアポトーシスおよび排出を誘導することから、IFN−λの局所送達がヒト悪性腫瘍の処置に有用な方策となり得ることが示唆される(Numasaki et al.,2007,J Immunol 178:5086−98;Sato et al.,2006,J Immunol 176:7686−94)。
【0200】
20kDaポリエチレングリコールにコンジュゲートされたヒトIFN−λ1(PEG−IFN−λ1)は、慢性HCV感染の処置に関して現在、臨床開発の最中である。第Ib相試験において、IFN−α療法後に再発したジェノタイプ1型HCV患者にPEG−IFN−λ1を投与すると、抗ウイルス活性が、各用量(0.5−3.0μg/kg)で観察され、ウイルス量が2.3logから4.0logに低下した(Muir et al.,2010,Hepatology 52:822−32;Ramos,2010,J Interferon Cytokine Res 30:591−95)。第IIb相試験(Zeuzem et al.,2011,J Hepatology 54:5538−39)では、HCV患者(ジェノタイプ1および4型)が、PEG−インターフェロンα−2aに対してPEG−IFN−λ1での処置に有意に高い応答率と、有害事象の頻度減少、インフルエンザ様症状、貧血および骨格筋症状の減少、ならびに好中球減少症および血小板減少症の稀な観察をはじめとし、PEG−インターフェロンα−2aを超えるPEG−IFN−λ1の追加的利点を有することが報告された。しかし、PEG−インターフェロンα−2aに比較して最高用量のPEG−IFN−λ1で、より高い割合の肝毒性が認められた(Zeuzem et al.,2011,J Hepatology 54:5538−39)。IFN−λ1の能力および安全性プロファイルを改善するために、本発明者らは、Fab蛋白質の安定した二量体の形式でこのサイトカインを標的抗原につなぐモジュラーDOCK−AND−LOCK(商標)(DNL(商標))複合体を構築した。
【0201】
ヒト化抗体hRS7(抗Trop−2)、hMN15(抗CEACAM6)、hL243(抗HLA−DR)またはc225(キメラ抗EGFT)から得られたFab−DDD2モジュールは、二量体化してAD2−IFN−1に結合し、それぞれイムノサイトカイン(E1)−λ1、(15)−λ1、(C2)−λ1および(c225)−λ1を生成した。当業者は、本発明が例示的抗体に限定されず、任意の公知抗体で実施されることを認識するであろう。インターフェロン−抗体構築物の生物活性を評価し、標的化および非標的化細胞株における組換えヒトIFN−λ1(rhIFN−λ1)と比較した。本発明者らは、(E1)−λ1におけるhRS7 Fab二量体が、ヒト子宮頸癌ME−180(EC
50<0.1pM)、肺扁平上皮癌SK−MES−1(最大60%の阻害)、および食道癌TE−11(最大45%の阻害)をはじめとし、複数のTrop2陽性細胞株に対してIFN−λ1のインビトロ能力が劇的に増加すること(約1000倍)を観察した。同様にIFN−λ1を介した増殖抑制が、CEACAM6陽性ME−180細胞(EC
50<1pM)およびTE−11細胞におけるhMN15 Fab二量体により著しく増強された(およそ100倍)が、CEACAM6陰性SK−MES−1細胞においては増強されなかった。
【0202】
(Fab)
2−IFN−λlの抗ウイルス活性を検査するために、本発明者らは、 CEACAM6を発現するがHLA−DRを発現しないA549細胞における脳心筋炎ウイルス(EMCV)の感染および複製に及ぼすrhIFN−λ1、(15)−λ1、および(C2)−λ1の影響を比較した。結果から、rhIFN−λ1および(Fab)
2−IFN−lの両方が、EMCVにより誘導された細胞変性作用を効率的に阻止し得るが、(15)−λ1が、rhIFN−λ1よりも6倍高く(C2)−λ1よりも10倍高い抗ウイルス能を示すことが明らかとなった。更なる研究から、標的細胞において、(Fab)
2−IFN−λlが、Jak−STATシグナル伝達の活性化における重要な事象であるシグナル伝達兼転写活性因子(STAT)1、2、および3のリン酸化、ならびに抗原表示を促進する腫瘍組織適合性複合体クラスI(MHCI)の細胞表面発現を促進し得ることが示された。これらのデータは総合的に、Fab抗体フラグメントの標的結合により介されるIFN−λ1の細胞表面固定、標的細胞におけるその能力を有意に増強し得て、インビボ安全性プロファイルを改善し得ることを示している。当業者は、これらの作用がFab抗体フラグメントに限定されず、インタクト抗体または他の抗体フラグメントにおいても起こることを認識するであろう。これらの結果から、IFN−λ1に結合した標的抗体または抗体フラグメントを含むDNL(商標)複合体が、癌、感染性疾患、喘息、または多発性硬化症の処置の治療薬として発揮され得ることが示される。
【0203】
材料と方法
抗体および試薬ヒト化抗体hA20−IgG(抗CD20)、hRS7−IgG(抗Trop−2)、hMN15−IgG(抗CEACAM6)およびhL243(抗HLA−DR)は、Immunomedics,Incから得た。組換えヒトIFN−λ1、ヒトIFN−λ1に対するマウスmAb 、およびヒトHLA−ABCに対するマウスFITC−IgGlkは、R&D Systems Incから購入した。AD2部分を含む融合蛋白質のアミノ酸配列および突然変異体(C17 IS)または野生型IFNλ1に結合したポリ−His配列を、以下に示す。STAT1、STAT3、pY−STATlおよびpY−STAT3に対するウサギ抗体は、Cell Signaling Technology Incから購入した。STAT2抗体は、 Santa Cruz Biotechnologyから得た。pY−STAT2抗体は、Millipore Corporationから得た。
野生型:AD2−IFN−λ1
【化16】
【0204】
AD2−IFN−λ1の発現および精製DNL(商標)複合体形成のためのIFN−λ1モジュールを生成するために、E.コリ内での発現用に最適化されたAD2、ヒンジリンカーおよびヒトIFN−λ1(C171S)を含む合成DNA配列を合成し(
図8A)、pET−26ベクターのMscIおよびXhoI部位にクローニングした。プラスミドで形質転換されたRosetta−pLysS細胞(Novagen)を、100μg/ml硫酸カナマイシンおよび34μg/mlクロラムフェニコールを補充されたDifco 2×YTブロス(Becton Dickinson)中で37℃で増殖させた。細胞密度がOD
600で1.0に達したら、IPTGを0.5mMになるまで添加して、蛋白質発現を30℃で4時間誘導した。細胞を遠心分離により回収して、−80℃で一晩凍結させた。ペレットを解凍して、溶解緩衝液(2%Triton−X100、5mM MgSO
4、10単位/ml ベンゾナーゼ(Novagen)、100μM AEBASF、20mMTris−HCl、pH8.0)中でホモジナイズした。ホモジネートを18,000RPMで30分間遠心分離して、ペレットをPBS/1%Triton−X100に再度ホモジナイズし、その後、再度ペレット化した。ペレットを6Mグアニジン−HCl、100mM リン酸ナトリウム、pH8.0 20mlに可溶化して、His−Selectアフィニティーカラム(GE−Healthcare)にロードし、6Mグアニジン、50mM リン酸ナトリウム、pH8.0で引き続き洗浄した。蛋白質を4Mグアニジン−HCl、100mM NaH
2P0
4、pH4.5で溶出して、3M Tris−HCl、pH8.6 200μlの添加により中和して、DTEを60mMになるまで添加して、溶液を室温に一晩保持した。還元された変性蛋白質溶液を、0.5Mアルギニン、20mM酸化グルタチオン、2mM EDTA、100mM Tris、pH8.0に迅速に希釈し、その後、復元緩衝液(0.5Mアルギニン、2mM酸化グルタチオン、0.6mM DTE、2mM EDTA、20mM Tris、pH8.0)5Lで透析して、4℃で72時間保持した。その後、溶液をPBS−AG−2緩衝液 (35.2mM Na
2P0
4.7H
20;0.4M NaCl;6.5mM NaH
2P0
4.H
20;150mMアルギニン;150mMグルタミン酸、pH 8.0)で透析した。最終生成物を約0.5mg/mlまで濃縮して、SDS−PAGEにより分析した。
【0205】
DNL(商標)構築物 過去に記載された通り、(E1)−λ1、(15)λ1、および(C2)−λ1をはじめとする(Fab)
2−IFN−λlコンジュゲートを、hRS7−、hMN15−、またはhL243−Fab−DDD2モジュレートとAD2−IFN−λ1との融合により生成させて、DNL(商標)複合体を形成させた(
図8B)(例えば、実施例の節が参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第7,521,056号;同第7,527,787号;同第7,550,143号;同第7,534,866号;同第7,666,400号;同第7,858,070号;同第7,871,622号;同第7,901,680号;同第7,906,1 18号;同第7,906,121号;同第7,981,398号および同第8,003,111号参照)。c225−Fab−DDD2モジュールを、DrugBankの配列(アクセション番号:DB00002)により構築した。生成物をKappa−selectおよびHis−selectカラムで順次精製して、4〜20% Tris グリシンゲルを用いた還元および非還元条件下のSDS−PAGEで分析した(図示しない)。
【0206】
細胞培養および表面結合TE−11は、 Hiroshi Nakagawa博士(ペンシルバニア大学)により授与された。Huh−7およびT.Tnは、医薬基盤研細胞バンクから購入した。他の細胞株は全て、American Type Culture Collectionから購入した。 ME−180、TE−11およびA375細胞は、10%FBS(Hyclone)を有するRPMI1640培地(Invitrogen)で増殖させた。HepG2、Huh−7、およびSK−MES−1細胞 は、10%FBSを有するEMEM培地(ATCC)で増殖させた。A549は、10%FBSを有するF12培地(Invitrogen)で増殖させ、T.Tnは、10%FBSを有するDMEM/F12培地(Invitrogen)で増殖させた。細胞株は全て、5%CO
2の加湿条件下、37℃で培養した。
【0207】
結合アッセイの場合、細胞を簡単にトリプシン処理して、新しい培地で懸濁させてペレット化し、その後、ヒト化mAb 10μg/mlで再懸濁させるが、またはIFN−λ1ベースの薬物を1%BSA−PBSで系列希釈した。4℃で45分間インキュベートした後、細胞をペレット化して、1%BSA−PBSで2回洗浄して、FITC標識ヤギ抗ヒトIgG−Fcまたはマウス抗ヒトIFN−λ1と共に4℃で更に45分間インキュベートし、その後、FITC標識ヤギ抗マウスIgG−Fcでプローブした。3回洗浄した後、結合をフローサイトメトリーにより測定した。MHC 1の発現の変動を検査するために、細胞をIFN−λ1剤に3日間暴露、表面MHC 1を、ヒトHLA−ABCと拮抗したFITC標識マウスIgG1kとの結合により検出した。FITC標識非特異性マウスIgG1kを、陰性対照として使用した。
【0208】
インビトロ増殖 ME−180、SK−MES−1、TE−11、およびT.Tn細胞を、96ウェルプレートに1000細胞/ウェルで播種して、37℃で一晩インキュベートし、その後、増加濃度のIFN−λ1剤に4日間暴露した。生存細胞の密度を、CellTiter 96 Cell Proliferation Assay(Promega)を利用して決定した。
【0209】
抗ウイルスアッセイ IFN−λ1および2(Fab)−λ1の抗HCV活性を、Huh−7−Con1と称されるHCVジェノタイプIb Con1レプリコンを含む安定したHuh−7細胞株を用いて、HD Biosciences(中国)Co.,Ltd(中国、上海)により測定した。ホタルルシフェラーゼ遺伝子を、ウイルスレベルのレポーターとしてこのレプリコンに統合する。3つのIFN−λ1剤:(c225)−λl、(C2)−λ1、およびrhIFN−λ1を、このアッセイに含めた。それらのうち(c225)−λlは、Huh−7細胞表面のEGFRを特異的に標的化するキメラmAbの2つのFabを含むが、(C2)−λ1およびrhIFN−λ1は、2つの非標的化対照であった。Huh−7−Con1細胞を、3種の薬剤で3日間処理して、ウイルス複製レベルをルシフェラーゼ活性を測定することにより決定した。その間に、これらの薬剤の細胞毒性も、CellTiter Gloキット(Promega)を用いて、親Huh−7細胞で評価した。
【0210】
別のアッセイにおいて、(15)−λ1の抗ウイルス活性を、PBL Interferon Source(ニュージャージー州ピスカタウェイ所在)により実施された細胞変性作用阻害アッセイを利用して、EMCVでA549細胞にて測定した。このアッセイに含まれるのは、陰性対照としてのhMN−15−Fab−DDD2、陽性対照としてのrhIFN−λ1標準(PBL Interferon Source)、および構造コンパートメント用の非標的化対照としての(C2)−λ1であった。
【0211】
ウェスタンブロット ME−180、HepG2、およびA375細胞を、6ウェルプレートに5×l0
5細胞/ウェルで播種し、37℃で一晩インキュベートした。STAT活性化を評価するために、細胞を減少濃度の示されたIFN−λ1剤で1時間処理し、その後、PhosphoSafe(商標)抽出試薬(EMD)で溶解した。細胞溶解物をSDS−PAGEで分解して、ニトロセルロース膜(Bio−Rad)上に移動させ、その後、全STAT1、STAT2、またはSTAT3に対するウサギ抗体、およびホスホチロシン特異性抗体pY−STAT1、pY−STAT2、またはpY−STAT3と共にブロットして、HRP−ヤギ抗ウサギ抗体で検出した。βアクチン抗体を、ローディングコントロールに用いた。
【0212】
8週齢雌胸腺欠損ヌードマウス(Taconic、ニューヨーク州ジャーマンタウン所在)の4群に、(E1)−λ1 2.4nmolを皮下注射して、6、16、24、および48時間目に採血した。インタクトの(E1)−λ1の血清濃度を、酵素免疫測定法(ELISA)を利用して測定した。薬理学的パラメータを、WinNonLin Noncompartmental Analysis Program(Version 5.3, Pharsight Corporation、ミズーリ州セントルイス所在)を用いて計算した。ELISAの結果と協調させるために、選択的血清試料中のIFN−λ1の生物活性も、(E1)−λ1を標準として使用するME−180細胞のエクスビボ増殖アッセイにより評価した。
【0213】
RT−PCR解析 HepG2細胞を、IFN−λ1剤で24時間処理し、全RNAを、TRIzol(登録商標)Reagent(Life Technologies)を用いて単離した。ミクソウイルス耐性A(MxA)遺伝子のmRNA発現を、フォワードおよびリバースプライマーと共に、Superscript(登録商標)III One−Step RT−PCR System(Life Technologies)を用いて、cDNA合成−55℃/30分で1サイクル、そしてPCR−94℃/15秒 、62℃/30秒、68℃/30秒で25サイクル、という条件で単離した。グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)cDNAの452bpフラグメントを、内部対照として同様の条件下で増幅させた。
【0214】
マウスにおける薬物動態性 8週齢雌胸腺欠損ヌードマウス(Taconic、ニューヨーク州ジャーマンタウン所在)の4群に、2.4nmol(E1)−λ1を皮下注射して、6、16、24、および48時間目に採血した。インタクトの(E1)−λ1の血清濃度を、酵素免疫測定法(ELISA)を利用して測定した。薬理学的パラメータを、WinNonLin Noncompartmental Analysis Program(Version 5.3, Pharsight Corporation,ミズーリ州セントルイス所在)を用いて計算した。ELISAの結果と協調させるために、選択的血清試料中のIFN−λ1の生物活性も、(E1)−λ1を標準として使用したME−180細胞のエクスビボ増殖アッセイにより評価した。
【0215】
統計解析 統計学的有意差(p<0.05)を、Prism GraphPadソフトウエアパケージ(Advanced Graphics Software,カリフォルニア州ランチョサンタフェ所在)を用いて全ての結果のF検定で決定した。
【0216】
結果
(Fab)
2−IFN−λ1の生成および特徴づけ 点突然変異(C171S)を、野生型IFN−λ1配列に導入して、DNLモジュールのリフォールディングおよび組織化を有する非対合システイン残基の潜在的干渉を排除した。AD2−IFN−λ1モジュールの組換え形態を、E.コリ内で産生して、固定化金属イオンアフィニティークロマトグラフィー(IMAC)により変性条件下で封入体から精製した。蛋白質をジチオトレイトール(DTE)で還元し、その後、酸化グルタチオンを含むリフォールディング緩衝液中でリフォールディングして、ジスルフィド結合を形成させた。SDS−PAGEにより決定された通り(図示しない)、AD2−IFN−λ1蛋白質が高度に精製されて、主に単量体状態で存在した。最終生成物の収率は、約6mg/mlE.コリ細胞培養物であった。
【0217】
図8Bに示される通り、(Fab)
2−IFN−λ1コンジュゲートを、AD2−IFN−λ1モジュールとFab−DDD2モジュールとの組み合わせにより生成させた。この試験において、hRS7、hMN15、またはhL243のFab−DDD2モジュールを、過剰モル量のAD2−IFN−λ1と混合して、1mmol/L 還元グルタチオンと共に一晩インキュベートした後、酸化グルタチオン(2mmol/L)を添加した。反応混合物をKappa−selectカラムで精製して、4つのコンジュゲート:(E1)−λ1、(15)−λ1、(C2)−λ1および(c225)−λlの生成に成功した。これらのコンジュゲートの純度を、SDS−PAGEにより示し、還元ゲル内で3つのバンド(Fab DDD2重鎖、Fab軽鎖およびAD2−IFN−λ1)に、そして非還元ゲル内で主要な高分子量バンドに分解した(図示しない)。
【0218】
抗原の細胞表面発現 7種のヒト癌細胞株(子宮頸部、ME−180;食道、TE−11;肺、A549、SK−MES−1;肝臓、HepG2、Huh−7;および黒色腫−皮膚、A375)の細胞表面のTrop−2、CEACAM6、HLA−DR、およびEGFRの発現レベルを、フローサイトメトリーにより決定した。
図9に示す通り、Trop−2は、ME−180およびTE−11細胞上で高度に発現され、SK−MES−1細胞上で中等度に発現された。A375およびSK−MES−1を除き、CEACAM6は、他の全ての細胞株で発現され、A549およびHelpG2細胞で最高レベルだった。A375細胞株は、HLA−DRの高い発現を示した。EGFRの高い発現が、Huh−7、ME−180、TE−11、SK−MES−1およびA549に対して観察された。これらのデータは、(Fab)
2−IFN−λ1の細胞特異性標的化の更なる試験の基本原理を提供した。
【0219】
細胞表面での(Fab)
2−IFN−λ1の固定化促進 AD2−IFN−λ1モジュールと比較すると、(Fab)
2−IFN−λ1は、標的細胞への結合親和力の有意な増大を示した。マウス抗ヒトIFN−λ1 mAbにより検出された8nMの濃度では、結合シグナルは、AD2−IFN−λ1モジュールに比較して、ME180に対して(E1)−λ1で107倍高く(
図10A)、HepG2に対して(15)−λ1で15倍高く(
図10B)、A375細胞に対して(C2)−λ1で508倍高かった(
図10C)。これらのデータから、(Fab)
2とコンジュゲートされたIFN−λ1が、標的細胞表面において劇的に高い固定化を呈することが示される。
【0220】
インビトロ増殖抑制および細胞毒性 子宮頸癌ME−180は、IFN−λ1に対して高度に感受性のある細胞株として同定された。その細胞増殖は、10nMを超える濃度のrhIFN−λ1によりほぼ完全に抑制され、AD2−IFN−λ1モジュールは、rhIFN−λ1と等しい活性を示した(EC
50=0.1nM、データは示さない)。ME−180に対するIFN−λ1の比活性は、標的コンジュゲート(E1)−λ1において有意に高くなっており(EC
50<0.1pM)、それはAD2−IFN−λ1またはAD2−IFN−λ1とAD2−hrS7−Fabとの組み合わせよりも100倍を超える高さである(
図11)。ME−180と比較して、肺扁平上皮癌SK−MES−1および食道癌TE−11細胞は、IFN−λ1に対する感受性が低く、最高濃度のIFN−λ1で、それぞれ最大60%および45%の増殖阻害を示すに過ぎなかった(図示しない)。しかし(E1)−λ1の活性上昇が、これらの2種の細胞株において観察され、AD2−IFN−λ1またはAD2−IFN−λ1とAD2−hrS7−Fabとの組み合わせよりも約1000倍高かった(図示しない)。更に本発明者らは、CEACAM6陽性ME180およびTE−11細胞株に対する(15)−λ1の活性を評価した。
図12に示す通り、(15)−λ1は、AD2−IFN−λ1またはAD2−IFN−λ1とhMN15−IgG−AD2との組み合わせよりも100倍高い活性を示した。ME−180に対する(15)−λ1のEC
50は、約1pMであり、(E1)−λ1よりも10倍高い。
【0221】
抗ウイルス活性 選択的2(Fab)−λ1構築物の抗ウイルス活性を、それぞれHuh−7およびA549細胞におけるHCVおよびHMCVに対して測定した。EGFR発現Huh−7細胞において、(c225)−λ1(EC
50=0.56pM)は、HCV複製阻害について、それぞれ非標的化(C2)−λ1(EC
50=91.2pM)および市販のrhIFN−λ1(EC
50=69.2pM)よりも163倍および123倍強力であった(
図13A)。CEACAM6発現A549細胞において、(15)−λ1は、非標的化(C2)−λ1およびrhIFN−λ1に比較して、それぞれ10倍および6倍高い抗EMCV活性を示した(
図13B)。注目すべきこととして、(C2)−λ1は、rhIFN−λ1の65〜75%の抗ウイルス活性を保持した。これらの結果から、IFN−λ1の細胞表面標的化が、抗ウイルス活性を効果的に増強し得ることが示される。
【0222】
細胞シグナル伝達(Fab)
2により増強されたIFN−λ1活性のメカニズムを理解するために、本発明者らは、3つの細胞株において(Fab)
2−IFN−λ1とAD2−IFN−λ1のシグナル伝達活性を比較した。リン酸化アッセイにより、15−Fab−DDD2がHepG2細胞において任意のSTATリン酸化を誘導しないが、AD2−IFN−λ1は、0.1nM濃度で検出可能なリン酸化を誘導した(図示しない)。比較において、(15)−λ1は、3つのSTAT、特にSTAT1の、有意により大きなリン酸化を誘導し、0.1nM AD2−IFN−λ1とほぼ等しい0.01nM(15)−λ1のシグナル伝達活性を示した(図示しない)。AD2−IFN−λ1に対比して増強された(Fab)
2−IFN−λ1のSTATリン酸化は、(E1)−λ1標的ME−180および(C2)−λ1標的A375細胞においても実証された(データは示さない)。
【0223】
MHCクラスI抗原(MHC−1)の細胞表面発現をアップレギュレートする(15)−λ1の能力も、フローサイトメトリーによりHepG2細胞において研究した(図示しない)。3日間の1nMまでのhMN−15−Fab−DDD2でのHepG2細胞の処理は、MHC−1(MFI〜50)の表面レベルにおける変化をもたらさなかったが、MFI(〜170)における3倍を超える増加が、1pMという低濃度の(15)−λ1で処理された細胞で観察された。MHC−1の発現は、100pMの(15)−λ1で最大レベル(MFI〜270)に達した。AD2−IFN−λ1は、MHC−1をアップレギュレートすることが可能であったが、効果的になるにはより高濃度(100pM)が必要であった(図示しない)。
【0224】
本発明者らは、IFN生物活性の信頼できるマーカーであるミクソウイルス耐性A(MxA)遺伝子の発現を(15)−λ1が誘導する能力も検査し、その結果をRT−PCRにより決定した。未処理またはhMN−15−Fab−DDD2−処理HepG2細胞において、MxAのmRNAは、RT−PCRにより検出できなかった(図示しない)。MxA遺伝子の誘導は、0.1pMの(15)−λ1または10pMのAD2−IFN−λ1で処理された細胞において明白であり(図示しない)、つまりAD2−IFN−λ1を超える(15)−λ1の利点、詳細には一般にIFN−λ1を超える2(Fab)−λ1の利点が更に証明された。
【0225】
マウスにおける薬物動態 単一用量(2.4nmol)の皮下投与の後、インタクトの(E1)−λ1の平均血清濃度は、6時間で高レベルに達し、48時間でELISA検出の限界未満に降下した(図示しない)。ノンコンパートメント解析から得られた薬物動態(PK)パラメータは、平均保持時間12時間と、T
1/2 8.6時間およびクリアランス2.2ml/hを示した。血清中の(E1)−λ1の濃度をMTSアッセイを用いたME−180細胞上での阻害活性によっても測定すると、結果が大きく一致した(図示しない)。
【0226】
組換えIFN−αは、マウスにおいて非常に急速なクリアランスを有し、わずか0.7時間の平均保持時間を示す。つまり2(Fab)−λ1は、PEG−IFN−α[37]およびPEG−IFN−λに匹敵する有意に改善されたPKを示す(図示しない)。
【0227】
議論
IFN−λ1、IFN−λ2、およびIFN−λ3を含むIII型インターフェロン(IFN)は、抗ウイルス、抗腫瘍、および抗免疫調整活性の誘発においてIFN−αと同様に挙動する。より制限された細胞標的物のために、IFN−λ1は、IFN−αに基づく既存の治療レジメンの潜在的代替法として興味を集めている。本発明者らは、抗体コンジュゲートIFN−λ1を含むDOCK−AND−LOCK(商標)複合体を生成し、hRS7(ヒト化抗Trop−2)、hMN−15(ヒト化抗CEACAM6)、hL243(ヒト化抗HLA−DR)、およびc225(キメラ抗EGFR)から得られた安定したFab二量体をIFN−λ1に部位特異的につないで、それぞれ(E1)−λ1、(15)−λ1、(C2)−λ1および(c225)−λ1と称される新規な免疫サイトカインを得ることにより、標的癌細胞株においてIFN−λ1の抗増殖能を最大1,000まで改善した。(15)−λ1または(c225)−λ1を介したIFN−λ1の、各抗原発現細胞への標的送達も、脳心筋炎ウイルスに対して(15)−λ1によるヒト肺腺癌上皮細胞株A549(EC
50=22.2pM対223pM)、およびC型肝炎ウイルスに対して(c225)−λ1によるヒト肝臓癌細胞株Huh−7(EC
50=0.56pM対91.2pM)において実証された通り、非標的(C2)−λ1と比較すると抗ウイルス活性も有意に上昇させた。これらの意外で予測されなかった結果は、マウスにおける(E1)−λ1の好適な薬物動態プロファイル(T
1/2 8.6時間)と共に、抗体−標的細胞へのIFN−λ1のより良好な局在化およびより強力な結合に起因する。
【0228】
Trop−2およびCEACAM6は、標的細胞上でIFN−λ1の受容体よりも高レベルで発現される(図示しない)。その結果、10倍多いIFN−λ1分子が、DNLコンジュゲートにより標的細胞に結合され得る。Trop−2またはCEACAM6とIFN−λ1のヘテロ二量体受容体とのコライゲーションも、ME−180における(E1)−λ1について示された通り、IFN−λ1の結合強度をほぼ100倍増加させ得る。免疫コンジュゲートされたIFN−λ1の標的送達は、単独または組み合わせとして別個に投与された抗体およびインターフェロンよりも、腫瘍および感染疾患治療に有意に大きな生物活性をもたらす。
【0229】
IFN−αの治療代替物としてのIFN−λの能力は、臨床試験においてPEG−IFN−α−2aを超える改善された安全性プロファイルを示すPEG−IFN−λ1によって探索の最中である(Miller et al.,2009,Ann N Y Acad Sci 1182:80−87; Ramos,2010,J Interferon Cytokine Res 30:591−95)。しかし用量限定的な肝毒性をはじめとする若干の重篤な有害事象の割合は、PEG−IFN−λ1およびPEG−IFN−α−2aで処置された患者では同様であり、最高用量のPEG−IFN−λ1で処置された患者ではより頻度が高い(Zeuzem et al.,2011,J Hepatology 54:5538−38)。その一方で、IFN−λは、特定の癌(Meager et al.,2005,Cytokine 31:109−18)またはウイルス(Ank et al.,2006,J Interferon Cytokine Res 26:373−79)に対してI型インターフェロンよりも効果が低かった。本発明者らは、多量に発現された表面抗原に特異的な抗体にIFN−λを結合させると、標的細胞での局在化が増加し得て、より大きな能力と、うまくいけば非標的細胞へのより低い毒性をもたらすと推定している。したがって本発明者らは、Fabの安定化二量体に部位特異的にコンジュゲートされたIFN−λ1をそれぞれが含む、IFN−λに基づく免疫サイトカインの4つのプロトタイプを開発し、コンジュゲートされていない親モジュールを単独または組み合わせで比較して、それらの優位性を実証した。改善された効果が、抗腫瘍および抗ウイルスアッセイの両方で示され、構成的抗体(constitutive antibody)により可能になる細胞表面結合およびシグナル伝達の上昇と一致する。
【0230】
抗腫瘍試験において、本発明者らは、最大阻害が80%を超えEC
50が文献で報告された他の細胞株よりも20倍低いIFN−λ1に対して最も感受性のある細胞株として、ME−180を樹立した(Zitzman et al.,2006,BBRC 344:1334−41;Meager et al.,2005,Cytokine 31:109−18;Maher et al.,2−8,Cancer Biol Ther 7:1109−15;Guenterberg et al.,2010,Mol Cancer Ther 9:510−20)。その上、ME−180上でのTrop−2の豊富な発現により、これらの腫瘍細胞は(E1)−λ1に対して高度に感受性になり、増殖阻害は1fMで検出可能であり、EC
50(<0.1pM)はAD2−IFN−λ1(EC
50〜100pM)よりも1000倍低い。阻害能の同様の増強が、TE−11、SK−MES−1および他の癌細胞株においても観察された。本明細書では評価していないが、IFN−λは、自然および適応免疫反応も誘導すること、ならびにB16黒色腫、BNLヘパトーマ、およびMCA205線維肉腫をはじめとする複数のネズミ癌細胞株におけるIFN−λの構成的発現が、インビトロ抗増殖活性の欠如にもかかわらず、免疫細胞および関連のサイトカインを動員することによりシンジェニックマウスモデルにおける腫瘍の増殖および転移を著しく抑制したことを示す近年の試験の見地から(Numasaki et al.,2007,J Immunol 178:5086−98;Abushahba et al.,2010,Cancer Immunol Immunother 59:1059−71;Lasfar et al.,2006,Cancer Res 66:4468−77)、本発明者らは、IFN−λの標的送達が癌細胞におけるIFN−λの構成的発現癌に類似し、癌の免疫療法における局所免疫反応および細胞毒性増大をもたらすと仮定する(Pardoll and Drake,2012,J Exp Med 209:201−9)。
【0231】
抗ウイルス試験において、HCVジェノタイプ1b Con1レプリコンの宿主となるEGFR陽性Huh−7細胞に対する(c225)−λ1の特異的標的化は、非標的化rhIFN−λ1および(C2)−λ1よりも抗ウイルス能のそれぞれ123倍および163倍の増強を示した。別のアッセイにおいて、EMCVでチャレンジされたCEACAM6陽性A549細胞に対する(15)−λ1の標的化は、非標的化rhIFN−λ1および(C2)−λ1よりも抗ウイルス防御性のそれぞれ6倍および10倍の改善を示した。(c225)−λ1と(15)−λ1の間の能力差は、標的細胞/ウイルス系のIFN−λに対する異なる感受性による可能性がある。過去の試験(Marcello et al.,2006,Gastroenterol 131:1887−98)において、rhIFN−λ1は、Huh−7/HCV系のrhIFN−αよりも10倍低かったが、A549/EMCVでは210倍低い(Meager et al.,2005,Cytokine 31:109−18)。(15)−λ1に誘導された抗ウイルス活性の増強は、(c225)−λ1と比較して、標的細胞においては高くないが、それでもペグ化IFNが非ペグ化IFNの約30%以下の活性しか保持しないことを考慮すると、意義深い知見であり(Grace et al.,2005,J Biol Chem 280:6327−36)、AD2−IFN−λ1の比活性は、rhIFN−λ1と類似していた。つまり2(Fab)λ1は、現行の臨床試験で用いられるPEG−IFN−λ1と同じまたはそれよりも少ない投与計画で、より少ない用量を可能にし得る。
【0232】
治療薬としての組換えIFNは、非常に急速なクリアランス速度によって限定される。本発明者らの過去の試験に基づけば、組換えIFN−α−2b、PEG−IFN−α−2a、およびPEG−IFN−α−2bは、それぞれ0.7、14.9、および9.3時間の半減期を示した(Rossi et al., 2009,Blood 114:3864−71)。つまりマウスにおいてPEG−IFN−αと同等の半減期(8.6時間)が、インビボ治療使用で見込まれる。
【0233】
実施例10.アルツハイマー病の処置のための(Fab)
2−インターフェロンλ1のDNL構築物
アルツハイマー病(AD)は、進行性の記憶障害、錯乱、緩やかな身体機能の悪化、そして最終的に死を迎える変性性脳障害である。世界中でおよそ1500万の人々が、 アルツハイマー病に罹患している。組織学的に該疾患は、主として連合皮質、大脳辺縁系および大脳基底核に見出される、老人斑により特徴づけられる。これらの斑の主要な構成成分は、アミロイドβペプチド(Aβ)であり、それはβアミロイド前駆蛋白質(βAPPまたはAPP)の切断生成物である。
【0234】
Aβは、アルツハイマー病の神経病理における中心的役割を有するようである。該疾患の家族性形態は、APPおよびプレセニリン遺伝子における突然変異に関連づけられた(Tanzi et al.,1996,Neurobiol.Dis.3:159−168;Hardy,1996,Ann.Med.28:255−258)。これらの遺伝子における疾患関連の突然変異は、アミロイド斑中に見出される主な形態であるAβの42アミノ酸形態の産生増加をもたらす。APPの疾患関連突然変異体を過剰発現するトランスジェニックマウスをヒトAβで免疫化すると、プラークバーデンおよび関連の病態が減少する (Schenk et al.,1999,Nature 400:173−177;WO99/27944号)。Aβを対象とする抗体の末梢投与も、脳のプラークバーデンを減少させる(Bard et al.,2000,Nature Medicine 6(8):916−919;WO2004/032868号;WO00/72880号)。
【0235】
抗体療法は、アルツハイマー病の処置および予防の有望なアプローチを提供する。しかし、Aβ1−42を含むワクチンを用いたヒト臨床試験は、患者の亜集団における髄膜脳炎により一時中断された。Orgogozo et al.,Neruology 61:7−8(2003);Ferrer et al.,Brain Pathol.14:11−20(2004)。N末端特異性抗Aβ抗体による受動免疫化は、トランスジェニックマウスにおいて、拡散アミロイドを有意に減少させたが、脳内微小出血の頻度が増加した。Pfeifer et al.,Science 298:1379 (2002)。低い毒性でアルツハイマー病を処置する改善された抗体および/または免疫コンジュゲートが、依然として求められている。
【0236】
インターフェロンλ1に結合したアレムツズマブを含むDNL(商標)複合体を、実施例9に従って調製する。インターフェロン−抗体複合体を、アルツハイマー病と診断されたヒト患者に投与量2mgで週2回4、8、または12週間にわたり静脈内投与する。有効性を、ADAS−cogおよびCERAD神経精神学的テストバッテリーを含む神経精神学的試験により測定する。
【0237】
ADAS−cogにおけるわずかな改善(15%)が、最低投薬量処置群を除く全ての患者において、処置の12週間後に観察された。同様の知見が、ミニメンタルステート検査(MMSE)について観察された。視覚的構成能力が、患者10名中4名で改善される。インターフェロン−抗体投与の重篤な有害作用は、全く観察されない。
【0238】
インターフェロンλ1に結合したミラツズマブ(抗CD74ヒト化IgG)またはそのFabフラグメントを含むDNL(商標)複合体を、実施例9に従って調製する。この複合体を、初期アルツハイマー病の75歳女性に、用量2mgで週2回、8週間にわたり静脈内投与する。軽微な吐気および低血圧の幾つかのエビデンスが、各注入後に認められたが、次の3日間を過ぎると消失する。有効性は、認知機能検査(ADAS−cog)およびCERAD神経精神学的バッテリーにより、ベースラインならびに治療後2週目および8週目に測定する。その結果は、認知機能ならびに一般的な精神学的状態およびコミュニケーション状態に20%の改善を示す。処置を4ヶ月後に再度実施したが十分に耐容性があり、患者は視覚的構成能力をはじめとする認知機能の改善維持を示す。
【0239】
インターフェロンλ1に結合したhL243(抗HLA−DRヒト化IgG)またはそのFabフラグメントを含むDNL(商標)複合体を、実施例9に従って調製する。この複合体を、アルツハイマー病の82歳女性に、用量1mgで週2回、8週間にわたり静脈内投与する。軽微な吐気および低血圧の幾つかのエビデンスが、各注入後に認められたが、次の3日間を過ぎると消失する。有効性は、認知機能検査(ADAS−cog)およびCERAD神経精神学的バッテリーにより、ベースラインならびに治療後2週目および8週目に測定する。その結果は、認知機能ならびに一般的な精神学的状態およびコミュニケーション状態に17%の改善を示す。処置を4ヶ月後に再度実施したが十分に耐容性があり、患者は視覚的構成能力をはじめとする認知機能の改善維持を示す。
【0240】
実施例11.喘息の処置のための(Fab)
2−インターフェロンλ1のDNL構築物
喘息は、刺激物質に対する気管・気管支の過敏反応により特徴づけられる異種起源の疾患群である。臨床的に喘息は、気管・気管支の広範にわたる狭窄、粘稠性分泌物と、呼吸困難、咳および喘鳴の発作により顕在化され、気道抵抗性の上昇、肺およびのどの過膨張、通気および肺血流の異常分布に陥る。該疾患は、無症状期間の間に挟まれた急性症状のエピソード期間において顕在化される。急性エピソードにより低酸素症になり、致命的となる可能性がある。一般的な世界人口のおよそ3%が、該疾患に罹患している。喘息の症状は、 惹起する抗原、環境的要因、職業的要因、身体活動、および情動的ストレスの存在およびレベルにより増悪し得る。喘息は、メチルキサンチン(テオフィリンなど)、βアドレナリン作動薬(カテコラミン、レゾルシノール、サリゲニン、およびエフェドリンなど)、グルココルチコイド(ヒドロコルチゾンなど)、肥満細胞脱顆粒の阻害物質(即ち、クロモリンナトリウムなどのクロモン)、および抗コリン作動薬(ストロピンなど)で処理され得るが、喘息を処置するための改善された方法および組成物が、求められている。
【0241】
80歳男性気管支喘息患者が、喘息の急性増悪を伴う風邪を発症し、頻回の咳により多量の粘稠性の黄色ムチンを生じる。その患者は、1日2回、6日間にわたりエアロゾル吸入により(15)−λ1を投与される。抗体−インターフェロン複合体は、実施例9に記載された通り調製する。最初の吸入の2、3時間以内に、呼吸が著しく改善し、咳の回数が減少する。この治療過程の終了時に、呼吸が改善して粘液性の咳が著しく減少することにより、情動的状態と同様に身体運動下での状態が、改善するようである。
【0242】
実施例12.多発性硬化症の処置のための(Fab)
2−インターフェロンλ1のDNL構築物
多発性硬化症(MS)は、自己反応性T細胞が血液脳関門を横断して髄鞘を攻撃し、炎症を起こして脱髄および軸索変性に至る、自己免疫疾患である。青少年期の予測不能な神経障害エピソードに続き、離散的攻撃(再発型)により、または時間の経過と共に徐々に、身体的および認知的障害が増えていく。治癒は知られていないが、インターフェロンβ療法が、再発寛解型多発性硬化症の現在の最前線処置であり、再発率の低下に関する有効性が実証されている。しかしIFN療法は、インフルエンザ様症状、骨髄抑制、自己免疫疾患の発症または増悪、好中球減少症、血小板減少症、および神経精神学的作用などの副作用による著しい病的状態を伴う。
【0243】
インターフェロンλ1に結合したアレムツズマブを含むDNL(商標)複合体を、実施例9に開示された通り調製する。該複合体を、再発性多発性硬化症(RMS)の64歳女性に4週間毎に2mg投与する。処置の12ヶ月後に、年間再発率の減少および障害の持続的進行リスクの低下が、該複合体により観察される。ベースライン測定と比較して、T1強調MRIスキャンあたりのガドリニウム増強病変が有意に少ないことが、認められる。副作用には、グレード1/2のインヒュージョンリアクション、グレード1の低血圧、および若干の過敏性が挙げられ、全てがコルチコステロイドにより良好に管理される。