【実施例】
【0024】
先ず、実施例の構成について説明する。
【0025】
図1は、実施例の車両用サイドカメラ装置2を備えた車両1の概略構成を示している。
【0026】
この実施例の車両用サイドカメラ装置2は、
図2に示したように、ベース部材3と、シャフト4と、ブラケット部材5と、カメラ6と、リンク機構7と、駆動モータ8と、駆動力伝達機構9と、カバー部材10とから主に構成されている。
【0027】
ここで、ベース部材3は、
図3に示したように、シャフト4の下端部を固定するための固定孔31aを有する略水平の支承板部31と、この支承板部31の縁部から略垂直に立ち上がる車両1の側面に取り付けるハーネス挿通孔32aを有する取付板部32とから成る。
【0028】
また、シャフト4は、
図4に示したように、下端部から上方へ延びる溝41a,・・・を有する下側の縮径部41と、上側の拡径部42とから成り、このシャフト4の軸の中心部よりも車両1の後方側に、リンク機構7を構成するリンク節71の一端を略水平に回転可能にピン接合するためのリンク節取付軸部4aが立設されている。
【0029】
さらに、ブラケット部材5は、
図5に示したように、シャフト4の下側の縮径部41を挿通させ、略水平に回動可能とするための挿通孔51aを有する基部51と、この基部51から略水平方向に延設された延設部52とから成る。
【0030】
ここで、このブラケット部材5の延設部52の上面には、カメラ6の車両1の前方側を回動可能に軸支するためのカメラ回転軸部52aと、駆動モータ8を支承するための駆動モータ支承部52bと、駆動力伝達機構9を構成する減速ギア92を回転可能に取り付けるための減速ギア取付部52cとが形成されている。
【0031】
また、カメラ6は、
図2に示したように、中心部よりも車両1の前方側に、ブラケット部材5の延設部52のカメラ回転軸部52aを挿通するためのカメラ回転軸部挿通孔6aが設けられ、中心部よりも車両1の後方側には、リンク機構7を構成するリンク節71の他端を略水平に回転可能にピン接合するためのリンク節取付軸部6bが立設されている。
【0032】
さらに、リンク機構7は、
図2に示したように、リンク節71の一端に設けられた取付孔71aにシャフト4のリンク節取付軸部4aを嵌め込み、他端に設けられた取付孔71bにカメラ6のリンク節取付軸部6bを嵌め込んで、両者間がピン連結されて成る。
【0033】
また、駆動モータ8は、
図2に示したように、駆動軸に固定される駆動力伝達機構9を構成するウォームギア91をシャフト4側に向けて、ブラケット部材5の延設部52の駆動モータ支承部52bに支承されて取り付けられている。
【0034】
さらに、駆動力伝達機構9は、
図2に示したように、駆動モータ8の駆動軸に固定されるウォームギア91と、このウォームギア91と噛み合うヘリカルギア92aを有する減速ギア92と、この減速ギア92のウォームギア92bと噛み合うシャフト4の下側の縮径部41に嵌め込まれたクラッチギア93とから主に構成される。
【0035】
ここで、
図6は、ベース部材3と、シャフト4と、ブラケット部材5との組立構造を説明するための分解図である。
【0036】
この
図6から分かるように、シャフト4は、下側の縮径部41にクラッチギア93と、クラッチ11と、スプリング12と、ブラケット部材5の基部51を嵌め込んでから、ベース部材3の支承板部31の固定孔31aに下端部を差し込み、この支承板部31の下側からワッシャー13を介してプッシュナット14で固定されている。
【0037】
ここで、シャフト4の下側の縮径部41の溝41a,・・・と、クラッチ11の内周面に形成された突起11b,・・・とは嵌め合わされており、クラッチ11は、シャフト4に対して回転せず、垂直方向には可動となっている。
【0038】
よって、駆動モータ8の減速された駆動力が駆動力伝達機構9のクラッチギア93に伝達されると、クラッチギア93は、係合溝93aと係合突起11aとがスプリング12の付勢力により固定系となっているので、ブラケット部材5は略水平方向に回転駆動される。
【0039】
また、ブラケット部材5を手で水平方向に回すと、クラッチギア93の下面に形成された係合溝93aと、クラッチ11の上面に形成された係合突起11aとの係合が解除されるので、手動でブラケット部材5を回動させることができる。
【0040】
さらに、カバー部材10は、
図2に示したように、ブラケット部材5の上側から被せられ、雨風を防ぎ、意匠的美観も呈するようにしている。
【0041】
ここで、このカバー部材10のカメラ6の撮影面の可動域に面する部分には、切欠部10aが形成されており、カメラ6による撮影を阻害しないようになっている。
【0042】
なお、このカバー部材10は、
図2では、内部構造が分かるように、便宜的に透明で示したが、所望の色で着色されていてもよい。
【0043】
次に、この実施例の車両用サイドカメラ装置2のカメラ6の撮影面が車両1のサイド後方を向き続ける原理について説明する。
【0044】
先ず、
図2に示したように、車両用サイドカメラ装置2を展開した状態では、平面視すると、
図7のように表すことができる。
【0045】
すなわち、リンク機構7は、シャフト4の中心部4bを一端とした仮想リンク節72と、カメラ回転軸部52aを一端とした仮想リンク節73との間が、実在のリンク節71と、仮想リンク節74とにより、ピン連結されたものとなる。
【0046】
よって、
図8に示したように、車両用サイドカメラ装置2を格納した状態にしても、
図9に示したように、カメラ6の撮影面が車両1のサイド後方を向いたままである。
【0047】
なお、図示は省略したが、カメラ6から延びるハーネスは、ベース部材3の取付板部32のハーネス挿通孔32aを通って車両1内のインストルメントパネルに設けたディスプレイと接続されており、運転者がこのディスプレイを見て車両1のサイド後方を視認できるようになっている。
【0048】
また、制御基板8aを有する駆動モータ8から延びるハーネスは、ベース部材3の取付板部32のハーネス挿通孔32aを通って車両1内のバッテリ及び操作部と接続されている。
【0049】
次に、実施例の作用効果について説明する。
【0050】
このような実施例の車両用サイドカメラ装置2は、車両1のサイド後方を視認するための車両用サイドカメラ装置である。
【0051】
そして、車両1のサイドに固定されるベース部材3と、ベース部材3に立設されたシャフト4に略水平に回動可能に取り付けられたブラケット部材5と、ブラケット部材5に設けられたカメラ6と、ブラケット部材5を回動させてもカメラ6の撮影面側を車両1のサイド後方に向かせ続けるリンク機構7とを備えた構成とされている。
【0052】
上記した構成なので、車両用サイドカメラ装置2を展開した状態から格納した状態としても、カメラ6の撮影面側が車両1のサイド後方に向いているため、車両1のサイド後方を視認することができる。
【0053】
ここで、カメラ6の車両1の前方側が略水平に回動可能にブラケット部材5に軸支され、カメラ6の車両1の後方側とシャフト4の軸の中心部4bよりも車両1の後方側との間が、リンク節71でピン連結されて、リンク機構7が成る。
【0054】
このため、カメラ6の撮影面側を車両1のサイド後方に向かせ続けるリンク機構を簡易且つ少ない部品点数で実現することができる。
【0055】
また、ブラケット部材5には、カバー部材10が取り付けられており、カバー部材10のカメラ6の撮影面の可動域に面する部分には、切欠部10aが形成されている。
【0056】
このため、カバー部材10により雨風を防ぎ、意匠的美観を呈するようにすることができるともに、切欠部10aを通して、カメラ6は車両1のサイド後方を撮影することができる。
【0057】
さらに、ブラケット部材5に駆動モータ8が固定されており、シャフト4との間に駆動モータ8の駆動力を伝達する駆動力伝達機構9が設けられている。
【0058】
このため、車両用サイドカメラ装置2を、電動で、展開した状態や格納した状態にすることができる。
【0059】
ここで、駆動力伝達機構9には、シャフト4と駆動モータ8との連結を断つクラッチ11が組み込まれており、ブラケット部材5の手動での回動が可能とされている。
【0060】
このため、車両用サイドカメラ装置2を、手動でも、展開した状態や格納した状態にすることができ、例えばリモコン操作が面倒なときや駆動モータ8が故障したときなどにも対応することができる。
【0061】
以上、図面を参照して、本発明を実施するための形態を実施例に基づいて詳述してきたが、具体的な構成は、この実施例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0062】
例えば、上記した実施例では、車両用サイドカメラ装置2を、車両1のフロントサイドドアに設置して実施したが、これに限定されず、例えば、車両のフロントサイドなどに設置して実施してもよい。
【0063】
また、上記した実施例では、カバー部材10に切欠部10aを形成して実施したが、これに限定されず、例えば、より防水性を高めるために、この切欠部10aに相当する部分を透明部として実施してもよい。
【0064】
また、上記した実施例では、カメラ6の概形を略直方体状にして実施したが、これに限定されず、
図10に示したように、カメラ6の概形を略円柱状にして実施してもよい(なお、
図10ではカメラ6を撮影面側から図示している。)。
【0065】
このようにカメラ6の概形を略円柱状にすれば、切欠部10aの縁とカメラ6との間の隙間を極めて小さくすることができるため、別途透明部とする部材を設けなくても、より防水性を高めることができる。
【0066】
さらに、上記した実施例では、カメラ6のみを設けて実施したが、これに限定されず、例えば、カバー部材10の車両1の後方側にミラー面を設けて実施してもよい。