特許第6205658号(P6205658)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6205658
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】太陽光発電プラントおよびその制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20170925BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20170925BHJP
   H02M 7/493 20070101ALI20170925BHJP
【FI】
   H02M7/48 R
   H02J3/38 130
   H02M7/48 E
   H02M7/493
【請求項の数】11
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-538993(P2014-538993)
(86)(22)【出願日】2012年10月25日
(65)【公表番号】特表2014-533084(P2014-533084A)
(43)【公表日】2014年12月8日
(86)【国際出願番号】US2012061851
(87)【国際公開番号】WO2013063224
(87)【国際公開日】20130502
【審査請求日】2015年10月15日
(31)【優先権主張番号】61/552,345
(32)【優先日】2011年10月27日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/658,562
(32)【優先日】2012年10月23日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505379467
【氏名又は名称】サンパワー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン、ラーズ
(72)【発明者】
【氏名】ピーター、ウィリアム ビー.
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン、ロバート
【審査官】 戸次 一夫
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2010/0181830(US,A1)
【文献】 国際公開第2010/096682(WO,A2)
【文献】 特開2004−260913(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0232714(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J3/00−5/00
H02M7/42−7/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光発電プラントであって、
複数のスレーブプラントコントローラと、
前記複数のスレーブプラントコントローラを制御するマスタープラントコントローラと、を備え、
前記複数のスレーブプラントコントローラは、前記マスタープラントコントローラからグローバル設定値を受信し、
前記複数のスレーブプラントコントローラの各スレーブプラントコントローラが、当該スレーブプラントコントローラによって制御される一群の複数の太陽光発電インバータそれぞれの、個々の設定値を調整するために前記グローバル設定値を処理し、
前記個々の設定値が、商用電力グリッドに対する前記太陽光発電プラントの相互接続点(POI)に提供される、前記一群の複数の太陽光発電インバータのうち対応する太陽光発電インバータの出力を設定し、前記一群に含まれる全ての前記複数の太陽光発電インバータの出力電圧に基づく単一のインバータ端子電圧によって制限され、
前記一群の複数の太陽光発電インバータがそれぞれ、複数の太陽電池により生成された直流を交流に変換し、
前記マスタープラントコントローラは、前記商用電力グリッドに対する前記POIにおける前記太陽光発電プラントの出力を検出すると共に、前記複数のスレーブプラントコントローラを制御して、前記複数のスレーブプラントコントローラに前記グローバル設定値を提供することにより、前記商用電力グリッドに対する前記POIにおける前記太陽光発電プラントの検出される前記出力に基づいて、対応する太陽光発電インバータの個々の設定値を調整する、太陽光発電プラント。
【請求項2】
前記POIにおける前記太陽光発電プラントの検出される前記出力は、無効電力を含み、
前記複数のスレーブプラントコントローラの各スレーブプラントコントローラによって調整される前記個々の設定値は、インバータ無効電力設定値を含む、請求項1に記載の太陽光発電プラント。
【請求項3】
前記POIにおける前記太陽光発電プラントの検出される前記出力は、力率を含み、
前記複数のスレーブプラントコントローラの各スレーブプラントコントローラによって調整される前記個々の設定値が、インバータ力率設定値を含む、請求項1に記載の太陽光発電プラント。
【請求項4】
前記POIにおける前記太陽光発電プラントの検出される前記出力は、有効電力を含み、
前記複数のスレーブプラントコントローラの各スレーブプラントコントローラによって調整される前記個々の設定値は、インバータ有効電力設定値を含む、請求項1に記載の太陽光発電プラント。
【請求項5】
前記POIにおける前記太陽光発電プラントの検出される前記出力は、測定された出力電圧を含む、請求項1に記載の太陽光発電プラント。
【請求項6】
前記マスタープラントコントローラは、前記POIにおけるメーターを読み取って、前記POIにおける前記太陽光発電プラントの前記出力を検出する、請求項1から5の何れか一項に記載の太陽光発電プラント。
【請求項7】
前記マスタープラントコントローラは、前記太陽光発電プラントの検出される前記出力を受信し処理する補償器を有する、請求項1から5の何れか一項に記載の太陽光発電プラント。
【請求項8】
前記補償器は、前記太陽光発電プラントの検出される前記出力の構成要素毎に設けられる
請求項7に記載の太陽光発電プラント。
【請求項9】
太陽光発電プラントを制御する方法であって、
第1のスレーブプラントコントローラを使用して、第1の複数の太陽光発電インバータを制御する段階と、
第2のスレーブプラントコントローラを使用して、第2の複数の太陽光発電インバータを制御する段階と、
相互接続点(POI)で前記太陽光発電プラントの出力を測定する段階と、
マスタープラントコントローラを使用して、前記第1のスレーブプラントコントローラ及び前記第2のスレーブプラントコントローラを制御する段階と、を備え、
前記第1の複数の太陽光発電インバータを制御する段階において、前記第1のスレーブプラントコントローラは、前記マスタープラントコントローラからグローバル設定値を受信し、前記第1の複数の太陽光発電インバータの各太陽光発電インバータの個々の設定値を調整するために前記グローバル設定値を処理して、前記第1の複数の太陽光発電インバータの各太陽光発電インバータの出力を調整し、前記個々の設定値が、前記第1の複数の太陽光発電インバータの全ての出力電圧に基づく単一のインバータ端子電圧によって制限され、前記第1の複数の太陽光発電インバータの各太陽光発電インバータは、第1の複数の太陽電池により生成された直流を、商用電力グリッドに対する前記太陽光発電プラントの前記POIに送達するために交流に変換し、
前記第2の複数の太陽光発電インバータを制御する段階において、前記第2のスレーブプラントコントローラは、前記マスタープラントコントローラから前記グローバル設定値を受信し、前記第2の複数の太陽光発電インバータの各太陽光発電インバータの個々の設定値を調整するために前記グローバル設定値を処理して、前記第2の複数の太陽光発電インバータの各太陽光発電インバータの出力を調整し、前記個々の設定値が、前記第2の複数の太陽光発電インバータの全ての出力電圧に基づく単一のインバータ端子電圧によって制限され、前記第2の複数の太陽光発電インバータの各太陽光発電インバータは、第2の複数の太陽電池により生成された直流を、前記POIに送達するために交流に変換し、
前記第1のスレーブプラントコントローラ及び前記第2のスレーブプラントコントローラを制御する段階において、前記マスタープラントコントローラが、前記第1のスレーブプラントコントローラ及び第2のスレーブプラントコントローラを制御して、前記第1のスレーブプラントコントローラ及び前記第2のスレーブプラントコントローラに前記グローバル設定値を提供することにより、前記POIにおいて測定される前記太陽光発電プラントの前記出力に基づいて、前記第1の複数の太陽光発電インバータ及び前記第2の複数の太陽光発電インバータのうちの太陽光発電インバータの個々の設定値を調整し、
前記第1のスレーブプラントコントローラ及び前記第2のスレーブプラントコントローラは、前記第1の複数の太陽光発電インバータ及び前記第2の複数の太陽光発電インバータにおいて、太陽光発電インバータの前記個々の設定値を調整するために前記グローバル設定値を処理する、方法。
【請求項10】
前記POIにおいて測定される前記太陽光発電プラントの前記出力は、電圧出力を含み、
前記太陽光発電プラントは、自動電圧調節にしたがって操作される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記POIにおいて測定される前記太陽光発電プラントの前記出力は、力率を含み、
前記太陽光発電プラントは、力率制御にしたがって操作される、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載する主題の実施形態は、全体として、太陽光発電プラントに関する。
【0002】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2011年10月27日出願の米国仮特許出願第61/552,345号の利益を主張し、その全体を参照することにより本明細書に組み込む。
【背景技術】
【0003】
太陽光発電プラントは、太陽光発電システムを使用して、太陽放射から電気を生成する。太陽光発電システムは、太陽電池パネルのアレイからなってもよく、それぞれの太陽電池パネルは、相互接続された太陽電池を備える。太陽電池には、P型及びN型拡散領域が含まれる。太陽電池に日射が当たると電子及び正孔が生成され、これらの電子及び正孔が拡散領域に移動することにより、拡散領域間に電位差が生じる。裏面コンタクト型太陽電池においては、拡散領域及びこれらの拡散領域に結合した金属コンタクトフィンガーが、共に太陽電池の裏面にある。このコンタクトフィンガーによって外部電気回路を太陽電池に結合し、太陽電池によって駆動することが可能となる。
【0004】
太陽光発電インバータは、太陽電池により生成された直流を、相互接続点(POI)において、電力グリッドに結合するのに適した交流に変換する。電圧、無効電力、有効電力、及び力率など、POIにおける太陽光発電プラントの出力は、指定値の範囲内に収まって要件を満たすように制御される。本発明の実施形態は、太陽光発電プラントの動作を制御して、POI又は他の送達ノードにおいて太陽光発電プラント出力を送達するように、太陽光発電プラントの動作を制御するためのマスター/スレーブアーキテクチャに関する。
【発明の概要】
【0005】
一実施形態では、太陽光発電プラントは、複数のスレーブプラントコントローラと、複数のスレーブプラントコントローラの動作を制御するマスタープラントコントローラと、を備え、複数のスレーブプラントコントローラの各スレーブプラントコントローラは、当該スレーブプラントコントローラによって制御される複数の太陽光発電インバータそれぞれの設定値を調整し、設定値が、商用電力グリッドに対する太陽光発電プラントの相互接続点(POI)に提供される、太陽光発電インバータに対応する出力を設定し、複数の太陽光発電インバータはそれぞれ、複数の太陽電池により生成された直流を交流に変換する。太陽光発電プラントは、複数のスレーブプラントコントローラの動作を制御するマスタープラントコントローラを更に備え、マスタープラントコントローラは、商用電力グリッドに対するPOIにおける太陽光発電プラントの出力を検出すると共に、複数のスレーブプラントコントローラの動作を制御して、商用電力グリッドに対するPOIにおける太陽光発電プラントの検出される出力に基づいて、対応する太陽光発電インバータの設定値を調整する。
【0006】
別の実施形態では、太陽光発電プラントの動作を制御する方法は、第1のスレーブプラントコントローラを使用して第1の複数の太陽光発電インバータの動作を制御する段階と、第2のスレーブプラントコントローラを使用して第2の複数の太陽光発電インバータの動作を制御する段階と、相互接続点(POI)で太陽光発電プラントの出力を測定する段階と、マスタープラントコントローラを使用して第1のスレーブプラントコントローラ及び第2のスレーブプラントコントローラの動作を制御する段階と、を備え、第1の複数の太陽光発電インバータの動作を制御する段階において、第1のスレーブプラントコントローラは、第1の複数の太陽光発電インバータの各太陽光発電インバータの設定値を調整して、第1の複数の太陽光発電インバータの各太陽光発電インバータの出力を調整し、第1の複数の太陽光発電インバータの各太陽光発電インバータは、商用電力グリッドに対する太陽光発電プラントのPOIに送達するため、第1の複数の太陽電池により生成された直流を交流に変換する。第2の複数の太陽光発電インバータの動作は、第2のスレーブプラントコントローラを使用して制御され、第2のスレーブプラントコントローラは、第2の複数の太陽光発電インバータの各太陽光発電インバータの設定値を調整して、第2の複数の太陽光発電インバータの各太陽光発電インバータの出力を調整し、第2の複数の太陽光発電インバータの各太陽光発電インバータは、POIに送達するため、第2の複数の太陽電池により生成された直流を交流に変換する。太陽光発電プラントの出力はPOIで測定される。第1のスレーブプラントコントローラ及び第2のスレーブプラントコントローラの動作は、マスタープラントコントローラを使用して制御され、マスタープラントコントローラは、第1のスレーブプラントコントローラ及び第2のスレーブプラントコントローラを制御して、POIにおいて測定された太陽光発電プラントの出力に基づいて、第1及び第2の複数の太陽光発電インバータのうちの太陽光発電インバータの設定値を調整する。
【0007】
別の実施形態では、太陽光発電プラントの動作を制御する方法は、太陽光発電プラントの第1のプラントコントローラを設置する段階を含み、第1のプラントコントローラは、第1の複数の太陽電池により生成された直流を交流に変換する第1の複数の太陽光発電インバータの動作を制御する。第1のプラントコントローラは、商用電力グリッドに対する相互接続点(POI)において、太陽光発電プラントの出力を生成するように操作される。第1のプラントコントローラが、少なくとも一定期間の間、商用電力グリッドに対するPOIにおける太陽光発電プラントの出力を生成するように動作した後、太陽光発電プラントの第2のプラントコントローラが設置され、第2のプラントコントローラは、第2の複数の太陽電池により生成された直流を交流に変換する、第2の複数の太陽光発電インバータの動作を制御する。マスタープラントコントローラは、第1のプラントコントローラ及び第2のプラントコントローラの動作を制御するのに設置される。第1のプラントコントローラ及び第2のプラントコントローラの動作は、マスタープラントコントローラを使用して制御され、マスタープラントコントローラは、第1のプラントコントローラ及び第2のプラントコントローラを制御して、POIにおける太陽光発電プラントの測定出力に基づいて、第1の複数の太陽光発電インバータ及び第2の複数の太陽光発電インバータのうちの太陽光発電インバータの設定値を調整する。
【0008】
本発明のこれら及びその他の特徴は、添付の図面及び特許請求の範囲を含む本開示の全体を読むことにより、当業者には容易に理解されよう。
【0009】
より完全な本主題の理解は、発明を実施するための形態、及び特許請求の範囲を、以下の図面と併せて考察し、参照することによって導き出すことができ、同様の参照番号は、図面全体を通して同様の要素を指す。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態による太陽光発電プラント100の構成要素を概略的に示す。
【0011】
図2】本発明の実施形態による図1の太陽光発電プラントの更なる構成要素を概略的に示す。
【0012】
図3】本発明の実施形態による、漸次的実装を可能にする太陽光発電プラントの制御を概略的に示す。
【0013】
図4図4A及び4Bから成り、本発明の実施形態による、自動電圧調節制御における図1の太陽光発電プラントの更なる詳細及び動作を概略的に示す。
【0014】
図5図5A及び5Bから成り、本発明の実施形態による、力率制御における図1の太陽光発電プラントの更なる詳細及び動作を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示では、本発明の実施形態を十分に理解するために、器具、部品及び方法の例など、多数の具体的な詳細を提供している。しかしながら、当業者であれば、本発明はこれらの具体的な詳細のうちの1つ以上を欠いても実施できることは理解されよう。他の例では、本発明の態様を不明瞭にすることを避けるため、周知の詳細については図示又は説明をしていない。
【0016】
図1は、本発明の実施形態による太陽光発電プラント100の構成要素を概略的に示す。図1の例に示される太陽光発電プラント100の構成要素は、複数のコンバイナボックス112と、複数の太陽電池パネル114と、太陽光発電インバータ110と、を含む。太陽光発電プラントは、複数の太陽光発電インバータ110を含んでもよいが、図示を明瞭にするため、図1には1つのみが示される。太陽電池パネル114は、同一のフレーム上に搭載され、電気的に接続された太陽電池を備える。一実施形態では、それぞれの太陽電池パネル114は、複数の直列に接続された裏面コンタクト型太陽電池115を備える。前面コンタクト型太陽電池を含む、他のタイプの太陽電池も用いられてもよい。図示を明瞭にするため、図1においては一部の裏面コンタクト型太陽電池115のみに記号を付している。
【0017】
太陽光発電ストリングは、図1のように、複数の直列に接続された太陽電池パネル114を備える。一群の太陽電池パネル114が、コンバイナボックス112に電気的に接続され、ここで太陽電池パネル114は直列に接続される。コンバイナボックス112は、太陽光発電ストリング内のすべての太陽電池パネル114が直列に接続されるように電気的に接続されてもよい。太陽光発電ストリングの出力は、太陽電池115により生成された直流(DC)を、例えば、商用電力グリッドへの送達に適した交流(AC)に変換するインバータ110に電気的に接続される。
【0018】
図2は、本発明の実施形態による太陽光発電プラント100の更なる構成要素を概略的に示す。図2は、図1と関連して記述されるインバータ110を示す。図示を明瞭にするため、太陽電池パネル114は図2には示されない。
【0019】
太陽光発電プラント100は、相互接続点(POI)221で商用電力グリッド225に結合される。図2の例では、一群の太陽光発電インバータ110の出力は、サブステーションMV/HV(中電圧/高電圧)変圧器220への中電圧(MV)供給器(feeder)212を用いてPOI 221に結合される。太陽光発電プラント100には太陽光発電インバータ110の複数の群があり、太陽光発電インバータ110の各群は、それ自体のMV供給器212に接続され、それ自体のプラントコントローラ210によって制御される。太陽光発電プラント100は、任意に、コンデンサバンクコントローラ、記憶装置などの外部デバイスを含んでもよい。
【0020】
太陽光発電インバータ110は、一般的に、商用電力グリッド225を伴うPOI 221から離れてインバータパッド(inverter pads)に配置される。AC集電システムのインピーダンスのため、太陽光発電インバータ110の端子で測定される電圧及び他の出力は、POI 221における値と同じではない。複数の太陽光発電インバータ110の動作はまた、POI 221における出力要件を満たすように協調させる必要がある。
【0021】
プラントコントローラ210は、POI 221又はその付近における太陽光発電プラント出力(例えば、電圧)の制御を容易にする、コンピュータなどの専用又は汎用処理デバイスを備えてもよい。一実施形態では、プラントコントローラ210は、対応する太陽光発電インバータ110の設定値を制御して、POI 221における所望の太陽光発電プラント出力を達成する。より具体的には、プラントコントローラ210は、太陽光発電インバータ110の設定値を調整してもよく、設定値は、特定の出力値を生成するように太陽光発電インバータ110に命令する。
【0022】
図2の例では、プラントコントローラ210は、プラントコントローラ210が次いで、マスタープラントコントローラ200によって制御され協調させられるという点で、「スレーブプラントコントローラ」である。一実施形態では、マスタープラントコントローラ200は、POI 221で測定された太陽光発電プラント出力に基づいてグローバル設定値を発行する。各スレーブプラントコントローラ210は、グローバル設定値を処理して、その制御下にある各太陽光発電インバータ110に対する個々の設定値を生成する。このように、マスタープラントコントローラ200は、太陽光発電インバータ110を制御して、特定の太陽光発電プラント出力を達成することができる。以下でより明白になるように、このマスター/スレーブ太陽光発電プラント制御アーキテクチャによって、漸次的実装、費用の分担、及び太陽光発電プラントの動作のより有効な制御を含む、多くの利点が可能になる。
【0023】
メーター223は、従来の電気メーター、又はデータ通信能力を備えた他のセンサ素子を含んでもよい。メーター223は、RMS送信機、電力量計(revenue meter)、保護継電器、及び他の測定/センサ装置を含んでもよい。図2の例では、メーター223は、POI 221における太陽光発電プラント100の出力を測定する。これによって、メーター223が、太陽光発電インバータ110の端子における読取り値よりも正確な、太陽光発電プラント出力の読取り値を有することが可能になる。POI 221においてメーター223によって測定される太陽光発電プラント出力の例としては、電圧、力率、無効電力、及び有効電力が挙げられる。図2の例では、実線は電力の流れを表し、破線はデータ流れを表す。データ流れは、変電所制御監視(SCADA)の制御によるものであってもよい。
【0024】
図2の例では、太陽光発電プラント100におけるデータ流れはコンピュータネットワークを介して行われる。一実施形態では、太陽光発電インバータ110、スレーブプラントコントローラ210、マスタープラントコントローラ200、及び外部デバイスは、Modbus TCP/IP通信プロトコルにしたがって通信する。その実施形態では、イーサネット(登録商標)スイッチが、太陽光発電プラント100の構成要素間のデータ通信リンクを提供する。監視及び制御はまた、DNP3若しくはIEC 61850などの別のプロトコルによって、又は信号用の個々の配線を提供するなどによる、アナログ信号伝達によって行われてもよい。
【0025】
マスタープラントコントローラ200は、スレーブプラントコントローラ210の動作を制御する専用又は汎用コンピュータであってもよい。マスタープラントコントローラ200は、太陽光発電プラント100全体を操作し、POI 221におけるプラントレベルの要件を満たすように、スレーブプラントコントローラ210を協調させる。マスタープラントコントローラ200からの入力に基づいて、スレーブプラントコントローラ210は、個々の太陽光発電インバータ110に制御信号を送って、例えば、自動電圧調節、力率制御、及び/又は有効電力制御にしたがって、POI 221における太陽光発電プラント出力を調整する。
【0026】
一実施形態では、マスタープラントコントローラ200は、太陽光発電プラント100の出力をメーター223から読み取ると共に、スレーブプラントコントローラ210の動作を制御して、商用電力グリッド225に対するPOI 221における太陽光発電プラントの検出される出力に基づいて、対応する太陽光発電インバータ110の設定値を調整する。
【0027】
自動電圧調節(AVR)の特定の相互接続要件を満たすための太陽光発電プラント100の一例の動作として、RMS送信機、電力量計、保護継電器など、POI 221におけるグリッド条件を測定するセンサ/測定デバイスを備える、一群のセンサ素子がプロジェクトサブステーション制御室(project substation control house)に存在する。マスタープラントコントローラ200は、相互接続要件ごとに求められるような様々な制御アルゴリズムに対して測定値を使用する。この自動電圧調節の例では、マスタープラントコントローラ200は、インバータ、キャップバンク(cap banks)、又は他の無効電力源を含む、太陽光発電プラント100の無効電力の要件を決定する。アルゴリズム的論理に基づいて、マスタープラントコントローラ200は、SCADAシステムを通じてスレーブプラントコントローラ210と通信する。スレーブプラントコントローラ210は、マスタープラントコントローラ200から設定値(例えば、グローバルインバータ設定値及び状態マシンの要求及び限界)を得て、局所的なプロジェクト要件、アーキテクチャ、及び構成に基づいて必要に応じてアルゴリズム的論理を更に実行する。太陽光発電インバータ110の状態、測定値、及び通信状態が収集され、スレーブプラントコントローラ210のアルゴリズムで使用される。この論理に基づいて、スレーブプラントコントローラ210は、関連する太陽光発電インバータ110に対して、無効電力の送出/吸収信号(export/absorb signals)を発行する。同様に、縦続のマスター/スレーブ配列、並びに太陽光発電プラント100の動作に関する他の戦略的な協調によって、積極的な費用削減も協調させることができる。
【0028】
概して言えば、大規模(例えば、20MW以上)の太陽光発電計画を開発し構築する際に、規模の有意な経済的利益がある。しかしながら、単一のプラントコントローラが通信することができる、太陽光発電インバータなどのデバイスの数に対する技術的限界がある。したがって、スケールメリットを得られる大型の計画の場合、単一のプラントコントローラは最適な解決策ではない。それに加えて、より小規模(例えば、20MV未満)の太陽光発電計画は、一般的に、立上げ費用を抑えられることから、より大規模の計画よりも市場性が高い。本発明の実施形態により、これらの課題を克服する段階的又は漸次的な実行が可能になる。
【0029】
図3は、本発明の実施形態による、漸次的実装を可能にする太陽光発電プラントの制御を概略的に示す。図3の例では、太陽光発電プラント100は漸次的に実装される。
【0030】
第1の段階(矢印301)では、太陽光発電プラント100は、それ自体のプラントコントローラ210、太陽光発電インバータ110、及び関連する太陽電池パネル114(例えば、図1を参照)を有する、単一の発電所340−1を用いて実装されてもよい。発電所340−2及び340−3並びにマスタープラントコントローラ200は、第1の段階では設置されない。結果的に、第1の段階では、発電所340−1は、関連するセンサ素子、外部デバイス、及び継電・保護機器と共に、POI 221において商用グリッド225に対して単独で太陽光発電プラント出力を提供するように操作される。理解されるように、この第1の段階で太陽光発電プラント100を構築する計画は比較的小規模であって、より多くの事業体が計画の費用を賄うことが可能である。
【0031】
第1の段階が完了した後、例えば、太陽光発電プラント100を一年以上動作させた後、別の発電所を太陽光発電プラント100に追加する、実装の第2の段階(矢印302)に着手してもよい。例えば、太陽光発電プラント100を発電所340−1のみで一定期間の間動作させた後、第2の段階は、発電所340−2を太陽光発電プラント100に追加してもよい。第2の段階は、第1の段階と同じく、小規模な計画であってもよく、したがって容易に資金を準備できる。第2の段階では、発電所340−1及び340−2のプラントコントローラ210の動作を協調させる、マスタープラントコントローラ200が追加される。即ち、発電所340−1及び340−2のプラントコントローラ210は、マスタープラントコントローラ200に対するスレーブとして構成されて、商用電力グリッド225に対して同じPOI 221で太陽光発電プラント出力を提供する。漸次的実装を継続させて、同じPOI 221に対して太陽光発電プラント出力を提供する、より多数の発電所を組み込んでもよい。一例として、太陽光発電プラント100を第2の段階の構成で一定期間の間動作させた後、第3の段階(矢印303)で太陽光発電プラント340−3が太陽光発電プラント100に追加されてもよく、太陽光発電プラント340−3のプラントコントローラ210は、マスタープラントコントローラ200に対するスレーブとして構成される。太陽光発電プラント340−nまでの連続的な太陽光発電プラントセグメントを太陽光発電プラント100に続けて追加することによって、漸次的実装を継続してもよい。
【0032】
太陽光発電プラント100の漸次的実装をより一層経済的に実施可能なものにするため、発電所340のそれぞれ(即ち、340−1、340−2、340−3、...、340−n)を別個の事業体が所有していてもよい。例えば、発電所340−1は第1の電力会社が所有していてもよく、発電所340−2は、第1の電力会社とは別の無関係な第2の電力会社が所有していてもよく、以下も同様である。したがって、マスターコントローラ200を使用して、多くの異なるスレーブプラントコントローラ210の動作を協調させることで、別々の所有者による、より小規模な太陽光発電計画の資源から開始し、且つ/又はそれらを共同出資することによって、大規模な太陽光発電計画のスケールメリットがより簡単に活用できる。
【0033】
図4は、本発明の実施形態による、自動電圧調節制御における太陽光発電プラント100の更なる詳細及び動作を概略的に示す。
【0034】
図4の例では、マスタープラントコントローラ200は、構成要素402、403、404−1、410〜413、及び442〜444を含む。マスタープラントコントローラ200は、複数のスレーブプラントコントローラ210の動作を制御し協調させる。各スレーブプラントコントローラ210は、構成要素404−2、405〜409、及び440〜441を含む。太陽光発電インバータ110は、スレーブプラントコントローラ210の周囲の内部にあるものとして図4に示されており、各スレーブプラントコントローラ210が、スレーブプラントコントローラ210からは離れて配置された一群の太陽光発電インバータ110の動作を制御することを示している。マスタープラントコントローラ200及びスレーブプラントコントローラ210の構成要素は、ハードウェア(例えば、電気回路)、ソフトウェア(例えば、プロセッサによって実行される命令及びアルゴリズム)、又はハードウェアとソフトウェアの組み合わせの形で実現されてもよい。構成要素は、特定の太陽光発電プラントの要求を満たすように追加又は除去されてもよい。
【0035】
図4の例では、グローバルインバータ無効電力設定値は、機能ブロック402、403、及び404−1において、マスタープラントコントローラ200によって処理される。機能ブロック404−1からのグローバルインバータ無効電力設定値は、マスタープラントコントローラ200によって、個々のスレーブプラントコントローラ210に送られる(矢印490)。使用可能なスレーブプラントコントローラ210はそれぞれ、機能ブロック404−2、405、406、及び407において、グローバルインバータ無効電力設定値を処理する。スレーブプラントコントローラ210は、機能ブロック407において、太陽光発電インバータ110それぞれにつき一つずつ、個々の無効電力設定値を生成する。機能ブロック407から、個々のインバータ無効電力設定値信号が、それぞれ対応する太陽光発電インバータ110に送られる。太陽光発電インバータ110は、受信した個々のインバータ無効電力設定値に基づいて、無効電力を送出及び/又は吸収する。
【0036】
次に、自動電圧調節動作の例について、図4を参照して説明する。マスタープラントコントローラ200は、POI 221における電圧を設定するための設定値電圧として用いられる基準電圧VREFを受信する。加算器401は、基準電圧VREFにより示されるPOI 221における所望の電圧と、メーター223により測定されるPOI 221における電圧(VMETER)との差に基づいて、誤差信号VERRを生成する。図4の例では、メーター223によって測定されたPOI 221における電圧は、電圧フィルタ444によってフィルタ処理される。
【0037】
一実施形態では、基準電圧VREF及びメーター電圧読取り値VMETERは、マスタープラントコントローラ200でデジタル信号として処理される。これらの電圧は、アナログデジタル変換器(ADC)を使用してデジタルに変換され、次に、データ通信ネットワークを通じてマスタープラントコントローラ200に供給されてもよい。特定の例として、基準電圧VREF及びメーター電圧読取り値VMETERは、ModbusTCPレジスタを用いてマスタープラントコントローラ200に提供されてもよい。マスタープラントコントローラ200が受信したコマンド及び入力(基準電圧VREF及びメーター電圧読取り値VMETERを含む)に対して、境界検査が行われることが好ましいことがある。
【0038】
基準電圧VREF、メーター電圧の読取り値VMETER、及び太陽光発電プラントの他の電圧/電流は、太陽光発電プラント100の他のものに適切に変換にした状態の他のタイプの信号により示されてもよい。例えば、電圧信号は、電流信号により示されてもよく、また逆でもよい。別の例として、太陽光発電プラントの電圧及び電流は、RMS(実効値)で示されてもよい。
【0039】
無負荷不感帯機能(unloading deadband function)402は、用途により有効とされても、されなくてもよい。無負荷不感帯機能402によって、グローバルインバータ無効電力設定値を調整することなく、誤差電圧VERRを範囲内で変動させることが可能になる。より具体的には、無負荷不感帯機能402は、グリッド電圧(即ち、POI 221における電圧)が境界(一般的に、公称値の±1%)内にあるとき、補償器403への入力が上下に変動するのを可能にし、太陽光発電インバータ110が力率1を送出するような設定に太陽光発電インバータ110を保持する。換言すれば、グリッド電圧が、例えば、±1%以内の場合、補償器403への入力は、実際にはちょうどグリッド電圧である。このことによって更に、グリッド電圧が不感帯限界内にある場合、太陽光発電インバータ110が力率1になる。
【0040】
一実施形態では、補償器403は、比例−積分(PI)制御スキームを使用して、誤差電圧VERRからグローバルインバータ無効電力設定値信号を生成する。使用できる他の制御スキームとしては、比例、積分、微分、比例−積分、積分−微分、比例−微分、及び比例−積分−微分が挙げられる。PI補償器403は、絶対的であることができる。つまり、インバータ無効電力設定値が、誤差信号VERR及びPI補償器403の比例ゲイン(Kp)及び積分ゲイン(Ki)に基づいて上下バイアスをかけられる。補償器403は、インクリメンタルであってもよい。補償器403は、積分飽和現象(integral windup)保護及び飽和限界を有してもよい。補償器403は、グリッド外乱が発生したときにトリガされる状態マシン論理によって有効又は無効にされてもよい。
【0041】
図4の例では、無効電力制限機能は、マスタープラントコントローラ200の第1の無効電力制限機能404−1と、各スレーブプラントコントローラ210の第2の無効電力制限機能404−2とに分割される。無効電力限界選択機能404(即ち、404−1、404−2)は、補償器403のグローバルインバータ無効電力設定値出力を減少又は増加させる。
【0042】
マスタープラントコントローラ200では、無効電力制限機能404−1は、力率リミッタサブループ431及び無効電力リミッタサブループ432からの入力に基づいて、グローバルインバータ無効電力設定値を減少又は増加させる。無効電力限界選択機能404−1は、POI 221における太陽光発電プラント出力が力率限界(PF限界)及び無効電力限界(Q限界)を超えないようにして、グローバルインバータ無効電力設定値を調整する。
【0043】
力率リミッタサブループ431は、POI 221においてメーター223によって測定された力率が、太陽光発電プラント100の力率限界(PF限界)に近い、その値である、又はその値を超える場合に、グローバルインバータ無効電力設定値を制限する。メーター223からの力率の読取り値が、力率フィルタ442によりフィルタ処理され、加算器413によって力率限界と比較される。メーター223からの力率読取り値と力率限界との差が補償器410に入力され、その出力が、無効電力限界選択機能404−1に提供される。プラントAC集電システムを通って流れる有効電力に伴ってインピーダンスが変化するため、POI 221における力率は太陽光発電インバータ110の端子における力率と必ずしも同じではないので、力率リミッタサブループ431はそれ自体の補償器410を有する。補償器410は、PI又は他の制御スキームを採用してもよい。
【0044】
無効電力リミッタサブループ432は、POI 221においてメーター223によって測定された無効電力が、対応高発電所100の無効電力限界(Q限界)に近い、その値である、又はその値を超える場合に、グローバルインバータ無効電力設定値を制限する。メーター223からの無効電力の読取り値が、無効電力フィルタ443によりフィルタ処理され、加算器412によって無効電力限界と比較される。メーター223からの無効電圧読取り値と無効電圧限界との差が補償器411に入力され、その出力が、無効電力限界選択機能404−1に提供される。プラントAC集電システムを通って流れる有効電力に伴ってインピーダンスが変化するため、POI 221における無効力率(reactive power factor)は太陽光発電インバータ110の端子における無効電力と必ずしも同じではないので、無効電力サブループ432はそれ自体の補償器411を有する。補償器411は、PI又は他の制御スキームを採用してもよい。
【0045】
各スレーブプラントコントローラ210では、無効電力制限機能404−2は、インバータ電圧リミッタサブループ430からの入力に基づいて、グローバルインバータ無効電力設定値を減少又は増加させる。無効電力限界選択機能404−2は、POI 221における太陽光発電プラント出力がインバータ基準電圧限界(INV VREF限界)を超えないようにして、グローバルインバータ無効電力設定値を調整する。
【0046】
インバータ電圧リミッタサブループ430は、太陽光発電インバータ110の端子における電圧出力に基づいて、グローバルインバータ無効電力設定値を制限する。一実施形態では、特定のスレーブプラントコントローラ210によって制御される一群に含まれる全ての太陽光発電インバータ110の端子電圧は、互いに平均化されて、その群の全ての太陽光発電インバータ110の端子電圧を表す単一のインバータ端子電圧が生成される。別の実施形態では、特定のスレーブプラントコントローラ210によって制御される群に含まれる全ての太陽光発電インバータ110の中で最大のインバータ端子電圧が、その群の全ての太陽光発電インバータ110の端子電圧を表すのに使用される。インバータ端子電圧(群に含まれる太陽光発電インバータ110の端子電圧の平均値、最高値、又はその他を表す値)は、電圧フィルタ441によってフィルタ処理され、加算器409によってインバータ基準電圧限界と比較される。加算器409の出力は補償器408に入力され、その出力が、無効電力限界選択機能404−2に提供される。力率及び無効電力サブループとは異なり、インバータ電圧リミッタサブループ430は、太陽光発電インバータ110から(即ち、メーター223からではなく)直接その測定値を得る。補償器408は、PI又は他の制御スキームを採用してもよい。
【0047】
各スレーブプラントコントローラ210において、無効電力変化率制限機能405は、グローバルインバータ無効電力設定値の変化率を制限する。これによって、個々のインバータ無効電力設定値に影響を及ぼす、グローバルインバータ無効電力設定値に対する迅速且つ急激な変化から保護される。
【0048】
各スレーブプラントコントローラ210において、インバータ使用可能機能406は、ハートビート信号440を周期的に受信して、太陽光発電インバータの供給支障を検出する。図4には、図示を明瞭にするため、1つの太陽光発電インバータ110からの1つのハートビート信号440のみが示されている。実際には、別個のハートビート信号440が各太陽光発電インバータ110から受信されてもよい。使用可能な太陽光発電インバータ110それぞれについて、インバータ使用可能機能406は、対応する個々のインバータ無効電力設定値を、個々の無効電力変化率制限機能407に出力する。
【0049】
各スレーブプラントコントローラ210において、個々の無効電力変化率制限機能407は、対応する太陽光発電インバータ110に提供される、個々のインバータ無効電力設定値それぞれに適用される。その名称が示すように、機能407は、個々のインバータ無効電力設定値の変化率を制限する。一実施形態では、個々のインバータ無効電力設定値(Inv Q SP)は、ModbusTCPレジスタを用いて対応する太陽光発電インバータ110に提供される。個々のインバータ無効電力設定値は、レジスタから読み取られ、アナログ電圧信号に変換され、それが次に、太陽光発電インバータ110が配置されているインバータパッドにおいて、太陽光発電インバータ110の端子に対して提示される。太陽光発電インバータ110は、受信した個々のインバータ無効設定値(reactive setpoint)にしたがって、その無効電力出力を調整することによって応答する。
【0050】
一実施形態では、個々の無効電力変化率制限機能407は、また、インバータの供給支障に応じて個々のインバータ無効電力設定値を上下させる。例えば、太陽光発電インバータ110がオフラインの場合(即ち、ハードビートが欠落している場合)、機能407は、その太陽光発電インバータ110の個々のインバータ無効電力設定値を力率1又はゼロ無効電力に設定してもよい。その太陽光発電インバータ110がオンラインに戻ると、機能407は、その太陽光発電インバータ110のインバータ無効電力設定値を、自動電圧調節制御によって指示されるようなグローバル無効電力設定値に戻してもよい。
【0051】
図5は、本発明の実施形態による、力率制御(PFC)における太陽光発電プラント100の更なる詳細及び動作を概略的に示す。概して言えば、力率制御は自動電圧調節に類似しているが、但し、電圧の代わりに、太陽光発電プラント100の出力である力率が、太陽光発電プラント100の動作を制御する際の主要な制御変数として使用される。
【0052】
図5の例では、マスタープラントコントローラ200は、構成要素402、403、及び501〜506を含む。マスタープラントコントローラ200は、複数のスレーブプラントコントローラ210の動作を制御し協調させる。各スレーブプラントコントローラ210は、構成要素406及び407を含む。太陽光発電インバータ110は、スレーブプラントコントローラ210の周囲の内部にあるものとして図5に示されており、各スレーブプラントコントローラ210が、スレーブプラントコントローラ210からは離れて配置された一群の太陽光発電インバータ110の動作を制御することを示している。構成要素は、特定の太陽光発電プラントの要求を満たすように追加又は除去されてもよい。
【0053】
図5の例では、グローバルインバータ無効電力設定値信号は、機能ブロック402、403、501、及び502において、マスタープラントコントローラ200によって処理される。機能ブロック502からのグローバルインバータ無効電力設定値は、マスタープラントコントローラ200によって、個々のスレーブプラントコントローラ210に送られる(矢印520)。特定のスレーブプラントコントローラ210が、機能ブロック406においてグローバルインバータ無効電力設定値を受信し、そこで、太陽光発電インバータ110それぞれにつき一つずつ、個々の無効電力設定値が生成される。機能ブロック406から、個々のインバータ無効電力設定値信号が、それぞれ対応する太陽光発電インバータ110に送られる。太陽光発電インバータ110は、受信した個々のインバータ無効電圧設定値に基づいて、無効電力を送出及び/又は吸収する。
【0054】
次に、力率制御動作の例について、図5を参照して説明する。マスタープラントコントローラ200は、POI 221における所望の力率を表す基準力率PFREFを受信する。加算器401は、基準力率PFREFにより示されるPOI 221における所望の力率と、メーター223により測定されるPOI 221における力率(PFMETER)との差に基づいて、誤差信号PFERRを生成する。この例では、力率PFMETERはPOI 221における力率を表す。POI 221における力率の読取り値は、加算器401に提示される前に、力率フィルタ503によってフィルタ処理されてもよい。
【0055】
無負荷不感帯機能402は、用途により有効とされても、されなくてもよい。上述のように、無負荷不感帯機能402によって、グローバルインバータ無効電力設定値を調整することなく、誤差力率PFERRを範囲内で変動させることが可能になる。補償器403は、PI又は他の制御スキームを使用して、誤差力率PFERRからグローバルインバータ無効電力設定値又はグローバル力率設定値信号を生成する。補償器403は、メーター223が、欠落している通信ハートビート信号505によって示されるように機能を停止すると、又はデータチェック504によって示されるように誤った読取り値を与えると、無効にされてもよい(506を参照)。
【0056】
図5の例では、無効電力限界選択機能501は、補償器403のグローバルインバータ無効電力設定値出力を減少又は増加させる。一実施形態では、無効電力限界選択機能501は、POI 221における太陽光発電プラント出力が太陽光発電プラント100の力率限界を超えないようにして、グローバルインバータ無効電力設定値を調整する。無効電力変化率制限機能502は、グローバルインバータ無効電力設定値の変化率を制限する。これによって、個々のインバータ無効電力設定値に影響を及ぼす、グローバルインバータ無効電力設定値に対する迅速且つ急激な変化から保護される。
【0057】
各スレーブプラントコントローラ210において、インバータ使用可能機能406は、ハートビート信号440を周期的に受信して、太陽光発電インバータの供給支障を検出する。図5には、図示を明瞭にするため、1つの太陽光発電インバータ110からの1つのハートビート信号440のみが示されている。実際には、別個のハートビート信号440が各太陽光発電インバータ110から受信されてもよい。使用可能な太陽光発電インバータ110それぞれについて、インバータ使用可能機能406は、対応する個々のインバータ無効電力設定値を個々の無効電力変化率制限機能407に出力し、そこで個々のインバータ無効電力設定値の変化率が制限される。
【0058】
各スレーブプラントコントローラ210において、個々の無効電力変化率制限機能407は、対応する太陽光発電インバータ110に提供される、個々のインバータ無効電力設定値それぞれに適用される。一実施形態では、個々のインバータ無効電力設定値(Inv Q SP)は、ModbusTCPレジスタを用いて対応する太陽光発電インバータ110に提供される。個々のインバータ無効電力設定値は、レジスタから読み取られ、アナログ電圧信号に変換され、それが次に、太陽光発電インバータ110が配置されているインバータパッドにおいて、太陽光発電インバータ110の端子に対して提示される。太陽光発電インバータ110は、受信した個々のインバータ無効設定値(reactive setpoint)にしたがって、その無効電力出力を調整して、POI 221における所望の力率を達成することによって応答する。あるいは、無効電力設定値をインバータに提供する代わりに、スレーブプラントコントローラ210は、力率設定値コマンドをインバータ110に対して発行してもよい。
【0059】
上述のことから理解されるように、本発明の実施形態はまた、上述の制御スキームに類似した方法で、有効電力制御に用いられてもよい。概して言えば、有効電力制御は自動電圧調節又は力率制御に類似しているが、但し、太陽光発電プラント100の有効電力出力が、太陽光発電プラント100の動作を制御する際の主要な制御変数として使用される。より具体的には、一実施形態では、POI 221における太陽光発電プラント出力は有効電力を含み、スレーブプラントコントローラ210は、有効電力制御にしたがって、対応するインバータ110のインバータ有効電力設定値を調整する。その実施形態では、マスタープラントコントローラ200は、POI 221における有効電力読取り値をメーター223から受信し、有効電力読取り値を所望の有効電力と比較し、POI 221における有効電力読取り値と所望の有効電力との差を処理して、グローバルインバータ有効電力設定値を生成し、その値をスレーブプラントコントローラ210に送り、そこで対応するインバータ110に対する個々のインバータ有効電力設定値が生成される。本発明の実施形態はまた、本発明の利益を損なうことなく、他の太陽光発電プラント制御スキームに用いられてもよい。
【0060】
太陽光発電プラントの動作を制御するためのマスター/スレーブアーキテクチャについて開示してきた。本発明の具体的な実施形態を提供したが、これらの実施形態は説明を目的としたものであり、限定的なものでないことは理解されよう。多くの追加的実施形態が、本開示を読む当業者にとっては明らかとなろう。
(項目1)
太陽光発電プラントであって、
複数のスレーブプラントコントローラと、
上記複数のスレーブプラントコントローラの動作を制御するマスタープラントコントローラと、を備え、
上記複数のスレーブプラントコントローラの各スレーブプラントコントローラが、当該スレーブプラントコントローラによって制御される複数の太陽光発電インバータそれぞれの設定値を調整し、
上記設定値が、商用電力グリッドに対する上記太陽光発電プラントの相互接続点(POI)に提供される、上記複数の太陽光発電インバータのうち対応する太陽光発電インバータの出力を設定し、
上記複数の太陽光発電インバータがそれぞれ、複数の太陽電池により生成された直流を交流に変換し、
上記マスタープラントコントローラは、上記商用電力グリッドに対する上記POIにおける上記太陽光発電プラントの出力を検出すると共に、上記複数のスレーブプラントコントローラの動作を制御して、上記商用電力グリッドに対する上記POIにおける上記太陽光発電プラントの検出される上記出力に基づいて、対応する太陽光発電インバータの設定値を調整する、太陽光発電プラント。
(項目2)
上記POIにおける上記太陽光発電プラントの検出される上記出力は、無効電力を含み、
上記複数のスレーブプラントコントローラの各スレーブプラントコントローラによって調整される上記設定値は、インバータ無効電力設定値を含む、項目1に記載の太陽光発電プラント。
(項目3)
上記POIにおける上記太陽光発電プラントの検出される上記出力は、力率を含み、
上記複数のスレーブプラントコントローラの各スレーブプラントコントローラによって調整される上記設定値が、インバータ力率設定値を含む、項目1に記載の太陽光発電プラント。
(項目4)
上記POIにおける上記太陽光発電プラントの検出される上記出力は、有効電力を含み、
上記複数のスレーブプラントコントローラの各スレーブプラントコントローラによって調整される上記設定値は、インバータ有効電力設定値を含む、項目1に記載の太陽光発電プラント。
(項目5)
上記POIにおける上記太陽光発電プラントの検出される上記出力は、測定された出力電圧を含む、項目1に記載の太陽光発電プラント。
(項目6)
上記マスタープラントコントローラは、上記POIにおけるメーターを読み取って、上記POIにおける上記太陽光発電プラントの上記出力を検出する、項目1に記載の太陽光発電プラント。
(項目7)
上記マスタープラントコントローラは、上記太陽光発電プラントの検出される上記出力を受信し処理する補償器を有する、項目1に記載の太陽光発電プラント。
(項目8)
上記補償器は、比例−積分(PI)補償器を含む、項目7に記載の太陽光発電プラント。
(項目9)
上記複数の太陽電池は、裏面コンタクト型太陽電池を含む、項目1に記載の太陽光発電プラント。
(項目10)
太陽光発電プラントの動作を制御する方法であって、
第1のスレーブプラントコントローラを使用して、第1の複数の太陽光発電インバータの動作を制御する段階と、
第2のスレーブプラントコントローラを使用して、第2の複数の太陽光発電インバータの動作を制御する段階と、
相互接続点(POI)で上記太陽光発電プラントの出力を測定する段階と、
マスタープラントコントローラを使用して、上記第1のスレーブプラントコントローラ及び上記第2のスレーブプラントコントローラの動作を制御する段階と、を備え、
上記第1の複数の太陽光発電インバータの動作を制御する段階において、上記第1のスレーブプラントコントローラは、上記第1の複数の太陽光発電インバータの各太陽光発電インバータの設定値を調整して、上記第1の複数の太陽光発電インバータの各太陽光発電インバータの出力を調整し、上記第1の複数の太陽光発電インバータの各太陽光発電インバータは、第1の複数の太陽電池により生成された直流を、商用電力グリッドに対する上記太陽光発電プラントの上記POIに送達するために交流に変換し、
上記第2の複数の太陽光発電インバータの動作を制御する段階において、上記第2のスレーブプラントコントローラは、上記第2の複数の太陽光発電インバータの各太陽光発電インバータの設定値を調整して、上記第2の複数の太陽光発電インバータの各太陽光発電インバータの出力を調整し、上記第2の複数の太陽光発電インバータの各太陽光発電インバータは、第2の複数の太陽電池により生成された直流を、上記POIに送達するために交流に変換し、
上記第1のスレーブプラントコントローラ及び上記第2のスレーブプラントコントローラの動作を制御する段階において、上記マスタープラントコントローラが、上記第1のスレーブプラントコントローラ及び第2のスレーブプラントコントローラを制御して、上記POIにおいて測定される上記太陽光発電プラントの上記出力に基づいて、上記第1の複数の太陽光発電インバータ及び上記第2の複数の太陽光発電インバータのうちの太陽光発電インバータの設定値を調整する、方法。
(項目11)
上記POIにおいて測定される上記太陽光発電プラントの上記出力は、電圧出力を含む、項目10に記載の方法。
(項目12)
上記太陽光発電プラントは、自動電圧調節にしたがって操作される、項目11に記載の方法。
(項目13)
上記POIにおいて測定される上記太陽光発電プラントの上記出力は、力率を含む、項目10に記載の方法。
(項目14)
上記太陽光発電プラントは、力率制御にしたがって操作される、項目13に記載の方法。
(項目15)
上記POIにおいて測定される上記太陽光発電プラントの上記出力は、有効電力を含む、項目10に記載の方法。
(項目16)
上記第1のスレーブプラントコントローラが、データ通信ネットワークを通じて上記第1の複数の太陽光発電インバータと通信する、項目10に記載の方法。
(項目17)
太陽光発電プラントの動作を制御する方法であって、
太陽光発電プラントの第1のプラントコントローラを設置する段階と、
商用電力グリッドに対する相互接続点(POI)において、上記太陽光発電プラントの出力を生成するように、上記第1のプラントコントローラを操作する段階と、
上記第1のプラントコントローラが、少なくとも一定期間の間、上記商用電力グリッドに対する上記POIにおける上記太陽光発電プラントの上記出力を生成するように動作した後、上記太陽光発電プラントの第2のプラントコントローラを設置する段階と、
上記第1のプラントコントローラ及び上記第2のプラントコントローラの動作を制御するマスタープラントコントローラを設置する段階と、
上記マスタープラントコントローラを使用して上記第1のプラントコントローラ及び上記第2のプラントコントローラの動作を制御する段階と、を備え、
上記第1のプラントコントローラは、第1の複数の太陽電池により生成された直流を交流に変換する第1の複数の太陽光発電インバータの動作を制御し、
上記第2のプラントコントローラは、第2の複数の太陽電池により生成された直流を交流に変換する第2の複数の太陽光発電インバータの動作を制御し、
上記マスタープラントコントローラを使用して上記第1のプラントコントローラ及び上記第2のプラントコントローラの動作を制御する段階において、上記マスタープラントコントローラは、上記第1のプラントコントローラ及び上記第2のプラントコントローラを制御して、上記POIにおける上記太陽光発電プラントの測定出力に基づいて、上記第1の複数の太陽光発電インバータ及び上記第2の複数の太陽光発電インバータのうちの複数の太陽光発電インバータの設定値を調整する、方法。
(項目18)
上記POIにおける上記太陽光発電プラントの上記測定出力は、電圧を含む、項目17に記載の方法。
(項目19)
上記太陽光発電プラントは、自動電圧調節にしたがって操作される、項目17に記載の方法。
(項目20)
上記POIにおける上記太陽光発電プラントの上記測定出力は、力率を含む、項目17に記載の方法。
(項目21)
上記太陽光発電プラントは、力率制御にしたがって操作される、項目17に記載の方法。
(項目22)
上記POIにおける上記太陽光発電プラントの上記測定出力は、有効電力を含む、項目17に記載の方法。
(項目23)
上記太陽光発電プラントは、自動有効電力制御にしたがって操作される、項目17に記載の方法。
(項目24)
上記第1のプラントコントローラは、データ通信ネットワークを通じて上記第1の複数の太陽光発電インバータと通信する、項目17に記載の方法。
(項目25)
複数のスレーブプラントコントローラはそれぞれ、別個の事業体によって操作される別個の太陽光発電プラントとして操作される、項目17に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5