特許第6205659号(P6205659)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6205659プロセス、温度、及び負荷インピーダンスの変動に対して無感応のRF電力検出回路
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6205659
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】プロセス、温度、及び負荷インピーダンスの変動に対して無感応のRF電力検出回路
(51)【国際特許分類】
   H03D 7/14 20060101AFI20170925BHJP
【FI】
   H03D7/14 C
【請求項の数】12
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-547418(P2014-547418)
(86)(22)【出願日】2012年12月13日
(65)【公表番号】特表2015-500615(P2015-500615A)
(43)【公表日】2015年1月5日
(86)【国際出願番号】US2012069491
(87)【国際公開番号】WO2013090561
(87)【国際公開日】20130620
【審査請求日】2015年11月6日
(31)【優先権主張番号】61/576,306
(32)【優先日】2011年12月15日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/720,844
(32)【優先日】2012年10月31日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/713,328
(32)【優先日】2012年12月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502188642
【氏名又は名称】マーベル ワールド トレード リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ウィノト、レナルディ
(72)【発明者】
【氏名】サインオフ、デービッド エム.
【審査官】 小林 正明
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2006/0040636(US,A1)
【文献】 特開2011−216982(JP,A)
【文献】 米国特許第6983135(US,B1)
【文献】 特開2011−124693(JP,A)
【文献】 特開昭59−000228(JP,A)
【文献】 特開2010−278854(JP,A)
【文献】 特開2008−219623(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0020728(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03D 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線周波数(RF)電力を検出する回路であって、
第1の差動入力信号及び第2の差動入力信号を乗算するミキサを含む乗算器回路と、
前記ミキサの出力を受取る第1の差動増幅器と、
バイアス信号を生成するバイアス回路と、
前記第1の差動増幅器の出力に接続され、前記バイアス回路に接続されるコモンモード入力を有するコモンモードフィードバック増幅器と、
を備え、
前記ミキサは、制御端子を含む複数のトランジスタを有し、
前記複数のトランジスタの前記制御端子は、前記バイアス信号及び前記第1の差動入力信号を受取り、
前記バイアス信号は、i)前記複数のトランジスタの1つのトランジスタの電圧閾値及びii)一定基準電流とバイアス抵抗との積に基づいて前記バイアス回路によって生成され、
前記バイアス回路は、
前記一定基準電流を生成する電流源と、
前記バイアス抵抗を有し、前記電流源と通信する一端を含むバイアス抵抗器と、
前記バイアス抵抗器と通信する第1の端子、前記バイアス抵抗器の一端と通信する制御端子および第2の端子を含む第1のトランジスタと、
一端が前記第1のトランジスタの前記第2の端子と通信し、他端がアースと通信するコモンモードフィードバック抵抗器と、を有し、
前記バイアス信号は、前記バイアス抵抗器と前記電流源との間の第1のノードで生成され、
前記コモンモード入力は、前記第1のトランジスタと前記コモンモードフィードバック抵抗器との間の第2のノードに接続される、回路。
【請求項2】
前記バイアス回路は、非ゼロの電圧値となるように前記コモンモード入力における入力電圧レベルを設定するように構成され、
前記非ゼロの電圧値は、前記コモンモードフィードバック抵抗器の抵抗値と前記一定基準電流の積に等しくなるように維持され、前記第1の差動増幅器におけるコモンモード電圧基準を設定する
請求項1記載の回路
【請求項3】
電力増幅器の出力と通信する入力、及び、前記乗算器回路の第1の差動入力と通信する第1の出力を有し、前記第1の出力は前記電力増幅器の出力電圧を検知した結果に依存する電圧分割器回路と、
前記電力増幅器の入力と通信する入力、及び、前記乗算器回路の第2の差動入力と通信する第2の出力を有し、前記第2の出力は、前記電力増幅器の出力電流に依存する第2の差動増幅器と、
前記第1の差動増幅器の差動入力及び差動出力と通信する一対のフィードバック抵抗器と、
をさらに備え、
前記第1の差動増幅器は、前記ミキサの出力を受取り、前記乗算器回路の出力と通信する入力、及び、電力検出信号を生成する出力を有する、
請求項1または請求項2に記載の回路。
【請求項4】
前記ミキサはギルバートセルミキサを含む、請求項1から請求項3の何れか一項に記載の回路。
【請求項5】
前記バイアス回路は、プロセス及び温度の変動によらず前記ミキサの変換利得が実質的に一定であるよう前記バイアス信号を生成する、請求項1から請求項4の何れか一項に記載の回路。
【請求項6】
前記複数のトランジスタは整合トランジスタであり、前記第1のトランジスタは、前記複数のトランジスタのスケーリングされたバージョンである、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の回路。
【請求項7】
前記複数のトランジスタは、第1のトランジスタ、第2のトランジスタ、第3のトランジスタ、及び第4のトランジスタを含み、
前記バイアス信号及び前記第1の差動入力信号の一方の極は、前記第1のトランジスタ及び前記第4のトランジスタの前記制御端子に入力され、
前記バイアス信号及び前記第1の差動入力信号の別の極は、前記第2のトランジスタ及び前記第3のトランジスタの前記制御端子に入力される、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の回路。
【請求項8】
前記第2の差動入力信号の一方の極は、前記第1のトランジスタ及び前記第2のトランジスタの第1の端子に入力され、
前記第2の差動入力信号の別の極は、前記第3のトランジスタ及び前記第4のトランジスタの第1の端子に入力される、請求項に記載の回路。
【請求項9】
第1の抵抗器と、
第2の抵抗器と、
を更に備え、
前記複数のトランジスタは、第1のトランジスタ、第2のトランジスタ、第3のトランジスタ、及び第4のトランジスタを含み、
前記第1のトランジスタ及び前記第3のトランジスタの端子は、前記第1の差動増幅器の非反転入力及び前記第1の抵抗器の一端と通信し、
前記第2のトランジスタ及び前記第4のトランジスタの端子は、前記第1の差動増幅器の反転入力及び前記第2の抵抗器の一端と通信する、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の回路。
【請求項10】
前記コモンモードフィードバック増幅器は、前記第1の抵抗器の別の端部及び前記第1の差動増幅器の反転出力と通信する第1の入力、並びに、前記第2の抵抗器の別の端部及び前記第1の差動増幅器の非反転出力と通信する第2の入力を含む、請求項に記載の回路。
【請求項11】
前記第1の差動入力信号を受取る入力を有し、前記第2の差動入力信号を出力するトランスコンダクタンス増幅器を更に備え、
前記複数のトランジスタは、第1のトランジスタ、第2のトランジスタ、第3のトランジスタ、及び第4のトランジスタを含み、
前記バイアス信号及び前記第1の差動入力信号の一方の極は、前記第1のトランジスタ及び前記第4のトランジスタの前記制御端子に入力され、
前記バイアス信号及び前記第1の差動入力信号の別の極は、前記第2のトランジスタ及び前記第3のトランジスタの前記制御端子に入力され、
前記第2の差動入力信号の一方の極は、前記第1のトランジスタ及び前記第2のトランジスタの第1の端子に入力され、
前記第2の差動入力信号の別の極は、前記第3のトランジスタ及び前記第4のトランジスタの第1の端子に入力される、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の回路。
【請求項12】
前記第1の差動入力信号を受取る入力を有し、前記第2の差動入力信号を出力するトランスコンダクタンス増幅器を更に備え、該無線周波数電力検出回路に関連する負荷インピーダンスは前記第1の差動入力信号に関連する電圧に基づく、請求項3に記載の無線周波数電力検出回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無線周波数(RF)送信機に関し、より詳細には、RF送信機用のRF電力検出回路に関する。
【0002】
[関連出願の相互参照] 本出願は、2012年12月13日に出願された米国出願第13/713328号、に対する優先権を、また、2011年12月15日に出願された米国仮出願第61/576306号及び2012年10月31日に出願された米国仮出願第61/720844号の利益を主張する。上記で参照される出願の全体の開示は、引用することにより本明細書の一部をなす。
【背景技術】
【0003】
本明細書で提供される背景説明は、本開示の背景を全体的に提示するためのものである。その研究がこの背景セクションで述べられる範囲の、現在のところ挙げられている発明者らの研究、並びに、出願時に通常なら従来技術と見なすことができない説明の態様は、本開示に対する従来技術として明示的にも暗黙的にも認められない。
【0004】
一部の無線周波数(RF)送信機は、送信される出力電力の正確な制御を必要とする。例えば、多くのRF送信機は、FCC規制及び無線規格に従う必要がある。出力電力の制御は、開ループ制御システム又は閉ループ制御システムを使用して達成され得る。開ループ制御システムでは、RF送信機は、送信機内の正確な利得ステップに頼る。閉ループ制御システムでは、出力電力が測定され、利得が相応して調整される。
【0005】
RF電力検出回路は、任意のRF送信機閉ループ電力制御システムの一体部分である。RF電力検出回路は絶対送信電力を測定する。この測定は、好ましくは、温度、プロセス速度によるデバイス特性、及び負荷/アンテナインピーダンスの変動に無関係である。
【0006】
一部のRF電力検出回路は、アンテナ等の出力負荷の抵抗値を仮定し、出力電圧を測定し、2乗した出力電圧を抵抗値で割った値に基づいて出力電力を計算する。しかし、アンテナ等の負荷の抵抗値は動作中に変動する場合がある。例えば、アンテナの抵抗値は、アンテナが他の物体に近いか又は他の物体に接触するときに影響を受ける場合がある。認識され得るように、RF電力計算は、アンテナの実際の抵抗値と仮定される抵抗値との差によって悪影響を受けることになる。
【発明の概要】
【0007】
回路は、第1の差動入力信号及び第2の差動入力信号を乗算するように構成されるミキサを含む乗算器回路を備える。ミキサは、制御端子を含む複数のトランジスタを備える。複数のトランジスタの制御端子は、バイアス信号及び第1の差動入力信号を受取る。バイアス回路はバイアス信号を生成するように構成される。バイアス回路によって生成されるバイアス信号は、複数のトランジスタの1つのトランジスタの電圧閾値及び一定基準電流とバイアス抵抗との積に基づく。
【0008】
他の特徴では、ミキサはギルバートセルミキサを含む。バイアス回路は、プロセス及び温度の変動によらずミキサの変換利得が実質的に一定であるようバイアス信号を生成するように構成される。バイアス回路は、一定基準電流を生成するように構成される電流源と、バイアス抵抗を有し、第1の電流源と通信する一端を含むバイアス抵抗器と、第1の端子及びバイアス抵抗器の一端と通信する制御端子を含む第1のトランジスタとを含む。バイアス信号は、バイアス抵抗器と電流源との間のノードで生成される。
【0009】
回路を動作させる方法は、ミキサを使用して、第1の差動入力信号及び第2の差動入力信号を乗算することを含み、ミキサは、制御端子を含む複数のトランジスタを備える。複数のトランジスタの制御端子は、バイアス信号及び第1の差動入力信号を受取る。本方法は、複数のトランジスタの1つのトランジスタの電圧閾値及び一定基準電流とバイアス抵抗との積に基づいてバイアス信号を生成することを更に含む。
【0010】
他の特徴では、ミキサはギルバートセルミキサを含む。バイアス信号を生成することは、プロセス及び温度の変動によらずミキサの変換利得が実質的に一定であるようバイアス信号を生成することを含む。バイアス信号は、バイアス抵抗器と電流源との間のノードで生成される。
【0011】
本開示の適用可能性の更なるエリアは、詳細な説明、特許請求の範囲、及び図面から明らかになるであろう。詳細な説明及び特定の例は、例証だけのために意図され、本開示の範囲を制限することを意図されない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】従来技術に係るRF電力検出回路の例の機能ブロック図及び電気配線図である。
【0013】
図2】乗算器回路の例の機能ブロック図及び電気配線図である。
【0014】
図3】本開示に係るバイアス回路の例の機能ブロック図及び電気配線図である。
【0015】
図4】本開示に係るバイアス回路を含む乗算器回路の例の機能ブロック図及び電気配線図である。
【0016】
図5】本開示に係るバイアス回路を含む乗算器回路の別の例の機能ブロック図及び電気配線図である。
【0017】
図6】本開示によるバイアス回路を含む乗算器回路の別の例の機能ブロック図及び電気配線図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
ここで図1を参照すると、従来技術の送信機の出力回路10の一部が示される。出力回路10は、増幅され送信される無線周波数(RF)信号を受取る電力増幅器(PA:power amplifier)20を備える。PA20は、増幅されたRF信号を、変圧器24の1次側に出力する。変圧器24の2次側の一端は、プリント回路ボード(PCB)上に配置されることができるアンテナ26に接続される。変圧器24の2次側の別の端は、グラウンド等の基準電位に接続される。この例では、アンテナは、負荷インピーダンスを有する負荷である。
【0019】
出力回路10はまた、PA20の出力電力レベルを検出するRF検出回路32を備える。RF検出回路32は、PA20に対する入力を受取って増幅し、増幅された信号を乗算器回路42の第1の入力に出力する増幅器40を備える。電圧分割器44は、PA20の出力(又は変圧器24の2次側上のノード45A及び45B)に接続され、信号を乗算器回路42の第2の入力に出力する。乗算器回路42の出力は、増幅器46の入力に接続され、増幅器46は、増幅器46のそれぞれの入力及び出力に接続された第1フィードバック抵抗及び第2のフィードバック抵抗RFBを有する。増幅器46は、検出された出力電力に基づく電力検出電圧信号VPDを出力する。
【0020】
送信されるRF電力は、PA20の出力電圧と出力電流とを乗算することによって測定される。その結果は、負荷/アンテナインピーダンス(R)又は電圧定在波比(VSWR:voltage standing wave ratio)に無関係である。PA20の出力電圧は、電圧分割器44を通して検知される(k*VPA)。PA20の出力電流は、スケールダウンされた複製PA(k*IPA)を使用することによって複製される。
【0021】
図2では、従来技術の乗算器回路42の例が示される。乗算器回路42は、ギルバートセルミキサ等のミキサ50を備え、トランジスタM1、M2、M3、及びM4を含む。トランジスタM1及びM2の第1の端子は電流Iを受取る。トランジスタM3及びM4の第1の端子は電流Iを受取る。トランジスタM2及びM3の制御端子は、第1のバイアス信号V及び検知された出力電圧VPA(又はV−1/2VPA)を受取る。トランジスタM1及びM4の制御端子は、バイアス信号V及び検知された出力電圧VPA(又はV+1/2VPA)を受取る。トランジスタM3の第2の端子は、トランジスタM1の第2の端子に接続される。トランジスタM2の第2の端子は、トランジスタM4の第2の端子に接続される。
【0022】
乗算器回路42は変換利得Gを有する。ミキサ50は、V*I乗算を実施する。トランジスタM1〜M4は、線形領域でバイアスされる。電流Iは、2つの部分Ip1及びIp2に分割される。その比は、トランジスタM1及びM2のアドミタンス(gds1及びgds2)に依存する。同様に、電流Iは、gds3及びgds4に依存する2つの部分In1及びIn2に分割される。仮想GND終端が、導出を容易にするために仮定されるが、それは必要でない。
【数1】
【0023】
図1から、電力検出回路の出力(電圧)は、
【数2】
に等しい。図2から、乗算器変換利得Gは、
【数3】
である。したがって、電力検出回路の出力は、
【数4】
に等しい。
【0024】
オンチップ抵抗の値RFBは、温度及びプロセス変動(製造)に依存する。MOS閾値電圧Vもまた、温度及びプロセス変動(製造)に依存する。k及びk(PA電圧分割比及びPA電流分割比)は、温度、プロセス、及び負荷インピーダンスに無関係である、比をとったギルバートセルを使用して達成され得る。
【0025】
本開示によれば、(V−V)は、Iref*Rbiasに等しく設定される。抵抗器RFB及びRbiasは、互いのスケーリングされたバージョン、例えば、RFB=A*Rbiasとして実装され得る。抵抗の比Aは、一定でかつプロセス及び温度変動に無関係のままであり、したがって、電力検出器の出力は、
【数5】
である。
【0026】
一定基準電流Irefは、プロセス又は温度に依存しない。一定基準電流Irefは、通常、オンチップで既に利用可能である。一定基準電流Irefは、バンドギャップ電圧と外部高精度抵抗との組合せを使用することによって生成され得る。
【0027】
ここで図3を参照すると、バイアス電圧V=V+Iref*Rbiasを生成するためのバイアス回路100が示される。バイアス回路100は、バイアス抵抗器Rbiasの一端に接続される電流源Irefを備える。抵抗器Rbiasの別の端は、トランジスタM5の第1の端子及び制御端子に接続される。トランジスタM5の第2の端子は、グラウンド等の基準電位に接続される。
【数6】
であり、
【数7】
である場合、
【数8】
である、と仮定する。
【0028】
これは、非常に低い電流密度でトランジスタM5をバイアスすることによって行われ得る。トランジスタM5は、好ましくは、最良整合のためのトランジスタM1〜M4のスケーリングされたバージョンである。
【0029】
ここで図4及び図5を参照すると、本開示に係る乗算器回路200の例が示される。図4では、乗算器回路200は、トランジスタM1、M2、M3、及びM4を有するギルバートセル等のミキサ206を備える。サンプリングされた電圧VPAは、キャパシタンスC及びCの第1の端子に接続される。キャパシタンスC及びCの第2の端子は、トランジスタM1、M2、M3、及びM4の制御端子並びに抵抗器R及びRの第1の端子に接続される。抵抗器R及びRの第2の端子は、バイアス電圧Vをバイアス回路100に提供する。第1のトランジスタM1及び第2のトランジスタM2の第1の端子並びに第3のトランジスタM3及び第4のトランジスタM4の第1の端子は、IPAに接続される。トランジスタM3の第2の端子はトランジスタM1の第2の端子に接続される。トランジスタM2の第2の端子はトランジスタM4の第2の端子に接続される。
【0030】
増幅器220は、トランジスタM1及びM3の第2の端子並びに第1のフィードバック抵抗器RFBの一端に接続される、非反転入力を有する。増幅器220は、反転入力が、トランジスタM2及びM4の第2の端子並びに第2のフィードバック抵抗器RFBの一端に接続されている。増幅器220の反転出力は、第1のフィードバック抵抗器RFBの別の端及び増幅器230の第1の反転入力に接続される。増幅器220の非反転出力は、第2のフィードバック抵抗器RFBの別の端及び増幅器230の第2の反転入力に接続される。図5では、増幅器230のコモンモード入力は、トランジスタM5の第2の端子及びコモンモードフィードバック抵抗器RCMFBの一端に接続される。
【0031】
トランジスタM1〜M4は、一定電圧(Vgs−V)によってバイアスされる。回路は、非ゼロコモンモード入力電圧レベルに対処する。Iref*RCMFBは、コモンモード電圧基準を設定する。コモンモードフィードバック増幅器は、V=V=VCMREFを設定する。したがって、トランジスタM1〜M4は、(Vgs−V)=Iref*Rbiasによって依然としてバイアスされる。
【0032】
上記の説明は、受動ミキサを使用する電力検出器を含めたが、本開示は、能動ミキサも使用してもよい。能動ミキサトランジスタは、一定のオーバドライブ電圧=Iref*Rによってバイアスされてよい。認識され得るように、上記の説明はRF検出回路に関連するが、乗算器回路は、他のシステムで使用され得る。さらに、入力は、負荷に送出される電圧及び電流に対応する必要はない。
【0033】
PA負荷インピーダンスは、未知であり、環境とともに変動し得るZ=|Z|*e−jΦ。PAが最も効率的に動作するようにPA出力整合が最適化され得るので、負荷インピーダンス値を知ることは有用である。PA負荷インピーダンスは、以下の2つの測定値、すなわち、
【数9】
を有する場合、測定され得る。
【0034】
|Z|及びΦは、これらの2つの測定値を使用して解かれ得る。電圧Vsqは、複数の方法で生成されることができ、その中の1つの方法が図6に示される。
【0035】
ここで図6を参照すると、電圧VPAは、トランスコンダクタンス増幅器260に対する入力であり、トランスコンダクタンス増幅器260はVPAを受取る。トランスコンダクタンス増幅器260は、電圧入力を電流出力に変換する。トランスコンダクタンス増幅器260は、出力電流GPAを生成し、出力電流GPAは、図4及び図5の場合のIPAの代わりに、トランジスタM1及びM2並びにトランジスタM3及びM4の第1の端子に入力される。
【0036】
上記の説明は、本質的に例証に過ぎず、本開示、その適用、又は使用を制限することを決して意図されない。本開示の幅広い教示は、種々の形態で実装され得る。したがって、本開示が特定の例を含むが、本開示の真の範囲は、そのように制限させるべきでない。その理由は、図面、明細書、及び添付特許請求の範囲を検討すると、他の変更形態が明らかになるからである。明確にするために、同じ参照符号は、同様の要素を特定するために図面において使用されるであろう。本明細書で使用されるように、A、B、及びCの少なくとも1つという言い回しは、非排他的な論理和(non-exclusive logical OR)を使用する論理計算(logical)の(AorBorC)を意味すると解釈されるべきである。一方法内の1つ又は複数のステップは、本開示の原理を変更することなく、異なる順序で(又は同時に)実行されることができることが理解されるべきである。なお、本明細書によれば、以下の各項目もまた実施形態として開示される。
[項目1]
回路であって、
第1の差動入力信号及び第2の差動入力信号を乗算するミキサを含む乗算器回路と、
前記ミキサの出力を受取る第1の差動増幅器と、
バイアス信号を生成するバイアス回路と、
前記第1の差動増幅器の出力に接続され、前記バイアス回路に接続されるコモンモード入力を有するコモンモードフィードバック増幅器と、
を備え、
前記ミキサは、制御端子を含む複数のトランジスタを有し、
前記複数のトランジスタの前記制御端子は、前記バイアス信号及び前記第1の差動入力信号を受取り、
前記バイアス信号は、i)前記複数のトランジスタの1つのトランジスタの電圧閾値及びii)一定基準電流とバイアス抵抗との積に基づいて前記バイアス回路によって生成され、
前記バイアス回路は、
前記一定基準電流を生成する電流源と、
前記バイアス抵抗を有し、前記電流源と通信する一端を含むバイアス抵抗器と、
第1の端子及び前記バイアス抵抗器の一端と通信する制御端子を含む第1のトランジスタと、を有し、
前記バイアス信号は、前記バイアス抵抗器と前記電流源との間のノードで生成される、回路。
[項目2]
前記ミキサはギルバートセルミキサを含む、項目1に記載の回路。
[項目3]
前記バイアス回路は、プロセス及び温度の変動によらず前記ミキサの変換利得が実質的に一定であるよう前記バイアス信号を生成する、項目1または2に記載の回路。
[項目4]
前記複数のトランジスタは整合トランジスタであり、前記第1のトランジスタは、前記複数のトランジスタのスケーリングされたバージョンである、項目1から3のいずれか一項に記載の回路。
[項目5]
前記複数のトランジスタは、第1のトランジスタ、第2のトランジスタ、第3のトランジスタ、及び第4のトランジスタを含み、
前記バイアス信号及び前記第1の差動入力信号の一方の極は、前記第1のトランジスタ及び前記第4のトランジスタの前記制御端子に入力され、
前記バイアス信号及び前記第1の差動入力信号の別の極は、前記第2のトランジスタ及び前記第3のトランジスタの前記制御端子に入力される、項目1から4のいずれか一項に記載の回路。
[項目6]
前記第2の差動入力信号の一方の極は、前記第1のトランジスタ及び前記第2のトランジスタの第1の端子に入力され、
前記第2の差動入力信号の別の極は、前記第3のトランジスタ及び前記第4のトランジスタの第1の端子に入力される、項目5に記載の回路。
[項目7]
第1の抵抗器と、
第2の抵抗器と、
を更に備え、
前記複数のトランジスタは、第1のトランジスタ、第2のトランジスタ、第3のトランジスタ、及び第4のトランジスタを含み、
前記第1のトランジスタ及び前記第3のトランジスタの端子は、前記第1の差動増幅器の非反転入力及び前記第1の抵抗器の一端と通信し、
前記第2のトランジスタ及び前記第4のトランジスタの端子は、前記第1の差動増幅器の反転入力及び前記第2の抵抗器の一端と通信する、項目1から4のいずれか一項に記載の回路。
[項目8]
前記コモンモードフィードバック増幅器は、前記第1の抵抗器の別の端部及び前記第1の差動増幅器の反転出力と通信する第1の入力、並びに、前記第2の抵抗器の別の端部及び前記第1の差動増幅器の非反転出力と通信する第2の入力を含む、項目7に記載の回路。
[項目9]
前記第1の差動入力信号を受取る入力を有し、前記第2の差動入力信号を出力するトランスコンダクタンス増幅器を更に備え、
前記複数のトランジスタは、第1のトランジスタ、第2のトランジスタ、第3のトランジスタ、及び第4のトランジスタを含み、
前記バイアス信号及び前記第1の差動入力信号の一方の極は、前記第1のトランジスタ及び前記第4のトランジスタの前記制御端子に入力され、
前記バイアス信号及び前記第1の差動入力信号の別の極は、前記第2のトランジスタ及び前記第3のトランジスタの前記制御端子に入力され、
前記第2の差動入力信号の一方の極は、前記第1のトランジスタ及び前記第2のトランジスタの第1の端子に入力され、
前記第2の差動入力信号の別の極は、前記第3のトランジスタ及び前記第4のトランジスタの第1の端子に入力される、項目1から4のいずれか一項に記載の回路。
[項目10]
無線周波数(RF)電力検出回路であって、
項目1から9のいずれか一項に記載の回路と、
電力増幅器の出力と通信する入力、及び、前記乗算器回路の第1の入力と通信する出力を有する電圧分割器回路と、
前記電力増幅器の入力と通信する入力、及び、前記乗算器回路の第2の入力と通信する出力を有する第2の差動増幅器、
前記乗算器回路の出力と通信する入力、及び、電力検出信号を生成する出力を有する前記第1の差動増幅器と、
を備える、無線周波数電力検出回路。
[項目11]
前記第1の差動増幅器の一方の差動入力及び前記第1の差動増幅器の一方の差動出力と通信する第1の抵抗器と、
前記第1の差動増幅器の別の差動入力及び前記第1の差動増幅器の別の差動出力と通信する第2の抵抗器と、
を更に備える、項目10に記載の無線周波数電力検出回路。
[項目12]
前記第1の差動入力信号を受取る入力を有し、前記第2の差動入力信号を出力するトランスコンダクタンス増幅器を更に備え、該無線周波数電力検出回路に関連する負荷インピーダンスは前記第1の差動入力信号に関連する電圧に基づく、項目10または11に記載の無線周波数電力検出回路。
図1
図2
図3
図4
図5
図6