【文献】
佐藤 陵沢 Ryotaku SATO,“広ダイナミックレンジ光ファイバハイドロホン Wide Dynamic-Range Fiber-Optic Hydrophone”,電子情報通信学会技術研究報告,一般社団法人電子情報通信学会,2011年11月17日,Vol.111, No.311,p.15-20
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
干渉型光ファイバセンサは、センシングファイバを光ファイバ干渉計のアームとして用いたものである。具体的には、干渉型光ファイバセンサは、検出する物理量を、センシングファイバの歪みに変える。センシングファイバが歪むにつれ、干渉光は変化する。そこで、干渉型光ファイバセンサは、センシングファイバの歪みに応じて干渉光が変化することを利用することにより、物理量を検出する。これにより、干渉型光ファイバセンサは、さまざまな物理量を検出することが可能である。
【0003】
例えば、後述する非特許文献1及び非特許文献2には、音響信号を検出するセンサが記載されている。また、後述する非特許文献3には、磁気信号を検出するセンサが記載されている。
【0004】
図16は、非特許文献1に示された方式(以下、従来技術1と称する)の説明図である。
図16には、従来技術1の干渉型光ファイバセンサの構成と、そのパルス波形とが図示されている。まず、従来技術1の干渉型光ファイバセンサの構成について説明する。従来技術1の干渉型光ファイバセンサは、オシレータ1、パルス光源2、光カプラ3、光周波数シフタ4、遅延補償ファイバ5、光カプラ6、光アンプ7、光カプラ8、センシングファイバ9、ミラー10、ミラー11、O/E(Opto/Electronics)変換器12、及び復調器13等を備えている。復調器13は、A/D変換器21、参照信号発生器22、参照信号発生器23、乗算器24、乗算器25、LPF(Low Pass Filter)26、LPF27、逆正接演算器28、及び不連続点補償演算器29等を備えている。
【0005】
次に、従来技術1の干渉型光ファイバセンサ内でのパルス光の伝搬経路について説明する。まず、伝搬経路中にある各経路点について説明する。経路点Aは、パルス光源2と、光カプラ3との間のパルス波形の伝搬経路内に位置する経路点を示すものである。経路点Bは、光カプラ3と、光周波数シフタ4との間のパルス波形の伝搬経路内に位置する経路点を示すものである。経路点Cは、光カプラ3と、遅延補償ファイバ5との間のパルス波形の伝搬経路内に位置する経路点を示すものである。経路点Dは、光アンプ7と、光カプラ8との間のパルス波形の伝搬経路内に位置する経路点を示すものである。経路点Eは、ミラー10に位置するパルス波形の経路点を示すものである。経路点Fは、ミラー11に位置するパルス波形の経路点を示すものである。経路点Gは、光カプラ8と、O/E変換器12との間のパルス波形の伝搬経路内に位置する経路点を示すものである。
【0006】
パルス光源2から出力される光周波数νのパルス光は、光カプラ3で2つに分岐される。光カプラ3で2つに分岐されたパルス光のうち、一方のパルス光は、光周波数シフタ4と光カプラ6とを通過する。そして、光カプラ6を通過したパルス光は、光アンプ7で増幅される。このとき、パルス光は、経路ABDを伝搬したことになる。ここで、光周波数シフタ4は、オシレータ1から周波数f
αの信号を受けたとき、光の周波数をf
αシフトするものである。そのため、光カプラ6には、光周波数ν+f
αのパルス光が入力される。
【0007】
光カプラ3で2つに分岐されたパルス光のうち、もう一方のパルス光は、遅延補償ファイバ5を通過する。このため、遅延補償ファイバ5を通過したパルス光は、経路ABDを通過したパルス光よりも遅れて光カプラ6を通過する。そして、光カプラ6を通過したパルス光は、光アンプ7で増幅される。このとき、パルス光は経路ACDを伝搬したことになる。
【0008】
経路点Dを通過したパルス光は、光カプラ8で2つに分岐される。光カプラ8で分岐されたパルス光のうち、一方のパルス光は、ミラー10で反射される。ミラー10で反射されたパルス光は、再び光カプラ8を通過する。そして、光カプラ8を再度通過したパルス光は、O/E変換器12に入力される。このとき、パルス光は経路DEGを伝搬したことになる。
【0009】
光カプラ8で分岐されたパルス光のうち、もう一方のパルス光は、センシングファイバ9を通過する。次に、センシングファイバ9を通過したパルス光は、ミラー11で反射される。ミラー11で反射されたパルス光は、再び、センシングファイバ9と、光カプラ8とを通過する。そして、光カプラ8を再度通過したパルス光は、O/E変換器12に入力される。このとき、パルス光は経路DFGを伝搬したことになる。ここで、パルス光がセンシングファイバ9を往復するとき、信号φ(t)で光の位相が変調されることとなる。
【0010】
次に、従来技術1の干渉型光ファイバセンサ内を伝搬するパルス光のパルス波形について説明する。
図16に示すパルス波形Aは、経路点Aの位置を通過するパルス波形を示すものである。パルス波形Aに示されている数字は、パルス光源2から出力される順番を示すものであり、例えば、1、2、3、・・・のように昇順に番号が付与されている。
【0011】
図16に示すパルス波形ABDEGは、O/E変換器12に入力されるパルス光のうち、経路ABDEGを伝搬したパルス光の成分を図示したパルス波形を示すものである。パルス波形ABDEGに示されている各記号に隣接して付与されている数字は、O/E変換器12に到達する順番を示すものであり、例えば、a1、a2、a3、・・・のように昇順に記号に数字が付与されている。このように、記号と数字とを合わせたものを各々のパルス光に付与することとした。同様にして、
図16に示すパルス波形ABDFG、パルス波形ACDEG、及びパルス波形ACDFGは、それぞれ経路ABDFG、経路ACDEG、及び経路ACDFGを伝搬したパルス光の成分を図示したパルス波形を示すものである。また、パルス波形ABDFG、パルス波形ACDEG、及びパルス波形ACDFGの各々のパルス光には、パルス波形ABDEGと同様のものが付与されている。
【0012】
ここで、センシングファイバ9の往復伝搬時間を伝搬遅延τとする。伝搬遅延τと、遅延補償ファイバの往復伝搬時間とを等しくすると、パルス波形ABDFGの各パルス光の周期と、パルス波形ACDEGの各パルス光の周期とが等しくなる。つまり、パルス光bi(i=1,2,3,・・・)と、パルス光ci(i=1,2,3,・・・)とが同一周期になるため、パルス光biと、パルス光ciとが同じタイミングで重なることになる。これにより、干渉パルス光bi+ci(i=1,2,3,・・・)が、経路点Gで発生する。
【0013】
また、光周波数シフタ4を通過したパルス光の周波数と、遅延補償ファイバ5を通過したパルス光の周波数とは、周波数f
αの差がある。このため、干渉パルス光bi+ciが、O/E変換器12を出力したときには、中心周波数が周波数f
αである。このとき、センシングファイバ9で検出された信号φ(t)で位相変調されたビートが発生する。
【0014】
復調器13は、O/E変換器12から出力される干渉パルス光bi+ciにタイミングを合わせてサンプリングすることにより、式(1)で表される出力を得る。次いで、復調器13は、センシングファイバ9で検出した信号φ(t)を復調する。
図16に示すΔ(t)はサンプリングを意味する式(2)で表される関数である。
【0015】
【数1】
【0016】
【数2】
【0017】
ここで、式(2)に示すδはディラックのδ関数を意味するものである。よって、所定の周期間隔で、δ関数と、干渉パルス光bi+ciとを乗算することで、干渉パルス光bi+ciは、サンプリングされることになる。また、復調器13のLPF26及びLPF27の遮断周波数は、ビート周波数と同じf
αにする。このようにすることで、折り返しが重ならない範囲で、最も広い信号帯域を確保している。
【0018】
図17は、非特許文献2に示された時分割多重する構成を利用し、従来技術1の方法で復調するように構成した一例(以下、従来技術2と称する)を示す図である。パルス光源2から光アンプ7までのパルス光の伝搬経路は同一である。また、その区間においては、オシレータ1、パルス光源2、光カプラ3、光周波数シフタ4、遅延補償ファイバ5、光カプラ6、及び光アンプ7は、従来技術1と同様に動作する。従来技術1との相違点は、光アンプ7以降の構成と動作である。
【0019】
具体的には、光アンプ7を出力したパルス光は、光カプラ41で分岐する。光カプラ41で分岐した一方のパルス光は、光カプラ31を通過後、センシングファイバ71に送られる。光カプラ41で分岐したもう一方のパルス光は、遅延ファイバ81でタイミングをずらされた後、光カプラ42で分岐する。光カプラ42で分岐した一方のパルス光は、光カプラ32を通過後、センシングファイバ72に送られる。光カプラ42で分岐したもう一方のパルス光は、遅延ファイバ82でタイミングをずらされた後、光カプラ33を通過し、センシングファイバ73に送られる。その後、パルス光は、光カプラ52、光カプラ51で1本の光ファイバに結合される。これにより、信号1〜3が時分割多重で伝送されることになる。
【0020】
図17に示された復調器13は、O/E変換器12から出力されるパルス列から、信号φ
1(t)、信号φ
2(t)、及び信号φ
3(t)を含むパルス光を、別々にサンプリングし、そのサンプリング結果に基づいて位相復調する。
図17においては、位相復調のリファレンスとなるsin2πf
βtまたはcos2πf
βtの乗算と、式(3)〜(5)で表されるサンプリングとを同時に行う一例が示されている。
【0021】
【数3】
【0022】
【数4】
【0023】
【数5】
【0024】
図17に示されるように、従来技術2は、従来技術1に示された乗算器24、乗算25、LPF26、LPF27、逆正接演算器28、及び不連続点補償演算器29と同様の機能を有するものを3組用いることにより、信号φ
1(t)、信号φ
2(t)、及び信号φ
3(t)を復調するものである。具体的には、従来技術2は、乗算器101〜106、LPF111〜116、逆正接演算器121〜123、及び不連続点補償演算器131を用いることにより、信号φ
1(t)、信号φ
2(t)、及び信号φ
3(t)を復調する。
【0025】
図18は、従来技術2の干渉型光ファイバセンサ内を伝搬するパルス光のパルス波形の一例を示す図である。センシングファイバ71、センシングファイバ72、及びセンシングファイバ73の往復伝搬時間がそれぞれτであるとする。このとき、遅延補償ファイバ5、遅延補償ファイバ81、及び遅延補償ファイバ82の片道伝搬時間が3τであるとする。また、パルス光源2のパルス繰返し周期が9τであるとする。このように各パラメータが仮定されると、経路点Gでは、信号φ
1(t)、信号φ
2(t)、及び信号φ
3(t)を含むパルス列が得られることとなる。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0036】
実施の形態1.
(構成の説明)
図1は、本発明の実施の形態1における干渉型光ファイバセンサの構成の一例を示すブロック図である。まず、干渉型光ファイバセンサの構成について説明する。干渉型光ファイバセンサは、パルス光源2、光カプラ3、変調信号発生器201、変調信号発生器202、光周波数シフタ211、光周波数シフタ212、遅延補償ファイバ5、光カプラ6、光アンプ7、光カプラ8、センシングファイバ9、ミラー10、ミラー11、O/E(Opto/Electronics)変換器12、及び復調器13等を備えている。復調器13は、A/D変換器21、参照信号発生器91、参照信号発生器92、参照信号発生器93、参照信号発生器94、参照信号発生器95、参照信号発生器96、乗算器101、乗算器102、乗算器103、乗算器104、乗算器105、乗算器106、LPF(Low Pass Filter)111、LPF112、LPF113、LPF114、LPF115、LPF116、逆正接演算器121、逆正接演算器122、逆正接演算器123、不連続点補償演算器131、不連続点補償演算器132、不連続点補償演算器133及び加算器221を備えている。
【0037】
パルス光源2は、一定波長のパルス光を生成し、光カプラ3に入射させるものである。光カプラ3、6、8は、入射したパルス光を分岐したり、一つに重畳したりするものである。変調信号発生器201、202は、特定の周波数の信号を発生させるものである。光周波数シフタ211、212は、変調信号発生器201、202から入力された特定の周波数の信号に基づいて、周波数をシフトするものである。遅延補償ファイバ5は、遅延時間差を補償するものである。
【0038】
光アンプ7は、入力されたパルス光を増幅し、光カプラ8に入力するものである。センシングファイバ9は、加わる物理量により歪みが生じるものであり、これによりセンシングファイバを通過する光が位相変調される。このため、センシングファイバ9は、測定する物理量に応じて、その物理量の変動を検知することができる。ミラー10、11は、入射光を反射するものである。O/E変換器12は、パルス光の信号を光電変換することで、電気信号を生成するものである。復調器13は、入力される電気信号に基づいて復調を行うものであり、位相φ(t)を算出するものである。すなわち、復調器13は、センシングファイバ9からの干渉光に基づいて、物理量に対応する測定信号を検知するものである。
【0039】
A/D変換器21は、アナログ信号をデジタル信号に変換するものである。参照信号発生器91〜96は、δ関数に基づいて、A/D変換されたデジタル信号を所定の間隔でサンプリングするタイミング信号と位相復調のための参照信号を発生するものである。乗算器101〜106は、A/D変換器21の出力信号と、参照信号発生器91〜96の出力信号とを乗算することにより、必要な信号をサンプリングすると同時に位相復調のための参照信号を乗算するものである。LPF111〜116は、乗算器101〜106の出力信号の高周波成分をカットするものである。逆正接演算器121〜123は、位相を求めるものである。不連続点補償演算器131〜133は、逆正接演算で発生する不連続点を補間するものである。加算器221は、不連続点補償演算器131〜133を加算することにより、[Δ
A(t)+Δ
B(t)+Δ
C(t)]Φ(t)を出力するものである。
【0040】
次に、干渉型光ファイバセンサ内でのパルス光の伝搬経路について説明する。まず、伝搬経路中にある各経路点について説明する。経路点Aは、パルス光源2と、光カプラ3との間のパルス波形の伝搬経路内に位置する経路点を示すものである。経路点Bは、光カプラ6と、光周波数シフタ211との間のパルス波形の伝搬経路内に位置する経路点を示すものである。経路点Cは、光カプラ6と、遅延補償ファイバ5との間のパルス波形の伝搬経路内に位置する経路点を示すものである。経路点Dは、光アンプ7と、光カプラ8との間のパルス波形の伝搬経路内に位置する経路点を示すものである。経路点Eは、ミラー10に位置するパルス波形の経路点を示すものである。経路点Fは、ミラー11に位置するパルス波形の経路点を示すものである。経路点Gは、光カプラ8と、O/E変換器12との間のパルス波形の伝搬経路内に位置する経路点を示すものである。
【0041】
パルス光源2から出力される光周波数νのパルス光は、光カプラ3で2つに分岐される。光カプラ3で2つに分岐されたパルス光のうち、一方のパルス光は、光周波数シフタ211と光カプラ6とを通過する。そして、光カプラ6を通過したパルス光は、光アンプ7で増幅される。このとき、パルス光は、経路ABDを伝搬したことになる。ここで、光周波数シフタ211は、変調信号発生器201から周波数f
f(t)の信号を受けたとき、光の周波数をf
f(t)シフトするものである。そのため、光カプラ6には、光周波数ν+f
f(t)のパルス光が入力される。
【0042】
光カプラ3で2つに分岐されたパルス光のうち、もう一方のパルス光は、光周波数シフタ212と遅延補償ファイバ5とを順に通過する。そして、光カプラ6を通過したパルス光は、光アンプ7で増幅される。このとき、パルス光は、経路ACDを伝搬したことになる。ここで、光周波数シフタ212は、変調信号発生器202から周波数f
b(t)の信号を受けたとき、光の周波数をf
b(t)シフトするものである。そのため、光カプラ6には、光周波数ν+f
b(t)のパルス光が入力される。
【0043】
経路点Dを通過したパルス光は、光カプラ8で2つに分岐される。光カプラ8で分岐されたパルス光のうち、一方のパルス光は、ミラー10で反射される。ミラー10で反射されたパルス光は、再び光カプラ8を通過する。そして、光カプラ8を再度通過したパルス光は、O/E変換器12に入力される。このとき、パルス光は経路DEGを伝搬したことになる。
【0044】
光カプラ8で分岐されたパルス光のうち、もう一方のパルス光は、センシングファイバ9を通過する。次に、センシングファイバ9を通過したパルス光は、ミラー11で反射される。ミラー11で反射されたパルス光は、再び、センシングファイバ9と、光カプラ8とを通過する。そして、光カプラ8を再度通過したパルス光は、O/E変換器12に入力される。このとき、パルス光は経路DFGを伝搬したことになる。ここで、パルス光がセンシングファイバ9を往復するとき、信号φ(t)で光の位相が変調されることとなる。なお、
図1においては、信号φ(t)の(t)を省略して図示することとした。
【0045】
次に、干渉型光ファイバセンサの要部構成について
図1を用いて説明する。
図1に示すように、本発明の実施の形態1における干渉型光ファイバセンサは、光カプラ3で分岐したパルス光の両方が、周波数シフト可能な構成となっている。具体的には、光カプラ3で分岐したパルス光のうち、一方のパルス光は、光周波数シフタ211に入力される。光カプラ3で分岐したパルス光のうち、もう一方のパルス光は、光周波数シフタ212に入力される。
【0046】
光周波数シフタ211には、変調信号発生器201が接続されている。光周波数シフタ211は、入力されたパルス光を所定の周波数だけシフトするものである。そのシフトする周波数は、変調信号発生器201から光周波数シフタ211に入力される。例えば、変調信号発生器201から光周波数シフタ211に周波数f
f(t)が入力されたと想定する。このとき、パルス光源2からは、光カプラ3を介して光周波数シフタ211に光周波数νのパルス光が入力されている。よって、光周波数シフタ211に入力されたパルス光は、その周波数が周波数ν+f
f(t)だけシフトされて出力されることになる。
【0047】
一方、光周波数212には、変調信号発生器202が接続されている。光周波数シフタ212は、入力されたパルス光を所定の周波数だけシフトするものである。そのシフトする周波数は、変調信号発生器202から光周波数シフタ212に入力される。例えば、変調信号発生器202から光周波数シフタ212に周波数f
b(t)が入力されたと想定する。このとき、パルス光源2からは、光カプラ3を介して光周波数シフタ212に光周波数νのパルス光が入力されている。よって、光周波数シフタ212に入力されたパルス光は、その周波数が周波数ν+f
b(t)だけシフトされて出力されることになる。
【0048】
また、1つのセンシングファイバ9に対して、参照信号発生器91〜96、乗算器101〜106、LPF111〜116、逆正接演算器121〜123、及び不連続点補償演算器131〜133が用いられている。そして、不連続点補償演算器131〜133の出力は、加算器221で加算される。
【0049】
すなわち、参照信号発生器91、92、乗算器101、102、LPF111、112、逆正接演算器121、及び不連続点補償演算器131が一つの組となる。また、参照信号発生器93、94、乗算器103、104、LPF113、114、逆正接演算器122、及び不連続点補償演算器132が一つの組となる。また、参照信号発生器95、96、乗算器105、106、LPF115、116、逆正接演算器123、及び不連続点補償演算器133が一つの組となる。よって、1つのセンシングファイバ9でセンシングされた信号φは、これらの組でそれぞれ演算されることで、信号φがセンシングされることになる。
【0050】
次に、干渉型光ファイバセンサ内を伝搬するパルス光のパルス波形と、光周波数シフタ211、212で周波数シフトされるパルス光の周波数との相関関係について説明する。
図2は、本発明の実施の形態1におけるパルス光の光周波数とそのタイミングの一例について説明する図である。パルス光源2の出力波形であるパルス光と、光周波数シフタ211、212の略矩形波とは、同期が取れている。すなわち、光周波数シフタ211、212が出力するパルス光の周波数は、パルス光源2のパルス光の出力タイミングに合わせて、ステップ状にその大きさを変化させる。
【0051】
図2に示すように、横軸は時間であり、縦軸は、光周波数である。そして、3τごとにステップ状の周波数の変動は元に戻る。つまり、光周波数シフタ211、212の略矩形波の周期は3τであり、周波数は1/(3τ)である。また、パルス光源2から出力されるパルス光は、光周波数シフタ211、212に到達する順番に数字が付与されている。例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、・・・のように昇順に番号が付与されている。
【0052】
ここで、f
f1−f
b1の差を1とする。すなわち、(ν+f
b1)−(ν+f
f1)の差を1と想定する。次に、f
f2−f
b2の差を3とする。すなわち、(ν+f
f2)−(ν+f
b2)の差を3とする。また、f
f3−f
b3の差を5とする。すなわち、(ν+f
f3)−(ν+f
b3)の差を5とする。また、f
b3−f
f2の差及びf
b2−f
f1の差がそれぞれ7とする。すなわち、(ν+f
b3)−(ν+f
f2)の差を7とし、(ν+f
b2)−(ν+f
f1)の差を7とする。また、f
f1−f
b1は周波数1/(3τ)の1/30とする。すなわち、(ν+f
f1)−(ν+f
b1)の差を1/(3τ)の1/30とする。このように、1、3、5、7ととびとびの値で出力周波数の大きさの割合を設定するのは、折り返し雑音を低減させるためである。すなわち、エイリアシングを発生させないようにするために、とびとびの値が設定されるのである。なお、1、3、5、7といった数字は、一例を示すものであり、これに限定されるものではない。
【0053】
なお、
図2において、周波数のパラメータtの記載については、省略することとする。
【0054】
次に、O/E変換器12の帯域幅は、受光したパルス列の分別が可能な範囲にし、他のパルスからの漏れ込みが問題とならない範囲にし、帯域幅の狭いものを用いることとする。ここで、復調器13の参照信号発生器91、92のΔ
A(t)、復調器13の参照信号発生器93、94のΔ
B(t)、及び復調器13の参照信号発生器95、96のΔ
C(t)は、次式(6)〜(8)で表される。
【0058】
(動作の説明)
図3は、本発明の実施の形態1における干渉型光ファイバセンサの動作を説明するパルス波形を示す図である。
図3に示すように、経路点Aを通過するパルス光については、パルス光源2から出力される順に番号が、1、2、3、4、・・・と昇順に付与されている。また、各パルス光の光周波数についても、νというように付与されている。
【0059】
また、経路点ABを通過するパルス光については、経路点ABを通過するパルス光に順に番号が、1、2、3、4、・・・と昇順に付与されている。また、経路点ABを通過するパルス光の光周波数についても、ν+f
f1、ν+f
f2、ν+f
f3、・・・というように付与されている。
【0060】
また、経路点ACを通過するパルス光については、経路点ACを通過するパルス光に順に番号が、1、2、3、4、・・・と昇順に付与されている。また、経路点ACを通過するパルス光の光周波数についても、ν+f
b1、ν+f
b2、ν+f
b3、・・・というように付与されている。なお、パルス光は、経路点ACには、経路点ABと比較して、τだけ遅れて入力される。これは、経路点ACでは、パルス光は、遅延補償ファイバ5を通過するためである。
【0061】
また、経路点ABDEGを通過するパルス光については、経路点ABDEGを通過するパルス光に順に番号が、1、2、3、4、・・・と昇順に付与されている。また、経路点ABDEGを通過するパルス光の周波数についても、ν+f
f1、ν+f
f2、ν+f
f3、・・・というように付与されている。
【0062】
また、経路点ABDFGを通過するパルス光については、経路点ABDFGを通過するパルス光に順に番号が、1、2、3、4、・・・と昇順に付与されている。また、経路点ABDFGを通過するパルス光の周波数についても、ν+f
f1、ν+f
f2、ν+f
f3、・・・というように付与されている。なお、パルス光は、経路点ABDFGには、経路点ABDEGと比較して、τだけ遅れて入力される。これは、経路点ABDFGでは、パルス光が、センシングファイバ9を通過するためである。
【0063】
また、経路点ACDEGを通過するパルス光については、経路点ACDEGを通過するパルス光に順に番号が、1、2、3、4、・・・と昇順に付与されている。また、経路点ACDEGを通過するパルス光の周波数についても、ν+f
b1、ν+f
b2、ν+f
b3、・・・というように付与されている。なお、パルス光は、経路点ACDEGには、経路点ABDEGと比較して、τだけ遅れて入力される。これは、経路点ACDEGでは、パルス光が、遅延補償ファイバ5を通過するためである。
【0064】
また、経路点ACDFGを通過するパルス光については、経路点ACDFGを通過するパルス光に順に番号が、1、2、3、4、・・・と昇順に付与されている。また、経路点ACDFGを通過するパルス光の周波数についても、ν+f
b1、ν+f
b2、ν+f
b3、・・・というように付与されている。なお、パルス光は、経路点ACDFGには、経路点ABDFG、経路点ACDEGと比較して、2τだけ遅れて入力される。これは、経路点ACDFGでは、パルス光が、遅延補償ファイバ5とセンシングファイバ9とを通過するためである。
【0065】
また、ここでは、遅延補償ファイバ5による遅延時間と、センシングファイバ9による遅延時間とは、同じであるとする。例えば、遅延時間はτである。これにより、ν+f
f1、ν+f
f2、ν+f
f3、・・・と、ν+f
b1、ν+f
b2、ν+f
b3、・・・とは同期することになる。よって、正確に(ν+f
f1)−(ν+f
b1)、(ν+f
f2)−(ν+f
b2)、(ν+f
f3)−(ν+f
b3)等を求めることができる。よって、経路点Gでは、始動直後の4つのパルス光を除くと、パルス光は、I
A、I
B、I
Cの3種類となり、I
A、I
B、I
C、I
A、I
B、・・・と続いていくことになる。
【0066】
図4は、本発明の実施の形態1におけるI
A、I
B、I
CをA/D変換した後のパワースペクトルの概念図である。I
Aの場合、センシングファイバ9で検出した信号を含むビートと側波帯の中心周波数は、f
f1−f
b1である。すなわち、I
Aでは、中心周波数f
f1−f
b1のビートに信号φ(t)が変調されている。また、I
Bの場合、センシングファイバ9で検出した信号を含むビートと側波帯の中心周波数は、f
f2−f
b2である。すなわち、I
Bでは、中心周波数f
f2−f
b2のビートに信号φ(t)が変調されている。また、I
Cの場合、センシングファイバ9で検出した信号を含むビートと側波帯の中心周波数は、f
f3−f
b3である。すなわち、I
Cでは、中心周波数f
f3−f
b3のビートに信号φ(t)が変調されている。復調器13は、I
A、I
B、I
Cのそれぞれから信号φ(t)を復調し、加算器221で加算後に出力する。
【0067】
(効果の説明)
周波数が異なる複数のビートを発生させ、サンプリングの数を増やして合成することにより、折り返し雑音を低減することができる。これは、合成する信号には相関があり、雑音は無相関であることから得られる効果である。具体的には、相関がある合成する信号同士は、信号が強め合う度合いが大きい。一方、無相関である雑音同士は、信号が強め合う度合いが小さい。よって、合成する信号と、雑音とは、相関関係の有無により、相対的に大きな差が生じることとなる。つまり、雑音が低減されることになる。
【0068】
出力波形では、従来技術1と同じ帯域幅のフィルタに通すことにより雑音低減効果を確認することができる。さらに、サンプリングを細かくしたことにより、例えば、信号のタイミングを精密に測る必要がある用途では、従来よりも細かく測ることができる。
【0069】
本実施の形態1では、経路が異なる多くのパルス光が干渉する。しかし、
図4に示されるように、f
f1−f
b1はI
Aでのみ発生する。f
f2−f
b2はI
Bでのみ発生する。f
f3−f
b3はI
Cでのみ発生する。よって、O/E変換器の帯域制限で他のパルス光の成分が、復調するパルス光に多少漏れ込んだとしても、復調出力への影響を少なくすることができる。
【0070】
発生するビートを全て復元するには、標本化定理により、1/(3τ)≧2×24(f
f1−f
b1)にすることになる。本実施の形態1では、
図4に示されるように、復調する3つの周波数が、低い側から順に3つとなる。また、折り返しで発生したビートの最も低い周波数は、復調する帯域に重ならない限界のf
f1−f
b1の7倍になる。つまり、折り返しが発生したとき、復調に使う帯域には折り返しで発生したビートと側波帯が入らないように、復調に使わないビートと側波帯の帯域には折り返しで発生したビートと側波帯が重なるようにする。これにより、サンプリング周波数は低くなり、その分、O/E変換器の帯域幅は狭くなる。帯域幅が狭くなれば、折り返しが多数重なることにはならないため、折り返し雑音を抑制することができる。
【0071】
実施の形態2.
図5は、本発明の実施の形態2における干渉型光ファイバセンサの構成の一例を示すブロック図である。
なお、本実施の形態2において、特に記述しない項目については本発明の実施の形態1と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
【0072】
(構成の説明)
本実施の形態1との相違点は、参照信号発生器97、98の出力が異なること、乗算器101、102、LPF111、112、逆正接演算器121、及び不連続点補償演算器131の処理器構成を1組しか使わないこと、加算器221を使わないことである。本発明の実施の形態2の参照信号発生器97の出力は、本発明の実施の形態1の参照信号発生器91、参照信号発生器93、及び参照信号発生器95の各出力を加算した波形としている。また、本発明の実施の形態2の参照信号発生器98の出力は、本発明の実施の形態1の参照信号発生器92、参照信号発生器94、及び参照信号発生器96の各出力を加算した波形としている。そのために、加算器221は不要なのである。
【0073】
(動作の説明)
パルス光源2の出力から復調器13のA/D変換器の出力までは、本発明の実施の形態1と同様の動作をする。これに対して、参照信号発生器97及び参照信号発生器98から出力される波形は、本発明の実施の形態1とは異なる出力となる。具体的には、参照信号発生器97から出力される波形は、Δ
A(t)sin2π(f
1f−f
1b)t、Δ
B(t)sin2π(f
2f−f
2b)t、及びΔ
C(t)sin2π(f
3f−f
3b)の3つの波形を重ね合わせたものとなるため、正弦波ではなく不連続な波形となる。また、参照信号発生器98から出力される波形は、Δ
A(t)cos2π(f
1f−f
1b)t、Δ
B(t)cos2π(f
2f−f
2b)t、及びΔ
C(t)cos2π(f
3f−f
3b)の3つの波形を重ね合わせたものとなるため、正弦波ではなく不連続な波形となる。
【0074】
ここで、式(6)〜(8)によると、Δ
A(t)とΔ
B(t)との差は、τであり、Δ
B(t)とΔ
C(t)との差は、τであり、Δ
C(t)とΔ
A(t)との差は、τである。よって、Δ
A(t)sin2π(f
1f−f
1b)t、Δ
B(t)sin2π(f
2f−f
2b)t、及びΔ
C(t)sin2π(f
3f−f
3b)の3つの波形を重ね合わせることで、周期が3τから1τになる。同様に、Δ
A(t)cos2π(f
1f−f
1b)t、Δ
B(t)cos2π(f
2f−f
2b)t、及びΔ
C(t)cos2π(f
3f−f
3b)の3つの波形を重ね合わせることで、周期が3τから1τになる。従って、A/D変換器21の出力と、参照信号発生器97、98との出力を乗算し、LPF111、112に通した後には、従来技術1と比較して、3倍の周波数でサンプリングした波形が形成される。次いで、逆正接演算器121を経て、不連続点補償演算器131で出力される波形は、本発明の実施の形態1の加算器221で出力される波形と同じ波形が得られることになる。
【0075】
(効果の説明)
本実施の形態1の復調器15より簡素な機能構成の復調器16でありつつも、本実施の形態1と同様の効果が得られる。つまり、Δ
A(t)sin2π(f
1f−f
1b)t、Δ
B(t)sin2π(f
2f−f
2b)t、及びΔ
C(t)sin2π(f
3f−f
3b)の3つの波形を重ね合わせた波形を出力する参照信号発生器97と、Δ
A(t)cos2π(f
1f−f
1b)t、Δ
B(t)cos2π(f
2f−f
2b)t、及びΔ
C(t)cos2π(f
3f−f
3b)の3つの波形を重ね合わせた波形を出力する参照信号発生器98とを用いることにより、復調器16の他の機能を簡素化することができる。これにより、低コストでありつつも、周波数が異なる複数のビートを発生させ、サンプリングの数を増やして合成することにより、折り返し雑音を低減することができる。
【0076】
実施の形態3.
図6は、本発明の実施の形態3における干渉型光ファイバセンサの構成の一例を示すブロック図である。
なお、本実施の形態3において、特に記述しない項目については実施の形態1、2と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
【0077】
(構成の説明)
本実施の形態1、2との相違点は、変調信号発生器201、202の出力周波数の大きさの割合が異なること、参照信号発生器231、232の出力波形が異なることである。
図7は、本発明の実施の形態3におけるパルス光の光周波数とそのタイミングの一例について説明する図である。
図7に示すように、パルス光源2の出力波形であるパルス光と、光周波数シフタ211、212の略矩形波とは、同期が取れている。すなわち、光周波数シフタ211、212が出力するパルス光の周波数は、パルス光源2のパルス光の出力タイミングに合わせて、ステップ状にその大きさを変化させる。
【0078】
図7に示すように、横軸は時間であり、縦軸は、光周波数である。そして、2τごとにステップ状の周波数の変動は元に戻る。つまり、光周波数シフタ211、212の略矩形波の周期は2τであり、周波数は1/(2τ)である。また、パルス光源2から出力されるパルス光は、光周波数シフタ211、212に到達する順番に数字が付与されている。例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、・・・のように昇順に番号が付与されている。
【0079】
ここで、f
f1−f
b1の差を1とする。すなわち、(ν+f
b1)−(ν+f
f1)の差を1と想定する。次に、f
f2−f
b2の差を3とする。すなわち、(ν+f
f2)−(ν+f
b2)の差を3とする。また、f
b2−f
f1の差を5とする。すなわち、(ν+f
b2)−(ν+f
f1)の差を5とする。また、f
f1−f
b1は周波数1/(3τ)の1/14とする。すなわち、(ν+f
f1)−(ν+f
b1)の差を1/(3τ)の1/14とする。このように、1、3、5ととびとびの値で出力周波数の大きさの割合を設定するのは、折り返し雑音を低減させるためである。すなわち、エイリアシングを発生させないようにするために、とびとびの値が設定されるのである。なお、1、3、5といった数字は、一例を示すものであり、これに限定されるものではない。
【0080】
換言すれば、各周波数の差が、1、3、及び5の割合になるようにする。なお、
図7において、周波数のパラメータtの記載については、省略することとする。
【0081】
ここで、復調器13の参照信号発生器231、232のΔ
A(t)及びΔ
B(t)は、次式(9)及び(10)で表される。
【0084】
式(9)、(10)に示されるように周期は2τとなっている。すなわち、サンプリング間隔が、周期3τのときに比べて細かくなっている。
【0085】
(動作の説明)
図8は、本実施の形態3における干渉型光ファイバセンサの動作を説明するパルス波形を示す図である。
図8に示すように、経路点Aを通過するパルス光については、パルス光源2から出力される順に番号が、1、2、3、4、・・・と昇順に付与されている。また、各パルス光の光周波数についても、νというように付与されている。
【0086】
また、経路点ABを通過するパルス光については、経路点ABを通過するパルス光に順に番号が、1、2、3、4、・・・と昇順に付与されている。また、経路点ABを通過するパルス光の光周波数についても、ν+f
f1、ν+f
f2、・・・というように付与されている。
【0087】
また、経路点ACを通過するパルス光については、経路点ACを通過するパルス光に順に番号が、1、2、3、4、・・・と昇順に付与されている。また、経路点ACを通過するパルス光の光周波数についても、ν+f
b1、ν+f
b2、・・・というように付与されている。なお、パルス光は、経路点ACには、経路点ABと比較して、τだけ遅れて入力される。これは、経路点ACでは、パルス光が、遅延補償ファイバ5を通過するためである。
【0088】
また、経路点ABDEGを通過するパルス光については、経路点ABDEGを通過するパルス光に順に番号が、1、2、3、4、・・・と昇順に付与されている。また、経路点ABDEGを通過するパルス光の周波数についても、ν+f
f1、ν+f
f2、・・・というように付与されている。
【0089】
また、経路点ABDFGを通過するパルス光については、経路点ABDFGを通過するパルス光に順に番号が、1、2、3、4、・・・と昇順に付与されている。また、経路点ABDFGを通過するパルス光の周波数についても、ν+f
f1、ν+f
f2、・・・というように付与されている。なお、パルス光は、経路点ABDFGには、経路点ABDEGと比較して、τだけ遅れて入力される。これは、経路点ABDFGでは、パルス光が、センシングファイバ9を通過するためである。
【0090】
また、経路点ACDEGを通過するパルス光については、経路点ACDEGを通過するパルス光に順に番号が、1、2、3、4、・・・と昇順に付与されている。また、経路点ACDEGを通過するパルス光の周波数についても、ν+f
b1、ν+f
b2、・・・というように付与されている。なお、パルス光は、経路点ACDEGには、経路点ABDEGと比較して、τだけ遅れて入力される。これは、経路点ACDEGでは、パルス光が、遅延補償ファイバ5を通過するためである。
【0091】
また、経路点ACDFGを通過するパルス光については、経路点ACDFGを通過するパルス光に順に番号が、1、2、3、4、・・・と昇順に付与されている。また、経路点ACDFGを通過するパルス光の周波数についても、ν+f
b1、ν+f
b2、・・・というように付与されている。なお、パルス光は、経路点ACDFGには、経路点ABDFG、経路点ACDEGと比較して、2τだけ遅れて入力される。これは、経路点ACDFGでは、パルス光が、遅延補償ファイバ5とセンシングファイバ9とを通過するためである。
【0092】
また、ここでは、遅延補償ファイバ5による遅延時間と、センシングファイバ9による遅延時間とは、同じであるとする。例えば、遅延時間はτである。これにより、ν+f
f1、ν+f
f2、・・・と、ν+f
b1、ν+f
b2、・・・とは同期することになる。よって、正確に(ν+f
f1)−(ν+f
b1)及び(ν+f
f2)−(ν+f
b2)等を求めることができる。よって、経路点Gでは、始動直後の4つのパルス光を除くと、パルス光は、I
A、I
Bの2種類となり、I
A、I
B、I
A、I
B、・・・と続いていくことになる。
【0093】
図9は、本発明の実施の形態3におけるI
A、I
BをA/D変換した後のパワースペクトルの概念図である。I
Aの場合、センシングファイバ9で検出した信号を含むビートと側波帯の中心周波数は、f
f1−f
b1である。すなわち、I
Aでは、中心周波数f
f1−f
b1のビートに信号φ(t)が変調されている。また、I
Bの場合、センシングファイバ9で検出した信号を含むビートと側波帯の中心周波数は、f
f2−f
b2である。すなわち、I
Bでは、中心周波数f
f2−f
b2のビートに信号φ(t)が変調されている。復調器17は、I
A、I
Bのそれぞれから信号φ(t)を復調し、復調したものを出力する。
【0094】
(効果の説明)
本実施の形態1と同様に、周波数が異なる複数のビートを発生させ、サンプリングの数を増やしたことにより、折り返し雑音を低減することができる。さらに、式(9)、(10)に示されるように、サンプリングの間隔をより細かくしたことにより、信号のタイミングを精密に測る必要があるような用途においては、従来よりも細かく測ることができる。
【0095】
また、本実施の形態1よりサンプリング周波数を低くできることにより、本実施の形態1よりもO/E変換器12の帯域幅を狭くすることができる。これにより、折り返し雑音を抑制することができる。ただし、本発明の実施の形態3においては、復調するパルス光の周波数と同じ周波数のビートが、I
AとI
Bの両方で発生する。具体的には、
図9に示されるように、I
Aでは、f
f1−f
b1とf
f2−f
b2が発生している。このうち、I
Aでは、f
f1−f
b1が、センシングファイバ9で検出した信号を含むビートと側波帯の周波数である。また、I
Bでは、f
f1−f
b1とf
f2−f
b2が発生している。このうち、I
Bでは、f
f2−f
b2が、センシングファイバ9で検出した信号を含むビートと側波帯の周波数である。よって、O/E変換器12による帯域制限で、復調するパルス光への時間的に前のパルス光の漏れ込みにより、別の雑音が発生しやすくなることがある。
【0096】
実施の形態4.
図10は、本発明の実施の形態4における干渉型光ファイバセンサの構成の一例を示すブロック図である。
なお、本実施の形態4において、特に記述しない項目については実施の形態1〜3と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
【0097】
(構成の説明)
本発明の実施の形態1〜3との相違点は、変調信号発生器205から出力される周波数信号の出力タイミングと、変調信号発生器206から出力する周波数信号の出力タイミングと、参照信号発生器233〜238の出力波形である。
【0098】
図11は、本発明の実施の形態4におけるパルス光の光周波数とそのタイミングの一例について説明する図である。
図11に示されるように、変調信号発生器205、206から出力される周波数信号は、周期3τで出力される。このため、本発明の実施の形態1〜3の変調信号発生器201〜204の周期τの場合と比較して、3倍長い間隔となっている。また、パルス光源2の出力波形であるパルス光と、光周波数シフタ211、212の略矩形波とは、同期が取れている。すなわち、光周波数シフタ211、212が出力するパルス光の周波数は、パルス光源2のパルス光の出力タイミングに合わせて、ステップ状にその大きさを変化させる。
図11に示すように、横軸は時間であり、縦軸は、光周波数である。そして、9τごとにステップ状の周波数の変動は元に戻る。つまり、光周波数シフタ211、212の略矩形波の周期は9τであり、周波数は1/(9τ)である。また、パルス光源2から出力されるパルス光は、光周波数シフタ211、212に到達する順番に数字が付与されている。例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、・・・のように昇順に番号が付与されている。
【0099】
また、参照信号発生器233〜238は、Δ
A(t)、Δ
B(t)、Δ
C(t)の定義が異なっている。具体的には、式(11)〜(13)に表されるように、サンプリング間隔が異なっている。
【0103】
すなわち、f
1f−f
1b、f
2f−f
2b、f
3f−f
3bの各間隔が3τであるため、Δ
A(t)、Δ
B(t)、Δ
C(t)の各間隔も3τとなるように定義されている。要するに、変調信号発生器205、206の出力タイミングと、参照信号発生器233〜238とのサンプリング間隔とは、同一になるようにするのである。ここで、f
f1−f
b1の差を1とする。すなわち、(ν+f
b1)−(ν+f
f1)の差を1と想定する。次に、f
f2−f
b2の差を3とする。すなわち、(ν+f
f2)−(ν+f
b2)の差を3とする。また、f
f3−f
b3の差を5とする。すなわち、(ν+f
f3)−(ν+f
b3)の差を5とする。このように、1、3、5ととびとびの値で出力周波数の大きさの割合を設定するのは、折り返し雑音を低減させるためである。すなわち、エイリアシングを発生させないようにするために、とびとびの値が設定されるのである。なお、1、3、5といった数字は、一例を示すものであり、これに限定されるものではない。
【0104】
(動作の説明)
図12は、本発明の実施の形態4における干渉型光ファイバセンサの動作を説明するパルス波形を示す図である。
図12に示すように、経路点Aを通過するパルス光については、パルス光源2から出力される順に番号が、1、2、3、4、・・・と昇順に付与されている。
【0105】
また、経路点ABDE1Gを通過するパルス光については、経路点ABDE1Gを通過するパルス光に順に番号が、1a1、2a1、3a1、4a1、・・・と昇順に付与されている。また、経路点ABDE1Gを通過するパルス光の周波数についても、ν+f
f1、ν+f
f2、ν+f
f3、・・・というように付与されている。
【0106】
また、経路点ABDF1Gを通過するパルス光については、経路点ABDF1Gを通過するパルス光に順に番号が、1b1、2b1、3b1、4b1、・・・と昇順に付与されている。また、経路点ABDF1Gを通過するパルス光の周波数についても、ν+f
f1、ν+f
f2、ν+f
f3、・・・というように付与されている。なお、パルス光は、経路点ABDF1Gには、経路点ABDE1Gと比較して、τだけ遅れて入力される。これは、経路点ABDF1Gでは、パルス光が、センシングファイバ71を通過するためである。
【0107】
また、経路点ACDE1Gを通過するパルス光については、経路点ACDE1Gを通過するパルス光に順に番号が、1c1、2c1、3c1、4c1、・・・と昇順に付与されている。また、経路点ACDE1Gを通過するパルス光の周波数についても、ν+f
b1、ν+f
b2、ν+f
b3、・・・というように付与されている。なお、パルス光は、経路点ACDE1Gには、経路点ABDE1Gと比較して、τだけ遅れて入力される。これは、経路点ACDE1Gでは、パルス光が、遅延補償ファイバ5を通過するためである。
【0108】
また、経路点ACDF1Gを通過するパルス光については、経路点ACDF1Gを通過するパルス光に順に番号が、1d1、2d1、3d1、4d1、・・・と昇順に付与されている。また、経路点ACDF1Gを通過するパルス光の周波数についても、ν+f
b1、ν+f
b2、ν+f
b3、・・・というように付与されている。なお、パルス光は、経路点ACDF1Gには、経路点ABDE1Gと比較して、2τだけ遅れて入力される。これは、経路点ACDF1Gでは、パルス光が、遅延補償ファイバ5とセンシングファイバ71を通過するためである。
【0109】
また、経路点ABDE2Gを通過するパルス光については、経路点ABDE2Gを通過するパルス光に順に番号が、1a2、2a2、3a2、4a2、・・・と昇順に付与されている。また、経路点ABDE2Gを通過するパルス光の周波数についても、ν+f
f1、ν+f
f2、ν+f
f3、・・・というように付与されている。
【0110】
また、経路点ABDF2Gを通過するパルス光については、経路点ABDF2Gを通過するパルス光に順に番号が、1b2、2b2、3b2、4b2、・・・と昇順に付与されている。また、経路点ABDF2Gを通過するパルス光の周波数についても、ν+f
f1、ν+f
f2、ν+f
f3、・・・というように付与されている。なお、パルス光は、経路点ABDF2Gには、経路点ABDE2Gと比較して、τだけ遅れて入力される。これは、経路点ABDF2Gでは、パルス光が、センシングファイバ72を通過するためである。
【0111】
また、経路点ACDE2Gを通過するパルス光については、経路点ACDE2Gを通過するパルス光に順に番号が、1c2、2c2、3c2、4c2、・・・と昇順に付与されている。また、経路点ACDE2Gを通過するパルス光の周波数についても、ν+f
b1、ν+f
b2、ν+f
b3、・・・というように付与されている。なお、パルス光は、経路点ACDE2Gには、経路点ABDE2Gと比較して、τだけ遅れて入力される。これは、経路点ACDE2Gでは、パルス光が、遅延補償ファイバ5を通過するためである。
【0112】
また、経路点ACDF2Gを通過するパルス光については、経路点ACDF2Gを通過するパルス光に順に番号が、1d2、2d2、3d2、4d2、・・・と昇順に付与されている。また、経路点ACDF2Gを通過するパルス光の周波数についても、ν+f
b1、ν+f
b2、ν+f
b3、・・・というように付与されている。なお、パルス光は、経路点ACDF2Gには、経路点ABDE2Gと比較して、2τだけ遅れて入力される。これは、経路点ACDF2Gでは、パルス光が、遅延補償ファイバ5とセンシングファイバ72を通過するためである。
【0113】
また、経路点ABDE3Gを通過するパルス光については、経路点ABDE3Gを通過するパルス光に順に番号が、1a3、2a3、3a3、4a3、・・・と昇順に付与されている。また、経路点ABDE3Gを通過するパルス光の周波数についても、ν+f
f1、ν+f
f2、ν+f
f3、・・・というように付与されている。
【0114】
また、経路点ABDF3Gを通過するパルス光については、経路点ABDF3Gを通過するパルス光に順に番号が、1b3、2b3、3b3、4b3、・・・と昇順に付与されている。また、経路点ABDF3Gを通過するパルス光の周波数についても、ν+f
f1、ν+f
f2、ν+f
f3、・・・というように付与されている。なお、パルス光は、経路点ABDF3Gには、経路点ABDE3Gと比較して、τだけ遅れて入力される。これは、経路点ABDF3Gでは、パルス光が、センシングファイバ73を通過するためである。
【0115】
また、経路点ACDE3Gを通過するパルス光については、経路点ACDE3Gを通過するパルス光に順に番号が、1c3、2c3、3c3、4c3、・・・と昇順に付与されている。また、経路点ACDE3Gを通過するパルス光の周波数についても、ν+f
b1、ν+f
b2、ν+f
b3、・・・というように付与されている。なお、パルス光は、経路点ACDE3Gには、経路点ABDE3Gと比較して、τだけ遅れて入力される。これは、経路点ACDE3Gでは、パルス光が、遅延補償ファイバ5を通過するためである。
【0116】
また、経路点ACDF3Gを通過するパルス光については、経路点ACDF3Gを通過するパルス光に順に番号が、1d3、2d3、3d3、4d3、・・・と昇順に付与されている。また、経路点ACDF3Gを通過するパルス光の周波数についても、ν+f
b1、ν+f
b2、ν+f
b3、・・・というように付与されている。なお、パルス光は、経路点ACDF3Gには、経路点ABDE3Gと比較して、2τだけ遅れて入力される。これは、経路点ACDF3Gでは、パルス光が、遅延補償ファイバ5とセンシングファイバ73を通過するためである。
【0117】
なお、経路点ABDE1Gを通過するパルス光と、経路点ABDE2Gを通過するパルス光とは、3τの時間差が設定されている。また、経路点ABDE2Gを通過するパルス光と、経路点ABDE3Gを通過するパルス光とは、3τの時間差が設定されている。
【0118】
また、ここでは、遅延補償ファイバ5、81、82による遅延時間と、センシングファイバ71、72、73による遅延時間とは、同じであるとする。例えば、遅延時間はτである。これにより、ν+f
f1、ν+f
f2、ν+f
f3、・・・と、ν+f
b1、ν+f
b2、ν+f
b3、・・・とは同期することになる。よって、正確に(ν+f
f1)−(ν+f
b1)、(ν+f
f2)−(ν+f
b2)及び(ν+f
f3)−(ν+f
b3)等を求めることができる。よって、経路点Gでは、始動直後の10個のパルス光を除くと、パルス光は、I
A、I
B、I
c、の3種類となり、I
A、I
B、I
c、I
A、I
B、I
c、・・・と続いていくことになる。そして、復調器18は、I
A、I
B、I
cから信号φ
1(t)、φ
2(t)、φ
3(t)を復調している。
【0119】
(効果の説明)
本発明の実施の形態4では、センシングファイバ71、72、73を用い、各パルス光のタイミングをずらしていくことにより、1つのパルス光から3つの信号が得られる。すなわち、f
f1とf
f2との時間差が3τに設定され、f
f2とf
f3との時間差が3τに設定され、f
f3とf
f1との時間差が3τに設定され、f
b1とf
b2との時間差が3τに設定され、f
b2とf
b3との時間差が3τに設定され、f
b3とf
b1との時間差が3τに設定されることで、f
f1−f
b1、f
f2−f
b2、f
f3−f
b3が同時に出現していくようになる。そして、1つの周波数のビートに複数のセンシングファイバで検出された複数の信号が交番して含まれる。例えば、f
f1−f
b1の周波数のビートの内、I
Aのパルス光には信号φ
1(t)、I
Bのパルス光には信号φ
2(t)、I
Cのパルス光には信号φ
3(t)が含まれる。3つの周波数のビートを同時に復調することで3つの信号が同時に得られる。
【0120】
要するに、周波数の異なるパルス光が、時間的に少しずつずらされて経路内を伝搬していくことにより、同じ時間では、同時並行的に多くのパルス光が伝搬されている状態となる。これにより、1度に多くの信号が得られるのである。よって、従来技術2においては、1度得た信号を再度得るには9τの時間間隔が必要であったのに対し、本発明の実施の形態4においては、1度得た信号を再度得るには3τの時間間隔で済むようになった。そのため、周期が短くなった。したがって、サンプリング周波数が高くなり、折り返し雑音を低減することができる。
【0121】
実施の形態5.
図13は、本発明の実施の形態5における干渉型光ファイバセンサの構成の一例を示すブロック図である。
なお、本実施の形態5において、特に記述しない項目については実施の形態1〜4と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
【0122】
(構成の説明)
本発明の実施の形態1〜4との相違点は、変調信号発生器207、208から出力される周波数信号の出力タイミングと、変調信号発生器207、208から出力される各周波数信号の大きさの割合と、複数のセンシングファイバがN個にグループ化されて構成されている点と、参照信号の出力波形である。
【0123】
図14は、本発明の実施の形態5におけるパルス光の光周波数とそのタイミングの一例について説明する図である。
図14に示されるように、変調信号発生器207、208から出力される周波数信号は、半周期kMτで出力される。このため、パルス光源2の出力波形であるパルス光の周期は、kMτとなるように設定される。また、変調信号発生器207、208は、ν+f
f1とν+f
b1との差が2i−1であり、ν+f
f2とν+f
b2との差が2i−1であり、ν+f
b2とν+f
f1との差が2N+1である。つまり、f
f1−f
b1と、f
f2−f
b2と、f
b2−f
f1との割合が、2i−1、2i−1、2N+1となるようにする。ただし、iは、1、2、・・・、Nと自然数であるとする。
【0124】
ここで、Nは、復調するビート周波数の数であり、Mは、自分割多重する信号の数であるとする。本発明の実施の形態4では、N=2、M=2の場合について説明する。kは、パルス光源2から出力するパルス繰返し周期とセンシングファイバ往復伝搬時間τの係数の1つであり、通常、2または3が設定される。本発明の実施の形態4では、k=3の場合について説明する。そして、パルス光源2から順次出力されるパルス光が分岐され、伝搬経路を経て、O/E変換器に送られた際、各パルス光が同一時間で重ならないようにするために、各経路点間に遅延ファイバ5、83、84、85を取り付ける。
【0125】
このような前提で、光アンプ7の出力は、光カプラ301で分岐され、N個のグループに送られ、各グループのミラー、例えば、グループ1の場合にはミラー331等、グループ2の場合にはミラー335等で反射される。このような伝搬経路により多重伝送されたパルス光は、O/E変換器12で受光され、復調器19のA/D変換器に入力される。
【0126】
復調器19は、参照信号発生器239〜246を有している。参照信号発生器239〜246は、sin2π(f
1f−f
1b)〜sin2π(f
Nf−f
Nb)の参照信号及び式(14)〜(19)等で表されるサンプリング関数を掛け合わせたN×M対の参照信号並びにcos2π(f
1f−f
1b)〜cos2π(f
Nf−f
Nb)の参照信号及び式(14)〜(19)等で表されるサンプリング関数を掛け合わせたN×M対の参照信号の内、復調する信号を含んだビート周波数のタイミングに対応した参照信号が加算された参照信号を出力する。そして、復調器19は、それぞれの信号に対応した参照信号とA/D変換器21の出力とを乗算し、位相復調する。
【0133】
(動作の説明)
図15は、本発明の実施の形態5における干渉型光ファイバセンサの動作を説明するパルス波形を示す図である。
図15に示すように、経路点Aを通過するパルス光については、パルス光源2から出力される順に番号が、1、2、3、4、・・・と昇順に付与されている。
【0134】
また、経路点ABDE11Gを通過するパルス光については、経路点ABDE11Gを通過するパルス光に順に番号が、1a11、2a11、3a11、4a11、・・・と昇順に付与されている。また、経路点ABDE11Gを通過するパルス光の周波数についても、ν+f
f1、ν+f
f2、・・・というように付与されている。
【0135】
また、経路点ABDF11Gを通過するパルス光については、経路点ABDF11Gを通過するパルス光に順に番号が、1b11、2b11、3b11、4b11、・・・と昇順に付与されている。また、経路点ABDF1Gを通過するパルス光の周波数についても、ν+f
f1、ν+f
f2、・・・というように付与されている。なお、パルス光は、経路点ABDF11Gには、経路点ABDE11Gと比較して、τだけ遅れて入力される。これは、経路点ABDF11Gでは、パルス光が、センシングファイバ321を通過するためである。
【0136】
また、経路点ACDE11Gを通過するパルス光については、経路点ACDE11Gを通過するパルス光に順に番号が、1c11、2c11、3c11、4c11、・・・と昇順に付与されている。また、経路点ACDE11Gを通過するパルス光の周波数についても、ν+f
b1、ν+f
b2、・・・というように付与されている。なお、パルス光は、経路点ACDE11Gには、経路点ABDE11Gと比較して、τだけ遅れて入力される。これは、経路点ACDE11Gでは、パルス光が、遅延補償ファイバ5を通過するためである。
【0137】
また、経路点ACDF11Gを通過するパルス光については、経路点ACDF11Gを通過するパルス光に順に番号が、1d11、2d11、3d11、4d11、・・・と昇順に付与されている。また、経路点ACDF11Gを通過するパルス光の周波数についても、ν+f
b1、ν+f
b2、・・・というように付与されている。なお、パルス光は、経路点ACDF11Gには、経路点ABDE11Gと比較して、2τだけ遅れて入力される。これは、経路点ACDF11Gでは、パルス光が、遅延補償ファイバ5とセンシングファイバ321を通過するためである。
【0138】
また、経路点ABDE12Gを通過するパルス光については、経路点ABDE12Gを通過するパルス光に順に番号が、1a12、2a12、3a12、4a12、・・・と昇順に付与されている。また、経路点ABDE12Gを通過するパルス光の周波数についても、ν+f
f1、ν+f
f2、・・・というように付与されている。
【0139】
また、経路点ABDF12Gを通過するパルス光については、経路点ABDF12Gを通過するパルス光に順に番号が、1b12、2b12、3b12、4b12、・・・と昇順に付与されている。また、経路点ABDF12Gを通過するパルス光の周波数についても、ν+f
f1、ν+f
f2、・・・というように付与されている。なお、パルス光は、経路点ABDF12Gには、経路点ABDE12Gと比較して、τだけ遅れて入力される。これは、経路点ABDF12Gでは、パルス光が、センシングファイバ322を通過するためである。
【0140】
また、経路点ACDE12Gを通過するパルス光については、経路点ACDE12Gを通過するパルス光に順に番号が、1c12、2c12、3c12、4c12、・・・と昇順に付与されている。また、経路点ACDE12Gを通過するパルス光の周波数についても、ν+f
b1、ν+f
b2、・・・というように付与されている。なお、パルス光は、経路点ACDE12Gには、経路点ABDE12Gと比較して、τだけ遅れて入力される。これは、経路点ACDE12Gでは、パルス光が、遅延補償ファイバ5を通過するためである。
【0141】
また、経路点ACDF12Gを通過するパルス光については、経路点ACDF12Gを通過するパルス光に順に番号が、1d12、2d12、3d12、4d12、・・・と昇順に付与されている。また、経路点ACDF12Gを通過するパルス光の周波数についても、ν+f
b1、ν+f
b2、・・・というように付与されている。なお、パルス光は、経路点ACDF12Gには、経路点ABDE12Gと比較して、2τだけ遅れて入力される。これは、経路点ACDF12Gでは、パルス光が、遅延補償ファイバ5とセンシングファイバ322を通過するためである。
【0142】
また、経路点ABDE21Gを通過するパルス光については、経路点ABDE21Gを通過するパルス光に順に番号が、1a21、2a21、3a21、4a21、・・・と昇順に付与されている。また、経路点ABDE21Gを通過するパルス光の周波数については、ν+f
f1、ν+f
f2、・・・となるが図示は省略する。
【0143】
また、経路点ABDF21Gを通過するパルス光については、経路点ABDF21Gを通過するパルス光に順に番号が、1b21、2b21、3b21、4b21、・・・と昇順に付与されている。また、経路点ABDF21Gを通過するパルス光の周波数についても、ν+f
f1、ν+f
f2、・・・というように付与されている。なお、パルス光は、経路点ABDF21Gには、経路点ABDE21Gと比較して、τだけ遅れて入力される。これは、経路点ABDF21Gでは、パルス光が、センシングファイバ323を通過するためである。
【0144】
また、経路点ACDE21Gを通過するパルス光については、経路点ACDE21Gを通過するパルス光に順に番号が、1c21、2c21、3c21、4c21、・・・と昇順に付与されている。また、経路点ACDE21Gを通過するパルス光の周波数についても、ν+f
b1、ν+f
b2、・・・というように付与されている。なお、パルス光は、経路点ACDE21Gには、経路点ABDE21Gと比較して、τだけ遅れて入力される。これは、経路点ACDE21Gでは、パルス光が、遅延補償ファイバ5を通過するためである。
【0145】
また、経路点ACDF21Gを通過するパルス光については、経路点ACDF21Gを通過するパルス光に順に番号が、1d21、2d21、3d21、4d21、・・・と昇順に付与されている。また、経路点ACDF21Gを通過するパルス光の周波数についても、ν+f
b1、ν+f
b2、・・・というように付与されている。なお、パルス光は、経路点ACDF21Gには、経路点ABDE21Gと比較して、2τだけ遅れて入力される。これは、経路点ACDF21Gでは、パルス光が、遅延補償ファイバ5とセンシングファイバ323を通過するためである。
【0146】
また、経路点ABDE22Gを通過するパルス光については、経路点ABDE22Gを通過するパルス光に順に番号が、1a22、2a22、3a22、4a22、・・・と昇順に付与されている。また、経路点ABDE22Gを通過するパルス光の周波数についても、ν+f
f1、ν+f
f2、・・・というように付与されている。
【0147】
また、経路点ABDF22Gを通過するパルス光については、経路点ABDF22Gを通過するパルス光に順に番号が、1b22、2b22、3b22、4b22、・・・と昇順に付与されている。また、経路点ABDF22Gを通過するパルス光の周波数についても、ν+f
f1、ν+f
f2、・・・というように付与されている。なお、パルス光は、経路点ABDF22Gには、経路点ABDE22Gと比較して、τだけ遅れて入力される。これは、経路点ABDF22Gでは、パルス光は、センシングファイバ324を通過するためである。
【0148】
また、経路点ACDE22Gを通過するパルス光については、経路点ACDE22Gを通過するパルス光に順に番号が、1c22、2c22、3c22、4c22、・・・と昇順に付与されている。また、経路点ACDE22Gを通過するパルス光の周波数についても、ν+f
b1、ν+f
b2、・・・というように付与されている。なお、パルス光は、経路点ACDE22Gには、経路点ABDE22Gと比較して、τだけ遅れて入力される。これは、経路点ACDE22Gでは、パルス光が、遅延補償ファイバ5を通過するためである。
【0149】
また、経路点ACDF22Gを通過するパルス光については、経路点ACDF22Gを通過するパルス光に順に番号が、1d22、2d22、3d22、4d22、・・・と昇順に付与されている。また、経路点ACDF22Gを通過するパルス光の周波数についても、ν+f
b1、ν+f
b2、・・・というように付与されている。なお、パルス光は、経路点ACDF22Gには、経路点ABDE22Gと比較して、2τだけ遅れて入力される。これは、経路点ACDF22Gでは、パルス光が、遅延補償ファイバ5とセンシングファイバ324を通過するためである。
【0150】
なお、経路点ABDE11Gを通過するパルス光と、経路点ABDE12Gを通過するパルス光とは、3τの時間差が設定されている。また、経路点ABDE12Gを通過するパルス光と、経路点ABDE21Gを通過するパルス光とは、3τの時間差が設定されている。また、経路点ABDE21Gと、ABDE22Gを通過するパルス光とは、3τの時間差が設定されている。
【0151】
よって、経路点Gでは、始動直後のkMN+1個のパルス光を除くと、パルス光は、kMN種類となり、I
11、I
12、I
21、I
22、・・・と続いていくことになる。そして、復調器19は、それぞれのセンシングファイバ321、322、323、324で検出した信号をサンプリングして位相復調する。
【0152】
(効果の説明)
従来技術2では、時分割多重されたM個のみの多重伝送となる。これに対して、本発明の実施の形態5では、時分割多重されたM個と、ビート周波数の違いで多重化されたN個とを掛け合わせたM×N個の信号を多重伝送することができる。
【0153】
(利用形態の説明)
(1)全ての実施例で光の周波数を変化させる方法に変調信号発生器の周波数を変化させる方法で説明したが、光周波数シフタの通過回数、多段の周波数シフタの経路切り替えなと他の方法で光の周波数を変化させることもできる。
(2)全ての実施例で光の周波数をステップ状に変化させる例を示したが、ステップ状ではなくても、2つの光の周波数の差が変化することにより、同様に動作させることができる。
(3)本発明の実施の形態1では、周波数ごとに位相復調してから加算する例を示した。本発明の実施の形態2〜5では、複数の周波数の参照信号を加算した参照信号を用いる例を示した。このほかにも、位相復調過程の他の位置で加算することもできる。
【0154】
(4)本発明の実施の形態1、2、4では、3つのビート周波数を用いる一例をそれぞれ示した。本発明の実施の形態3、5では、2つのビート周波数を用いる一例をそれぞれ示した。このほかにも、使用されるビート周波数の数は、他の数で行うことができる。つまり、ビート周波数の数は、任意でよく、限定されるものではない。
(5)本発明の実施の形態5では、ビート周波数の多重化数が2で設定され、時分割多重の多重化数が2で設定される一例について説明したが、MとNの数を変えることで、多重化数を変えることもできる。
(6)本発明の実施の形態1、2、3では、全てのパルス光に信号が含まれるようにした一例について、それぞれ示したが、信号を含まないパルス光がある構成にしても、サンプリング数を増やしただけの効果を得ることができる。
【0155】
(7)本発明の実施の形態1〜5において、センシングファイバに光カプラとミラーを取り付けてマイケルソン干渉計を構成する例で説明したが、マッハ・ツェンダ干渉計、ミラーの代わりにFBG(Fiber Bragg grating)を用いた干渉計等を用いることもできる。
(8)本発明の実施の形態1〜5において、光カプラでパルス光を分岐する一例を示したが、部分反射ミラー、FBG等で分岐させることもできる。
(9)本発明の実施の形態1〜5において、ビート周波数に対応した参照信号とサンプリングするタイミング信号とを掛け合わせた参照信号を用いる一例で説明したが、サンプリングとビート周波数に対応した参照信号の乗算を別々に行うこともできる。
(10)本発明の実施の形態1〜5において、A/D変換してからデジタル処理で復調する一例を示したが、一部または全てをアナログ処理の復調器にすることもできる。
(11)本発明の実施の形態1〜5において、同じ位相復調方法を示したが、他の位相復調方法を用いることもできる。
【0156】
(12)本発明の実施の形態5では、ビート周波数を多重化する干渉計及び光カプラを並列に接続し、時分割多重する干渉計及び光カプラを直列に接続する一例を示したが、並列と直列とを入れ替えるか、または、並列と直列とを組み合わせる等の他の形に接続することもできる。
(13)本発明の実施の形態5では、ビート周波数の多重化と時分割多重とを併用した一例を示したが、波長分岐多重等の他の多重化方法と併用することもできる。