(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、この種の正面フライス用切削インサートでは、工具本体が工具軸線回りに回転されることで、該切削インサートの一対の多角形面のうち、工具回転方向の前方を向く一方の多角形面において工具先端外周部に配置された一の切れ刃(複数の切れ刃のうちの一つ)が切削に供されることとなる。具体的に、前記一の切れ刃において、前記一方の多角形面を正面に見て工具軸線に対して傾斜して延びる主切れ刃が、工具径方向へ向けて被削材に切り込んでいき、工具軸線に垂直な平面上に延びる副切れ刃が、主切れ刃が切削した後の加工面(仕上げ面)を仕上げ加工(良化)する。
【0007】
ここで、前記一の切れ刃のうち副切れ刃に着目すると、該副切れ刃の刃長方向に沿う工具径方向の外側部分(外端部)の切削速度は、工具径方向の内側部分(内端部)の切削速度よりも速いことから、外端部の切削負荷が大きくなっている。そこで、副切れ刃をその内端部から先に被削材に切り込ませることで、外端部の切削負荷を低減することができるとともに、この副切れ刃に作用する切削負荷を刃長方向に分散でき、該副切れ刃の刃先欠損を防止する効果が得られるものと考えられる。
【0008】
具体的に、例えば上記特許文献1の
図11に示されるように、切削に供される一の切れ刃のうち、副切れ刃(副刃14)を主切れ刃(主刃12)と同じ向きに傾斜させる(特許文献1の
図11においては、副刃14及び主刃12が共に右下がりの傾斜とされている)ことで、上述した副切れ刃の刃先欠損を防止する効果が得られる。
しかしながらこの場合、副切れ刃と、該副切れ刃に隣接する当該一の切れ刃(切削に供される切れ刃)の主切れ刃とは反対側に位置する他の切れ刃(切削に供されていない切れ刃)の主切れ刃との繋ぎ部分(特許文献1の
図11において符号28で示される非切粉除去用主刃及びその左側に位置する凹状部分)に、大きな高低差(インサート本体の厚さ方向に沿う落差)を付与せざるを得ず、圧粉体プレス加工等の製造が困難となる。また、前記繋ぎ部分で大きな高低差を確保するために主切れ刃の刃長を短くせざるを得ず、切削能力に影響するおそれがあった。
【0009】
一方、前記繋ぎ部分の高低差を小さくする目的で主切れ刃の傾斜角(インサート本体の厚さ方向に垂直な平面に対して主切れ刃が傾斜する角度)を小さく設定すると、この切削インサートを工具本体に装着したときの該主切れ刃のアキシャルレーキ角に十分な正角(ポジティブ角)を付与し難くなり、切れ味が低減する。
【0010】
ここで、正面フライス用切削インサートの工具本体に対する装着姿勢によって、副切れ刃の内端部を外端部よりも工具回転方向の前方に配置する手法が考えられる。つまり、正面フライス用切削インサートの切削に供される一の切れ刃の副切れ刃に、負角(ネガティブ角)のラジアルレーキ角を付与するようにこの切削インサートを工具本体に装着することで、該副切れ刃の欠損を防止する効果を得ることができる。
しかしながらこの場合、上述した装着姿勢にともなって、前記一の切れ刃の主切れ刃に隣接する逃げ面の逃げ角も大きくなることから、該主切れ刃の刃先強度が確保し難くなる。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、切れ刃の刃先強度を十分に確保することができ、これにより刃先欠損等を防止して安定した正面フライス加工を行うことができるとともに、工具寿命を延長できる正面フライス用切削インサート、及びこれを用いた刃先交換式正面フライスを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提案している。
すなわち、本発明は、刃先交換式正面フライスの工具本体に形成されたインサート取付座に着脱可能に装着される正面フライス用切削インサートであって、多角形板状をなし、表裏反転対称形状とされたインサート本体と、前記インサート本体の厚さ方向を向き、前記インサート取付座に着座される着座面又は該インサート取付座とは反対側を向くすくい面とされる一対の多角形面と、前記インサート本体の厚さ方向に交差する方向を向く複数の側面と、前記多角形面と前記側面との交差稜線をなすとともに、該多角形面の外周に沿って複数形成された切れ刃と、を備え、前記多角形面は、該多角形面の中心を通り前記厚さ方向に延びるインサート軸線に関して回転対称とされた正多角形基本形状をなしており、前記切れ刃は、主切れ刃と、前記多角形面を正面に見て、前記主切れ刃に対して鈍角を形成するように延び、被削材の仕上げ面を良化するために設けられる副切れ刃と、前記副切れ刃の前記主切れ刃とは反対側に位置する連結刃と、を有し、前記多角形面の外周に沿って隣り合う一対の前記切れ刃のうち、一の切れ刃の前記連結刃は、該一の切れ刃の前記副切れ刃と、他の切れ刃の前記主切れ刃とを繋いでおり、前記側面は、前記切れ刃に隣接して配置され、該切れ刃から前記インサート軸線方向に離間するに従い漸次前記インサート軸線に直交するインサート径方向の外側へ向けて傾斜する第1逃げ面を有し、前記第1逃げ面は、前記切れ刃のうち少なくとも前記主切れ刃に隣接して配置され
、前記側面において前記副切れ刃に隣接する部分は、平面状をなし、該副切れ刃から離間するに従い漸次前記インサート径方向の内側へ向けて傾斜して形成されていることを特徴とする。
【0013】
この正面フライス用切削インサートを刃先交換式正面フライスの工具本体に装着して被削材を正面フライス加工する際には、当該正面フライス用切削インサートの一対の多角形面のうちすくい面とされる(つまり工具回転方向を向く)一方の多角形面の外周をなす複数の切れ刃のうち、工具本体の先端外周部に位置する一の切れ刃が切削に供されることとなる。ここで、前記一の切れ刃の主切れ刃及び副切れ刃のうち、被削材の仕上げ面を良化するために設けられる仕上げ加工用の副切れ刃は、工具本体の工具軸線に垂直な平面上に配置される。
本発明の正面フライス用切削インサートによれば、切れ刃に隣接する第1逃げ面が、該切れ刃から離間するに従い漸次インサート径方向の外側へ向けて傾斜して形成されているので、インサート本体をインサート軸線に直交する方向から見て(側面を正面に見て)、前記一の切れ刃のうち副切れ刃を主切れ刃と同じ向きに傾斜させることなく、また主切れ刃の逃げ角を大きくすることなく、副切れ刃の切削負荷をその刃長方向に分散することができる。具体的に、この副切れ刃においては、工具軸線に直交する工具径方向の内側に配置される該副切れ刃の内側部分(内端部)を、該内側部分よりも切削速度が速くなる外側部分(外端部)に対して工具回転方向の前方に配置することが可能となる。すなわち、主切れ刃の刃物角が大きく確保されているために、該主切れ刃とともに切削に供される副切れ刃のラジアルレーキ角が負角となるようにこの正面フライス用切削インサートを工具本体に装着することが可能であり、該副切れ刃に作用する切削負荷をこの副切れ刃の刃長方向にバランスよく分散することができ、よって主切れ刃の刃先強度のみならず副切れ刃についても刃先強度を容易に確保することができ、刃先欠損等を防止する効果が顕著に得られる。
【0014】
また、本発明の正面フライス用切削インサートにおいて、前記多角形面を正面に見て、前記連結刃は、該連結刃に隣接する前記副切れ刃の延長線に沿うように延びていることとしてもよい。
【0015】
この場合、副切れ刃と主切れ刃とを繋ぐ連結刃が、副切れ刃に一体となるように形成されることから、その分、主切れ刃の刃長を長く確保できる。従って、切削能力を十分に高めることができる。
【0016】
また、本発明の正面フライス用切削インサートにおいて、前記主切れ刃は、該主切れ刃に隣接する前記副切れ刃とは反対側の前記連結刃に向かうに従い漸次前記インサート軸線方向に沿うインサート内側に向かって傾斜して延びていることとしてもよい。
【0017】
この場合、正面フライス用切削インサートを工具本体に装着した際、切削に供される一の切れ刃における主切れ刃のアキシャルレーキ角に十分な正角(ポジティブ角)を付与することができ、切れ味が高められる。さらに、主切れ刃のアキシャルレーキ角を正角に大きくできることから、正面フライス用切削インサートの工具本体に対する装着姿勢としては、この切削インサートのインサート軸線が工具回転方向の前方に向かうに従い漸次工具本体の先端側に向かって傾斜する割合(工具回転方向に沿う単位長さあたりの工具軸線方向へ向けた変位量)を大きく設定できる。
【0018】
また、本発明の正面フライス用切削インサートにおいて、前記副切れ刃は、該副切れ刃に隣接する前記主切れ刃とは反対側の前記連結刃に向かうに従い漸次前記インサート軸線方向に沿うインサート内側に向かって傾斜して延びていることとしてもよい。
【0019】
この場合、加工時に切削に供される一の切れ刃を構成する副切れ刃と、該副切れ刃に隣接する当該一の切れ刃の主切れ刃とは反対側に位置する他の切れ刃(切削に供されていない切れ刃)の主切れ刃との繋ぎ部分である連結刃の高低差(インサート軸線方向に沿う落差)を小さくすることが可能となり、この正面フライス用切削インサートの製造において圧粉体のプレス成型等が容易となる。また、連結刃の高低差を小さくできるので、該連結刃に連なる主切れ刃の刃長を長く確保することが可能となり、切削能力を十分に高めることができる。
【0020】
また、本発明の正面フライス用切削インサートにおいて、前記側面は、前記第1逃げ面の前記切れ刃とは反対側に配置され、前記インサート軸線に平行とされた第2逃げ面を備えることとしてもよい。
【0021】
この場合、例えばインサート本体の側面におけるインサート軸線方向に沿う中央部に第2逃げ面を配置することで、正面フライス用切削インサートの製造が容易となる。
【0022】
また本発明は、円盤状をなし、工具軸線回りの工具回転方向に回転され、その先端外周部に前記インサート取付座が複数形成された工具本体と、前記インサート取付座に着脱可能に装着される、前述の正面フライス用切削インサートと、を備えた刃先交換式正面フライスであって、前記インサート取付座に装着された前記正面フライス用切削インサートにおける前記工具軸線方向の先端に配置された前記副切れ刃が、前記工具軸線に直交する工具径方向の外側へ向かうに従い漸次前記工具回転方向の後方に向かって延びていることを特徴とする。
【0023】
本発明の刃先交換式正面フライスによれば、切削に供される一の切れ刃における副切れ刃のラジアルレーキ角が負角となるように正面フライス用切削インサートを工具本体に装着することができるため、該副切れ刃に作用する切削負荷をこの副切れ刃の刃長方向にバランスよく分散することができ、刃先強度が十分に確保される。これにより、刃先欠損等を防止して安定した正面フライス加工を行うことができるとともに、正面フライス用切削インサートの工具寿命を延長できる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の正面フライス用切削インサート及び刃先交換式正面フライスによれば、切れ刃の刃先強度を十分に確保することができ、これにより刃先欠損等を防止して安定した正面フライス加工を行うことができるとともに、工具寿命を延長できる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の一実施形態に係る正面フライス用切削インサート1(以下、切削インサート1と省略する)、及びこれを用いた刃先交換式正面フライス30について、図面を参照して説明する。
本実施形態の切削インサート1は、金属材料等からなる被削材に正面フライス加工を施すものであり、該切削インサート1を用いた刃先交換式正面フライス30は、正面フライスカッタである。
【0027】
図1〜
図3に示されるように、刃先交換式正面フライス30は、鋼材等からなる円盤状をなし、工具軸線O1回りの工具回転方向Tに回転され、その先端外周部にインサート取付座32が周方向に間隔をあけて複数形成された工具本体31と、超硬合金等の硬質材料からなり、インサート取付座32に着脱可能に装着される複数の切削インサート1と、鋼材等からなり、切削インサート1の後述する取付孔7に挿通されるとともに、インサート取付座32にねじ込まれることにより、該切削インサート1を工具本体31に固定するクランプネジ20と、を備えている。
切削インサート1は、インサート取付座32に螺着されたクランプネジ20のねじ込みを緩めて該クランプネジ20をインサート取付座32から取り外すことで、工具本体31から取り外し可能となっている。このように、切削インサート1は工具本体31のインサート取付座32に対して着脱可能である。
【0028】
工具本体31は、工具軸線O1を中心とした円盤状(本明細書でいう円盤状には、円柱状も含む)をなしている。工具本体31には、工具軸線O1に沿って延びる工具取付孔33が該工具本体31を貫通して形成されている。また、工具本体31において工具軸線O1方向に沿う基端側(
図3における上側)を向く端面34には、工具取付孔33の開口縁部から径方向外側に向けて延びるキー溝35が形成されている。工具本体31は、キー溝35を工作機械(不図示)の主軸先端部に設けられたキーに嵌合させた状態で、工具取付孔33に挿通されるボルト部材によって該主軸先端部に取り付けられ、工具軸線O1回りの工具回転方向Tに回転させられて、被削材の切削加工に供される。
尚、本明細書では、被削材を加工するときに工具本体31が工具軸線O1回りに回転させられる方向を工具回転方向T又は工具回転方向Tの前方といい、これとは反対側へ向かう方向(反工具回転方向)を工具回転方向Tの後方という。
【0029】
工具本体31において工具軸線O1方向に沿う先端側(
図3における下側)の端部には、該工具本体31の外面が切り欠かれるように先端側及び径方向外側に向けて開口されたチップポケット36が形成されている。チップポケット36は、工具本体31の先端外周部に、周方向に間隔を開けて複数形成されている。
【0030】
また、チップポケット36には、該チップポケット36における工具回転方向Tの後方の端部に位置するとともに、工具回転方向Tの前方を向くインサート取付座32が形成されている。チップポケット36には、そのインサート取付座32に装着される切削インサート1の切れ刃5に向けて開口するように、クーラント供給孔が形成されている。インサート取付座32は、チップポケット36において工具回転方向Tの前方を向く壁面に、切削インサート1の形状に対応するように凹状に形成されている。
【0031】
図5に示されるように、インサート取付座32は、多角形板状をなす切削インサート1の形状に対応して、多角形穴状に形成されている。尚、インサート取付座32は、切削インサート1の後述する着座部13が着座可能な形状とされていればよく、その形状は前記多角形穴状に限定されない。このインサート取付座32は、切削インサート1の後述する着座部13に当接される底壁37と、切削インサート1の側面4に当接される一対の側壁38と、を備えている。
【0032】
底壁37には、クランプネジ20が螺着可能に穿設された雌ネジ孔39と、切削インサート1の後述する尾根部12に対応して溝状をなす複数の凹部40と、が形成されている。
図5において、雌ネジ孔39は、底壁37の中央に配置されており、複数の凹部40は、雌ネジ孔39を中心としてX字状に延びて形成されている。
【0033】
図8〜
図14に示されるように、切削インサート1は、多角形板状をなし、表裏反転対称形状とされたインサート本体2と、インサート本体2の厚さ方向を向き、インサート取付座32に着座される着座面又はインサート取付座32とは反対側(つまり工具回転方向T)を向くすくい面とされる一対の多角形面3と、インサート本体2の厚さ方向に交差する方向(具体的には厚さ方向に略垂直な方向)を向く複数の側面4と、多角形面3と側面4との交差稜線をなすとともに、該多角形面3の外周に沿って複数形成された切れ刃5と、を備えている。
つまりこの切削インサート1は、両面タイプの正面フライス用切削インサートである。
【0034】
本実施形態のインサート本体2は、その基本形状が正方形板状をなしており、一対の多角形面3は、それぞれ正方形面状に形成されている。詳しくは、
図9において、多角形面3は、該多角形面3の中心を通り前記厚さ方向に延びるインサート軸線O2に関して回転対称とされた正多角形基本形状をなしており、本実施形態では、多角形面3が正方形基本形状をなしているとともに、該多角形面3はインサート軸線O2に関して90°回転対称形状とされている。
【0035】
また、インサート本体2には、該インサート本体2をインサート軸線O2方向に貫通して一対の多角形面3の中心部(インサート軸線O2上)に開口された取付孔7が形成されている。
図11に示されるように、取付孔7の開口部(インサート軸線O2方向に沿う両端部)は、該開口部以外の部位より大径とされているとともに、インサート軸線O2方向に沿うインサート外側へ向かうに従い漸次拡径している。
【0036】
また、
図9において、インサート本体2は、インサート軸線O2に直交して側面4の中心を通る対称線O3に関して、180°回転対称形状とされており、これにより、該インサート本体2及び切削インサート1は、表裏反転対称形状となっている。
【0037】
図8〜
図10において、多角形面3の外周縁部には、複数の切れ刃5が形成されている。本実施形態では、多角形面3が4つの辺部と4つの隅部とを有する概略正方形面状に形成されており、より詳しくは、多角形面3は、上記辺部を構成する4つの長辺と、上記隅部を構成する4つの短辺及び8つの角部とを有しており、厳密には八角形面状に形成されていて、1つの長辺(後述する主切れ刃8)と1つの短辺(後述する副切れ刃9及び連結刃11)とを備える一組の切れ刃5が、多角形面3の周方向に沿って4つ(4組)配置されている。尚、前記周方向とは、インサート軸線O2回りに周回する方向である。
【0038】
切れ刃5は、多角形面3の外周縁部のうち、前記長辺に対応する領域(辺部)に形成されるとともに、主たる切削に用いられる主切れ刃8と、前記短辺に対応する領域(隅部)に形成されるとともに、この多角形面3を正面に見て、主切れ刃8に対して鈍角を形成するように延び、被削材の仕上げ面を良化するために設けられる仕上げ加工用の副切れ刃(さらい刃)9と、前記短辺に対応する領域(隅部)に形成されるとともに、副切れ刃9の主切れ刃8とは反対側に位置する連結刃11と、前記長辺と前記短辺とが交差する角部に対応する領域(隅部)に形成されるとともに、主切れ刃8及び副切れ刃9を滑らかに繋ぐ曲線状のコーナー刃10と、を有している。
尚、コーナー刃10は設けられていなくても構わない。
【0039】
図10に示される側面視で、切れ刃5の主切れ刃8は、該主切れ刃8に隣接する副切れ刃9(本実施形態では、該主切れ刃8にコーナー刃10を挟んで隣接する副切れ刃9)とは反対側の連結刃11に向かうに従い漸次インサート軸線O2方向に沿うインサート内側に向かって傾斜して延びている。また、
図14に示される側面視で、切れ刃5の副切れ刃9は、該副切れ刃9に隣接する主切れ刃8(本実施形態では、該副切れ刃9にコーナー刃10を挟んで隣接する主切れ刃8)とは反対側の連結刃11に向かうに従い漸次インサート軸線O2方向に沿うインサート内側に向かって傾斜して延びている。尚、副切れ刃9は、インサート軸線O2に垂直な仮想平面上に延びていてもよい。また、コーナー刃10は、
図10や
図14に示される側面視、及び、
図9に示される上面視においても、それぞれ凸曲線状をなしている。
【0040】
また、
図4に示されるように、多角形面3の外周に沿って周方向に隣り合う一対(2組)の切れ刃5のうち、一の切れ刃5Aの連結刃11は、該一の切れ刃5Aの副切れ刃9と、他の切れ刃5Cの主切れ刃8とを繋いでいる。また、一の切れ刃5Aにおける主切れ刃8と、他の切れ刃5Bにおける副切れ刃9とは、他の切れ刃5Bの連結刃11により滑らかに接続されている。連結刃11は、該連結刃11に隣接する副切れ刃9とは反対側の主切れ刃8に向かうに従い漸次インサート軸線O2方向に沿うインサート内側に向かって傾斜して延びている。具体的に、連結刃11は、刃長の長い凹曲線部分と、刃長の短い凸曲線部分とを有しており、全体としては凹曲線状をなしている。尚、連結刃11において、前記刃長の短い凸曲線部分は該連結刃11に隣接する副切れ刃9側に配置され、前記刃長の長い凹曲線部分は該連結刃11に隣接する主切れ刃8側に配置されている。連結刃11は、被削材に切り込まれる刃ではないことから、鋭角刃先とされていなくても構わない。
【0041】
また、
図9に示されるように多角形面3を正面に見て、連結刃11は、該連結刃11に隣接する副切れ刃9の延長線に沿うように延びている。すなわちこの正面視で、連結刃11は、隣接する副切れ刃9とともに多角形面3の短辺を構成するように直線状をなしているとともに、該多角形面3の長辺を構成する主切れ刃8に対して鈍角を形成するように延びている。具体的には、
図9に示される多角形面3の正面視で、連結刃11は、隣接する副切れ刃9の延長線上に略重なるように配置されつつ、前記延長線上よりも僅かにインサート軸線O2側(後述するインサート径方向の内側)へ向けて後退させられている。
【0042】
また、
図8及び
図9に示されるように、多角形面3には、切れ刃5の副切れ刃9から該多角形面3の中心部に向かうように延びる尾根部12と、尾根部12に隣接配置され、該尾根部12よりもインサート軸線O2方向に沿うインサート内側に後退させられた着座部13と、切れ刃5に沿うように延びるブレーカ14と、が形成されている。
【0043】
図9に示される上面視で、尾根部12は、多角形面3の外周縁部のうち前記短辺(隅部)に位置する副切れ刃9から、該多角形面3において中心部に位置する取付孔7に向かうように、インサート軸線O2に対して直交するように延びている。すなわち、尾根部12は、多角形面3の外周縁部における前記短辺と、該多角形面3の中心部との間に延設されており、本実施形態では、多角形面3の4つの前記短辺に対応して、4つの尾根部12がインサート軸線O2を中心とした放射状をなすように形成されている。また、尾根部12における上端面(インサート軸線O2方向に沿うインサート外側を向く端面)の幅(多角形面3の周方向に沿う長さ)は、多角形面3の前記短辺近傍が最も広くされており、該短辺近傍から中心部に向かうに従い漸次狭くなっている。一方、尾根部12における底部の幅は、該尾根部12が延設される方向に沿って略一定となっている。
【0044】
図11及び
図12において、尾根部12の高さ(インサート軸線O2方向に沿う長さ)は、該尾根部12が延設される方向に沿う中央部において略一定とされ、該中央部より多角形面3の前記短辺側に位置する部分でこの中央部より高くされ、該中央部より多角形面3の中心部側に位置する部分でこの中央部より低くなっている。尚、尾根部12において取付孔7に臨む内側端部(前記中央部より多角形面3の中心部側に位置する端部)は、この取付孔7にクランプネジ20が挿通された際、該取付孔7の開口部より先にクランプネジ20の頭部に当接しないように配置されている。これにより、クランプネジ20の頭部が取付孔7の開口部全周に亘って当接され、摩擦抵抗が高められるとともに締め付け力が確保されて、該クランプネジ20が容易に緩むようなことが防止されている。
【0045】
また、尾根部12の高さは、その周方向に隣接する着座部13側に向かうに従い漸次低くされていて、これにより尾根部12の側面は傾斜面となっている。また、尾根部12の幅は、インサート軸線O2方向に沿うインサート内側に向かうに従い漸次広くなっている。
【0046】
図8及び
図9に示されるように、着座部13は、多角形面3において周方向に隣り合う尾根部12同士の間に形成されている。本実施形態では、着座部13は、インサート軸線O2に垂直な平坦状(平面状)とされている。着座部13は、この切削インサート1が装着されるインサート取付座32の底壁37において、隣り合う凹部40同士の間に形成された三角形面状の平坦部分(
図5を参照)に対応して、三角形状又は台形状をなしている。
【0047】
図8及び
図9において、ブレーカ14は、多角形面3における切れ刃5の内側に、該切れ刃5に隣接して形成されている。ブレーカ14は、多角形面3における少なくとも着座部13と切れ刃5との間に形成されているとともに、該切れ刃5に沿って延びる溝状或いは傾斜面状をなしており、本実施形態においては、多角形面3の外周に沿って、着座部13と切れ刃5(主切れ刃8)との間から尾根部12と切れ刃5(副切れ刃9)との間に亘って形成されている。
【0048】
図9に示される上面視で、ブレーカ14の幅は、その隣接する切れ刃5における副切れ刃9から主切れ刃8側に向かうに従い漸次又は段階的に広くなっている。図示の例では、ブレーカ14において切れ刃5の主切れ刃8に隣接する部位については、該主切れ刃8に隣接する副切れ刃9とは反対側に向かうに従い漸次その幅が広くなるように形成されている。
【0049】
図11〜
図13に示されるように、ブレーカ14は、多角形面3の外周縁部に位置する切れ刃5から多角形面3の中心部側に向けて離間するに従い漸次インサート軸線O2方向に沿うインサート内側に向かって傾斜している。また、
図8、
図11及び
図12等に示されるように、ブレーカ14は、その隣接する切れ刃5のインサート軸線O2方向に沿う位置(つまり高さ)が周方向(該切れ刃5の刃長方向)に沿って変化していることに対応して、その前記高さが周方向に沿って変化している。
【0050】
具体的には、ブレーカ14の高さは、その隣接する切れ刃5の副切れ刃9に対応する部分が最も高くされ、コーナー刃10から主切れ刃8側に向かうに従い漸次低くされている。そして、ブレーカ14は、少なくともその一部以上が着座部13よりもインサート軸線O2方向に沿うインサート内側に後退させられている。
【0051】
より詳しくは、ブレーカ14の高さは、その隣接する切れ刃5における主切れ刃8のうちその中央より該主切れ刃8に隣接する副切れ刃9側に位置する部分、前記副切れ刃9、及び、これらの間に位置するコーナー刃10に対応する領域については、着座部13の高さより高くされている。一方、ブレーカ14の高さは、主切れ刃8のうちその中央より該主切れ刃8に隣接する副切れ刃9とは反対側(連結刃11側)に位置する部分に対応する領域については、着座部13の高さより低くなっている(
図12を参照)。またこれにより、ブレーカ14は、主切れ刃8のうちその中央より該主切れ刃8に隣接する副切れ刃9側に位置する部分、前記副切れ刃9、及び、これらの間に位置するコーナー刃10に対応する領域については傾斜面状をなし、前記主切れ刃8のうちその中央より該主切れ刃8に隣接する副切れ刃9とは反対側に位置する部分に対応する領域については、溝状をなしている。
【0052】
そして、
図8、
図11及び
図12等に示されるように、側面4は、切れ刃5に隣接して配置され、該切れ刃5からインサート軸線O2方向に離間するに従い漸次インサート軸線O2に直交するインサート径方向の外側へ向けて傾斜する第1逃げ面41と、第1逃げ面41の切れ刃5とは反対側に配置され、インサート軸線O2に平行とされた第2逃げ面42と、を備えている。
【0053】
本実施形態の切削インサート1は上述の通り表裏反転対称形状であることから、側面4におけるインサート軸線O2方向の両端部に第1逃げ面41が一対形成され、これら第1逃げ面41同士の間に、該第1逃げ面41よりもインサート径方向の外側に突出する第2逃げ面42が形成されている。またこの切削インサート1がインサート取付座32に装着された状態で、該インサート取付座32の一対の側壁38には、該切削インサート1の側面4における第2逃げ面42がそれぞれ当接される。
【0054】
第1逃げ面41は、切れ刃5のうち少なくとも主切れ刃8に隣接して配置されている。具体的に本実施形態では、第1逃げ面41が、切れ刃5のうち主切れ刃8及びコーナー刃10に隣接して形成されている。また、第1逃げ面41のうち、主切れ刃8に隣接する部分は平面状をなしており、コーナー刃10に隣接する部分は凸曲面状をなしている。
【0055】
第2逃げ面42は、上述した第1逃げ面41の形成領域に対応して、側面4における第1逃げ面41の主切れ刃8及びコーナー刃10とは反対側に形成されている。また、第2逃げ面42のうち、インサート周方向(インサート軸線O2回りに周回する方向)に沿う主切れ刃8に対応する部分は平面状をなしており、インサート周方向に沿うコーナー刃10に対応する部分は凸曲面状をなしている。
【0056】
側面4において、切れ刃5のうち副切れ刃9に隣接する部分は、インサート軸線O2に平行な第3逃げ面43とされている。第3逃げ面43は、側面4においてインサート軸線O2方向の全長に亘って形成されている。また、第3逃げ面43は、平面状をなしている。尚、切削インサート1を工具本体31に装着した際、切削に供される主切れ刃8のアキシャルレーキ角がさらに大きくなるように、副切れ刃9に隣接する第3逃げ面43が、該副切れ刃9から離間するに従い漸次インサート径方向の内側へ向けて傾斜して形成されてい
る。また、第3逃げ面43におけるインサート軸線O2方向の両端縁には、副切れ刃9と連結刃11とが背向配置されている。
【0057】
側面4において、連結刃11に隣接する部分には、第1逃げ面41と第3逃げ面43とがインサート周方向に隣り合って配置されている。具体的には、側面4の連結刃11に隣接する部分において、該連結刃11に隣接する副切れ刃9側に位置する部分は第3逃げ面43とされており、該連結刃11に隣接する主切れ刃8側に位置する部分は第1逃げ面41となっている。
【0058】
また、特に図示しないが、クランプネジ20は、雄ネジ加工が施されたネジ軸部と、ネジ軸部より大径とされた頭部と、を有している。クランプネジ20のネジ軸部は、インサート取付座32の雌ネジ孔39に螺着される(
図5を参照)。
【0059】
図4に示されるように、このクランプネジ20を用いて、切削インサート1を工具本体31のインサート取付座32に装着した状態においては、一対の多角形面3のうち、一方の多角形面3Aが、工具回転方向Tの前方を向いて配置されるとともに、すくい面とされる。また、一対の多角形面3のうち、他方の多角形面3Bが、工具回転方向Tの後方を向いて配置されるとともに、
図5に示されるインサート取付座32の底壁37に着座される着座面となる。
具体的に、この底壁37には、他方の多角形面3Bにおける着座部13が当接され、該着座部13に隣接する尾根部12については、底壁37の凹部40内に収容される。また、インサート取付座32の一対の側壁38には、切削インサート1の側面4がそれぞれ当接される。
【0060】
図4及び
図6において、この切削インサート1を刃先交換式正面フライス30の工具本体31に装着して被削材Wを正面フライス加工する際には、当該切削インサート1の一対の多角形面3A、3Bのうちすくい面とされる(つまり工具回転方向Tを向く)一方の多角形面3Aの外周をなす複数の切れ刃5のうち、工具本体31の先端外周部(
図6における右下部)に位置する一の切れ刃5Aが切削に供されることとなる。ここで、前記一の切れ刃5Aの主切れ刃8及び副切れ刃9のうち、被削材Wの仕上げ面を良化するために設けられる仕上げ加工用の副切れ刃9は、工具本体31の工具軸線O1に垂直な平面上に配置されるが、
図7に示されるように、この副切れ刃9において、工具軸線O1に直交する工具径方向の内側に配置される該副切れ刃9の内側部分(内端部、
図7における副切れ刃9の左側部分)は、該内側部分よりも切削速度が速くなる外側部分(外端部、
図7における副切れ刃9の右側部分)に対して工具回転方向Tの前方に配置される。
【0061】
すなわち、インサート取付座32に装着された切削インサート1における工具軸線O1方向の先端に配置された副切れ刃9(つまり切削に供される一の切れ刃5Aの副切れ刃9)が、工具軸線O1に直交する工具径方向の外側へ向かうに従い漸次工具回転方向Tの後方に向かって延びている。つまり、前記副切れ刃9のラジアルレーキ角が負角となるようにこの切削インサート1が工具本体31に装着されており、これにより当該副切れ刃9に作用する切削負荷がこの副切れ刃9の刃長方向にバランスよく分散されるので、刃先欠損等を防止する効果が得られる。
【0062】
つまり、本実施形態の切削インサート1によれば、切れ刃5に隣接する第1逃げ面41が、該切れ刃5から離間するに従い漸次インサート径方向の外側へ向けて傾斜して形成されているので、インサート本体2をインサート軸線O2に直交する方向から見て(側面4を正面に見て)、前記一の切れ刃5Aのうち副切れ刃9を主切れ刃8と同じ向きに傾斜させることなく、また主切れ刃8の逃げ角を大きくすることなく、副切れ刃9の切削負荷をその刃長方向に分散することができる。具体的に、従来の正面フライス用切削インサートが工具本体に対して上述の装着姿勢で装着された際には、切削に供される一の切れ刃の主切れ刃に隣接する逃げ面が被削材Wの加工面Wsから大きく離間させられて逃げ角が大きくなることから(
図7を参照)、刃先強度を十分に確保することが難しかった。一方、本実施形態によれば、主切れ刃8の刃物角が大きく確保されているために、該主切れ刃8とともに切削に供される副切れ刃9のラジアルレーキ角が負角となるようにこの切削インサート1を工具本体31に装着することが可能であり、該副切れ刃9に作用する切削負荷をこの副切れ刃9の刃長方向にバランスよく分散することができ、よって主切れ刃8の刃先強度のみならず副切れ刃9についても刃先強度を容易に確保することができ、刃先欠損等を防止する効果が顕著に得られる。そして、第1逃げ面41が、切れ刃5のうち少なくとも主切れ刃8に隣接して配置されているので、上述した効果が確実に奏功されることとなる。
このように本実施形態によれば、切削に供される一の切れ刃5Aの刃先強度が十分に確保されて、刃先欠損等を防止して安定した正面フライス加工を行うことができるとともに、工具寿命を延長できるのである。
【0063】
また、多角形面3を正面に見て、連結刃11が、該連結刃11に隣接する副切れ刃9の延長線に沿うように延びているので、下記の効果を奏する。
すなわち、副切れ刃9と主切れ刃8とを繋ぐ連結刃11が、副切れ刃9に一体となるように形成されることから、その分、主切れ刃8の刃長を長く確保できる。従って、切削インサート1の切削能力を十分に高めることができる。
【0064】
また、主切れ刃8は、該主切れ刃8に隣接する副切れ刃9とは反対側の連結刃11に向かうに従い漸次インサート軸線O2方向に沿うインサート内側に向かって傾斜して延びているので、下記の効果を奏する。
すなわち、切削インサート1を工具本体31に装着した際、切削に供される一の切れ刃5Aにおける主切れ刃8のアキシャルレーキ角に十分な正角(ポジティブ角)を付与することができ、切れ味が高められる。さらに、主切れ刃8のアキシャルレーキ角を正角に大きくできることから、工具本体31に対する切削インサート1の装着姿勢としては、この切削インサート1のインサート軸線O2が工具回転方向Tの前方に向かうに従い漸次工具本体31の先端側に向かって傾斜する割合(つまりインサート軸線O2の、工具回転方向Tに沿う単位長さあたりの工具軸線O1方向へ向けた変位量)を大きく設定できる。
【0065】
また、副切れ刃9は、該副切れ刃9に隣接する主切れ刃8とは反対側の連結刃11に向かうに従い漸次インサート軸線O2方向に沿うインサート内側に向かって傾斜して延びているので、下記の効果を奏する。
すなわち、
図4において、加工時に切削に供される一の切れ刃5Aを構成する副切れ刃9と、該副切れ刃9に隣接する当該一の切れ刃5Aの主切れ刃8とは反対側に位置する他の切れ刃5C(切削に供されていない切れ刃5)の主切れ刃8との繋ぎ部分である連結刃11の高低差(インサート軸線O2方向に沿う落差)を小さくすることが可能となり、この切削インサート1の製造において圧粉体のプレス成型等が容易となる。また、連結刃11の高低差を小さくできるので、該連結刃11に連なる主切れ刃8の刃長を長く確保することが可能となり、切削能力を十分に高めることができる。
【0066】
また、側面4が、第1逃げ面41の切れ刃5とは反対側に配置され、インサート軸線O2に平行とされた第2逃げ面42を備えているので、下記の効果を奏する。
すなわち、本実施形態のように、インサート本体2の側面4におけるインサート軸線O2方向に沿う中央部に第2逃げ面42を配置することで、切削インサート1の製造がより容易となる。
【0067】
また、本実施形態の刃先交換式正面フライス30によれば、切削に供される一の切れ刃5Aにおける副切れ刃9のラジアルレーキ角が負角となるように切削インサート1を工具本体31に装着することができるため、該副切れ刃9に作用する切削負荷をこの副切れ刃9の刃長方向にバランスよく分散することができ、刃先強度が十分に確保される。これにより、刃先欠損等を防止して安定した正面フライス加工を行うことができるとともに、切削インサート1の工具寿命を延長できる。
【0068】
尚、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0069】
例えば、前述の実施形態では、切削インサート1のインサート本体2はその基本形状が正方形板状をなしており、これに対応して多角形面3は正方形基本形状(概略正方形面)をなしていて、該多角形面3には切れ刃5の組が4つ形成されているとしたが、これに限定されるものではない。すなわち、切削インサート1のインサート本体2はその基本形状が正多角形板状をなしており、これに対応して多角形面3は、インサート軸線O2に関して回転対称とされた正多角形基本形状(概略正多角形面)をなしていればよい。具体的に、インサート本体2は前述した正方形板状以外の、例えば正三角形板状、正五角形板状、正六角形板状、正七角形板状、正八角形板状等であってもよい。またこれに対応して、多角形面3は前述した正方形基本形状以外の、例えば正三角形基本形状、正五角形基本形状、正六角形基本形状、正七角形基本形状、正八角形基本形状等であってもよい。また、多角形面3に形成される切れ刃5の組数も、前述した4つ以外の、例えば3つ、5つ、6つ、7つ、8つ等であってもよい。
また、インサート本体2及び多角形面3の形状に応じて、側面4、尾根部12、着座部13及びブレーカ14の数も適宜変更してよい。
【0070】
また、切削インサート1の切れ刃5を構成する主切れ刃8、副切れ刃9、連結刃11及びコーナー刃10の形状や配置は、前述の実施形態で説明したものに限定されない。また、ブレーカ14の形状や配置についても、前述の実施形態で説明したものに限定されない。
【0071】
また、切削インサート1がクランプネジ20により工具本体31のインサート取付座32に着脱可能に装着されるとしたが、これに限定されるものではなく、切削インサート1は、クランプネジ20以外の例えばクサビ部材等を用いてインサート取付座32に着脱可能に装着されてもよい。
【0072】
また、側面4には、主切れ刃8及びコーナー刃10に隣接して配置される第1逃げ面41と、第1逃げ面41の主切れ刃8及びコーナー刃10とは反対側に配置され、インサート軸線O2に平行とされた第2逃げ面42と、が形成されているとしたが、これに限定されるものではない。すなわち、第1逃げ面41及び第2逃げ面42は、主切れ刃8のみに対応して形成されていてもよい。また、第2逃げ面42が、インサート軸線O2に平行ではなく、そのインサート軸線O2に対する傾斜が第1逃げ面41の前記傾斜よりも緩やかとされた(つまり傾斜角が小さい)傾斜平面状とされていてもよい。また、側面4に第2逃げ面42が形成されていなくても構わない。
さらに、側面4には、第1逃げ面41〜第3逃げ面43以外に、これらの逃げ面41〜43とは傾斜の異なる他の逃げ面がさらに形成されていてもよい。
【0073】
その他、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において、前述の実施形態、変形例及び尚書き等で説明した各構成(構成要素)を組み合わせてもよく、また、構成の付加、省略、置換、その他の変更が可能である。また本発明は、前述した実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。