特許第6205772号(P6205772)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6205772-コンデンサ装置 図000002
  • 特許6205772-コンデンサ装置 図000003
  • 特許6205772-コンデンサ装置 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6205772
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】コンデンサ装置
(51)【国際特許分類】
   H01G 2/18 20060101AFI20170925BHJP
   H01G 4/18 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
   H01G1/11 102
   H01G4/24 301F
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2013-56116(P2013-56116)
(22)【出願日】2013年3月19日
(65)【公開番号】特開2014-183148(P2014-183148A)
(43)【公開日】2014年9月29日
【審査請求日】2016年3月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003942
【氏名又は名称】日新電機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】大河内 純一
【審査官】 小池 秀介
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭52−078034(JP,U)
【文献】 実開昭61−192434(JP,U)
【文献】 実開昭52−108555(JP,U)
【文献】 特開平11−354369(JP,A)
【文献】 実開昭48−036343(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G2/14−2/20
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(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンデンサ素体と、切断基板片方式の保安装置と、保護板が容器内に収納され、蓋板によって密閉され絶縁媒体が充填されたコンデンサ装置において、前記保護板の前記保安装置と干渉する部分に切り欠きを設けたことを特徴とするコンデンサ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状の誘電体と電極箔とからなるコンデンサ素子が複数並設されて構成されたコンデンサ素体が、金属容器内に絶縁媒体とともに封入されている電力用などに使用されるコンデンサ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来技術について図3を用いて説明する。図3はコンデンサ装置1の構成を示している。金属製の容器2の内部にコンデンサ素体3が収納される。コンデンサ素体3は、複数のコンデンサ素子が集合板によって挟まれた後、集合バンドによって緊縛され絶縁紙4で包装されている。コンデンサ素体3の上面には引き出し端子5が導出されている。因みに、コンデンサ素体の構成が特許文献1等にて開示されている。
【0003】
コンデンサ素体3が容器2の内部に収納された後、保護板6がコンデンサ素体3の上面に配置される。そして、蓋板(図示せず)が容器2の上部に配置され、蓋板と容器の周囲が溶接によって接合される。保護板6は、コンデンサ素体3と容器2との絶縁を補強すること、および、蓋板が容器に溶接される際、スパッタからコンデンサ素体3を覆っている絶縁紙4を保護するために用いられる。そして、容器の内部に絶縁媒体が封入されてコンデンサ装置1が完成する。また、コンデンサ装置1には、後述する保安装置(図示せず)が取り付けられている。
【0004】
次に保安装置について説明する。コンデンサ装置に何らかの異常が起こり、内圧上昇により容器が膨張することがある。保安装置は、このように容器が膨張して破裂することを防ぐことを目的として用いられる。保安装置は、容器内部の圧力上昇または容器の膨張を利用してコンデンサ装置の電流を遮断する。保安装置には、圧力スイッチを用いる圧力スイッチ方式や、容器内部に取り付けられた切断基板片が切断される切断基板片方式がある。圧力スイッチ方式は、圧力スイッチが容器内部の圧力上昇を検知し電流を遮断する。切断基板片方式は容器内部の圧力上昇に伴い、容器が膨張することを利用している。因みに、従来からある切断基板片方式の保安装置の構成が特許文献2等にて開示されている。
【0005】
図2を用いて切断基板片方式の保安装置7について説明する。取付板8は金属板がL字状に折り曲げられており、取付板8の上面には2枚の絶縁板9が取り付けられている。絶縁板9が取り付けられた取付板8が2組用いられ、コンデンサ素体3の上部に配置される。2枚の絶縁板9の間に切断基板片10が挟まれるように設けられている。取付板8には差し込み部11が設けられており、容器2の内部に取り付けられた固定金具12に差し込み部11が差し込まれることで保安装置7が容器2に固定される。切断基板片10は、その両端がそれぞれコンデンサ素体3と引き出し端子5にリード線(図示せず)で接続されている。
【0006】
切断基板片方式の保安装置7の作用について説明する。コンデンサ装置1に何らかの異常が起こり、内圧上昇により容器2が膨張することがある。取付板8は固定金具12を介して容器2に固定されているので、容器2が膨張すると切断基板片10が引っ張られて、やがて切断される。切断基板片10はコンデンサ素体3と引き出し端子5との間にリード線を介して電気的に接続され、電流の通路となっているので、切断基板片10が切断されると電流が遮断される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−205328号公報
【特許文献2】特開平08−153644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
圧力スイッチ方式の保安装置が取り付けられるように構成されたコンデンサ装置に、切断基板片方式の保安装置を取り付けようとした場合、保護板が保安装置の絶縁板や切断基板片に干渉し取り付ける事が出来ないといった問題があった。
【0009】
コンデンサ素体の上面に保護板を取り付ける事ができなければ、容器とコンデンサ素体との絶縁補強を行うことができずコンデンサ装置の信頼性の低下を招くことになる。また、蓋板が容器に溶接される際、コンデンサ素体を覆っている絶縁紙がスパッタによって破損される恐れがあり、これもコンデンサ装置の信頼性の低下を招くことになる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、コンデンサ素体と、切断基板片方式の保安装置と、保護板が容器内に収容され、蓋板によって密閉され絶縁媒体が充填されたコンデンサ装置において、前記保護板の前記保安装置と干渉する部分に切り欠き部を設けたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
保護板に切り欠き部を設けるといったシンプルな方法で、コンデンサ装置自体を大きくすることなく、コンデンサ素体と容器との絶縁補強を行うことができる。また、蓋板と容器との溶接時のスパッタからコンデンサ素体の絶縁紙を保護することができるので、コンデンサ装置の信頼性向上を低コストで図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は本発明の実施形態に係るコンデンサ装置の構成を示す斜視図である。
図2図2は切断基板片方式の保安装置の構成を示す斜視図である。
図3図3は従来のコンデンサ装置の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施例について図1を用いて説明する。図1はコンデンサ装置の内部構成を示している。金属製の容器2の内面の2ケ所に固定金具12が取り付けられている。容器2の内部に絶縁紙4で覆われたコンデンサ素体3が挿入される。コンデンサ素体3の上面には引き出し端子5が導出されており、他の電気機器に接続される。引き出し端子5の間に切断基板片方式の保安装置7が配置され、取付板8の端部に設けられた差し込み部11が容器2の内部に取り付けられた固定金具12に差し込まれることで、保安装置7が容器2に固定される。取付板8の上面には2枚の絶縁板9が取り付けられており、その絶縁板9の間に切断基板片10が挟み込まれるように取り付けられている。切断基板片10の両端にはリード線(図示せず)が取り付けられており、それぞれコンデンサ素体3と引き出し端子5に接続されている。
【0014】
保護板6の長辺側は折り曲げられており、この折り曲げられた部分は容器2とコンデンサ素体3との絶縁補強を目的として設けられている。保護板6には引き出し端子5が挿通される丸穴が設けられており、さらに切り欠き部13が2ケ所設けられている。切り欠き部13は、保安装置7の上面に取り付けられた絶縁板9と干渉する部分に合致する大きさに設定されている。また、保護板6の短辺側には当板14が2ケ所に取り付けられている。保護板6をコンデンサ素体3の上面に配置したときに、当板14の下面がコンデンサ素体3の上面に接触し、保護板6と絶縁板9が同一面となるような厚みに当板14は設定されている。
【0015】
容器2の内部に、コンデンサ素体3と保安装置7と保護板6が収納され後に、容器2の上面に蓋板(図示せず)が載置され、蓋板と容器2が溶接によって接合される。そして、絶縁媒体が充填されてコンデンサ装置1が完成する。
【符号の説明】
【0016】
1 コンデンサ装置
2 容器
3 コンデンサ素体
4 絶縁紙
5 引き出し端子
6 保護板
7 保安装置
8 取付板
9 絶縁板
10 切断基板片
11 差し込み部
12 固定金具
13 切り欠き部
14 当板
図1
図2
図3