(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
主管腔の周囲に補強ワイヤを巻回してなる内側補強層と、前記主管腔よりも小径で前記内側補強層の周囲に配置された副管腔と、前記内側補強層および前記副管腔の周囲にメッシュ素線を編組してなる外側補強層と、前記内側補強層、前記副管腔および前記外側補強層を内包する樹脂製の外層と、を含む長尺の管状本体と、
前記副管腔の内部に移動可能に挿通され先端が前記管状本体の遠位部に接続された操作線と、を備え、
前記外側補強層の遠位領域に、前記メッシュ素線の編み弛みを防止する弛緩防止構造が設けられ、
前記弛緩防止構造が、前記外層と異なる材料の接着材からなり前記外側補強層の前記遠位領域に周回状に設けられていることを特徴とする医療機器。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一符号を付し、その詳細な説明は重複しないように適宜省略する。
【0015】
図1および
図2を参照して、本実施形態の医療機器の概要について説明する。本実施形態では、医療機器としてカテーテル100を例示する。本発明はカテーテル100のほか、操作線60を牽引して遠位部DEを屈曲させることができる内視鏡その他の医療機器に適用することができる。
【0016】
図1は、カテーテル100を軸心方向に対して垂直に切った断面図(横断面図)である。
図2は、カテーテル100の遠位部DEを軸心方向に沿って切った断面図(縦断面図)であり、
図1のII−II線断面図である。
図1の横断面の切断位置を
図2にI−I線にて示す。
【0017】
本実施形態のカテーテル100は長尺の管状本体10、操作線60および弛緩防止構造84を備えている。
管状本体10は、主管腔20の周囲に補強ワイヤ32を巻回してなる内側補強層30と、主管腔20よりも小径で内側補強層30の周囲に配置された副管腔42と、内側補強層30および副管腔42の周囲にメッシュ素線82を編組してなる外側補強層80と、内側補強層30、副管腔42および外側補強層80を内包する樹脂製の外層50と、を含む。操作線60は、副管腔42の内部に移動可能に挿通され先端が管状本体10の遠位部DEに接続されている。
弛緩防止構造84は、メッシュ素線82の編み弛みを防止する構造であり、外側補強層80の遠位領域86に設けられている。
【0018】
本実施形態のカテーテル100は、操作線60を牽引することにより管状本体10の遠位部DEが屈曲する。屈曲した管状本体10の外側は伸張し、内側は圧縮される。このため、屈曲の内側では管状本体10の外層50とともに外側補強層80は外向きに押し広げられる方向に力を受ける。これに対し、本実施形態のように外側補強層80の遠位領域86に弛緩防止構造84が設けられてメッシュ素線82の巻き緩みが防止されていることで、外側補強層80のメッシュ素線82の先端が外向きに拡がって外層50から突き出ることが抑制される。このため、外層50を薄肉化して管状本体10を全体に細径化しても、メッシュ素線82の先端が外層50から突き出て体腔を傷つけることがなく安全が図られる。
【0019】
ここで、外側補強層80の遠位領域86とは、外側補強層80の遠位端またはその近傍を含む所定の長さ領域を意味する。弛緩防止構造84が遠位領域86に設けられているとは、少なくとも遠位領域86に弛緩防止構造84が設けられていることを意味し、外側補強層80の中間領域や近位端領域(ともに図示せず)に弛緩防止構造84が設けられていることを排除するものではない。
【0020】
以下、本実施形態を詳細に説明する。本実施形態のカテーテル100は、管状本体10を血管内に挿通させて用いられる血管内カテーテルである。
【0021】
管状本体10はシースとも呼ばれ、内部に主管腔(メインルーメン)20が通孔形成された中空管状かつ長尺の部材である。より具体的には、管状本体10は、肝臓の8つの亜区域の何れにも進入させることが可能な外径および長さに形成されている。
【0022】
管状本体10は積層構造を有している。主管腔20を中心に、内径側から順に内層24、第一外層52および第二外層54が積層されて管状本体10は構成されている。第二外層54の外表面には親水層(図示せず)が形成されている。内層24、第一外層52および第二外層54は、可撓性の樹脂材料からなり、それぞれ円環状で略均一の厚みを有している。第一外層52および第二外層54を併せて外層50と呼称する場合がある。
【0023】
内層24は管状本体10の最内層であり、その内壁面により主管腔20を画定する。主管腔20の横断面形状は特に限定されないが、本実施形態では円形である。横断面円形の主管腔20の場合、その直径は、管状本体10の軸心方向に亘って均一でもよく、または軸心方向の位置により相違してもよい。たとえば、管状本体10の一部または全部の長さ領域において、先端から基端に向かって主管腔20の直径が連続的に拡大するテーパー状とすることができる。
【0024】
内層24の材料は、例えば、フッ素系の熱可塑性ポリマー材料を挙げることができる。このフッ素系の熱可塑性ポリマー材料としては、具体的には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)およびペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)を挙げることができる。内層24をこのようなフッ素系ポリマー材料で構成することにより、主管腔20を通じて薬液等を供給する際のデリバリー性が良好となる。また、主管腔20にガイドワイヤーを挿通する場合に、ガイドワイヤーの摺動抵抗が低減される。
【0025】
外層50は、管状本体10の主要な肉厚を構成する。本実施形態の外層50は、内側補強層30を内包する断面円環状の第一外層52と、この第一外層52の周囲に設けられて外側補強層80を内包する断面円環状の第二外層54と、を含んでいる。
【0026】
外層50の内側層にあたる第一外層52の内部には、内径側から順に内側補強層30、サブチューブ40および保持ワイヤ70が設けられている。外層50の外側層にあたる第二外層54の内部には、外側補強層80が設けられている。外側補強層80は、第一外層52の外表面に接している。内側補強層30と外側補強層80は、管状本体10と同軸に配置されている。外側補強層80は内側補強層30およびサブチューブ40の周囲を取り囲むように、これらと離間して配置されている。
【0027】
外層50の材料としては熱可塑性ポリマー材料を用いることができる。この熱可塑性ポリマー材料としては、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリアミド(PA)、ポリアミドエラストマー(PAE)、ポリエーテルブロックアミド(PEBA)などのナイロンエラストマー、ポリウレタン(PU)、エチレン−酢酸ビニル樹脂(EVA)、ポリ塩化ビニル(PVC)またはポリプロピレン(PP)を挙げることができる。
外層50には無機フィラーを混合してもよい。無機フィラーとしては、硫酸バリウムや次炭酸ビスマスなどの造影剤を例示することができる。外層50に造影剤を混合することで、体腔内における管状本体10のX線造影性を向上することができる。
【0028】
第一外層52と第二外層54とは、同種または異種の樹脂材料からなる。
図1では第一外層52と第二外層54との境界面を明示してあるが、本発明はこれに限られない。第一外層52と第二外層54とを同種の樹脂材料で構成した場合、両層の境界面は渾然一体に融合していてもよい。すなわち、本実施形態の外層50は、第一外層52と第二外層54とが互いに区別可能な多層で構成されていてもよく、または第一外層52と第二外層54とが一体となった単一層として構成されていてもよい。
【0029】
図2に示すように、外層50の遠位部DEの最先端には、柔軟な先端チップ58が設けられている。先端チップ58は内層24の周囲に単層で設けられた環状の樹脂層である。先端チップ58は、第一外層52や第二外層54と同種の熱可塑性ポリマー材料からなる。本実施形態では、先端チップ58における造影剤の混合量を、その近位側に隣接する第一外層52や第二外層54における造影剤の混合量よりも低くすることにより、カテーテル100の先端の柔軟性を確保してもよい。
【0030】
内側補強層30は、管状本体10のうち操作線60よりも内径側に設けられて内層24を保護する保護層である。操作線60の内径側に内側補強層30が存在することで、操作線60が第一外層52および内層24を破断させて主管腔20に露出することを防止する。
【0031】
内側補強層30は、補強ワイヤ32をコイル巻回またはメッシュ状に編組してなる。本実施形態の内側補強層30としては、補強ワイヤ32をメッシュ状に編組したブレード層を例示する。第一外層52は内側補強層30とサブチューブ40との間に含浸している。補強ワイヤ32の条数や、コイルピッチ、メッシュ数は特に限定されない。ここで、内側補強層30のメッシュ数とは、補強ワイヤ32の延在方向にみた単位長さ(1インチ)あたりの交差本数(目の数)をいう。
【0032】
内側補強層30を構成する補強ワイヤ32の材料には、タングステン(W)、ステンレス鋼(SUS)、ニッケルチタン系合金、鋼、チタン、銅、チタン合金または銅合金などの金属材料のほか、内層24および第一外層52よりも剪断強度が高いポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)またはポリエチレンテレフタレート(PET)などの樹脂材料を用いることができる。本実施形態では、補強ワイヤ32としてステンレス鋼の細線を挙げる。
【0033】
外側補強層80は、管状本体10のうち操作線60よりも外径側に設けられて第二外層54を保護する保護層である。操作線60の外径側に外側補強層80が存在することで、操作線60が第二外層54および親水層(図示せず)を破断させて管状本体10の外部に露出することを防止する。
【0034】
外側補強層80は、それぞれ複数本のメッシュ素線82を右螺旋および左螺旋に編組してなるブレード層である。メッシュ素線82の材料には、内側補強層30の補強ワイヤ32として例示した上記の材料を用いることができる。メッシュ素線82と補強ワイヤ32とは同種の材料でもよく、または異種の材料でもよい。本実施形態では、メッシュ素線82として、補強ワイヤ32と同種の材料(ステンレス鋼)からなる細線を例示する。
【0035】
メッシュ素線82と補強ワイヤ32との線径は同一でもよく、または異なってもよい。内側補強層30を構成する補強ワイヤ32の条数と、外側補強層80を構成するメッシュ素線82の条数との大小も特に限定されないが、本実施形態では同数とする。
【0036】
外側補強層80は、内側補強層30とともに、管状本体10に曲げ弾性を付与する部材である。操作線60の牽引操作により管状本体10の遠位部DEを屈曲させたのち、操作線60の引張荷重を除去したときに、管状本体10が弾性的に復元することが好ましい。このため、本実施形態の管状本体10は、内側補強層30(補強ワイヤ32)および外側補強層80(メッシュ素線82)にバネ性の金属材料を用いることが好ましい。
【0037】
以下、外側補強層80および弛緩防止構造84について更に詳細に説明する。
【0038】
図2に示すように、外側補強層80(メッシュ素線82)の遠位端は、操作線60の先端よりも基端側で終端している。これにより、管状本体10の遠位部DEのうち外側補強層80よりも先端側における曲げ剛性を低減している。このため、操作線60を牽引したときに、外側補強層80の遠位端において管状本体10が鋭敏に屈曲する。
【0039】
弛緩防止構造84は、メッシュ素線82の編み弛みを防止する構造である。本実施形態の弛緩防止構造84は、外層50(第二外層54)と異なる材料の接着材からなり、外側補強層80の遠位領域86に周回状に設けられている。
【0040】
弛緩防止構造84を構成する接着材には、有機系接着剤または鑞付けを用いることができる。
有機系接着剤としては、常温硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、溶液型接着剤またはホットメルト型接着剤を用いることができる。
常温硬化型接着剤としては、シアノアクリレート系接着剤、シリコーン系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤またはアクリル樹脂系接着剤などの反応系接着剤のほか、ウレタンアクリレートやエポキシアクリレートなどの紫外線硬化系接着剤を用いることができる。
熱硬化型接着剤としては、エポキシ樹脂系接着剤を用いることができる。
溶液型接着剤としては、アクリル樹脂エマルジョン接着剤、α−オレフィン系接着剤、ウレタン樹脂溶剤系接着剤、エチレン−酢酸ビニル樹脂エマルジョン接着剤、酢酸ビニル樹脂エマルジョン接着剤またはポリ酢酸ビニル樹脂溶液系接着剤を例示することができる。
ホットメルト型接着剤としては、エチレン-酢酸ビニル樹脂ホットメルト接着剤、ポリウレタン樹脂ホットメルト接着剤、ポリオレフィン樹脂ホットメルト接着剤を例示することができる。
鑞付けとしては、ハンダまたは銀鑞を例示することができる。
【0041】
弛緩防止構造84を構成する接着材は、第二外層54の樹脂材料よりも融点、あるいはガラス転移温度が高いことが好ましい。これにより、後述する第二外層賦形工程において、第二外層54の溶融樹脂と弛緩防止構造84とが接触しても弛緩防止構造84が溶融することがない。したがってメッシュ素線82の遠位領域86の巻き緩みが生じない。また、弛緩防止構造84が反応性の接着材の場合、反応温度が第二外層54の樹脂材料の融点よりも低いことが好ましい。これにより、弛緩防止構造84を設ける工程において、第一外層52が溶融することがない。かかる観点および硬化速度の速さから、上記の接着材にはシアノアクリレート系の瞬間接着剤である常温硬化型接着剤が好適に用いられる。
【0042】
本実施形態の弛緩防止構造84は外側補強層80と同層に設けられている。このため、弛緩防止構造84を設けても第二外層54を厚肉化する必要はなく、管状本体10の細径化が図られる。また、弛緩防止構造84(接着材)は、外側補強層80に含浸してメッシュ素線82の先端を包埋している。本実施形態の弛緩防止構造84は、外側補強層80の遠位端を縁取る接着材の帯である。ここで、外側補強層80の遠位端で管状本体10が鋭敏に屈曲すると、編組されたメッシュ素線82の先端が外層50に対して相対的に外方に押し当てられる。しかしながら、弛緩防止構造84がメッシュ素線82の先端を包埋していることで、メッシュ素線82の先端が外層50(第二外層54)から突き出ることが抑制される。
【0043】
上述のように、外層50は、内側補強層30および副管腔42を内包する第一外層52と、この第一外層52の周囲に形成されて外側補強層80を内包する第二外層54と、を含んでいる。そして、弛緩防止構造84(接着材)は、第二外層54に内包され、かつ第一外層52の表面に達している。これにより、弛緩防止構造84はメッシュ素線82の遠位領域86の巻き緩みを防止するだけでなく、メッシュ素線82と第一外層52との密着性を向上する作用も有する。したがって、管状本体10の遠位部DEを繰り返し屈曲操作しても、メッシュ素線82がアンカーした第二外層54と、その内周側の第一外層52との間に剥離が生じることが抑制される。
【0044】
サブチューブ40は樹脂製で、副管腔42を画定する中空管状の部材である。サブチューブ40は外層50(第一外層52)に内包されている。
サブチューブ40は、たとえば熱可塑性ポリマー材料により構成することができる。その熱可塑性ポリマー材料としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、または四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)などの低摩擦樹脂材料が挙げられる。
サブチューブ40は、外層50よりも曲げ剛性率および引張弾性率が高い材料で構成されている。
【0045】
サブチューブ40の外表面には金属ナトリウム処理またはプラズマ処理などのエッチング処理が施されている。これによりサブチューブ40と外層50との密着性を向上している。
【0046】
図1に示すように、本実施形態においては、複数本(本実施形態では2本)のサブチューブ40が主管腔20の周囲に対向して配置されている。複数本のサブチューブ40の一部または全部に操作線60が挿通されている。
【0047】
180度対向して配置されたこれらの2本のサブチューブ40のそれぞれに操作線60が挿通されている。2本のサブチューブ40は、管状本体10の軸心方向に対して平行である。本実施形態に代えて、3本または4本のサブチューブ40を主管腔20の周囲にそれぞれ120度または90度間隔で対向させて配置してもよい。5本以上のサブチューブ40を配置してもよい。総てのサブチューブ40に操作線60を配置してもよく、または一部のサブチューブ40に操作線60を配置してもよい。
【0048】
操作線60は、サブチューブ40に対して摺動可能に遊挿されている。操作線60の先端部は管状本体10の遠位部DEに固定されている。操作線60を基端側に牽引することで、管状本体10の軸心に対して偏心した位置に引張力が付与されるため管状本体10は屈曲する。
操作線60は、単一の線材により構成されていてもよいが、複数本の細線を互いに撚りあわせることにより構成された撚り線であってもよい。操作線60の一本の撚り線を構成する細線の本数は特に限定されないが、3本以上であることが好ましい。細線の本数の好適な例は、7本または3本である。
【0049】
操作線60としては、低炭素鋼(ピアノ線)、ステンレス鋼(SUS)、耐腐食性被覆した鋼鉄線、チタンもしくはチタン合金、またはタングステンなどの金属線を用いることができる。このほか、操作線60としては、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリ(パラフェニレンベンゾビスオキサゾール)(PBO)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリイミド(PI)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、またはボロン繊維などの高分子ファイバーを用いることができる。
【0050】
本実施形態のカテーテル100は、外層50に内包されサブチューブ40と内側補強層30とを共巻きしている保持ワイヤ70を備えている。共巻きしているとは、実質的に弛みなく内側補強層30および/またはサブチューブ40の表面に接していることをいう。保持ワイヤ70は、一条または多条の素線を螺旋巻回したコイルか、または多条の素線を編組したブレードを用いることができる。このうち、本実施形態の保持ワイヤ70は、主管腔20の周囲に対向配置された一対のサブチューブ40の外側を取り囲んで螺旋状に巻回されているコイルである。本実施形態の保持ワイヤ70の巻回形状は、サブチューブ40をコーナー部とする略菱形または角丸多角形である。保持ワイヤ70の巻回形状とは、保持ワイヤ70のループを先端側から見た形状である。
【0051】
図1では、巻回形状が略菱形をなす保持ワイヤ70を破線で図示してある。保持ワイヤ70は、サブチューブ40の周面、具体的には主管腔20の軸心とは反対側にあたる外側表面に接している。ここで、略菱形とは、第一の対角線が第二の対角線よりも長く、かつ当該第一の対角線と当該第二の対角線とが略直交していることを意味している。ここでいう略菱形は、菱形のほか、凧形(カイト形)や、偏平六角形や偏平八角形などの偏平多角形を含む。
本実施形態に代えて、3本以上(N本)のサブチューブ40が主管腔20の周囲に均等に分散配置されている場合、保持ワイヤ70の巻回形状は、各サブチューブ40をコーナーとする角丸N角形となってもよい。ここでいう角丸N(多)角形とは、鈍形状のコーナー部以外の中間部(辺)が直線状である形状のほか、この中間部(辺)がコーナー部よりも曲率が小さい弧状である形状を含む。
【0052】
略菱形に巻回された保持ワイヤ70において、一対のサブチューブ40が並ぶ方向(
図1の上下方向)を長径方向といい、これに直交する方向(
図1の左右方向)を短径方向という。本実施形態のカテーテル100は、保持ワイヤ70の巻回形状が略菱形であって、かつ管状本体10が断面円形であるため、長径方向に関する保持ワイヤ70から外層50の外周までの肉厚は、短径方向に関する当該肉厚よりも薄くなっている。そして、操作線60を牽引することで、管状本体10は当該操作線60の側に、すなわち長径方向に、屈曲する。このため、管状本体10が屈曲すると、その屈曲の内側に位置するメッシュ素線82の先端は薄肉の外層50に対して突き出る方向に力を受ける。しかしながら、上述のように外側補強層80の遠位領域86に弛緩防止構造84が設けられていることで、メッシュ素線82の巻き緩みが防止されるとともに、メッシュ素線82が外層50から突き出ることが抑制される。このため、主管腔20を円形で大きな断面積とし、その両側にサブチューブ40および操作線60を配置した本実施形態のカテーテル100において、管状本体10の細径化に伴って外層50を薄肉化しても手技の安全が図られている。
【0053】
本実施形態の保持ワイヤ70は、コーナー部どうしの中間位置で内側補強層30の外表面に接している。より具体的には、保持ワイヤ70は、
図1に示す略菱形の巻回形状の短径方向の両側にあたる位置で、内側補強層30の補強ワイヤ32に乗り上げるようにして接している。
【0054】
保持ワイヤ70の具体的な巻回形状は、保持ワイヤ70の物性および巻張力により決まる。保持ワイヤ70の延性が高くて曲げ剛性が低い場合、または巻張力が大きい場合は、
図1に示すように、長径の位置(サブチューブ40の外側表面)と短径の位置(内側補強層30の外表面)との間は略直線状となる。この場合、保持ワイヤ70の巻回形状は略菱形となる。保持ワイヤ70の延性が低くて曲げ剛性が高い場合、または巻張力が小さい場合は、長径の位置(サブチューブ40の外側表面)と短径の位置(内側補強層30の外表面)との中間部(辺)は弧状に湾曲して巻回形状は略楕円形に近くなる。かかる形状も略菱形に含む。
【0055】
管状本体10が屈曲した際に、屈曲の外側は伸張し、内側は圧縮される。上記のように、サブチューブ40は、外層50よりも曲げ剛性率および引張弾性率が高い材料からなるため、外層50は柔軟に伸張または圧縮されるのに対して、サブチューブ40の伸張または圧縮は小さい。このため管状本体10が屈曲するとサブチューブ40と外層50との界面に剪断力が生じるが、保持ワイヤ70が内側補強層30とサブチューブ40とを共巻きした状態で外層50にアンカーしていることで、サブチューブ40と外層50との界面の剥離が防止される。
【0056】
保持ワイヤ70を構成するコイル素線の材料としては、補強ワイヤ32またはメッシュ素線82として使用可能な上記の金属材料または樹脂材料のいずれかを用いることができる。本実施形態では、保持ワイヤ70は補強ワイヤ32およびメッシュ素線82とは異種の材料からなる。本実施形態の保持ワイヤ70の延性は、補強ワイヤ32およびメッシュ素線82の延性のいずれよりも高いことが好ましい。具体的には、鈍し材であるオーステナイト系の軟質ステンレス鋼(W1またはW2)や、銅または銅合金を保持ワイヤ70に用いる一方、補強ワイヤ32やメッシュ素線82にはタングステンやステンレスバネ鋼を用いることができる。
保持ワイヤ70に延性の高い材料を用いることで、サブチューブ40の周囲に保持ワイヤ70をコイル巻回した際に、巻き緩むことなく塑性的に伸長変形してサブチューブ40を固定する。
【0057】
本実施形態のカテーテル100は、保持ワイヤ70によってサブチューブ40を内側補強層30に巻き付けて拘束している。このため、操作線60を牽引したときにサブチューブ40が内側補強層30の表面から外径方向に離間することが保持ワイヤ70により防止されている。これにより、メッシュ素線82の巻き緩みが或る程度抑えられている。本実施形態では、更に外側補強層80の遠位領域86に弛緩防止構造84を設けることで、保持ワイヤ70と弛緩防止構造84とで協働してメッシュ素線82の巻き緩みを防止している。
【0058】
管状本体10の遠位部DEには、白金など、X線等の放射線が不透過の材料からなるリング状のマーカー14が設けられている。マーカー14の位置を指標とすることにより、放射線(X線)観察下において体腔(血管)内における管状本体10の先端の位置を視認することができる。これにより、カテーテル100の屈曲操作を行うのに最適なタイミングを容易に判断することができる。
【0059】
操作線60の先端部は、マーカー14またはその近傍に固定されている。操作線60を牽引することで、管状本体10の遠位部DEは屈曲する。本実施形態のカテーテル100では、操作線60の先端部はマーカー14に固定されている。なお、管状本体10は、外側補強層80の先端近傍など、マーカー14よりも基端側に、他のマーカーを更に備えてもよい。
【0060】
図2に示すように、内側補強層30の遠位端は、マーカー14の配設領域に達している。内側補強層30の遠位端は、マーカー14の近位端よりも遠位側、具体的にはマーカー14の遠位端の近傍に位置している。内側補強層30がマーカー14の配設領域まで到達していることで、マーカー14の近位端における管状本体10の曲げ剛性の不連続性を緩和してキンクの発生を防止している。外側補強層80の遠位端は、マーカー14の近位端よりも更に近位側に位置している。
【0061】
内側補強層30および外側補強層80の近位端は、管状本体10の近位端、すなわち操作部90の内部に位置している。
【0062】
第二外層54の外表面に形成される親水層(図示せず)は、カテーテル100の最外層を構成する。親水層は、管状本体10の全長に形成されていてもよく、または遠位部DEを含む先端側の一部長さ領域のみに形成されていてもよい。親水層は、たとえば、ポリビニルアルコール(PVA)などの無水マレイン酸系ポリマーやその共重合体、ポリビニルピロリドンなどの親水性の樹脂材料からなる。
【0063】
本実施形態のカテーテル100の構成要素の代表的な寸法について説明する。
主管腔20の直径は400μm〜600μm(上限値および下限値を含む。以下同じ。)、内層24の厚さは5μm〜30μm、外層50の厚さは10μm〜200μmとすることができる。サブチューブ40の肉厚は、内層24よりも薄く、かつ1μm〜10μmとすることができる。内側補強層30の内径は410μm〜660μm、内側補強層30の外径は450μm〜740μm、外側補強層80の内径は560μm〜920μm、外側補強層80の外径は600μm〜940μmとすることができる。
【0064】
マーカー14の内径は450μm〜740μm、マーカー14の外径は490μm〜820μmとすることができる。マーカー14の幅寸法(管状本体10の軸心方向の寸法)は0.3mm〜2.0mmとすることができる。
カテーテル100の軸心からサブチューブ40の中心までの半径(距離)は300μm〜450μm、サブチューブ40の内径(直径)は40μm〜100μm、操作線60の太さは25μm〜60μmとすることができる。
管状本体10の直径は700μm〜980μm、すなわち外径が直径1mm未満であり、腹腔動脈などの血管に挿通可能である。
【0065】
図3(a)は、本実施形態のカテーテル100の全体側面図である。
図3(b)は、ホイール操作部92を一方向(同図における時計回り)に操作した状態を示すカテーテル100の全体側面図である。
図3(c)は、ホイール操作部92を他方向(同図における反時計回り)に操作した状態を示すカテーテル100の全体側面図である。
【0066】
図3(a)に示す操作部90は、使用者が手で把持する本体ケース94と、この本体ケース94に対して回転可能に設けられたホイール操作部92と、を有している。管状本体10の基端部は、本体ケース94の内部に導入されている。
【0067】
カテーテル100は、管状本体10の主管腔20と連通して設けられたハブ96を備えている。ハブ96にはシリンジ(図示せず)が装着される。ハブ96は本体ケース94の後端部に設けられており、ハブ96の後方(
図3(a)の右方)からシリンジが装着される。シリンジによってハブ96内に薬液等を注入することにより、主管腔20を介して薬液等を患者の体腔内へ供給することができる。
【0068】
管状本体10には、本体ケース94の前端部の内部において外周面からサブチューブ40に連通する側孔(図示せず)が穿設されている。操作線60(
図1および
図2を参照)は、この側孔を通じて管状本体10の外部に引き出される。引き出された操作線60の基端部は、ホイール操作部92に対して、直接的または間接的に連結されている。ホイール操作部92を何れかの方向に回転操作することにより、二本の操作線60の一方を基端側に牽引して張力を与え、他方を緩めることができる。これにより、牽引された操作線60がカテーテル100の遠位部DEを屈曲させる。具体的には、
図3(b)に示すようにホイール操作部92を一方向(時計回り)に回転させると、一方の操作線60が基端側に牽引されて管状本体10の遠位部DEは屈曲する。
図3(c)に示すようにホイール操作部92をその回転軸周りにおいて他方向(反時計回り)に回転させると、他方の操作線60が基端側に牽引されて遠位部DEは逆向きに屈曲する。このように、2本の操作線60を選択的に牽引することにより、カテーテル100の遠位部DEを、互いに同一平面に含まれる第一または第二の方向に選択的に屈曲させることができる。
【0069】
図4は、本発明の第二実施形態の管状本体10を軸心方向に切った縦断面図である。
本実施形態の弛緩防止構造84は、メッシュ素線82を焼鈍処理することにより形成されている点で第一実施形態と相違する。
【0070】
焼鈍処理は、加工硬化による内部のひずみを取り除き、組織を軟化させ、展延性を向上させる熱処理である。焼鈍処理として、完全焼鈍のほか、応力除去焼きなまし、低温焼きなまし、球状化焼き鈍し等の熱処理のほか、光輝焼鈍、磁気焼鈍などの表面処理を用いてもよい。
【0071】
本実施形態におけるメッシュ素線82の焼鈍処理は、外側補強層80の遠位領域86に選択的に施されている。すなわち、外側補強層80の遠位領域86に焼鈍処理が施され、外側補強層80の中間領域および近位領域には焼鈍処理が施されていない。メッシュ素線82にはタングステンやステンレスバネ鋼などの高弾性材料を用いることができる。これにより、遠位領域86においてはメッシュ素線82の巻き緩みを抑制し、これを除く中間領域や近位領域ではメッシュ素線82のバネ弾性を残存させて、管状本体10のしなやかさを確保することができる。
【0072】
ただし、本実施形態の変形例として、外側補強層80の遠位領域86および中間領域に亘って、または遠位領域86を含む外側補強層80の実質的に全長に亘って、メッシュ素線82に焼鈍処理を施してもよい。
【0073】
すなわち、かかる変形例は、医療機器に関する以下の技術思想を含む。
この医療機器は、主管腔の周囲に補強ワイヤを巻回してなる内側補強層と、上記主管腔よりも小径で上記内側補強層の周囲に配置された副管腔と、上記内側補強層および上記副管腔の周囲にメッシュ素線を編組してなる外側補強層と、上記内側補強層、上記副管腔および上記外側補強層を内包する樹脂製の外層と、を含む長尺の管状本体と、上記副管腔の内部に移動可能に挿通され先端が上記管状本体の遠位部に接続された操作線と、を備え、上記メッシュ素線の一部または全部の長さ領域が、上記補強ワイヤよりも延性の高い材料からなる医療機器である。
そして、上記メッシュ素線は、補強ワイヤと同種の金属材料を焼鈍処理することにより延性の高い材料とすることができる。
【0074】
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成される限りにおける種々の変形、改良等の態様も含む。たとえば、第一実施形態の弛緩防止構造84を構成する帯状の接着材と、第二実施形態の弛緩防止構造84であるメッシュ素線82の焼鈍処理と、を複合してもよい。
【0075】
なお、本発明の各種の構成要素は、個々に独立した存在である必要はなく、複数の構成要素が一個の部材として形成されていること、一つの構成要素が複数の部材で形成されていること、ある構成要素が他の構成要素の一部であること、ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、等を許容する。
【0076】
次に、
図5〜
図7を参照して、上記の第一実施形態のカテーテル100の製造方法(以下、本製造方法)について説明する。
図5は、主芯線22の周囲に内層24および内側補強層30を形成した内側構造体26の縦断面図である。
図6は、内側構造体26の周囲に有芯チューブ46を配置して第一外層樹脂管52a〜52cを被覆した状態を示す縦断面図である。
図7は、メッシュ素線82が編組された第一外層52の周囲に第二外層樹脂管54aを被覆した状態を示す縦断面図である。
【0077】
以下、本製造方法を詳細に説明する。
はじめに、内側構造体26を作成する。
まず、
図5に示すように、主芯線22の周囲に内層24を形成する。主芯線22はマンドレル(芯材)であり、主管腔20を画定する断面円形の線材である。主芯線22の材料は特に限定されないが、ステンレス鋼を用いることができる。内層24は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素系ポリマーを溶剤に分散させたコーティング液に主芯線22をディッピングしたうえで乾燥させて形成することができる。
つぎに、多条の補強ワイヤ32を内層24の外表面でメッシュ状に編組して内側補強層30を形成する。補強ワイヤ32の先端部の周囲にマーカー14をカシメ固定したうえで、マーカー14の遠位側で補強ワイヤ32を切除する。
以上により内側構造体26が作成される。
【0078】
内側構造体26の作成工程と前後して、
図6に示す有芯チューブ46を作成する。有芯チューブ46は、副芯線44の周面にサブチューブ40を被覆形成してなる。副芯線44は副管腔42を画定する断面円形の線材であり、主芯線22と同種のステンレス鋼を例示することができる。副芯線44は主芯線22よりも細径である。サブチューブ40の肉厚は内層24よりも薄いことが好ましい。サブチューブ40をポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素系ポリマーで作成する場合は、当該ポリマーを溶剤に分散させたコーティング液に副芯線44をディッピングしたうえで乾燥させて形成することができる。
【0079】
つぎに、第一外層52を賦形する。
図6に示すように、内側補強層30および有芯チューブ46を取り囲むように第一外層樹脂管52a〜52cを被覆する。遠位側に配置される第一外層樹脂管52aは最も硬度が低く、第一外層樹脂管52cは最も硬度が高い。第一外層樹脂管52bの硬度はこれらの中間である。第一外層樹脂管52a〜52cを内側構造体26の長手方向に沿って隙間なく連接して並べる。
【0080】
つぎに、第一外層樹脂管52a〜52cの周囲に熱収縮チューブ(図示せず)を被覆して加熱および加圧し、熱収縮チューブを管状に収縮させる。溶融した第一外層樹脂管52a〜52cは内側補強層30に含浸して内層24と密着して第一外層52となる。
【0081】
つぎに、外側補強層80および弛緩防止構造84を作成する。
図7に示すように、第一外層52の外周面に、多条のメッシュ素線82を編組してなる外側補強層80を形成する。マーカー14よりも基端側の所定の位置で、外側補強層80の周囲に液状の接着材を帯状に塗布してメッシュ素線82に含浸させることで弛緩防止構造84を形成する。接着材には常温硬化型の瞬間接着剤を用いることができる。
弛緩防止構造84よりも遠位側に延出するメッシュ素線82の延出部82aを、レーザー溶断等の手法により切断し、除去する。第一外層52の表面には、除去された延出部82aの圧痕が残ってもよい。または、続く第二外層54の賦形工程にて第一外層52の表面が溶融して、延出部82aの圧痕は消失してもよい。
【0082】
つぎに、第二外層54を賦形する。メッシュ素線82が編組された第一外層52の周囲に、熱可塑性樹脂からなる第二外層樹脂管54aを被覆する。
図7では、第二外層樹脂管54aを一連の管状に図示してあるが、第一外層樹脂管52a〜52cと同様に、異なる樹脂材料からなる樹脂管を連接したものでもよい。更に、第二外層樹脂管54aの周囲に熱収縮チューブ(図示せず)を被覆して加熱および加圧することにより、サブチューブ40を内包する第二外層54を賦形する。
【0083】
以上により、内側補強層30、サブチューブ40および外側補強層80を内包する外層50(第一外層52および第二外層54)が成形される。
【0084】
つぎに、副芯線44を伸張させることにより縮径させてサブチューブ40から剥離させる。縮径した副芯線44をサブチューブ40から抜去したうえ、操作線60をサブチューブ40に挿入する。副芯線44の伸張と同時に、または副芯線44の伸張に続けて、主芯線22を伸張させることにより縮径させたうえ、主芯線22を内層24より抜去する。
【0085】
そして、第二外層54の表面に親水層(図示せず)を形成し、また管状本体10の基端部に操作部90を取り付ける。以上により、第一実施形態のカテーテル100を得ることができる。
【0086】
本実施形態および本製造方法は以下の技術思想を包含する。
(1)主管腔の周囲に補強ワイヤを巻回してなる内側補強層と、前記主管腔よりも小径で前記内側補強層の周囲に配置された副管腔と、前記内側補強層および前記副管腔の周囲にメッシュ素線を編組してなる外側補強層と、前記内側補強層、前記副管腔および前記外側補強層を内包する樹脂製の外層と、を含む長尺の管状本体と、前記副管腔の内部に移動可能に挿通され先端が前記管状本体の遠位部に接続された操作線と、を備え、前記外側補強層の遠位領域に、前記メッシュ素線の編み弛みを防止する弛緩防止構造が設けられていることを特徴とする医療機器。
(2)前記外側補強層の遠位端は前記操作線の前記先端よりも基端側で終端している上記(1)に記載の医療機器。
(3)前記弛緩防止構造が前記外側補強層と同層に設けられている上記(1)または(2)に記載の医療機器。
(4)前記弛緩防止構造が、前記外層と異なる材料の接着材からなり前記外側補強層の前記遠位領域に周回状に設けられている上記(1)から(3)のいずれか一項に記載の医療機器。
(5)前記接着材が前記外側補強層に含浸して前記メッシュ素線の先端を包埋している上記(4)に記載の医療機器。
(6)前記外層が、前記内側補強層および前記副管腔を内包する第一外層と、前記第一外層の周囲に形成されて前記外側補強層を内包する第二外層と、を含み、前記接着材は、前記第二外層に内包され、かつ前記第一外層の表面に達していることを特徴とする上記(5)に記載の医療機器。
(7)前記メッシュ素線を焼鈍処理することにより前記弛緩防止構造が形成されている上記(1)から(6)のいずれか一項に記載の医療機器。
(8)前記焼鈍処理が前記外側補強層の前記遠位領域に選択的に施されている上記(7)に記載の医療機器。
(9)前記副管腔を画定する樹脂製のサブチューブが前記外層に内包されている上記(1)から(8)のいずれか一項に記載の医療機器。
(10)前記外層に内包され前記サブチューブと前記ワイヤ補強層とを共巻きしている保持ワイヤを更に備える上記(9)に記載の医療機器。
(11)複数本の前記サブチューブが前記主管腔の周囲に対向して配置されている上記(9)または(10)に記載の医療機器。
(12)前記外側補強層が、それぞれ複数本の前記メッシュ素線を右螺旋および左螺旋に編組してなる上記(1)から(11)のいずれか一項に記載の医療機器。
(13)前記主管腔と連通して設けられてシリンジが装着されるハブを更に備えるカテーテルである上記(1)から(12)のいずれか一項に記載の医療機器。