(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6205793
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
F21S 8/10 20060101AFI20170925BHJP
F21V 8/00 20060101ALI20170925BHJP
B60Q 1/32 20060101ALI20170925BHJP
F21W 101/10 20060101ALN20170925BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20170925BHJP
【FI】
F21S8/10 171
F21V8/00 310
F21V8/00 330
B60Q1/32
F21W101:10
F21Y115:10
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-76392(P2013-76392)
(22)【出願日】2013年4月1日
(65)【公開番号】特開2014-203547(P2014-203547A)
(43)【公開日】2014年10月27日
【審査請求日】2016年3月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100144048
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 智弘
(72)【発明者】
【氏名】西畑 孝司
【審査官】
下原 浩嗣
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−235153(JP,A)
【文献】
特開2012−099362(JP,A)
【文献】
特開2003−031017(JP,A)
【文献】
特開2006−190636(JP,A)
【文献】
特開2012−109131(JP,A)
【文献】
特開2010−282880(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 8/10
B60Q 1/32
F21V 8/00
F21W 101/10
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用灯具であって、
発光素子と、
前記発光素子からの光を内部で反射させる第1反射面と、光軸方向に光を出射する出射面とを有する導光体と、
前記導光体の光軸方向後方に配置され、前記導光体からの光を前記導光体に向けて反射させる反射部材と、を有し、
前記導光体は、
略円形状の断面形状と、
第2反射面を有する第1突起と、を有しており、
前記反射部材は、
放物面形状の断面形状と、
前記導光体の導光曲率に沿った連続した焦点と、
前記第2反射面に略垂直な回転軸を持つ回転面が形成された第2突起と、を有しており、
前記反射部材の前記第2突起の前記回転面の頂点と前記反射部材の前記焦点とを略一致させ、前記第1突起と前記第2突起の部分が強く光って見える、
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記突起に形成された第2反射面は、前記導光体内を内部反射した光を光軸方向に出射
する機能と、前記反射部材側に出射する機能とを有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記突起は、前記導光体の延びる方向の所定間隔毎に複数連続して設けられ、
前記回転面は、前記複数の突起のそれぞれに対応して前記反射部材の延びる方向に所定
間隔毎に連続して複数設けられている、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用灯具として、光源としてのLED(Light Emitting Diode)光源と導光体としての導光レンズと反射面を備えたものが知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。
特許文献1及び2の車両用灯具では、発光素子から出射された光は、導光体の入射面から入射して反射面で反射して導光体の出射面から光を出射するようにしている。また、導光体の裏面に抜けた光を有効利用するために導光体の裏面に反射部材が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−25738号公報
【特許文献2】特開2011−216279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1及び2の車両用灯具では、導光体より裏面に抜けた光を有効利用するために反射部材が設けられているものの、反射部材からの光を導光体内部で制御しているため、反射部材から光を適切に制御できなかった。
【0005】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、導光体より裏面に抜けた光を有効利用し、かつ反射部材からの光を適切に制御できる車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するものであって、(1)本発明は、車両用灯具であって、発光素子と、前記発光素子からの光を内部で反射させる第1反射面と、光軸方向に光を出射する出射面とを有する導光体と、前記導光体の光軸方向後方に配置され、前記導光体からの光を前記導光体に向けて反射させる反射部材と、を有し、前記導光体は、断面形状が略円形状を有し、前記反射部材は、断面形状が放物面形状を有し、前記導光体の導光曲率に沿った連続した焦点を有する車両用灯具を提供する。
【0007】
(2)前記導光体は、第2反射面を有する突起を有し、前記反射部材は、前記第2反射面に略垂直な回転軸を持つ回転面を有し、前記回転面の頂点は、前記焦点と略一致している(1)に記載の車両用点灯を提供する。
(3)前記突起に形成された第2反射面は、前記導光体内を内部反射した光を光軸方向に出射する機能と、前記反射部材側に出射する機能とを有する(2)に記載の車両用灯具を提供する。
【0008】
(4)前記突起は、前記導光体の延びる方向の所定間隔毎に複数連続して設けられ、前記回転面は、前記複数の突起のそれぞれに対応して前記反射部材の延びる方向に所定間隔毎に連続して複数設けられている(2)に記載の車両用灯具を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、導光体より裏面に抜けた光を有効利用し、かつ反射部材からの光を適切に制御できる車両用灯具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態における車両用灯具であるクリアランスランプが内蔵されたヘッドランプを示す正面図である。
【
図2】クリアランスランプの構成を説明する図であって、
【
図3】導光体を透かした状態で示した反射部材の斜視図である。
【
図5】導光体の第1突起と反射部材の第2突起の関係を説明する図である。
【
図6】本発明の実施形態における車両用灯具の光路1を説明する図である。
【
図7】本発明の実施形態における車両用灯具の光路2を説明する図である。
【
図8】本発明の実施形態における車両用灯具の点灯状態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態の車両用灯具は、車両のヘッドランプ(前照灯)に内蔵されたクリアランスランプに適用される。
【0012】
図1は本発明の実施形態における車両用灯具であるクリアランスランプ1が内蔵されたヘッドランプ10を示す正面図である。ヘッドランプ10は、レンズ13で覆われたハウジング内のランプ室12に、ランプユニット14及びクリアランスランプ1が配置されている。
図1には、車両を前方から見た場合に右側に取り付けられたヘッドランプ10が示されている。ここで、車両の進行方向である前後方向をx方向、左右方向をy方向、高さ方向をz方向とする。
ランプユニット14は、走行中に車両前方を照らすものである。例えば、すれ違い配光パターンや走行用配光パターンを形成する。クリアランスランプ1は、車幅灯として用いられる。
図1に示すように、クリアランスランプ1は、発光素子20と、導光体30と、反射部材40とを有する。
【0013】
図2は、本発明の実施形態における車両用灯具(クリアランスランプ)の構成を説明する図であって、(A)はクリアランスランプを平面図、(B)は右側面図、(C)は(B)のB−B断面図である。
図3は、
図2(A)の右斜上方向Tから視た図であって、導光体を透かした状態で示した反射部材の斜視図である。
図4は、
図3で導光体を外した状態の反射部材の斜視図である。
【0014】
図2に示すように、導光体30の一端面には、この面と対向する発光素子20が間隙を介して配置される。発光素子20は、例えばチップ型のLEDが用いられる。
導光体30は、透明の樹脂によって形成され、光軸方向と直交する方向の長さが光軸方向の幅と比べて長い距離を有する長尺の部材で構成される。導光体30は、発光素子20からの光を入射させる入射面31と、入射面31から入射された光を内部で反射させる反射面(第1反射面)32と、光軸方向に光を出射する出射面33とを有する。
図2(B)に示すように、導光体30は、断面形状が略円形状を有する。また、導光体30は、光軸方向反対側に突出して形成された反射面(後述のL2)を有する第1突起34が形成されている。この第1突起34a〜34iは、導光体30の延びる方向の所定間隔毎に複数連続して設けられている。
【0015】
反射部材40は、導光体30の光軸方向後方に配置され、導光体30からの光を導光体30に向けて反射させるものである。反射部材40は、
図2(B)に示すように、断面形状が放物面形状を有する。略円形状に形成された導光体30は、所定の導光曲率を有する。そして、反射部材40は、その導光体30の導光曲率に沿う位置に放物面の焦点が置かれており、その焦点は反射部材40の長手方向に沿って連続して設けられている。また、反射部材40の表面は、アルミ蒸着等により反射膜が形成されている。
また、反射部材40には、円錐形状を有する第2突起41a〜41iが形成されている。第2突起41a〜41iは、複数の第1突起34a〜34iのそれぞれに対応して反射部材40の延びる方向に所定間隔毎に連続して複数設けられている。円錐形状の第2突起41の頂点が放物面形状を有する反射部材の焦点に略一致している。
図2(C)に示すように、第1突起34a〜34iに対応する第2突起41a〜41iは、第1突起34a〜34iよりも下流側にそれぞれ位置するように設けられている。
同図において、導光体30は破線にて示している。
【0016】
図5は、導光体30の第1突起34と反射部材40の第2突起41の関係を説明する図であって、(A)は
図2(C)のC部の部分拡大図、(B)は(A)のD−D断面図であって反射部材40の頂点Pを説明する図、(C)は(A)のD−D断面図であって反射部材40の焦点Fを説明する図である。
【0017】
図5(A)に示すように、導光体30の第1突起34g、34hは、反射面(第2反射面)L2と反射面L2’を有するようプリズム状に形成されている。他の第1突起についても同様に形成されている。第1突起34に形成された反射面L2は、導光体30内を内部反射した光を光軸方向に出射する機能と、反射部材40側に出射する機能とを有する。
図5(B)(C)に示すように、反射部材40は、断面形状が放物面形状に形成されており、導光体30の導光曲率に沿った連続した焦点Fを有する。
第2突起41g、41hには、第1突起34g、34hに形成された反射面L2に略垂直な回転軸を持つ回転面Qが形成されている。同図(A)(D)に示すように、回転面Qの頂点Pは、円の中心よりも光源側にずれて位置している。回転面Qの頂点Pは、放物面を有する反射部材40の焦点Fと略一致するように形成されている。他の第2突起41も同様に形成されている。
【0018】
図6は、本発明の実施形態における車両用灯具の光路1を説明する図である。
光路1では、導光体30内を内部反射した光が、反射面L2’で第1突起34内に入射し、反射面L2で反射され導光体30内に戻され光軸方向に向けられて出射面33より出射される。
【0019】
図7は、本発明の実施形態における車両用灯具の光路2を説明する図である。
光路2では、導光体30内を内部反射した光が、第1突起34の反射面L2で反射部材40側に出射され、さらに第2突起41の回転面Qで反射した光が、反射部材40で反射され、導光体30内で平行光にされて出射面33より出射される。
図7(A)に示すように、第1突起34の反射面L2で反射部材40側に出射された光のうち、第2突起41の回転面Qの頂点Pよりも光源側で反射された光は、一旦光源側に反射して導光体30で光軸方向に向けられる。一方、第2突起41の回転面Qの頂点Pよりも光源とは反対側で反射した光は、光源とは反対側に反射して導光体30で光軸方向に向けられる。
【0020】
図8は、本発明の実施形態における車両用灯具の点灯状態を説明する図である。
図8に示すように、上述した光路1と光路2により、前方からは、第1突起34と第2突起41の部分が強く光って見える。
本実施形態によれば、反射部材40の回転面Qの頂点Pと放物面の頂点Fと略一致させることにより、導光体30より裏面側に抜けた光を有効利用することができるとともに、導光体30の外側の反射部材40で適切に制御することができ、新しい点灯見栄えを実現できる。
【0021】
なお、本発明は、クリアランスランプを例として記載したが、上記実施形態の構成に限られるものではなく、例えばデイタイムランニングランプを含むものであってもよい。そして、特許請求の範囲で示した機能、または本実施形態の構成が持つ機能が達成できる構成であればどのようなものであっても適用可能である。
【符号の説明】
【0022】
1 クリアランスランプ(車両用灯具)
20 発光素子
30 導光体
31 入射面
32 反射面(第1反射面)
33 出射面
34 第1突起
40 反射部材
41 第2突起
L2 反射面(第2反射面)
Q 回転面