(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記可動リフレクタは、前記半導体型光源の発光中心もしくはその近傍に位置する軸であって、前記可動リフレクタの前記反射面の光の反射方向に対して交差する方向に通る前記軸を中心として、前記第1位置と前記第2位置とに回転移動可能に配置されていて、
前記第2位置は、前記第1位置に対して、前記可動リフレクタの前記反射面の光の反射方向側に位置し、
前記第2位置に位置する前記可動リフレクタの姿勢は、前記第1位置に位置する前記可動リフレクタの姿勢に対して、ほぼ水平である、
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の車両用前照灯。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明にかかる車両用前照灯の実施形態(実施例)のうちの2例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。この明細書において、前、後、上、下、左、右は、この発明にかかる車両用前照灯を車両に装備した際の前、後、上、下、左、右である。
【0015】
図7〜
図9において、符号「VU−VD」は、スクリーンの上下の垂直線を示す。符号「HL−HR」は、スクリーンの左右の水平線を示す。また、
図7〜
図9においては、コンピュータシミュレーションにより作図されたスクリーン上の配光パターンを簡略化して示す等光度曲線の説明図であって、中央の等光度曲線は、高光度帯であって、その他の曲線は、外に行くにしたがって低くなる光度帯である。
【0016】
(実施形態1の構成の説明)
図1〜
図9は、この発明にかかる車両用前照灯の実施形態1を示す。以下、この実施形態1における車両用前照灯の構成について説明する。図中、符号1は、この実施例における車両用前照灯(たとえば、ヘッドランプなど)である。前記車両用前照灯1は、車両の前部の左右両端部に搭載されている。
【0017】
(車両用前照灯1の説明)
前記車両用前照灯1は、
図1に示すように、ランプハウジング(図示せず)と、ランプレンズ(図示せず)と、第1半導体型光源7および第2半導体型光源2と、第1固定リフレクタ8および第2固定リフレクタ3と、可動リフレクタ4と、駆動部5と、第1ヒートシンク部材9および第2ヒートシンク部材6と、を備えるものである。
【0018】
前記第1半導体型光源7および前記第1固定リフレクタ8および前記第1ヒートシンク部材9は、
図1(B)に示すように、第1ランプユニット11を構成する。前記第2半導体型光源2および前記第2固定リフレクタ3および前記可動リフレクタ4および前記駆動部5および前記第2ヒートシンク部材6は、
図1(A)に示すように、第2ランプユニット12を構成する。前記ランプハウジングおよび前記ランプレンズは、灯室(図示せず)を画成する。前記第1ランプユニット11(7、8、9)および前記第2ランプユニット12(2、3、4、5、6)は、前記灯室内に配置されていて、かつ、上下方向用光軸調整機構(図示せず)および左右方向用光軸調整機構(図示せず)を介して前記ランプハウジングに取り付けられている。まず、前記第2ランプユニット12について説明し、つぎに、前記第1ランプユニット11について説明する。
【0019】
(第2半導体型光源2の説明)
前記第2半導体型光源2は、この例では、たとえば、LED、OELまたはOLED(有機EL)などの自発光半導体型光源である。前記第2半導体型光源2は、
図5、
図6に示すように、1個もしくは複数個の発光チップ(図示せず)と、前記発光チップを封止樹脂部材で封止した発光部(パッケージ、LEDパッケージ)20と、前記発光部20を実装した基板21と、から構成されている。
【0020】
前記基板21は、前記第2ヒートシンク部材6に固定されている。この結果、前記第2半導体型光源2は、前記第2ヒートシンク部材6に保持(固定)されている。前記第2半導体型光源2は、コネクタ22を介して電源(バッテリー)に電気的に接続されている。
【0021】
前記第2半導体型光源2の前記発光部20の発光面は、下側に向いている。前記発光部20の前記発光面の中心(発光中心)Oは、前記第2固定リフレクタ3の基準焦点もしくはその近傍に位置し、かつ、前記第2固定リフレクタ3の基準光軸(基準軸)上もしくはその近傍に位置する。
【0022】
(第2固定リフレクタ3の説明)
前記第2固定リフレクタ3は、光不透過性の部材、この例では、樹脂部材から構成されている。前記第2固定リフレクタ3は、
図1、
図2、
図3、
図5、
図6に示すように、前記第2ヒートシンク部材6に保持(固定)されている。前記第2固定リフレクタ3は、上側および前側の部分が開口していて、その他の部分が閉塞している。
【0023】
前記第2固定リフレクタ3の前記閉塞部の内面には、パラボラ系の自由曲面(NURBS曲面)からなる第2固定反射面30が設けられている。前記第2固定リフレクタ3は、前記基準焦点および前記基準光軸を有する。前記第2固定反射面30は、前記第2半導体型光源2の下側の空間に設けられている。
【0024】
(第2固定反射面30の説明)
前記第2固定反射面30は、
図5に示すように、前記可動リフレクタ4が第1位置(
図1(A)、
図2、
図3、
図4中の実線、
図5に示す状態の位置)に位置するときに、前記第2半導体型光源2からの光L1が前記第1位置に位置する前記可動リフレクタ4により
図5中の破線矢印に示すように遮蔽される反射面である。また、前記第2固定反射面30は、
図6に示すように、前記可動リフレクタ4が第2位置(
図4中の二点鎖線、
図6に示す状態の位置)に位置するときに、前記第2半導体型光源2からの光L1を反射させてその反射光L2により基本ハイビーム配光パターンBHP(
図8(B)参照)を形成する反射面である。前記第2固定反射面30は、2個のセグメントから構成されている。前記第2固定反射面30において、セグメントの個数は、特に限定しない。また、セグメントを設けない自由曲面としても良い。
【0025】
(可動リフレクタ4の説明)
前記可動リフレクタ4は、光不透過性の部材、この例では、樹脂部材から構成されている。
図4に示すように、前記可動リフレクタ4の上端には、回転軸41が一体に設けられている。前記回転軸41が前記第2ヒートシンク部材6に回転可能に支持されている。この結果、前記可動リフレクタ4は、前記第2ヒートシンク部材6に、前記回転軸41の中心線(以下、「軸」と称する)O1を中心として前記第1位置と前記第2位置との間を回転移動可能に装備されている。
【0026】
前記軸O1は、前記第2半導体型光源2の前記発光中心Oもしくはその近傍、この例では、前記発光中心Oに対してやや前側かつやや上側に位置する軸であって、前記可動リフレクタ4の反射面40の光の反射方向に対して交差する方向(左右方向)に通る軸である。前記軸O1と前記発光中心Oとの前後方向の寸法Aは、この例では、約2mmである。前記軸O1と前記発光中心Oとの上下方向の寸法Bは、この例では、約7mmである。
【0027】
前記第2位置は、前記第1位置に対して、前記可動リフレクタ4の前記反射面40の光の反射方向側(前側)に位置する。すなわち、前記第1位置は、前記第2半導体型光源2に対して後側に位置する。前記第2位置は、前記第2半導体型光源2に対して前側に位置する。
【0028】
前記第2位置に位置する前記可動リフレクタ4の姿勢は、前記第1位置に位置する前記可動リフレクタ4の姿勢に対して、ほぼ水平である。すなわち、前記第1位置に位置する前記可動リフレクタ4の姿勢は、ほぼ垂直である。
【0029】
前記第1位置に位置する前記可動リフレクタ4は、
図5に示すように、前記第2固定リフレクタ3の前記第2固定反射面30を遮蔽する。すなわち、前記第1位置に位置する前記可動リフレクタ4は、前記第2半導体型光源2からの光L1であって前記第2固定反射面30に入射しようとする光(
図5中の破線矢印参照)を遮蔽する。また、前記第2位置に位置する前記可動リフレクタ4は、
図6に示すように、前記第2固定リフレクタ3の前記第2固定反射面30を開放する。すなわち、前記第2位置に位置する前記可動リフレクタ4は、前記第2半導体型光源2からの光L1が前記第2固定反射面30に入射するのを妨げず、かつ、前記第2固定反射面30からの反射光L2が車両の前方に照射されるのを妨げない。
【0030】
(反射面40の説明)
前記可動リフレクタ4の一面(すなわち、前記第2半導体型光源2と対向する面)には、パラボラ系の自由曲面(NURBS曲面)からなる前記反射面40が設けられている。前記反射面40は、前記可動リフレクタ4が前記第1位置に位置するときに、前記第2半導体型光源2からの光L1を反射させてその反射光L3により補助ロービーム配光パターンSLP(
図7(A)参照)を形成する反射面である。前記反射面40は、前記可動リフレクタ4が前記第2位置に位置するときに、前記第2半導体型光源2からの光L1を反射させてその反射光L4により補助ハイビーム配光パターンSHP(
図8(A)参照)を形成する反射面である。前記反射面40は、この例では、6個のセグメントから構成されている。前記反射面40において、セグメントの個数は、特に限定しない。また、セグメントを設けない自由曲面としても良い。
【0031】
(駆動部5の説明)
前記駆動部5は、
図4に示すように、前記第2ヒートシンク部材6に装備されているソレノイド50と、スプリング51と、から構成されている。前記ソレノイド50は、進退ロッド52を有する。前記進退ロッド52の先端は、前記可動リフレクタ4に当接している。前記可動リフレクタ4の前記軸O1の位置と前記進退ロッド52が当接している箇所とは、近接している。
【0032】
前記スプリング51は、ねじりコイルばねから構成されている。前記スプリング51のコイル部は、前記回転軸41に外側から嵌合されている。前記スプリング51の一方の腕部は、前記可動リフレクタ4に固定されている。前記スプリング51の他方の腕部は、前記第2ヒートシンク部材6に固定されている。
【0033】
通常時すなわち前記ソレノイド50に通電していない状態(無通電状態)においては、前記スプリング51のスプリング力により、前記可動リフレクタ4が第1位置に位置していて、一方、前記進退ロッド52が後退している。前記ソレノイド50に通電すると、前記進退ロッド52が前記スプリング51のスプリング力に抗して、二点鎖線矢印に示すように、前進する。これに伴って、前記可動リフレクタ4が、二点鎖線矢印に示すように、第1位置から第2位置に回転する。前記ソレノイド50への通電を遮断すると、前記スプリング51のスプリング力により、前記可動リフレクタ4が、実線矢印に示すように、第2位置から第1位置に回転する。これに伴って、前記進退ロッド52が、実線矢印に示すように、後退する。
【0034】
(第2ヒートシンク部材6の説明)
前記第2ヒートシンク部材6は、
図1、
図2、
図3に示すように、放熱部60と、保持部61と、から構成されている。前記放熱部60は、下部が水平板部をなし、上部がフィン形状をなす。前記放熱部60の水平板部には、前記第2半導体型光源2の前記基板21が固定されている。前記放熱部60は、前記第2半導体型光源2において発生する熱を外部に放射させる。
【0035】
前記保持部61には、前記第2固定リフレクタ3が固定されていて、前記可動リフレクタ4が移動可能に取付けられていて、前記駆動部5の前記ソレノイド50および前記スプリング51が保持されている。前記保持部61は、前記第2半導体型光源2、前記第2固定リフレクタ3、前記可動リフレクタ4、前記駆動部5を保持するホルダ部材と兼用する。
【0036】
(第1半導体型光源7の説明)
前記第1半導体型光源7は、前記第2半導体型光源2とほぼ同様の構成をなす。すなわち、前記第1半導体型光源7は、発光チップと、発光部と、基板と、から構成されている。前記基板は、前記第1ヒートシンク部材9に固定されている。前記第1半導体型光源7は、電源に電気的に接続されている。前記第1半導体型光源7の発光面は、下側に鉛直方向に向いている。前記光面の中心(発光中心)は、前記第1固定リフレクタ8の基準焦点もしくはその近傍に位置し、かつ、前記第1固定リフレクタ8の基準光軸(基準軸)上もしくはその近傍に位置する。
【0037】
(第1固定リフレクタ8の説明)
前記第1固定リフレクタ8は、光不透過性の部材、この例では、樹脂部材から構成されている。前記第1固定リフレクタ8は、前記第1ヒートシンク部材9に保持(固定)されている。前記第1固定リフレクタ8の一面、すなわち、前記第1半導体型光源7と対向する面には、パラボラ系の自由曲面(NURBS曲面)からなる第1固定反射面80が設けられている。前記第1固定リフレクタ8は、前記基準焦点および前記基準光軸を有する。前記第1固定反射面80は、前記第1半導体型光源7の下側の空間に設けられている。
【0038】
(第1固定反射面80の説明)
前記第1固定反射面80は、前記第1半導体型光源7からの光(図示せず)を反射させてその反射光により基本ロービーム配光パターンBLP(
図7(B)を参照)を形成する反射面である。前記第1固定反射面80は、複数個のセグメントから構成されている。前記第1固定反射面80において、セグメントの個数は、特に限定しない。また、セグメントを設けない自由曲面としても良い。
【0039】
(第1ヒートシンク部材9の説明)
前記第1ヒートシンク部材9は、水平板部と垂直板部とフィン部とから構成されている。前記水平板部には、前記第1半導体型光源7の前記基板が固定されている。前記水平板部および前記垂直板部には、前記第1固定リフレクタ8が固定されている。前記第1ヒートシンク部材9は、前記第1半導体型光源7において発生する熱を外部に放射させる。前記第1ヒートシンク部材9は、前記第1半導体型光源7、前記第1固定リフレクタ8を保持するホルダ部材と兼用する。
【0040】
(実施形態1の作用の説明)
この実施形態1における車両用前照灯1は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。
【0041】
まず、
図7(C)に示すロービーム配光パターンLPの照射時について説明する。この時には、可動リフレクタ4は第1位置に位置している。このために、
図5に示すように、可動リフレクタ4は、第2固定リフレクタ3の第2固定反射面30を遮蔽している。
【0042】
この時に、第1ランプユニットの第1半導体型光源7と第2ランプユニットの第2半導体型光源2とを同時に点灯する。すると、第1ランプユニットの第1半導体型光源7から放射される光(図示せず)は、第1固定リフレクタ8の第1固定反射面80に入射して反射する。その反射光は、
図7(B)に示す基本ロービーム配光パターンBLPとして車両の前方に照射される。この基本ロービーム配光パターンBLPは、水平および斜めのカットオフラインを有する大拡散配光パターンである。
【0043】
一方、
図5に示すように、第2ランプユニットの第2半導体型光源2から放射される光L1は、第1位置に位置する可動リフレクタ4の反射面40に入射して反射する。その反射光L3は、
図7(A)に示す補助ロービーム配光パターンSLPとして車両の前方に照射される。この補助ロービーム配光パターンSLPは、水平のカットオフラインを有する大拡散配光パターンである。
【0044】
そして、補助ロービーム配光パターンSLPと、基本ロービーム配光パターンBLPとが重畳(合成)されて、
図7(C)に示すロービーム配光パターンLPが得られる。
【0045】
ここで、駆動部5により、可動リフレクタ4を第1位置から第2位置に回転移動させる。すると、今まで可動リフレクタ4により遮蔽されていた第2固定リフレクタ3の第2固定反射面30が開放される。
【0046】
このために、
図6に示すように、今まで第1位置に位置する可動リフレクタ4により遮蔽されていた第2半導体型光源2からの光L1は、第2固定リフレクタ3の第2固定反射面30に入射して反射する。その反射光L2は、
図8(B)に示す基本ハイビーム配光パターンBHPとして車両の前方に照射される。基本ハイビーム配光パターンBHPは、ホットゾーン(最高光度帯)を形成する集光配光パターンである。
【0047】
また、
図6に示すように、第2ランプユニットの第2半導体型光源2から放射される光L1は、第2位置に位置する可動リフレクタ4の反射面40に入射して反射する。その反射光L4は、
図8(A)に示す補助ハイビーム配光パターンSHPとして車両の前方に照射される。この補助ハイビーム配光パターンSHPは、拡散配光パターンである。
【0048】
一方、第1ランプユニットの第1半導体型光源7から放射される光(図示せず)は、第1固定リフレクタ8の第1固定反射面80に入射して反射する。その反射光は、
図7(B)に示す基本ロービーム配光パターンBLPとして車両の前方に照射される。この基本ロービーム配光パターンBLPは、水平および斜めのカットオフラインを有する大拡散配光パターンである。
【0049】
そして、基本ハイビーム配光パターンBHPと、補助ハイビーム配光パターンSHPと、基本ロービーム配光パターンBLPとが重畳(合成)されて、
図9に示すハイビーム配光パターンHPが得られる。
【0050】
ここで、駆動部5により、可動リフレクタ4を第2位置から第1位置に回転移動させると、ハイビーム配光パターンHPからロービーム配光パターンLPに切り替わる。
【0051】
(実施形態1の効果の説明)
この実施形態1における車両用前照灯1は、以上のごとき構成および作用からなり、以下、その効果について説明する。
【0052】
この実施形態1における車両用前照灯1は、第2固定リフレクタ3の第2固定反射面30が、可動リフレクタ4が第1位置に位置するときに、第2半導体型光源2からの光L1が可動リフレクタ4により遮蔽され、可動リフレクタ4が第2位置に位置するときに、第2半導体型光源2からの光L1を反射させて基本ハイビーム配光パターンBHPを形成するものである。このように、基本ハイビーム配光パターンBHPを、可動リフレクタ4の反射面40で形成するのではなく、第2固定リフレクタ3の第2固定反射面30で形成するものである。このために、可動リフレクタ4の反射面40および駆動部5の精度を高精度に要求する必要が無い。この結果、製造が容易となり、その分、製造コストを安価にすることができる。
【0053】
この実施形態1における車両用前照灯1は、第1半導体型光源7と第1固定リフレクタ8とを備える第1ランプユニット11と、第2半導体型光源2と第2固定リフレクタ3とを備える第2ランプユニット12とは、別個のランプユニットからなる。しかも、第1ランプユニット11から基本のロービーム配光パターンBLPを照射するものである。このために、発光量が小さい第2半導体型光源2および第1半導体型光源7を使用しても、十分な光度のロービーム配光パターンLPとハイビーム配光パターンHPとが得られる。
【0054】
この実施形態1における車両用前照灯1は、可動リフレクタ4が、第2半導体型光源2の発光中心Oもしくはその近傍に位置する軸O1であって、可動リフレクタ4の反射面40の光L3、L4の反射方向に対して交差する方向に通る軸O1を中心として、第1位置と第2位置とに回転移動可能に配置されている。しかも、
図5、
図6に示すように、第2位置が、第1位置に対して、可動リフレクタ4の反射面40の光L3、L4の反射方向側に位置する。また、第2位置に位置する可動リフレクタ4の姿勢が、第1位置に位置する可動リフレクタ4の姿勢に対して、ほぼ水平である。
【0055】
このために、可動リフレクタ4を小さい移動量(たとえば、ソレノイド50の進退ロッド52の前後進退量が約4mm)で第1位置と第2位置とに切り替えることができる。しかも、第1位置に位置する可動リフレクタ4がほぼ垂直状態の姿勢であるから、補助ロービーム配光パターンSLPを効率良く形成することができる。また、第2位置に位置する可動リフレクタ4がほぼ水平状態の姿勢であるから、第2固定リフレクタ3の第2固定反射面30からの反射光L2すなわち基本ハイビーム配光パターンBHPの照射の妨げとならずに、補助ハイビーム配光パターンSHPを効率良く形成することができる。
【0056】
(実施形態2の構成の説明)
図10〜
図12は、この発明にかかる車両用前照灯の実施形態2を示す。以下、この実施形態2における車両用前照灯100について説明する。図中、
図1〜
図9と同符号は、同一のものを示す。
【0057】
前記の実施形態1の車両用前照灯1は、基本ロービーム配光パターンBLPを照射する第1ランプユニット7、8、9を使用するものである。これに対して、この実施形態2における車両用前照灯100は、基本ロービーム配光パターンBLPを照射する第1ランプユニット7、8、9を使用せずに、共通のランプユニット(第2ランプユニット)200、300、4、5、600で、ロービーム配光パターンLPとハイビーム配光パターンHPとを得るものである。
【0058】
すなわち、半導体型光源、固定リフレクタ、ヒートシンク部材は、共通の半導体型光源200、共通の固定リフレクタ300、共通のヒートシンク部材600をそれぞれ使用する。第1固定反射面301と第2固定反射面302とは、共通の前記固定リフレクタ300にそれぞれ設けられている。
【0059】
共通の前記固定リフレクタ300の前記第1固定反射面301は、共通の前記半導体型光源200からの光L1を常時反射させてその反射光L5により基本ロービーム配光パターンBLP(
図7(B)を参照)を形成する反射面である。
【0060】
共通の前記固定リフレクタ300の前記第2固定反射面302は、実施形態1の第2固定反射面30と同様に、可動リフレクタ4が第2位置(
図12に示す状態の位置)に位置するときに、共通の前記半導体型光源200からの光L1を反射させてその反射光L2により基本ハイビーム配光パターンBHP(
図8(B)参照)を形成する反射面である。
【0061】
前記第1固定反射面301、前記第2固定反射面302は、この例では、それぞれ2個のセグメントから構成されている。前記第1固定反射面301、前記第2固定反射面302において、セグメントの個数は、特に限定しない。また、セグメントを設けない自由曲面としても良い。
【0062】
(実施形態2の作用の説明)
この実施形態2における車両用前照灯100は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。
【0063】
まず、ロービーム配光パターンLPの照射時について説明する。この時には、可動リフレクタ4は第1位置に位置している。このために、
図11に示すように、可動リフレクタ4は、共通の固定リフレクタ300の第1固定反射面301を開放し、一方、共通の固定リフレクタ300の第2固定反射面302を遮蔽している。
【0064】
この時に、共通の半導体型光源200を点灯する。すると、
図11に示すように、共通の半導体型光源200から放射される光L1の一部は、共通の固定リフレクタ300の第1固定反射面301に入射して反射する。その反射光L5は、
図7(B)に示す基本ロービーム配光パターンBLPとして車両の前方に照射される。この基本ロービーム配光パターンBLPは、水平および斜めのカットオフラインを有する拡散配光パターンである。
【0065】
また、共通の半導体型光源200から放射される光L1の残りは、第1位置に位置する可動リフレクタ4の反射面40に入射して反射する。その反射光L3は、
図7(A)に示す補助ロービーム配光パターンSLPとして車両の前方に照射される。この補助ロービーム配光パターンSLPは、水平のカットオフラインを有する拡散配光パターンである。
【0066】
そして、基本ロービーム配光パターンBLPと、補助ロービーム配光パターンSLPとが重畳(合成)されて、
図7(C)に示すロービーム配光パターンLPが得られる。
【0067】
ここで、駆動部5により、可動リフレクタ4を第1位置から第2位置に回転移動させる。すると、
図12に示すように、今まで可動リフレクタ4により遮蔽されていた共通の固定リフレクタ300の第2固定反射面302が第1固定反射面301と同様に開放される。
【0068】
このために、今まで第1位置に位置する可動リフレクタ4により遮蔽されていた共通の半導体型光源200からの光L1は、共通の固定リフレクタ300の第2固定反射面302に入射して反射する。その反射光L2は、
図8(B)に示す基本ハイビーム配光パターンBHPとして車両の前方に照射される。
【0069】
また、共通の半導体型光源200から放射される光L1は、第2位置に位置する可動リフレクタ4の反射面40に入射して反射する。その反射光L4は、
図8(A)に示す補助ハイビーム配光パターンSHPとして車両の前方に照射される。
【0070】
一方、共通の半導体型光源200から放射される光L1は、共通の固定リフレクタ300の第1固定反射面301に入射して反射する。その反射光L5は、
図7(B)に示す基本ロービーム配光パターンBLPとして車両の前方に照射される。
【0071】
そして、基本ハイビーム配光パターンBHPと、補助ハイビーム配光パターンSHPと、基本ロービーム配光パターンBLPとが重畳(合成)されて、
図9に示すハイビーム配光パターンHPが得られる。
【0072】
ここで、駆動部5により、可動リフレクタ4を第2位置から第1位置に回転移動させると、ハイビーム配光パターンHPからロービーム配光パターンLPに切り替わる。
【0073】
(実施形態2の効果の説明)
この実施形態2における車両用前照灯100は、以上のごとき構成および作用からなり、以下、その効果について説明する。
【0074】
この実施形態2における車両用前照灯100は、前記の実施形態1における車両用前照灯1とほぼ同様の作用効果を達成することができる。
【0075】
特に、この実施形態2における車両用前照灯100は、半導体型光源として発光量が大きい共通の半導体型光源200を使用することにより、基本ロービーム配光パターンBLPを照射する第1ランプユニット7、8、9を使用せずに、共通のランプユニット(第2ランプユニット)200、300、4、5、600のみで、ロービーム配光パターンLPとハイビーム配光パターンHPとを得るものである。このために、この実施形態2における車両用前照灯100は、構成部品点数を軽減することができ、その分、製造コストを安価にすることができる。しかも、灯室内を第1ランプユニット7、8、9の分小さくすることができ、小型化が図られる。
【0076】
(変形例の説明)
前記の実施形態1における第1ランプユニット11と、前記の実施形態1における第2ランプユニット12(
図1(A)参照)の代わりとしての前記の実施形態2における共通のランプユニット200、300、4、5、600と、を組み合わせた車両用前照灯であっても良い。この変形例においては、第1ランプユニット11の第1固定反射面80からの基本ロービーム配光パターンBLPと、共通のランプユニットの第1固定反射面301からの基本ロービーム配光パターンBLPと、が照射されるので、基本ロービーム配光パターンBLPの光度、照度、光量などを容易に増加させることができる。
【0077】
(実施形態1、2以外の例の説明)
この実施形態1、2においては、駆動部5としてソレノイド50を使用するものである。ところが、この発明においては、駆動部5としてソレノイド50以外の駆動部、たとえば、モータなどの駆動部を使用しても良い。
【0078】
また、この実施形態1、2においては、ロービーム配光パターンLPとハイビーム配光パターンHPとを得るものである。ところが、この発明においては、ロービーム配光パターンLP以外の配光パターン、たとえば、フォグランプ配光パターンなどとハイビーム配光パターンHPとを得るものであっても良い。
【0079】
さらに、この実施形態1、2においては、第1半導体型光源7の発光部の発光面、第2半導体型光源2の発光部20の発光面、共通の半導体型光源200の発光部20の発光面が下側に向いているものである。ところが、この発明においては、半導体型光源の発光部の発光面が上側に向いているものであっても良い。この場合においては、第1固定反射面および第2固定反射面が、発光面に対向する側、すなわち、半導体型光源の上側の空間に設けられている。