特許第6205796号(P6205796)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6205796
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】回転電機のステータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 9/19 20060101AFI20170925BHJP
   H02K 11/25 20160101ALI20170925BHJP
【FI】
   H02K9/19 B
   H02K11/25
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-77342(P2013-77342)
(22)【出願日】2013年4月3日
(65)【公開番号】特開2014-204521(P2014-204521A)
(43)【公開日】2014年10月27日
【審査請求日】2016年3月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089082
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 脩
(72)【発明者】
【氏名】阿比子 淳
【審査官】 小林 紀和
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−217303(JP,A)
【文献】 特開2013−031282(JP,A)
【文献】 特開2005−312151(JP,A)
【文献】 特開2012−186902(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0140614(US,A1)
【文献】 特開昭62−025853(JP,A)
【文献】 特開2009−284718(JP,A)
【文献】 特開2010−273423(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 9/19
H02K 11/25
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングの組付け部にステータホルダを介して組み付けられるステータコア内に、それぞれ巻回されて円環状に並べられる複数相のコイルと、前記複数相のコイルに給電する給電部と、ロータの回転で掻き上げられて前記コイルの発熱を冷却する冷却油を前記ハウジング内の底部で貯留する冷却油貯留部とを備え、前記ロータの回転軸が水平方向に配置される回転電機のステータであって、
前記ステータコアの頂上より前記ロータの回転方向に沿って少し下がった位置であり、かつ、前記ロータの掻き上げによる前記冷却油が循環しにくい位置である前記ステータコア上部の最大温度位置に配設された前記コイルの間に、該コイルの温度を検出する温度センサが配され、前記ステータコアの前記最大温度位置に対応する前記ハウジングの組付け部には、前記ステータホルダとの間で半径方向に所定寸法で離間する離間スペースが、前記ステータホルダの円周方向に沿って所定の幅で設けられる回転電機のステータ。
【請求項2】
前記離間スペースには、前記給電部の端子が配される請求項に記載の回転電機のステータ。
【請求項3】
前記コイルは、前記ステータコアの各ティース毎に集中巻回された集中巻コイルであり、
前記温度センサは、前記複数の集中巻コイルのうちの隣接する集中巻コイルの間に配される請求項1又は2に記載の回転電機のステータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステータコアに通電することによりロータを駆動する回転電機のステータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ハイブリッド車や電機自動車に搭載される発電電動機などの回転電機には、コイルを有するステータを外周側に配置し、磁石を有するロータを内周側に配置したインナーロータ回転磁石形のものが多用されている。この種のステータとして、コイルが巻回された複数のティースを円環状に配列し、これをステータホルダの内側に圧入して保持し、ステータホルダの軸方向の一端部に設けたフランジでハウジングに取付るものが知られている。このようなステータを有する回転電機において、ロータを回転させるためにステータのコイルに通電すると、コイルにジュール熱が発生する。この発生した熱が高温となると、ステータに巻回配置されたコイルの絶縁皮膜が溶け絶縁不良を生じたり、高熱によってロータの磁石の磁力が低下したりするおそれがあった。このような高熱によるダメージを受ける前にコイルへの電流を制御する保護制御を行うため、回転電機のステータの温度を検出することが重要である。
【0003】
特許文献1に開示された回転電機においては、分割コアに貫通孔を形成する溝を設け、組み立てられたコアに形成された貫通孔に温度検出素子からの導線ラインを配線し、温度検出素子は予めかご状に形成された固定子用(ステータ用)コイルのコイル支柱に取り付けられることが記載されている。このように、導線ラインを、コアに設けられた貫通孔を通じて外部に導くという構造をとることで、固定子用コイルに直接温度検出素子を取り付けることが可能となり、冷却油の影響を受けることなく、より精度良く回転電機の温度を検出できるとする。
【0004】
特許文献2では、ステータコアとコイルのコイルエンドのトンネル状間隙に、ガイドで固定された温度検出素子を挿入するというものが記載されている。これによって、温度検出素子の検出面が確実にコイル表面に接触するとともに、メンテナンス時にステータから容易に取り出せるとする。
【0005】
特許文献3では、温度検出センサが固定子(ステータ)コイルのコイルエンドから離間して配置され、コイルエンドから引き出された引出導体の温度を温度検出センサで検出することで、固定子コイルの温度を検出することが記載されている。これによって、固定子コイルを冷却する冷却油が、温度検出センサを冷却しないようにし、温度検出精度の低下を防止するとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−312151号公報
【特許文献2】特開2003−92858号公報
【特許文献3】特開20011−30288号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1のものでは、温度検出素子(温度センサ)を設置するために、ステータコアに専用の貫通孔を形成することが必要であるため、ステータコアの製造型のコストを増加させる要因となる。また、発熱体であるコイルの放熱は、ステータコアを通じて行われるため、ステータコアに設けられた貫通孔に導線ラインを配置した位置にある温度検出素子では、ステータコアによる放熱の影響を受けて検出精度が低下するおそれがあった。
【0008】
特許文献2のものでは、コイルエンドに温度検出素子(温度センサ)を装着するため、ロータの回転に伴う掻き上げによって循環される冷却油の影響を受けやすく、検出精度が低下するおそれがあった。
【0009】
特許文献3のものでは、コイルエンドからコイルを引き出すことにより、冷却油の影響は受け難くなるが、コイルを引き出すための構造が必要となる。また、引き出しに使用される引出導体は放熱性が良いと考えられることから、コイルの実際の最高温度(最大温度)が測定できないおそれがあった。
【0010】
また、コイルへの電流を制御する保護制御を行うため、最大温度となるコイルの温度を検出することが必要となるが、回転電機のコイルは通常複数個あり、複数個のコイルのうち最大温度となるコイルの場所を特定するのが困難であった。
【0011】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、回転電機に使用されるステータに配設される複数のコイルのうち、最大温度となるコイルの温度を検出する回転電機のステータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明の構成上の特徴は、ハウジングの組付け部にステータホルダを介して組み付けられるステータコア内に、それぞれ巻回されて円環状に並べられる複数相のコイルと、前記複数相のコイルに給電する給電部と、ロータの回転で掻き上げられて前記コイルの発熱を冷却する冷却油を前記ハウジング内の底部で貯留する冷却油貯留部とを備え、前記ロータの回転軸が水平方向に配置される回転電機のステータであって、前記ステータコアの頂上より前記ロータの回転方向に沿って少し下がった位置であり、かつ、前記ロータの掻き上げによる前記冷却油が循環しにくい位置である前記ステータコア上部の最大温度位置に配設された前記コイルの間に、該コイルの温度を検出する温度センサが配され、前記ステータコアの前記最大温度位置に対応する前記ハウジングの組付け部には、前記ステータホルダとの間で半径方向に所定寸法で離間する離間スペースが、前記ステータホルダの円周方向に沿って所定の幅で設けられることである。
【0013】
これによると、温度センサは、ステータコアの頂上よりロータの回転方向に沿って少し下がった位置であり、かつ、ロータの掻き上げによる冷却油が循環しにくい位置であるステータコア上部の最大温度位置に配設されたコイルの間に配される。冷却油は、ハウジング底部の冷却油貯留部に貯留され、冷却油の粘着性により回転するロータの外周面に沿って上方に掻き上げられ、掻き上げられた冷却油が重力によって冷却油貯留部に落下するという循環の間に、冷却油が接触したコイルを冷却する。そのため、冷却油の循環する量の少ないステータコア上部に配設されたコイルの間に温度センサを配することで、冷却油で冷却されることの最も少ない最大温度となるコイルの温度を検出することができる。これによって、過熱保護のためのマージンをなくし、必要以上の出力を持つ大型回転電機とすることがなくなり回転電機の小型化を図ることができる。
また、ハウジングの組み付け部とステータホルダとの間に離間スペースが設けられることで、コイルに生じた発熱がハウジングを通して放熱されることが妨げられる。これによって、離間スペースに対応するステータコアの位置は、冷却油が循環しにくい位置であることと相俟って、最大発熱位置となる。
【0016】
請求項に係る発明の構成上の特徴は、前記離間スペースには、前記給電部の端子が配される請求項記載の回転電機のステータであることである。
【0017】
これによると、給電部の端子を接続するために形成された既存のスペースが、離間スペースとなる。新たに専用の離間スペースを設けることが不要となるので、既存の製造型および加工設備を使用することができ、製造コストの増加を防止することができる。
【0018】
請求項に係る発明の構成上の特徴は、前記コイルは、前記ステータコアの各ティース毎に集中巻回された集中巻コイルであり、前記温度センサは、前記複数の集中巻コイルのうちの隣接する集中巻コイルの間に配される請求項1又は2に記載の回転電機のステータであることである。
【0019】
集中巻コイルは、隣接するコイル間にスペースを設けやすいので、極めて容易に温度センサを配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明に係る第1実施形態におけるハイブリッド車両の駆動力の制御系統および伝達系統を示す概略図である。
図2】本発明に係る実施形態の回転電機を有する車両用駆動力伝達構造の断面図である。
図3】ハウジングに組み付けられたステータの平面図である。
図4】ステータコアのコイル間に配された温度センサを示す拡大された斜視図である。
図5】コイル間に配された温度センサを示す断面図である。
図6】ロータの掻き上げによる冷却油の循環を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(実施例1)
本発明に係る回転電機のステータの実施形態を、二つの駆動源を有するハイブリッド車両に使用される電動モータについて説明する。車両の駆動源としてのエンジン(EG)14と電動モータ(回転電機に対応)2との間には、図1に示すように、湿式多板クラッチであるノーマルクローズタイプのクラッチ6が介装されている。クラッチ6は、エンジン14と電動モータ2との間の接続を接離してトルク伝達を断続している。また、電動モータ2には、車両の自動変速機16に直列に接続されており、自動変速機16には、図示しない車両の駆動輪が図示しないディファレンシャル装置を介して接続されている。エンジン14、電動モータ2、自動変速機16は制御装置(ECU)7によって制御されている。電動モータ2にはステータ10内の温度を検出する温度センサ(サーミスタ素子)15が設けられ、検出された温度に基づいて後述するコイル52の過熱防止のための保護制御が制御装置(ECU)7によって行なわれる。クラッチ6には、クラッチ6の接続・遮断状態を作動させる図略の油圧回路、油圧回路への油圧の供給をおこなうオイルポンプ9が設けられ、油圧回路に設けられた電磁切替弁11及びオイルポンプ9を制御装置7が作動させてクラッチ6に適正な油圧を供給する。さらに、制御装置7は、自動変速機16のシフトバルブを作動させる電磁ソレノイド(図示せず)と接続されており、エンジン14の回転速度、車両速度、シフト位置等に基づき、自動変速機の作動を制御している。
【0022】
電動モータ2は、ハイブリッド車両の車輪駆動用の同期モータである。しかしながら、本発明はこれに限定されるべきものではなく、家庭用電器に設けられるモータあるいは、一般的な産業用機械を駆動するモータといったあらゆる電動モータに適用することが可能である。
【0023】
なお、説明中において、回転軸線方向または軸方向という場合、特に断らなければ、電動モータ2に含まれたロータ4の水平方向の回転軸CLに沿った方向、図2における左右方向を意味する。また、図1および図2において、左方を電動モータ2およびクラッチ6の前方をいい、右方を後方ということがあるが、実際の車両上における方向とは無関係である。
【0024】
図2に示すように、モータハウジング(ハウジングに対応)8は、ロータ4およびステータ10を内臓した状態で、前方をモータカバー(ハウジングの一方の側壁に該当する)12により封止されている。モータハウジング8は軽金属として例えばアルミ合金製である。
【0025】
図1および図2に示した電動モータ2が搭載された車両は、エンジン14により走行する場合、エンジン14が自動変速機16を介して駆動輪を回転させる。また電動モータ2により走行する場合、電動モータ2が自動変速機16を介して駆動輪を回転させる。この時、クラッチ6をレリーズさせて、エンジン14と電動モータ2との間の接続を解除している。さらに、電動モータ2は、クラッチ6を介してエンジン14により駆動され、発電機としても機能する。
【0026】
モータカバー12の内周端には、軸受18を介してクラッチ6の入力軸20が、回転軸CLを中心に回転可能に取付けられている。回転軸CLは、エンジン14および自動変速機16の出力軸22の回転軸でもある。入力軸20はエンジン14のクランクシャフト(図略)と、図示しないフライホイール及び回転振動を吸収するためのダンパを介して接続されている。
【0027】
また、入力軸20は、クラッチ6の係合部24を介して、クラッチドラム(クラッチアウタ)26と接続されている。係合部24は、クラッチドラム26の押圧部に係合された複数の第1クラッチプレートとしてのセパレートプレート28と、入力軸20の支持部に係合された複数の第2クラッチプレートとしての摩擦プレート30とを有している。セパレートプレート28と摩擦プレート30とが係脱することにより、入力軸20とクラッチドラム26との間が断続される。
【0028】
クラッチドラム26は、電動モータ2のロータ4に連結されるとともに、半径方向内方へと延びて、内端において出力軸22とスプライン嵌合している。また、クラッチドラム26とモータハウジング8の支持壁部32との間には双方の間で相対回転が可能なように、複列アンギュラベアリング34が介装されている。
【0029】
電動モータ2のロータ4は、クラッチドラム26を介して、モータハウジング8に回転可能に取付けられている。ロータ4は、ロータコア39、マグネット41及び支持部材40を有している ロータコア39は、磁路の一部を構成するとともに、マグネット41が収容される円環状の部材である。ロータコア39は、積層された複数の円環状の電磁鋼板(珪素鋼板)36が積層されて構成され、複数の電磁鋼板36は一対の保持プレート38により挟持され、これに支持部材40を貫通させて端部がかしめられることで形成されている。ロータコア39には、軸方向(前後方向)に貫通する貫通孔が、周方向に複数形成されている。
【0030】
マグネット41は、磁束を発生する棒状の部材である。マグネット41は、ロータコア39の貫通孔に収容されている。マグネット41は、ロータコア39の外周面に、周方向に交互に異なる磁極が形成されるように、電磁鋼板36の板厚方向に着磁されている。
【0031】
また、モータハウジング8の内周面には、ロータ4の外周側に所定の隙間を置いて半径方向に対向するように、電動モータ2のステータ10が取付けられている。ステータ10は、ステータホルダ42とステータコア46とにより主に構成されている。ステータコア46は、複数の分割コア46aがステータホルダ42の円筒部44内に円環状に並ぶことで形成されている。まとめられたステータコア46の内周面には回転磁界発生用の複数相のコイル52が円環状に配されている(図2及び図3参照)。
【0032】
各分割コア46aは、複数の珪素鋼板(電磁鋼板)が積層されることにより形成されたティース48を備えている。ティース48には一対のボビン50,51が装着され、ボビン50,51はティース48の外周面を囲むように互いに嵌合している。さらに、ボビン50,51の回りには、前述の回転磁界を発生させるためのコイル52が巻回されている。このコイル52は、コイル52が各ティース48に集中巻回されたいわゆる集中巻方式である。
【0033】
図3におけるステータコア46の上部位置(最大温度位置)に配設された複数のコイル52のうちの一組の隣接するコイル52の間には、温度センサとしてのサーミスタ素子(NTC 「Negative Temperature Coefficient」) 15が配置されている。サーミスタ素子15はホルダブラケット15a内に収容された状態で、隣り合ったコイル52間に挿入されている。ホルダブラケット15aは、合成樹脂材料により一体に形成され、ホルダブラケット15aからは、サーミスタ素子15に接続されたセンサ配線15bが引き出されている。センサ配線15bは、ステータ10上を取り回された後外部へと導出されている。サーミスタ素子15が検出したコイル温度の信号はセンサ配線15bを通じて制御装置(ECU)7に送信され、制御装置(ECU)7は過負荷となる電流が電動モータ2に流れないように保護制御がなされる。
【0034】
ステータコア46の下部位置には、配設された複数のコイル52のうちの一組の隣接するコイル52の間にサーミスタ素子17が配置されている。この下部位置に配設されたサーミスタ素子17は、主に冷却油66の温度を検出するもので、上部位置に配設されたサーミスタ素子15と同様にホルダブラケット17a内に収容され、検出された冷却油66の温度はセンサ配線17bを通じて制御装置(ECU)7に送信される。
【0035】
ボビン50,51は、コイル52とステータコア46との間を絶縁するため樹脂で構成されている。コイル52は、U相コイル、V相コイル、W相コイルからなり、これらをY結線して構成されている。ステータコア46の半径方向外方において対向するように円環状のバスリング53が形成されている。これらのステータコア46の周囲に巻回されたコイル52はバスリング53および後述する端子収容部70に配されたステータコイル71を介して外部のインバータ(図略)と接続される。
【0036】
ステータホルダ42は鋼板をプレス成型して形成されており、図3に示すように、筒状の円筒部44と、円筒部44の軸方向端部から半径方向外方に延びた4箇所のフランジ部54を有している。フランジ部54は、ステータ10をモータハウジング8に取付けるために、円筒部44の端部円周上において、互いに所定の間隔を有するように配置されている。また、フランジ部54同士の間には、フランジ部54よりも幅狭の外周フランジ56が形成されている。
【0037】
フランジ部54には、それぞれ互いに近接して設けられた一対の組付孔58が貫通している。組付孔58は全て同径に形成され、フランジ部54が全て同形状を呈するように、すべてのフランジ部54において同位置に形成されている。
【0038】
ステータコア46はステータホルダ42の内周面に、例えば以下の焼き嵌めにより取付けられる。まず、ステータホルダ42を所定温度に加熱することにより、その内周が拡張する。次に、加熱されたステータホルダ42の円筒部44に対してティース48のバックヨーク部(図示せず)を互いに当接させて複数の分割コア46aを円環状に並べた状態で挿入していく。複数の分割コア46aが円筒部44内に挿入された後、ステータホルダ42は冷却されて収縮し、ステータコア46を強固に保持することができる。
【0039】
また、ステータコア46をステータホルダ42に取付ける方法として、常温における圧入を適用してもよい。さらに、圧入によりステータコア46をステータホルダ42内に保持させる場合、ステータコア46と円筒部44との間に接着剤を介在させ、その保持力を増大させてもよい。
【0040】
ステータコア46が組付けられたステータホルダ42は、例えばボルト64によって、モータハウジング8のボス部(組付け部)60に設けられた取付穴62に固定される。
【0041】
モータハウジング8の底部には冷却油66を貯留する冷却油貯留部68が設けられ、冷却油貯留部68にはロータ4の外周下部が浸漬可能な量の冷却油66が貯められている。
【0042】
モータハウジング8のボス部60には、図3において上部位置の右側に、ステータコア46の前記最大温度位置に対応して、端子収容部(離間スペースに対応する)70が設けられている。端子収容部70は、ステータホルダ42との間で半径方向に所定寸法で離間するとともに、ステータホルダ42の円周方向に沿って所定の幅で設けられている。U,V,Wの各同一相毎にまとめられたステータコイル(給電部)71の3つの端子72と、図略のインバータ等と接続された給電ケーブルの3つのケーブル端子74とが、それぞれターミナル固定ボルト76で端子収容部70に共締めされ、互いに導通する。
【0043】
次に、上記のように構成された回転電機のステータの使用状態を以下に説明する。ステータホルダ42がモータハウジング8に固定された状態で、電動モータ2に例えば三相交流電流を供給すると、ステータ10において回転磁界が発生し、回転磁界に起因する吸引力または反発力によって、ステータ10に対してロータ4が回転する。そして、図6に示すように、冷却油66に浸漬されたロータ4の回転によって、ロータ4の外周下部に付着した冷却油66が掻き上げられてステータコア46の内周に環状に配設されたコイル52に接触する。その際、冷却油66は、ロータ4の回転によってステータ10の上部にまで掻き上げられる間に重力によって落下する。また、上部まで掻き上げられた冷却油66は、ロータ4の上部外周に沿って移動する間にも落下する。そして、図6に示すように、ロータ4の上部であって、回転の頂上から少し下がった付近に位置するステータ10のコイル52に冷却油66が循環する量が少なくなる。そのため、この最も冷却油が循環しにくい位置のコイル52が、冷却油66の冷却の影響が少なくて、前述の最大温度位置に配設されたコイル52となる。そして、この最大温度位置に対応するモータハウジング8のボス部60には、ステータホルダ42との離間スペースとなる端子収容部70が設けられている。そのため、ステータ10からモータハウジング8に逃げる放熱が妨げられる。これらによって、この最大温度位置にあるコイル52より、ステータ10内のコイル52中での最大温度を検出することができる。制御装置7は、検出された最大温度に基づいて電動モータ2に印加する電流の量を制御する。
【0044】
上述の説明から明らかなように、上記実施形態における回転電機のステータによると、 サーミスタ素子15は、ロータ4の掻き上げによる冷却油66が循環しにくく、ステータコア46上部の最大温度位置に配設されたコイル52の間に配される。冷却油66は、モータハウジング8底部の冷却油貯留部68に貯留され、冷却油66の粘着性により回転するロータ4の外周面に沿って上方に掻き上げられ、掻き上げられた冷却油66が重力によって冷却油貯留部68に落下するという循環の際に、冷却油66が接触したコイル52を冷却する。そのため、冷却油66の循環する量の少ないステータコア46上部に配設されたコイル52の間にサーミスタ素子15を配することで、冷却油66で冷却されることの最も少ない最大温度となるコイル52の温度を検出することができる。これによって、加熱保護によるマージンをなくし、必要以上の出力を持つ大型電動モータとすることがなくなるので電動モータ2の小型化を図ることができる。
【0045】
また、モータハウジング8のボス部60とステータホルダ42との間に端子収容部70を設けることで、コイル52に生じた発熱がモータハウジング8を介して放熱されることが妨げられる。これによって、端子収容部70に対応するステータコア46の位置は、冷却油66が循環しにくい位置であることと相俟って、最大発熱位置となる。
【0046】
また、給電部の端子を接続するために形成された既存の端子収容部70は離間スペースとなる。そのため、モータハウジング8のボス部60に、新たに専用の離間スペースを設けることが不要となり、既存の製造型および加工設備を使用することができ、製造コストの増加を防止することができる。
【0047】
また、本実施形態で使用された集中巻コイルは、隣接するコイル52間にスペースを設けやすいので、極めて容易にサーミスタ素子15を配置することができる。
【0048】
なお、上記実施形態において、温度センサをサーミスタ素子としたが、これに限定されず、例えば熱電対素子でもよい。
【0049】
また、ステータコアを分割コアとしたが、これに限定されず、例えば一体のコアでもよい。
【0050】
また、ステータコイルにおけるコイルの巻回方式を集中巻としたが、これに限定されず、例えば、分布巻でもよい。
【0051】
また、モータハウジングをアルミを母材とするアルミ合金製としたが、これに限定されず、例えば、マグネシウムやチタンを母材とする軽合金製でもよい。
【0052】
また、上記実施形態における入力軸20と出力軸22とを反転させる構成としてもよく、例えば、上記実施形態における出力軸22にエンジンを連結して新入力軸とし、入力軸20を電動モータのロータと一体的に回転する構成とし新出力軸としてもよい。
【0053】
また、本発明における自動変速機は、一般的に変速機として用いられる遊星歯車変速機以外にも、無段変速機や、一般的に手動変速機で採用される同期噛合式歯車変速機であってもよい。
【0054】
また、第1クラッチプレートをセパレートプレート、第2クラッチプレートを摩擦プレートとしたが、これに限定されず、例えば、第1クラッチプレートを摩擦プレートとし、第2クラッチプレートをセパレートプレートとしてもよい。
【0055】
本発明は、上記しかつ図面に示した実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。
【符号の説明】
【0056】
2・・・回転電機(電動モータ)、4・・・ロータ、8・・・ハウジング(モータハウジング)、10・・・ステータ、14・・・エンジン、15・・・温度センサ(サーミスタ素子)、42・・・ステータホルダ、46・・・ステータコア、48・・・ティース、60・・・組付け部(ボス部)、66・・・冷却油、68・・・冷却油貯留部、70・・・離間スペース(端子収容部)、71・・・給電部(ステータコイル)、CL・・・回転軸。
図1
図2
図3
図4
図5
図6