(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
1対の主面、1対の側面および1対の端面を外表面として有する直方体形状であり、角部を有する部品本体と、前記角部を含むとともに前記1対の端面ならびにそれに隣接する前記1対の主面および前記1対の側面の各一部を含む第1の領域に形成される第1の外部電極と、前記第1の領域とは異なる前記部品本体の前記1対の側面の各一部を含む第2の領域に形成される第2の外部電極とを備える、電子部品を製造する方法であって、
前記部品本体を準備する、第1の工程と、
前記部品本体をそれぞれ保持するための複数の開口が設けられた保持テープを準備する、第2の工程と、
前記保持テープの前記開口に前記部品本体を挿入することによって、前記部品本体の前記第2の領域を前記保持テープの主面から突出させながら、前記開口を規定する周縁部に前記部品本体の前記第1の領域の一部を接触させて、前記1対の側面が前記保持テープの主面と平行な状態となるように、前記部品本体を前記保持テープによって保持した状態とする、第3の工程と、
前記保持テープによって保持された前記部品本体の前記第2の領域に前記第2の外部電極となるべき導電性ペーストを塗布する、第4の工程と、
前記第2の外部電極となるべき導電性ペーストが塗布された前記部品本体を、前記保持テープによる保持から解放する、第5の工程と、
前記第2の外部電極となるべき導電性ペーストを焼き付ける、第6の工程と、
少なくとも前記第5の工程の後、前記部品本体の前記第1の領域に前記第1の外部電極となるべき導電性ペーストを塗布する、第7の工程と、
前記第1の外部電極となるべき導電性ペーストを焼き付ける、第8の工程と、
を備え、
前記保持テープの前記開口を規定する前記周縁部は、前記第3の工程において、前記部品本体の前記角部と、前記1対の主面における、前記第2の領域を前記1対の主面の各々へと延長した領域と、のいずれにも接触し得ない形状を有し、
前記第4の工程では、前記1対の側面に同時に前記導電性ペーストが塗布される、
電子部品の製造方法。
前記保持テープの前記開口を規定する前記周縁部は、前記部品本体の前記1対の端面の各中央部にそれぞれ接触し得るように互いに対向する少なくとも1対の第1の接触点を有する、請求項1ないし4のいずれかに記載の電子部品の製造方法。
前記保持テープの前記開口を規定する前記周縁部は、前記部品本体の前記1対の主面または前記1対の側面の各一部にそれぞれ接触し得るように互いに対向する少なくとも1対の第2の接触点をさらに有する、請求項5に記載の電子部品の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図11には、前述した特許文献1に記載された紙テープ1に部品本体2が保持された状態が示されている。紙テープ1は、部品本体2を受け入れる開口3を有する。部品本体2は、直方体形状であり、1対の主面4および5、1対の側面6および7ならびに1対の端面8および9を有している。
図11において、第1および第2の外部電極は図示されないが、破線をもって、第1の外部電極が形成されるべき第1の領域10および11ならびに第2の外部電極が形成されるべき第2の領域12が図示されている。
【0008】
図11に示した状態を得るため、紙テープ1の開口3内に部品本体2を挿入することが行なわれる。この挿入には、ある程度強制的な圧入を伴う。そのため、紙テープ1の開口3を規定する周縁部が部品本体2によって擦られることによって、紙テープ1の構成材料に由来する紙粉がはじき出され、これが部品本体2に付着することがある。そして、この紙粉の付着が、部品本体2の主面4または5と側面6または7と端面8または9とが交差する角部13において生じることもあり得る。
【0009】
しかしながら、部品本体2に付着した紙粉は、以下のような問題を引き起こすことがある。
【0010】
外部電極形成のための導電性ペーストが紙粉を巻き込んだ状態で塗布された場合、導電性ペーストの焼付け工程において、紙粉が発熱し、そのため、導電性ペーストに爆ぜが発生する懸念がある。この爆ぜは、得られた外部電極において損傷をもたらす。外部電極における損傷は、外部電極に水分浸入の経路を生じさせることになり、その結果、絶縁抵抗特性といった電子部品の電気的特性の劣化を招く。
【0011】
特に、部品本体2の角部13に紙粉が付着すると深刻である。なぜなら、第2の外部電極となるべき導電性ペーストの膜厚は、角部13において、他の部分に比べて、より薄くなりやすく、そのため、爆ぜによって、外部電極がより深く損傷する可能性があるからである。
【0012】
なお、上述した問題は、紙テープを使用した場合に限らず、紙以外の材料からなる同様の形態の保持テープを使用した場合であっても遭遇し得る。なぜなら、保持テープの開口を規定する周縁部が部品本体によって擦られることによって、保持テープの構成材料の一部(以下、「小片」という。)がはじき出され、これが部品本体に付着することがあるからである。
【0013】
また、上述の問題は、積層構造を有する貫通型コンデンサを製造する場合に限らず、他の電子部品を製造する場合にも遭遇し得る。
【0014】
そこで、この発明の目的は、上記のような問題を引き起こし得る紙粉のような保持テープの構成材料の一部である小片が部品本体、特に部品本体の角部に付着する確率を低減できる、電子部品の製造方法を提供しようとすることである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この発明に係る製造方法は、
1対の主面、1対の側面および1対の端面を外表面として有する直方体形状であり、角部を有する部品本体と
、上記角部を含む
とともに1対の端面ならびにそれに隣接する1対の主面および1対の側面の各一部を含む第1の領域に形成される第1の外部電極と、第1の領域とは異なる部品本体の
1対の側面の各一部を含む第2の領域に形成される第2の外部電極とを備える、電子部品の製造に向けられる。
【0016】
このような電子部品の製造にあたって、
部品本体を準備する、第1の工程と、
部品本体をそれぞれ保持するための複数の開口が設けられた保持テープを準備する、第2の工程と、
保持テープの開口に部品本体を挿入することによって、部品本体の第2の領域を保持テープの主面から突出させながら、開口を規定する周縁部に部品本体の第1の領域の一部を接触させて、
1対の側面が保持テープの主面と平行な状態となるように、部品本体を保持テープによって保持した状態とする、第3の工程と、
保持テープによって保持された部品本体の第2の領域に第2の外部電極となるべき導電性ペーストを塗布する、第4の工程と、
第2の外部電極となるべき導電性ペーストが塗布された部品本体を、保持テープによる保持から解放する、第5の工程と、
第2の外部電極となるべき導電性ペーストを焼き付ける、第6の工程と、
少なくとも第5の工程の後、部品本体の第1の領域に第1の外部電極となるべき導電性ペーストを塗布する、第7の工程と、
第1の外部電極となるべき導電性ペーストを焼き付ける、第8の工程と、
が実施される。
【0017】
そして、上述した技術的課題を解決するため、この発明では、開口を規定する周縁部が、上記第3の工程において、部品本体の角部
と、上記1対の主面における、上記第2の領域を1対の主面の各々へと延長した領域と、のいずれにも接触し得ない形状を有する、保持テープを用いるとともに、第4の工程では、1対の側面に同時に導電性ペーストが塗布されることを特徴としている。
【0018】
このように、保持テープの開口を規定する周縁部が部品本体の角部に接触し得ない形状を有していると、保持テープからもたらされる構成材料の一部である小片が部品本体の角部に付着する確率が低減される。また、部品本体を開口に挿入する第3の工程で、開口を規定する周縁部が部品本体の角部によって擦られることがなく、そのため、部品本体の角部によって保持テープの小片がはじき出されることがない。このことも、保持テープからもたらされる小片が部品本体の角部に付着する確率の低減に寄与する。
【0020】
この発明において、第2の外部電極は、部品本体の1対の主面および1対の側面を周回するように形成され、したがって、第2の外部電極が形成される第2の領域は、1対の主面の各一部をさらに含んでいてもよい。この場合には、第5の工程と第6の工程との間に、第2の保持テープの開口に部品本体を再び挿入することによって、部品本体の1対の主面を第2の保持テープの主面と平行な状態となるように部品本体を第2の保持テープによって保持した状態とする、第9の工程と、第2の保持テープによって保持された部品本体の1対の主面に第2の外部電極の延長部となるべき導電性ペーストを塗布する、第10の工程と、第2の外部電極の延長部となるべき導電性ペーストが塗布された部品本体を、第2の保持テープによる保持から解放する、第11の工程と、がさらに実施される。
【0021】
上述のように、第2の外部電極が部品本体の1対の主面および1対の側面を周回するように形成される場合、保持テープからもたらされる小片が部品本体の角部に付着し得る可能性は、第3の工程においてだけでなく、第9の工程においてもあるので、この発明による効果がより顕著に発揮される。
【0022】
この発明において、省エネルギーの観点から、第6の工程と第8の工程とは同時に実施されることが好ましい。なお、第6の工程が第7の工程に先立って実施されると、第3の工程において、部品本体の角部を含む第1の領域に、不所望にも、保持テープからもたらされる小片が付着したとしても、第6の工程でこの小片を焼失させることができ、第7の工程で塗布される第1の外部電極となるべき導電性ペーストに小片が混入することはある程度防ぐことができる。これに対して、第6の工程と第8の工程とが同時に実施される場合には、第3の工程で部品本体に付着した小片を取り除く機会がないので、この発明による小片の付着防止効果がより有効に作用することになる。
【0023】
部品本体が上述したような直方体形状である場合、保持テープの開口を規定する周縁部は、部品本体の1対の端面の各中央部にそれぞれ接触し得るように互いに対向する少なくとも1対の第1の接触点を有することが好ましい。これにより、部品本体を安定的に保持テープによって保持することができる。
【0024】
また、保持テープの開口を規定する周縁部は、部品本体の1対の主面または1対の側面の各一部にそれぞれ接触し得るように互いに対向する少なくとも1対の第2の接触点をさらに有することがより好ましい。これにより、部品本体の、保持テープの位置決めをより確実に行なうことができる。
【発明の効果】
【0025】
この発明によれば、保持テープは、その開口を規定する周縁部が、第3の工程において、部品本体の角部に接触し得ない形状を有しているので、保持テープからもたらされる小片が部品本体の角部に付着する確率が低減される。したがって、外部電極形成のための導電性ペーストの焼付け工程において、小片が発熱し、そのため、導電性ペーストに爆ぜが発生するといった懸念を低減することができる。特に、外部電極となるべき導電性ペーストの膜厚が薄くなる部品本体の角部での導電性ペーストの爆ぜを生じにくくすることができる。
【0026】
その結果、得られた電子部品において、外部からの水分の浸入経路となり得る損傷が外部電極にもたらされにくくなり、そのため、水分浸入に起因する絶縁抵抗特性劣化のような電気的特性の劣化を生じにくくすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
この発明に係る製造方法は、前述したように、角部を有する部品本体と、部品本体の外表面における角部を含む第1の領域に形成される第1の外部電極と、第1の領域とは異なる部品本体の外表面における第2の領域に形成される第2の外部電極とを備える、電子部品であれば、どのような電子部品の製造にも適用することができる。
【0029】
[第1の実施形態]
〈電子部品の説明〉
まず、
図4ないし
図6を参照して、この発明が適用される電子部品の一例としての貫通型コンデンサ21について説明する。
【0030】
貫通型コンデンサ21は、部品本体22と、部品本体22の内部に配置された第1および第2の内部電極23および24と、部品本体22の外表面上に配置された第1の外部電極25および26ならびに第2の外部電極27および28と、を備えている。以下、部品本体、外部電極および内部電極の各々について、より詳細に説明する。
【0031】
(1)部品本体
部品本体22は、その外表面として、互いに対向する1対の主面29および30と、互いに対向する1対の側面31および32と、互いに対向する1対の端面33および34とを有する、直方体形状をなしている。部品本体22は、詳細には図示しないが、主面29および30の方向に延びかつ積層された複数の誘電体セラミック層35からなる積層構造を有する。
【0032】
直方体形状の部品本体22は、主面29または30と側面31または32と端面33または34とが交差する8つの角部36を有している。図示を省略するが、これら角部36、主面29または30と側面31または32とが交差する4つの稜部、主面29または30と端面33または34とが交差する4つの稜部、ならびに側面31または32と端面33または34とが交差する4つの稜部には、丸みが付けられていることが好ましい。
【0033】
(2)外部電極
2つの第1の外部電極25および26ならびに2つの第2の外部電極27および28は、部品本体22の外表面上で、互いに分離して形成されている。
【0034】
より詳細には、第1の外部電極25および26は、部品本体22の外表面における角部36を含む第1の領域37および38(
図1をも参照)に形成されている。すなわち、第1の外部電極25および26は、それぞれ、部品本体22の端面33および34上に形成されるとともに、端面33および34に隣接する主面29および30ならびに側面31および32の各一部にまで回り込むように形成されている。
【0035】
第2の外部電極27および28は、上述した第1の領域37および38とは異なる部品本体22の外表面における第2の領域39および40(
図1をも参照)に形成されている。すなわち、第2の外部電極27および28は、それぞれ、部品本体22の側面31および32の各中央部上に形成されるとともに、側面31および32に隣接する主面29および30の各一部にまで回り込むように形成されている。
【0036】
外部電極25〜28は、たとえばCuのような導電性金属からなる粉末を含む導電性ペーストを焼き付けることによって形成される。
【0037】
(3)内部電極
第1の内部電極23は、
図5に示すように、部品本体22の両端面33および34間にわたって延び、2つの第1の外部電極25および26にそれぞれ電気的に接続されるように端面33および34にまで引き出されている。
【0038】
第2の内部電極24は、
図6に示すように、部品本体22の両側面31および32間にわたって延び、2つの第2の外部電極27および28にそれぞれ電気的に接続されるように側面31および32にまで引き出されている。
【0039】
第1および第2の内部電極23および24は、積層方向において交互に配置される。
図5と
図6とを対比すればわかるように、第1の内部電極23と第2の内部電極24とは、積層方向に透視したとき、各々の主要部において重なっており、これによって静電容量が形成される。
【0040】
〈電子部品の製造方法〉
上述した電子部品としての貫通型コンデンサ21の製造方法、特に外部電極25〜28の形成方法について、以下に説明する。
【0041】
(1)部品本体準備工程
部品本体22が用意される。部品本体22は、誘電体セラミック層35となるべき複数のセラミックグリーンシートを用意し、複数のセラミックグリーンシート上に内部電極23および24となるべき導電性ペースト膜を形成し、次いで、これら複数のセラミックグリーンシートを積層し、これを焼成する、といった公知の製造技術によって製造される。部品本体22の内部には、第1および第2の内部電極23および24が形成されている。
【0042】
部品本体22は、一例として、1.0mm×0.5mm×0.5mmの外形寸法を有している。
【0043】
(2)保持テープ準備工程
他方、
図1に示すような保持テープ41が用意される。保持テープ41には、部品本体22をそれぞれ保持するための複数の開口42が設けられている。
図1には、保持テープ41の一部、すなわち、1つの開口42のみが図示されている。実際には、保持テープ41は、その長手方向に複数の開口42を分布させている。開口42の形状の詳細については、後述する。
【0044】
保持テープ41は、好ましくは、たとえば0.2mmの厚みを有する紙から構成される。
【0045】
(3)部品本体挿入工程
次に、保持テープ41の開口42に部品本体22が挿入される。部品本体22の挿入後の状態が
図1に示されている。部品本体22は、第2の領域39および40を保持テープ41の主面から突出させながら、開口42を規定する周縁部に部品本体22の第1の領域37および38の一部を接触させた状態で、保持テープ41によって保持される。特に、この実施形態では、部品本体22は、1対の側面31および32が保持テープ41の主面と平行な状態となるように保持テープ41によって保持される。この保持のために、保持テープ41を構成する材料が有する弾性が有効に働く。
【0046】
保持テープ41の開口42を規定する周縁部は、部品本体22の1対の端面33および34の各中央部にそれぞれ接触し得るように互いに対向する1対の第1の接触点43および44を有する。さらに、保持テープ41の開口42を規定する周縁部は、部品本体22の1対の主面29および30の各一部にそれぞれ接触し得るように互いに対向する少なくとも1対の、図示の実施形態では、2対の第2の接触点45〜48を有する。
【0047】
このような保持テープ41の開口42の形状に注目すると、開口42を規定する周縁部は、部品本体41の挿入に際して、部品本体41の角部36に接触し得ない形状を有している。したがって、保持テープ41からもたらされる紙粉のような小片が部品本体41の角部36に付着する確率が低減される。また、角部36だけでなく、主面29および30の各々と端面33または34の各々とが交差する稜部についても、保持テープ41からもたらされる小片が付着する確率が低減される。
また、図示された2対の第2の接触点45〜48の各位置からわかるように、保持テープ41の開口42を規定する周縁部は、1対の主面29および30における、第2の領域39および40を1対の主面29および30の各々へと延長した領域にも接触し得ない形状を有している。
【0048】
(4)第2の外部電極のための導電性ペーストの塗布工程
次に、保持テープ41によって保持された部品本体22の第2の領域39および40に第2の外部電極27および28となるべき導電性ペーストを塗布する工程が実施される。この塗布工程を実施している状態が
図7に示されている。
【0049】
図7を参照して、複数の部品本体22を保持する保持テープ41は、矢印49で示す方向に搬送される。この搬送経路の途中において、以下のようにして、保持テープ41によって保持された部品本体22の一方および他方側面31および32に向かって導電性ペースト50が供給される。
【0050】
保持テープ41の一方および他方主面側に、それぞれ、導電性ペースト50を貯留したペーストタンク51および52が配置され、ペーストタンク51および52に貯留された導電性ペースト50内に各一部浸漬されるように、それぞれ、塗布用ローラ53および54が配置される。
【0051】
塗布用ローラ53および54は、互いに同じ構造を有しているが、一方の塗布用ローラ53が単独で
図8に示されている。
図8に示すように、塗布用ローラ53の周面には、導電性ペースト50を受け入れる周回溝55が設けられている。他方の塗布用ローラ53においても、同様に、周回溝56が設けられている。
【0052】
図7に示すように、塗布用ローラ53および54は、それぞれ、矢印57および58方向に回転しながら、各々の周面が部品本体22の一方および他方側面31および32に同時に接触するように配置される。塗布用ローラ53および54の回転に従って、導電性ペースト50は、周回溝55および56内に受け入れられ、塗布用ローラ53および54の周面に付着した余分な導電性ペースト50は、ブレード59および60によって掻き取られ、ペーストタンク51および52内に戻される。
【0053】
塗布用ローラ53および54が部品本体22の側面31および32に接触したとき、周回溝55および56内に受け入れられている導電性ペースト50は、部品本体22の側面31および32の各一部を含む第2の領域39および40に転写される。このようにして塗布された導電性ペースト50は、周回溝55および56の幅方向寸法に相当する幅方向寸法をもって、第2の外部電極27および28となるべき導電性ペースト膜61を形成する。導電性ペースト膜61は、部品本体22の側面31および32から隣接する主面29および30の各一部にまで延びるように形成される。
【0054】
上述したように、導電性ペースト膜61が主面29および30の各一部にまで延びるように形成されることを考慮したとき、保持テープ41の開口42を規定する周縁部は、第2の領域39および40
、特に、1対の主面29および30における、第2の領域39および40を1対の主面29および30の各々へと延長した領域には接触しないようにすることが好ましい。なぜなら、保持テープ41の開口42を規定する周縁部が第2の領域39および40
、特に、1対の主面29および30における、第2の領域39および40を1対の主面29および30の各々へと延長した領域に接触していると、塗布された導電性ペースト50が、不用意にも保持テープ41に付着し、導電性ペースト膜61、引いては第2の外部電極27および28の形態不良を招くことがあるからである。特に、保持テープ41の厚み寸法と、部品本体22の側面31および32間寸法との差が小さいほど、上述の不良を招きやすい。
図1に示したように、部品本体22の1対の主面29および30の各一部にそれぞれ接触し得る第2の接触点45〜48の各位置は、このような不良を招かないように配慮して決定されたものである。
【0055】
以上のように形成された、第2の外部電極27および28となるべき導電性ペースト膜61は、次いで、乾燥される。
【0056】
(5)保持テープによる部品本体の保持の解除工程
上述のように、第2の外部電極27および28となるべき導電性ペースト50が塗布されることによって導電性ペースト膜61が形成された部品本体22は、次いで、保持テープ41から外される。このとき、保持テープ41は、再使用されない場合には、部品本体22の迅速かつ容易な解放のため、保持テープ41の適当な位置が切断されることが好ましい。
【0057】
(6)第1の外部電極のための導電性ペーストの塗布工程
次に、部品本体22の第1の領域37および38に第1の外部電極25および26となるべき導電性ペーストを塗布する工程が実施される。
【0058】
図9を参照して、粘着面62を有するホルダ63が図示されている。部品本体22は、その一方の端面34が粘着面62に粘着されることによって、ホルダ63に保持される。
図9では、1つの部品本体22のみが図示されているが、実際には、ホルダ63によって、複数の部品本体22が同じ方向に向けられて保持される。
【0059】
他方、ホルダ63に対向して、平板状のアプリケータ64が配置される。アプリケータ64上には、所定の厚みをもって導電性ペースト層65が形成される。上述したようにホルダ63によって保持された部品本体22の他方の端面33は、
図9に示すように、導電性ペースト層65に浸される。これによって、部品本体22の一方の第1の領域37に一方の第1の外部電極25となるべき導電性ペーストが塗布される。
【0060】
上述の導電性ペーストを乾燥した後、同様の工程が、部品本体22の他方の第1の領域38に対しても実施され、それによって、他方の第1の外部電極26となるべき導電性ペーストが塗布され、次いで、乾燥される。
【0061】
なお、上述のように、第2の外部電極27および28となるべき導電性ペーストを塗布した後、第1の外部電極25および26となるべき導電性ペーストを塗布する、といった工程順を採用するのは、以下の理由による。
【0062】
先に、第1の外部電極25および26となるべき導電性ペーストを塗布すると、第2の外部電極27および28となるべき導電性ペーストを塗布するための塗布用ローラ53および54が、第1の外部電極25および26となるべき導電性ペーストの存在のため、部品本体22に適正に接触しなかったり、保持テープ41の開口42に部品本体22を挿入する際に、第1の外部電極25および26となるべき導電性ペーストが擦られて剥がれてしまったりする、といった不都合を招くおそれがあるためである。
【0063】
(7)導電性ペーストの焼付け工程
次に、第1の外部電極25および26となるべき導電性ペーストと、第2の外部電極27および28となるべき導電性ペーストとが同時に焼き付けられ、焼結した第1および第2の外部電極25〜28が部品本体22上に形成される。
【0064】
以上により、電子部品としての貫通型コンデンサ21が完成される。
【0065】
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、そこで用いられる保持テープの第1の変形例を与えるものである。
図2は、
図1に対応する図であって、第2の実施形態において用いられる保持テープ41aおよびそれによって保持された部品本体22を拡大して示す図である。
図2において、
図1に示す要素に相当する要素には同様の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0066】
図2を参照して、保持テープ41aは、
図1に示した保持テープ41と比較して、第2の接触点45〜48のすべてを有していないことを特徴としている。すなわち、この第2の実施形態には、保持テープ41aの開口42を規定する周縁部は、部品本体22の1対の端面33および34の各中央部にそれぞれ接触し得るように互いに対向する少なくとも1対の第1の接触点43および44を有していることが最低条件であることを明示する意義がある。
【0067】
[第3の実施形態]
第3の実施形態は、そこで用いられる保持テープの第2の変形例を与えるものである。
図3は、
図1に対応する図であって、第3の実施形態において用いられる保持テープ41bおよびそれによって保持された部品本体22を拡大して示す図である。
図3において、
図1に示す要素に相当する要素には同様の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0068】
図3を参照して、保持テープ41bは、
図1に示した保持テープ41と比較して、4つの第2の接触点45〜48のうち、2つの第2の接触点45および46を有していないことを特徴としている。第3の実施形態によれば、第1の接触点43および44によるだけでなく、第2の接触点47および48によっても、部品本体22が位置決めされるので、第1の実施形態に比べると劣るものの、第2の実施形態に比べて位置決めの信頼性を高めることができる。
【0069】
[第4の実施形態]
第4の実施形態は、製造しようとする電子部品の外部電極の形態の変形例およびそれに伴う製造方法の変形例を与えるものである。
図10は、
図4に対応する図であって、第4の実施形態において製造しようとする貫通型コンデンサ21aの外観を示す斜視図である。
図10において、
図4に示す要素に相当する要素には同様の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0070】
図10を参照して、貫通型コンデンサ21aの第2の外部電極27aは、部品本体22の1対の主面29および30ならびに1対の側面31および32を周回するように形成されている。したがって、第2の外部電極27aが形成される第2の領域39aは、
図4に示した貫通型コンデンサ21の場合と比較して、1対の側面31および32の各一部だけでなく、1対の主面29および30の各一部を含むことになる。
【0071】
このような貫通型コンデンサ21aを製造するため、特に、第2の外部電極27aを形成するため、前述した第1の実施形態における「(5)保持テープによる部品本体の保持の解除工程」と「(6)第1の外部電極のための導電性ペーストの塗布工程」との間に、以下の工程が実施される。
【0072】
(A)部品本体再挿入工程
再び、保持テープ41の開口42に部品本体22が挿入される。このとき、部品本体22は、1対の主面29および30が保持テープ41の主面と平行な状態となるように保持テープ41によって保持される。なお、部品本体22が、前述したように、1.0mm×0.5mm×0.5mmの外形寸法を有するというように、主面29および30と側面31および32とが同じ寸法を有している場合には、第1の実施形態の場合と同様の設計の保持テープ41を用いることができるが、主面29および30と側面31および32とが異なる寸法を有している場合には、別の設計の保持テープ41が用意される。
【0073】
(B)第2の外部電極のための導電性ペーストの塗布工程
次に、
図7に示した方法と同様の方法により、保持テープ41によって保持された部品本体22の1対の主面29および30に第2の外部電極27aの延長部となるべき導電性ペーストを塗布する工程が実施される。この導電性ペーストは、次いで、乾燥される。
【0074】
(C)保持テープによる部品本体の保持の解除工程
次に、第2の外部電極27aとなるべき導電性ペーストが塗布された部品本体22は、保持テープ41から外される。
【0075】
その後、第1の実施形態の場合と同様、「(6)第1の外部電極のための導電性ペーストの塗布工程」以降の工程が実施される。
【0076】
[他の実施形態]
この発明の範囲内において、その他種々の変形例が可能である。
【0077】
たとえば、上述した実施形態では、第1の外部電極25および26となるべき導電性ペーストと、第2の外部電極27および28となるべき導電性ペーストとが同時に焼き付けられたが、第2の外部電極27および28となるべき導電性ペーストを焼き付けた後、第1の外部電極25および26となるべき導電性ペーストの塗布工程を実施してもよい。
【0078】
また、この発明は、貫通型コンデンサの製造に限らず、前述したように、部品本体と、部品本体の外表面における角部を含む第1の領域に形成される第1の外部電極と、第1の領域とは異なる部品本体の外表面における第2の領域に形成される第2の外部電極とを備える、電子部品であれば、どのような電子部品の製造にも適用することができる。たとえば、貫通型コンデンサ以外の端面と側面に外部電極を有するコンデンサ、LCフィルタ、等の製造にも適用することができる。
【0079】
また、保持テープは、部品本体を保持するが、部品本体の角部に接触し得ない形状の周縁部を有する限り、図示したもの以外の形状の周縁部を有する開口を備えるものであってよい。
【0080】
また、図示の実施形態では、第2の外部電極27および28または第2の外部電極27aが、第1の外部電極25および26間において、1列をなすように配置されたが、この発明が適用される電子部品は、第2の外部電極に相当する外部電極が、第1の外部電極間において、2列以上をなすように配置されたものであってもよい。