(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面にしたがって本発明の実施の形態について説明する。ただし、本発明の技術的範囲はこれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された事項とその均等物まで及ぶものである。
【0011】
[パターン生成装置の構成]
図1は、本実施の形態例における半導体装置のマスクパターン生成装置1の構成を示す例図である。同図のマスクパターン生成装置1は、例えばCADシステムを搭載するコンピュータである。マスクパターン生成装置1は、プロセッサ11、メモリ12、処理部13、出力部(表示装置)14、入力部15等を有する。プロセッサ11は、マスクパターン生成装置1全体を制御し、処理部13は、プロセッサ11と協働してCADシステムを稼動させる。また、出力部14は、例えば、CADシステム上の出力情報を表示するディスプレイ等の表示装置である。入力部15はマウスやキーボード等であり、CADシステムへの入力を受け付ける。各部は、バス線16を介して相互に接続される。
【0012】
また、メモリ12は、例えば、チェックプログラムPR、素子ライブラリd1、設計基準d2、レイアウトデータベース(DB)d3を有する。チェックプログラムPRはマスクパターンの密度検証を行うプログラムであり、素子ライブラリd1は、レイアウト対象領域への配置対象の半導体素子(以下、素子)の情報を有する。また、設計基準d2には、素子の配置、及び、配線の結線における規定や禁止事項等が記憶される。レイアウトDBd3には、素子のレイアウト処理の結果である、素子及びダミーパターンの配置情報、配線の結線情報等が記憶される。
【0013】
ここで、半導体装置のレイアウト工程の概要について説明する。本実施の形態例において、素子のレイアウト処理は、例えば、CADシステム上において、ユーザが入力部15を介して半導体素子の位置情報を操作することによって行われる。
【0014】
[レイアウト工程の概要]
図2は半導体装置のレイアウト工程の概要を示すフローチャート図である。本実施の形態例において、配置対象の素子は、例えば、5つのポリシリコン抵抗から構成されるポリシリコン抵抗、MOM容量、ポリシリコン容量、PMOS、NMOS等である。ただし、この例に限定されるものではなく、レイアウト対象の半導体装置によって配置対象の素子の内容は異なる。
【0015】
素子ライブラリd1は、配置対象の各素子について、CADシステム上のデータ識別名、レイヤ情報、密度検証領域のサイズ情報、マスクパターンの被覆率の基準範囲情報等を有する。データ識別名は、CADシステムにおいて素子を識別するための名前であり、レイヤ情報は素子が形成されるレイヤの情報を示す。密度検証領域のサイズ情報は、マスクパターンの密度検証の単位となる領域のサイズ情報を示す。本実施の形態例において、例えば、密度検証領域のサイズは10um×10umである。また、本実施の形態例において、マスクパターンの被覆率の基準範囲は、例えば、10%〜65%である。つまり、密度検証において、密度検証領域内のマスクパターンの被覆率が10〜65%以外のとき、エラーとして判定される。
【0016】
図2のフローチャート図において、ユーザは、配置対象の素子をレイアウト対象領域に配置していく。具体的に、ユーザは、素子ライブラリd1から優先度の高い素子を1つずつ選択して配置する(S11)。そして、全ての素子について配置が完了すると(S12のYES)、配線の結線が行われる(S13)。続いて、ユーザは、各マスクパターンについて、空き領域にダミーパターンを配置させる(S14)。そして、チェックプログラムPRは、各マスクパターンについて、密度検証領域を単位として被覆率が基準範囲内であるか否かを検証する(S15)。
【0017】
ここで、マスクパターンの密度検証について説明する。前述したとおり、本実施の形態例において、マスクパターンの被覆率の基準範囲は、例えば、10%〜65%である。密度検証処理では、マスクパターンに全面について、密度検証枠Frを単位として被覆率が10%〜65%の値であるか否かが検証される。
【0018】
[マスクパターンの被覆率について]
図3は、マスクパターンの被覆率について説明する図である。この例では、5つのポリシリコン抵抗を有するポリシリコン抵抗素子が2つ配置される。この例において、マスクパターンは、半導体基板内のアクティブ領域をマスクするパターンである。
【0019】
点線で囲む領域は、半導体基板上のポリシリコン形成領域を画定する境界パターン領域(以下、境界領域)L1−1、L1−2であって、ダミーパターンdmの配置が許可されない領域である。ポリシリコン抵抗の場合、境界領域L1−1、L1−2の下部には埋め込み酸化膜(非アクティブ領域)が生成される。この例において、ダミーパターンdmは、アクティブ領域のダミーパターンである。なお、太線は、密度検証領域に対応する密度検証枠Frの例を示し、領域ACは、アクティブ領域を示す。
【0020】
図3の(A−1)は、被覆率が基準範囲に満たないマスクパターンが生成される素子の配置例である。同図において、2つのポリシリコン抵抗素子の境界領域L1−1、L1−2が隣接して配置されていることにより、非アクティブ領域が連続する。密度検証枠Frが同図のように対応する場合、密度検証枠Fr内の全領域が非アクティブ領域となる。したがって、密度検証枠Fr内のマスクパターンの被覆率は0%となり、密度エラーとなる。
【0021】
図3の(A−2)は、(A−1)の点線x1に対応する断面図を表す。同図の(A−2)において、エリアE1はシリコン基盤、エリアE2はストッパー膜、エリアE3は埋め込み酸化膜を示す。ダミーパターンdmに対応する領域には、ダミーのアクティブ領域が形成される。このように、2つのポリシリコン抵抗素子の境界領域L1−1、L1−2が隣接する場合、非アクティブ領域である埋め込み酸化膜の領域E3が広くなる。この場合、埋め込み酸化膜の平坦化処理においてディッシング現象ERが発生し易い。
【0022】
一方、
図3の(B−1)は、被覆率が基準範囲を満たすマスクパターンが生成される素子の配置例である。同図において、境界領域L1−1、L1−2は、ダミーパターンdmが配置可能な間隔を空けて配置されることにより、境界領域L1−1、L1−2に対応する非アクティブ層が非連続となる。このため、密度検証枠Frが同図のように対応する場合、密度検証枠Fr内にダミーパターンdmに基づくアクティブ層が形成され、密度検証枠Fr内のマスクパターンの被覆率が例えば15%となり、密度検証に成功する。
【0023】
図3の(B−2)は、(B−1)の点線x2に対応する断面図を表す。このように、2つのポリシリコン抵抗素子の境界領域L1−1、L1−2の間に間隔があることから、埋め込み酸化膜の形成エリアE3の間に、ダミーのアクティブ領域が形成される。この場合、埋め込み酸化膜の形成エリアE3が狭くなり、ディッシング現象が回避される。
【0024】
このように、マスクパターンの被覆率を基準範囲内にするために、境界領域の外側の領域にダミーパターンdmが配置される。ただし、ダミーパターンdmは、配置対象の全ての素子が配置され、対応する境界領域が画定された後に、境界領域の外側に配置される。そして、各マスクパターンについて密度検証が行われ、密度検証エラーが発生した場合は、素子の配置工程からのやり直しが発生する。これにより、多大な手戻りが発生する。
【0025】
そこで、本実施の形態例における半導体装置のパターン生成方法では、半導体基板上の素子パターン形成領域を画定する境界パターン領域と、境界パターン領域の周囲に配置されて検証領域当たりのマスクパターンの被覆率最小基準値を満たすダミーパターンの配置用の密度保障領域とを有するライブラリパターンを複数有する素子ライブラリd1が参照される。そして、素子ライブラリd1から抽出した第1のライブラリパターンが配置され、さらに、第2のライブラリパターンが、第2のライブラリパターンの密度保障領域を第1のライブラリパターンの境界パターン領域と重複しないように配置される。そして、第1および第2のライブラリパターンの境界パターン領域の外側の領域であって、密度保障領域を含む領域にダミーパターンが配置される。
【0026】
これにより、素子の配置工程の段階において、マスクパターンの被覆率が基準範囲を満たすように、各素子が配置可能となる。即ち、素子の配置工程において、各マスクパターンの被覆率が基準範囲になるように保障される。このため、ダミーパターンdmの配置処理後の密度検証においてエラーが発生することが回避され、素子の配置工程からのやり直しが防止され、手戻りが回避される。
【0027】
続いて、ダミーパターン配置用の領域である密度保障領域について説明する。
【0028】
[密度保障領域の例:(A−1)(A−2)]
図4は、密度保障領域の一例について説明する図である。同図の(A−1)では、
図2と同様にして、縦長のポリシリコン抵抗が5つ横方向に整列された素子を例示して説明する。同図において、点線で囲まれた領域L1−1は境界領域を、網掛けの領域dg1−1〜dg1−4は密度保障領域を示す。
【0029】
密度保障領域dg1−1〜dg1−4は、
図4の(A−1)のように、境界領域L1−1の長辺に隣接するように、境界領域L1−1の各頂点を基点として設定される。密度保障領域dg1−1〜dg1−4は、ダミーパターンdm配置用の領域である。このように、予め、配置対象の素子に対して、境界領域L1−1に加えて、密度保障領域dg1−1〜dg1−4が設定される。本実施の形態例では、密度保障領域dg1−1〜dg1−4に基づいて境界領域L1−1が配置されることにより、マスクパターンにおける境界領域L1−1の周辺の被覆率が最小基準値(この例では、10%)以上になるように保障される。
【0030】
図4の(A−2)は、密度保障領域が設定された素子の配置例を説明する図である。この例では、境界領域L1−1の密度保障領域dg1−3と境界領域L2−1の密度保障領域dg2−1、境界領域L1−1の密度保障領域dg1−4と境界領域L2−1の密度保障領域dg2−2が、重なり合うように配置される。これにより、境界領域L1−1と境界領域L1−2との間に、密度保障領域に基づいて、最小基準値以上の被覆率を保障するダミーパターンdm(図示せず)配置用の間隔が確保される。
【0031】
ダミーパターンdmは、密度保障領域dg1−1〜dg1−4、dg2−1〜dg2−4を含む、境界領域L1−1、L1−2の外側の非アクティブ領域に対して配置される。このため、例えば、
図4の(A−2)の例において、密度検証枠Fr1部分の密度検証が行われる場合、密度検証枠Fr1内には最小基準値以上の被覆率を保障するアクティブ領域が配置されるため、密度検証に成功する。また、密度検証枠Fr2に対応して密度検証が行われる場合についても同様にして、密度検証枠Fr2内に最小基準値以上の被覆率を保障するアクティブ領域が配置されることから、密度検証に成功する。
【0032】
[密度保障領域の例:(B−1)(B−2)]
一方、
図4の(B−1)では、横長のポリシリコン抵抗が5つ縦方向に整列されたポリシリコン抵抗素子に基づいて説明する。同図において、点線で囲まれた領域L2−1は境界領域を、網掛けの領域dg2−1〜dg2−4は密度保障領域を示す。本実施の形態例では、境界領域L2−1の長辺に隣接するように、密度保障領域dg2−1〜dg2−4が設定される。密度保障領域の生成処理の詳細については、後述する。
【0033】
図4の(B−2)において、境界領域L2−1の密度保障領域dg2−3と境界領域L2−2の密度保障領域dg2−1、境界領域L2−1の密度保障領域dg2−4と境界領域L2−2の密度保障領域dg2−4が、重なり合うように配置されている。これにより、境界領域L2−1と境界領域L2−2との間に、密度保障領域に基づいて、最小基準値以上の被覆率を保障するダミーパターンdm(図示せず)配置用の間隔が確保される。また、
図4の(B−2)の例において、密度検証枠Fr3部分の検証が行われる場合、境界領域L2−1、L2−2の間には、密度保障領域に基づいて、最小基準値以上の被覆率を保障するダミーパターン配置用の間隔が空けられている。密度検証枠Fr3内には、最小基準値以上の被覆率を満たすダミーパターンが配置されるため、密度検証に成功する。
【0034】
このように、配置対象の各素子について、境界領域の長辺に隣接し、最小基準値以上の被覆率を確保するダミーパターン配置用の密度保障領域が予め設定される。そして、素子の密度保障領域に基づいて境界領域が配置されることにより、マスクパターンの被覆率が最小基準値を満たすことが保障される。
【0035】
続いて、密度保障領域の生成処理の詳細について、フローチャート図に基づいて説明する。
【0036】
[密度保障領域の生成処理]
図5は、密度保障領域を生成する処理を説明するフローチャート図である。初めに、ユーザは、素子ライブラリd1に対して、密度保障領域を生成する対象の素子の情報を入力する(S21)。素子の情報は、CADシステム上のデータ識別名、レイヤ情報、密度検証領域のサイズ情報、マスクパターンの被覆率の基準範囲情報である。続いて、マスクパターン生成装置1の処理部13は、対象の素子の境界領域を画定する枠を抽出する。前述したとおり、境界領域は、半導体基板上の導電パターン形成領域を画定する領域であって、素子の配置に要する領域である。例えば、境界領域は、
図4の(A−1)の例において、点線で示す領域L1−1を示す。
【0037】
次に、処理部13は、処理対象の素子が、密度保障領域の生成対象であるか否かを判定する。密度保障領域の生成対象となる素子とは、境界領域が密度検証枠の領域に包含されない素子であって、密度検証枠と境界領域を重複させたとき、密度検証枠内の境界領域を除く領域が、最小基準値(この例では、10%)以上の被覆率を確保可能な素子を示す。ここで、密度保障領域の生成の対象外となる素子について、具体例に基づいて説明する。
【0038】
[密度保障領域の生成対象外の素子]
図6は、密度保障領域の生成対象外の素子の境界領域L3〜L5を示す例図である。まず、同図の(A)に示す境界領域L3は、密度検証枠Frの領域に包含される。このような場合、密度検証枠Frの領域における被覆率は、密度検証枠Fr内の領域に配置される他の境界領域を含めて算出される必要がある。そこで、
図5のフローチャート図では、境界領域が密度検証枠Frに包含される素子については、密度保障領域の生成の対象外とされる。
【0039】
次に、
図6の(B)(C)に示す素子の境界領域は、密度検証枠Frと境界領域を重複させたとき、密度検証枠Fr内の境界領域を除く差分領域が、最小基準値以上の被覆率を確保できない例を示す。具体的に、
図6の(B)に示す境界領域L4は密度検証枠Frを包含する。このため、密度検証枠Fr内の境界領域L4を除く差分領域が存在しない。この場合、被覆率は境界領域L4内で保障される必要があるため、密度保障領域の生成の対象外とされる。
【0040】
また、
図6の(C)に示す境界領域L5は密度検証枠Frを包含していないものの、密度検証枠Fr内の境界領域L5の面積比率が高いため、密度検証枠Fr内の境界領域L5を除く差分領域は最小基準値以上の被覆率を確保できない。この場合についても、被覆率は境界領域L5内で保障される必要があるため、密度保障領域の生成の対象外とされる。
【0041】
このように、
図6で例示した境界領域L4〜L6の素子については、
図5のフローチャート図においては、密度保障領域の生成の対象外とされる。なお、
図6の(A)のような、密度検証枠Frに包含される境界領域L3の素子の密度保障領域については、例えば、密度検証枠Fr内に配置される他の素子を組み合わせた素子群の境界領域を生成し、当該境界領域に対して密度保障領域が生成される。また、
図6の(B)(C)のように、密度検証枠Fr内の境界領域を除く差分領域が最小基準値以上の被覆率を確保できない素子については、予め、境界領域内の被覆率が基準範囲を満たすように生成される。
【0042】
図5のフローチャート図に戻り、処理部13は、対象の素子が密度保障領域の生成対象の素子であるか否かを判定する。具体的に、処理部13は、まず、境界領域の長辺方向のサイズを検出する(S23)。そして、処理部13は、検出した長辺方向のサイズが、密度検証枠Frの同方向のサイズより大きいか否かを判定する(S24)。この例において、密度検証枠Frは正方形の領域である。そのため、境界領域の長辺方向のサイズが密度検証枠Frの同方向のサイズ以下の場合(S24のNO)、境界領域が密度検証枠Frに包含される場合を示す(
図6の(A))。このため、密度保障領域の生成の対象外とされる。
【0043】
一方、対象の境界領域の長辺方向のサイズが密度検証枠Frの同方向のサイズより大きい場合(S24のYES)、処理部13は、境界領域の短辺方向のサイズを検出する(S25)。そして、処理部13は、検出した短辺方向のサイズが、密度検証枠Frの同方向のサイズより小さいか否かを判定する(S26)。密度検証枠Frは正方形の領域であることから、境界領域の短辺方向のサイズが密度検証枠Frの同方向のサイズ以上の場合(S26のNO)、境界領域が密度検証枠Frを包含する場合を示す(
図6の(B))。このため、密度保障領域の生成の対象外とされる。
【0044】
境界領域の短辺方向のサイズが密度検証枠Frの同方向のサイズより小さい場合(S26のYES)、境界領域が密度検証枠Frに包含されず(S24のYES)、かつ、境界領域が密度検証枠Frを包含しない場合(S26のYES)を示す。なお、密度保障領域の生成の対象外とされる素子については(S24のNO、S26のNO)、
図6で前述したとおり、別の方法に基づいて、マスクパターンの被覆率が基準範囲になるように対応される。
【0045】
続いて、処理部13は、境界領域の全ての頂点の頂点座標を抽出する(S27)。この例において、境界領域は矩形の領域であるため、4つの頂点の座標が抽出される。座標は、各頂点の相対位置を示す。まず、処理部13は、境界領域の第1の頂点として、例えば、境界領域の左下の頂点の座標を選択する(S28)。続いて、処理部13は、境界領域に対して、密度検証枠Frと同サイズの密度保障領域の算出枠(以下、算出枠)を設定する。具体的に、処理部13は、境界領域の左下の頂点と、算出枠の左下の頂点とを重ね合わせることによって、算出枠を設定する。
【0046】
そして、処理部13は、設定した算出枠内の境界領域を除く領域を、図形演算処理等にしたがって、差分図形として算出する(S30)。続いて、処理部13は、差分図形の面積を算出し(S31)、当該面積に配置可能なダミーパターンdmの面積を算出する(S32)。具体的に、処理部13は、差分図形の面積に対して、ダミーパターンdmを平均化して配置した場合のダミーパターンdmの面積を算出する。この例において、例えば、単位面積当たりの配置可能なダミーパターンdmの面積の比率は約60%である。このため、処理部13は、差分図形の面積の60%の面積を、差分図形内に発生可能な最大のダミーパターンdmの面積として算出する。
【0047】
続いて、処理部13は、算出したダミーパターンdmの面積の算出枠の面積における割合が、マスクパターンの被覆率の基準範囲(この例では、10%〜65%)における最小値(この例では、約10%)以上であるか否かを判定する(S33)。算出枠におけるダミーパターンdmの面積比率が被覆率最小基準値に満たない場合(S33のNO)、処理部13は、対象の素子を密度保障領域の生成の対象外とする。これは、
図6の(C)の例に対応し、算出枠(密度検証枠Fr)内の境界領域を除く差分図形の領域が最小基準値以上の被覆率を確保できない場合を示す。
【0048】
一方、ダミーパターンdmの算出枠における面積の割合が被覆率最小基準値以上の場合(S33のYES)、処理部13は、ダミーパターンdmの算出枠における面積の割合が最小基準値となる面積、即ち、最小必要面積を算出する(S34)。最小必要面積とは、密度保障領域の面積のうち、被覆率の基準範囲を満たすために必要な最小限の面積を示す。この例では、ダミーパターンdmの算出枠における面積の割合が10%となる面積が最小必要面積として算出される。そして、処理部13は、差分図形を密度保障領域として設定し、密度保障領域の座標情報、及び、最小必要面積の情報を素子ライブラリd1に記憶する(S35)。
【0049】
このようにして、境界領域の第1の頂点に対応する密度保障領域が生成される。対象の素子の境界領域の全ての頂点について、密度保障領域が生成されていない場合(S36のNO)、続いて、境界領域の次の頂点に対応して密度保障領域が生成される。対象の素子について、全ての頂点について密度保障領域が生成されると(S36のYES)、別の素子について密度保障領域の生成処理が行われる。
【0050】
このように、各頂点について、境界領域と重複するように設定された算出枠内における境界領域を除く領域が密度保障領域として配置される。このため、
図4の(A−1)(B−1)に例示したように、境界領域が横長の領域である場合、密度保障領域は境界領域の横方向の辺に隣接して設定される。一方、境界領域が縦長の領域である場合、密度保障領域は境界領域の縦方向の辺に隣接して配置される。即ち、密度保障領域は境界領域の長辺方向の辺に隣接して配置される。
【0051】
なお、本実施の形態例において、単位面積当たりの配置可能なダミーパターンdmの面積の比率(この例では、60%)は、予め、マスクパターンの被覆率の基準範囲(この例では、10%〜65%)における最大値(この例では、65%)以下の値に設定される。これにより、ダミーパターンdmのみが配置される領域の被覆率が基準範囲内におさめられる。
【0052】
[密度保障領域生成処理の具体例]
図7は、
図5のフローチャート図の処理を具体例に基づいて説明する図である。この例では、
図3に例示したポリシリコン抵抗素子の密度保障領域の生成について例示する。また、算出枠のサイズは10um×10um、単位面積当たりの配置可能なダミーパターンdmの面積比率は60%であるものとする。
【0053】
図7の例において、境界領域L1−1の長辺方向Y1のサイズは10umよりも大きく(
図5のS24のYES)、短辺方向Y2のサイズ(6.5um)は10umよりも小さい(S26のYES)。このため、境界領域L1−1は、密度保障領域の生成対象となる。そこで、境界領域L1−1について、第1の頂点c1を基点として(S28)、対応する頂点が重なり合うように算出枠Frが設定される(S29)。そして、算出枠Frにおける境界領域L1−1を除く領域が差分図形dg1−1として算出される(S30)。
【0054】
続いて、差分図形dg1−1の面積が算出される(S31)。具体的に、境界領域L1−1の短辺の長さが6.5umであることから、差分図形の短辺の長さは3.5umである。このため、差分図形の面積は、35平方um(=10×3.5)となる。また、この例において、差分図形の領域の60%に例えば4つのダミーパターンdmが配置可能である。算出枠の面積は100平方um(=10×10)であり、4つのダミーパターンdmの総面積は21平方um(=10×3.5×0.6)である(S32)。このため、算出枠におけるダミーパターンdmの面積比率は21%(=21÷100×100)と算出され、被覆率最小基準値10%を超える(S33のYES)。そこで、差分図形dg1−1が密度保障領域として設定される(S35)。同様にして、続いて、境界領域L1−1の第2の頂点c2について、密度保障領域dg1−2が設定される。他の密度保障領域dg1−3、dg1−4についても同様に生成される。
【0055】
また、各密度保障領域dg1−1〜dg1−4における最小必要面積が算出される(S34)。この例では、単位面積当たりの配置可能なダミーパターンdmの面積の比率は60%である。最小必要面積は、ダミーパターンの面積の算出枠の面積における割合が10%となる面積である。このため、最小面積は約17平方um(=10×10×0.1÷0.6)として算出される。
【0056】
このようにして、配置対象の各素子について、密度保障領域が予め設定され素子ライブラリd1に記憶される。また、素子ライブラリd1には、密度保障領域の情報に加えて、最小必要面積の情報もあわせて記憶される。
【0057】
[素子ライブラリd1の例]
図8は、本実施の形態例における素子ライブラリd1の一例を示す図である。同図において、情報areaVとして、密度検証枠Frの各辺のサイズを表す座標情報が記憶される。具体的に、座標X1−X2は密度検証枠Frの横辺のサイズ、座標Y1−Y2は密度検証枠Frの縦辺のサイズを示す。そして、各素子について、密度検証枠Frのサイズ情報、境界領域を示す座標情報、密度保障領域を示す座標情報等が記憶される。同図では、情報Lib部分に、ポリシリコン抵抗素子の情報の具体例が例示される。
【0058】
具体的に、情報diff−inhiとして、ポリシリコン抵抗素子の境界領域を示す座標情報が記憶される。座標x1−x2は境界領域の横辺、座標y1−y2は境界領域の縦辺のサイズを示す。そして、情報areaA〜areaDとして、密度保障領域を示す座標情報が記憶される。例えば、情報areaAにおける座標x7−x8は密度保障領域の横辺、座標y7−y8は密度保障領域の縦辺のサイズを示す。また、同図の例では、密度保障領域の情報として、最小必要面積minと、最大面積maxの情報があわせて記載される。最大面積maxとは、密度保障領域内に最大限発生可能なダミーパターンの面積を示す。
【0059】
また、同様にして、ポリシリコン抵抗素子以外の素子(PMOS等)についても、境界領域情報、密度保障領域情報が記憶される。このような素子ライブラリd1の情報は、次のように抽出され、素子の配置が行われる。
【0060】
[素子のレイアウト工程]
図9は、素子のレイアウト処理について説明するフローチャート図である。前述したとおり、配置対象の各素子について、予め、密度保障領域の情報が生成され、素子ライブラリd1に記憶される。初めに、ユーザは、配置対象の素子を1つ選択し配置する(S41)。続いて、ユーザは、次に配置する素子を選択し、配置済みの素子と境界領域同士が重複しないように配置する(S42)。このとき、ユーザは、配置対象の素子を、密度保障領域について、配置済みの境界領域と重複しないように配置してもよいし、密度保障領域から配置済みの境界領域を除く領域における被覆率が最小基準値以上になるように配置してもよい。
【0061】
続いて、処理部13は、配置対象の素子の密度保障領域が、配置済みの素子の密度保障領域、または、境界領域と重複するか否かを判定する(S43)。重複する場合(S43のYES)、処理部13は、重複領域の面積をそれぞれ算出する(S44)。続いて、処理部13は、重複領域に基づいて、密度保障領域のうちダミーパターンを配置可能な領域(最終密度保障領域)の面積が、最小必要面積以上であるか否かを判定する(S45)。前述したとおり、境界領域内にはダミーパターンが配置されないため、配置対象の配置素子の密度保障領域と配置済みの素子の境界領域が重複する場合、重複領域にはダミーパターンが配置されない。
【0062】
最終密度保障領域の面積が最小必要面積以上ではない場合(S45のNO)、ユーザは、再度、対象の素子を配置し直す(S42)。一方、最小必要面積以上である場合(S45のYES)、処理部13は、全ての配置対象の素子を配置したか否かを判定する(S46)。全ての素子の配置が完了すると(S46のYES)、次に、配置済みの素子に基づいて、配線の結線が行われる。そして、各マスクパターンの空き領域に対してダミーパターンdmが配置される。
【0063】
このとき、本実施の形態例では、素子の配置工程において、予め、マスクパターンの被覆率の最小基準値を満たすダミーパターンdm配置用の領域を空けて、各素子の境界領域が配置されている。つまり、素子の配置段階で、マスクパターンの被覆率の基準値を満たすダミーパターン配置用の密度保障領域に基づいて素子が配置されることにより、マスクパターンの密度エラーが回避される。これにより、マスクパターンの密度エラーに基づく素子の配置のやり直し処理、配置の再結線作業が不要になるため、半導体素子のレイアウトに要する時間が大幅に短縮される。
【0064】
なお、素子のレイアウト工程において、密度保障領域は、境界領域と合わせて可視化されてもよいし、その座標情報のみが表示されてもよい。ユーザは、素子の配置工程において、境界領域に加えて、密度保障領域の情報を参照することによって、最小基準値以上の被覆率が確保されるように境界領域を配置することができる。
【0065】
続いて、素子のレイアウト工程を具体例に基づいて説明する。
【0066】
[素子のレイアウトの具体例]
図10は、素子のレイアウトの具体例について説明する図である。同図の(A−1)では、配置済みの素子の境界領域L1−1に対して、配置対象の素子の境界領域L1−2が、互いの境界領域L1−1、L1−2については重複せず、互いの密度保障領域は重複するように配置されている(
図9のS42、S43のYES)。なお、この例において、配置対象の素子の密度保障領域dg2−1、dg2−2は、配置済みの素子の境界領域L1−1についても重複する。この場合の重複領域の面積の算出処理(
図9のS44)及び、最小面積との比較処理(
図9のS45)について、配置対象の素子の密度保障領域dg2−2に注目して説明する。
【0067】
図10の(A−2)は、密度保障領域dg2−2の周辺部分を拡大した図である。この例において、密度保障領域dg2−2は、配置済みの素子の境界領域L1−1と、縦方向に1.5um分、重複する(S43のYES)。このため、密度保障領域dg2−2から、境界領域L1−1との重複領域が除外された領域が、密度保障領域dg2−2のうちダミーパターンdmが配置可能な面積、即ち、最終密度保障領域dgxとなる。
【0068】
具体的に、密度保障領域dg2−2と境界領域L1−1との重複領域の面積は、15平方um(=1.5um×10um)である(S44)。密度保障領域dg2−2の面積は35平方um(=3.5um×10um)であるため、最終密度保障領域dgxの面積は、20平方um(=35−15)のように算出される。また、この例では、最終密度保障領域dgxの面積は、20平方um(=2×10)のように算出されてもよい。この場合、最終密度保障領域dgxの面積が最小必要面積(17平方um)を超える(S45のYES)。このため、最終密度保障領域dgxにダミーパターンdmが配置されることにより、最小基準値以上の被覆率が保障される。
【0069】
一方、
図10の(B−1)において、同様にして、配置済みの素子の境界領域L1−1に対して、配置対象の素子の境界領域L1−2が配置されている。
図10の(B−2)は、密度保障領域dg2−2の周辺部分を拡大した図である。この例において、密度保障領域dg2−2は、配置済みの素子の境界領域L1−1と、縦方向に3um分、重複する。このため、密度保障領域dg2−2と境界領域L1−1との重複領域の面積は、30平方um(=3um×10um)のように計算される。そして、最終密度保障領域dgxの面積は5平方um(=35−30)のように算出される。
【0070】
この場合、最終密度保障領域dgxの面積が最小必要面積(17平方um)未満である。このため、最終密度保障領域dgxにダミーパターンdmが配置されたとしても、最小基準値の被覆率が得られない(S45のNO)。このため、配置対象の素子について再配置が行われる(S42)。これは、配置過程における1つの素子を対象とする再配置である。このため、全ての素子の配置が完了した後に密度検証においてエラーが発生し、配置済みの全ての素子を対象として配置が見直される場合に対して、レイアウト工程に係る工数が大幅に削減される。
【0071】
[素子のレイアウトの別の具体例]
図11は、素子のレイアウトの別の具体例について説明する図である。
図10の例と同様にして、同図の(A−1)において、配置済みの素子の境界領域L1−1に対して、配置対象の素子の境界領域L1−2が、互いの密度保障領域が重複するように配置される。ただし、この例では、境界領域L1−1と境界領域L1−2とは、互いの密度保障領域が横方向にずれて重複する。
【0072】
図11の(A−1)のように密度保障領域が重複する場合、最終密度保障領域の面積は、例えば、複数の部分図形に分けて算出される。具体的に、同図の(B)に示すように、最終密度保障領域(レンガ柄)の面積は、(m1×n1)+(m2×n2)のように計算される。そして、単位面積当たりのダミーパターンdmの面積は60%である場合、最終密度保障領域に配置可能なダミーパターンdmの面積は、{(m1×n1)+(m2×n2)}×0.6のように算出される。そして、算出された面積が最小必要面積以上であるか否かが判定される(S45)。
【0073】
また、
図11の配置例では、素子の境界領域の密度保障領域が、配置済みの境界領域の密度保障領域に対して、直列ではなく境界領域の長辺方向にずれるように配置される。この場合、本実施の形態例のように、密度保障領域の面積が、被覆率最小基準値ではなく、基準範囲内における最小基準値より大きい被覆率に対応して設定されていることにより、より柔軟な配置処理が行われる。この点について、具体的に説明する。
【0074】
例えば、密度保障領域が被覆率最小基準値に対応して設定される場合、即ち、密度保障領域の面積が最小必要面積の場合、
図11の(A−2)のように、新たに配置する素子の密度保障領域dg5−1は配置済みの素子の境界領域L1−4と重複しないように配置される必要がある。これに対して、(A−1)のように、密度保障領域が被覆率最小基準値より大きい被覆率に設定される場合、新たに配置する素子の密度保障領域dg2−1は、密度保障領域dg2−1から配置済みの素子の境界領域L1−1との重複領域が除かれた最終密度保障領域(同11(B)のレンガ柄部分)の面積が最小必要面積を満たす範囲で、境界領域L1−1と重複して配置可能になる。
【0075】
これにより、境界領域間の距離kは、
図11の(A−2)のように密度保障領域が被覆率最小基準値に対応して設定される場合よりも、(A−1)のように密度保障領域が被覆率最小基準値より大きい被覆率に設定される場合の方がより短く設定される。これにより、複数の素子をより狭い範囲に配置することが可能になると共に、より柔軟な素子配置が可能となる。
【0076】
なお、
図10、
図11の例において、ダミーパターンdmの面積は、最終密度保障領域の面積に対して、単位面積当たりに配置可能のダミーパターンdmの比率を乗算することによって算出される(
図9のS44)。ただし、ダミーパターンdmの面積は、
図11のように、例えば、所定の単位面積に区分されたメッシュMEを単位として計算されてもよい。この場合、例えば、まず、内部にダミーパターンdmが配置されるメッシュMEの数が算出される。そして、メッシュMEの数に、メッシュMEにおけるダミーパターンdmの面積比率が乗算されることによって、ダミーパターンdmの面積が算出される。例えば、N個のメッシュME内にダミーパターンdmが配置され、面積比率が40%である場合、ダミーパターンdmの面積はN×0.4のように算出される。
【0077】
以上のように、本実施の形態例におけるマスクパターン生成装置1は、素子毎に、半導体基板上の素子パターン形成領域を画定する境界パターン領域(境界領域)と、前記境界パターン領域の周囲に配置されて検証領域(密度検証領域)当たりのマスクパターンの被覆率最小基準値を満たすダミーパターンの配置用の密度保障領域とを有するライブラリパターンを有する。そして、第1のライブラリパターンの配置後、第2のライブラリパターンは、第2のライブラリパターンの密度保障領域を第1のライブラリパターンの境界領域と重複しないように配置される。
【0078】
これにより、素子の配置工程の段階において、配置対象の素子が、配置済みの素子とマスクパターンの被覆率最小基準値を保障するダミーパターン配置用の間隔を空けて配置される。素子の配置工程において、被覆率最小基準値が保障されるように素子が配置可能になるため、ダミーパターン配置後の密度検証においてエラーが発生することが回避される。素子の配置工程の段階でマスクパターンの密度基準が保障されることから、マスクパターンの密度エラーに基づく、素子の配置、配線の結線のやり直しが発生せず、手戻りが大幅に削減される。これにより、半導体装置のレイアウト工程が大幅に効率化される。
【0079】
また、本実施の形態例において、マスクパターンは、半導体基板内のアクティブ領域のマスクパターンであり、一部の第2のライブラリパターンについて、第2のライブラリパターンの密度保障領域と第1のライブラリパターンの境界領域との重複領域を除く領域におけるマスクパターンの被覆率が被覆率最小基準値を満たすように配置される。これにより、マスクパターンの被覆率最小基準値が確保されると共に、より狭い領域範囲に素子の配置が可能となる。
【0080】
また、本実施の形態例において、ライブラリ情報は、さらに、被覆率が最小基準値となる最小面積情報(最小必要面積)を有する。そして、第2のライブラリパターンは、第2のライブラリパターンの密度保障領域と第1のライブラリパターンの境界領域との重複領域を除く領域(最終密度保障領域)の面積が最小面積以上になるように配置される。
【0081】
このように、密度保障領域が最小必要面積より大きい面積を有することにより、例えば、素子の境界領域が直列に配置されないような場合において、より柔軟な素子配置が可能になる。この場合、密度保障領域には最小必要面積より大きな面積が確保される。このため、素子が直列に配置されないような場合、配置対象の素子の密度保障領域から配置済みの素子の境界領域との重複領域が除かれた最終密度保障領域が最小必要面積以上になる範囲で、素子の配置位置を近づけることが可能になる。これにより、より狭い領域範囲に素子の配置が可能になると共に、より柔軟な配置が可能になる。
【0082】
また、本実施の形態例において、密度検証枠は正方形の領域として説明したが、密度検証枠は必ずしも正方形の領域である必要はない。本実施の形態例において、密度保障領域は、境界領域の各頂点のいずれか一つと密度検証枠(検証領域)の各頂点のいずれか一つとを重複させたときの密度検証枠内の境界領域外の領域として設定される。これにより、密度検証枠がいずれの形状であっても、密度保障領域に基づいて素子が配置されることにより、素子の配置工程において、被覆率最小基準値が保障されるように素子の配置が可能になる。また、密度保障領域が境界領域の頂点周辺に生成されることにより、境界領域間の距離の調整を容易にする。
【0083】
[第2の実施の形態例]
第1の実施の形態例では、半導体基板内のアクティブ領域をマスクするパターンを例示して説明した。ただし、マスクパターンは、この例に限定されるものではない。マスクパターンは、半導体基板上の導電パターン形成領域のマスクパターンであってもよい。第2の実施の形態例では、導電パターンであるポリシリコンのマスクパターンを例示して説明する。ただし、導電パターンはポリシリコンに限定されるものではなく、他の導電パターンに対しても有効である。
【0084】
図12は、ポリシリコンのマスクパターンの被覆率について説明する図である。同図では、第1の実施の形態例と同様に、ポリシリコン抵抗素子が2つ配置される。この例において、マスクパターンは、ポリシリコンのマスクパターンであって、ダミーパターンdmは、ポリシリコンのダミーパターンdmxである。また、ポリシリコンは、境界領域L1−1、L1−2内のポリシリコン形成領域(例えば、p1、p2)と、ダミーパターンdmxの形成領域に生成される。
【0085】
ポリシリコンのマスクパターンについても同様にして、ポリシリコンが形成される領域間の間隔が広い場合、CMP工程においてディッシング現象が発生する。このため、密度検証枠Frを単位とする被覆率が基準範囲内になるように、境界領域L1−1、L1−2の外側に、ポリシリコンのダミーパターンdmxが配置される。
【0086】
図12の(A)において、境界領域L1−1、L1−2は隣接して配置される。同図のように、密度検証枠Frが対応する場合、密度検証枠Frには、ポリシリコンの形成領域p1、p2が含まれる。しかしながら、この例において、形成領域p1、p2を含む密度検証枠Fr内におけるポリシリコンのマスクパターンの被覆率は最小基準値未満である。そこで、
図12の(B)のように、境界領域L1−1、L1−2の間に、ポリシリコンのダミーパターンdmxが配置される。これにより、密度検証枠Frのポリシリコンの形成領域が増加し、密度検証枠Fr内におけるポリシリコンのマスクパターンの被覆率が最小基準値以上の値となり密度検証に成功する。
【0087】
そこで、第2の実施の形態例においても、各素子について、境界領域L1−1、L1−2に隣接するように、ポリシリコンのダミーパターンdmx配置用の密度保障領域(図示せず)が生成される。密度保障領域の生成方法は、第1の実施の形態例と同様である。ただし、本実施の形態例における素子の配置工程内での面積の算出方法について、第1の実施の形態例と異なる。
【0088】
第2の実施の形態例では、ポリシリコンは、境界領域L1−1、L1−2内にも形成される。このため、
図10の素子の配置工程における最小必要面積との比較処理では(S45)、最終密度保障領域(図示せず)におけるダミーパターンdmxの面積と、密度検証枠Frが対応する境界領域内のポリシリコン領域(例えば、形成領域p1、p2)の面積とを加算した面積が、最小必要面積以上であるか否かが判定される。即ち、密度保障領域内に配置可能なダミーパターンdmxの面積と、対応する密度検証枠Fr内の境界領域内に形成されるポリシリコンの面積との加算面積の示す被覆率が最小基準値以上になるように素子が配置される。
【0089】
このように、本実施の形態例におけるパターン生成方法は、ポリシリコン等の半導体基板上の導電パターン形成領域のマスクパターンについても有効である。本実施の形態例では、一部の配置対象のライブラリパターンについて、配置対象のライブラリパターンの密度保障領域と配置済みのライブラリパターンの境界パターン領域との重複領域を除く領域と、検証領域内の境界領域との合計領域におけるマスクパターンの被覆率が被覆率最小基準値を満たすように配置される。
【0090】
これにより、導電パターンのマスクパターンの生成処理においても、素子の配置工程の段階において、配置対象の素子が、配置済みの素子と、マスクパターンの被覆率最小基準値を保障するダミーパターン配置用の間隔を空けて配置されることにより、被覆率最小基準値が保障されるように素子が配置可能になる。このため、マスクパターンの密度エラーに基づく、素子の配置工程からの手戻りが回避され、半導体装置のレイアウト工程が大幅に効率化される。また、マスクパターンの被覆率最小基準値が確保されると共に、より狭い領域範囲に素子の配置が可能となる。
【0091】
なお、本実施の形態例では同じ素子を隣り合って配置する場合を例示した。ただし、この例に限定されるものではない。例えば、ポリシリコン抵抗素子とPMOS素子とが隣り合って配置される場合についても同様に有効である。
【0092】
また、本実施の形態例において、密度保障領域の生成処理、及び、素子の配置処理は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体にプログラムとして記憶され、当該プログラムをコンピュータが読み出して実行することによって行われてもよい。また、ユーザによって、素子毎に境界領域、密度保障領域の情報を記憶する素子ライブラリが参照され、素子の配置処理が行われてもよい。
【0093】
[第3の実施の形態例]
第3の実施の形態例において、第1、2の実施の形態例に対し、素子ライブラリd1は、各素子について、密度保障領域の座標情報、最小必要面積の情報に加えて、さらに、最小必要領域幅の情報を有する。素子ライブラリd1が、最小必要領域幅の情報を有することによって、例えば、配置対象の素子が配置済みの素子における密度保障領域の間等に配置される場合についても、最小基準値以上の被覆率を保障するダミーパターン配置用の間隔が確保可能になる。
【0094】
ここで、配置例1〜3に基づいて、配置対象の素子が配置済みの素子における密度保障領域の間等に配置される場合について説明する。
【0095】
[配置例1]
図13は、配置対象の素子が、配置済みの素子における密度保障領域の間に配置される場合を示す図である。
図13において、配置対象の素子の境界領域L12、配置済みの素子の境界領域L11が示される。この例において、配置対象の素子の境界領域L12が、配置済みの素子の密度保障領域dg11−1、dg11−2の間に配置されており、配置済みの素子の密度保障領域dg11−1、dg11−2に干渉していない。
【0096】
図13の例において、
図9のフローチャート図に基づくと、処理部13は、配置対象の素子の密度保障領域dg12−1〜dg12−4が、配置済みの素子の密度保障領域dg11−1〜dg11−4、または、境界領域L11と重複するか否かを判定する(S43)。重複しないため(S43のNO)、処理部13は、配置対象の素子の配置位置を確定し、次の配置対象の素子の配置を行う。
【0097】
ただし、例えば、
図13に示すように、密度検証枠Fr11が設定される場合、当該密度検証枠Fr11における最終密度保障領域の面積は、最小必要面積より小さい(
図9のS45のNO)。つまり、密度検証枠Fr11における、配置済みの素子の境界領域L11と配置対象の素子の境界領域L12との非重複領域に配置可能なダミーパターンの面積は、被覆率の最小基準値を満たさない。したがって、密度検証枠Fr11内に形成されるダミーパターンに基づくアクティブ層の面積が最小基準値以上の被覆率に満たず、密度検証に失敗する。具体的に、
図13の例において、密度検証枠Fr11におけるダミーパターンの配置可能な面積は、例えば、4um
2であって、最小必要面積10um
2を満たさない。
【0098】
このように、配置対象の素子が、配置済みの素子における密度保障領域dg11−1、dg11−2の間に配置される場合、密度保障領域に基づいて、ダミーパターン配置用の間隔を確保することが困難なケースがある。
図13の例において、例えば、配置済みの素子の境界領域L11を最大に包含した上で、配置対象の素子の境界領域L12を最大包含する密度保障領域dg11−5を設定し、第1,2の実施の形態例と同様にして配置位置を判定する方法が検討される。しかしながら、この方法によると、配置対象の素子の配置位置に応じた密度保障領域dg11−5の設定処理に係る計算量が増加し、インタラクティブな素子配置を実現することが困難になる。
【0099】
[配置例2]
図14は、配置対象の素子が、配置済みの素子における密度保障領域の内側に重複して配置される場合を示す図である。
図14において、
図13と同様にして、配置対象の素子の境界領域L12、配置済みの素子の境界領域L11が示される。この例では、配置対象の素子の境界領域L12が、配置済みの素子の密度保障領域dg11−1、dg11−2の間であって、配置済みの素子の1つの密度保障領域dg11−2の内側の短辺D1に干渉する。つまり、配置対象の素子の境界領域L12が、配置済みの素子における密度保障領域dg11−2の内側部分と重複する。
【0100】
図14の例において、
図9のフローチャート図に基づくと、処理部13は、配置対象の素子の密度保障領域dg12−1〜dg12−4が、配置済みの素子の密度保障領域dg11−1〜dg11−4、または、境界領域L11と重複するか否かを判定する(S43)。この場合、重複するため(S43のYES)、処理部13は、重複領域の面積をそれぞれ算出し(S44)、配置済みの素子の密度保障領域dg11−1〜dg11−4のうち、ダミーパターンを配置可能な領域(最終密度保障領域)の面積が、最小必要面積以上であるか否かを判定する(S45)。この場合、配置済みの密度保障領域dg11−2における最終密度保障領域の面積は、最小必要面積以上である(S45のYES)。このため、処理部13は、配置対象の素子の配置位置を確定し、次の配置対象の素子の配置を行う。
【0101】
ただし、例えば、密度検証枠Fr12が設定される場合、当該密度検証枠Fr12における、ダミーパターンを配置可能な領域の面積は、最小必要面積より小さい(
図9のS45のNO)。つまり、密度検証枠Fr12における、配置済みの素子の境界領域L11と配置対象の素子の境界領域L12との非重複領域に配置可能なダミーパターンの面積は、被覆率の最小基準値を満たさない。したがって、密度検証枠Fr12内に形成されるダミーパターンに基づくアクティブ層の面積が最小基準値以上の被覆率に満たず、密度検証に失敗する。
【0102】
[配置例3]
図15は、配置対象の素子が、複数の密度保障領域における内側に重複して配置される場合を示す図である。
図15において、配置対象の素子の境界領域L14、配置済みの素子の境界領域L13が示される。この例では、配置対象の素子の密度保障領域dg14−2、dg14−4が、配置済みの素子の密度保障領域dg13−1、dg13−2の内側の短辺D2、D3に干渉する。つまり、配置対象の素子の境界領域L14が、配置済みの素子における2つの密度保障領域dg13−1、dg13−2の内側部分と重複する。
【0103】
図15の例において、
図9のフローチャート図に基づくと、配置対象の素子の密度保障領域dg14−2、dg14−4が、配置済みの素子の密度保障領域dg13−1、dg13−2と重複する(S43のYES)。このため、処理部13は、重複領域の面積をそれぞれ算出する(S44)。また、配置済みの素子の密度保障領域dg13−1、dg13−2における、ダミーパターンを配置可能な領域(最終密度保障領域)の面積は、最小必要面積以上である(S45のYES)。このため、処理部13は、配置対象の素子の配置位置を確定し、次の配置対象の素子の配置を行う。
【0104】
ただし、例えば、密度検証枠Fr13が設定される場合、
図13、
図14の例と同様にして、当該密度検証枠Fr13における、ダミーパターンを配置可能な領域の面積は、最小必要面積より小さい(
図9のS45のNO)。したがって、密度検証枠Fr13内に形成されるダミーパターンに基づくアクティブ層の面積が最小基準値以上の被覆率に満たず、密度検証に失敗する。
【0105】
図14、
図15のように、配置対象の素子が、配置済みの素子における密度保障領域の内側にのみ重複して配置される場合についても、密度保障領域に基づいて、ダミーパターン配置用の間隔を確保することが困難なケースがある。
図14、
図15の例においても、例えば、配置済みの素子の境界領域を最大に包含した上で、配置対象の素子の境界領域を最大包含する密度保障領域を設定し、第1,2の実施の形態例と同様にして配置位置を判定する方法が検討される。しかしながら、配置対象の素子の配置位置に応じた密度保障領域の設定処理に係る計算量が増加し、インタラクティブな素子配置を実現することが困難になる。
【0106】
また、このとき、例えば、密度保障領域のサイズを拡張する方法が検討される。密度保障領域のサイズを拡張することによって、密度保障領域に、配置対象の素子におけるより広い面積を含めることが可能になる。これにより、密度保障領域に基づいて、より広い範囲における密度検証エラーが検知可能になる。しかしながら、密度保障領域を拡張することは、密度検証枠の面積を拡張することを示し、妥当ではない。
【0107】
近年、プロセスルールの微細化によって、許容可能なマスクパターンの被覆率のばらつきが小さくなり、密度検証領域(密度検証枠)の面積は小さくなる傾向にある。マスクパターンの被覆率は、「パターン面積の総和/密度検証領域の面積」によって算出されるためである。一方、素子のサイズは大きく変化しないため、素子のサイズに対する密度検証領域のサイズは、縮小する傾向にある。このため、素子間の距離が小さくなる傾向にあり、
図13〜
図15に示すような、配置対象の素子が、配置済みの素子における密度保障領域の間や、密度保障領域の内側部分に重複して配置されるケースは増加する傾向にある。
【0108】
そこで、第3の実施の形態例では、素子ライブラリd1は、各素子について、密度保障領域の座標情報、最小必要面積の情報に加えて、さらに、最小必要領域幅の情報を有する。そして、配置済みの素子における、最小必要領域幅に基づく最小必要領域に基づいて、配置対象の素子の配置位置が設定される。これにより、例えば、
図13〜
図15のようなケースについても、最小必要領域幅に基づいて、最小基準値以上の被覆率を保障するダミーパターン配置用の間隔が確保可能になる。
【0109】
ところで、
図13〜
図15に示すように、密度保障領域に基づく、最小基準値以上の被覆率を保障するダミーパターン配置用の間隔の確保が困難な場合は、例えば、配置対象の素子の境界領域または密度保障領域が、配置済みの素子における密度保障領域の外側の短辺に干渉しない場合を示す。
【0110】
図16は、配置対象の素子が、配置済みの素子における密度保障領域の外側部分に重複して配置される場合を示す図である。
図16において、配置対象の素子の境界領域L12、配置済みの素子の境界領域L11が示される。この例において、配置対象の素子の境界領域L12が、配置済みの素子の密度保障領域dg11−1の外側の短辺D4に干渉する。つまり、配置対象の素子の境界領域L12が、配置済みの素子の密度保障領域dg11−1の外側部分と重複する。
【0111】
このように、配置対象の素子の境界領域L12が、配置済みの素子における密度保障領域の外側の辺D4に干渉する場合、配置済みの素子の境界領域L11と配置対象の素子の境界領域L12との頂点同士が接近していることを示す。このため、第1、2の実施の形態例に示すような、各素子の境界領域L11、L12の頂点周辺に設定される密度保障領域に基づく配置対象の素子の配置処理によって、最小基準値以上の被覆率を保障するダミーパターン配置用の間隔が確保可能になる。
【0112】
ここで、最小必要領域幅、及び、最小必要領域について説明する。
【0113】
[最小必要領域幅]
最小必要領域幅とは、第1,2の実施の形態例で前述した最小必要面積(
図9のS45)を、素子の境界領域の長辺方向と同一方向の密度検証枠の長さで除算した値である。また、最小必要領域幅に基づいて、最小必要領域が設定される。最小必要領域は、配置済みの素子の境界領域の長辺に隣接し、短辺方向に最小必要領域幅を有する領域である。
【0114】
[最小必要領域]
図17は、最小必要領域を示す図である。
図17において、最小必要領域は領域e1である。また、最小必要領域幅は矢印f1で示す幅である。前述したように、最小必要領域e1は、対象の素子の境界領域L15の長辺に隣接し、最小必要面積が矢印g1で示される密度検証枠の長さで除算されることによって算出される最小必要領域幅f1を有する。このため、同図のように、最小必要領域e1全面に、ダミーパターンdmが配置される場合、密度検証枠Fr15がいずれの位置に対応する場合であっても、最小基準値以上の被覆率が保障される。つまり、配置済みの素子の最小必要領域幅と重複しないように、配置対象の素子が配置される場合、密度検証枠がいずれの位置に対応する場合であっても、最小基準値以上の被覆率が保障される。
【0115】
第3の実施の形態例では、配置済みの素子の最小必要領域と、配置対象の素子の境界領域との重複度合いに基づいて、配置対象の素子の配置が行われる。これにより、配置対象の素子の境界領域及び密度保障領域が、配置済みの素子における密度保障領域の外側の短辺と重複しない場合であっても、素子の配置工程において、被覆率最小基準値が保障されるように素子が配置可能になる。これにより、ダミーパターン配置後の密度検証においてエラーが発生することが回避される。
【0116】
続いて、最小必要領域幅の設定処理の詳細について、密度保障領域の生成処理のフローチャート図に基づいて説明する。
【0117】
[密度保障領域の生成処理]
図18は、第3の実施の形態例における密度保障領域を生成する処理を説明するフローチャート図である。
図18のフローチャート図における工程S21〜S36までの処理は、第1、2の実施の形態例と同様である。
【0118】
図18のフローチャート図において、対象の素子について、全ての頂点について密度保障領域が生成されると(S36のYES)、処理部13は、続いて、対象の素子の境界領域の長辺に沿って、最小必要領域幅を設定する(S37)。具体的に、処理部13は、工程S34で算出された最小必要面積を、密度検証枠における、素子の境界領域の長辺と同一方向の長さによって除算した値を最小必要領域幅として設定する。算出された最小必要領域幅の値は、素子ライブラリd1に記憶される。
【0119】
[最小必要領域の具体例]
図19は、最小必要領域e2の第1の具体例について説明する図である。
図19の素子は、
図17の素子と同一である。この例において、例えば、密度検証枠Fr15のサイズは10um×10umであって、被覆率の最小基準値10%である。このため、密度検証枠Fr15の面積100um
2に対応する最小必要面積は10um
2である。
図19において、領域me1は、最小必要面積10um
2を示す領域である。この場合、最小必要領域幅f2は、最小必要面積10um
2を、素子の境界領域の長辺と同一方向XXの、密度検証枠Fr15における長さ10umで除算した値1umとなる。したがって、
図19の例において、最小必要領域幅f2は、1umである。
【0120】
図20は、最小必要領域e3の第2の具体例について説明する図である。
図20の例においても同様にして、密度検証枠Fr16のサイズは10um×10umであって、被覆率の最小基準値10%である。ただし、
図20の例では、ポリシリコン抵抗が形成される境界領域L16内に、アクティブ領域aEが含まれる。
【0121】
具体的に、境界領域L16は、密度検証枠Fr16に対応する領域において、4つのアクティブ領域aE(ax)を有し、4つのアクティブ領域aE(ax)の総面積は4um
2である。境界領域L16内に、アクティブ領域が4um
2含まれることから、各密度保障領域dg16−1〜dg16−4内における最小必要面積は6um
2となる。即ち、
図20の例では、
図19の例に対して、ダミーパターンの配置領域が少なくてよい。
図20において、領域me2は、最小必要面積6um
2を示す領域である。この例において、最小必要領域幅は、最小必要面積6um
2を、境界領域L16の長辺と同一方向XXの、密度検証枠Fr16における長さ10umで除算した0.6umとなる。したがって、
図20の例において、最小必要領域幅f3は、0.6umである。
【0122】
[第3の実施の形態例における素子のレイアウト工程]
図21は、第3の実施の形態例における素子のレイアウト処理について説明するフローチャート図である。第3の実施の形態例では、配置対象の各素子について、予め、密度保障領域の情報に加えて、最小必要領域幅が算出され、素子ライブラリd1に記憶される。第3の実施の形態例において、第1、2の実施の形態例と同様にして、ユーザは、配置対象の素子を1つ選択し配置する(S41)。続いて、ユーザは、次に配置する素子を選択し、配置済みの素子と境界領域同士が重複しないように配置する(S42)。
【0123】
次に、処理部13は、配置対象の素子の密度保障領域が、配置済みの素子の密度保障領域、または、境界領域と重複するか否かを判定する(S43)。重複する場合(S43のYES)、第3の実施の形態例における処理部13は、配置対象の素子の境界領域が、配置済みの素子の密度保障領域の外側の短辺と重複しないか否かを判定する(S51)。重複する場合(S51のYES)、処理部13は、第1、2の実施の形態例と同様にして、重複領域の面積をそれぞれ算出する(S44)。これは、
図16の具体例に対応する。続く、工程S45〜S48は、第1、2の実施の形態例と同様である。
【0124】
一方、配置対象の素子の境界領域が、配置済みの素子の密度保障領域の外側の短辺と重複しない場合(S51のNO)、処理部13は、ダミーパターン補填領域を算出する(S52)。これは、
図13〜
図15の具体例に対応する。ダミーパターン補填領域とは、配置対象の素子の、配置済みの素子の最小必要領域への接近によって削減される、最小必要領域におけるダミーパターン発生用の領域を補填する領域である。即ち、ダミーパターン補填領域は、配置済みの素子の境界領域を最大包含し、さらに、配置対象の素子の境界領域を最大包含する場合の密度検証枠の領域における、各素子の境界領域及び最小必要領域以外の領域を示す。
【0125】
例えば、配置済みの素子の境界領域の長辺方向を第1の方向、短辺方向を第2の方向とする。具体的に、処理部13は、例えば、第1の方向について、密度検証枠と配置対象の素子の境界領域との長さの差分値X1を算出する。また、処理部13は、第2の方向について、配置済みの素子の密度保障領域と最小必要領域との座標の差分値Y1を算出する。配置済みの素子の密度保障領域と最小必要領域の座標とは、第2の方向における座標の最大値、または、最小値を示す。そして、処理部13は、値X1と値Y1との乗算値を、ダミーパターン補填領域の面積として算出する。
【0126】
このように、ダミーパターン補填領域の面積は、配置済みの素子の境界領域の長辺方向である第1の方向における、検証領域と配置対象の素子の境界領域との長さの差分値と、第1の方向と直行する第2の方向における、配置済みの素子の密度保障領域と最小必要領域との座標差分値と、の乗算値に基づいて算出される。境界領域及び密度検証枠の各辺の長さ、密度保障領域及び最小必要領域の位置は、予め検知されている。このため、処理部13は、配置済みの素子に、配置対象の素子の位置に応じた密度保障領域を新たに設定することなく、予め検知された情報に基づいて、ダミーパターン補填領域の面積を簡易に算出可能になる。
【0127】
続いて、処理部13は、ダミーパターン削減領域を算出する(S53)。ダミーパターン削減領域とは、ダミーパターン発生用の配置済みの素子の最小必要領域における、配置対象の素子の接近によって侵食される領域である。即ち、ダミーパターン削減領域は、配置対象の素子の境界領域と、配置済みの素子の境界領域の最小必要領域との重複領域である。
【0128】
同様にして、配置済みの素子の境界領域の長辺方向を第1の方向、短辺方向を第2の方向とする。具体的に、処理部13は、例えば、配置対象の素子の境界領域の第1の方向の長さを値X2として算出する。また、処理部13は、最小必要領域における配置対象の素子の境界領域と重複する、第2の方向の長さ値Y2を算出する。そして、処理部13は、値X2と値Y2との乗算値を、ダミーパターン削減領域として算出する。このように、ダミーパターン削減領域の面積は、配置済みの素子に密度保障領域を新たに設定することなく、配置対象の素子の境界領域と最小必要領域とが重複する面積を算出することにより簡易に算出可能になる。
【0129】
続いて、処理部13は、工程S52で算出したダミーパターン補填領域の面積が、工程S53で算出したダミーパターン削減領域の面積以上であるか否かを判定する(S54)。ダミーパターン補填領域の面積が、ダミーパターン削減領域の面積以上である場合(S54のYES)、処理部13は、ダミーパターン補填領域、及び、ダミーパターン削減領域の座標を記憶する。このとき、処理部13は、ダミーパターン補填領域の面積がダミーパターン削減領域の面積以上である範囲において、配置対象の素子を配置済みの素子に近づけてもよい。続いて、処理部13は、全ての配置対象の素子を配置したか否かを判定する(S46)。ダミーパターン補填領域の面積には、他の素子は配置されない。
【0130】
一方、ダミーパターン補填領域の面積が、ダミーパターン削減領域の面積より小さい場合(S54のNO)、処理部13は、配置対象の素子を配置し直す(S42)。同様にして、処理部13は、配置対象の素子の密度保障領域が、配置済みの素子の密度保障領域、または、境界領域と重複するか否かを判定する(S43)。以降の処理は、前述したとおりである。
【0131】
このように、第3の実施の形態例における処理部13によると、予め、検知される情報に基づいて、ダミーパターン補填領域及びダミーパターン削減領域の面積を簡易に算出することが可能になる。そして、処理部13は、「ダミーパターン補填領域≧ダミーパターン削減領域」の条件に適合する間、配置対象の素子を配置済みの素子に近づけることができる。これにより、配置対象の素子の境界領域が、配置済みの素子の密度保障領域の外側の短辺と重複しない場合であっても、配置対象の素子に合わせて密度保障領域を新たに設定することなく、簡易に、素子を被覆率最小基準値が保障されるように配置可能になる。つまり、素子の配置工程において、複雑な計算処理を要することなく、容易に、高速に、被覆率最小基準値が保障されるように素子の配置が行われる。
【0132】
[第3の実施の形態例における素子のレイアウト工程]
図22は、第3の実施の形態例における素子のレイアウト処理について説明する第2のフローチャート図である。
図22のフローチャート図は、
図21のフローチャート図に対して、各工程の内容は同一であるものの、工程の順序が異なる。前述した、
図21のフローチャート図では、配置対象の素子の境界領域が、配置済みの素子の密度保障領域の外側の短辺と重複しないか否かの判定工程(S51)の結果によって、工程S44〜S45、または、工程S52〜S55の処理が行われる。
【0133】
これに対し、
図22のフローチャート図では、処理部13は、工程S44〜S45の処理を行った後、工程S51の判定を行う。具体的に、工程S44〜S45の処理の後、処理部13は、配置対象の素子の境界領域が、配置済みの素子の密度保障領域の外側の短辺と重複しないか否かを判定する(S51)。そして、重複する場合(S51のYES)、次の素子の配置処理を行う(S42)。一方、重複しない場合(S51のNO)、処理部13は、ダミーパターン補填領域を算出する(S52)。工程S52の続く処理は、
図21のフローチャート図と同様である。
【0134】
このように、処理部13は、
図21のフローチャート、
図22のフローチャートのいずれの手順で、素子の配置を行ってもよい。例えば、
図21のフローチャート図に示すように、処理部13は、まず、配置対象の素子の境界領域が、配置済みの素子の最小必要領域と重複し、配置済みの素子の密度保障領域における外側の短辺と重複しないか否かを判定する(S51)。そして、処理部13は、判定結果に基づいて、密度保障領域に基づく配置工程(S44、S45)、または、最小必要領域に基づく配置工程(S52〜S55)のいずれかを行う。この方法によると、配置対象の素子の境界領域が、配置済みの素子の最小必要領域と重複し、配置済みの素子の密度保障領域における外側の短辺と重複する場合(S51のNO)、密度保障領域に基づく配置処理(S44、S45)が省略可能になる。
【0135】
または、例えば、
図22のフローチャート図に示すように、処理部13は、密度保障領域に基づく配置工程(S44、S45)を行った後、配置対象の素子の境界領域が、配置済みの素子の最小必要領域と重複し、配置済みの素子の密度保障領域における外側の短辺と重複しないか否かの判定を行う。そして、処理部13は、判定結果に基づいて、最小必要領域に基づく配置工程(S52〜S55)を行う。
【0136】
続いて、本実施の形態例におけるレイアウト工程の具体例について説明する。なお、具体例では、
図21のフローチャート図に基づいて説明する。
【0137】
[レイアウト工程の第1の具体例]
図23は、レイアウト工程の第1の具体例について説明する図である。この例において、配置対象の素子の境界領域L12は、配置済みの素子の密度保障領域dg11−1、dg11−2の外側の短辺と重複していない(S51のNO)。このため、処理部13は、ダミーパターン補填領域Z1aの面積を算出する(S52)。この例において、配置済みの素子の境界領域L11の長辺方向に当たる横方向XXが第1の方向、短辺方向に当たる縦方向YYが第2の方向である。
【0138】
まず、処理部13は、横方向(第1の方向)XXについて、密度検証枠Fr17の長さ10umと、配置対象の素子の境界領域L12の長さ7umとの差分値3um(X1a,=10−7)を算出する。また、処理部13は、縦方向(第2の方向)YYについて、密度保障領域dg11−1、dg11−2と、最小必要領域e4との最大座標値の差分値2um(Y1a)を算出する。または、値Y1aは、縦方向YYについて、配置済みの素子の境界領域L11の長さ7umと最小必要領域幅1um(f4)との加算値8umと、密度検証枠Fr17の長さ10umとの差分によって算出されてもよい。そして、処理部13は、値X1a(3um)と値Y1a(2um)との乗算値6um
2を、ダミーパターン補填領域Z1aの面積として算出する。
【0139】
続いて、処理部13は、ダミーパターン削減領域Z2aの面積を算出する(S53)。まず、処理部13は、横方向(第1の方向)XXについて、配置対象の素子の境界領域L12の長さ7um(X2a)を算出する。また、処理部13は、縦方向(第2の方向)YYについて、配置対象の素子の境界領域L12が、最小必要領域e4に侵入した距離の値0.6um(Y2a)を算出する。そして、処理部13は、値X2a(7um)と値Y2a(0.6um)との乗算値4.2um
2を、ダミーパターン削減領域Z2aの面積として算出する。
【0140】
この場合、ダミーパターン補填領域Z1aの面積6um
2は、ダミーパターン削減領域Z2aの面積4.2um
2より大きい(S54のYES)。つまり、配置対象の素子の最小必要領域e4への侵入によって削減されるダミーパターンの発生領域Z2aの面積よりも、密度検証枠Fr17に対応する領域における、ダミーパターンを発生可能な最小必要領域外の領域Z1aの面積の方が大きい。このため、
図23の配置例において、最小基準値以上の被覆率を保障するダミーパターン配置用の間隔が確保可能になる。なお、ダミーパターン補填領域Z1aには、他の素子の境界領域は重複して配置されない。
【0141】
[レイアウト工程の第2の具体例]
図24は、レイアウト工程の第2の具体例について説明する図である。
図24の例においても、具体例1と同様にして、配置対象の素子の境界領域L12は、配置済みの素子の密度保障領域dg11−1、dg11−2の外側の短辺と重複していない(S51のNO)。このため、処理部13は、ダミーパターン補填領域Z1bの面積を算出する(S52)。
【0142】
ダミーパターン補填領域Z1bの面積は、
図23の例と同一である。処理部13は、横方向(第1の方向)XXについて、密度検証枠Fr18の長さ10umと、配置対象の素子の境界領域L12の長さ7umとの差分値3um(X1b,=10−7)を算出する。また、処理部13は、縦方向(第2の方向)YYについて、密度保障領域dg11−1、dg11−2と、最小必要領域e4との最大座標値の差分値2um(Y1a)を算出する。そして、値X1a(3um)と値Y1a(2um)とが乗算されることによって、ダミーパターン補填領域Z1bの面積6um
2が算出される。
【0143】
続いて、処理部13は、ダミーパターン削減領域Z2bの面積を算出する(S53)。まず、処理部13は、横方向(第1の方向)XXについて、配置対象の素子の境界領域L12の長さ7um(X2a)を算出する。また、処理部13は、縦方向(第2の方向)YYについて、配置対象の素子の境界領域L12が、最小必要領域e4に侵入した距離の値0.9um(Y2b)を算出する。そして、処理部13は、値X2a(7um)と値Y2a(0.9um)との乗算値6.3um
2を、ダミーパターン削減領域Z2bの面積として算出する。
【0144】
この場合、ダミーパターン補填領域Z1bの面積6um
2は、ダミーパターン削減領域Z2aの面積6.3um
2より小さい(S54のNO)。つまり、配置対象の素子の最小必要領域e4への侵入によって削減されるダミーパターンの発生領域Z2bの面積は、密度検証枠Fr18に対応する領域における、ダミーパターンを発生可能な最小必要領域外の領域Z1bの面積より大きい。このため、
図24の配置例によると、密度検証エラーが発生することが予め、検知される。そこで、配置対象の素子は、最小必要領域e4への侵入によるダミーパターン削除領域Z2bの面積が、ダミーパターン補填領域Z1bの面積以内になるように再配置される。
【0145】
以上のように、本実施の形態例におけるマスクパターン生成方法によると、第2の配置工程後に、第2のライブラリパターンが、第1のライブラリパターンの第1の境界パターン領域の長辺に隣接し検証領域当たりのマスクパターンの被覆率最小基準値を満たす最小必要領域幅を短辺方向に有するダミーパターン配置用の最小必要領域と重複し、第1のライブラリパターンの密度保障領域における外側の短辺と重複しないか否かが判定される。そして、重複しない場合、第1の境界パターン領域の長辺方向である第1の方向における、検証領域と第2の境界パターン領域との長さの差分値と、第1の方向と直行する第2の方向における、第1のライブラリパターンの密度保障領域と最小必要領域との座標差分値と、の乗算値に基づくダミーパターン補填領域の面積が算出される。そして、ダミーパターン補填領域の面積が、第2の境界パターン領域と最小必要領域とが重複するダミーパターン削減領域の面積以上になるように第2のライブラリパターンを再配置される。そして、ダミーパターンは配置工程では、さらに、ダミーパターン補填領域にダミーパターンが配置される。
【0146】
または、本実施の形態例におけるマスクパターン生成方法は、半導体基板上の素子パターン形成領域を画定する境界パターン領域(境界領域)と、前記境界パターン領域の周囲に配置されて検証領域(密度検証領域)当たりの前記マスクパターンの被覆率最小基準値を満たすダミーパターンの配置用の密度保障領域とを有するライブラリパターンを複数有するライブラリ情報の参照工程を有する。また、マスクパターン生成方法は、前記ライブラリ情報から抽出した第1のライブラリパターンを配置する第1の配置工程と、第2、3の配置工程を有する。
【0147】
第2の配置工程では、第1の配置工程後に、第1のライブラリパターンの第1の境界パターン領域の長辺に隣接し検証領域当たりのマスクパターンの被覆率最小基準値を満たす最小必要領域幅を短辺方向に有するダミーパターン配置用の最小必要領域と重複し第1のライブラリパターンの密度保障領域における外側の短辺と重複しない条件に該当していないか否かが判定される。そして、条件に該当していない場合、ライブラリ情報から抽出した第2のライブラリパターンが、第2のライブラリパターンの密度保障領域を第1のライブラリパターンの境界パターン領域と重複させずに配置される。
【0148】
そして、第3の配置工程では、第1の配置工程後に、条件に該当する場合、第1の境界パターン領域の長辺方向である第1の方向における、検証領域と第2の境界パターン領域との長さの差分値と、第1の方向と直行する第2の方向における、第1のライブラリパターンの密度保障領域と最小必要領域との座標差分値と、の乗算値に基づくダミーパターン補填領域の面積が算出される。そして、ダミーパターン補填領域の面積が、第2の境界パターン領域と最小必要領域とが重複するダミーパターン削減領域の面積以上になるように、第2のライブラリパターンが配置される。そして、ダミーパターン配置工程では、第1および第2のライブラリパターンの境界パターン領域の外側の領域であって密度保障領域を含む領域と、ダミーパターン補填領域とにダミーパターンが配置される。
【0149】
これにより、素子の配置工程の段階において、配置対象の素子が配置済みの素子における密度保障領域の間や、密度保障領域の内側に重複して配置されるケースにおいても、配置対象の素子が、配置済みの素子とマスクパターンの被覆率最小基準値を保障するダミーパターン配置用の間隔を空けて配置可能になる。また、ダミーパターン補填領域の面積は、配置済みの素子に密度保障領域を新たに設定することなく、予め検知される情報に基づいて、簡易に算出可能である。これにより、複雑な計算処理を要することなく、容易に、高速に、被覆率最小基準値が保障されるように、素子を配置することが可能になる。
【0150】
このように、本実施の形態例におけるマスクパターン生成方法によると、素子の配置工程において、複雑な計算処理を要することなく、容易に、高速に、被覆率最小基準値が保障されるように素子が配置可能になる。また、素子の配置工程において、被覆率最小基準値が保障されるように素子が配置可能になるため、ダミーパターン配置後の密度検証においてエラーが発生することが回避される。素子の配置工程の段階でマスクパターンの密度基準が保障されることから、マスクパターンの密度エラーに基づく、素子の配置、配線の結線のやり直しが発生せず、手戻りが大幅に削減される。これにより、半導体装置のレイアウト工程が大幅に効率化される。
【0151】
また、本実施の形態例において、マスクパターンは、半導体基板内のアクティブ領域のマスクパターンであり、一部の第2のライブラリパターンについて、第2のライブラリパターンの密度保障領域と第1のライブラリパターンの境界領域との重複領域を除く領域におけるマスクパターンの被覆率が被覆率最小基準値を満たすように配置される。これにより、マスクパターンの被覆率最小基準値が確保されると共に、より狭い領域範囲に素子の配置が可能となる。
【0152】
また、本実施の形態例において、マスクパターンは、半導体基板上の導電パターン形成領域のマスクパターンであり、一部の第2のライブラリパターンについて、第2のライブラリパターンの密度保障領域と第1のライブラリパターンの境界パターン領域との重複領域を除く領域と、検証領域内の境界パターン形成領域との合計領域におけるマスクパターンの被覆率が被覆率最小基準値を満たすように配置される。これにより、マスクパターンの被覆率最小基準値が確保されると共に、より狭い領域範囲に素子の配置が可能となる。
【0153】
また、本実施の形態例において、最小必要領域の最小幅は、被覆率が被覆率最小基準値となる最小面積情報を、第1の境界パターン領域の長辺方向である第1の方向の検証領域の長さによって除算した値である。これにより、検証領域がいずれの位置に対応する場合であっても、最小基準値以上の被覆率が保障される。
【0154】
また、本実施の形態例において、ダミーパターン補填領域は、第1の境界パターン領域を最大包含し、さらに第2のライブラリパターンの第2の境界パターン領域を最大包含する場合の検証領域における、第1、2の境界パターン領域及び最小必要領域以外の領域である。
【0155】
これにより、ダミーパターン補填領域の面積は、配置済みの素子に密度保障領域を新たに設定することなく、予め検知される情報に基づいて簡易に算出可能になる。これにより、複雑な計算処理を要することなく、容易に、高速に、被覆率最小基準値が保障されるように、素子を配置することが可能になる。
【0156】
以上の実施の形態をまとめると、次の付記のとおりである。
【0157】
(付記1)
半導体装置のマスクパターン生成方法であって、
半導体基板上の素子パターン形成領域を画定する境界パターン領域と、前記境界パターン領域の周囲に配置されて検証領域当たりの前記マスクパターンの被覆率最小基準値を満たすダミーパターンの配置用の密度保障領域とを有するライブラリパターンを複数有するライブラリ情報の参照工程と、
前記ライブラリ情報から抽出した第1のライブラリパターンを配置する第1の配置工程と、
前記第1の配置工程後に、前記ライブラリ情報から抽出した第2のライブラリパターンを、前記第2のライブラリパターンの前記密度保障領域を前記第1のライブラリパターンの前記境界パターン領域と重複させずに配置する第2の配置工程と、
前記第1および第2のライブラリパターンの前記境界パターン領域の外側の領域であって、前記密度保障領域を含む領域に前記ダミーパターンを配置させるダミーパターン配置工程と、
を有する半導体装置のマスクパターン生成方法。
【0158】
(付記2)
付記1において、
前記マスクパターンは、半導体基板内のアクティブ領域のマスクパターンであり、
前記第2の配置工程では、一部の前記第2のライブラリパターンを、前記第2のライブラリパターンの前記密度保障領域と前記第1のライブラリパターンの前記境界パターン領域との重複領域を除く領域における前記マスクパターンの被覆率が前記被覆率最小基準値を満たすように配置する半導体装置のマスクパターン生成方法。
【0159】
(付記3)
付記1において、
前記マスクパターンは、半導体基板上の導電パターン形成領域のマスクパターンであり、
前記第2の配置工程では、一部の前記第2のライブラリパターンを、前記第2のライブラリパターンの前記密度保障領域と前記第1のライブラリパターンの前記境界パターン領域との重複領域を除く領域と、前記検証領域内の前記境界パターン形成領域との合計領域における前記マスクパターンの被覆率が前記被覆率最小基準値を満たすように配置する半導体装置のマスクパターン生成方法。
【0160】
(付記4)
付記2または3において、
前記ライブラリ情報は、さらに、前記被覆率が前記被覆率最小基準値となる最小面積情報を有する半導体装置のマスクパターン生成方法。
【0161】
(付記5)
付記1乃至4のいずれかにおいて、
前記境界パターン領域、及び、前記検証領域は矩形の領域であって、
前記密度保障領域は、前記境界パターン領域の各頂点のいずれか一つと前記検証領域の各頂点のいずれか一つとを重複させたときの前記検証領域内の前記境界パターン領域外の領域を示す半導体装置のマスクパターン生成方法。
【0162】
(付記6)
半導体装置のマスクパターン生成装置であって、
半導体基板上の素子パターン形成領域を画定する境界パターン領域と、前記境界パターン領域の周囲に配置されて検証領域当たりの前記マスクパターンの被覆率最小基準値を満たすダミーパターンの配置用の密度保障領域とを有するライブラリパターンを複数有するライブラリ情報の参照手段と、
前記ライブラリ情報から抽出した第1のライブラリパターンを配置する第1の配置手段と、
前記第1の配置手段後に、前記ライブラリ情報から抽出した第2のライブラリパターンを、前記第2のライブラリパターンの前記密度保障領域を前記第1のライブラリパターンの前記境界パターン領域と重複させずに配置する第2の配置手段と、
前記第1および第2のライブラリパターンの前記境界パターン領域の外側の領域であって、前記密度保障領域を含む領域に前記ダミーパターンを配置させるダミーパターン配置手段と、
を有する半導体装置のマスクパターン生成装置。
【0163】
(付記7)
半導体装置のマスクパターン生成処理をコンピュータに実行させるコンピュータ読み取り可能なパターン生成プログラムであって、
前記パターン生成処理は、
半導体基板上の素子パターン形成領域を画定する境界パターン領域と、前記境界パターン領域の周囲に配置されて検証領域当たりの前記マスクパターンの被覆率最小基準値を満たすダミーパターンの配置用の密度保障領域とを有するライブラリパターンを複数有するライブラリ情報の参照工程と、
前記ライブラリ情報から抽出した第1のライブラリパターンを配置する第1の配置工程と、
前記第1の配置工程後に、前記ライブラリ情報から抽出した第2のライブラリパターンを、前記第2のライブラリパターンの前記密度保障領域を前記第1のライブラリパターンの前記境界パターン領域と重複させずに配置する第2の配置工程と、
前記第1および第2のライブラリパターンの前記境界パターン領域の外側の領域であって、前記密度保障領域を含む領域に前記ダミーパターンを配置させるダミーパターン配置工程と、
を有する半導体装置のマスクパターン生成プログラム。
【0164】
(付記8)
付記2または3において、さらに、
前記第2の配置工程後に、前記第2のライブラリパターンが、前記第1のライブラリパターンの第1の境界パターン領域の長辺に隣接し前記検証領域当たりの前記マスクパターンの被覆率最小基準値を満たす最小必要領域幅を短辺方向に有するダミーパターン配置用の最小必要領域と重複し、前記第1のライブラリパターンの前記密度保障領域における外側の短辺と重複しない場合に、前記第1の境界パターン領域の長辺方向である第1の方向における、前記検証領域と前記第2の前記境界パターン領域との長さの差分値と、前記第1の方向と直行する第2の方向における、前記第1のライブラリパターンの密度保障領域と前記最小必要領域との座標差分値と、の乗算値に基づくダミーパターン補填領域の面積が、前記第2の境界パターン領域と前記最小必要領域とが重複するダミーパターン削減領域の面積以上になるように前記第2のライブラリパターンを再配置する第3の配置工程と、
前記ダミーパターン配置工程では、さらに、前記ダミーパターン補填領域に前記ダミーパターンを配置させる半導体装置のマスクパターン生成方法。
【0165】
(付記9)
半導体装置のマスクパターン生成方法であって、
半導体基板上の素子パターン形成領域を画定する境界パターン領域と、前記境界パターン領域の周囲に配置されて検証領域当たりの前記マスクパターンの被覆率最小基準値を満たすダミーパターンの配置用の密度保障領域とを有するライブラリパターンを複数有するライブラリ情報の参照工程と、
前記ライブラリ情報から抽出した第1のライブラリパターンを配置する第1の配置工程と、
前記第1の配置工程後に、前記第1のライブラリパターンの第1の境界パターン領域の長辺に隣接し前記検証領域当たりの前記マスクパターンの被覆率最小基準値を満たす最小必要領域幅を短辺方向に有するダミーパターン配置用の最小必要領域と重複し前記第1のライブラリパターンの前記密度保障領域における外側の短辺と重複しない条件に該当していない場合、前記ライブラリ情報から抽出した第2のライブラリパターンを、前記第2のライブラリパターンの前記密度保障領域を前記第1のライブラリパターンの前記境界パターン領域と重複させずに配置する第2の配置工程と、
前記第1の配置工程後に、前記条件に該当する場合、前記第1の境界パターン領域の長辺方向である第1の方向における、前記検証領域と前記第2の前記境界パターン領域との長さの差分値と、前記第1の方向と直行する第2の方向における、前記第1のライブラリパターンの密度保障領域と前記最小必要領域との座標差分値と、の乗算値に基づくダミーパターン補填領域の面積が、前記第2の境界パターン領域と前記最小必要領域とが重複するダミーパターン削減領域の面積以上になるように、前記第2のライブラリパターンを配置する第3の配置工程と、
前記第1および第2のライブラリパターンの前記境界パターン領域の外側の領域であって前記密度保障領域を含む領域と、前記ダミーパターン補填領域とに前記ダミーパターンを配置させるダミーパターン配置工程と、
を有する半導体装置のマスクパターン生成方法。
【0166】
(付記10)
付記9において、
前記マスクパターンは、半導体基板内のアクティブ領域のマスクパターンであり、
前記第2の配置工程では、一部の前記第2のライブラリパターンを、前記第2のライブラリパターンの前記密度保障領域と前記第1のライブラリパターンの前記境界パターン領域との重複領域を除く領域における前記マスクパターンの被覆率が前記被覆率最小基準値を満たすように配置する半導体装置のマスクパターン生成方法。
【0167】
(付記11)
付記9において、
前記マスクパターンは、半導体基板上の導電パターン形成領域のマスクパターンであり、
前記第2の配置工程では、一部の前記第2のライブラリパターンを、前記第2のライブラリパターンの前記密度保障領域と前記第1のライブラリパターンの前記境界パターン領域との重複領域を除く領域と、前記検証領域内の前記境界パターン形成領域との合計領域における前記マスクパターンの被覆率が前記被覆率最小基準値を満たすように配置する半導体装置のマスクパターン生成方法。
【0168】
(付記12)
付記8または10または11において、
前記最小必要領域の前記最小幅は、前記被覆率が前記被覆率最小基準値となる最小面積情報を、第1の境界パターン領域の長辺方向である第1の方向の前記検証領域の長さによって除算した値である半導体装置のマスクパターン生成方法。
【0169】
(付記13)
付記8乃至12のいずれかにおいて、
前記ダミーパターン補填領域は、前記第1の境界パターン領域を最大包含し、さらに前記第2のライブラリパターンの第2の境界パターン領域を最大包含する場合の前記検証領域における、前記第1、2の境界パターン領域及び前記最小必要領域以外の領域である半導体装置のマスクパターン生成方法。
【0170】
(付記14)
半導体装置のマスクパターン生成装置であって、
半導体基板上の素子パターン形成領域を画定する境界パターン領域と、前記境界パターン領域の周囲に配置されて検証領域当たりの前記マスクパターンの被覆率最小基準値を満たすダミーパターンの配置用の密度保障領域とを有するライブラリパターンを複数有するライブラリ情報の参照手段と、
前記ライブラリ情報から抽出した第1のライブラリパターンを配置する第1の配置手段と、
前記第1の配置手段後に、前記第1のライブラリパターンの第1の境界パターン領域の長辺に隣接し前記検証領域当たりの前記マスクパターンの被覆率最小基準値を満たす最小必要領域幅を短辺方向に有するダミーパターン配置用の最小必要領域と重複し前記第1のライブラリパターンの前記密度保障領域における外側の短辺と重複しない条件に該当していない場合、前記ライブラリ情報から抽出した第2のライブラリパターンを、前記第2のライブラリパターンの前記密度保障領域を前記第1のライブラリパターンの前記境界パターン領域と重複させずに配置する第2の配置手段と、
前記第1の配置手段後に、前記条件に該当する場合、前記第1の境界パターン領域の長辺方向である第1の方向における、前記検証領域と前記第2の前記境界パターン領域との長さの差分値と、前記第1の方向と直行する第2の方向における、前記第1のライブラリパターンの密度保障領域と前記最小必要領域との座標差分値と、の乗算値に基づくダミーパターン補填領域の面積が、前記第2の境界パターン領域と前記最小必要領域とが重複するダミーパターン削減領域の面積以上になるように、前記第2のライブラリパターンを配置する第3の配置手段と、
前記第1および第2のライブラリパターンの前記境界パターン領域の外側の領域であって前記密度保障領域を含む領域と、前記ダミーパターン補填領域とに前記ダミーパターンを配置させるダミーパターン配置手段と、
を有する半導体装置のマスクパターン生成装置。
【0171】
(付記15)
半導体装置のマスクパターン生成処理をコンピュータに実行させるコンピュータ読み取り可能なパターン生成プログラムであって、
前記パターン生成処理は、
半導体基板上の素子パターン形成領域を画定する境界パターン領域と、前記境界パターン領域の周囲に配置されて検証領域当たりの前記マスクパターンの被覆率最小基準値を満たすダミーパターンの配置用の密度保障領域とを有するライブラリパターンを複数有するライブラリ情報の参照工程と、
前記ライブラリ情報から抽出した第1のライブラリパターンを配置する第1の配置工程と、
前記第1の配置工程後に、前記第1のライブラリパターンの第1の境界パターン領域の長辺に隣接し前記検証領域当たりの前記マスクパターンの被覆率最小基準値を満たす最小必要領域幅を短辺方向に有するダミーパターン配置用の最小必要領域と重複し前記第1のライブラリパターンの前記密度保障領域における外側の短辺と重複しない条件に該当していない場合、前記ライブラリ情報から抽出した第2のライブラリパターンを、前記第2のライブラリパターンの前記密度保障領域を前記第1のライブラリパターンの前記境界パターン領域と重複させずに配置する第2の配置工程と、
前記第1の配置工程後に、前記条件に該当する場合、前記第1の境界パターン領域の長辺方向である第1の方向における、前記検証領域と前記第2の前記境界パターン領域との長さの差分値と、前記第1の方向と直行する第2の方向における、前記第1のライブラリパターンの密度保障領域と前記最小必要領域との座標差分値と、の乗算値に基づくダミーパターン補填領域の面積が、前記第2の境界パターン領域と前記最小必要領域とが重複するダミーパターン削減領域の面積以上になるように、前記第2のライブラリパターンを配置する第3の配置工程と、
前記第1および第2のライブラリパターンの前記境界パターン領域の外側の領域であって前記密度保障領域を含む領域と、前記ダミーパターン補填領域とに前記ダミーパターンを配置させるダミーパターン配置工程と、
を有する半導体装置のマスクパターン生成プログラム。