(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記故障検知器は、前記電力増幅器の故障を検知した場合、前記複数の電力増幅器の中で故障していない電力増幅器である非故障電力増幅器へ前記複数のバンドの前記RF信号を出力するように前記信号発生器を制御し、
前記非故障電力増幅器は前記RF信号を増幅し、前記増幅された前記RF信号を送信し、
前記信号発生器は、前記送信装置から送信された前記RF信号を受信する受信装置から受信状態の通知を受け、前記通知に基づいて最も通信状態の良いバンドである最良バンドを選択し、前記非故障電力増幅器へ出力する前記RF信号の周波数を前記最良バンドに属するものに切り替える、
請求項4又は5に記載の送信装置。
前記信号発生器は、前記チャネルと同数の、デジタルベースバンド信号発生部、デジタル/アナログ変換器、ミキサ及び可変局所発振信号発生器、並びに、複数の合成器、を含んでおり、
前記デジタルベースバンド信号発生部の各々は、各チャネルのデジタルベースバンド信号をそれぞれ出力し、
前記デジタル/アナログ変換器の各々は、各チャネルの前記デジタルベースバンド信号をそれぞれアナログベースバンド信号へと変換し、
前記ミキサ及び前記可変局所発振信号発生器は、前記アナログベースバンド信号を前記RF信号へとアップコンバートし、
前記合成器は、それぞれの前記電力増幅器に入力される前記RF信号を合成し、前記合成された前記RF信号を前記電力増幅器へと出力するとともに、前記合成器の少なくとも一つは、異なる前記バンドに配置された複数の前記RF信号を合成し、前記合成された前記RF信号を前記複数の電力増幅器の一つに出力する、請求項1乃至3のいずれかに記載された送信装置。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る送信装置及び無線信号送信方法の好適な実施形態について添付図を参照して説明する。なお、以降に示す各図面において、同一又は相当部分の部位については、同一符号を付して示すこととし、その説明は繰り返さないことにする。
【0022】
(本発明の特徴)
本発明の実施形態の説明に先立って、本発明の特徴についてその概要をまず説明する。本発明は、信号発生器により発生された複数の周波数の信号を同時に送信し、かつ関連技術等よりも冗長構成が強化されることによりネットワーク信頼性が向上し、かつ省電力を達成し得る、送信装置を実現することを主要な特徴としている。
【0023】
すなわち、本発明は、複数チャネルのベースバンド信号を、複数の離散的なバンド内に配置されている複数のRF信号に変換して出力する信号発生器と、複数の電力増幅器とを、備えた送信装置であって、前記複数の電力増幅器の少なくとも一つは、前記バンドのうち少なくとも二つの異なるバンドに配置された複数のRF信号を同時に増幅し、複数の離散的な前記バンド内に属する複数の前記RF信号を同時に用いて送信を行う、ことを主要な特徴としている。
【0024】
ここで、前記信号発生器は、前記電力増幅器の故障の有無を検知する故障検知器を備え、前記故障検知器は、前記電力増幅器の故障を検知した場合、当該電力増幅器への前記RF信号の入力を止めるように前記信号発生器を制御するようにしてもよい。
【0025】
又は、前記故障検知器は、前記電力増幅器の故障を検知した場合、前記電力増幅器の中で故障していない電力増幅器(非故障電力増幅器)に前記複数のバンドの前記RF信号を入力するように前記信号発生器を制御し、前記非故障電力増幅器は前記RF信号を増幅した上で送信し、前記信号発生器は、前記送信装置から送信される前記RF信号を受信する受信装置から受信状態の通知を受け、前記通知に基づいて最も通信状態の良いバンド(最良バンド)を選択し、前記非故障電力増幅器に入力される前記RF信号の周波数を前記最良バンドに属するものに切り替えるようにしてもよい。
【0026】
而して本発明では、複数のバンドに配置されたRF信号を複数の電力増幅器で増幅する構成により、電力増幅器のうちの一つが故障したとしても、複数のバンドに配置されたRF信号による通信の継続が可能である、通信に使用できるバンドの数が減らない、複数のバンドの中から良好な通信が可能なバンドを選択して通信できる、という効果が得られる。更に、電力増幅器のうちの一つが故障したとしても、1チャネルあたりのRF信号の送信電力は変化しないため、通信距離が低下せず、送信装置から離れたユーザーとの通信を継続できるという効果が得られる。また、本発明によれば、各電力増幅器を同一セクタに割り当てることができ、電力増幅器のうちの一つが故障したとしても、当該セクタでの通信が途絶しないという効果が得られる。また、上記の送信装置の構成により、送信するRF信号の数を増やしてもPAPRが増大せず、通信の高速化と出力電力及び電力効率の向上とを両立できるという効果が得られる。
【0027】
(実施形態1)
本発明は、複数のバンドに渡り存在する複数のチャネル(キャリア周波数)のRF信号を送信する送信機に関するものである。初めに、バンドとチャネル(キャリア周波数)の概念について説明する。
【0028】
図1は、バンドの割り当てを示す概念図である。
図1で示すように、一般には、アプリケーション毎に使用できるバンドが割り当てられる。例えば、アプリケーションAにはバンド1011が、アプリケーションBにはバンド1012,1013が、アプリケーションCにはバンド1014が、それぞれ割り当てられる。この例で言えば、アプリケーションA,Cのように一つのアプリケーションに一つのバンドが割り当てられることもあれば、アプリケーションBのように一つのアプリケーションに対して複数に分かれたバンドが割り当てられることもある。具体的な例を挙げると、アプリケーションの一つである地上デジタル放送では、470MHz〜770MHzのバンドが割り当てられる。また、アプリケーションの他の一つである3GPP(Third Generation Partnership Project、第3世代携帯電話システム)の下り回線では、2110MHz〜2170MHz、1930MHz〜1990MHz、1805MHz〜1880MHz、・・・と、複数に分かれたバンドが割り当てられる。上記のように、一つのアプリケーションに割り当てられた連続する周波数の区間を、本明細書では「バンド」と呼称する。
【0029】
また一つのバンドの中には、複数のキャリア周波数のRF信号(チャネル)が存在し、それらのRF信号により通信が行われる。例えば、
図1の場合、バンド1011ではRF信号1001〜1004が、バンド1012ではRF信号1005,1006が、バンド1013ではRF信号1007,1008が、バンド1014ではRF信号1009,1010が、それぞれ存在している。具体的な例を挙げると、地上デジタル放送では、1チャネルあたり6MHzの帯域が割り当てられ、470MHz〜770MHzのバンド内にチャネルが50個存在する。また、3GPPの場合、1チャネルあたり5MHzの帯域が割り当てられ、2110MHz〜2170MHzのバンド内に12個のチャネル(12個のキャリア周波数のRF信号)を収容できる。さらに、3GPPの場合、2110MHz〜2170MHzのバンド内の異なるチャネルにそれぞれWCDMA(wideband code division multiple access)とLTE(long term evolution)という異なる規格の信号を配置する場合(マルチスタンダード無線、Multi-Standard Radio)を考慮しても良い。なお、具体的なアプリケーションの例として地上デジタル放送と3GPPを取り上げたが、本実施形態1の適用範囲は上記のアプリケーションに限定されるものではない。
【0030】
本実施形態1では、一例として
図2で示すように、バンドがバンド1211,1212の二つあり、バンド1211に二つのキャリア周波数のRF信号1201,1203が収容され、バンド1212に二つのキャリア周波数のRF信号1202,1204が収容されている場合を採り上げる。
図2で示すとおり、RF信号1201〜1204のキャリア周波数は、RF信号1201ではf
c1L、RF信号1203ではf
c1U、RF信号1202ではf
c2L、RF信号1204ではf
c2Uであり、それぞれ異なっている。
【0031】
図3は、本実施形態1の送信装置1101を示すブロック構成図である。本実施形態1の送信装置1101は、信号発生器1102と、広帯域/マルチバンド電力増幅器1103,1104と、端子1105,1106とを、備えた構成となっている。信号発生器1102は、RF信号1201〜1204を発生させる。本発明の特徴は、送信装置内に備えられた複数の広帯域/マルチバンド電力増幅器の少なくとも一つに、複数のバンドのうち少なくとも二つの異なるバンドに配置された複数のRF信号が同時に入力されることである。例えば、本実施形態1の送信装置1101では、広帯域/マルチバンド電力増幅器1103に、二つの異なるバンド1211,1212に配置されたRF信号1201,1202が同時に入力され、かつ、広帯域/マルチバンド電力増幅器1104に、二つの異なるバンド1211,1212に配置されたRF信号1203,1204が同時に入力されている。RF信号1201,1202は、広帯域/マルチバンド電力増幅器1103によって増幅された後、端子1105に出力される。RF信号1203,1204は、広帯域/マルチバンド電力増幅器1104によって増幅された後、端子1106に出力される。上記の動作により、送信装置1101は、
図2で示すRF信号1201〜1204のうち、RF信号1201,1202を端子1105を経由して送信し、RF信号1203,1204を端子1106を経由して送信する。
【0032】
既に言及したように、本発明の特徴は、送信装置内に備えられた複数の広帯域/マルチバンド電力増幅器の少なくとも一つに、複数のバンドのうち少なくとも二つの異なるバンドに配置された複数のRF信号が同時に入力されることである。そのため、この条件を満たすのであれば、RF信号の周波数配置は
図3以外の配置でもよい。例えば、広帯域/マルチバンド電力増幅器1103がRF信号1203(キャリア周波数f
c1U)及びRF信号1202(キャリア周波数f
c2L)を増幅し、広帯域/マルチバンド電力増幅器1104がRF信号1201(キャリア周波数f
c1L)及びRF信号1204(キャリア周波数f
c2U)を増幅するようにしてもよいし、又は、広帯域/マルチバンド電力増幅器1103がRF信号1201(キャリア周波数f
c1L)及びRF信号1204(キャリア周波数f
c2U)を増幅し、広帯域/マルチバンド電力増幅器1104がRF信号1203(キャリア周波数f
c1U)及びRF信号1202(キャリア周波数f
c2L)を増幅するようにしてもよい。
【0033】
広帯域/マルチバンド電力増幅器1103,1104は、少なくともバンド1211,1212の周波数でRF信号を増幅する性能を持つ必要がある。そこで、広帯域/マルチバンド電力増幅器1103,1104には、非特許文献1で開示されているような、二つ以上の周波数で入出力の整合設計を行なった電力増幅器を用いても良い。又は、広帯域/マルチバンド電力増幅器1103,1104には、バンド1211の下限周波数からバンド1212の上限周波数までの周波数範囲をカバーするような広帯域の電力増幅器を用いても良い。そのような広帯域の電力増幅器の構成は、例えば非特許文献2,3で開示されている。
【0034】
本実施形態1の送信装置1101を分かりやすくするため、比較対象として、
図4の関連技術1の送信装置1111を示す。関連技術1の送信装置1111は、信号発生器1112と、狭帯域電力増幅器1113,1114と、端子1115,1116とを、備えた構成となっている。信号発生器1112は、RF信号1201〜1204を発生させる。
図4の関連技術1の送信装置の特徴は、狭帯域電力増幅器のそれぞれに、一つのバンド内に配置されたRF信号のみが入力されることである。例えば、狭帯域電力増幅器1113には、バンド1211に配置されたRF信号1201,1203が入力され、狭帯域電力増幅器1114には、バンド1212に配置されたRF信号1202,1204が入力されている。バンド1211に配置されたRF信号1201,1203は、狭帯域電力増幅器1113で増幅された後、端子1115を経由して送信される。バンド1212に配置されたRF信号1202,1204は、狭帯域電力増幅器1114で増幅された後、端子1116を経由して送信される。
【0035】
狭帯域電力増幅器1113はバンド1211の周波数のみ増幅する機能があればよく、狭帯域電力増幅器1114はバンド1212の周波数のみ増幅する機能があればよい。
【0036】
図4の関連技術1の送信装置1111は、例えば
図33の伝送装置10Aに相当するものである。
図4のバンド1211の中心周波数が、
図33の伝送装置10A内の送信機21−1Aの送信周波数f1に相当し、
図4のバンド1212の中心周波数が、
図33の伝送装置10A内の送信機21−2Aの送信周波数f2に相当する。
【0037】
図3の実施形態1と
図4の関連技術1とを比較することで、既に記述したとおり、本発明の特徴が電力増幅器に入力されるRF信号の周波数配置にあること、すなわち送信装置1101内に備えられた複数の広帯域/マルチバンド電力増幅器の少なくとも一つに、複数のバンドのうち少なくとも二つの異なるバンドに配置された複数のRF信号が同時に入力されることが理解される。
【0038】
以下では、
図4の関連技術1及び特許文献1〜3に記載の技術に対して、
図3に示す本実施形態1の送信装置1101が持つ利点について説明する。
【0039】
図3の本実施形態1における送信装置1101が持つ利点の一つは、関連技術1等の方式に比べ、故障に備えた冗長性が強化されていることである。
【0040】
図5乃至
図7は、実施形態1の送信装置1101において、一例として広帯域/マルチバンド電力増幅器1104が故障した場合の概念図である。
図5で示すように、広帯域/マルチバンド電力増幅器1104が故障したとしても、故障していない広帯域/マルチバンド電力増幅器1103を用いて、バンド1211に配置されたRF信号1201及びバンド1212に配置されたRF信号1202による通信の継続が可能である。すなわち、本実施形態1によれば、広帯域/マルチバンド電力増幅器のうちの一つが故障したとしても、故障していない広帯域/マルチバンド電力増幅器を用いて、複数のバンドに配置されたRF信号による通信の継続が可能である。又は、広帯域/マルチバンド電力増幅器のうちの一つが故障したとしても、通信に使用できるバンドの数が減らないとも言える。
【0041】
更には、
図6で示すように、バンド1211にRF信号1201,1202を配置した状態で通信することもできる。又は、
図7で示すように、バンド1212にRF信号1201,1202を配置した状態で通信することもできる。すなわち、
図6及び
図7で示すように、本実施形態1によれば、広帯域/マルチバンド電力増幅器のうちの一つが故障したとしても、故障していない広帯域/マルチバンド電力増幅器を用いて、複数のバンドの中から良好な通信が可能なバンドを選択し、そのバンドを通信に用いることが可能である。フェージングなどにより通信に好適なバンドが時間的に変動する場合は、その変動に応じて通信に用いるバンドを切り替えてもよい。
【0042】
バンドの選択は、以下のように行ってもよい。まず、送信装置1101は、
図5に示すようにバンド1211に配置されたRF信号1201及びバンド1212に配置されたRF信号1202を、図示されない受信装置へ送信する。受信装置は、受信したRF信号1201,1202の電波強度を比較し、RF信号1201,1202の強度情報を送信装置1101に返送する。送信装置1101は、返送されたRF信号1201,1202の強度情報に基づき、バンド1211,1212の中で電波強度の強いバンドを選択し、
図6及び
図7に示すように選択したバンドを用いた通信に切り替える。なお、
図5乃至
図7に関する更に具体的で詳細な構成及び動作は、実施形態2以降で説明する。
【0043】
図8は、
図4の関連技術1における送信装置1111において、一例として狭帯域電力増幅器1114が故障した場合の概念図である。
図8で示すように、関連技術1における送信装置1111で狭帯域電力増幅器1114が故障した場合、狭帯域電力増幅器1114が受け持つバンド1212での通信はできなくなる。すなわち、本実施形態1で得られていた機能、すなわち「電力増幅器のうちの一つが故障したとしても、複数のバンドに配置されたRF信号による通信の継続が可能であること、又は通信に使用できるバンドの数が減らないこと」、「電力増幅器のうちの一つが故障したとしても、複数のバンドの中から良好な通信が可能なバンドを選択して通信に用いること」などといった機能は、
図4及び
図8の関連技術1からは得られない。これが、本実施形態1における送信装置1101が持つ利点の一つである。
【0044】
なお、
図4及び
図8の関連技術1が持つ問題点、すなわち一つの電力増幅器又は送信機が故障するとその電力増幅器又は送信機が受け持つバンドでの通信ができなくなるという問題は、特許文献1に記載された
図33の技術と特許文献3に記載された
図37の技術とにも共通するものである。
【0045】
特許文献2に記載された
図34及び
図35の技術では、送信アンプ108〜110又は送信アンプ315〜317が故障した場合、その故障した送信アンプが受け持つセクタへの送信が完全に断たれるという問題があった。特許文献2に記載された
図34及び
図35の技術では、その構成上、送信アンプ108〜110又は送信アンプ315〜317はそれぞれ同一の周波数(f1,f2,・・・,fm)で送信を行う。このように各送信アンプが同一の周波数で通信するために、送信アンプ108〜110又は送信アンプ315〜317の内の複数のアンプを同一のセクタに割り当てるということが不可能であった。
【0046】
本実施形態1の送信装置1101では、広帯域/マルチバンド電力増幅器1103にキャリア周波数f
c1L,f
c2LのRF信号1201,1202が、広帯域/マルチバンド電力増幅器1104にキャリア周波数f
c1U,f
c2UのRF信号1203,1204が、それぞれ入力される。すなわち、広帯域/マルチバンド電力増幅器1103,1104にはそれぞれ異なるキャリア周波数のRF信号が入力される。したがって、広帯域/マルチバンド電力増幅器1103,1104を同一のセクタに割り当てて送信することも可能である。そのように広帯域/マルチバンド電力増幅器1103,1104を同一のセクタに割り当てることで、広帯域/マルチバンド電力増幅器1103,1104のうちいずれかが故障しても、故障していない側の広帯域/マルチバンド電力増幅器で前記セクタへの送信継続が可能である。このように、特許文献2に記載された
図34及び
図35の技術では得られなかった機能が、本実施形態1では実現されている。
【0047】
特許文献3に記載された
図36の技術では、送信増幅部205,206の片方が故障すると、2キャリア信号221,222の送信の継続は可能であるが、送出される2キャリア信号221,222の電力が低下する。送出される2キャリア信号221,222の電力が低下すると、通信装置の通信距離が縮小するので、通信装置から離れたユーザーとは通信できなくなるという問題があった。
【0048】
本実施形態1における送信装置1101では、
図5の例のように広帯域/マルチバンド電力増幅器1104が故障した場合、広帯域/マルチバンド電力増幅器1103は故障前後で変化なくRF信号1201,1202による通信を継続する。このとき、故障前後でRF信号1201,1202の電力は変化しない。すなわち、送信装置1101から送出される各RF信号の電力は変化しないため、通信距離は変化しない。このことから、通信装置から離れたユーザーとは通信できなくなるという、特許文献3に記載された
図36の技術の問題は、本実施形態1では回避される。
【0049】
なお、本実施形態1における送信装置1101では、広帯域/マルチバンド電力増幅器1104が故障した場合、RF信号1203,1204を送信することはできなくなる。すなわち、送信するRF信号の変調帯域幅が減るため、通信は低速化する。ただし、特許文献3に記載された
図36の技術のように通信装置から離れたユーザーとは完全に通信できなくなるよりは、本実施形態1のように低速でも通信が維持される方が、ユーザーエクスペリエンスに優れていると言える。
【0050】
更に、
図3の本実施形態1は、
図4の関連技術1に比べて、送信するRF信号1201〜1204の出力電力を高めて通信距離を伸ばし、かつ広帯域/マルチバンド電力増幅器1103,1104の電力効率を高めて省電力化できるという利点がある。以下では、その原理について説明する。
【0051】
まず、キャリア周波数の異なる二つのRF信号を合成して得られる合成RF信号の性質について議論する。式(1)で与えられる、キャリア周波数f
c1とf
c2の二つのRF信号を合成した合成RF信号波形V(t)について考察する。
【0053】
ここで、合成RF信号波形V(t)は電圧の次元を持つものとする。チャネル1(キャリア周波数f
c1)のベースバンド信号a
1(t)exp[jθ
1(t)]はf
BB1の変調帯域幅を持つものとし、チャネル2(キャリア周波数f
c2)のベースバンド信号a
2(t)exp[jθ
2(t)]はf
BB2の変調帯域幅を持つものとする。また、f
BB1とf
BB2は同程度の大きさを持つものとする。すなわち、f
BB≡f
BB1≒f
BB2とする。キャリア周波数差をΔf≡f
c2−f
c1で定義し、Δf>0であるとする。
【0054】
抵抗Rに合成RF信号波形V(t)が加えられた場合の電力P(t)は、以下の式(2)で与えられる。
【0056】
Tは電力を求めるための平均時間であり、Tの取り方によって異なる電力が定義される。式(1)のV(t)を式(2)に代入すると、以下の式(3)が得られる。
【0058】
平均電力P
aveの計算では、電力計算のための平均時間Tは無限大に採られる。式(3)でTを無限大として積分を実行すると、cosを含む項は全て平滑化されて0となり、式(3)右辺の第一項のみが残る。結果として、平均電力P
aveは式(4)で与えられる。
【0060】
ここで、<a
12>は{a
1(t)}
2の時間平均値、<a
22>は{a
2(t)}
2の時間平均値である。平均電力P
aveはΔfとf
BBの値に依存せず常に式(4)で与えられる。
【0061】
次に、合成RF信号波形V(t)の瞬時電力を導出する。
【0062】
図3の実施形態1では、周波数が離れたバンド1211,1212のそれぞれに、広帯域/マルチバンド電力増幅器1103に入力する信号としてRF信号1201,1202、広帯域/マルチバンド電力増幅器1104に入力する信号としてRF信号1203,1204を配置する。すなわちこの場合、広帯域/マルチバンド電力増幅器1103,1104に入力されるRF信号の周波数差Δfは、RF信号の変調帯域幅f
BBより十分に大きくなる(Δf>>f
BB)。二つのRF信号の配置がΔf>>f
BBとなる場合の瞬時電力の導出では、平均時間Tは1/f
c2≒1/f
c1≒1/Δf<<T<<1/f
BBを満たすように採られる。このようなTに対し、式(3)右辺の第2項乃至第5項では積分時間T内でcos内の位相が高速に変動するため、式(3)右辺の第2項乃至第5項は積分で平滑化されて0になる。結果として式(3)の第1項のみが残り、瞬時電力P(t)は以下の式(5)で与えられる。
【0064】
ここで、合成RF信号波形V(t)のPAPRを計算する。簡単のため、各RF信号の平均電力と振幅ピーク値は同じものとする。すなわち、<a
12>=<a
22>≡<a
2>であり、またmax[a
1(t)]=max[a
2(t)]≡a
maxであるとする。上記の仮定の元で、式(4)と式(5)から、合成RF信号波形V(t)のPAPRは式(6)のように計算される。
【0066】
以上の議論は、キャリア周波数が一般の数(n個)の場合にも容易に拡張される。キャリア周波数がf
c1,f
c2,・・・,f
cnのn個のRF信号があり、それぞれのRF信号の振幅がa
1(t),a
2(t),・・・,a
n(t)であるとする。また、それぞれのキャリア周波数f
c1,f
c2,・・・,f
cnが互いに変調帯域幅f
BBよりも十分大きな周波数間隔で離れているとする。このとき、前記n個のRF信号を合成した場合の平均電力P
aveと、瞬時電力P(t)と、PAPRとは、以下の式(7)〜(9)で与えられる。
【0070】
式(9)が示すように、RF信号のそれぞれのキャリア周波数f
c1,f
c2,・・・,f
cnが互いに変調帯域幅f
BBよりも十分大きな周波数間隔で離れている場合、それらのRF信号を合成した場合のPAPRは、RF信号の個数nに依存しない一定値となる。
【0071】
次に、
図4の関連技術1の場合について議論する。
図4の関連技術1では、一つのバンド内に複数のRF信号を近接した周波数で配置する。例えば、狭帯域電力増幅器1113では一つのバンド1211に複数のRF信号1201,1203が入力される。また、狭帯域電力増幅器1114では一つのバンド1212に複数のRF信号1202,1204が入力される。このような場合、二つのRF信号の周波数差Δfは、RF信号の変調帯域幅f
BBと同程度になる(Δf≒f
BB)。二つのRF信号の配置がΔf≒f
BBとなる場合の瞬時電力の導出では、平均時間Tは1/f
c2≒1/f
c1<<T<<1/Δf≒1/f
BBを満たすように採られる。このようなTに対し、式(3)右辺の第3項乃至第5項では積分時間T内でcos内の位相が高速に変動するため、式(3)右辺の第3項乃至第5項は積分で平滑化されて0になる。結果として式(3)の第1項と第2項が残り、瞬時電力は以下の式(10)で与えられる。
【0073】
式(4)の平均電力P
aveと式(10)の瞬時電力P(t)とから、二つのRF信号の配置がΔf≒f
BBとなる場合の合成RF信号波形V(t)のPAPRは、式(11)のように計算される。
【0075】
また、n個のRF信号があり、それぞれのキャリア周波数f
c1,f
c2,・・・,f
cnが互いに変調帯域幅f
BBと同程度に近接している場合を考える。この場合のPAPRは、以下の式(12)で与えられる。
【0077】
式(12)で示されるように、n個のRF信号のキャリア周波数f
c1,f
c2,・・・,f
cnが互いに変調帯域幅f
BBと同程度に近接している場合のPAPRは、RF信号の個数nに比例する。式(11)の場合は2個のRF信号のキャリア周波数が近接している場合のPAPRであり、式(11)のPAPRの係数2は、RF信号の数に由来している。
【0078】
式(9)で与えられた各RF信号のキャリア周波数が離れている場合のPAPRと、式(12)で与えられた各RF信号のキャリア周波数が近接している場合のPAPRとから、
図4の関連技術1に対する
図3の本実施形態1の利点が、以下のように説明される。
【0079】
図3の本実施形態1では、既に説明したとおり、広帯域/マルチバンド電力増幅器1103,1104に入力されるRF信号は、Δf>>f
BBを満たすように配置される。したがって、この場合のPAPRは式(9)で与えられ、RF信号の個数nが増えてもPAPRは増加しない。
【0080】
一方、
図4の関連技術1では、既に説明したとおり、狭帯域電力増幅器1113,1114に入力されるRF信号は、Δf≒f
BBを満たすように配置される。したがって、この場合のPAPRは式(12)で与えられ、RF信号の個数nに比例してPAPRは増加する。しかも、そのRF信号が複数(n≧2)である場合、この場合のPAPRは式(9)で与えられる本実施形態1のPAPRを常に上回る。
【0081】
したがって、
図3の本実施形態1では、
図4の関連技術1に比べて、PAPRを低減することができる。その結果、
図3の本実施形態1の方が、
図4の関連技術1に比べ、信号歪の抑制にあたり必要なバックオフ量を抑制できる。このことから、
図3の本実施形態1の方が、
図4の関連技術1に比べ、より高い平均送信電力と電力効率を実現できる。
【0082】
図9は、
図4の関連技術1の構成と
図3の本実施形態1の構成とで、実際の電力増幅器の特性を測定し比較した結果である。
図9の特性測定にあたり、
図4の狭帯域電力増幅器1113,1114と、
図3の広帯域/マルチバンド電力増幅器1103,1104とは、同一の電力増幅器を用いて測定を行った。上記の測定により、電力増幅器の特性の違いを含まない、関連技術1と本実施形態1との構成の違いから生じる効果のみを比較できる。RF信号1201〜1204は変調帯域幅f
BB=4MHzのWCDMA Down−Link信号を用いた。
図3の本実施形態1の構成では、バンド1(バンド1211)とバンド2(バンド1212)との周波数差Δfは300MHzに設定し、Δf>>f
BBの条件を満たすように設定して測定した。また、
図4の関連技術1の構成では、RF信号1201,1203の周波数間隔とRF信号1202,1204の周波数間隔とはそれぞれ同じ値Δf=5MHzとし、Δf≒f
BBの条件を満たすように設定して測定した。
図9は、WCDMA Down−Link信号の歪規格(隣接チャネル漏洩電力ACPR<−44.2dBc)を満たす範囲内での最良特性を示している。
【0083】
図9の測定結果が示すように、歪規格を満たす特性は、
図4の関連技術1に比べ、
図3の本実施形態1の方が優れている。例えば、電力増幅器の平均出力電力は、
図4の関連技術1に比べ、
図3の本実施形態1の方が2dBから3dB改善している。この平均出力電力の向上は、既に議論したように、
図3の本実施形態1の方が
図4の関連技術1に比べ低いPAPRが得られることに起因する。2バンドの場合、
図3の本実施形態1の方が
図4の関連技術1に比べPAPRが半分になり、これは3dBの低減と等価である。3dBのPAPR低減に対応して、
図4の関連技術1に比べ、
図3の本実施形態1の方が2dBから3dB平均出力電力の改善が得られている。また、平均出力電力の向上に伴い、電力効率(ドレイン効率及びPAE)も改善する。実際、
図9に示すとおり、
図4の関連技術1に比べ、
図3の本実施形態1の方が1.3倍高い電力効率が得られている。
【0084】
すなわち、
図3の本実施形態1は、
図4の関連技術1に比べて、送信するRF信号1201〜1204の出力電力を高めて通信距離を伸ばし、かつ広帯域/マルチバンド電力増幅器1103,1104の電力効率を高めて省電力化できるという利点がある。
【0085】
本実施形態1のPAPR低減手法と、特許文献3に記載された
図37の技術におけるPAPR低減手法について比較する。特許文献3に記載された
図37の技術では、電力増幅器205,206に入力されるRF信号の個数を減らしてPAPRを低減している。これは、Δf≒f
BBの条件を満たし、式(12)のようにPAPRがRF信号の個数nに比例する場合に有効なPAPR低減手法である。
【0086】
一方、
図3の本実施形態1の場合、Δf>>f
BBの条件を満たすようにRF信号の周波数配置を定めることで、式(9)のようにPAPRがRF信号の個数nに依存しない、すなわちRF信号の個数nが増えてもPAPRが増大しないことを利用して、
図4の関連技術1に比べPAPRを低減している。
【0087】
上記のように、本実施形態1と特許文献3に記載された
図37の技術とで、PAPR低減の原理が異なる。また、上記のPAPR低減の原理の違いに基づいて、本実施形態1には、特許文献3に記載された
図37の技術には無い利点が得られる。すなわち、特許文献3に記載された
図37の技術でPAPRを低減するには、電力増幅器205,206に入力されるRF信号の個数を減らすしかない。RF信号の個数を減らすことは信号の変調帯域幅を減らすことにつながり、結果として通信速度が低下する。すなわち、特許文献3に記載された
図37の技術では、PAPRの低減と通信速度の間にトレードオフがある。一方、
図3の本実施形態1の場合、
図4の関連技術1から、RF信号の個数を減らすことなく、RF信号の周波数間隔ΔfをRF信号の変調帯域幅f
BBより十分大きく採ることで、信号のPAPRを低減している。すなわち、本実施形態1では、通信速度を低下させず信号のPAPRを低減させることが可能であり、特許文献3に記載された
図37の技術で見られた前記トレードオフを、解消することに成功している。
【0088】
(実施形態2)
図10は、本実施形態2における送信装置1101を示すブロック構成図である。
図10の本実施形態2では、信号発生器1102の内部構成がより詳細に記載される。
【0089】
本実施形態2において、信号発生器1102は、デジタルベースバンド信号発生部1331〜1334と、デジタル/アナログ変換器1321〜1324と、ミキサ1301〜1304と、可変局所発振信号発生器(以下「可変LO(local oscillator)信号発生器」という。)1311〜1314と、合成器1341,1342と、故障検知器1351,1352とを、含んで構成されている。信号発生器1102の内部において、合成器1341,1342と故障検知器1351,1352とを除いた箇所は、各チャネルRF信号発生器1361としてまとめられている。
【0090】
図10の構成において、デジタルベースバンド信号発生部1331〜1334は、各チャネルのデジタルベースバンド信号1401〜1404を送出する。デジタルベースバンド信号1401〜1404は、デジタル/アナログ変換器1321〜1324においてそれぞれアナログベースバンド信号に変換される。可変LO信号発生器1311〜1314は、それぞれ周波数がf
C1L,f
C2L,f
C1U,f
C2UのLO信号をミキサ1301〜1304に向けて出力する。前記各アナログベースバンド信号は、可変LO信号発生器1311〜1314とミキサ1301〜1304とにより、LO周波数f
C1L,f
C2L,f
C1U,f
C2Uへとそれぞれアップコンバートされる。上記の構成と動作により、デジタルベースバンド信号1401〜1404が、それぞれRF信号1201〜1204へと変換される。RF信号1201,1202は、合成器1341において合成された後、広帯域/マルチバンド電力増幅器1103へと同時に入力され、広帯域/マルチバンド電力増幅器1103において増幅された後、端子1105を経由して送信される。また、RF信号1203,1204は、合成器1342において合成された後、広帯域/マルチバンド電力増幅器1104へと同時に入力され、広帯域/マルチバンド電力増幅器1104において増幅された後、端子1106を経由して送信される。
【0091】
図10の構成において、故障検知器1351は広帯域/マルチバンド電力増幅器1103の故障を検知する機能を持ち、故障検知器1352は広帯域/マルチバンド電力増幅器1104の故障を検知する機能を持つ。故障検知器1351,1352は、一例として、広帯域/マルチバンド電力増幅器1103,1104に備えられた電源から供給される電流を検出し、その電流値の異常の有無から故障を検知してもよい。故障検知器1351,1352は、広帯域/マルチバンド電力増幅器1103,1104の故障の有無に応じて、各チャネルRF信号発生器1361を制御する機能を持つ。
【0092】
図11乃至
図13は、本実施形態2において、一例として広帯域/マルチバンド電力増幅器1104が故障した場合の動作を示す図である。
図11乃至
図13において、故障検知器1352は、広帯域/マルチバンド電力増幅器1104が故障していることを検知する。
【0093】
このとき、
図11においては、故障検知器1352が、デジタルベースバンド信号発生部1333,1334と、デジタル/アナログ変換器1323,1324と、ミキサ1303,1304と、可変LO信号発生器1313,1314との動作を止めて、RF信号1203,1204の生成を停止している。
【0094】
図12においては、故障検知器1352は、RF信号1203,1204の生成を停止することに加えて、可変LO信号発生器1311から出力されるLO周波数をf
c2Lからf
c1Uに変更することで、RF信号1202の周波数をf
c2Lからf
c1Uに変更し、バンド1211のみを通信に用いている。
【0095】
図13においては、故障検知器1352は、RF信号1203,1204の生成を停止することに加えて、可変LO信号発生器1311から出力されるLO周波数をf
c1Lからf
c2Lに変更し、かつ可変LO信号発生器1312から出力されるLO周波数をf
c2Lからf
c2Uに変更することで、RF信号1201の周波数をf
c1Lからf
c2Lに変更し、かつRF信号1202の周波数をf
c2Lからf
c2Uに変更し、バンド1212のみを通信に用いるようにしている。
【0096】
図12及び
図13では、バンド1211,1212の中から通信状態のよいバンドを選択し、それを通信に用いるようにしている。本実施形態2における
図11乃至
図13の動作は、実施形態1における
図5乃至
図7の動作に対応している。
【0097】
(実施形態3)
図14は、本実施形態3における送信装置1101を示すブロック構成図である。
図14の本実施形態3では、信号発生器1102の内部構成がより詳細に記載される。
【0098】
図14の本実施形態3では、
図10の実施形態2にスイッチ1371〜1374が追加されている。スイッチ1371〜1374は、それぞれ合成器1341,1342のいずれかを選択し、ミキサ1301〜1304の出力信号を合成器1341,1342のいずれかに入力する構成となっている。
図14の本実施形態3は、スイッチ1371〜1374が追加されたことを除けば、
図10の実施形態2と全て共通である。
【0099】
図14の本実施形態3で示すように、故障の無い通常動作時は、スイッチ1371,1372は、合成器1341にミキサ1301,1302の出力信号が入力されるように設定される。また、スイッチ1373,1374は、合成器1342にミキサ1303,1304の出力信号が入力されるように設定される。上記のスイッチ設定により、広帯域/マルチバンド電力増幅器1103に、バンド1211,1212に配置されたRF信号1201,1202が入力され、広帯域/マルチバンド電力増幅器1104に、バンド1211,1212に配置されたRF信号1203,1204が入力される。このときの動作は、実施形態1における
図4での動作及び実施形態2における
図10での動作に相当する。
【0100】
図15乃至
図17は、本実施形態3において、一例として広帯域/マルチバンド電力増幅器1104が故障した場合の動作を示す図である。
図15乃至
図17において、故障検知器1352は、広帯域/マルチバンド電力増幅器1104が故障していることを検知する。
【0101】
このとき、
図15においては、故障検知器1352が、デジタルベースバンド信号発生部1333,1334と、デジタル/アナログ変換器1323,1324と、ミキサ1303,1304と、可変LO信号発生器1313,1314との動作を止めて、RF信号1203,1204の生成を停止している。
【0102】
図16においては、故障検知器1352が、デジタルベースバンド信号発生部1332,1334と、デジタル/アナログ変換器1322,1324と、ミキサ1302,1304と、可変LO信号発生器1312,1314との動作を止める。更に、スイッチ1371,1373は、合成器1341にミキサ1301,1303の出力信号が入力されるように設定される。上記のスイッチ設定により、広帯域/マルチバンド電力増幅器1103に、バンド1211に配置されたRF信号1201,1203が入力される。
【0103】
図17においては、故障検知器1352が、デジタルベースバンド信号発生部1331,1333と、デジタル/アナログ変換器1321,1323と、ミキサ1301,1303と、可変LO信号発生器1311,1313との動作を止める。更に、スイッチ1372,1374は、合成器1341にミキサ1302,1304の出力信号が入力されるように設定される。上記のスイッチ設定により、広帯域/マルチバンド電力増幅器1103に、バンド1212に配置されたRF信号1202,1204が入力される。
【0104】
図16及び
図17では、バンド1211,1212の中から通信状態のよいバンドを選択し、それを通信に用いるようにしている。本実施形態3における
図15乃至
図17の動作は、実施形態1における
図5乃至
図7の動作に対応している。本実施形態3において、可変LO信号発生器1311〜1314は、固定周波数のLO信号発生器に置き換えてもよい。
【0105】
(実施形態4)
図18は、本実施形態4における送信装置1101を示すブロック構成図である。
図18の本実施形態4では、信号発生器1102の内部構成がより詳細に記載される。
【0106】
本実施形態4では、実施形態2におけるデジタルベースバンド信号発生部1331〜1334が、デジタル中間周波数信号発生部(以下「デジタルIF(intermediate frequency)信号発生部」という。)1381〜1384に置き換えられている。また、可変LO信号発生器1313,1314が削除され、ミキサ1303には可変LO信号発生器1311からLO信号が入力され、ミキサ1304には可変LO信号発生器1312からLO信号が入力されるようになっている。
【0107】
図18の構成において、デジタルIF信号発生部1381〜1384は、各チャネルのデジタルIF信号1411〜1414を送出する。デジタルIF信号1411〜1414は、デジタルベースバンド信号1401〜1404をそれぞれのIF周波数にアップコンバートしたものである。例えば、デジタルIF信号1411は、デジタルベースバンド信号1401をf
IF1−Δf
1のIF周波数にアップコンバートして生成している。以下、デジタルIF信号1412はデジタルベースバンド信号1402をf
IF2−Δf
2のIF周波数に、デジタルIF信号1413はデジタルベースバンド信号1403をf
IF1+Δf
1のIF周波数に、デジタルIF信号1414はデジタルベースバンド信号1404をf
IF2+Δf
2のIF周波数に、それぞれアップコンバートして生成している。
【0108】
デジタルIF信号1411〜1414は、デジタル/アナログ変換器1321〜1324においてそれぞれアナログIF信号に変換される。デジタル/アナログ変換器1321,1323において生成されたアナログIF信号は、可変LO信号発生器1311及びミキサ1301,1303においてRF信号へとアップコンバートされる。このとき、ミキサ1301からはRF信号1201が出力され、ミキサ1303からはRF信号1203が出力される。同様に、デジタル/アナログ変換器1322,1324において生成されたアナログIF信号は、可変LO信号発生器1312及びミキサ1302,1304においてRF信号へとアップコンバートされる。このとき、ミキサ1302からはRF信号1202が出力され、ミキサ1304からはRF信号1204が出力される。
【0109】
RF信号1201,1202は、合成器1341において合成された後、広帯域/マルチバンド電力増幅器1103へと同時に入力され、広帯域/マルチバンド電力増幅器1103において増幅された後、端子1105を経由して送信される。また、RF信号1203,1204は、合成器1342において合成された後、広帯域/マルチバンド電力増幅器1104へと同時に入力され、広帯域/マルチバンド電力増幅器1104において増幅された後、端子1106を経由して送信される。
【0110】
本実施形態4において、可変LO信号発生器1311から出力されるLO信号の周波数はf
c1−f
IF1に設定されている。また、可変LO信号発生器1312から出力されるLO信号の周波数はf
c2−f
IF2に設定されている。このとき、f
c1はRF信号1201,1203の中心周波数、すなわち(f
c1L+f
c1U)/2に設定することが望ましい。また、f
c2はRF信号1202,1204の中心周波数、すなわち(f
c2L+f
c2U)/2に設定することが望ましい。更に、IF周波数に含まれる周波数量Δf
1は、RF信号1201,1203の周波数差分の1/2、すなわち(f
c1U−f
c1L)/2に設定することが望ましい。また、IF周波数に含まれる周波数量Δf
2は、RF信号1202,1204の周波数差分の1/2、すなわち(f
c2U−f
c2L)/2に設定することが望ましい。上記の周波数設定により、RF信号1201〜1204の周波数は所望の値すなわちf
C1L、f
C2L、f
C1U、f
C2Uへとそれぞれ設定される。
【0111】
また、IF周波数に含まれるf
IF1,f
IF2は、任意の値に設定してよい。f
IF1,f
IF2を高く採ると、所望のRF信号1201〜1204と非所望のイメージ信号との周波数差が大きくなり、イメージ信号を除去しやすくなるという利点がある。一方、f
IF1,f
IF2を低く採ると、デジタル/アナログ変換器1321〜1324の動作速度要求を緩和できるという利点がある。上記の利点を踏まえてf
IF1,f
IF2を設定することが望ましい。
【0112】
なお、ミキサ1301〜1304におけるアップコンバートで生じるイメージ信号を除去するため、ミキサ1301〜1304の出力にバンドパスフィルタを設定してもよい。
【0113】
本実施形態4は、実施形態2に比べ、可変LO信号発生器の数を減らし、回路の低コスト化と小型化が可能になるという利点がある。
【0114】
図19乃至
図21は、本実施形態4において、一例として広帯域/マルチバンド電力増幅器1104が故障した場合の動作を示す図である。
図19乃至
図21において、故障検知器1352は、広帯域/マルチバンド電力増幅器1104が故障していることを検知する。
【0115】
このとき、
図19においては、故障検知器1352が、デジタルIF信号発生部1383,1384と、デジタル/アナログ変換器1323,1324と、ミキサ1303,1304との動作を止める。また、可変LO信号発生器1311,1312は、ミキサ1303,1304へのLO信号の供給を止める。上記の動作により、RF信号1203,1204の生成を停止している。
【0116】
図20においては、故障検知器1352は、
図19で示すようにRF信号1203,1204の生成を停止することに加えて、可変LO信号発生器1312から出力されるLO周波数をf
c1−f
IF1に変更し、かつデジタルIF信号1412のIF周波数をf
IF1+Δf
1に変更することで、RF信号1202の周波数をf
c1Uに変更し、バンド1211のみを通信に用いるようにしている。
【0117】
図21においては、故障検知器1352は、
図19で示すようにRF信号1203,1204の生成を停止することに加えて、可変LO信号発生器1311から出力されるLO周波数をf
c2−f
IF2に、デジタルIF信号1411のIF周波数をf
IF2−Δf
2に、デジタルIF信号1412のIF周波数をf
IF2+Δf
2にそれぞれ変更することで、RF信号1201,1202の周波数をそれぞれf
c2Lとf
c2Uに変更し、バンド1212のみを通信に用いるようにしている。
【0118】
図20及び
図21では、バンド1211,1212の中から通信状態のよいバンドを選択し、それを通信に用いるようにしている。本実施形態4における
図19乃至
図21の動作は、実施形態1における
図5乃至
図7の動作に対応している。
【0119】
(実施形態5)
図22は、本実施形態5における送信装置1101を示すブロック構成図である。
図22の本実施形態5では、信号発生器1102の内部構成がより詳細に記載される。
【0120】
図22の本実施形態5では、
図18の実施形態4にスイッチ1371〜1374が追加されている。
図22の本実施形態5は、スイッチ1371〜1374が追加されたことを除けば、
図18の実施形態4と全て共通である。
【0121】
図22の本実施形態5で示すように、故障の無い通常動作時は、スイッチ1371,1372は、合成器1341にミキサ1301,1302の出力信号が入力されるように設定される。また、スイッチ1373,1374は、合成器1342にミキサ1303,1304の出力信号が入力されるように設定される。上記のスイッチ設定により、広帯域/マルチバンド電力増幅器1103に、バンド1211,1212に配置されたRF信号1201,1202が入力される。また、広帯域/マルチバンド電力増幅器1104に、バンド1211,1212に配置されたRF信号1203,1204が入力される。このときの動作は、実施形態1における
図4での動作及び実施形態4における
図18での動作に相当するものである。
【0122】
本実施形態5は、実施形態3に比べ、可変LO信号発生器の数を減らし、回路の低コスト化と小型化が可能になるという利点がある。
【0123】
図23乃至
図25は、本実施形態5において、一例として広帯域/マルチバンド電力増幅器1104が故障した場合の動作を示す図である。
図23乃至
図25において、故障検知器1352は、広帯域/マルチバンド電力増幅器1104が故障していることを検知する。
【0124】
このとき、
図23においては、故障検知器1352が、デジタルIF信号発生部1383,1384と、デジタル/アナログ変換器1323,1324と、ミキサ1303,1304との動作を止める。また、可変LO信号発生器1311,1312は、ミキサ1303,1304へのLO信号の供給を止める。上記の動作により、RF信号1203,1204の生成を停止している。
【0125】
図24においては、故障検知器1352が、デジタルIF信号発生部1382,1384と、デジタル/アナログ変換器1322,1324と、ミキサ1302,1304との動作を止める。また、可変LO信号発生器1311,1312は、ミキサ1302,1304へのLO信号の供給を止める。更に、スイッチ1371,1373は、合成器1341にミキサ1301,1303の出力信号が入力されるように設定される。上記のスイッチ設定により、広帯域/マルチバンド電力増幅器1103に、バンド1211に配置されたRF信号1201,1203が入力される。
【0126】
図25においては、故障検知器1352が、デジタルIF信号発生部1381,1383と、デジタル/アナログ変換器1321,1323と、ミキサ1301,1303との動作を止める。また、可変LO信号発生器1311,1312は、ミキサ1301,1303へのLO信号の供給を止める。更に、スイッチ1372,1374は、合成器1341にミキサ1302,1304の出力信号が入力されるように設定される。上記のスイッチ設定により、広帯域/マルチバンド電力増幅器1103に、バンド1212に配置されたRF信号1202,1204が入力される。
【0127】
図24及び
図25では、バンド1211,1212の中から通信状態のよいバンドを選択し、それを通信に用いるようにしている。本実施形態5における
図23乃至
図25の動作は、実施形態1における
図5乃至
図7の動作に対応している。
【0128】
本実施形態5において、可変LO信号発生器1311,1312は、固定周波数のLO信号発生器に置き換えてもよい。実施形態1〜5は、基地局装置と端末装置(移動局装置)とのいずれに使用してもよい。
【0129】
(実施形態6)
図26は、本実施形態6における送信装置1521を示すブロック構成図である。
図26に示す一例は、本実施形態6の概念を分散型基地局装置に適用したものである。
【0130】
図26の本実施形態6における送信装置1521は、ベースバンドユニット1501と、リモートラジオユニット1502,1503と、光ファイバ1506,1507とを、含んで構成されている。ベースバンドユニット1501とリモートラジオユニット1502とは端子1504を経由して光ファイバ1506により接続され、ベースバンドユニット1501とリモートラジオユニット1503とは端子1505を経由して光ファイバ1507により接続されている。ベースバンドユニット1501は、端子1504と光ファイバ1506とを経由して、デジタルベースバンド信号1401,1402をリモートラジオユニット1502へと送出する。また、ベースバンドユニット1501は、端子1505と光ファイバ1507とを経由して、デジタルベースバンド信号1403,1404をリモートラジオユニット1503へと送出する。リモートラジオユニット1502は、ベースバンドユニット1501から受信したデジタルベースバンド信号1401,1402を、それぞれバンド1211内のRF信号1201とバンド1212内のRF信号1202とへとアップコンバート(周波数変換)し、それらのRF信号1201,1202を用いて送信を行う。同様に、リモートラジオユニット1503は、ベースバンドユニット1501から受信したデジタルベースバンド信号1403,1404を、それぞれバンド1211内のRF信号1203とバンド1212内のRF信号1204とへとアップコンバート(周波数変換)し、それらのRF信号1203,1204を用いて送信を行う。
【0131】
図27は、ベースバンドユニット1501の内部構成を示すブロック図である。
図27で示すように、ベースバンドユニット1501は、デジタルベースバンド信号発生部1331〜1334と、マルチプレクサ(MUX)1601,1602と、電気−光変換器(E/O)1611,1612とを、含んで構成されている。デジタルベースバンド信号発生部1331はデジタルベースバンド信号1401を生成し、デジタルベースバンド信号発生部1332はデジタルベースバンド信号1402を生成する。デジタルベースバンド信号1401,1402は、マルチプレクサ1601において一つの信号にまとめられた後、電気−光変換器1611において光ファイバで伝送可能な光信号に変換された後、端子1504へと送出される。同様に、デジタルベースバンド信号発生部1333はデジタルベースバンド信号1403を生成し、デジタルベースバンド信号発生部1334はデジタルベースバンド信号1404を生成する。デジタルベースバンド信号1403,1404は、マルチプレクサ1602において一つの信号にまとめられた後、電気−光変換器1612において光ファイバで伝送可能な光信号に変換された後、端子1505へと送出される。
【0132】
図28は、リモートラジオユニット1502,1503の内部構成を示すブロック図である。リモートラジオユニット1502は、光−電気変換器(O/E)1711と、デマルチプレクサ(DEMUX)1701と、デジタル/アナログ変換器1321,1322と、ミキサ1301,1302と、可変LO信号発生器1311,1312と、合成器1341と、広帯域/マルチバンド電力増幅器1103とを、含んだ構成になっている。また、リモートラジオユニット1503は、光−電気変換器(O/E)1712と、デマルチプレクサ(DEMUX)1702と、デジタル/アナログ変換器1323,1324と、ミキサ1303,1304と、可変LO信号発生器1313,1314と、合成器1342と、広帯域/マルチバンド電力増幅器1104とを、含んだ構成になっている。
【0133】
図28で示すリモートラジオユニット1502の構成において、端子1504を経由して入力されたデジタルベースバンド信号1401,1402は、光−電気変換器1711において光信号から電気信号に変換される。デマルチプレクサ1701は、デジタルベースバンド信号1401,1402を分離し、デジタルベースバンド信号1401をデジタル/アナログ変換器1321に出力し、デジタルベースバンド信号1402をデジタル/アナログ変換器1322に出力する。デジタルベースバンド信号1401は、ミキサ1301及び可変LO信号発生器1311においてキャリア周波数がf
c1LのRF信号1201へとアップコンバートされる。デジタルベースバンド信号1402は、ミキサ1302及び可変LO信号発生器1312においてキャリア周波数がf
c2LのRF信号1202へとアップコンバートされる。RF信号1201,1202は、合成器1341において合成された後、広帯域/マルチバンド電力増幅器1103へと同時に入力される。RF信号1201,1202は、広帯域/マルチバンド電力増幅器1103において増幅された後、端子1105を経由して送信される。
【0134】
図28で示すリモートラジオユニット1503でも、リモートラジオユニット1502と同様の処理が行われ、キャリア周波数f
c1UのRF信号1203とキャリア周波数f
c2UのRF信号1204とが端子1106を経由して送信される。
【0135】
本実施形態6の特徴は、送信装置1521内に備えられた複数のリモートラジオユニットの少なくとも一つは、複数のバンドのうち少なくとも二つの異なるバンドに配置された複数のRF信号を同時に送信することである。上記の特徴は、実施形態1の特徴である、送信装置1101内に備えられた複数の広帯域/マルチバンド電力増幅器の少なくとも一つに、複数のバンドのうち少なくとも二つの異なるバンドに配置された複数のRF信号が同時に入力され、それらのRF信号を同時に送信することと、本質的に同じである。したがって、本実施形態6において、実施形態1と共通の利点が得られる。
【0136】
(実施形態7)
図29は、本実施形態7における送信装置1521を示すブロック構成図である。
図29の本実施形態7は、実施形態6に、リモートラジオユニットの故障検知機能と故障時の制御機能を追加したものである。
【0137】
図29に示す本実施形態7における送信装置1521では、
図26の実施形態6における送信装置1521に対して故障検知器1351,1352及び制御器1511が追加されている。故障検知器1351は端子1512を経由して制御器1511と接続され、故障検知器1352は端子1513を経由して制御器1511と接続されている。故障検知器1351は、リモートラジオユニット1502の故障を検知して制御器1511に故障状態を通知し、かつリモートラジオユニット1502の動作を制御する機能を有する。故障検知器1352は、リモートラジオユニット1503の故障を検知して制御器1511に故障状態を通知し、かつリモートラジオユニット1503の動作を制御する機能を有する。また、制御器1511は、故障検知器1351,1352から通知された故障状態に応じて、ベースバンドユニット1501及び故障検知器1351,1352を制御する機能を有する。
【0138】
図30乃至
図32は、本実施形態7において、一例としてリモートラジオユニット1503が故障した場合の動作を示す図である。
図30乃至
図32において、故障検知器1352は、リモートラジオユニット1503が故障していることを検知する。
【0139】
このとき、
図30においては、故障検知器1352が、リモートラジオユニット1503の動作を止める。また、故障検知器1352は、制御器1511に、リモートラジオユニット1503が故障していることを通知する。制御器1511は、リモートラジオユニット1503の故障通知を受けて、ベースバンドユニット1501内(
図27)の、デジタルベースバンド信号発生部1333,1334と、マルチプレクサ1602と、電気−光変換器1612との動作を止めて、ベースバンドユニット1501からデジタルベースバンド信号1403,1404の送出を停止させる。
【0140】
図31においては、故障検知器1352は、リモートラジオユニット1503の動作及びベースバンドユニット1501からデジタルベースバンド信号1403,1404の送出を停止させることに加えて、リモートラジオユニット1502(
図28)内の可変LO信号発生器1312から出力されるLO周波数をf
c2Lからf
c1Uに変更することで、RF信号1202の周波数をf
c2Lからf
c1Uに変更し、バンド1211のみを通信に用いるように設定している。
【0141】
図32においては、故障検知器1352は、リモートラジオユニット1503の動作及びベースバンドユニット1501からデジタルベースバンド信号1403,1404の送出を停止させることに加えて、リモートラジオユニット1502(
図28)内の可変LO信号発生器1311から出力されるLO周波数をf
c1Lからf
c2Lに変更し、可変LO信号発生器1312から出力されるLO周波数をf
c2Lからf
c2Uに変更することで、RF信号1201の周波数をf
c1Lからf
c2Lに変更し、かつRF信号1202の周波数をf
c2Lからf
c2Uに変更し、バンド1212のみを通信に用いるようにしている。
【0142】
図31及び
図32では、バンド1211,1212の中から通信状態のよいバンドを選択し、それを通信に用いるようにしている。本実施形態7における
図30乃至
図32の動作は、実施形態1における
図5乃至
図7の動作に対応している。
【0143】
実施形態2の場合、広帯域/マルチバンド電力増幅器1103,1104が同じ送信装置1101内に収められているため、災害時において広帯域/マルチバンド電力増幅器1103,1104が同時に破壊されるおそれがある。一方、本実施形態7の場合、広帯域/マルチバンド電力増幅器1103,1104が異なるリモートラジオユニット1502,1503に収められているので、すなわち広帯域/マルチバンド電力増幅器1103がリモートラジオユニット1502に収められ、広帯域/マルチバンド電力増幅器1104がリモートラジオユニット1503に収められているので、災害時に同時に破壊されるリスクが軽減されるという利点がある。
【0144】
なお、実施形態6、7において、ベースバンドユニット1501とリモートラジオユニット1502,1503との接続は、光ファイバ1506,1507の代わりに無線通信を用いてもよい。光ファイバの場合は災害時に断線のおそれがあるが、無線通信であれば断線のリスクは軽減される。
【0145】
(実施形態8)
図38は、本実施形態8における送信装置2101を示すブロック構成図である。
図38の本実施形態8は、関連技術1の送信装置1111に、実施形態1の送信装置1101を組み合わせた構成を持つ。ただし、送信装置1101では、電力増幅器1104は除かれ、一つの電力増幅器1103のみが設置されている。また、送信装置1111と送信装置1101の信号送出の同期を取るために、同期制御器1901が追加設置されている。
【0146】
既に説明したように、関連技術1の送信装置1111単独では、
図4で示すように周波数が近接した複数のRF信号1201及び1203もしくは1202及び1204をそれぞれ単一の電力増幅器1113もしくは1114で増幅する必要があった。この場合、RF信号のPAPRが高くなるため、出力電力や電力効率が低下するという問題があった。
【0147】
この問題を解決するために、実施形態8における送信装置2101では、関連技術1の送信装置1111に、実施形態1の送信装置1101が追加されている。これにより、送信装置1111が送信していたRF信号の内、RF信号1203および1204を送信装置1101が送信する。送信装置1101で送信するRF信号1203および1204は別のバンドに属するため、周波数は近接していない。このようにする事で、各送信装置において、周波数が近接した複数のRF信号を単一の電力増幅器で増幅する事が無くなるので、出力電力や電力効率が低下する問題を回避する事ができる。
【0148】
実施形態1に対する、実施形態8の利点は以下のように説明される。関連技術1の送信装置1111が既に使われている状況において、関連技術1の送信装置1111を廃棄して実施形態1の送信装置1101に差し替えるという事は、送信装置1111の設備活用もしくは設備償却の観点において望ましい事では無い。一方、実施形態8の場合、既存の送信装置1111を活用しながら、既存の装置1111の単独使用で問題になっていた出力電力や電力効率の低下を解決できるという点で、実施形態1よりも優れている。
【0149】
(実施形態9)
図39は、本実施形態9における送信装置2101を示すブロック構成図である。
図39の本実施形態9は、
図38の実施形態8から電力増幅器1114を除いた構成を持つ。
【0150】
図39の実施形態9における送信装置2101の構成は、
図40の送信装置1111(すなわち
図4の送信装置1111から電力増幅器1114を除いたもの)に実施形態1の送信装置1101を追加した構成でもある。
【0151】
図40の送信装置1111では、単一の電力増幅器1113で周波数が近接したRF信号1201および1203を増幅するため、やはり出力電力と電力効率の低下の問題が発生する。そこで、
図39の実施形態9における送信装置2101では、
図40の送信装置1111に実施形態1の送信装置1101が追加されている。これにより、送信装置1111が送信していたRF信号の内、RF信号1203を送信装置1101が送信する。送信装置1101で送信するRF信号1203および1204は別のバンドに属するため、周波数は近接していない。このようにする事で、各送信装置において、周波数が近接した複数のRF信号を単一の電力増幅器で増幅する事が無くなるので、出力電力や電力効率が低下する問題を回避する事ができる。
【0152】
実施形態9においても、
図40の送信装置1111が既に使われている状況において、送信装置1101を追加する事で、既存の送信装置1111を活用しながら、既存の装置1111の単独使用で問題になっていた出力電力や電力効率の低下を解決できる。
(実施形態10)
図41は、本実施形態10における送信装置2521を示すブロック構成図である。
図41に示す一例は、本実施形態10の概念を分散型基地局装置に適用したものである。
【0153】
実施形態10における送信装置2521は、リモートラジオユニット1502が狭帯域のリモートラジオユニット2502に差し替えられた事を除いて、実施形態7(
図29)の送信装置1521と共通である。実施形態10における送信装置2521において、リモートラジオユニット2502は狭帯域であるため、リモートラジオユニット2502はバンド1に属するRF信号1201のみを出力する。
【0154】
実施形態10の関連技術における送信装置2522を
図42に示す。送信装置2522は、リモートラジオユニットとして狭帯域のリモートラジオユニット2502のみを有する分散型基地局装置である。
図42の送信装置2522において、同一のバンドに配置され周波数が近接したRF信号1201及び1203が単一のリモートラジオユニット2502から送信されるため、出力電力や電力効率が低下する問題が生じる。
送信装置2522が既に使用されている状況において、広帯域のリモートラジオユニット1503がベースバンドユニット1501に接続される事により、実施形態10の送信装置2521が構成される。これにより、リモートラジオユニット2502が送信していたRF信号の内、RF信号1203をリモートラジオユニット1503が送信する。リモートラジオユニット1503で送信するRF信号1203および1204は別のバンドに属するため、周波数は近接していない。このようにする事で、周波数が近接した複数のRF信号を単一のリモートラジオユニットで送信する事が無くなるので、出力電力や電力効率が低下する問題を回避する事ができる。
(実施形態11)
図43は、本実施形態11における送信装置1101を示すブロック構成図である。送信装置1101の構成自体は実施形態1(
図3)と共通である。ただし、実施形態11においては、異なる電力増幅器から出力され同じバンドに属するRF信号の組、例えばRF信号1201と1203、もしくはRF信号1202と1204、のキャリア周波数は同じに揃えられる。実施形態11においては、RF信号1201と1203のキャリア周波数はf
c1、RF信号1202と1204のキャリア周波数はf
c2に揃えられている。そして、異なる電力増幅器から出力され、同じキャリア周波数を持つRF信号の組は、それぞれMIMO (multiple-input and multiple-output)もしくはMISO (multiple-input and single-output)通信に用いられる。すなわち、
図43で示した本実施形態11における送信装置1101において、バンド1のRF信号1201及び1203はバンド1の信号受信機能を持つ無線装置2001において受信される。また、バンド2のRF信号1202及び1204はバンド2の信号受信機能を持つ無線装置2002において受信される。無線装置2001および2002は、それぞれ単一のアンテナでRF信号を受信してもよく、または複数のアンテナでRF信号を受信してもよい。無線装置2001および2002がそれぞれ単一のアンテナでRF信号を受信する場合、実施形態11ではMISO通信が行われる。無線装置2001および2002がそれぞれ複数のアンテナでRF信号を受信する場合、実施形態11ではMIMO通信が行われる。
このように本発明では、マルチバンドのMIMOもしくはMISO通信と組み合わせた実施形態も可能である。
実施形態11の利点は、実施形態1の利点と共通である。例えば実施形態11を関連技術1と比較した場合、実施形態11では関連技術1より高い出力電力と電力効率で送信を行う事ができる。また、実施形態11では、MIMOもしくはMISO通信を行う事(RF信号1201と1203、もしくはRF信号1202と1204、のキャリア周波数は同じに揃える事)により、関連技術1と比較してスペクトル効率の向上が図られている。
【0155】
本発明における送信装置は、特許文献1〜3において開示されている送信装置に比べて、以下の利点がある。
【0156】
特許文献1,3に記載の送信機の場合、一つの電力増幅器又は送信機が故障するとその電力増幅器又は送信機が受け持つバンドでの通信ができなくなるという問題があった。これに対して、本発明における各実施形態の送信装置の場合は、電力増幅器のうちの一つが故障したとしても、複数のバンドに配置されたRF信号による通信の継続が可能である、又は通信に使用できるバンドの数が減らない、更に電力増幅器のうちの一つが故障したとしても、複数のバンドの中から良好な通信が可能なバンドを選択して通信できる、という効果が得られる。
【0157】
特許文献2に記載の送信機の場合、送信アンプのいずれか一つが故障した場合、その送信アンプが受け持つセクタへの送信が完全に断たれるという問題があった。これに対して、本発明における各実施形態の送信装置の場合は、異なる広帯域/マルチバンド電力増幅器に異なる周波数のRF信号が割り当てられるため、異なる広帯域/マルチバンド電力増幅器を同一のセクタへの送信に割り当てが可能であり、その結果、広帯域/マルチバンド電力増幅器のいずれか一つが故障しても、故障していない広帯域/マルチバンド電力増幅器で前記セクタへの送信継続が可能である、という効果が得られる。
【0158】
特許文献3に記載の送信機の場合、送信アンプのいずれか一つが故障した場合、送信装置の通信距離が低下して、送信装置から離れたユーザーとは通信できなくなるという問題があった。これに対して、本発明における各実施形態の送信装置の場合は、送信アンプのいずれか一つが故障しても、送信に用いるRF信号の数が減り通信が低速化するものの、一つのRF信号あたりの送信電力は変化しないため、通信距離が低下することはなく、送信装置から離れたユーザーとの通信を継続できるという利点が得られる。
【0159】
特許文献3に記載の送信機の場合、送信するRF信号の数とPAPRとの間にトレードオフがあり、PAPRを低減し出力電力と電力効率を向上するためにはRF信号の数を減らし通信を低速化するしかないという問題点があった。これに対して、本発明における各実施形態の送信装置の場合は、送信するRF信号の数とPAPRとの間のトレードオフが解消され、通信の高速化と出力電力及び電力効率の向上とが両立できるという利点が得られる。
【0160】
以上、本発明の好適な実施形態の構成を説明した。しかし、前述の各特許文献等に開示されている内容は、本発明に引用をもって繰り込むことも可能とする。本発明の全開示(特許請求の範囲を含む)の枠内において、更にその基本的技術思想に基づいて、実施の形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の特許請求の範囲の枠内において種々の開示要素の多様な組み合わせあるいは選択も可能である。すなわち、本発明は、特許請求の範囲を含む全開示、技術的思想に従って、当業者であればなし得ることが可能な各種変形、修正を含むことはもちろんである。
【0161】
上記の実施形態の一部又は全部は以下の付記のようにも記載され得るが、本発明は以下の構成に限定されるものではない。
【0162】
[付記1]複数チャネルのベースバンド信号を、複数の離散的なバンド内に配置されている複数のRF信号に変換して出力する信号発生器と、
複数の電力増幅器と、を備え、
前記複数の電力増幅器の少なくとも一つは、前記バンドのうち少なくとも二つの異なるバンドに配置された前記複数のRF信号を同時に増幅し、
前記複数の前記RF信号を同時に送信する、送信装置。
【0163】
[付記2]前記複数の電力増幅器の少なくとも二つにおいて同一キャリア周波数の前記RF信号を同時に増幅し、前記同一キャリア周波数のRF信号を用いてMIMO (multiple-input and multiple-output)もしくはMISO (multiple-input and single-output)送信を行う、付記1に記載の送信装置。
【0164】
[付記3]同期制御器をさらに備え、
前記電力増幅器は、前記RF信号を送信する他の送信装置が増幅する、前記バンドのうち少なくとも二つの異なるバンドに配置された複数の前記RF信号のうち、少なくとも一つと同じバンドに配置された前記RF信号を増幅し、
前記同期制御器は、前記電力増幅器及び前記他の送信装置が備える電力増幅器への各々の前記RF信号の入力の同期を制御する、
付記1又は2に記載の送信装置。
【0165】
[付記4]前記他の送信装置と、付記3に記載された送信装置と、を備えることを特徴とする、送信システム。
【0166】
[付記5]前記信号発生器は、前記電力増幅器の故障の有無を検知する故障検知器を有し、
前記故障検知器は、前記電力増幅器の故障を検知した場合、当該電力増幅器への前記RF信号の出力を止めるように前記信号発生器を制御する、
付記1乃至3のいずれかに記載の送信装置。
【0167】
[付記6]前記故障検知器は、前記電力増幅器の故障を検知した場合、前記複数の電力増幅器の中で故障していない電力増幅器である非故障電力増幅器へ前記複数のバンドの前記RF信号を出力するように前記信号発生器を制御し、
前記非故障電力増幅器は前記RF信号を増幅し、前記増幅された前記RF信号を送信し、
前記信号発生器は、前記送信装置から送信された前記RF信号を受信する受信装置から受信状態の通知を受け、前記通知に基づいて最も通信状態の良いバンドである最良バンドを選択し、前記非故障電力増幅器へ出力する前記RF信号の周波数を前記最良バンドに属するものに切り替える、
付記5に記載の送信装置。
【0168】
[付記7]前記信号発生器は、前記チャネルと同数の、デジタルベースバンド信号発生部、デジタル/アナログ変換器、ミキサ及び可変局所発振信号発生器、並びに、複数の合成器、を含んでおり、
前記デジタルベースバンド信号発生部の各々は、各チャネルのデジタルベースバンド信号をそれぞれ出力し、
前記デジタル/アナログ変換器の各々は、各チャネルの前記デジタルベースバンド信号をそれぞれアナログベースバンド信号へと変換し、
前記ミキサ及び前記可変局所発振信号発生器は、前記アナログベースバンド信号を前記RF信号へとアップコンバートし、
前記合成器は、それぞれの前記電力増幅器に入力される前記RF信号を合成し、前記合成された前記RF信号を前記電力増幅器へと出力するとともに、前記合成器の少なくとも一つは、異なる前記バンドに配置された複数の前記RF信号を合成し、前記合成された前記RF信号を前記複数の電力増幅器の一つに出力する、付記1乃至3のいずれかに記載された送信装置。
【0169】
[付記8]前記信号発生器は、前記電力増幅器の故障の有無を検知する故障検知器を有し、
前記故障検知器は、前記電力増幅器の故障を検知した場合、当該電力増幅器への前記RF信号の出力を止めるように、当該RF信号の生成に関わる前記デジタルベースバンド信号発生部と、前記デジタル/アナログ変換器と、前記ミキサと、前記可変局所発振信号発生器との動作を停止させる、
付記7に記載の送信装置。
【0170】
[付記9]前記信号発生器は、前記チャネルと同数の、デジタル中間周波数信号発生部、デジタル/アナログ変換器及びミキサ、並びに、複数の可変局所発振信号発生器及び合成器を含んでおり、
前記デジタル中間周波数信号発生部の各々は、各チャネルの前記デジタルベースバンド信号を中間周波数にアップコンバートしたデジタル中間周波数信号をそれぞれ出力し、
前記デジタル/アナログ変換器の各々は、各チャネルの前記デジタル中間周波数信号をそれぞれアナログ中間周波数信号へと変換し、
前記ミキサ及び前記可変局所発振信号発生器は、前記アナログ中間周波数信号を前記各バンドに属する前記RF信号へとそれぞれアップコンバートし、
前記合成器は、それぞれの前記電力増幅器に入力される前記RF信号を合成し、前記合成された前記RF信号を前記電力増幅器へと出力するとともに、前記合成器の少なくとも一つは、異なる前記バンドに配置された複数の前記RF信号を合成し、前記合成された前記RF信号を前記複数の電力増幅器の一つに出力する、付記1乃至3のいずれかに記載の送信装置。
【0171】
[付記10]前記信号発生器は、前記電力増幅器の故障の有無を検知する故障検知器を有し、
前記故障検知器は、前記電力増幅器の故障を検知した場合、当該電力増幅器への前記RF信号の出力を止めるように、当該RF信号の生成に関わる前記デジタル中間周波数信号発生部と、前記デジタル/アナログ変換器と、前記ミキサと、前記可変局所発振信号発生器との動作を停止させる、
付記9に記載の送信装置。
【0172】
[付記11]前記故障検知器は、前記電力増幅器の故障を検知した場合、前記複数の電力増幅器の中で故障していない電力増幅器である非故障電力増幅器に前記複数のバンドの前記RF信号を出力するように、前記可変局所発振信号発生器から出力される局所発振信号の周波数を設定し、
前記非故障電力増幅器は前記RF信号を増幅した上で送信し、
前記信号発生器は、前記送信装置から送信される前記RF信号を受信する受信装置から受信状態の通知を受け、前記通知に基づいて最も通信状態の良いバンドである最良バンドを選択し、前記非故障電力増幅器へ出力する前記RF信号の周波数が前記最良バンドに属するものになるように、前記可変局所発振信号発生器から出力される局所発振信号の周波数を切り替える、
付記8又は10記載の送信装置。
【0173】
[付記12]前記信号発生器は、前記チャネルと同数の、デジタルベースバンド信号発生部、デジタル/アナログ変換器、ミキサ、局所発振信号発生器及びスイッチ、並びに、複数の合成器、を含んでおり、
前記デジタルベースバンド信号発生部の各々は、各チャネルのデジタルベースバンド信号をそれぞれ出力し、
前記デジタル/アナログ変換器の各々は、各チャネルの前記デジタルベースバンド信号をそれぞれアナログベースバンド信号へと変換し、
前記ミキサ及び前記局所発振信号発生器は、前記アナログベースバンド信号を前記RF信号へとアップコンバートし、
前記スイッチは、前記合成器の内それぞれ前記RF信号の出力先となる合成器を選択して前記RF信号を出力し、
前記合成器は、それぞれの前記電力増幅器に入力される前記RF信号を合成し、前記合成された前記RF信号を前記電力増幅器へと出力するとともに、前記合成器の内少なくとも一つは、異なるバンドに配置された複数のRF信号を合成し、前記合成された前記RF信号を前記複数の電力増幅器の内の一つに出力する、
付記1乃至3のいずれかに記載の送信装置。
【0174】
[付記13]前記信号発生器は、前記チャネルと同数の、デジタル中間周波数信号発生部、デジタル/アナログ変換器、ミキサ及びスイッチ、並びに、複数の可変局所発振信号発生器及び合成器を含んでおり、
前記デジタル中間周波数信号発生部の各々は、各チャネルの前記デジタルベースバンド信号を中間周波数にアップコンバートしたデジタル中間周波数信号をそれぞれ出力し、
前記デジタル/アナログ変換器の各々は、各チャネルの前記デジタル中間周波数信号をそれぞれアナログ中間周波数信号へと変換し、
前記ミキサ及び前記可変局所発振信号発生器は、前記アナログ中間周波数信号を前記各バンドに属する前記RF信号へとそれぞれアップコンバートし、
前記スイッチは、前記合成器の内それぞれ前記RF信号の出力先となる合成器を選択して前記RF信号を出力し、
前記合成器は、それぞれの前記電力増幅器に入力される前記RF信号を合成し、前記合成された前記RF信号を前記電力増幅器へと出力するとともに、前記合成器の少なくとも一つは、異なるバンドに配置された複数のRF信号を合成し、前記合成された前記RF信号を前記複数の電力増幅器の一つに出力する、
付記1乃至3のいずれかに記載の送信装置。
【0175】
[付記14]前記信号発生器は、前記電力増幅器の故障の有無を検知する故障検知器を有し、
前記故障検知器は、前記電力増幅器の故障を検知した場合、故障した前記電力増幅器へ前記RF信号を出力しないように、故障した前記電力増幅器に接続されていない前記合成器を前記スイッチが選択し、
前記スイッチは選択した前記合成器へと前記RF信号を出力する、
付記12又は13に記載の送信装置。
【0176】
[付記15]前記故障検知器は、前記電力増幅器の故障を検知した場合、前記複数の電力増幅器の中で故障していない電力増幅器である非故障電力増幅器へ前記複数のバンドの前記RF信号を出力するように、前記スイッチが前記非故障電力増幅器に接続されている前記合成器を選択し、当該合成器へと前記RF信号を出力し、
前記非故障電力増幅器は前記RF信号を増幅した上で送信し、
前記信号発生器は、前記送信装置から送信される前記RF信号を受信する受信装置から受信状態の通知を受け、前記通知に基づいて最も通信状態の良いバンドである最良バンドを選択し、
前記スイッチは、前記非故障電力増幅器に接続された前記合成器に、前記最良バンドに属する前記RF信号を供給するように切り替えを行う、
付記12に記載の送信装置。
【0177】
[付記16]複数のベースバンド信号を出力するベースバンドユニットと、 複数の付記1乃至3に記載された送信装置と、を備え、
前記ベースバンドユニットは、前記送信装置のうち少なくとも一つに複数のチャネルのベースバンド信号を出力し、
前記送信装置のうち少なくとも一つは、少なくとも二つの異なるバンドに配置された複数の前記RF信号を前記複数の電力増幅器で同時に増幅した上で送信する、送信システム。
【0179】
[付記17]前記送信装置は、前記送信装置の故障の有無を検知する故障検知器を有し、
前記ベースバンドユニットは、前記故障検知器からの故障情報に基づいて前記ベースバンドユニットと前記送信装置とを制御する制御器を有し、
前記制御器は、故障した前記送信装置の動作を停止させ、かつ前記ベースバンドユニットから故障した前記送信装置への前記ベースバンド信号の出力を停止させる、
付記16記載の送信システム。
【0180】
[付記18]前記ベースバンドユニットは、前記チャネルと同数のデジタルベースバンド信号発生部と、前記送信装置と同数のマルチプレクサとを、有しており、
前記送信装置の各々は、一つの、デマルチプレクサ、合成器及び電力増幅器、並びに、複数の、デジタル/アナログ変換器、ミキサ及び可変局所発振信号発生器、を有しており、
前記ベースバンドユニット内の前記デジタルベースバンド信号発生部の各々は、各チャネルのデジタルベースバンド信号をそれぞれ出力し、
前記ベースバンドユニット内の前記マルチプレクサは、前記送信装置の各々に出力される複数のデジタルベースバンド信号を多重して出力し、
前記送信装置内の前記デマルチプレクサは、前記マルチプレクサで多重された信号を元の複数のデジタルベースバンド信号に分離し、
前記送信装置内の前記デジタル/アナログ変換器の各々は、前記デマルチプレクサで分離された各チャネルの前記デジタルベースバンド信号をそれぞれアナログベースバンド信号へと変換し、
前記ミキサ及び前記可変局所発振信号発生器は、前記アナログベースバンド信号を前記RF信号へとアップコンバートし、
前記合成器は、前記電力増幅器に入力される前記RF信号を合成し、前記合成された前記RF信号を前記電力増幅器へと出力し、前記合成器の内少なくとも一つは、異なるバンドに配置された複数の前記RF信号を合成し、前記合成された前記RF信号を前記複数の電力増幅器の内の一つに出力する、付記16又は17に記載の送信システム。
【0181】
[付記19]前記ベースバンドユニットは電気−光変換器を有し、
前記送信装置は光−電気変換器を有し、
前記ベースバンドユニットと前記送信装置とは光ファイバによって接続され、
前記ベースバンドユニットと前記送信装置との間の信号送信は、光通信によって行われる、
付記16乃至18のいずれか一つに記載の送信システム。
【0182】
[付記20]前記ベースバンドユニットと前記送信装置との間の信号送信は、無線通信によって行われる、
付記16乃至18のいずれか一つに記載の送信システム。
【0183】
[付記21]信号発生器において、複数チャネルのベースバンド信号を、複数の離散的なバンド内に配置されている複数のRF信号に変換して出力し、
少なくとも一つの電力増幅器において、前記バンドのうち少なくとも二つの異なるバンドに配置された複数のRF信号を同時に増幅し、
複数の離散的な前記バンド内に属する複数の前記RF信号を同時に送信する、
ことを特徴とする無線信号送信方法。
【0184】
[付記22]前記電力増幅器の故障の有無を検知し、
前記電力増幅器の故障を検知した場合、当該電力増幅器への前記RF信号の入力を止めるように前記信号発生器を制御する、
付記21記載の無線信号送信方法。
【0185】
[付記23]前記電力増幅器の故障の有無を検知し、
前記電力増幅器の故障を検知した場合、前記電力増幅器の中で故障していない電力増幅器である非故障電力増幅器に前記複数のバンドの前記RF信号を入力するように前記信号発生器を制御し、
前記非故障電力増幅器で前記RF信号を増幅し、
前記増幅された前記RF信号を送信し、
前記送信装置から送信される前記RF信号を受信する受信装置から受信状態の通知を受け、
前記通知に基づいて最も通信状態の良いバンドである最良バンドを選択し、
前記非故障電力増幅器に入力される前記RF信号の周波数を前記最良バンドに属するものに切り替える、
付記20又は21に記載の無線信号送信方法。