(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2押圧部は、前記第2軸心よりも前記搬送方向の上流側において前記ホルダを前記第1揺動方向とは逆の第2揺動方向に付勢することにより前記第2付勢力を発生し、前記間隔が拡大する方向に前記ガイドが移動することに連動して前記第2付勢力を減少させる一方、前記間隔が縮小する方向に前記ガイドが移動することに連動して前記第2付勢力を増加させる請求項5記載のシート分離装置。
前記第2押圧部は、前記第2軸心よりも前記搬送方向の上流側において前記ホルダを前記第1揺動方向に付勢することにより前記第2付勢力を発生し、前記間隔が拡大する方向に前記ガイドが移動することに連動して前記第2付勢力を増加させる一方、前記間隔が縮小する方向に前記ガイドが移動することに連動して前記第2付勢力を減少させる請求項5記載のシート分離装置。
前記第2押圧部は、前記第2軸心よりも前記搬送方向の下流側において前記ホルダを前記第1揺動方向とは逆の第2揺動方向に付勢することにより前記第2付勢力を発生し、前記間隔が拡大する方向に前記ガイドが移動することに連動して前記第2付勢力を減少させる一方、前記間隔が縮小する方向に前記ガイドが移動することに連動して前記第2付勢力を増加させる請求項5記載のシート分離装置。
前記第2押圧部は、前記第2軸心よりも前記搬送方向の下流側において前記ホルダを前記第1揺動方向に付勢することにより前記第2付勢力を発生し、前記間隔が拡大する方向に前記ガイドが移動することに連動して前記第2付勢力を増加させる一方、前記間隔が縮小する方向に前記ガイドが移動することに連動して前記第2付勢力を減少させる請求項5記載のシート分離装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記従来のシート分離装置では、押圧機構は、シートの幅の大小にかかわらず、分離パッドを一定の押圧荷重によって分離ローラに向けて押圧する。このため、このシート分離装置では、種々の問題を生じる可能性がある。例えば、このシート分離装置で、幅の大きなシートを基準に押圧荷重を設定した場合を考える。実際、シートの分離に必要な押圧荷重は、幅の大きなシートに比べて幅の小さなシートの方が小さい分離荷重で分離することが可能である。そのため、幅の大きなシートを基準に押圧荷重を設定することで、常に高い押圧荷重が分離ローラと分離パッドとの間にかかることになり、これらの部品の摩耗が早くなるという問題がある。
一方、幅の小さなシートを基準に押圧荷重を設定すれば、幅の大きなシートに作用するブレーキ力が過小になり易い。すると、例えば、分離ローラによって複数枚のシートが搬送されそうになる場合に分離ローラに当接するシート以外のシートが分離パッドに対して滑る不具合が生じ、重送が生じ易くなる。
【0007】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、シートの幅の大小にかかわらず、シートを1枚ずつに良好に分離して搬送することができるとともに、分離パッド等の部品の摩耗を抑制することができるシート分離装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のシート分離装置は、複数枚のシートを支持可能な支持部と、
前記支持部に設けられ、前記支持部に支持されるシートの幅方向に間隔を有して互いに対向し、少なくとも一方が前記幅方向に移動して前記間隔を拡大又は縮小することにより、前記支持部に支持されるシートを前記幅方向において位置決めする一対のガイドと、
前記幅方向に平行な第1軸心周りに回転し、前記支持部に支持されるシートを搬送方向に搬送する分離ローラと、
前記分離ローラによって搬送されるシートを前記分離ローラと協働して1枚ずつに分離する分離パッドと、
前記分離ローラに対して接近又は離間可能に前記分離パッドを保持するホルダと、
前記分離パッドを押圧荷重によって前記分離ローラに向けて押圧する押圧機構と、を備えるシート分離装置であって、
前記ガイドと前記押圧機構との間には、前記間隔が拡大する方向に前記ガイドが移動することに連動して前記押圧荷重を増加させ、前記間隔が縮小する方向に前記ガイドが移動することに連動して前記押圧荷重を減少させる調整手段が設けられていることを特徴とする。
【0009】
本発明のシート分離装置では、ガイドと押圧機構との間に調整手段が設けられている。この調整手段は、一対のガイドの幅方向の間隔が拡大する方向にガイドが移動することに連動して、つまり、一対のガイドが幅の大きなシートを幅方向において位置決めするのに連動して、押圧荷重を増加させる。また、調整手段は、間隔が縮小する方向にガイドが移動することに連動して、つまり、一対のガイドが幅の小さなシートを幅方向において位置決めするのに連動して、押圧荷重を減少させる。このため、このシート分離装置では、幅の大きなシートを分離、搬送する際に作用するブレーキ力と比較して、幅の小さなシートを分離、搬送する際に作用するブレーキ力が小さくなる。その結果、このシート分離装置では、幅の小さなシートを分離、搬送する際に、その幅の小さなシートに応じた低い押圧荷重が分離ローラと分離パッドとの間にかかることになり、これらの部品の摩耗を抑制することができる。また、このシート分離装置では、幅の大きなシートに作用するブレーキ力が過小になり難いので、分離ローラによって複数枚のシートが搬送されそうになる場合に分離ローラに当接するシート以外のシートが分離パッドに対して滑る不具合が生じ難く、その結果、重送が生じ難い。
【0010】
したがって、本発明のシート分離装置では、シートの幅の大小にかかわらず、シートを1枚ずつに良好に分離して搬送することができるとともに、分離パッド等の部品の摩耗を抑制することができる。
【0011】
押圧機構は、第1付勢力でホルダを付勢する第1押圧部を有していることが望ましい。調整手段は、第2付勢力でホルダを付勢する第2押圧部を有していることが望ましい。押圧荷重は、第1付勢力と第2付勢力とによって規定されることが望ましい。そして、第2押圧部は、間隔が拡大する方向にガイドが移動することに連動して押圧荷重が増加するように第2付勢力を変化させる一方、間隔が縮小する方向にガイドが移動することに連動して押圧荷重が減少するように第2付勢力を変化させることが望ましい。このような具体的構成により、本発明の作用効果を確実に奏することができる。
【0012】
ホルダは、第1軸心に平行であり、かつ分離ローラと分離パッドとの接点よりも搬送方向の上流側に位置する第2軸心周りに揺動可能であることが望ましい。分離パッドは、第1揺動方向に揺動することによって分離ローラに接近することが望ましい。そして、第1押圧部は、第2軸心よりも搬送方向の下流側に位置し、ホルダを第1揺動方向に付勢することにより第1付勢力を発生することが望ましい。この構成によれば、簡素なホルダ及び第1押圧部により、分離ローラに向けて分離パッドを押圧する構成を容易に実現できる。
【0013】
第2押圧部は、第2軸心よりも搬送方向の上流側においてホルダを第1揺動方向とは逆の第2揺動方向に付勢することにより第2付勢力を発生し、間隔が拡大する方向にガイドが移動することに連動して第2付勢力を減少させる一方、間隔が縮小する方向にガイドが移動することに連動して第2付勢力を増加させることが望ましい。このような具体的構成により、押圧荷重の増減を容易に実現できる。
【0014】
第2押圧部は、第2軸心よりも搬送方向の上流側においてホルダを第1揺動方向に付勢することにより第2付勢力を発生し、間隔が拡大する方向にガイドが移動することに連動して第2付勢力を増加させる一方、間隔が縮小する方向にガイドが移動することに連動して第2付勢力を減少させることが望ましい。このような具体的構成により、押圧荷重の増減を容易に実現できる。
【0015】
第2押圧部は、第2軸心よりも搬送方向の下流側においてホルダを第1揺動方向とは逆の第2揺動方向に付勢することにより第2付勢力を発生し、間隔が拡大する方向にガイドが移動することに連動して第2付勢力を減少させる一方、間隔が縮小する方向にガイドが移動することに連動して第2付勢力を増加させることが望ましい。このような具体的構成により、押圧荷重の増減を容易に実現できる。
【0016】
第2押圧部は、第2軸心よりも搬送方向の下流側においてホルダを第1揺動方向に付勢することにより第2付勢力を発生し、間隔が拡大する方向にガイドが移動することに連動して第2付勢力を増加させる一方、間隔が縮小する方向にガイドが移動することに連動して第2付勢力を減少させることが望ましい。このような具体的構成により、押圧荷重の増減を容易に実現できる。
【0017】
第2押圧部は、ガイドに設けられ、間隔が拡大する方向又は間隔が縮小する方向にガイドが移動することに連動して幅方向に移動する伝達部と、一端側がホルダに係合し、かつ他端側が伝達部に接離又は摺接する弾性部材と、を有していることが望ましい。この構成によれば、弾性部材が伝達部に接離又は摺接して弾性変形することにより、第2付勢力を好適に増減させることができる。
【0018】
第2押圧部は、ガイドに設けられ、間隔が拡大する方向又は間隔が縮小する方向にガイドが移動することに連動して幅方向に移動する伝達部と、自重をホルダに負荷可能に設けられ、伝達部に接離又は摺接する質量体と、を有していることが望ましい。この構成によれば、質量体が伝達部に接離又は摺接して変位することにより、質量体の自重がホルダに負荷される程度が変動し、フォルダの第2軸心を支点とする重量バランスが変化するので、第2付勢力を好適に増減させることができる。
【0019】
第2押圧部は、ガイドに一体に形成されて略梁状に延び、ホルダに接離又は摺接する梁部材であることが望ましい。この構成によれば、梁部材がホルダに接離又は摺接して弾性変形することにより、第2付勢力を好適に増減させることができる。
【0020】
第2押圧部は、ガイドに設けられ、間隔が拡大する方向又は間隔が縮小する方向にガイドが移動することに連動して幅方向に移動する伝達部と、ホルダに一体に形成されて略梁状に延び、伝達部に接離又は摺接する梁部材と、を有していることが望ましい。この構成によれば、梁部材が伝達部に接離又は摺接して弾性変形することにより、第2付勢力を好適に増減させることができる。
【0021】
本発明のシート分離装置は、分離ローラよりも搬送方向の下流側に位置し、幅方向に同軸で並ぶ複数個の搬送ローラをさらに備えていることが望ましい。そして、分離ローラによって搬送されるシートに当接する搬送ローラの個数は、間隔の縮小に応じて減少することが望ましい。
【0022】
分離ローラによって搬送されるシートに当接する搬送ローラの個数が減少する場合において、分離パッドの分離ローラに対する押圧荷重が一定であると、シートに作用する分離ローラ及び分離パッドのブレーキ力が一定となって、幅の異なるシートに応じて搬送力とブレーキ力とのバランスを適正に保つことができなくなってしまう。この点、本発明のシート分離装置では、上記構成により、一対のガイドの幅方向の間隔の縮小に応じて、分離ローラによって搬送されるシートに当接する搬送ローラの個数が減少するとともに、分離パッドの分離ローラに対する押圧荷重が減少する。その結果、このシート搬送装置では、シートに作用する分離ローラ及び分離パッドのブレーキ力が小さくなるので、幅の異なるシートに応じて搬送力とブレーキ力とのバランスを適正に保つことができる。
【0023】
本発明のシート分離装置は、分離ローラよりも搬送方向の下流側に位置し、分離ローラによって搬送されるシートの画像を読み取る読取部をさらに備えていることが望ましい。この構成によれば、分離ローラ及び分離パッドによって1枚ずつに良好に分離されて搬送されるシートの画像を読取部が読み取るので、読取品質が安定する。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を具体化した実施例を図面を参照しつつ説明する。
【0026】
(実施例)
図1に示すように、実施例の画像読取装置1は、本発明のシート分離装置の具体的態様の一例である。
図1では、操作パネル5が設けられた側を装置の前側と規定し、操作パネル5に向かった場合に左手に来る側を左側と規定して、前後、左右及び上下の各方向を表示する。そして、
図2以降の各図に示す各方向は、全て
図1に示す各方向に対応させて表示する。以下、
図1等に基づいて、画像読取装置1が備える各構成要素について説明する。
【0027】
<全体構成>
図1に示すように、画像読取装置1は、本体部8と開閉部9とを備えている。本体部8は、扁平な略箱状体であり、その前側に操作パネル5が設けられている。
【0028】
図2に示すように、本体部8の下側には、画像形成ユニット6が設けられている。図示は省略するが、画像形成ユニット6には、インクジェット方式又はレーザ方式等の画像形成部が収容されている。
【0029】
本体部8の上側には、読取ユニット30が設けられている。読取ユニット30の上面には、プラテンガラス7が配設されている。プラテンガラス7の上面は、支持面8Aとされている。支持面8Aは、シートを静止させた状態で読み取る際に、そのシートを支持する。この場合のシートには、用紙、OHPシートの他、書籍等が含まれる。
【0030】
図1に示すように、開閉部9は、本体部8の後面側上端縁に配設された図示しないヒンジにより、左右方向に延びる開閉軸心X9周りに揺動可能に本体部8に支持されている。開閉部9は、
図1に実線で示すように、閉じた状態では支持面8Aを上方から覆っている。その一方、開閉部9は、
図1に二点鎖線で示すように、その前側が上方かつ後方に変位するように開閉軸心X9周りに揺動することにより、支持面8Aの上方を開放する。これにより、ユーザは読取対象のシートを支持面8Aに支持させることができる。
【0031】
また、画像読取装置1は、
図1及び
図2に示すように、読取部3と供給トレイ9Aと排出部9Bと一対のガイド60A、60Bと搬送部4と押圧機構100とを備えている。供給トレイ9Aは、本発明の「支持部」の一例である。
【0032】
図2に示すように、読取部3は、読取ユニット30内に収容されている。読取部3としては、CIS(Contact Image Sensor)やCCD(Charge Coupled Device)等の周知の画像読取センサが採用される。読取部3は、図示しない走査機構により、プラテンガラス7の下側で左右方向に往復動可能となっている。
【0033】
支持面8Aが支持するシートの画像を読み取る場合、図示しない走査機構が作動し、
図2に示すように、読取部3を読取ユニット30内における左端側から右端側に移動させる。また、供給トレイ9A上の複数枚のシートSHを搬送しながら画像を読み取る場合、図示しない走査機構が作動し、読取部3を
図2に示す読取ユニット30内における左端側の位置に停止させる。
図2に示す読取部3の位置を読取位置とする。プラテンガラス7において、読取位置に停止する読取部3に対して上側に位置する面は、読取面8Bとされている。
【0034】
図1及び
図2に示すように、供給トレイ9Aは、開閉部9の右側上部に設けられている。排出部9Bは、開閉部9の右側、かつ供給トレイ9Aの下側に設けられている。搬送部4は、開閉部9の左側に収容されている。供給トレイ9Aは、搬送部4によって搬送される複数枚のシートSHを下側から支持する。排出部9Bは、搬送部4によって搬送され、読取位置にある読取部3によって画像が読み取られたシートSHが排出される。
【0035】
図1及び
図2に示すように、一対のガイド60A、60Bは、供給トレイ9Aに設けられている。一対のガイド60A、60Bは、前後方向に間隔を有して互いに対向している。前後方向は、本発明の「支持部に支持されるシートの幅方向」の一例である。
【0036】
図1に示すように、供給トレイ9Aには、前後方向に延びるガイドレール9Gが形成されている。両ガイド60A、60Bは、ガイドレール9Gに沿って前後方向にスライド可能に供給トレイ9Aに支持されている。
図2に示すように、両ガイド60A、60Bは、供給トレイ9Aの裏面側に設けられたラックアンドピニオン機構61により連結されている。
【0037】
図3及び
図4に示すように、ラックアンドピニオン機構61は、両ガイド60A、60Bの一方が他方に接近するように前後方向に変位すれば、その変位を両ガイド60A、60Bの他方に伝達し、両ガイド60A、60Bの他方を一方に接近するように前後方向に変位させる。また、ラックアンドピニオン機構61は、両ガイド60A、60Bの一方が他方から離間するように前後方向に変位すれば、その変位を両ガイド60A、60Bの他方に伝達し、両ガイド60A、60Bの他方を一方から離間するように前後方向に変位させる。この際、供給トレイ9Aの前後方向の中間部とガイド60Aとの距離は、供給トレイ9Aの前後方向の中間部とガイド60Bとの距離と常に等しくなっている。
【0038】
こうして、一対のガイド60A、60Bは、双方が前後方向に移動して間隔を拡大又は縮小することにより、供給トレイ9Aに支持されるシートSHを前後方向において、供給トレイ9Aのセンター基準で位置決めする。
【0039】
一対のガイド60A、60Bは、例えばA4サイズのシート等である幅の大きいシートSHを位置決めする場合、間隔W1で離間する(
図3参照)。また、一対のガイド60A、60Bは、例えばはがきサイズのシート等である幅の小さいシートSHを位置決めする場合、間隔W2で離間する(
図3参照)。
【0040】
図2に示すように、搬送部4は、開閉部9が閉じた状態で、供給トレイ9A上のシートSHを搬送経路P1に沿って順次搬送する。シートSHが搬送部4によって搬送される搬送方向は、搬送経路P1に沿って変化する。搬送経路P1の前半では、右側から左側に向かう方向であり、搬送経路P1の後半では、左側から右側に向かう方向である。
【0041】
より詳しくは、搬送経路P1は、供給トレイ9Aから左側に向かって略水平に延び、搬送部4によって搬送されるシートSHが通過する空間である。搬送部4は、搬送経路P1の略水平に延びる部分に沿う位置に、供給ローラ41と分離ローラ42と分離パッド20とホルダ21とを有している。つまり、搬送経路P1の略水平に延びる部分は、供給ローラ41と分離ローラ42と分離パッド20とホルダ21とによって形成される。
【0042】
図2及び
図3に示すように、分離ローラ42は、回転軸42Sに固定されている。回転軸42Sが図示しない駆動源に駆動されて回転することにより、分離ローラ42は、前後方向に平行な第1軸心X1周りに回転する。分離ローラ42の回転軸42Sには、ローラホルダ40が挿通されている。ローラホルダ40は、分離ローラ42を上方から覆っており、分離ローラ42よりもさらに右方に突出した形状となっている。供給ローラ41は、分離ローラ42よりも搬送方向の上流側に位置している。供給ローラ41は、第1軸心X1に平行な軸心周りで回転可能にローラホルダ40に支持されている。ローラホルダ40には、図示しない伝達ギヤ群が設けられている。この伝達ギヤ群が回転軸42Sから供給ローラ41に回転駆動力を伝達することにより、供給ローラ41が分離ローラ42と同期回転する。そして、供給ローラ41は、供給トレイ9A上のシートSHを搬送方向の下流側に送り出す。分離ローラ42は、供給ローラ41ともに供給トレイ9A上のシートSHを搬送方向に搬送する。
【0043】
図4〜
図6に示すように、分離パッド20は、摩擦部材からなる略矩形状の小片である。分離パッド20は、分離ローラ42に対して接近又は離間可能にホルダ21に保持されている。
【0044】
より詳しくは、ホルダ21は、略矩形状の板状部材である。
図4に示すように、ホルダ21の左側の上面には、分離パッド20が貼り付けられている。ホルダ21の右側には、前後一対の軸部21A、21Bが前方と後方とに向けて突出するように形成されている。
【0045】
ホルダ21は、両軸部21A、21Bが開閉部9の内部フレームに支持されることにより、第2軸心X2周りに揺動可能となっている。第2軸心X2は、第1軸心X1に平行であり、かつ分離ローラ42と分離パッド20との接点N1よりも搬送方向の上流側、すなわち、接点N1より右側に位置している。
【0046】
図5及び
図6に示すように、分離パッド20は、ホルダ21と一体で第2軸心X2周りに第1揺動方向D1に揺動することによって分離ローラ42に接近する。その一方、分離パッド20は、ホルダ21と一体で第2軸心X2周りに第1揺動方向D1とは逆の第2揺動方向D2に揺動することによって分離ローラ42から離間する。
【0047】
押圧機構100は、分離パッド20を押圧荷重F0によって分離ローラ42に向けて押圧する。後で詳しく説明するように、押圧荷重F0は、一対のガイド60A、60Bと押圧機構100との間に設けられた調整手段102によって、一対のガイド60A、60Bの移動に連動して増減する。
【0048】
分離パッド20は、分離ローラ42と協働して供給ローラ41に送り出されたシートSHが複数枚重なっている場合にシートSHを1枚ずつに分離する。より詳しくは、ホルダ21に保持された分離パッド20を押圧機構100が押圧荷重F0によって分離ローラ42に向けて押圧することにより、分離ローラ42と分離パッド20との間に生じるブレーキ力がシートSHに作用する。これにより、分離ローラ42によって複数枚のシートSHが重なった状態で搬送されそうになると、それらのシートSHのうち分離ローラ42に当接しているシート以外のシートにそのブレーキ力が作用し、シートSHが1枚ずつに分離される。
【0049】
次に、搬送経路P1は、
図2に示すように、左方にさらに延びた後、開閉部9の左側面の近傍で下向きにUターンし、プラテンガラス7の読取面8Bに向かって下り傾斜した部分を有する。搬送部4は、搬送経路P1の左方にさらに延びる部分に沿う位置に、第1搬送ローラ43とピンチローラ43Pとを有している。第1搬送ローラ43とピンチローラ43Pとは対向配置され、分離ローラ42及び分離パッド20より1枚ずつに分離されたシートSHを第2搬送ローラ44に向けて搬送する。
【0050】
また、搬送経路P1は、下向きにUターンする部分を含み、搬送部4は、搬送経路P1のUターンする部分に沿う位置に、3個の第2搬送ローラ44A、44B、44Cと、3個のピンチローラ44Pと、3個のピンチローラ44Qと、湾曲ガイド面44Gとを有している。つまり、第2搬送ローラ44A、44B、44Cと、第2搬送ローラ44A〜44Cのそれぞれに対向して配置される各ピンチローラ44P及び各ピンチローラ44Qと、各ピンチローラ44Pと各ピンチローラ44Qとの間で第2搬送ローラ44A〜44Cに対向しながら湾曲する湾曲ガイド面44Gとは、搬送経路P1のUターン形状を規定している。第2搬送ローラ44A、44B、44Cは、分離ローラ32よりも搬送方向の下流側に位置している。3個の第2搬送ローラ44A、44B、44Cは、本発明の「複数個の搬送ローラ」の一例である。
【0051】
図3に示すように、各第2搬送ローラ44A、44B、44Cは、前後方向に同軸で並んでいる。前側の第2搬送ローラ44Aの後端面と、後側の第2搬送ローラ44Cの前端面との間隔W3は、間隔W1より小さく、かつ、間隔W2より大きくなっている。
【0052】
各ピンチローラ44Pは、対応する第2搬送ローラ44A、44B、44Cに上側かつ左側から当接している。ピンチローラ44Qも、対応する各第2搬送ローラ44A、44B、44Cに下側かつ左側から当接している。
【0053】
各第2搬送ローラ44A、44B、44C、各ピンチローラ44P、各ピンチローラ44Q及び湾曲ガイド面44Gは、第1搬送ローラ43とピンチローラ43Pに搬送されたシートSHを引き継いでUターンさせ、読取面8Bに向けて搬送する。
【0054】
この際、
図3に示すように、一対のガイド部60A、60Bの間隔が例えば間隔W1のように拡大している場合、間隔W3が間隔W1より小さいことから、各第2搬送ローラ44A、44B、44Cの全てがシートSHに当接して、シートSHに搬送力を付与する。その一方、一対のガイド部60A、60Bの間隔が例えば間隔W2のように縮小している場合、間隔W3が間隔W2より大きいことから、各第2搬送ローラ44A、44B、44Cのうちの中央に位置する第2搬送ローラ44BのみがシートSHに当接して、シートSHに搬送力を付与する。
【0055】
要するに、分離ローラ42によって搬送されるシートSHに当接する第2搬送ローラ44A、44B、44Cの個数は、一対のガイド部60A、60B間隔がW1からW2に縮小するのに応じて3個から1個に減少する。その結果、各第2搬送ローラ44A、44B、44CがシートSHに付与する搬送力は、シートSHの幅が間隔W1程度である場合と比較して、シートSHの幅が間隔W2程度である場合の方が小さくなる。
【0056】
次に、搬送経路P1は、Uターンした後、
図2に示すように、読取面8Bに沿って右方に短く延びた部分を有する。搬送部4は、搬送経路P1の右方に延びる部分に沿う位置に、プラテンガラス7の読取面8Bに対して上側から対向する押圧部材49を有している。つまり、この読取面8Bと、それに対向する押圧部材49とは、搬送経路P1の一部を形成している。押圧部材49は、付勢バネ49Sにより、読取面8Bに向けて付勢されている。押圧部材49は、第2搬送ローラ44A、44B、44C、ピンチローラ44P及びピンチローラ44Qにより搬送されるシートSHを上側から押圧して、読取面8Bに接触させる。読取位置において読取面8Bに下側から対向する読取部3は、分離ローラ42よりも搬送方向の下流側に位置している。
【0057】
次に、搬送経路P1は、右方に上り傾斜して、排出部9Bに至る部分を有する。搬送部4は、搬送経路P1の上り傾斜する部分に沿う位置に、排出ローラ45とピンチローラ45Pとを有している。排出ローラ45及びピンチローラ45Pは、搬送経路P1の一部を形成し、読取面8Bに接触しながら搬送されたシートSHを排出部9Bに排出する。
【0058】
<画像読取動作>
この画像読取装置1では、支持面8Aが支持するシートの画像を読み取る場合、
図2に示すように、図示しない走査機構が作動し、読取部3を読取ユニット30内における左端側から右端側に移動させる。これにより、読取部3は、支持面8Aが支持するシートの画像を読み取る。その後、図示しない走査機構は、読み取りを終えた読取部3を読取ユニット30内における右端側から左端側に移動させ、元の位置に復帰させる。
【0059】
また、この画像読取装置1では、供給トレイ9A上の複数枚のシートSHを搬送しながら画像を読み取る場合、
図2に示すように、図示しない走査機構が作動し、読取部3を読取位置に停止させる。そして、搬送部4が供給トレイ9A上のシートSHを搬送経路P1に沿って順次搬送すると、そのシートSHが読取面8Bに接触しながら読取位置にある読取部3の上側を通過するので、読取部3は、その通過するシートSHの画像を読み取る。
【0060】
<押圧機構及び調整手段の具体的構成>
図2、
図5及び
図6に示すように、押圧機構100は、第1押圧部110を有している。第1押圧部110は、第2軸心X2よりも搬送方向の下流側、すなわち、第2軸心X2よりも左側に位置している。第1押圧部110は、圧縮コイルバネである。第1押圧部110の上端は、第2軸心X2よりも左側でホルダ21の下面に係合している。第1押圧部110の下端は、開閉部9の内部フレームに係合している。第1押圧部110は、ホルダ21を第1揺動方向D1に付勢することにより、換言すると、ホルダ21の第2軸心X2よりも左側の部位を上側の分離ローラ42に向けて付勢することにより、第1付勢力F1を発生する。
【0061】
図4、
図5及び
図6に示すように、調整手段102は、第2押圧部120を有している。第2押圧部120は、伝達部127と捩じりコイルバネ121とを有している。捩じりコイルバネ121は、本発明の「弾性部材」の一例である。
【0062】
捩じりコイルバネ121の中央のコイル部分は、第2軸心X2よりも右側で開閉部9の内部フレームに支持されている。捩じりコイルバネ121の左端側は、ホルダ21の第2軸心X2より右側の部位に対して下側から当接している。捩じりコイルバネ121の右端側は、第2軸心X2から離間するように右方に突出している。捩じりコイルバネ121の右端側の上方には、開閉部9の内部フレームに形成されたストッパ129が位置している。
【0063】
図4(a)及び
図5に示すように、捩じりコイルバネ121は、右端側がストッパ129に当接する状態で、左端側を上方に変位させようとする復元力を蓄えている。第2押圧部120は、第2軸心X2よりも搬送方向の上流側においてホルダ21を第1揺動方向D1とは逆の第2揺動方向D2に付勢することにより、換言すると、ホルダ21の第2軸心X2よりも右側の部位を捩じりコイルバネ121の左端側によって上側に向けて付勢することにより、第2付勢力F2を発生する。
【0064】
押圧機構100の押圧荷重F0は、第1付勢力F1と第2付勢力F2とによって規定される。具体的には、第2軸心X1と第1付勢力F1の作用点との距離、第2軸心X1と第2付勢力F2の作用点との距離、第1付勢力F1の大きさ、第1付勢力F1の向き、第2付勢力F2の大きさ、第2付勢力F2の向き等に基づいて、押圧荷重F0が規定される。実施例1では、第1押圧部110の第1揺動方向D1の第1付勢力F1が第2押圧部120の第2揺動方向D2の第2付勢力F2に弱められることにより、押圧荷重F0が決まる。
【0065】
図4〜
図6に示すように、伝達部127は、後側のガイド60Bに設けられている。伝達部127は、供給トレイ9Aの裏面側に位置している。後側のガイド60Bの一部は、ガイドレール9Gを通過して供給トレイ9Aの裏面側まで延びている。ガイド60Bは、その供給トレイ9Aの裏面側に位置する部分から左方に延びる接続部60Dを有している。伝達部127は、接続部60Dの左端に連結され、前方に略角柱状に突出している。これにより、伝達部127は、後側のガイド60Bの前後方向の移動に伴って、後側のガイド60Bと一体で前後方向に移動する。換言すると、伝達部127は、間隔がW1からW2までの間で拡大する方向又は間隔が縮小する方向に一対のガイド60A、60Bが移動することに連動して前後方向に移動する。
【0066】
図4(a)及び
図5に示すように、捩じりコイルバネ121の右端側は、間隔がW2からW1に拡大する方向に一対のガイド60A、60Bが移動する場合、すなわち、後側のガイド60Bが後側に移動する場合、伝達部127に対して離間している。
【0067】
図4(b)及び
図6に示すように、捩じりコイルバネ121の右端側は、間隔がW1からW2に縮小する方向に一対のガイド60A、60Bが移動する場合、すなわち、後側のガイド60Bが前側に移動する場合、伝達部127に接触する。伝達部127の前端部は前端から後方に向かって下り傾斜しており、捩じりコイルバネ121の右端側に接触することにより、その右端側を押し下げる。これにより、捩じりコイルバネ121は、より大きな復元力を蓄えるように捩じられる。その結果、第2押圧部120は、第2付勢力F2を増加させ、より大きな第2付勢力F2で、ホルダ21を第2揺動方向D2に付勢する。このため、第1押圧部110の第1付勢力F1が第2押圧部120の増加した第2付勢力F2にさらに弱められることになって、押圧荷重F0が減少する。
【0068】
<作用効果>
実施例1の画像読取装置1では、
図4〜
図6に示すように、一対のガイド60A、60Bと押圧機構100との間に設けられた調整手段102は、幅が間隔W1程度に大きなシートを一対のガイド60A、60Bが前後方向において位置決めするのに連動して、より詳しくは、ガイド60Bの後方への移動に伴う第2押圧部120の伝達部127及び捩じりコイルバネ121の離間により、第2付勢力F2を減少させて押圧荷重F0を増加させる。また、調整手段102は、幅が間隔W2程度に小さなシートSHを一対のガイド60A、60Bが前後方向において位置決めするのに連動して、より詳しくは、ガイド60Bの前方への移動に伴う第2押圧部120の伝達部127及び捩じりコイルバネ121の接触により、第2付勢力F2を増加させて押圧荷重F0を減少させる。
【0069】
このため、この画像読取装置1では、幅が間隔W1程度に大きなシートSHを分離、搬送する際に作用するブレーキ力と比較して、幅が間隔W2程度に小さなシートSHを分離、搬送する際に作用するブレーキ力が小さくなる。その結果、この画像読取装置1では、幅が間隔W2程度に小さなシートSHを分離、搬送する際に、その幅の小さなシートSHに応じた低い押圧荷重F0が分離ローラ42と分離パッド20との間にかかることになり、分離パッド20等の摩耗を抑制することができる。また、この画像読取装置1では、幅が間隔W1程度に大きなシートSHに作用するブレーキ力が過小になり難いので、分離ローラ42によって複数枚のシートSHが搬送されそうになる場合に分離ローラ42に当接するシート以外のシートが分離パッド20に対して滑る不具合が生じ難く、その結果、重送が生じ難い。
【0070】
したがって、実施例1の画像読取装置1では、シートSHの幅の大小にかかわらず、シートSHを1枚ずつに良好に分離して搬送することができるとともに、分離パッド20等の部品の摩耗を抑制することができる。
【0071】
また、この画像読取装置1では、分離ローラ42と分離パッド20との接点N1よりも搬送方向の上流側に位置する第2軸心X2周りに揺動可能なホルダ21と圧縮コイルバネである第1押圧部110とにより、分離ローラ42に向けて分離パッド20を押圧する構成を容易に実現できる。
【0072】
さらに、この画像読取装置1では、捩じりコイルバネ121の右端側が伝達部127に接離して捩じりコイルバネ121が弾性変形する簡素な構成により、第2付勢力F2を好適に増減させることができる。
【0073】
また、この画像読取装置1では、分離ローラ42によって搬送されるシートSHに当接する第2搬送ローラ44A、44B、44Cの個数は、間隔がW1からW2に縮小するのに応じて3個から1個に減少する。この際、幅が間隔W1程度に大きなシートSHを3個の第2搬送ローラ44A、44B、44Cによって搬送する際にシートSHに作用する搬送力と比較して、幅が間隔W2程度に小さなシートSHを1個の第2搬送ローラ44Bによって搬送する際にシートSHに作用する搬送力の方が小さくなる。ここで、仮に分離パッド20の分離ローラ42に対する押圧荷重F0が一定であると、シートSHに作用する分離ローラ42及び分離パッド20のブレーキ力が一定となって、幅の異なるシートSHに応じて搬送力とブレーキ力とのバランスを適正に保つことができなくなってしまう。この点、実施例1の画像読取装置1では、上記構成により、一対のガイド60A、60Bの前後方向の間隔がW1からW2に縮小するのに応じて、分離ローラ42によって搬送されるシートSHに当接する第2搬送ローラ44A、44B、44Cの個数が3個から1個に減少するとともに、分離パッド20の分離ローラ42に対する押圧荷重F0が減少する。その結果、このシート搬送装置では、幅が間隔W2程度に小さなシートSHを1個の第2搬送ローラ44Bによって搬送する際に小さくなった搬送力に応じて、シートSHに作用する分離ローラ42及び分離パッド20のブレーキ力が小さくなるので、幅の異なるシートSHに応じて搬送力とブレーキ力とのバランスを適正に保つことができる。
【0074】
さらに、この画像読取装置1では、分離ローラ42及び分離パッド20によって1枚ずつに良好に分離されて搬送されるシートSHの画像を読取部3が読み取るので、読取品質が安定する。
【0075】
(実施例2)
図7〜
図9に示すように、実施例2の画像読取装置では、実施例1の画像読取装置1における第2押圧部120の代わりに、第2押圧部220を採用している。実施例2のその他の構成は、実施例1と同一である。このため、実施例1と同一の構成については同一の符号を付して、説明を省略又は簡略する。
【0076】
第2押圧部220は、実施例1の伝達部127の前端部の形状を変更し、その前端部に梁状に左側に延びる部分を形成した梁部材である。また、第2押圧部220は、梁状の部分の先端から前方に延びる当接部220Aを有している。当接部220Aは、その前端側が下方に向くように傾斜した形状となっている。
【0077】
図7(a)及び
図8に示すように、第2押圧部220の当接部220Aは、間隔がW2からW1に拡大する方向に一対のガイド60A、60Bが移動する場合、すなわち、後側のガイド60Bが後側に移動する場合、ホルダ21における第2軸心X2よりも右側の部位に対して離間している。この状態では、第2押圧部220の第2付勢力F2はゼロである。この場合、第1押圧部110の第1揺動方向D1の第1付勢力F1により、押圧荷重F0が決まる。
【0078】
図7(b)及び
図9に示すように、第2押圧部220の当接部220Aは、間隔がW1からW2に縮小する方向に一対のガイド60A、60Bが移動する場合、すなわち、後側のガイド60Bが前側に移動する場合、ホルダ21における第2軸心X2よりも右側の部位の下面に接触する。ここで、第2押圧部220の当接部220Aは、その前端側が下方に向くように傾斜している。このため、第2押圧部220は、当接部220Aがホルダ21における第2軸心X2よりも右側の部位に接触し始めると、当接部220Aの傾斜形状に沿って、その右側の部位を徐々に押し上げ、第2付勢力F2を発生するように作用する。この際、第2押圧部220の梁状部分が有する弾性力(撓み)がホルダ21における右側の部位の押し上げに効果的に作用する。こうして、第2押圧部220は、第2付勢力F2をゼロから増加させ、第2付勢力F2でホルダ21を第2揺動方向D2に付勢する。このため、第1押圧部110の第1付勢力F1が第2押圧部220のゼロから増加した第2付勢力F2に弱められることになって、押圧荷重F0が減少する。
【0079】
このような構成である実施例2の画像読取装置でも、実施例1の画像読取装置1と同様の作用効果を奏することができる。
【0080】
(実施例3)
図10〜
図12に示すように、実施例3の画像読取装置では、実施例1の画像読取装置1における第2押圧部120の代わりに、第2押圧部320を採用している。実施例3のその他の構成は、実施例1と同一である。このため、実施例1と同一の構成については同一の符号を付して、説明を省略又は簡略する。
【0081】
第2押圧部320は、伝達部327と梁部材321とを有している。伝達部327は、実施例1の伝達部127の前端部の傾斜を逆に、すなわち、前端から後方に向かって上り傾斜するように変更している。梁部材321は、樹脂製のホルダ21に一体成形されている。梁部材321は、ホルダ21の右端縁から梁状に右側に延びる棒形状の部材であり、弾性変形が可能である。
【0082】
図10(a)及び
図11に示すように、伝達部327は、間隔がW2からW1に拡大する方向に一対のガイド60A、60Bが移動する場合、すなわち、後側のガイド60Bが後側に移動する場合、梁部材321の右端部321Aから離間している。この状態では、第2押圧部320の第2付勢力F2はゼロである。この場合、第1押圧部110の第1揺動方向D1の第1付勢力F1により、押圧荷重F0が決まる。
【0083】
図10(b)及び
図12に示すように、伝達部327は、間隔がW1からW2に縮小する方向に一対のガイド60A、60Bが移動する場合、すなわち、後側のガイド60Bが前側に移動する場合、梁部材321の右端部321Aに接触する。そして、伝達部327は、その前端から後方に向かって上り傾斜する前端部により、梁部材321の右端部321Aを押し上げて、梁部材321を撓ませる。こうして、第2押圧部320は、部材321が撓むことにより、ホルダ21における第2軸心X2よりも右側の部位を押し上げようとする第2付勢力F2を発生する。こうして、第2押圧部320は、第2付勢力F2をゼロから増加させ、第2付勢力F2でホルダ21を第2揺動方向D2に付勢する。このため、第1押圧部110の第1付勢力F1が第2押圧部320のゼロから増加した第2付勢力F2に弱められることになって、押圧荷重F0が減少する。
【0084】
このような構成である実施例3の画像読取装置でも、実施例1の画像読取装置1と同様の作用効果を奏することができる。
【0085】
(実施例4)
図13〜
図14に示すように、実施例4の画像読取装置では、実施例1の画像読取装置1における第2押圧部120の代わりに、第2押圧部420を採用している。実施例4のその他の構成は、実施例1と同一である。このため、実施例1と同一の構成については同一の符号を付して、説明を省略又は簡略する。
【0086】
第2押圧部420は、伝達部427と質量体421とを有している。伝達部427は、実施例1の伝達部127の前端部の傾斜を逆に、すなわち、前端から後方に向かって上り傾斜するように変更している。伝達部427は、実施例1の伝達部127と比較して、左側かつ前側に大型化されている。質量体421は、開閉部9の内部フレームに上下方向に変位可能に吊り下げられている。質量体421は、左右方向に長いブロック形状とされている。質量体421の左端側下部には、段部421Aが上方かつ右方に凹むように形成されている。
【0087】
図13(a)及び
図14に示すように、伝達部427は、間隔がW2からW1に拡大する方向に一対のガイド60A、60Bが移動する場合、すなわち、後側のガイド60Bが後側に移動する場合、質量体421から離間している。この状態では、質量体421の段部421Aがホルダ21の右端縁に対して上方から当接している。第2押圧部420は、ホルダ21の右端部に質量体421の自重を負荷して下側に向けて付勢することにより、第2付勢力F2を発生する。このため、第1押圧部110の第1揺動方向D1の第1付勢力F1が第2押圧部420の第1揺動方向D1の第2付勢力F2に強められることになって、押圧荷重F0が決まる。
【0088】
図13(b)及び
図14に示すように、伝達部427は、間隔がW1からW2に縮小する方向に一対のガイド60A、60Bが移動する場合、すなわち、後側のガイド60Bが前側に移動する場合、質量体421の下面に接触する。そして、伝達部427は、その前端から後方に向かって上り傾斜する前端部により、質量体421を押し上げて、段部421Aをホルダ21から離間させる。その結果、ホルダ21の右端部に質量体421の自重が負荷されなくなる。このため、第1押圧部110の第1付勢力F1を強めていた第2押圧部420の第2付勢力F2がゼロまで減少することになって、押圧荷重F0が減少する。
【0089】
このような構成である実施例4の画像読取装置でも、実施例1の画像読取装置1と同様の作用効果を奏することができる。
【0090】
(実施例5)
図16〜
図18に示すように、実施例5の画像読取装置では、実施例1の画像読取装置1における第2押圧部120の代わりに、第2押圧部520を採用している。実施例5のその他の構成は、実施例1と同一である。このため、実施例1と同一の構成については同一の符号を付して、説明を省略又は簡略する。
【0091】
第2押圧部520は、伝達部527と引っ張りコイルバネ521とレバー523とを有している。引っ張りコイルバネ521は、本発明の「弾性部材」の一例である。伝達部527は、実施例1の伝達部127の前端部の傾斜を逆に、すなわち、前端から後方に向かって上り傾斜するように変更している。
【0092】
引っ張りコイルバネ521の上端は、第2軸心X2よりも左側でホルダ21の下面に係合している。引っ張りコイルバネ521の下端は、レバー523の左端側に係合している。
【0093】
レバー523は、右側に棒状に延びている。レバー523の中間部は、第3軸心X3周りに揺動可能に開閉部9の内部フレームに支持されている。第3軸心X3は、第2軸心X2よりも右側に位置し、第2軸心X2と平行に延びている。レバー523は、引っ張りコイルバネ521の復元力により、第3軸心X3周りに第3揺動方向D3に付勢されている。レバー523は、第3軸心X3より左側で、開閉部9の内部フレームから突出するストッパ529に当接している。
【0094】
図16(a)及び
図17に示すように、伝達部527は、間隔がW2からW1に拡大する方向に一対のガイド60A、60Bが移動する場合、すなわち、後側のガイド60Bが後側に移動する場合、レバー523の右端部523Aから離間している。第2押圧部520は、第2軸心X2よりも搬送方向の下流側においてホルダ21を第1揺動方向D1とは逆の第2揺動方向D2に付勢することにより、換言すると、ホルダ21の第2軸心X2よりも左側の部位を引っ張りコイルバネ521によって下側に向けて付勢することにより、第2付勢力F2を発生する。このため、第1押圧部110の第1揺動方向D1の第1付勢力F1が第2押圧部520の第2揺動方向D2の第2付勢力F2に弱められることになって、押圧荷重F0が決まる。
【0095】
図16(b)及び
図18に示すように、伝達部527は、間隔がW1からW2に縮小する方向に一対のガイド60A、60Bが移動する場合、すなわち、後側のガイド60Bが前側に移動する場合、レバー523の右端部523Aに接触する。そして、伝達部527は、その前端から後方に向かって上り傾斜する前端部により、右端部523Aを押し上げて、レバー523を第3揺動方向D3とは逆向きに揺動させる。その結果、引っ張りコイルバネ521がレバー523に引っ張られて長く延びる。その結果、第2押圧部120は、第2付勢力F2を増加させ、より大きな第2付勢力F2で、ホルダ21を第2揺動方向D2に付勢する。このため、第1押圧部110の第1付勢力F1が第2押圧部120の増加した第2付勢力F2にさらに弱められることになって、押圧荷重F0が減少する。
【0096】
このような構成である実施例5の画像読取装置でも、実施例1の画像読取装置1と同様の作用効果を奏することができる。
【0097】
(実施例6)
図19〜
図21に示すように、実施例6の画像読取装置では、実施例1の画像読取装置1における第2押圧部120の代わりに、第2押圧部620を採用している。実施例6のその他の構成は、実施例1と同一である。このため、実施例1と同一の構成については同一の符号を付して、説明を省略又は簡略する。
【0098】
第2押圧部620は、伝達部627と捩じりコイルバネ621とを有している。捩じりコイルバネ621は、本発明の「弾性部材」の一例である。伝達部627は、実施例1の伝達部127よりも前方に長く突出している。伝達部627の下面には、第1水平面627A、第2水平面627B及び第3水平面627Cが形成されている。第1水平面627Aは、伝達部627の先端部から後方に向かって略水平に延びている。第2水平面627Bは、上り傾斜面を介して第1水平面627Aに連続し、第1水平面627Aより後側かつ上側で後方に向かって略水平に延びている。第3水平面627Cは、上り傾斜面を介して、第2水平面627Bに連続し、第2水平面627Bより後側かつ上側で後方に向かって略水平に延びている。
【0099】
捩じりコイルバネ621の中央のコイル部分は、第2軸心X2よりも右側で開閉部9の内部フレームに支持されている。捩じりコイルバネ621の左端側は、ホルダ21の第2軸心X2より左側の部位に対して下側から当接している。捩じりコイルバネ621の右端側は、第2軸心X2から離間するように右方に突出している。
【0100】
伝達部627は、一対のガイド60A、60Bの間隔がW1である場合、第1水平面627Aによって捩じりコイルバネ621の右端部621Aに上側から当接している。この場合、捩じりコイルバネ621は、左端側を上方に変位させようとする復元力を蓄えている。第2押圧部620は、第2軸心X2よりも搬送方向の下流側においてホルダ21を第1揺動方向D1に付勢することにより、換言すると、ホルダ21の第2軸心X2よりも左側の部位を捩じりコイルバネ621の左端側によって上側に向けて付勢することにより、第2付勢力F2を発生する。このため、第1押圧部110の第1揺動方向D1の第1付勢力F1が第2押圧部620の第1揺動方向D1の第2付勢力F2に強められることになって、押圧荷重F0が決まる。
【0101】
間隔がW1からW2に縮小する方向に一対のガイド60A、60Bが移動する場合、コイルバネ621の右端部621Aが伝達部627に摺接する。このため、伝達部627は、第2水平面627Bによって捩じりコイルバネ621の右端部621Aに上側から当接し、さらに、第3水平面627Cによって捩じりコイルバネ621の右端部621Aに上側から当接する。このため、ねじりが弱められるように捩じりコイルバネ621が変形し、捩じりコイルバネ621が蓄える復元力が段階的に小さくなる。その結果、第2押圧部620の第1揺動方向D1の第2付勢力F2が段階的に減少する。このため、第1押圧部110の第1付勢力F1が第2押圧部120の第2付勢力F2に強められる程度が段階的に弱くなり、押圧荷重F0が段階的に減少する。この構成を用いることで、複数サイズのシートに応じた押圧荷重F0を設定することが可能となる。
【0102】
このような構成である実施例6の画像読取装置でも、実施例1の画像読取装置1と同様の作用効果を奏することができる。
【0103】
以上において、本発明を実施例1〜6に即して説明したが、本発明は上記実施例1〜6に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0104】
例えば、調整手段は、一対のガイドの間隔をセンサによって検出し、その検出結果に基づいて電動アクチュエータを作動させて押圧機構の押圧荷重を増減させてもよい。