特許第6205863号(P6205863)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日油株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6205863
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】カラートリートメント
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/365 20060101AFI20170925BHJP
   A61K 8/42 20060101ALI20170925BHJP
   A61K 8/89 20060101ALI20170925BHJP
   A61K 8/891 20060101ALI20170925BHJP
   A61K 8/898 20060101ALI20170925BHJP
   A61K 8/41 20060101ALI20170925BHJP
   A61Q 5/10 20060101ALI20170925BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
   A61K8/365
   A61K8/42
   A61K8/89
   A61K8/891
   A61K8/898
   A61K8/41
   A61Q5/10
   A61Q5/12
【請求項の数】1
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-117411(P2013-117411)
(22)【出願日】2013年6月3日
(65)【公開番号】特開2014-234371(P2014-234371A)
(43)【公開日】2014年12月15日
【審査請求日】2016年5月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004341
【氏名又は名称】日油株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124349
【弁理士】
【氏名又は名称】米田 圭啓
(72)【発明者】
【氏名】小田 義士
(72)【発明者】
【氏名】辻本 曜子
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 真巳
【審査官】 駒木 亮一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−206488(JP,A)
【文献】 特開2005−179197(JP,A)
【文献】 特開平09−071515(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00−8/99
A61Q 1/00−90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の(a)〜(d)成分を含有し、(c)成分に対する(a)成分の質量比が1≦a/c≦10であり、(b)成分に対する(c)成分の質量比が10≦c/b≦100であることを特徴とするカラートリートメント。
(a)式(1)で表されるアミン化合物を1〜10質量%
【化1】
(式中、Rは炭素数11〜23のアルキル基、炭素数11〜23のアルケニル基、炭素数11〜23のヒドロキシアルキル基である。Lはアミド基、炭素数1〜4のアルキル基を有するアミドアルキル基、炭素数1〜4のアルキル基を有するアミドポリオキシアルキル基、炭素数1〜4のアルキル基を有するポリオキシアルキル基である。nは0または1の整数である。RおよびRは、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルケニル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基、または炭素数1〜4のポリオキシアルキレン基である。)
(b)グリコール酸、乳酸、リンゴ酸およびクエン酸から選ばれる1種類または2種類以上のα−ヒドロキシ酸を0.001〜0.1質量%
(c)塩基性染料およびHC染料から選ばれる1種類または2種以上の染料を0. 2〜2質量%
(d)シリコーンおよびジメチルポリシロキサン骨格にアミノ基、アルキル基、ポリエーテル基、カチオン基を導入したシリコーン誘導体から選ばれる1種類または2種類以上のシリコーン化合物を0.1〜5質量%
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラートリートメントに関し、さらに詳しくは、毛髪に良好な指通り性を付与し、適度なボリューム感を付与し、毛髪への染毛性が良好で、毛髪を均一に染色することができるとともに、染色された毛髪の色持ちが良いカラートリートメントに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、毛髪の色を変化させるための商品として、酸化染料を用いた永久染毛料、酸性染料等の染料を用いたヘアマニキュア、カラーリンス等の半永久染毛料、顔料等を用いた一次染毛料が市販されている。なかでも、髪の色を長期間にわたり変えたいという人々の要望に対しては、永久染毛料、半永久染毛料が用いられている。
永久染毛料は、毛髪内部で低分子の色素前駆体を重合させて色調を出すために染毛性が高く、堅牢性(染毛した色が経時とともに変化することなく持続する性能)が高いという長所を有している。しかしながら、頭皮等に対する刺激性を調べるためのパッチテストが事前に必要であり、染毛を行うまでに48時間程度の時間を要するので、手軽さがなく、またアンモニア等のアルカリ剤や過酸化水素等の酸化剤を毛髪に作用させるので、毛髪内ジスルフィド結合の切断等による毛髪損傷を引き起こすという欠点がある。
【0003】
これに対して、半永久染毛料は、パッチテストは必要なく手軽に染毛でき、毛髪に与える損傷が少ないという長所がある。半永久染毛料に主に用いられている酸性染料は、毛髪表面および表面近傍の内部までしか浸透しないので、永久染毛料に比べ堅牢性は低いものの毛髪に対する損傷は少ない。また、アレルギー性が低いので、永久染毛料が合わない人も利用できる利点がある。しかし、使用後にゴワつきによる指通りの低下等が生じることがあり、シャンプーで洗髪した際に色落ちし易く、皮膚へ染着しやすいという問題があった。
【0004】
そこで、塩基性染料やHC(ヘアカラー)染料等を使用したカラートリートメントが提案されている。カラートリートメントとは、毛髪の染毛と毛髪のコンディショニングを一度に行うことができ、毛髪を痛めない染毛用化粧料である。通常、カラートリートメントには、毛髪に対して柔軟性や帯電防止性を付与するカチオン性界面活性剤が使用されている。また、指通り性や艶を与えるために、シリコーン等の油性成分が配合されている。
例えば、特許文献1においては、ニトロ系染料、乳酸、塩化セチルトリメチルアンモニウム等のカチオン性界面活性剤等を組み合わせた染毛剤組成物が開示されている。
特許文献2においては、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド等のカチオン性界面活性剤、高級アルコール、ノニオン界面活性剤、ベンジルアルコールと塩基性染料を組み合わせた頭髪用コンディショング剤が開示されている。
特許文献3においては、ベヘンアミドプロピルジメチルアミン等のカチオン性界面活性剤、高融点脂肪族化合物と直接染料を組み合わせたヘアコンディショニング組成物が開示されている。
また、特許文献4においては、アミノ変性シリコーン、高重合シリコーン類、カチオン性ポリマーと直接染料を組み合わせた染毛剤組成物が開示されている。
しかしながら、特許文献1の組成物は、髪の指通り性が十分といえず、特許文献2および3の組成物は、髪の損傷度によっては均一に染毛されなかった。また、特許文献4の組成物は、髪のボリュームがなくなるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−128750号公報
【特許文献2】特開2004−107247号公報
【特許文献3】特開2010−528101号公報
【特許文献4】特開2004−269400号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、毛髪に良好な指通り性を付与し、適度なボリューム感を付与し、毛髪への染毛性が良好で、毛髪を均一に染色することができるとともに、染色された毛髪の色持ちが良いカラートリートメントを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、特定のアミン化合物、特定のα−ヒドロキシ酸、染料とシリコーン化合物を特定の比率で組み合わせることにより、目的とするカラートリートメントが得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち本発明は、以下の(a)〜(d)成分を含有し、(c)成分に対する(a)成分の質量比が1≦a/c≦10であり、(b)成分に対する(c)成分の質量比が10≦c/b≦100であることを特徴とするカラートリートメントである。
(a)式(1)で表されるアミン化合物を1〜10質量%
【化1】
(式中、Rは炭素数11〜23のアルキル基、炭素数11〜23のアルケニル基、炭素数11〜23のヒドロキシアルキル基である。Lはアミド基、炭素数1〜4のアルキル基を有するアミドアルキル基、炭素数1〜4のアルキル基を有するアミドポリオキシアルキル基、炭素数1〜4のアルキル基を有するポリオキシアルキル基である。nは0または1の整数である。RおよびRは、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルケニル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基、または炭素数1〜4のポリオキシアルキレン基である。)
(b)グリコール酸、乳酸、リンゴ酸およびクエン酸から選ばれる1種類または2種類以上のα−ヒドロキシ酸を0.001〜0.1質量%
(c)塩基性染料およびHC染料から選ばれる1種類または2種以上の染料を0. 2〜2質量%
(d)シリコーンおよびジメチルポリシロキサン骨格にアミノ基、アルキル基、ポリエーテル基、カチオン基を導入したシリコーン誘導体から選ばれる1種類または2種類以上のシリコーン化合物を0.1〜5質量%
【発明の効果】
【0009】
本発明のカラートリートメントによれば、毛髪に良好な指通り性を付与し、適度なボリューム感を付与し、毛髪への染毛性が良好で、毛髪を均一に染色することができるとともに、染色された毛髪の色持ちが良いという効果が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を説明する。本発明のカラートリートメントは、上記の(a)、(b)、(c)および(d)の各成分を含有する。(a)成分から順次説明する。
なお、本明細書において記号「〜」を用いて規定された数値範囲は「〜」の両端(上限および下限)の数値を含むものとする。例えば「2〜5」は2以上5以下を表す。
【0011】
〔(a)成分:式(1)で表されるアミン化合物〕
本発明に用いられる(a)成分は、前記式(1)で表されるアミン化合物である。
前記式(1)において、Rは炭素数11〜23のアルキル基、炭素数11〜23のアルケニル基、炭素数11〜23のヒドロキシアルキル基である。
Lはアミド基、炭素数1〜4のアルキル基を有するアミドアルキル基、炭素数1〜4のアルキル基を有するアミドポリオキシアルキル基、炭素数1〜4のアルキル基を有するポリオキシアルキル基である。nは0または1の整数である。
およびRは、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルケニル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基、または炭素数1〜4のポリオキシアルキレン基である。
【0012】
上記の(a)成分の中でも、髪に適度なボリュームを与える効果があることから、前記式(1)中の記号は次のものが好ましい。すなわち、Rは炭素数11〜23のアルキル基、炭素数11〜23のアルケニル基、炭素数11〜23のヒドロキシアルキル基である。Lは炭素数1〜4のアルキル基を有するアミドアルキル基である。nは0又は1の整数である。RおよびRは、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルケニル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基、または炭素数1〜4のポリオキシアルキレン基である。
【0013】
さらに好ましいアミノ化合物は、前記式(1)中の記号が次のものである。すなわち、Rは炭素数16〜22のアルキル基、炭素数16〜22のアルケニル基、炭素数16〜22のヒドロキシアルキル基である。Lは炭素数1〜4のアルキル基を有するアミドアルキル基である。nは1の整数である。RおよびRは、それぞれ独立して、炭素数1〜2のアルキル基、炭素数1〜2のヒドロキシアルキル基である。
【0014】
好ましいアミン化合物として、具体的には、ラウリルジメチルアミン、ミリスチルジメチルアミン、ステアリルジメチルアミン、ベヘニルジメチルアミン、オレイルジメチルアミン、ヒドロキシステアリルジメチルアミン、ラウリル酸ジメチルアミノエチルアミド、ミリスチン酸ジメチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ベヘニン酸ジメチルアミノエチルアミド、オレイン酸ジメチルアミノエチルアミド、ヒドロキシステアリン酸ジメチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ステアリルアミン、ステアリルジエチルアミン、ステアリルジヒドロキシエチルアミン等が挙げられる。
【0015】
さらに好ましいアミン化合物として、具体的には、ラウリル酸ジメチルアミノエチルアミド、ミリスチン酸ジメチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノエチルアミド、ベヘニン酸ジメチルアミノエチルアミド、ベヘニン酸ジメチルアミノプロピルアミド、オレイン酸ジメチルアミノエチルアミド、ヒドロキシステアリン酸ジメチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド等が挙げられる。
式(1)で表されるアミン化合物は、1種類を単独で、または2種類以上を併せて用いることができる。
【0016】
〔(b)成分:α−ヒドロキシ酸〕
本発明に用いられる(b)成分は、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸およびクエン酸から選ばれる1種類または2種類以上のα−ヒドロキシ酸である。これらα−ヒドロキシ酸の中でも、毛髪を均一に染める効果があることから、乳酸およびリンゴ酸から選ばれる1種類または2種類以上のα−ヒドロキシ酸を用いることが好ましい。
【0017】
〔(c)成分:染料〕
本発明に用いられる(c)成分は、塩基性染料およびHC染料から選ばれる1種類または2種以上の染料である。塩基性染料は分子内にアミノ基または置換アミノ基を有する直接染料であり、HC染料は分子内にニトロ基を有する直接染料である。塩基性染料およびHC染料は、それぞれ1種類または2種類以上を用いることができる。
【0018】
塩基性染料としては、例えば、赤色213号、赤色214号、塩基性青7、塩基性青9、塩基性青26、塩基性青75、塩基性青99、塩基性赤2、塩基性赤22、塩基性赤51、塩基性赤76、塩基性黄57、塩基性黄87、塩基性橙31、塩基性茶16、塩基性茶17、塩基性紫3、塩基性紫4、塩基性紫14等が挙げられる。
HC染料としては、例えば、HC青2、HC青8、HC赤1、HC赤3、HC赤7、HC赤11、HC赤13、HC青2、HC青18、HC黄2、HC黄4、HC黄5、HC黄9、HC黄11、HC黄13、HC橙1、HC橙2、HC紫1、HC紫2、4−ヒドロキシプロピルアミノ−3−ニトロフェノ−ル等が挙げられる。
【0019】
〔(d)成分:シリコーン化合物〕
本発明に用いられる(d)成分は、シリコーンおよびシリコーン誘導体から選ばれる1種類または2種類以上のシリコーン化合物である。
一般的に「シリコーン」とは、シロキサン結合[−Si(R)−O−]を骨格とし、これに有機の基(R、R)としてメチル基、ビニル基、フェニル基などが結合している有機ケイ素化合物のポリマーオルガノポリシロキサンの総称である。本発明においては、化粧料として最も汎用性の高い(R、R)がともにメチル基であるジメチルポリシロキサンをシリコーンと称す。
またシリコーン誘導体としては、ジメチルポリシロキサン骨格にアミノ基、アルキル基、ポリエーテル基、カチオン基などを導入した各種変性シリコーンが挙げられる。
シリコーンまたはシリコーン誘導体としては、低分子量のシリコーン油からシリコーングリース、シリコーンゴム、シリコーン樹脂(ケイ素樹脂)といった高分子量のものまで使用できる。本発明においては、毛髪に良好な指通り性を与える効果があることから、平均重合度が500〜10000のシリコーンまたはシリコーン誘導体が好ましく、平均重合度が1000〜5000のシリコーンまたはシリコーン誘導体がさらに好ましい。
なお、シリコーンまたはシリコーン誘導体の平均重合度(分子量)は、GPC(ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー)によりポリスチレン換算で測定することができる。
【0020】
本発明のカラートリートメント中の(a)成分の含有量は、組成物全量中に1〜10質量%、好ましくは1〜6質量%、さらに好ましくは1.5〜4質量%である。1質量%未満では髪に指通り性を与えることが困難となり、染色された毛髪の色持ちが悪くなることがある。また10質量%を超えると毛髪を均一に染色する効果が低下することがある。
【0021】
(b)成分の含有量は、組成物全量中に0.001〜0. 1質量%、好ましくは0.005〜0.05質量%、更に好ましくは0.01〜0.05質量%である。0.001質量%未満では、髪に適度なボリュームを与えることが困難となることがある。また0. 1質量%を超えると、毛髪を均一に染色する効果が低下することがある。
【0022】
(c)成分の含有量は、組成物全量中に0.2〜2質量%、好ましくは0.2〜1質量%である。0.2質量%未満では、毛髪への染毛性が低下し、毛髪を均一に染めることが困難となることがある。また2質量%を超えると、髪に指通り性を与える効果が低下し、染色された毛髪の色持ちが悪くなることが困難となる。
【0023】
(d)成分の含有量は、組成物全量中に0.1〜5質量%、好ましくは0.2〜3質量%である。0.1質量%未満では、髪に指通り性を与える効果が低下し、染色された毛髪の色持ちが悪くなることがある。また5質量%を超えると、髪に適度なボリューム感を与えることが困難となり、毛髪への染毛性が低下することがある。
【0024】
本発明のカラートリートメントにおいて(c)成分に対する(a)成分の質量比(a/c)は1≦a/c≦10であり、好ましくは3≦a/c≦8である。a/cが1未満では、髪に指通り性を与える効果が低下し、染色された毛髪の色持ちが悪くなることがある。またa/cが10を超えると、毛髪を均一に染色する効果が低下することがある。
【0025】
本発明のカラートリートメントにおいて(b)成分に対する(c)成分の質量比(c/a)は10≦c/b≦100であり、好ましくは15≦c/b≦80、さらに好ましくは20≦c/b≦80である。c/bが10未満では、毛髪への染毛性が悪くなり、毛髪を均一に染色する効果が低下することがある。c/bが100を超えると、染色された毛髪の色持ちが悪くなることがある。
【0026】
上記(a)成分、(b)成分、(c)成分および(d)成分の合計含有量(a+b+c+d)は、カラートリートメントとして求められる性能に応じて、適宜調整することができる。通常、他の添加剤や残部として水をさらに加えて100質量%としてカラートリートメントが調製される。
【0027】
本発明のカラートリートメントには、本発明のカラートリートメントの性能を損なわない範囲で、化粧料に常用されている各種の添加剤を配合することも可能である。例えば、エタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール;乳糖、果糖、ショ糖等の糖類;流動パラフィン、スクワラン、ワセリン等の炭化水素系油;セラミド、コレステロール、蛋白誘導体、カチオン化セルロース等のカチオン性高分子;キサンタンガム等の多糖類;(b)成分であるグリコール酸、乳酸、リンゴ酸およびクエン酸以外の有機酸類;食塩等の無機塩類;pH調製剤としてのアルカリ;殺菌剤;キレート剤;抗酸化剤;血行促進剤;紫外線吸収剤;紫外線散乱剤;動植物由来の天然エキス;アスコルビン酸とその誘導体;ビタミン類;アミノ酸類;感光素;色素〔(c)成分の染料を除く〕;顔料及び香料等を配合することができる。
【実施例】
【0028】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
【0029】
〔実施例1〜8および比較例1〜8〕
表3および4に示すカラートリートメントを調製し、下記の5項目について下記評価基準により評価を行った。但し、(a)成分として表1に示すアミン化合物を使用し、共通添加成分として表2に示す11成分を使用した。実施例1〜8の評価結果を表3に、比較例1〜8の評価結果を表4にそれぞれ示す。
【0030】
[a成分]
アミン1:ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド
アミン2:ベヘニン酸ジメチルアミノプロピルアミド
アミン3:ステアリルジメチルアミン
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
(1)髪の指通り
白髪の目立つ20名の男女(40才〜60才)をパネラーとし、洗髪後の髪にカラートリートメント30gを塗布し10分間放置した。温水ですすぎ、乾かした時の髪の指通りについて下記のように判定し、20名の合計点を求めた。
合計点が30点以上を髪に良好な指通り性を付与するカラートリートメントであると判定した。
2点:髪の指通りがとても滑らかであると感じた場合。
1点:髪の指通りが滑らかであると感じた場合。
0点:髪の指通りが悪いと感じた場合。
【0034】
20名の合計を求め、以下のように判定した。
◎:合計点が35点以上。毛髪の指通りが非常に良いカラートリートメントである。
○:合計点が30点以上、35点未満。毛髪の指通りが良いカラートリートメントである。
△:合計点が20点以上、30点未満。毛髪の指通りが良くないカラートリートメントである。
×:合計点が20点未満。毛髪の指通りが悪いカラートリートメントである。
【0035】
(2)髪のボリューム感
白髪の目立つ20名の男女(40才〜60才)をパネラーとし、洗髪後の髪にカラートリートメント30gを塗布し10分間放置した。温水ですすぎ、乾かした時の髪のボリューム感について下記のように判定し、20名の合計点を求めた。
30点以上を髪に適度なボリューム感を与えるカラートリートメントであると判定した。
2点:髪にボリューム感が十分に付与されたと感じた場合。
1点:髪にボリューム感がやや付与されたと感じた場合
0点:髪にボリューム感が付与されたと感じられなかった場合
【0036】
20名の合計を求め、以下のように判定した。
◎:合計点が35点以上。毛髪にボリューム感を十分に付与するカラートリートメントである。
○:合計点が30点以上、35点未満。毛髪にボリューム感を適度に付与するカラートリートメントである。
△:合計点が20点以上、30点未満。毛髪にボリューム感をほとんど付与しないカラートリートメントである。
×:合計点が20点未満。毛髪にボリューム感を全く付与しないカラートリートメントである。
【0037】
(3)髪への染毛性
白髪の目立つ20名の男女(40才〜60才)をパネラーとし、洗髪後の髪にカラートリートメント30gを塗布し10分間放置した後、温水ですすぎ、乾かした。前記作業を1日1回、7日間連続で行った時の毛髪への染毛性について下記のように判定し、20名の合計点を求めた。
30点以上を髪への染まりが良好なカラートリートメントであると判定した。
2点:髪への染まりが良く、白髪が目立たなくなったと感じた場合。
1点:髪への染まりがやや良く、白髪がやや目立たなくなったと感じた場合。
0点:髪への染まりが悪く、白髪が目立つと感じた場合。
【0038】
20名の合計を求め、以下のように判定した。
◎:合計点が35点以上。毛髪への染毛性が非常に良好なカラートリートメントである。
○:合計点が30点以上、35点未満。毛髪への染毛性が良好なカラートリートメントである。
△:合計点が20点以上、30点未満。毛髪への染毛性が不十分なカラートリートメントである。
×:合計点が20点未満。毛髪への染毛性が不良なカラートリートメントである。
【0039】
(4)染毛度の均一性
市販の人毛白髪1g(ビューラックス社製)について、ドライヤーの熱風を当てながら櫛によるブラッシングを1000回行った毛束を損傷人毛白髪とした。人毛白髪および損傷人毛白髪について、カラートリートメントを1g塗布し、30℃で10分放置した後、温水ですすぎ、乾かした。色差計(CM−2600d、コニカミノルタ社製)を用いて各人毛白髪の色を測定し、人毛白髪と損傷人毛白髪との色差を下記のように判定した。
「◎」および「○」を損傷度によらず毛髪を均一に染色することができるカラートリートメントであると判定した。
◎:色差が10未満であった場合。
○:色差が10以上20未満であった場合。
△:色差が20以上30未満であった場合。
×:色差が30以上であった場合。
【0040】
(5)染色された毛髪の色持ち
市販の人毛白髪1g(ビューラックス社製)について、カラートリートメントを1g塗布し、30℃で10分放置した後、温水ですすぎ、乾かした。色差計(CM−2600d、コニカミノルタ社製)を用いて処理前の色を測定した後、10質量%ドデシル硫酸ナトリウム水溶液中で10分間超音波処理し、温水ですすぎ、乾かす処理を7回繰り返した。処理後の色を同様に測定し、処理前と処理後の色差を下記のように判定した。
「◎」および「○」を染色された毛髪の色持ちが良いカラートリートメントであると判定した。
◎:色差が10未満であった場合。
○:色差が10以上20未満であった場合。
△:色差が20以上30未満であった場合。
×:色差が30以上であった場合。
【0041】
【表3】
【0042】
【表4】
【0043】
実施例1〜8より、本発明のカラートリートメントは、毛髪に良好な指通り性を付与し、適度なボリューム感を付与し、毛髪への染毛性が良好で、毛髪を均一に染色することができるとともに、染色された毛髪の色持ちが良いものであった。
【0044】
一方、比較例1〜8では充分な性能が得られていない。
つまり、比較例1では(a)成分とは異なる成分を使用しているため、髪の指通り性が良好でなく、染色された毛髪の色持ちが悪かった。
比較例2では(a)成分および(c)成分がそれぞれ10質量%、2質量%を超えて配合されているため、髪の指通り性が悪く、毛髪を均一に染色することができず、染色された毛髪の色持ちが悪かった。
比較例3では(b)成分と異なる成分を使用しているため、髪に適度なボリューム感を与えることができず、毛髪を均一に染色することができず、染色された毛髪の色持ちが悪かった。
比較例4では(b)成分が0.1質量%を超えて配合されており、c/bが10未満であるため、毛髪への染毛性が悪く、毛髪を均一に染色することができなかった。
【0045】
比較例5では(c)成分が0.2質量%より少なく配合され、a/cが10を超え、c/bが10未満であるため、毛髪への染毛性が悪く、毛髪を均一に染色することができなかった。
比較例6では(d)成分が配合されていないため、髪の指通り性が悪く、染色された毛髪の色持ちが悪かった。
比較例7では(d)成分が5質量%を超えて配合されているため、髪に適度なボリューム感を与えることができず、毛髪への染毛性が悪かった。
比較例8では(a)成分と(c)成分の質量比a/cが10を超えているため、毛髪を均一に染色することができなかった。