【0019】
〔(d)成分:シリコーン化合物〕
本発明に用いられる(d)成分は、シリコーンおよびシリコーン誘導体から選ばれる1種類または2種類以上のシリコーン化合物である。
一般的に「シリコーン」とは、シロキサン結合[−Si(R
4R
5)−O−]を骨格とし、これに有機の基(R
4、R
5)としてメチル基、ビニル基、フェニル基などが結合している有機ケイ素化合物のポリマーオルガノポリシロキサンの総称である。本発明においては、化粧料として最も汎用性の高い(R
4、R
5)がともにメチル基であるジメチルポリシロキサンをシリコーンと称す。
またシリコーン誘導体としては、ジメチルポリシロキサン骨格にアミノ基、アルキル基、ポリエーテル基、カチオン基などを導入した各種変性シリコーンが挙げられる。
シリコーンまたはシリコーン誘導体としては、低分子量のシリコーン油からシリコーングリース、シリコーンゴム、シリコーン樹脂(ケイ素樹脂)といった高分子量のものまで使用できる。本発明においては、毛髪に良好な指通り性を与える効果があることから、平均重合度が500〜10000のシリコーンまたはシリコーン誘導体が好ましく、平均重合度が1000〜5000のシリコーンまたはシリコーン誘導体がさらに好ましい。
なお、シリコーンまたはシリコーン誘導体の平均重合度(分子量)は、GPC(ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー)によりポリスチレン換算で測定することができる。
【実施例】
【0028】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
【0029】
〔実施例1〜8および比較例1〜8〕
表3および4に示すカラートリートメントを調製し、下記の5項目について下記評価基準により評価を行った。但し、(a)成分として表1に示すアミン化合物を使用し、共通添加成分として表2に示す11成分を使用した。実施例1〜8の評価結果を表3に、比較例1〜8の評価結果を表4にそれぞれ示す。
【0030】
[a成分]
アミン1:ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド
アミン2:ベヘニン酸ジメチルアミノプロピルアミド
アミン3:ステアリルジメチルアミン
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
(1)髪の指通り
白髪の目立つ20名の男女(40才〜60才)をパネラーとし、洗髪後の髪にカラートリートメント30gを塗布し10分間放置した。温水ですすぎ、乾かした時の髪の指通りについて下記のように判定し、20名の合計点を求めた。
合計点が30点以上を髪に良好な指通り性を付与するカラートリートメントであると判定した。
2点:髪の指通りがとても滑らかであると感じた場合。
1点:髪の指通りが滑らかであると感じた場合。
0点:髪の指通りが悪いと感じた場合。
【0034】
20名の合計を求め、以下のように判定した。
◎:合計点が35点以上。毛髪の指通りが非常に良いカラートリートメントである。
○:合計点が30点以上、35点未満。毛髪の指通りが良いカラートリートメントである。
△:合計点が20点以上、30点未満。毛髪の指通りが良くないカラートリートメントである。
×:合計点が20点未満。毛髪の指通りが悪いカラートリートメントである。
【0035】
(2)髪のボリューム感
白髪の目立つ20名の男女(40才〜60才)をパネラーとし、洗髪後の髪にカラートリートメント30gを塗布し10分間放置した。温水ですすぎ、乾かした時の髪のボリューム感について下記のように判定し、20名の合計点を求めた。
30点以上を髪に適度なボリューム感を与えるカラートリートメントであると判定した。
2点:髪にボリューム感が十分に付与されたと感じた場合。
1点:髪にボリューム感がやや付与されたと感じた場合
0点:髪にボリューム感が付与されたと感じられなかった場合
【0036】
20名の合計を求め、以下のように判定した。
◎:合計点が35点以上。毛髪にボリューム感を十分に付与するカラートリートメントである。
○:合計点が30点以上、35点未満。毛髪にボリューム感を適度に付与するカラートリートメントである。
△:合計点が20点以上、30点未満。毛髪にボリューム感をほとんど付与しないカラートリートメントである。
×:合計点が20点未満。毛髪にボリューム感を全く付与しないカラートリートメントである。
【0037】
(3)髪への染毛性
白髪の目立つ20名の男女(40才〜60才)をパネラーとし、洗髪後の髪にカラートリートメント30gを塗布し10分間放置した後、温水ですすぎ、乾かした。前記作業を1日1回、7日間連続で行った時の毛髪への染毛性について下記のように判定し、20名の合計点を求めた。
30点以上を髪への染まりが良好なカラートリートメントであると判定した。
2点:髪への染まりが良く、白髪が目立たなくなったと感じた場合。
1点:髪への染まりがやや良く、白髪がやや目立たなくなったと感じた場合。
0点:髪への染まりが悪く、白髪が目立つと感じた場合。
【0038】
20名の合計を求め、以下のように判定した。
◎:合計点が35点以上。毛髪への染毛性が非常に良好なカラートリートメントである。
○:合計点が30点以上、35点未満。毛髪への染毛性が良好なカラートリートメントである。
△:合計点が20点以上、30点未満。毛髪への染毛性が不十分なカラートリートメントである。
×:合計点が20点未満。毛髪への染毛性が不良なカラートリートメントである。
【0039】
(4)染毛度の均一性
市販の人毛白髪1g(ビューラックス社製)について、ドライヤーの熱風を当てながら櫛によるブラッシングを1000回行った毛束を損傷人毛白髪とした。人毛白髪および損傷人毛白髪について、カラートリートメントを1g塗布し、30℃で10分放置した後、温水ですすぎ、乾かした。色差計(CM−2600d、コニカミノルタ社製)を用いて各人毛白髪の色を測定し、人毛白髪と損傷人毛白髪との色差を下記のように判定した。
「◎」および「○」を損傷度によらず毛髪を均一に染色することができるカラートリートメントであると判定した。
◎:色差が10未満であった場合。
○:色差が10以上20未満であった場合。
△:色差が20以上30未満であった場合。
×:色差が30以上であった場合。
【0040】
(5)染色された毛髪の色持ち
市販の人毛白髪1g(ビューラックス社製)について、カラートリートメントを1g塗布し、30℃で10分放置した後、温水ですすぎ、乾かした。色差計(CM−2600d、コニカミノルタ社製)を用いて処理前の色を測定した後、10質量%ドデシル硫酸ナトリウム水溶液中で10分間超音波処理し、温水ですすぎ、乾かす処理を7回繰り返した。処理後の色を同様に測定し、処理前と処理後の色差を下記のように判定した。
「◎」および「○」を染色された毛髪の色持ちが良いカラートリートメントであると判定した。
◎:色差が10未満であった場合。
○:色差が10以上20未満であった場合。
△:色差が20以上30未満であった場合。
×:色差が30以上であった場合。
【0041】
【表3】
【0042】
【表4】
【0043】
実施例1〜8より、本発明のカラートリートメントは、毛髪に良好な指通り性を付与し、適度なボリューム感を付与し、毛髪への染毛性が良好で、毛髪を均一に染色することができるとともに、染色された毛髪の色持ちが良いものであった。
【0044】
一方、比較例1〜8では充分な性能が得られていない。
つまり、比較例1では(a)成分とは異なる成分を使用しているため、髪の指通り性が良好でなく、染色された毛髪の色持ちが悪かった。
比較例2では(a)成分および(c)成分がそれぞれ10質量%、2質量%を超えて配合されているため、髪の指通り性が悪く、毛髪を均一に染色することができず、染色された毛髪の色持ちが悪かった。
比較例3では(b)成分と異なる成分を使用しているため、髪に適度なボリューム感を与えることができず、毛髪を均一に染色することができず、染色された毛髪の色持ちが悪かった。
比較例4では(b)成分が0.1質量%を超えて配合されており、c/bが10未満であるため、毛髪への染毛性が悪く、毛髪を均一に染色することができなかった。
【0045】
比較例5では(c)成分が0.2質量%より少なく配合され、a/cが10を超え、c/bが10未満であるため、毛髪への染毛性が悪く、毛髪を均一に染色することができなかった。
比較例6では(d)成分が配合されていないため、髪の指通り性が悪く、染色された毛髪の色持ちが悪かった。
比較例7では(d)成分が5質量%を超えて配合されているため、髪に適度なボリューム感を与えることができず、毛髪への染毛性が悪かった。
比較例8では(a)成分と(c)成分の質量比a/cが10を超えているため、毛髪を均一に染色することができなかった。