【実施例】
【0044】
以下に、具体例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらによって制約を受けるものではない。なお、製造例、実施例、比較例において%および部とあるものはすべて質量%および質量部を示す。
【0045】
実施例1
「基紙の作成」
LBKP(CSF470ml)100%からなるパルプスラリーに、填料としてタルクを支持体灰分が4%となるように添加した後、パルプ固形分に対して硫酸アルミニウム0.88%、カチオン澱粉0.35%、アルキルケテンダイマーサイズ剤(商品名:サイズパインK−287、荒川化学社製)0.3%、ポリアクリルアミド(商品名:リアライザーR−300、ソーマル社製)0.04%を順次添加し、紙料を調製した。得られた紙料をオントップツインワイヤー抄紙機で抄紙し、さらにゲートロールサイズプレス装置で酸化澱粉(商品名:エースC、王子コーンスターチ社製)を両面で1.8g/m
2(固形分)塗布・乾燥し、マシンカレンダーで平滑化処理を施して坪量90g/m
2の基紙を得た。
【0046】
「塗工液の調製」
市販の針状軽質炭酸カルシウム(商品名:TP123CS、奥多摩工業社製)100部(固形分換算)に、接着剤として酸化澱粉(商品名:エースA、王子コンスターチ社製)3部(固形分)およびスチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:OJ3000H、JSR社製)4部(固形分)を加え、固形分濃度が50%の塗工液を調製した。
【0047】
「印刷用塗工紙の作製」
前記基紙上にブレードコーターを用いて、片面の乾燥重量で10g/m
2になるように前記塗工液を両面に塗工、乾燥した。この後、スーパーカレンダーを用いて、線圧60kg/cm、2ニップの条件で平滑化処理を施して、坪量110g/m
2の印刷用塗工紙を得た。
【0048】
実施例2
実施例1の塗工液の調製に用いる顔料に代えて、市販の軽質炭酸カルシウム(商品名:TP221F、奥多摩工業社製)を用いる以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
実施例3
実施例1の塗工液の調製に用いる顔料に代えて、市販の軽質炭酸カルシウム(商品名:ブリリアントS−15、白石カルシウム工業社製)を用いる以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
【0049】
実施例4
実施例1の塗工液の調製に用いる顔料に代えて、市販のカオリン(商品名:アマゾンプラス、CADEM社製)を用いる以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
実施例5
実施例1の塗工液の調製に用いる顔料に代えて、市販の重質炭酸カルシウム(商品名:セタカーブHG、備北粉化工業社製)を用いる以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
【0050】
実施例6
実施例1の塗工液に調製で使用した接着剤の酸化澱粉の配合量を0部(配合しない)とする以外は実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
実施例7
実施例1の印刷用塗工紙の作製の際に、片面の乾燥重量を15g/m
2とする以外は実施例1と同様にして、米坪120g/m
2の印刷用塗工紙を得た。
【0051】
実施例8
実施例1の印刷用塗工紙の作製において、支持体上にロッドブレードコーターを用いて、片面の乾燥重量で10g/m
2になるように前記塗工液を両面に塗工、乾燥した後、更に、ロッドブレードコーターにて、乾燥重量で5g/m
2になるように上塗り層を両面に塗工、乾燥した後、スーパーカレンダーを用いて、線圧60kg/cm、2ニップの条件で平滑化処理を施して、坪量120g/m
2の印刷用塗工紙を得た
【0052】
比較例1
実施例1の塗工液の調製において、接着剤としてスチレン−ブタジエン共重合体ラテックスの配合部数を1部とする以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
比較例2
実施例1の塗工液の調製において、接着剤としてスチレン−ブタジエン共重合体ラテックスの配合部数を10部とする以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
【0053】
比較例3
比較例2の塗工液の調製において、接着剤の酸化澱粉の配合部数を5部とする以外は、比較例2と同様にして印刷用塗工紙を得た。
比較例4
比較例3の印刷用塗工紙の作製の際に、片面の乾燥重量で5g/m
2になるように塗工液を両面に塗工する以外は、比較例3と同様にして印刷用塗工紙を得た。
【0054】
比較例5
実施例8の印刷用塗工紙の作製において、片面の乾燥重量で10g/m
2になるように前記塗工液を両面に塗工、乾燥した後、更に、ロッドブレードコーターにて、乾燥重量で5g/m
2塗工するところを2g/m
2塗工する以外は、実施例8と同様に印刷用塗工紙を得た
【0055】
比較例6
比較例5の印刷用塗工紙の作製において、用いる塗工液として下記の下塗用塗工液と上塗り用塗工液を用い、実施例1支持体上にロッドブレードコーターを用いて、片面の乾燥重量で14g/m
2になるように下記下塗用塗工液を両面に塗工、乾燥した後、更に、ロッドブレードコーターにて、乾燥重量で8g/m
2になるように下記上塗用塗工液を両面に塗工、乾燥した後、スーパーカレンダーを用いて、線圧60kg/cm、2ニップの条件で平滑化処理を施して、坪量134g/m
2の印刷用塗工紙を得た
「下塗用塗工液の調製」
市販のカオリン(商品名:アマゾンプラス、CADEM社製)30部(固形分換算)と市販の重質炭酸カルシウム(商品名:セタカーブHG、備北粉化工業社製)40部(固形分換算)そして市販の軽質炭酸カルシウム軽質炭酸カルシウム(商品名:TP221F、奥多摩工業社製)30部(固形分換算)に、接着剤として酸化澱粉(商品名:エースB、王子コンスターチ社製)3部(固形分)およびスチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:OJ3000H、JSR社製)10部(固形分)を加え、固形分濃度が53%の下塗り塗工液を調製した。
「上塗用塗工液の調製」
市販の重質炭酸カルシウム(商品名:セタカーブHG、備北粉化工業社製)100部(固形分換算)に、接着剤として酸化澱粉(商品名:エースB、王子コンスターチ社製)3部(固形分)およびスチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:OJ3000H、JSR社製)10部(固形分)を加え、固形分濃度が53%の下塗り塗工液を調製した。
【0056】
比較例7
「基紙の作成」
LBKP(CSF470ml)100%からなるパルプスラリーに、填料としてタルクを支持体灰分が4%となるように添加した後、パルプ固形分に対して硫酸アルミニウム0.88%、カチオン澱粉0.35%、アルキルケテンダイマーサイズ剤(商品名:サイズパインK−287、荒川化学社製)0.3%、ポリアクリルアミド(商品名:リアライザーR−300、ソーマル社製)0.04%を順次添加し、紙料を調製した。得られた紙料をオントップツインワイヤー抄紙機で抄紙し、さらにゲートロールサイズプレス装置で酸化澱粉(商品名:エースC、王子コーンスターチ社製)を両面で1.8g/m
2(固形分)塗布・乾燥し、マシンカレンダーで平滑化処理を施して坪量90g/m
2の基紙を得た。
【0057】
「塗工液の調製」
市販の無定形シリカ(商品名:ファインシールX−45、(株)トクヤマ製)100部(固形分換算)に、接着剤として酸化澱粉(商品名:エースA、王子コンスターチ社製)3部(固形分)およびスチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:OJ3000H、JSR社製)5部(固形分)、シリル変性ポリビニルアルコール(商品名:Rポリマー1130、クラレ社製)を加え、固形分濃度が15%の塗工液を調製した。
【0058】
「印刷用塗工紙の作製)
前記基紙上にエアーナイフコーターを用いて、片面の乾燥重量で20g/m
2になるように前記塗工液を両面に塗工、乾燥した。この後、マシンカレンダーを用いて、線圧20kg/cm、2ニップの条件で平滑化処理を施して、坪量130g/m
2の印刷用塗工紙を得た。
【0059】
実施例、比較例で得られた印刷用塗工紙について、下記の評価を行い、その結果を表1に示した。
【0060】
「吸収量」
JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法 NO.51(2000)で規定されたブリストー法に沿って得られた吸収曲線において、その曲線の、吸収時間が5ms
1/2の吸液量(転移量)(ml/m
2)の値である。測定には純水を使用し、測定の際の温度は、25℃である。
【0061】
「接触角」
30重量%のエタノール水溶液を用い、株式会社マツボー製動的接触角測定装置DAT 1100を用い、エタノール水溶液が印刷用塗工紙に接触してから、0.1sec後の接触角を測定した。
【0062】
「白紙光沢度」
JIS P8142に準拠して、75度における白紙面の光沢度を測定した。
「王研透気度」
JIS P 8117に準拠して、王研式透気度を測定した。
【0063】
「インクジェット印刷適性」
「インク吸収性の評価」
得られた印刷用塗工紙をラインヘッド搭載カラーラベルプリンター(LX−P5500顔料インクモデル、Canon製)でブラックベタ印刷と文字印刷を行ない。その印刷部分を目視評価した。
◎:ベタ印刷部分にムラなし。文字と白紙部にニジミなし。良好。
○:ベタ印刷部分にムラ、文字部から白紙部にインクのニジミが若干みられるが、
使用上問題のないレベル。
△:ベタ印刷部分にムラ、文字部から白紙部にインクのニジミが見られるレベル。
×:ベタ印刷部分全面にムラ、文字そのものが潰れ文字の形状が判別できないレベル。
【0064】
「インクジェットドット形状の評価」
インク吸収性の評価で得られた印刷物から、1ドットの形状を光学顕微鏡で20倍拡大し観察した。
◎:無作為に抽出した10個のドット全て奇麗な真円状。ドット内にも白抜けがない。
ベタ印刷部において、隣のドットの間に白抜けなし。
○:無作為に抽出した10個のドットうち1〜2個においてドットの真円性が歪となる。
ドット内には、白抜けがない。ベタ印刷部において、隣のドットの間に白抜けなし。
△:無作為に抽出した10個のドットうち3〜4個においてドットの真円性が歪となる。
ドット内に、若干白抜けが見られ、ベタ印刷部において、隣のドットの間に白抜けが若干見れ
れるが、問題ないレベル。
×:無作為に抽出した10個のドットうち8個以上にドットの真円性が歪となる。
ドット内に、白抜けが見られ、ベタ印刷部において、隣のドットの間に白抜けがみられ、1つ
のドットとして認識できてしまうレベル。
【0065】
(インク定着性の評価)
上記インク吸収性の評価と同様にして、ラインヘッド搭載カラーラベルプリンター(LX−P5500顔料インクモデル、Canon製)でブラックベタ印刷と文字印刷を行ない。印刷終了後、1分後に、1×5ccmサイズのゼロックス用紙を人差し指に巻きつけ、一定の力で、印刷面を擦り取った。
◎:擦りとった印刷部のインク剥がれが、まったく見られないレベル。良好。
○:擦りとった印刷部のインク剥がれが、少量見られるものの極僅かで、使用上問題のないレベル。
△:擦りとった印刷部のインク剥がれがあるが、下地の白紙部が露出するまでには至らないレベル。
(評価には乾燥機を有さないプリンターで評価しているが、印刷後に乾燥機を有する状態で使用す
る場合、乾燥の条件を調節すれば使用可能なレベル)。
×:擦りとった印刷部のインクが殆ど剥がれ取られ、下地の白紙部が露出しているレベル。
【0066】
(塗工層強度)
得られた印刷用塗工紙を用いて、RI印刷試験機(明製作所製)で、印刷インキ(商品名:FusionG EZ 墨 N、DIC Corporation社製)を、1ml使用して印刷を行い、印刷面のピッキングの程度を目視評価した。
◎:ピッキングが全く発生せず、良好。
○:ピッキングが少し発生するが、実用上問題ないレベル。
△:ピッキングが発生し、実用上、かなりの制限が必要なレベル。
×:ピッキングが多く発生し、実用上は許容できない
【0067】
【表1】
【0068】
表1から明らかなように、本発明により、白紙光沢に優れ、インクジェット印刷適性に優れる印刷用塗工紙を得ることができた。