(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本発明は、下記の実施形態に示された具体的手段や構造等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の形態を採り得る。例えば、下記の実施形態の構成の一部を、同様の機能を有する公知の構成に置き換えたり、他の実施形態の構成に対して付加、置換等したり、課題を解決できる限りにおいて省略したりしてもよい。また、下記の複数の実施形態を適宜組み合わせて構成してもよい。
【0017】
[第1実施形態]
図1に示すように、本発明が適用された実施形態の複合機1は、音声通話機能、ファクシミリ通信機能、コピー機能、スキャナ機能などの複数の機能を備えたものであり、メイン基板10と、通信回路基板20と、電源基板30と、回線接続コネクタ40とを備えている。複合機1は、
図1に示した構成の他にも、印刷を行う印刷機構や、原稿の画像読取を行う画像読取機構等も備えているが、それらについては図示を省略している。
【0018】
電源基板30は、スイッチング電源31と、発振制御部32とを備えている。スイッチング電源31は、外部から入力される商用のAC電源(例えばAC100V電源)から、24Vの第1DC電源電圧V1、5Vの第2DC電源電圧V2、及び3.3Vの第3DC電源電圧V3を生成して、メイン基板10等へ出力する。通信回路基板20には、スイッチング電源31で生成された第3DC電源電圧V3が、メイン基板10を介して供給される。ただし、スイッチング電源31から直接供給される構成であってもよい。
【0019】
発振制御部32は、メイン基板10から入力される電源発振停止・開始パルス信号に基づいてスイッチング電源31を発振又は停止させる。なお、スイッチング電源31について「発振」とは、商用AC電源を各DC電源電圧V1,V2,V3へ降圧して出力する動作を意味する。
【0020】
発振制御部32は、スイッチング電源31が発振しているときにメイン基板10から電源発振停止・開始パルス信号が入力された場合はスイッチング電源31を停止させ、スイッチング電源31が動作を停止しているときにメイン基板10から電源発振停止・開始パルス信号が入力された場合はスイッチング電源31の発振を開始させる。
【0021】
通信回路基板20は、DAA21と、モデム22と、トランス23と、ダイオードブリッジ24と、フォトリレー26とを備えている。DAA21は、ラインコード50を介して公衆の電話回線に接続される。ラインコード50は、複合機1を電話回線に接続するためのケーブルであり、一対の電話線L1,L2を備えている。ラインコード50が回線接続コネクタ40に接続されると、ラインコード50の一対の電話線L1,L2がそれぞれ通信回路基板20内の一対の回線接続ラインL11,L12に接続され、これにより、電話回線とDAA21とが接続された状態となる。
【0022】
DAA21は、メイン基板10内のCPU2からモデム22経由で入力される各種指令に従って、電話回線の閉結や開放、電話回線からの各種入力信号(例えば呼出信号、ダイヤルトーン、極性反転など)の検出、電話回線への各種出力信号の送出などを行う。
【0023】
DAA21は、トランス23を介してモデム22に接続されている。DAA21の動作用電源は、モデム22からトランス23を介して供給される。また、DAA21とモデム22との間の各種信号等の入出力も、トランス23を介して行われる。
【0024】
モデム22は、ファクシミリ通信において送受信されるファクシミリ信号の変調・復調といった基本的機能を有する他、メイン基板10のCPU2からの指令に従いながらDAA21を制御し、DAA21への各種信号等の出力や、DAA21からの各種入力信号・回線電圧等の受信などを行う。
【0025】
ダイオードブリッジ24は、電話回線の電気的変化(電圧変化)を整流してフォトリレー26へ出力する。ダイオードブリッジ24の一対の入力端子には、一対の回線接続ラインL11,L12がそれぞれ接続されている。そのうち一方の回線接続ラインL11は、コンデンサC1を介してダイオードブリッジ24の入力端子に接続されている。このコンデンサC1は、電話回線からダイオードブリッジ24に入力される電圧から直流成分を除去するために設けられている。ダイオードブリッジ24の一対の出力端子は、フォトリレー26に接続されている。
【0026】
フォトリレー26は、フォトMOSリレーとも呼ばれている無接点半導体リレーであり、発光ダイオード27と、受光部28とを備えている。発光ダイオード27のアノードは、ダイオードブリッジ24の正極出力端子に接続され、発光ダイオード27のカソードは、抵抗R1を介してダイオードブリッジ24の負極出力端子に接続されている。
【0027】
フォトリレー26の受光部28は、ゲート同士及びソース同士が互いに接続された2つのNチャネルMOSFETを有する周知の構成である。各MOSFETのドレインは、それぞれフォトリレー26の出力端子に接続されている。各MOSFETのゲート−ソース間には、図示しない受光制御部が設けられている。この受光制御部は、発光ダイオード27が発光していないときは各MOSFETをオフさせ、発光ダイオード27が発光しているときはその光を受光して各MOSFETを共にオン(導通)させる。
【0028】
メイン基板10は、CPU2、省電力チップ3、バックアップ電源4、ラッチングリレー5、リレードライブ回路6などを備えている。CPU2は、複合機1が備える各種機能を実現するための各種制御処理等を実行する。CPU2の機能には、リレードライブ回路6や図示しない印刷機構、画像読取機構などを制御する機能なども含まれる。
【0029】
ラッチングリレー5は、リレースイッチ15と、リレースイッチ15を動作させるセット(S)/リセット(R)コイル部16とを備えている。リレースイッチ15は、コモン端子と2つの接点とを備えている。コモン端子は、バックアップ電源4の基準電位(接地電位)に接続(詳しくはバックアップ電源4が備えるスーパーキャパシタC0の基準電位側の一端に接続)されている。2つの接点のうち一方は、フォトリレー26の一方の出力端子に接続されている。このフォトリレー26に接続されている一方の接点を、以下、フォトリレー側接点ともいう。
【0030】
ラッチングリレー5のリレースイッチ15は、S/Rコイル部16にパルスが入力される度に接点が切り替わる。
図1では、リレースイッチ15が、フォトリレー側接点に切り替えられてコモン端子とフォトリレー側接点とが導通した状態となっており、本実施形態ではこの状態をセット状態という。逆に、リレースイッチ15がフォトリレー側接点とは別の他方の接点に切り替えられた状態をリセット状態という。
【0031】
ラッチングリレー5は、リレースイッチ15の切り替え時のみS/Rコイル部16への通電(パルス入力)を必要とし、切り替え後の状態維持のための定常的な通電は不要なリレーである。すなわち、S/Rコイル部16にパルスが入力される度に、リレースイッチ15のセット、リセット状態が切り替わる。
【0032】
CPU2は、ラッチングリレー5をセット状態にさせる際は、リレードライブ回路6へセット指令を出力する。セット指令は、本実施形態では、L(Low)レベル(例えば0V)の電圧信号である。CPU2は、ラッチングリレー5をリセット状態にさせる際は、リレードライブ回路6へリセット指令を出力する。リセット指令は、本実施形態では、H(High)レベル(例えば5V)の電圧信号である。
【0033】
リレードライブ回路6は、CPU2からの指令に基づき、ラッチングリレー5を切り替えるためのパルスを出力する。具体的には、CPU2からセット指令(Lレベル信号)が入力された場合は、ラッチングリレー5のS/Rコイル部16へセット用のパルス(セットパルス)を出力して、ラッチングリレー5をセット状態にさせる。CPU2からリセット指令(Hレベル信号)が入力された場合は、ラッチングリレー5のS/Rコイル部16へリセット用のパルス(リセットパルス)を出力して、ラッチングリレー5をリセット状態にさせる。
【0034】
省電力チップ3は、バックアップ電圧検知部11、RTC(リアルタイムクロック)12、電源制御部13などを備えたIC(半導体集積回路)である。省電力チップ3は、スイッチング電源31からダイオードD1を介して供給される第2DC電源電圧V2又はバックアップ電源4からの電力により動作する。つまり、省電力チップ3は、第2DC電源電圧V2が供給されなくても、バックアップ電源4から必要最低限の電圧(例えば1.5V)以上のバックアップ電圧が供給されている限り動作可能である。
【0035】
バックアップ電圧検知部11は、バックアップ電源4の電圧(バックアップ電圧)、即ちスーパーキャパシタC0の充電電圧を検知して、このバックアップ電圧が、予め設定された電圧閾値以下になっているか否か判断する。本実施形態では、後述するように、スーパーキャパシタC0は、スイッチング電源31からの第2DC電源電圧V2(5V)により充電される。そして、本実施形態では、電圧閾値が例えば1.5Vに設定されている。そのため、本実施形態のバックアップ電圧検知部11は、バックアップ電圧が1.5V以下になっているか否かを判断する。
【0036】
RTC12は、現在時刻を保持・出力する。電源制御部13は、後述するように、CPU2からの指令や省電力チップ3内で発生する指令等に基づいて、電源基板30の発振制御部32へ、電源発振停止・開始パルス信号を出力する。
【0037】
なお、複合機1は、図示は省略したものの、当該複合機1の動作をオン/オフさせるためにユーザにより操作される電源スイッチを備えている。省電力チップ3には、この電源スイッチの操作状態を示す信号(電源スイッチ信号)も入力される。
【0038】
ここで、複合機1の動作モードについて説明する。本実施形態の複合機1は、動作モードとして、通常モードとOFFモードを有している。
通常モードは、スイッチング電源31から複合機1内の各部へ各種DC電源電圧V1,V2,V3が供給されて複合機1内の各部が動作可能となる動作モードである。通常モードでは、メイン基板10においては、CPU2が動作して、複合機1が備える各種機能の実行が可能となる。通信回路基板20においても、DAA21やモデム22などの各回路が動作可能となり、これにより、電話回線を介した音声電話やファクシミリ通信等の各種通信が可能となる。また、省電力チップ3は、通常モード時は、スイッチング電源31からダイオードD1を介して供給される第2DC電源電圧V2により動作する。
【0039】
一方、OFFモードは、複合機1が一定時間使用されていない待機時や、通常モード中にユーザが電源スイッチを押し操作した場合などに設定される動作モードであって、スイッチング電源31の発振が停止されて各種DC電源電圧V1,V2,V3の供給が停止される動作モードである。スイッチング電源31の発振が完全に停止するため、OFFモード中の待機電力はほとんどゼロである。OFFモードを導入していることで、本実施形態の複合機1では、非常に高いレベルの省電力が実現される。
【0040】
CPU2は、通常モード時に常時、動作モードをOFFモードへ切り替えるべきOFFモード切替条件が成立したか否かを判断している。本実施形態では、OFFモード切替条件として、例えば、複合機1が一定時間使用されていないことや、電源スイッチが押し操作されたことなどが設定されている。CPU2は、省電力チップ3から、RTC12の時刻情報や電源スイッチの操作情報などの各種情報を取得して、OFFモード切替条件が成立したかどうか判断する。CPU2は、OFFモード切替条件が成立した場合は、電源制御部13に対して電源発振停止・開始パルス信号を出力させる。通常モード時に電源制御部13が電源発振停止・開始パルス信号を出力すると、電源基板30において発振制御部32がスイッチング電源31の発振を停止させるため、これにより動作モードが通常モードからOFFモードに切り替わる。
【0041】
OFFモードでは、スイッチング電源31の発振が停止されるため、CPU2やDAA21、モデム22などの、複合機1内のほとんどの回路は、電力供給が途絶えて停止する。そのため、従来のスリープモードよりもさらに消費電力が抑えられる。
【0042】
ただし、OFFモード中であっても維持させるべき機能(以下「最低基本機能」ともいう)がいくつかある。例えば、RTC12、電源スイッチの操作有無検知、OFFモードを解除して通常モードに復帰させる復帰条件を検出するための復帰条件検知機能、OFFモード解除の際にスイッチング電源31を発振させるために電源発振停止・開始パルス信号を出力する電源制御部13などが、最低基本機能の一例である。つまり、OFFモード中であっても、最低限、省電力チップ3内の各部の動作は維持させる必要がある。
【0043】
そこで本実施形態では、OFFモード中であってもこれら最低基本機能を維持させるために、バックアップ電源4を搭載している。バックアップ電源4の具体的構成は種々考えられるが、本実施形態では、スーパーキャパシタC0を備えた構成となっている。
【0044】
スーパーキャパシタC0には、通常モード中にスイッチング電源31から5Vの第2DC電源電圧V2が供給され、これにより所定電圧(本実施形態では5V)に充電される。OFFモードになると、スーパーキャパシタC0の充電電力が、バックアップ電力として省電力チップ3に供給される。このバックアップ電力により省電力チップ3は動作可能となり、これによりOFFモード中でも最低基本機能が維持される。
【0045】
動作モードをOFFモードから通常モードへ復帰させるための復帰条件として、本実施形態では、例えば、電源スイッチが押し操作されたことや、スーパーキャパシタC0の充電電圧(バックアップ電圧)が電圧閾値以下になったこと、OFFモードが一定時間継続していること、複合機1が備える図示しない開閉カバーが開閉操作されたこと、などが設定されている。
【0046】
すなわち、OFFモード中に電源スイッチが押し操作されると、その操作情報が省電力チップ3に入力される。これにより、電源制御部13が発振制御部32へ電源発振停止・開始パルス信号を出力し、動作モードを通常モードに復帰させる。また、OFFモードが一定時間継続した場合も、一時的に通常モードに復帰させて、例えば印刷機構のクリーニング処理などの所定の処理を実行させる。CPU2は、一定時間継続による通常モードへの復帰により起動した場合は、必要な所定の処理を実行した後、再びOFFモードに切り替える。
【0047】
OFFモード中は、最低基本機能の維持のために、スーパーキャパシタC0の充電電力が省電力チップ3内で消費される。そのため、OFFモード中、スーパーキャパシタC0のバックアップ電圧は、規定の充電電圧(5V)から徐々に低下していく。
【0048】
そこで、省電力チップ3は、OFFモード中にスーパーキャパシタC0の充電電圧が電圧閾値(本実施形態では1.5V)以下になった場合は、一時的に通常モードに復帰させ、スイッチング電源31の発振を再開させて、スーパーキャパシタC0を充電させる。バックアップ電圧検知部11は、スーパーキャパシタC0のバックアップ電圧を監視し、電圧閾値以下になった場合、電源制御部13に対して電源発振停止・開始パルス信号を出力させることで、動作モードをOFFモードから通常モードに復帰させる。この場合のOFFモード解除は、スーパーキャパシタC0の充電電力を補充するための解除である。そのため、一時的にOFFモードが解除されるものの、スーパーキャパシタC0が電圧閾値よりも十分高い電圧(例えば5V)まで充電されたら、CPU2は再び動作モードをOFFモードに切り替える。
【0049】
電圧閾値の具体的数値は適宜決めることができる。例えば、省電力チップ3において最低基本機能の維持(動作)のために最低限必要な電圧よりも所定値高い電圧にしてもよい。即ち、電圧閾値は、バックアップ電圧がその電圧閾値以下になった時点から、動作モードが通常モードに復帰してスーパーキャパシタC0への充電が開始されるまでの間に、さらにバックアップ電圧が低下したとしても、省電力チップ3の動作が継続可能な電圧値を維持できるような値にするとよい。
【0050】
動作モードとしてOFFモードを備える本実施形態の複合機1では、動作モードがOFFモードになると、スイッチング電源31から通信回路基板20への電力供給が途絶える。そのため、OFFモードになると、電話回線が極性反転したり呼出信号が入力されたりするなどの、電話回線側(交換機等)の制御動作等に起因した電話回線の電気的変化(回線イベント)が生じても、DAA21はその回線イベントを検出できない。
【0051】
そこで本実施形態の複合機1は、OFFモード時であっても回線イベントが発生した場合にはそれを検出して通常モードに復帰させるためのしくみが備えられている。このしくみについて具体的に説明する。
【0052】
通信回路基板20は、ダイオードブリッジ24及びフォトリレー26を備えている。そのため、OFFモード時に回線イベントが発生すると、ダイオードブリッジ24からフォトリレー26の発光ダイオード27へ電流が出力され、これにより発光ダイオード27が発光する。発光ダイオード27の光が受光部28で受光されると、受光部28がオンする。詳しくは受光部28が備える2つのMOSFETがオンし、フォトリレー26の出力端子間がフォトリレー26内部において導通する。
【0053】
一方、メイン基板10のスーパーキャパシタC0には、これと並列に、スーパーキャパシタC0の充電電力を放電させるための放電用通電経路が設けられている。この放電用通電経路は、具体的には、スーパーキャパシタC0の一端(高電位側)から電流制限抵抗R2、フォトリレー26の受光部28、及びラッチングリレー5を経てスーパーキャパシタC0の他端(基準電位側)に至る経路である。
【0054】
既述の通り、OFFモード時には、ラッチングリレー5はセット状態(
図1に図示した状態)にされる。そのため、回線イベント発生によりフォトリレー26がオンすると、スーパーキャパシタC0の両端子間に低インピーダンスの閉回路が形成される。即ち、上記放電用通電経路が全体として導通する。そのため、スーパーキャパシタC0の充電電力が、その低インピーダンスの放電用通電経路を介して放電される。つまり、複合機1は、OFFモード時に回線イベントが発生したら、スーパーキャパシタC0の充電電力を強制的に放電させるよう構成されている。
【0055】
スーパーキャパシタC0が放電されると、その充電電圧(バックアップ電圧)は徐々に低下していく。そして、バックアップ電圧が電圧閾値以下になると、省電力チップ3内において、バックアップ電圧検知部11によりその電圧閾値以下になったことが検知され、電源制御部13から電源発振停止・開始パルスが出力される。これにより、スイッチング電源31が発振して、動作モードが通常モードに復帰する。
【0056】
動作モードが通常モードに復帰すれば、通信回路基板20に電源基板30から電源が供給されるため、モデム22やDAA21が動作可能となる。これにより、DAA21やモデム22は、発生した回線イベントに対応した種々の処理を行うことが可能となる。
【0057】
フォトリレー26を構成する受光部28は、MOSFETを備えており、そのオン抵抗は例えばフォトカプラの受光部よりも低く、電流を流す能力(電流ドライブ能力)も高くて例えば約2Aの電流を流すことができる。そのため、フォトリレー26のオンにより、スーパーキャパシタC0を短時間で電圧閾値以下の電圧まで放電させることができる。
【0058】
電話回線の回線イベントの1つとして、呼出信号がある。この呼出信号は、例えば、1秒間オン(所定周波数の交流信号が発生)して2秒間オフ(電圧変化ゼロ)する変化が繰り返し継続して発生するような信号である。
【0059】
本実施形態の複合機1は、OFFモード時の回線イベントのうち少なくとも上記呼出信号が発生して1秒間オンしている間に通常モードへ復帰することが可能である。具体的には、放電開始から1秒経過するまでにバックアップ電圧が1.5V以下となるよう、電流制限抵抗R2の抵抗値をはじめ放電用通電経路上の各素子等の定格が定められている。
【0060】
スーパーキャパシタC0から一定量の充電電荷を放電させるために必要な放電時間は、電流制限抵抗R2の抵抗値に依存し、この抵抗値が小さいほど放電時間が短くなる。そのため、電流制限抵抗R2の抵抗値を調整することで、スーパーキャパシタC0の放電時間(バックアップ電圧が低下する傾き)を調整できる。スーパーキャパシタC0の放電前の初期電圧をV0、放電後の電圧をV1、スーパーキャパシタC0の静電容量をC、電流制限抵抗R2の抵抗値をRとすると、スーパーキャパシタC0の放電時間T(V0からV1まで放電させるのにかかる時間)は、次式(1)で表せる。
【0061】
T=−C・R・log(V1/V0) ・・・ (1)
例えば、スーパーキャパシタC0の放電前の電圧を5V、フォトリレー26のオン抵抗を0.05Ω、スーパーキャパシタC0の静電容量を0.224Fとし、スーパーキャパシタC0をその電圧が1.5Vになるまで放電させるとする。このとき、例えば電流制限抵抗R2が0Ωだとすると、1.5Vまで放電させるのにかかる放電時間Tは、上記式(1)を用いて算出すると、約0.01秒となる。つまり、電流制限抵抗R2を用いなければ約0.01秒という非常に短い時間で放電させることができる。ただしその場合、放電用通電経路に大きな電流が流れて、フォトリレー26の受光部28やラッチングリレー5のリレースイッチ15などに影響を及ぼすおそれがある。
【0062】
そこで、本実施形態では、所定の抵抗値の電流制限抵抗R2を設けることで、放電開始から1秒経過までの間に1.5以下へ放電させることを可能としつつ、放電時の電流値が過大にならないようにしている。例えば、電流制限抵抗R2の抵抗値を3.5Ωとすると、放電時間Tは、上記式(1)を用いて算出すると、約0.9秒となる。つまり、3.5Ωの電流制限抵抗R2を用いても、呼出信号の1秒間オンの間にスーパーキャパシタC0を1.5V以下に放電させて通常モードに復帰させることができる。
【0063】
なお、極性反転が生じたときにもOFFモードから通常モードへ復帰できるよう、電流制限抵抗R2を抵抗値のより小さいものにしてもよい。更に、複合機1にラインコード50が接続されておらず且つ動作モードがOFFモードになっている状態で、複合機1にラインコード50が接続された場合も、そのラインコード50の接続時に一対の電話線L1,L2間の電位差によって発光ダイオード27が発光する。この発光時間もごく短時間であるが、この短時間の間でもスーパーキャパシタC0の電圧を1.5V以下に急速放電させることができるように電流制限抵抗R2の抵抗値を設定してもよい。
【0064】
放電時間の調整は、電流制限抵抗R2の抵抗値だけで行うのではなく、フォトリレー26の受光部28のオン抵抗やスーパーキャパシタC0の静電容量などの他の諸特性も含めて、結果として所望の時間内にスーパーキャパシタC0を1.5V以下にできるように充電用通電経路全体を設計してもよい。
【0065】
放電用通電経路に設けられているラッチングリレー5の機能について補足説明する。ラッチングリレー5は、通常モード時にリセット状態にされることにより放電用通電経路を開放状態にするが、通常モード時にラッチングリレー5をリセット状態にすることは必須ではない。つまり、ラッチングリレー5は必ずしも必要なものではない。ちなみに、後述する第3実施形態の複合機80(
図5参照)は、ラッチングリレー5を備えていない。
【0066】
ただし、ラッチングリレー5がない場合、通常モード時に回線イベントが発生する度に、フォトリレー26がオンして、スーパーキャパシタC0から(或いはスイッチング電源31から)、フォトリレー26を含む放電用通電経路に電流が流れる。通常モード時のこの電流は、機能上特に意味をなさず、無駄な電流である。そのため、本実施形態では、放電用通電経路上にラッチングリレー5を設け、通常モード時には放電用通電経路を開放しておくことで、回線イベントが発生する度にフォトリレー26を含む放電用通電経路に無駄な電流が流れることを抑制している。
【0067】
CPU2が実行するメイン処理について、
図2を用いて説明する。CPU2は、スイッチング電源31からの電源供給により起動すると、図示しないメモリから
図2のメイン処理のプログラムを読み出して実行する。なお、CPU2は、
図2のメイン処理によって、通常モードからOFFモードへの切り替えは行うが、OFFモードから通常モードへの切り替えはCPU2が主体的に行うものではない。OFFモード中はCPU2にも電源が供給されず、CPU2は停止している。OFFモードから通常モードへの切り替えは、既述の通り、復帰条件が成立した場合に省電力チップ3により行われる。そのため、CPU2が動作を開始して
図2のメイン処理を開始した時点で、すでに動作モードは通常モードになっている(
図2の最上段の波線枠参照)。
【0068】
CPU2は、
図2のメイン処理を開始すると、S110で、リレードライブ回路6へリセット指令を出力してラッチングリレー5をリセット状態にする。S120では、予め決められた所定の通常モード起動処理を行う。S130では、CPU2の起動が、OFFモード中に一時的復帰条件が成立したことによる起動であるか否かを判断する。一時的復帰条件とは、OFFモードが一定時間継続したこと、又はバックアップ電圧が電圧閾値以下になったこと、の何れかである。
【0069】
CPU2の起動が、OFFモード中に一時的復帰条件が成立したことによる起動でない場合は、S140で、電源スイッチが押し操作されたか否か判断する。電源スイッチが押し操作されていない場合は、S150で、当該複合機1が使用されていない未使用状態が一定時間継続したか否か判断する。未使用状態が一定時間継続していない場合は、S160でその他の処理(詳細は省略)を行って、S140に戻る。
【0070】
S140で電源スイッチが押し操作されたと判断した場合、及びS150で未使用状態が一定時間継続したと判断した場合は、OFFモード切替条件が成立したということであるため、OFFモードへ切り替えるためのS170及びS180の処理を行う。
【0071】
S170では、リレードライブ回路6へセット指令を出力してラッチングリレー5をセット状態にする。S180では、電源制御部13へ、電源発振停止・開始パルス信号の出力を命令する。これにより、電源制御部13から発振制御部32へ電源発振停止・開始パルスが出力され、スイッチング電源31の発振が停止されて、動作モードがOFFモードに移行する。
【0072】
S130で、CPU2の起動が、OFFモード中に一時的復帰条件が成立したことによる起動である場合は、S190に進み、一時的起動時対応処理を行う。一時的起動時対応処理は、どのような一時的復帰条件が成立したことでOFFモードから通常モードに切り替わったのかによって予め決められている。例えば、スーパーキャパシタC0のバックアップ電圧が電圧閾値以下になったことにより通常モードに切り替わった場合は、スーパーキャパシタC0を一定量充電すること(本実施形態では5Vまで充電すること)が一時的起動時対応処理となる。S190の一時的起動時対応処理を終えたらS170に進む。
【0073】
次に、本実施形態の複合機1の動作のうち、OFFモード時に回線イベント発生によって通常モードに切り替わる場合の動作例を、
図3を用いて説明する。通常モード時にOFFモード切替条件が成立すると、CPU2は、OFFモードに切り替わる前の必要な処理を行い、且つラッチングリレー5をセットする(t1)。これにより、動作モードがOFFモードに移行する(t2)。
【0074】
OFFモード移行後、極性反転などの回線イベントが発生すると(t3)、フォトリレー26がオンすることにより、スーパーキャパシタC0の充電電荷が放電される。極性反転に続いて呼出信号(1秒間オン)が入力されるため、スーパーキャパシタC0の電圧は放電により徐々に低下していき、1.5Vに達する(t4)。
【0075】
これにより、省電力チップ3の電源制御部13が電源基板30に電源発振停止・開始パルス信号を出力して、スイッチング電源31を発振させて、動作モードを通常モードに復帰させる(t5)。通常モードに復帰すると、スーパーキャパシタC0はスイッチング電源31からの第2DC電源電圧V2により充電されるため、バックアップ電圧は再び規定の5Vまで上昇していく。また、ラッチングリレー5はリセット状態となる。
【0076】
以上説明したように、本実施形態の複合機1では、OFFモード中は、ダイオードブリッジ24やフォトリレー26などにより構成される回線イベント検出用の回路によって回線イベントを検出可能である。また、OFFモード中にバックアップ電圧が電圧閾値(1.5V)以下になると通常モードに復帰するよう構成されている。
【0077】
このような構成において、OFFモード中、回線イベントが検出されてフォトリレー26がオンすると、スーパーキャパシタC0が強制的に放電されてバックアップ電圧が1.5V以下に低下し、これにより動作モードが通常モードに復帰する。
【0078】
そのため、OFFモードとして、スイッチング電源31の動作を完全に停止させて消費電力をほぼゼロとする、省電力効果の非常に高いモードを実現しながらも、OFFモード中であっても回線イベントを検出できる状態を維持することができる。しかも、スーパーキャパシタC0を強制的に放電させるための構成を、フォトリレー26やラッチングリレー5を含む簡素な放電用通電経路で実現しているため、複合機1全体の構成の簡素化、低コスト化が実現可能である。
【0079】
回線イベント発生の有無に基づく放電用通電経路の導通・遮断を、フォトリレー26を用いて実現している。そのため、停止モード中に回線イベントが発生したとき、スーパーキャパシタC0の充電電荷をフォトリレー26内のMOSFETを介して迅速に放電させて、バックアップ電圧を迅速に電圧閾値以下に低下させることができる。これにより、停止モードから通常モードへの切り替えを迅速に行うことができる。
【0080】
スーパーキャパシタC0のバックアップ電圧に基づくOFFモードから通常モードへの復帰条件は、種々設定し得るが、本実施形態では、バックアップ電圧が電圧閾値以下になったことという簡素な条件である。そのため、省電力チップ3内における、バックアップ電圧に基づく復帰条件の成立を判断するための処理負荷やその判断のための具体的構成(バックアップ電圧検知部11の構成)を軽減・簡素化することができる。
【0081】
また、ラッチングリレー5を備え、通常モード中に回線イベントが発生してフォトリレー26がオンしてもスーパーキャパシタC0或いはスイッチング電源31からフォトリレー26を含む放電用通電経路に電流が流れないようにしている。そのため、通常モード時の無駄な電流が抑制され、省電力効果をより高くすることができる。しかも、ラッチングリレー5を用いていることで、セット・リセットの切り替え時は通電(パルス)が必要であるもののそれ以外は通電する必要がない。そのため、例えば通常モード中に常時通電が必要な一般的なリレーを用いる場合に比べて、高い省電力効果が得られる。
【0082】
また、フォトリレー26の一次側の発光ダイオード27には、電話回線の電気的変化が、ダイオードブリッジ24より整流されて入力される。これにより、電話回線の極性にかかわらず、電気的変化が発生したら発光ダイオード27を発光させることができる。そのため、発光ダイオード27を発光させる時間を長くすることができ、ひいてはスーパーキャパシタC0からの放電時間を長くすることができる。
【0083】
[第2実施形態]
第2実施形態の複合機60について、
図4を用いて説明する。
図4に示す本実施形態の複合機60は、
図1に示した第1実施形態の複合機1と比較して異なる構成は、主に次のa〜dの4つである。
a.フォトリレー26に代えてフォトカプラ72を用いていること。
b.放電用通電経路に、フォトカプラ72と並列に、放電経路形成用のトランジスタ76が接続されていること。
c.ラッチングリレー5に代えて、常閉接点を有し且つコイルへの通電によりオフ(開)状態を保持可能な一般的なリレー(単安定リレー)64を用いていること。
d.CPU62からリレードライブ回路63へのセット指令、リセット指令の出力ラインに、プルアップ抵抗R4を介して第2DC電源電圧V2が印加される構成であること。
【0084】
フォトカプラ72は、発光ダイオード73とフォトトランジスタ74を備えている。発光ダイオード73のアノードはダイオードブリッジ24の正極出力端子に接続され、発光ダイオード73のカソードは抵抗R1を介してダイオードブリッジ24の負極出力端子に接続される。そのため、回線イベントが発生して電話回線に電気的変化が生じると、発光ダイオード73が発光し、その発光の間、フォトトランジスタ74がオンする。
【0085】
フォトトランジスタ74は、エミッタがメイン基板61内のリレー64を介してスーパーキャパシタC0の基準電位側に接続されている。フォトトランジスタ74のコレクタは、電流制限抵抗R3を介してスーパーキャパシタC0の正極側に接続されると共に、トランジスタ76に接続されている。
【0086】
トランジスタ76は、詳しくは、バイアス抵抗内蔵型のトランジスタであり、PNP形のバイポーラトランジスタ77と、バイアス用の2つの抵抗とを備えている。このトランジスタ76は、エミッタが電流制限抵抗R2を介してスーパーキャパシタC0の正極側に接続され、コレクタがフォトカプラ72内のフォトトランジスタ74のエミッタに接続され、ベースがフォトトランジスタ74のコレクタに接続されている。
【0087】
リレー64は、常閉形の接点65とリレーコイル66とを備えている。接点65の一端は、トランジスタ76のコレクタに接続されると共に、フォトカプラ72内のフォトトランジスタ74のエミッタに接続されている。接点65の他端は、スーパーキャパシタC0の基準電位側に接続されている。リレーコイル66は、一端がリレードライブ回路63に接続され、他端が接地されている。
【0088】
トランジスタ76のオン・オフの状態は、フォトカプラ72内のフォトトランジスタ74のオン・オフに依存する。即ち、フォトトランジスタ74がオフしているときは、フォトトランジスタ74のベース−エミッタ間は同電位となるため、トランジスタ74もオフする。一方、フォトトランジスタ74がオンすると、トランジスタ76のベースは接地電位に近い低電位になり、これによりトランジスタ76もオンする。つまり、スーパーキャパシタC0の両端に、フォトトランジスタ74を介した放電経路とトランジスタ76を介した放電経路とが並列に接続された状態となる。そのため、スーパーキャパシタC0の充電電荷は、フォトトランジスタ74及びトランジスタ76の双方を介して放電される。
【0089】
なお、トランジスタ76を設けなくても、フォトカプラ72を介してスーパーキャパシタC0を放電させることは可能である。しかし、フォトカプラ72は、フォトリレーよりも電流ドライブ能力が低いため、フォトリレーに比べて放電時間が長くなる。そのため、フォトカプラ72だけでは、回線イベント発生時にスーパーキャパシタC0の電圧を電圧閾値以下まで放電させることができないおそれがある。
【0090】
そこで、本実施形態では、フォトカプラ72とは別に、フォトカプラ72と並列にトランジスタ76を設けている。トランジスタ76は、電流ドライブ能力が高いため、フォトカプラ72よりも大きな電流を流すことができる。そのため、全体として(フォトカプラ72及びトランジスタ76を含め)、第1実施形態と同じようにスーパーキャパシタC0を短時間で放電させることが可能となっている。
【0091】
リレードライブ回路63は、CPU62からリセット指令(Hレベル信号)が入力されている間は、リレーコイル66に電流を流して接点65をオフ(開放)する。リレードライブ回路63は、CPU62からセット指令(Lレベル信号)が入力されている間は、リレーコイル66への通電を停止して接点65をオンさせる。
【0092】
CPU62は、起動すると、所定の初期処理等を行って、リレードライブ回路63へリセット指令を出力する。そのため、スイッチング電源31からメイン基板61への電源供給が開始されてから、リレードライブ回路63へCPU62からリセット指令が入力されるまでの間には、時間差が生じる。よって、動作モードが通常モードに復帰してもリレー64はすぐにはオフせず、電源供給開始から一定時間(上記時間差分)はオンのままである。そのため、通常モードに復帰した後、CPU62からリセット指令が出力されるまでの一定時間の間は、ごく僅かな時間ではあるが、回線イベントが発生する度にフォトカプラ72及びトランジスタ76を介した無駄な放電が発生してしまう。
【0093】
そこで本実施形態では、CPU62からリレードライブ回路63への指令出力ラインに、プルアップ抵抗R4を介して第2DC電源電圧V2が印加されるよう構成されている。このような構成により、OFFモードから通常モードへ復帰してスイッチング電源31から第2DC電源電圧V2が出力されると、その第2DC電源電圧V2がプルアップ抵抗R4を介してリレードライブ回路63に入力される。これは即ち、リレードライブ回路63にCPU62からリセット指令が入力された状態と等価となる。そのため、第2DC電源電圧V2の供給開始とほぼ同時に、リレー64がオフする。つまり、CPU62からのリセット指令を待つことなく、通常モードへの復帰とほぼ同時にリレー64をオフさせることができる。
【0094】
以上説明した本実施形態の複合機60によっても、第1実施形態と同様、OFFモードとして、スイッチング電源31の動作を完全に停止させて消費電力をほぼゼロとする、省電力効果の非常に高いモードを実現しながらも、OFFモード中であっても回線イベントを検出できる状態を維持することができる。
【0095】
また、本実施形態では、フォトカプラ72を用いて、OFFモード中の回線イベント検出及び放電経路形成を行っている。フォトカプラ72は、フォトリレーに比べて安価であるため、フォトリレーを用いる場合よりも複合機60のコストを下げることができる。
【0096】
フォトカプラ72は、安価である反面、電流ドライブ能力はフォトリレーよりも相対的に低い。そこで、本実施形態では、フォトカプラ72と並列にトランジスタ76を設け、フォトカプラ72及びトランジスタ76の双方を介して放電できるようにしている。そのため、電流ドライブ能力の低いフォトカプラ72を用いながらも、全体としてバックアップ電圧を迅速に低下させることが可能となる。
【0097】
[第3実施形態]
第3実施形態の複合機80について、
図5を用いて説明する。
図5に示す本実施形態の複合機80は、
図4に示した第2実施形態の複合機60と比較して異なる構成は、主に次のa〜cの3つである。
a.通信回路基板91内においてダイオードブリッジ24を省いていること。
b.フォトカプラとして、入力側(一次側)に双方向通電可能な発光ダイオード部93を備えたフォトカプラ92を用いていること。
c.メイン基板81内においてリレー64及びリレードライブ回路63を省いていること。なお、これに伴い、CPU82は、リレーを制御する機能が省かれている。
【0098】
フォトカプラ92は、発光ダイオード部93とフォトトランジスタ94とを備えている。発光ダイオード部93は、互いに極性が逆となるように並列接続された2つの発光ダイオードを有している。発光ダイオード部93の一端は、コンデンサC1を介して一方の回線接続ラインL11に接続され、発光ダイオード部93の他端は、抵抗R1を介して他方の回線接続ラインL12に接続されている。そのため、回線イベントが発生して電話回線に電気的変化が生じると、発光ダイオード部93を構成する2つの発光ダイオードのうち何れか一方が発光し、その発光している間、フォトトランジスタ94がオンする。
【0099】
フォトトランジスタ94は、エミッタがメイン基板81内においてスーパーキャパシタC0の基準電位側に接続されている。フォトトランジスタ94のコレクタからメイン基板81内のスーパーキャパシタC0の正極側に至る回路構成は、第2実施形態の複合機60と同じである。
【0100】
このように、本実施形態の複合機80は、第2実施形態に示した、ダイオードブリッジ24及びフォトカプラ72による回線イベント検知機能を、双方向の電流入力が可能なフォトカプラ92によって実現している。そのため、回線イベント検知機能をより簡素且つ安価に実現することができる。また、メイン基板81内において、放電用充電経路を導通・遮断するためのリレーを省いているため、その分の小型化、低コスト化も実現される。
【0101】
[他の実施形態]
(1)バックアップ電源4の具体的構成は種々考えられ、スーパーキャパシタC0以外の他のキャパシタ(コンデンサ)を用いてもよい。また、キャパシタ以外の他の蓄電手段(例えば低容量の二次電池)を用いてもよい。
【0102】
(2)上記実施形態では、バックアップ電圧に基づくOFFモードからの復帰条件が、バックアップ電圧が電圧閾値以下になることであったが、これはあくまでも一例である。回線イベント発生時の強制放電によるバックアップ電圧の低下(電圧低下状態の発生)を検出できる限り、種々の復帰条件を設定できる。例えば、スーパーキャパシタC0の電圧の低下率が所定値以上の場合(即ち微分値の絶対値が所定値以上の場合)に、復帰条件が成立(回線イベントが発生)したものと判断するようにしてもよい。
【0103】
(3)第2実施形態及び第3実施形態において、フォトカプラと並列に放電経路形成用のトランジスタ76を設けることは必須ではない。トランジスタ76と同等の機能を有する回路素子等に代えてもよいし、電流ドライブ能力の高いフォトカプラ、或いはそれに準ずる半導体リレーがあればそれを用いることでトランジスタ76を省いてもよい。
【0104】
(4)OFFモード中の回線イベントを検知する手段として、フォトリレーやフォトカプラを用いることも、あくまでも一例である。フォトリレーやフォトカプラ以外の他の手段によって、OFFモード中の回線イベント検知及びスーパーキャパシタC0の強制放電経路の形成を実現するようにしてもよい。
【0105】
(5)本発明の適用は複合機1に限定されるものではない。電話回線に接続して使用されるあらゆる種類の通信装置に対して本発明を適用可能である。