(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を実施するための実施の形態について詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において任意に変形して実施することができる。
まず、本発明の電子写真感光体に使用されるポリカーボネート樹脂について説明する。
【0024】
<ポリカーボネート樹脂>
本発明の電子写真感光体の最表面層中には、少なくとも、下記一般式(1)で表される繰返し単位からなるポリカーボネート樹脂と、下記式(2)で表される繰返し単位からなるポリカーボネート樹脂を共に含有する。
【0026】
一般式(1)中、R
1〜R
4はそれぞれ、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、又は各々置換基を有してもよい、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、もしくは炭素原子数6〜12アリール基を表す。Xは、単結合、硫黄原子、スルホン基、炭素数2〜10のアルキリデン基、炭素数5〜12のシクロアルキリデン基、炭素数7〜15のアリールアルキリデン基、フルオレニリデン基またはα,α,α’,α’−テトラメチルキシリデン基である。このうち、R1〜R4は溶解性および機械物性の観点から、水素原子またはメチル基が好ましい。
【0027】
一般式(1)中、a,bはモル共重合比率を表し、a:b=80:20〜20:80が好ましく、より好ましくはa:b=70:30〜50:50である。なお、一般式(1)で表される樹脂は、一般にはランダム共重合体であるが、一部ブロック共重合体部分を含有してもよい。一般式(1)の好ましい例を下記に示す。
【0029】
また、一般式(1)で表される構造単位が、下記式(3)、(4)および下記式(5)で表される場合が、特に好ましい。式(3)、(4)および(5)中、m,nはモル共重合比率を表し、一般式(1)中のa,b同様、m:n=80:20〜20:80が好ましい。クラック性及び耐可塑剤性の観点から、80:20〜50:50がより好ましい。
【0030】
これらのうち、主に下記式(3)、(4)及び(5)で表される繰返し単位からなるポリカーボネート樹脂が最も好ましい。
【0032】
式(2)で示される繰り返し単位からなる樹脂は、少量であれば他の構造単位を含んでも構わない。20モル%以下が好ましく、10モル%以下がさらに好ましく、5モル%以下た特に好ましい。
【0034】
上記式(1)〜(5)で表される構造単位からなる樹脂の好ましい分子量の範囲としては、粘度平均分子量で、好ましくは10,000以上、より好ましくは15,000以上、また、その上限は、好ましくは78,000以下、より好ましくは60,000以下であることが望ましい。粘度平均分子量の値が小さすぎる場合、機械的強度が不足し、大きすぎる場合、感光層形成のための塗布液の粘度が高すぎて生産性が低下する。なお、粘度平均分子量は、例えばウベローデ型毛細管粘度計等を用いて測定することができる。
【0035】
<ポリカーボネート樹脂(1)と(2)の混合>
前記一般式(1)で表される繰返し単位をからなるポリカーボネート樹脂(以下、「ポリカーボネート樹脂(1)」ということがある)は耐クラック性が良好であるが、基体との接着性がやや劣る。一方、前記一般式(2)で表される繰返し単位をからなるポリカーボネート樹脂(以下、「ポリカーボネート樹脂(2)」ということがある)は耐クラック性がやや劣るものの、基体との接着性は良好である。両者を混合することにより、両者の利点を生かしつつ欠点を低減する相乗効果が生じ、バランス良く性能を改良することができる。
【0036】
前記ポリカーボネート樹脂(1)と(2)の混合比(重量比)は、目的に応じて任意に設定できるが、通常、(1):(2)=95:5〜40:60、耐摩耗性改良および耐クラック性改良の観点からは90:10〜50:50がより好ましい。接着性の観点からは80:20〜60:40が最も好ましい。
【0037】
本発明の上記ポリカーボネート樹脂(1)およびポリカーボネート樹脂(2)は、導電性支持体上に感光層を有する電子写真感光体の最表面となる層に含有されるが、感光層の上に保護層を設ける場合は、保護層に含有される。
次に、本発明の電子写真感光体について、他の構成要素を含め説明する。
【0038】
[I.電子写真感光体]
本発明の感光体は、上記特定のポリカーボネート樹脂を含有する最表面層を備えるものである。本発明の感光層は、通常は導電性支持体(「導電性基体」あるいは単に「基体」ともいう)上に設けられる。
【0039】
[I−1.導電性支持体]
導電性支持体としては、例えばアルミニウム、アルミニウム合金等、特許文献5に開示されている公知の材料を使用することが出来る。また、導電性支持体としてアルミニウム合金等の金属材料を用いた場合、特許文献5に開示されているように、陽極酸化被膜を施してから用いてもよい。
【0040】
[I−2.下引き層]
導電性支持体と感光層との間には、接着性・ブロッキング性等の改善のため、下引き層を設けても良い。下引き層としては、特許文献5に開示されている公知の例を使用することが出来る。
【0041】
[I−3.感光層]
感光層は、上述の導電性支持体上に(前述の下引き層を設けた場合は下引き層上に)形成される。感光層の型式としては、電荷発生材料と電荷輸送材料とが同一層に存在し、それらがバインダー樹脂中に分散した単層構造のもの(以下適宜、「単層型感光層」という。)と、電荷発生材料がバインダー樹脂中に分散された電荷発生層、及び電荷輸送材料がバインダー樹脂中に分散された電荷輸送層を含む、二層以上の層からなる積層構造の機能分離型のもの(以下適宜、「積層型感光層」という)が挙げられるが、何れの形態であってもよい。
【0042】
また、積層型感光層としては、導電性支持体側から電荷発生層、電荷輸送層をこの順に
積層して設ける順積層型感光層と、逆に導電性支持体側から電荷輸送層、電荷発生層の順に積層して設ける逆積層型感光層とがあり、いずれを採用することも可能であるが、最もバランスの取れた光導電性を発揮できる順積層型感光層が好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂は、 感光層の型式にかかわらず、導電性支持体とは反
対側となる 感光層の「最表面」となる層に含まれる。
電荷発生層と電荷輸送層を有する積層型感光体の電荷輸送層形成の際は、膜強度確保のためにバインダー樹脂が使用される。
積層型感光体の電荷輸送層の場合、電荷輸送物質とバインダー樹脂とを溶剤に溶解、あるいは分散して得られる塗布液、また、単層型感光体の場合、電荷発生物質と電荷輸送物質と前記バインダー樹脂を溶剤に溶解、あるいは分散して得られる塗布液を塗布、乾燥して得ることが出来る。
【0043】
<バインダー樹脂>
本発明の電子写真感光体が順積層型感光体の場合、電荷輸送層のバインダー樹脂として、上述した二種のポリカーボネート樹脂(1)および(2)を含有する。また、バインダー樹脂は本発明の効果を損なわない範囲であれば、その他の樹脂を混合してもよく、他の樹脂としては、ブタジエン樹脂、スチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、ビニルアルコール樹脂、エチルビニルエーテル等のビニル化合物の重合体及び共重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、部分変性ポリビニルアセタール、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロースエステル樹脂、フェノキシ樹脂、シリコン樹脂、シリコン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂等が挙げられる。これらのバインダー樹脂は、適当な硬化剤を用いて熱、光等により架橋させて用いることもでき、ケイ素試薬などで修飾されていてもよい。その際、本発明のポリカーボネート樹脂(1)および(2)の合計の割合が、50重量%以上であることが好ましい。
【0044】
<電荷輸送材料>
本発明の電子写真感光体は、電荷輸送材料として、特許文献5に開示されているような公知の例を使用することが出来る。
本発明に含有される電荷輸送材料の使用量は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。ただし、少な過ぎると電荷輸送に不利となり、電機特性が悪化するため、感光層中のバインダー樹脂100重量部に対して、通常30重量部以上、好ましくは40重量部以上であり、また、多過ぎるとガラス点移転点(Tg)が下がり過ぎて耐摩耗性が劣化する、耐クラック性が低下するおそれがあるため、通常200重量部以下、好ましくは150重量部以下である。
【0045】
<電荷発生層>
積層型感光層(機能分離型感光層)の電荷発生層は、電荷発生材料を含有すると共に、通常はバインダー樹脂と、必要に応じて使用されるその他の成分とを含有する。このような電荷発生層は、例えば、電荷発生材料の微粒子及びバインダー樹脂を溶媒又は分散媒に溶解又は分散して塗布液を作製し、これを順積層型感光層の場合には導電性支持体上に(下引き層を設ける場合は下引き層上に)、また、逆積層型感光層の場合には電荷輸送層上に塗布、乾燥して得ることができる。
【0046】
<電荷発生材料>
電荷発生材料の例としては、特許文献5に開示されている公知の材料を使用することが出来る。なお、これらの材料のうち、フタロシアニン環の中心に
金属を含有する含金属フタロシアニンが好ましく、含金属フタロシアニンの中でもA型(β型)、B型(α型)、D型(Y型)オキシチタニウムフタロシアニン、II型クロロガリウムフタロシアニン、V型ヒドロキシガリウムフタロシアニン、G型μ−オキソ−ガリウムフタロシアニン二量体等がより好ましく、A型(β型)、B型(α型)、D型(Y型)オキシチタニウムフタロシアニンが更に好ましい。
【0047】
特に、オキシチタニウムフタロシアニンは、CuKα特性X線による粉末X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)27.2°に主たる明瞭な回折ピークを有する、あるいは/かつ、ブラッグ角(2θ±0.2°)9.0°〜9.7°に、明瞭な回折ピークを有することが好ましい。
電荷発生材料としてアゾ顔料を使用する場合には、各種公知のビスアゾ顔料、トリスアゾ顔料が好適に用いられる。
【0048】
電荷発生材料として使用される顔料としては、使用される露光波長により好ましい材料が決められる場合がある。露光波長が380nm〜500nmの短波長領域の場合には、上記アゾ顔料が好適に用いられる。一方、630〜780nmの近赤外光を使用する場合には、その領域にも高感度を有するフタロシアニン顔料と、一部のアゾ顔料が好適に使用される。一方、環境特性、例えば湿度依存性が小さいことが求められる場合も、CuKα特性X線による粉末X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)9.0°〜9.7°に明瞭な回折ピークを有するオキシチタニウムフタロシアニンは湿度依存性が大きいため、上記アゾ顔料が好適に使用される。
【0049】
用いる電荷発生材料の粒子径は充分小さいことが望ましい。具体的には、通常1μm以下、好ましくは0.5μm以下である。
さらに、感光層内に分散される電荷発生材料の量は少なすぎると充分な感度が得られない可能性があり、多すぎると帯電性の低下、感度の低下、凝集による平滑性の低下などの弊害がある。よって、積層型感光層の電荷発生層内の電荷発生材料の量は、通常は20重量%以上、好ましくは40重量%以上、また、通常90重量%以下、好ましくは70重量%以下とする。
【0050】
<電荷発生層のバインダー樹脂>
積層型感光層を構成する電荷発生層に用いるバインダー樹脂は特に制限されないが、例えば、特許文献5に開示されている公知の材料を使用することが出来る。
電荷発生層は、具体的に、上述のバインダー樹脂を有機溶剤に溶解した溶液に、電荷発生物質を分散させて塗布液を調整し、これを導電性支持体上に(下引き層を設ける場合は下引き層上に)塗布することにより形成される。
【0051】
<単層型感光層>
単層型感光層は、電荷発生物質と電荷輸送物質に加えて、機能分離型感光体の電荷輸送層と同様に、バインダー樹脂として上述した二種のポリカーボネート樹脂(1)および(2)を共に使用して形成する。また、バインダー樹脂は電荷輸送層と同様に、本発明の効果を損なわない範囲であれば、その他の樹脂を混合しても良い。単層型感光層は、電荷発生物質と電荷輸送物質と前記バインダー樹脂とを溶剤に溶解又は分散して塗布液を作成し、導電性支持体上(下引き層を設ける場合は下引き層上)に塗布、乾燥して得ることが出来る。
【0052】
電荷輸送物質およびバインダー樹脂の種類並びにこれらの使用比率は、積層型感光体の電荷輸送層について説明したものと同様である。これらの電荷輸送物質およびバインダー樹脂からなる電荷輸送媒体中に、さらに電荷発生物質が分散される。
電荷発生物質は、積層型感光体の電荷発生層について説明したものと同様のものが使用できる。但し、単層型感光体の感光層の場合、電荷発生物質の粒子径を十分に小さくする必要がある。具体的には、通常1μm以下、好ましくは0.5μm以下の範囲とする。
【0053】
単層型感光層内に分散される電荷発生物質の量は、少な過ぎると十分な感度が得られない一方で、多過ぎると帯電性の低下、感度の低下等の弊害があることから、単層型感光層全体に対して、通常0.5質量%以上、好ましくは1質量%以上、また、通常50質量%以下、好ましくは20質量%以下の範囲で使用される。
また、単層型感光層におけるバインダー樹脂と電荷発生物質との使用比率は、バインダー樹脂100質量部に対して電荷発生物質が通常0.1質量部以上、好ましくは1質量部以上、また、通常30質量部以下、好ましくは10質量部以下の範囲とする。
【0054】
次に、積層型/単層型感光層の他の構成成分について説明する。
<その他の構成成分>
さらに、感光層は、各種の添加剤を含有していても良い。これらの添加剤は成膜性、可撓性、機械的強度等を改良するために用いられるもので、例えば、可塑剤、紫外線等の短波長光吸収剤、酸化防止剤、残留電位を抑制するための残留電位抑制剤、分散安定性向上のための分散補助剤、塗布性を改善するためのレベリング剤(例えば、シリコ−ンオイル、フッ素系オイル等)、界面活性剤などが挙げられる。なお、添加剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
【0055】
<膜厚>
また、本発明の感光体において感光層の膜厚に制限は無く本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、単層型感光体の場合は、通常10μm以上、好ましくは15μm以上、また、通常50μm以下、好ましくは45μm以下である。積層型感光体の場合は、電荷発生層は好ましくは0.1μm以上1μm以下、より好ましくは0.2μm以上0.8μm以下であり、電荷輸送層は、通常5μm以上、好ましくは10μm以上、また、通常40μm以下、好ましくは35μm以下である。当該電荷輸送層は、単一の層だけでなく、二層以上の異なる層から形成されていてもよい。
【0056】
[I−4.その他の層]
感光層の上に、保護層を最表面層として設けても良い。この場合は、保護層に前記ポリカーボネート樹脂(1)および(2)を少なくも含有する。また、当該保護層には、適宜添加剤を加えてもよい。例えばフッ素系樹脂、シリコン樹脂、架橋ポリスチレン樹脂等の樹脂粒子、アルミナ粒子、シリカ粒子等の無機粒子等が挙げられる。また、保護層の厚みが1μmより厚い場合は、その下層の影響よりも保護層の物性が表面機械物性をより強く支配するため、下層の感光層に用いられる材料には本発明で規定する範囲にとらわれず、任意の公知材料を使用してもよい。
【0057】
[I−5.各層の形成方法]
下引き層、感光層、保護層などの各層の形成方法に制限は無い。例えば、形成する層に含有させる材料を溶剤に溶解又は分散させて得られた塗布液を、導電性支持体の上に、直
接又は他の層を介して順次塗布するなどの公知の方法が適用できる。塗布後、乾燥により溶剤を除去することにより、感光層を形成する。
【0058】
この際、塗布方法は限定されず任意であり、例えば、浸漬塗布法、スプレー塗布法、ノズル塗布法、バーコート法、ロールコート法、ブレード塗布法などを用いることができる。この中でも、生産性の高さから浸漬塗布方法が好ましい。なお、これらの塗布方法は、1つの方法のみを行なうようにしてもよいが、2以上の方法を組み合わせて行なうようにしてもよい。
【0059】
[I−6.感光体の帯電型]
本発明の感光体は、後述する画像形成装置に用いられることにより、画像形成の用途に使用されるものである。本発明の積層型感光体は負帯電で使用し、単層型感光体は正帯電で使用する。
[I−7.感光体の露光波長]
本発明の感光体は、画像形成の際には、露光手段から書き込み光によって露光を行なわれて静電潜像を形成されることになる。この際に用いられる書き込み光は静電潜像の形成が可能である限り任意であるが、露光波長が通常380nm以上、中でも400nm以上、また、通常850nm以下の単色光を用いる。中でも480nm以下の単色光を用いると感光体を、より小さなスポットサイズの光で露光することができ、高解像度で高階調性を有する高品質の画像を形成することができることから、高品質の画像を得たい際に480nm以下の単色光で露光することが好ましい。
【0060】
[II.画像形成装置、プロセスカートリッジ]
次に、本発明の電子写真感光体を用いた画像形成装置(本発明の画像形成装置)の実施の形態について、装置の要部構成を示す
図1を用いて説明する。但し、実施の形態は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り任意に変形して実施することができる。
【0061】
図1に示すように、画像形成装置は、電子写真感光体1、帯電装置(帯電手段)2、露光装置(露光手段;像露光手段)3及び現像装置(現像手段)4を備えて構成され、更に、必要に応じて転写装置(転写手段)5、クリーニングユニット6及び定着装置(定着手段)7が設けられる。
電子写真感光体1は、上述した本発明の電子写真感光体であれば特に制限はないが、
図1ではその一例として、円筒状の導電性支持体の表面に上述した感光層を形成したドラム状の感光体を示している。この電子写真感光体1の外周面に沿って、帯電装置2、露光装置3、現像装置4、転写装置5及びクリーニングユニット6がそれぞれ配置されている。
【0062】
帯電装置2は、電子写真感光体1を帯電させるもので、電子写真感光体1の表面を所定電位に均一帯電させる。
図1では帯電装置2の一例としてローラ型の帯電装置(帯電ローラ)を示しているが、他にもコロトロンやスコロトロン等のコロナ帯電装置、帯電ブラシ等の接触型帯電装置などがよく用いられる。
なお、電子写真感光体1、帯電装置2、およびクリーニングユニット6は、多くの場合、カートリッジ(本発明の電子写真感光体を含むプロセスカートリッジ。以下適宜、「プロセスカートリッジ」という)として、画像形成装置の本体から取り外し、交換可能となるように設計されている。例えば電子写真感光体1、帯電装置2、およびクリーニングユニット6が劣化した場合に、このプロセスカートリッジを画像形成装置本体から取り外し、別の新しいプロセスカートリッジを画像形成装置本体に装着することができるようになっている。また、後述するトナーについても、多くの場合、トナーカートリッジ中に蓄えられて、画像形成装置本体から取り外し可能に設計され、使用しているトナーカートリッジ中のトナーが無くなった場合に、このトナーカートリッジを画像形成装置本体から取り
外し、別の新しいトナーカートリッジを装着することができるようになっている。更に、電子写真感光体1、帯電装置2、クリーニングユニット6、トナーが全て備えられたプロセスカートリッジを用いることもある。
【0063】
露光装置3は、電子写真感光体1に対し露光(像露光)を行なって電子写真感光体1の感光面に静電潜像を形成することができるものであれば、その種類に特に制限はない。具体例としては、ハロゲンランプ、蛍光灯、半導体レーザーやHe−Neレーザー等のレーザー、LED(発光ダイオード)などが挙げられる。また、感光体内部露光方式によって露光を行なうようにしてもよい。露光を行なう際の光は任意であるが一般に単色光が好ましく、例えば、波長(露光波長)が700nm〜850nmの単色光、波長600nm〜700nmのやや短波長寄りの単色光、波長300nm〜500nmの短波長の単色光などで露光を行なえばよい。
【0064】
現像装置4は、露光した電子写真感光体1上の静電潜像を目に見える像に現像することができるものであれば、その種類に特に制限はない。具体例としては、カスケード現像、一成分導電トナー現像、二成分磁気ブラシ現像などの乾式現像方式や、湿式現像方式(液体現像方式)などの任意の装置を用いることができる。
図1では、乾式現像方式に関わる構成を表したものである。現像装置4は、現像槽41、アジテータ42、供給ローラ43、現像ローラ44、及び、規制部材45からなり、現像槽41の内部にトナーTを貯留している構成となっている。また、必要に応じ、トナーTを補給する補給装置を現像装置4に付帯させてもよい。この補給装置は、ボトル、カートリッジなどの容器からトナーTを補給することが可能に構成される。
【0065】
供給ローラ43は、導電性スポンジ等から形成される。現像ローラ44は、鉄、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケルなどの金属ロール、又はこうした金属ロールにシリコーン樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂などを被覆した樹脂ロールなどからなる。この現像ローラ44の表面には、必要に応じて、平滑加工や粗面加工を加えてもよい。
現像ローラ44は、電子写真感光体1と供給ローラ43との間に配置され、電子写真感光体1及び供給ローラ43に各々当接している。ただし、現像ローラ44と電子写真感光体1とは当接せず、近接していてもよい。供給ローラ43及び現像ローラ44は、回転駆動機構(図示せず)によって回転される。供給ローラ43は、貯留されているトナーTを担持して、現像ローラ44に供給する。現像ローラ44は、供給ローラ43によって供給されるトナーTを担持して、電子写真感光体1の表面に接触させる。
【0066】
規制部材45は、シリコーン樹脂やウレタン樹脂などの樹脂ブレード、ステンレス鋼、アルミニウム、銅、真鍮、リン青銅などの金属ブレード、又はこうした金属ブレードに樹脂を被覆したブレード等により形成されている。この規制部材45は、通常、現像ローラ44に当接し、ばね等によって現像ローラ44側に所定の力で押圧(一般的なブレード線圧は0.05〜5N/cm)される。必要に応じて、この規制部材45に、トナーTとの摩擦帯電によりトナーTに帯電を付与する機能を具備させてもよい。
【0067】
アジテータ42は必要に応じて設けられ、回転駆動機構によってそれぞれ回転されており、トナーTを攪拌するとともに、トナーTを供給ローラ43側に搬送する。アジテータ42は、羽根形状、大きさ等を違えて複数設けてもよい。
一方、液体現像方式に関しては、使用される液体現像剤は、炭化水素系有機溶剤のように絶縁性の高い有機溶剤中に、荷電性を付与した顔料、樹脂からなるトナーを分散したものである。液中で荷電したトナーが、現像電界に応じ電気泳動していく機構であるため、粘性を有する有機溶剤中のトナーの移動度などが関係する。一例として、濃度の低い現像液で現像を行い、続いて感光体上で余剰な現像液溶剤を近接したスクイズローラで搾り取ることで、感光体上に薄く均一で密度の高いトナー像を形成することができる。
【0068】
転写装置5は、その種類に特に制限はなく、コロナ転写、ローラ転写、ベルト転写などの静電転写法、圧力転写法、粘着転写法など、任意の方式を用いた装置を使用することができる。ここでは、転写装置5が電子写真感光体1に対向して配置された転写チャージャー、転写ローラ、転写ベルト等から構成されるものとする。この転写装置5は、トナーTの帯電電位とは逆極性で所定電圧値(転写電圧)を印加し、電子写真感光体1に形成されたトナー像を記録紙(用紙、媒体、被転写体)Pに転写するものである。
【0069】
クリーニングユニット6は、感光体1に付着している残留トナーをクリーニングブレード、クリーニングブラシ等で掻き落として回収容器に蓄え、残留トナーを回収するものである。クリーニングブレードは、弾性ゴム部材および支持部材からなり、当該弾性ゴム部材の感光体当接部には、必要に応じてエッジ部材を更に設けても良い。また、クリーニング性向上の観点からは、クリーニングブレードは感光体に対してカウンター当接することが好ましい。
【0070】
定着装置7は、上部定着部材(定着ローラ)71及び下部定着部材(定着ローラ)72から構成され、定着部材71又は72の内部には加熱装置73が備えられている。なお、
図1では、上部定着部材71の内部に加熱装置73が備えられた例を示す。上部及び下部の各定着部材71,72は、ステンレス、アルミニウムなどの金属素管にシリコンゴムを被覆した定着ロール、更にテフロン(登録商標)樹脂で被覆した定着ロール、定着シートなどが公知の熱定着部材を使用することができる。更に、各定着部材71,72は、離型性を向上させる為にシリコーンオイル等の離型剤を供給する構成としてもよく、バネ等により互いに強制的に圧力を加える構成としてもよい。
【0071】
記録紙P上に転写されたトナーは、所定温度に加熱された上部定着部材71と下部定着部材72との間を通過する際、トナーが溶融状態まで熱加熱され、通過後冷却されて記録紙P上にトナーが定着される。
なお、定着装置についてもその種類に特に限定はなく、ここで用いたものをはじめ、熱ローラ定着、フラッシュ定着、オーブン定着、圧力定着など、任意の方式による定着装置を設けることができる。
【0072】
以上のように構成された電子写真装置では、感光体を帯電させる帯電工程と、帯電された感光体に対し露光を行ない静電潜像を形成する露光工程と、静電潜像をトナーで現像する現像工程と、トナーを被転写体に転写する転写工程とを行ない、画像の記録が行なわれる。即ち、まず感光体1の表面(感光面)が、帯電装置2によって所定の電位に帯電される(帯電工程)。この際、直流電圧により帯電させても良く、直流電圧に交流電圧を重畳させて帯電させてもよい。
【0073】
続いて、感光体に対して露光を行ない静電潜像を形成する(露光工程)。即ち、帯電された感光体1の感光面を、記録すべき画像に応じて露光装置3により露光し、感光面に静電潜像を形成する。
そして、その感光体1の感光面に形成された静電潜像の現像を、現像装置4で行なう(現像工程)。現像装置4は、供給ローラ43により供給されるトナーTを、規制部材(現像ブレード)45により薄層化するとともに、所定の極性(ここでは感光体1の帯電電位と同極性であり、正極性)に摩擦帯電させ、現像ローラ44に担持しながら搬送して、感光体1の表面に接触させる。現像ローラ44に担持された帯電トナーTが感光体1の表面に接触すると、静電潜像に対応するトナー像が感光体1の感光面に形成される。
【0074】
そしてこのトナー像は、転写装置5によって記録紙Pに転写される(転写工程)。この後、転写されずに感光体1の感光面に残留しているトナーが、クリーニングユニット6で
除去される。
トナー像の記録紙P上への転写後、定着装置7を通過させてトナー像を記録紙P上へ熱定着することで、最終的な画像が得られる。
【0075】
なお、画像形成装置は、上述した構成に加え、例えば除電工程を行なうことができる構成としても良い。除電工程は、電子写真感光体に露光を行なうことで電子写真感光体の除電を行なう工程であり、除電装置としては、蛍光灯、LED等が使用される。また除電工程で用いる光は、強度としては露光光の3倍以上の露光エネルギーを有する光である場合が多い。除電に用いる光の波長は、感光体が電荷発生する波長であれば特に制限無く、400〜800nmの任意の波長が選択でき、赤色LED、青色LED等の汎用LEDを使用することもできる。
【0076】
また、画像形成装置は更に変形して構成してもよく、例えば、前露光工程、補助帯電工程などの工程を行なうことができる構成としたり、オフセット印刷を行なう構成としたり、更には複数種のトナーを用いたフルカラータンデム方式の構成としてもよい。
【実施例】
【0077】
以下に実施例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこの実施例に限られるものではない。
【0078】
<粘度平均分子量(Mv)>
ウベローデ粘度計を使用し、20℃、0.5w/v%ポリカーボネートジクロロメタン溶液、ハギンズ定数0.45で極限粘度[η]を測定し、以下の式より求めた。
[η]=1.23×10
−4×(Mv)
0.83
【0079】
<接着性試験>
感光体シートにカッターで特定の間隔(本明細書ではクロスカット間隔とも表記する)で縦横に切込みを入れ、16個の碁盤目をつくった後、この感光体シートからを裏返した。感光体シートから剥がれた個数が3個以上生じた場合に×、2個以内の場合を○とした。
【0080】
<クラック試験>
作製した感光体表面に円周方向に約2cm×円柱方向に約3cmの面に綿棒で市販のローション(ジョンソン&ジョンソン製 商品名:クリーン&クリアー ミルキーローション サラサラ乳液)と、人体由来の物質として人工指紋液(JIS K 2246)の2種を別々の所に塗布し、24時間放置した。放置後、塗布したローション、及び人工指紋液を不織布で完全に拭き取り、感光体上のクラックの有無をマイクロスコープで観察した。感光体状にひび割れが発生したものを「×」、ひび割れが発生しなかったものを「○」とした。
【0081】
<耐可塑剤試験>
作製した感光体シートに消しゴム(トンボ製 PE−01A)を載せ、更に消しゴムの上に100g分銅を載せ、50℃24時間放置した。100g分銅と消しゴムを取り除いたのち、感光体シート表面のクラック有無をマイクロスコープで観察した。1cm
3中直径50μm以上のクラックの個数を測定した。
【0082】
本発明のポリカーボネートの合成
<合成例1>
8重量%の水酸化ナトリウム水溶液34Lにビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル(本州化学製、以下「DHPE」と略称)2.00Kg(10mol)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(三井化学株式会社製、以下「BPA」と略称)2.28Kg(10mol)、ハイドロサルファイト15gを溶解した。
これにメチレンクロライド23Lを加えて撹拌しつつ、20℃に保ちながら、ついでホスゲン2.70Kgを30分で吹き込んだ。
ホスゲン吹き込み終了後、p−t−ブチルフェノール(以下「PTBP」と略称)46gを加え激しく撹拌して、反応液を乳化させ、乳化後、15mlのトリエチルアミンを加え、20〜25℃にて約1時間撹拌し、重合させた。
重合終了後、反応液を水相と有機相に分離し、有機相をリン酸で中和し、先液(水相)の導電率が10μS/cm以下になるまで水洗を繰り返した。得られた重合体溶液を、50℃に保った温水に滴下し、溶媒を蒸発除去して白色粉末状沈殿物を得た。
得られた沈殿物を濾過し、120℃、24時間乾燥して、重合体粉末を得た。
得られた重合体の粘度平均分子量は48,200であり、赤外線吸収スペクトルにより分析した結果、1770cm
−1付近の位置にカルボニル基による吸収、1240cm
−1付近の位置にエーテル結合による吸収が認められ、カーボネート結合を有するポリカーボネート樹脂(以下PC1と省略)であることが確認された。
【0083】
<合成例2>
DHPE 2.00Kg(10mol)、BPA2.28Kg(10mol)とPTBP46gを、DHPE 2.80Kg(14mol)、BPA1.37Kg(6mol)とPTBP49gに変更した以外は、合成例1と同様に合成を行った。得られたポリカーボネート樹脂(以下PC−2と略称)の粘度平均分子量は50,800であった。ポリカーボネート脂であることの確認は、合成例1と同様にして行った。
【0084】
[合成例3]
DHPE 2.00Kg(10mol)、BPA2.28Kg(10mol)とPTBP46gを、DHPE 1.20Kg(6mol)、BPA 3.92Kg(14mol)とPTBP41gに変更した以外は、合成例1と同様に合成を行った。得られたポリカーボネート樹脂(以下PC−3と略称)の粘度平均分子量は49,200であった。ポリカーボネート脂であることの確認は、合成例1と同様にして行った。
【0085】
[合成例4]
DHPE 2.00Kg(10mol)、BPA 2.28Kg(10mol)とPTBP46gを、DHPE 2.00Kg(10mol)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(本州株式会社製、以下「BPZ」と略称)2.68Kg(10mol)とPTBP40gに変更した以外は、合成例1と同様に合成を行った。得られたポリカーボネート樹脂(以下PC−4と略称)の粘度平均分子量は50,300であった。ポリカーボネート脂であることの確認は、合成例1と同様にして行った。
【0086】
[合成例5]
DHPE 2.00Kg(10mol)、BPA 2.28Kg(10mol)とPTBP46gを、DHPE 2.00Kg(10mol)、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(本州株式会社製)2.56Kg(10mol)とPTBP46gに変更した以外は、合成例1と同様に合成を行った。得られたポリカーボネート樹脂(以下PC−5と略称)の粘度平均分子量は50,800であった。ポリカーボネート脂であることの確認は、合成例1と同様にして行った。
【0087】
<下引き層形成用塗布液の製造>
メタノール/1−ブタノールの重量比が7/3の混合溶媒中にポリアミド樹脂(東レ製「アラミンCM−8000」)を加熱しながら撹拌、混合し固形分濃度5%の下引き層形成用塗布液を作製した。
【0088】
<電荷発生層形成用塗布液の製造>
電荷発生物質としてY型オキシチタニウムフタロシアニン(SENSIENT TECNOLOGY製)10部とテトラヒドロフラン20部、水2部とを混合し、ローラーミルで撹拌溶解した。続いてこの微細化処理液に、アルキルアセタール化ポリビニルブチラール(積水化学製、商品名「デンカブチラール」BX−1)5部とテトラヒドロフラン300部とを混合して電荷発生層形成用塗布液を調製した。
【0089】
<電荷輸送層形成用塗布液の製造>
[比較例1]
ポリカーボネート樹脂(1)(PC1)100部(電荷輸送材料として下記CT1で表される化合物(高砂香料工業株式会社製)を35部、酸化防止剤として、ジブチルヒドロキシトルエンを8部、及びレベリング剤としてシリコーンオイル(信越シリコーン社製:商品名KF96)0.05部を、テトラヒドロフラン混合溶媒750部に溶解させて電荷輸送層形成用塗布液を調製した。
【0090】
【化10】
【0091】
<感光体シートの製造>
前記のようにして得られた下引き層形成用塗布液をアルミ板上に、乾燥後の膜厚が約0.5μmになるようにワイアバーで塗布、室温で乾燥して下引き層を設けた。
続いて、前記のようにして得られた電荷発生層形成用塗布液を、上記下引層上に、乾燥後の膜厚が約0.3μmになるようにワイアバーで塗布、室温で乾燥して電荷発生層を設けた。
【0092】
続いて、前記のようにして得られた電荷輸送層形成用塗布液を、上記電荷発生層上に、乾燥後の膜厚が約25μmになるようにアプリケーターで塗布し、125℃で20分間
乾燥して、比較感光体B1を作製した。
【0093】
[実施例1]
比較例1の電荷輸送層形成に使用した樹脂として、PC1:100部に代えて、PC1:70部と下記構造単位をからなるポリカーボネート樹脂(2)(PZ1,粘度平均分子量は50,000)30部を使用した以外は、比較例1と同様に感光体A1を作製し、後述の感光体評価を行なった。
【0094】
【化11】
【0095】
[実施例2]
比較例1の電荷輸送層形成に使用した樹脂として、PC1:100部に代えて、PC1:50部と前記PZ1:50部を使用した以外は、比較例1と同様に感光体A2を作製し、後述の感光体評価を行なった。
【0096】
[実施例3]
比較例1の電荷輸送層形成に使用した樹脂として、PC1 100部に代えて、PC2:80部と前記PZ1:20部を使用した以外は、比較例1と同様に感光体A3を作製し、後述の感光体評価を行なった。
【0097】
[実施例4]
比較例1の電荷輸送層形成に使用した樹脂として、PC1 100部に代えて、PC2:60部と前記PZ1:40部を使用した以外は、比較例1と同様に感光体A4を作製し、後述の感光体評価を行なった。
【0098】
[実施例5]
比較例1の電荷輸送層形成に使用した樹脂として、PC1 100部に代えて、PC3:80部と前記PZ1:20部を使用した以外は、比較例1と同様に感光体A5を作製し、後述の感光体評価を行なった。
【0099】
[実施例6]
比較例1の電荷輸送層形成に使用した樹脂として、PC1 100部に代えて、PC3:60部と前記PZ1:40部を使用した以外は、比較例1と同様に感光体A6を作製し、後述の感光体評価を行なった。
【0100】
[実施例7]
比較例1の電荷輸送層形成に使用した樹脂として、PC1 100部に代えて、PC4:90部と前記PZ1:10部を使用した以外は、比較例1と同様に感光体A7を作製し、後述の感光体評価を行なった。
【0101】
[実施例8]
比較例1の電荷輸送層形成に使用した樹脂として、PC1 100部に代えて、PC4:80部と前記PZ1:20部を使用した以外は、比較例1と同様に感光体A8を作製し、後述の感光体評価を行なった。
【0102】
[実施例9]
比較例1の電荷輸送層形成に使用した樹脂として、PC1 100部に代えて、PC4:60部と前記PZ1:40部を使用した以外は、比較例1と同様に感光体A9を作製し、後述の感光体評価を行なった。
【0103】
[実施例10]
比較例1の電荷輸送層形成に使用した樹脂として、PC1 100部に代えて、PC5:60部と前記PZ1:40部を使用した以外は、比較例1と同様に感光体A10を作製し、後述の感光体評価を行なった。
【0104】
[比較例2]
比較例1の電荷輸送層形成に使用した樹脂として、PC1 100部に代えて、前記PZ1:100部を使用した以外は、比較例1と同様に感光体B3を作製し、後述の感光体評価を行なった。
【0105】
[比較例3]
比較例1の電荷輸送層形成に使用した樹脂として、PC1 100部に代えて、PC2:100部を使用した以外は、比較例1と同様に感光体B4を作製し、後述の感光体評価を行なった。
【0106】
[比較例4]
比較例1の電荷輸送層形成に使用した樹脂として、PC1 100部に代えて、PC3:100部を使用した以外は、比較例1と同様に感光体B4を作製し、後述の感光体評価を行なった。
【0107】
[比較例5]
比較例1の電荷輸送層形成に使用した樹脂として、PC1 100部に代えて、PC4:100部を使用した以外は、比較例1と同様に感光体B5を作製し、後述の感光体評価を行なった。
【0108】
[比較例6]
比較例1の電荷輸送層形成に使用した樹脂として、PC1 100部に代えて、PC5:100部を使用した以外は、比較例1と同様に感光体B6を作製し、後述の感光体評価を行なった。
【0109】
[比較例7]
比較例1の電荷輸送層形成に使用した樹脂として、PC1 100部に代えて、下記構造単位をからなるポリカーボネート樹脂(3)(PA1,粘度平均分子量は50,000)100部を使用した以外は、比較例1と同様に感光体B7を作製し、後述の感光体評価を行なった。なお、塗布液を1週間室温で保管したところ、塗布液が濁ってきて、一部ゲル化し、塗布に適さなくなった。
【0110】
【化12】
【0111】
[比較例8]
比較例1の電荷輸送層形成に使用した樹脂として、PC1 100部に代えて、下記構造単位を有するポリカーボネート樹脂(4)(PB1,粘度平均分子量は37,000)100部を使用した以外は、比較例1と同様に感光体B8を作製し、後述の感光体評価を行なった。
【0112】
【化13】
(PB1中、80,20はモル共重合比率を表している。)
【0113】
[比較例9]
比較例1の電荷輸送層形成に使用した樹脂として、PC1 100部に代えて、PB1:40部と前記PZ1:60部を使用した以外は、比較例1と同様に感光体AB9を作製し、後述の感光体評価を行なった。
【0114】
[比較例10]
比較例1の電荷輸送層形成に使用した樹脂として、PC1 100部に代えて、PB1:60部と前記PZ1:40部を使用した以外は、比較例1と同様に感光体B10を作製し、後述の感光体評価を行なった。
【0115】
[比較例11]
比較例1の電荷輸送層形成に使用した樹脂として、PC1 100部に代えて、PC1:30部と前記PZ1:70部を使用した以外は、比較例1と同様に感光体B11を作製し、後述の感光体評価を行なった。
【0116】
[比較例12]
比較例1の電荷輸送層形成に使用した樹脂として、PC1 100部に代えて、PC1:10部と前記PZ1:90部を使用した以外は、比較例1と同様に感光体B12を作製し、後述の感光体評価を行なった。
【0117】
[比較例13]
比較例1の電荷輸送層形成に使用した樹脂として、PC1 100部に代えて、PC2:30部と前記PZ1:70部を使用した以外は、比較例1と同様に感光体B13を作製し、後述の感光体評価を行なった。
【0118】
[比較例14]
比較例1の電荷輸送層形成に使用した樹脂として、PC1 100部に代えて、PC3:30部と前記PZ1:70部を使用した以外は、比較例1と同様に感光体B14を作製し、後述の感光体評価を行なった。
【0119】
[比較例15]
比較例1の電荷輸送層形成に使用した樹脂として、PC1 100部に代えて、PC4:30部と前記PZ1:70部を使用した以外は、比較例1と同様に感光体B15を作製し、後述の感光体評価を行なった
【0120】
【表1】
【0121】
表1にはPC1とPZ1をブレンドした場合の結果をまとめて示した。
表1から分かるように、比較例1に比べ、PZ1を一部混合した実施例1は接着試験に顕著な効果が見られる。この効果は、PC1やPZ1の割合に比例することはなく、PC1の分量を70部(実施例1)まで低下させれば十分であり、PZ1の分量を増やしたからといって接着試験の結果が劇的に向上するわけではない。PZ1の分量が70部以上(比較例11)になると対可塑剤試験に悪影響が出て、PZ1のみ(比較例2)では耐クラック試験が×になることが分かる。
【0122】
【表2】
【0123】
表2にはPC2とPZ1をブレンドした場合の結果をまとめて示した。わかりやすくするために比較例2を表1に引き続き示した。
表2から分かるように、比較例3に比べ、PZ1を一部混合した実施例1は接着試験に顕著な効果が見られる。この効果は、PC2やPZ1の割合に比例することはなく、PC2の分量を80部(実施例3)まで低下させれば十分であり、PZ1の分量を増やしたからといって接着試験の結果が劇的に向上するわけではない。PZ1の分量が70部以上(比較例13)になると対可塑剤試験に悪影響が出て、PZ1のみ(比較例2)では耐クラック試験が×になることが分かる。
【0124】
【表3】
【0125】
表3にはPC3とPZ1をブレンドした場合の結果をまとめて示した。わかりやすくするために比較例2を表1に引き続き示した。
表3から分かるように、比較例4に比べ、PZ1を一部混合した実施例5は接着試験に顕著な効果が見られる。この効果は、PC3やPZ1の割合に比例することはなく、PC3の分量を80部(実施例5)まで低下させれば十分であり、PZ1の分量を増やしたからといって接着試験の結果が劇的に向上するわけではない。PZ1の分量が70部以上(比較例14)になると対可塑剤試験に悪影響が出て、PZ1のみ(比較例2)では耐クラック試験が×になることが分かる。
【0126】
【表4】
【0127】
表4にはPC4とPZ1をブレンドした場合の結果をまとめて示した。わかりやすくするために比較例2を表1に引き続き示した。
表4から分かるように、比較例5に比べ、PZ1を一部混合した実施例7は接着試験に顕著な効果が見られる。この効果は、PC4やPZ1の割合に比例することはなく、PC4の分量を90部(実施例7)まで低下させれば十分であり、PZ1の分量を増やしたからといって接着試験の結果が劇的に向上するわけではない。PZ1の分量が70部以上(比較例15)になると対可塑剤試験に悪影響が出て、PZ1のみ(比較例2)では耐クラック試験が×になることが分かる。
【0128】
【表5】
【0129】
表5にはPC5とPZ1をブレンドした場合の結果をまとめて示した。わかりやすくするために比較例2を表1に引き続き示した。
表5から分かるように、比較例6に比べ、PZ1を一部混合した実施例10は接着試験に顕著な効果が見られる。PZ1のみ(比較例2)では耐クラック試験が×になることが分かる。
【0130】
【表6】
【0131】
表6には一般式(1)を含まない樹脂を使用した比較例を示した。
いずれも耐可塑剤試験が不良であることが分かる。
【0132】
【表7】
【0133】
表7にはPB1とPZ1をブレンドした場合の結果をまとめて示した。
いずれも接着試験が不良であることが分かる。
【0134】
〔実施例11〕
<感光体ドラムの製造>
表面が粗切削仕上げされ、清浄に洗浄された外径24mm、長さ252mm、肉厚0.75mmのアルミニウム製シリンダー上に、実施例8の感光体A8製造に使用した下引き層形成用塗布液、電荷発生層形成用塗布液、電荷輸送層形成用塗布液を浸漬塗布法により順次塗布、乾燥し、乾燥後の膜厚がそれぞれ、1.3μm、0.4μm、25μmとなるように、下引き層、電荷発生層、電荷輸送層を形成し、感光体ドラムDを得た。なお、電荷輸送層の乾燥は、125℃で20分間行なった。
【0135】
<画像試験>
画像試験は、乾式現像系電子写真方式で、樹脂製帯電ローラ使用のヒューレットパッカード社製レーザープリンターHP LaserJet 9050nを用いて行った。
作製した感光体ドラムDをカートリッジに装着し、35℃で48時間保管した。この条件でも、帯電ローラ圧接起因の感光体表面のクラックは観察されなかった。このカートリッジを上記プリンターに装着し、温度25℃、湿度50%環境下で、8000枚の画像形成を行った。その結果、ゴースト、かぶり、濃度低下、フィルミング、クリーニング不良、傷等による画像不良が発生せず、良好な画像が得られた。
【0136】
〔比較例16〕
前記実施例8の感光体A8で使用した電荷輸送層用塗布液に代えて、前記比較例2の感光体B2で使用した電荷輸送層用塗布液を使用した以外は、実施例8と同様に感光体ドラムDを作製し、画像試験を実施した。画像試験前にカートリッジ内で帯電ローラに当接していた感光体表面部分に、クラックが多数発生し、画像にスジ状欠陥として認識された。