(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ユーザ毎に通話機能の利用を制限するか否かを定めた制限情報を記憶する制限情報記憶部と、回線を介して外部装置に接続される第1通信部と、無線通信を介して子機と通信する第2通信部と、無線通信を介した前記第2通信部との通信により前記外部装置との通話機能を有する前記子機とを備えた通話装置において、
前記子機とは別に、
前記制限情報に基づき、通話機能の利用が制限されるユーザの通話機能の利用を制限する制限手段と、
ユーザのログインを受け付ける受付手段と、
前記受付手段によって受け付けられたユーザが前記制限情報に基づき通話機能の利用が制限されるユーザではない場合、前記子機が所定の状態にあるか否かを判断する状態判断手段と、
前記状態判断手段により前記子機が所定の状態にあると判断される場合、前記子機を用いた通話機能の利用制限を解除する解除手段と、を備え、
前記制限手段は、前記状態判断手段により前記子機が所定の状態にあると判断されない場合、前記子機を用いた通話機能の利用を制限することを特徴とする通話装置。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明にかかる通話装置の一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0019】
図1に、通話装置1の構成を示す。通話装置1は、多機能周辺装置(MFP)10と、複数の子機40とを備える。MFP10は、プリンタ機能、スキャナ機能、コピー機能、ファクシミリ機能などを備える。また、子機40は、MFP10との無線通信を直接に行うことが可能とされる携帯無線端末である。なお、本実施形態では、MFP10と通信可能な子機40が4台となる例を示している。これら各子機40には、各別の子機番号が付与されるものの、それらの構成はどれも同じであるため、
図1では、1台の子機40を除き、その構成の記載を省略している。
【0020】
MFP10は、プリンタ12、スキャナ14、パネル16、入力部18、ROM20、CPU22、RAM24、EEPROM26、モデム28、DCL送受信部30、スピーカ/マイク32、電話回線接続部36、DCLアンテナ部38、および入出力ポート34を備えている。上記プリンタ12、スキャナ14、パネル16、入力部18、ROM20、CPU22、RAM24、EEPROM26、モデム28、DCL送受信部30、およびスピーカ/マイク32は、入出力ポート34を介して互いに通信可能に接続されている。一方、電話回線接続部36は、モデム28に接続され、DCLアンテナ部38は、DCL送受信部30に接続されている。
【0021】
子機40は、パネル42、入力部44、ROM46、CPU48、DCL送受信部50、スピーカ/マイク52、センサ53、DCLアンテナ部56、および入出力ポート54を備えている。上記パネル42、入力部44、ROM46、CPU48、DCL送受信部50、スピーカ/マイク52、およびセンサ53は、入出力ポート54によって互いに通信可能に接続されている。DCLアンテナ部56は、DCL送受信部50に接続されている。
【0022】
上記CPU22,48のそれぞれは、ROM20,46のそれぞれに記憶される制御プログラムを実行する。ROM20,46は、上記制御プログラムなどを格納した書換不能なメモリである。RAM24は、書換可能な揮発性のメモリである。EEPROM26は、書換可能な不揮発性のメモリである。入力部18,44は、ユーザが、指示を入力するためのインターフェースである。パネル16,42は、各種演算結果を表示するインターフェースである。
【0023】
上記プリンタ12は、印刷を実行する部位である。スキャナ14は、画像の読み取りを実行する部位である。モデム28は、電話回線接続部36および回線60を介して、電話回線網62に接続されている。モデム28は、ファクシミリ機能によって送信する原稿データを、回線60に伝送可能な信号に変調して電話回線接続部36を介して送信したり、回線60から電話回線接続部36を介して入力された信号を受信し、原稿データへ復調したりするものである。DCL送受信部30,50は、DCLアンテナ部38,56を介して、MFP10と子機40との間の無線通信を行う。これにより、子機40と、回線60との間の音声信号の中継が行われる。
【0024】
スピーカ/マイク32,52は、通話機能を実現するためのものである。上記センサ53は、子機40の傾きを検出するためのものである。ここで、傾きとは、充電台(図示略)がフラットな面に配置されているときにおいて、充電台にはめられた子機40の姿勢を基準とし、これに対する角度のこととする。
【0025】
上記通話装置1は、ユーザ毎に、通話装置1において実行可能な各種機能の利用制限を設定可能である。詳しくは、MFP10のEEPROM26に、ユーザ毎に各種機能の利用制限を定めたデータベース(
図2(a)参照)を記憶しており、これに基づき利用制限を実行する。
図2(a)では、ユーザAについては、コピー、スキャナ14によるスキャン、ファクシミリデータの受信(FAX受信)、子機40を用いた通話、MFP10を用いた通話の各機能の利用が許可される例が示されている。
【0026】
また、通話装置1では、ユーザ毎の制限情報に加えて、後述する状況下において子機40を用いた通話を連続して許可するか否かをあらかじめ設定している。これは、EEPROM26に、
図2(b)に示す連続通話の可否を定めるデータを記憶することで実現される。ちなみに、
図2(b)においては、連続通話が許可される設定がなされている例が示されている。
【0027】
上記各種機能の利用制限は、MFP10にユーザがログインする際に得られるログイン情報に基づき実行される。すなわち、ログインするに際しては、MFP10にユーザIDおよびパスワードが入力される。このため、特定の機能の利用を許可するのは、パスワードがユーザIDに対応するものであって且つ、ユーザIDによって特定されるユーザが、
図2(a)に示す制限情報に基づきその機能の利用が許可されているユーザである場合とする。ただし、MFP10と子機40とは離れた場所に位置することがあるため、MFP10にログインしたユーザと、子機40を利用するユーザとが同一とは限らない。しかし、子機40の利用に、子機40へのユーザIDおよびパスワードの入力を条件とするのは、利便性を低下させる。特に、MFP10の入力部18と比較して子機40の入力部44は小さくなることなどから、子機40から入力するデータ量が多い場合には、利便性の低下が深刻となりやすい。そこで本実施形態では、子機40を用いた通話機能の利用が制限されないユーザがMFP10にログインした際の子機40の状態に基づき、子機40を利用しようとしているユーザが、MFP10にログインしたユーザであると考えられる場合、子機40を用いた通話を許可することとする。以下、これについて詳述する。
【0028】
図3に、子機40によって実行される処理の手順を示す。
【0029】
この一連の処理では、CPU48は、まず、MFP10から状態の問い合わせ信号(
子機状態要求)を受信したか否かを判断する(S1)。この処理は、後述する
図5のS42の処理を前提とする。そしてCPU48は、受信したと判断する場合(S1:Yes)、次の(a)〜(e)の情報を通知するための応答信号を送信し(S2)、S1の処理に戻る。
(a)その子機40の番号
(b)MFP10から送信され子機40によって受信された電波の強度
(c)子機40の傾き検出値
(d)子機40が充電台から外れているか否かの情報
(e)子機40がスリープ状態であるか否かの情報
ここで、(c)の傾きは、上記センサ53によって検出される。また、スリープ状態とは、子機40の一部の機器(パネル42、スピーカ/マイク52)等に電力を供給しない等、子機40の総消費電力を低減する処理がなされている状態のことである。子機40のCPU48は、子機40の入力部44への入力操作が所定時間以上なされない条件や、子機40が充電台(図示略)にはめられた状態が所定時間以上継続する条件が成立する場合にスリープ状態に移行させる。
【0030】
CPU48は、MFP10から状態の問い合わせ信号を受信していないと判断する場合(S1:No)、子機40の入力部44が操作され、外線要求が生じたか否かを判断する(S3)。そしてCPU48は、外線要求が生じたと判断する場合(S3:Yes)、MFP10に外線要求を通知し(S4)、S1の処理に戻る。これに対し、CPU48は、外線要求が生じていないと判断する場合(S3:No)、MFP10から外線通話応答を許可するか否かの信号(「外線通話応答()」)を受信したか否かを判断する(S5)。この信号は、MFP10の後述する処理(S12,S22,S55,S70)によって送信される信号である。図に記載した「外線通話応答()」は、大きくは、「外線通話応答(許可)」と「外線通話応答(拒否)」とのいずれかとなるものであり、ここでは双方を含める意味でかっこ内を未記載としている。そしてCPU48は、MFP10から外線通話応答を許可するか否かの信号を受信する場合(S5:Yes)、受信した信号に応じて拒否または許可をパネル42に表示する(S6)。なお、後述するように、拒否の場合には、上記信号にその理由に関する情報が含まれているため、これをさらに表示する。CPU48は、上記パネル42に表示する処理を実行した場合(S6)や、MFP10から外線通話応答を許可するか否かの信号を受信してない場合(S5:No)には、S1の処理に戻る。
【0031】
図4に、MFP10によって実行されるメイン処理の手順を示す。この処理は、MFP10の電源がオンとなることで実行される。
【0032】
この一連の処理では、CPU22は、ログアウト状態において、子機40からの外線要求があるか否かを判断する(S10)。そしてCPU22は、子機40からの外線要求があると判断する場合(S10:Yes)、外線要求を出した子機40に、外線通話ができない旨とその理由を含んだデータ(「外線通話応答(拒否理由:未ログイン)」)を送信する(S12)。これにより、上記データを受信した子機40は、
図3のS6の処理によって、パネル42に、外線通話ができない旨と、その理由がログインがなされていないためである旨とを表示する。
【0033】
CPU22は、S12においてデータを送信した場合や、子機40から外線要求がない場合(S10:No)、ログイン要求があるか否かを判断する(S14)。この処理は、入力部18が操作されることで、ユーザIDおよびパスワードがMFP10に入力されたか否かを判断する処理である。ただし、ここでは、ユーザIDが、
図2(a)に示した制限情報に登録されていない場合や、パスワードがユーザIDに対応したものではない場合には、ログイン要求がないものとして扱う。そしてCPU22は、ログイン要求がないと判断する場合(S14;No)、S10の処理に戻る一方、ログイン要求があると判断する場合(S14;Yes)、ログイン要求したユーザのログイン状態とする(S16)。
【0034】
次にCPU22は、
図2(a)に示した制限情報に基づき、ログインしたユーザが、子機40を用いた通話機能の利用が許可されたユーザであるか否かを判断する(S18)。CPU22は、許可されたユーザではないと判断する場合(S18:No)、子機40から外線要求があるか否かを判断する(S20)。CPU22は、外線要求があると判断する場合(S20:Yes)、外線要求を出した子機40に、外線通話ができない旨とその理由を含んだデータ(「外線通話応答(拒否理由:未ログイン)」)を送信する(S22)。これにより、上記データを受信した子機は、
図3のS6の処理によって、パネル42に、ログインがなされていないために通話応答が拒否される旨を表示する。
【0035】
CPU22は、S22においてデータを送信した場合や、子機40から外線要求がない場合(S20:No)、ログアウト要求があるか否かを判断する(S24)。そしてCPU22は、ログアウト要求がないと判断する場合(S24:No)、S20の処理に戻る一方、ログアウト要求があると判断する場合(S24:Yes)、ログアウト状態とし(S26)、S10の処理に戻る。
【0036】
一方、CPU22は、ログインしたユーザが子機40を用いた通話機能の利用が許可されたユーザであると判断する場合(S18:Yes)、ログインしたユーザが子機40を用いた通話機能の利用が許可されたユーザであるとき(子機通話使用可能ユーザログイン状態)に特有の処理を実行する。
【0037】
図5および
図6に、この特有の処理の手順を示す。
【0038】
この一連の処理では、CPU22は、まず
図5に示すように、全ての子機40について、通話機能の利用を拒否(「外線可否」を「拒否」に設定)する(S40)。この設定は、たとえば子機番号毎に、通話機能の利用の可否を示すデータをRAM24に記憶することで実現することができる。続いてCPU22は、すべての子機40に対して状態を問い合わせるべく、子機40側から状態を送信するように要求する状態要求を送信する(S42)。これにより、子機40では、
図3のS1の処理において肯定判断されることとなる。次にCPU22は、子機40から状態の応答信号「子機状態応答」を受信したか否かを判断する(S44)。この処理は、
図3のS2の処理を前提とする。そしてCPU22は、上記応答信号を受信したと判断する場合(S44:Yes)、子機40のそれぞれから送信される状態の応答信号に基づき、子機40のそれぞれを用いた通話機能の利用を許可にしてよいかを判断する処理を実行する(S46)。
【0039】
図7に、この処理の詳細を示す。なお、この処理は、複数の子機40のそれぞれ毎に、独立して実行される。
【0040】
この一連の処理では、CPU22は、まず、子機40の状態要求を送信した後、一定時間以内に、子機40から状態の応答信号を受信したか否かを判断する(S90)。この処理は、応答信号の信頼性を評価するためのものである。そしてCPU22は、一定時間以内に上記応答信号を受信していないと判断する場合(S90:No)、子機40を用いた通話機能の利用を拒否したまま(「外線可否」を「拒否」と判断)とする(S100)。すなわち、一定時間を経過したのちに応答信号が受信されたとしても、その信頼性が低いとして、通話機能の利用制限を継続する。これに対しCPU22は、一定時間以内に上記応答信号を受信したと判断する場合(S90:Yes)、子機40がスリープ状態であるか否かを判断する(S92)。
【0041】
CPU22は、スリープ状態であると判断する場合(S92:Yes)、子機40を用いた通話機能の利用を拒否したまま(「外線可否」を「拒否」と判断)とする(S100)。これは、MFP10にユーザがログインした時点において、子機40がスリープ状態にある場合、その子機40は、放置されたままの状態が継続しており、MFP10にログインしたユーザが子機40を用いた通話機能を利用しようとしている状況にないと考えられることに鑑みた設定である。
【0042】
CPU22は、スリープ状態にないと判断する場合(S92:No)、子機40の実際の傾きが所定範囲内にないか否かを判断する(S94)。この処理は、子機40がユーザの手に取られている状況であるか否かを判断するためのものである。そしてCPU22は、実際の傾きが所定範囲内にないと判断する場合(S94:Yes)、子機40が充電台から外れているか否かを判断する(S96)。CPU22は、子機40が充電台から外れていると判断する場合(S96:Yes)、子機40を用いた通話機能の利用を許可する(「外線可否」を「許可」にする)と判断する(S102)。すなわち、子機40が基準となる姿勢からずれており、且つ、充電台から外されている場合には、子機40がユーザによって使用されようとしていると考えられる。そしてMFP10にユーザがログインした直後であることに鑑みれば、この子機40を使用しようとしているユーザは、MFP10にログインしたユーザであり、子機40を使用するためにMFP10にログインした可能性が高い。このため、この場合には、子機40を用いた通話機能の利用を許可する。
【0043】
これに対し、CPU22は、子機40の実際の傾きが所定範囲内にあると判断する場合(S94:No)や、子機40が充電台から外れていないと判断する場合(S96:No)、子機40がMFP10の近くにあるか否かを判断する(S98)。そしてCPU22は、子機40がMFP10の近くにあると判断する場合(S98:Yes)、子機40を用いた通話機能の利用を許可する(「外線可否」を「許可」にする)と判断する(S102)。これは、子機40がMFP10の近くにある場合、近いがゆえに、子機40を使用するつもりであっても、充電台に置いたままの状態でMFP10にログインする可能性があることに鑑みたものである。
【0044】
これに対しCPU22は、子機40がMFP10の近くにないと判断する場合(S98:No)、子機40を用いた通話機能の利用を拒否したまま(「外線可否」を「拒否」と判断)とする(S100)。なお、CPU22は、通話機能の利用の許可、または拒否の判断をすると、
図5のS46の処理を終了する。
【0045】
そしてCPU22は、
図5のS46の処理の結果が、複数の子機40の中に、子機40を用いた通話機能の利用を許可するものがあるか否かを判断する(S48)。そしてCPU22は、許可するものがある場合(S48:Yes)、その子機について、通話機能の利用を許可に変更する(S50)。すなわち、CPU22は、RAM24に記憶された上記通話機能の利用の可否を定めたデータのうち該当するものを許可に変更する。CPU22は、該当するものを許可に変更した場合(S50)や、通話機能の利用を許可する子機40がないと判断する場合(S48:No)、子機40からの応答信号を受信していないと判断する場合(S44:No)、子機40を用いた通話機能の利用要求(外線要求)があるか否かを判断する(S52)。
【0046】
そしてCPU22は、外線要求があると判断する場合(S52:Yes)、外線要求をした子機40について、通話機能の利用が許可されているか否かを判断する(S54)。そしてCPU22は、通話機能の利用が許可されていると判断する場合(S54:Yes)、外線要求をした子機40に、通話機能の利用を許可する旨の信号(「外線通話応答(許可)」)を送信し(S55)、回線60を閉結して通話状態とするとともに(S56)、他の子機40については通話機能の利用を拒否する(S57)。すなわち、S50の処理によって、通話機能の利用が許可される子機40は複数となる可能性がある。このため、特定の子機40を用いた通話機能の利用が開始される場合には、通話機能の利用が一旦は許可された子機40についてもその通話機能の利用を拒否する。なお、回線60が閉結されることで、子機40は、MFP10、回線60および電話回線網62を介して外部装置(図示略)と通信可能とされる。また、上記通話機能の利用を許可する旨の信号を受信した子機40では、
図3のS6の処理によって、通話機能の利用を許可する旨、パネル42に表示する。
【0047】
続いてCPU22は、通話中の子機40から外線の切断要求が生じるまで待機し(S58:No)、切断要求が生じる場合(S58:Yes)、外線の切断要求を出した子機40に対して、切断要求に応じる旨の信号(「外線切断応答」)を送信するとともに、回線60を閉結状態から解放状態に切り替える(S60)。続いてCPU22は、
図2(b)に示された設定に基づき、連続通話を許可するか否かを判断する(S62)。そしてCPU22は、連続通話が許可されていないと判断する場合(S62:No)、通話を終了した子機40を用いた通話機能の利用を許可から拒否に変更する(S64)。すなわち、CPU22は、RAM24に記憶された上記通話機能の利用の可否を定めたデータを拒否に変更する。
【0048】
一方、CPU22は、外線要求した子機40が通話機能の利用が許可されたものではないと判断する場合(S54:No)、子機40を用いた通話機能の利用を許可するか拒否するかの選択を促すための画像をMFP10のパネル16に表示する(S66)。
図8に、パネル16への画像の表示例を示す。その後、CPU22は、上記表示に応じて、ユーザによりMFP10の入力部18が操作されることで、子機40を用いた通話機能の利用を許可しない旨を選択入力するか、所定時間が経過する(タイムアウト)かを判断する(S68)。そしてCPU22は、所定時間内に許可する旨の選択入力がなされたと判断する場合(S68:No)、上記S55に移行する。
【0049】
これに対しCPU22は、許可しない旨の選択入力がなされるか、タイムアウトであると判断する場合(S68:Yes)、外線要求をした子機40に、通話機能の利用が許可されたユーザでもなくまたMFP10側で許可されたこともないとの理由により通話機能の利用を許可しない旨の信号(「外線通話応答(拒否理由:許可なし)」)を送信する(S70)。これにより、子機40では、
図3のS6の処理によって、MFP10側で許可されないために通話機能の利用が許可されない旨、パネル42に表示する。
【0050】
CPU22は、この通話機能の利用を許可しない旨の信号を送信する場合(S70)や、通話を終了した子機40を用いた通話機能の利用を許可から拒否に変更する場合(S64)、連続通話を許可すると判断する場合(S62:Yes)、外線要求がないと判断する場合(S52:No)には、
図6のS72に移行する。
【0051】
CPU22は、
図6のS72において、MFP10の有する機能のうち、コピーやスキャン等、通話に関係しない機能の使用を開始したか否かを判断する(S72)。この処理は、上記S50の処理がなされた場合において、この処理を改めるべきであるか否かを判断するためのものである。そしてCPU22は、通話に関係しない機能の使用を開始したと判断する場合(S72:Yes)、すべての子機40について、それらを用いた通話機能の利用を拒否する(S76)。すなわち、CPU22は、RAM24に記憶された上記通話機能の利用の可否を定めたデータに許可となっているものがある場合、これを拒否に変更する。これは、MFP10にログインがなされた後、通話に関係しない機能が使用される場合、MFP10にログインした理由が、それら通話に関係しない機能を使用するためであり、子機40を用いた通話機能を利用するためではないと考えられるためである。
【0052】
CPU22は、通話機能の利用を拒否する場合(S76)や、通話に関係しない機能の使用が開始されていないと判断する場合(S72:No)、電話帳等の通話に関係ある機能の使用が開始されたか否かを判断する(S78)。そしてCPU22は、通話に関係ある機能の利用が開始される場合(S78:Yes)、通話機能の利用が許可されている子機40について、通話機能の利用を一時的に拒否(一時拒否)するように変更する(S80)。すなわち、CPU22は、RAM24に記憶された上記通話機能の利用の可否を定めたデータに許可となっているものがある場合、これを拒否に変更する。そしてCPU22は、通話に関係ある機能の利用が終了したと判断するまで待機し(S82:No)、終了したと判断する場合(S82:Yes)、一時拒否となっている子機40について、通話機能の利用を許可する(S84)。すなわち、CPU22は、RAM24に記憶された上記通話機能の利用の可否を定めたデータのうちS80において拒否に変更したものについて、これを許可に変更する。ここで、ユーザが、子機40を用いた通話機能の利用を意図する場合、それに先立って、宛先の電話番号等を、電話帳等、通話機能の利用に際して使用するデータを編集する機能を利用してMFP10に入力することが考えられる。この場合、それに引き続き子機40を用いた通話機能の利用が開始される可能性がある。一方、上記データを編集する機能が利用されているときに子機40を用いた通話機能を利用しようとするユーザがいる場合、このユーザは、MFP10にログインしたユーザとは相違するものと考えられる。S78〜S84の処理は、こうした点に鑑みて設定されたものである。
【0053】
CPU22は、一時拒否となっている子機40について、通話機能の利用を許可する場合(S84)や、通話に関係した機能の利用が開始されていないと判断する場合(S78:No)には、ログアウト要求があるか否かを判断する(S86)。そしてCPU22は、ログアウト要求がないと判断する場合(S86:No)、
図5のS44の処理に戻る一方、ログアウト要求があると判断する場合(S86:Yes)、すべての子機40について、それらを用いた通話機能の利用を拒否する(S88)。すなわち、CPU22は、RAM24に記憶された上記通話機能の利用の可否を定めたデータのうち許可となっているものがある場合、これを拒否に変更する。なおCPU22は、S88の処理が完了する場合、
図4のS30の処理を終了する。
【0054】
これにより、CPU22は、MFP10をログアウト状態とし(
図4のS32)、S10の処理に戻る。
【0055】
図9に、複数の子機40のそれぞれにおける通話機能の利用の可否の推移例を示す。なお、
図9(a)〜
図9(l)は、時系列に従ったものであり、
図9(a)が一番先の事象であり、
図9(l)が最後の事象である。
【0056】
図示されるように、MFP10の電源がオンされた時点では、すべての子機40について、それらを使用した通話機能の利用が拒否される(
図9(a))。ここで、子機40を用いた通話機能の利用が許可されるユーザAがMFP10にログインされたとしても、その時点では(
図4のS16)、すべての子機40について、それらを使用した通話機能の利用が拒否される(
図9(b))。これに対し、
図9(c)には、
図3の処理によって、子機番号2番の子機40(図中、子機2と記載)がMFP10に状態を通知した後、子機番号2番の子機40の通話機能の利用を拒否すると判断した例が示されている。また、
図9(d)には、
図3の処理によって、子機番号1番の子機40(図中、子機1と記載)がMFP10に状態を通知した後、子機番号1番の子機40の通話機能の利用を許可すると判断した例が示されている。また、
図9(e)には、
図3の処理によって、子機番号3番の子機40(図中、子機2と記載)がMFP10に状態を通知した後、子機番号3番の子機40の通話機能の利用を拒否すると判断した例が示されている。さらに、
図9(f)には、
図3の処理によって、子機番号4番の子機40(図中、子機4と記載)がMFP10に状態を通知した後、子機番号4番の子機40の通話機能の利用を拒否すると判断した例が示されている。
【0057】
図9(g)には、電話帳の編集が開始されることで、通話機能の利用が許可されている子機番号1番の子機40について、一時拒否に設定変更された場合を示している(
図6のS80参照)。なお、RAM24内のデータとしては、一時拒否と拒否とを別のデータとしてもよいが、本実施形態では、拒否と同一のデータとしつつ、一時拒否に該当するデータがどれであるかを定めるデータを別途記憶することを想定している。
図9(h)には、電話帳の編集が終了することで、子機番号1番の子機40について、通話機能の利用が再度許可された例を示している(
図6のS84参照)。
図9(i)には、子機番号1番の子機40の操作によって、外線要求が生じた場合を示している(
図5のS52参照)。この場合、
図5のS55の処理により、MFP10から外線通話応答が許可される旨の信号が送信される。
図9(j)には、子機番号1番目の子機40について、外線要求を終了した後、
図2(b)の設定のために、子機番号1番の子機40を用いた通話機能の利用が許可されたままとなる例が示されている(
図5のS62参照)。
図9(k)には、MFP10でコピーが開始されることで、すべての子機40について、それらを使用した通話機能の利用が拒否される例を示している(
図5のS76参照)。
図9(l)には、MFP10からログアウトがなされることで、すべての子機40について、それらを使用した通話機能の利用が拒否される例を示している(
図4のS32参照)。
【0058】
以上説明した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
【0059】
(1)MFP10に、通話機能の利用が制限されないユーザがログインした際、子機40の状態を問い合わせ(
図5のS42)、子機40が所定の状態にあることを条件に、子機40を用いた通話機能の利用を許可した(
図7のS102)。これにより、所定の状態によって、子機40を利用するユーザがMFP10にログインしているユーザであるか否かを判断することができるため、子機40のユーザが、通話機能の利用が制限されるユーザである場合に、子機40を用いた通話機能の利用の制限処理を実行しつつも、通話機能の利用が制限されないユーザである場合に、子機40を用いた通話機能の利用を許可することが可能となる。
【0060】
(2)MFP10に通話機能を搭載して且つ、MFP10を用いた通話機能の利用を許可するか拒否するかをユーザ毎に定め、ログインしたユーザに応じてMFP10を用いた通話機能の利用を許可するか拒否するかを定めた。ここで、MFP10に、これを用いた通話機能の利用が許可されたユーザがログインする場合、そのユーザは、MFP10の機能を用いようとしている可能性が高い。このため、ログイン入力がなされるMFP10については、その状態と無関係に通話機能の利用の許可、拒否を定めることで、MFP10を用いた通話機能の利用制限を的確に行うことができる。
【0061】
(3)子機40を用いた通話機能の利用を許可した状態で(S50)、MFP10のうちの通話に関係しない機能が利用される場合、通話機能の利用を拒否に変更した(S76)。ここで、MFP10のうち通話に関係しない機能が利用される場合、MFP10にログインしたユーザが通話機能の利用を意図していないと考えられる。このため、拒否に変更する処理によれば、所定の状態によって、MFP10にログインしたユーザが子機40を用いた通話機能の利用を意図すると判断して通話機能の利用を許可した後、その判断を訂正することができる。
【0062】
(4)子機40を用いた通話機能の利用を許可した状態で(S50)、MFP10のうちの通話機能の利用に際して使用されるデータを編集する機能が利用される場合、通話機能の利用を一時拒否に変更し(S80)、編集する機能の利用終了後、再度許可に変更した(S84)。これにより、子機40を用いた通話機能の利用に際して電話帳に相手先の電話番号等を登録する等する場合に、ユーザが子機40を用いた通話機能の利用をしようとするタイミングで、通話機能の利用を許可することができる。
【0063】
(5)複数の子機40のそれぞれについて、通話機能の利用が許可された状態で、そのうちの1つの子機40を用いた通話機能の利用が開始される場合、他の子機40を用いた通話機能の利用を拒否に変更した(S57)。これにより、複数の子機40による通話機能の利用が試みられることによる混線を回避することができる。
【0064】
(6)子機40を用いた通話機能の利用が終了する場合(S58:Yes)、通話機能の利用を拒否に変更する(S64)設定を可能とした(
図2(b))。これにより、通話機能の利用が制限されているユーザによって子機40を用いた通話機能の利用がなされる事態を好適に回避することができる。
【0065】
(7)子機40を用いた通話機能の利用が終了する場合(S58:Yes)、通話機能の利用の許可を継続した(S62:Yes)。これにより、同一の子機40を用いた通話機能を連続的に利用したい場合に、これに応じることができる。
【0066】
(8)MFP10に、子機40の通話機能の利用が制限されないユーザがログインしている状態で、通話機能の利用が制限されている子機40を用いた通話機能の利用要求が生じる場合(S54:No)、MFP10にログインしているユーザに、通話機能の利用を許可するか否かを問い合わせた(S66)。これにより、MFP10にログインしたユーザがログイン以前に子機40を放置し続けているなどの理由でその子機40が所定の状態とならない場合であっても、子機40を用いた通話機能の利用を許可することができる。
【0067】
<実施形態と手段との対応関係>
制限情報記憶部…EEPROM26(
図2(a))、第1通信部…電話回線接続部36とモデム28、第2通信部…DCLアンテナ部38とDCL送受信部30、制限手段…S22,S57,S70,S76,S80、受付手段…S14、状態判断手段…S90〜S98、解除手段…S50、親機…MFP10、通知手段…S55、表示手段…S6、通話判断手段…S52,S54、問い合わせ手段…S66。
【0068】
<その他の実施形態>
以上、上記実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。各実施形態は、それぞれ、他の実施形態が有する構成の一部または複数部分を、その実施形態に追加し或いはその実施形態の構成の一部または複数部分と交換等することにより、その実施形態を変形して構成するようにしてもよい。以下、上記実施形態の変形例としての実施形態を記載する。
【0069】
所定の状態としては、Sleep状態にないことと、傾きが所定範囲内にないことと、充電台から外れていることとが成立する状態や、Sleep状態にないことと、MFP10の近くにあることとが成立する状態に限らない。たとえば、上記状態がすべて成立する子機40が1台しかないことをさらに加えてもよい。またたとえば、子機40が傾いている場合、充電台から外れているか否かにかかわらず、所定の状態であると判断してもよい。またたとえば、通話機能の利用が許可となっている子機が1台以上すでにある場合に、所定の状態にないと判断してもよい。さらに、たとえば子機40の周囲が暗い場合に、所定の状態にないと判断してもよい。これは、子機40の周りが暗い場合、その子機40の利用が望まれている状況にないと考えられることによる。ちなみに、これは、子機40に周囲の光量を検出するセンサを設けておき、センサによって検出される光量の検出値をMFP10に送信することで実現すればよい。また、子機40を用いた通話機能の利用制限を解除するための特別な操作を定めておき、これがなされることで、所定の状態にあると判断してもよい。この特別な操作としては、例えば、子機40の特定のボタンを押すこと等が考えられる。
【0070】
図3のS2の処理では、子機40がMFP10からの電波を受信する際に、その強度を検出し、これをMFP10と子機40との距離情報としてMFP10に送信する例を示したが、これに限らない。たとえば、MFP10が子機40からの電波を受信する際にその強度を検出し、これをMFP10と子機40との距離情報として利用してもよい。
【0071】
子機40に状態を問い合わせる処理(S42)としては、ログインが受け付けられた後に実行するものに限らない。たとえば、MFP10の電源が投入されたときや、ログイン操作がなされ始めたことをトリガとして、状態を問い合わせるものであってもよい。
【0072】
上記実施形態では、MFP10が電話回線網に有線で接続される例を示したが、これに限らない。たとえば、電話回線網に有線で接続される機器(中継装置)とMFP10とを別体として且つ、中継装置とMFP10とが無線通信によって通信可能としてもよい。この場合、子機40は、中継装置と無線通信によって通信可能とし、子機40とMFP10とは中継装置を介して通信可能とすればよい。
【0073】
図5に例示した処理では、S62の処理によって、CPU22が連続通話が許可される設定がなされていると判断する場合、子機40を用いた通話機能の利用制限の解除を継続し、その継続時間については定めなかったが、継続時間を定めてもよい。この場合、ある程度時間が経過することで、子機40を用いて通話機能を利用したユーザが、再度通話機能を利用する意思はない可能性が高いと考えられることから、このように考えられる時間を継続時間に設定すればよい。
【0074】
上記実施形態では、MFP10に通話機能がある場合を例示したがこれに限らない。MFP10自体には通話機能がない場合であっても、MFP10の入力部18の操作によってログインする場合に、子機40を用いた通話機能の利用制限を上記実施形態に例示した要領で行うことは有効である。
【0075】
通話装置としては、画像を読み込む機能や、画像を印刷する機能を備えるものに限らない。