(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、エンジン始動時のように、モータによって回転していない状態からダンパが回転されると、ダンパやダンパに接続されている部品が共振し、ダンパや前記部品から騒音が発生してしまう。また、ダンパの共振により、ダンパの劣化速度が速くなってしまう。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、モータによってエンジンの始動させる際に、エンジンとモータの間に設けられたダンパによる共振を抑制することができるハイブリッド車両用駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するためになされた、請求項1に係る発明によれば、駆動輪を駆動するエンジンと、前記エンジンと前記駆動輪との間に設けられ、前記駆動輪を駆動力するモータと、前記エンジンと前記モータの間との間に設けられたダンパと、前記エンジンの回転速度を検出する検出部と、前記エンジンの始動時に、前記検出部によって検出された前記エンジンの回転速度に基づいて、前記ダンパの推定共振周波数を演算する演算部と、前記演算部が演算した前記推定共振周波数に基づいて、前記ダンパによる共振が抑制されるように前記モータを制御して、前記エンジンが始動するように前記エンジンに指令する始動部と、を有する。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の発明において、通過帯域が小さい値から大きい値まで順次設定されている複数のバンドパスフィルタを更に有し、前記演算部は、前記検出部によって検出された前記エンジンの回転速度を、前記複数のバンドパスフィルタに入力させ、各バンドパスフィルタを通過した積分値に基づいて、前記推定共振周波数を演算する。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記演算部によって演算された前記推定共振周波数が記憶される記憶部を有し、前記始動部は、前記記憶部に記憶された前記推定共振周波数に基づいて、前記エンジンの回転速度の振動成分が通過する通過フィルタの通過帯域を設定し、前記エンジンの始動時に前記検出部によって検出された前記エンジンの回転速度を前記通過フィルタに入力させて前記エンジンの回転速度の振動成分を取得し、前記記憶部に記憶された前記推定共振周波数に基づいて、前記エンジンの回転速度の振動成分を減少させるためのゲインを演算し、前記エンジンの回転速度の振動成分、及び前記ゲインに基づいて、共振抑制モータトルクを演算し、前記エンジンの始動時に、前記モータが出力するトルクが、共振抑制モータトルクとなるように前記モータを制御する。
【0009】
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の発明において、前記演算部は、演算した前記推定共振周波数を記憶部に更新記憶し、前記始動部は、前記記憶部に更新記憶された最新の推定共振周波数に基づいて、前記通過フィルタの通過帯域を設定するとともに、前記ゲインを演算する。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明によれば、演算部は、エンジンの始動時に、エンジンの回転速度に基づいて、ダンパの推定共振周波数を演算する。そして、始動部は、推定共振周波数に基づいて、ダンパによる共振が抑制されるようにモータを制御して、エンジンを始動させる。このように、エンジン始動時におけるダンパの推定共振周波数に基づいて、ダンパによる共振が抑制されるようにモータが制御されるので、モータによってエンジンの始動させる際に、ダンパによる共振を抑制することができる。
【0011】
請求項2に係る発明によれば、演算部は、検出部によって検出されたエンジンの回転速度を、通過帯域が小さい値から大きい値まで順次設定されている複数のバンドパスフィルタに入力させ、各バンドパスフィルタを通過した積分値に基づいて、推定共振周波数を演算する。これにより、確実に推定共振周波数を演算することができる。また、バンドパスフィルタやバンドパスフィルタを通過した値を積分する積分器をソフトウエアで構成することにすると、これらバンドパスフィルタや積分器を構成するための部品が必要無いので、コスト増とならずにダンパによる共振を抑制することができる。
【0012】
請求項3に係る発明によれば、始動部は、記憶部に記憶された推定共振周波数に基づいて、前記エンジンの回転速度の振動成分が通過する通過フィルタの通過帯域を設定し、エンジンの回転速度を通過フィルタに入力させてエンジンの回転速度の振動成分を取得する。このように、推定共振周波数に基づいて通過フィルタが設定されるので、エンジンの回転速度から確実に振動成分のみを取得することができる。また、通過フィルタによって、エンジンの回転速度から振動成分を取得することにしているので、フーリエ展開等の演算処理に比べて、処理の負荷が小さく、リアルタイムにエンジンの回転速度の振動成分を取得することができ、より確実にエンジン始動時のダンパによる共振を抑制することができる。
【0013】
また、始動部は、推定共振周波数に基づいて、エンジンの回転速度の振動成分を減少させるためのゲインを演算する。そして、始動部は、前記エンジンの回転速度の振動成分、ゲインに基づいて、共振抑制モータトルクを演算し、エンジンの始動時に、モータが出力するトルクが、共振抑制モータトルクとなるようにモータを制御する。このように、推定共振周波数に基づいてエンジンの回転速度の振動成分を減少させるためのゲインが演算され、当該ゲインに基づいて演算された共振抑制モータトルクとなるようにモータが制御されるので、確実にエンジン始動時のダンパによる共振を抑制することができる。
【0014】
請求項4に係る発明によれば、演算部は、演算した推定共振周波数を記憶部に更新記憶する。そして、始動部は、記憶部に更新記憶された最新の推定共振周波数に基づいて、通過フィルタの通過帯域を設定するとともに、ゲインを演算する。このように、更新記憶された最新の推定共振周波数に基づいて、通過フィルタの通過帯域が設定されるとともに、ゲインが演算される。これにより、ダンパの経年変化によりダンパによる共振周波数が変化したとしても、現在のダンパの状態による推定共振周波数によって、通過フィルタの通過帯域が設定されるとともに、ゲインが演算されるので、確実にダンパによる共振を抑制させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(ハイブリッド車両の説明)
図1に基づき、本発明の実施形態による駆動装置1について説明する。
図1は、エンジン2及びモータジェネレータ6を備えたハイブリッド車両(以下、車両と略す)の駆動装置1の概略を示している。
図1において、太線は各装置間の機械的な接続を示し、破線による矢印は制御用の信号線を示し、一点鎖線による矢印は車両の電力の供給線を示している。
【0017】
図1に示すように、車両には、エンジン2、ダンパ5、モータジェネレータ6、自動変速機8、デファレンシャル装置17が、この順番に、直列に配設されている。また、デファレンシャル装置17には、車両の右駆動輪18R及び左駆動輪18Lが接続されている。以下、右駆動輪18R及び左駆動輪18Lを包括して駆動輪18R、18Lという。なお、駆動輪18R、18Lは、車両の前輪又は後輪、或いは、前後輪である。
【0018】
エンジン2は、ガソリンや軽油等の炭化水素系燃料を使用するガソリンエンジンやディーゼルエンジン等である。エンジン2は、駆動軸21、スロットルバルブ22、エンジン回転速度センサ24、燃料噴射装置28を有している。駆動軸21は、ピストンにより回転駆動されるクランクシャフトと一体的に回転する。このように、エンジン2は、駆動軸21にエンジントルクを出力し、駆動輪18R、18Lを駆動する。なお、エンジン2がガソリンエンジンである場合には、エンジン2のシリンダヘッドには、シリンダ内の混合気を点火するための点火装置(不図示)が設けられている。
【0019】
スロットルバルブ22は、エンジン2のシリンダに空気を取り込む経路の途中に設けられている。スロットルバルブ22は、エンジン2のシリンダに取り込まれる空気量(混合気量)を調整するものである。燃料噴射装置28は、エンジン2の内部に空気を取り込む経路の途中やエンジン2のシリンダヘッドに設けられている。燃料噴射装置28は、ガソリンや軽油等の燃料を噴射する装置である。
【0020】
エンジン回転速度センサ24は、駆動軸21に隣接する位置に設けられ、駆動軸21の回転速度、つまり、エンジン2の回転速度(以下、エンジン回転速度Neと略す)を検出し、その検出信号を制御部10に出力するセンサである。
【0021】
ダンパ5は、エンジン2とモータジェネレータ6の間に設けられ、駆動軸21及びモータジェネレータ6のロータと回転連結されている。ダンパ5は、回転方向に圧縮され、振動を吸収するスプリングやゴムを有している。ダンパ5は、エンジンのトルク変動による捻り共振を防止するものである。
【0022】
モータジェネレータ6は、ダンパ5(エンジン2)と自動変速機8(駆動輪18R、18L)の間に設けられている。モータジェネレータ6は、ロータ及びステータを有して駆動輪18L、18Rを駆動するとともに減速時に発電して車両に回生制動力を付与する。モータジェネレータ6には、ステータコアのスロットにステータ巻線を巻回形成したステータを外周側に配置し、ロータコアに永久磁石を埋め込んだロータを軸心に配置した三相同期機を用いることができる。
【0023】
ロータは、自動変速機8の入力側にも回転連結されて一体的に回転する。ロータに隣接する位置にはモータジェネレータ回転速度センサ61が配設されている。モータジェネレータ回転速度センサ61はロータの回転速度であるモータジェネレータ回転速度Nmgを検出してその検出信号を制御部10に出力する。
【0024】
制御部10は、駆動装置1を統括制御するものであり、CPU、RAM、記憶部10a、及びこれらを接続するバスとから構成されたECUを有する。CPUは、
図5、
図6に示すフローチャートに対応したプログラムを実行する。RAMは同プログラムの実行に必要な変数を一時的に記憶するものである。記憶部10aは、不揮発性メモリー等で構成され、前記プログラムや
図8に示す「ゲイン演算マッピングデータ」を記憶する。
【0025】
制御部10は、ドライバのアクセルペダル31の操作に基づくアクセルセンサ32のアクセル開度Acに基づいて、運転者が要求している駆動力である「要求駆動力」を演算する。そして、制御部10は、「要求駆動力」及び自動変速機8の変速段に基づいて、「要求モータトルク」及び「要求エンジントルク」を演算する。そして、制御部10は、「要求エンジントルク」に基づいて、スロットルバルブ22の開度Sを調整し、吸気量を調整するとともに、燃料噴射装置28の燃料噴射量を調整し、点火装置を制御する。これにより、燃料を含んだ混合気の供給量が調整され、エンジン2が出力するエンジントルクが「要求エンジントルク」に調整される。
【0026】
制御部10は、インバータ装置15の動作を制御することで、モータジェネレータ6の駆動モードと発電モードの切り替え制御、ならびにモータジェネレータ回転速度Nmgの制御を行う。制御部10はインバータ装置15を制御してバッテリ16からモータジェネレータ6に駆動電力を供給し、かつ制御目標とする「要求モータトルク」に合わせて駆動電圧の周波数及び実効値を可変に制御する。
【0027】
制御部10は、インバータ装置15を制御してモータジェネレータ6からの回生電力でバッテリ16を充電するように制御する。
【0028】
自動変速機8は、入力軸81と出力軸82との間において変速比がそれぞれ異なる複数の変速段を選択的に切り替える変速機構(不図示)を有している有段変速機である。自動変速機8は、制御部10からの指令に基づいて変速機変速機構を作動させるアクチュエータ85を備えている。
【0029】
自動変速機8は、周知のトルクコンバータ8aを有している。自動変速機8の入力軸81は、トルクコンバータ8aを介してモータジェネレータ6のロータに回転連結され、出力軸82は、デファレンシャル装置17に回転連結されている。トルクコンバータ8aは、モータジェネレータ6のロータに回転連結されたポンププレート8bと、自動変速機8の入力軸81に回転連結されたタービンプレート8cとを有している。また、トルクコンバータ8aは、ポンププレート8bとタービンプレート8cとをメカニカルに結合して同期回転を維持したロックアップ状態とするロックアップクラッチ(不図示)を有している。
【0030】
制御部10は、アクチュエータ85を制御し、自動変速機8の変速段を変更する(変速)とともに、入力軸81と出力軸82が切断されているニュートラル状態にする。なお、自動変速機8は、特許請求の範囲に記載の「切断要素」である。
【0031】
エンジン2、ダンパ5、モータジェネレータ6、自動変速機8、インバータ装置15、バッテリ16、及び制御部10を包括した構成が、駆動装置1に該当する。
【0032】
(エンジン始動処理)
以下に、
図3に示すブロック図、
図5に示すフローチャートを用いて「エンジン始動処理」について説明する。イグニッションがONとされると、「エンジン始動処理」が開始され、プログラムはS10に進む。
【0033】
S10において、制御部10が、自動変速機8がニュートラルであると判断した場合には(S10:YES)、プログラムをS12に進め、自動変速機8がニュートラルでないと判断した場合には(S10:NO)、プログラムをS11に進める。
【0034】
S11において、制御部10は、アクチュエータ85を制御し、自動変速機8をニュートラル状態にする。S11が終了すると、プログラムはS12に進む。
【0035】
S12において、制御部10は、記憶部10aに「推定共振周波数」が記憶されていると判断した場合には(S12:YES)、プログラムをS20に進め、記憶部10aに「推定共振周波数」が記憶されていないと判断した場合には(S12:NO)、プログラムをS13に進める。
【0036】
S13において、制御部10は、インバータ装置15に制御信号を出力することにより、モータジェネレータ6が出力するトルクが目標モータトルクTtmgとなるように制御し、モータジェネレータ6の回転を開始させる。なお、目標モータトルクTtmgは、エンジン2に始動に必要なモータジェネレータ6が出力するトルクであり、インバータ装置15からモータジェネレータ6に供給される駆動電流と比例関係にあり、制御部10によって演算される。S13が終了すると、プログラムはS14に進む。
【0037】
S14において、制御部10は、エンジン回転速度の各周波数成分の積分を開始する。具体的には、制御部10は、エンジン回転速度センサ24によって検出されたエンジン回転速度Ne(回転信号)を、通過帯域が小さい値から大きい値まで順次複数設定されている各バンドパスフィルタBPFに出力する(
図3の1)。そして、制御部10は、各バンドパスフィルタBPFを通過した回転信号を各バンドパスフィルタBPFに対応する「区間積分器」において積分(計時)させる(
図3の2)。なお、本実施形態では、バンドパスフィルタBPF及び「区間積分器」は、制御部10に記憶されえたソフトウエアで構成されている。S14の処理が終了すると、プログラムはS15に進む。
【0038】
S15において、制御部10が、モータジェネレータ回転速度センサ61からの検出信号に基づいて、モータジェネレータ回転速度Nmgがエンジン始動回転速度(例えば900r.p.m.)に達したと判断した場合には、プログラムをS16に進め、モータジェネレータ回転速度Nmgがエンジン始動回転速度に達していないと判断した場合には、S15の処理を繰り返す。
【0039】
S16において、制御部10は、スロットルバルブ22、燃料噴射装置28、点火装置に指令を出力することにより、エンジン2を始動させる。S16が終了すると、プログラムはS17に進む。
【0040】
S17において、制御部10は、ダンパ5の推定共振周波数を演算する。具体的には、
図7に示すように、各「区間積分器」において積分された回転信号のうち、最も大きい値及び二番目に大きい値に対応する通過帯域を特定し、これら通過帯域を線形補間することにより、「推定共振周波数」を演算し、記憶部10aに更新記憶する(
図3の3)。S17の処理が終了すると、プログラムはS18に進む。
【0041】
S18において、制御部10は、S17において演算した「推定共振周波数」に規定周波数(例えば5Hz)を加算及び減算した値の範囲を「通過フィルタ」(
図3、
図4示)の通過帯域をして設定し記憶部10aに更新記憶する(
図3の4)。S18が終了すると、プログラムはS19に進む。
【0042】
S19において、制御部10は、比例ゲインKp及び微分ゲインKdを演算し記憶部10aに更新記憶する。具体的には、制御部10は、S17において演算した「推定共振周波数」に基づいて、
図8に示す「ゲイン演算マッピングデータ」を参照して、比例ゲインKp及び微分ゲインKdを演算する(
図3の4)。なお、「ゲイン演算マッピングデータ」は、「推定共振周波数」と比例ゲインKp及び微分ゲインKdとの関係を表したマッピングデータである。「ゲイン演算マッピングデータ」は、周波数が高い程、比例ゲインKp及び微分ゲインKdが大きくなるように設定されている。制御部10は、S17で演算した「推定共振周波数」の両隣にある「ゲイン演算マッピングデータ」の「推定共振周波数」に対応する比例ゲインKp及び微分ゲインKdを、線形補間を行うことにより、比例ゲインKp及び微分ゲインKdを演算する。S19が終了すると、「エンジン自動処理」が終了する。
【0043】
S20において、制御部10は、「モータジェネレータ共振抑制制御」を開始する。S20が終了すると、プログラムは、S14に進む。この「モータジェネレータ共振抑制制御」については、
図4に示すブロック線図及び
図6に示すフローチャートを用いて説明する。
【0044】
「モータジェネレータ共振抑制制御」が開始すると、S21において、制御部10は、エンジン回転速度センサ24によって取得されたエンジン回転速度Ne(
図2示)を、S18において通過帯域が設定された「通過フィルタ」(
図3、
図4示)に入力させることにより、
図9に示すようにエンジン回転速度Neの振動成分(共振成分)を取得する(
図4の1)。
【0045】
S22において、制御部10は、PD演算を行い、共振抑制モータトルクTrmgを演算する。具体的には、制御部10は、S20において取得されたエンジン回転速度Neの振動成分Δを偏差Δとし、当該偏差Δを下式(1)に代入することにより、共振抑制モータトルクTrmgを演算する(
図4の2)。
【0046】
Trmg=Ttmg+ΔKp+(Δ−Δ
n−1)Kd…(1)
Trmg:共振抑制モータトルク
Ttmg:目標モータトルク
Δ:偏差(エンジン回転速度Neの振動成分)
Δ
n−1:前回S21で取得された偏差
Kp:比例ゲイン
Kd:微分ゲイン
S22が終了すると、プログラムはS23に進む。
【0047】
S23において、制御部10は、インバータ装置15に制御信号を出力することにより、モータジェネレータ6が出力するトルクが共振抑制モータトルクTrmgとなるように制御する。なお、共振抑制モータトルクTrmgは、インバータ装置15からモータジェネレータ6に供給される駆動電流と比例関係にある。S23が終了すると、プログラムはS24に進む。
【0048】
S24において、制御部10が、エンジン2の始動が完了したと判断した場合には(S24:YES)、「モータジェネレータ共振抑制制御」を終了させ、エンジン2の始動が完了していないと判断した場合には(S24:NO)、プログラムをS21に戻す。
【0049】
このように、S21からS23の処理によって、
図4に示されるように、エンジン回転速度Neに基づいて、ダンパ5による共振が抑制されるような共振抑制モータトルクTrmgが演算されて、モータジェネレータ6がフィードバック制御される。
【0050】
(本実施形態の効果)
制御部10(演算部)は、エンジン2を始動させる際に、エンジン2の回転速度に基づいて、ダンパ5の「推定共振周波数」を演算する(
図5のS17、
図3の1)。そして、制御部10(始動部)は、「推定共振周波数」に基づいて、ダンパ5による共振が抑制されるようにモータジェネレータ6を制御して(
図6のS22、S23、
図4の3)、エンジン2を始動させる。このように、エンジン始動時におけるダンパ5の「推定共振周波数」に基づいて、ダンパ5による共振が抑制されるようにモータジェネレータ6が制御されるので、モータジェネレータ6によってエンジン2の始動させる際に、ダンパ5による共振を抑制することができる。
【0051】
制御部10(演算部)は、エンジン回転速度センサ24によって検出されたエンジン回転速度Neを、通過帯域が小さい値から大きい値まで順次設定されている複数のバンドパスフィルタBPFに入力させ、各バンドパスフィルタBPFを通過した区間積分値に基づいて、「推定共振周波数」を演算する(
図5のS17、
図3の3)。これにより、確実に「推定共振周波数」を演算することができる。また、バンドパスフィルタBPFやバンドパスフィルタBPFを通過した値を積分する「区間積分器」をソフトウエアで構成することにすると、これらバンドパスフィルタBPFや「区間積分器」を構成するための部品が必要無いので、コスト増とならずにダンパ5による共振を抑制することができる。
【0052】
また、制御部10(始動部)は、記憶部10aに記憶された「推定共振周波数」に基づいて、エンジン回転速度Neの振動成分が通過する「通過フィルタ」の通過帯域を設定する(
図5のS18、
図3の4)。そして、制御部10は、エンジン回転速度Neを「通過フィルタ」に入力させてエンジン回転速度Neの振動成分を取得する(
図6のS21、
図3の5、
図4の1)。このように、「推定共振周波数」に基づいて「通過フィルタ」が設定されるので、エンジン回転速度Ne(
図2示)から確実に振動成分(
図9示)のみを取得することができる。また、「通過フィルタ」によって、エンジン回転速度Neから振動成分を取得することにしているので、フーリエ展開等の演算処理に比べて、処理の負荷が小さく、リアルタイムにエンジンの回転速度の振動成分を取得することができ、より確実にエンジン始動時のダンパ5による共振を抑制することができる。
【0053】
また、制御部10(始動部)は、「推定共振周波数」に基づいて、エンジン回転速度Neの振動成分を減少させるための比例ゲインKp及び微分ゲインKdを演算する(
図5のS19、
図3の4)。そして、制御部10(始動部)は、エンジン回転速度Neの振動成分である偏差Δ、比例ゲインKp、微分ゲインKd、及び上式(1)に基づいて、共振抑制モータトルクをTemg演算する(
図6のS22、
図3の6、
図4の2)。そして、制御部10は、エンジン2の始動時に、モータジェネレータ6が出力するトルクが、共振抑制モータトルクTrmgとなるようにモータジェネレータ6を制御する(
図6のS23、
図4の3)。このように、「推定共振周波数」に基づいてエンジン回転速度Neの振動成分を減少させるためのゲインKp、Kdが演算され、当該ゲインKp、Kdに基づいて演算された共振抑制モータトルクTrmgとなるようにモータジェネレータ6が制御されるので、確実にエンジン始動時のダンパ5による共振を抑制することができる。
【0054】
また、制御部10(演算部)は、演算した「推定共振周波数」を記憶部10aに更新記憶する(
図4のS17)。そして、制御部10(始動部)は、記憶部10aに更新記憶された最新の「推定共振周波数」に基づいて、「通過フィルタ」の通過帯域を設定するとともに(
図5のS18、
図3の4)、比例ゲインKp、微分ゲインKdを演算する。これにより、ダンパ5の経年変化によって、ダンパ5による共振周波数が変化(
図2の実線から破線に変化)したとしても、確実にエンジン始動時のダンパ5による共振を抑制することができる。
【0055】
(別の実施形態)
なお、ダンパ5とモータジェネレータ6の間にエンジン2の駆動軸21とモータジェネレータ6のロータを断接するクラッチを設けても差し支え無い。この実施形態の場合には、モータジェネレータ6による回生制動時に、上記クラッチを切断させることにより、エンジン2のフリクションロスによる車両の運動エネルギーの減少を防止することができる。
【0056】
以上説明した実施形態では、「推定共振周波数」から比例ゲインKp及び微分ゲインKdを演算して、当該比例ゲインKp及び微分ゲインKdに基づいて、エンジン回転速度Neの振動成分である偏差Δを減少させている。しかし、「推定共振周波数」から比例ゲインKpのみを演算して、当該比例ゲインKpに基づいて、エンジン回転速度Neの振動成分である偏差Δを減少させる実施形態であっても差し支え無い。
【0057】
以上説明した実施形態では、駆動装置1は、モータと発電機が一体となったモータジェネレータ6が搭載されている。しかし、モータと発電機が別体である実施形態であっても差し支え無い。
【0058】
また、以上説明した実施形態では、自動変速機8は、プラネタリギヤ機構、摩擦係合要素を用いたものであるが、自動変速機8は、これに限定されない。つまり、自動変速機8が、デュアルクラッチトランスミッション(DCT)、オートメーテッド・マニュアルトランスミッション(AMT)等であるハイブリッド車両用駆動装置にも、本発明の技術思想が適用可能なことは言うまでもない。