特許第6205936号(P6205936)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6205936
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】蓄熱器
(51)【国際特許分類】
   F25B 9/00 20060101AFI20170925BHJP
【FI】
   F25B9/00 Z
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-150381(P2013-150381)
(22)【出願日】2013年7月19日
(65)【公開番号】特開2015-21671(P2015-21671A)
(43)【公開日】2015年2月2日
【審査請求日】2016年6月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068021
【弁理士】
【氏名又は名称】絹谷 信雄
(72)【発明者】
【氏名】阿部 誠
(72)【発明者】
【氏名】黒澤 博文
(72)【発明者】
【氏名】山本 康
【審査官】 西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−068556(JP,A)
【文献】 特開2012−237289(JP,A)
【文献】 特開平11−281272(JP,A)
【文献】 特開2006−017421(JP,A)
【文献】 特開2004−028389(JP,A)
【文献】 特開2004−198020(JP,A)
【文献】 特開2005−233037(JP,A)
【文献】 特開2006−002599(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気柱管に封入された作動流体に熱音響自励振動を発生させるために、前記気柱管の内部であって加熱側熱交換器と冷却側熱交換器との間に配置される蓄熱器において、
前記気柱管の軸方向に沿って形成された複数の微細孔と、
複数の前記微細孔を横断して形成された間隙と、
を備え
前記間隙は、前記気柱管の軸方向に所定の幅を有し、その幅が前記微細孔の開口サイズの1/3倍から1倍の大きさに形成されている
ことを特徴とする蓄熱器。
【請求項2】
前記間隙は、前記気柱管の軸方向に沿って断続的に複数箇所に形成されている請求項1に記載の蓄熱器。
【請求項3】
前記間隙は、前記加熱側熱交換器と前記蓄熱器との境界、及び前記冷却側熱交換器と前記蓄熱器との境界に形成されている請求項1又は2に記載の蓄熱器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気柱管に封入された作動流体に熱音響自励振動を発生させるために、気柱管の内部であって加熱側熱交換器と冷却側熱交換器との間に配置される蓄熱器及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
熱エネルギと音エネルギとを相互変換する熱音響現象を利用し、これまで無駄になっていた低温廃熱の再利用を可能とする廃熱回生デバイスの開発が進められている。この廃熱回生デバイスとしては、熱音響エンジンや熱音響冷凍器等の熱音響デバイスが知られている。
【0003】
図3に示すように、熱音響デバイス300は、作動流体が封入された気柱管301と、気柱管301の内部に配置された加熱側熱交換器302及び冷却側熱交換器303と、気柱管301の内部であって加熱側熱交換器302と冷却側熱交換器303との間に配置された蓄熱器304と、を備えている。
【0004】
図4に示すように、加熱側熱交換器302及び冷却側熱交換器303は、作動流体の往復流を阻害しないように十分に広い間隔で積層された複数の板401を外枠402に固定した構造となっている。ここで、板401としては、高効率な熱交換を実現するために熱伝導性に優れた厚板が使用されている。
【0005】
これに対して、蓄熱器304は、作動流体の流動損失を低減し、熱音響デバイスの性能を向上させるために、気柱管301の軸方向に沿って複数の微細孔403が形成された構造(例えば、ハニカム構造)となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−028389号公報
【特許文献2】特開2004−198020号公報
【特許文献3】特開2005−233037号公報
【特許文献4】特開2006−002599号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そのため、加熱側熱交換器302と冷却側熱交換器303との間に蓄熱器304を配置すると、図5に示すように、一部の微細孔403の両端が板401の端面で塞がれて作動流体が通過することのできない空間が発生する虞がある。この空間は、蓄熱器304として機能しないデッドスペース501(図示梨地模様部分)を形成し、蓄熱器304の性能を著しく悪化させる。
【0008】
そこで、本発明の目的は、デッドスペースを減少させることが可能な蓄熱器及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明は、気柱管に封入された作動流体に熱音響自励振動を発生させるために、前記気柱管の内部であって加熱側熱交換器と冷却側熱交換器との間に配置される蓄熱器において、前記気柱管の軸方向に沿って形成された複数の微細孔と、複数の前記微細孔を横断して形成された間隙と、を備え、前記間隙は、前記気柱管の軸方向に所定の幅を有し、その幅が前記微細孔の開口サイズの1/3倍から1倍の大きさに形成されている蓄熱器を提供する
【0010】
前記間隙は、前記気柱管の軸方向に沿って断続的に複数箇所に形成されていると良い。
【0011】
前記間隙は、前記加熱側熱交換器と前記蓄熱器との境界、及び前記冷却側熱交換器と前記蓄熱器との境界に形成されていることが望ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、デッドスペースを減少させることが可能な蓄熱器及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る蓄熱器を使用した熱音響デバイスを示す図であり、(a)は図3のA−A線と同位置における断面図、(b)は(a)の一部拡大図である。
図2】(a)及び(b)は本発明に係る蓄熱器の製造方法を説明する図である。
図3】熱音響デバイスを示す概略図である。
図4】加熱側熱交換器、冷却側熱交換器、及び蓄熱器の断面構造を示す概略図である。
図5】従来技術に係る蓄熱器を使用した熱音響デバイスを示す図3のA−A線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
【0016】
図1(a)に示すように、本実施の形態に係る蓄熱器100は、気柱管101に封入された作動流体に熱音響自励振動を発生させるために、気柱管101の内部であって加熱側熱交換器102と冷却側熱交換器103との間に配置される。
【0017】
これらは熱音響デバイス104を構成する。ここでは、熱音響デバイス104が熱音響エンジンである場合を例として説明する。
【0018】
気柱管101には、窒素やヘリウム等の不活性ガスが作動流体として封入されている。加熱側熱交換器102及び冷却側熱交換器103は、所定の積層間隔で積層された複数の板105を外枠106に固定した構造となっている。加熱側熱交換器102は、内燃機関から排出ガスと共に外気中に排出される廃熱を熱源として熱交換を行い、また冷却側熱交換器103は、内燃機関を流れる冷却水や外気等を冷熱源として熱交換を行う。これらの構造は、従来技術と何ら変わるところが無いので説明を省略する。
【0019】
この熱音響デバイス104では、加熱側熱交換器102と冷却側熱交換器103とを使用して蓄熱器100に温度勾配を持たせることで、作動流体に「圧縮→加熱→膨張→冷却」という熱力学的サイクルを発生させる。これにより、回収した廃熱を動力として使用することが可能となる。
【0020】
さて、本実施の形態に係る蓄熱器100は、気柱管101の軸方向に沿って形成された複数の微細孔107と、複数の微細孔107を横断して形成された間隙108と、を備えている。
【0021】
微細孔107は、セラミックス等からなる蓄熱器本体109に高密度で形成されており、蓄熱器本体109は、外枠110を残してハニカム構造等の多孔構造となっている。図1(a)の部分Pを拡大した図1(b)に示すように、微細孔107の開口サイズD1は、板105の積層間隔D2よりも十分に小さく形成されており、作動流体の流動損失を低減して熱音響デバイス104の性能を十分に発揮できるようにされている。
【0022】
間隙108は、複数の微細孔107を連通する通気流路を成しており、デッドスペース111を減少させるのに寄与している。この間隙108は、気柱管101の軸方向に沿って断続的に複数箇所に形成されていることが好ましい。間隙108が少なくとも2箇所に形成されていることにより、加熱側熱交換器102から流入する作動流体、及び冷却側熱交換器103から流入する作動流体のそれぞれが間隙108を通じてデッドスペース111となっていた微細孔107に流れ込み、再び元の微細孔107を通じて流出する迂回流路112が形成されるため、デッドスペース111となっていた微細孔107の大部分を蓄熱器100として機能させることが可能となるからである。
【0023】
なお、加熱側熱交換器102と蓄熱器100との境界、及び冷却側熱交換器103と蓄熱器100との境界に間隙108を形成することにより、デッドスペース111を完全に無くすことが可能となる。
【0024】
また、間隙108は、気柱管101の軸方向に所定の幅Wを有し、その幅Wが微細孔107の開口サイズD1の1/3倍から1倍の大きさに形成されていることが好ましい。下限を1/3倍としたのは、幅Wが開口サイズD1の1/3倍未満になると、作動流体が間隙108を通じてデッドスペース111となっていた微細孔107に流れ込み難くなり、デッドスペース111を減少させるという目的を達成できない可能性があるからである。また、上限を1倍としたのは、間隙108が形成された部分は蓄熱器100として機能しないことから、幅Wが開口サイズD1の1倍を超えると、蓄熱器100として機能しない部分が過度に増加して熱音響デバイス104の性能の低下を生じる可能性があるからである。
【0025】
この蓄熱器100を製造する際には、図2(a)に示すように、先ず、気柱管101の軸方向に沿って形成された複数の微細孔107を有する蓄熱器本体109の端部を外枠110を残してエッチングする。これにより、複数の微細孔107が形成された部分が外枠110に対して蓄熱器本体109の内側にオフセットされることになる。その後、図2(b)に示すように、複数の蓄熱器本体109を連結することにより、エッチングされてオフセットされた部分が間隙108を形成することとなる。この他にも、蓄熱器本体109とスペーサとを交互に連結することにより、間隙108を形成するようにしても構わない。
【0026】
これまで説明してきたように、本実施の形態に係る蓄熱器100によれば、複数の微細孔107を横断して形成された間隙108を備えており、作動流体が間隙108を通じてデッドスペース111となっていた微細孔107に流れ込む迂回流路112が形成されることから、デッドスペース111を減少させることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明に係る蓄熱器は、熱音響エンジンや熱音響冷凍器の他にもスターリングエンジン等の再生器としても使用することができる。
【符号の説明】
【0028】
100 蓄熱器
101 気柱管
102 加熱側熱交換器
103 冷却側熱交換器
104 熱音響デバイス
105 板
106 外枠
107 微細孔
108 間隙
109 蓄熱器本体
110 外枠
111 デッドスペース
112 迂回流路
図1
図2
図3
図4
図5