(54)【発明の名称】インターネット接続システム、データ中継機能を有する携帯端末、サーバ装置、無線LAN端末をインターネットに接続する接続方法、および、データ中継機能を有するコンピュータが実行するコンピュータプログラム
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
無線LAN端末と、前記無線LAN端末と移動体通信ネットワークとの間のデータの中継をおこなうデータ中継機能を有する2以上の携帯端末と、前記移動体通信ネットワークを介して前記携帯端末と通信可能なサーバ装置と、を備えるインターネット接続システムであって、
前記携帯端末は、
前記無線LAN端末と前記移動体通信ネットワークとの間のデータの中継をおこなうためのデータ中継機能のON/OFFを切り換える切換部と、
前記データ中継機能のON/OFFを切り替えるための切替情報を前記サーバ装置から受信する端末側通信部と、
特定の期間に前記移動体通信ネットワークを介して前記携帯端末が送信した通信量を検出する通信量検出部と、
を備え、
前記サーバ装置は、前記2以上の携帯端末のそれぞれに対して、前記切替情報を送信するサーバ側通信部を備え、
前記携帯端末の前記切換部は、前記サーバ装置から受信した前記切替情報に応じて前記データ中継機能のON/OFFを切り換え、
前記携帯端末の前記端末側通信部は、
前記通信量を含むステータス情報を前記サーバ装置に送信し、
前記サーバ装置が2以上の前記携帯端末から受信した前記ステータス情報を用いておこなう判定の判定結果であって、前記サーバ装置が各前記携帯端末の前記通信量を比較して、前記通信量が相対的に少ない1以上の携帯端末を前記無線LAN端末のデータを中継するのに適していると判定した判定結果を前記切替情報として受信する、
インターネット接続システム。
無線LAN端末と移動体通信ネットワークとの間のデータの中継をおこなうデータ中継機能を有する2以上の携帯端末と前記移動体通信ネットワークを介して通信可能なサーバ装置であって、
前記2以上の携帯端末のそれぞれに対して、前記無線LAN端末と前記移動体通信ネットワークとの間のデータの中継をおこなうための前記データ中継機能のON/OFFを切り替えるための切替情報を送信するサーバ側通信部を備え、
前記サーバ側通信部は、前記2以上の携帯端末のそれぞれから、特定の期間に前記移動体通信ネットワークを介して前記携帯端末が送信した通信量を含むステータス情報を受信し、
前記サーバ装置はさらに、
前記サーバ側通信部が受信した前記ステータス情報を用いて、各前記携帯端末の前記通信量を比較して、前記通信量が相対的に少ない1以上の携帯端末を前記無線LAN端末のデータを中継するのに適していると判定する判定部を備え、
前記サーバ側通信部は、前記判定部による判定結果を前記切替情報として送信する、
サーバ装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、FONによって、特定の人が所有する無線LAN端末をインターネットに接続させる場合、APと無線LAN接続可能なエリアが限定的となってしまう問題があった。すなわち、APは一般的に宅内等に固定設置されるため、APが設置されない場所(例えば、広い公園)では、たとえ人が多く集まる場所であっても無線LAN端末をAPに無線LAN接続させることができない問題があった。また、引用文献1では、テザリング端末は、インターネットへの接続を希望するすべての無線LAN端末と順次無線LAN接続して各無線LAN端末にそれぞれ条件情報を送信なければならないため、バッテリー残量が少ないテザリング端末は、条件情報の送信によってバッテリー残量がなくなってしまう問題があった。また、引用文献1では、無線LAN端末は、条件情報を取得するために周辺の各テザリング端末とそれぞれ無線LAN接続をおこなう必要があり、テザリング端末が他の無線LAN端末に条件情報を送信している場合には、その間、そのテザリング端末と無線LAN接続できず、テザリング端末を選択するのに時間がかかる問題や、適切なテザリング端末を選択できない問題があった。このように、データ中継機能を備える装置によって無線LAN端末をインターネットに接続する技術についてはなお改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題の少なくとも一部を解決するために、本願発明は、以下の形態として実現することが可能である。
本発明の一形態は、無線LAN端末と、前記無線LAN端末と移動体通信ネットワークとの間のデータの中継をおこなうデータ中継機能を有する2以上の携帯端末と、前記移動体通信ネットワークを介して前記携帯端末と通信可能なサーバ装置と、を備えるインターネット接続システムが提供される。前記携帯端末は、前記無線LAN端末と前記移動体通信ネットワークとの間のデータの中継をおこなうためのデータ中継機能のON/OFFを切り換える切換部と、前記データ中継機能のON/OFFを切り替えるための切替情報を前記サーバ装置から受信する端末側通信部と、特定の期間に前記移動体通信ネットワークを介して前記携帯端末が送信した通信量を検出する通信量検出部と、を備える。前記サーバ装置は、前記2以上の携帯端末のそれぞれに対して、前記切替情報を送信するサーバ側通信部を備える。前記携帯端末の前記切換部は、前記サーバ装置から受信した前記切替情報に応じて前記データ中継機能のON/OFFを切り換える。前記携帯端末の前記端末側通信部は、前記通信量を含むステータス情報を前記サーバ装置に送信し、前記サーバ装置が2以上の前記携帯端末から受信した前記ステータス情報を用いておこなう判定の判定結果であって、前記サーバ装置が各前記携帯端末の前記通信量を比較して、前記通信量が相対的に少ない1以上の携帯端末を前記無線LAN端末のデータを中継するのに適していると判定した判定結果を前記切替情報として受信する。
このような形態であれば、無線LAN端末は、携帯端末を介してインターネットに接続されるため、APが設置されない場所(例えば、広い公園)であっても、通行人等が所有する携帯端末を介して無線LAN端末をインターネットに接続させることができる。また、この構成によれば、サーバ装置は、各携帯端末のデータ中継機能のON/OFFの切り替えをおこなうことができるため、各携帯端末は、インターネットへの接続を希望するすべての無線LAN端末と順次無線LAN接続する必要がなく、バッテリーの消費を抑制することができる。また、サーバ装置が各携帯端末のデータ中継機能のON/OFFを切り替えるため、無線LAN端末は、各携帯端末から条件情報を取得する必要がなく、データの中継先となる携帯端末を特定する時間の短縮を図ることができる。また、携帯端末は、サーバ装置から受信した判定結果に応じてデータ中継機能のON/OFFの切り換えをおこなうため、データ中継機能がONされていないことによって無線LAN端末がインターネットに接続できない問題の発生を抑制することができる。また、携帯端末は、サーバ装置から無線LAN端末のデータの中継に適していないと判定された場合には、データ中継機能をOFFに切り替えるため、無線LAN端末の付近に複数の携帯端末が集中している場合であっても、電波干渉の発生を抑制することができる。また、携帯端末は、サーバ装置が各携帯端末の通信量を比較することによって判定した判定結果に応じてデータ中継機能のON/OFFの切り換えをおこなうため、例えば、通信量の少ない携帯端末が無線LAN端末のデータの中継をおこなうことができる。
その他、本発明は、以下のような形態として実現することも可能である。
【0006】
(1)本発明の一形態によれば、無線LAN端末と、前記無線LAN端末と移動体通信ネットワークとの間のデータの中継をおこなうデータ中継機能を有する(常に有効とは限らない)2以上の携帯端末と、前記移動体通信ネットワークを介して前記携帯端末と通信可能なサーバ装置と、を備えるインターネット接続システムが提供される。このインターネット接続システムの前記携帯端末は、前記無線LAN端末と前記移動体通信ネットワークとの間のデータの中継をおこなうためのデータ中継機能のON/OFFを切り換える切換部を備え、前記サーバ装置は、前記2以上の携帯端末のそれぞれに対して、前記データ中継機能のON/OFFを切り替えるための切替情報を送信するサーバ側通信部を備え、前記携帯端末の前記切換部は、前記サーバ装置から受信した前記切替情報に応じて前記データ中継機能のON/OFFを切り換える。
【0007】
この構成によれば、無線LAN端末は、携帯端末を介してインターネットに接続されるため、APが設置されない場所(例えば、広い公園)であっても、通行人等が所有する携帯端末を介して無線LAN端末をインターネットに接続させることができる。また、この構成によれば、サーバ装置は、各携帯端末のデータ中継機能のON/OFFの切り替えをおこなうことができるため、各携帯端末は、インターネットへの接続を希望するすべての無線LAN端末と順次無線LAN接続する必要がなく、バッテリーの消費を抑制することができる。また、サーバ装置が各携帯端末のデータ中継機能のON/OFF
を切り替えるため、無線LAN端末は、各携帯端末から条件情報を取得する必要がなく、データの中継先となる携帯端末を特定する時間の短縮を図ることができる。
【0008】
(2)本発明の他の一形態によれば、無線LAN端末と移動体通信ネットワークとの間のデータの中継をおこなうデータ中継機能を有する携帯端末が提供される。この携帯端末は、前記無線LAN端末と前記移動体通信ネットワークとの間のデータの中継をおこなうための特定のデータ中継機能のON/OFFを切り換える切換部と、前記データ中継機能のON/OFFを切り替えるための切替情報を外部のサーバ装置から受信する端末側通信部と、を備え、前記切換部は、前記サーバ装置から受信した前記切替情報に応じて前記データ中継機能のON/OFFを切り換える。
【0009】
この構成によれば、携帯端末は、サーバ装置から受信した切替情報に応じてデータ中継機能のON/OFFの切り替えをおこなうため、インターネットへの接続を希望するすべての無線LAN端末と順次無線LAN接続する必要がなく、バッテリーの消費を抑制することができる。また、携帯端末は、サーバ装置から受信した切替情報に応じてデータ中継機能のON/OFFの切り替えをおこなうため、無線LAN端末が各携帯端末から条件情報を取得する必要がなく、データの中継先となる携帯端末を特定する時間の短縮を図ることができる。
【0010】
(3)上記形態の携帯端末において、前記端末通信部は、前記携帯端末における通信機能の使用量または使用頻度に相関するパラメータを含むステータス情報を前記サーバ装置に送信し、前記サーバ装置が2以上の前記携帯端末から受信した前記ステータス情報を用いておこなう判定の判定結果であって、前記サーバ装置が(i)各前記携帯装置のそれぞれの前記パラメータの相対的な比較と、(ii)前記パラメータと閾値との比較と、の少なくとも一方を実行することによって、各前記携帯端末について、前記無線LAN端末のデータを中継するのに適しているか否かを判定した判定結果を前記切替情報として受信してもよい。
この構成によれば、携帯端末は、サーバ装置がステータス情報を用いて判定した判定結果に応じてデータ中継機能のON/OFFの切り替えをおこなうため、携帯端末のデータ中継機能を利用したネットワークインフラを構築する場合に生じる問題の発生を抑制することができる。例えば、サーバ装置が、相対的にバッテリー残量の多い携帯端末に無線LAN端末のデータの中継をさせる場合には、携帯端末のバッテリーがなくなることによって、無線LAN端末がインターネットに接続されなくなる問題の発生を抑制することができる。また、携帯端末は、サーバ装置から受信した判定結果に応じてデータ中継機能のON/OFFの切り換えをおこなうため、データ中継機能がONされていないことによって無線LAN端末がインターネットに接続できない問題の発生を抑制することができる。また、携帯端末は、サーバ装置から無線LAN端末のデータの中継に適していないと判定された場合には、データ中継機能をOFFに切り替えるため、無線LAN端末の付近に複数の携帯端末が集中している場合であっても、電波干渉の発生を抑制することができる。
【0011】
(4)上記形態の携帯端末はさらに、バッテリーを備えており、前記端末側通信部は、前記バッテリーの残量を前記パラメータとして含んだ前記ステータス情報を前記サーバ装置に送信するとともに、前記サーバ装置が各前記携帯端末の前記バッテリーの残量を比較して、前記バッテリーの残量が相対的に多い1以上の携帯端末を前記無線LAN端末のデータを中継するのに適していると判定した判定結果を受信してもよい。
この構成によれば、携帯端末は、サーバ装置が各携帯端末のバッテリー残量に基づいて判定した判定結果に応じてデータ中継機能のON/OFFの切り換えをおこなうため、相対的にバッテリー残量の多い携帯端末が無線LAN端末のデータの中継をおこなうことができる。
【0012】
(5)上記形態の携帯端末において、前記端末側通信部は、前記携帯端末がデータ中継可能な距離内に存在する無線LAN端末から前記無線LAN端末を識別可能な識別情報を取得すると、前記識別情報を含んだ前記ステータス情報を前記サーバ装置に送信し、前記サーバ装置が前記2以上の携帯端末のうち、同一の無線LAN端末に対してデータ中継可能な携帯端末の前記バッテリーの残量を比較して、前記バッテリーの残量が相対的に多い1以上の携帯端末を前記無線LAN端末のデータを中継するのに適していると判定した判定結果を受信してもよい。
この構成によれば、同一の無線LAN端末に対してデータ中継可能な携帯端末のうち、相対的にバッテリー残量の多い携帯端末が無線LAN端末のデータの中継をおこなうことができる。これにより、例えば、無線LAN端末は、コネクションを確立している携帯端末との間の距離が変化してコネクションが切断されても、新たに、無線LAN端末付近の携帯端末がサーバ装置によって無線LAN端末の中継先に選択されるため、その携帯端末との間においてコネクションを確立することができる。
【0013】
(6)上記形態の携帯端末はさらに、バッテリーを備えており、前記端末側通信部は、前記バッテリーの残量を前記パラメータとして含んだ前記ステータス情報を前記サーバ装置に送信するとともに、前記サーバ装置が前記バッテリーの残量と閾値とを比較して、前記バッテリーの残量が前記閾値よりも大きい携帯端末を前記無線LAN端末のデータを中継するのに適していると判定した判定結果を受信してもよい。
この構成によれば、携帯端末は、サーバ装置が携帯端末のバッテリー残量と閾値とを比較して判定した判定結果に応じてデータ中継機能のON/OFFの切り換えをおこなうため、バッテリー残量が所定以上の携帯端末が無線LAN端末のデータの中継をおこなうことができる。
【0014】
(7)上記形態の携帯端末はさらに、特定の期間に前記移動体通信ネットワークを介して送信したパケットの量であるパケット通信量を検出する通信量検出部を備えており、前記端末側通信部は、前記パケット通信量を前記パラメータとして含んだ前記ステータス情報を前記サーバ装置に送信するとともに、前記サーバ装置が各前記携帯端末の前記パケット通信量を比較して、前記パケット通信量が相対的に少ない1以上の携帯端末を前記無線LAN端末のデータを中継するのに適していると判定した判定結果を受信してもよい。
この構成によれば、携帯端末は、サーバ装置が各携帯端末のパケット通信量を比較することによって判定した判定結果に応じてデータ中継機能のON/OFFの切り換えをおこなうため、例えば、パケット通信量の少ない携帯端末が無線LAN端末のデータの中継をおこなうことができる。
【0015】
(8)上記形態の携帯端末において、前記端末側通信部は、前記データ中継機能をONすることが可能な時間帯を含む設定情報を前記サーバ装置に送信し、前記サーバ装置が、現在時刻を含む特定の時刻と、前記設定情報とを比較し、前記設定情報において前記データ中継機能をONすることが可能な前記携帯端末のうち、前記バッテリーの残量が相対的に多い1以上の携帯端末を前記無線LAN端末のデータを中継するのに適していると判定した判定結果を前記切替情報として受信してもよい。この構成によれば、携帯端末は、特定の時刻(例えば、現在時刻)が、データの中継が可能な時間帯となっているときに無線LAN端末のデータの中継をおこなうことができる。そのため、例えば、携帯端末の所有者が携帯端末を使用する頻度が高い時間帯には、無線LAN端末のデータの中継をおこなわせないようにすることができる。これにより、他人の無線LAN端末のデータ中継によって、携帯端末の所有者が携帯端末を使用する際に携帯端末のバッテリーがなくなっている問題の発生を抑制することができる。
【0016】
(9)上記形態の携帯端末はさらに、2以上のSSIDを備えており、切換部は、前記2以上のSSIDのうちの1つのSSIDを用いた中継機能のON/OFFを切り換えてもよい。この構成によれば、携帯端末は、一方のSSIDを特定の人に貸し出した場合であっても、他のSSIDを携帯端末の所有者自身が使用することができる。
【0017】
(10)本発明の他の一形態によれば、無線LAN端末と移動体通信ネットワークとの間のデータの中継をおこなうデータ中継機能を有する2以上の携帯端末と前記移動体通信ネットワークを介して通信可能なサーバ装置が提供される。このサーバ装置は、前記2以上の携帯端末のそれぞれに対して、前記無線LAN端末と前記移動体通信ネットワークとの間のデータの中継をおこなうための前記データ中継機能のON/OFFを切り替えるための切替情報を送信するサーバ側通信部を備えている。
この構成によれば、サーバ装置は、切替情報の送信によって各携帯端末のデータ中継機能のON/OFFの入り換えをおこなうことができるため、各携帯端末は、インターネットへの接続を希望するすべての無線LAN端末と順次無線LAN接続する必要がなく、バッテリーの消費を抑制することができる。また、無線LAN端末は、各携帯端末から条件情報を取得する必要がなく、データの中継先となる携帯端末を特定する時間の短縮を図ることができる。
【0018】
(11)上記形態のサーバ装置において、前記サーバ側通信部は、前記2以上の携帯端末のそれぞれから各携帯端末の通信機能の使用量または使用頻度に相関するパラメータを含むステータス情報を受信し、前記サーバ装置はさらに、前記サーバ側通信部が受信した前記ステータス情報を用いて、(i)各前記携帯装置のそれぞれの前記パラメータの相対的な比較と、(ii)前記パラメータと閾値との比較と、の少なくとも一方を実行することによって、各前記携帯端末について、前記無線LAN端末のデータを中継するのに適しているか否かを判定する判定部を備え、前記サーバ側通信部は、前記判定部による判定結果を前記切替情報として送信してもよい。
この構成によれば、サーバ装置は、無線LAN端末のデータを中継するのに適していると判定した携帯端末に無線LAN端末のデータの中継をさせるため、携帯端末のデータ中継機能を利用したネットワークインフラを構築する場合に生じる問題の発生を抑制することができる。
【0019】
(12)上記形態のサーバ装置において、前記サーバ側通信部は、前記携帯端末が備えるバッテリーの残量を前記パラメータとして含んだ前記ステータス情報を受信し、前記判定部は、各前記携帯端末の前記バッテリーの残量を比較して、前記バッテリーの残量が相対的に多い1以上の携帯端末を前記無線LAN端末のデータを中継するのに適していると判定してもよい。
この構成によれば、サーバ装置は、各携帯端末のバッテリー残量に基づいて判定した判定結果に応じてデータ中継機能のON/OFFの切り換えをおこなわせるため、相対的にバッテリー残量の多い携帯端末に無線LAN端末のデータの中継をおこなうことができる。
【0020】
(13)上記形態のサーバ装置はさらに、各前記携帯端末について、前記データ中継機能をONすることが可能な時間帯が設定されている参照テーブルを備えており、前記サーバ装置の前記判定部は、現在時刻を含む特定の時刻と、前記参照テーブルとを比較し、参照テーブルにおいて前記データ中継機能をONすることが可能な前記携帯端末のうち、前記バッテリーの残量が相対的に多い1以上の携帯端末を前記無線LAN端末のデータを中継するのに適していると判定してもよい。
この構成によれば、サーバ装置は、特定の時刻(例えば、現在時刻)が、データの中継が可能な時間帯となっている携帯端末に無線LAN端末のデータの中継をおこなわせることができる。そのため、例えば、携帯端末の所有者が携帯端末を使用する頻度が高い時間帯には、無線LAN端末のデータの中継をおこなわせないようにすることができる。これにより、他人の無線LAN端末のデータ中継によって、携帯端末の所有者が携帯端末を使用する際に携帯端末のバッテリーがなくなっている問題の発生を抑制することができる。
【0021】
上述した本発明の各形態の有する複数の構成要素は全てが必須のものではなく、上述の課題の一部または全部を解決するため、あるいは、本明細書に記載された効果の一部または全部を達成するために、適宜、前記複数の構成要素の一部の構成要素について、その変更、削除、新たな構成要素との差し替え、限定内容の一部削除を行うことが可能である。また、上述の課題の一部または全部を解決するため、あるいは、本明細書に記載された効果の一部または全部を達成するために、上述した本発明の一形態に含まれる技術的特徴の一部または全部を上述した本発明の他の形態に含まれる技術的特徴の一部または全部と組み合わせて、本発明の独立した一形態とすることも可能である。
【0022】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能である。例えば、本発明は、携帯端末とサーバ装置とを含むネットワークシステム、データ中継装置、データ中継機能の制御方法、これらのシステムや装置の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体等の形態で実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
A.第1実施形態:
A−1.インターネット接続システムの概略構成:
図1は、第1実施形態の携帯端末10を含んで構成されるインターネット接続システム1000の概略構成を説明するための図である。インターネット接続システム1000は、複数(ここでは2つ)の携帯端末10と、無線LAN端末20と、サーバ装置30と、認証用サーバ装置40と、を備えている。インターネット接続システム1000は、携帯端末10のデータ中継機能(例えば、携帯端末のテザリング機能や、モバイルルータ装置)を使用して、無線LAN端末20をインターネットINTに接続することができる。このとき、インターネット接続システム1000は、複数の携帯端末10のうち、無線LAN端末20へ無線LAN通信を提供する接続先(中継先)となる携帯端末10をいずれにするかについて、サーバ装置30が携帯端末を選択可能に構成されている。この選択の具体的な方法については後述する。なお、本実施形態のインターネット接続システム1000は、2つの携帯端末10を含んで構成されているが、インターネット接続システム1000は、3以上の携帯端末10を含んでいてもよい。以後、インターネット接続システム1000に含まれる各携帯端末10を区別する場合には、「第1の携帯端末10a」および「第2の携帯端末10b」とも呼ぶ。
【0025】
本実施形態では、サーバ装置30および認証用サーバ装置40はインターネットサービスプロバイダーが管理しており、また、各携帯端末10の所有者と、無線LAN端末20の所有者は異なっているものとして説明する。すなわち、各携帯端末10の所有者は、自端末のデータ中継機能を特定の利用者に貸し出すものとして説明する。ここでの特定の利用者とは、例えば、サーバ装置30を管理するプロバイダーが提供するインターネット接続サービスに加入している会員(以後「プロバイダー会員」とも呼ぶ)等である。また、本実施形態の携帯端末10の所有者は、このプロバイダー会員のうち、さらに、自端末のデータ中継機能を特定の利用者に貸し出すことに合意した会員(以後「貸し出し合意会員」とも呼ぶ)等である。インターネットサービスプロバイダーは携帯電話のキャリアであってもよい。なお、インターネット接続システム1000は上述した利用態様に限定されない。例えば、利用者は自端末の貸し出しに合意していない会員であってもよいし、携帯端末10と無線LAN端末20は、同一の所有者であってもよい。また、サーバ装置30や認証用サーバ装置40はインターサービスネットプロバイダー以外が管理していてもよい。
【0026】
携帯端末10は、データ中継機能を備えた携行可能な無線通信端末であり、例えば、テザリング機能を有するスマートフォンや、モバイルルータ等として構成されている。携帯端末10は、タブレットPCであってもよいし、移動体通信用のモジュールを内蔵または外付けしたPCであってもよい。本実施形態の携帯端末10は、スマートフォンとして構成されているものとして説明する。携帯端末10は、サーバ装置30から後述するデータ中継機能ON要求を受け取った時に、無線LANを介して無線LAN端末20と通信可能に構成されており、また、移動体通信ネットワークMCNを介してサーバ装置30、認証用サーバ装置40およびインターネットINT上の装置と通信可能に構成されている。本実施形態の携帯端末10は、データ中継機能の一態様であるテザリング機能によって、無線LAN端末20をインターネットINTに接続することができる。携帯端末10がモバイルルータの場合、無線LAN端末20と既存無線LANアクセスポイントとの間でパケットをブリッジするブリッジモードから、移動体通信によるインターネットアクセスを有効にし、移動体通信によるインターネットアクセスと無線LAN端末20との間でパケットをルーティングするルータモードにすることにより、無線LAN端末20をインターネットINTに接続することができる。
【0027】
携帯端末10がスマートフォンとして構成されている場合、携帯端末10は、サーバ装置30から後述するデータ中継機能OFF要求を受け取ると、動作モードを、無線LANアクセスポイントとして動作する親機モードから、クライアント(子機)モードに切り替える。携帯端末10がモバイルルータとして構成されている場合、データ中継機能OFF要求を受け取ると、動作モードを、移動体通信によるインターネットアクセスと無線LAN端末20との間でパケットをルーティングするルータモードから、無線LAN端末20と既存無線LANアクセスポイントとの間でパケットをブリッジするブリッジモードに切り替える。
【0028】
本実施形態の携帯端末10は、2つのSSID(Service Set Identifier)を用いて、互いに異なる2つの無線LANを構築可能に構成されている。ここでは、2つのSSIDの一方を「貸出用SSID」と呼び、他方を「所有者用SSID」とも呼ぶ。貸出用SSIDは、上述した特定の利用者が所有する無線LAN端末20との間で無線LANを構築するためのSSID、すなわち、特定の利用者に貸し出すためのSSIDであり、特定の利用者が所有する無線LAN端末20にはそのSSIDへ無線接続するための無線接続設定プロファイルが登録されている。このプロファイルの登録は、無線LAN端末20の工場出荷時設定や初期設定アプリ等で設定値をプリセットしてもよいし、サーバ装置30に無線LAN端末20のユーザー登録をおこなう場合には、登録の際にサーバ装置30から設置値を通知してもよい。所有者用SSIDは、主に携帯端末10の所有者が所有する無線LAN端末との間で無線LANを構築するためのSSID、すなわち、他人に貸し出さず、携帯端末10の所有者が個人的に使用するためのSSIDである。なお、携帯端末10は、貸出用SSIDを備えていれば、所有者用SSIDを備えていなくてもよい。また、貸出用SSIDは、携帯端末10の所有者が所有する無線LAN端末との間の無線LANの構築に使用されてもよい。以後、携帯端末10のデータ中継機能のうち、貸出用SSIDによって無線LAN接続された無線LAN端末20のデータを中継する機能を「貸出用SSIDを用いたデータ中継機能」とも呼ぶ。また、所有者用SSIDによって無線LAN接続された無線LAN端末のデータを中継する機能を「所有者用SSIDを用いたデータ中継機能」とも呼ぶ。
【0029】
無線LAN端末20は、無線LAN通信機能を備えた端末であり、例えば、ノートパソコンや、タブレットPC、スマートフォン、ゲーム機等として構成されている。本実施形態の無線LAN端末20は、ノートパソコンとして構成されているものとして説明する。
【0030】
サーバ装置30は、複数の携帯端末10のうち、貸出用SSIDを用いたテータ中継機能の貸し出しをおこなう携帯端末10の選択をおこなう。具体的には、サーバ装置30は、後述する中継先端末判定処理によって、複数の携帯端末10の各々について、無線LAN端末20の中継先に適しているか否かの判定をおこなう。この判定によって、複数の携帯端末10のうちから、1つの携帯端末10が無線LAN端末20の中継先として選択される。サーバ装置30は、この判定結果を各携帯端末10に送信する。各携帯端末10は、これを受けて、貸出用SSIDを用いたデータ中継機能をONまたはOFFにする。中継先判定処理の具体的な内容については後述する。
【0031】
認証用サーバ装置40は、サーバ装置30によって選択された携帯端末10を介してインターネットINTに接続される無線LAN端末20の認証をおこなう。ここでは、認証用サーバ装置40は、無線LAN端末20がプロバイダー会員の端末か否かの認証をおこなう。本実施形態の認証用サーバ装置40は、無線LAN端末20からEAP(Extensible Authentication Protocol)認証情報を取得し、無線LAN端末20が予め登録された端末であるか否かの認証をおこなう。認証用サーバ装置40は、この認証結果を無線LAN端末20の中継をおこなう携帯端末10に送信する。なお、認証用サーバ装置40による認証方式は、例えば、IEEE 802.1XのEAP−MD5(Extensible Authentication Protocol-message digest version 5)、EAP−TLS(Extensible Authentication Protocol-Transport Layer Security)、EAP−TTLS(Extensible Authentication Protocol-Tunneled Transport Layer Security)、PEAP(Protected Extensible Authentication Protocol)、LEAP(Lightweight Extensible Authentication Protocol)、および、EAP−FAST(Extensible Authentication Protocol-Flexible Authentication via Secure Tunneling)などを採用してもよい。また、自端末の貸し出しに合意している会員だけでなくすべての会員に接続を認める場合には、認証用サーバ装置40は不要で、WPA−PSK等で無線接続をおこなえばよい。
【0032】
図2は、第1実施形態の携帯端末10の内部構成を例示した説明図である。携帯端末10は、通信部110と、CPU120と、タッチパネル130と、記憶部140と、RAM150と、電源部160と、を備えている。通信部110、CPU120、タッチパネル130、記憶部140、および、RAM150は、バスによって相互に接続されている。
【0033】
通信部110は、移動体通信インターフェース(I/F)111と、無線LAN通信インターフェース112とを含んでいる。移動体通信インターフェース111は、移動体通信網等の専用回線の通信規格に準拠しており、移動体通信ネットワークMCNに含まれる移動体通信基地局(図示しない)と無線によって通信可能に構成されている。
【0034】
無線LAN通信インターフェース112は、IEEE802.11に準拠した無線LANの親機としての機能を備えており、無線LANのクライアントとしての無線LAN端末20(
図1)までの距離が所定以内であれば、無線LAN端末20と無線通信可能に構成されている。
【0035】
CPU120は、記憶部140に格納されているコンピュータプログラムをRAM150に展開して実行することにより、切換部121と、生成部122と、表示制御部123と、通信制御部124と、バッテリー残量測定部127としての機能を実現する。
【0036】
切換部121は、通信部110を制御して、貸出用SSIDのON/OFFの切り替えをおこない、または/かつ、通信制御部124を制御して、貸出用SSIDを用い
たデータ中継機能のON/OFFの切り換えをおこなう。すなわち、切換部121は、携帯端末10が無線LAN端末20のデータの中継をおこなうために使用されるデータ中継機能のON/OFFの切り換えをおこなう。
【0037】
生成部122は、携帯端末10の通信機能の使用量または使用頻度に相関するパラメータを含む携帯端末10のステータス情報ISを生成する。本実施形態の生成部122は、このパラメータとして、電源部160のバッテリー162の残量を使用する。ステータス情報ISの具体的な内容については後述する。
【0038】
表示制御部123は、タッチパネル130の制御をおこなう。タッチパネル130は、ユーザーから様々な情報の入力の受け付けをおこなう。例えば、タッチパネル130は、プロバイダー会員が貸し出し合意会員になるために必要な情報であるユーザー登録情報IRの入力を受け付ける。ユーザー登録情報IRには、例えば、以下の情報が含まれる。
(1)貸し出し合意会員になる意思確認
(2)携帯端末10の所有者の住所、氏名
なお、携帯端末10は、表示制御部123、および、タッチパネル130を備えていなくてもよい。例えば、表示制御部123、および、タッチパネル130を備えていないモバイルルータでは、モバイルルータのDHCPサーバより入手したDefault Gateway(モバイルルータ自体)へ無線LAN端末のWebブラウザよりアクセスした場合、上記(1)、(2)の情報が無線LAN端末の表示画面へ表示される構成であってもよい。
【0039】
通信制御部124は、通信部110を制御して、無線LAN端末20、サーバ装置30、および認証用サーバ装置40との間でデータのやりとりをおこなう。例えば、通信制御部124は、データ中継機能がONの場合、無線LAN接続されている無線LAN端末と移動体通信ネットワークMCNとの間のデータの中継をおこなう。ここで「データの中継」とは、異なる複数のIPネットワークセグメントの間でパケットをルーティングすることをいう。通信制御部124は、データ中継機能がOFFのとき、クライアント(子機)モードで動作し、データ中継機能がONのとき、親機モード、すなわち、無線LANアクセスポイントとして動作する。通信制御部124は、ステータス情報IS、ユーザー登録情報IRをサーバ装置30に送信する。通信制御部124は、ユーザー登録情報IRをサーバ装置30に送信するとき、あわせて携帯端末10の識別情報(携帯端末識別情報)IAを送信する。携帯端末識別情報IAの詳細については後述する。
【0040】
バッテリー残量測定部127は、バッテリー162の残量(バッテリー残量)ARを測定する。バッテリー残量測定部127は、バッテリー162の満充電時の充電量〔mAh〕に対する現在の充電量の比率〔%〕をバッテリー残量ARとして算出してもよいし、バッテリー162の電圧値からバッテリー残量ARを推定してもよい。また、バッテリー残量測定部127は、バッテリー162の現在の充電量〔mAh〕をバッテリー残量ARとして出力してもよい。
【0041】
記憶部140は、フラッシュROMおよび/またはハードディスク(HDD)を含んでいる。記憶部140には、無線通信ID情報ICDと暗号化情報IENとが記憶されている。無線通信ID情報ICDとは、携帯端末10が無線LANを確立するのに必要な情報であり、貸出用SSIDと所有者用SSIDのほか、貸出用SSIDと所有者用SSIDのそれぞれについての認証方式(例えば、WPA2−PSK、WPA2−ESP等)が含まれている。無線通信ID情報ICDには、貸出用SSIDと所有者用SSIDのそれぞれについての、WEPキーやWPA−PSK(プリシェアードキー)、RADIUSサーバーアドレスなどが含まれていてもよい。暗号化情報IENは、WEP(Wired Equivalent Privacy)、TKIP(Temporal Key Integrity Protocol)、AES(Advanced Encryption Standard)等、携帯端末10が確立する無線LAN通信の暗号化方式を示す情報と、その暗号化の際に使用される暗号鍵を含んでいる。
【0042】
電源部160は、ソケット161と、バッテリー162とを備えている。ソケット161は、外部電源から延びる電源供給用のプラグまたは/およびクレードルに設けられている電源供給用のプラグに接続可能に構成されている。バッテリー162は、例えば、リチウムイオンバッテリー等を含んで構成されており、ソケット161に接続されたプラグを介して外部電源から供給される電力によって充電される。また、バッテリー162は、電力の供給を受けていない状態のときに、放電によって携帯端末10の動作のための電力を供給する。
【0043】
図3は、第1実施形態のステータス情報ISの内容を説明するための説明図である。第1実施形態のステータス情報ISには、携帯端末識別情報IAと、バッテリー162の残量(バッテリー残量)ARと、が含まれている。携帯端末識別情報IAとしては、例えば、IMEI(International Mobile Equipment Identity)、IMSI(International Mobile Subscriber Identity)、UDID(Unique Device Identifier)、UUID(Universally Unique Identifier)、無線LANインターフェースのMACアドレス等を例示することができる。
【0044】
図4は、第1実施形態のサーバ装置30の内部構成を例示した説明図である。サーバ装置30は、通信部310と、CPU320と、記憶部340と、RAM350と、を備えている。通信部310、CPU320、記憶部340、および、RAM350は、バスによって相互に接続されている。
【0045】
通信部310は、移動体通信インターフェース(I/F)311を含んでおり、移動体通信ネットワークMCNに含まれる移動体通信基地局(図示しない)と無線または有線によって通信可能に構成されている。通信部310は、例えば、移動体通信ネットワークMCNを介して携帯端末10からステータス情報IS、ユーザー登録情報IR、および、携帯端末識別情報IAなどを受信する。
【0046】
CPU320は、記憶部340に格納されているコンピュータプログラムをRAM350に展開して実行することにより、判定部321と、通信制御部322としての機能を実現する。
【0047】
判定部321は、携帯端末10から送信されてきたステータス情報ISを用いて、各携帯端末について、無線LAN端末20の中継先として適しているか否かの判定をおこなう。具体的には、判定部321は、各携帯端末10のそれぞれのバッテリーの残量ARを比較し、残量ARが相対的に多い携帯端末を無線LAN端末20のデータを中継するのに適していると判定する。判定部321によるこの判定処理を「中継先端末判定処理」とも呼ぶ。
【0048】
通信制御部322は、通信部310を制御して、携帯端末10、および認証用サーバ装置40との間でデータのやりとりをおこなう。例えば、通信制御部322は、判定部321による判定結果を各携帯端末10に送信するとともに、携帯端末10から受信したステータス情報IS、ユーザー登録情報IR、および、携帯端末識別情報IAを記憶部340に格納する。
【0049】
記憶部340は、フラッシュROMおよび/またはハードディスク(HDD)を含んでいる。記憶部340には、各携帯端末10の携帯端末情報ITAが記憶されている。携帯端末情報ITAには、バッテリー残量AR、ユーザー登録情報IR、および、携帯端末識別情報IAが含まれている。
【0050】
A−2.インターネット接続システムの動作:
図5は、第1実施形態のインターネット接続システム1000の動作の流れを説明するためのシーケンス図である。各携帯端末(第1の携帯端末10aおよび第2の携帯端末10b)は、タッチパネル130(
図2)を介してユーザーからユーザー登録情報IRの入力を受け付けると、サーバ装置30に対してユーザー登録情報IRおよび携帯端末識別情報IAの送信をおこなう(ステップS101、S102)。携帯端末識別情報IAユーザーによるユーザー登録情報IRの入力、および、ユーザー登録情報IRと携帯端末識別情報IAのサーバ装置30への送信は、携帯端末10にインストールされているアプリの機能によって実現される。サーバ装置30の通信制御部322(
図4)は、各携帯端末10からユーザー登録情報IRと携帯端末識別情報IAを受信すると、携帯端末10に対して応答成功を送信し(ステップS103、S104)、受信したユーザー登録情報IRと携帯端末識別情報IAを記憶部340(
図4)に格納する。
【0051】
ユーザー登録情報IRと携帯端末識別情報IAを送信した各携帯端末10は、サーバ装置30に向けてステータス情報IS(
図3)の送信を開始する(ステップS111、S112)。携帯端末10がステータス情報ISを送信するタイミングは任意に設定することができる。例えば、携帯端末10は、予め設定された間隔毎に定期的にステータス情報ISを送信してもよいし、バッテリーの残量が予め設定された量以上減少したときにその都度、ステータス情報ISを送信してもよい。サーバ装置30の通信制御部322は、受信したステータス情報ISを記憶部340(
図4)に格納する。これにより、各携帯端末10の携帯端末情報ITAが記憶部340に設定される。通信制御部322は、ステータス情報を受信するたびに携帯端末情報ITAに含まれるバッテリー残量ARを更新するため、携帯端末情報ITAには最新のバッテリー残量ARが含まれる。
【0052】
ステータス情報ISを受信したサーバ装置30は、所定のタイミングにおいて、中継先端末判定処理をおこなう(ステップS121)。サーバ装置30が中継先端末判定処理を実行するタイミングについても任意に設定することができる。例えば、サーバ装置30は、前回の中継先端末判定処理の実行から予め設定された時間が経過したときに処理を実行してもよいし、同一の携帯端末10からステータス情報ISを特定の回数受信したときに処理を実行してもよい。
【0053】
図6は、第1実施形態の中継先端末判定処理の内容を説明するための説明図である。
図6の比較テーブルTCは、記憶部340に記憶されている各携帯端末10の携帯端末情報ITAの内容と対応している。中継先端末判定処理では、サーバ装置30の判定部321(
図4)は、携帯端末情報ITAから、各携帯端末10のバッテリー残量ARを比較し、バッテリー残量ARが相対的に多い1つの携帯端末10を無線LAN端末20の中継先に適していると判定する。
図6では、第1の携帯端末10aのバッテリー残量ARが第2の携帯端末10bのバッテリー残量ARよりも多いため、第1の携帯端末10aが無線LAN端末20の中継先に適しているとして「判定」フィールドに「ON」が示されている。一方、中継先として適していないと判定された第2の携帯端末10bの「判定」フィールドには「OFF」が示されている。
【0054】
図5に戻り、サーバ装置30は、中継先端末判定処理後、各携帯端末10に判定結果を送信する(ステップS131、S132)。具体的には、サーバ装置30は、無線LAN端末20の中継先に適していると判定した携帯端末10に対して、判定結果としてのデータ中継機能ON要求を送信し、他の携帯端末10に対しては、データ中継機能OFF要求を送信する。各携帯端末10の通信制御部124は、サーバ装置30から判定結果を受信すると、成功応答を送信する(ステップS133、S134)。また、各携帯端末10の切換部121(
図2)は、判定結果に応じて貸出用SSIDを用いたデータ中継機能のON/OFFの切り換えをおこなう。具体的には、データ中継機能ON要求を受信した携帯端末10の切換部121は、貸出用SSIDを用いたデータ中継機能をONにし、無線LAN端末20からの接続要求を受けると、無線LAN端末20との間に無線LANを確立するための接続処理をおこなう(ステップS135)。これにより、無線LAN端末20は、データ中継機能をONにした携帯端末10を介してインターネットINTに接続することができる。接続処理の手順については、
図7を用いて後述する。データ中継機能OFF要求を受信した携帯端末10の切換部121は、貸出用SSIDを用いたデータ中継機能をOFFにする(ステップS136)。データ中継機能ON要求およびデータ中継機能OFF要求は特許請求の範囲の「切替情報」に該当する。
【0055】
各携帯端末10の通信制御部124は、サーバ装置30に向けてステータス情報ISの送信を継続する(ステップS141、S142)。サーバ装置30は、再度、所定のタイミングとなったときに中継先端末判定処理をおこなう(ステップS150)。その後の処理の流れは、上述したステップS131〜S142と同様である(ステップS161〜S164)。
【0056】
図7は、データ中継機能をONにした携帯端末10に無線LAN端末20が接続する手順を説明するためのシーケンス図である。サーバ装置30からデータ中継機能ON要求を受信した携帯端末10の通信制御部124は、サーバ装置30に対して成功応答を送信するともに、データ中継機能および無線LANアクセスポイント機能を有効にし、ビーコンの発信を開始する(ステップS200、S211、S212、S221)。無線LAN端末20は、携帯端末10のビーコンを検出したら、そのビーコンに格納されているSSID値と、自身の中に登録されている無線接続設定プロファイルのSSID値とが一致するかどうかを判別し、一致している場合はその無線接続設定プロファイルに登録されている設定値を用いて携帯端末10への無線LAN接続を確立する。すなわち、携帯端末10との間でプローブ要求・応答(ステップS222)、アソシエーション要求・応答(ステップS223)のやりとりをおこなう。
【0057】
携帯端末10と無線LAN端末20との間の無線LANが確立された後、認証方式がIEEE802.1xやWPA−EAP、WPA2−EAPの場合には、無線LAN端末20は、EAP認証情報を携帯端末10に送信する(ステップS225)。携帯端末10は、無線LAN端末20から受信したEAP認証情報を認証用サーバ装置40に送信する(ステップS226)。認証用サーバ装置40は、受信したEAP認証情報を用いて、無線LAN端末20が予め登録された端末(またはユーザー)か否かの照会をおこなう。認証が完了すると、認証用サーバ装置40は、認証結果を携帯端末10に送信する(ステップS227)。携帯端末10は、認証結果を無線LAN端末20に通知する(ステップS228)。なお、上述した認証用サーバ装置40による認証の手続き(例えば、ステップS225〜S228)は上記に限定されない。
【0058】
携帯端末10は、認証が成功した旨の認証結果を受信すると、携帯端末10の通信制御部124によって、無線LAN端末20と移動体通信ネットワークMCNとの間のデータの中継を開始する。認証の成功によって、携帯端末10に接続されている無線LAN端末20がプロバイダー会員の端末であると考えられるためである。一方、携帯端末10は、認証が成功しなかった旨の認証結果を受信すると、無線LAN端末20のデータ中継をおこなわない。携帯端末10に接続されている無線LAN端末20がプロバイダー会員以外の者の端末であると考えられるためである。
【0059】
携帯端末10は、無線LAN端末20のデータ中継をおこなっているとき、無線LAN端末20のインターネットINTへの接続状況を示す端末接続状況情報をサーバ装置30に送信する(ステップS231)。端末接続状況情報には、例えば、以下の情報が含まれている。
(1)無線LAN端末20の識別情報(無線LAN識別情報)IB
(2)インターネットへの接続開始日時および/または接続終了日時
(3)携帯端末識別情報IA
無線LAN識別情報IBとしては、例えば、MACアドレス等を例示することができる。携帯端末10は、例えば、無線LAN端末20との間で無線LANを確立する際などに無線LAN端末20から無線LAN識別情報IBを受信する。携帯端末10が端末接続状況情報を送信するタイミングは任意とすることができる。例えば、携帯端末10は、無線LAN端末20をインターネットINTに接続したときや、接続を終了したときに端末接続状況情報を送信してもよい。また、携帯端末10は、一定の間隔で定期的に端末接続状況情報を送信してもよい。
【0060】
サーバ装置30は、端末接続状況情報を用いて、無線LAN端末20のインターネットへの接続時間や、携帯端末10のデータ中継機能の貸し出し時間等を特定することができる。これにより、例えば、インターネットサービスプロバイダーは、無線LAN端末20の所有者に対して、インターネットへの接続時間に応じた課金をおこなうことができる。また、例えば、インターネットサービスプロバイダーは、携帯端末10の所有者に対して、データ中継機能の貸し出し時間に応じた費用の支払いなどをおこなうことができる。
【0061】
図8は、第1実施形態のインターネット接続システム1000の効果の一例を説明するための説明図である。
図8に示すように、第1実施形態のインターネット接続システム1000によれば、サーバ装置30は、インターネット接続システム1000に含まれる携帯端末10のうち、バッテリー残量ARが多い携帯端末10(ここでは、第1の携帯端末10a)を無線LAN端末20の接続先に選択することができる。そのため、中継先の携帯端末10のバッテリーがなくなることによって、無線LAN端末がインターネットに接続されなくなる問題の発生を抑制することができる。
【0062】
また、第1実施形態のインターネット接続システム1000によれば、サーバ装置30は、判定結果を送信することによって、各携帯端末10のデータ中継機能のON/OFFの切り換えをおこなうことができるため、各携帯端末10は、インターネットINTへの接続を希望するすべての無線LAN端末20と順次無線LAN接続する必要がなく、バッテリー162の消費を抑制することができる。また、サーバ装置30が各携帯端末10のデータ中継機能のON/OFF
を切り替えるため、無線LAN端末20は、各携帯端末10からステータス情報ISを取得する必要がなく、無線LAN端末20がデータの中継先となる携帯端末10を特定する時間の短縮を図ることができる。また、第1実施形態のインターネット接続システム1000によれば、携帯端末10のデータ中継機能がONされていないことによって無線LAN端末20がインターネットに接続できない問題の発生を抑制することができる。また、サーバ装置30は、バッテリー残量が相対的に少ない携帯端末10のデータ中継機能をOFFにさせるため、複数の携帯端末10が近くに集中している場合であっても、電波干渉の発生を抑制することができる。
【0063】
B.第2実施形態:
図9は、第2実施形態のインターネット接続システム1001の概略構成を説明するための図である。第2実施形態のインターネット接続システム1001は、第1実施形態のインターネット接続システム1000(
図1)と比較すると、主に、無線LAN端末21が定期的に無線LAN端末識別情報IBを外部に向けて発信する点と、携帯端末11が無線LAN端末21から受信した無線LAN端末識別情報IBを保持する点と、サーバ装置31の中継先端末判定処理の内容が異なる。それ以外の構成は、第1実施形態のインターネット接続システム1000と同様である。説明の便宜上、第2実施形態のインターネット接続システム1001は、4つの携帯端末11と、2つの無線LAN端末21を備えているが、携帯端末11の数は2以上であればよく、無線LAN端末21の数は、1以上であればよい。以後、インターネット接続システム1001に含まれる各携帯端末11を区別する場合には、「第Nの携帯端末11m」(N=1〜4、m=a〜d)とも呼び、各無線LAN端末21を区別する場合には、「第Xの無線LAN端末21y」(X=1、2、y=a、b)とも呼ぶ。本実施形態では、第1の無線LAN端末21aは、4つの携帯端末11のうち、第1の携帯端末11aおよび第2の携帯端末11bの2つの携帯端末と無線LAN通信可能な位置にあり、第2の無線LAN端末21bは、4つの携帯端末11のうち、第3の携帯端末11cおよび第4の携帯端末11dの2つの携帯端末と無線LAN通信可能な位置にあるものとして説明する。
【0064】
図10は、第2実施形態の携帯端末11の内部構成を例示した説明図である。第2実施形態の携帯端末11は、第1実施形態の携帯端末10(
図2)と比較すると、記憶部141に無線LAN端末識別情報IBが格納されている点が異なる。携帯端末11の通信制御部124は、自端末と無線通信可能な距離内(範囲)に存在する無線LAN端末21から定期的に無線LAN端末識別情報IBを受信すると、受信した無線LAN端末識別情報IBを記憶部141に格納する。すなわち、第2実施形態の携帯端末11は、自装置との間で無線LAN通信が可能な距離内に存在する無線LAN端末21の識別情報IBを保持している。
【0065】
図11は、第2実施形態のステータス情報IS2の内容を説明するための説明図である。第2実施形態のステータス情報IS2には、携帯端末識別情報IAと、バッテリー残量ARのほか、無線LAN端末21から受信した無線LAN端末識別情報IBが含まれている。すなわち、第2実施形態のステータス情報IS2には、ステータス情報IS2を送信する携帯端末11がデータ中継可能な距離内に存在する無線LAN端末21の無線LAN端末識別情報IBが含まれている。無線LAN識別情報IBとしては、例えば、MACアドレス等を例示することができる。
【0066】
図12は、第2実施形態のサーバ装置31の内部構成を例示した説明図である。第2実施形態のサーバ装置31は、第1実施形態のサーバ装置30(
図4)と比較すると、記憶部341に無線LAN端末識別情報IBが格納されている点が異なる。第2実施形態の携帯端末情報ITAには、バッテリー残量AR、ユーザー登録情報IR、携帯端末識別情報IAのほか、無線LAN端末識別情報IBが含まれている。
【0067】
図13は、第2実施形態のサーバ装置31による中継先端末判定処理の内容を説明するための説明図である。
図13の比較テーブルTC2は、サーバ装置31(
図12)の記憶部341に記憶されている各携帯端末11の携帯端末情報ITAの内容と対応している。サーバ装置31の判定部321(
図12)は、無線LAN端末21ごとに中継先となる携帯端末11を選択する。具体的には、判定部321は、まず、第1の無線LAN端末21aとの間でデータ中継が可能な携帯端末(第1の携帯端末11aおよび第2の携帯端末11b)のバッテリー残量ARを比較し、残量ARが相対的に多い1つの携帯端末(第1の携帯端末11a)を第1の無線LAN端末21aの中継先に適していると判定する。次に、第2の無線LAN端末21bとの間でデータ中継が可能な携帯端末(第3の携帯端末11cおよび第4の携帯端末11d)のバッテリー残量ARを比較し、残量ARが相対的に多い1つの携帯端末(第4の携帯端末11d)を第2の無線LAN端末21bの中継先に適していると判定する。その結果、
図13では、第1の携帯端末11aと第4の携帯端末11dの「判定」フィールドに「ON」が示されている。
【0068】
図14は、第2実施形態のインターネット接続システム1001の効果の一例を説明するための説明図である。第2実施形態のインターネット接続システム1001によれば、サーバ装置31は、インターネット接続システム1001に含まれる無線LAN端末21ごとにデータの中継先となる携帯端末11を選択することができる。例えば、
図14に示すように、サーバ装置31は、第1の無線LAN端末21aに対して、第1の無線LAN端末21aの付近の携帯端末のうち、バッテリー残量が相対的に多い第1の携帯端末11aを中継先に選択する。一方、第2の無線LAN端末21bに対して、第2の無線LAN端末21bの付近の携帯端末のうち、バッテリー残量が相対的に多い第4の携帯端末11dを中継先に選択する。この構成によれば、例えば、複数の無線LAN端末21が互いに近接していても、サーバ装置31は、各無線LAN端末21のそれぞれに対応する接続先の携帯端末を選択することができる。また、例えば、コネクションを確立している携帯端末と無線LAN端末との間の距離が変化してコネクションが切断されても、新たに、無線LAN端末付近の携帯端末が接続先として選択されるため、無線LAN端末はその携帯端末との間においてコネクションを確立することができる。
【0069】
C.第3実施形態:
第3実施形態のインターネット接続システムは、各携帯端末について、貸出用SSIDを貸し出し可能な時間帯(貸出時間帯)を設定することができる。第3実施形態のインターネット接続システムは、サーバ装置の構成以外は、第1実施形態のインターネット接続システム1000(
図1)と同様である。
【0070】
図15は、第3実施形態のサーバ装置32の内部構成を例示した説明図である。第3実施形態のサーバ装置32は、第1実施形態のサーバ装置30(
図4)と比較すると、記憶部342に貸出許可時間情報IFが格納されている点が異なる。第3実施形態の携帯端末情報ITAには、バッテリー残量AR、ユーザー登録情報IR、携帯端末識別情報IAのほか、貸出許可時間情報IFが含まれている。
【0071】
図16は、貸出許可時間情報IFの内容を説明するための説明図である。貸出許可時間情報IFは、各携帯端末10の携帯端末識別情報IAと対応付けられた貸出許可時間帯TSを含んでいる。貸出許可時間帯TSとは、携帯端末10の所有者が、他人に貸し出すことを許可する時間帯であり、ユーザー登録情報IRの登録時に設定される。すなわち、第3実施形態のユーザー登録情報IRには、例えば、以下の情報が含まれている。
(1)貸し出し合意会員になる意思確認
(2)携帯端末10の所有者の住所、氏名
(3)貸出許可時間帯TS
なお、貸出許可時間帯TSには、貸し出しを許可する時間帯のほか、常に貸し出しをおこなうモードや、携帯端末10の不使用時にのみ貸し出しをおこなうモード等が設定されてもよい。また、これらのユーザー登録情報は、初回のユーザー登録時だけでなく、後で変更することもできる。
【0072】
図17は、第3実施形態の中継先端末判定処理の内容を説明するための説明図である。
図17の比較テーブルTC3は、サーバ装置32(
図15)の記憶部342に記憶されている各携帯端末10の携帯端末情報ITAの内容と対応している。サーバ装置32の判定部321は、特定の時刻(ここでは、現在時刻)において貸し出し可能な携帯端末10のうち、バッテリー残量ARが相対的に多い1つの携帯端末10を無線LAN端末20の中継先に適していると判定する。
図17では、現在時刻(18:30)において、貸し出し可能な携帯端末10は、第2の携帯端末10bであるため、第2の携帯端末10bが無線LAN端末20の中継先に適しているとして「判定」フィールドに「ON」が示されている。一方、貸出時刻でなない第2の携帯端末10bの「判定」フィールドには「OFF」が示されている。なお、特定の時刻は、現在時刻に限定されず、予め設定された、任意のタイミングにおける時刻とすることができる。例えば、特定の時刻は、サーバ装置32の判定部321が中継先端末判定処理する直前の時刻であってもよいし、サーバ装置32が特定の処理を実行するときの時刻であってもよい。
【0073】
以上説明した、第3実施形態のインターネット接続システムによれば、サーバ装置32は、特定の時刻(例えば、現在時刻)が、データの中継が可能な時間帯となっている携帯端末10に無線LAN端末20のデータの中継をおこなわせることができる。そのため、例えば、携帯端末10の所有者が携帯端末10を使用する頻度が高い時間帯には、無線LAN端末20のデータの中継をおこなわせないようにすることができる。これにより、他人の無線LAN端末20のデータ中継によって、携帯端末10の所有者が携帯端末10を使用する際にバッテリー162がなくなっている問題の発生を抑制することができる。
【0074】
D.第4実施形態:
第4実施形態のインターネット接続システムは、ステータス情報ISに含まれるパラメータ、すなわち、携帯端末10の通信機能の使用量または使用頻度に相関するパラメータとして携帯端末10のパケットの通信量を使用する。パケットの通信量は、携帯端末10の通信機能の使用量または使用頻度におおむね比例する。第4実施形態のインターネット接続システムは、携帯端末とサーバ装置の構成以外は、第1実施形態のインターネット接続システム1000(
図1)と同様である。
【0075】
図18は、第4実施形態の携帯端末12の内部構成を例示した説明図である。第4実施形態の携帯端末12は、第1実施形態の携帯端末10(
図2)と比較すると、CPU125の機能が一部異なる。第4実施形態のCPU125は、切換部121と、生成部122と、表示制御部123と、通信制御部124としての機能のほか、通信量検出部126としての機能を実現する。通信量検出部126は、特定の期間ごとに通信部110を介して移動体通信ネットワークMCNとの間で送受信されるパケットの通信量〔MB:メガバイト〕を検出する。特定の期間については任意に設定することができる。例えば、通信量検出部126は、各月毎のパケットの累積通信量を検出してもよいし、60秒ごとや、プロバイダーの費用請求の締め日ごとの累積通信量を検出してもよい。
【0076】
携帯端末11の通信制御部124は、通信量検出部126によって検出されたパケット通信量APを含むステータス情報ISをサーバ装置30に送信する。携帯端末10は、例えば、通信量検出部126がパケット通信量を検出する都度、ステータス情報ISを送信してもよい。
【0077】
図19は、第4実施形態のステータス情報IS3の内容を説明するための説明図である。第4実施形態のステータス情報IS3は、第1実施形態のステータス情報IS(
図3)と比較すると、バッテリー残量ARの代わりにパケット通信量APが含まれている。本実施形態では、パケット通信量APはデータ量として示されているが、パケット通信量APは、パケット数であってもよい。
【0078】
図20は、第4実施形態の中継先端末判定処理の内容を説明するための説明図である。
図20の比較テーブルTC4は、第4実施形態のサーバ装置30(
図4)の記憶部340に記憶されている各携帯端末12の携帯端末情報ITAの内容と対応している。サーバ装置30の判定部321は、携帯端末情報ITAから、各携帯端末10のパケット通信量APを比較し、パケット通信量APが相対的に少ない1つの携帯端末12を無線LAN端末20の中継先に適していると判定する。
図20では、第2の携帯端末12bのパケット通信量APが第1の携帯端末12aのパケット通信量APよりも少ないため、第2の携帯端末12bが無線LAN端末20の中継先に適しているとして「判定」フィールドに「ON」が示されている。
【0079】
以上説明した、第4実施形態のインターネット接続システムによれば、サーバ装置30は、インターネット接続システムに含まれる携帯端末12のうち、パケット通信量APが相対的に少ない携帯端末12を無線LAN端末20の接続先に選択する。そのため、相対的に通信機能の使用頻度や使用量の少ない携帯端末12を選択することができる。通信機能の使用頻度や使用量の少ない携帯端末12は、バッテリーの残量が比較的多いと考えられるため、本実施形態のインターネット接続システムによれば、中継先の携帯端末12のバッテリーがなくなることによって、無線LAN端末がインターネットに接続されなくなる問題の発生を抑制することができる。また、携帯端末12の所有者が携帯端末10を使用するときにバッテリーが無くなってしまう問題の発生を抑制することができる。
【0080】
E.変形例:
なお、この発明は上記の実施形態や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0081】
E−1.第1変形例:
第1実施形態では、サーバ装置30の判定部321は、インターネット接続システム1000に含まれる複数の携帯端末10のうち、バッテリー残量ARが相対的に多い1つの携帯端末10を無線LAN端末20のデータの中継先に選択するものとして説明した。しかし、サーバ装置30の判定部321は、バッテリー残量ARが相対的に多い複数の携帯端末10を無線LAN端末20のデータの中継先に選択してもよい。
【0082】
E−2.第2変形例:
第1実施形態のサーバ装置30の判定部321は、各携帯端末10のバッテリー残量ARを相対的に比較するのではなく、各携帯端末10のバッテリー残量ARを閾値と比較し、閾値よりもバッテリー残量ARが多いすべての携帯端末10を無線LAN端末20のデータの中継先に選択するように構成してもよい。
【0083】
E−3.第3変形例:
第1実施形態のサーバ装置30の判定部321は、各携帯端末10のバッテリー残量ARを閾値と比較するとともに、バッテリー残量ARが閾値よりも多い携帯端末10のバッテリー残量ARを相対的に比較して無線LAN端末20のデータの中継先を選択するように構成してもよい。例えば、サーバ装置30の判定部321は、バッテリー残量ARが閾値よりも多い携帯端末10のうち、バッテリー残量ARが相対的に多い所定数(例えば2つ)の携帯端末10を無線LAN端末20のデータの中継先に選択するように構成してもよい。閾値よりも多い携帯端末10が所定数より少ない場合は、全ての携帯端末10を中継先に選択するように構成してもよい。
【0084】
E−4.第4変形例:
第1実施形態の携帯端末10は、移動体通信ネットワークMCNを介してサーバ装置30や認証用サーバ装置40と接続されるものとして説明した。しかし、携帯端末10は、移動体通信ネットワークMCN以外のネットワークを介してインターネットINTに接続される機能を備えていてもよい。例えば、携帯端末10は、固定WAN回線を介してインターネットINTに接続されている無線LANルータ(例えば、HGW:Home Gate Way)に対して無線LAN子機としてコネクションを確立し、HGWを介して、インターネットINTに接続される機能を備えていてもよい。すなわち、携帯端末10は、携帯端末10に無線LAN接続される子機(無線LAN端末)とHGWとの間をブリッジする機能を備えていてもよい。この場合、携帯端末10は、インターネットINTを介してサーバ装置30から判定結果を受信すると、HGWとの間の無線LAN接続を解除し、無線LAN端末20と無線LAN接続し、
図1のように、移動体通信ネットワークMCNを介してサーバ装置30や認証用サーバ装置40に接続される。なお、携帯端末10は、判定結果を受信したときに、HGWとの間の無線LAN接続を維持したまま、無線LAN端末20と無線LAN接続し、固定WAN回線を介して無線LAN端末20をインターネットINTに接続してもよい。
【0085】
E−5.第5変形例:
第1〜第4実施形態のインターネット接続システムの構成、および、変形例のインターネット接続システムの構成は任意に組み合わせることができる。例えば、第2実施形態のインターネット接続システム1000において、ステータス情報ISにバッテリー残量ARの代わりにパケット通信量APが含まれていてもよい。また、第3実施形態のインターネット接続システムにおいて、ステータス情報ISに無線LAN端末識別情報IBが含まれていてもよい。
【0086】
E−6.第6変形例:
ステータス情報ISに含まれる情報は、上記実施形態に限定されない。例えば、ステータス情報ISには、現在、携帯端末10のデータ中継機能がONかOFFかの情報が含まれていてもよい。このようにすることによって、例えば、既にデータ中継機能がONの携帯端末10に対して、データ中継機能ON要求の送信を省略することができる。また、データ中継機能がONの携帯端末10が送信するステータス情報ISには、自端末に接続している無線LAN端末20の台数情報が含まれてもよい。このようにすることによって、例えば、サーバ装置30は、携帯端末10に接続されている無線LAN端末の台数に増減があったときに中継端末判定処理をおこなうことができる。
【0087】
E−7.第7変形例:
端末接続状況情報に含まれる情報は、上記実施形態に限定されない。端末接続状況情報には、例えば、自端末に接続している無線LAN端末20の台数情報が含まれてもよい。また、端末接続状況情報には、自端末の無線LAN通信のリンク速度、または/および、移動体通信の通信速度が含まれていてもよい。このようにすることによって、例えば、サーバ装置30は、無線LAN接続のリンク速度の速い携帯端末10(例えば11a<11n<11ac、11b<11g<11n)に無線LAN端末20を接続させることができる。また、移動体通信の通信速度の速い携帯端末10(3G<LTE等)に無線LAN端末20を接続させることができる。
【0088】
E−8.第8変形例:
貸出許可時間帯TSに含まれる情報は、上記実施形態に限定されない。貸出許可時間帯TSには、貸し出しを許可する時間帯だけでなく、貸出可能な通信残時間が含まれていてもよい。この通信残時間は、予めユーザー等によって設定された最大貸出許可時間(例えば、1時間)のうち、無線LAN端末20のデータ中継をおこなった(例えば、36分)後の残りの時間である(ここでは、通信残時間=24分)。このようにすることによって、サーバ装置30は、通信
残時間が長い携帯端末10に無線LAN端末20を接続させることができる。