特許第6205957号(P6205957)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6205957風力発電装置及び風力発電装置の冷却方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6205957
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】風力発電装置及び風力発電装置の冷却方法
(51)【国際特許分類】
   F03D 80/60 20160101AFI20170925BHJP
【FI】
   F03D80/60
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-160998(P2013-160998)
(22)【出願日】2013年8月2日
(65)【公開番号】特開2015-31200(P2015-31200A)
(43)【公開日】2015年2月16日
【審査請求日】2016年7月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006105
【氏名又は名称】株式会社明電舎
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100104938
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜澤 英久
(74)【代理人】
【識別番号】100096459
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 剛
(72)【発明者】
【氏名】小野 夢樹
【審査官】 岩田 健一
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2012/0156053(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0140952(US,A1)
【文献】 特開2011−196183(JP,A)
【文献】 特開2012−072684(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03D 80/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
風力エネルギーを動力として発電する発電機と、
前記発電機で発電された電力の変換を行う電力変換器盤と、
前記電力変換器盤を冷却する冷却装置と、
前記電力変換器盤と前記冷却装置を格納するナセルと、
前記ナセルを、外気が流通する空間と、外気を取り入れる開口部を有さない空間と、に隔てる仕切板と、を備え、
前記電力変換器盤は、前記外気を取り入れる開口部を有さない空間に備えられ、
前記冷却装置は、前記電力変換器盤の熱を冷却する冷却液が循環する冷却液循環路と、前記外気が流通する空間に設けられ前記冷却液を冷却するラジエタと、前記ラジエタを冷却する冷却ファンとを備え、
前記冷却ファンは、前記発電機の回転軸の回動に応じて駆動される
ことを特徴とする風力発電装置。
【請求項2】
前記発電機の回転軸と前記冷却ファンの回転軸とを動力伝達機構を介して接続する
ことを特徴とする請求項1に記載の風力発電装置。
【請求項3】
前記発電機の回転軸の回動に応じて圧縮空気を生成する圧縮機と、
前記圧縮機の圧縮空気で駆動されるエアモータと、を備え、
前記エアモータで前記冷却ファンを駆動する
ことを特徴とする請求項1に記載の風力発電装置。
【請求項4】
前記発電機の回転軸の回動に応じて動作する油圧ポンプを備え、
前記油圧ポンプで前記冷却ファンを駆動する
ことを特徴とする請求項1に記載の風力発電装置。
【請求項5】
風力エネルギーを動力として発電する発電機と、
前記発電機で発電された電力の変換を行う電力変換器盤と、
前記電力変換器盤を冷却する冷却装置と、
前記電力変換器盤と前記冷却装置を格納するナセルと、
前記ナセルを、外気が流通する空間と、外気を取り入れる開口部を有さない空間と、に隔てる仕切板と、を備え、
前記電力変換器盤を、前記外気を取り入れる開口部を有さない空間に備え、
前記冷却装置が、前記電力変換器盤の熱を冷却する冷却液が循環する冷却液循環路と、前記外気が流通する空間に設けられ前記冷却液を冷却するラジエタと、前記ラジエタを冷却する冷却ファンとを備えた風力発電装置の冷却方法であって、
前記電力変換器盤の近傍に冷却液を流通させ、該電力変換器盤の熱を冷却液に熱交換し、
前記冷却液を外気が流通する空間に循環させ、前記ラジエタを介して前記冷却液の熱を外気に放熱させ、
記冷却ファンを、前記発電機の回転軸の回動に応じて駆動させる
ことを特徴とする風力発電装置の冷却方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風力発電装置及び風力発電装置の冷却方法に関する。
【背景技術】
【0002】
風力エネルギーを利用して発電を行う発電装置やポンプ等を駆動する駆動装置が知られている(例えば、特許文献1−5)。
【0003】
図4は、従来技術に係る風力発電装置33の構成を示す図である。風力発電装置33は、風車34と、発電機4と、タワートップ3とを有する。
【0004】
風車34は、発電機4に接続される回転軸35と、回転軸35の端部に設けられるハブ36と、ハブ36から回転軸35の径方向に立設される風車ブレード37,38,39と、を有する。
【0005】
発電機4は、風車34の回転運動を電力に変換する。一般的に、増速器を有さない発電機4は、タワートップ3の側端部に設けられ、増速器を有する発電機は、タワートップ3内に配置される。
【0006】
タワートップ3は、タワーベース40から立設するタワー2の上端部に設けられ、電力変換器盤6、連系変圧器41、風車制御盤42、冷却装置43を格納する。
【0007】
電力変換器盤6は、例えば、AC−DC−AC電力変換器盤である。電力変換器盤6は、発電機4の端子箱4aに接続された電力ケーブル17を介して発電機4と接続され、発電機4で発電された電力が電力変換器盤6に供給される。さらに、電力変換器盤6は、電力ケーブル44を介して連系変圧器41が接続され、電力変換器盤6で変換された電力が連系変圧器41を介して配電線網に供給される。なお、連系変圧器41には、電力ケーブル18を介して遮断機45が接続され、変電所(図示せず)と風車34(発電機4)との遮断が可能となっている。
【0008】
風車制御盤42は、風車全体を統括制御するものであり、例えば、ブレード37,38,39の取付け角(ピッチ角度)や電力変換器盤6を制御し、強風等から風車34を保護する。なお、図示省略しているが、タワーベース40にも風車制御盤が設けられ、タワートップ3側の風車制御盤42とタワーベース40側の風車制御盤とが通信回線を通して通信を行い、風車34の制御が行われる。
【0009】
冷却装置43は、例えば、空冷や水冷により電力変換器盤6等の発熱部を冷却する。
【0010】
上記のような電力変換器盤6等の機器は、タワートップ3またはタワーベース40に配置される。電力変換器盤6等の機器をタワーベース40に配置した場合、場合によっては冷却装置43がタワーベース40の外に配置されることがある。このように冷却装置43がタワーベース40の外に配置されると、冷却装置43がクレーン等の建設機の邪魔になるおそれや建設工程の複雑化をまねくおそれがある。
【0011】
これに対して、タワートップ3に電力変換器盤6等の機器を配置すると、タワーベース40をスリム化することができる。また、地表より上空の方がより風が吹くため、風を冷却に有効に利用することができる。また、タワートップ3を工場で組み立てて出荷することで、現地建設工程を簡略化することもできる。
【0012】
しかし、電力変換器盤6等の機器をタワートップ3に配置した場合、タワートップ3の放熱性が低下することが懸念される。そこで、タワートップ3での放熱性を向上させる一手段として、タワートップ3の大きさを大きくして、タワートップ3における機器の占有面積や占有体積を小さくすることが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開平9−252563号公報
【特許文献2】特表2003−504562号公報
【特許文献3】特開2012−77687号公報
【特許文献4】特開2005−180237号公報
【特許文献5】特表2013−501891号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、タワートップ3の大きさを大きくすると、その分タワー2やタワーベース40を構成する部材の強度を大きくする必要が生じるおそれがある。
【0015】
タワートップ3の大きさを大きくすることなく、タワートップ3に設けられた機器の放熱性を向上させる技術として、タワートップ3内部に外気を取り入れ、この外気を直接発熱部(インバータ装置等)に吹き付ける技術が提案されている(例えば、特許文献1)。しかし、発熱部に直接外気を吹き付けると、発熱部が外気中の塩分や水分等により腐食されてしまうおそれがある。
【0016】
そこで、タワー2及びタワートップ3内に閉回路となるように冷却路を形成し、タワー2及びタワートップ3を放熱器として利用することで、外気を取り入れずにタワートップ3内部を冷却する方法が提案されている(例えば、特許文献2)。しかし、機器の占有面積や占有体積が大きいタワートップ3部での放熱性が不十分となるおそれがある。
【0017】
上記事情に鑑み、本発明は、風力発電装置において、タワートップ内部の放熱性の向上及びタワートップの小型化に貢献する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を達成する本発明の風力発電装置は、風力エネルギーを動力として発電する発電機を有する風力発電装置であって、前記風力発電装置の発熱部の熱を冷却する冷却液が循環する冷却液循環路と、前記冷却液を冷却するラジエタと、前記ラジエタを冷却する冷却ファンとを有する冷却装置を備え、前記冷却ファンを前記発電機の回転軸の回動に応じて駆動することを特徴としている。
【0019】
また、上記目的を達成する本発明の風力発電装置の冷却方法は、風力エネルギーを動力として発電する発電機を有する風力発電装置の冷却方法であって、前記風力発電装置の発熱部近傍に冷却液を流通させ、該発熱部の熱を冷却液に熱交換し、前記冷却液の熱を外気に放熱するラジエタを冷却する冷却ファンを、前記発電機の回転軸の回動に応じて駆動させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0020】
以上の発明によれば、風力発電装置のタワートップ内部の放熱性の向上及びタワートップの小型化に貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】(a)本発明の第1実施形態に係る風力発電装置のタワートップ部分の縦断面図、(b)同部分の上面図である。
図2】本発明の第2実施形態に係る風力発電装置のタワートップ部分の縦断面図である。
図3】(a)本発明の第2実施形態に係る風力発電装置の他例を示すタワートップ部分の縦断面図、(b)本発明の第2実施形態に係る風力発電装置の他例を示すタワートップ部分の縦断面図である。
図4】従来技術に係る風力発電装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の風力発電装置及び風力発電装置の冷却方法について、図を参照して詳細に説明する。なお、図1〜3に示す図は、本発明の実施形態に係る風力発電装置を模式的に示したものであり、図面上の寸法比と実際の寸法比とは必ずしも一致するものではない。また、各実施形態に係る風力発電装置は、図4に示した従来技術に係る風力発電装置とタワートップ内部の構造が異なり、他の部分は同じである。したがって、異なる部分について詳細に説明する。
【0023】
(第1実施形態)
図1(a),(b)に本発明の第1実施形態に係る風力発電装置1のタワートップ3部分の縦断面図及び上面図を示す。
【0024】
図1(a)に示すように、風力発電装置1は、タワー2の上端部に設けられるタワートップ3と、タワートップ3の側端部に設けられる発電機4と、を備える。
【0025】
発電機4は、風車(図示せず)の回転運動を電力に変換する。図に示すように増速器を有さない発電機4はタワートップ3の側端部に設けられる。なお、発電機が増速器を有する場合は、発電機及び増速器はタワートップ3内に配置される。発電機4の回転軸には回転動力伝達軸5が直結され、発電時に発電機4の回転軸の回転に応じて回転動力伝達軸5が回転する。
【0026】
タワートップ3は、ナセルまたはサブフレームと称されるものであり、電力変換器盤6及び冷却装置7を格納する。
【0027】
電力変換器盤6は、例えば、AC−DC−AC電力変換器(コンバータ)盤である。電力変換器盤6は、タワートップ3(ナセル)に格納されている。電力変換器盤6には、電力ケーブル17を介して発電機4が接続されており、発電機4で発電された電力が電力変換器盤6に供給される。さらに、電力変換器盤6で変換された電力は、連系変圧器(図示せず)及び電力ケーブル18を介して配電線網に供給される。なお、図1(b)に示すように、実施形態の説明では、電力変換器盤6が回転動力伝達軸5を挟んで2つ設けられた、いわゆる2面構成の例を示しているが、電力変換器盤6の数は特に限定されるものではなく、電力変換器盤6を1面構成としてもよい。
【0028】
冷却装置7は、電力変換器盤6の内部に冷却液を流通させる冷却液循環路8,9と、冷却液を冷却するラジエタ10と、冷却ファン11とを有する。
【0029】
冷却液循環路8,9は、電力変換器盤6の発熱部(インバータやコンバータ等)近傍まで延設されており、電力変換器盤6の発熱部近傍へ冷却液を流通させる。また、冷却液循環路8,9はラジエタ10に接続されており、ラジエタ10で冷却液と外気との熱交換が行われる。なお、冷却液循環路9には冷却液を循環させるための循環ポンプ12が設けられ、循環ポンプ12は制御盤13により制御される。制御盤13の循環ポンプ12の制御は、例えば、循環ポンプ12を一定速で運転する、または、冷却液の温度が所定の値となったときに循環ポンプ12を一定速で運転する、または、冷却液の液温が一定となるように循環ポンプ12を速度制御する等の方法により行われる。冷却液は、主に水が用いられるが、他の液体を用いてもよい。また、冷却液に水を使用する場合に、冷却液に防錆剤や不凍液(エチレングリコール等)を添加してもよい。
【0030】
冷却ファン11は、回転動力伝達軸5のラジエタ10と対向する端部に、冷却ファン11の回転軸が回転動力伝達軸5の回転軸と同軸となるように設けられる。そして、回転動力伝達軸5の回転に応じて冷却ファン11が駆動される。冷却ファン11が駆動すると、冷却風がラジエタ10に送風され、ラジエタ10における冷却液と外気との熱交換がさらに促進される。
【0031】
なお、タワートップ3内には仕切板14が設けられ、タワートップ3内部が2つの空間に隔てられる。一方の空間は、少なくともラジエタ10及び冷却ファン11が設けられる空間であって、外気が流入または流出する開口部15,16がタワートップ3の外壁部に形成された空間である。すなわち、この空間は、外気が流通する空間である。他方の空間は、少なくとも電力変換器盤6が設けられる空間であり、この空間には、外気を取り入れる開口部が形成されない。すなわち、他方の空間に設けられる機器は、外気からの腐食や汚損から保護されることとなる。
【0032】
次に、風力発電装置1における電力変換器盤6の冷却方法について説明する。風車が回転して発電機4で発電が開始されると、発電機4の発電とともに回転動力伝達軸5が回転する。回転動力伝達軸5の回転に応じて冷却ファン11が駆動し、ラジエタ10に冷却風が送風される。その結果、冷却液循環路8,9を循環している冷却液は、ラジエタ10において冷却風により冷却される。なお、制御盤13が循環ポンプ12を駆動している場合は、冷却液は、ラジエタ10から冷却液循環路9(または、冷却液循環路8)を通って電力変換器盤6の発熱部近傍を流通し、発熱部を冷却した冷却液が冷却液循環路8(または、冷却液循環路9)を通って再びラジエタ10に戻ることとなる。このようにして、電力変換器盤6で発生した熱は冷却液循環路8,9を循環する冷却液に放出され、冷却液の熱はラジエタ10から外気に放出される。
【0033】
以上のような風力発電装置1によれば、冷却液を循環させて電力変換器盤6等の発熱部を冷却するので冷却装置7を小型化することができる。また、冷却装置7に液冷を用いることで、電力変換器盤6等の発熱部の放熱性が向上する。したがって、電力変換器盤6等の集積度を上げ電力変換器盤6を小型化したり、タワートップ3内に電力変換器盤6等の装置を密集して配置したりすることができる。その結果、空冷式の冷却装置を用いた場合よりもタワートップ3を小型化することができる。
【0034】
従来技術に係る風力発電装置において、発熱部を液冷により冷却する場合、風力発電装置に設けられる設備の温度(若しくは、風力発電装置内温度)に応じて冷却ファンを駆動させる必要があり、マイクロコンピュータ等の電子制御装置により冷却ファンの駆動を制御していた。このように、電子制御装置により冷却ファンを駆動させる構成をとると、風力発電装置のコストが大きくなるという課題があった。
【0035】
これに対して、本発明の風力発電装置1は、発電機4の回転軸の回動(すなわち、回転動力伝達軸5の回動)に応じて冷却ファン11が駆動されるので、風力発電装置1において発熱が生じるタイミングで冷却ファン11を駆動することができる。その結果、冷却ファン11を制御するためのセンサや電子制御装置等が不要となり、冷却装置7の簡素化及び低コスト化が実現される。
【0036】
また、本発明の風力発電装置1は、発熱部の近傍を冷却液が流通するように冷却液循環8,9路を設けることで、密閉された空間に設けられた発熱部品の放熱性が向上する。したがって、タワートップ3に仕切板14を設けたり、電力変換器盤6を密閉されたケース(または、タワートップ3の密閉された空間)に収納したりした場合でも、発熱部品が十分冷却されるので、電力変換器盤6等の精密機器が外気中の塩分や水分等により腐食されることを抑制することができる。
【0037】
(第2実施形態)
図2を参照して、本発明の第2実施形態に係る風力発電装置19について詳細に説明する。第2実施形態に係る風力発電装置19は、発電機4の回転軸の回転動力を動力伝達機構20を介して冷却ファン21,22,23に伝えることが第1実施形態の風力発電装置1と異なる。よって、異なる部分である冷却ファン21,22,23の駆動機構について詳細に説明する。ここでは、第1実施形態の風力発電装置1と同一の構成は第1実施形態と同じ符号を付して詳細に説明する。
【0038】
図2に示すように、第2実施形態に係る風力発電装置19は、タワー2の上端部に設けられるタワートップ3と、タワートップ3の側端部に設けられる発電機4と、を備える。タワートップ3には、電力変換器盤6及び冷却装置7が格納される。
【0039】
冷却装置7は、電力変換器盤6に冷却液を循環させる冷却液循環路8,9と、冷却液を冷却するラジエタ10と、冷却ファン21,22,23とを、有する。冷却ファン21,22,23は、ラジエタ10と対向して設けられ、冷却ファン21,22,23の回転軸は、発電機4の回転軸(図示せず)に動力伝達機構20を介して接続される。そして、発電機4の回転軸の回転に応じて冷却ファン21,22,23が駆動し、冷却風がラジエタ10に送風される。
【0040】
動力伝達機構20は、ギヤ24、動力伝達軸25、ギヤ26及びベルト27から構成される。ギヤ24は、発電機4の回転軸の回転運動を動力伝達軸25に伝達する部材であり、ギヤ24には発電機4の回転軸と動力伝達軸25の一端とが接続される。ギヤ26は、動力伝達軸25の回転運動をベルト27を介して冷却ファン21,22,23に伝達する部材であり、ギヤ26には動力伝達軸25の他端とベルト27とが接続される。なお、動力伝達機構20は、実施形態に限定されるものではなく、動力伝達機構20を、チェーン機構、ベルト機構、ギヤ機構等を単独若しくは組み合わせて構成してもよい。
【0041】
タワートップ3内には仕切板14が設けられ、仕切板14は、タワートップ3内部を外気が流通する空間と外気が流通しない空間に隔てる。
【0042】
次に、風力発電装置19における電力変換器盤6の冷却方法について説明する。風車が回転して発電機4で発電が開始されると、発電機4の回転軸の回転運動が、ギヤ24、動力伝達軸25、ギヤ26、ベルト17の順に伝達し、冷却ファン21,22,23が駆動される。このように冷却ファン21,22,23が駆動することで、冷却風がラジエタ10に送風される。その結果、第1実施形態の風力発電装置1と同様に、電力変換器盤6の発熱部で発生した熱は冷却液循環路8,9を循環する冷却液に放出され、冷却液の熱はラジエタ10から外気に放出される。
【0043】
以上のような第2実施形態に係る風力発電装置19によれば、第1実施形態の風力発電装置1と同様に、電力変換器盤6等の発熱部の放熱性を向上し、タワートップ3を小型化することができる。また、冷却装置7の簡素化及び低コスト化が実現される。また、電力変換器等の精密機器が外気中の塩分や水分等により腐食されることを抑制することができる。
【0044】
また、第2実施形態に係る風力発電装置19によれば、発電機4の回転軸に動力伝達機構20を介して冷却ファン21,22,23を駆動するので、動力伝達軸25の位置を任意に設定することができる。その結果、電力変換器盤6等の機器の配置形態の自由度が向上する。
【0045】
また、ギヤ24を介して発電機4の回転軸と動力伝達軸25とを連結することで、発電機4の回転軸と動力伝達軸25の回転比率を任意に設定することができる。
【0046】
以上、本発明の風力発電装置及び風力発電装置の冷却方法について、具体例を示して詳細に説明したが、本発明の風力発電装置及び風力発電装置の冷却方法は、上述した実施形態に限らず、本発明の特徴を損なわない範囲で適宜設計変更が可能であり、そのように変更された形態も本発明に技術的範囲に属する。
【0047】
例えば、図3(a)に示す風力発電装置28ように、発電機4の回転軸にギヤ24、動力伝達軸25を介して圧縮機29を設け、この圧縮機29で生成された圧縮空気でエアモータ30を駆動し、冷却ファン21,22,23を駆動してもよい。また、図3(b)に示す風力発電装置31のように、発電機4の回転軸にギヤ24、動力伝達軸25を介して油圧ポンプ32を設け、この油圧ポンプ32で冷却ファン21,22,23を駆動してもよい。
【0048】
また、冷却装置7が冷却する対象は、電力変換器盤6に限定されるものではなく、例えば、変圧器やタワートップ3内全体、タワー2内全体等を冷却する目的で設けてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1,19,28,31…風力発電装置
2…タワー
3…タワートップ
4…発電機
5…回転動力伝達軸
6…電力変換器盤(発熱部)
7…冷却装置
8,9…冷却液循環路
10…ラジエタ
11,21,22,23…冷却ファン
12…循環ポンプ
13…制御盤
14…仕切板
15,16…開口部
17,18…電力ケーブル
20…動力伝達機構
24,26…ギヤ
25…動力伝達軸
27…ベルト
29…圧縮機
30…エアポンプ
32…油圧ポンプ
図1
図2
図3
図4