(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の車両用情報表示装置を実施するための形態を、図面に示す実施例1及び実施例2に基づいて説明する。
【0010】
(実施例1)
まず、実施例1の車両用情報表示装置における構成を「情報表示装置の全体構成」、「情報制御処理構成」に分けて説明する。
【0011】
[情報表示装置の全体構成]
図1は、実施例1の車両用情報表示装置を示す全体システム図である。以下、
図1に基づき、実施例1の車両用情報表示装置の全体構成を説明する。
【0012】
実施例1の車両用情報表示装置1は、エンジンによって走行するエンジン車等の車両に搭載され、ドライバーに対して車両情報を視認可能に表示する。この車両用情報表示装置1は、
図1に示すように、表示器10と、表示コントローラ20と、を備えている。
【0013】
前記表示器10は、図示しないインストルメントパネル等に設けられ、ドライバーの正面等、ドライバーから視認しやすい位置に設置される。
この表示器10は、液晶ディスプレイによって形成され、パネル面10aに、車速メータ表示領域(車速表示部)11と、情報表示領域12と、周囲領域13と、を有している。
【0014】
前記車速メータ表示領域11は、車両の速度を示す計器(車速メータ)を表示する円形の表示領域である。この車速メータ表示領域11では、円形の基盤部11aと、この基盤部11aの周縁部に沿って順に並んで車速を示す複数の目盛り11bと、基盤部11aの中心部から径方向に延在し、車速に応じて先端で指示する位置を変化させる指針11cと、を表示する。
すなわち、この車速メータ表示領域11では、指針の回動量によって車速を示すアナログメータを表示している。
【0015】
前記情報表示領域12は、車速メータ表示領域11に周縁部の一部が接触する位置に設定され、車両の速度以外の情報を示す表示領域である。
図1では、通常表示状態であり、矩形状の表示部12aと、この表示部12aの下部に配置され、車両の現時点の位置から転回予定地点までの距離示す文字12bと、表示部12aの中央部に配置され、転回方向を示す矢印12cと、を表示する。
【0016】
前記周囲領域13は、車速メータ表示領域11と情報表示領域12を取り囲む部分であり、車速メータ表示領域11の基盤部11a及び情報表示領域12の表示部12aとは異なる色彩で発光する領域である。なお、この周囲領域13には、情報は表示されない。
【0017】
前記表示コントローラ20は、CPU20aと、メモリ20bと、を内蔵し、表示器10に表示する情報表示領域12の表示内容を制御する表示情報制御手段に相当する。ここでは、車速メータ表示領域11の表示内容も制御する。
【0018】
この表示コントローラ20には、車両の速度(車速)を検出する車速センサ21からの車速情報と、車両に搭載されたエンジンの回転数(車両状態の一例)を検出するエンジン回転数センサ(車両状態検出手段)22からのエンジン回転数情報と、車両に搭載された燃料タンク内の残燃料量(駆動用エネルギー残量、車両状態の一例)を検出する燃料センサ(車両状態検出手段、残エネルギー量検出センサ)23からの残燃料量情報と、エンジンを冷却するエンジン冷却水の温度(車両状態の一例)を検出する水温センサ(車両状態検出手段)24からの冷却水温度情報と、ナビゲーションシステム25からのナビ情報と、が入力される。
そして、CPU20aでは、入力された各種情報に応じて、車速メータ表示領域11に表示する指針11cを車速に応じて変化させる車速表示指令を出力する。さらに、後述する情報制御処理を実行し、情報表示領域12に表示する表示内容を指示する表示指令を出力する。
【0019】
また、メモリ20bには、予め設定されたエンジン回転数注意閾値と、エンジン回転数限界閾値と、燃料量注意閾値と、燃料量限界閾値と、冷却水温注意閾値と、冷却水温限界閾値と、が記憶されている。
ここで、
図2に示すように、「エンジン回転数注意閾値」とは、エンジン回転数が走行可能状態から注意喚起状態へと切り替わる際の基準となる値(注意喚起閾値)である。また、「エンジン回転数限界閾値」とは、エンジン回転数が注意喚起状態から走行不可能状態へと切り替わる際の基準となる値(異常判断閾値)である。そして、「燃料量注意閾値」とは、残燃料量が走行可能状態から注意喚起状態へと切り替わる際の基準となる値(注意喚起閾値)である。また、「燃料量限界閾値」とは、残燃料量が注意喚起状態から走行不可能状態へと切り替わる際の基準となる値(異常判断閾値)である。また、「冷却水温注意閾値」とは、残燃料量が走行可能状態から注意喚起状態へと切り替わる際の基準となる値(注意喚起閾値)である。「冷却水温限界閾値」とは、エンジン冷却水温が注意喚起状態から走行不可能状態へと切り替わる際の基準となる値(異常判断閾値)である。
さらに、「注意喚起状態」とは、車両の通常走行が可能な走行可能状態と、車両の走行が不可能な走行不可能状態(いわゆるレッドゾーン)との間の状態であり、走行できない走行不可能状態に対して所定量手前の段階である。つまり、当該車両状態(例えばエンジン回転数)を示す値(現時点のエンジン回転数)と、その車両状態(エンジン回転数)における異常判断閾値(エンジン回転数限界閾値)との差異が、所定値以下になっている状態である。
なお、各閾値は任意の値に設定することができる。
【0020】
[情報制御処理構成]
図3は、実施例1の車両用情報表示装置で実行される情報制御処理の流れを示すフローチャートである。以下、情報制御処理構成を示す
図3のフローチャートの各ステップについて説明する。なお、この情報制御処理構成は、イグニッションキーがON制御されている間、実行され続ける。
【0021】
ステップS1では、各種の車両状態を検出し、ステップS2へ進む。ここで、「各種の車両状態」とは、エンジン回転数、残燃料量、エンジン冷却水温である。エンジン回転数はエンジン回転数センサ22によって検出され、残燃料量は燃料センサ23によって検出され、エンジン冷却水温は水温センサ24によって検出される。
【0022】
ステップS2では、ステップS1での車両状態の検出に続き、検出した各種の車両状態と、当該車両状態における異常判断閾値との差異のうち、少なくとも一つの車両状態において所定値以下であるか否かを判断する。YES(所定値以下)場合は、ステップS3へ進む。NO(所定値より大きい)場合は、ステップS5へ進む。
ここで、「所定値」とは、当該車両状態における異常判断閾値と注意判断閾値との差異である。つまり、エンジン回転数においては、エンジン回転数限界閾値からエンジン回転数注意閾値を差し引いた値である。また、残燃料量においては、燃料量限界閾値から燃料量注意閾値を差し引いた値である。さらに、エンジン冷却水温においては、冷却水温限界閾値から冷却水温注意閾値を差し引いた値である。
【0023】
ステップS3では、ステップS2での車両状態の差異が所定値以下との判断に続き、検出された車両状態と異常判断閾値との差異が所定値以下であると判断された車両状態を示す計器を、情報表示領域12に表示させる計器表示指令を出力し、ステップS4へ進む。
なお、複数の車両状態において差異が所定値以下になった場合には、予め表示させる優先順位を設定しておき、この優先順位が高い車両状態を示す計器を表示させる。ここでは、エンジン回転数→残燃料量→エンジン冷却水温、の順に優先順位を設定している。
【0024】
ステップS4では、ステップS3での計器表示指令の出力に続き、情報表示領域12の領域形状を表示する計器に応じて変形させると共に、ステップS1で検出した車両状態を指針の指示位置によって示すアナログメータ(計器)を表示し、リターンヘ進む。
【0025】
ステップS5では、ステップS2での車両状態の差異が所定値より大きいとの判断に続き、車速及びステップS1で状態検出対象となっている車両状態以外の情報を、情報表示領域12に表示させる通常表示指令を出力し、ステップS6へ進む。
【0026】
ステップS6では、ステップS5での通常表示指令の出力に続き、情報表示領域12に予め設定された情報を表示し、リターンへ進む。
ここで、通常表示指令の出力時には、
図1に示すように、ナビゲーションシステム25からのナビ情報に基づいて演算される車両の現時点の位置から転回予定地点までの距離と、転回方向を示す。
【0027】
次に、実施例1の車両用情報表示装置における、情報表示作用を説明する。
実施例1の車両用情報表示装置を搭載した車両において、イグニッションキーをON制御する。これにより、
図3に示す情報制御処理が実行される。
【0028】
すなわち、
図3に示す情報制御処理のステップS1において、車両状態を示すエンジン回転数・残燃料量・エンジン冷却水温のそれぞれを検出する。次に、ステップS2へと進んで、検出した現時点の各車両状態と、予め設定した各車両状態における異常判定閾値との差異を算出し、その差異が所定値(当該車両状態における異常判断閾値と注意判断閾値との差異)以下であるか否かを判断する。
【0029】
ここで、例えば、全ての車両状態において各差異が所定値以上であれば、各車両状態がいずれも走行可能状態であり、車両状態に注意する必要がない。このため、ステップS5→ステップS6へと進んで、
図1に示すように、情報表示領域12にナビゲーションシステム25から入力されるナビ情報に基づいて求められた転回地点までの距離及び転回方向を、文字12b及び矢印12cで表示する。
【0030】
一方、エンジン回転数において、現時点でのエンジン回転数とエンジン回転数限界閾値との差異が、エンジン回転数限界閾値とエンジン回転数注意閾値との差異よりも小さい場合には、エンジン回転数が注意喚起状態になっている。そのため、ステップS3→ステップS4へと進み、エンジン回転数センサ22から入力されるエンジン回転数情報を、情報表示領域12にアナログメータ表示されたエンジン回転数計(計器)によって表示する。
つまり、
図4に示すように、情報表示領域12の表示部12aを矩形状から円弧状に変形する。また、円弧の周縁部に沿って順に並んでエンジン回転数を示す複数の目盛り31aと、円弧中心から径方向に延在し、エンジン回転数に応じて先端で指示する位置を変化させる指針31bと、表示部12aの周縁に、走行不可能状態になるエンジン回転数を示す目盛り31aに沿って延在したレッドライン部31cと、を表示する。なお、「レッドライン部」とは、表示部12aとは異なる色(ここでは赤)で、表示部12aの周縁を縁取る線である。
【0031】
また、残燃料量において、現時点での残燃料量と燃料量限界閾値との差異が、燃料量限界閾値と燃料量注意閾値との差異よりも小さい場合には、残燃料量が注意喚起状態になっている。そのため、ステップS3→ステップS4へと進み、燃料センサ23から入力される残燃料情報を、情報表示領域12にアナログメータ表示されたエネルギー計(計器)によって表示する。
つまり、
図5に示すように、情報表示領域12の表示部12aを矩形状から円弧状に変形する。また、円弧中心から径方向に延在し、残燃料量に応じて先端で指示する位置を変化させる指針32aと、指針32aが回動した際の指示限界位置に配置されて残燃料の上限値と下限値を示す一対の目盛り32bと、を表示する。
さらに、ここでは、残燃料量から演算される航続可能距離を文字32cによって、表示部12a内に表示する。
【0032】
さらに、エンジン冷却水温において、現時点でのエンジン冷却水温と冷却水温限界閾値との差異が、冷却水温限界閾値と冷却水温注意閾値との差異よりも小さい場合には、エンジン冷却水温が注意喚起状態になっている。そのため、ステップS3→ステップS4へと進み、水温センサ24から入力される冷却水温情報を、情報表示領域12にアナログメータ表示された水温計(計器)によって表示する。
つまり、
図6に示すように、情報表示領域12の表示部12aを矩形状から円弧状に変形する。また、円弧中心から径方向に延在し、エンジン冷却水温に応じて先端で指示する位置を変化させる指針33aと、指針33aが回動した際の指示限界位置に配置されて冷却水温の上限値と下限値を示す一対の目盛り33bと、を表示する。
しかも、ここでは、走行不可能状態になる冷却水温のときに指針33aによって指示される領域に沿って延在したレッドライン部33cを、表示部12a内に表示する。なお、「レッドライン部」とは、表示部12aとは異なる色(ここでは赤)で延在された線である。
【0033】
このように、実施例1の車両用情報表示装置1では、車両状態(エンジン回転数・残燃料量・エンジン冷却水温)がいずれも走行可能状態であれば、情報表示領域12において、転回地点までの距離及び転回方向を表示する。
また、車両状態のいずれかが注意喚起状態(走行不可能状態よりも所定量手前の状態)であれば、情報表示領域12において、当該車両状態がアナログメータ表示される。
【0034】
ここで、情報表示領域12は、表示器10のパネル面10aにおいて、車速を表示する車速メータ表示領域11に対して周縁部の一部が接した領域である。そのため、ドライバーから見て比較的視認頻度の高い車速メータ表示領域11の近傍に、注意喚起状態となった車両状態が、アナログメータ(計器)によって表示されることとなる。
【0035】
そのため、ドライバーは、注意喚起状態となった車両状態の種類、現在の値、注意喚起状態となった後の車両状態の変化状況等を、短時間の視線移動によって速やかに把握することができる。
そして、当該車両状態の状況を速やかに把握することで、ドライバーは当該車両状態が、注意喚起状態であること、つまり走行不可能状態に近いことを認識することができ、当該車両状態が走行不可能状態に陥ることを回避するように促すことができる。
【0036】
さらに、実施例1では、各車両状態と異常判断閾値との差異が所定値以上のとき、つまり、各車両状態がいずれも走行可能状態であるときには、情報表示領域12にナビゲーションシステム25からのナビ情報に基づく情報(転回地点までの距離及び転回方向)が表示される。
そのため、各車両状態が計器表示されていないことで、各車両状態に異常がないことを把握できると共に、走行時に必要な情報を取得することができる。
【0037】
また、実施例1では、情報表示領域12にエンジン回転数や残燃料量を示すアナログメータを表示する際には、
図4〜
図6に示すように、情報表示領域12の表示部12aの形状を、ナビ情報を表示する場合とは異なる形状、つまり矩形状から円弧状に変形する。
このため、ドライバーはいずれかの車両状態が注意喚起状態であることを、この情報表示領域12を注視することなく把握でき、より短時間で車両状態に注意が必要なことを理解することができる。
【0038】
そして、実施例1では、残燃料量が注意喚起状態になっているときには、この残燃料量をアナログメータによって表示する際、残燃料量から演算される航続可能距離を、表示部12a内に残燃料量と併せて表示する。これにより、現時点からの航続可能距離を正確に把握することができる。
【0039】
次に、効果を説明する。
実施例1の車両用情報表示装置1にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
【0040】
(1) 車両の速度を表示する車速表示部(車速メータ表示領域)11と、
前記車速表示部(車速メータ表示領域)11に少なくとも一部が接し、前記速度以外の情報を表示する情報表示領域12と、
前記情報表示領域12の表示内容を制御する表示情報制御手段(表示コントローラ)20と、
前記車両の状態(エンジン回転数)を検出する車両状態検出手段(エンジン回転数センサ)22と、を備え、
前記表示情報制御手段(表示コントローラ)20は、前記車両状態検出手段(エンジン回転数センサ)22によって検出された車両状態(エンジン回転数)における異常判断閾値(エンジン回転数限界閾値)を予め設定し、前記車両状態(エンジン回転数)と前記異常判断閾値(エンジン回転数限界閾値)との差異が所定値以下のとき、前記車両状態(エンジン回転数)を示す計器(エンジン回転数計)を前記情報表示領域12に表示する構成とした。
これにより、車両の状態に注意喚起が必要になった際、注意すべき車両状態を短時間の視線移動でドライバーに把握させることができる。
【0041】
(2) 前記表示情報制御手段(表示コントローラ)20は、前記車両状態(エンジン回転数)と前記異常判断閾値(エンジン回転数限界閾値)との差異が所定値以上のときには、前記速度と前記車両状態(エンジン回転数)を示す計器(エンジン回転数計)以外の情報(転回地点までの距離及び転回方向)を前記情報表示領域12に表示する構成とした。
これにより、(1)の効果に加え、各車両状態が計器表示されていないことで、各車両状態に異常がないことを把握できると共に、走行時に必要な情報を取得することができる。
【0042】
(3) 前記表示情報制御手段(表示コントローラ)20は、前記情報表示領域12に前記車両状態(エンジン回転数)を示す計器(エンジン回転数計)を表示するとき、前記情報表示領域12を、前記車両状態(エンジン回転数)を示す計器(エンジン回転数計)以外の情報(転回地点までの距離及び転回方向)を表示するときとは異なる形状に変形する構成とした。
これにより、(1)又は(2)の効果に加え、情報表示領域12を注視することなく車両状態が注意喚起状態であることを把握でき、より短時間で車両状態に注意が必要なことを理解することができる。
【0043】
(4) 前記車両状態検出手段を、前記車両に搭載されたエンジンの回転数を検出するエンジン回転数センサ22とし、
前記表示情報制御手段(表示コントローラ)20は、前記エンジン回転数と前記異常判断閾値(エンジン回転数限界閾値)との差異が所定値以下になったら、前記情報表示領域12に前記エンジン回転数を示すエンジン回転数計を表示する構成とした。
これにより、(1)〜(3)のいずれかの効果に加え、ドライバーは、エンジン回転数が注意喚起状態であることを短時間の視線移動で把握することができる。
【0044】
(5) 前記車両状態検出手段を、前記車両が有する駆動用エネルギー残量(残燃料量)を検出する残エネルギー量検出センサ(燃料センサ)23とし、
前記表示情報制御手段(表示コントローラ)20は、前記駆動用エネルギー残量(残燃料量)と前記異常判断閾値(燃料量限界閾値)との差異が所定値以下になったら、前記情報表示領域12に前記駆動用エネルギー残量(残燃料量)を示すエネルギー計を表示する構成とした。
これにより、(1)〜(4)のいずれかの効果に加え、ドライバーは、残燃料量が注意喚起状態であることを短時間の視線移動で把握することができる。
【0045】
(6) 前記表示情報制御手段(表示コントローラ)20は、前記情報表示領域12に前記駆動用エネルギー残量(残燃料量)を示すエネルギー計を表示する際、航続可能距離を併せて表示する構成とした。
これにより、(5)の効果に加え、ドライバーは現時点からの航続可能距離を正確に把握することができる。
【0046】
(7) 前記車両状態検出手段を、前記車両に搭載された冷却水温を検出する水温センサ24とし、
前記表示情報制御手段(表示コントローラ)20は、前記冷却水温と前記異常判断閾値(冷却水温限界閾値)との差異が所定値以下になったら、前記情報表示領域12に前記冷却水温を示す水温計を表示する構成とした。
これにより、(1)〜(6)のいずれかの効果に加え、ドライバーは、冷却水温が注意喚起状態であることを短時間の視線移動で把握することができる。
【0047】
(実施例2)
実施例2は、情報表示領域の表示位置を、実施例1に対して異ならせた例である。
【0048】
図7は、実施例2の車両用情報表示装置を示す全体システム図である。以下、
図7に基づき、実施例2の車両用情報表示装置の表示器について説明する。
【0049】
実施例2の車両用情報表示装置1Aは、
図7に示すように、表示器40と、表示コントローラ50と、を備えている。
【0050】
前記表示器40は、液晶ディスプレイによって形成され、パネル面40aに、車速メータ表示領域(車速表示部)41と、第1情報表示領域42と、第2情報表示領域43と、周囲領域44と、を有している。ここで、車速メータ表示領域41及び周囲領域44については、実施例1と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0051】
前記第1情報表示領域42は、車速メータ表示領域41に周縁部の一部が接触する位置に設定され、車両の速度以外の情報を示す表示領域である。この第1情報表示領域42は、矩形状の第1表示部42aと、この第1表示部42aの下部に配置され、車両の現時点の位置から転回予定地点までの距離示す文字42bと、第1表示部42aの中央部に配置され、転回方向を示す矢印42cと、を常時表示する。
【0052】
前記第2情報表示領域43は、車速メータ表示領域41の中央部に重複配置され、車両の速度以外の情報を示す表示領域である。この第2情報表示領域43は、
図7では、通常表示状態であり、車速メータ表示領域41の基盤部41aと同形状の円形の第2表示部43aと、この第2表示部43aに表示されるインターネット情報を示す文字43bと、を表示する。
【0053】
前記表示コントローラ50は、CPU50aと、メモリ50bと、を内蔵し、表示器40に表示する第2情報表示領域43の表示内容を制御する表示情報制御手段に相当する。ここでは、車速メータ表示領域41及び第1情報表示領域42の表示内容も制御する。
【0054】
この表示コントローラ50には、車両の速度(車速)を検出する車速センサ21からの車速情報と、車両に搭載されたエンジンの回転数(車両状態の一例)を検出するエンジン回転数センサ(車両状態検出手段)22からのエンジン回転数情報と、車両に搭載された燃料タンク内の残燃料量(駆動用エネルギー残量、車両状態の一例)を検出する燃料センサ(車両状態検出手段、残エネルギー量検出センサ)23からの残燃料量情報と、エンジンを冷却するエンジン冷却水の温度(車両状態の一例)を検出する水温センサ(車両状態検出手段)24からの冷却水温度情報と、ナビゲーションシステム25からのナビ情報と、インターネット通信手段26を介して受信したインターネット情報と、が入力される。
そして、CPU50aでは、入力された各種情報に応じて、車速メータ表示領域41に表示する指針41cを車速に応じて変化させる車速表示指令と、第1情報表示領域42に表示する転回地点までの距離を示す文字42bと転回方向を示す矢印42cをナビ情報に応じて変化させる第1情報表示指令を出力する。さらに、情報制御処理を実行し、第2情報表示領域43に表示する表示内容を指示する表示指令を出力する。
【0055】
また、メモリ50bには、予め設定されたエンジン回転数注意閾値と、エンジン回転数限界閾値と、燃料量注意閾値と、燃料量限界閾値と、冷却水温注意閾値と、冷却水温限界閾値と、が記憶されている。
【0056】
そして、この実施例2の車両用情報表示装置1Aにおいても、実施例1と同様の情報制御処理を実行する。
すなわち、
図3に示す情報制御処理のステップS1において、車両状態を示すエンジン回転数・残燃料量・エンジン冷却水温のそれぞれを検出する。次に、ステップS2へと進んで、検出した現時点の各車両状態と、予め設定した各車両状態における異常判定閾値との差異を算出し、その差異が所定値(当該車両状態における異常判断閾値と注意判断閾値との差異)以下であるか否かを判断する。
【0057】
ここで、例えば、全ての車両状態において各差異が所定値以上であれば、各車両状態がいずれも走行可能状態であり、車両状態に注意する必要がない。このため、ステップS5→ステップS6へと進んで、
図7に示すように、第2情報表示領域43にインターネット通信手段26を介して受信したインターネット情報を文字43bで表示する。
なお、インターネット情報とは、例えばニュースや天気予報である。
【0058】
一方、エンジン回転数において、現時点でのエンジン回転数とエンジン回転数限界閾値との差異が、エンジン回転数限界閾値とエンジン回転数注意閾値との差異よりも小さい場合には、ステップS3→ステップS4へと進み、エンジン回転数センサ22から入力されるエンジン回転数情報を、第2情報表示領域43にアナログメータ表示されたエンジン回転数計(計器)によって表示する。
このとき、
図8に示すように、第2情報表示領域43の第2表示部43aを、インターネット情報を表示していたよりも拡大する。また、第2表示部43aの周縁部に沿って順に並んでエンジン回転数を示す複数の目盛り31aと、第2表示部43aの径方向に延在し、エンジン回転数に応じて先端で指示する位置を変化させる指針31bと、第2表示部43aの周縁に、走行不可能状態になるエンジン回転数を示す目盛り31aに沿って延在したレッドライン部31cと、を表示する。
【0059】
また、残燃料量において、現時点での残燃料量と燃料量限界閾値との差異が、燃料量限界閾値と燃料量注意閾値との差異よりも小さい場合には、ステップS3→ステップS4へと進み、燃料センサ23から入力される残燃料情報を、第2情報表示領域43にアナログメータ表示されたエネルギー計(計器)によって表示する。
このとき、
図9に示すように、第2情報表示領域43の第2表示部43aを、インターネット情報を表示していたときよりも拡大する。また、第2表示部43aの径方向に延在し、残燃料量に応じて先端で指示する位置を変化させる指針32aと、指針32aが回動した際の指示限界位置に配置されて残燃料の上限値と下限値を示す一対の目盛り32bと、残燃料量から演算される航続可能距離を表示する文字32cと、を表示する。
しかも、ここでは、注意喚起状態になる残燃料量のときに指針32aによって指示される領域に沿って延在したレッドライン部32dを、第2表示部43aの周縁に表示する。
【0060】
さらに、エンジン冷却水温において、現時点でのエンジン冷却水温と冷却水温限界閾値との差異が、冷却水温限界閾値と冷却水温注意閾値との差異よりも小さい場合には、ステップS3→ステップS4へと進み、水温センサ24から入力される冷却水温情報を、第2情報表示領域43にアナログメータ表示された水温計(計器)によって表示する。
このとき、
図10に示すように、第2情報表示領域43の第2表示部43aを、インターネット情報を表示していたときよりも拡大する。また、第2表示部43aの中心から径方向に延在し、エンジン冷却水温に応じて先端で指示する位置を変化させる指針33aと、指針33aが回動した際の指示限界位置に配置されて冷却水温の上限値と下限値を示す一対の目盛り33bと、走行不可能状態になる冷却水温のときに指針33aによって指示される領域に沿って延在したレッドライン部33cと、を表示する。
【0061】
このように、実施例2の車両用情報表示装置1Aでは、車速メータ表示領域41の内側に配置した第2情報表示領域43において、車両状態(エンジン回転数・残燃料量・エンジン冷却水温)のいずれかが注意喚起状態になったら、当該車両状態をアナログメータ(計器)によって表示する。しかも、このとき、当該車両状態を示すアナログメータ以外の情報(ここではインターネット情報)を表示するときよりも、この第2情報表示領域43の第2表示部43aを拡大する。
これにより、注意喚起状態となった車両状態を示すアナログメータを目視しやすくなり、当該車両状態をさらに正確に把握することができる。
【0062】
すなわち、実施例2の車両用情報表示装置1Aにあっては、以下に挙げる効果を得ることができる。
【0063】
(8) 前記情報表示領域(第2情報表示領域)43は、前記車速表示部(車速メータ表示領域)41と同形状であって、前記車速表示部(車速メータ表示領域)41の内側に配置され、
前記情報表示領域(第2情報表示領域)43に前記車両状態(エンジン回転数)を示す計器(アナログメータ)を表示するとき、前記情報表示領域(第2情報表示領域)43を、前記車両状態(エンジン回転数)を示す計器(アナログメータ)以外の情報(インターネット情報)を表示するときよりも拡大する構成とした。
これにより、注意喚起状態となった車両状態を示すアナログメータを目視しやすくなり、当該車両状態をさらに正確に把握することができる。
【0064】
以上、本発明の車両用情報表示装置を実施例1及び実施例2に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0065】
実施例1及び実施例2では、車両がエンジンによって走行するエンジン車である例を示したが、これに限らない。例えば、エンジンとモータによって走行するハイブリッド車両や、モータのみで走行する電気自動車であってもよい。
【0066】
そして、この場合、車両状態として、モータの動力源となるバッテリ残量としてもよい。つまり、このバッテリ残量が注意喚起状態になったら、バッテリ残量を示す計器を情報表示領域に表示させる。これにより、ドライバーにバッテリ残量が注意喚起状態であることを速やかに知らせることができる。
さらに、車両状態として、モータ温度やインバータ温度、これらを冷却する冷却水温度としてもよい。つまり、車両状態は、エンジン回転数・残燃料量・エンジン冷却水温に限らず、車速以外であって車両の状態を示すパラメータであれば、任意に選択することができる。
【0067】
また、実施例1及び実施例2では、エンジン回転数等の車両状態を示す値を基準に注意喚起閾値や異常判断閾値を設定する例を示したが、これに限らない。例えば、所定の車両状態を示す値の変化速度を基準に注意喚起閾値等を設定してもよい。つまり、車両状態の変化速度が所定値よりも速い場合には、当該変化速度を示す値が異常値よりも十分に小さい場合であっても、注意喚起状態であると判断してもよい。