(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示される歩行型の苗移植機は、クランク式の苗植付装置で苗載せ部材から苗を取って圃場に植え付ける。クランク式の苗植付装置は、苗を植え付ける際の植込杆の先端の移動軌跡が、苗載部材の下部に設けられる前板よりも機体前方側で苗を植え付ける移動軌跡となっている。このために、特許文献1に示される歩行型の苗移植機は、植え付けた苗の上端部に前進してくる前板が接触し、苗が押し倒されたり、苗が傷ついたりして、苗が生育不良となることがある。
【0005】
また、特許文献1に示される歩行型の苗移植機は、苗植付装置の植付伝動軸と、苗植付装置の植込杆を回転させる植付駆動軸と、苗載せ台を左右方向に往復摺動させる摺動軸との並ぶ方向が、上下方向に対して傾いている。このために、特許文献1に示される歩行型の苗移植機は、伝動ケースの前後幅が長くなり、機体が大型化する問題があった。
【0006】
また、特許文献1に示される歩行型の苗移植機は、フロートの一部に前後方向の切欠部を形成し、苗植付装置の植え付け位置を整地する構成としている。しかしながら、特許文献1に示される歩行型の苗移植機は、クランク機構を作動可能とするために、苗植付位置よりも機体前方側に長く切欠部を形成しているので、圃場の凹凸を均しきれずに、苗の植付け深さが浅すぎたり、又は深すぎたりすることがあって、苗が生育不良となることがある。
【0007】
特許文献2に示される苗移植機は、ロータリ式の苗植付装置を苗載せ部材の下部に設け、走行輪の回転方向と同じ方向に回転する乗用型の苗移植機である。ロータリ式の苗植付装置は、ロータリケース内のギヤの噛み合いによって、植込杆の角度を変更する構成である。
【0008】
しかしながら、歩行型の苗移植機は、特許文献1に示されるように、ロータリ式の苗移植装置を備える乗用型の苗移植機と異なり、苗載せ部材の向きが前後逆であると共に、植込杆の回転方向が走行輪と逆方向である。このために、歩行型の苗移植機に、乗用型の苗移植機と同一のロータリ式の苗植付装置を設けると、苗を植え付ける際に、泥が跳ね上げられ、植え付けた苗が泥に押し倒されたり、泥の付着により光合成が妨げられ、成育不良が生じることがある。また、苗載せ部材に泥が付着しやすくなり、作業者が清掃する際の労力が増大する問題がある。
【0009】
そこで、本発明は、かかる従来例の有する不都合を改善し、苗の成育不良を抑制できる歩行型の苗移植機を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成する為、請求項1に記載の発明は、圃場を走行する左右の走行輪(10)を備える機体(2)と、前記機体(2)の後部に設けられかつ苗を載せる苗載せ部材(30)と、前記苗載せ部材(30)から苗を取って圃場に植え付ける苗植付装置(3)と、を備えた歩行型の苗移植機(1)において、前記苗植付装置(3)は、前記機体(2)に設けられたエンジン(11)からの駆動力により回転する回転ケース(61)と、前記回転ケース(61)に対して回転自在に設けられかつ前記苗載せ部材(30)から苗を取って圃場に植え付ける植込杆(34)と、
前記回転ケース(61)内に収容され、かつ前記エンジン(11)からの駆動力により回転する入力回転体(62)と、前記回転ケース(61)内に収容され、かつ前記入力回転体(62)と噛み合う従動回転体(75)と、前記従動回転体(75)と共に回転する従動回転軸(76)と、前記従動回転軸(76)に取り付けられ、かつ前記従動回転軸(76)から離れるのにしたがって徐々に幅が広く形成されたバランスウェイト(77)と、を備え、前記回転ケース(61)の回転方向を前記走行輪(10)の回転方向と逆方向とし、前記植込杆(34)の先端の移動軌跡(K)は、前記苗を植え付けてから上方に退避し始める位置(Kb)が、前記苗載せ部材(30)の下端よりも機体(2)後方側となる移動軌跡とされていることを特徴とする歩行型の苗移植機(1)である。
【0011】
また、請求項2に記載の発明は、前記苗植付装置(3)は
、前記回転ケース(61)内に収容され、かつ前記植込杆(34)と連動して回転する出力回転体(63)と、前記回転ケース(61)内に収容され、かつ前記入力回転体(62)から前記出力回転体(63)に駆動力を伝動する中継回転体(64)と、を備え、前記植込杆(34)の先端が前記移動軌跡(K)の最下位置(Kb)に位置付けられた際に、前記入力回転体(62)と前記中継回転体(64)と前記出力回転体(63)の中心を結ぶ直線(L)が、機体(2)後方側に向かうにしたがって圃場に近付く姿勢であることを特徴とする請求項1に記載の歩行型の苗移植機(1)である。
【0012】
また、請求項3に記載の発明は
、前記入力回転体(62)と前記中継回転体(64)と前記出力回転体(63)と前記従動回転体(75)の中心を結ぶ直線(L2)と、前記バランスウェイト(77)の中心線(P)とのなす角度(θ)が、90度よりも小さくなるのにしたがって、バランスウエイト(77)の質量の前記回転ケース(61)の回転を援助する力が強くなることを特徴とする請求項2に記載の歩行型の苗移植機(1)である。
【0013】
また、請求項4に記載の発明は、前記植込杆(34)は、前記苗載せ部材(30)から前記苗を掻き取る掻取部材(67)と、前記掻取部材(67)が掻き取った苗を圃場に押し出す押出位置と非押出位置とに亘って移動自在に設けられた押出部材(68)と、前記押出部材(68)を前記押出位置と前記非押出位置とに亘って移動させる作動アーム(69)と、前記出力回転体(63)と連動して回転し、かつ、苗を圃場に植え付ける苗植付位置(Kc)までは、前記作動アーム(69)に前記押出部材(68)を前記非押出位置に保持させるとともに、前記苗植付位置(Kc)に位置すると、前記作動アーム(69)に前記押出部材(68)を前記押出位置とさせる押出カムと、を備え、
前記苗植付位置(Kc)を、前記植込杆(34)の先端の前記移動軌跡(K)の前記最下位置(Kb)よりも上方でかつ前記苗載せ部材(30)の下端よりも機体(2)後方側としたことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の歩行型の苗移植機(1)である。
【0014】
また、請求項5に記載の発明は、前記苗載せ部材(30)を機体(2)の左右方向に往復摺動させる往復摺動機構(45)を備え、前記往復摺動機構(45)は、前記エンジン(11)からの駆動力により回転するリードカム軸(48)と、前記リードカム軸(48)の回転により前記苗載せ部材(30)を機体(2)の左右方向に摺動させる摺動軸(49)とを備え、前記エンジン(11)からの駆動力により回転しかつ前記リードカム軸(48)と前記苗植付装置(3)に駆動力を伝動する植付伝動軸(46)と、前記植付伝動軸(46)からの駆動力により前記苗植付装置(3)の入力回転体(62)を回転させる植付駆動軸(46b)と、を備え、前記植付伝動軸(46)と、前記植付駆動軸(46b)と、前記摺動軸(49)とを上下方向の直線上に配置したことを特徴とする請求項1から請求項4のうちいずれか一項に記載の歩行型の苗移植機(1)である。
【0015】
また、請求項6に記載の発明は、前記苗植付装置(3)に駆動力を伝動する植付伝動軸(46)を、前記走行輪(10)の外縁よりも機体(2)後方側に配置したことを特徴とする請求項1から請求項5のうちいずれか一項に記載の歩行型の苗移植機(1)である。
【0016】
また、請求項7に記載の発明は、前記機体(2)の下部に設けられかつ圃場の表面に接触して圃場の表面に合わせて上下動するフロート(51,52)を備え、前記フロート(51,52)の回動軸(53)よりも機体(2)前方側に前記苗植付装置(3)の植付駆動軸(46b)を配置し、前記フロート(51,52)は、前記苗植付装置(3)の前記植込杆(34)の機体(2)前方側でかつ前記植込杆(34)の近傍に、植込杆(34)が苗を植え付けることを許容する植付切欠部(54)を設けていることを特徴とする請求項1から請求項6のうちいずれか一項に記載の歩行型の苗移植機(1)である。
【0017】
また、請求項8に記載の発明は、前記植込杆(34)は、内部に潤滑油を注油する注油口(73)を備え、前記注油口(73)を上端部でかつ機体(2)後方側に配置したことを特徴とする請求項1から請求項7のうちいずれか一項に記載の歩行型の苗移植機(1)である。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載の発明によれば、回転ケース(61)の回転方向を走行輪(10)の回転方向と逆方向としているので、植込杆(34)が苗を植え付ける際に跳ね上げる泥土は、機体(2)前方側に飛ばされることとなる。このために、泥土が苗にかかって押し潰すことや光合成を妨げることを抑制でき、苗の生育不良を抑制することができる。
【0019】
また、植込杆(34)の先端の移動軌跡(K)を植込杆(34)の先端が上方に退避し始める最下位置(Kb)を苗載せ部材(30)の下端よりも機体(2)後方側となる移動軌跡(K)とした。このために、植込杆(34)が植え付けた苗が、苗載せ部材(30)の下端部に接触することを抑制でき、苗が押し倒されたり、苗が傷ついたりすることを抑制でき、苗の生育不良を抑制することができる。
また、従動回転軸(76)にバランスウェイト(77)に取り付けているので、バランスウェイト(77)の質量を必要な際に回転ケース(61)の回転を援助する力として作用させることができる。
【0020】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加えて、植込杆(34)の先端が最下位置(Kb)に位置付けられた際に、入力回転体(62)と中継回転体(64)と出力回転体(63)の中心を結ぶ直線(L)が、後方側に向かうにしたがって圃場に近付く姿勢である。このために、植込杆(34)を最下位置(Kb)から引き上げる際に、回転ケース(61)などの質量が回転ケース(61)の回転を強める力として作用する。したがって、植込杆(34)の引き上げ時にかかる回転荷重を回転ケース(61)の質量により抑制することができるので、回転ケース(61)の回転が乱れることを抑制でき、苗の植付精度が向上する。
【0022】
請求項3に記載の発明によれば、請求項2に記載の発明の効果に加えて、入力回転体(62)と中継回転体(64)と出力回転体(63)と従動回転体(75)の中心を結ぶ直線(L2)と、バランスウェイト(77)の中心線(P)とのなす角度(θ)が90度よりも小さくなるのにしたがって、バランスウェイト(77)の質量の回転ケース(61)の回転を援助する力が強くなる。このために、バックラッシにより回転ケース(61)の回転が乱れることを抑制でき、苗の植付精度を向上することができる。
【0023】
請求項4に記載の発明によれば、請求項2又は請求項3に記載の発明の効果に加えて、苗植付位置(Kc)を、植込杆(34)の先端の移動軌跡(K)の最下位置(Kb)よりも上方でかつ苗載せ部材(30)の下端よりも機体(2)後方側としたので、苗が植え付けられる際に、回転ケース(61)の下端部が苗の上方を既に通過している。したがって、苗が押し倒されたり、傷付いたりすることを抑制でき、苗の生育不良を抑制できるとともに、苗の植付精度を向上することができる。
【0024】
請求項5に記載の発明によれば、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の発明の効果に加えて、植付駆動軸(46b)と植付伝動軸(46)と摺動軸(49)を上下方向の直線上に配置したので、苗植付装置(3)に駆動力を伝動する機構の前後幅を抑制でき、機体の小型化を図ることができる。
【0025】
請求項6に記載の発明によれば、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の発明の効果に加えて、植付伝動軸(46)を走行輪(10)の外縁よりも機体(2)後方側に配置したので、作業者は、走行輪(10)を外すことなく、植付伝動軸(46)などの整備を行うことができる。
【0026】
請求項7に記載の発明によれば、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の発明の効果に加えて、植付切欠部(54)を植込杆(34)の前方でかつ近傍に配置したので、圃場の表面のうちの苗植付装置(3)の苗を植え付ける箇所を確実に均すことができる。したがって、苗の植付精度を向上することができる。
【0027】
請求項8に記載の発明によれば、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の発明の効果に加えて、植込杆(34)の注油口(73)を植込杆(34)の上端部でかつ機体(2)後方側に配置したので、植込杆(34)の潤滑油の注油作業の能率が向上し、整備性を向上することができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に、本発明の実施形態及び変形例に係る歩行型の苗移植機を図面に基づいて詳細に説明する。なお、これらの実施形態及び変形例によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態及び変形例における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。さらに、本発明は、上記実施形態及び変形例に限定されるものではなく、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【0030】
[実施形態]
本発明の実施形態に係る歩行型の苗移植機1を、
図1から
図9に基いて説明する。
図1は、実施形態に係る歩行型の苗移植機を表す側面図である。
図2は、実施形態に係る歩行型の苗移植機を表す上面図である。
図3は、
図1中のIII−III線に沿う断面図である。
図4は、実施形態に係る歩行型の苗移植機の植込杆の縦断面図である。
図5は、実施形態に係る歩行型の苗移植機の植込杆の移動軌跡などを示す図である。
図6は、実施形態に係る苗移植機の植付伝動機構の構成を示す図である。
図7は、実施形態に係る苗移植機のセンターフロートの上面図である。
図8は、実施形態に係る歩行型の苗移植機の植込杆の移動軌跡を示す図である。
図9は、実施形態に係る歩行型の苗移植機の植込杆の走行中の移動軌跡などを示す図である。
【0031】
実施形態に係る歩行型の苗移植機1(以下、単に、苗移植機と呼ぶ)は、歩行する作業者とともに走行しながら圃場に苗を植え付けるものである。なお、以下では、苗移植機1の前進方向を前方側(
図1および
図2の左側)とし、前進方向の逆向きの方向を後方側(
図1および
図2の右側)とし、歩行型の苗移植機1の前後方向に直交する直交方向を左右方向とし、苗移植機1の前後方向に直交する鉛直方向を上下方向としている。
【0032】
図1および
図2に示すように、苗移植機1は、機体2と、機体2の後部に設けられかつ苗を載せる苗載台30(苗載せ部材に相当)と、苗載台30から苗を取って圃場に植え付ける苗植付装置3と、駆動力伝動機構4と、フロート5と、制御装置(図示せず)を備えている。
【0033】
機体2は、圃場を走行する左右一対の駆動輪としての走行輪10を備えている。機体2は、機体2に設けられたエンジン11と、前部フレーム12と、前部フレーム12の後端に固着され湾曲して斜め上方に延びる後部フレーム13と、後部フレーム13の後端に取り付けられた操縦ハンドル14とを備えている。この歩行型の苗移植機1において、エンジン11の駆動力は、機体2を前進させるために走行輪10を回転駆動するだけでなく、苗植付装置3を駆動させるためにも使用される。
【0034】
走行輪10は、前部フレーム12に設けられた油圧昇降シリンダ15により、前部フレーム12即ち機体2に対して上下動され、機体2に対する上下方向の位置が変更される。油圧昇降シリンダ15は、各走行輪10に対応して一対設けられ、これら一対の油圧昇降シリンダ15は、左右方向に間隔をあけて配置されている。一対の油圧昇降シリンダ15のシリンダロッド(図示せず)は、中継リンク部材16(
図2に示す)により連結され、一対の油圧昇降シリンダ15のシリンダ本体(図示せず)は、バネ部材17(
図2に示す)により連結されている。これらの中継リンク部材16及びバネ部材17は、機体2の左右傾斜などのより左右方向に傾斜すると、機体2の左右方向が水平となるように、機体2の左右方向の姿勢を修正する。
【0035】
エンジン11は、ディーゼル機関やガソリン機関等の熱機関であって、出力軸から駆動力を出力する。出力軸は、機体2の左側方から突出している。エンジン11は、機体2の左右方向における略中央で、且つ、前部フレーム12の前端部に配置されている。エンジン11の上方には、ボンネットカバー18が設けられている。ボンネットカバー18は、エンジン11の上方に設けられた燃料タンク19や制御装置を収容している。
【0036】
操縦ハンドル14は、機体2即ち歩行型の苗移植機1の走行方向を変更するためのものである。操縦ハンドル14の前側でかつ苗植付装置3の苗載台30の後側には、走行輪10、苗植付装置3への伝動を断つことができる主クラッチレバー20と、走行輪10、苗植付装置3への伝動を断ったり油圧昇降シリンダ15を作動させるべく油路を切り替えたりする植付昇降レバー21を設けている。主クラッチレバー20は、入位置と切位置との2つの操作位置に操作できる構成となっており、駆動力伝動機構4の主伝動ケース40内の主クラッチを操作して伝動状態と非伝動状態とに切り替える。
【0037】
植付昇降レバー21は、植付位置、下降位置、中立位置及び上昇位置の4つの操作位置に操作できる構成となっており、駆動力伝動機構4の植付クラッチを操作して苗植付装置3を駆動状態と非駆動状態とに切り替えると共に、油圧昇降シリンダ15を作動させて左右の走行輪10を上下動させる。
【0038】
すなわち、植付昇降レバー21を植付位置に操作すると、植付クラッチを伝動状態にして苗植付装置3を作動させると共に、機体2の自重で左右の走行輪10が接地荷重を受けることにより油圧昇降シリンダ15に左右の走行輪10を上動させ、機体2を下降させてフロート5を接地状態とする。前記下降位置に操作すると、上述のように機体2を下降させた状態で、植付クラッチを非伝動状態にして苗植付装置3の作動を停止させる。前記中立位置に操作すると、上述のように苗植付装置3の作動を停止させた状態で、油圧昇降シリンダ15への油路を遮断して油圧昇降シリンダ15の作動を固定し、左右の走行輪10を任意の上下位置で固定して機体2の昇降を停止させる。前記上昇位置に操作すると、上述のように苗植付装置3の作動を停止させた状態で、油圧昇降シリンダ15内へ油圧を供給して左右の走行輪10を下動させ、機体2を上昇させてフロート5を非接地状態とする。
【0039】
操縦ハンドル14の左右のハンドルグリップ14aの下方には左右各々のサイドクラッチレバー22を設けており、該サイドクラッチレバー22により駆動力伝動機構4の左右各々のサイドクラッチを操作する構成となっている。操縦ハンドル14の斜め前下側で後部フレーム13の左側には植付深さ調節レバー23を設けており、該植付深さ調節レバー23の操作により各フロート5の回動支点軸の機体2に対する上下位置を変更して、苗植付装置3による苗の植付深さを変更して調節できる構成となっている。
【0040】
操縦ハンドル14の斜め前下側で後部フレーム13の右側には苗取量調節レバー24を設けており、該苗取量調節レバー24の操作により苗植付装置3の苗載台30の植付機構31に対する上下位置を変更して、植付機構31による一株当たりの苗取り量を変更して調節できる構成となっている。
【0041】
ボンネットカバー18の後部の上方には、補給用の苗を載せる予備苗載台90が設けられている。予備苗載台90は、棒材を組み合わせた枠体で構成され、前部フレーム12に両端が取り付けられた予備苗載台支持フレ−ム26に支持されている。
【0042】
苗載台30は、機体2の左右方向において仕切られた植付条数分の苗載面30aと、苗載面30aの前端に設けられかつ苗の前端を支える前板30b(
図5などに示す)を有しており、それぞれの苗載面30aに土付きのマット状苗を積載することが可能になっている。これにより、苗載台30に積載した苗が植え付けられて無くなるたびに、圃場外に用意している苗を取りに戻る必要が無く、連続した作業を行えるので、作業能率が向上する。
【0043】
また、苗載台30は、後部フレーム13の前部に左右方向に移動可能に支持され、駆動力伝動機構4からの駆動力により左右に往復移動する構成となっている。また、苗載台30には、左右移動端で、苗載台30の下端に設けられた苗取口32に苗を移送する各条の苗送りベルト33を備えている。この苗送りベルト33は、駆動力伝動機構4からの駆動力で作動し、苗載台30の左右移動端でマット状苗を一株分移送して苗を苗取口32へ供給する。
【0044】
苗植付装置3は、所謂ロータリ式の苗植付装置であって、苗の植付範囲を複数の区画あるいは複数の列で、苗を圃場に植え付けることができる。実施形態に係る歩行型の苗移植機1は、苗を4つの区画で植え付ける、いわゆる4条植のものである。苗植付装置3は、苗載台30に載せられた苗を圃場に植え付ける植付機構31を複数備えている。
【0045】
植付機構31は、機体2の後部でかつ苗載台30の前方に設けられ、苗載台30に積載された苗を圃場に植え付ける。植付機構31は、条毎に一つずつ配設されており、各々一つの苗載台30に積載された苗を圃場に植え付ける植込杆34(苗植付部に相当する)を備えている。実施形態では、苗植付装置3は、植付機構31は、合計4つ設けられ、4つの植付機構31が苗載台30から苗取口32へ供給される苗をそれぞれ一株分づつ掻き取って、走行しながら圃場に同時に4条分の苗を植え付ける4条植えの構成となっている。
【0046】
植付機構31は、駆動力伝動機構4の後述する植付伝動ケース43,44の下部に取り付けられている。植付機構31は、左右方向に間隔をあけて配置され、苗載台30の苗取口32の前方側に配置されている。植付機構31は、
図3に示すように、ロータリ回転部35と、植込杆34とを備えている。
【0047】
ロータリ回転部35は、
図3に示すように、駆動力伝動機構4の植付伝動軸46(
図6に示す)及び植付駆動軸46bなどによりエンジン11からの駆動力により回転する回転ケース61と、回転ケース61内に回転自在に収容された偏芯サンギヤ62(入力回転体に相当)と、回転ケース61内に回転自在に収容された偏芯プラネタリギヤ63(出力回転体に相当)と、回転ケース61内に収容された偏芯カウンタギヤ64(中継回転体に相当)とを備えている。
【0048】
偏芯サンギヤ62と、偏芯プラネタリギヤ63と、偏芯カウンタギヤ64は、外周面が回転中心から偏芯した所謂偏芯ギヤである。偏芯サンギヤ62は、回転ケース61の一端部内に収容され、植付駆動軸46bに取り付けられて、エンジン11からの駆動力により回転する。偏芯プラネタリギヤ63は、回転ケース61の他端部内に収容され、植込杆34の偏芯支軸65が取り付けられ、植込杆34と連動して回転する。偏芯プラネタリギヤ63と偏芯支軸65とは、所謂段付キー結合により互いに固定されている。偏芯カウンタギヤ64は、回転ケース61の中央部内に収容され、偏芯サンギヤ62及び偏芯プラネタリギヤ63に噛み合って、偏芯サンギヤ62から偏芯プラネタリギヤ63に駆動力を伝動する。
【0049】
ロータリ回転部35は、駆動力伝動機構4の植付伝動軸46などを介してエンジン11からの駆動力により回転ケース61が回転されるとともに、エンジン11からの駆動力により植込杆34を回転させて、植込杆34の植付爪67の先端を
図1などに二点鎖線で示す移動軌跡Kに沿って移動させる。なお、ロータリ回転部35の回転ケース61の回転方向は、前進時の走行輪10の回転方向と逆方向である。移動軌跡Kの最上位置Kaで植込杆34が苗を苗載台30から一株づつ掻き取る。移動軌跡Kは、ギヤ62,63,64の偏芯度合い等によって、移動軌跡Kの最上位置Kaにおいて、植込杆34が苗載台30から苗を掻き取り始めてから苗を掻き取り終わるまでの前板30bに対する角度は、略90度となって、殆ど変化しない(又は、全く変化しない)ようになっている。
【0050】
また、移動軌跡Kは、ギヤ62,63,64の偏芯度合い等によって、植込杆34の移動軌跡Kのうち最下位置Kb(苗を植え付けてから上方に退避し始める位置)が、苗載台30の前板30bの下端よりも機体2後方側となる移動軌跡とされている。
【0051】
移動軌跡Kは、ギヤ62,63,64の偏芯度合い等によって、
図8に示すように、苗を掻き取ってから苗を植え付けるまでの速度が略一定の移動軌跡となっている。なお、
図8に示すT1〜T14は、それぞれ、単位時間当たりの植込杆34の植付爪67の先端の移動距離を示しており、これらの移動距離T1〜T14は、略等しくなっている。
【0052】
また、ギヤ62,63,64の偏芯度合い等によって、植込杆34の先端が最下位置Kbに位置付けられた際に、偏芯サンギヤ62と、偏芯カウンタギヤ64と、偏芯プラネタリギヤ63の中心を結ぶ直線Lは、
図5に示すように、機体2後方側に向かうにしたがって徐々に圃場に近付く姿勢である。
【0053】
さらに、苗移植機1の走行中の移動軌跡Kは、
図9に示すように、植込杆34の植付爪67の先端が上下に往復移動する移動軌跡となっている。また、最大株数時には、
図9に示すように、移動軌跡Kは、上下の死点の略中央において互いに交わることとなる。したがって、苗移植機1は、先に植えた苗に植込杆34がこれから植える苗が接触することを抑制でき、苗の植付精度が向上でき、苗の生育不良を抑制することができる。
【0054】
植込杆34は、回転ケース61に対して回転自在に設けられ、かつ苗載台30から苗を取って圃場に植え付ける。植込杆34は、
図3及び
図4に示すように、偏芯支軸65に固定された植込杆ケース66と、植込杆ケース66に固定されかつ苗載台30から苗を掻き取る植付爪67(掻取部材に相当)と、押出フォーク68(押出部材に相当)と、作動アーム69と、押出カム70とを備えている。
【0055】
押出フォーク68は、棒状に形成され、植付爪67に沿って植込杆ケース66に突没自在に設けられている。押出フォーク68は、
図4中の点線で示す殆どが植込杆ケース66に収容された非押出位置と、
図4中の実線で示す植込杆ケース66から突出して植付爪67が掻き取った苗を圃場に押し出す押出位置とに亘って、植込杆ケース66に移動自在に設けられている。押出フォーク68は、押出位置では、植込杆ケース66から突出することで植付爪67が掻き取った苗を圃場に押し出して、植付爪67から苗を離脱させて、圃場に植え付ける。押出フォーク68は、非押出位置では、殆どが植込杆ケース66内に収容されて植付爪67が掻き取った苗を圃場に押し出すことがない。押出フォーク68は、植込杆ケース66内に収容されたバネ71(
図4に示す)により植込杆ケース66から突出する方向に付勢されている。
【0056】
作動アーム69は、植込杆ケース66内に揺動自在に設けられ、一端部が押出フォーク68の基端部と係合している。作動アーム69は、揺動することで、押出フォーク68を非押出位置と押出位置とに亘って移動させる。
【0057】
押出カム70は、偏芯支軸65に取り付けられて、偏芯プラネタリギヤ63と連動して回転するとともに、作動アーム69の他端部に設けられたカム部72と当接可能である。押出カム70は、外周面が回転中心から偏芯した所謂偏芯カムである。押出カム70は、作動アーム69のカム部72に当接して、植込杆34の植付爪67の先端が移動軌跡Kの最下位置Kbよりも若干上方でかつ苗載台30の前板30bの下端よりも機体2後方側の苗植付位置Kc(
図5に示す)までは、バネ71の付勢力に抗して、作動アーム69に押出フォーク68を非押出位置に保持させる。なお、苗植付位置Kcとは、植込杆34な苗を圃場に植え付ける位置である。
【0058】
押出カム70は、植込杆34の植付爪67の先端が苗植付位置Kcに位置すると、カム部72に当接しなくなって、バネ71の付勢力によって、作動アーム69に押出フォーク68を植付爪67に掻き取られた苗を圃場に押し出す押出位置とさせる。そして、押出カム70は、植込杆34の植付爪67の先端が最下位置Kbに位置すると、カム部72に当接し始めて、バネ71の付勢力に抗して、押出フォーク68を非押出位置に移動させる。このように、押出カム70は、植込杆34の植付爪67の先端が苗植付位置Kcと最下位置Kbとの間に位置すると、押出フォーク68を押出位置にして、植付爪67の先端に掻き取った苗を圃場に植え付ける。押出カム70は、植込杆34の植付爪67の先端が他の位置に位置すると、カム部72に当接して、押出フォーク68を非押出位置に保持する。また、植込杆34は、苗植付位置Kcを、植込杆34の植付爪67の先端の移動軌跡Kの最下位置Kbよりも上方でかつ苗載台30の前板30bの下端よりも機体2後方側としている。
【0059】
また、押出カム70と作動アーム69とは、苗植付位置Kcでは、
図4に示すように、押出カム70の回転中心と作動アーム69の揺動中心とを結ぶ直線L1上にカム部72の先端を配置している。このために、押出フォーク68を突出させた際に回転ケース61をスムーズに回転させることができる。
【0060】
また、植込杆34の植込杆ケース66内には、潤滑油が注油される。このために、植込杆34は、植込杆ケース66の内部に潤滑油を注油する注油口73を備え、注油口73を植込杆34が苗植付位置Kcに位置した際の植込杆ケース66の上端でかつ機体2後方側の面に配置している。また、注油口73には、潤滑油を注油する際以外即ち苗の植付作業中では、潤滑油が漏れることを規制する蓋74が取り付けられている。
【0061】
植込杆34は、その植付爪67の先端で苗載台30に積載された苗取口32内の苗を一株づつ掻き取って、回転ケース61の回転により降下し、掻き取った苗を苗植付位置Kcで圃場に植え付ける。そして、植込杆34は、回転ケース61の回転により再度上昇して、次の苗を一株づつ掻き取る。このように、植付機構31は、回転ケース61が回転されながら、植込杆34が回転ケース61に対して回転されるとともに、植込杆34が苗載台30に積載された苗を圃場に植え付ける。また、植付機構31は、苗取量調節レバー24の操作により、一株当たりの苗取り量が調整される際には、前記直線Lが植付駆動軸46bから離れるのにしたがって徐々に機体2前方でかつ上方に向かうように、回転ケース61が傾く。したがって、苗取り量の調整が容易になる。
【0062】
また、植込杆34は、
図5に示すように、偏芯サンギヤ62の回転中心と偏芯プラネタリギヤ63の回転中心との距離D1よりも、回転ケース61の外面と移動軌跡Kの最下位置Kbとの距離D2が大きく形成されている。したがって、植付機構31は、植付深さの調節範囲を大きくすることができる。
【0063】
駆動力伝動機構4は、エンジン11の後ろ側に設けられた主伝動ケース40と、主伝動ケース40の左右各々に設けられた走行伝動ケース41と、植付伝動機構42(
図6に示す)とを備えている。主伝動ケース40は、前部フレーム12の前端部に取り付けられている。主伝動ケース40は、エンジン11の出力軸を収容しており、エンジン11からの駆動力が伝動される。
【0064】
主伝動ケース40内には、エンジン11からの駆動力の走行輪10、苗植付装置3への全ての伝動を断つことが出来る主クラッチと、主クラッチからの駆動力を走行輪10への伝動経路と苗植付装置3への伝動経路とに分岐する動力分岐部と、苗植付装置3への伝動経路上において苗植付装置3への伝動を断つことができる植付クラッチと、走行輪10への伝動経路上において噛み合うギヤの切替により路上走行用の前進高速状態、植付作業用の前進低速状態、ギヤが噛み合わずに非伝動となる中立状態及び後進状態の4状態に切り替えて変速できる変速部と、変速部の伝動下手側で左右の走行輪10への伝動を非伝動状態に切り替えできる左右各々のサイドクラッチとを設けている。従って、走行輪10への伝動経路では、エンジン11からの駆動力は、変速部及びサイドクラッチを介して主伝動ケース40から左右に突出する左右各々の走行用伝動軸(図示せず)に伝動される。
【0065】
走行伝動ケース41は、主伝動ケース40の走行用伝動軸を収容しており、走行伝動ケース41内でスプロケット及びチェ−ンにより該走行伝動ケース41から左右外側に突出する車軸10aに伝動し、走行輪10を回転駆動する。走行伝動ケース41は、前端部に位置する前記走行用伝動軸周りに上下に回動可能に設けられ、後端部に位置する車軸10aを上下に移動させて走行輪10を上下動させる。
【0066】
植付伝動機構42は、
図6に示すように、主伝動ケース40から後側に延び、且つ植付クラッチを介してエンジン11からの駆動力が伝動される伝動軸(図示せず)と、中央植付伝動ケース43と、外側植付伝動ケース44(
図1に示す)と、往復摺動機構45と、を備えている。
【0067】
中央植付伝動ケース43は、左右方向の中央に設けられ、後部フレーム13の前端部上に配置されている。中央植付伝動ケース43は、伝動軸の後端(図示せず)と、植付伝動軸46の中央部と、4つの植付機構31のうちの中央の2つの植付機構31の偏芯サンギヤ62が取り付けられた植付駆動軸46bとを回転自在に収容している。また、中央植付伝動ケース43は、植付伝動軸46から植付駆動軸46bへ駆動力を伝動するスプロケットやチェーンなどで構成される伝動機構(図示せず)を収容している。伝動軸を介して伝動されたエンジン11からの駆動力は、伝動軸の後端及び植付伝動軸46に固定されたベベルギヤ47(
図6に示す)により、植付伝動軸46に伝動されて、植付伝動軸46を軸心回りに回転駆動する。即ち、植付伝動軸46は、エンジン11からの駆動力により回転する。また、植付伝動軸46に伝動されたエンジン11からの駆動力は、伝動機構を介して中央の2つの植付機構31の植付駆動軸46bへ伝動され、これら中央の2つの植付機構31の回転ケース61を回転させるとともに、植込杆34を回転ケース61に対して回転させる。
【0068】
外側植付伝動ケース44は、中央植付伝動ケース43の左右両側に設けられ、植付伝動軸46を収容した筒ケース46a(
図6に示す)を介して中央植付伝動ケース43に取り付けられている。外側植付伝動ケース44は、植付伝動軸46の端部と、左右各々の外側の1つの植付機構31の偏芯サンギヤ62が取り付けられた植付駆動軸46bとを回転自在に収容している。外側植付伝動ケース44は、植付伝動軸46から植付駆動軸46bへ駆動力を伝動するスプロケットやチェーンなどで構成される伝動機構(図示せず)を収容している。植付伝動軸46を介して伝動されたエンジン11からの駆動力は、植付伝動軸46の端部に固定されたスプロケットなどで構成される伝動機構を介して外側の1つの植付機構31の植付駆動軸46bへ伝動され、この1つの植付機構31の回転ケース61を回転させるとともに、植込杆34を回転ケース61に対して回転させる。即ち、植付駆動軸46bは、植付伝動軸46からの駆動力により苗植付装置3の植付機構31の偏芯サンギヤ62を回転させる。このように、植付伝動軸46は、苗植付装置3にエンジン11からの駆動力を伝動する。また、苗移植機1は、植付伝動軸46を、走行輪10の外縁よりも機体2後方側に配置している。
【0069】
往復摺動機構45は、苗載台30を機体2の左右方向に往復摺動させるものである。往復摺動機構45は、
図6に示すように、リードカム軸48と、摺動軸49とを備えている。リードカム軸48は、長手方向が左右方向と平行な状態で、左右方向の移動が規制されかつ軸心回りの回転が許容されて、中央植付伝動ケース43内に収容されている。リードカム軸48は、植付伝動軸46からエンジン11の駆動力が伝動されて、エンジン11からの駆動力により軸心回りに回転する。即ち、植付伝動軸46は、リードカム軸48にエンジン11からの駆動力を伝動する。
【0070】
摺動軸49は、中央部が中央植付伝動ケース43内に収容されている。摺動軸49は、リードカム軸48のカムに係合するリードカム49aを固着して、リードカム軸48に接触してリードカム軸48の回転により左右方向に往復移動する。摺動軸49の両端には、苗載台30の両端に取り付けられた連結部材49b(
図1に示す)が取り付けられている。摺動軸49は、リードカム軸48の回転により左右方向に往復移動すると、苗載台30を機体2の左右方向に往復摺動させる。
【0071】
また、中央植付伝動ケース43及び外側植付伝動ケース44は、
図1に示すように、苗移植機1の側面視において、植付伝動軸46と、植付駆動軸46bと、摺動軸49とを上下方向の直線上に配置している。さらに、中央植付伝動ケース43及び外側植付伝動ケース44は、植付伝動軸46を走行輪10の外縁よりも機体2後方側に配置している。
【0072】
さらに、駆動力伝動機構4は、主伝動ケース40内の植付クラッチが駆動力の苗植付装置3への伝動を断って、回転ケース61を停止させる位置を前記直線Lが植付駆動軸46bから離れるのにしたがって徐々に機体2後方でかつ下方に向う位置としている。駆動力伝動機構4は、このような位置で回転ケース61を停止させることで、回転ケース61停止時の逆転を抑制でき、植付クラッチの爪などから生じる異音を抑制することができる。
【0073】
フロート5は、機体2の下部に設けられ、且つ機体2の移動と共に圃場の表面に接触して圃場の表面上を滑走して整地するものである。苗移植機1は、フロート5として、
図3などに示すように、機体2の左右方向の中央に設けられた一つのセンターフロート51と、該センターフロート51の左右両側にそれぞれ設けられた一対のサイドフロート52との3枚で構成されている。歩行型の苗移植機1は、センターフロート51と一対のサイドフロート52との間に走行輪10を設けている。
【0074】
センターフロート51は、中央の2つの植付機構31の苗を植え付ける位置を整地し、サイドフロート52は、外側の各々1つの植付機構31の苗を植え付ける位置を整地する。センターフロート51は、前端がサイドフロート52の前端より前側に位置し、サイドフロート52より前後長が長く、サイドフロート52より左右幅が広く、サイドフロート52より接地面積が広い。尚、センターフロート51及びサイドフロート52は、苗移植機1の側面視において、後部フレ−ム13の同じ位置に配置された各々の左右方向の回動軸53回りに上下に回動自在に支持され、前部が圃場の表面に合わせて上下動する構成となっている。
【0075】
また、センターフロート51及びサイドフロート52は、
図7に示すように、苗植付装置3の苗植付位置Kc及び苗植付位置Kcの近傍に位置付けられた植込杆34の機体2前方側でかつ植込杆34の近傍に、植込杆34が苗を植え付けることを許容する植付切欠部54を設けている。なお、植付切欠部54の構成は、センターフロート51及びサイドフロート52の構成が等しいために、
図7では、センターフロート51を代表して示す。植付切欠部54は、苗植付位置Kc及び苗植付位置Kcの近傍に位置付けられた植込杆34と前後方向に並び、当該植込杆34の直ぐ前方に配置されている。
【0076】
植付切欠部54は、フロート51,52を該フロート51,52の前端部よりも幅を狭く形成して、あたかもフロート51,52の一部を切り欠いている。また、フロート51,52の植付切欠部54の内縁部は、上下方向に間隔をあけかつ外縁が互いに連なった一対の壁55a,55bにより中空に形成されている。このために、フロート51,52は、軽量化されて、圃場の表面を押しすぎることを抑制でき、フロート51,52表面に圃場の泥土が乗り上げて、フロート51,52が圃場内に沈み込むことを抑制できる。
【0077】
また、中央植付伝動ケース43及び外側植付伝動ケース44は、
図1に示すように、フロート51,52の回動軸53よりも機体2前方側に植付駆動軸46bを配置している。
【0078】
機体2の前部には、機体2の前方の障害物からエンジン11、主伝動ケース40及びボンネットカバー18等を防護する防護フレーム80を設けている。この防護フレーム80は、主伝動ケース40の左右側面から左右外側に延びる左右各々の取付部80aと、この左右の取付部80aを連結する機体2外縁となる防護部80bとを備えている。該防護部80bは、左右中央部分が左右に真直に延びる水平状で最も前側に位置し、左右外側部分が左右外側へいくにつれて後側に位置する構成となっている。
【0079】
制御装置は、苗移植機1を構成する上述した構成要素をそれぞれ制御するものである。制御装置は、例えば、エンジン11を制御するエンジン制御等を実行している。
【0080】
前述した苗移植機1は、圃場に苗を植え付ける際には、作業者が操縦ハンドル14の左右のハンドルグリップ14aを把持し、植付昇降レバー21を植付位置に操作して機体2を下降させると共に苗植付装置3を作動可能な状態にし、主クラッチレバー20を入位置に操作して機体2を走行させながら苗植付装置3を作動させることにより、圃場に同時に4条分の苗を植え付けていく。圃場の枕地に到達すると、植付昇降レバー21を上昇位置に操作して苗植付装置3の作動を停止させると共に機体2を上昇させ、走行伝動ケース41を下方へ回動してフロート51,52を圃場から浮かせた状態にして旋回内側のサイドクラッチレバー22を操作して旋回内側の走行輪10のサイドクラッチを断ち、機体2を旋回させる。
【0081】
以上のように、本実施形態の苗移植機1の構成によれば、回転ケース61の回転方向を走行輪10の回転方向と逆方向としているので、植込杆34が苗を植え付ける際に跳ね上げる泥土は、機体2前方側に飛ばされることとなる。このために、泥土が苗にかかって押しつぶすことや光合成を妨げることを抑制でき、苗の生育不良を抑制することができる。
【0082】
また、植込杆34の植付爪67の先端の移動軌跡Kを、植込杆34の植付爪67の先端が上方に退避し始める最下位置Kbを苗載台30の前板30bの下端よりも機体2後方側となる移動軌跡Kとした。このために、植込杆34が植え付けた苗が、苗載台30の下端に接触することを抑制でき、苗が押し倒されたり、苗が傷ついたりすることを抑制でき、苗の生育不良を抑制することができる。
【0083】
苗移植機1によれば、植込杆34の植付爪67の先端が最下位置Kbに位置付けられた際に、偏芯サンギヤ62と偏芯カウンタギヤ64と偏芯プラネタリギヤ63の中心を結ぶ直線Lが、後方側に向かうにしたがって圃場に近付く姿勢である。このために、植込杆34を最下位置Kbから引き上げる際に、回転ケース61などの質量が回転ケース61の回転を強める力として作用する。したがって、植込杆34の引き上げ時にかかる回転荷重を回転ケース61の質量により抑制することができるので、回転ケース61の回転が乱れることを抑制でき、苗の植付精度が向上する。
【0084】
また、苗移植機1によれば、苗植付位置Kcを、植込杆34の植付爪67の先端の移動軌跡Kの最下位置Kbよりも上方でかつ苗載台30の前板30bの下端よりも機体2後方側としたので、苗が植え付けられる際に、回転ケース61の下端部が苗の上方を既に通過している。したがって、苗が押し倒されたり、傷付いたりすることを抑制でき、苗の生育不良を抑制できるとともに、苗の植付精度を向上することができる。
【0085】
苗移植機1によれば、植付駆動軸46bと植付伝動軸46と摺動軸49を上下方向の直線上に配置したので、苗植付装置3に駆動力を伝動する起動である植付伝道ケース43,44の前後幅を抑制でき、機体2の小型化を図ることができる。
【0086】
また、苗移植機1によれば、植付伝動軸46を走行輪10の外縁よりも機体2後方側に配置したので、作業者は、走行輪10を外すことなく、植付伝動軸46などの整備を行うことができる。
【0087】
苗移植機1によれば、植付切欠部54を植込杆34の直ぐ前方でかつ近傍に配置したので、圃場の表面のうちの苗植付装置3の苗を植え付ける箇所を確実に均すことができる。したがって、苗の植付精度を向上することができる。
【0088】
苗移植機1によれば、植込杆34の注油口73を植込杆34の上端部でかつ機体2後方側の面に配置したので、植込杆34の潤滑油の注油作業の能率が向上し、整備性を向上することができる。
【0089】
[変形例]
本発明の実施形態の変形例に係る歩行型の苗移植機1を、
図10及び
図11に基いて説明する。
図10は、実施形態の変形例に係る歩行型の苗移植機の植付機構などの断面図である。
図11(a)は、実施形態の変形例に係る歩行型の苗移植機の苗を掻き取る植付機構を説明する図である。
図11(b)は、
図11(a)に示された植付機構が苗植付位置へ向けて回転する状態を説明する図である。
図11(c)は、
図11(b)に示された植付機構が苗植付位置に位置付けられた状態を説明する図である。
図11(d)は、
図11(c)に示された植付機構が上方へ退避した状態を説明する図である。なお、
図10及び
図11において、実施形態と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0090】
本発明の実施形態の変形例に係る歩行型の苗移植機1の苗植付装置3は、
図10に示すように、回転ケース61内に回転自在に収容されかつ偏芯サンギヤ62と噛み合う偏芯従動ギヤ75(従動回転体に相当)と、一端部が回転ケース61内に回転自在に収容されかつ一端部に偏芯従動ギヤ75が取り付けられた従動偏芯軸76(従動回転軸に相当)と、従動偏芯軸76に取り付けられたバランスウェイト77とを備えている。
【0091】
偏芯従動ギヤ75は、所謂偏芯ギヤである。従動偏芯軸76は、偏芯従動ギヤ75が取り付けられて、偏芯従動ギヤ75と共に回転する。バランスウェイト77は、回転ケース61外に突出した従動偏芯軸76の他端部に取り付けられ、回転ケース61と植込杆34との間に設けられている。バランスウェイト77は、
図11に示すように、苗移植機1の側方からみて従動偏芯軸76から離れるのにしたがって幅が広く(扇型又は三角形)形成されている。
【0092】
また、変形例では、偏芯サンギヤ62と偏芯カウンタギヤ64と偏芯プラネタリギヤ63と偏芯従動ギヤ75の回転中心を結ぶ直線L2と、バランスウェイト77の中心線Pとのなす角度θは、90度よりも小さくなるのにしたがって、バランスウェイト77の質量の回転ケース61の回転をより援助する力が強くなる。即ち、角度θが小さくなるのにしたがって、バランスウェイト77の質量が回転ケース61の回転をより強い力で援助することとなる。なお、角度θとは、偏芯サンギヤ62が他のギヤ63,64,75から離れる方向の直線L2と、バランスウェイト77の幅を二等分しかつ従動偏芯軸76からバランスウェイト77の外周に向かう方向の中心線Pとのなす角度である。
【0093】
変形例では、偏芯従動ギヤ75及び従動偏芯軸76の偏芯度合い及びバランスウェイト77の従動偏芯軸76に対する取付位置により、植込杆34が移動軌跡Kの最上位置Kaに位置して苗を掻き取る際の直線L2と中心線Pとのなす角度θは、
図11(a)に示すように、90度よりも小さい角度となっている。また、変形例では、偏芯従動ギヤ75及び従動偏芯軸76の偏芯度合い及びバランスウェイト77の従動偏芯軸76に対する取付位置により、植込杆34が移動軌跡Kの最上位置Kaから苗植付位置Kcに向かって移動する際の直線L2と中心線Pとのなす角度θは、
図11(b)に示すように、90度よりも小さい角度となっている。また、変形例では、偏芯従動ギヤ75及び従動偏芯軸76の偏芯度合い及びバランスウェイト77の従動偏芯軸76に対する取付位置により、植込杆34が移動軌跡Kの苗植付位置Kcに位置する際の直線L2と中心線Pとのなす角度θは、
図11(c)に示すように、90度よりも小さい角度となっている。なお、角度θは、
図11(a)では、6.64度、
図11(b)では、51.45度、
図11(c)では、32度となっている。
【0094】
また、変形例では、偏芯従動ギヤ75及び従動偏芯軸76の偏芯度合い及びバランスウェイト77の従動偏芯軸76に対する取付位置により、植込杆34が移動軌跡Kの苗植付位置Kcから最上位置Kaに向かって移動する際の直線L2と中心線Pとのなす角度θは、
図11(d)に示すように、90度よりも大きい角度となっている。なお、角度θは、
図11(d)では、92.44度となっている。
【0095】
このように、バランスウェイト77は、少なくとも移動軌跡Kの最上位置Kaから苗植付位置Kcに亘って、その質量により回転ケース61の回転を援助(付勢)することとなる。
【0096】
実施形態の変形例に係る歩行型の苗移植機1によれば、実施形態と同様に、苗の生育不良を抑制できるとともに、苗の植付精度を向上することができる。また、変形例に係る歩行型の苗移植機1によれば、従動偏芯軸76にバランスウェイト77に取り付けているので、バランスウェイト77の質量を必要な際に回転ケース61の回転を援助する力として作用させることができる。
【0097】
また、偏芯サンギヤ62と偏芯カウンタギヤ64と偏芯プラネタリギヤ63と偏芯従動ギヤ75の中心を結ぶ直線L2と、バランスウェイト77の中心線Pとのなす角度が90度よりも小さくなるのにしたがって、バランスウェイト77の質量の回転ケース61の回転を援助する力が強くなる。このために、ギヤ62,63,64,75間のバックラッシにより回転ケース61の回転が乱れることを抑制でき、苗の植付精度を向上することができる。特に、バランスウェイト77は、少なくとも移動軌跡Kの最上位置Kaから苗植付位置Kcに亘って、その質量により回転ケース61の回転を援助(付勢)するので、苗を掻き取ってから植え付けるまでの回転ケース61の回転が乱れることを抑制でき、苗の植付精度を向上することができる。
【0098】
なお、本発明は上記実施形態や変形例に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で、構成要素を種々組み合わせて実施することができる。