特許第6205984号(P6205984)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6205984
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】中和装置および潜熱回収式熱源機
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/66 20060101AFI20170925BHJP
   F24H 1/14 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
   C02F1/66 530B
   C02F1/66 510Q
   C02F1/66 521C
   C02F1/66 521D
   F24H1/14 B
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-173516(P2013-173516)
(22)【出願日】2013年8月23日
(65)【公開番号】特開2015-39688(P2015-39688A)
(43)【公開日】2015年3月2日
【審査請求日】2016年7月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菱田 隆人
(72)【発明者】
【氏名】酒井 翔平
【審査官】 松井 一泰
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−250818(JP,A)
【文献】 特開平09−287726(JP,A)
【文献】 特開平11−019662(JP,A)
【文献】 特開2008−119660(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/66− 1/68
F24H 1/06− 1/16
F24H 8/00
F24H 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜熱回収式熱源機で発生したドレンを中和するための中和装置であって、
貫通孔を有する支持部と、
前記支持部上に配置され、かつpHがアルカリ性の中和剤と、
前記支持部と前記中和剤との間に配置され、かつ前記中和剤よりもpHの値が小さいドレン滞留阻止部と、
前記中和剤および前記ドレン滞留阻止部を収容可能な中和槽と、
前記支持部によって前記中和槽と区切られた排出槽とを備え、
前記支持部はメッシュのフィルター状に構成されており、
前記排出槽は前記支持部の前記貫通孔から流れ落ちた前記ドレンを収容可能に構成されており、
前記中和剤の上方から排出され前記中和剤の表面に沿って下方に流れた前記ドレンが前記ドレン滞留阻止部を通過して前記貫通孔から流れ落ちるように構成されている、中和装置。
【請求項2】
前記ドレン滞留阻止部は、複数の粒状の第1固体物を充填することにより構成されている、請求項1に記載の中和装置。
【請求項3】
前記中和剤は、複数の粒状の第2固体物を充填することにより構成されており、
前記第1固体物の粒径は、前記第2固体物の粒径以上の寸法を有している、請求項2に記載の中和装置。
【請求項4】
前記貫通孔の開口寸法は、前記第1固体物の粒径よりも小さい寸法を有している、請求項2または3に記載の中和装置。
【請求項5】
前記中和剤は酸化マグネシウムであり、前記ドレン滞留阻止部は炭酸カルシウムである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の中和装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の中和装置を備えた、潜熱回収式熱源機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中和装置および潜熱回収式熱源機に関し、特に、潜接回収式熱源機で発生したドレンを中和するための中和装置およびそれを備えた潜熱回収式熱源機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
熱源機の一例として、熱効率を高めるために、燃焼排気ガスの顕熱および潜熱(燃焼排気ガス中の水蒸気が保有している潜熱)を回収する熱交換器を備えたものが実用化されている。この潜熱回収可能な熱交換器を用いた場合、燃焼排気ガス中の水蒸気は潜熱を奪われることにより凝縮して結露するため、熱交換器に多量のドレン(結露水)が発生する。燃焼排気ガス中には窒素酸化物などが含まれるため、これがドレンに溶け込んでドレンは酸性となる。この酸性のドレンを中和するために中和剤が用いられている。
【0003】
このような中和剤により酸性のドレンを中和する技術がたとえば特開平2013−2674号公報(特許文献1)および実公平06−32164号公報(特許文献2)に記載されている。特開平2013−2674号公報には、ドレン中和器の排出口にコイルばねを配置して中和剤の排出口への侵入を防止することが記載されている。また、実公平06−32164号公報には、ガスエンジンで発生したドレンを中和する排気ガスドレン水処理装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2013−2674号公報
【特許文献2】実公平06−32164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記公報のいずれも中和装置のドレン排出口においてドレンが滞留する。このため、中和剤として平衡pHがアルカリ性の中和剤を用いた場合、滞留したドレンと中和剤との反応が進むことによってドレンが中性で留まらずアルカリ性になるおそれがある。したがって、ドレンを中性になるように制御することが困難であるという問題がある。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、ドレンがアルカリ性になることを防止してドレンの中性化を容易に制御できる中和装置およびそれを備えた潜熱回収式熱源機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の中和装置は、潜熱回収熱源機で発生したドレンを中和するためのものである、中和装置は、支持部と、中和剤と、ドレン滞留阻止部とを備えている。支持部は貫通孔を有している。中和剤は支持部上に配置され、かつpHがアルカリ性である。ドレン滞留阻止部は支持部と中和剤との間に配置され、かつ中和剤よりもpHの値が小さい。中和装置は、中和剤の上方から排出され中和剤の表面に沿って下方に流れたドレンがドレン滞留阻止部を通過して貫通孔から流れ落ちるように構成されている。
【0008】
本発明の中和装置によれば、中和剤の上方から排出され中和剤の表面に沿って下方に流れたドレンが、中和剤よりもpH(水素イオン指数)の値が小さいドレン滞留阻止部を通過して貫通孔から流れ落ちるため、ドレンがドレン滞留阻止部で滞留しないようにすることができる。このため、中和剤に接触するドレン滞留阻止部において滞留したドレンと中和剤との反応が進むことによりドレンがアルカリ性になることが抑制される。これにより、中和剤によるドレンの中性化を容易に制御することができる。
【0009】
上記の中和装置においては、ドレン滞留阻止部は、複数の粒状の第1固体物を充填することにより構成されている。このため、ドレンの表面表力による水膜の形成を抑制できる。これにより、ドレン滞留阻止部にドレンが滞留することを抑制できる。
【0010】
上記の中和装置においては、中和剤は、複数の粒状の第2固体物を充填することにより構成されている。第1固体物の粒径は、第2固体物の粒径以上の寸法を有している。このため、中和剤にドレンが滞留することを抑制できる。また中和剤よりもドレン滞留阻止部の排水性を向上することができる。
【0011】
上記の中和装置においては、貫通孔の開口寸法は、第1固体物の粒径よりも小さい寸法を有している。このため、第1固体物の貫通孔からの脱落を抑制することができる。
【0012】
上記の中和装置においては、中和剤は酸化マグネシウムであり、ドレン滞留阻止部は炭酸カルシウムである。このため、酸化マグネシウムによって酸性のドレンを中和するとともに、炭酸カルシウムによって中性になったドレンがアルカリ性になることを抑制できる。
【0013】
本発明の潜熱回収式熱源機は、上記の中和装置を備えている。したがって、ドレンがアルカリ性になることを防止してドレンの中性化を容易に制御できる中和装置を備えた潜熱回収式熱源機を実現できる。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように本発明によれば、酸性のドレンがアルカリ性になることを防止して酸性のドレンの中性化を容易に制御できる中和装置およびそれを備えた潜熱回収式熱源機を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施の形態における潜熱回収式熱源機の構成を概略的に示す概略図である。
図2】本発明の一実施の形態における潜熱回収式熱源機の中和装置の構成を概略的に示す概略図である。
図3】本発明の一実施の形態における潜熱回収式熱源機の中和装置においてドレンが中和される様子を概略的に示す概略図である。
図4図3のP部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施の形態について図に基づいて説明する。
まず本発明の実施の形態の潜熱回収式熱源機の構成について説明する。
【0017】
図1を参照して、本実施の形態の潜熱回収式熱源機は、潜熱回収式の熱源機であり、熱源機で発生したドレンDを回収し、排出可能に構成されている。潜熱回収式熱源機は、中和装置1と、ドレンタンク2と、水位検知手段3と、ドレン排出ポンプ4と、逆止弁5と、制御部6と、給湯側熱交換器21と、風呂側熱交換器22と、ドレン受け23と、給湯配管24aと、給水配管24bと、往き配管25aと、戻り配管25bと、燃焼バーナ26と、送風機27とを主に有している。
【0018】
中和装置1は、潜熱回収式熱源機で発生したドレンDを中和するためのものである。中和装置1は、ドレンタンク2およびドレン受け23に接続されており、ドレン受け23で受けられた酸性のドレンDを中和させた後に、ドレンタンク2内に供給できるよう構成されている。中和装置1の構成については後で詳しく説明する。
【0019】
ドレンタンク2は、潜熱回収式熱源機で発生したドレンDを貯留するためのものである。水位検知手段3は、ドレンタンク2内におけるドレンDの水位を検知するためのものである。水位検知手段3は、ドレンタンク2内におけるドレンDの水位が少なくとも高位および低位のいずれかにあることを検知可能である。この水位検知手段3は、ドレンタンク2内の低水位(L:低位)を検知するための電極部Lと、高水位(H:高位)を検知するための電極部Hとを有している。
【0020】
ドレン排出ポンプ4は、ドレンタンク2に貯留されたドレンDを機外に排出するためのものである。ドレン排出ポンプ4はドレンタンク2に接続されている。ドレン排出ポンプ4の下流側に逆止弁5が接続されていてもよい。この逆止弁5は、逆止弁5の上流側から下流側へのドレンDの流れを許容し、下流側から上流側へのドレンDの流れを許容しないよう構成されている。またドレンDの排出先は、たとえば浴室防水パンなどの排出部などである。
【0021】
制御部6は、水位検知手段3、ドレン排出ポンプ4の各々に電気的に接続されている。制御部6は水位検知手段3からのドレンDの水位が高位以上であることの信号に基づいて、ドレンDの水位が低位であることの信号が入力されるまでドレン排出ポンプ4を駆動するよう制御可能に構成されている。
【0022】
給湯側熱交換器21および風呂側熱交換器22のそれぞれは、潜熱回収型の熱交換器である。潜熱回収型の熱交換器では、従来排出していた熱交換後のガスが二次熱交換器へ通されることで二次熱交換器内の水が予熱される。この過程で燃焼ガスの温度が60℃程度まで下がることで、燃焼ガス中に含まれる水分が凝縮して潜熱を得ることができる。このため給湯側熱交換器21は、一次熱交換器21aと、二次熱交換器21bとを有している。また風呂側熱交換器22は、一次熱交換器22aと、二次熱交換器22bとを有している。
【0023】
給湯側熱交換器21において、一次熱交換器21aの一方端と二次熱交換器21bの一方端とは互いに接続されている。一次熱交換器21aの他方端には給湯配管24aが接続されており、二次熱交換器21bの他方端には給水配管24bが接続されている。一次熱交換器21aが二次熱交換器22aよりも燃焼バーナ26の近くに配置されている。
【0024】
また風呂側熱交換器22においても、一次熱交換器22aの一方端と二次熱交換器22bの一方端とは互いに接続されている。一次熱交換器22aの他方端には往き配管25aが接続されており、二次熱交換器22bの他方端には戻り配管25bが接続されている。一次熱交換器22aが二次熱交換器22bよりも燃焼バーナ26の近くに配置されている。
【0025】
燃焼バーナ26は、給湯側熱交換器21および風呂側熱交換器22との間で熱交換を行なうための燃焼ガスを発生させるためのものである。送風機27は燃焼バーナ26に対して燃焼に必要な空気を供給するためのものである。
【0026】
潜熱回収式の熱交換器では、上記のとおり燃焼ガスの水蒸気を凝縮させる構造上、凝縮した水(ドレン)が発生するためドレンの排水が必要である。このため、ドレン受け23が、二次熱交換器21b、22bのそれぞれの下側に配置されている。このドレン受け23で受けられたドレンDは、排気ガス中の窒素酸化物などが溶け込んでいるため、酸性となる。この酸性のドレンDはドレン受け23から中和装置1に供給される。
【0027】
次に、本実施の形態の中和装置の構成について詳しく説明する。
図1および図2を参照して、中和装置1は、ドレン貯留槽11と、管12と、中和槽13と、排出槽14と、中和剤15と、支持部16とを備えている。ドレン貯留槽11はドレン受け13から供給された酸性のドレンDを一時的に貯留するためのものである。ドレン貯留槽11は内部の空間にドレンDを貯留可能に構成されている。この内部の空間は、たとえば20cm3の容積を有している。
【0028】
管12はドレン貯留槽11から中和槽13にドレンDを排出するためのものである。管12は取込口12aから上方へ延びた後に下方に延びて排出口12bに繋がるサイフォンを構成する。このため、管12は、取込口12aからドレン貯留槽11に貯留されたドレンDを取り込んで、排出口12bから一定量のドレンDを中和槽13に排出することができる。つまり、管12は排出口12bから排出されるドレンDの流速を一定化することができる。取込口12aはドレン貯留槽11の内部に開口するように配置されており、排出口12bは中和槽13の内部に開口するように配置されている。つまり、管12によってドレン貯留槽11と中和槽13とは連通している。
【0029】
中和槽13は内部の空間に中和剤15およびドレン滞留阻止部17の各々を収容可能に構成されている。中和槽13と排出槽14とは支持部16によって区切られている。排出槽14は内部の空間に貫通孔16aから流れ落ちたドレンDを収容可能に構成されており、またこのドレンDをドレンタンク2に供給可能に構成されている。
【0030】
中和剤15はpHがアルカリ性である。つまり中和剤15のpHの値は7よりも大きい。この中和剤15は支持部16上に配置されている。中和剤15は砕石層により形成されていてもよい。中和剤15には、酸化マグネシウムを用いることができる。また支持部16と中和剤15との間にドレン滞留阻止部17が配置されている。つまり、中和剤15とドレン滞留阻止部17とは支持部16上に積層されている。
【0031】
なお、中和剤15は繊維状、塊状の材料から構成され得る。また、中和剤15は、ドレン流路部151と、ストック部152とを有している。このドレン流路部151はドレンDと接触して反応するための部分である。このドレン流路部151はドレンDが流れるように構成されている。このドレン流路部151は排出口12bよりも下方に配置されている。
【0032】
またストック部152は中和剤15を保存するための部分である。このストック部152はドレンDが流れないように構成されている。このストック部152はドレン流路部151の上方に配置されており、排出口12bよりも上方に配置されている。したがってストック部152はドレンDと接触しないためドレンDと反応もしない。
【0033】
支持部16は貫通孔16aを有している。この支持部16は貫通孔16aからドレン滞留阻止部17が脱落しないように構成されている。この支持部16はたとえばメッシュのフィルター状に構成されていてもよく、具体的には網などで構成されていてもよい。また、この支持部16の上方に排出口12bが配置されている。中和槽13は、中和剤15の内部に排出口12bが配置されるように構成されている。
【0034】
ドレン滞留阻止部17には、炭酸カルシウムを用いることができる。また、ドレン滞留阻止部17はドレンDの表面張力を破壊し排水を促進させるように構成されていることが好ましい。
【0035】
図4を参照して、中和剤15とドレン滞留阻止部17とが積層された状態において、中和剤15の一部はドレン滞留阻止部17の一部よりも下方に位置している。つまり、中和剤15の一部はドレン滞留阻止部17に入り込んでいる。本実施の形態では、支持部16と中和剤15との間にドレン滞留阻止部17が配置されているとは、支持部16と中和剤15の大部分との間にドレン滞留阻止部17が配置されていることを意味している。
【0036】
またドレン滞留阻止部17は、複数の粒状の第1固体物17aを充填することにより構成されていてもよい。つまり、本実施の形態では第1固体物17aは炭酸カルシウムを用いることができる。また、中和剤15は、複数の粒状の第2固体物15aを充填することにより構成されていてもよい。つまり、本実施の形態では第2固体物15aは酸化マグネシウムを用いることができる。この場合、第1固体物17aの粒径は、第2固体物15aの粒径以上の寸法を有している。ここで第1固体物17aの粒径は第1固体物17aの各粒の最大の粒径の平均値であり、第2固体物15aの粒径は第2固体物15aの各粒の最大の粒径の平均値である。
【0037】
第1固体物17aの粒径はたとえば1mm以上10mm以下である。第2固体物15aの粒径はたとえば1mm以上3mm以下である。また貫通孔16aの開口寸法は、第1固体物17aの粒径よりも小さい寸法を有している。なお、貫通孔16aの開口寸法は、開口の最大幅の寸法である。
【0038】
上記のように中和剤15に酸化マグネシウムを用いた場合、潜熱回収式熱源機の寿命を考慮して、酸性のドレンDと反応していない状態(初期状態)において、ドレン流路部151はたとえば128cm3の体積を有しており、ストック部152はたとえば155cm3の体積を有していることが好ましい。すなわち、例えば出力24号の潜熱回収式熱源機の寿命を15年と設定すると、その間に発生するドレンの量はたとえば約9000リットルとなる。このドレンを中和するのに必要な酸化マグネシウムの量は270gと見積もられる。ドレン流路の容積は128cm3(幅8cm×奥行き4cm×高さ4cm)に設定しており、また酸化マグネシウムのかさ密度は1.74g/cm3であるため、ドレン流路部151の酸化マグネシウムの量は222.7gとなる。したがって、必要な酸化マグネシウムの量は492.7gとなり、体積は合計で283cm3となる。よって、ドレン流路部151の体積は128cm3となり、ストック部152の体積は155cm3となる。また、中和剤15には、水酸化カルシウム、炭酸マグネシウムなども用いることが可能である。さらに、ドレン滞留阻止部17は1cm以上の厚さ寸法を有していることが好ましく、また80cm3の体積を有していることが好ましい。
【0039】
中和装置1は、中和剤15の上方から排出され中和剤15の表面に沿って下方に流れたドレンDがドレン滞留阻止部17を通過して貫通孔16aから流れ落ちるように構成されている。
【0040】
次に、本実施の形態のドレン排出動作について説明する。
図1および図3を参照して、潜熱回収式熱源機が運転している場合には、給湯側熱交換器21および風呂側熱交換器22で発生しドレン受け23に受けられたドレンDが中和装置1に供給される。
【0041】
中和装置1では、まずドレン貯留槽11にドレン受け23から供給された酸性のドレンDが貯留される。ドレン貯留槽11に貯留された酸性のドレンDの水位が上昇すると取込口12aから管12内に酸性のドレンDが取り込まれ、管12内を通って排出口12bから排出される。このとき、管12がサイフォンを構成するため、一定量のドレンDが排出口12bから排出される。
【0042】
また排出口12bがドレン流路部151の上方に開口しているためドレン流路部151の上方から下方に向かってドレンDが流れる。具体的には、ドレンDは中和剤15の表面に沿って下方に流れ、支持部16の貫通孔16aから流れ落ちる。この際、中和剤15とドレンDとが接触して反応することによって、ドレンDが中和される。中和剤15によって中和されたドレンDがドレン滞留阻止部17に流れ落ちる。ドレン滞留阻止部17ではドレンDの滞留が抑制される。このドレン滞留阻止部17では複数の粒状の炭酸カルシウムが充填されている。粒状であることからドレンDの表面張力による水膜の形成を抑制することができる。また炭酸カルシウムであるため酸化マグネシウムよりも容積あたりのアルカリ量を少なくすることができる。このため、中和剤15よりも中和量を少なくすることができる。炭酸カルシウムであるため、仮に酸化マグネシウムで十分に中和しきれていなかったとしても、追加で中和が可能であり、また滞留したとしてもドレンがアルカリ性になることはない。つまり、炭酸カルシウムは平衡pHが中性であるため、酸性のドレンDを中和することができ、かつ滞留したドレンとの反応が進んでもドレンがアルカリ性になることはない。そして、貫通孔16aから流れ落ちたドレンDは、排出槽14を経てドレンタンク2に供給される。
【0043】
ドレンタンク2では、水位検知手段3により検出されるドレンタンク2内の水位が高水位(H)以上か否かが判別され、水位が高水位(H)以上になった場合には、ドレン排出ポンプ4がONされて、ドレンタンク2内のドレンDが排出される。このドレンDの排出後、水位が低水位(L)未満になった場合には、ドレン排出ポンプ4がOFFされて、ドレンタンク2内のドレンの排出が停止される。このようにして、潜熱回収式熱源機のドレンタンク2内の水位が制御される。
【0044】
また、図3参照して、ドレン貯留槽11に貯留された酸性のドレンDが管12内を通って排出口12bから排出されると、ドレン流路部151は酸性のドレンDと反応することにより消耗する。これにより、ドレン流路部151にスペースが生じてドレン流路部151の体積が減少するが、ドレン流路部151の上方に位置するストック部152が自重により下方に移動して上記スペースが補填される。このようにして、酸性のドレンDと接触して反応する部分の中和剤15が自動的に補充される。これにより、ドレン流路部151の量を一定に保つことができるため、ドレンDとドレン流路部151との反応量を一定に保つことができる。
【0045】
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。
本実施の形態の中和装置1によれば、中和剤15の上方から排出され中和剤15の表面に沿って下方に流れたドレンDが、中和剤15よりもpHの値が小さいドレン滞留阻止部17を通過して貫通孔16aから流れ落ちるため、ドレンDがドレン滞留阻止部17で滞留しないようにすることができる。このため、中和剤15に接触するドレン滞留阻止部17において滞留したドレンDと中和剤15との反応が進むことによりドレンDがアルカリ性になることが抑制される。これにより、中和剤15によるドレンDの中性化を容易に制御することができる。なお、ここでの中性とは、排出基準を満たすpHの値で規定されるものであり、具体的にはpHの値が5.8以上8.6以下の範囲であることをいうものとする。
【0046】
また本実施の形態の中和装置1においては、ドレン滞留阻止部17は、複数の粒状の第1固体物17aを充填することにより構成されているため、ドレンDの表面張力による水膜の形成を抑制できる。これにより、ドレン滞留阻止部17にドレンDが滞留することを抑制できる。
【0047】
また本実施の形態の中和装置1においては、中和剤15は、複数の粒状の第2固体物15aを充填することにより構成されており、第1固体物17aの粒径は第2固体物15aの粒径以上の寸法を有している。このため、中和剤15にドレンが滞留することを抑制できる。また中和剤15よりもドレン滞留阻止部17の排水性を向上することができる。
【0048】
また本実施の形態の中和装置1においては、貫通孔16aの開口寸法は第1固体物17aの粒径よりも小さい寸法を有しているため、第1固体物17aの貫通孔16aからの脱落を抑制することができる。
【0049】
また本実施の形態の中和装置1においては、中和剤15は酸化マグネシウムであり、ドレン滞留阻止部17は炭酸カルシウムである。このため、酸化マグネシウムによって酸性のドレンDを中和するとともに、炭酸カルシウムによって中性になったドレンDがアルカリ性になることを抑制できる。
【0050】
本実施の形態の潜熱回収式熱源機は、上記の中和装置1を備えているため、酸性のドレンDがアルカリ性になることを防止して酸性のドレンDの中性化を容易に制御できる中和装置1を備えた潜熱回収式熱源機を実現できる。
【0051】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0052】
1 中和装置、2 ドレンタンク、3 水位検知手段、4 ドレン排出ポンプ、5 逆止弁、6 制御部、11 ドレン貯留槽、12 管、12a 取込口、12b 排出口、13 中和槽、14 排出槽、15 中和剤、15a 第2固体物、16 支持部、16a 貫通孔、17 ドレン滞留阻止部、17a 第1固体物、21 給湯側熱交換器、22 風呂側熱交換器、24a 給湯配管、24b 給水配管、25a 往き配管、25b 戻り配管、26 燃焼バーナ、27 送風機、151 ドレン流路部、152 ストック部。
図1
図2
図3
図4