特許第6206030号(P6206030)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6206030コンテンツ再生システム、コンテンツ再生装置、コンテンツ再生方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6206030
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】コンテンツ再生システム、コンテンツ再生装置、コンテンツ再生方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/442 20110101AFI20170925BHJP
   H04N 21/438 20110101ALI20170925BHJP
【FI】
   H04N21/442
   H04N21/438
【請求項の数】8
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-195709(P2013-195709)
(22)【出願日】2013年9月20日
(65)【公開番号】特開2015-61284(P2015-61284A)
(43)【公開日】2015年3月30日
【審査請求日】2016年8月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 智洋
(72)【発明者】
【氏名】冨田 高弘
(72)【発明者】
【氏名】寺崎 努
(72)【発明者】
【氏名】奥村 亮
【審査官】 福西 章人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−331251(JP,A)
【文献】 特開2008−217177(JP,A)
【文献】 特開2011−077641(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00−21/858
G09F 19/00
G06Q 30/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコンテンツ再生装置を備えるコンテンツ再生システムであって、
前記複数のコンテンツ再生装置のそれぞれは、
コンテンツを再生する再生手段と、
前記再生手段によるコンテンツの再生と並行して、コンテンツの再生中であることを示す再生通知情報を出力する出力手段と、
他のコンテンツ再生装置から出力された前記再生通知情報を受信する受信手段と、
前記受信手段により他のコンテンツ再生装置からの前記再生通知情報を受信している間は前記再生手段によるコンテンツの再生を行わないように制御する制御手段と、
を備えるコンテンツ再生システム。
【請求項2】
自装置で再生するコンテンツと、前記複数のコンテンツ再生装置間におけるコンテンツの再生順番及び再生するコンテンツを特定する情報を含む再生スケジュールとを記憶する記憶手段を備え、
前記再生手段は、前記再生スケジュールに基づいて前記記憶手段に記憶されているコンテンツを再生する請求項1に記載のコンテンツ再生システム。
【請求項3】
前記再生通知情報は、前記複数のコンテンツ再生装置のそれぞれに対して固有に割り当てられた周波数の非可聴音、前記複数のコンテンツ再生装置のそれぞれに対して固有に割り当てられたパターンの信号により予め定められた周波数の非可聴音を変調した拡散信号、又は、前記複数のコンテンツ再生装置のそれぞれに対して固有に割り当てられた帯域の可視光である請求項1又は2に記載のコンテンツ再生システム。
【請求項4】
コンテンツを再生する際の言語を複数言語の中から選択するための操作手段を備え、
前記出力手段は、更に、前記操作手段により選択された言語への切り替えを指示する言語切り替え指示情報を出力し、
前記受信手段は、更に、他のコンテンツ再生装置から出力された前記言語切り替え指示情報を受信し、
前記制御手段は、前記操作手段により言語が選択された場合、或いは、前記受信手段により前記言語切り替え指示情報を受信した場合に、前記再生手段により再生するコンテンツの言語を前記言語切り替え指示情報により指示された言語に切り替える請求項1〜3の何れか一項に記載のコンテンツ再生システム。
【請求項5】
前記言語切り替え指示情報は、前記複数の言語のそれぞれに対して固有に割り当てられた周波数の非可聴音、前記複数の言語のそれぞれに対して固有に割り当てられたパターンの信号により予め定められた周波数の非可聴音を変調した拡散信号、又は、前記複数の言語のそれぞれに対して固有に割り当てられた帯域の可視光である請求項4に記載のコンテンツ再生システム。
【請求項6】
コンテンツを再生する再生手段を備えるコンテンツ再生装置であって、
前記再生手段によるコンテンツの再生と並行して、コンテンツの再生中であることを示す再生通知情報を出力する出力手段と、
他のコンテンツ再生装置から出力された前記再生通知情報を受信する受信手段と、
前記受信手段により他のコンテンツ再生装置からの前記再生通知情報を受信している間は前記再生手段によるコンテンツの再生を行わないように制御する制御手段と、
を備えるコンテンツ再生装置。
【請求項7】
コンテンツを再生する再生手段を備えるコンテンツ再生装置におけるコンテンツ再生方法であって、
前記再生手段によるコンテンツの再生と並行して、コンテンツの再生中であることを示す再生通知情報を出力する工程と、
他のコンテンツ再生装置から出力された前記再生通知情報を受信する工程と、
前記他のコンテンツ再生装置からの前記再生通知情報を受信している間は前記再生手段によるコンテンツの再生を行わないように制御する工程と、
を含むコンテンツ再生方法。
【請求項8】
コンテンツを再生する再生手段を備えるコンテンツ再生装置に用いられるコンピュータを、
前記再生手段によるコンテンツの再生と並行して、コンテンツの再生中であることを示す再生通知情報を出力する出力手段、
他のコンテンツ再生装置から出力された前記再生通知情報を受信する受信手段、
前記受信手段により前記他のコンテンツ再生装置からの前記再生通知情報を受信している間は前記再生手段によるコンテンツの再生を行わないように制御する制御手段、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテンツ再生システム、コンテンツ再生装置、コンテンツ再生方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人型に成形された投影スクリーンに、そのスクリーンの外形に合わせた形状のコンテンツ映像などを投影する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この技術は、展示会等における斬新で効果的な展示の演出や、あるいは、「バーチャルマネキン」等、人間代わりの商品説明等に利用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−150221号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1のようなコンテンツ再生装置が複数台近接して設置されている場合、複数台のコンテンツ再生装置で同時にコンテンツが再生されると、各装置の音声が混在してそれぞれの音声が聞き取りにくくなるなどの問題が発生する可能性がある。
【0005】
本発明の課題は、複数台のコンテンツ再生装置で同時にコンテンツが再生されることを防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
複数のコンテンツ再生装置を備えるコンテンツ再生システムであって、
前記複数のコンテンツ再生装置のそれぞれは、
コンテンツを再生する再生手段と、
前記再生手段によるコンテンツの再生と並行して、コンテンツの再生中であることを示す再生通知情報を出力する出力手段と、
他のコンテンツ再生装置から出力された前記再生通知情報を受信する受信手段と、
前記受信手段により他のコンテンツ再生装置からの前記再生通知情報を受信している間は前記再生手段によるコンテンツの再生を行わないように制御する制御手段と、
を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数台のコンテンツ再生装置で同時にコンテンツが再生されることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態におけるコンテンツ再生システムの全体構成を示す図である。
図2図1のデジタルサイネージ装置の機能的構成を示すブロック図である。
図3図2の再生スケジュール記憶部に記憶される再生スケジュールの一例を示す図である。
図4図2のスクリーン部の概略構成を示す図である。
図5図2の制御部により実行されるコンテンツ再生処理を示すフローチャートである。
図6図1の各デジタルサイネージ装置においてコンテンツ再生処理を実行した場合の各デジタルサイネージ装置におけるコンテンツの再生タイミング及び非可聴音の出力タイミングを示す図である。
図7】コンテンツの再生中に遅延が生じた場合の本発明の効果を示す図である。
図8図2の制御部により実行される言語切り替え処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して本発明に係る好適な実施形態を詳細に説明する。なお、本発明は、図示例に限定されるものではない。
【0010】
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態について説明する。
[コンテンツ再生システム1の構成]
図1は、第1の実施形態におけるコンテンツ再生システム1の概略構成を示すブロック図である。コンテンツ再生システム1は、複数のデジタルサイネージ装置2(2A、2B)と、通信ネットワークNを介してデジタルサイネージ装置2に通信自在なサーバ装置4とが備えられている。本実施形態においては、デジタルサイネージ装置2を2A、2Bの2台として説明するが、デジタルサイネージ装置2の台数は、複数であれば特に限定されない。
【0011】
[デジタルサイネージ装置2の構成]
デジタルサイネージ装置2は、例えば、店舗や展示会会場などに設置され、広告映像等のコンテンツを再生するコンテンツ再生装置である。
【0012】
図2は、デジタルサイネージ装置2の主制御構成を示すブロック図である。
デジタルサイネージ装置2は、コンテンツの映像光を照射する投影部21と、投影部21から照射された映像光を背面で受けて前面に投影するスクリーン部22とを備えている。
【0013】
まず、投影部21について説明する。
投影部21は、制御部23と、プロジェクタ24と、記憶部25と、通信部26と、を備えている。プロジェクタ24、記憶部25、通信部26は、図2に示すように制御部23に接続されている。
【0014】
制御部23は、記憶部25に記憶されている各種のプログラムを実行して所定の演算や各部の制御を行うCPU(Central Processing Unit)とプログラム実行時の作業領域となるメモリとを備えている(いずれも図示略)。制御部23は、プログラム記憶部251に記憶されているプログラムとの協働により、制御手段として機能する。また、プロジェクタ24や音声出力部33を制御することで再生手段として機能する。
【0015】
プロジェクタ24は、制御部23から出力された映像データの画像データを映像光に変換してスクリーン部22に向けて照射する。
【0016】
記憶部25は、HDD(Hard Disk Drive)や不揮発性の半導体メモリ等により構成される。記憶部25には、図2に示すように、プログラム記憶部251、コンテンツ記憶部252、再生スケジュール記憶部253、周波数割り当て記憶部254等が設けられている。
【0017】
プログラム記憶部251には、制御部23で実行されるシステムプログラムや各種処理プログラム、これらのプログラムの実行に必要なデータ等が記憶されている。
【0018】
コンテンツ記憶部252には、投影部21によりスクリーン部22に投影するコンテンツの映像データが記憶されている。映像データは、動画データを構成する複数のフレーム画像の画像データ及び各フレーム画像に対応する音声データにより構成されている。映像データは、予めサーバ装置4から配信されたものがコンテンツ記憶部252に記憶されている。
【0019】
再生スケジュール記憶部253には、コンテンツ再生システム1を構成するデジタルサイネージ装置2全体のコンテンツの再生スケジュールが記憶されている。図3に、再生スケジュール記憶部253に記憶されている再生スケジュールの一例を示す。再生スケジュールは、図3に示すように、コンテンツ再生システム1を構成する各デジタルサイネージ装置2におけるコンテンツの再生順番、各順番で再生するコンテンツを特定する情報(コンテンツ名等)を含む。再生スケジュールは、予めサーバ装置4から配信されたものが再生スケジュール記憶部253に記憶されている。
【0020】
周波数割り当て記憶部254には、コンテンツ再生システム1を構成する各デジタルサイネージ装置2の識別番号と、そのデジタルサイネージ装置2に固有に割り当てられている非可聴音の周波数とが対応付けて記憶されている。更に、周波数割り当て記憶部254には、他のデジタルサイネージ装置2(他機)にコンテンツの再生を指示するための非可聴音である再生指示用非可聴音の周波数が記憶されている。この再生指示用非可聴音の周波数は、各デジタルサイネージ装置2に割り当てられた周波数とは異なる周波数である。
ここで、非可聴音とは、人間の耳で聞こえない周波数(非可聴域の周波数)の音をいう。
【0021】
通信部26は、モデム、ルータ、ネットワークカード等により構成され、通信ネットワークN上のサーバ装置4等の外部機器との通信を行う。
【0022】
次に、スクリーン部22について説明する。
図4は、スクリーン部22の概略構成を示す正面図である。図4に示すようにスクリーン部22には、画像形成部27と、画像形成部27を支持する台座28とが備えられている。
【0023】
画像形成部27は、映像光の照射方向に対して略直交するように配置された、例えばアクリル板などの一枚の透光板29に、フィルム状のフレネルレンズが積層された背面投影用のフィルムスクリーンが貼付されて構成されたスクリーンである。画像形成部27は、コンテンツの投影対象物に応じた形に成形されている。
【0024】
台座28には、ボタン式の操作部32と、音声データを音声に変換して出力するスピーカ等の音声出力部33と、非可聴音を出力する非可聴音出力部34と、マイク等の音声入力部35と、が設けられている。操作部32には、コンテンツの再生を指示するための再生ボタンが含まれる。
操作部32、音声出力部33、非可聴音出力部34、音声入力部35は、図1に示すように制御部23に接続されている。操作部32、音声入力部35は、それぞれ操作手段、出力手段として機能する。
【0025】
サーバ4は、コンテンツ再生システム1を構成する各デジタルサイネージ装置2におけるコンテンツの再生スケジュールを生成して配信するとともに、各デジタルサイネージ装置2で再生するコンテンツの映像データを通信ネットワークNを介して配信するコンピュータ装置である。
【0026】
[デジタルサイネージ装置2の動作]
次に、コンテンツ再生システム1における各デジタルサイネージ装置2の動作について説明する。
【0027】
図5に、コンテンツ再生システム1を構成する各デジタルサイネージ装置2において実行されるコンテンツ再生処理のフローチャートを示す。コンテンツ再生処理は、デジタルサイネージ装置2の電源が投入された際に、制御部23とプログラム記憶部251に記憶されているプログラムとの協働により実行される。
【0028】
まず、制御部23は、再生操作が検出されたか、又は、音声入力部35により再生指示用非可聴音が受信されたか否かを判断する(ステップS1)。再生操作が検出されたか否かは、具体的には、操作部32の再生ボタンが押下されたか否かにより判断される。
【0029】
再生操作が検出されず、再生指示用非可聴音も受信されていないと判断した場合(ステップS1;NO)、制御部23は、音声入力部35により他機からの非可聴音を受信したか否かを判断する(ステップS2)。他機からの非可聴音を受信していないと判断した場合(ステップS2;NO)、制御部23は、ステップS1の処理に戻る。他機からの非可聴音を受信したと判断した場合(ステップS2;YES)、制御部23は、ステップS8の処理に移行する。
【0030】
ステップS1において、再生操作が検出されたか、又は、再生指示用非可聴音が受信されたと判断した場合(ステップS1;YES)、制御部23は、再生スケジュール記憶部253に記憶されている再生スケジュールを参照し、コンテンツの再生は自機からスタートか否かを判断する(ステップS3)。
【0031】
コンテンツの再生が自機からスタートではないと判断した場合(ステップS3;NO)、制御部23は、非可聴音出力部34により再生指示用非可聴音を出力し(ステップS4)、ステップS8の処理に移行する。
【0032】
一方、コンテンツの再生が自機からスタートと判断した場合(ステップS3;YES)、制御部23は、再生スケジュール記憶部253に記憶されている再生スケジュールに従ってコンテンツを再生するとともに、コンテンツの再生中であることを示す非可聴の再生通知情報として、自機に割り当てられている周波数の非可聴音を非可聴音出力部34により出力する(ステップS5)。なお、コンテンツを再生する際には、制御部23は、コンテンツ記憶部252に記憶されている再生対象のコンテンツの画像データをプロジェクタ24に送信し、プロジェクタ24により画像形成部27に画像を投影させる。また、投影している画像に対応する音声データを音声出力部33に送信して音声信号に変換し出力させる。
制御部23は、1つのコンテンツの再生が終了するまで(ステップS6;NO)、ステップS5の動作を繰り返し実行する。
【0033】
1つのコンテンツの再生が終了すると(ステップS6;YES)、制御部23は、コンテンツの再生及び非可聴音出力を一時停止し(ステップS7)、ステップS8の処理に移行する。ここで、非可聴音の出力が停止されることで、他機ではコンテンツの再生が可能となる。
【0034】
ステップS8において、制御部23は、音声入力部35により他機からの非可聴音の受信中であるか否かを判断し(ステップS8)、他機からの非可聴音の受信中は、再生の待機を行う。ここで、他機からの非可聴音を受信したか否かは、周波数割り当て記憶部254を参照し、受信した非可聴音の周波数が他機に割り当てられた周波数であるか否かにより判断する。この他機からの非可聴音の受信中の期間は、他機において、ステップS5〜S6によってコンテンツの再生が行われている期間である。
【0035】
他機の非可聴音の受信中ではないと判断した場合(ステップS8;NO)、制御部23は、再生スケジュール記憶部253を参照して自機が再生する順番であるか否かを判断し(ステップS9)、自機が再生する順番ではないと判断した場合(ステップS9;NO)、ステップS8に戻り、再び待機を行う。自機が再生する順番であると判断した場合(ステップS9;YES)、制御部23は、ステップS5に戻り、ステップS5〜ステップS9の処理を繰り返し実行する。
【0036】
デジタルサイネージ装置2の電源がオフとなった場合、コンテンツ再生処理は終了する。
【0037】
上記のコンテンツ再生処理によれば、図6に示すように、デジタルサイネージ装置2Aでコンテンツを再生している間、これと並行してデジタルサイネージ装置2Aに割り当てられた周波数の非可聴音が出力される。デジタルサイネージ装置2Bでは、デジタルサイネージ装置2Aからの非可聴音の受信中は図6に示すように再生が待機され、非可聴音が受信されなくなると、コンテンツが再生されるとともにデジタルサイネージ装置2Bに割り当てられた周波数の非可聴音が出力される。デジタルサイネージ装置2Aでは、デジタルサイネージ装置2Bからの非可聴音の受信中は図6に示すように再生が待機される。従って、デジタルサイネージ装置2Aと2Bの間で同時にコンテンツが再生され、音声が衝突してしまうことを防止することができる。
【0038】
また、例えば、図7に示すように、各デジタルサイネージ装置2の再生時間や再生待機時間が規定された再生スケジュールがあり、この再生スケジュールに従って再生を行った場合、デジタルサイネージ装置2Aでの再生中に何等かの遅延dが発生し再生時間が延びるとデジタルサイネージ装置2Aと2Bでコンテンツの再生が重複し、音声が衝突してしまう。しかし、本実施形態によれば、再生スケジュールにおいてデジタルサイネージ装置2Aの次に再生するデジタルサイネージ装置2Bは、デジタルサイネージ装置2Aからの非可聴音の出力が停止してから再生を開始するので、コンテンツ再生中に遅延が生じても再生スケジュールを調整することなく自動的にコンテンツの同時再生を防止することができる。
【0039】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態におけるコンテンツ再生システム1の構成は、図1で説明したものと同様であるので説明を援用する。
【0040】
第2の実施形態において、各デジタルサイネージ装置2のコンテンツ記憶部252に記憶されている各コンテンツの映像データは、音声データとして複数の言語(例えば、日本語、英語、中国語、スペイン語)の音声データが用意されており、コンテンツを再生する際の言語が切り替え可能となっている。
【0041】
また、第2の実施形態において、操作部32として、再生ボタンの他、コンテンツを再生する際の言語を選択するために、コンテンツを再生可能な複数の言語のそれぞれに対応した言語選択ボタンが設けられている。
【0042】
また、第2の実施形態において、記憶部25には、コンテンツを再生する際の言語として選択された言語の設定情報を記憶するための言語設定記憶部が設けられている。なお、言語設定記憶部には、デフォルトで予め定められた言語、例えば、日本語が記憶されている。
【0043】
また、周波数割り当て記憶部254には、更に、デジタルサイネージ装置2で再生可能な言語の識別情報と、その言語に固有に割り当てられている非可聴音の周波数とが対応付けて記憶されている。各言語に割り当てられている周波数の非可聴音は、他のデジタルサイネージ装置2に対し、対応する言語への言語切り替え指示用の非可聴音となる。
その他のコンテンツ再生システム1を構成する各装置の構成は、第1の実施形態で説明したものと同様であるので説明を援用する。
【0044】
次に、第2の実施形態の動作について説明する。
第2の実施形態において実行されるコンテンツ再生処理は、第1の実施形態で図5を用いて説明したものと同様であるが、ステップS5においてコンテンツを再生する際には、制御部23は、記憶部25の言語設定記憶部を参照し、設定されている言語でコンテンツを再生する。
【0045】
また、第2の実施形態において、各デジタルサイネージ装置2は、コンテンツ再生処理と並行して、以下に説明する言語切り替え処理を実行する。
図8に、各デジタルサイネージ装置2においてコンテンツ再生処理と並行して実行される言語切り替え処理のフローチャートを示す。言語切り替え処理は、デジタルサイネージ装置2の電源が投入された際に、制御部23とプログラム記憶部251に記憶されているプログラムとの協働により実行される。
【0046】
まず、制御部23は、言語の選択操作が検出されたか否かを判断する(ステップS101)。即ち、操作部32の何れかの言語選択ボタンが押下されたか否かを判断する。
【0047】
言語の選択操作が検出されたと判断した場合(ステップS101;YES)、制御部23は、記憶部25の周波数割り当て記憶部254を参照し、選択された言語に応じた周波数の非可聴音を言語切り替え指示用の非可聴音として非可聴音出力部34により出力する(ステップS102)。
【0048】
次いで、制御部23は、記憶部25の言語設定記憶部に記憶されている言語の設定情報を、選択された言語に書き換え(ステップS103)、ステップS101の処理に戻る。
【0049】
ステップS101において、言語の選択操作が検出されていないと判断した場合(ステップS101;NO)、制御部23は、音声入力部35により言語切り替え指示用非可聴音が受信されたか否かを判断する(ステップS104)。言語切り替え指示用非可聴音が受信されたと判断した場合(ステップS104;YES)、制御部23は、記憶部25の言語設定記憶部に記憶されている言語の設定情報を、受信した非可聴音の周波数に対応する言語に書き換え(ステップS105)、ステップS101の処理に戻る。言語切り替え指示用非可聴音が受信されていないと判断した場合(ステップS105;NO)、制御部23は、ステップS101の処理に戻る。
【0050】
デジタルサイネージ装置2の電源がオフとなった場合、言語切り替え処理は終了する。
【0051】
コンテンツ再生システム1を構成する各デジタルサイネージ装置2において、図5に示すコンテンツ再生処理と並行して図8に示す言語切り替え処理を実行することにより、何れかのデジタルサイネージ装置2において言語選択操作が行われた場合、各デジタルサイネージ装置2のそれぞれにおいて記憶部25の言語設定記憶部に記憶されている言語の設定情報が、選択された言語に切り替えられる。
【0052】
ここで、図5のコンテンツ再生処理のステップS5でコンテンツを再生する際には、上述のように、記憶部25の言語設定記憶部に記憶されている言語で再生が行われる。従って、何れかのデジタルサイネージ装置2で言語選択操作が行われると、以降は各デジタルサイネージ装置2で選択された言語でコンテンツを再生することができる。
【0053】
なお、コンテンツ再生中に言語が切り替えられた場合、制御部23は、再生中のコンテンツを切り替え後の言語ではじめから再生し直すこととしてもよい。また、再生スケジュール記憶部253に記憶されている再生スケジュールの先頭のコンテンツから、切り替え後の言語で再生し直すこととしてもよい。
【0054】
以上説明したように、コンテンツ再生システム1によれば、複数のデジタルサイネージ装置2のそれぞれの制御部23は、コンテンツの再生と並行して、コンテンツの再生中であることを示す再生通知情報である非可聴音を非可聴音出力部34により出力する。他のデジタルサイネージ装置2からの再生通知情報を受信している間はコンテンツの再生を行わないように制御する。
【0055】
従って、複数台のデジタルサイネージ装置2で同時にコンテンツが再生されることを防止することができる。例えば、デジタルサイネージ装置2が複数台近接して配置されているような場合に、音声が衝突してコンテンツの内容が聞き取りにくくなることを防止することができる。
【0056】
また、上記のコンテンツ再生システム1においてデジタルサイネージ装置2のそれぞれが再生スケジュールに基づいてコンテンツを再生している場合、コンテンツ再生中に遅延が生じても、装置間での煩雑なスケジュール調整を行うことなく、自動的にコンテンツの同時再生を防止することができる。
また、1つの装置でのコンテンツの再生が終了すると、そのタイミングで次の再生順番の装置でコンテンツの再生が行われるので、複数のデジタルサイネージ装置2間であたかも掛け合いを行っているようなコンテンツの再生を違和感なく実現することができる。
【0057】
また、デジタルサイネージ装置2において、操作部32により言語が選択された場合に、選択された言語に対応する周波数の言語切り替え指示用の非可聴音を非可聴音出力部34により出力し、操作部32により言語が選択された場合、或いは、音声入力部35により言語切り替え指示用非可聴音を受信した場合に、コンテンツの言語を選択された言語又は非可聴音に対応する言語に切り替えて再生するので、複数のデジタルサイネージ装置2でコンテンツを再生する際の言語を揃えることができる。
【0058】
また、再生通知情報や言語切り替え指示情報を非可聴音とすることで、視聴者に違和感を与えることなく、複数の装置間で再生通知や言語切り替え指示を行うことができる。また、通信ネットワークを利用せずに、非可聴音で再生通知情報や言語切替指示情報を送受信することができるので、複数のデジタルサイネージ装置2を近接して配置している場合、通信ネットワークの遅延等によるタイムラグが発生することなく、リアルタイムで情報の送受信を行うことができる。
また、複数のデジタルサイネージ装置2のそれぞれに対して固有の周波数の非可聴音を割り当てておくことで、自機が出力した情報と他機が出力した情報との混同を防止することができる。更に、各装置において、いずれの装置で出力された情報かを把握することができる。
【0059】
なお、上記実施形態における記述内容は、本発明のコンテンツ再生システムの好適な一例であり、これに限定されるものではない。
【0060】
例えば、上記実施形態においては、コンテンツの再生中であることを示す再生通知情報として、デジタルサイネージ装置2のそれぞれに対して固有に割り当てられた周波数の非可聴音と用いることとして説明したが、これに限定されるものではない。例えば、デジタルサイネージ装置2のそれぞれに対して固有に割り当てられたパターン(例えば、パルスのパターン)の信号により予め定められた周波数の非可聴音を変調した拡散信号を用いることとしてもよい。或いは、デジタルサイネージ装置2のそれぞれに対して固有に割り当てられた帯域の可視光を用いることとしてもよい。この場合は、出力手段として、音声出力部33の代わりに可視光出力部を設け、受信手段として音声入力部35の代わりに受光部を設ける。
このように、再生通知情報として拡散信号や可視光を用いた場合においても、上述の非可聴の場合と同様の効果を奏することができる。
【0061】
また、同様に、言語の切り替え指示情報として、デジタルサイネージ装置2で再生可能な言語のそれぞれに固有に割り当てられたパターンの信号により予め定められた周波数の非可聴音を変調した拡散信号を用いることとしてもよい。或いは、デジタルサイネージ装置2で再生可能な言語のそれぞれに対して固有に割り当てられた帯域の可視光を用いることとしてもよい。
【0062】
また、上記第1及び第2の実施形態においては、再生スケジュールに従って各デジタルサイネージ装置2でコンテンツを再生する場合を例にとり説明したが、再生スケジュールが決められていないような場合においても、本発明は十分な効果を奏することができる。即ち、各デジタルサイネージ装置2において、コンテンツの再生中には非可聴の再生通知情報を並行して出力し、他のデジタルサイネージ装置2からの再生通知情報を受信している間はコンテンツを再生しないように制御することで、デジタルサイネージ装置2A、2Bで同時にコンテンツが再生され、音声が衝突することを防止することができる。
【0063】
また、上記実施形態においては、コンテンツの音声データを出力する音声出力部33とは別に設けられた非可聴音出力部34により非可聴音を出力することとしたが、同じ音声出力部を用いることとしてもよい。
【0064】
その他、コンテンツ再生システムを構成する各装置の細部構成及び細部動作に関しても、発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【0065】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
[付記]
<請求項1>
複数のコンテンツ再生装置を備えるコンテンツ再生システムであって、
前記複数のコンテンツ再生装置のそれぞれは、
コンテンツを再生する再生手段と、
前記再生手段によるコンテンツの再生と並行して、コンテンツの再生中であることを示す再生通知情報を出力する出力手段と、
他のコンテンツ再生装置から出力された前記再生通知情報を受信する受信手段と、
前記受信手段により他のコンテンツ再生装置からの前記再生通知情報を受信している間は前記再生手段によるコンテンツの再生を行わないように制御する制御手段と、
を備えるコンテンツ再生システム。
<請求項2>
自装置で再生するコンテンツと、前記複数のコンテンツ再生装置間におけるコンテンツの再生順番及び再生するコンテンツを特定する情報を含む再生スケジュールとを記憶する記憶手段を備え、
前記再生手段は、前記再生スケジュールに基づいて前記記憶手段に記憶されているコンテンツを再生する請求項1に記載のコンテンツ再生システム。
<請求項3>
前記再生通知情報は、前記複数のコンテンツ再生装置のそれぞれに対して固有に割り当てられた周波数の非可聴音、前記複数のコンテンツ再生装置のそれぞれに対して固有に割り当てられたパターンの信号により予め定められた周波数の非可聴音を変調した拡散信号、又は、前記複数のコンテンツ再生装置のそれぞれに対して固有に割り当てられた帯域の可視光である請求項1又は2に記載のコンテンツ再生システム。
<請求項4>
コンテンツを再生する際の言語を複数言語の中から選択するための操作手段を備え、
前記出力手段は、更に、前記操作手段により選択された言語への切り替えを指示する言語切り替え指示情報を出力し、
前記受信手段は、更に、他のコンテンツ再生装置から出力された前記言語切り替え指示情報を受信し、
前記制御手段は、前記操作手段により言語が選択された場合、或いは、前記受信手段により前記言語切り替え指示情報を受信した場合に、前記再生手段により再生するコンテンツの言語を前記言語切り替え指示情報により指示された言語に切り替える請求項1〜3の何れか一項に記載のコンテンツ再生システム。
<請求項5>
前記言語切り替え指示情報は、前記複数の言語のそれぞれに対して固有に割り当てられた周波数の非可聴音、前記複数の言語のそれぞれに対して固有に割り当てられたパターンの信号により予め定められた周波数の非可聴音を変調した拡散信号、又は、前記複数の言語のそれぞれに対して固有に割り当てられた帯域の可視光である請求項4に記載のコンテンツ再生システム。
<請求項6>
コンテンツを再生する再生手段を備えるコンテンツ再生装置であって、
前記再生手段によるコンテンツの再生と並行して、コンテンツの再生中であることを示す再生通知情報を出力する出力手段と、
他のコンテンツ再生装置から出力された前記再生通知情報を受信する受信手段と、
前記受信手段により他のコンテンツ再生装置からの前記再生通知情報を受信している間は前記再生手段によるコンテンツの再生を行わないように制御する制御手段と、
を備えるコンテンツ再生装置。
<請求項7>
コンテンツを再生する再生手段を備えるコンテンツ再生装置におけるコンテンツ再生方法であって、
前記再生手段によるコンテンツの再生と並行して、コンテンツの再生中であることを示す再生通知情報を出力する工程と、
他のコンテンツ再生装置から出力された前記再生通知情報を受信する工程と、
前記他のコンテンツ再生装置からの前記再生通知情報を受信している間は前記再生手段によるコンテンツの再生を行わないように制御する工程と、
を含むコンテンツ再生方法。
<請求項8>
コンテンツを再生する再生手段を備えるコンテンツ再生装置に用いられるコンピュータを、
前記再生手段によるコンテンツの再生と並行して、コンテンツの再生中であることを示す再生通知情報を出力する出力手段、
他のコンテンツ再生装置から出力された前記再生通知情報を受信する受信手段、
前記受信手段により前記他のコンテンツ再生装置からの前記再生通知情報を受信している間は前記再生手段によるコンテンツの再生を行わないように制御する制御手段、
として機能させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0066】
1 コンテンツ再生システム
2 デジタルサイネージ装置
21 投影部
22 スクリーン部
23 制御部
24 プロジェクタ
25 記憶部
251 プログラム記憶部
252 コンテンツ記憶部
253 再生スケジュール記憶部
254 周波数割り当て記憶部
26 通信部
27 画像形成部
28 台座
29 透光板
32 操作部
33 音声出力部
34 非可聴音出力部
35 音声入力部
図1
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図8