特許第6206065号(P6206065)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6206065
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】排気浄化システム
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/08 20060101AFI20170925BHJP
   F01N 3/00 20060101ALI20170925BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
   F01N3/08 B
   F01N3/00 F
   B01D53/94 222
   B01D53/94 400
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-210701(P2013-210701)
(22)【出願日】2013年10月8日
(65)【公開番号】特開2015-75008(P2015-75008A)
(43)【公開日】2015年4月20日
【審査請求日】2016年9月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068021
【弁理士】
【氏名又は名称】絹谷 信雄
(72)【発明者】
【氏名】内山 正
(72)【発明者】
【氏名】藤江 英和
(72)【発明者】
【氏名】村澤 直人
(72)【発明者】
【氏名】塙 哲史
【審査官】 稲村 正義
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−12983(JP,A)
【文献】 特開2012−67667(JP,A)
【文献】 特開2009−293444(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/00−3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排気系に設けられ、尿素水から生成されるアンモニアを還元剤として排気中に含まれる窒素化合物を還元浄化する少なくとも一個以上の選択的還元触媒と、
前記選択的還元触媒に尿素水を噴射する尿素水噴射手段と、
前記選択的還元触媒内の少なくとも入口側近傍から排気流れ方向の中間部近傍までの静電容量を検出する第1の静電容量検出手段と、
前記選択的還元触媒内の少なくとも排気流れ方向の中間部近傍から出口側近傍までの静電容量を検出する第2の静電容量検出手段と、
前記第1及び第2の静電容量検出手段から入力される静電容量に基づいて、前記選択的還元触媒内の還元剤吸着量を演算する還元剤吸着量演算手段と、を備える
ことを特徴とする排気浄化システム。
【請求項2】
少なくとも前記内燃機関の運転状態に応じて設定される所定の基準噴射量に基づいて、前記尿素水噴射手段の尿素水噴射を制御する噴射制御手段と、
前記還元剤吸着量演算手段から入力される還元剤吸着量に基づいて、前記基準噴射量を補正する噴射量補正手段と、をさらに備える
請求項1に記載の排気浄化システム。
【請求項3】
前記第1及び第2の静電容量検出手段から入力される静電容量に基づいて、前記選択的還元触媒の内部温度を演算する内部温度演算手段をさらに備え、
前記噴射量補正手段が、前記還元剤吸着量演算手段から入力される還元剤吸着量と、前記内部温度演算手段から入力される内部温度に応じた前記選択的還元触媒の還元剤吸着可能量との差に基づいて、前記基準噴射量を補正する
請求項2に記載の排気浄化システム。
【請求項4】
前記第1の静電容量検出手段が、前記選択的還元触媒のセル内に入口側から排気流れ方向の中間部近傍まで挿入されてコンデンサを形成する少なくとも一対以上の電極で構成され、
前記第2の静電容量検出手段が、前記選択的還元触媒のセル内に出口側から排気流れ方向の中間部近傍まで挿入されてコンデンサを形成する少なくとも一対以上の電極で構成される
請求項1から3の何れか一項に記載の排気浄化システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気浄化システムに関し、特に、排気中の窒素化合物(NOx)を還元浄化するNOx触媒を備えた排気浄化システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジン等の排気系に設けられるNOx触媒として、尿素水から加水分解されて生成されるアンモニア(NH3)を還元剤として排気中のNOxを選択的に還元浄化する選択的還元触媒(Selective Catalytic Reduction:SCR)が知られている。
【0003】
SCRへの尿素水噴射量が過多となり、NH3供給量がSCRのNH3吸着能力を超えると、余剰のNH3がスリップして大気に放出されるため好ましくない。そのため、SCR出口に設けたNH3センサの検出値に基づいて、SCR内のNH3吸着量を推定すると共に、推定したNH3吸着量に応じてSCRへの尿素水噴射量を適宜補正する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−293737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的に、SCR内部のNH3吸着量は、入口側が出口側よりも多くなる不均一な分布となる。NH3センサはSCR内部に直接的に設けることができないため、SCR内部の実際のNH3吸着量を正確に把握できない課題がある。そのため、NH3センサのセンサ値からNH3吸着量を推定する技術では、尿素水噴射量を実際のNH3吸着量に応じた最適な噴射量に補正できない可能性がある。
【0006】
本発明の目的は、SCR内部のNH3吸着量を高精度に検出することができる排気浄化システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するため、本発明の排気浄化システムは、内燃機関の排気系に設けられ、尿素水から生成されるアンモニアを還元剤として排気中に含まれる窒素化合物を還元浄化する少なくとも一個以上の選択的還元触媒と、前記選択的還元触媒に尿素水を噴射する尿素水噴射手段と、前記選択的還元触媒内の少なくとも入口側近傍から排気流れ方向の中間部近傍までの静電容量を検出する第1の静電容量検出手段と、前記選択的還元触媒内の少なくとも排気流れ方向の中間部近傍から出口側近傍までの静電容量を検出する第2の静電容量検出手段と、前記第1及び第2の静電容量検出手段から入力される静電容量に基づいて、前記選択的還元触媒内の還元剤吸着量を演算する還元剤吸着量演算手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
また、少なくとも前記内燃機関の運転状態に応じて設定される所定の基準噴射量に基づいて、前記尿素水噴射手段の尿素水噴射を制御する噴射制御手段と、前記還元剤吸着量演算手段から入力される還元剤吸着量に基づいて、前記基準噴射量を補正する噴射量補正手段とをさらに備えるものでもよい。
【0009】
また、前記第1及び第2の静電容量検出手段から入力される静電容量に基づいて、前記選択的還元触媒の内部温度を演算する内部温度演算手段をさらに備え、前記噴射量補正手段が、前記還元剤吸着量演算手段から入力される還元剤吸着量と、前記内部温度演算手段から入力される内部温度に応じた前記選択的還元触媒の還元剤吸着可能量との差に基づいて、前記基準噴射量を補正するものでもよい。
【0010】
また、前記第1の静電容量検出手段が、前記選択的還元触媒のセル内に入口側から排気流れ方向の中間部近傍まで挿入されてコンデンサを形成する少なくとも一対以上の電極で構成され、前記第2の静電容量検出手段が、前記選択的還元触媒のセル内に出口側から排気流れ方向の中間部近傍まで挿入されてコンデンサを形成する少なくとも一対以上の電極で構成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の排気浄化システムによれば、SCR内部のNH3吸着量を高精度に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る排気浄化システムを示す模式的な全体構成図である。
図2】本実施形態の電極の配置パターンの一例を示す図である。
図3】本実施形態のECUを示す機能ブロック図である。
図4】本実施形態の静電容量・温度特性マップの一例を示す図である。
図5】本実施形態の静電容量・NH3吸着量マップの一例を示す図である。
図6】本実施形態のNH3吸着可能量マップの一例を示す図である。
図7】本実施形態の制御内容を示すフローチャートである。
図8】他の実施形態に係る排気浄化システムを示す模式的な全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面に基づいて、本発明の一実施形態に係る排気浄化システムを説明する。同一の部品には同一の符号を付してあり、それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0014】
図1に示すように、ディーゼルエンジン(以下、単にエンジンという)10には、吸気マニホールド10aと排気マニホールド10bとが設けられている。吸気マニホールド10aには新気を導入する吸気通路11が接続され、排気マニホールド10bには排気を大気に放出する排気通路12が接続されている。
【0015】
吸気通路11には、吸気上流側から順に、エアクリーナ13、過給機15のコンプレッサ15a、インタークーラ17等が設けられている。排気通路12には、排気上流側から順に、過給機15のタービン15b、前段後処理装置20、後段後処理装置30等が設けられている。なお、図1中において、符号18はエンジン回転数センサ、符号19はアクセル開度センサを示している。
【0016】
前段後処理装置20は、触媒ケース20a内に排気上流側から順に、酸化触媒(Diesel Oxidation Catalyst:以下、DOC)21と、ディーゼル・パティキュレイト・フィルタ(Diesel Particulate Filter、以下、DPF)22とを配置して構成されている。また、DOC21の排気上流側には排気管内噴射装置23が設けられている。
【0017】
排気管内噴射装置23は、電子制御ユニット(以下、ECU)50から入力される指示信号に応じて、DPC21よりも上流側の排気通路12内に未燃燃料(主にHC)を噴射する。なお、エンジン10の多段噴射によるポスト噴射を用いる場合は、この排気管内噴射装置23を省略してもよい。
【0018】
DOC21は、例えば、コーディエライトハニカム構造体等のセラミック製担体表面に触媒成分を担持して形成されている。DOC21は、排気管内噴射装置23又はポスト噴射によって未燃燃料(HC)が供給されると、これを酸化して排気温度を上昇させる。
【0019】
DPF22は、例えば、多孔質性の隔壁で区画された多数のセルを排気流れ方向に沿って配置し、これらセルの上流側と下流側とを交互に目封止して形成されている。DPF22は、排気中のPMを隔壁の細孔や表面に捕集すると共に、推定されるPM堆積量が所定量に達すると、これを燃焼除去するいわゆる強制再生が実行される。強制再生は、排気管内噴射装置23又はポスト噴射によってDOC21に未燃燃料(HC)を供給し、DPF22に流入する排気温度をPM燃焼温度(例えば、約500〜600℃)まで昇温することで行われる。
【0020】
後段後処理装置30は、排気上流側から順に、尿素水噴射装置31と、ケース30a内に収容されたSCR32とを備えて構成されている。
【0021】
尿素水噴射装置31は、本発明の尿素水噴射手段の一例であって、ECU50から入力される指示信号に応じて、SCR32よりも上流側の排気通路12内に、図示しない尿素水タンク内の尿素水を噴射する。噴射された尿素水は排気熱により加水分解されてNH3に生成され、下流側のSCR32に還元剤として供給される。
【0022】
SCR32は、例えば、ハニカム構造体等のセラミック製担体表面にゼオライト等を担持して形成されており、多孔質性の隔壁で区画された多数のセルを排気流れ方向に沿って配置して構成されている。SCR32は、還元剤として供給されるNH3を吸着すると共に、吸着したNH3で通過する排気中からNOxを選択的に還元浄化する。また、本実施形態のSCR32には、少なくとも一個以上の隔壁を挟んで対向配置されてコンデンサを形成する複数本の入口側電極37及び、出口側電極38がそれぞれ設けられている。
【0023】
入口側電極37は、SCR32のセル内に入口(上流)側から排気流れ方向の略中央部近傍まで挿入されている。出口側電極38は、SCR32のセル内に出口(下流)側から排気流れ方向の略中央部近傍まで挿入されている。入口側電極37及び出口側電極38の外周面は、耐腐食性の絶縁層(不図示)で被覆されている。これら入口側電極37及び出口側電極38は、何れも図示しない静電容量検出回路を介してそれぞれECU50に電気的に接続されている。これら入口側電極37、出口側電極38及び静電容量検出回路(不図示)は、本発明の静電容量検出手段の一例として好ましい。
【0024】
なお、入口側電極37及び出口側電極38の配列パターンとしては、例えば、図2(a)に示すように、SCR32の径方向に二列を並設するパターンや、図2(b)に示すように、径方向の二列を互いに交差させるパターン等が好ましい。これにより、SCR32内部における全体の静電容量を効果的に検出することが可能になる。
【0025】
ECU50は、エンジン10や尿素水噴射装置31等の各種制御を行うもので、公知のCPUやROM、RAM、入力ポート、出力ポート等を備えて構成されている。
【0026】
また、ECU50は、図3に示すように、SCR内部温度演算部51と、NH3吸着量演算部52と、尿素水噴射制御部53と、噴射量補正部54とを一部の機能要素として有する。これら各機能要素は、一体のハードウェアであるECU50に含まれるものとして説明するが、これらのいずれか一部を別体のハードウェアに設けることもできる。
【0027】
SCR内部温度演算部51は、本発明の内部温度演算手段の一例であって、入口側電極37間の静電容量及び、出口側電極38間の静電容量に基づいて、SCR32の内部温度を演算する。一般的に、電極37,38間の静電容量Cは、電極37,38間の媒体の誘電率ε、電極37,38の面積S、電極37,38間の距離dとする以下の数式1で表される。
【0028】
【数1】
【0029】
数式1において、電極37,38の面積S及び距離dは一定であり、誘電率εが排気温度の影響を受けて変化すると、これに伴い静電容量Cも変化する。すなわち、電極37,38間の静電容量Cを検出すれば、SCR32の内部温度を演算することができる。
【0030】
ECU50には、予め実験等により求めた静電容量CとSCR内部温度Tとの関係を示す静電容量・温度特性マップ(例えば、図4参照)が記憶されている。SCR内部温度演算部51は、静電容量・温度特性マップから入口側電極37間の静電容量Cに対応する値を読み取ることで、SCR32の入口側内部温度TSCR_INを演算する。さらに、静電容量・温度特性マップから出口側電極38間の静電容量Cに対応する値を読み取ることで、SCR32の出口側内部温度TSCR_OUTを演算するように構成されている。なお、これら入口側内部温度TSCR_IN及び、出口側内部温度TSCR_OUTの演算はマップに限定されず、予め実験等により作成した近似式等から求めてもよい。
【0031】
NH3吸着量演算部52は、本発明の還元剤吸着量演算手段の一例であって、入口側電極37間の静電容量及び、出口側電極38間の静電容量に基づいて、SCR32に吸着されているNH3実吸着量を演算する。NH3は誘電率εが高いため、SCR32内にNH3の吸着が進むと、電極37,38間の静電容量Cも増加する(数式1参照)。すなわち、電極37,38間の静電容量Cを検出すれば、SCR32のNH3実吸着量を演算することができる。
【0032】
ECU50には、予め実験等により求めた静電容量CとNH3実吸着量STNH3との関係を示す静電容量・NH3吸着量マップ(例えば、図5参照)が記憶されている。NH3吸着量演算部52は、静電容量・NH3吸着量マップから入口側電極37間の静電容量Cに対応する値を読み取ることで、SCR32の入口側NH3実吸着量STNH3_INを演算する。さらに、静電容量・NH3吸着量マップから出口側電極38間の静電容量Cに対応する値を読み取ることで、SCR32の出口側NH3実吸着量STNH3_OUTを演算するように構成されている。なお、これら入口側NH3実吸着量STNH3_IN及び、出口側NH3実吸着量STNH3_OUTの演算はマップに限定されず、予め実験等により作成した近似式等から求めてもよい。
【0033】
尿素水噴射制御部53は、本発明の噴射制御手段の一例であって、エンジン10の運転状態等に基づいて尿素水噴射装置31の尿素水噴射量を制御する。より詳しくは、尿素水噴射制御部53は、エンジン回転数Ne及びアクセル開度Qからエンジン10のNOx排出量を演算すると共に、このNOx排出量に応じて必要になる尿素水の基本噴射量INJU_stdを設定する。この基本噴射量INJU_stdは、後述する噴射量補正部54によって必要に応じて補正される。
【0034】
噴射量補正部54は、本発明の噴射量補正手段の一例であって、尿素水噴射制御部53で設定された基本噴射量INJU_stdを、SCR内部温度演算部51から入力される入口側内部温度TSCR_IN、出口側内部温度TSCR_OUT及び、NH3吸着量演算部52から入力される入口側NH3実吸着量STNH3_IN、出口側NH3実吸着量STNH3_OUTに基づいて補正する。
【0035】
より詳しくは、ECU50には、予め実験等により作成したSCR32の内部温度TSCRとNH3吸着可能量STNH3_MAXとの関係を示すNH3吸着可能量マップ(例えば、図6参照)が記憶されている。
【0036】
噴射量補正部54は、NH3吸着可能量マップから、現在の入口側内部温度TSCR_INに対応する入口側吸着可能量STNH3_MAX_INと、現在の入口側NH3実吸着量STNH3_INとの入口側吸着量偏差ΔSTNH3_IN(=STNH3_MAX_IN−STNH3_IN)を読み取る。さらに、NH3吸着可能量マップから、現在の出口側内部温度TSCR_OUTに対応する出口側吸着可能量STNH3_MAX_OUTと、現在の出口側NH3実吸着量STNH3_OUTとの出口側吸着量偏差ΔSTNH3_OUT(=STNH3_MAX_OUT−STNH3_OUT)を読み取る。そして、これら入口側吸着量偏差ΔSTNH3_INと出口側吸着量偏差ΔSTNH3_OUTとの総和ΔSTNH3(=ΔSTNH3_IN+ΔSTNH3_OUT)に相当する噴射補正量ΔINJに基づいて、基本噴射量INJU_stdを増減補正するように構成されている(INJU_exh=INJU_std+/−ΔINJ)。補正後の尿素水噴射は、尿素水噴射装置31のインジェクタ(不図示)に印加される各噴射の通電パルス幅を増減させるか、あるいは噴射回数を増減させることで実行される。
【0037】
次に、図7に基づいて、本実施形態の排気浄化システムによる制御フローを説明する。なお、本制御はイグニッションキーのON操作と同時にスタートする。
【0038】
ステップ(以下、ステップを単にSと記載する)100では、エンジン回転数Ne及びアクセル開度Qから演算されるエンジン10のNOx排出量に応じて、尿素水の基本噴射量INJU_stdが設定される。
【0039】
S110では、入口側電極37間の静電容量Cに基づいて、SCR32の入口側内部温度TSCR_INが演算されると共に、出口側電極38間の静電容量Cに基づいて、SCR32の出口側内部温度TSCR_OUTが演算される。
【0040】
S120では、入口側電極37間の静電容量Cに基づいて、SCR32の入口側NH3実吸着量STNH3_INが演算されると共に、出口側電極38間の静電容量Cに基づいて、SCR32の出口側NH3実吸着量STNH3_OUTが演算される。
【0041】
S130では、NH3吸着可能量マップ(図6)から、S110で演算された入口側内部温度TSCR_INに対応する入口側吸着可能量STNH3_MAX_IN及び、S110で演算された出口側内部温度TSCR_OUTに対応する出口側吸着可能量STNH3_MAX_OUTが演算される。
【0042】
S140では、S130で演算された入口側吸着可能量STNH3_MAX_INと、S120で演算された入口側NH3実吸着量STNH3_INとの入口側吸着量偏差ΔSTNH3_IN(=STNH3_MAX_IN−STNH3_IN)が演算されると共に、S130で演算された出口側吸着可能量STNH3_MAX_OUTと、S120で演算された出口側NH3実吸着量STNH3_OUTとの出口側吸着量偏差ΔSTNH3_OUT(=STNH3_MAX_OUT−STNH3_OUT)が演算される。
【0043】
S150では、S140で演算された入口側吸着量偏差ΔSTNH3_INと出口側吸着量偏差ΔSTNH3_OUTとの総和ΔSTNH3(=ΔSTNH3_IN+ΔSTNH3_OUT)が所定の閾値よりも多いか否かが判定される。総和ΔSTNH3が所定の閾値よりも多い場合(Yes)は、S160に進み、この総和ΔSTNH3に相当する噴射補正量ΔINJに基づいて、基本噴射量INJU_stdが増減補正される(INJU_exh=INJU_std+/−ΔINJ)。さらに、S170では、補正後の噴射量INJU_exhに基づいて、尿素水噴射装置31の尿素水噴射が実行される。
【0044】
一方、S150で、総和ΔSTNH3が所定の閾値未満の場合(No)は、S180に進み、補正を行うことなく、S100で設定した基本噴射量INJU_stdに基づいて尿素水噴射装置31の尿素水噴射が実行される。その後、上述のS100〜180の各制御ステップは、イグニッションキーのOFF操作まで繰り返し実行される。
【0045】
次に、本実施形態に係る排気浄化システムによる作用効果を説明する。
【0046】
従来、SCRのNH3スリップを抑制する技術として、SCR出口に設けたNH3センサの検出値に基づいて、SCR内のNH3吸着量を推定すると共に、推定したNH3吸着量に応じて尿素水噴射量を補正する手法が知られている。しかしながら、NH3センサのセンサ値から推定する手法では、SCR内部の実際のNH3吸着量を正確に把握できず、尿素水噴射量を最適に制御できない可能性がある。
【0047】
これに対し、本実施形態の排気浄化システムでは、SCR32の入口側から中間部まで挿入された入口側電極37間の静電容量及び、SCR32の出口側から中間部まで挿入された出口側電極38間の静電容量に基づいて、SCR32内部のNH3吸着量を直接的に演算すると共に、正確なNH3実吸着量とNH3吸着可能量との差に応じて、尿素水噴射量を適宜補正するように構成されている。
【0048】
したがって、本実施形態の排気浄化システムによれば、SCR32内部の入口側から出口側に至る全領域において、NH3吸着量を高精度に検出することができる。また、尿素水噴射量をSCR32のNH3実吸着量に応じて正確に制御することが可能となり、SCR32のNH3スリップを確実に防止すると共に、NOxの還元浄化率を効果的に向上することもできる。さらに、SCR32の下流側に余剰のNH3を酸化除去するDOC等を配置する必要がなくなり、装置全体のコストや重量・サイズ等を効果的に低減することも可能になる。
【0049】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変形して実施することが可能である。
【0050】
例えば、図8に示すように、SCR32の容量等に応じて、SCR32を分割して複数個(図示例では2個)備えて構成してもよい。この場合は、各SCR32a,32bに、入口側電極37及び出口側電極38をそれぞれ設ければよい。また、電極37,38の本数は少なくとも一対以上であればよく、図示例に限定されるものではない。また、エンジン10はディーゼルエンジンに限定されず、ガソリンエンジン等の他の内燃機関にも広く適用することが可能である。
【符号の説明】
【0051】
10 エンジン
12 排気通路
18 エンジン回転数センサ
19 アクセル開度センサ
30 後段後処理装置
31 尿素水噴射装置
32 SCR
37 入口側電極
38 出口側電極
50 ECU
51 SCR内部温度演算部
52 NH3吸着量演算部
53 尿素水噴射制御部
54 噴射量補正部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8