(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
融点が0℃以下の油脂(A)、沸点が150℃以上であり、25℃で液状である一価の水溶性アルコール(B)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルおよびポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルからなる群から選ばれる1または2以上の非イオン性界面活性剤(C)を含有し、(A)、(B)、(C)の各質量比が、(A)60〜92質量%、(B)2〜15質量%、(C)6〜25質量%であるアスファルト合材付着防止剤。
【背景技術】
【0002】
道路舗装で用いられているアスファルト合材は、接着剤であるアスファルトと、道路の基礎部分となる骨材とからなっている。そして、アスファルトは、加熱された液状の状態で骨材と混合され、冷却されて固まることにより接着性を発現する。
【0003】
アスファルト合材の製造工場やアスファルト合材を取扱う道路舗装現場では、装置や機器へのアスファルト合材の付着を防止することが作業性を低下させないために重要である。特にアスファルト合材工場内の設備であるホッパー、スキップエレベータ、ベルトコンベアにアスファルト合材の付着が生じると、付着部にアスファルト合材が徐々に堆積して詰まり等の原因となるので、作業効率が大幅に低下する。また、アスファルト合材を積載するダンプトラックの荷台にも生じることがあり、道路舗装に際してアスファルト合材に接触するローラー等の舗装機器にも生じることがあるので、施工に係わるこれら機器等への付着を防止することは、施工効率の面からも非常に重要である。
そこで、これらホッパー、スキップエレベータ、ベルトコンベア、荷台、舗装機器等にはアスファルト合材の付着および堆積を防ぐために、付着防止効果および剥離効果を有するアスファルト合材付着防止剤を散布(以下、噴霧ともいう。)や塗布する必要がある。
【0004】
従来は、軽油、重油等の鉱物油をホッパー、スキップエレベータ、ベルトコンベア、荷台、舗装機器等に定期的に散布してアスファルト合材の付着を防止していた。
しかしながら、軽油、重油等の鉱物油を使用する方法では、噴霧された軽油、重油等が流出することによって、周囲環境への悪影響が懸念されていた。
【0005】
これらの問題を解決するために、動植物油脂を水に乳化させて使用するアスファルト合材付着防止剤が報告されている。例えば、動植物油脂とポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル類の組み合わせ(特許文献1)や、油性成分である脂肪酸エステルと界面活性剤の組み合わせ(特許文献2)等が報告されている。これらアスファルト合材付着防止剤は、一般的に、水で希釈された白濁の希釈液であることから、作業者が噴霧や塗布した部分を目視で認識できるので、必要以上に塗布してしまうという問題を回避することができる。また、環境への負荷低減の観点から、水での希釈倍率が高くても付着防止性能が発揮できることが望まれている。
【0006】
しかしながら、特許文献1では、アスファルト合材付着防止剤を水で希釈時に人や機械による攪拌を行わなければ均一な乳化液とならず、薬剤が容器や装置に付着してしまうという問題があり、また、油脂成分が分離固化することにより噴霧装置のノズルへの詰まりが生じたりするという問題があった。また、20倍以上の高倍率で希釈した場合、金属表面へ噴霧したときに金属表面とのなじみが悪くなるので、薬剤の塗布が不十分になっている部分にアスファルト合材が付着してしまい、十分な付着防止効果や剥離効果が得られないという問題があった。
また、特許文献2では、油性成分に油脂を用いずに希釈安定性を重視しているが、この防止剤は付着防止性能が低く、十分な効果が得られないという問題があった。
【0007】
したがって、噴霧や塗布時の金属表面への濡れ性が高く、アスファルト合材に対する付着防止効果および剥離効果が高く、水で希釈時に簡便に乳化できるアスファルト合材付着防止剤は得られていない。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について説明する。本発明のアスファルト合材付着防止剤は、(A)成分、(B)成分、および(C)成分を含有する。なお、(A)成分、(B)成分、および(C)成分の各質量比の合計は100質量%である。まず、(A)成分について説明する。
【0015】
〔(A)成分〕
本発明で用いられる(A)成分は、日本油化学会制定の基準油脂分析試験法に記載されている融点測定法(上昇融点)により測定した融点が0℃以下の油脂である。(A)成分としては、例えば、アマニ油、サフラワー油、ヒマワリ油、大豆油、トウモロコシ油、ゴマ油、ナタネ油、ラッカセイ油、オリーブ油、ヒマシ油等が挙げられ、好ましくは、汎用性が高い点から、ナタネ油、大豆油、トウモロコシ油である。これら油脂は融点が0℃以下であり、常温で液状であるので、同じく常温で液状のアスファルトと相溶しやすく、高い付着防止性能が得られる。
本発明において油脂(A)は1種を単独で、もしくは2種以上を併せて用いることができる。
【0016】
融点が0℃以下の油脂(A)は、アスファルト合材付着防止剤中、60〜92質量%であり、好ましくは70〜85質量%である。60質量%より少ないと付着防止効果や剥離効果が低くなるおそれがあり、92質量%を超えると希釈時の乳化のしやすさが低下するおそれがある。
【0017】
〔(B)成分〕
本発明で用いられる(B)成分は、沸点が150℃以上であり、25℃で液状である一価の水溶性アルコールである。ここでいう沸点とは大気圧下での沸点をいう。一価の水溶性アルコールの沸点が150℃未満であると、アスファルト合材が通常110〜150℃で出荷および施工されることから、水溶性アルコールがアスファルト合材に接した際に蒸発等が生じて、付着防止効果ならびに剥離効果を十分に発揮できなくなるおそれがある。
【0018】
一価の水溶性アルコールとは、分子内に水酸基を1個有する水溶性の化合物である。
一価の水溶性アルコール(B)は、特に付着防止効果および剥離効果の面から、炭素数が
6〜8の一価の水溶性アルコールが好ましい。また、一価の水溶性アルコールは、25℃で水と任意の割合で溶解するものが好ましい。
【0019】
本発明で用いられる一価の水溶性アルコール(B)の具体例としては、例えば、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、3−メトキシ−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール等が挙げられる。
特に、付着防止効果および剥離効果に優れる理由から、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルが好ましく、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールがより好ましい。
本発明において一価の水溶性アルコール(B)は1種を単独で、もしくは2種以上を併せて用いることができる。
【0020】
本発明において一価の水溶性アルコール(B)として市販品を用いてもよく、例えば、ジエチレングリコールモノブチルエーテルとしてブチセノール20(KHネオケム株式会社製)、ジエチレングリコールモノメチルエーテルとしてハイソルブDM(東邦化学工業株式会社製)、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールとしてソルフィットファイングレード(クラレ株式会社製)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(シグマアルドリッチジャパン株式会社製)、テトラヒドロフルフリルアルコール(キシダ化学株式会社製)等が使用できる。
【0021】
一価の水溶性アルコール(B)は、アスファルト合材付着防止剤中、2〜15質量%であり、好ましくは5〜12質量%である。2質量%未満であると良好な付着防止効果および剥離効果が得られ難くなるおそれがあり、また水希釈時の乳化のしやすさが低下するおそれがある。15質量%を超えると良好な付着防止効果が得られ難くなるおそれがある。
【0022】
〔(C)成分〕
本発明で用いられる(C)成分は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルおよびポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルからなる群から選ばれる1または2以上の非イオン性界面活性剤である。特に、付着防止効果および剥離効果に優れる理由から、非イオン型界面活性剤のHLBは7〜15が好ましく、さらに好ましくは8〜13である。
【0023】
HLBとは、Hyrophile−LipophileBalanceの略で、界面活性剤の親水基及び親油基のバランスを数値化した概念である。HLBは、一般に、0から20の範囲の数値で示され、数値が高いほど親水性が高いことを示す。HLBは、下記(I)または(II)の式により算出することができる。
(I)ポリオキシエチレンアルキルエーテル型非イオン性界面活性剤
HLB=オキシエチレン基の質量分率/5
(II)ポリオキシエチレン脂肪酸エステル型、ソルビタン脂肪酸エステル型、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル型の各非イオン性界面活性剤
HLB=20(1−S/A)
S:エステルのけん化価、A:脂肪酸の中和価
(出展:「新版界面活性剤ハンドブック」工学図書株式会社;出版1987年 初版)
なお、けん化価及び酸価は、例えば「基準油脂分析試験法(1)」((社)日本油化学協会、1996年)に記載の方法等に従って測定することができる。
【0024】
(C)成分は、付着防止性能および剥離性能の観点から、炭素数8〜24の炭化水素基もしくは炭素数8〜24の水酸基含有炭化水素基を有する非イオン性界面活性剤が好ましい。炭化水素基または水酸基含有炭化水素基の炭素数としては、8〜18がさらに好ましい。炭化水素基または水酸基含有炭化水素基は、直鎖、分岐鎖、飽和、不飽和の何れでもよい。このような炭化水素基または水酸基含有炭化水素基としては、例えば、オクチル基、デシル基、ラウリル基、トリデシル基、ミリスチル基、パルミチル基、セチル基、イソパルミチル基、ステアリル基、イソステアリル基、オレイル基、オクチルドデシル基、ベヘニル基、ヒドロキシステアリル基が挙げられ、また、混合脂肪酸由来のアルキル基、例えばヤシ油アルキル基等の上記アルキルが混在する混合アルキル基が挙げられる。好ましくは、オクチル基、デシル基、ラウリル基、オレイル基が挙げられる。
【0025】
特に、付着防止効果および剥離効果に優れる理由から、(C)成分は、式(1)で示されるポリオキシエチレンアルキルエーテルが好ましい。
R
1O−(EO)n−H・・・(1)
【0026】
式中、R
1は分岐を有する炭素数が8〜12の炭化水素基であり、好ましくは炭素数8〜10であり、さらに好ましくは10である。
分岐を有する炭素数8〜12の炭化水素基としては、例えば、2−エチルヘキシル基、3,5−ジメチルヘキシル基、2,2−ジメチルヘキシル基、2−メチルヘプチル基、3−メチルヘプチル基、4−メチルヘプチル基、2−プロピルペンチル基、イソオクチル基、2,2−ジメチルヘプチル基、2,2,4,4−テトラメチルペンチル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基、2−メチルオクチル基、2−エチルヘプチル基、3−メチルオクチル基、イソノニル基、ネオノニル基、2,2−ジメチルオクチル基、2−メチル−2−エチルヘプチル基、2−メチル−2−プロピルヘキシル基、8−メチル−1−ノニル基、イソデシル基、2−プロピルヘプチル基、2−ブチルオクチル基等が挙げられる。好ましくは2−エチルヘキシル基、イソデシル基であり、さらに好ましくはイソデシル基である。
【0027】
EOはオキシエチレン基である。nは、オキシエチレン基(EO)の平均付加モル数を示し、4〜10であり、好ましくは5〜7である。
【0028】
式(1)で示されるポリオキシエチレンアルキルエーテルは、公知の方法により製造することができ、例えば、分岐アルキル基を有する炭素数8〜12の一価のアルコールに、所定量のエチレンオキサイドを付加させて得ることができる。
【0029】
本発明において非イオン型界面活性剤(C)は1種を単独で、もしくは2種以上を併せて用いることができる。また、式(1)で示されるポリオキシエチレンアルキルエーテルとして、分岐アルキル基または炭素数が異なる2種以上のポリオキシエチレンアルキルエーテルを用いることもできる。なお、このような2種以上のポリオキシエチレンアルキルエーテルは、例えば、分岐アルキル基または炭素数が異なる2種以上の一価のアルコール混合物に、所定量のエチレンオキサイドを付加させて得ることができる。
【0030】
非イオン性界面活性剤(C)は、アスファルト合材付着防止剤中、6〜25質量%であり、好ましくは10〜20質量%である。6質量%未満であると水希釈時の乳化のしやすさが低下するおそれがあり、25質量%を超えると良好な付着防止効果が得られ難くなるおそれがある。
【0031】
〔アスファルト合材付着防止剤〕
本発明のアスファルト合材付着防止剤は、通常、水で希釈して使用する。希釈倍率は原液に対して水で3〜100質量倍、好ましくは5〜50質量倍である。
【0032】
本発明のアスファルト合材付着防止剤は、ホッパー、スキップエレベータ等の合材工場設備で主に使用されるが、運搬に使用されるダンプトラックの荷台、舗装機器であるフィニッシャー、マカダムローラー、タイヤローラー等に使用しても良い。本発明のアスファルト合材付着防止剤は、ペットボトル等の容器を使用して散布するかあるいはスプレー等により噴霧して使用することができ、刷毛等により塗布して使用しても良い。
【0033】
本発明のアスファルト合材付着防止剤は、本発明の効果を阻害しない範囲内で、添加剤しても良い。かかる添加剤としては、例えば、有機または無機塩類、pH調整剤、殺菌剤、キレート剤、色素、香料などが挙げられる。
【実施例】
【0034】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
【0035】
〔実施例1〜12、比較例1〜4〕
表1および表2に示す質量比で、アスファルト合材付着防止剤を調製した。得られた各アスファルト合材付着防止剤について下記のテストを行なった。全ての試験において「◎」および「○」の評価のものを合格とした。
なお、表1および表2に示すBおよびB’の各成分の物性等を表3に記載した。
【0036】
(1)噴霧時の金属表面への濡れ性テスト
200mlビーカー中にて、各アスファルト合材付着防止剤を5ml秤量し、95mlの水で20倍に希釈しスターラーチップを用いて25℃で10分間攪拌した。その後、希釈液を20cm×25cmのSS400鋼材に、スプレーボトルにて3回(約2g)噴霧した後、金属表面の状態を目視にて確認した。濡れ性テストの評価は、下記の評価基準に従い行なった。
(評価基準)
◎:金属表面の全体に均一に広がる。
○:金属表面の全体に広がる。
△:金属表面にムラが生じる。
×:金属表面上で水滴状になり、なじまない。
【0037】
(2)付着防止効果テスト
200mlビーカー中にて、各アスファルト合材付着防止剤を5ml秤量し、95mlの水で20倍に希釈しスターラーチップを用いて25℃で10分間攪拌した。
希釈液1gを20cm×15cmのSS400鋼材にスプレーボトルにて3回(約2g)スプレーした後、150℃に加熱したストレートアスファルト合材(密粒度アスファルト合材、ストレートアスファルト:6質量%、ストレートアスファルト針入度:60〜80:JIS K−2207)を1kg乗せ、1分間常温で放置した。その後、鋼材を70度の角度に傾斜させ、ストレートアスファルト合材を落とした。この一連の操作、すなわちストレートアスファルト合材を1kg乗せる、1分間常温で放置する、鋼材を70度の角度に傾斜させストレートアスファルト合材を落とすという一連の操作を10回繰り返し行った。
【0038】
その後の鋼板に付着したストレートアスファルト合材量と鋼板表面の外観を評価した。アスファルト合材の付着は細かいアスファルト合材の付着に始まり、繰り返し接触することで付着したアスファルト合材に堆積してゆき、大きなかたまりの付着となる。そのためアスファルト合材の大きなかたまりの付着のみならず、細かいアスファルト合材の付着が少ない防止剤ほど良好であると判断した。付着防止効果テストの評価は、下記の評価基準に従い行なった。
(評価基準)
◎:付着量が5g未満であり、鋼材表面にアスファルト合材の付着がほとんど見られない。
○:付着量が5g以上10g未満であり、鋼材表面に細かいアスファルト合材の付着が多くみられる。
△:付着量が10g以上100g未満であり、鋼材表面に細かいアスファルト合材の付着が多くみられ、一部堆積しかたまりが生じている。
×:付着量が100g以上で、鋼材表面全体にアスファルト合材の堆積が見られる。
【0039】
(3)剥離効果テスト
150℃に加熱したストレートアスファルト合材(密粒度アスファルト合材、ストレートアスファルト:6質量%、ストレートアスファルト針入度:60〜80:JIS K−2207)を20cm×15cmのSS400鋼材に0.5kg乗せて10分間常温で放置し、アスファルト合材が1kg付着した鋼材を作成した。
また1000mlビーカー中にて、各アスファルト合材付着防止剤を50ml秤量し、950mlの水で20倍に希釈しスターラーチップを用いて25℃で10分間攪拌した。その後、アスファルト合材が付着した鋼材を、各アスファルト合材付着防止剤を水で20倍に希釈した液に、アスファルト合材が完全に浸漬するように鋼材を浸漬させ、70℃で30分間静置した。液から鋼材を取り出し、鋼材を70度の角度に傾斜させ、ストレートアスファルト合材を落とした。鋼材に付着しているアスファルト合材を計量した。剥離効果テストの評価は、下記の評価基準に従い行なった。
(評価基準)
◎:付着量が2g未満である。
○:付着量が2g以上5g未満である。
△:付着量が5g以上10g未満である。
×:付着量が10g以上である。
【0040】
(4)乳化のしやすさテスト
1000mlビーカー中にて、各アスファルト合材付着防止剤を50ml秤量し、950mlの水で20倍に希釈した。均一な乳化液になるまでの状態を下記の評価基準に従い行なった。
(評価基準)
◎:水を入れた段階で自己乳化している。
○:水を入れた後、スターラーチップを用いて10秒間の攪拌で均一な乳化液となる。
△:水を入れた後、スターラーチップを用いて1分間の攪拌で均一な乳化液となる。
×:水を入れた後、スターラーチップを用いて10分間攪拌しても容器に薬剤が付着しており、均一な乳化液とならない。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
【表3】
【0044】
本発明に係る実施例1〜12のアスファルト合材付着防止剤は、融点が0℃以下の油脂(A)、所定の物性を有する一価の水溶性アルコール(B)、非イオン性界面活性剤(C)を含有しているので、噴霧時の金属表面への濡れ性が高く、アスファルト合材に対する付着防止効果および剥離効果が高く、水で希釈時に乳化が容易であった。
【0045】
一方、(B)成分を含有していない付着防止剤(比較例1)は、噴霧時の金属表面への濡れ性が低く、乳化がし難く、アスファルト合材に対する付着防止効果および剥離効果が不十分であった。
(B)成分の代わりに、25℃で液状である一価の水溶性アルコールであるが沸点が150℃未満である化合物としてプロピレングリコールモノエチルエーテル((B’)成分)を含有する付着防止剤(比較例2)は、良好な付着防止効果および剥離効果が得られなかった。
(B)成分の代わりに、グリセリン((B’)成分)を含有する付着防止剤(比較例3)は、噴霧時の金属表面への濡れ性が低く、剥離効果および乳化のしやすさが良好ではなかった。
(C)成分の代わりに、オレイン酸ジエタノールアミン塩((C’)成分)を含有する付着防止剤(比較例4)は、乳化がし難く、噴霧時の金属表面への濡れ性、付着防止効果および剥離効果が良好ではなかった。