(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
<感放射線性樹脂組成物>
当該感放射線性樹脂組成物は、[A]成分及び[B]酸発生体を含有する。当該感放射線性樹脂組成物は、好適成分として、[A]成分の電子欠損体と共に生成する電子の作用により酸を発生する第2酸発生体(以下、「[C]酸発生体」ともいう)、[D]酸拡散制御体及び[E]溶媒を含有してもよく、本発明の効果を損なわない範囲において、その他の任意成分を含有していてもよい。
以下、各成分について説明する。
【0011】
<[A]成分>
[A]成分は、酸解離性基を有する分子鎖(以下、「分子鎖(A)」ともいう)を含み、放射線の作用により電子欠損体を生成する部位(以下、「電子欠損体生成部位」ともいう)を有する成分である。ここで、「分子鎖」とは、複数の原子が共有結合により連結した物質をいい、例えば、重合体鎖等が挙げられる。「酸解離性基」とは、カルボキシ基、ヒドロキシ基等の水素原子を置換する基であって、酸の作用により解離する基をいう。「電子欠損体」とは、放射線の照射により電子と共に生成し、元の状態と比較して電子が不足した状態にある物質をいう。上記放射線としては、例えば、紫外線、遠紫外線、EUV、X線、γ線等の電磁波;EB、α線等の荷電粒子線などが挙げられる。これらの中で、本発明の感度向上の効果による利益がより大きい観点から、EUV、X線、EBが好ましく、EUV、EBがより好ましく、EUVがさらに好ましい。
【0012】
当該感放射線性樹脂組成物によれば、放射線の作用により[A]成分から電子と共に電子欠損体を生成し、この生成した電子と酸発生体とによる通常の酸発生に加えて、上記生成した電子欠損体の作用により[B]酸発生体からも酸が発生する。このようなメカニズムにより酸を発生させることで、酸の発生量を増大させることができ、その結果、当該感放射線性樹脂組成物は、EUV等の露光においても、高い感度を発揮することができる。また、当該感放射線性樹脂組成物は結果として、LWR性能及び解像性も向上させることができる。
【0013】
[A]成分における分子鎖(A)及び電子欠損体生成部位の含有形態としては、例えば、(1)分子鎖(A)が電子欠損体生成部位を有する形態、(2)分子鎖(A)と、分子鎖(A)とは異なる電子欠損体生成部位を有する物質とをそれぞれ含有する形態、(3)(1)及び(2)を共に含む形態等が挙げられる。[A]成分において、分子鎖(A)及び電子欠損体生成部位をそれぞれ1種又は2種以上有していてもよい。
【0014】
(分子鎖(A))
分子鎖(A)は、酸解離性基を有する分子鎖である。上記分子鎖(A)は、直鎖状でも分岐状であってもよい。上記分子鎖(A)における酸解離性基の位置としては特に限定されず、主鎖、側鎖及び末端のいずれに結合していてもよいが、上記分子鎖(A)としては、酸解離性基を含む構造単位(以下、「構造単位(I)」ともいう)を有する分子鎖が好ましい。
【0015】
上記分子鎖(A)は、構造単位(I)以外にも、後述するフェノール性水酸基を含む構造単位(II)を有していてもよく、構造単位(I)及び構造単位(II)以外のその他の構造単位を有していてもよい。
以下、各構造単位について説明する。
【0016】
[構造単位(I)]
構造単位(I)は、酸解離性基を含む構造単位である。当該感放射線性樹脂組成物は、分子鎖(A)が構造単位(I)を有することで、露光部において、[B]酸発生体、[C]酸発生体等から発生した酸の作用により酸解離性基が解離して極性基を生じ、[A]成分の現像液に対する溶解性が変化することにより、レジストパターンを形成することができる。
【0017】
上記酸解離性基としては、下記式(3)で表される基が好ましい。この酸解離性基は、分子鎖(A)が有する−COO−、−O−等の極性基に結合している。
【0019】
上記式(3)中、R
p1は、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基である。R
p2及びR
p3は、それぞれ独立して炭素数1〜20のアルキル基若しくは炭素数3〜20のシクロアルキル基であるか、又はこれらの基が互いに合わせられこれらが結合する炭素原子と共に構成される環員数3〜20の脂環構造を表す。*は、[A]成分の分子鎖が有する極性基への結合部位を示す。
【0020】
上記R
p1、R
p2及びR
p3で表される炭素数1〜20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられる。
【0021】
上記R
p1、R
p2及びR
p3で表される炭素数3〜20のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等が挙げられる。
【0022】
上記R
p1で表される炭素数6〜20のアリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基、アントリル基等が挙げられる。
【0023】
上記R
p2及びR
p3のこれらの基が互いに合わせられこれらが結合する炭素原子と共に構成される環員数3〜20の脂環構造としては、例えば、シクロプロパン構造、シクロブタン構造、シクロペンタン構造、シクロヘキサン構造、シクロオクタン構造、ノルボルナン構造、アダマンタン構造等が挙げられる。
【0024】
上記構造単位(I)としては、例えば、下記式(3−1)で表される構造単位(以下、「構造単位(I−1)」ともいう)、下記式(3−2)で表される構造単位(以下、「構造単位(I−2)」ともいう)等が挙げられる。
【0026】
上記式(3−1)及び(3−2)中、R
p1、R
p2及びR
p3は、上記式(3)と同義である。
上記式(3−1)中、R
Aは、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。
上記式(3−2)中、R
Bは、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。L
1は、単結合、−O−、−COO−又は−CONH−である。
【0027】
上記R
Aとしては、構造単位(I−1)を与える単量体の共重合性の観点から、水素原子、メチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
上記R
Bとしては、構造単位(I−2)を与える単量体の共重合性の観点から、水素原子、メチル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
【0028】
上記構造単位(I−1)としては、下記式(3−1−1)〜(3−1−4)で表される構造単位(以下、「構造単位(I−1−1)〜(I−1−4)」ともいう)が、上記構造単位(I−2)としては、下記式(3−2−1)で表される構造単位(以下、「構造単位(I−2−1)」ともいう)が好ましい。
【0030】
上記式(3−1−1)〜(3−2−1)中、R
p1〜R
p3、R
A及びR
Bは、上記式(3−1)及び(3−2)と同義である。n
pは、それぞれ独立して、1〜4の整数である。
【0031】
上記構造単位(I−1)としては、例えば下記式で表される構造単位等が挙げられる。
【0034】
上記式中、R
Aは、上記式(3−1)と同義である。
【0035】
上記構造単位(I−2)としては、例えば下記式で表される構造単位等が挙げられる。
【0037】
上記式中、R
Bは、上記式(3−2)と同義である。
【0038】
構造単位(I)としては、構造単位(I−1)が好ましく、構造単位(I−1−1)がより好ましく、2−エチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレートに由来する構造単位がさらに好ましい。
【0039】
構造単位(I)の含有割合としては、分子鎖(A)を構成する全構造単位に対して、10モル%〜90モル%が好ましく、20モル%〜70モル%がより好ましく、25モル%〜50モル%がさらに好ましい。構造単位(I)の含有割合を上記範囲とすることで当該感放射線性樹脂組成物の感度、LWR性能及び解像性をより向上させることができる。
【0040】
[構造単位(II)]
構造単位(II)は、フェノール性水酸基を含む構造単位である。当該感放射線性樹脂組成物は、分子鎖(A)が構造単位(II)を有することで、EUV等に対する感度をより高めることができる。
【0041】
構造単位(II)としては、例えば下記式(4)で表される構造単位等が挙げられる。
【0043】
上記式(4)中、R
Cは、水素原子又はメチル基である。L
2は、単結合又は炭素数1〜20の2価の有機基である。R
Dは、炭素数1〜20の1価の有機基である。kは、0〜9の整数である。kが2以上の場合、複数のR
Dは同一でも異なっていてもよい。jは、1〜3の整数である。sは、0〜2の整数である。
【0044】
上記R
Cとしては、構造単位(II)を与える単量体の共重合性の観点から、水素原子が好ましい。
【0045】
上記L
2で表される炭素数1〜20の2価の有機基としては、例えば、炭素数1〜20の炭化水素基、この炭化水素基の炭素−炭素間又は結合手側の末端に−O−、−NH−、−CO−、−CS−、これらを組み合わせた基等の2価のヘテロ原子含有基を含む基(α)、上記炭化水素基及び基(α)が有する水素原子の一部又は全部をヒドロキシ基、ハロゲン原子、シアノ基等の1価のヘテロ原子含有基で置換した基等が挙げられる。
【0046】
上記R
Dで表される炭素数1〜20の1価の有機基としては、例えば、上記L
2で表される炭素数1〜20の2価の有機基として例示した基に1個の水素原子を加えた基等が挙げられる。
【0047】
上記L
2としては、単結合が好ましい。
上記R
Dとしては、炭化水素基が好ましく、鎖状炭化水素基がより好ましく、アルキル基がさらに好ましく、メチル基が特に好ましい。
【0048】
上記kとしては、0〜2の整数が好ましく、0又は1がより好ましく、0が特に好ましい。
上記jとしては、1又は2が好ましく、1がより好ましい。
上記sとしては、0又は1が好ましく、0がより好ましい。
【0049】
構造単位(II)としては、例えば、下記式(4−1)〜(4−6)で表される構造単位(以下、「構造単位(II−1)〜(II−6)」ともいう)等が挙げられる。
【0051】
上記式(4−1)〜(4−6)中、R
Cは、上記式(4)と同義である。
【0052】
これらの中で、構造単位(II−1)が好ましい。
【0053】
構造単位(II)の含有割合としては、分子鎖(A)を構成する全構造単位に対して、0モル%〜90モル%が好ましく、10モル%〜80モル%がより好ましく、40モル%〜75モル%がさらに好ましい。構造単位(II)の含有割合を上記範囲とすることで、当該感放射線性樹脂組成物のEUV等に対する感度をさらに高めることができる。
【0054】
[その他の構造単位]
上記分子鎖(A)は、上記構造単位(I)及び構造単位(II)以外にも、その他の構造単位を有していてもよい。上記その他の構造単位としては、例えば、ラクトン構造、環状カーボネート構造及びスルトン構造からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む構造単位、極性基を含む構造単位、末端にヒドロキシ基を有しこのヒドロキシ基に隣接する炭素原子が少なくとも1個のフッ素原子又はフッ素化アルキル基を有する基を含む構造単位、非酸解離性の脂環式炭化水素基を含む構造単位等が挙げられる。上記極性基としては、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホンアミド基、ケトン性カルボニル基、シアノ基、ニトロ基等が挙げられる。上記その他の構造単位の含有割合としては、分子鎖(A)を構成する全構造単位に対して、30モル%以下が好ましく、20モル%以下がより好ましい。
【0055】
(電子欠損体生成部位)
電子欠損体生成部位は、放射線の作用により電子欠損体を生成する部位である。上記電子欠損体としては、例えば、EUV等の放射線の照射により分子鎖が有する炭素原子−水素原子間などの結合から電子と共に生成するカチオンラジカル、低エネルギーの放射線の照射により半導体などから電子と共に生成する正孔(ホール)等が挙げられる。
【0056】
上記電子欠損体生成部位は、上記分子鎖(A)が有していても、分子鎖(A)以外の物質が有していても、その両方が有していてもよいが、当該感放射線性樹脂組成物の調製の簡便さから、上記分子鎖(A)が有していること、すなわち分子鎖(A)が放射線の作用により電子欠損体を生成することが好ましい。この場合の電子欠損体生成部位としては、上記分子鎖(A)が有する炭素原子−水素原子間結合を含む部分であることが好ましい。
【0057】
<[A]成分(分子鎖(A))の合成方法>
[A]成分の分子鎖(A)は、例えば、分子鎖(A)が重合体である場合、各構造単位を与える単量体を、ラジカル重合開始剤等を用い、適当な溶媒中で重合することにより合成できる。
【0058】
上記ラジカル重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート等のアゾ系ラジカル開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等の過酸化物系ラジカル開始剤等が挙げられる。これらの中で、AIBN、ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレートが好ましく、AIBNがより好ましい。ラジカル重合開始剤は1種又は2種以上を用いることができる。
【0059】
上記重合に使用される溶媒としては、例えば
n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン等のアルカン類;
シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリン、ノルボルナン等のシクロアルカン類;
ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン等の芳香族炭化水素類;
クロロブタン類、ブロモヘキサン類、ジクロロエタン類、ヘキサメチレンジブロミド、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;
酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、プロピオン酸メチル等の飽和カルボン酸エステル類;
アセトン、メチルエチルケトン、4−メチル−2−ペンタノン、2−ヘプタノン等のケトン類;
テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン類、ジエトキシエタン類等のエーテル類;
メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、4−メチル−2−ペンタノール等のアルコール類等が挙げられる。上記重合に使用される溶媒は、1種又は2種以上を用いることができる。
【0060】
上記重合における反応温度としては、通常40℃〜150℃、50℃〜120℃が好ましい。反応時間としては、通常1時間〜48時間、1時間〜24時間が好ましい。
【0061】
[A]成分の分子鎖(A)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)としては特に限定されないが、1,000以上50,000以下が好ましく、2,000以上30,000以下がより好ましく、3,000以上20,000以下がさらに好ましく、4,000以上15,000が特に好ましい。[A]成分の分子鎖(A)のMwが上記下限未満だと、得られるレジスト膜の耐熱性が低下する場合がある。[A]成分の分子鎖(A)のMwが上記上限を超えると、レジスト膜の現像性が低下する場合がある。
【0062】
[A]成分の分子鎖(A)のGPCによるポリスチレン換算数平均分子量(Mn)に対するMwの比(Mw/Mn(分散度))は、通常、1以上5以下であり、1以上3以下が好ましく、1以上2以下がさらに好ましい。
【0063】
本明細書における重合体のMw及びMnは、以下の条件によるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定される値である。
GPCカラム:東ソー社の「G2000HXL」2本、「G3000HXL」1本、「G4000HXL」1本
カラム温度:40℃
溶出溶媒:テトラヒドロフラン
流速:1.0mL/分
試料濃度:1.0質量%
試料注入量:100μL
検出器:示差屈折計
標準物質:単分散ポリスチレン
【0064】
<[B]酸発生体>
[B]酸発生体は、上記電子欠損体の作用により酸を発生する酸発生体である。すなわち[B]酸発生体は、放射線の作用により[A]成分から電子と共に生成する電子欠損体の作用によって、酸を発生することができる物質である。当該感放射線性樹脂組成物は、[A]成分と共に、[B]酸発生体を含有することで、特にEUV露光等において感度に優れ、その結果、LWR性能及び解像性にも優れる。
当該感放射線性樹脂組成物における[B]酸発生体の含有形態としては、後述するような低分子化合物の形態(以下、適宜「[B]酸発生剤」と称する)でも、[A]成分の分子鎖(A)等に組み込まれた形態でも、これらの両方の形態でもよい。
【0065】
[B]酸発生体としては、例えば、下記式(1)で表される化合物等が挙げられる。
【0067】
上記式(1)中、Xは、有機オキソ酸からオキソ酸基のOHを除いた基である。nは、1〜6の整数である。nが2以上の場合、複数のXは同一でも異なっていてもよい。R
1は、炭素数1〜20の1価の有機基である。mは、0〜5の整数である。mが2以上の場合、複数のR
1は、同一でも異なっていてもよく、互いに結合して環員数3〜20の環構造を形成してもよい。但し、m+nは6以下である。Arは、下記式(1−a)で表される(m+n)価の基、下記式(1−b)で表される(m+n)価の基又は下記式(1−c)で表される(m+n)価の基である。
【0069】
上記式(1−a)、(1−b)及び(1−c)中、*は、上記式(1)におけるR
1及び酸素原子に結合する部位を示す。m及びnは、上記式(1)と同義である。
上記式(1−a)中、pは0又は1である。
上記式(1−b)中、q及びrは、それぞれ独立して、0又は1である。
上記式(1−c)中、Zは、酸素原子又は硫黄原子である。
【0070】
上記Xで表される有機オキソ酸からオキソ酸基のOHを除いた基としては、例えば、SO
2R
2、COR
3等が挙げられる。これらの中で、当該感放射線性樹脂組成物の感度がより高くなる観点から、−SO
2R
2が好ましい。
【0071】
上記R
2及びR
3としては、炭素数1〜20の1価の炭化水素基、炭素数1〜20の1価のフッ素化炭化水素基等が挙げられる。
【0072】
上記R
2及びR
3で表される炭素数1〜20の1価の炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜20の1価の鎖状炭化水素基、炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基、炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基等が挙げられる。
【0073】
上記炭素数1〜20の1価の鎖状炭化水素基としては、例えば、
メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基等のアルキル基;
エテニル基、プロペニル基、ブテニル基等のアルケニル基;
エチニル基、プロピニル基、ブチニル基等のアルキニル基などが挙げられる。
【0074】
上記炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基としては、例えば、
シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等のシクロアルキル基;
シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、ノルボルネニル基等のシクロアルケニル基などが挙げられる。
【0075】
上記炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基としては、例えば、
フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基等のアリール基;
ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等のアラルキル基などが挙げられる。
【0076】
上記炭素数1〜20の1価のフッ素化炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜20の1価のフッ素化鎖状炭化水素基、炭素数3〜20の1価のフッ素化脂環式炭化水素基、炭素数6〜20の1価のフッ素化芳香族炭化水素基等が挙げられる。
【0077】
上記炭素数1〜20の1価のフッ素化鎖状炭化水素基としては、例えば、
フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロ−n−プロピル基、ヘプタフルオロ−i−プロピル基等のフッ素化アルキル基;
フルオロエテニル基、フルオロプロペニル基等のフッ素化アルケニル基;
フルオロエチニル基、フルオロプロペニル基等のフッ素化アルキニル基などが挙げられる。
【0078】
上記炭素数3〜20の1価のフッ素化脂環式炭化水素基としては、例えば、
フルオロシクロペンチル基、ジフルオロシクロヘキシル基、パーフルオロノルボルニル基等のフッ素化シクロアルキル基;
フルオロシクロペンテニル基、パーフルオロノルボルネニル基等のフッ素化シクロアルケニル基などが挙げられる。
【0079】
上記炭素数6〜20の1価のフッ素化芳香族炭化水素基としては、例えば、
フルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、フルオロトリル基、フルオロナフチル基等のフッ素化アリール基;
フルオロベンジル基、ジフルオロフェネチル基等のフッ素化アルケニル基などが挙げられる。
【0080】
上記R
2及びR
3としては、これらの中で、当該感放射線性樹脂組成物の感度をさらに向上できる観点から、1価の鎖状炭化水素基、1価の脂環式炭化水素基、1価のフッ素化鎖状炭化水素基、1価のフッ素化脂環式炭化水素基が好ましく、アルキル基、シクロアルキル基、フッ素化アルキル基、フッ素化シクロアルキル基がより好ましく、フッ素化アルキル基がさらに好ましく、パーフルオロアルキル基が特に好ましく、トリフルオロメチル基がさらに特に好ましい。
【0081】
上記nとしては、1〜3の整数が好ましく、1又は2がより好ましい。
上記mとしては、0〜3の整数が好ましく、0〜2の整数がより好ましく、0又は1がさらに好ましい。
【0082】
上記R
1で表される1価の有機基としては、例えば、上記式(4)におけるR
Dとして例示した1価の有機基と同様の基等が挙げられる。
【0083】
R
1で表される1価の有機基としては、炭化水素基、オキシ炭化水素基、ヒドロキシ炭化水素基、ヒドロキシ置換オキシ炭化水素基が好ましく、鎖状炭化水素基、芳香族炭化水素基、オキシ鎖状炭化水素基、ヒドロキシ鎖状炭化水素基、ヒドロキシ置換オキシ鎖状炭化水素基がより好ましく、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルコキシ基がさらに好ましく、メチル基、エチル基、フェニル基、ナフチル基、メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシメトキシ基、ヒドロキシエトキシ基が特に好ましく、メチル基、メトキシ基、フェニル基がさらに特に好ましい。
【0084】
上記複数のR
1が互いに結合して形成する環員数3〜20の環構造としては、例えば、脂環式構造、芳香環構造、複素環式構造等が挙げられる。
【0085】
上記式(1−c)におけるZとしては、硫黄原子が好ましい。
【0086】
[B]酸発生剤としては、例えば、下記式(1−1)〜(1−10)で表される化合物等が挙げられる。
【化11】
【0087】
これらの中で、上記式(1−1)〜(1−5)で表される化合物が好ましい。
【0088】
[B]酸発生体の含有量としては、[B]酸発生体が[B]酸発生剤の場合、[A]成分100質量部に対して、0.1質量部以上30質量部以下が好ましく、0.5質量部以上20質量部以下がより好ましく、1質量部以上10質量部以下がさらに好ましい。[B]酸発生剤の含有量を上記範囲とすることで、当該感放射線性樹脂組成物のEUV等に対する感度をさらに向上させることができる。
【0089】
また、当該感放射線性樹脂組成物が後述する[C]酸発生体を含有する場合、[B]酸発生剤の含有量としては、[C]酸発生体100モル%に対して、0.5モル%以上150モル%以下が好ましく、2.5モル%以上100モル%以下がより好ましく、5モル%以上50モル%以下がさらに好ましい。[B]酸発生体は、1種又は2種以上を用いることができる。
【0090】
<[C]酸発生体>
[C]酸発生体は、[A]成分の電子欠損体と共に生成する電子の作用により酸を発生する酸発生体である。すなわち、[C]酸発生体は、放射線の作用により[A]成分から電子欠損体と共に生成する電子の作用によって、酸を発生することができる物質である。当該感放射線性樹脂組成物は、[A]成分及び[B]酸発生体に加えて[C]酸発生体を含有することで、感度、LWR性能及び解像性をさらに向上させることができる。当該感放射線性樹脂組成物における[C]酸発生体の含有形態としては、後述するような低分子化合物の形態(以下、適宜「[C]酸発生剤」と称する)でも、[A]成分の分子鎖(A)等に組み込まれた形態でも、これらの両方の形態でもよい。
【0091】
[C]酸発生体としては、例えば、下記式(2)で表される化合物(以下、「化合物(2)」ともいう)等が挙げられる。
【0093】
上記式(2)中、Q
+は、1価の感放射線性オニウムカチオンである。Y
−は、1価の有機オキソ酸アニオンである。
【0094】
上記Q
+で表される1価の感放射線性オニウムカチオンとしては、例えば、スルホニウムカチオン、テトラヒドロチオフェニウムカチオン、ヨードニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、ジアゾニウムカチオン、ピリジニウムカチオン等が挙げられる。これらのうち、スルホニウムカチオン、テトラヒドロチオフェニウムカチオン、ヨードニウムカチオンが好ましい。
【0095】
上記スルホニウムカチオンとしては、下記式(Q−1)で表されるカチオン等が、上記テトラヒドロチオフェニウムカチオンとしては、下記式(Q−2)で表されるカチオン等が、上記ヨードニウムカチオンとしては、下記式(Q−3)で表されるカチオン等がそれぞれ挙げられる。
【0097】
上記式(Q−1)中、R
a1、R
a2及びR
a3は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換の炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、置換若しくは非置換の炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、−OSO
2−R
P若しくは−SO
2−R
Qであるか、又はこれらの基のうちの2つ以上が互いに合わせられ構成される環構造を表す。R
P及びR
Qは、それぞれ独立して、置換若しくは非置換の炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、置換若しくは非置換の炭素数5〜25の脂環式炭化水素基又は置換若しくは非置換の炭素数6〜12の芳香族炭化水素基である。k1、k2及びk3は、それぞれ独立して0〜5の整数である。R
a1〜R
a3並びにR
P及びR
Qがそれぞれ複数の場合、複数のR
a1〜R
a3並びにR
P及びR
Qはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
上記式(Q−2)中、R
b1は、置換若しくは非置換の炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は置換若しくは非置換の炭素数6〜8の芳香族炭化水素基である。k4は0〜7の整数である。R
b1が複数の場合、複数のR
b1は同一でも異なっていてもよく、また、複数のR
b1は、互いに合わせられ構成される環構造を表してもよい。R
b2は、置換若しくは非置換の炭素数1〜7の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は置換若しくは非置換の炭素数6若しくは7の芳香族炭化水素基である。k5は、0〜6の整数である。R
b2が複数の場合、複数のR
b2は同一でも異なっていてもよく、また、複数のR
b2は互いに合わせられ構成される環構造を表してもよい。tは、0〜3の整数である。
上記式(Q−3)中、R
c1及びR
c2は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換の炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、置換若しくは非置換の炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、−OSO
2−R
R若しくは−SO
2−R
Sであるか、又はこれらの基のうちの2つ以上が互いに合わせられ構成される環構造を表す。R
R及びR
Sは、それぞれ独立して、置換若しくは非置換の炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、置換若しくは非置換の炭素数5〜25の脂環式炭化水素基又は置換若しくは非置換の炭素数6〜12の芳香族炭化水素基である。k6及びk7は、それぞれ独立して0〜5の整数である。R
c1、R
c2、R
R及びR
Sがそれぞれ複数の場合、複数のR
c1、R
c2、R
R及びR
Sはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
【0098】
上記R
a1〜R
a3、R
b1、R
b2、R
c1及びR
c2で表される非置換の直鎖状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基等が挙げられる。
上記R
a1〜R
a3、R
b1、R
b2、R
c1及びR
c2で表される非置換の分岐状のアルキル基としては、例えば、i−プロピル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられる。
上記R
a1〜R
a3、R
c1及びR
c2で表される非置換の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等が挙げられる。
上記R
b1及びR
b2で表される非置換の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、トリル基、ベンジル基等が挙げられる。
【0099】
上記アルキル基及び芳香族炭化水素基が有する水素原子を置換していてもよい置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルオキシ基、アシル基、アシロキシ基等が挙げられる。
これらの中で、ハロゲン原子が好ましく、フッ素原子がより好ましい。
【0100】
上記R
a1〜R
a3、R
b1、R
b2、R
c1及びR
c2としては、非置換の直鎖状又は分岐状のアルキル基、フッ素化アルキル基、非置換の1価の芳香族炭化水素基、−OSO
2−R”、−SO
2−R”が好ましく、フッ素化アルキル基、非置換の1価の芳香族炭化水素基がより好ましく、フッ素化アルキル基がさらに好ましい。R”は、非置換の1価の脂環式炭化水素基又は非置換の1価の芳香族炭化水素基である。
【0101】
上記式(Q−1)におけるk1、k2及びk3としては、0〜2の整数が好ましく、0又は1がより好ましく、0がさらに好ましい。
上記式(Q−2)におけるk4としては、0〜2の整数が好ましく、0又は1がより好ましく、1がさらに好ましい。k5としては、0〜2の整数が好ましく、0又は1がより好ましく、0がさらに好ましい。
上記式(Q−3)におけるk6及びk7としては、0〜2の整数が好ましく、0又は1がより好ましく、0がさらに好ましい。
【0102】
上記Q
+で表される1価の感放射線性オニウムカチオンとしては、これらの中で、スルホニウムカチオンが好ましく、上記式(Q−1)で表されるカチオンがより好ましく、トリフェニルスルホニウムカチオンがさらに好ましい。
【0103】
上記Y
−で表される1価の有機オキソ酸アニオンとしては、例えば、スルホン酸アニオン、カルボン酸アニオン、有機リン酸アニオン、有機ホスホン酸アニオン等が挙げられる。これらのうち、スルホン酸アニオンが好ましい。
【0104】
上記スルホン酸アニオンとしては、下記式(Y−1)で表されるアニオンが好ましい。
【0106】
上記式(Y−1)中、R
2は、環員数6以上の脂環構造を含む1価の基又は環員数6以上の脂肪族複素環構造を含む1価の基である。R
3は、炭素数1〜10のフッ素化アルカンジイル基である。
【0107】
R
2における「環員数」とは、脂環構造及び脂肪族複素環構造の環を構成する原子数をいい、多環の脂環構造及び多環の脂肪族複素環構造の場合は、この多環を構成する原子数をいう。
【0108】
上記R
2で表される環員数6以上の脂環構造を含む1価の基としては、例えば、
シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、シクロドデシル基等の単環のシクロアルキル基;
シクロオクテニル基、シクロデセニル基等の単環のシクロアルケニル基;
ノルボルニル基、アダマンチル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基等の多環のシクロアルキル基;
ノルボルネニル基、トリシクロデセニル基等の多環のシクロアルケニル基等が挙げられる。
【0109】
上記R
2で表される環員数6以上の脂肪族複素環構造を含む1価の基としては、例えば、
ノルボルナンラクトン−イル基等のラクトン構造を含む基;
ノルボルナンスルトン−イル基等のスルトン構造を含む基;
オキサシクロヘプチル基、オキサノルボルニル基等の酸素原子含有複素環基;
アザシクロヘキシル基、アザシクロヘプチル基、ジアザビシクロオクタン−イル基等の窒素原子含有複素環基;
チアシクロヘプチル基、チアノルボルニル基等のイオウ原子含有複素環基等が挙げられる。
【0110】
R
2で表される基の環員数しては、上述の酸の拡散長がさらに適度になる観点から、8以上が好ましく、9〜15がより好ましく、10〜13がさらに好ましい。
【0111】
R
2としては、これらの中で、環員数9以上の脂環構造を含む1価の基、環員数9以上の脂肪族複素環構造を含む1価の基が好ましく、アダマンチル基、ヒドロキシアダマンチル基、ノルボルナンラクトン−イル基、5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.3.1.1
3,8]ウンデカン−イル基がより好ましく、アダマンチル基がさらに好ましい。
【0112】
上記R
3で表される炭素数1〜10のフッ素化アルカンジイル基としては、例えば、メタンジイル基、エタンジイル基、プロパンジイル基等の炭素数1〜10のアルカンジイル基が有する水素原子の1個以上をフッ素原子で置換した基等が挙げられる。
これらの中で、SO
3−基に隣接する炭素原子にフッ素原子が結合しているフッ素化アルカンジイル基が好ましく、SO
3−基に隣接する炭素原子に2個のフッ素原子が結合しているフッ素化アルカンジイル基がより好ましく、1,1−ジフルオロメタンジイル基、1,1−ジフルオロエタンジイル基、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−1,2−プロパンジイル基、1,1,2,2−テトラフルオロエタンジイル基、1,1,2,2−テトラフルオロブタンジイル基、1,1,2,2−テトラフルオロヘキサンジイル基がさらに好ましい。
【0113】
上記化合物(2)としては、例えば、下記式(2−1)〜(2−13)で表される化合物(以下、「化合物(2−1)〜(2−13)」ともいう)等が挙げられる。
【0115】
上記式(2−1)〜(2−13)中、Q
+は、上記式(2)と同義である。
【0116】
これらの中で、化合物(2−2)が好ましい。
【0117】
[C]酸発生体の含有量としては、[C]酸発生体が[C]酸発生剤の場合、[A]成分100質量部に対して、1質量部以上60質量部以下が好ましく、3質量部以上50質量部以下がより好ましく、5質量部以上40質量部以下がさらに好ましく、10質量部以上30質量部以下が特に好ましい。[C]酸発生剤の含有量を上記範囲とすることで、当該感放射線性樹脂組成物の感度、LWR性能及び解像性をさらに向上させることができる。[C]酸発生体は、1種又は2種以上を用いることができる。
【0118】
<[D]酸拡散制御体>
[D]酸拡散制御体は、露光により[B]酸発生体、[C]酸発生体から生じる酸のレジスト膜中における拡散現象を制御し、未露光部における好ましくない化学反応を抑制する効果を奏する成分である。感放射線性樹脂組成物が[D]酸拡散制御体を含有することで、得られる感放射線性樹脂組成物の貯蔵安定性がさらに向上し、またレジストとしての解像度がさらに向上する。また、露光から現像処理までの引き置き時間の変動によるレジストパターンの線幅変化を抑えることができ、プロセス安定性に極めて優れた組成物が得られる。当該感放射線性樹脂組成物における[D]酸拡散制御体の含有形態としては、後述する化合物の形態(以下、適宜「[D]酸拡散制御剤」と称する)でも、重合体の一部として組み込まれた形態でも、これらの両方の形態でもよい。
【0119】
[D]酸拡散制御剤としては、例えばアミン化合物、アミド基含有化合物、ウレア化合物、含窒素複素環化合物等が挙げられる。
【0120】
アミン化合物としては、例えばn−ペンチルアミン等のモノ(シクロ)アルキルアミン類;ジn−ペンチルアミン等のジ(シクロ)アルキルアミン類;トリn−ペンチルアミン等のトリ(シクロ)アルキルアミン類;置換アルキルアニリン又はその誘導体;エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(3−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,4−ビス(1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル)ベンゼン、1,3−ビス(1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル)ベンゼン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、ビス(2−ジエチルアミノエチル)エーテル、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリジノン、2−キノキサリノール、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、N,N,N’,N’’N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。これらの中で、トリ(シクロ)アルキルアミン類が好ましく、トリn−ペンチルアミンがより好ましい。
【0121】
アミド基含有化合物としては、例えばN−t−ブトキシカルボニル基含有アミノ化合物、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド、ピロリドン、N−メチルピロリドン、N−アセチル−1−アダマンチルアミン、イソシアヌル酸トリス(2−ヒドロキシエチル)等が挙げられる。
【0122】
ウレア化合物としては、例えば尿素、メチルウレア、1,1−ジメチルウレア、1,3−ジメチルウレア、1,1,3,3−テトラメチルウレア、1,3−ジフェニルウレア、トリ−n−ブチルチオウレア等が挙げられる。
【0123】
含窒素複素環化合物としては、例えばイミダゾール類;ピリジン類;ピペラジン類;ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、キノザリン、プリン、ピロリジン、ピペリジン、N−(t−アミロキシカルボニル)−4−ヒドロキシピペリジン、ピペリジンエタノール、3−ピペリジノ−1,2−プロパンジオール、モルホリン、N−(t−ブトキシカルボニル)−2−ヒドロキシメチルピロリジン、4−メチルモルホリン、1−(4−モルホリニル)エタノール、4−アセチルモルホリン、3−(N−モルホリノ)−1,2−プロパンジオール、1,4−ジメチルピペラジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、N−(t−ブトキシカルボニル)−2−フェニルベンゾイミダゾール等が挙げられる。これらのうち、N−(t−アミロキシカルボニル)−4−ヒドロキシピペリジン、N−(t−ブトキシカルボニル)−2−ヒドロキシメチルピロリジン、N−(t−ブトキシカルボニル)−2−フェニルベンゾイミダゾール、2,4,5−トリフェニルイミダゾールが好ましい。
【0124】
また、[D]酸拡散制御剤として、露光により感光し弱酸を発生する光崩壊性塩基を用いることもできる。この光崩壊性塩基は、未露光部ではアニオンによる高い酸捕捉機能が発揮されクエンチャーとして機能し、露光部から拡散する酸を捕捉する一方、露光部では発生したプロトンがアニオンに結合して酸捕捉機能が消滅する。すなわち、未露光部のみにおいてクエンチャーとして機能するため、脱保護反応のコントラストが向上し、結果として当該感放射線性樹脂組成物の解像度及びLWR性能をより向上させることができる。上記光崩壊性塩基としては、例えば、感放射線性を有するオニウム塩化合物等が挙げられる。上記感放射線性を有するオニウム塩化合物としては、例えば下記式(5−1)で表されるスルホニウム塩、下記式(5−2)で表されるヨードニウム塩等が挙げられる。
【0126】
上記式(5−1)及び式(5−2)中、R
4〜R
8はそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子又は−SO
2−R
Eである。R
Eは、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基又はアリール基である。E
−及びG
−は、OH
−、R
α−COO
−、R
F−SO
2−N
−―R
α、R
α−SO
3−又は下記式(5−3)で表されるアニオンである。R
αは炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数7〜30のアラルキル基である。上記アルキル基、シクロアルキル基、アリール基及びアラルキル基の水素原子の一部又は全部は置換されていてもよい。R
Fは、炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、置換基を有してもいてもよい炭素数3〜20のシクロアルキル基である。上記アルキル基及びシクロアルキル基の水素原子の一部又は全部はフッ素原子で置換されていてもよい。但し、E
−及びG
−がR
α−SO
3−の場合、SO
3−が結合する炭素原子にフッ素原子が結合する場合はない。
【0128】
上記式(5−3)中、R
βは、水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシ基である。uは、0〜2の整数である。
【0129】
上記光崩壊性塩基としては、例えば下記式で表される化合物等が挙げられる。
【0131】
これらの中で、トリフェニルスルホニウムサリチレート、トリフェニルスルホニウム10−カンファースルホネートが好ましい。
【0132】
[D]酸拡散制御体の含有量としては、[D]酸拡散制御体が[D]酸拡散制御剤の場合、[A]成分100質量部に対して、0質量部〜10質量部が好ましく、0.5質量部〜7質量部がより好ましい。[D]酸拡散制御剤の含有量を上記範囲とすることで、当該感放射線性樹脂組成物のLWR性能及び解像性をさらに向上させることができる。[D]酸拡散制御体は、1種単独で又は2種以上を用いてもよい。
【0133】
<[E]溶媒>
当該感放射線性樹脂組成物は、通常、[E]溶媒を含有する。[E]溶媒としては、[A]成分、[B]酸発生体及び任意成分を溶解又は分散できるものであれば特に限定されない。[E]溶媒としては、例えば、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系有機溶媒、アミド系溶媒、エステル系溶媒、炭化水素系溶媒等が挙げられる。
【0134】
アルコール系溶媒としては、例えば、
メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、iso−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−ペンタノール、iso−ペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、tert−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノール、3−ヘプタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、sec−オクタノール、n−ノニルアルコール、2,6−ジメチル−4−ヘプタノール、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、フルフリルアルコール、フェノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ジアセトンアルコール等のモノアルコール系溶媒;
エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,4−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2,4−ヘプタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール等の多価アルコール系溶媒;
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル等の多価アルコール部分エーテル系溶媒などが挙げられる。
【0135】
エーテル系溶媒としては、例えば、
ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ブチルメチルエーテル、ブチルエチルエーテル、ブチルプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、tert−ブチル−メチルエーテル、tert−ブチルエチルエーテル、tert−ブチルプロピルエーテル、ジ−tert−ブチルエーテル、ジペンチルエーテル、ジイソアミルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、シクロヘキシルメチルエーテル、シクロペンチルエチルエーテル、シクロヘキシルエチルエーテル、シクロペンチルプロピルエーテル、シクロペンチル−2−プロピルエーテル、シクロヘキシルプロピルエーテル、シクロヘキシル−2−プロピルエーテル、シクロペンチルブチルエーテル、シクロペンチル−tert−ブチルエーテル、シクロヘキシルブチルエーテル、シクロヘキシル−tert−ブチルエーテル、アニソール、ジエチルエーテル、ジフェニルエーテル等の鎖状エーテル系溶媒;
テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル系溶媒などが挙げられる。
【0136】
ケトン系溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル−iso−ブチルケトン、メチル−n−アミルケトン、エチル−n−ブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジ−iso−ブチルケトン、トリメチルノナノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン、アセトフェノン等の鎖状ケトン系溶媒;
シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、メチルシクロヘキサノン等の環状ケトン系溶媒などが挙げられる。
【0137】
アミド系溶媒としては、例えば、
N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド等の鎖状アミド系溶媒;
N−メチルピロリドン、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン等の環状アミド系溶媒などが挙げられる。
【0138】
エステル系溶媒としては、例えば、
酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸iso−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸iso−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸n−ノニル、ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリグリコール等の酢酸エステル系溶媒;
酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノプロピルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノブチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコール部分エーテルアセテート系溶媒;
プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸iso−アミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等の酢酸以外のカルボン酸エステル系溶媒;
γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等のラクトン系溶媒;
ジエチルカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート系溶媒などが挙げられる。
【0139】
炭化水素系溶媒としては、例えば
n−ペンタン、iso−ペンタン、n−ヘキサン、iso−ヘキサン、n−ヘプタン、iso−ヘプタン、2,2,4−トリメチルペンタン、n−オクタン、iso−オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;
ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、メチルエチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、iso−プロピルベンゼン、ジエチルベンゼン、iso−ブチルベンゼン、トリエチルベンゼン、ジ−iso−プロピルベンセン、n−アミルナフタレン等の芳香族炭化水素系溶媒等が挙げられる。
【0140】
これらの中で、エステル系溶媒、ケトン系溶媒が好ましく、多価アルコール部分エーテルアセテート系溶媒、環状ケトン系溶媒がより好ましく、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノンがさらに好ましい。[E]溶媒は、1種単独で又は2種以上を用いてもよい。
【0141】
<その他の任意成分>
当該感放射線性樹脂組成物は、その他の任意成分として、例えば、フッ素原子含有重合体、界面活性剤、脂環式骨格含有化合物、増感剤等を含有していてもよい。当該感放射線性樹脂組成物は、その他の任意成分をそれぞれ1種又は2種以上含有していてもよい。
【0142】
(フッ素原子含有重合体)
当該感放射線性樹脂組成物は、フッ素原子含有重合体をさらに含有していてもよい(但し、[A]成分に該当するものを除く)。当該感放射線性樹脂組成物がフッ素原子含有重合体を含有すると、レジスト膜を形成した際に、レジスト膜中のフッ素原子含有重合体の撥油性的特徴により、その分布がレジスト膜表面近傍に偏在化する傾向があり、液浸露光等の際における酸発生体、酸拡散制御体等が液浸媒体に溶出することを抑制することができる。また、このフッ素原子含有重合体の撥水性的特徴により、レジスト膜と液浸媒体との前進接触角を所望の範囲に制御でき、バブル欠陥の発生を抑制することができる。さらに、レジスト膜と液浸媒体との後退接触角が高くなり、水滴が残らずに高速でのスキャン露光が可能となる。このように、当該感放射線性樹脂組成物は、フッ素原子含有重合体をさらに含有することで、液浸露光法に好適なレジスト膜を形成することができる。
【0143】
上記フッ素原子含有重合体としては、フッ素原子を有する重合体である限り特に限定されないが、当該感放射線性樹脂組成物の[A]成分よりも、フッ素原子含有率(質量%)が高いことが好ましい。上記フッ素原子含有重合体としては、例えば、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピル(メタ)アクリレート、1,1−ジフルオロ−1−エトキシカルボニルブタン−2−イル(メタ)アクリレート等のフッ素原子を含む(メタ)アクリレート等に由来する構造単位を有するもの等が挙げられる。
【0144】
上記フッ素原子含有重合体の含有量としては、[A]成分100質量部に対して、0.1質量部〜20質量部が好ましく、0.5質量部〜15質量部がより好ましく、1質量部〜10質量部がさらに好ましい。
【0145】
(界面活性剤)
界面活性剤は、塗布性、ストリエーション、現像性等を改良する効果を奏する。界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンn−オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンn−ノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のノニオン系界面活性剤;市販品としては、KP341(信越化学工業社)、ポリフローNo.75、同No.95(以上、共栄社化学社)、エフトップEF301、同EF303、同EF352(以上、トーケムプロダクツ社)、メガファックF171、同F173(以上、DIC社)、フロラードFC430、同FC431(以上、住友スリーエム社)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−102、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC−106(以上、旭硝子社)等が挙げられる。
上記界面活性剤の含有量としては、[A]成分100質量部に対して、通常2質量部以下である。
【0146】
(脂環式骨格含有化合物)
脂環式骨格含有化合物は、ドライエッチング耐性、パターン形状、基板との接着性等を改善する効果を奏する。
【0147】
脂環式骨格含有化合物としては、例えば
1−アダマンタンカルボン酸、2−アダマンタノン、1−アダマンタンカルボン酸t−ブチル等のアダマンタン誘導体類;
デオキシコール酸t−ブチル、デオキシコール酸t−ブトキシカルボニルメチル、デオキシコール酸2−エトキシエチル等のデオキシコール酸エステル類;
リトコール酸t−ブチル、リトコール酸t−ブトキシカルボニルメチル、リトコール酸2−エトキシエチル等のリトコール酸エステル類;
3−〔2−ヒドロキシ−2,2−ビス(トリフルオロメチル)エチル〕テトラシクロ[4.4.0.1
2,5.1
7,10]ドデカン、2−ヒドロキシ−9−メトキシカルボニル−5−オキソ−4−オキサ−トリシクロ[4.2.1.0
3,7]ノナン等が挙げられる。
上記脂環式骨格含有化合物の含有量としては、[A]成分100質量部に対して、通常5質量部以下である。
【0148】
(増感剤)
増感剤は、[B]酸発生体、[C]酸発生体等からの酸の生成量を増加する作用を示すものであり、当該感放射線性樹脂組成物の「みかけの感度」を向上させる効果を奏する。
【0149】
増感剤としては、例えばカルバゾール類、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ナフタレン類、フェノール類、ビアセチル、エオシン、ローズベンガル、ピレン類、アントラセン類、フェノチアジン類等が挙げられる。これらの増感剤は、単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。
上記増感剤の含有量としては、[A]成分100質量部に対して、通常2質量部以下である。
【0150】
<感放射線性樹脂組成物の調製方法>
当該感放射線性樹脂組成物は、例えば、[A]成分、[B]酸発生体、必要に応じて[C]酸発生体、[D]酸拡散制御体、[E]溶媒等を所定の割合で混合することにより調製できる。当該感放射線性樹脂組成物は、混合後に、例えば、孔径0.2μm程度のフィルター等でろ過することが好ましい。当該感放射線性樹脂組成物の固形分濃度としては、0.1質量%〜50質量%が好ましく、0.5質量%〜30質量%がより好ましく、1質量%〜20質量%がさらに好ましい。
【0151】
<レジストパターン形成方法>
当該レジストパターン形成方法は、
レジスト膜を形成する工程(以下、「レジスト膜形成工程」ともいう)、
上記レジスト膜を露光する工程(以下、「露光工程」ともいう)、及び
上記露光されたレジスト膜を現像する工程(以下、「現像工程」ともいう)
を備え、
上記レジスト膜を当該感放射線性樹脂組成物により形成する。
【0152】
上記露光工程で用いる放射線としては、EUV、X線、EBが好ましい。
【0153】
当該レジストパターン形成方法によれば、上述の当該感放射線性樹脂組成物を用いるので、高い感度を発揮しつつ、LWRが小さく解像度の高いレジストパターンを形成することができる。
以下、各工程について説明する。
【0154】
[レジスト膜形成工程]
本工程では、当該感放射線性樹脂組成物でレジスト膜を形成する。このレジスト膜を形成する基板としては、例えばシリコンウェハ、二酸化シリコン、アルミニウムで被覆されたウェハ等の従来公知のもの等が挙げられる。また、例えば特公平6−12452号公報や特開昭59−93448号公報等に開示されている有機系又は無機系の反射防止膜を基板上に形成してもよい。塗布方法としては、例えば、回転塗布(スピンコーティング)、流延塗布、ロール塗布等が挙げられる。塗布した後に、必要に応じて、塗膜中の溶媒を揮発させるため、プレベーク(PB)を行ってもよい。PB温度としては、通常60℃〜140℃であり、80℃〜120℃が好ましい。PB時間としては、通常5秒〜600秒であり、10秒〜300秒が好ましい。形成されるレジスト膜の膜厚としては、10nm〜1,000nmが好ましく、10nm〜500nmがより好ましい。
【0155】
液浸露光の場合などにおいて、上記形成したレジスト膜上に保護膜を設けてもよい。液浸用の保護膜としては、現像工程の前に溶媒により剥離する溶媒剥離型保護膜(例えば特開2006−227632号公報参照)、現像工程の現像と同時に剥離する現像液剥離型保護膜(例えばWO2005−069076号公報、WO2006−035790号公報参照)のいずれを用いてもよい。但し、スループットの観点からは、現像液剥離型液浸用保護膜を用いることが好ましい。
【0156】
[露光工程]
本工程では、上記レジスト膜形成工程で形成されたレジスト膜に、例えば、フォトマスク等を介して(場合によっては、水等の液浸媒体を介して)、放射線を照射し露光する。露光に用いる放射線としては、目的とするパターンの線幅に応じて、例えば、可視光線、紫外線、遠紫外線、EUV、X線、γ線等の電磁波;EB、α線等の荷電粒子線などが挙げられる。これらの中でも、遠紫外線、EUV(13.5nm)、X線、EBが好ましく、ArFエキシマレーザー光(波長193nm)、KrFエキシマレーザー光(波長248nm)、EUV、X線、電子線がより好ましく、EUV、X線、EBがさらに好ましく、EUVが特に好ましい。放射線としてEUV、X線及びEBを用いる場合、本発明の感度向上の効果を得る利益がより大きく好ましい。
【0157】
露光を液浸露光により行う場合、用いる液浸液としては、例えば、水、フッ素系不活性液体等が挙げられる。液浸液は、露光波長に対して透明であり、かつ膜上に投影される光学像の歪みを最小限に留めるよう屈折率の温度係数ができる限り小さい液体が好ましいが、特に露光光源がArFエキシマレーザー光(波長193nm)である場合、上述の観点に加えて、入手の容易さ、取り扱いのし易さといった点から水を用いるのが好ましい。水を用いる場合、水の表面張力を減少させるとともに、界面活性力を増大させる添加剤をわずかな割合で添加しても良い。この添加剤は、ウェハ上のレジスト膜を溶解させず、かつレンズの下面の光学コートに対する影響が無視できるものが好ましい。使用する水としては蒸留水が好ましい。
【0158】
上記露光の後、ポストエクスポージャーベーク(PEB)を行い、レジスト膜の露光された部分において、露光により[B]酸発生体、[C]酸発生体等から発生した酸による[A]成分が有する酸解離性基の解離を促進させることが好ましい。このPEBによって、露光部と未露光部とで現像液に対する溶解性の差がより大きくなる。PEB温度としては、通常50℃〜180℃であり、80℃〜130℃が好ましい。PEB時間としては、通常5秒〜600秒であり、10秒〜300秒が好ましい。
【0159】
[現像工程]
本工程では、上記露光工程で露光されたレジスト膜を現像する。これにより、所定のレジストパターンを形成することができる。現像後は、水又はアルコール等のリンス液で洗浄し、乾燥することが一般的である。
【0160】
上記現像に用いる現像液としては、
アルカリ現像の場合、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、けい酸ナトリウム、メタけい酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、エチルジメチルアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、ピロール、ピペリジン、コリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等のアルカリ性化合物の少なくとも1種を溶解したアルカリ水溶液等が挙げられる。これらの中でも、TMAH水溶液が好ましく、2.38質量%TMAH水溶液がより好ましい。
また、有機溶媒現像の場合、炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒、アルコール系溶媒等の有機溶媒、又は有機溶媒を含有する溶媒が挙げられる。上記有機溶媒としては、例えば、上述の感放射線性樹脂組成物の[E]溶媒として列挙した溶媒の1種又は2種以上等が挙げられる。これらの中でも、エステル系溶媒、ケトン系溶媒が好ましい。エステル系溶媒としては、酢酸エステル系溶媒が好ましく、酢酸n−ブチルがより好ましい。ケトン系溶媒としては、鎖状ケトンが好ましく、2−ヘプタノンがより好ましい。現像液中の有機溶媒の含有量としては、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上がさらに好ましく、99質量%以上が特に好ましい。現像液中の有機溶媒以外の成分としては、例えば、水、シリコンオイル等が挙げられる。
【0161】
現像方法としては、例えば現像液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、基板表面に現像液を表面張力によって盛り上げて一定時間静止することで現像する方法(パドル法)、基板表面に現像液を噴霧する方法(スプレー法)、一定速度で回転している基板上に一定速度で現像液塗出ノズルをスキャンしながら現像液を塗出しつづける方法(ダイナミックディスペンス法)等が挙げられる。
【実施例】
【0162】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。各物性値は下記方法により測定した。
【0163】
[Mw、Mn及びMw/Mn]
GPCカラム(東ソー社の「G2000HXL」2本、「G3000HXL」1本、「G4000HXL」1本)を用い、流量:1.0mL/分、溶出溶媒:テトラヒドロフラン、試料濃度:1.0質量%、試料注入量:100μL、カラム温度:40℃、検出器:示差屈折計の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするGPCにより測定した。また、分散度(Mw/Mn)は、Mw及びMnの測定結果より算出した。
【0164】
[
13C−NMR分析]
核磁気共鳴装置(日本電子社の「JNM−ECX400」)を用い、測定溶媒として重クロロホルムを使用して、各重合体における各構造単位の含有割合(モル%)を求める分析を行った。
【0165】
<[A]成分の合成>
[A]成分(分子鎖(A)からなる重合体)の合成に用いた単量体を以下に示す。
【0166】
【化19】
【0167】
[合成例1](重合体(A−1)の合成)
上記化合物(M−1)55.0g(65モル%)及び化合物(M−2)45.0g(35モル%)、ラジカル重合開始剤としてのAIBN4g、並びにt−ドデシルメルカプタン1gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル100gに溶解した後、窒素雰囲気下、反応温度を70℃に保持して、16時間重合させた。重合反応終了後、重合反応液を1,000gのn−ヘキサン中に滴下して、生成した重合体を凝固精製した。次いで上記得られた重合体に、再度プロピレングリコールモノメチルエーテル150gを加えた後、さらに、メタノール150g、トリエチルアミン34g及び水6gを加えて、沸点にて還流させながら、8時間加水分解反応を行った。反応終了後、溶媒及びトリエチルアミンを減圧留去し、得られた重合体をアセトン150gに溶解した後、2,000gの水中に滴下して凝固させ、生成した白色粉末をろ別し、50℃で17時間乾燥させて白色粉末状の重合体(A−1)を得た(収量65.7g、収率77%)。重合体(A−1)のMwは10,000、Mw/Mnは1.90であった。また、
13C−NMR分析の結果、p−ヒドロキシスチレン及び(M−2)に由来する各構造単位の含有割合は、それぞれ65.4モル%及び34.6モル%であった。
【0168】
<感放射線性樹脂組成物の調製>
感放射線性樹脂組成物の調製に用いた[B]酸発生剤、[C]酸発生剤、[D]酸拡散制御剤及び[E]溶媒について以下に示す。
【0169】
[[B]酸発生剤]
B−1:トリフルオロメチルスルホン酸p−メトキシフェニル(下記式(B−1)で表される化合物)
B−2:トリフルオロメチルスルホン酸2−ナフチル(下記式(B−2)で表される化合物)
B−3:トリフルオロメチルスルホン酸ビフェニル(下記式(B−3)で表される化合物)
B−4:ジ(トリフルオロメチルスルホン酸)2,2’−ビナフチル(下記式(B−4)で表される化合物)
B−5:トリフルオロメチルスルホン酸5−メチル−2−チエニル(下記式(B−5)で表される化合物)
【0170】
【化20】
【0171】
[[C]酸発生剤]
C−1:トリフェニルスルホニウム2−(アダマンタン−1−イルカルボニルオキシ)−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネート(下記式(C−1)で表される化合物)
【0172】
【化21】
【0173】
[[D]酸拡散制御剤]
D−1:トリフェニルスルホニウムサリチレート
【0174】
[[E]溶媒]
E−1:酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル
E−2:シクロヘキサノン
【0175】
[実施例1]
[A]成分としての(A−1)100質量部、[B]酸発生剤としての(B−1)30モル%([C]酸発生剤100モル%に対するモル%)、[C]酸発生剤としての(C−1)20質量部、[D]酸拡散制御剤としての(D−1)3.6質量部並びに[E]溶媒としての(E−1)4,280質量部及び(E−2)1,830質量部を混合し、得られた混合物を孔径0.2μmのメンブランフィルターで濾過することにより感放射線性樹脂組成物(J−1)を調製した。
【0176】
[実施例2〜5]
実施例1において、[B]酸発生剤としての(B−1)の代わりに(B−2)〜(B−5)を用いた以外は実施例1と同様にして感放射線性樹脂組成物(J−2)〜(J−5)を調製した。
【0177】
[比較例1]
実施例1において、[B]酸発生剤を用いなかった以外は実施例1と同様にして感放射線性樹脂組成物(CJ−1)を調製した。
【0178】
<レジストパターンの形成>
8インチのシリコンウェハーの表面に、スピンコーター(東京エレクトロン社の「CLEAN TRACK ACT8」)を使用して、感放射線性樹脂組成物を塗布し、130℃で60秒間PBを行った後、23℃で30秒間冷却し、膜厚50nmのレジスト膜を形成した。次に、このレジスト膜に、簡易型の電子線描画装置(日立製作所社の「HL800D」、出力:50KeV、電流密度:5.0A/cm
2)を用いて電子線を照射した。照射後、100℃で60秒間PEBを行った。その後、アルカリ現像液としての2.38質量%のTMAH水溶液を用いて23℃で30秒間現像し、水で洗浄し、乾燥してポジ型のレジストパターンを形成した。
【0179】
<評価>
上記形成したレジストパターンについて下記方法に従い測定することにより、感放射線性樹脂組成物の感度、LWR性能及び解像性を評価した。評価結果を下記表1に示す。表1中の比較例1の「※」は、評価の基準であることを示す。上記レジストパターンの測長には、走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社の「S−9380」)を用いた。
【0180】
[感度]
上記レジストパターン形成の際、線幅150nmの1対1ラインアンドスペースに形成される露光量を最適露光量とし、この最適露光量を感度とした。感度は、その値が小さいほど高感度であり良いことを示す。感度は、比較例1と比べて、10%以上の向上(最適露光量の値が比較例1と比べて90%以下であることをいう)があった場合は「良好」と、10%未満の向上であった場合は「同等」と評価した。
【0181】
[LWR性能]
レジストパターンの線幅を、上記走査型電子顕微鏡を用い、任意のポイントで計50点測定し、その測定値の分布から3シグマ値を求め、これをLWR性能とした。LWR性能は、その値が小さいほど、レジストパターンの線幅のガタつきが小さく良いことを示す。LWR性能は、比較例1の場合と比べて、10%以上の向上(LWRの値が比較例1と比べて90%以下であることをいう)があった場合は「良好」と、10%未満の向上であった場合は「同等」と評価した。
【0182】
[解像性]
上記最適露光量において解像される最小のレジストパターンの寸法を測定し、この寸法を解像性とした。解像性は、その値が小さいほど微細なパターンを形成することができ良いことを示す。解像性は、比較例1の場合と比べて、10%以上の解像度向上(最小レジストパターン寸法が比較例1と比べて90%以下であることをいう)があった場合は「良好」と、10%未満の向上であった場合は「同等」と評価した。
【0183】
【表1】
【0184】
表1の結果から明らかなように、実施例の感放射線性樹脂組成物は、感度に優れ、LWR性能及び解像性にも優れることがわかる。なお、EUV露光では、電子線露光と同様の傾向が得られることが知られており、実施例の感放射線性樹脂組成物によれば、EUV露光の場合でも、感度、LWR性能及び解像性に優れると推測される。