特許第6206088号(P6206088)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6206088
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】教示システム
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/04 20060101AFI20170925BHJP
【FI】
   B65G1/04 551Z
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-223472(P2013-223472)
(22)【出願日】2013年10月28日
(65)【公開番号】特開2015-86019(P2015-86019A)
(43)【公開日】2015年5月7日
【審査請求日】2016年8月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100180851
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼口 誠
(72)【発明者】
【氏名】加藤 進
【審査官】 八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−192549(JP,A)
【文献】 特開2003−192269(JP,A)
【文献】 特開2005−354137(JP,A)
【文献】 特開2001−071288(JP,A)
【文献】 特開2008−062770(JP,A)
【文献】 特開2010−080711(JP,A)
【文献】 実開平06−072938(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00−1/133;1/14−1/20
B25J 1/00−21/02
H01L 21/677
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被搬送物の移載箇所における移載位置を天井走行車に教示する教示システムであって、
本体部と、前記本体部に設けられると共に前記被搬送物に設けられている位置決め凹部と対応する位置に設けられる突起部と、を有する位置決め治具と、
前記突起部との接触を検出する接触検出部と、前記突起部の水平面内位置を検出する位置検出部と、を有し、前記天井走行車の昇降機構に把持されて用いられる教示ユニットと、
前記天井走行車に前記移載箇所の高さ位置及び水平面内位置を教示する教示部と、
を備え、
前記移載箇所は、前記被搬送物を搬送する搬送装置の搬送経路上に設けられており、
前記教示部は、前記搬送装置によって前記被搬送物として前記移載箇所に搬送されてくる前記位置決め治具に対し前記位置検出部が検出する前記突起部の水平面内位置に基づいて前記移載箇所の前記水平面内位置を取得し、前記搬送装置によって前記被搬送物として前記移載箇所に搬送されてくる前記位置決め治具の上方から前記教示ユニットを下降させた際に前記接触検出部が検出する前記突起部との接触に基づいて前記移載箇所の前記高さ位置を取得する、教示システム。
【請求項2】
前記搬送装置は、前記被搬送物の底面において搬送方向と交差する幅方向における両端部を支持して搬送する一対のコンベヤ部を備えたコンベヤ装置である、請求項に記載の教示システム。
【請求項3】
前記位置決め治具が前記搬送装置によって搬送される際に、前記コンベヤ部において支持される前記位置決め治具における被支持部は、前記被搬送物における前記両端部と略同一の摩擦係数となるように形成されている、
請求項に記載の教示システム。
【請求項4】
前記位置決め治具が前記搬送装置によって搬送される際に、前記コンベヤ部において支持される前記位置決め治具における被支持部は、前記被搬送物における前記両端部の外縁形状と略同一に形成されている、
請求項又はに記載の教示システム。
【請求項5】
前記搬送装置は、前記被搬送物の所定部分を検知することにより、前記移載箇所に停止させるための光センサを備えており、
前記位置決め治具には、前記光センサによって検知される、着脱可能な被検知部が設けられている、
請求項2〜4の何れか一項に記載の教示システム。
【請求項6】
前記位置検出部は、撮像した画像から前記突起部の位置を取得する撮像装置であり、
前記位置決め治具の前記本体部において前記突起部を取り囲む周辺部が、前記突起部と比べて明度が低い色に着色されている、
請求項1〜の何れか一項に記載の教示システム。
【請求項7】
前記位置決め治具は、前記位置決め治具を持ち運ぶための把持部が前記本体部に設けられている、
請求項1〜の何れか一項に記載の教示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井走行車に対して載置位置を教示する教示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば天井など、床面より高い位置に設けられる走行レールに沿って走行すると共に、被搬送物を吊り下げた状態で把持して搬送する天井走行車が知られている。天井走行車は、昇降機構によって所定の移載箇所に被搬送物を載置したり、移載箇所から被搬送物を移動させたりする。このような天井走行車において、被搬送物を移載箇所に正確に移載するためには、天井走行車に対し、移載箇所の移載位置を教示する必要がある。
【0003】
天井走行車に移載箇所を教示する教示システムの例として、特許文献1(特開2006−192549号公報)が開示されている。この文献に開示されている教示システムは、天井走行車に備えられる昇降機構に把持された教示ユニットを、移載箇所へ向けて下降させることにより移載位置を天井走行車に教示するようにしたシステムであり、移載箇所に設けられている位置決め部を用いて移載箇所の高さ位置及び水平面内位置を求めている。この位置決め部(位置決めピン)は、被搬送物の底面の所定位置に設けられた凹部に嵌合させることにより、被搬送物を移載箇所の所定の移載位置に載置するために設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−192549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
天井走行車の搬送経路において、位置決め部が設けられていない箇所を新たな移載箇所として設けたい場合がある。しかしながら、上記従来の教示システムでは、位置決め部が設けられた移載箇所を前提として、その移載位置を教示する教示システムなので、上述したような位置決め部が設けられていない箇所の移載位置を教示することは困難である。
【0006】
そこで、本発明の目的は、位置決め部が設けられていない箇所であっても、移載箇所として移載位置を教示することができる教示システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面に係る教示システムは、被搬送物の移載箇所における移載位置を天井走行車に教示する教示システムであって、本体部と、本体部に設けられると共に被搬送物に設けられている位置決め凹部と対応する位置に設けられる突起部と、を有する位置決め治具と、突起部との接触を検出する接触検出部と、突起部の水平面内位置を検出する位置検出部と、を有し、天井走行車の昇降機構に把持されて用いられる教示ユニットと、天井走行車に移載箇所の高さ位置及び水平面内位置を教示する教示部と、を備える。教示部は、移載箇所に設置された位置決め治具に対し位置検出部が検出する突起部の水平面内位置に基づいて移載箇所の水平面内位置を取得し、移載箇所に設置された位置決め治具の上方から教示ユニットを下降させた際に接触検出部が検出する突起部との接触に基づいて移載箇所の高さ位置を取得する。
【0008】
この教示システムによれば、被搬送物に設けられている位置決め凹部と対応する位置に通常設けられる突起部が設けられていないような箇所であっても、天井走行車に移載箇所の移載位置を教示することができる。すなわち、このような箇所に位置決め治具を設置することで、位置決め治具に設けられている突起部を利用して、天井走行車に移載箇所の移載位置を教示することができる。
【0009】
また、一実施形態において、移載箇所は、被搬送物を搬送する搬送装置の搬送経路上に設けられており、教示部は、搬送装置によって被搬送物として移載位置に搬送されてくる位置決め治具の突起部の水平面内位置に基づいて移載箇所の水平面内位置を取得し、移載箇所に搬送されてくる位置決め治具の上方から教示ユニットを下降させた際に接触検出部が検出する突起部との接触に基づいて移載箇所の高さ位置を取得してもよい。
【0010】
この教示システムによれば、上述したような通常設けられる突起部を設けることが困難な搬送装置における搬送経路上であっても、搬送経路上に位置決め治具を設置することで、天井走行車に移載箇所の移載位置を教示することができる。
【0011】
また、一実施形態において、搬送装置は、被搬送物の底面において搬送方向と交差する幅方向における両端部を支持して搬送する一対のコンベヤ部を備えたコンベヤ装置であってもよい。
【0012】
また、一実施形態において、位置決め治具が搬送装置によって搬送される際に、コンベヤ部において支持される被支持部は、被搬送物における両端部と略同一の摩擦係数となるように形成されていてもよい。また、一実施形態において、位置決め治具が搬送装置によって搬送される際に、コンベヤ部において支持される被支持部は、被搬送物における両端部の外縁形状と略同一に形成されていてもよい。
【0013】
この教示システムによれば、コンベヤ装置によって搬送される被搬送物と位置決め治具との間で、搬送条件を同じにすることができる。これにより、コンベヤ装置によって搬送される被搬送物が移載箇所として停止される位置と、位置決め治具が移載箇所として停止される位置とをほぼ同じとすることができる。この結果、天井走行車に対して移載箇所の移載位置を精度よく教示することができる。
【0014】
また、一実施形態において、搬送装置は、被搬送物の所定部分を検知することにより、移載箇所に停止させるための光センサを備えており、位置決め治具には、光センサによって検知される、着脱可能な被検知部が設けられていてもよい。
【0015】
この教示システムによれば、上流側から搬送されてくる位置決め治具を所定の移載箇所に停止させることができる。
【0016】
また、一実施形態において、位置検出部は、撮像した画像から突起部の位置を取得する撮像装置であり、位置決め治具の本体部において突起部を取り囲む周辺部が、突起部と比べて明度が低い色に着色されていてもよい。
【0017】
この教示システムによれば、撮像した画像を二値化した場合に突起部の位置を容易に認識することができる。
【0018】
また、一実施形態において、位置決め治具には、位置決め治具を持ち運ぶための把持部が本体部に設けられていてもよい。
【0019】
この教示システムによれば、位置決め治具を容易に移載箇所に設置したり、容易に持ち運びしたりすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、位置決め部が設けられていない箇所であっても、移載箇所として移載位置を教示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】一実施形態に係る教示システムが用いられる搬送システムの構成図である。
図2】本実施形態で搬送されるFOUPを示す斜視図及び底面図である。
図3】減速センサ及び停止センサを示す側面図である。
図4図1の天井走行車と、教示システムとを示した側面図である。
図5図4の教示ユニットを拡大して示した側面図である。
図6図4の教示ユニットに含まれる制御部の機能を示した機能ブロック図である。
図7図4の位置決め治具を示す平面図である。
図8図4の位置決め治具を示す側面図である。
図9】教示システムを用いて天井走行車に載置位置を教示する方法を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して一実施形態について説明する。図面の説明において、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
【0023】
図1は、一実施形態に係る教示システム60が用いられる搬送システム1の構成図である。搬送システム1は、保管設備10のラック15と所定のロードポート91との間でFOUP(Front-Opening Unified Pod)(被搬送物)5を搬送するシステムである。具体的には、保管設備10のラック15に保管されているFOUP5を、コンベヤシステム(搬送装置)20によって所定の移載箇所Pにまで搬送し、移載箇所Pからは天井走行車40によって所定のロードポート91まで搬送する。また、ロードポート91に載置されているFOUP5を天井走行車40によって所定の移載箇所Pにまで搬送し、移載箇所Pからはコンベヤシステム20によって保管設備10まで搬送して所定のラック15に保管する。ここでは、説明の便宜上、一つのロードポート91しか示さなかったが、複数のロードポートが設けられていてもよい。
【0024】
以下、教示システム60が用いられる搬送システム1について説明する。図1に示すように、搬送システム1は、保管設備10と、コンベヤシステム20と、天井走行車40と、を備えている。
【0025】
保管設備10は、FOUP5を保管する設備であり、FOUP5を収納するラック15と、ラック15にFOUP5を移載する移載装置11とから構成されている。FOUP5は、例えば、半導体製造装置、液晶製造装置で用いられるウェハ及びガラス基板などを収容する容器であり、規格化された容器の一つである。
【0026】
図2は、本実施形態で搬送されるFOUP5を示す斜視図及び底面図である。図2に示すように、FOUP5は、本体5A、蓋5B、フランジ5C及び3つの位置決め孔(位置決め凹部)5Dを有している。蓋5Bは、本体5Aの開口を塞ぐ略長方形状の板状体である。蓋5Bは、図示しない機構により本体5Aに対して固定及び固定の解除が行われる。フランジ5Cは、本体5Aの上面の略中央部から上方に突出して設けられており、後段にて詳述する天井走行車40により把持される部分である。3つの位置決め孔5Dは、外側の端部及び内側の端部がそれぞれ三角形の頂点に位置するように配置されている。本体5A内には、ウェハなどを複数枚収納するための収容空間(図示せず)が形成されている。
【0027】
ラック15は、移載装置11を挟んだ両側に立設されており、複数の棚が、上下方向に多数設けられている。移載装置11は、昇降自在に構成されており、図示しない制御装置にて指令を受けて、ラック15の所定の棚まで昇降し、指定された棚にてFOUP5の荷降ろし・荷すくいを行う。
【0028】
コンベヤシステム20は、図1に示すように、コンベヤユニット21と、回転ユニット31とを備えており、保管設備10と移載箇所Pとの間でFOUP5を搬送するシステムである。
【0029】
コンベヤユニット21は、FOUP5の底部における幅方向の両端部5F(図2(B)参照)を支持して搬送する一対のコンベヤ部23を有している。FOUP5は、このコンベヤ部23によって支持されて搬送される。本実施形態のコンベヤシステム20では、例えば、図1に示す左右方向に5つのコンベヤユニット21が配置されており、図示しない制御装置によってそれぞれ独立した搬送制御がなされる。
【0030】
移載箇所Pとなるコンベヤユニット21には、図3に示すような減速センサ25Aと、停止センサ(光センサ)27Aとが設けられている。減速センサ25Aは、コンベヤ部23(FOUP5の搬送路)を挟んで配置される反射板25Bに向かって光を出射し、反射板25Bに反射して戻ってくる光を検出している。図示しない制御装置は、減速センサ25Aと反射板25Bとの間をFOUP5が通過することにより、減速センサ25Aが反射板25Bからの光を検出しなくなった時点(FOUP5によって光が遮断された時点)で、コンベヤ部33の搬送速度を低下させる。同様の原理で、停止センサ27Aが反射板27Bからの光を検出しなくなった時点で、コンベヤ部33による搬送速度を停止させる。これにより、FOUP5は、移載箇所Pの所定位置に停止される。
【0031】
回転ユニット31は、FOUP5の搬送方向の向きを変える部分であり、FOUP5の底部における幅方向の両端部5F(図2(B)参照)を支持して搬送する一対のコンベヤ部33と、コンベヤ部33を支持すると共に回転可能に設けられた回転機構35とを有している。例えば、回転ユニット31は、図1に示す上方向から搬送されてきたFOUP5を、図1に示す右方向に配置されてコンベヤユニット21に向けて送り出す。
【0032】
天井走行車40は、図1に示すように、移載箇所Pとロードポート91との間で、FOUP5を搬送する装置である。天井走行車40は、移載箇所Pとロードポート91との間を、FOUP5を吊り下げた状態で把持して搬送するOHT(Overhead Hoist Transport)である。天井走行車40は、クリーンルームの天井など、床面より高い位置に設けられる走行レール41に沿って走行する。
【0033】
図4は、天井走行車40と、後述する教示ユニット61及び位置決め治具81とを示した側面図である。天井走行車40は、図4に示すように、ラテラルドライブ45と、θドライブ47と、昇降駆動部(昇降機構)49と、昇降台51と、を有している。
【0034】
ラテラルドライブ45は、水平面内で走行レール41に直交する方向(後述するy方向)にθドライブ47、昇降駆動部49及び昇降台51を移動させる部分である。θドライブ47は、水平面内で昇降駆動部49及び昇降台51を回動させる部分である。昇降駆動部49は、ベルト53の巻き上げ及び繰り出しにより昇降台51を昇降させる部分である。なお、昇降駆動部49におけるベルト53は、ワイヤ及びロープなど、適宜の吊持材を用いてもよい。昇降台51の下部には、FOUP5を把持するためのチャック55が設けられている。なお、FOUP5を把持する部分は、チャック55に代えて真空吸着などを用いてもよい。落下装置カバー57,57は、天井走行車40の前後に設けられており、図示しない爪を進退させることにより、FOUP5の落下を防止する。
【0035】
次に、上記搬送システム1において、コンベヤシステム20の移載箇所Pにおける移載位置を天井走行車40に教示する教示システム60について説明する。図4に示すように、教示システム60は、天井走行車40の昇降台51に設けられたチャック55に把持される教示ユニット61と、コンベヤシステム20の搬送経路における移載箇所Pに設置される位置決め治具81とを備えている。
【0036】
教示ユニット61は、天井走行車40の昇降台51に設けられたチャック55に把持されて用いられる。図5は、教示ユニット61を拡大して示した側面図である。教示ユニット61は、図5に示すように、本体部63と、本体部63の上部に設けられると共に、天井走行車40チャックにより把持される把持部65と、高さセンサ(接触検出部)67と、CCDカメラ(位置検出部)69と、制御部71(教示部)(図6参照)を有している。
【0037】
高さセンサ67は、図示しないバネなどにより下向きに付勢されている接触板68の上下動を監視する。高さセンサ67は、後述する位置決め治具81の2つのピン(突起部)84A,84Bのうち少なくとも一方が接触板68と接触し、バネが圧縮されて接触板68が上昇する事象を検出する。CCDカメラ69は、位置決め治具81の2つのピン84A,84B(図6参照)に対応して2箇所に設けられている。CCDカメラ69は、所定のタイミングで、位置決め治具81の2つのピン84A,84Bをそれぞれ撮像する。
【0038】
図6は、教示ユニット61に含まれる制御部71の機能を示した機能ブロック図である。制御部71は、天井走行車40に移載箇所の高さ位置及び水平面内位置を教示する部分であり、図6に示すように、制御部71は、高さ位置取得部73と、昇降制御部75と、水平面内位置取得部77とを有している。
【0039】
高さ位置取得部73は、移載箇所Pに設置された位置決め治具81に対し教示ユニット61を下降させた際に高さセンサ67が検出するピン84A,84B(少なくとも一方)との接触に基づいて移載箇所Pの高さ位置を取得する部分である。具体的には、高さ位置取得部73は、高さセンサ67が接触板68の上昇を検出した時のベルト53(図4参照)の繰り出し量を、天井走行車40から見た位置決め治具81の高さ位置として取得する。昇降制御部75は、昇降駆動部49の昇降を制御する部分である。
【0040】
水平面内位置取得部77は、移載箇所Pに設置された位置決め治具81に対し高さセンサ67が検出するピン84A,84Bの水平面内位置に基づいて移載箇所Pの水平面内位置を取得する部分である。具体的には、水平面内位置取得部77は、一対のCCDカメラ69によって撮像されたデータを基に、2つのピン84A,84Bの位置を取得する。
【0041】
図7は、位置決め治具81を示す平面図である。図8は、位置決め治具81を示す側面図である。図7及び図8に示すように、位置決め治具81は、本体部83と、本体部83に設けられると共に、FOUP5を載置した際に位置決め孔5Dと対応する位置に設けられたピン84A,84Bと、位置決めドッグ(被検知部)88と、把持部89とを有している。
【0042】
本体部83は、図7に示すような平面形状が六角形の平板部材である。本体部83の上面側には、2つのピン84A,84Bが設けられている。2つのピン84A,84Bのそれぞれ周囲部85A,85B(図7に示す着色部)は、ピン84A,84Bと比べ明度が低い色に着色されている。本実施形態では、黒色シールが周囲部85A,85Bに貼付されている。
【0043】
本体部83の下面には、被支持部86が設けられている。被支持部86は、互いに対向すると共に互いの長さが一致する2つの辺に沿って設けられている。被支持部86は、コンベヤシステム20において搬送される際に回転ユニット31におけるコンベヤ部33又はコンベヤユニット21におけるコンベヤ部23によって支持される部分である。被支持部86は、FOUP5の底部における幅方向の両端部5F(図2(B)参照)と同じ摩擦係数となるような材料が用いられる。また、被支持部86は、FOUP5の底部における幅方向の両端部5Fの外縁形状と同じ形状となるように形成されてもよい。
【0044】
本体部83の上面には、FOUP5がコンベヤシステム20によって搬送されてくる際に減速センサ25A及び停止センサ27Aによって検知される部分と対応する位置に、位置決めドッグ88が、例えばボルトなどによって着脱可能に設けられている。位置決めドッグ88は、本体部83の上面から突出するように構成されている。位置決めドッグ88は、例えば、本体部83の上面にボルトなどによって固定される固定部88aと、固定部88aにボルトなどにより固定されると共に、減速センサ25A及び停止センサ27Aによって検知される部分である被検知部88bと、を含んで構成することができる。本体部83の下面には、位置決め治具81を持ち運ぶための把持部89が設けられている。
【0045】
次に、上記搬送システム1において、図9を用いて、教示システム60を用いて天井走行車40に載置位置を教示する方法について説明する。図9は、教示システム60を用いて天井走行車40に載置位置を教示する方法を示したフローチャートである。以下、説明の便宜のため、走行レール41での走行方向をx軸方向、高さ方向をz軸方向、X軸方向及びz軸方向に直交する方向をy軸方向とする。なお、y軸方向を横方向と言うことがある。また、水平面内でのx軸やy軸からの傾きを角度θという(図1及び図4参照)。
【0046】
まず、天井走行車40を移載箇所Pに配置されたFOUP5を移載する際に停止する位置、すなわち、移載箇所Pの上方に配置させる(ステップS1)。次に、位置決め治具81を移載箇所Pに設置する(ステップS2)。移載箇所Pへの位置決め治具81の設置は、移載箇所Pの所定位置にユーザが設置してもよいし、例えば、上流側(例えば、保管設備10など)などに設置してもよい。位置決め治具81を上流側に設置した場合には、コンベヤユニット21、回転ユニット31、減速センサ25A及び停止センサ27Aの機能によって移載箇所Pの所定位置に停止される。このあと、所定位置に停止された位置決め治具81の位置決めドッグ88が取り外される。なお、ステップS1及びステップS2においては、ステップS2を先に実施してもよいし、ステップS1及びステップS2を同時に実施してもよい。
【0047】
次に、昇降制御部75は、天井走行車40の昇降駆動部49を制御して昇降台51を下降させる(ステップS3)。昇降制御部75は、高さセンサ67によって2つのピン84A,84Bの少なくとも一方と接触板68との接触が検出されるまで、昇降駆動部49を制御して昇降台51を下降させる。高さセンサ67は、位置決め治具81の2つのピン84A,84Bの少なくとも一方と接触板68との接触を監視しており(ステップS4)、接触板68が上昇したことを検出すると(S4:YES)、検出信号を制御部71へ出力する。
【0048】
制御部71に含まれる高さ位置取得部73は、高さセンサ67から検出信号が入力されると、高さセンサ67によって接触板68の上昇を検出した時のベルト53の繰り出し量を天井走行車40から見た移載箇所Pの高さ位置zとして取得する(ステップS5)。
【0049】
高さセンサ67からの検出信号は、昇降制御部75に入力される。昇降制御部75は、この検出信号が入力されると、天井走行車40の昇降駆動部49に対して、昇降台51を微上昇(例えば、1〜20mm程度)させる(ステップS6)。
【0050】
昇降駆動部49によって昇降台51が上昇されると、一対のCCDカメラ69は、それぞれピン84A,84Bを撮像し、水平面内位置取得部77に撮像データを出力する。水平面内位置取得部77は、CCDカメラ69からの撮像データを基に、2つのピン84A,84Bの位置を取得する(ステップS7)。例えば、一対のCCDカメラ69の視野の中心からピン84A,84Bがx方向及びy方向にどれだけずれた位置に存在するかを取得すれば、これらのずれの平均値により、教示ユニット61に対する位置決め治具81、すなわち、移載箇所Pのx方向位置及びy方向位置を求めることができる。また、一対のCCDカメラ69で撮像された2つのピン84A,84Bをつなぐ線の傾きから、位置決め治具81と教示ユニット61との間の角度θを求めることができる。
【0051】
このようにして算出された移載箇所Pのx方向位置及びy方向位置、また、位置決め治具81と教示ユニット61との間の角度θを記憶することにより、天井走行車40に移載箇所Pの移載位置を教示することができる。
【0052】
なお、教示ユニット61は、昇降台51と共にベルト53によって吊されているので、x方向及びy方向に振動している。振動の周期は、例えば1秒以下である。そこで、振動周期以上の時間に渡って、CCDカメラ69によって、一対のピンの水平面内位置を複数回撮像し、複数回の撮像データから取得される移載箇所Pのx方向位置及びy方向位置を統計化してもよい。統計化の一例は平均化であり、平均化には、単純平均の他に幾何平均などがある。また、平均に代えて水平面内位置のヒストグラムをx方向及びy方向について作成し、その最頻値を用いても良い。また、99回水平面内位置を測定した際の50番目の値などのように、中央値などを用いてもよい。
【0053】
上記実施形態の教示システム60によれば、例えば、FOUP5に設けられている位置決め孔5Dと対応する位置に通常設けられるピン(位置決め部)93(図1参照)が設けられていないような箇所(移載箇所)Pであっても、天井走行車40にその移載位置を教示することができる。すなわち、このような箇所Pに位置決め治具81を設置することで、位置決め治具81に設けられているピン84A,84Bを利用して、天井走行車40に移載箇所Pの移載位置を教示することができる。
【0054】
また、上記実施形態の教示システム60によれば、コンベヤシステム20によって被搬送物として移載箇所Pに搬送されてくる位置決め治具81から移載箇所Pの水平面内位置及び高さ位置を取得している。これにより、移載箇所Pに対する位置決め治具81の設置を容易とし、また、移載箇所Pに位置決め治具81を設置する手間を省くことができる。例えば、搬送システム1に教示モードなる制御を設けておけば、ユーザはその教示モードを起動させるだけで、移載箇所Pまで位置決め治具81を搬送させ、天井走行車80に把持された教示ユニット61を下降させ、移載箇所Pの水平面内位置及び高さ位置を取得することができる。
【0055】
また、上記実施形態の教示システム60によれば、位置決め治具81がコンベヤシステム20によって搬送される際に、コンベヤ部23,33において支持される被支持部86は、FOUP5における両端部5Fと略同一の摩擦係数となるように形成されている。このため、コンベヤシステム20によって搬送されるFOUP5と位置決め治具81との間で、搬送条件を同じにすることができる。これにより、コンベヤシステム20がFOUP5を停止させる位置と、位置決め治具81を停止させる位置とをほぼ同じとなる。この結果、天井走行車40に対して移載箇所Pの移載位置を精度よく教示することができる。
【0056】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0057】
上記実施形態の教示システム60では、コンベヤシステム20の搬送経路上を移載箇所Pとして設定し、この移載箇所Pの移載位置を教示する例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。位置決め部となるピンが設けられていない床面、位置決め部となるピンが設けられていないロードポートなど、位置決め部となるピンが設けられていない場所に適用することができる。
【0058】
上記実施形態の教示システム60では、搬送装置として一対のコンベヤ部23,33が設けられたコンベヤシステム20を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、被搬送物の底面全体を支持するような1枚のベルト部を有するコンベヤシステムであってもよい。
【0059】
上記実施形態の教示システム60では、天井走行車40に移載箇所Pの高さ位置及び水平面内位置を教示する教示部が制御部71として教示ユニット61に搭載されている例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、天井走行車40に移載箇所Pの高さ位置及び水平面内位置を教示する教示部は、天井走行車40に搭載されていてもよいし、また、天井走行車40の走行を管理する上位コントローラに搭載されていてもよい。
【0060】
上記実施形態の教示システム60では、一対のCCDカメラを用いたが、1つのCCDカメラで2本あるいは3本などのピンの位置を取得してもよい。また、水平面内位置の検出には、CCDカメラ以外の他のセンサを用いることができる。例えば、複数のコイルを環状に配置し、位置決め治具81のピン84A,84Bの上部へと下降させ、ピンとの間の磁気結合が最も強いコイルの情報を取得しても、ピンの位置を取得することができる。
【符号の説明】
【0061】
1…搬送システム、5…FOUP(被搬送物)、10…保管設備、11…移載装置、15…ラック、20…コンベヤシステム、21…コンベヤユニット、23…コンベヤ部、
25A…減速センサ、27A…停止センサ(光センサ)、31…回転ユニット、33…コンベヤ部、35…回転機構、40…天井走行車、41…走行レール、45…ラテラルドライブ、47…θドライブ、49…昇降駆動部、51…昇降台、53…ベルト、55…チャック、57…落下装置カバー、60…教示システム、61…教示ユニット、63…本体部、65…把持部、67…高さセンサ(接触検出部)、68…接触板、69…CCDカメラ(位置検出部)、71…制御部(教示部)、73…高さ位置取得部、75…昇降制御部、77…水平面内位置取得部、81…位置決め治具、83…本体部、84A,84B…ピン、85A,85B…周囲部、86…被支持部、88…位置決めドッグ(被検知部)、89…把持部、91…ロードポート、P…移載箇所。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9