(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記判断手段による判断結果に基づき、前記第2測色器で測色する第2画像の内容と、前記表示画面に照射される環境光を遮らずに測色する第3測色器で測色する第3画像の内容とを決定する決定手段と、
前記表示装置が前記表示画面に表示した前記第2画像を前記第2測色器で測色して得た第2測色結果と、当該表示装置が当該表示画面に表示した前記第3画像を前記第3測色器で測色して得た第3測色結果とを合成して合成測色結果を作成する合成手段と、
前記合成測色結果に基づいて前記表示装置に対応させた色変換プロファイルを作成する作成手段と
をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
前記第1測色器は、前記表示画面に接触して当該表示画面の測色を行い、前記第2測色器は、当該表示画面に接触せずに当該表示画面の測色を行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の画像処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<実施の形態1>
図1は、本発明の実施の形態が適用される画像表示システム10の構成の一例を示した図である。
この画像表示システム10は、表示のための画像データの作成等を行う、画像処理装置の一例としてのコンピュータ装置20と、コンピュータ装置20で作成された画像データに基づく画像を表示画面31に表示する表示装置30と、コンピュータ装置20に対する入力等を受け付ける入力装置40とを備えている。
【0009】
この画像表示システム10において、コンピュータ装置20および表示装置30は例えばDVI(Digital Visual Interface)を介して接続されており、コンピュータ装置20および入力装置40は例えばUSB(Universal Serial Bus)を介して接続されている。なお、コンピュータ装置20および表示装置30については、DVIに代えて、HDMI(High-Definition Multimedia Interface:登録商標)やDisplayPortを介して接続するようにしてもかまわない。
【0010】
第1取得手段、第2取得手段、判断手段、決定手段、合成手段および作成手段の一例としてのコンピュータ装置20は、所謂汎用のパーソナルコンピュータである。そして、コンピュータ装置20では、OS(Operating System)の管理下において各種アプリケーションソフトウェアを動作させることで、画像データの作成等が行われるようになっている。
【0011】
また、表示装置30は、例えばPC用の液晶ディスプレイ、液晶テレビあるいはプロジェクタなど、加法混色にて画像を表示する機能を備えたもので構成される。したがって、表示装置30における表示方式は、液晶方式に限定されるものではない。ここで、本実施の形態では、表示装置30が、赤(R)、緑(G)および青(B)の3色を用いて画像の表示を行っているものとする。なお、
図1では、表示装置30内に表示画面31が設けられているが、表示装置30として例えばプロジェクタを用いる場合、表示画面31は、表示装置30の外部に設けられたスクリーン等となる。
【0012】
さらに、入力装置40は、例えばキーボード装置やマウス装置等で構成される。
【0013】
この画像表示システム10では、例えば入力装置40およびコンピュータ装置20を用いて作成した表示用画像データに基づく画像(表示用画像)を、表示装置30の表示画面31に表示させるようになっている。ここで、コンピュータ装置20で動作するアプリケーションソフトウェアを用いて製品のデザイン等を行う場合には、表示装置30における表示画面31に、画像を正しい色で表示させることが要求される。このため、この画像表示システム10では、コンピュータ装置20で作成した測色用画像データに基づく測色用画像を表示装置30にて表示画面31に表示させ、表示画面31に表示された測色用画像を読み取った結果に基づいて、表示画面31に表示させる色を補正するための色変換プロファイルを作成するプロファイル作成動作を実行できるようになっている。ここで、色変換プロファイルとしては、例えばICC(International Color Consortium)プロファイルが挙げられる。
【0014】
図1には、上記プロファイル作成動作で用いられ、表示装置30の表示画面31に表示された測色用画像の読み取りに用いられる測色器100を、画像表示システム10と併せて示している。そして、本実施の形態では、測色器100として、基準となる基準測色器130による測定結果あるいは特性に基づき、測定速度が相対的に高速な高速測色器110と、測定速度が相対的に低速な低速測色器120とを使い分けつつ、プロファイル作成動作を実行するようになっている。また、本実施の形態では、高速測色器110が第2測色器の一例として、低速測色器120が第3測色器の一例として、基準測色器130が第1測色器の一例として、それぞれ機能している。
【0015】
ここで、高速測色器110、低速測色器120および基準測色器130は、それぞれ、赤(R)、緑(G)および青(B)の3色にて画像を読み取るセンサ(図示せず)を備えており、表示画面31に表示された測色用画像を、所謂フルカラーにて測定することが可能となっている。なお、高速測色器110、低速測色器120および基準測色器130の各々の詳細については後述する。
【0016】
図2は、コンピュータ装置20のハードウェア構成を示した図である。
コンピュータ装置20は、上述したようにパーソナルコンピュータ等により実現される。そして図示するように、コンピュータ装置20は、演算手段であるCPU(Central Processing Unit)21と、記憶手段であるメインメモリ22およびHDD(Hard Disk Drive)23とを備える。ここで、CPU21は、OS(Operating System)やアプリケーションソフトウェア等の各種プログラムを実行する。また、メインメモリ22は、各種プログラムやその実行に用いるデータ等を記憶する記憶領域であり、HDD23は、各種プログラムに対する入力データや各種プログラムからの出力データ等を記憶する記憶領域である。さらに、コンピュータ装置20は、入力装置40や表示装置30を含む外部との通信を行うための通信インタフェース(以下、「通信I/F」と表記する)24を備えている。
【0017】
図3は、本実施の形態で用いた高速測色器110、低速測色器120および基準測色器130の測定方式および測定性能を示した図である。なお、ここでは、測定方式(非接触、接触)を、測定性能として測定速度および測定精度の2つを、それぞれ挙げている。本実施の形態のプロファイル作成動作では、測色用画像として、各々が異なる色の画像で構成される複数のパッチ画像を用いる。
【0018】
ここで、測色器100の測定方式としては、表示画面31に接触して配置される接触型と呼ばれるものと、表示画面31とは非接触に配置される非接触型と呼ばれるものとが存在する。一般的に、接触型は液晶ディスプレイ等の測色を行う際に用いられ、非接触型はプロジェクタ(スクリーン)等の測色や、外光込みで液晶ディスプレイ等の測色を行う際に用いられる。ここで、本実施の形態では、高速測色器110および低速測色器120の両者がともに非接触型で構成される。これに対し、基準測色器130は接触型で構成される。
【0019】
また、高速測色器110および低速測色器120は、表示画面31に表示される測色用画像ととともに、表示画面31に対する照明光すなわち環境光を測定できるように構成されている。すなわち、高速測色器110および低速測色器120は、環境光込みでの測色が可能となっている。一方、基準測色器130は、表示画面31に表示される測色用画像を、環境光を遮った状態で測定できるように構成されている。
【0020】
そして、高速測色器110は、低速測色器120に比べて、個々のパッチ画像を測色するのに要する時間が短くて済むようになっており、結果として、複数のパッチ画像すべてを測色するのに要する時間が短くて済むようになっている。それゆえ、高速測色器110と低速測色器120とを比較した場合に、高速測色器110は測定速度が「高」となり、低速測色器120は測定速度が「低」となる。
【0021】
一方、低速測色器120は、高速測色器110に比べて、個々のパッチ画像を測色して得た測色結果の測定精度が高くなっている。より具体的に説明すると、低速測色器120では、測定精度が、低明度から高明度に至る「全明度において高」となるのに対し、高速測色器110では、測定精度が「低明度において低」となる。
【0022】
他方、基準測色器130は、測定速度および測定精度の両者が、低速測色器120と同等のレベルとなっている。したがって、高速測色器110と基準測色器130とを比較した場合に、基準測色器130は、測定速度が「高」となり、測定精度が「全明度において高」となる。
【0023】
図4は、本実施の形態で用いた高速測色器110および基準測色器130の測定精度の関係を説明するための図である。
図4において、横軸は表示画面31に表示される画像の色値(RGB値)であり、縦軸は表示画面31に表示された画像を高速測色器110または基準測色器130で読み取って得られる輝度(cd/m
2)である。なお、
図4では、高速測色器110による結果を破線で、基準測色器130による結果を実線で、それぞれ示している。ここで、
図4は、環境光を遮った状態で測定した結果を示すものとなっている。また、図示はしないが、低速測色器120は、環境光を遮った状態で基準測色器130と同等の特性を示すものとなっている。
【0024】
この例では、輝度が5(cd/m
2)以上となる色値については、高速測色器110と基準測色器130とで同様の結果を得ることができる。これに対し、輝度が5(cd/m
2)未満となる色値については、高速測色器110による誤差が、基準測色器130に比べて大きくなっている。このように、本実施の形態では、基準測色器130が、暗い色についても測定が可能となっているのに対し、高速測色器110は、暗い色についての測定が困難となっている。なお、ここでは、輝度が5(cd/m
2)となるときの色値を(R,G,B)=(R1,G1,B1)と呼ぶ。
【0025】
図5は、本実施の形態における色変換プロファイルの作成手順を説明するためのフローチャートである。ここで、本実施の形態においては、色変換プロファイルの作成を開始する前に、表示装置30の表示画面31に対し基準測色器130がセットされている。また、色変換プロファイルの作成においては、表示装置30の表示画面31に対し、予め決められた条件にて環境光の照射が行われているものとする。
【0026】
まず、コンピュータ装置20は、測色用画像を構成するすべてのパッチ画像を、表示装置30を用いて表示画面31に順次表示させる。また、基準測色器130は、表示画面31に表示されるすべてのパッチ画像を順次測色することで、これら複数のパッチ画像の測色結果を含むベースデータ(以下では基準ベースデータと呼ぶ)の測定を行う(ステップ110)。ここで、基準ベースデータは、表示画面31に照射される環境光の影響を含まないものとなっている。なお、ステップ110が完了した後、次に説明するステップ120が開始されるまでの間に、表示装置30の表示画面31に対し高速測色器110がセットされる。
【0027】
次に、コンピュータ装置20は、ステップ110と同じく、測色用画像を構成するすべてのパッチ画像を、表示装置30を用いて表示画面31に順次表示させる。また、高速測色器110は、表示画面31に表示されるすべてのパッチ画像を順次測色することで、これら複数のパッチ画像の測色結果を含むベースデータ(以下では高速ベースデータと呼ぶ)の測定を行う(ステップ120)。ここで、高速ベースデータは、表示画面31に照射される環境光の影響を含むものとなっている。
【0028】
続いて、コンピュータ装置20は、ステップ110で得られた基準ベースデータと、ステップ120で得られた高速ベースデータとについて、それぞれ各パッチ画像の輝度を算出し、得られた輝度が閾値(この例では5(cd/m
2))未満となる領域(以下では不適正領域と呼ぶ)と閾値以上となる領域(以下では適正領域と呼ぶ)とを判定する(ステップ130)。なお、ステップ120が完了した後、次に説明するステップ140が開始されるまでの間に、表示装置30の表示画面31に対し低速測色器120がセットされる。
【0029】
次いで、コンピュータ装置20は、ステップ130において不適正領域と判定された低輝度のパッチ画像(低輝度パッチと呼ぶ)を、表示装置30を用いて表示画面31に順次表示させる。また、低速測色器120は、表示画面31に表示される低輝度パッチを順次測色することで、低輝度パッチの測色結果を含むベースデータ(以下では低速ベースデータと呼ぶ)の測定を行う(ステップ140)。ここで、低速ベースデータは、高速ベースデータと同じく、表示画面31に照射される環境光の影響を含むものとなっている。
【0030】
それから、コンピュータ装置20は、ステップ120で得られた高速ベースデータのうち、不適正領域すなわち低輝度パッチの測色結果である第2高速ベースデータを除いた第1高速ベースデータと、ステップ140で得られた低速ベースデータとを合成した合成ベースデータを作成する(ステップ150)。ここで、合成ベースデータは、高速ベースデータおよび低速ベースデータと同じく、表示画面31に照射される環境光の影響を含むものとなっている。
【0031】
そして、コンピュータ装置20は、ステップ150で得られた合成ベースデータに基づき、表示装置30に対応させた色変換プロファイルの作成を行い(ステップ160)、一連の処理を完了する。したがって、色変換プロファイルは、表示画面31に照射される環境光の影響を含んだ状態で作成されたものとなる。
【0032】
図6は、本実施の形態における基準ベースデータDS、高速ベースデータDH、低速ベースデータDLおよび合成ベースデータDCの関係を、模式的に示した図である。ここで、図中最上段に示す基準ベースデータDSは
図5に示すステップ110で、基準ベースデータDSの下段に示す高速ベースデータDHは
図5に示すステップ120で、高速ベースデータDHの下段に示す低速ベースデータDLは
図5に示すステップ140で、低速ベースデータDLの下段に示す合成ベースデータDCは
図5に示すステップ150で、それぞれ得られる。
【0033】
まず、基準ベースデータDSは、測色用画像を構成するすべてのパッチ画像Pの、環境光を遮った状態での測色結果を含んで構成される。
【0034】
また、高速ベースデータDHは、測色用画像を構成するすべてのパッチ画像Pの、環境光込みの測色結果を含んで構成される。そして、基準ベースデータDSと高速ベースデータDHとを対比した結果、高速ベースデータDHのうち、パッチ画像Pの輝度が閾値以上となったもの(適正領域と判定されたもの)が第1高速ベースデータDH1となり、パッチ画像Pの輝度が閾値未満となったもの(不適正領域と判定されたもの)が第2高速ベースデータDH2となる。
【0035】
これに対し、低速ベースデータDLは、高速ベースデータDHのうちパッチ画像Pの輝度が閾値未満となった第2高速ベースデータDH2と内容が同じパッチ画像P(低輝度パッチ)の、環境光込みの測色結果を含んで構成される。したがって、低速ベースデータDLは、不適正領域に対応する低輝度側のパッチ画像Pの測色結果を含む一方、適正領域に対応する高輝度側のパッチ画像Pの測色結果を含まないものとなっている。
【0036】
そして、合成ベースデータDCは、高速ベースデータDHのうちパッチ画像Pの輝度が閾値以上となった第1高速ベースデータDH1と、低速ベースデータDLとを含んで構成される。したがって、合成ベースデータDCは、測色用画像を構成するすべてのパッチ画像Pの、環境光込みの測色結果を含んでいることになる。ここで、本実施の形態では、第1高速ベースデータDH1が第2測色結果として、低速ベースデータDLが第3測色結果として、合成ベースデータDCが合成測色結果として、それぞれ機能している。
【0037】
以上説明したように、本実施の形態では、環境光を遮って測色を行う基準測色器130と、環境光を遮らずに測色を行う高速測色器110とを用いて、表示装置30の表示画面31に表示される測色用画像を測色するようにした。そして、基準測色器130による測色結果である基準ベースデータDSと、高速測色器110による測色結果である高速ベースデータDHとを比較し、高速ベースデータDHにおいて誤差が少ないと推定される適正領域(第1高速ベースデータDH1)と、高速ベースデータDHにおいて誤差が多いと推定される不適正領域(第2高速ベースデータDH2)とを判断するようにした。これにより、高速測色器110を用いて、環境光を遮らずに精度の高い測色を行うことが可能な色の範囲を把握することが可能となる。
【0038】
また、本実施の形態では、高速ベースデータDHにおいて適正領域と不適正領域とを判断した後、不適正領域に対応するパッチ画像Pについては、低速測色器120を用いて再度測色を行い、低速ベースデータDLを得るようにした。そして、第1高速ベースデータDH1と低速ベースデータDLとを合成して合成ベースデータDCを得るようにした。これにより、例えば高速測色器110のみを用いて測色を行う場合と比較して測定精度を向上させることが可能になるとともに、例えば低速測色器120のみを用いて測色を行う場合と比較して測色にかかる時間を低減することが可能になる。その結果、得られた合成ベースデータDCに基づいて作成される、環境光込みの色変換プロファイルの精度の低下を抑制することができる。
【0039】
<実施の形態2>
本実施の形態は、実施の形態1とほぼ同様であるが、高速測色器110の測定精度が実施の形態1とは異なり、その結果、合成ベースデータDCの作成手法が実施の形態1とは異なる。なお、本実施の形態において、実施の形態1と同様のものについては、同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0040】
図7は、本実施の形態で用いた高速測色器110、低速測色器120および基準測色器130の測定方式および測定性能を示した図である。なお、ここでは、実施の形態1と同じく、測定方式(非接触、接触)を、測定性能として測定速度および測定精度の2つを、それぞれ挙げている。
【0041】
ここで、低速測色器120および基準測色器130の測定方式および測定性能は、実施の形態1で説明したものと同じである。また、高速測色器110の測定方式および測定性能における測定速度も、実施の形態1で説明したものと同じである。ただし、本実施の形態では、高速測色器110の測定精度が「低明度において低」であるのに加え、「高明度において低」となっている。
【0042】
図8は、本実施の形態で用いた高速測色器110および基準測色器130の測定精度の関係を説明するための図である。
図8において、横軸は表示画面31に表示される画像の色値(RGB値)であり、縦軸は表示画面31に表示された画像を高速測色器110または基準測色器130で読み取って得られる輝度(cd/m
2)である。なお、
図8では、高速測色器110による結果を破線で、基準測色器130による結果を実線で、それぞれ示している。ここで、
図8は、環境光を遮った状態で測定した結果を示すものとなっている。また、図示はしないが、低速測色器120は、環境光を遮った状態で基準測色器130と同等の特性を示すものとなっている。
【0043】
この例では、輝度が5(cd/m
2)以上且つ100(cd/m
2)未満となる色値については、高速測色器110と基準測色器130とで同様の結果を得ることができる。これに対し、輝度が5(cd/m
2)未満となる色値および輝度が100(cd/m
2)以上となる色値については、高速測色器110による誤差が、基準測色器130に比べて大きくなっている。このように、本実施の形態では、基準測色器130が、暗い色および明るい色についても測定が可能となっているのに対し、高速測色器110は、暗い色および明るい色についての測定が困難となっている。なお、ここでは、輝度が5(cd/m
2)となるときの色値を(R,G,B)=(R1,G1,B1)と呼び、輝度が100(cd/m
2)となるときの色値を(R,G,B)=(R2,G2,B2)と呼ぶ。
【0044】
図9は、本実施の形態における色変換プロファイルの作成手順を説明するためのフローチャートである。ここで、本実施の形態においても、色変換プロファイルの作成を開始する前に、表示装置30の表示画面31に対し基準測色器130がセットされている。また、色変換プロファイルの作成においては、表示装置30の表示画面31に対し、予め決められた条件にて環境光の照射が行われているものとする。
【0045】
まず、コンピュータ装置20は、測色用画像を構成するすべてのパッチ画像を、表示装置30を用いて表示画面31に順次表示させる。また、基準測色器130は、表示画面31に表示されるすべてのパッチ画像を順次測色することで、これら複数のパッチ画像の測色結果を含む基準ベースデータの測定を行う(ステップ210)。ここで、基準ベースデータは、表示画面31に照射される環境光の影響を含まないものとなっている。なお、ステップ210が完了した後、次に説明するステップ220が開始されるまでの間に、表示装置30の表示画面31に対し高速測色器110がセットされる。
【0046】
次に、コンピュータ装置20は、ステップ210と同じく、測色用画像を構成するすべてのパッチ画像を、表示装置30を用いて表示画面31に順次表示させる。また、高速測色器110は、表示画面31に表示されるすべてのパッチ画像を順次測色することで、これら複数のパッチ画像の測色結果を含む高速ベースデータの測定を行う(ステップ220)。ここで、高速ベースデータは、表示画面31に照射される環境光の影響を含むものとなっている。
【0047】
続いて、コンピュータ装置20は、ステップ210で得られた基準ベースデータと、ステップ220で得られた高速ベースデータとについて、それぞれ各パッチ画像の輝度を算出し、得られた輝度の値の差が下方側の閾値(この例では5(cd/m
2))未満となる領域および上方側の閾値(この例では100(cd/m
2))以上となる領域を含む不適正領域と、これらの間に位置する適正領域とを判定する(ステップ230)。なお、ステップ220が完了した後、次に説明するステップ240が開始されるまでの間に、表示装置30の表示画面31に対し低速測色器120がセットされる。
【0048】
次いで、コンピュータ装置20は、ステップ230において不適正領域と判定された2つの領域のうち、低輝度側となる低輝度パッチを、表示装置30を用いて表示画面31に順次表示させる。また、低速測色器120は、表示画面31に表示される低輝度パッチを順次測色することで、低輝度パッチの測色結果を含む低速ベースデータ(以下では第1低速ベースデータと呼ぶ)の測定を行う(ステップ240)。ここで、第1低速ベースデータは、高速ベースデータと同じく、表示画面31に照射される環境光の影響を含むものとなっている。
【0049】
また、コンピュータ装置20は、ステップ230において不適正領域と判定された2つの領域のうち、高輝度側となるパッチ画像(高輝度パッチと呼ぶ)を、表示装置30を用いて表示画面31に順次表示させる。また、低速測色器120は、表示画面31に表示される高輝度パッチを順次測色することで、高輝度パッチの測色結果を含む低速ベースデータ(以下では第2低速ベースデータと呼ぶ)の測定を行う(ステップ250)。ここで、第2低速ベースデータは、高速ベースデータと同じく、表示画面31に照射される環境光の影響を含むものとなっている。
【0050】
それから、コンピュータ装置20は、ステップ220で得られた高速ベースデータのうち、低輝度パッチの測色結果である第2高速ベースデータおよび高輝度パッチの測色結果である第3高速ベースデータを除いた第1高速ベースデータと、ステップ240で得られた第1低速ベースデータと、ステップ250で得られた第2低速ベースデータとを合成した合成ベースデータを作成する(ステップ260)。ここで、合成ベースデータは、高速ベースデータおよび低速ベースデータと同じく、表示画面31に照射される環境光の影響を含むものとなっている。
【0051】
そして、コンピュータ装置20は、ステップ260で得られた合成ベースデータに基づき、表示装置30に対応させた色変換プロファイルの作成を行い(ステップ270)、一連の処理を完了する。したがって、色変換プロファイルは、表示画面31に照射される環境光の影響を含んだ状態で作成されたものとなる。
【0052】
図10は、本実施の形態における基準ベースデータDS、高速ベースデータDH、低速ベースデータDLおよび合成ベースデータDCの関係を、模式的に示した図である。ここで、図中最上段に示す基準ベースデータDSは
図9に示すステップ210で、基準ベースデータDSの下段に示す高速ベースデータDHは
図9に示すステップ220で、高速ベースデータDHの下段に示す低速ベースデータDLは
図9に示すステップ240およびステップ250で、低速ベースデータDLの下段に示す合成ベースデータDCは
図9に示すステップ260で、それぞれ得られる。
【0053】
まず、基準ベースデータDSは、測色用画像を構成するすべてのパッチ画像Pの、環境光を遮った状態での測色結果を含んで構成される。
【0054】
また、高速ベースデータDHは、測色用画像を構成するすべてのパッチ画像Pの、環境光込みの測色結果を含んで構成される。そして、高速ベースデータDHのうち、パッチ画像Pの輝度が下方側の閾値以上且つ上方側の閾値未満となったもの(適正領域と判定されたもの)が第1高速ベースデータDH1となり、パッチ画像Pの輝度が下方側の閾値未満となったもの(不適正領域と判定されたもの)が第2高速ベースデータDH2となり、パッチ画像Pの輝度が上方側の閾値以上となったもの(不適正領域と判定されたもの)が第3高速ベースデータDH3となる。
【0055】
また、低速ベースデータDLは、高速ベースデータDHのうち第2高速ベースデータDH2と内容が同じパッチ画像P(低輝度パッチ)の、環境光込みの測色結果を含んで構成される第1低速ベースデータDL1と、高速ベースデータDHのうち第3高速ベースデータDH3と内容が同じパッチ画像P(高輝度パッチ)の、環境光込みの測色結果を含んで構成される第2低速ベースデータDL2とを有している。したがって、低速ベースデータDLは、不適正領域に対応する低輝度側および高輝度側のパッチ画像Pの測色結果を含む一方、適正領域に対応する中輝度側のパッチ画像Pの測色結果を含まないものとなっている。
【0056】
そして、合成ベースデータDCは、高速ベースデータDHのうちパッチ画像Pの輝度が下方側の閾値以上且つ上方側の閾値未満となった第1高速ベースデータDH1と、低速ベースデータDL(第1低速ベースデータDL1および第2低速ベースデータDL2)とを含んで構成される。したがって、合成ベースデータDCは、測色用画像を構成するすべてのパッチ画像Pの、環境光込みの測色結果を含んでいることになる。ここで、本実施の形態では、第1高速ベースデータDH1が第2測色結果として、低速ベースデータDL(第1低速ベースデータDL1および第2低速ベースデータDL2)が第3測色結果として、合成ベースデータDCが合成測色結果として、それぞれ機能している。
【0057】
以上説明したように、本実施の形態では、環境光を遮って測色を行う基準測色器130と、環境光を遮らずに測色を行う高速測色器110とを用いて、表示装置30の表示画面31に表示される測色用画像を測色するようにした。そして、基準測色器130による測色結果である基準ベースデータDSと、高速測色器110による測色結果である高速ベースデータDHとを比較し、高速ベースデータDHにおいて誤差が少ないと推定される適正領域(第1高速ベースデータDH1)と、高速ベースデータDHにおいて誤差が多いと推定される不適正領域(第2高速ベースデータDH2および第3高速ベースデータDH3)とを判断するようにした。これにより、高速測色器110を用いて、環境光を遮らずに精度の高い測色を行うことが可能な色の範囲を把握することが可能となる。
【0058】
また、本実施の形態では、高速ベースデータDHにおいて適正領域と不適正領域とを判断した後、不適正領域に対応するパッチ画像Pについては、低速測色器120を用いて再度測色を行い、低速ベースデータDL(第1低速ベースデータDL1および第2低速ベースデータDL2)を得るようにした。そして、第1高速ベースデータDH1と低速ベースデータDLとを合成して合成ベースデータDCを得るようにした。これにより、例えば高速測色器110のみを用いて測色を行う場合と比較して測定精度を向上させることが可能になるとともに、例えば低速測色器120のみを用いて測色を行う場合と比較して測色にかかる時間を低減することが可能になる。その結果、得られた合成ベースデータDCに基づいて作成される、環境光込みの色変換プロファイルの精度の低下を抑制することができる。
【0059】
<実施の形態3>
実施の形態1では、最初に、基準測色器130と高速測色器110とを用いて、測色用画像を構成するすべてのパッチ画像の測色をそれぞれ行い、得られた基準ベースデータと高速ベースデータとに基づいて高速ベースデータにおける適正領域と不適正領域とを判定し、不適正領域については、低速測色器120で測色(再測色)を行うようにしていた。これに対し、本実施の形態では、高速測色器110および基準測色器130のRGB各色の階調特性を取得し、得られたRGB各色の階調特性に基づいて適正領域と不適正領域とを予測することで、高速測色器110で測色を行うパッチ画像と低速測色器120で測色を行うパッチ画像とを振り分けるようにしたものである。なお、本実施の形態において、実施の形態1と同様のものについては、同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。また、本実施の形態では、高速測色器110と低速測色器120とが、
図3および
図4に示す測定方式および測定性能を有しているものとする。
【0060】
図11は、本実施の形態における色変換プロファイルの作成手順を説明するためのフローチャートである。また、色変換プロファイルの作成においては、表示装置30の表示画面31に対し、予め決められた条件にて環境光の照射が行われているものとする。
【0061】
まず、コンピュータ装置20は、基準測色器130および高速測色器110のRGB各色の階調特性(入出力特性)を取得する(ステップ310)。なお、基準測色器130の階調特性および高速測色器110の階調特性は、実測値を取得するようにしてもよいし、例えばスペック値を取得するようにしてもかまわない。
【0062】
次に、コンピュータ装置20は、ステップ310で取得した基準測色器130および高速測色器110の各階調特性に基づき、RGB各色の閾値を設定する(ステップ320)。なお、次のステップ330が開始されるまでの間に、表示装置30の表示画面31に対し高速測色器110がセットされる。
【0063】
続いて、コンピュータ装置20は、ステップ320で設定したRGB各色の閾値に基づき、測色用画像を構成する複数のパッチ画像のうちRGB各色の階調値が少なくとも1つは閾値以上となるパッチ画像を、表示装置30を用いて表示画面31に表示させる。また、高速測色器110は、表示画面31に表示されるパッチ画像を順次測色することで、これらのパッチ画像の測色結果を含む高速ベースデータの測定を行う(ステップ330)。ここで、高速ベースデータは、表示画面31に照射される環境光の影響を含むものとなっている。なお、ステップ330が完了した後、次に説明するステップ340が開始されるまでの間に、表示装置30の表示画面31に対し低速測色器120がセットされる。
【0064】
次いで、コンピュータ装置20は、ステップ320で設定したRGB各色の閾値に基づき、測色用画像を構成する複数のパッチ画像のうちRGB各色の階調値がすべて閾値未満となるパッチ画像を、表示装置30を用いて表示画面31に表示させる。また、低速測色器120は、表示画面31に表示されるパッチ画像を順次測色するとともに、これらのパッチ画像の測色結果を含む低速ベースデータの測定を行う(ステップ340)。ここで、低速ベースデータは、高速ベースデータと同じく、表示画面31に照射される環境光の影響を含むものとなっている。
【0065】
それから、コンピュータ装置20は、ステップ330で得られた高速ベースデータと、ステップ340で得られた低速ベースデータとを合成した合成ベースデータを作成する(ステップ350)。ここで、合成ベースデータは、高速ベースデータおよび低速ベースデータと同じく、表示画面31に照射される環境光の影響を含むものとなっている。
【0066】
そして、コンピュータ装置20は、ステップ350で得られた合成ベースデータに基づき、表示装置30に対応させた色変換プロファイルの作成を行い(ステップ360)、一連の処理を完了する。したがって、色変換プロファイルは、表示画面31に照射される環境光の影響を含んだ状態で作成されたものとなる。
【0067】
図12は、
図11に示すステップ310で取得される、高速測色器110および基準測色器130のRGB各色の階調特性の関係を説明するための図である。ここで、
図12(a)は赤(R)の入力階調値Rinと出力階調値Routとの関係を、
図12(b)は緑(G)の入力階調値Ginと出力階調値Goutとの関係を、
図12(c)は青(B)の入力階調値Binと出力階調値Boutとの関係を、それぞれ示している。なお、
図12(a)〜(c)のそれぞれにおいては、高速測色器110の階調特性を破線で、基準測色器130の階調特性を実線で、それぞれ示している。
【0068】
例えば
図12(a)に示したように、赤の入力階調値Rinが赤閾値Rt以上となる領域については、基準測色器130と高速測色器110とで、同様の赤の出力階調値Rout結果を得ることができる。これに対し、赤の入力階調値Rinが赤閾値Rt未満となる領域については、高速測色器110による赤の出力階調値Routの誤差が、基準測色器130に比べて大きくなっている。
【0069】
また、例えば
図12(b)に示したように、緑の入力階調値Ginが緑閾値Gt以上となる領域については、基準測色器130と高速測色器110とで、同様の緑の出力階調値Goutを得ることができる。これに対し、緑の入力階調値Ginが緑閾値Gt未満となる領域については、高速測色器110による緑の出力階調値Goutの誤差が、基準測色器130に比べて大きくなっている。
【0070】
さらに、例えば
図12(c)に示したように、青の入力階調値Binが青閾値Bt以上となる領域については、基準測色器130と高速測色器110とで、同様の青の出力階調値Boutを得ることができる。これに対し、青の入力階調値Binが青閾値Bt未満となる領域については、高速測色器110による青の出力階調値Boutの誤差が、基準測色器130に比べて大きくなっている。
【0071】
ここで、本実施の形態では、
図12(a)〜(c)にも示したように、赤閾値Rtの階調値と緑閾値Gtの階調値と青閾値Btの階調値とが、同じ値とはならないことがある。すなわち、基準測色器130と高速測色器110とは、RGBの色によって階調特性が異なっていることになる。
【0072】
図13は、本実施の形態における閾値(赤閾値Rt、緑閾値Gtおよび青閾値Bt)の概念を説明するための図である。
図13は、赤の入力階調値Rin、緑の入力階調値Ginおよび青の入力階調値Binをそれぞれ軸とする、3次元の直交座標系を示すものとなっている。
【0073】
本実施の形態では、赤の入力階調値Rinが赤閾値Rt以上となるパッチ画像、緑の入力階調値Ginが緑閾値Gt以上となるパッチ画像、または、青の入力階調値Binが青閾値Bt以上となるパッチ画像(適正領域の内部に位置するパッチ画像)については、高速測色器110を用いた高速ベースデータの測定を行うことになる。一方、赤の入力階調値Rinが赤閾値Rt未満となり、緑の入力階調値Ginが緑閾値Gt未満となり、さらに、青の入力階調値Binが青閾値Bt未満となるパッチ画像(
図13において、原点0と赤閾値Rtと緑閾値Gtと青閾値Btとによって囲まれた不適正領域の内部に位置するパッチ画像)については、低速測色器120を用いた低速ベースデータの測定を行うことになる。
【0074】
図14は、本実施の形態における高速ベースデータDHと低速ベースデータDLと合成ベースデータDCとの関係を、模式的に示した図である。ここで、図中上段に示す高速ベースデータDHは
図11に示すステップ330で、図中中段に示す低速ベースデータDLは
図11に示すステップ340で、図中下段に示す合成ベースデータDCは
図11に示すステップ350で、それぞれ得られる。なお、本実施の形態では、基準ベースデータDSの測定を行っていない。
【0075】
まず、高速ベースデータDHは、測色用画像を構成するすべてのパッチ画像Pのうち、RGB各色の入力階調値がそれぞれの閾値未満となるもの以外(適正領域と予測されたもの)についての、環境光込みの測色結果を含んで構成される。
【0076】
また、低速ベースデータDLは、測色用画像を構成するすべてのパッチ画像Pのうち、RGB各色の入力階調値がそれぞれの閾値未満となるもの(不適正領域と予測されたもの)についての、環境光込みの測色結果を含んで構成される。
【0077】
そして、合成ベースデータDCは、高速ベースデータDHと低速ベースデータDLとを含んで構成される。したがって、合成ベースデータDCは、測色用画像を構成するすべてのパッチ画像Pの、環境光込みの測色結果を含んでいることになる。ここで、本実施の形態では、高速ベースデータDHが第2測色結果として、低速ベースデータDLが第3測色結果として、合成ベースデータDCが合成測色結果として、それぞれ機能している。
【0078】
以上説明したように、本実施の形態では、環境光を遮って測色を行う基準測色器130および環境光を遮らずに測色を行う高速測色器110のそれぞれの階調特性を取得し、得られたそれぞれの階調特性に基づき、高速測色器110による測色結果において誤差が少ないと推定される適正領域と誤差が多いと推定される不適正領域とを予測するようにした。これにより、高速測色器110を用いて、環境光を遮らずに精度の高い測色を行うことが可能な色の範囲を把握することが可能となる。
【0079】
そして、本実施の形態では、適正領域の内部に位置する、高速測色器110でも誤差が小さくなりそうなパッチ画像Pについては高速測色器110で測色を行うようにし、不適正領域の内部に位置する、高速測色器110では誤差が大きくなりそうなパッチ画像Pについては低速測色器120で測色を行うようにした。これにより、得られる合成ベースデータDCの精度を高めることが可能となり、結果として得られる、環境光込みの色変換プロファイルの精度を向上させることができるようになる。
【0080】
<実施の形態4>
実施の形態3では、基準測色器130および高速測色器110のRGB各色の階調特性を取得し、得られたRGB各色の階調特性に基づいて、高速測色器110で測色を行うパッチ画像と低速測色器120で測色を行うパッチ画像とを振り分けるようにしていた。これに対し、本実施の形態では、基準測色器130および高速測色器110のL
*a
*b
*特性を取得し、得られたL
*a
*b
*特性に基づいて適正領域と不適正領域とを予測することで、高速測色器110で測色を行うパッチ画像と低速測色器120で測色を行うパッチ画像とを振り分けるようにしたものである。なお、本実施の形態において、実施の形態3と同様のものについては、同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。また、本実施の形態では、高速測色器110と低速測色器120とが、
図3および
図4に示す測定方式および測定性能を有しているものとする。
【0081】
図15は、本実施の形態における色変換プロファイルの作成手順を説明するためのフローチャートである。
【0082】
まず、コンピュータ装置20は、基準測色器130および高速測色器110のL
*a
*b
*特性を取得する(ステップ410)。なお、基準測色器130の階調特性および高速測色器110のL
*a
*b
*特性は、実測値を取得するようにしてもよいし、例えばスペック値を取得するようにしてもかまわない。
【0083】
次に、コンピュータ装置20は、ステップ410で取得した基準測色器130および高速測色器110のL
*a
*b
*特性に基づき、a
*値における閾値を設定する(ステップ420)。ここで、a
*値における閾値は、基準測色器130と高速測色器110との特性の差異に基づいて決まる。なお、次のステップ430が開始されるまでの間に、表示装置30の表示画面31に対し高速測色器110がセットされる。
【0084】
続いて、コンピュータ装置20は、ステップ420で設定した閾値に基づき、測色用画像を構成する複数のパッチ画像のうちの一部のパッチ画像を、表示装置30を用いて表示画面31に表示させる。また、高速測色器110は、表示画面31に表示されるパッチ画像を順次測色することで、これらのパッチ画像の測色結果を含む高速ベースデータの測定を行う(ステップ430)。ここで、高速ベースデータは、表示画面31に照射される環境光の影響を含むものとなっている。なお、ステップ430が完了した後、次に説明するステップ440が開始されるまでの間に、表示装置30の表示画面31に対し低速測色器120がセットされる。
【0085】
次いで、コンピュータ装置20は、ステップ420で設定した閾値に基づき、測色用画像を構成する複数のパッチ画像のうちの残りのパッチ画像を、表示装置30を用いて表示画面31に表示させる。また、低速測色器120は、表示画面31に表示されるパッチ画像を順次測色することで、これらのパッチ画像の測色結果を含む低速ベースデータの測定を行う(ステップ440)。ここで、低速ベースデータは、高速ベースデータと同じく、表示画面31に照射される環境光の影響を含むものとなっている。
【0086】
それから、コンピュータ装置20は、ステップ430で得られた高速ベースデータと、ステップ440で得られた低速ベースデータとを合成した合成ベースデータを作成する(ステップ450)。ここで、合成ベースデータは、高速ベースデータおよび低速ベースデータと同じく、表示画面31に照射される環境光の影響を含むものとなっている。
【0087】
そして、コンピュータ装置20は、ステップ450で得られた合成ベースデータに基づき、表示装置30に対応させた色変換プロファイルの作成を行い(ステップ460)、一連の処理を完了する。したがって、色変換プロファイルは、表示画面31に照射される環境光の影響を含んだ状態で作成されたものとなる。
【0088】
図16は、
図15に示すステップ410で取得される、高速測色器110および基準測色器130のL
*a
*b
*特性の関係を説明するための図である。
図16において、横軸はa
*値であり、縦軸はb
*値である。なお、
図16では、高速測色器110による結果を破線で、基準測色器130による結果を実線で、それぞれ示している。
【0089】
この例では、a
*値がα以上且つβ未満となる範囲およびγ以上且つδ以下となる範囲において、基準測色器130と高速測色器110とで同様の結果を得ることができる。これに対し、a
*値がα未満となる範囲およびβ以上且つγ未満となる範囲では、高速測色器110による誤差が、基準測色器130に比べて大きくなっている。なお、以下の説明では、これらα、β、γおよびδを、第1閾値α、第2閾値β、第3閾値γおよび第4閾値δと呼ぶ。
【0090】
図17は、本実施の形態における高速ベースデータDHと低速ベースデータDLと合成ベースデータDCとの関係を、模式的に示した図である。ここで、図中上段に示す高速ベースデータDHは
図15に示すステップ430で、図中中段に示す低速ベースデータは
図15に示すステップ440で、図中下段に示す合成ベースデータDCは
図15に示すステップ450で、それぞれ得られる。なお、本実施の形態では、実施の形態3と同じく、基準ベースデータDSの測定を行っていない。
【0091】
まず、高速ベースデータDHは、測色用画像を構成するすべてのパッチ画像Pのうち、a
*値が第1閾値α以上且つ第2閾値β未満および第3閾値γ以上且つ第4閾値δ以下となるもの(適正領域と予測されたもの)についての、環境光込みの測色結果を含んで構成される。そして、高速ベースデータDHのうち、a
*値が第1閾値α以上且つ第2閾値β未満となる範囲に基づいて得られたものが第1高速ベースデータDH1となり、a
*値が第3閾値γ以上且つ第4閾値δ以下となる範囲に基づいて得られたものが第2高速ベースデータDH2となる。
【0092】
また、低速ベースデータDLは、測色用画像を構成するすべてのパッチ画像Pのうち、a
*値が0以上且つ第1閾値α未満および第2閾値β以上且つ第3閾値γ未満となるもの(不適正領域と予測されたもの)についての、環境光込みの測色結果を含んで構成される。そして、低速ベースデータDLのうち、a
*値が0以上且つ第1閾値α未満となる範囲に基づいて得られたものが第1低速ベースデータDL1となり、a
*値が第2閾値β以上且つ第3閾値γ未満となる範囲に基づいて得られたものが第2低速ベースデータDL2となる。
【0093】
そして、合成ベースデータDCは、高速ベースデータDH(第1高速ベースデータDH1および第2高速ベースデータDH2)と、低速ベースデータDL(第1低速ベースデータDL1および第2低速ベースデータDL2)とを含んで構成される。したがって、合成ベースデータDCは、測色用画像を構成するすべてのパッチ画像Pの、環境光込みの測色結果を含んでいることになる。ここで、本実施の形態では、高速ベースデータDH(第1高速ベースデータDH1および第2高速ベースデータDH2)が第2測色結果として、低速ベースデータDL(第1低速ベースデータDL1および第2低速ベースデータDL2)が第3測色結果として、合成ベースデータDCが合成測色結果として、それぞれ機能している。
【0094】
以上説明したように、本実施の形態では、環境光を遮って測色を行う基準測色器130および環境光を遮らずに測色を行う高速測色器110のそれぞれのL
*a
*b
*特性を取得し、得られたそれぞれのL
*a
*b
*特性に基づき、高速測色器110による測色結果において誤差が少ないと推定される適正領域と誤差が多いと推定される不適正領域とを予測するようにした。これにより、高速測色器110を用いて、環境光を遮らずに精度の高い測色を行うことが可能な色の範囲を把握することが可能となる。
【0095】
そして、本実施の形態では、適正領域の内部に位置する、高速測色器110でも誤差が小さくなりそうなパッチ画像Pについては高速測色器110で測色を行うようにし、不適正領域の内部に位置する、高速測色器110では誤差が大きくなりそうなパッチ画像Pについては低速測色器120で測色を行うようにした。これにより、得られる合成ベースデータDCの精度を高めることが可能となり、結果として得られる、環境光込みの色変換プロファイルの精度を向上させることができるようになる。