(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、局所的な導電不良が抑制された導電性発泡成形体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題は、以下の発明により解決される。即ち、
請求項1に係る発明は、
弾性材料および導電剤を含み、表面に孔径が1mm以上2mm以下の孔を有する発泡体本体と、
前記孔に充填されている感圧導電性樹脂粒子と、を有する導電性発泡成形体であって、
前記孔を含み且つ前記孔の孔径に相当する長さを一辺とする正方形の領域(A1)における、荷重1Kg、電圧1500Vを印加した際の体積抵抗率の常用対数値(R1)と、前記孔を含まず且つ前記領域(A1)と同じ面積の正方形の領域(A2)における、荷重1Kg、電圧1500Vを印加した際の体積抵抗率の常用対数値(R2)と、の差の絶対値(|R1−R2|)が0.3以内である導電性発泡成形体である。
【0007】
請求項2に係る発明は、
前記感圧導電性樹脂粒子が、表面に帯電性粒子を有する請求項1に記載の導電性発泡成形体である。
請求項3に係る発明は、
前記発泡体本体は、多数の発泡セルを有する発泡体で構成され、かつ表面に前記発泡セルの径を超える大きさの孔として前記孔径が1mm以上2mm以下の孔を有する請求項1または請求項2に記載の導電性発泡成形体である。
請求項4に係る発明は、
前記発泡セルの孔径が0.05mm以上0.5mm以下である請求項3に記載の導電性発泡成形体である。
【0008】
請求項
5に係る発明は、
円筒状の導電性芯材と、該導電性芯材の外周に請求項1
〜請求項
4のいずれか1項に記載の導電性発泡成形体からなる円筒状の導電性発泡層と、を備える導電性ロールである。
【0009】
請求項
6に係る発明は、
電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
トナーを含む現像剤を収容し、前記静電潜像を前記現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記電子写真感光体の表面に形成された前記トナー像が転写される中間転写ベルトと、
前記中間転写ベルトの内周面に接する請求項
5に記載の導電性ロールを備え、前記電子写真感光体の表面に形成された前記トナー像を前記中間転写ベルトの外周面に一次転写する一次転写手段と、
前記中間転写ベルトの表面に転写された前記トナー像を記録媒体に転写する二次転写手段と、
を備える画像形成装置である。
【0010】
請求項
7に係る発明は、
電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
トナーを含む現像剤を収容し、前記静電潜像を前記現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記電子写真感光体の表面に形成された前記トナー像が転写される中間転写部材と、
前記電子写真感光体の表面に形成された前記トナー像を前記中間転写部材の外周面に一次転写する一次転写手段と、
前記中間転写部材の外周面に接する請求項
5に記載の導電性ロールを備え、前記中間転写部材の表面に転写された前記トナー像を記録媒体に転写する二次転写手段と、
を備える画像形成装置である。
【0011】
請求項
8に係る発明は、
電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
トナーを含む現像剤を収容し、前記静電潜像を前記現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記電子写真感光体の表面に形成された前記トナー像が転写される中間転写部材と、
前記電子写真感光体の表面に形成された前記トナー像を前記中間転写部材の外周面に一次転写する一次転写手段と、
前記中間転写部材の外周面に接する二次転写ロール、および前記二次転写ロールに接し該二次転写ロールを帯電する請求項
5に記載の導電性ロールを備え、前記中間転写部材の表面に転写された前記トナー像を記録媒体に転写する二次転写手段と、
を備える画像形成装置である。
【0012】
請求項
9に係る発明は、
電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
トナーを含む現像剤を収容し、前記静電潜像を前記現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記電子写真感光体に接し、該電子写真感光体との接触領域に記録媒体を搬送する記録媒体搬送ベルトと、
前記記録媒体搬送ベルトの内周面に接する請求項
5に記載の導電性ロールを備え、前記電子写真感光体の表面に形成された前記トナー像を前記記録媒体の表面に転写する転写手段と、
を備える画像形成装置である。
【0013】
請求項
10に係る発明は、
弾性材料および導電剤を含み、表面に孔径が1mm以上2mm以下の孔を有する発泡体本体を形成する発泡体本体形成工程と、
前記発泡体本体に電界を掛け、且つ感圧導電性樹脂粒子に前記発泡体本体とは逆極性の電界を掛けつつ、前記孔に前記感圧導電性樹脂粒子を充填する感圧導電性樹脂粒子充填工程と、
を有する請求項1
〜請求項
4のいずれか1項に記載の導電性発泡成形体の製造方法である。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、前記孔に充填されている感圧導電性樹脂粒子を有するとの要件、および前記孔を含み且つ前記孔の孔径に相当する長さを一辺とする正方形の領域(A1)における、荷重1Kg、電圧1500Vを印加した際の体積抵抗率の常用対数値(R1)と、前記孔を含まず且つ前記領域(A1)と同じ面積の正方形の領域(A2)における、荷重1Kg、電圧1500Vを印加した際の体積抵抗率の常用対数値(R2)と、の差の絶対値(|R1−R2|)が0.3以内との要件を備えない場合に比べ、局所的な導電不良が抑制された導電性発泡成形体が提供される。
【0015】
請求項2の発明によれば、感圧導電性樹脂粒子が表面に帯電性粒子を有しない場合に比べ、局所的な導電不良を容易に抑制し得る導電性発泡成形体が提供される。
【0016】
請求項
5の発明によれば、前記孔に充填されている感圧導電性樹脂粒子を有するとの要件、および前記孔を含み且つ前記孔の孔径に相当する長さを一辺とする正方形の領域(A1)における、荷重1Kg、電圧1500Vを印加した際の体積抵抗率の常用対数値(R1)と、前記孔を含まず且つ前記領域(A1)と同じ面積の正方形の領域(A2)における、荷重1Kg、電圧1500Vを印加した際の体積抵抗率の常用対数値(R2)と、の差の絶対値(|R1−R2|)が0.3以内との要件を備えない場合に比べ、局所的な導電不良が抑制された導電性ロールが提供される。
【0017】
請求項
6の発明によれば、前記孔に充填されている感圧導電性樹脂粒子を有するとの要件、および前記孔を含み且つ前記孔の孔径に相当する長さを一辺とする正方形の領域(A1)における、荷重1Kg、電圧1500Vを印加した際の体積抵抗率の常用対数値(R1)と、前記孔を含まず且つ前記領域(A1)と同じ面積の正方形の領域(A2)における、荷重1Kg、電圧1500Vを印加した際の体積抵抗率の常用対数値(R2)と、の差の絶対値(|R1−R2|)が0.3以内との要件を備える導電性ロールを備えない場合に比べ、画像における白抜けの発生が抑制された画像形成装置が提供される。
【0018】
請求項
7の発明によれば、前記孔に充填されている感圧導電性樹脂粒子を有するとの要件、および前記孔を含み且つ前記孔の孔径に相当する長さを一辺とする正方形の領域(A1)における、荷重1Kg、電圧1500Vを印加した際の体積抵抗率の常用対数値(R1)と、前記孔を含まず且つ前記領域(A1)と同じ面積の正方形の領域(A2)における、荷重1Kg、電圧1500Vを印加した際の体積抵抗率の常用対数値(R2)と、の差の絶対値(|R1−R2|)が0.3以内との要件を備える導電性ロールを備えない場合に比べ、画像における白抜けの発生が抑制された画像形成装置が提供される。
【0019】
請求項
8の発明によれば、前記孔に充填されている感圧導電性樹脂粒子を有するとの要件、および前記孔を含み且つ前記孔の孔径に相当する長さを一辺とする正方形の領域(A1)における、荷重1Kg、電圧1500Vを印加した際の体積抵抗率の常用対数値(R1)と、前記孔を含まず且つ前記領域(A1)と同じ面積の正方形の領域(A2)における、荷重1Kg、電圧1500Vを印加した際の体積抵抗率の常用対数値(R2)と、の差の絶対値(|R1−R2|)が0.3以内との要件を備える導電性ロールを備えない場合に比べ、画像における白抜けの発生が抑制された画像形成装置が提供される。
【0020】
請求項
9の発明によれば、前記孔に充填されている感圧導電性樹脂粒子を有するとの要件、および前記孔を含み且つ前記孔の孔径に相当する長さを一辺とする正方形の領域(A1)における、荷重1Kg、電圧1500Vを印加した際の体積抵抗率の常用対数値(R1)と、前記孔を含まず且つ前記領域(A1)と同じ面積の正方形の領域(A2)における、荷重1Kg、電圧1500Vを印加した際の体積抵抗率の常用対数値(R2)と、の差の絶対値(|R1−R2|)が0.3以内との要件を備える導電性ロールを備えない場合に比べ、画像における白抜けの発生が抑制された画像形成装置が提供される。
【0021】
請求項
10の発明によれば、発泡体本体に電界を掛け且つ感圧導電性樹脂粒子に発泡体本体とは逆極性の電界を掛けつつ孔に感圧導電性樹脂粒子を充填する工程を備えない場合に比べ、局所的な導電不良が抑制された導電性発泡成形体を容易に製造し得る製造方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0024】
<導電性発泡成形体>
本実施形態に係る導電性発泡成形体は、弾性材料および導電剤を含む発泡体本体を有し、該発泡体本体の表面には孔径が1mm以上2mm以下の孔(以下「ピンホール」とも称す)を有する。また、前記孔に充填されている感圧導電性樹脂粒子を有する。尚、前記孔を含み且つ前記孔の孔径に相当する長さを一辺とする正方形の領域(A1)における、荷重1Kg、電圧1500Vを印加した際の体積抵抗率の常用対数値(R1)と、前記孔を含まず且つ前記領域(A1)と同じ面積の正方形の領域(A2)における、荷重1Kg、電圧1500Vを印加した際の体積抵抗率の常用対数値(R2)と、の差の絶対値(|R1−R2|)が0.3以内である。
【0025】
従来から、導電性と弾性とを備える材料として、弾性材料および導電剤を含む発泡体が用いられている。発泡体は通常発泡剤等を含有しており、成形の段階でこの発泡剤から発生する気泡によってセルが形成されるが、前記気泡が破泡したり気泡同士が合体してより大きな気泡になるなどの原因により、求められる径を超える大きさの孔(ピンホール)が形成されることがある。
【0026】
ここで、導電性と弾性とを備える発泡体は通常他の部材と接触させて用いられ、この接触する部材との間で電流を流す用途として用いられる。但し、発泡体の表面に孔径が1mm以上2mm以下の孔(ピンホール)が形成された場合、この孔(ピンホール)の部分での導通が遮断され、局所的な導電不良を生じることがあった。
尚、導電性の発泡体を画像形成装置における転写部材として用いる場合、つまり円筒状の導電性芯材の外周に円筒状の導電性発泡層を備える導電性ロールを前記転写部材として用いる場合であれば、前記孔(ピンホール)の部分での導電不良に起因してトナーの転写が阻害され、形成される画像において白抜けが発生することがあった。
【0027】
これに対し、本実施形態に係る導電性発泡成形体は、表面に存在する前記特定範囲の孔径の孔(ピンホール)が感圧導電性樹脂粒子で充填され、前記孔(ピンホール)を含み且つ前記孔の孔径に相当する長さを一辺とする正方形の領域(A1)での前記体積抵抗率の常用対数値(R1)と、前記孔(ピンホール)を含まず且つ前記領域(A1)と同じ面積の正方形の領域(A2)での前記体積抵抗率の常用対数値(R2)と、の差の絶対値(|R1−R2|)が、前記の範囲に制御される。これにより、本実施形態に係る導電性発泡成形体を加圧された状態で用いることで、前記孔(ピンホール)の部分でも導電性が得られ、ピンホール部分での導電不良が抑制される。従って、導電性発泡成形体を他の部材と接触させて用いる際に、該他の部材から導電性発泡成形体側に向けて加圧が施される態様で用いることにより、該他の部材との間での導電不良が効果的に抑制される。
【0028】
また、円筒状の導電性芯材の外周に、本実施形態に係る導電性発泡成形体による円筒状の導電性発泡層を形成した導電性ロールを、画像形成装置における転写部材として用いることで、前記孔(ピンホール)部分での導電不良に起因するトナー転写の阻害が抑制され、画像における白抜けの発生が効果的に抑制される。
【0029】
・体積抵抗率の制御方法
ここで、感圧導電性樹脂粒子が充填された前記孔(ピンホール)部分での前記体積抵抗率を制御する方法について説明する。
前記の荷重をかけた際の孔(ピンホール)部分での体積抵抗率を制御するには、ピンホールに対して感圧導電性樹脂粒子を密に充填する必要がある。尚、単に感圧導電性樹脂粒子をピンホールに押し込んで詰めても前記範囲の差となる体積抵抗率を達成し得るほど密に充填することは難しい。そのため、ピンホールを有する発泡体本体に電界を掛け、且つ感圧導電性樹脂粒子に前記発泡体本体とは逆極性の電界を掛けつつ、ピンホールに前記感圧導電性樹脂粒子を静電的な引力によって充填する方法を採用することが、感圧導電性樹脂粒子が密に充填され、その結果前記範囲の差となる体積抵抗率を達成し得る観点で好ましい。
尚、電界を掛けてピンホール中に粒子を充填する場合、充填される際の粒子は絶縁性でなければ密に充填することが難しくなる。その観点で、本実施形態ではピンホールを充填する粒子として感圧導電性樹脂粒子、即ち圧が加えられていない状態では絶縁性である粒子を用いる。
【0030】
・体積抵抗率の常用対数値の差
本実施形態に係る導電性発泡成形体は、前記孔(ピンホール)を含み且つ前記ピンホールの孔径に相当する長さを一辺とする正方形の領域(A1)の、1kgの荷重をかけ且つ1500Vの電圧を印加した際の体積抵抗率の常用対数値(R1)と、前記孔(ピンホール)を含まず且つ前記領域(A1)と同じ面積の正方形の領域(A2)の、1kgの荷重をかけ且つ1500Vの電圧を印加した際の体積抵抗率の常用対数値(R2)と、の差の絶対値(|R1−R2|)が0.3以内である。
体積抵抗率の常用対数値の差の絶対値(|R1−R2|)が上記の範囲を超えると、ピンホール部分での導電不良が効果的に抑制し得ない。
尚、体積抵抗率が高くなり過ぎることを抑制して濃度ムラの発生を抑制する観点で、孔(ピンホール)を含む前記領域(A1)での体積抵抗率の常用対数値(R1)が孔(ピンホール)を含まない前記領域(A2)での体積抵抗率の常用対数値(R2)よりも小さいことが、より好ましい。
【0031】
尚ここで、上記体積抵抗率のより詳細な測定方法について説明する。上記体積抵抗率は、具体的には以下の測定装置を用いて以下の方法により測定される。
まず、円筒状の導電性芯材(シャフト)の外周に導電性発泡成形体を配置した導電性ロールを準備する。孔(ピンホール)を含む領域(A1)についての測定は、この導電性ロール表面の前記孔(ピンホール)を有する部分に、該孔が1つ入り且つ該孔の孔径に相当する長さを一辺とする正方形の領域(A1)が露出するよう、該領域(A1)以外の導電性部を絶縁とする。次いで、ピンホール部が金属盤に接するよう導電性ロールを静置し、導電性芯材(シャフト)部に1Kgの荷重をかける。更に、導電性芯材(シャフト)部に1500Vの電圧をプラス印加し、金属盤をアースとして体積抵抗率を測定し、常用対数値とする。
また、孔(ピンホール)を含まない領域(A2)についての測定は、前記導電性ロール表面の前記孔(ピンホール)を有しない部分の前記領域(A1)と同じ面積の正方形の領域(A2)について、同様の方法により測定される。
【0032】
・導電性
ここで本明細書では、導電性発泡成形体、導電性芯材等の表現が用いられるが、これらにおける「導電性」とは、体積抵抗率が10
7Ω・cm未満であることを意味する。また、体積抵抗率が上記範囲を外れる場合を「絶縁性」と表現する。
更に、本明細書で用いられる導電剤とは、添加することで体積抵抗率を上記の範囲に制御し得る添加剤を指す。
【0033】
・用途
本実施形態に係る導電性発泡成形体は、他の部材と接触させ且つ該他の部材から加圧される態様で用いられ、この接触する他の部材との間で電流を流す用途で用いられる。
例えば画像形成装置における転写部材が挙げられ、具体的には中間転写ベルトの内面に接し電子写真感光体に対向するよう配置される一次転写ロール、中間転写ベルト等の中間転写部材の外面に接して配置される二次転写ロール、該二次転写ロールに接して配置される給電ロール、直接転写方式の画像形成装置において電子写真感光体に接して配置される転写ロール等が挙げられる。
また、この他の用途としては、例えば電子部品用保護梱包材、帯電防止クッション材等が挙げられる。
【0034】
次いで、本実施形態に係る導電性発泡成形体の各構成要素について説明する。
【0035】
−発泡体本体−
発泡体本体は、弾性材料と導電剤とを含み、且つ通常であれば製造の段階で発泡剤を含有させ該発泡剤から発生する気泡によってセルを形成することで得られる。また、これら以外にも他の添加剤を含んでもよい。
導電剤の種類と含有量が調整されることで、発泡体本体の抵抗率(体積抵抗)が調整される。
【0036】
発泡体本体を構成する弾性材料としては、例えば、ポリウレタン、エピクロヒドリンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム等が挙げられ、圧縮永久歪の観点から、ポリウレタンが好適である。
【0037】
発泡体本体に含まれる導電剤としてはイオン導電性の導電剤(イオン導電剤)、電子導電性の導電剤(電子導電剤)等が挙げられる。
イオン導電剤としては、例えば、四級アンモニウム塩(例えばラウリルトリメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウム、オクタドデシルトリメチルアンモニウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、変性脂肪酸・ジメチルエチルアンモニウニウム等の過塩素酸塩、塩素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、硫酸塩、エトサルフェート塩、ハロゲン化ベンジル塩(例えば、臭化ベンジル塩、塩化ベンジル塩等)等)、脂肪族スルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキサイド付加硫酸エステル塩、高級アルコール燐酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキサイド付加燐酸エステル塩、各種ベタイン、高級アルコールエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、多価アルコール脂肪酸エステルなどが挙げられる。
イオン導電剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
イオン導電剤の含有量は、例えば、弾性材料100質量部に対して、0.1質量部以上5.0質量部以下の範囲であることがよく、望ましくは0.5質量部以上3.0質量部以下である。
【0038】
電子導電剤としては、例えば、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック;熱分解カーボン、グラファイト;アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス鋼等の各種導電性金属または合金;酸化スズ、酸化インジウム、酸化チタン、酸化スズ−酸化アンチモン固溶体、酸化スズ−酸化インジウム固溶体等の各種導電性金属酸化物;絶縁物質の表面を導電化処理したもの;などの粉末が挙げられる。
ここで、カーボンブラックとして具体的には、デグサ社製の「スペシャルブラック350」、同「スペシャルブラック100」、同「スペシャルブラック250」、同「スペシャルブラック5」、同「スペシャルブラック4」、同「スペシャルブラック4A」、同「スペシャルブラック550」、同「スペシャルブラック6」、同「カラーブラックFW200」、同「カラーブラックFW2」、同「カラーブラックFW2V」、キャボット社製「MONARCH1000」、同「MONARCH1300」、同「MONARCH1400」、同「MOGUL−L」、同「REGAL400R」等が挙げられる。
電子導電剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
電子導電剤の含有量は、例えば、弾性材料100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下であることがよく、望ましくは15質量部以上25質量部以下である。
【0039】
発泡剤としては、ベンゼンスルホニルヒドラジド、アゾジカルボンアミド、N−N’−ジニトロソペンタメチレンテトラアミン、ジアゾアミノベンゼン等が挙げられる。
【0040】
発泡体本体においては、製造の段階でこの発生する気泡によってセルが形成される。通常、形成されるセルの大きさは孔径が0.05mm以上0.5mm以下程度である。
しかし、発泡の際に気泡が破泡したり気泡同士が合体してより大きな気泡になるなどの原因により、求められる径を超える大きさの孔が形成され、その結果孔径が1mm以上2mm以下の孔(ピンホール)が形成されることがある。
具体的には、本実施形態に係る発泡体本体は、
図1に示すごとく、外周面に気泡(セル)56Aと共に、ピンホール56Bを有する。本実施形態では、この発泡体本体の外周面に存在するピンホール56Bが、感圧導電性樹脂粒子によって充填される。
【0041】
尚、発泡体本体における気泡(セル)56Aは、
図1に示すごとく隣り合う気泡56A同士が独立している状態(いわゆる独立気泡)であってもよいし、この他気泡が連続している状態(いわゆる連続気泡)であってもよい。
【0042】
ここで、発泡体本体におけるピンホールの孔径の測定方法について説明する。ピンホールの孔径の測定は、発泡体本体の外周面に存在するピンホールの開口部分の最大径を、デジタルマイクロスコープ(VHX900、キーエンス社製)を用いて計測することで行われる。
【0043】
−感圧導電性樹脂粒子−
本実施形態では、発泡体本体における前記ピンホールが感圧導電性樹脂粒子によって充填される。尚、感圧導電性樹脂粒子とは、ピンホールに充填させることで、該ピンホールを含む前述の範囲の領域に前記荷重をかけ且つ前記電圧を印加した際の体積抵抗率を、前記差を満たす範囲に調整し得る樹脂粒子であって、且つ加圧が行われていない状態では絶縁性(つまり体積抵抗率が10
7Ω・cm以上)を示す樹脂粒子を表す。
【0044】
感圧導電性樹脂粒子としては、特に限定されるものではないが、例えば非導電性エラストマー中に粒径がナノメーターサイズ(つまり1000nm(1μm)未満のサイズ)の導電性フィラーを分散させた樹脂粒子が好適に用いられる。
【0045】
・非導電性エラストマー
非導電性エラストマーとしては、1液型または2液型の常温(25℃)硬化シリコーンゴム等が挙げられる。1液型の常温硬化シリコーンゴムとしては、空気中の湿気で加水分解を起こして硬化(架橋)が進行する縮合型(オキシム型やアルコール型等)のもの等が挙げられる。2液型の常温硬化シリコーンゴムとしては、錫(Sn)化合物等の有機金属脂肪酸塩によって常温硬化する縮合型のもの等が挙げられる。
【0046】
・導電性フィラー
導電性フィラーとしては、炭素粒子、カーボンナノチューブ、金属粒子、非導電性または半導電性のフィラーの表面を導電性物質でコーティングしたもの等が挙げられる。金属粒子としては、銅(Cu)粒子、ステンレス粒子、鉄(Fe)粒子、ニッケル(Ni)粒子、アルミニウム(Al)粒子、銀(Ag)粒子、金(Au)粒子、白金(Pt)粒子等が挙げられる。導電性物質としては、カーボン、金属、導電性セラミック等が挙げられる。導電性物質で表面がコーティングされるフィラーとしては、セラミックフィラー、ガラスフィラー、ポリマーフィラー等が挙げられる。フィラーの表面を導電性物質でコーティングする方法としては、CVD(chemical vapor deposition、化学的蒸着)、PVD(physical vapor deposition、物理的蒸着)、焼き付け、メッキ、析出、塗布等が挙げられる。セラミックフィラーとしては、マイカ(雲母。弾力に富む六角板状のアルミニウムけい酸塩鉱物。)、アルミナ(Al
2O
3)、シリカ(SiO
2)、サファイヤ、炭化ケイ素(SiC)等が挙げられる。ポリマーフィラーとしては、ポリスチレン、ポリエチレン、エポキシ樹脂、ポリテトラフルオロエチレン等が挙げられる。
【0047】
導電性フィラーの粒径は、1000nm未満であり、好ましくは5nm以上500nm以下、より好ましくは10nm以上100nm以下、更に好ましくは20nm以上50nm以下が好適である。
導電性フィラーの粒径が5nm以上であることで、導電性フィラーの分散性が良好になると共に、感圧導電性樹脂粒子の電気抵抗値変化に優れ、また500nm以下であることで、感圧導電性樹脂粒子の加圧による抵抗値変化の再現性に優れ且つ繰り返しの圧縮変形に対する耐久性も得られる。
【0048】
感圧導電性樹脂粒子中における導電性フィラーの配合割合としては、好ましくは0.5質量%以上20質量%以下、より好ましくは0.7質量%以上10質量%以下、更に好ましくは1質量%以上3質量%以下が好適である。
導電性フィラーの配合割合が0.5質量%以上であることで、感圧導電性樹脂粒子の電気抵抗値が抑えられ、また20質量%以下であることで、感圧導電性樹脂粒子の伸びや弾性が得られると共に、無加圧の際における感圧導電性樹脂粒子の絶縁性が効果的に保たれる。
【0049】
尚、導電性フィラーの体積抵抗率は、好ましくは10
6Ω/cm以下、より好ましくは10Ω/cm以下、更に好ましくは10
−1Ω/cm以下である。この範囲であれば、感圧導電性樹脂粒子の電気抵抗値がより低くなるので、感圧導電性樹脂粒子の電気抵抗値変化の範囲がより広くなるという利点がある。
【0050】
導電性フィラーとしては、中でも炭素粒子がより好ましい。
【0051】
また、非導電性エラストマーには、更にシリコーンゴム粒子や中空状のマイクロスフェアー粉末(熱膨張性カプセル)等の添加剤を配合してもよい。
【0052】
・セラミック粒子
ここで、上記導電性フィラーと共に、粒径がナノメーターサイズ(1000nm未満)のセラミック粒子も配合しておけば、非導電性エラストマー中に導電性フィラーをよりムラなく分散させられると共に、感圧導電性樹脂粒子の機械的強度をより高くし得るという利点がある。
上記セラミック粒子としては、等軸状セラミック粒子、板状セラミック結晶、針状セラミック結晶、セラミック単結晶粒子、セラミック多結晶粒子、造粒セラミック粉体、セラミック顆粒、後述する層状無機化合物粒子等が挙げられる。また、セラミック粒子は、後述する非導電性セラミック粒子であってもよい。
【0053】
セラミック粒子の粒径も、1000nm未満であり、好ましくは5nm以上500nm以下、より好ましくは10nm以上100nm以下、更に好ましくは20nm以上50nm以下が好適である。
セラミック粒子の粒径が5nm以上であることで、セラミック粒子の分散性が良好になると共に、感圧導電性樹脂粒子の電気抵抗値変化に優れ、また500nm以下であることで、感圧導電性樹脂粒子の加圧による抵抗値変化の再現性に優れ且つ繰り返しの圧縮変形に対する耐久性も得られる。
【0054】
感圧導電性樹脂粒子中におけるセラミック粒子の配合割合としては、好ましくは0.1質量%以上50質量%以下、より好ましくは0.5質量%以上30質量%以下、更に好ましくは1質量%以上25質量%以下が好適である。
セラミック粒子の配合割合が0.1質量%以上であることで、感圧導電性樹脂粒子の電気抵抗値が荷重印加(加圧)に対して急激に低くなることが抑制され、感圧導電性樹脂粒子の強度を高く保てることから加圧による抵抗値変化の再現性に優れ、且つ繰り返しの圧縮変形に対する耐久性も得られる。また50質量%以下であることで、感圧導電性樹脂粒子の伸びや弾性が得られる。
【0055】
また、セラミック粒子が層状無機化合物粒子であれば、添加量を抑制しつつ、感圧導電性樹脂粒子の電気抵抗値を適度な値にし得ると共に、引張強度や耐久性を向上させられるという利点がある。
上記層状無機化合物粒子としては、粘土鉱物等が挙げられる。粘土鉱物としては、モンモリロナイト、スメクタイト、ハイドロタルサイト、バイデライト、ノントロナイト、ヘクトライト、サボナイト、ソーコナイト、スチブンサイト、ベントナイト、雲母鉱物、チタン酸化合物等が挙げられる。
【0056】
更に、層状無機化合物粒子に有機化合物をインターカレートしておけば、層状無機化合物粒子とマトリックス(母材)としての硬化後の非導電性エラストマーとの親和性が得られる。そのため、有機化合物をインターカレートした層状無機化合物粒子を配合すれば、感圧導電性樹脂粒子中における亀裂生成を阻害し得ると共に、仮に亀裂が生成したとしても分子スケールまたはナノメータースケールで亀裂の伝播および拡大を抑制し得るので、荷重を印加および除加した場合や熱的な変化を受けた場合における感圧導電性樹脂粒子の機械的強度や耐久性を向上し得るという利点がある。
尚、ここでいう分子スケールとは、1nm未満のスケールをいい、ナノメータースケールとは、1000nm(1μm)未満のスケールをいう。
【0057】
インターカレートに用いる有機化合物としては、炭素数6以上のアルキル基を有し且つ末端にイオン化し得る極性基(アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アルデヒド基等)を有するアミン、アルコール、カルボン酸、アルデヒド等が挙げられる。層状無機化合物粒子に有機化合物をインターカレートする方法としては、層状無機化合物粒子の懸濁液に有機化合物を添加、溶解させて攪拌する方法等が挙げられる。この場合、混合液に超音波を照射しながら攪拌すれば、より効率的にインターカレートし得る。
【0058】
特に、有機化合物および硬化(架橋)前の非導電性エラストマーをインターカレートした層状無機化合物粒子を配合すれば、より効果的である。有機化合物および硬化前の非導電性エラストマーをインターカレートする方法としては、上記のようにして有機化合物をあらかじめインターカレートしておいた層状無機化合物粒子を硬化前の非導電性エラストマーの溶液に添加し、この混合液を攪拌する方法等が挙げられる。この場合、混合液に超音波を照射しながら攪拌すれば、上記のごとく、より効率的にインターカレートし得る。
【0059】
一方、セラミック粒子が非導電性セラミック粒子であれば、添加量を抑制しつつ、感圧導電性樹脂粒子の電気抵抗値が適度な値に調整されると共に、引張強度、硬度、および耐久性をいずれも向上させられるという利点がある。
非導電性セラミック粒子は、結晶質粒子、非晶質粒子、およびガラス質粒子のうちのいずれでもよい。これらの非導電性セラミック粒子としては、二酸化ケイ素(シリカ)、マグネシア、カルシア、アルミナ、ジルコニア、チタニア、イットリア、ハフニア、酸化亜鉛、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、モナザイト、コーディエライト、ガーネット、パイロクロア、シリカガラス、アルミノシリケートガラス、ホウケイ酸ガラス等が挙げられる。
【0060】
更に、非導電性セラミック粒子を有機化合物で表面処理(表面修飾)しておけば、非導電性セラミック粒子とマトリックス(母材)としての非導電性エラストマーとの結合性および親和性が得られる。これは、有機化合物による表面処理によって、有機化合物の末端が非導電性セラミック粒子の表面に化学的に付加すると共に、有機化合物の他の有機官能基とマトリックスとしての硬化後の非導電性エラストマー分子との間に化学的または物理的な親和が生じるからであると考えられる。そのため、有機化合物で表面処理した非導電性セラミック粒子を導電性フィラーと共に配合すれば、感圧導電性樹脂粒子中における亀裂生成を阻害し得ると共に、仮に亀裂が生成したとしても分子スケールまたはナノメータースケールで亀裂の伝播および拡大を抑制し得るので、荷重を印加および除加した場合や、これを多数回繰り返した場合、また熱的な変化を受けた場合における感圧導電性樹脂粒子の機械的強度や耐久性を向上させられるという利点がある。更に、上記のごとき非導電性セラミック粒子とマトリックスとしての硬化後の非導電性エラストマーとの優れた結合性および親和性のために、エラストマー本来の柔軟性を損なうことなく強度を向上させられるという利点がある。
【0061】
非導電性セラミック粒子の表面処理に用いる有機化合物としては、無機物質と反応し結合する官能基〔X〕、および、有機物質と反応し結合するかまたは相互作用をする官能基〔Y〕をいずれも有するシランカップリング剤やシリル化剤等が挙げられる。
【0062】
シランカップリング剤の一般式は、
Y−R−Si−X
3
(但し、式中のRは不特定の原子団、Siはケイ素をそれぞれ表す。)
で示される。
【0063】
官能基〔X〕としては、水または湿気と反応してシラノールを生成する官能基であるアルコキシ基、アセトキシ基、塩素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。官能基〔Y〕としては、ビニル基、アリル基、メタクリル基、アミノ基、エポキシ基、メルカプト基、アルキル基等が挙げられる。
【0064】
有機化合物による表面処理の方法としては、非導電性セラミック粒子と有機化合物との混合および攪拌を溶媒中で行う湿式処理、混合および攪拌を無溶媒系で行う乾式処理の他、乾式処理後に更に湿式処理を行う方法等が挙げられる。湿式処理としては、あらかじめシランカップリング剤等の有機化合物もしくはその原料を溶解した有機溶媒または水に非導電性セラミック粒子を添加し攪拌して化学反応させることにより、非導電性セラミック粒子の表面に有機化合物を結合させる方法等が挙げられる。また、湿式処理においては、シランカップリング剤等の有機化合物を溶媒に溶解した溶液としておき(好ましくは濃度0.01質量%以上2.0質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上1.0質量%以下)、この溶液100質量部に対して非導電性セラミック粒子を好ましくは0.5質量部以上5.0質量部以下(より好ましくは1.0質量部以上2.5質量部以下)添加して表面処理することが好適である。一方、乾式処理におけるシランカップリング剤等の有機化合物の配合量は、非導電性セラミック粒子100質量部に対して好ましくは0.05質量部以上5質量部以下(より好ましくは0.1質量部以上2質量部以下)が好適である。
【0065】
・帯電性粒子
感圧導電性樹脂粒子は、表面に帯電性粒子(帯電制御剤)を有するものであってもよい。感圧導電性樹脂粒子の表面に付着させる帯電性粒子は特に限定されず、正帯電性の帯電性粒子でも、負帯電性の帯電性粒子でもよい。
正帯電性の帯電性粒子としては、例えば、特開平5−119543号公報記載の製造例(1)および製造例(2)で製造される荷電調節剤樹脂、特公平6−23865公報記載の化合物製造例1の荷電調節剤等が挙げられ、1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、負帯電性の帯電性粒子としては、例えば、ソルスパース13940(日本ルーブリゾール社製)、ソルスパース20000(日本ルーブリゾール社製)、ステアリン酸アルミニウム(ジ)(和光純薬工業社製)等が挙げられ、1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0066】
感圧導電性樹脂粒子に上記帯電性粒子を付着させる方法としては、例えば、得られた感圧導電性樹脂粒子と帯電性粒子とをホモジナイザーやミキサー等によって混合することで感圧導電性樹脂粒子の表面に帯電性粒子を付着させる方法や、感圧導電性樹脂粒子とキャリア液と混合してから帯電性粒子を添加し、混合することによって感圧導電性樹脂粒子の表面に帯電性粒子を付着させる方法等が挙げられる。
【0067】
帯電性粒子の添加量としては、例えば、感圧導電性樹脂粒子100質量部に対し、0.0001質量部以上1.0質量部以下の範囲が挙げられ、0.0005質量部以上0.1質量部以下の範囲であってもよい。
【0068】
・感圧導電性樹脂粒子の充填
次いで、発泡体本体の表面に存在するピンホールへの感圧導電性樹脂粒子の充填方法について説明する。尚、ピンホール部分での荷重をかけた際の前述の体積抵抗率を、前述の差を満たす範囲に制御するには、ピンホールに対して感圧導電性樹脂粒子を密に充填することが重要である。そのため、ピンホールを有する発泡体本体に電界を掛け、且つ感圧導電性樹脂粒子に前記発泡体本体とは逆極性の電界を掛けつつ、ピンホールに感圧導電性樹脂粒子を静電的な引力によって充填する方法を採用することが好ましい。
【0069】
ここで、感圧導電性樹脂粒子の充填方法の一例について図を用いて説明する。尚、ここでは、円筒状の導電性芯材の外周に円筒状の導電性発泡成形体からなる導電性発泡層を備える導電性ロールを用いた場合について説明する。
【0070】
図2は、ピンホールに感圧導電性樹脂粒子を充填する方法を説明するための概略図である。導電性ロール66は、導電性芯材60上に導電性発泡層62を備え、導電性発泡層62の表面にはピンホール56Bが存在する。導電性ロール66の導電性芯材60に対し、電源70から電界(ここでは+)を印加し、一方感圧導電性樹脂粒子50に導電性ロール66に印加した電界とは逆極性の電界(ここでは−)を掛け、導電性ロール66の導電性発泡層62の表面に感圧導電性樹脂粒子50を静電的に転写する。この際、ピンホール56Bが存在する部分では、静電的に転写された感圧導電性樹脂粒子50が該ピンホール56Bに密に充填される。その後回転する導電性ロール66の表面をクリーニングブレード64で摺擦して、導電性発泡層62の表面(ピンホール56B以外の部分)に残存した感圧導電性樹脂粒子50を除去することで、導電性発泡層62のピンホール56Bにのみ感圧導電性樹脂粒子50が充填される。
【0071】
<導電性ロール>
本実施形態に係る導電性発泡成形体は、多様な態様で用いられ、例えば円筒状の導電性芯材(以下単に「芯材」とも称す)の外周に本実施形態に係る導電性発泡成形体からなる円筒状の導電性発泡層を備える導電性ロールとして用いられる。
【0072】
芯材の材質としては、例えば、鉄、銅、真鍮、ステンレス、アルミニウム、ニッケル等の金属または合金、または、導電性樹脂等が挙げられる。
【0073】
尚、導電性ロールは、芯材と導電性発泡層との間に導電性の中間層が配置されていてもよい。中間層は、例えば、ゴム材料(弾性材料)と、導電剤と、その他添加剤と、を含んで構成される。
中間層を構成するゴム材料としては、例えば、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、ブチルゴム、ポリウレタン、シリコーンゴム、フッ素ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド共重合ゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン3元共重合ゴム(EPDM)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、天然ゴム等、およびこれらを混合したゴムが挙げられる。
中間層に含まれる導電剤としては、発泡体本体に用いられる前記した導電剤が挙げられる。
【0074】
<画像形成装置>
本実施形態に係る導電性ロールは、多様な用途に用いられ、例えば画像形成装置における転写部材として用いられる。具体的には中間転写ベルトの内面に接し電子写真感光体に対向するよう配置される一次転写ロール、中間転写ベルト等の中間転写部材の外面に接して配置される二次転写ロール、該二次転写ロールに接して配置される給電ロール、直接転写方式の画像形成装置において電子写真感光体に接して配置される転写ロール等が挙げられる。
【0075】
例えば、本実施形態に係る画像形成装置としては、電子写真感光体と、前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、トナーを含む現像剤を収容し、前記静電潜像を前記現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、前記電子写真感光体の表面に形成された前記トナー像が転写される中間転写ベルトと、前記中間転写ベルトの内周面に接する本実施形態に係る導電性ロールを備え、前記電子写真感光体の表面に形成された前記トナー像を前記中間転写ベルトの外周面に一次転写する一次転写手段と、前記中間転写ベルトの表面に転写された前記トナー像を記録媒体に転写する二次転写手段と、を備える態様が挙げられる。
【0076】
また、電子写真感光体と、前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、トナーを含む現像剤を収容し、前記静電潜像を前記現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、前記電子写真感光体の表面に形成された前記トナー像が転写される中間転写部材と、前記電子写真感光体の表面に形成された前記トナー像を前記中間転写部材の外周面に一次転写する一次転写手段と、前記中間転写ベルトの外周面に接する本実施形態に係る導電性ロールを備え、前記中間転写部材の表面に転写された前記トナー像を記録媒体に転写する二次転写手段と、を備える態様が挙げられる。
【0077】
また、電子写真感光体と、前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、トナーを含む現像剤を収容し、前記静電潜像を前記現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、前記電子写真感光体の表面に形成された前記トナー像が転写される中間転写部材と、前記電子写真感光体の表面に形成された前記トナー像を前記中間転写部材の外周面に一次転写する一次転写手段と、前記中間転写部材の外周面に接する二次転写ロール、および前記二次転写ロールに接し該二次転写ロールを帯電する本実施形態に係る導電性ロールを備え、前記中間転写部材の表面に転写された前記トナー像を記録媒体に転写する二次転写手段と、を備える態様が挙げられる。
【0078】
また、電子写真感光体と、前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、トナーを含む現像剤を収容し、前記静電潜像を前記現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、前記電子写真感光体に接し、該電子写真感光体との接触領域に記録媒体を搬送する記録媒体搬送ベルトと、前記記録媒体搬送ベルトの内周面に接する本実施形態に係る導電性ロールを備え、前記電子写真感光体の表面に形成された前記トナー像を前記記録媒体の表面に転写する転写手段と、を備える態様が挙げられる。
【0079】
ここで、本実施形態に係る画像形成装置の一例について、図面を用いて説明する。
図3は、本実施形態に係る画像形成装置の構成の一例を概略的に示している。本実施形態に係る画像形成装置100は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー像を形成する画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kを備えている。
各画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kは同様の構成とされている。以下では、各画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kの構成を代表してイエロートナー像を形成する画像形成ユニット10Yについて主に説明する。なお、以降、YMCKを区別する必要がある場合は、符号の後にY、M、C、Kのいずれかを付して説明し、YMCKを区別する必要が無い場合は、適宜、Y、M、C、Kを省略する。
【0080】
各画像形成ユニット10は、それぞれ電子写真感光体12と、電子写真感光体12の表面を帯電する帯電手段13と、帯電した電子写真感光体12の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段14と、トナーを含む現像剤を収容し、静電潜像を現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段15と、電子写真感光体12の表面に形成されたトナー像を中間転写ベルトの外周面に一次転写する一次転写手段(一次転写ロール)16とを備えている。
本実施形態に係る画像形成装置100は、さらに、中間転写ベルト上に転写されたトナー像を記録媒体Pに転写するための二次転写手段として、二次転写ロール36と、背面ロール34と、給電ロール58とを含む二次転写手段と、記録媒体Pに転写されたトナー像を定着する定着手段31とを備えている。
以下、各構成について具体的に説明する。
【0081】
(電子写真感光体)
電子写真感光体(以下単に「感光体」とも記す。)12としては、感光層が無機材料で構成される無機感光体や、感光層が有機材料で構成される有機感光体などが用いられる。有機感光体においては、露光により電荷を発生する電荷発生層と、電荷を輸送する電荷輸送層を積層する機能分離型の有機感光体や、電荷を発生する機能と電荷を輸送する機能を1つの層が果たす単層型有機感光体が好適に用いられる。また、無機感光体においては、感光層がアモルファスシリコンにより構成されているものが好適に用いられる。
なお、本実施形態における感光体12の形状には特に限定はなく、例えば、円筒ドラム状、シート状或いはプレート状等、公知の形状が採用される。
【0082】
(帯電手段)
感光体12の表面を帯電する帯電手段としては、例えば、導電性または半導電性のローラ、ブラシ、フィルム、またはゴムブレード等を用いた接触型帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器など、公知の帯電器が広く適用される。
本実施形態では、中間転写ベルト30に対して感光体12Yを挟んで反対側には、感光体12Yの表面と接して感光体12Yの表面を帯電させると共に、感光体12Yの回転に伴って回転する帯電ロール13Yが設けられている。
【0083】
また、帯電ロール13Yに対して感光体12Yの回転方向上流側には、感光体12Yの表面から中間転写ベルト30に転写されずに残留した残留トナーを感光体12Yの表面から掻き落とすブレード19Yが設けられている。
【0084】
(潜像形成手段)
潜像形成手段としては、例えば、半導体レーザー光、LED光、または液晶シャッタ光等の光源、或いはこれらの光源からポリゴンミラーを介して像様に露光する光学系機器など、公知の露光装置が適用される。
本実施形態では、帯電ロール13Yにより帯電した感光体12Yの表面を露光光により露光してイエロー画像に対応する静電潜像を形成する露光装置14Yが設けられている。
【0085】
(現像手段)
現像手段としては、例えば、トナーを含む一成分系現像剤またはトナーおよびキャリアを含む二成分系現像剤を収容し、ブラシ、ロール等を用い、静電潜像が形成された感光体の表面を接触或いは非接触させて現像する公知の現像器などが挙げられる。
本実施形態では、帯電ロール13Yに対して感光体12Yの回転方向下流側には、露光装置14により形成された静電潜像をイエロートナー像として可視化(現像)する現像装置15Yが設けられている。現像装置15Yには、感光体12Yの回転に伴って回転する現像ロール18Yが設けられている。
例えば、マイナスの電荷に帯電したトナーが現像ロール18Yの外周面から感光体12Yの表面に形成された静電潜像に転移して、静電潜像がイエロートナー像として可視化(現像)される。
【0086】
本実施形態で用いるトナーの体積平均粒径(D50v)は、コールターマルチサイザー−II型(コールター社製)を用いて、100μmのアパーチャ径で測定することにより得られる。このとき、測定はトナーを電解質水溶液(アイソトンII水溶液)に分散させ、超音波により30秒以上分散させた後に行う。測定されるトナーの粒度分布を基にして分割された粒度範囲(チャネル)に対して体積、数をそれぞれ小径側から累積分布を描いて、累積50%となる粒径を体積D50v、数D50pと定義する。この際、D50vは体積平均粒径を表す。
本実施形態で用いるトナーの体積平均粒径は、高画質化の観点から小径であることが望ましく、具体的には、10μm以下であることが望ましい。
【0087】
本実施形態で用いるトナーは、例えば、結着樹脂と着色剤を含んで構成される。
結着樹脂としては、スチレン類、モノオレフィン類、ビニルエステル類、α−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類、ビニルエーテル類、ビニルケトン類等の単独重合体または共重合体が例示され、特に代表的な結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、またはポリプロピレン等が挙げられる。更に、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、変性ロジン、またはパラフィンワックス等も挙げられる。
【0088】
着色剤としては、マグネタイト、フェライト等の磁性粉、カーボンブラック、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・ブルー15:1、またはC.I.ピグメント・ブルー15:3等が代表的なものとして挙げられる。
【0089】
トナーには、帯電制御剤、離型剤、他の無機粒子等の公知の添加剤を内添加処理や外添加処理してもよい。
帯電制御剤としては、公知のものが使用されるが、アゾ系金属錯化合物、サリチル酸の金属錯化合物、極性基を含有するレジンタイプ等の帯電制御剤が用いられる。
離型剤としては、低分子ポリエチレン、低分子ポリプロピレン、フィッシャートロプシュワックス、モンタンワックス、カルナバワックス、ライスワックス、またはキャンデリラワックス等が代表的なものとして挙げられる。
他の無機粒子としては、粉体流動性、帯電制御等の目的で、平均一次粒径が40nm以下の小径無機粒子を用い、更に必要に応じて、付着力低減の為、それより大径の無機或いは有機粒子を併用してもよい。これらの他の無機粒子は公知のものが使用される。また、小径無機粒子については表面処理することにより、分散性が高くなり、粉体流動性をあげる効果が大きくなるため有効である。
【0090】
トナーの製造方法としては、乳化重合凝集法や溶解懸濁法等の重合法が用いられる。また、これらの方法で得られたトナーをコアにして、更に凝集粒子を付着、加熱融合してコアシェル構造をもたせる製造方法を行ってもよい。なお、外添剤を添加する場合、トナーおよび外添剤をヘンシェルミキサー或いはVブレンダー等で混合することによって製造される。また、トナーを湿式にて製造する場合は、湿式にて外添することもある。
【0091】
(中間転写ベルト)
感光体12の表面に形成されたトナー像が転写される中間転写ベルト30は、電子写真方式の画像形成装置に用いられる公知の材料、例えば、ポリイミドなどの樹脂とカーボンブラックなどの導電剤を含んで無端状に構成されている。中間転写ベルト30は、背面ロール34と複数の支持ロール32とに巻き掛けられている。画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kは、中間転写ベルト30の進行方向に対して、画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kの順番で直列に配列されている。
【0092】
なお、背面ロール34に対して中間転写ベルト30を挟んで反対側には、中間転写ベルト30からシート部材Pに転写されなかった残留トナーを清掃する清掃ロール33が設けられている。なお、中間転写ベルト30上の残留トナーを除去する手段としては、ブラシやブレードを用いてもよい。
【0093】
(一次転写手段)
各画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kに備えられた感光体12Y,12M,12C,12Kに対して中間転写ベルト30を挟んで反対側には、感光体12の表面に形成された各色のトナー像を中間転写ベルト30に一次転写する一次転写ロール16Y,16M,16C,16Kが設けられている。一次転写ロール16Y,16M,16C,16Kに転写バイアス電圧が印加され、各感光体12の表面に形成された各色のトナー像が、静電吸引力によって中間転写ベルト30上に順次一次転写される。
尚、本実施形態では、一次転写ロール16として前述の本実施形態に係る導電性ロールが適用される。
【0094】
(二次転写手段)
中間転写ベルト30に転写されたトナー像を記録媒体Pに二次転写する二次転写手段として、二次転写ロール36、背面ロール34、および給電ロール58が設けられている。
二次転写ロール36は、その外周面が中間転写ベルト30のトナー像が転写される側に接触するように背面ロール34に対して中間転写ベルト30を挟んで反対側に配置されている。
【0095】
二次転写ロール36は、記録媒体としてのシート部材Pが積載されている給紙部38から搬送されるシート部材Pを中間転写ベルト30との間で挟んで搬送し、シート部材Pには、中間転写ベルト30に形成されたトナー像が転写される。
【0096】
なお、二次転写ロール36の中間転写ベルト30との接触部と給電ロール58との接触部との間に二次転写ロール36の外周面に付着したトナーを除去するための清掃ブレードなどの清掃手段を設けてもよい。
【0097】
給電ロール58は、二次転写ロール36に対して外周面同士で接触するように配置されている。給電ロール58は、二次転写ロール36の回転に伴って回転し、給電ロール58に電圧を印加することで中間転写ベルト30のトナー像が記録媒体Pに転写される。
具体的には、給電ロール58は電源(不図示)の一方の端子に電気的に接続されており、電源の他方の端子が背面ロール34に接続されている。電源から給電ロール58に電圧が印加されると、二次転写ロール36における給電ロール58と接触した領域から二次転写ロール36に電圧が印加される。そして、この二次転写ロール36への電圧の印加によって、二次転写ロール36と背面ロール34との間に、中間転写ベルト30上に保持されたトナー像が二次転写ロール36側(記録媒体P側)に移行する電界が形成されることで、中間転写ベルト30上のトナー像が中間転写ベルト30と二次転写ロール36との間に搬送されたシート部材Pに転写される。
尚、本実施形態では、二次転写ロール36、給電ロール58として前述の本実施形態に係る導電性ロールが適用される。
【0098】
(定着手段)
定着手段としては、例えば、熱ローラ定着器や加圧ローラ定着器、またはフラッシュ定着器など公知の定着器が広く適用される。
本実施形態では、二次転写ロール36に対してシート部材Pの搬送方向下流側に、シート部材Pに転写されたトナー像を熱と圧力でシート部材Pに定着させる定着装置31が設けられている。
【0099】
画像形成装置100を作動させると、各色の感光体12の表面は、帯電ロール13により帯電される。次に、各色の露光装置14により、露光光が帯電した感光体12に照射され、感光体12の表面には、各色のトナー像に対応した静電潜像が形成される。
【0100】
各色の感光体12の表面に形成された静電潜像には、現像バイアスが印加された各色のトナーが現像ロール18の外周面から転移し、各色の静電潜像がトナー像として可視化(現像)される。
【0101】
各色の感光体12の表面に形成されたトナー像は、一次転写ロール16の圧接力と、一次転写ロール16に印加された転写バイアス電圧による静電吸引力によって、中間転写ベルト30上に順次一次転写される。つまり、中間転写ベルト30上に、順次、Y,M,C,Kの各色トナー像が重ねられ、多重のトナー像(例えばカラートナー像)が形成される。
【0102】
そして、中間転写ベルト30上に形成された多重のトナー像は、周回する中間転写ベルト30により、二次転写ロール36と対向する位置に搬送される。
【0103】
二次転写ロール36は、給紙部38から搬送されるシート部材Pを中間転写ベルト30との間で挟んで搬送し、シート部材Pには、二次転写ロール36と対向する位置に搬送されたトナー像が転写される。
【0104】
給電ロール58から二次転写ロール36に電流が流れ、さらに、二次転写ロール36からシート部材Pおよび中間転写ベルト30を通って背面ロール34に電流(転写電流)が流れる。
【0105】
二次転写ロール36から背面ロール34に転写電流が流れることで、中間転写ベルト30上に形成されたマイナスに帯電したトナーは、静電吸引力によってシート部材Pに転写される。
【0106】
トナー像が転写されたシート部材Pは、中間転写ベルト30から離れた後、定着装置31へと搬送され、トナー像は、熱と圧力とによりシート部材Pに定着され、図示せぬ排出部に排出される。
【実施例】
【0107】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。尚、以下において「%」は、特に断りのない限り、質量基準を表す。
【0108】
−実施例1−
<感圧導電性樹脂粒子の作製>
ヘキサン溶媒中に、常温硬化シリコーンゴム(信越化学工業社製、KE−445)、導電性カーボンブラック(ケッチンブラックEC600JD、粒径20nmから40nm、平均粒径34nm)、シリコーンゴム粒子(東レダウコーニング社製、トスパール、粒径2μmから3μm、平均粒径2μm、球形)を仕込み、混合した後、エバポレーションによりヘキサンを除去した。この混合物をカレンダー成形機で圧延し24Hr放置、硬化させ導電性樹脂を得た。この導電性樹脂を10mm×10mmに切り取り、冷凍粉砕機により粒子径50μmから100μmの感圧導電性樹脂粒子を得た。
感圧導電性樹脂粒子の各材料配合は常温硬化シリコーンゴム65%、導電性カーボンブラック3%、シリコーンゴム粒子32%であった。
【0109】
<導電性ロールの作製>
導電性ロールとして、以下の方法により直径18mmの導電性ウレタン発泡ロールを作製した。
導電剤、ポリオール、イソシアネート、酸化防止剤、発泡剤、触媒からなる材料をφ22型の成形型に注入し、150℃で30分乾燥後、型から取り出し、その後、130℃で4時間キュアを施したのち、金属製の芯材を中央部に挿通し、更にトラバース研磨にて導電性ロールを作製した。
得られた導電性ロールの外周面にはセルが存在し、且つ
図1に示すごとく孔径2mmの孔(ピンホール)が形成されていた。
【0110】
<ピンホールの感圧導電性樹脂粒子による充填>
孔径2mmの孔(ピンホール)が存在する導電性ロールを、
図2に示すごとく電源に接続して正電圧を印加し、一方前記感圧導電性樹脂粒子をコロナ放電により負帯電とし、導電性ロール表面に感圧導電性樹脂粒子を静電的に転写すると共に、クリーニングブレードで表面を清掃し、ピンホール中に感圧導電性樹脂粒子を充填した。
【0111】
感圧導電性樹脂粒子のピンホール内での充填率(体積%)、ピンホールを含む特定領域(4.0mm
2)での特定条件(1kgの荷重をかけ且つ1500Vの電圧を印加した際)での電流量および体積抵抗率の常用対数値を測定した。結果を表1に示す。
【0112】
−画出し評価−
上記作製した導電性ロールを、富士ゼロックス社製の画像形成装置(DocuPrint4050)において一次転写ロールとして組み込んだ。
HT(ハーフトーン)30%画像を1000枚繰り返して画像形成し、白抜けの画像欠陥の発生具合と、発生している場合にはその大きさを評価した。
結果を表1に示す。
【0113】
−実施例2−
感圧導電性樹脂粒子に対し、負帯電制御剤(オリエント化学工業(株)社製、商品名:S−04)を、感圧導電性樹脂粒子100質量部に対し2質量部外添した以外は、実施例1と同様にして導電性ロールを作製し、画出し評価を行った。
【0114】
−比較例1−
導電性ロールの孔径2mmピンホールに対して、感圧導電性樹脂粒子の封入(充填)処理をすることなく、画出し評価を実施した。
【0115】
−比較例2−
導電性ロール表面の孔径2mmピンホールへの感圧導電性樹脂粒子の封入(充填)処理を、電圧をかけずに物理的に押し込む方法で行った以外は、実施例2と同様にして導電性ロールを作製し、画出し評価を行った。
【0116】
【表1】