(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明に係る運転支援装置の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
(構成)
図1は、運転支援装置を搭載した車両Aを表すブロック図である。
図1に示すように、車両Aは、操舵部1、転舵部2、及びバックアップクラッチ3を備える。そして、車両Aは、操向輪である左右前輪4FL、4FR(転舵部2)とステアリングホイール5(操舵部1)とが機械的に切り離されたSBWシステムを構成している。
【0009】
操舵部1は、ステアリングホイール5、コラムシャフト6、反力モータ7、及び操舵角センサ8を備える。
コラムシャフト6は、ステアリングホイール5と一体に回転する。
反力モータ7は、SBWコントローラ18からの指令(電流ドライバ24(後述)が出力した指令電流)に応じて、コラムシャフト6に操舵反力を出力する。反力モータ7としては、例えば、出力軸がコラムシャフト6と同軸のブラシレスモータ等を採用できる。
【0010】
操舵角センサ8は、ステアリングホイール5の操舵角を検出する。そして、操舵角センサ8は、検出結果を後述するSBWコントローラ18に出力する。
転舵部2は、ピニオンシャフト9、ステアリングギア10、転舵モータ11、及び転舵角センサ12を備える。
ステアリングギア10は、ピニオンシャフト9の回転に応じて、左右前輪4FL、4FRを転舵する。ステアリングギア10としては、例えば、ラック・アンド・ピニオン式のステアリングギア等を採用できる。
【0011】
転舵モータ11は、SBWコントローラ18からの指令(電流ドライバ23(後述)が出力した指令電流)に応じて、ラック13に左右前輪4FL、4FRを転舵するための転舵トルクを出力する。転舵モータ11としては、例えば、出力軸が減速機を介してラックギア14と接続されたモータを採用できる。
転舵角センサ12は、転舵モータ11の回転角を検出する。ここで、転舵モータ11の回転角と左右前輪4FL、4FRの転舵角とは、一意に定まる相関関係がある。それゆえ、左右前輪4FL、4FRの転舵角は、転舵モータ11の回転角から検出できる。そのため、左右前輪4FL、4FRの転舵角は、転舵モータ11の回転角から算出する。
【0012】
バックアップクラッチ3は、コラムシャフト6とピニオンシャフト9との間に設けられている。そして、バックアップクラッチ3は、解放状態になると操舵部1と転舵部2とを機械的に切り離し、締結状態になると操舵部1と転舵部2とを機械的に接続する。
また、車両Aは、カメラ15、各種センサ(車速センサ16a、加速度センサ16b、ペダル操作センサ16c)、及びナビゲーションシステム17を備える。
【0013】
カメラ15は、車両A前方の走行路の映像を検出する。続いて、カメラ15は、検出結果をSBWコントローラ18に出力する。
車速センサ16aは、車両Aの車速を検出する。続いて、車速センサ16aは、検出結果をSBWコントローラ18に出力する。
加速度センサ16bは、車両Aの前後方向の加速度(以下、前後加速度とも呼ぶ)、及び車両Aの車幅方向の加速度(以下、横加速度とも呼ぶ)を検出する。そして、加速度センサ16bは、検出結果をSBWコントローラ18に出力する。
【0014】
ペダル操作センサ16cは、車両Aのアクセルペダルの操作量及びブレーキペダルの操作量(以下、ペダル操作情報とも呼ぶ)を検出する。そして、ペダル操作センサ16cは、検出結果をSBWコントローラ18に出力する。
ナビゲーションシステム17は、GPS(Global Positioning System)受信機、地図データベース、及び表示モニタを備える。そして、ナビゲーションシステム17は、GPS受信機及び地図データベースから車両Aの位置及び道路情報を取得する。続いて、ナビゲーションシステム17は、取得した車両Aの位置及び道路情報に基づいて経路探索を行う。続いて、ナビゲーションシステム17は、経路探索の結果を表示モニタに表表する。また、ナビゲーションシステム17は、取得した道路情報のうち、車両Aの走行路の道路情報(例えば、走行路の種別(高速道路、一般道)、及び現在の車両A位置の走行路の車線幅(以下、車線幅情報とも呼ぶ)をSBWコントローラ18に出力する。
【0015】
また、車両Aは、SBWコントローラ18を備える。
SBWコントローラ18は、操舵角センサ8、転舵角センサ12、カメラ15、車速センサ16a、加速度センサ16b、ペダル操作センサ16c、及びナビゲーションシステム17が出力した検出結果(各種情報)を取得する。
また、SBWコントローラ18は、転舵角制御部19、操舵反力制御部20、映像処理部21、及び運転技量判定部22を備える。
【0016】
転舵角制御部19は、取得した各種情報に基づいて、左右前輪4FL、4FRの転舵角を制御する指令(以下、指令転舵角とも呼ぶ)を算出する。そして、転舵角制御部19は、算出した指令転舵角を電流ドライバ23に出力する。転舵角制御部19の詳細は後述する。
操舵反力制御部20は、取得した各種情報に基づいて、コラムシャフト6に付与する操舵反力を制御する指令(以下、指令操舵反力とも呼ぶ)を算出する。そして、操舵反力制御部20は、算出した指令操舵反力を電流ドライバ24に出力する。操舵反力制御部20の詳細は後述する。
【0017】
映像処理部21は、カメラ15から取得した車両Aの前方の走行路の映像に対して、エッジ抽出等の画像処理を行って走行車線の左右の走行路区分線(以下、道路白線とも呼ぶ)を検出する。そして、映像処理部21は、検出結果(以下、白線情報とも呼ぶ)を転舵角制御部19及び操舵反力制御部20に出力する。
図2は、エラー値θe(乖離度合い)の算出方法を説明するための説明図である。
【0018】
運転技量判定部22は、取得した各種情報(操舵角センサ8、加速度センサ16b、ペダル操作センサ16c、及びナビゲーションシステム17から取得した操舵角θ、前後加速度Xg、横加速度Yg、ペダル操作情報、及び道路情報)に基づいて、車両Aの運転者の運転技量を判定する。具体的には、運転技量判定部22は、操舵角センサ8から過去のサンプリング時点に取得した過去の3個の操舵角θ(例えば、1サンプリング前、2サンプリング前、3サンプリング前の操舵角θ)に基づいて、操舵角推定値θhatを算出する。操舵角θのサンプリング間隔は、例えば、150ミリ秒とする。操舵角推定値θhatは、
図2に示すように、車両Aの運転者がステアリングホイール5を滑らかに操舵した場合の、現在のサンプリング時点における操舵角θの推定値である。操舵角推定値θhatの算出方法としては、例えば、過去の3個の操舵角θに二次のテイラー展開を施す方法がある。
【0019】
続いて、運転技量判定部22は、算出した操舵角推定値θhat及び操舵角センサ8から取得した操舵角θに基づいて、下記(1)式に従ってエラー値θeを算出する。そして、運転技量判定部22は、算出したエラー値θeを操舵反力制御部20に出力する。ここで、操舵角推定値θhatと操舵角θとは、ステアリングホイール5の操舵状態が滑らかである場合には近接する。また、ステアリングホイール5の操舵状態は、運転者の運転技量が高いほど滑らかになる。それゆえ、エラー値θeは、運転者の運転技量が高いほど小さくなる。そのため、エラー値θeは、運転者の運転技量を表す指標になる。
【0020】
θe=θhat−θ ……(1)
続いて、運転技量判定部22は、操舵角センサ8、加速度センサ16b、ペダル操作センサ16c、及びナビゲーションシステム17から取得した操舵角θ、前後加速度Xg、横加速度Yg、ペダル操作情報、及び道路情報に基づいて、車両Aの走行シーンを推定する。車両Aの走行シーンとしては、例えば、車両Aの走行路の路面摩擦係数(路面μ)、走行路の種別(高速道路、一般道)等、車両Aの走行環境を表すものがある。
【0021】
続いて、運転技量判定部22は、算出したエラー値θeに基づいて車両Aの運転者の運転技量を設定する。具体的には、運転技量判定部22は、エラー値θeが予め定めた設定閾値θth以上であるか否か、つまり、車両Aの運転者がステアリングホイール5を滑らかに操舵しているか否かを判定する。ここで、設定閾値θthは、車両A毎及び走行シーン(車両Aの走行路の路面摩擦係数(路面μ)、走行路の種別(高速道路、一般道))毎に適切な数値が異なる。それゆえ、設定閾値θthの設定方法としては、例えば、事前に実車実験を行って車両A毎及び走行シーン毎に対応する適切な数値を導出しておき、導出しておいた数値のうちから走行シーンに対応する設定閾値θthを用いる方法を採用できる。そして、運転技量判定部22は、エラー値θeが設定閾値θth以上であると判定した場合には、車両Aの運転者がステアリングホイール5を滑らかに操舵していないと判定し、運転者の運転技量が低い(初心者)と判定する。一方、運転技量判定部22は、エラー値θeが設定閾値θth未満であると判定した場合には、車両Aの運転者がステアリングホイール5を滑らかに操舵していると判定し、運転者の運転技量が高い(中級者以上)と判定する。そして、運転技量判定部22は、判定結果を操舵反力制御部20に出力する。
【0022】
また、車両Aは、電流ドライバ23、及び電流ドライバ24を備える。
電流ドライバ23は、転舵角センサ12から検出される転舵角をSBWコントローラ18が出力した指令転舵角と一致させる指令電流を設定する。そして、電流ドライバ23は、設定した指令電流を転舵モータ11に出力する。
電流ドライバ24は、反力モータ7の電流値から推定される操舵反力を操舵反力制御部20が出力した指令操舵反力と一致させる指令電流を設定する。そして、電流ドライバ24は、設定した指令電流を反力モータ7に出力する。
【0023】
(転舵角制御部19)
図3は、転舵角制御部19の構成を表すブロック図である。
図3に示すように、転舵角制御部19は、SBW指令転舵角演算部31、外乱抑制指令転舵角演算部32、及び加算器19aを備える。
SBW指令転舵角演算部31は、操舵角センサ8及び車速センサ16aが出力した検出結果(操舵角、車速)に基づいて、ステアリングホイール5の操舵に応じた左右前輪4FL、4FRの転舵角とするための転舵角(以下、SBW指令転舵角とも呼ぶ)を算出する。そして、SBW指令転舵角演算部31は、算出結果を加算器19aに出力する。
【0024】
外乱抑制指令転舵角演算部32は、車速センサ16a及び映像処理部21が出力した検出結果(車速、道路白線情報)に基づいて、SBW指令転舵角演算部31が出力した算出結果(SBW指令転舵角)を補正するための転舵角(以下、外乱抑制指令転舵角とも呼ぶ)を算出する。外乱抑制指令転舵角としては、例えば、外乱により発生したヨー角(後述)等を低減するための転舵角がある。そして、外乱抑制指令転舵角演算部32は、算出結果を加算器19aに出力する。外乱抑制指令転舵角演算部32の詳細は後述する。
【0025】
加算器19aは、SBW指令転舵角演算部31が出力した算出結果(SBW指令転舵角)に外乱抑制指令転舵角演算部32が出力した算出結果(外乱抑制指令転舵角)を加算する。これにより、加算器19aは、SBW指令転舵角を外乱抑制指令転舵角で補正する。そして、加算器19aは、加算結果を指令転舵角として電流ドライバ23に出力する。
図4は、外乱抑制指令転舵角演算部32の構成を表すブロック図である。
【0026】
図4に示すように、ヨー角演算部32a、曲率演算部32b、横位置演算部32c、ヨー角に応じた反発力演算部37、横位置に応じた反発力演算部38、加算器32d、目標ヨーモーメント演算部32e、目標ヨー加速度演算部32f、目標ヨーレイト演算部32g、指令転舵角演算部32h、及びリミッタ処理部32iを備える。
ヨー角演算部32aは、車速センサ16a及び映像処理部21が出力した検出結果(車速、白線情報)に基づいて、前方注視点でのヨー角を算出する。前方注視点でのヨー角としては、例えば、設定時間(例えば、0.5秒)後に走行車線(道路白線)と車両A進行方向とのなす角度がある。そして、ヨー角演算部32aは、算出結果をヨー角に応じた反発力演算部37及び横位置に応じた反発力演算部38に出力する。
【0027】
曲率演算部32bは、車速センサ16a及び映像処理部21が出力した検出結果(車速、白線情報)に基づいて、前方注視点での道路白線の曲率を算出する。前方注視点での道路白線の曲率としては、例えば、設定時間(0.5秒)後の車両A位置の走行車線(道路白線)の曲率がある。そして、曲率演算部32bは、算出結果をヨー角に応じた反発力演算部37及び横位置に応じた反発力演算部38に出力する。
【0028】
横位置演算部32cは、映像処理部21が出力した検出結果(白線情報)に基づいて、前方注視点での車両Aから道路白線までの距離(横位置)(以下、前方注視点での横位置とも呼ぶ)を算出する。前方注視点での横位置としては、例えば、設定時間(0.5秒)後の車両A位置から道路白線までの距離(横位置)がある。そして、横位置演算部32cは、算出結果を横位置に応じた反発力演算部38に出力する。
【0029】
ヨー角に応じた反発力演算部37は、ヨー角演算部32a、曲率演算部32b、及び車速センサ16aが出力した検出結果(前方注視点でのヨー角、前方注視点での道路白線の曲率、車速)に基づいて、ヨー角フィードバック制御(転舵制御)を行う。ヨー角フィードバック制御では、外乱により発生したヨー角を低減するための車両Aの反発力(以下、ヨー角に応じた反発力とも呼ぶ)を算出する。これにより、ヨー角フィードバック制御では、前方注視点でのヨー角に基づいて当該ヨー角が低減する方向へ左右前輪4FL、4FRの転舵角を制御する。そして、ヨー角に応じた反発力演算部37は、算出結果を加算器32dに出力する。ヨー角に応じた反発力演算部37の詳細は後述する。
【0030】
横位置に応じた反発力演算部38は、ヨー角演算部32a、曲率演算部32b、横位置演算部32c、及び車速センサ16aが出力した検出結果(前方注視点でのヨー角、前方注視点での道路白線の曲率、前方注視点での横位置、車速)に基づいて、横位置フィードバック制御(転舵角制御)を行う。横位置フィードバック制御では、外乱により発生した横位置変化を低減するための車両Aの反発力(以下、横位置に応じた反発力とも呼ぶ)を算出する。これにより、横位置フィードバック制御では、前方注視点での横位置に基づいて車両Aが走行車線の中央方向、つまり、横位置が低減する方向へ左右前輪4FL、4FRの転舵角を制御する。そして、横位置に応じた反発力演算部38は、算出結果を加算器32dに出力する。横位置に応じた反発力演算部38の詳細は後述する。
【0031】
加算器32dは、ヨー角に応じた反発力演算部37が出力した算出結果(ヨー角に応じた反発力)、及び横位置に応じた反発力演算部38が出力した算出結果(横位置に応じた反発力)を加算する。そして、加算器32dは、加算結果(以下、横方向反発力とも呼ぶ)を目標ヨーモーメント演算部32eに出力する。
目標ヨーモーメント演算部32eは、加算器32dが出力した算出結果(横方向反発力)に基づいて、目標ヨーモーメントを算出する。具体的には、目標ヨーモーメント演算部32eは、横方向反発力、ホイールベースWHEELBASE、後輪軸重、及び前輪軸重に基づき、下記(2)式に従って目標ヨーモーメントM
*を算出する。そして、目標ヨーモーメント演算部32eは、算出結果を目標ヨー加速度演算部32fに出力する。
【0032】
M
*=横方向反発力×(後輪軸重/(前輪軸重+後輪軸重))×WHEELBASE ……(2)
目標ヨー加速度演算部32fは、目標ヨーモーメント演算部32eが出力した算出結果(目標ヨーモーメント)に基づいて、目標ヨー加速度を算出する。具体的には、目標ヨー加速度演算部32fは、目標ヨーモーメントに予め定めたヨー慣性モーメント係数を乗算する。そして、目標ヨー加速度演算部32fは、乗算結果を目標ヨー加速度として目標ヨーレイト演算部32gに出力する。
【0033】
目標ヨーレイト演算部32gは、目標ヨー加速度演算部32fが出力した算出結果(目標ヨー加速度)に基づいて、目標ヨーレイトを算出する。具体的には、目標ヨーレイト演算部32gは、目標ヨー加速度に車頭時間を乗算する。そして、目標ヨーレイト演算部32gは、乗算結果を目標ヨーレイトとして指令転舵角演算部32hに出力する。
指令転舵角演算部32hは、目標ヨーレイト演算部32g及び車速センサ16aが出力した検出結果(目標ヨーレイト、車速)に基づいて、外乱抑制指令転舵角を算出する。具体的には、指令転舵角演算部32hは、目標ヨーレイトφ
*、車速V、ホイールベースWHEELBASE、及び車両Aの特性速度Vchに基づき、下記(3)式に従って外乱抑制指令転舵角δst
*を算出する。ここで、車両Aの特性速度Vchとしては、例えば、既知のアッカーマン方程式の中の、車両Aのセルフステアリング特性を表すパラメータがある。そして、指令転舵角演算部32hは、算出結果をリミッタ処理部32iに出力する。
【0034】
δst
*=(φ
*×WHEELBASE×(1+(V/Vch)2)×180)/(V×MPI) ……(3)
なお、MPIは、予め定めた係数である。
リミッタ処理部32iは、指令転舵角演算部32hが出力した算出結果(外乱抑制指令転舵角δst
*)の最大値及び変化率の上限を制限する。外乱抑制指令転舵角δst
*の最大値は、コンベンショナルな操舵装置(操舵部1と転舵部2とが機械的に接続された操舵装置)において、ステアリングホイール5の操舵角が中立位置付近の遊びの角度範囲(例えば、左右3°)にあるときの当該遊びの範囲に対応する左右前輪4FL、4FRの転舵角範囲(例えば、左右0.2°)とする。そして、リミッタ処理部32iは、制限後の外乱抑制指令転舵角δst
*を加算器19a(
図3参照)に出力する。
【0035】
図5は、ヨー角に応じた反発力演算部37の構成を表すブロック図である。
図5に示すように、ヨー角に応じた反発力演算部37は、上下限リミッタ37a、設定ゲイン乗算部37b、ゲイン補正部37c、車速補正ゲイン乗算部37d、曲率補正ゲイン乗算部37e、及び乗算器37fを備える。
上下限リミッタ37aは、ヨー角演算部32aが出力した算出結果(前方注視点でのヨー角)に上下限リミッタ処理を行う。上下限リミッタ処理では、例えば、ヨー角が正値の場合(道路白線と車両A進行方向の延長線とが交差するときのヨー角を正とする)には、外乱を抑制可能な設定値以上の値で、且つ、車両Aが振動的となる値及び運転者の操舵によって発生する値未満の正値(上限値。例えば、1°)とする。また、上下限リミッタ処理では、例えば、ヨー角が負の場合には0とする。そして、上下限リミッタ37aは、上下限リミッタ処理後のヨー角を設定ゲイン乗算部37bに出力する。これにより、上下限リミッタ処理後のヨー角は、ヨー角が発生した場合にのみ正値となる。
【0036】
設定ゲイン乗算部37bは、上下限リミッタ37aが出力した算出結果(上下限リミッタ処理後のヨー角)に予め定めた設定ゲインを乗算する。設定ゲインは、例えば、制御量不足を回避しつつ応答性を確保できる値以上の値とする。また、設定ゲインは、車両Aが振動的となる値、及び運転者が操舵角と転舵角との中立ずれを感じる値未満の値とする。そして、設定ゲイン乗算部37bは、乗算結果(以下、上限値乗算後の設定ゲインとも呼ぶ)をゲイン補正部37cに出力する。
【0037】
図6は、エラー値θeと補正ゲインKとの関係を表すグラフである。
ゲイン補正部37cは、設定ゲイン乗算部37bが出力した乗算結果(上限値乗算後の設定ゲイン)を補正する。具体的には、運転技量判定部22が出力した判定結果等(初心者、中級者以上、エラー値θe)に基づいて補正ゲインKを設定する。まず、ゲイン補正部37cは、運転技量判定部22が判定した運転技量が低い、つまり、初心者であるか否かを判定する。そして、ゲイン補正部37cは、運転技量が低い(初心者)と判定した場合には、
図6に示すように、補正ゲインKの最低値を1とするとともに、エラー値θeが大きいほど補正ゲインKを大きな値とする。一方、ゲイン補正部37cは、運転技量が高い(中級者以上)と判定した場合には、補正ゲインKを1とする。これにより、ゲイン補正部37cは、運転技量が高い(中級者以上)と判定した場合には、運転技量が低い(初心者)と判定した場合に比べ、補正ゲインKを小さくできる。また、ゲイン補正部37cは、車両Aの運転者の運転技量が低い(初級者)と判定した場合には、エラー値θeが大きいほど補正ゲインKを増大できる。続いて、ゲイン補正部37cは、設定した補正ゲインKを設定ゲイン乗算部37bが出力した乗算結果(上限値乗算後の設定ゲイン)に乗算する。そして、ゲイン補正部37cは、乗算結果(以下、ヨー角フィードバックゲインとも呼ぶ)を乗算器37fに出力する。これにより、ゲイン補正部37cは、車両Aの運転者の運転技量が高い(中級者以上)と判定した場合には、運転技量が低い(初心者)と判定した場合に比べ、ヨー角フィードバックゲインを低減できる。
【0038】
車速補正ゲイン乗算部37dは、車速センサ16aが出力した検出結果(車速)に予め定めた車速補正ゲインを乗算する。車速補正ゲインは、例えば、車速が0〜70km/hの範囲で最大値となり、車速70〜130km/hの範囲で車速が大きくなるほど減少し、車速130km/h以上の範囲で最小値(例えば、ほぼ0)となる。そして、車速補正ゲイン乗算部37dは、乗算結果を乗算器37fに出力する。
【0039】
曲率補正ゲイン乗算部37eは、曲率演算部32bが出力した検出結果(前方注視点での曲率)に予め定めた曲率補正ゲインを乗算する。曲率補正ゲインは、例えば、曲率がR1〜R2(>R1)の範囲で最大値となり、曲率がR2〜R3(>R2)の範囲で曲率が大きくなるほど減少し、曲率R3以上の範囲で最小値(例えば、ほぼ0)となる。そして、曲率補正ゲイン乗算部37eは、乗算結果を乗算器37fに出力する。これにより、曲率補正ゲイン乗算部37eは、前方注視点での曲率が大きいほど乗算結果を低減できる。
【0040】
乗算器37fは、設定ゲイン乗算部37b、車速補正ゲイン乗算部37d及び曲率補正ゲイン乗算部37eが出力した算出結果を互いに乗算する。そして、乗算結果をヨー角に応じた反発力として加算器32dに出力する。これにより、乗算器37fは、外乱抑制指令転舵角演算部32は、ヨー角が発生した場合にのみヨー角フィードバック制御を行う。
また、乗算器37f(転舵角制御部19)は、前方注視点での曲率が大きいほど、ヨー角に応じた反発力の絶対値を低減できる。それゆえ、転舵角制御部19は、例えば、車両Aが曲率半径が小さいカーブ路を走行する場合に、ヨー角に応じた反発力を低減できる。そのため、転舵角制御部19は、ヨー角が低減する方向への左右前輪4FL、4FRの転舵を抑制できる。これにより、運転者は、より意図に応じた経路で車両Aを運転できる。
【0041】
さらに、転舵角制御部19は、車両Aの運転者の運転技量が低い(初心者)と判定した場合には、運転技量が高い(中級者以上)と判定した場合に比べ、ヨー角に応じた反発力の絶対値を増大できる。それゆえ、転舵角制御部19は、例えば、車両Aが曲率半径が小さいカーブ路を走行し、ヨー角に応じた反発力の低減量を小さくする場合でも、運転者の運転技量が低い(初心者)と判定した場合には、ヨー角に応じた反発力の低減量を小さくし、当該反発力を比較的大きくすることができる。そのため、転舵角制御部19は、ヨー角が低減する方向への左右前輪4FL、4FRの転舵の抑制を弱めることができる。これにより、運転技量の低い運転者でも、ヨー角をより適切に低減できる。
【0042】
また、転舵角制御部19は、車両Aの運転者の運転技量が高い(中級者以上)と判定した場合には、運転技量が低い(初心者)と判定した場合に比べ、ヨー角に応じた反発力の絶対値を低減できる。それゆえ、転舵角制御部19は、ヨー角が低減する方向への左右前輪4FL、4FRの転舵の抑制できる。そのため、転舵角制御部19は、運転技量の高い運転者(中級者以上)に対する、ヨー角に応じた反発力(制御量)の過剰を抑制できる。
【0043】
図7は、横位置に応じた反発力演算部38の構成を表すブロック図である。
図7に示すように、横位置に応じた反発力演算部38は、減算器38a、上下限リミッタ38b、距離補正ゲイン乗算部38c、横位置フィードバックゲイン乗算部38d、車速補正ゲイン乗算部38e、及び曲率補正ゲイン乗算部38fを備える。
減算器38aは、予め定めた横位置閾値(例えば、90cm)から、横位置演算部32cが出力した算出結果(前方注視点での車両Aから道路白線までの距離(横位置))を減算する。そして、減算器38aは、減算結果(以下、横位置偏差とも呼ぶ)を上下限リミッタ38bに出力する。これにより、横位置偏差は、前方注視点での車両Aから道路白線までの距離が90cmより小さい場合(隣接車線側である場合)にのみ正値となる。
【0044】
上下限リミッタ38bは、減算器38aが出力した算出結果(横位置偏差)に上下限リミッタ処理を行う。上下限リミッタ処理では、例えば、横位置偏差が正値である場合には予め定めた正値とし、横位置偏差が負値である場合には0とする。そして、上下限リミッタ38bは、上下限リミッタ処理後の横位置偏差を乗算器38gに出力する。これにより、上下限リミッタ処理後の横位置偏差は、前方注視点での車両Aから道路白線までの距離が90cmより小さい場合(隣接車線側である場合)にのみ正値となる。
【0045】
距離補正ゲイン乗算部38cは、横位置演算部32cが出力した算出結果(前方注視点での横位置)に距離補正ゲインを乗算する。距離補正ゲインは、例えば、車両Aから道路白線までの距離(横位置)がY1〜Y2(>Y1)の範囲で最大値となり、横位置がY2〜Y3(>Y2)の範囲で横位置が大きくなるほど減少し、横位置がY3以上の範囲で最小値になる。そして、距離補正ゲイン乗算部38cは、乗算結果(以下、補正後の道路白線までの距離とも呼ぶ)を横位置フィードバックゲイン乗算部38dに出力する。
【0046】
横位置フィードバックゲイン乗算部38dは、距離補正ゲイン乗算部38cが出力した算出結果(補正後の道路白線までの距離)に予め定めた横位置フィードバックゲインを乗算する。横位置フィードバックゲインは、例えば、制御量不足を回避しつつ応答性を確保できる設定値以上の値とする。また、横位置フィードバックゲインは、車両Aが振動的になる値、及び運転者が中立ずれを感じる値未満の値とする。さらに、横位置フィードバックゲインは、ヨー角フィードバックゲインよりも小さな値とする。そして、横位置フィードバックゲイン乗算部38dは、乗算結果を乗算器38gに出力する。
【0047】
車速補正ゲイン乗算部38eは、車速センサ16aが出力した検出結果(車速)に予め定めた車速補正ゲインを乗算する。車速補正ゲインは、例えば、車速が0〜70km/hの範囲で最大値となり、車速70〜130km/hの範囲で車速が大きくなるほど減少し、車速130km/h以上の範囲で最小値(例えば、0)となる。そして、車速補正ゲイン乗算部38eは、乗算結果を乗算器38gに出力する。
【0048】
曲率補正ゲイン乗算部38fは、曲率演算部32bが出力した検出結果(前方注視点での曲率)に予め定めた曲率補正ゲインを乗算する。曲率補正ゲインは、例えば、前方注視点での曲率がR1〜R2(>R1)の範囲で最大値となり、曲率がR2〜R3(>R2)の範囲で曲率が大きくなるほど減少し、曲率がR3以上の範囲で最小値(例えば、0)となる。そして、曲率補正ゲイン乗算部38fは、乗算結果を乗算器38gに出力する。
【0049】
図8は、横位置フィードバック制御の実行領域を説明するための説明図である。
乗算器38gは、横位置フィードバックゲイン乗算部38d、車速補正ゲイン乗算部38e、及び曲率補正ゲイン乗算部38fが出力した算出結果を互いに乗算する。そして、乗算器38gは、乗算結果(以下、横位置に応じた反発力とも呼ぶ)を加算器32dに出力する。これにより、外乱抑制指令転舵角演算部32は、前方注視点での車両Aから道路白線までの距離が90cmより小さい場合、つまり、道路白線から90cmの位置より隣接車線側である場合にのみ横位置フィードバック制御を行う。すなわち、
図8に示すように、走行車線中央付近は、横位置フィードバック制御を行わない領域(不感帯)となる。
【0050】
また、乗算器38g(転舵角制御部19)は、前方注視点での曲率が大きいほど、横位置に応じた反発力の絶対値を低減できる。それゆえ、転舵角制御部19は、例えば、車両Aが曲率半径が小さいカーブ路を走行する場合に、横位置に応じた反発力を低減できる。そのため、転舵角制御部19は、横位置が低減する方向への左右前輪4FL、4FRの転舵を抑制できる。これにより、運転者は、より意図に応じた経路で車両Aを運転できる。
【0051】
(操舵反力制御部20)
図9は、操舵反力制御部20の構成を表すブロック図である。
図9に示すように、操舵反力制御部20は、横力演算部33、横力オフセット部34、減算器20a、SAT演算部35、操舵反力オフセット部36、加算器20b、加算器20c、及びオフセット量補正部41を備える。
【0052】
横力演算部33は、操舵角センサ8及び車速センサ16aが出力した検出結果(操舵角、車速)に基づき、操舵角−横力変換マップを参照して、タイヤ横力を推定する。すなわち、横力演算部33は、操舵角及び車速と、操舵角−横力変換マップとに基づいて、タイヤ横力を推定する。操舵角−横力変換マップとしては、例えば、予め実験等で算出したコンベンショナルな操舵装置(操舵部1と転舵部2とが機械的に接続された操舵装置)における車速毎の操舵角とタイヤ横力との関係を表すマップがある。操舵角−横力変換マップでは、操舵角が大きいほどタイヤ横力を大きな値とする。また、操舵角−横力変換マップでは、操舵角が小さいときは操舵角が大きいときよりも、操舵角の変化量に対するタイヤ横力の変化量を大きくする。さらに、操舵角−横力変換マップでは、車速が高いほどタイヤ横力を小さな値とする。そして、横力演算部33は、算出結果を減算器20aに出力する。
【0053】
横力オフセット部34は、車速センサ16a及び映像処理部21が出力した検出結果(車速、道路白線情報)に基づいて、横力オフセット量を算出する。横力オフセット量としては、例えば、タイヤ横力によって発生するセルフアライニングトルク(例えば、路面反力によって発生する、車輪が直進状態に戻ろうとする力)に応じた操舵反力を表す操舵反力特性(SAT演算部35で用いるタイヤ横力−操舵反力変換マップ(後述))をオフセットするためのオフセット量がある。横力オフセット量は、道路白線の曲率が大きいほどセルフアライニングトルクと同一符号方向へオフセットする。そして、横力オフセット部34は、算出結果を減算器20aに出力する。横力オフセット部34の詳細は後述する。
【0054】
図10は、操舵反力特性をオフセットした状態を説明するためのグラフである。
減算器20aは、横力演算部33が出力した算出結果(タイヤ横力)から、横力オフセット部34が出力した算出結果(横力オフセット量)を減算する。これにより、減算器20aは、
図10に示すように、タイヤ横力によって発生するセルフアライニングトルクに応じた操舵反力を表す操舵反力特性(タイヤ横力−操舵反力変換マップ)をセルフアライニングトルクと同一符号方向へオフセットできる。そして、減算器20aは、減算結果(以下、オフセット後のタイヤ横力とも呼ぶ)をSAT演算部35に出力する。これにより、タイヤ横力によって発生するセルフアライニングトルクに応じた操舵反力を表す操舵反力特性(タイヤ横力−操舵反力変換マップ)は、道路白線の曲率が大きいほどセルフアライニングトルクと同一符号方向へオフセットする。なお、
図10は、車両Aが右車線に近い場合であり、車両Aが左車線に近い場合には、
図10の矢印方向と反対方向に操舵反力特性がオフセットする。これにより、操舵反力制御部20は、保舵トルクの変化量に対する操舵角の変化量が小さくなるため、操舵トルクに対する車両の感度を低減でき、車両の挙動変化を緩やかとし、運転者による進路修正の容易化を図ることができる。
【0055】
SAT演算部35は、減算器20aが出力した算出結果(オフセット後のタイヤ横力)に基づき、横力−操舵反力変換マップを参照して、オフセット後のタイヤ横力によって発生する操舵反力を算出する。すなわち、SAT演算部35は、オフセット後のタイヤ横力と、横力−操舵反力変換マップとに基づいて、オフセット後のタイヤ横力によって発生する操舵反力を算出する。横力−操舵反力変換マップとしては、例えば、予め実験等で算出したコンベンショナルな操舵装置におけるタイヤ横力と操舵力トルクとの関係を表すマップがある。すなわち、タイヤ横力−操舵反力変換マップは、コンベンショナルな操舵装置において、タイヤ横力によって発生するセルフアライニングトルクに応じた操舵反力を表す操舵反力特性を模擬したものとする。タイヤ横力−操舵反力変換マップでは、タイヤ横力が大きいほど操舵反力を大きな値とする。また、横力−操舵反力変換マップでは、タイヤ横力が小さいときは大きいときよりも、タイヤ横力の変化量に対する操舵反力の変化量を大きくする。さらに、横力−操舵反力変換マップでは、車速が高いほど操舵反力を小さな値とする。そして、SAT演算部35は、算出結果を加算器20bに出力する。
【0056】
加算器20bは、SAT演算部35が出力した算出結果(操舵反力)に、ステアリング特性に応じた操舵反力成分を加算する。ステアリング特性に応じた操舵反力成分としては、例えば、操舵角に比例する成分(以下、ばね項とも呼ぶ)、操舵角速度に比例する成分(以下、粘性項とも呼ぶ)、及び操舵角加速度に比例する成分(以下、慣性項とも呼ぶ)を含むものがある。ばね項としては、例えば、操舵角にゲインを乗算したものがある。また、粘性項としては、例えば、操舵角速度にゲインを乗算したものがある。さらに、慣性項としては、例えば、操舵角加速度にゲインを乗算したものがある。そして、加算器20bは、加算結果を加算器20cに出力する。
【0057】
操舵反力オフセット部36は、車速センサ16a及び映像処理部21が出力した検出結果(車速、車両A前方の走行路の映像)に基づいて、操舵反力オフセット量を算出する。操舵反力オフセット量としては、例えば、操舵反力が大きくなる方向への操舵反力特性(タイヤ横力−操舵反力変換マップ)をオフセットするためのオフセット量がある。操舵反力オフセット量は、車両Aから道路白線までの距離(横位置)が短くなるほど操舵反力が大きくなる方向へオフセットする。そして、操舵反力オフセット部36は、算出結果を加算器20bに出力する。操舵反力オフセット部36の詳細は後述する。
【0058】
図11は、操舵反力特性をオフセットした状態を説明するためのグラフである。
加算器20cは、加算器20bが出力した算出結果(ステアリング特性に応じた操舵反力成分を加算後の操舵反力)に、操舵反力オフセット部36が出力した算出結果(操舵反力オフセット量)を加算する。これにより、加算器20cは、
図11に示すように、操舵反力が大きくなる方向への操舵反力特性(タイヤ横力−操舵反力変換マップ)のオフセットを実質的に実現できる。そして、加算器20cは、加算結果をオフセット量補正部41に出力する。これにより、タイヤ横力によって発生するセルフアライニングトルクに応じた操舵反力を表す操舵反力特性(タイヤ横力−操舵反力変換マップ)は、車両Aから道路白線までの距離(横位置)が短くなるほど操舵反力が大きくなる方向へオフセットする。なお、
図11は、車両Aが右車線に近い場合であり、車両Aが左車線に近い場合には、
図11の矢印方向と反対方向に操舵反力特性がオフセットする。それゆえ、操舵反力制御部20は、操舵反力が一定であれば、ステアリングホイール5が少しずつ操舵角中立位置に戻されるため、運転者の不意な切り増し操作によって車両Aの走行位置が車線逸脱方向(例えば、右側)にずれるのを抑制できる。
【0059】
オフセット量補正部41は、加算器20cが出力した加算結果(操舵反力オフセット量を加算後の操舵反力)を補正する。具体的には、運転技量判定部22が出力した判定結果等(初心者、中級者以上、エラー値θe)に基づいて補正ゲインKを設定する。まず、オフセット量補正部41は、運転技量判定部22が判定した運転技量が低い、つまり、初心者であるか否かを判定する。そして、オフセット量補正部41は、運転技量が低い(初心者)と判定した場合には、
図6に示すように、補正ゲインKの最低値を1とするとともに、エラー値θeが大きいほど補正ゲインKを大きな値とする。一方、オフセット量補正部41は、運転技量が高い(中級者以上)と判定した場合には、補正ゲインKを1とする。これにより、オフセット量補正部41は、運転技量が高い(中級者以上)と判定した場合には、運転技量が低い(初心者)と判定した場合に比べ、補正ゲインKを小さくできる。また、オフセット量補正部41は、車両Aの運転者の運転技量が低い(初級者)と判定した場合には、エラー値θeが大きいほど補正ゲインKを増大できる。続いて、オフセット量補正部41は、設定した補正ゲインKを加算器20cが出力した加算結果(操舵反力オフセット量を加算後の操舵反力)に乗算する。そして、オフセット量補正部41は、乗算結果を指令操舵反力として加算器20cに出力する。これにより、オフセット量補正部41は、車両Aの運転者の運転技量が高い(中級者以上)と判定した場合には、運転技量が低い(初心者)と判定した場合に比べ、横力オフセット量及び操舵反力オフセット量を低減できる。そして、オフセット量補正部41は、指令操舵反力を低減できる。
【0060】
なお、本実施形態では、オフセット量補正部41が、加算器20cが出力した加算結果に補正ゲインKを乗算する例を示したが、他の構成を採用することもできる。例えば、オフセット量補正部41が、操舵反力オフセット部36が出力した算出結果、つまり、操舵反力オフセット量に補正ゲインKを乗算する構成としてもよい。
図12は、横力オフセット部34の構成を表すブロック図である。
【0061】
図12に示すように、横力オフセット部34は、曲率演算部34a、上下限リミッタ34b、SATゲイン演算部34c、乗算器34d、及びリミッタ処理部34eを備える。
曲率演算部34aは、映像処理部21が出力した検出結果(白線情報)に基づいて、前方注視点での道路白線の曲率(設定時間(0.5秒)後の車両A位置の道路白線の曲率)を算出する。そして、曲率演算部34aは、算出結果を乗算器34dに出力する。
【0062】
上下限リミッタ34bは、車速センサ16aが出力した検出結果(車速)に上下限リミッタ処理を行う。上下限リミッタ処理では、例えば、車速が0〜V1(>0)の範囲で車速が大きくなるほど増大し、車速がV1以上の範囲で最大値とする。そして、上下限リミッタ34bは、上下限リミッタ処理後の車速をSATゲイン演算部34cに出力する。
SATゲイン演算部34cは、上下限リミッタ34bが出力した算出結果(リミッタ処理後の車速)に基づいて、車速に応じたSATゲインを算出する。車速に応じたSATゲインは、例えば、車速が0〜70km/hの範囲で車速が大きくなるほど増大し、車速70km/h以上の範囲で最大値になる。また、車速に応じたSATゲインは、車速が大きいときは車速が小さいときよりも、車速の変化量に対する当該SATゲインの変化量が大きくなる。そして、SATゲイン演算部34cは、算出結果を乗算器34dに出力する。
【0063】
乗算器34dは、曲率演算部34aが出力した算出結果(前方注視点での道路白線の曲率)にSATゲイン演算部34cが出力した算出結果(車速に応じたSATゲイン)を乗算する。そして、乗算器34dは、乗算結果を横力オフセット量としてリミッタ処理部34eに出力する。これにより、乗算器34dは、前方注視点での道路白線の曲率が大きいほど、つまり、道路白線の曲率半径が小さいほど横力オフセット量を増大できる。
【0064】
リミッタ処理部34eは、乗算器34dが出力した算出結果(横力オフセット量)の最大値及び変化率の上限を制限する。横力オフセット量の最大値は、1000Nとする。また、横力オフセット量の変化率の上限は、600N/sとする。そして、リミッタ処理部34eは、制限後の横力オフセット量を減算器20a(
図9参照)に出力する。
図13は、操舵反力オフセット部36の構成を表すブロック図である。
【0065】
図13に示すように、操舵反力オフセット部36は、ヨー角演算部36a、横位置演算部36b、逸脱余裕時間に応じた反力演算部39、横位置に応じた反力演算部40、反力選択部36c、及びリミッタ処理部36dを備える。
ヨー角演算部36aは、映像処理部21が出力した検出結果(白線情報)に基づいて、前方注視点でのヨー角(道路白線と車両A進行方向とのなす角度)を算出する。そして、ヨー角演算部36aは、算出結を逸脱余裕時間に応じた反力演算部39に出力する。
【0066】
横位置演算部36bは、映像処理部21及びナビゲーションシステム17が出力した検出結果(白線情報、車線幅情報)に基づいて、車両Aの現在位置での車両Aから道路白線までの距離(横位置)(以下、現在位置での横位置とも呼ぶ)、及び前方注視点での横位置を算出する。そして、横位置演算部36bは、算出結果を逸脱余裕時間に応じた反力演算部39及び横位置に応じた反力演算部40に出力する。
【0067】
逸脱余裕時間に応じた反力演算部39は、車速センサ16a、ヨー角演算部36a、及び横位置演算部36bが出力した検出結果等(車速、前方注視点でのヨー角、前方注視点での横位置)に基づいて、逸脱余裕時間に応じた反力を算出する。逸脱余裕時間に応じた反力としては、例えば、逸脱余裕時間が短いほど増大する反力がある。逸脱余裕時間としては、例えば、車両Aが走行車線から逸脱するまでに要する時間(余裕時間)がある。そして、逸脱余裕時間に応じた反力演算部39は、算出結果を反力選択部36cに出力する。逸脱余裕時間に応じた反力演算部39の詳細は後述する。
【0068】
横位置に応じた反力演算部40は、横位置演算部36bが出力した算出結果(現在位置での横位置)に基づいて、横位置に応じた反力を算出する。横位置に応じた反力としては、例えば、横位置偏差が長いほど増大する反力がある。横位置偏差としては、例えば、車両Aから目標左横位置までの距離及び車両Aから目標右横位置までの距離のうち大きいほうがある。また、目標左横位置としては、例えば、左道路白線から道路中央側90cmの位置がある。目標右横位置としては、例えば、右道路白線から道路中央側90cmの位置がある。そして、横位置に応じた反力演算部40は、算出結果を反力選択部36cに出力する。横位置に応じた反力演算部40の詳細は後述する。
【0069】
反力選択部36cは、逸脱余裕時間に応じた反力演算部39が出力した算出結果(逸脱余裕時間に応じた反力)と、横位置に応じた反力演算部40が出力した算出結果(横位置に応じた反力)のうち絶対値が大きなほうを選択する。そして、反力選択部36cは、選択結果を操舵反力オフセット量としてリミッタ処理部36dに出力する。
リミッタ処理部36dは、反力選択部36cが出力した選択結果(操舵反力オフセット量)の最大値及び変化率の上限を制限する。操舵反力オフセット量の最大値は、2Nmとする。また、操舵反力オフセット量の変化量の上限は、10Nm/sとする。そして、リミッタ処理部36dは、制限後の操舵反力オフセット量をオフセット量補正部41(
図9参照)に出力する。
【0070】
図14は、逸脱余裕時間に応じた反力演算部39の構成を表すブロック図である。
図14に示すように、逸脱余裕時間に応じた反力演算部39は、乗算器39a、除算器39b、除算器39c、逸脱余裕時間選択部39d、及び逸脱余裕時間に応じた反力演算部39eを備える。
乗算器39aは、ヨー角演算部36aが出力した算出結果(ヨー角)に車速を乗算する。そして、乗算器39aは、乗算結果(以下、車両Aの横速度とも呼ぶ)を除算器39b及び除算器39cに出力する。
【0071】
除算器39bは、横位置演算部36bが出力した算出結果のうち、前方注視点での車両Aから左道路白線までの距離(左道路白線に対する横位置)を、乗算器39aが出力した算出結果(横速度)で除算する。そして、除算器39bは、除算結果(以下、左道路白線に対する逸脱余裕時間とも呼ぶ)を逸脱余裕時間選択部39dに出力する。
除算器39cは、横位置演算部36bが出力した算出結果のうち、前方注視点での車両Aから右道路白線までの距離(右道路白線に対する横位置)を、乗算器39aが出力した算出結果(横速度)で除算する。そして、除算器39bは、除算結果(以下、右道路白線に対する逸脱余裕時間とも呼ぶ)を逸脱余裕時間選択部39dに出力する。
【0072】
逸脱余裕時間選択部39dは、除算器39bが出力した算出結果(左道路白線に対する逸脱余裕時間)及び除算器39cが出力した算出結果(右道路白線に対する逸脱余裕時間)のうち短いほうを選択する。そして、逸脱余裕時間選択部39dは、選択結果(以下、逸脱余裕時間とも呼ぶ)を逸脱余裕時間に応じた反力演算部39eに出力する。
逸脱余裕時間に応じた反力演算部39eは、逸脱余裕時間選択部39dが出力した算出結果(逸脱余裕時間)に基づいて、逸脱余裕時間に応じた反力を算出する。逸脱余裕時間に応じた反力は、逸脱余裕時間が3秒以上の範囲で最低値(例えば、ほぼ0)となり、逸脱余裕時間が0〜3秒の範囲で逸脱余裕時間が短いほど増大する(逸脱余裕時間に反比例した値となる)。そして、逸脱余裕時間に応じた反力演算部39eは、算出結果を逸脱余裕時間に応じた反力として反力選択部36c(
図13参照)に出力する。これにより、逸脱余裕時間に応じた反力は、逸脱余裕時間が短いほど増大する。
【0073】
図15は、横位置に応じた反力演算部40の構成を表すブロック図である。
図15に示すように、横位置に応じた反力演算部40は、減算器40a、減算器40b、横位置偏差選択部40c、及び横位置偏差に応じた反力演算部40dを備える。
減算器40aは、横位置演算部36bが出力した算出結果(車両Aの現在位置での車両Aから左道路白線までの距離(左道路白線に対する横位置))から予め定めた目標左横位置(例えば、90cm)を減算する。そして、減算器40aは、減算結果(以下、左道路白線に対する横位置偏差とも呼ぶ)を横位置偏差選択部40cに出力する。
【0074】
減算器40bは、横位置演算部36bが出力した算出結果(車両Aの現在位置での車両Aから右道路白線までの距離(右道路白線に対する横位置))から予め定めた目標右横位置(例えば、90cm)を減算する。そして、減算器40bは、減算結果(以下、右道路白線に対する横位置偏差とも呼ぶ)を横位置偏差選択部40cに出力する。
横位置偏差選択部40cは、減算器40aが出力した算出結果(左道路白線に対する横位置偏差)及び減算器40bが出力した算出結果(右道路白線に対する横位置偏差)のうち大きいほうを選択する。そして、横位置偏差選択部40cは、選択結果(以下、横位置偏差とも呼ぶ)を横位置偏差に応じた反力演算部40dに出力する。
【0075】
横位置偏差に応じた反力演算部40dは、横位置偏差選択部40cが出力した算出結果(横位置偏差)に基づいて、横位置に応じた反力を算出する。横位置に応じた反力は、横位置偏差が設定値未満の範囲で横位置偏差が大きくなるほど増大し、横位置偏差が設定値以上の範囲で最大値になる。そして、横位置偏差に応じた反力演算部40dは、算出結果を横位置に応じた反力として反力選択部36c(
図13参照)に出力する。これにより、横位置に応じた反力は、横位置偏差が長いほど増大する。
【0076】
(動作その他)
上述の構成により、本実施形態の運転支援装置では、運転技量判定部22が、過去の操舵角θに基づき操舵角推定値θhatを算出する。続いて、運転技量判定部22が、算出した操舵角推定値θhatと実際の操舵角θとの差(エラー値θe)を算出する。続いて、運転技量判定部22が、車両の走行シーン(例えば、走行環境)に基づいて、エラー値θeから運転者の運転技量を判定するための設定閾値θthを設定する。続いて、運転技量判定部22が、算出したエラー値θeが設定閾値θth未満であると判定した場合に、運転者の運転技量が高い(中級者以上)と判定する。これにより、本実施形態の運転支援装置では、滑らかな操舵が行われ、操舵角推定値θhatと実際の操舵角θとが近接し、乖離度合いが設定閾値θth未満に低減した場合に、運転者の運転技量が高いと判定できる。
【0077】
また、本実施形態の運転支援装置では、オフセット量補正部41が、加算器20cが出力した加算結果、つまり、横力オフセット量を含む指令値に補正ゲインKを乗算する(
図9参照)。ここで、補正ゲインKは、車両Aの運転者の運転技量が高い(中級者以上)と判定した場合には、運転技量が低い(初心者)と判定した場合に比べ、小さな値とする。それゆえ、オフセット量補正部41が、
図11に示すように、車両Aの運転者の運転技量が高い(中級者以上)と判定した場合には、運転技量が低い(初心者)と判定した場合に比べ、操舵反力特性(タイヤ横力−操舵反力変換マップ)のオフセット量を低減する。これにより、本実施形態の運転支援装置では、運転者の運転技量が高いと判定した場合に、操舵反力を低減でき、運転技量の高い運転者に対する、操舵反力の過剰を抑制できる。
【0078】
これにより、本実施形態の運転支援装置では、より適切な操舵反力を付与できる。
ちなみに、例えば、補正ゲインKの大きさを切り替えるための切替スイッチを車両Aに備え、切替スイッチを車両Aの運転者に操作させる技術では、車両Aの運転者が切替スイッチの操作に気をとられ、操舵の滑らかさが損なわれてしまう可能性がある。
これに対し、本実施形態の運転支援装置では、補正ゲインKの大きさを車両Aの運転者の運転技量に応じた値に車両Aが調整する。それゆえ、本実施形態では、車両Aの運転者による切替スイッチの操作が不要となる。それゆえ、本実施形態の運転支援装置では、切替スイッチの操作によって、操舵の滑らかさが損なわれることを抑制できる。
【0079】
また、本実施形態の運転支援装置では、エラー値θeが設定閾値θthよりも大きい場合には、エラー値θeが大きいほど補正ゲインKを大きな値とする(
図6)。これにより、オフセット量は、運転技量が低い(初級者)と判定した場合には、エラー値θeが大きいほど増大する。それゆえ、本実施形態の運転支援装置では、操舵の滑らかさが低いほど操舵反力を増大できる。そのため、本実施形態の運転支援装置では、操舵反力をより適切に増大でき、運転者の操舵入力に対する車両Aの安定性を向上できる。
【0080】
また、本実施形態の運転支援装置では、ゲイン補正部37cが、ゲイン補正部37cは、設定ゲイン乗算部37bが出力した乗算結果(上限値乗算後の設定ゲイン)、つまり、ヨー角フィードバックゲインの基となる値に補正ゲインKを乗算する。ここで、補正ゲインKは、車両Aの運転者の運転技量が高い(中級者以上)と判定した場合には、運転技量が低い(初心者)と判定した場合に比べ、小さな値とする。それゆえ、ゲイン補正部37cが、車両Aの運転者の運転技量が高い(中級者以上)と判定した場合には、運転技量が低い(初心者)と判定した場合に比べ、ヨー角フィードバックゲインを低減する。これにより、本実施形態の運転支援装置では、運転者の運転技量が高いと判定した場合に、操舵角の制御量を低減でき、運転技量の高い運転者に対する、操舵反力の過剰を抑制できる。
【0081】
これにより、本実施形態の運転支援装置では、より適切な操舵反力を付与できる。
本実施形態では、
図1のステアリングホイール5がステアリングホイールを構成する。以下同様に、
図1の操舵反力制御部20、
図9の横力演算部33がタイヤ横力推定部を構成する。また、
図1の操舵反力制御部20、
図9のSAT演算部35が操舵反力制御部を構成する。さらに、
図1の操舵反力制御部20、
図9のオフセット量補正部41がオフセット部を構成する。また、
図1の操舵角センサ8が操舵角検出部を構成する。さらに、エラー値θeが乖離度合いを構成する。また、
図1の運転技量判定部22が操舵角推定値算出部、乖離度合算出部、走行シーン推定部、閾値設定部及び運転技量判定部を構成する。さらに、
図4のヨー角演算部32aがヨー角検出部を構成する。また、ヨー角フィードバック制御が転舵角制御を構成する。さらに、ヨー角フィードバックゲインが制御ゲインを構成する。また、
図4の外乱抑制指令転舵角演算部32、ヨー角に応じた反発力演算部37が転舵角制御部を構成する。
【0082】
(本実施形態の効果)
本実施形態は、次のような効果を奏する。
(1)SBWコントローラ18が、推定したタイヤ横力と、タイヤ横力によって発生するセルフアライニングトルクに応じた操舵反力を表す操舵反力特性(タイヤ横力−操舵反力変換マップ)とに基づいて、ステアリングホイール5に操舵反力を付与する。また、SBWコントローラ18が、操舵反力が大きくなる方向へ操舵反力特性をオフセットする。その際、SBWコントローラ18が、操舵角推定値θhatと実際の操舵角θとの差であるエラー値θeを算出する。続いて、SBWコントローラ18が、車両Aの走行シーンに応じた設定閾値θthを設定する。続いて、SBWコントローラ18が、算出したエラー値θeが設定閾値θth未満であると判定した場合に、オフセット量(横力オフセット量、操舵反力オフセット量)を低減する。
【0083】
このような構成によれば、例えば、運転者の運転技量が高く、滑らかな操舵が行われ、操舵角推定値θhatと実際の操舵角θとが近接し、エラー値θeが設定閾値θth未満に低減した場合に、操舵反力が大きくなる方向への操舵反力特性のオフセットを抑制できる。そのため、操舵反力を低減でき、運転技量の高い運転者(中級者以上)に対する、操舵反力の過剰を抑制できる。これにより、より適切な操舵反力を付与できる。
【0084】
(2)SBWコントローラ18が、エラー値θeが設定閾値θth以上であると判定した場合に、エラー値θeが大きいほどオフセット量(横力オフセット量、操舵反力オフセット量)を増大する。
このような構成によれば、操舵の滑らかさが低いほど操舵反力を増大できる。これにより、運転者の操舵入力に対する車両Aの安定性を向上できる。
【0085】
(3)SBWコントローラ18が、ヨー角が低減する方向へ操向輪の転舵角を制御する転舵角制御(ヨー角フィードバック制御)を行う。その際、SBWコントローラ18が、エラー値θeが設定閾値θth以上であると判定した場合に、転舵角制御(ヨー角フィードバック制御)で用いる制御ゲイン(ヨー角フィードバックゲイン)を低減する。
このような構成によれば、例えば、滑らかな操舵が行われ、操舵角推定値θhatと実際の操舵角θとが近接し、エラー値θeが設定閾値θth未満に低減した場合に、転舵角制御(ヨー角フィードバック制御)で用いる制御ゲイン(ヨー角フィードバックゲイン)を低減できる。そのため、操舵角の制御量を低減でき、運転技量の高い運転者(中級者以上)に対する、制御量の過剰を抑制できる。これにより、より適切な転舵を実行できる。