(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
自動車の排気ガス浄化用触媒として知られている三元触媒には、従来よりRhを複合酸化物に担持してなる触媒材が利用されている。しかし、触媒が長期にわたって高温の排気ガスに晒されると、Rhが凝集してシンタリングし、触媒活性が低下するおそれがある。
【0003】
この問題に対策する排気ガス浄化用触媒材として、特許文献1には、ジルコニアと、希土類元素、アルカリ土類元素、アルミニウムおよびケイ素からなる群から選ばれる少なくとも1つの配位元素と、貴金属とからなる複合酸化物であって、該複合酸化物の結晶構造への貴金属の固溶率を50%以上とした触媒材が記載されている。
【0004】
特許文献1には上記触媒材の製法の一例として共沈法が記載されている。それは、Zrおよび配位元素の塩を含む混合塩水溶液を中和剤に加えて共沈させた後、得られた共沈物を乾燥後、熱処理(1次焼成)し、これに貴金属の塩を含む溶液を混合し、得られた前駆体組成物を熱処理(2次焼成)することにより、耐熱性酸化物を得る、というものである。或いは、Zr、配位元素および貴金属の塩を含む混合塩水溶液に中和剤を加えて共沈させ、得られた前駆体組成物を乾燥後、熱処理することにより耐熱性酸化物を得る、というものである。
【0005】
そのような耐熱性酸化物の例として、特許文献1には、ZrLaRh複合酸化物、ZrYRh複合酸化物、ZrNdRh複合酸化物、ZrLaNdRh複合酸化物、ZrLaSrRh複合酸化物及びZrCeLaRh複合酸化物が挙げられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載された技術は、要するに熱処理によってZr系複合酸化物の結晶構造にRhを固溶させることにより、触媒が高温条件で使用されたときのRhの粒成長を抑制するというものである。
【0008】
本発明は、特許文献1とは違って、Zr系複合酸化物へのRhの結合力を高めることによって、Rhの凝集・シンタリングを抑制する(触媒材の高温耐久性を高める)ことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するために、Rhが
ドープされてなるRhドープZr系複合酸化物の表面部にLa又はYを濃化させるようにした。
【0010】
すなわち、本発明に係る排気ガス浄化用触媒材は、Ce以外の希土類金属とZrとを含有し、Ceを含有せず、さらにRhが
結晶格子点又は格子点間に配置されてなるRhドープZr系複合酸化物よりなり、上記希土類金属として少なくともLa及びYを含み、このLa及びYの少なくとも一方が上記複合酸化物の内部よりも表面部に高濃度に存することを特徴とする。
【0011】
ここに、La及びYの少なくとも一方が複合酸化物の内部よりも表面部に高濃度に存するとは、そのLa及びYの少なくとも一方が複合酸化物の表面部に存在し、該複合酸化物の内部にはLa及びYの少なくとも一方が実質的に存在しないケースを含む。
【0012】
このような触媒であれば、
RhドープZr系複合酸化物の表面部において
、Rhが高濃度に存在するLa又はYにより強く固定されて分散した状態になるから、触媒の活性が高くなるとともに、触媒の高温耐久性が高くなり、高温の排気ガスに晒される使用状態が続いたときに、触媒の活性が大きく低下することが避けられる。
【0013】
好ましいのは、上記複合酸化物が加熱還元処理されていることである。この加熱還元処理により、Rhのメタル化(金属状態になる)が進み触媒の活性が高くなる。また、当該加熱還元処理により、当該複合酸化物に埋没しているRhの複合酸化物表面部への析出が進み、該複合酸化物表面部にRhをLa又はYによって強く固定した状態で分散させることができると考えられ、触媒の活性向上及び高温耐久性の向上に有利になる。
【0014】
上記排気ガス浄化用触媒材の好ましい製造方法は、
Zr、La、Y及びRhの各イオンを含みCeを含まない酸性溶液に塩基性溶液を添加してZr、La、Y及びRhを共沈させることにより、RhZrLaY含有共沈ゲルを生成し、
上記RhZrLaY含有共沈ゲルに、塩基性溶液を添加した後に、La又はYとRhの各イオンを含む酸性溶液を添加して混合することにより、上記RhZrLaY含有共沈ゲル上にLa又はYの水酸化物とRh水酸化物を析出沈殿させ、しかる後に焼成することを特徴とする。
【0015】
上記製造方法により、Zr、La、Y及びRhを含み、しかも、La又はYがRhと共に当該複合酸化物の表面部に高濃度に存する
RhドープZr系複合酸化物が得られ、触媒の活性向上及び高温耐久性の向上に有利になる。
【0016】
好ましいのは、上記焼成後に還元雰囲気で加熱することであり、これにより、Rhのメタル化(金属状態になる)が進み触媒の活性が高くなる。また、当該加熱還元処理により、当該複合酸化物に埋没しているRhの複合酸化物表面部への析出が進み、該複合酸化物表面部にRhをLa又はYによって強く固定した状態で分散させることができると考えられ、触媒の活性向上及び高温耐久性の向上に有利になる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る排気ガス浄化用触媒材によれば、Ce以外の希土類金属とZrとを含有し、Ceを含有せず、さらにRhが
結晶格子点又は格子点間に配置されてなるRhドープZr系複合酸化物よりなり、上記希土類金属として少なくともLa及びYを含み、このLa及びYの少なくとも一方が上記複合酸化物の内部よりも表面部に高濃度に存するから、触媒の活性が高くなるとともに、触媒の高温耐久性が高くなる。
【0018】
本発明に係る排気ガス浄化用触媒材の製造方法によれば、Zr、La、Y及びRhの各イオンを含みCeを含まない酸性溶液に塩基性溶液を添加してZr、La、Y及びRhを共沈させることにより、RhZrLaY含有共沈ゲルを生成し、
上記RhZrLaY含有共沈ゲルに、塩基性溶液を添加した後に、La又はYとRhの各イオンを含む酸性溶液を添加して混合することにより、上記RhZrLaY含有共沈ゲル上にLa又はYの水酸化物とRh水酸化物を析出沈殿させ、しかる後に焼成するから、Zr、La、Y及びRhを含み、しかも、La又はYがRhと共に当該複合酸化物の表面部に高濃度に存する
RhドープZr系複合酸化物が得られ、触媒の活性向上及び高温耐久性の向上に有利になる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0021】
<排気ガス浄化用触媒材の構成>
本発明に係る排気ガス浄化用触媒材は、自動車の排気ガスを浄化することに適した触媒材であり、
図1に模式的に示すRhドープ
Zr系複合酸化物粒子1よりなる。このRhドープ
Zr系複合酸化物粒子1は、Zrと、Ce以外の希土類金属として少なくともLa及びYを含有し、Ceを含有しない複合酸化物にRhがドープされてなる。La及びYは当該複合酸化物を構成するLa
2O
3及びY
2O
3として存在し、且つ粒子1の表面部のLa又はYの濃度が粒子内部よりも高くなっている。Rhは当該複合酸化物の結晶格子点又は格子点間に配置され、一部のRhは粒子1の表面に露出しており、粒子1の表面部のRh濃度が粒子内部よりも高くなっている。
図2に示すように、粒子1の表面に露出したRhは、当該複合酸化物を構成する表面部のLa
2O
3のLa又はY
2O
3のYに酸素2を介して強く結合している。
【0022】
<排気ガス浄化用触媒の実施例及び比較例>
−実施例1−
図3に示すように、硫酸ランタン及び硫酸イットリウムを混合した水溶液とオキシ硝酸ジルコニル水溶液を混合し、これにさらに硝酸ロジウム水溶液を添加した。ここでの硫酸イットリウム水溶液の仕込み量は目標添加量(Rhドープ
Zr系複合酸化物の構成のために予定する全量)の50%(「%」は「質量%」を意味する。以下、同じ。)となるようにした。また、ここでの硝酸ロジウム水溶液の仕込み量は目標添加量の65%とした。
【0023】
得られたZr、La、Y及びRhの混合溶液(酸性)に塩基性溶液(アンモニア水)を添加することにより、Zr、La、Y及びRhを共沈させた。得られたRhZrLaY含有共沈ゲルに塩基性溶液を添加してpHを11程度にした後、硫酸イットリウム水溶液の残量(50%)及び硝酸ロジウム水溶液の残量(35%)を添加して混合した。これにより、上記共沈ゲルの粒子上にRh水酸化物及びY水酸化物を析出沈殿させた。得られた沈殿物全体を水洗し、大気中において150℃で一昼夜乾燥させ、乾燥物を粉砕した後、大気中において520℃で2時間の焼成を行なうことにより、目的物であるRhドープ
Zr系複合酸化物(RhドープZrLaY複合酸化物)を得た。
【0024】
Rhドープ
Zr系複合酸化物のRhを除く組成は、ZrO
2:La
2O
3:Y
2O
3=84:6:10(質量比)である。Rhドープ量は総量でZrLaY複合酸化物の1質量%である。
【0025】
上記Rhドープ
Zr系複合酸化物の調製方法の特徴は、共沈時の硫酸イットリウム及び硝酸ロジウム各々の仕込み量を50%、65%とし、それぞれの残量を共沈ゲルに対して添加した点にある。
【0026】
硫酸イットリウムの一部(50%)を共沈ゲルに添加するようにしたから、得られるRhドープ
Zr系複合酸化物は、Yが当該複合酸化物の内部よりも表面部に高濃度に存することになる。硝酸ロジウムの一部(35%)を共沈ゲルに添加するようにしたから、得られるRhドープ
Zr系複合酸化物は、Rhが当該複合酸化物の内部よりも表面部に高濃度に存することになる。
【0027】
そうして、上記Rhドープ
Zr系複合酸化物をバインダ及び水と混合してスラリーを形成し、このスラリーをハニカム担体にコーティングした。そして、大気中において500℃で2時間の焼成を行なうことによって、実施例1に係る触媒を得た。担体としては、セル壁厚さ3.5mil(8.89×10
−2mm)、1平方インチ(645.16mm
2)当たりのセル数600のコージェライト製ハニカム担体(容量1L)を用いた。担体1L当たりのRhドープ
Zr系複合酸化物の担持量は100gである。
【0028】
−実施例2−
図4に示すように、実施例2は硫酸ランタンと硫酸イットリウムの仕込みが実施例1とは異なる。すなわち、共沈時の硫酸ランタンの仕込み量を50%とする一方、硫酸イットリウムの仕込み量を目標添加量全量(100%)としてRhZrLaY含有共沈ゲルを得た。そして、この共沈ゲルに対して硫酸ランタンの残量50%を添加するようにした。硝酸ロジウムの仕込みに関しては、実施例1と同じく、共沈時の仕込み量を目標添加量の65%とし、残量35%を共沈ゲルに添加した。そして、他は実施例1と同様にして目的物であるRhドープ
Zr系複合酸化物を得た。得られたRhドープ
Zr系複合酸化物のRhを除く組成及びRhドープ量は実施例1と同じである。このRhドープ
Zr系複合酸化物を実施例1と同様のハニカム担体に同様の方法でコーティングして実施例2に係る触媒を得た。ハニカム担体に対するRhドープ
Zr系複合酸化物の担持量は実施例1と同じく100g/Lである。
【0029】
実施例2においては、硫酸ランタンの一部(50%)を共沈ゲルに添加するようにしたから、得られるRhドープ
Zr系複合酸化物は、Laが当該複合酸化物の内部よりも表面部に高濃度に存することになる。Rhに関しては実施例1と同じく当該複合酸化物の内部よりも表面部に高濃度に存することになる。
【0030】
−実施例3−
実施例3は硝酸ロジウムの仕込みが実施例1と異なる。すなわち、硫酸イットリウムの仕込みに関しては、実施例1と同じく、共沈時の仕込み量を50%とし、残量50%を共沈ゲルに対して添加したが、硝酸ロジウムの仕込みに関しては、実施例1とは違って、共沈時の仕込み量を20%とし、残量80%を共沈ゲルに添加した。そして、他は実施例1と同様にして目的物であるRhドープZrLaY複合酸化物を得た。
このRhドープ
Zr系複合酸化物のRhを除く組成及びRhドープ量は実施例1と同じである。このRhドープ
Zr系複合酸化物を実施例1と同様のハニカム担体に同様の方法でコーティングして実施例3に係る触媒を得た。ハニカム担体に対するRhドープ
Zr系複合酸化物の担持量は実施例1と同じく100g/Lである。
【0031】
実施例3においても、実施例1と同じく、Y及びRhがRhドープ
Zr系複合酸化物の内部よりも表面部に高濃度に存することになる。
【0032】
−実施例4−
実施例4は硝酸ロジウムの仕込みが実施例2と異なる。すなわち、硫酸ランタンの仕込みに関しては、実施例2と同じく、共沈時の仕込み量を50%とし、残量50%を共沈ゲルに対して添加したが、硝酸ロジウムの仕込みに関しては、実施例2とは違って、共沈時の仕込み量を20%とし、残量80%を共沈ゲルに添加した。そして、他は実施例2と同様にして目的物であるRhドープZrLaY複合酸化物を得た。
このRhドープ
Zr系複合酸化物のRhを除く組成及びRhドープ量は実施例1と同じである。このRhドープ
Zr系複合酸化物を実施例1と同様のハニカム担体に同様の方法でコーティングして実施例4に係る触媒を得た。ハニカム担体に対するRhドープ
Zr系複合酸化物の担持量は実施例1と同じく100g/Lである。
【0033】
実施例4においても、実施例2と同じく、La及びRhがRhドープ
Zr系複合酸化物の内部よりも表面部に高濃度に存することになる。
【0034】
−比較例−
硫酸ランタン及び硫酸イットリウムの仕込みに関して、いずれも目標添加量の全量を共沈時に仕込み、共沈ゲルに対する硫酸ランタン及び硫酸イットリウムの添加量をゼロとした。硝酸ロジウムの仕込みに関しては、実施例1と同じく、共沈時の仕込み量を目標添加量の65%とし、残量35%を共沈ゲルに添加した。そして、他は実施例1と同様にして目的物であるRhドープZrLaY複合酸化物を得た。得られたRhドープ
Zr系複合酸化物のRhを除く組成及びRhドープ量は実施例1と同じである。このRhドープ
Zr系複合酸化物を実施例1と同様のハニカム担体に同様の方法でコーティングして比較例に係る触媒を得た。ハニカム担体に対するRhドープ
Zr系複合酸化物の担持量は実施例1と同じく100g/Lである。
【0035】
比較例の場合は、硫酸ランタン及び硫酸イットリウムについては各々の全量を共沈時に仕込んだから、得られるRhドープ
Zr系複合酸化物では、La及びYの濃度は複合酸化物全体にわたって略均等になっていると認められる。Rhに関しては実施例1と同じく当該複合酸化物の内部よりも表面部に高濃度に存することになる。
【0036】
<高温耐久性能>
実施例1〜4及び比較例の各触媒についてベンチエージングを行なった。このベンチエージングは、触媒をエンジンの排気管に取り付け、触媒ベッド温度が900℃となるようにエンジン回転数・負荷を設定し、当該エンジンの排気ガスに触媒を50時間晒すというものである。
【0037】
上記ベンチエージング後、各触媒から担体容量約25mLのコアサンプルを切り出し、モデルガス流通反応装置に取り付けた。そして、触媒に流入するモデルガスの温度を常温から漸次上昇させていき、触媒を流出するガスのHC及びCO各々の濃度変化を検出した。この検出結果に基づいて、各触媒のHC、CO及びNOxに関する触媒入口ガス温度400℃での浄化率及びライトオフ温度を求めた。ライトオフ温度は、HC、CO及びNOx各成分の浄化率が50%に達したときの触媒入口ガス温度であり、触媒の低温活性の評価指標となる。
【0038】
モデルガスは、A/F=14.7±0.9とした。すなわち、A/F=14.7のメインストリームガスを定常的に流しつつ、所定量の変動用ガスを1Hzでパルス状に添加することにより、A/Fを±0.9の振幅で強制的に振動させた。空間速度SVは60000h
−1、昇温速度は30℃/分である。A/F=14.7、A/F=13.8及びA/F=15.6のときのガス組成を表1に示す。
【0040】
実施例1,2及び比較例のライトオフ温度の結果を
図5に示し、触媒入口ガス温度が400℃に達した時点のHC、CO及びNOx各成分の浄化率を
図6に示す。
【0041】
図5によれば、HC、CO及びNOxのいずれおいても、実施例1,2は比較例よりもライトオフ温度が低く、
図6によれば、HC400℃浄化率は、実施例1,2は比較例とほぼ同等であるが、CO及びNOxの400℃浄化率は、実施例1,2が比較例よりも高い。この結果から、実施例1,2のように硫酸ランタン又は硫酸イットリウムの一部を共沈ゲルに添加して複合酸化物の表面部のLa又はYの濃度を高くすると、触媒の高温耐久性やライトオフ性能が高くなることがわかる。
【0042】
また、実施例1と実施例2の比較から、複合酸化物の表面部のY濃度を高くしたときはライトオフ温度が低くなり、つまり、触媒の低温活性の向上に有利になり、複合酸化物の表面部のLa濃度を高くしたときは触媒の高温活性の向上に有利になることがわかる。
【0043】
実施例3,4及び比較例のライトオフ温度の結果を
図7に示し、触媒入口ガス温度が400℃に達した時点のHC、CO及びNOx各成分の浄化率を
図8に示す。
【0044】
図7及び
図8によれば、HC、CO及びNOxのいずれおいても、実施例3,4は比較例よりもライトオフ温度が低く、400℃浄化率も高く、硝酸ロジウムの共沈ゲルへの添加量を多くして複合酸化物表面部にRh濃度を高めた場合も、実施例1,2と同じく高温耐久性が高くなることがわかる。
【0045】
<加熱還元処理の影響>
−実施例5−
実施例1のRhドープ
Zr系複合酸化物にCOによる加熱還元処理を施した後、これを実施例1と同様のハニカム担体に同様の方法でコーティングして実施例5に係る触媒を得た。ハニカム担体に対するRhドープ
Zr系複合酸化物の担持量は実施例1と同じく100g/Lである。加熱還元処理は、Rhドープ
Zr系複合酸化物をCO濃度1%(残N
2)、温度600℃の還元性雰囲気に60分間おくというものである。なお、COに代えてH
2を用いた還元性雰囲気を採用してもよい。
【0046】
−実施例6−
実施例2のRhドープ
Zr系複合酸化物に実施例5と同様の加熱還元処理を施した後、これを実施例1と同様のハニカム担体に同様の方法でコーティングして実施例5に係る触媒を得た。ハニカム担体に対するRhドープ
Zr系複合酸化物の担持量は実施例1と同じく100g/Lである。
【0047】
[NOx浄化性能]
実施例5,6の各触媒について、<高温耐久性能>の項で説明した方法でベンチエージングを行なった後、同様の方法で、触媒入口ガス温度400℃におけるNOx浄化率を測定した。その結果を先の実施例1,2及び比較例と共に
図9に示す。実施例5,6は対応する実施例1,2よりもNOx浄化率が高くなっており、加熱還元処理によって触媒のNOx浄化性能が向上することがわかる。
【0048】
−実施例7−
図10に示すように、共沈時の硫酸イットリウムの仕込み量を目標添加量全量(100%)とする一方、共沈時の硫酸ランタンの仕込み量をゼロとしてRhZrY含有共沈ゲルを得た。そして、この共沈ゲルに対して硫酸ランタンの目標添加量全量(100%)を添加するようにした。硝酸ロジウムの仕込みに関しては、実施例1と同じく、共沈時の仕込み量を目標添加量の65%とし、残量35%を共沈ゲルに添加した。そして、他は実施例1と同様にして目的物であるRhドープ
Zr系複合酸化物を得た。得られたRhドープ
Zr系複合酸化物のRhを除く組成及びRhドープ量は実施例1と同じである。このRhドープ
Zr系複合酸化物に実施例5と同様の加熱還元処理を施した後、これを実施例1と同様のハニカム担体に同様の方法でコーティングして実施例7に係る触媒を得た。ハニカム担体に対するRhドープ
Zr系複合酸化物の担持量は実施例1と同じく100g/Lである。
【0049】
実施例7においては、硫酸ランタンの全量を共沈ゲルに添加するようにしたから、得られるRhドープ
Zr系複合酸化物は、Laが当該複合酸化物の表面部に高濃度に存在し、内部には実質的に存在しないことになる。Rhに関しては実施例1と同じく当該複合酸化物の内部よりも表面部に高濃度に存することになる。
【0050】
[ライトオフ温度]
実施例7の触媒について、<高温耐久性能>の項で説明した方法でベンチエージングを行なった後、同様の方法で、HC、CO及びNOxの浄化に関するライトオフ温度を測定した。その結果を先の比較例と共に表2に示す。
【0052】
実施例7は、HC、CO及びNOxのいずれに関してもライトオフ温度が比較例より低くなっており、触媒の高温耐久性が高くなっていることがわかる。