(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
合流する道路の本線側に設置され、前記道路の本線を走行する本線側車両を認識し、前記本線側車両の車両ナンバー情報、通過時刻情報、走行位置情報、走行速度情報、及び自動運転制御状態である自動運転車両であるか否かを示す自動運転情報を取得する本線側車両認識装置と、
前記道路の支線側に設置され、前記道路の支線を走行する支線側車両を認識し、前記支線側車両の車両ナンバー情報、通過時刻情報、走行位置情報、走行速度情報、及び自動運転制御状態である自動運転車両であるか否かを示す自動運転情報を取得する支線側車両認識装置と、
前記道路外に設置され、前記本線側車両及び前記支線側車両を車両ナンバー情報で識別し、前記本線側車両及び前記支線側車両の通過時刻情報、走行位置情報、走行速度情報、及び自動運転情報から、前記支線側車両の合流位置を決めるための前記道路の合流区間での前記本線側車両及び前記支線側車両の合流優先度と合流時の走行速度とを算出し、合流優先度と合流時の走行速度情報とを車両ナンバー情報に紐付けて前記本線側車両及び前記支線側車両に配信する合流支援装置と、
前記本線側車両及び前記支線側車両に設けられ、自車両が自動運転車両の場合には、前記合流支援装置から配信される合流優先度と合流時の走行速度情報を受信し、受信情報に従って自車両の走行制御を行い、自車両が非自動運転車両の場合には、車両ナンバー情報を受信して表示する車両用装置と、
を備え、
前記合流支援装置は、前記本線側車両が自動運転車両であり前記支線側車両が自動運転車両である場合には、前記合流優先度にて定められた前記支線側車両の合流位置前後に該当する本線側車両に対して、車間距離が基準車間距離になるような走行速度情報を配信し、前記本線側車両が自動運転車両であり前記支線側車両が非自動運転車両である場合には、前記合流優先度にて定められた前記支線側車両の合流位置前後に該当する本線側車両に対して、車間距離が前記基準車間より長い車間距離になるような走行速度情報を配信し、前記支線側車両に対して、前記合流位置前の本線側車両の車両ナンバー情報を配信することを特徴とする合流支援システム。
前記合流支援装置は、車両ナンバー情報に紐付けられた加速特性情報を参照し、前記本線側車両及び前記支線側車両の通過時刻情報、走行位置情報、走行速度情報、自動運転情報、及び加速特性情報から、前記道路の合流区間での前記本線側車両及び前記支線側車両の合流優先度と合流時の走行速度とを算出することを特徴とする請求項1に記載の合流支援システム。
前記合流支援装置は、ゲートが多数存在する料金所通過後の合流において、前記ゲートの位置と前記ゲートの通過順序とに従った合流優先度を算出することを特徴とする請求項1に記載の合流支援システム。
自車両が自動運転車両である場合の前記車両用装置は、自車両の車両ナンバー情報に紐付けられた合流優先度が最も高い合流優先度である場合、自車両の走行速度を維持するように制御し、自車両の車両ナンバー情報に紐付けられた合流優先度が最も高い合流優先度でない場合、自車両の車両ナンバー情報に紐付けられた合流優先度と、周囲の車両の車両ナンバー情報に紐付けられた合流優先度とを比較して、自車両より合流優先度が高い周囲の車両を検出し、合流時の走行速度情報に従って前記検出した周囲の車両に追従するように速度を制御することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の合流支援システム。
前記車両用装置は、自車両及び周囲の車両の車両ナンバー情報に紐付けられた合流優先度及び合流時の走行速度情報を自車両及び周囲の車両にタグ付けした映像を表示し、運転者に自車両の合流優先度及び合流時の走行速度情報を報知することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の合流支援システム。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第1実施形態>
以下に、本発明の第1実施形態について添付図面を参照して説明する。
[構成]
図1を参照して、本発明の第1実施形態に係る合流支援システムの構成例について説明する。
第1実施形態に係る合流支援システムは、路側システム10と、車両側システム20とを有する。
【0010】
(路側インフラ)
路側システム10は、合流する道路(車道)に設置された路側インフラ(infrastructure)である。路側システム10は、本線側車両認識装置11と、支線側車両認識装置12と、合流支援装置13と、本線側通信装置14と、支線側通信装置15とを備えている。
【0011】
本線側車両認識装置11は、合流する道路の本線側に設置された車両認識装置である。支線側車両認識装置12は、合流する道路の支線側に設置された車両認識装置である。本線側車両認識装置11及び支線側車両認識装置12は、同種の車両認識装置でも良い。本線側車両認識装置11及び支線側車両認識装置12の各々は、複数設置されていても良い。例えば、本線側及び支線側において、同種の車両認識装置が、道路に沿って一定間隔で設置されていても良い。
【0012】
図2を参照して、本線側車両認識装置11の構成例について説明する。
本線側車両認識装置11は、車両認識部111と、車両ナンバー取得部112と、通過時刻情報取得部113と、車両状態量計測部114と、自動運転状態確認部115と、加速履歴取得部116と、車両認識情報送信部117とを備える。
車両認識部111は、合流する道路の本線を走行中の車両である本線側車両Aを認識する。本線側車両Aは、合流区間において被合流車両となる。ここでは、本線側車両Aが本線の所定の位置を通過するのを検出した場合、オービス(登録商標)等の自動速度違反取締装置のように上方又は前方からカメラで本線側車両Aを撮像してデジタル画像化し、本線側車両Aの画像情報を取得する。本線側車両Aの検出については、レーザやレーダ等を用いても良い。すなわち、車両認識部111は、カメラの撮像範囲内の本線側車両A、若しくはレーザやレーダ等の照射範囲内の本線側車両Aを認識することができる。なお、車両認識部111は、路車間通信により本線側車両Aと通信が行われた場合に、本線側車両Aを認識しても良い。
【0013】
車両ナンバー取得部112は、画像認識によって、本線側車両Aの画像情報から、ナンバープレートに表示された車両ナンバー情報(自動車登録番号標)を取得する。取得された車両ナンバー情報は、本線側車両Aの識別情報となる。実際には、Nシステム(自動車ナンバー自動読取装置)のようにナンバープレートを自動で読み取るようにしても良い。なお、車両ナンバー取得部112は、路車間通信により、ETC車載器から車両ナンバー情報を取得しても良い。この場合、車両ナンバー情報の代わりに、ETC車載器の車載器管理番号を取得しても良い。
【0014】
通過時刻情報取得部113は、本線側車両Aを認識した時刻を通過時刻とし、通過時刻を示す通過時刻情報を取得する。実際には、通過時刻情報取得部113は、Tシステム(旅行時間測定システム)のように通過車両の区間内の通過時間を取得するようにしても良い。
車両状態量計測部114は、通過時刻における走行位置、走行速度(車速)を検出又は計測し、通過時刻情報、走行位置情報、走行速度情報を取得する。走行位置情報は、本線と支線のいずれを走行中か(本線側車両か支線側車両か)を示す情報である。ここでは、本線側車両認識装置11は本線側に設置された車両認識装置であるため、走行位置情報は、本線を走行中(本線側車両)である旨を示す情報となる。なお、走行位置情報は、先行車両との位置関係を特定するための情報を含んでいても良い。例えば、走行位置情報は、先行車両と本線側車両Aとの相対的な位置関係を示す情報、又は基準となる先頭車両に対する本線側車両Aの通過順序(先頭車両から何台目の車両か)若しくは相対的な位置関係を示す情報を含んでいても良い。
【0015】
自動運転状態確認部115は、本線側車両Aと路車間通信を行い、自動運転制御状態である自動運転車両であるか否かを示す自動運転情報を取得する。ここでは、自動運転状態確認部115は、本線側車両Aから路車間通信の要求又は応答がある場合には、自動運転制御状態である自動運転車両であると判定する。また、自動運転状態確認部115は、本線側車両Aから路車間通信の要求又は応答がない場合には、自動運転制御状態である自動運転車両でない(非自動運転車両である)と判定する。自動運転制御状態である自動運転車両は、自動運転機能を有しており、且つ自動運転機能がONの状態(自動運転制御状態)である。自動運転制御状態では、オートクルーズや自律走行のように、追従走行・隊列走行のための操舵制御や速度(車間)制御を自動的に行う。例えば、アダプティブクルーズコントロール(ACC:Adaptive Cruise Control)等が知られている。ここで、本線側車両Aが自動運転制御状態である自動運転車両であれば、路車間通信により、本線側車両Aから直接、車両ナンバー情報、走行位置情報、及び走行速度情報を受信しても良い。車両ナンバー情報は、ETC車載器等にも登録されている。
【0016】
加速履歴取得部116は、本線側車両Aが自動運転車両である場合、路車間通信により、本線側車両Aから、本線側車両Aが保有している加速履歴情報を取得する。加速履歴情報には、本線側車両Aの過去の加速度の変化・推移を示す加速情報が蓄積されている。
車両認識情報送信部117は、上記の各種情報を車両認識情報として合流支援装置13に送信する。
【0017】
図3を参照して、本線側車両認識装置11の処理手順について説明する。
ステップS101では、車両認識部111は、本線側車両Aが本線の所定の位置を通過するのを検出した場合、上方又は前方からカメラで本線側車両Aを撮像してデジタル画像化し、本線側車両Aの画像情報を取得する。その後、ステップS102に移行する。
ステップS102では、車両ナンバー取得部112は、本線側車両Aの画像情報から、本線側車両Aのナンバープレートに表示された車両ナンバー情報を自動的に読み取る。その後、ステップS103に移行する。
【0018】
ステップS103では、通過時刻情報取得部113は、本線側車両Aの通過時刻を示す通過時刻情報を取得する。その後、ステップS104に移行する。
ステップS104では、車両状態量計測部114は、通過時刻における走行位置、走行速度(車速)を検出又は計測し、通過時刻情報、走行位置情報、走行速度情報を取得する。その後、ステップS105に移行する。
【0019】
ステップS105では、自動運転状態確認部115は、路車間通信により、本線側車両Aに対し、本線側車両Aへの送信処理を行い、経過時間を初期化して(経過時間T=0)、経過時間のカウント(計時処理)を開始する。その後、ステップS106に移行する。
ステップS106では、自動運転状態確認部115は、本線側車両Aからの応答があるか確認する。本線側車両Aからの応答がある場合(ステップS106でYes)、ステップS107に移行する。反対に、本線側車両Aからの応答がない場合(ステップS106でNo)、ステップS109に移行する。
【0020】
ステップS107では、自動運転状態確認部115は、本線側車両Aが自動運転車両であると判定し、自動運転制御状態である自動運転車両であるか否かを示す自動運転情報に自動運転車両を示す情報を入力・記録する。例えば、自動運転情報に自動運転車両を示すフラグ「1」を設定する。その後、ステップS108に移行する。
ステップS108では、加速履歴取得部116は、路車間通信により、本線側車両A(自動運転車両)から加速履歴情報を取得する。その後、ステップS111に移行する。
【0021】
ステップS109では、自動運転状態確認部115は、経過時間が既定時間を越える(既定時間が経過する)まで、本線側車両Aからの応答を待つ(経過時間T←経過時間T+増分ΔT)。経過時間が既定時間を越えた場合(ステップS109でYes)、ステップS110に移行する。
ステップS110では、自動運転状態確認部115は、本線側車両Aが非自動運転車両であると判定し、自動運転情報に非自動運転車両を示す情報を入力・記録する(経過時間T>既定時間T0)。例えば、自動運転情報に非自動運転車両を示すフラグ「0」を設定する。その後、ステップS111に移行する。
【0022】
ステップS111では、取得された各種情報を車両認識情報として合流支援装置13に送信する。
図5を参照して、支線側車両認識装置12の構成例について説明する。
支線側車両認識装置12は、車両認識部121と、車両ナンバー取得部122と、通過時刻情報取得部123と、車両状態量計測部124と、自動運転状態確認部125と、加速履歴取得部126と、車両認識情報送信部127とを備える。
【0023】
車両認識部121は、合流する道路の支線を走行中の車両である支線側車両Bを認識する。支線側車両Bは、合流区間において被合流車両となる。ここでは、支線側車両Bが支線の所定の位置を通過するのを検出した場合、オービス(登録商標)等の自動速度違反取締装置のように上方又は前方からカメラで支線側車両Bを撮像してデジタル画像化し、支線側車両Bの画像情報を取得する。車両の検出については、レーザやレーダ等を用いても良い。すなわち、車両認識部121は、カメラの撮像範囲内の支線側車両B、若しくはレーザやレーダ等の照射範囲内の支線側車両Bを認識することができる。なお、車両認識部121は、路車間通信により支線側車両Bと通信が行われた場合に、支線側車両Bを認識しても良い。
【0024】
車両ナンバー取得部122は、画像認識によって、支線側車両Bの画像情報から、ナンバープレートに表示された車両ナンバー情報(自動車登録番号標)を取得する。取得された車両ナンバー情報は、支線側車両Bの識別情報となる。実際には、Nシステム(自動車ナンバー自動読取装置)のようにナンバープレートを自動で読み取るようにしても良い。なお、車両ナンバー取得部122は、路車間通信により、ETC車載器から車両ナンバー情報を取得しても良い。この場合、車両ナンバー情報の代わりに、ETC車載器の車載器管理番号を取得しても良い。
【0025】
通過時刻情報取得部123は、支線側車両Bを認識した時刻を通過時刻とし、通過時刻を示す通過時刻情報を取得する。実際には、通過時刻情報取得部123は、Tシステム(旅行時間測定システム)のように通過車両の区間内の通過時間を取得するようにしても良い。
車両状態量計測部124は、通過時刻における走行位置、走行速度(車速)を検出又は計測し、通過時刻情報、走行位置情報、走行速度情報を取得する。なお、走行位置情報は、本線と支線のいずれを走行中か(本線側車両か支線側車両か)を示す情報である。ここでは、支線側車両認識装置12は支線側に設置された車両認識装置であるため、走行位置情報は、支線を走行中(支線側車両)である旨を示す情報となる。走行位置情報は、先行車両との位置関係を特定するための情報を含んでいても良い。例えば、走行位置情報は、先行車両と支線側車両Bとの相対的な位置関係を示す情報、又は基準となる先頭車両に対する支線側車両Bの通過順序(先頭車両から何台目の車両か)若しくは相対的な位置関係を示す情報を含んでいても良い。
【0026】
自動運転状態確認部125は、支線側車両Bと路車間通信を行い、自動運転制御状態である自動運転車両であるか否かを示す自動運転情報を取得する。ここでは、自動運転状態確認部125は、支線側車両Bから路車間通信の要求又は応答がある場合には、自動運転制御状態である自動運転車両であると判定する。また、自動運転状態確認部125は、支線側車両Bから路車間通信の要求又は応答がない場合には、自動運転制御状態である自動運転車両でない(非自動運転車両である)と判定する。自動運転制御状態である自動運転車両は、自動運転機能を有しており、且つ自動運転機能がONの状態(自動運転制御状態)である。自動運転制御状態では、オートクルーズや自律走行のように、追従走行・隊列走行のための操舵制御や速度(車間)制御を自動的に行う。例えば、アダプティブクルーズコントロール(ACC:Adaptive Cruise Control)等が知られている。ここで、支線側車両Bが自動運転制御状態である自動運転車両であれば、路車間通信により、支線側車両Bから直接、車両ナンバー情報、走行位置情報、及び走行速度情報を受信しても良い。車両ナンバー情報は、ETC車載器等にも登録されている。
【0027】
加速履歴取得部126は、支線側車両Bが自動運転車両である場合、路車間通信により、支線側車両Bから、支線側車両Bが保有している加速履歴情報を取得する。加速履歴情報には、支線側車両Bの過去の加速度の変化・推移を示す加速情報が蓄積されている。
車両認識情報送信部127は、上記の各種情報を車両認識情報として合流支援装置13に送信する。
【0028】
以上のように、支線側車両認識装置12の構成は、基本的に、本線側車両認識装置11の構成と同様である。したがって、支線側車両認識装置12の処理手順についても、基本的に、本線側車両認識装置11の処理手順と同様である。すなわち、本線側車両認識装置11の処理手順の説明において、本線を支線と読み替えれば良い。
合流支援装置13は、車両の合流を制御する走行支援装置である。合流支援装置13は、
図1では道路の近傍に設置されているが、実際には道路の近傍に設置されていなくても良い。合流支援装置13は、道路の近傍に設置された路側システム(本線側車両認識装置11、支線側車両認識装置12、本線側通信装置14、及び支線側通信装置15)と通信可能であれば、設置場所を問わない。なお、実際には、1台の合流支援装置13が、複数の路側システムと通信し、複数の合流区間又は複数の道路での車両の合流を一元的に制御するようにしても良い。
【0029】
図5を参照して、合流支援装置13の構成例について説明する。
合流支援装置13は、車両認識部131と、車種別仕様情報管理部132と、車両別属性情報管理部133と、合流優先度決定部134とを備える。
車両認識部131は、車両認識情報受信部131Aと、車種特定部131Bと、車両別属性情報登録部131Cとを備える。
【0030】
車両認識情報受信部131Aは、本線側車両認識装置11及び支線側車両認識装置12から、車両認識情報を受信し、本線側車両A及び支線側車両Bを認識する。車両認識情報は、本線側車両A及び支線側車両Bの画像情報、車両ナンバー情報、通過時刻情報、走行位置情報、走行速度情報、自動運転情報、加速履歴情報を含む。なお、本線側車両認識装置11及び支線側車両認識装置12との通信によるタイムラグを考慮する必要が無ければ、本線側車両A及び支線側車両Bの通過時刻情報は、車両認識情報を受信した時点での時刻情報でも良い。通過した際の時間帯等の違いにより、同一車両における運転者(ドライバー)の違いを判定できる場合がある。また、加速履歴情報を含むのは、自動運転車両の場合のみである。
【0031】
車種特定部131Bは、本線側車両A及び支線側車両Bの画像情報から、その車種を特定する。例えば、車両のサイズや、ナンバープレートの色・大きさ・分類番号、若しくは車体に表示されたブランドエンブレム・ロゴマーク及び車名(車種名)エンブレム等から、車種を特定する。また、画像認識により車両の画像情報から車両の形状(外観)等の特徴を取得し、取得した特徴について、車種別仕様情報管理部132に照会し、取得した特徴に対応する車種を特定しても良い。なお、実際には、本線側車両認識装置11及び支線側車両認識装置12が、本線側車両A及び支線側車両Bの画像情報から、その車種を特定するようにしても良い。この場合、車両認識部131は、本線側車両認識装置11及び支線側車両認識装置12から、上記の車両認識情報と共に、車種に関する情報を受信する。この場合、車両認識情報において、車両の画像情報は不要となる。また、自動運転車両については、可能であれば、本線側車両認識装置11及び支線側車両認識装置12を介して、路車間通信により、自動運転車両から車種に関する情報を直接取得しても良い。
【0032】
車両別属性情報登録部131Cは、車両ナンバー情報、車種情報、走行位置情報、走行速度情報、自動運転情報、及び通過時刻情報を紐付けて、車両別属性情報管理部133に登録する。実際には、上記の情報を全て紐付ける必要は無く、自動運転情報及び通過時刻情報については任意である。また、登録済みの(既知の)車両ナンバー情報であれば、走行位置情報、走行速度情報、自動運転情報、及び通過時刻情報のみ追加登録又は更新するようにしても良い。
【0033】
車種別仕様情報管理部132は、車種別の仕様情報(スペック)等を管理するためのデータベースである。仕様情報としては、形状、機能、性能、規格、使用部品等が考えられる。実際には、自動車メーカ等が開示している車種別の仕様情報を用いても良い。ここでは、車種別仕様情報管理部132は、車種別に、形状等の特徴や、加速特性情報(排気量、加速性能)等を管理している。減速はどの車両も似たような性能だが、加速は排気量等により差がある。
【0034】
車両別属性情報管理部133は、車両ナンバー情報、車種情報、走行位置情報、走行速度情報、自動運転情報を紐付けて管理するためのデータベースである。実際には、上記の情報を全て紐付ける必要は無く、自動運転情報及び通過時刻情報については任意である。非自動運転車両については、過去の加速情報を蓄積して加速履歴情報とし、この加速履歴情報も紐付けて管理する。この加速履歴情報は、車両別・運転者(ドライバー)別の加速特性情報となる。更に、車両別属性情報管理部133は、走行速度情報に、走行速度情報の平均値又は中間値を紐付けて記憶できるようにしても良い。なお、走行速度情報を管理するのは、自動運転車両でない車両(非自動運転車両)のみとしても良い。自動運転車両については、路車間通信により自動運転車両から加速履歴情報を取得できると考えられるためである。
【0035】
合流優先度決定部134は、合流地点到達時刻予測部134Aと、自動運転車両判定部134Bと、合流車間時間設定部134Cと、予想加速度設定部134Dと、合流地点到達時刻予測修正部134Eと、合流地点到達時刻比較部134Fと、合流優先度配信処理部134Gとを備える。
合流地点到達時刻予測部134Aは、本線側車両A及び支線側車両Bの各々について、車両毎に、合流地点到達時刻を予測・推定する。例えば、合流地点到達時刻予測部134Aは、車両毎に、通過時刻情報、走行位置情報、及び走行速度情報を参照し、合流地点と走行位置との差分として合流までの走行予定距離を算出し、この走行予定距離を車速で除算して予想経過時間を算出し、この予想経過時間を通過時刻に加算することで、合流地点到達時刻を算出する。ここでは、合流地点として、合流区間における合流開始点(始点)から合流終了点(終点)までのいずれかの位置を想定している。なお、合流開始点と合流終了点との間が合流区間となる。
【0036】
実際には、Tシステム(旅行時間測定システム)のようにポイント毎に設置された本線側車両認識装置11及び支線側車両認識装置12から通過車両の区間内の通過時間を受信し、通過車両の区間内の通過時間から合流地点到達時刻を算出しても良い。但し、実際には、上記の例に限定されない。
自動運転車両判定部134Bは、車両毎に、自動運転情報を参照し、本線側車両A及び支線側車両Bの各々について、自動運転車両であるか確認する。
【0037】
合流車間時間設定部134Cは、本線側車両A及び支線側車両Bのいずれかが自動運転車両でない場合には、合流車間時間を大きめ(長め)に設定する(例えば、2秒以上)。この合流車間時間は、運転者(ドライバー)が危険を認知してからブレーキを踏もうと判断し実際に踏み込むまでの時間(反応時間)に、「空走距離」と「制動距離」を合わせた「停止距離」を通過する時間(停止時間)を加算した合計時間以上であれば良い。車間時間は車間距離を決める値であり、車間時間と車速とを乗じた値が車間距離となる。
【0038】
また、合流車間時間設定部134Cは、本線側車両A及び支線側車両Bが共に自動運転車両である場合には、支線側車両Bの合流地点到達時刻が本線側車両Aの合流地点到達時刻よりも早いか確認する。支線側車両Bの合流地点到達時刻が本線側車両Aの合流地点到達時刻よりも早い場合、支線側車両Bの合流優先度を本線側車両Aの合流優先度よりも高くする。これにより、合流車間時間設定部134Cは、合流優先度を決定する。支線側車両Bの合流地点到達時刻が本線側車両Aの合流地点到達時刻よりも早くない場合、合流車間時間を小さめ(短め)に設定する(例えば、1秒以上2秒未満)。この合流車間時間は、運転者(ドライバー)の反応時間を考慮する必要がなく、直ちにブレーキをかけた場合における停止時間以上であれば良い。隊列走行や追従走行を行っている場合には、先行車両や後続車両と同時にブレーキをかけることや停止中の車間距離を調節することもできるため、更に合流車間時間を極小化できると考えられる。すなわち、本線側車両A及び支線側車両Bが共に自動運転車両である場合には、両車両とも路側システム10から制動可能であるため、それ以外の場合よりも合流車間時間を小さくすることができる。したがって、本線側車両A及び支線側車両Bが共に自動運転車両である場合には、それ以外の場合よりも合流時車間距離が小さくなる。
【0039】
ここでは、小さめ(短め)に設定する場合の合流車間時間に応じた車間距離を「基準車間距離」とする。合流車間時間設定部134Cは、合流車間時間を大きめ(長め)に設定する場合には、車間距離がこの基準車間距離よりも大きく(長く)なるように設定する。
なお、合流車間時間設定部134Cは、合流車間時間の代わりに、合流時に予想される衝突余裕時間(TTC:Time To Collision)を設定しても良い。
【0040】
また、合流車間時間設定部134Cは、合流車間時間を設定した際、合流車間時間に合わせた合流時の走行速度を算出する。走行速度と車間時間(車間距離)とは密接な関係にあるためである。なお、合流車間時間設定部134Cは、合流車間時間の設定として、本線側車両A及び支線側車両Bの合流時の走行速度を設定するようにしても良い。
予想加速度設定部134Dは、車種別仕様情報管理部132で仕様情報として管理されている車種別の加速特性情報と、自動運転車両又は車両別属性情報管理部133で加速履歴情報として管理されている車両別の加速特性情報とのうち少なくとも1つの加速特性情報を取得し、その加速特性を反映して合流区間での予想加速度を設定する。なお、予想加速度は、本線側車両Aに対する支線側車両Bの相対的な加速度の予測値でも良い。ここでは、予想加速度設定部134Dは、本線側車両Aが自動運転車両でない場合、予想加速度を小さめに設定する。若しくは、走行履歴を参照して予想加速度を設定する。また、予想加速度設定部134Dは、支線側車両Bが自動運転車両でない場合、若しくは本線側車両A及び支線側車両Bが共に自動運転車両である場合には、予想加速度を大きめに設定する。
【0041】
合流地点到達時刻予測修正部134Eは、本線側車両A及び支線側車両Bの各々について、車両毎に、合流車間時間と予想加速度を反映した合流地点到達時刻を算出して、合流地点到達時刻を修正する。
合流地点到達時刻比較部134Fは、合流終了点での支線側車両Bの修正後の合流地点到達時刻(支線側合流地点到達時刻)が、合流終了点での本線側車両Aの修正後の合流地点到達時刻(本線側合流地点到達時刻)から許容範囲の差分(マージン)を減じた時刻よりも早いか確認する。小さい場合、本線側車両Aの合流優先度を支線側車両Bの合流優先度よりも低くする。小さくない場合、本線側車両Aの合流優先度を支線側車両Bの合流優先度よりも高くする。これにより、合流地点到達時刻比較部134Fは、合流優先度を決定する。
【0042】
合流優先度配信処理部134Gは、合流優先度と合流時の走行速度情報とを車両ナンバー情報に紐付けした合流優先度データを生成(合流優先度データ形式に変換)し、本線側通信装置14及び支線側通信装置15に対して、合流優先度データと共に、本線側車両A及び支線側車両Bの各々にブロードキャストで配信する旨の指示を送信する。なお、合流優先度配信処理部134Gは、更に前述の車両認識情報を紐付けした合流優先度データを生成しても良い。例えば、合流優先度配信処理部134Gは、車両ナンバー情報、走行位置情報、自動運転情報、合流優先度、及び合流時の走行速度情報を紐付けした合流優先度データを生成しても良い。
【0043】
[合流優先度の決定]
図6を参照して、合流優先度の決定手順について説明する。
ステップS201では、車両認識情報受信部131Aは、本線側車両認識装置11から車両認識情報を受信し、本線側車両Aの車両ナンバー情報、車種情報、走行位置情報、走行速度情報、自動運転情報、及び通過時刻情報を取得する。このとき、車種特定部131Bは、本線側車両Aの車種を特定する。車両別属性情報登録部131Cは、これらの情報を紐付けて、車両別属性情報管理部133に登録する。
【0044】
ステップS202では、車両認識情報受信部131Aは、支線側車両認識装置12から車両認識情報を受信し、支線側車両Bの車両ナンバー情報、車種情報、走行位置情報、走行速度情報、自動運転情報、及び通過時刻情報を取得する。このとき、車種特定部131Bは、支線側車両Bの車種を特定する。車両別属性情報登録部131Cは、これらの情報を紐付けて、車両別属性情報管理部133に登録する。
【0045】
なお、ステップS201とステップS202の処理については、順序は問わない。すなわち、どちらが先でも良いし、同時でも良い。
ステップS203では、合流地点到達時刻予測部134Aは、本線側車両A及び支線側車両Bの各々について、車両毎に、合流地点到達時刻を予測する。ここで、本線側車両Aの合流地点到達時刻「t
1」、走行位置「x
1」、車速「V
1」、通過時刻「T
1」とし、支線側車両Bの合流地点到達時刻「t
2」、走行位置「x
2」、車速「V
2」、通過時刻「T
2」とし、合流地点「x」、合流開始点「x
START」、合流終了点「x
END」とすると、以下の式(1)で算出できる。
【0046】
【数1】
その後、ステップS204に移行する。
ステップS204では、自動運転車両判定部134Bは、支線側車両Bが自動運転車両であるか確認する。支線側車両Bが自動運転車両でない場合(ステップS204でNo)、ステップS205に移行する。反対に、支線側車両Bが自動運転車両である場合(ステップS204でYes)、ステップS208に移行する。
【0047】
ステップS205では、合流車間時間設定部134Cは、支線側車両Bが自動運転車両でない(非自動運転車両である)ため、支線側車両Bに対して、合流車間時間を大きめ(長め)に設定する。その後、ステップS206に移行する。
ステップS206では、予想加速度設定部134Dは、支線側車両Bに対して、予想加速度を小さめに設定する。若しくは、走行履歴を参照して予想加速度を設定する。その後、ステップS207に移行する。
【0048】
ステップS207では、合流地点到達時刻予測修正部134Eは、支線側車両Bに対して、合流車間時間と予想加速度を反映した合流地点到達時刻を算出して、合流地点到達時刻を修正する。ここで、支線側車両Bの合流地点到達時刻「t
2」、車速「V
2」、予想加速度「a」、通過時刻「T
2」とすると、以下の式(2)で算出できる。
【0049】
【数2】
その後、ステップS214に移行する。
ステップS208では、自動運転車両判定部134Bは、本線側車両Aが自動運転車両であるか確認する。本線側車両Aが自動運転車両でない場合(ステップS208でNo)、ステップS209に移行する。反対に、本線側車両Aが自動運転車両である場合(ステップS208でYes)、ステップS210に移行する。
【0050】
ステップS209では、合流車間時間設定部134Cは、本線側車両Aが自動運転車両でない(非自動運転車両である)ため、本線側車両Aに対して、合流車間時間を大きめ(長め)に設定する。また、合流車間時間に合わせた合流時の走行速度を算出する。その後、ステップS212に移行する。
ステップS210では、合流車間時間設定部134Cは、本線側車両A及び支線側車両Bが共に自動運転車両であるため、支線側車両Bの合流地点到達時刻が本線側車両Aの合流地点到達時刻よりも早いか確認する。すなわち、「t
2<t
1」であるか確認する。支線側車両Bの合流地点到達時刻が本線側車両Aの合流地点到達時刻よりも早くない場合(ステップS210でNo)、ステップS211に移行する。反対に、支線側車両Bの合流地点到達時刻が本線側車両Aの合流地点到達時刻よりも早い場合(ステップS210でYes)、ステップS215に移行する。
【0051】
ステップS211では、合流車間時間設定部134Cは、本線側車両Aが自動運転車両であるため、本線側車両Aに対して、合流車間時間を小さめ(短め)に設定する。また、合流車間時間に合わせた合流時の走行速度を算出する。その後、ステップS212に移行する。
ステップS212では、予想加速度設定部134Dは、本線側車両Aに対して、予想加速度を大きめに設定する。また、合流車間時間に合わせた合流時の走行速度を算出する。その後、ステップS213に移行する。
【0052】
ステップS213では、合流地点到達時刻予測修正部134Eは、本線側車両Aに対して、合流車間時間と予想加速度を反映した合流地点到達時刻を算出して、合流地点到達時刻を修正する。
ステップS214では、合流地点到達時刻比較部134Fは、合流終了点での支線側車両Bの修正後の合流地点到達時刻(支線側合流地点到達時刻)が、合流終了点での本線側車両Aの修正後の合流地点到達時刻(本線側合流地点到達時刻)から許容範囲の差分(マージン)を減じた時刻よりも早いか確認する。例えば、支線側合流地点到達時刻「t
2(x
END)」、本線側合流地点到達時刻「t
1(x
END)」、許容範囲の差分「t
MARGIN」とした場合、以下の式(3)の条件を満たしているか確認する。
【0053】
【数3】
合流地点到達時刻比較部134Fは、支線側合流地点到達時刻が本線側合流地点到達時刻から許容範囲の差分(マージン)を減じた時刻よりも早くない場合(ステップS214でNo)、ステップS215に移行する。反対に、支線側合流地点到達時刻が本線側合流地点到達時刻から許容範囲の差分(マージン)を減じた時刻よりも早い場合(ステップS214でYes)、ステップS216に移行する。
【0054】
ステップS215では、合流地点到達時刻比較部134Fは、本線側車両Aのほうが先に合流地点に到達すると予想されるため、本線側車両Aの合流優先度を支線側車両Bの合流優先度よりも高くする。
ステップS216では、合流地点到達時刻比較部134Fは、支線側車両Bのほうが先に合流地点に到達すると予想されるため、本線側車両Aの合流優先度を支線側車両Bの合流優先度よりも低くする。
【0055】
ステップS217では、合流優先度配信処理部134Gは、合流優先度と合流時の走行速度情報とを車両ナンバー情報に紐付けした合流優先度データを生成(合流優先度データ形式に変換)し、本線側通信装置14及び支線側通信装置15に対して、合流優先度データと共に、本線側車両A及び支線側車両Bの各々にブロードキャストで配信する旨の指示を送信する。
【0056】
本線側通信装置14は、合流する道路の本線側に設置された路側通信装置であり、合流支援装置13から合流区間通過の合流優先度データを受信し、路車間通信により本線側車両Aに対して合流優先度データをブロードキャストで配信する。支線側通信装置15は、合流する道路の支線側に設置された路側通信装置であり、合流支援装置13から合流区間通過の合流優先度データを受信し、路車間通信により支線側車両Bに対して合流優先度データをブロードキャストで配信する。
【0057】
ここでは、本線側通信装置14及び支線側通信装置15は、合流区間において近傍に位置すると予想される全車両の合流優先度データを一括してブロードキャストで配信する。すなわち、個々の車両に対して、その車両の合流優先度データのみならず、周囲の車両(周囲を走行中の他車両)の合流優先度データも一括してブロードキャストで配信する。但し、実際には、非自動運転車両は合流優先度データを受信できない可能性がある。また、実際には、本線側通信装置14及び支線側通信装置15は、合流優先度データをブロードキャストで配信するのではなく、合流優先度データに従い、本線側車両A及び支線側車両Bに対して、合流時に追従(追従走行)すべき先行車両の車両ナンバー情報と、合流時の走行速度情報を通知するようにしても良い。本線側車両A及び支線側車両Bは、上記の情報を用いて合流する。例えば、自動運転車両は上記の情報に基づいて走行制御を行い、非自動運転車両は表示装置等により上記の情報を運転者(ドライバー)に報知する。
【0058】
なお、本線側通信装置14及び支線側通信装置15は、同種の路側通信装置でも良い。本線側通信装置14及び支線側通信装置15の各々は、複数設置されていても良い。例えば、本線側及び支線側において、同種の路側通信装置が、道路に沿って一定間隔で設置されていても良い。本線側通信装置14は、本線側車両認識装置11よりも合流区間(車線変更区間)に近い場所に設置されている。また、支線側通信装置15は、支線側車両認識装置12よりも合流区間に近い場所に設置されている。但し、実際には、本線側車両認識装置11と本線側通信装置14は一体化していても良い。同様に、支線側車両認識装置12と支線側通信装置15は一体化していても良い。例えば、車両認識装置と路側通信装置の両方の機能を有する装置を、本線側車両認識装置11、支線側車両認識装置12、本線側通信装置14、及び支線側通信装置15の各々として設置しても良い。
【0059】
(車両用装置)
車両側システム20は、車両に搭載された車両用装置である。第1実施形態では、本線側車両Aか支線側車両Bかを問わず、自動運転車両に搭載されているものとする。第1実施形態では、車両側システム20は、車両側通信装置21と、周囲車両認識装置22と、コントローラ23と、速度制御装置24と、操舵制御装置25と、加速履歴管理装置26と、表示制御装置27とを備える。
【0060】
車両側通信装置21は、路側システム10からブロードキャストで配信された合流優先度データを受信する。
ここでは、合流優先度データには、車両ナンバー情報、走行位置情報、走行速度情報、自動運転情報、合流車間時間、及び合流優先度が紐付けられている。例えば、合流優先度データには、前述の車両認識情報と合流車間時間と合流優先度とが紐付けされている。また、路側システム10から路車間通信により問合せ又は自動運転制御のための路車間通信が行われた場合、適切な応答を返信する。このとき、路側システム10に対し、応答として、自車両が自動運転車両である旨や、自動運転機能のON/OFFを通知するようにしても良い。
【0061】
周囲車両認識装置22は、合流優先度データの内容から、周囲の車両を認識し、周囲の車両の走行位置、走行速度、及び合流優先度を認識する。また、必須ではないが、可能であれば、自車両の車載カメラ(前方カメラ、側方カメラ、後方カメラ等)、レーザ、レーダ、車車間通信等を用いて周囲の車両を検出し、その走行位置や車速を求め、受信データの内容と照合しても良い。また、自車両の前方カメラで先行車両を撮像し、先行車両の画像情報から得られた車両ナンバー情報と、受信データから得られた車両ナンバー情報とを照合して、先行車両と受信データの内容とを紐付けても良い。先行車両以外の周囲の車両については、先行車両との相対位置により特定することが可能である。
【0062】
コントローラ23は、自車両及び周囲の車両の走行位置及び走行速度と、合流車間時間と、合流優先度とを参照して安全な車間距離と相対速度を算出し、速度制御装置24を介して速度を制御する。また、コントローラ23は、自車両及び周囲の車両の合流優先度データを参照し、本線側車両A及び支線側車両Bの合流優先度に応じて、速度制御装置24を介して速度を調整し、操舵制御装置25を介して操舵角を調整することで、本線に合流できるよう速度を制御して走行する。このとき、コントローラ23は、速度制御装置24に対して速度指令値又は加減速指令値を送信する。また、操舵制御装置25に対して操舵角度指令値を送信する。例えば、コントローラ23は、路側システム10から配信された合流優先度データにおいて、自車両の車両ナンバー情報に紐付けられた合流優先度が最も高い合流優先度である場合、現在の走行速度を維持又は加速しながら合流区間に向かって走行するように制御する。また、自車両の車両ナンバー情報に紐付けられた合流優先度が最も高い合流優先度でない場合、自車両の車両ナンバー情報に紐付けられた合流優先度と、周囲の車両の車両ナンバー情報に紐付けられた合流優先度とを比較して、自車両より合流優先度が高い周囲の車両を検出し、自車両より高い合流優先度を持つ周囲の車両の後ろで合流できるように(その車両に追従するように)速度を調整する。なお、コントローラ23は、路側システム10による速度制御に従って速度を調整しても良い。例えば、コントローラ23は、路側システム10から受信した走行速度情報に従って速度を調整しても良い。また、コントローラ23は、自車両の加速情報を加速履歴情報として加速履歴管理装置26に蓄積し、路側システム10からの要求に応じて加速履歴情報を読み出して路側システム10に送信・提供する。更に、コントローラ23は、周囲の車両の走行位置情報、走行速度情報、車両ナンバー情報、合流優先度データ(及び自動運転情報)がタグ付けされた映像情報を生成し、表示制御装置27に送信する。ここでは、コントローラ23の例として、電子制御装置(ECU:Electronic Control Unit)を想定している。但し、実際には、電子制御装置に限定されない。
【0063】
速度制御装置24は、コントローラ23から速度指令値又は加減速指令値を受信し、目標速度を達成すべく、モータトルク指令及び摩擦ブレーキ圧力指令を計算し、駆動源やブレーキ装置を駆動し、車両の速度を調整する。駆動源は、一般的なエンジンに限らず、電動モータでも良いし、エンジンとモータを組み合わせたハイブリッド構成でも良い。操舵制御装置25は、コントローラ23から操舵角度指令値を受信し、目標操舵角を達成すべく操舵トルク指令を算出し、操舵用アクチュエータを駆動し、車輪の向きを変える。
【0064】
加速履歴管理装置26は、自車両の加速情報を加速履歴情報として蓄積するためのデータベースである。このとき、加速履歴管理装置26は、加速履歴情報として、自車両の位置情報と加速情報とを紐付けて蓄積しても良い。位置情報は、GPS(Global Positioning System)情報に基づく緯度・経度情報でも良いし、本線側車両認識装置11、支線側車両認識装置12、本線側通信装置14、及び支線側通信装置15の位置情報又は識別情報でも良い。若しくは、合流区間等の特定の位置でのみ加速情報を蓄積しても良い。これにより、合流区間等の特定の位置での加速履歴を取得できるようになる。更に、加速履歴管理装置26は、加速履歴情報として、合流区間等の特定の位置での加速度の最大値、最小値、及び平均加速度等も紐付けて蓄積しても良い。
【0065】
表示制御装置27は、上記の映像情報を入力し、周囲の車両の走行位置情報、走行速度情報、車両ナンバー情報、合流優先度データ(及び自動運転情報)がタグ付けされた映像を画面に表示する。映像についてはCG映像を想定している。透過型ディスプレイの場合には、タグの映像をディスプレイ内の車両に重ねて表示しても良い。例えば、拡張現実(AR:Augmented Reality)を利用しても良い。また、表示制御装置27は、音声出力装置と連携して音声でも通知するようにしても良い。また、表示制御装置27は、合流優先度に応じて、個々の車両を色分け等して識別可能に表示するようにしても良い。自動運転情報については、自動運転車両と非自動運転車両を色分け等して識別可能に表示するようにしても良い。更に、合流時に追従すべき先行車両については、強調して表示するようにしても良い。また、表示制御装置27は、合流時に追従すべき先行車両の車両ナンバー情報と、合流時の走行速度情報を表示するようにしても良い。これにより、本線側車両A及び支線側車両Bは、自車両より高い合流優先度データを路側システム10から与えられた車両と共に、どんなタイミングで合流区間に進入するか分かるようになる。ここでは、表示制御装置27の例として、デジタルシグナルプロセッサ(DSP:Digital Signal Pocessor)等を想定している。但し、実際には、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)に限定されない。
【0066】
[合流地点到達時刻と合流車間時間との関係]
次に、合流地点到達時刻と合流車間時間との関係について説明する。なお、以下の
図7〜
図11の例では、合流開始点「x
START=0」、合流終了点「x
END=80」としている。
【0067】
(1)支線側車両B(合流車両)先行、速度差なしの場合
図7に示すように、支線側車両B(合流車両)が先行しており、本線側車両A(被合流車両)と支線側車両B(合流車両)とに速度差がない場合、支線側車両Bの予想加速度は0(a=0)となり、本線側車両Aと支線側車両Bとは一定の車間距離をとって並走することになる。また、合流区間内での両車両の合流地点到達時刻の差分が合流車間時間となる。ここでは、合流区間内での両車両の合流地点到達時刻の差分は一定であり、支線側車両Bが先行しているため、合流開始点「x
START」での本線側車両Aの合流地点到達時刻から支線側車両Bの合流地点到達時刻を減じた値を合流車間時間とする。実際には、差分の絶対値でも良い。ここで、合流車間時間「THW」とすると、以下の式(4)で算出できる。
【0068】
【数4】
なお、上記の合流車間時間は、本線側車両Aと支線側車両Bとのうち少なくとも一方を加減速することにより調整可能である。そして、支線側車両Bに本線側車両Aよりも高い合流優先度を配信し、車間距離を維持したまま本線側車両Aの前方に支線側車両Bが合流できるようにする。すなわち、合流してきた支線側車両Bに本線側車両Aが上記の合流車間時間で追従(追従走行)するように速度を制御する。
【0069】
(2)本線側車両A(被合流車両)先行、速度差なしの場合
図8に示すように、本線側車両A(被合流車両)が先行しており、本線側車両A(被合流車両)と支線側車両B(合流車両)とに速度差がない場合、支線側車両Bの予想加速度は0(a=0)となり、本線側車両Aと支線側車両Bとは一定の車間距離をとって並走することになる。また、合流区間内での両車両の合流地点到達時刻の差分が合流車間時間となる。ここでは、合流区間内での両車両の合流地点到達時刻の差分は一定であり、本線側車両Aが先行しているため、合流開始点「x
START」での支線側車両Bの合流地点到達時刻から本線側車両Aの合流地点到達時刻を減じた値を合流車間時間とする。実際には、差分の絶対値でも良い。ここで、合流車間時間「THW」とすると、以下の式(5)で算出できる。
【0070】
【数5】
なお、上記の合流車間時間は、本線側車両Aと支線側車両Bとのうち少なくとも一方を加減速することにより調整可能である。そして、本線側車両Aに支線側車両Bよりも高い合流優先度を配信し、車間距離を維持したまま本線側車両Aの後方に支線側車両Bが合流できるようにする。すなわち、先行している本線側車両Aに支線側車両Bが上記の合流車間時間で追従するように速度を制御する。
【0071】
(3)支線側車両B(合流車両)先行、速度差あり、支線側車両B(合流車両)高速の場合
図9に示すように、支線側車両B(合流車両)が先行しており、支線側車両B(合流車両)のほうが本線側車両A(被合流車両)よりも速度が高い(速い)場合、両車両の車間距離は徐々に拡大していくことになる。また、合流区間内での両車両の合流地点到達時刻の差分が合流車間時間となる。ここでは、高速の支線側車両Bが先行しているため、合流開始点「x
START」での支線側車両Bの合流地点到達時刻から本線側車両Aの合流地点到達時刻を減じた値を合流車間時間とする。実際には、差分の絶対値でも良い。また、合流終了点「x
END」での差分でも良い。ここで、合流車間時間「THW」とすると、上記の式(4)で算出できる。
【0072】
なお、上記の合流車間時間は、本線側車両Aと支線側車両Bとのうち少なくとも一方を加減速することにより調整可能である。そして、支線側車両Bに本線側車両Aよりも高い合流優先度を配信し、先行する高速の支線側車両Bが本線側車両Aの前方に合流できるようにする。すなわち、合流してきた支線側車両Bに本線側車両Aが上記の合流車間時間で追従するように速度を制御する。
【0073】
(4)支線側車両B(合流車両)先行、速度差あり、本線側車両A(被合流車両)高速の場合
図10に示すように、支線側車両B(合流車両)が先行していても、本線側車両A(被合流車両)のほうが支線側車両B(合流車両)よりも速度が高い(速い)場合、両車両の車間距離は徐々に縮小していき、本線側車両Aと支線側車両Bとの位置が逆転する可能性がある。また、合流区間内での両車両の合流地点到達時刻の差分が合流車間時間となる。ここでは、合流後の走行を円滑なものとするため、合流区間において、先行する支線側車両Bよりも、速度が高い本線側車両Aを先に走行させ、「合流完了時」の車間時間を求めるようにするのが好ましい。したがって、合流終了点「x
END」での本線側車両Aの合流地点到達時刻から支線側車両Bの合流地点到達時刻を減じた値を合流車間時間とする。実際には、差分の絶対値でも良い。ここで、合流車間時間「THW」とすると、以下の式(6)で算出できる。
【0074】
【数6】
なお、上記の合流車間時間は、本線側車両Aと支線側車両Bとのうち少なくとも一方を加減速することにより調整可能である。そして、本線側車両Aに支線側車両Bよりも高い合流優先度を配信し、高速の本線側車両Aの後方に支線側車両Bが合流できるようにする。すなわち、合流区間において、本線側車両Aを先行させ、その本線側車両Aに支線側車両Bが上記の合流車間時間で追従するように速度を制御する。
【0075】
(5)本線側車両A(被合流車両)先行、速度差あり、支線側車両B(合流車両)加速ありの場合
図11に示すように、本線側車両A(被合流車両)が先行していても、通過時の加速度や加速履歴情報等から、支線側車両B(合流車両)が加速しながら合流すると予想される場合、合流地点到達時刻が当初の予想から変わってしまうと考えられるため、支線側車両Bの予想加速度を考慮して、合流地点到達時刻を修正する。このとき、予想加速度に応じて支線側車両Bの速度も変わるため、両車両の車間距離は徐々に縮小していき、本線側車両Aと支線側車両Bとの位置が逆転する可能性がある。また、合流区間内での両車両の合流地点到達時刻の差分が合流車間時間となる。ここでは、支線側車両Bの予想加速度が大きく(a=a
Large)、合流区間到達前に本線側車両Aと支線側車両Bとの位置が逆転し、支線側車両Bが先行する場合、合流開始点「x
START」での本線側車両Aの合流地点到達時刻から支線側車両Bの合流地点到達時刻を減じた値を合流車間時間とする。実際には、差分の絶対値でも良い。また、合流終了点「x
END」での差分でも良い。ここで、合流車間時間「THW」とすると、以下の式(7)で算出できる。
【0076】
【数7】
また、支線側車両Bの予想加速度が小さく(a=a
Small)、合流区間内で本線側車両Aと支線側車両Bとの位置が逆転する場合、合流終了点「x
END」での本線側車両Aの合流地点到達時刻から支線側車両Bの合流地点到達時刻を減じた値を合流車間時間とする。実際には、差分の絶対値でも良い。ここで、合流車間時間「THW」とすると、以下の式(8)で算出できる。
【0077】
【数8】
なお、上記の合流車間時間は、本線側車両Aと支線側車両Bとのうち少なくとも一方を加減速することにより調整可能である。そして、支線側車両Bに本線側車両Aよりも高い合流優先度を配信し、加速して先行する高速の支線側車両Bが本線側車両Aの前方に合流できるようにする。すなわち、合流してきた支線側車両Bに本線側車両Aが上記の合流車間時間で追従するように速度を制御する。
【0078】
[車両の制御状態]
次に、車両の制御状態(挙動)の例について説明する。ここでは、本線側車両A(被合流車両)は、自動運転車両とする。また、支線側車両B(合流車両)が非自動運転車両の場合、運転者(ドライバー)により加速特性がばらつく。
【0079】
(1)支線側車両Bが非自動運転車両で加速特性が弱い場合
図12に示すように、本線側車両Aが自動運転車両、支線側車両Bが非自動運転車両で、支線側車両Bの加速特性が本線側車両Aよりも弱い場合、本線側車両Aは減速せずに走行することで(減速なし)、支線側車両Bが少し減速して本線側車両Aに追従するようになる(減速度:小)。なお、減速なしの場合には、加速の有無を問わない。
【0080】
(2)支線側車両Bが非自動運転車両で加速特性が強い場合
図13に示すように、本線側車両Aが自動運転車両、支線側車両Bが非自動運転車両で、支線側車両Bの加速特性が本線側車両Aよりも強い場合、支線側車両Bが減速せずに走行できるようにして(減速なし)、本線側車両Aは、字車両の前方に支線側車両Bが合流してこられるように、減速して支線側車両Bと自車両との間の車間距離を拡大し(減速度:中、車間距離拡大)、合流してきた支線側車両Bに追従する。この車間距離は、支線側車両Bの不測の挙動に備えて本線側車両A(自車両)がこの支線側車両Bに対して安全な車間時間をとることができる距離とする。但し、実際には、上記の例に限定されない。
【0081】
(3)支線側車両Bが自動運転車両である場合
図14に示すように、本線側車両Aと支線側車両Bが共に自動運転車両である場合、支線側車両Bが合流できるように本線側車両Aよりも高い合流優先度を配信し、支線側車両Bは減速せずに走行し、本線側車両Aは少し減速して支線側車両Bに追従する(減速度:小)。なお、支線側車両Bが自動運転車両の場合、両車両とも走行精度が高いため、本線側車両Aが車間距離を拡げる量は小さくて良く、合流を成功させるために本線側車両Aを無理に減速させる必要もない。また、両車両とも路側システムから制動可能であるため合流後の車間距離も小さくて良い(車間距離:小)。
【0082】
(変形例)
第1実施形態において、本線側車両認識装置11及び支線側車両認識装置12は、本線側及び支線側に設置された車両認識装置を想定しているが、実際には、自動運転車両と、道路の近傍に設置された通信装置とを組み合わせて実現しても良い。例えば、合流支援装置13は、道路の近傍に設置された通信装置を介して、路車間通信により、自動運転車両が車載カメラ(前方カメラ、側方カメラ、後方カメラ等)で周囲の車両を撮像してデジタル画像化した画像情報や、自動運転車両が計測・取得した周囲の車両の位置情報や走行速度情報を受信するようにしても良い。このとき、自動運転車両は、カメラ・レーザ・レーダ等を用いて周囲の車両の位置情報や走行速度情報を計測する。若しくは、車車間通信により、周囲の車両から、位置情報や走行速度情報を受信する。これにより、自動運転車両と、道路の近傍に設置された通信装置とが、本線側車両認識装置11及び支線側車両認識装置12としての役割を果たすことになる。
【0083】
また、本線側車両認識装置11や支線側車両認識装置12ではなく、合流支援装置13が、画像認識によって、本線側車両A及び支線側車両Bの画像情報の画像情報から、ナンバープレートに表示された車両ナンバー情報を取得するようにしても良い。
また、合流支援装置13の車両認識部131は、本線側車両認識装置11や支線側車両認識装置12の各々に設けられていても良い。また、合流支援装置13の車種別仕様情報管理部132及び車両別属性情報管理部133は、合流支援装置13から物理的に独立した記憶装置やサーバ装置でも良い。
【0084】
合流支援装置13の例として、パソコン(PC:Personal Computer)、アプライアンス(appliance)、シンクライアント用サーバ、ワークステーション、メインフレーム、スーパーコンピュータ等の計算機も考えられる。なお、合流支援装置13は、端末やサーバに限らず、中継機器や周辺機器でも良い。また、合流支援装置13は、計算機等に搭載される拡張ボードや、物理マシン上に構築された仮想マシン(VM:Virtual Machine)でも良い。
【0085】
また、計算機上で合流のシミュレーション等を行う場合には、第1〜第3実施形態に係る合流支援システム自体が、パソコン(PC)、アプライアンス、ワークステーション、メインフレーム、スーパーコンピュータ等の計算機でも良い。この場合、物理マシン上に構築された仮想マシン(VM)でも良い。
図示しないが、上記の計算機は、プログラムに従って駆動し所定の処理を実行するプロセッサと、当該プログラムや各種データを記憶するメモリにより実現される。
【0086】
上記のプロセッサの例として、CPU(Central Processing Unit)、マイクロプロセッサ(microprocessor)、マイクロコントローラ(microcontroller)、若しくは、専用の機能を有する半導体集積回路(LSI:Large Scale Integration)等が考えられる。
【0087】
上記のメモリの例として、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)やフラッシュメモリ等の半導体記憶装置が考えられる。必要であれば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の補助記憶装置、DVD(Digital Versatile Disk)等のリムーバブルディスク、又は、SDメモリカード(Secure Digital memory card)等の記憶媒体(メディア)等を用いても良い。また、バッファ(buffer)やレジスタ(register)等でも良い。
【0088】
なお、上記のプロセッサ及び上記のメモリは、一体化していても良い。例えば、近年では、マイコン等の1チップ化が進んでいる。したがって、電子機器等に搭載される1チップマイコンが、上記のプロセッサ及び上記のメモリを備えている事例も考えられる。
但し、実際には、上記の例に限定されない。
【0089】
[第1実施形態の効果]
第1実施形態では、以下のような効果を奏する。
(1)第1実施形態に係る合流支援システムは、道路の本線を走行する本線側車両を認識し、本線側車両の車両ナンバー情報、通過時刻情報、走行位置情報、走行速度情報、及び自動運転制御状態である自動運転車両であるか否かを示す自動運転情報を取得する。また、道路の支線を走行する支線側車両を認識し、支線側車両の車両ナンバー情報、通過時刻情報、走行位置情報、走行速度情報、及び自動運転制御状態である自動運転車両であるか否かを示す自動運転情報を取得する。そして、本線側車両及び支線側車両を車両ナンバー情報で識別し、本線側車両及び支線側車両の通過時刻情報、走行位置情報、走行速度情報、及び自動運転情報から、支線側車両の合流位置を決めるための道路の合流区間での本線側車両及び支線側車両の合流優先度と合流時の走行速度とを算出する。その後、合流優先度と合流時の走行速度情報とを車両ナンバー情報に紐付けて本線側車両及び支線側車両に配信する。このとき、本線側車両が自動運転車両であり支線側車両が自動運転車両である場合には、合流優先度にて定められた支線側車両の合流位置前後に該当する本線側車両に対して、車間距離が基準車間距離になるような走行速度情報を配信する。また、本線側車両が自動運転車両であり支線側車両が非自動運転車両である場合には、合流優先度にて定められた支線側車両の合流位置前後に該当する本線側車両に対して、車間距離が基準車間より長い車間距離になるような走行速度情報を配信し、支線側車両に対して、合流位置前の本線側車両の車両ナンバー情報を配信する。本線側車両及び支線側車両は、自車両が自動運転車両の場合には、配信される合流優先度と合流時の走行速度情報を受信し、受信情報に従って車両の走行制御を行う。また、自車両が非自動運転車両の場合には、車両ナンバー情報を受信して表示装置に表示する。
【0090】
このように、路側インフラは、合流にかかわる全ての車両の最適な速度を精度良く算出する必要がなく、合流区間通過時の合流優先度データを本線側車両及び支線側車両に配信するというシンプルな構成である。
また、本線側車両及び支線側車両は、受け取った合流優先度に従って個別に合流や被合流の仕方を決定するというシンプルな構成である。このため、自動運転の制御系を路側インフラと車両を含めた大規模システムとして構築する必要がない。
【0091】
(2)第1実施形態に係る合流支援システムは、車両ナンバー情報に紐付けられた加速特性情報を参照し、本線側車両及び支線側車両の通過時刻情報、走行位置情報、走行速度情報、自動運転情報、及び加速特性情報から、道路の合流区間での本線側車両及び支線側車両の合流優先度と合流時の走行速度とを算出する。
このように、路側インフラが車両ナンバー情報を取得することにより、個々の車両が識別可能になるため、個々の車両や運転者(ドライバー)による加速特性のばらつきを考慮して優先順位を決定することができる。
【0092】
(3)第1実施形態に係る合流支援システムでは、自車両が自動運転車両である場合の車両用装置は、自車両の車両ナンバー情報に紐付けられた合流優先度が最も高い合流優先度である場合、自車両の走行速度を維持するように制御する。自車両の車両ナンバー情報に紐付けられた合流優先度が最も高い合流優先度でない場合、自車両の車両ナンバー情報に紐付けられた合流優先度と、周囲の車両の車両ナンバー情報に紐付けられた合流優先度とを比較して、自車両より合流優先度が高い周囲の車両を検出し、合流時の走行速度情報に従って検出した周囲の車両に追従するように速度を制御する。
【0093】
このように、個々の車両は、受け取った合流優先度及び走行速度情報に従って個別に合流や被合流の仕方を決定できる。また、制御系を基本的に車両側の分散制御で構築できる。また、既存のナビゲーション装置やクルーズ装置の追加機能として利用することも可能である。また、車両は、合流車両が自動運転車両か否かを考慮して車間距離を変更・調整することができる。また、自動運転車両同士が合流する場合、無駄に広い車間距離を確保するために減速する必要がなくなり、円滑な合流・走行が可能となる。
【0094】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
第2実施形態では、ゲート(入場門)が多数存在する料金所通過後の本線への合流を対象とする点で、第1実施形態と異なる。但し、第2実施形態においても、合流支援システムの構成及び動作は、基本的に第1実施形態と同様である。なお、ゲートはレーン(走路)と読み替えても良い。
【0095】
図15に示すように、第2実施形態では、ゲートが多数存在する料金所通過後の本線への合流において、料金所又はその近傍に設置された路側システム10が、本線側車両A及び支線側車両Bに対してゲートの位置とゲートの通過順序とに応じた合流優先度を割り当てる。すなわち、合流支援装置13は、ゲートの位置とゲートの通過順序とに従った合流優先度を算出し、車両ナンバー情報と紐付けた合流優先度データを本線側車両A及び支線側車両Bへ配信する。この場合、ゲートの位置及びゲートの通過順序が、料金所通過後の走行位置となる。また、本線側車両A及び支線側車両Bは、一般的に、料金所通過時には減速し、料金所通過後には加速していると考えられる。
【0096】
図示しないが、本線側車両認識装置11及び本線側通信装置14は、本線に相当するレーン毎又はそのゲート毎に設置され、支線側車両認識装置12及び支線側通信装置15は、支線に相当するレーン毎又はそのゲート毎に設置されている。ここでは、本線側車両認識装置11及び支線側車両認識装置12は、料金所のゲートの手前(例えば入口)に設置され、本線側通信装置14及び支線側通信装置15は、料金所のゲートの先(例えば出口)に設置されている。すなわち、料金所の停車位置の前方、後方に設置されている。実際には、路肩に設置されていても良い。また、合流支援装置13は1つでも良い。ここでは、合流支援装置13は、料金所に設置されているものとする。但し、実際には、合流支援装置13の設置場所は任意である。
【0097】
[第2実施形態の効果]
第2実施形態では、以下のような効果を奏する。
(1)第2実施形態に係る合流支援システムは、ゲートが多数存在する料金所通過後の合流において、ゲートの位置とゲートの通過順序とに従った合流優先度を、車両ナンバー情報に紐付けて、本線側車両及び支線側車両へ配信する。
【0098】
これにより、料金所のように多数のゲートから一気に車線数が絞られるような複雑な合流が予想されるような場合にも、円滑な合流を実現することが可能となる。
また、全ての車両の運動を完全に予測する必要がないため、料金所のように多数のゲートから一気に車線数が絞られるような複雑な合流が予想されるような場合にも、適用が可能であり、容易である。
それ以外は、基本的には、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0099】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
第3実施形態では、車両側システム全体を表示装置上に構築する点で、第1実施形態と異なる。車両側システム自体が表示装置であれば、非自動運転車両に搭載することも可能である。無論、自動運転車両に搭載することも可能である。なお、第3実施形態は、第1実施形態と組み合わせて実施することも可能である。第3実施形態に係る車両側システムとなる表示装置の例として、カーナビ等のナビゲーション用のモニタ若しくはヘッドアップディスプレイ(HUD:Head−Up Display)、若しくは車両内に設置された携帯電話機、スマートフォン、タブレット端末、又は運転者(ドライバー)が装着可能な眼鏡型やヘルメット型のヘッドマウントディスプレイ(HMD:Head Mounted Display)等が考えられる。その他、運転者(ドライバー)が装着可能で表示画面付きのウェアラブルコンピュータ(wearable computer)でも良い。但し、実際には、これらの例に限定されない。
【0100】
図16に示すように、第3実施形態に係る車両側システム20は、車両側通信装置21と、周囲車両認識装置22と、コントローラ23と、表示制御装置27とを備える。車両側通信装置21、周囲車両認識装置22、コントローラ23、及び表示制御装置27については、基本的に第1実施形態と同様である。
車両側通信装置21は、合流支援装置13から合流優先度データを受信する。本線側車両及び支線側車両の車両ナンバー情報に紐付けられた合流優先度と合流時の走行速度とを受信する。ここでは、合流優先度データには、車両ナンバー情報、走行位置情報、走行速度情報、自動運転情報、合流車間時間、及び合流優先度が紐付けられている。なお、走行速度情報には、合流時の走行速度に関する情報も含まれるものとする。
【0101】
周囲車両認識装置22は、合流優先度データの内容から、周囲の車両を認識し、周囲の車両の走行位置、走行速度、及び合流優先度を認識する。
コントローラ23は、第1実施形態における車両の挙動の制御は行わず、映像情報の生成・出力に関する処理のみ行うものとする。ここでは、コントローラ23の例として、表示装置用のプロセッサを想定している。但し、実際には、表示装置用のプロセッサに限定されない。
【0102】
表示制御装置27は、本線側車両及び支線側車両の車両ナンバー情報に紐付けられた合流優先度と合流時の走行速度とを本線側車両及び支線側車両にタグ付けした映像を表示し、運転者(ドライバー)に自車両の合流優先度と合流時の走行速度とを報知する。これにより、非自動運転車両に対しても、合流優先度と合流時の走行速度とを通知することが可能となる。
【0103】
第3実施形態では、第1実施形態と異なり、速度制御装置24及び操舵制御装置25は不要である。また、加速履歴管理装置26も基本的には不要であるが、第3実施形態に係る車両側システム20が自車両の加速情報を取得可能であれば、加速履歴管理装置26を備えていても良い。なお、実際には、第3実施形態に係る車両側システム20が、車両に設置されている速度制御装置24、操舵制御装置25、及び加速履歴管理装置26と連携していても良い。
【0104】
[第3実施形態の効果]
第3実施形態では、以下のような効果を奏する。
(1)第3実施形態に係る表示装置は、路側インフラから、自車両及び周囲の車両の車両ナンバー情報に紐付けられた合流優先度及び合流時の走行速度情報を受信する。また、自車両及び周囲の車両の車両ナンバー情報に紐付けられた合流優先度及び合流時の走行速度情報を自車両及び周囲の車両にタグ付けした映像を表示し、運転者に自車両の合流優先度及び合流時の走行速度情報を報知する。
【0105】
このように、表示装置が、第1実施形態における車両用装置の機能の一部を実現している。この表示装置を非自動運転車両に設置することで、非自動運転車両であっても、運転者(ドライバー)の運転を補助する運転支援装置として路側システムからの情報を利用することが可能となり、非自動運転車両の運転者(ドライバー)に対して合流支援を行うことが可能となる。例えば、路側システムによる自動運転制御の状況が表示されるため、非自動運転車両の運転者(ドライバー)は、周囲の車両の自動運転制御の状況を把握し、状況に合わせることが可能になる。また、表示装置であれば、非自動運転車両に限らず、二輪車等にも設置することが可能になる。
【0106】
また、非自動運転車両に対しても、合流区間へ進入する手前で、どのような車両と交錯するか事前に表示することができるようになり、非自動運転車両の運転者(ドライバー)の判断負荷を減らすことができる。また、非自動運転車両の運転者(ドライバー)は、死角に存在する合流車両の存在を認識・考慮できるため、心理的に余裕を持った運転を行うことができるようになる。
また、自動運転システムの実現に比べると、表示装置の設置は非常に容易であるため、本格的・完全な自動運転システムの普及過程(過渡期)であっても合流支援システムの適用が容易である。
【0107】
<第1〜第3実施形態の関係>
なお、第1〜第3実施形態は、組み合わせて実施することも可能である。例えば、第1実施形態に係る路側システムの追加機能として、第2実施形態に係る路側システムを適用しても良い。また、第3実施携帯に係る表示装置は、第1実施形態及び第2実施形態における車両に設置可能である。また、第1〜第3実施形態の説明において、大小関係について特に対象の言及がない場合には、閾値(規定値)と比べて大きいか小さいかを示すものとする。
以上、本発明の実施形態を詳述してきたが、実際には、上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の変更があっても本発明に含まれる。